説明

粒状洗剤組成物、および粒状洗剤組成物の製造方法

【課題】被洗物への柔軟性付与効果に優れると共に、洗濯後の被洗物への白色粉状物の付着が抑制された粒状洗剤組成物、および該粒状洗剤組成物の製造方法を提供する。
【解決手段】本発明は、アニオン界面活性剤(A)とカチオン化セルロース(B)とを含有し、該(A)成分と該(B)成分との質量比が(A)/(B)=10〜70である粒状洗剤組成物であって、前記(A)成分と前記(B)成分とを含むスラリーを調製し、当該スラリーを噴霧乾燥する工程、または前記(A)成分を含む噴霧乾燥粒子と前記(B)成分とを捏和混練する工程を有する製造方法により得られることを特徴とする粒状洗剤組成物、および当該粒状洗剤組成物の製造方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粒状洗剤組成物、および粒状洗剤組成物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
省エネルギー・省資源の観点から、近年では、少量の水で洗濯を行う「節水洗濯」が主流となってきている。これに伴って、浴比(被洗物に対する洗濯液の質量比)が低下傾向にある。
従来、低浴比の下で洗濯を行うと、洗濯中に、被洗物同士の擦れや絡まりが生じやすくなり、被洗物が傷んで風合いが悪くなる問題がある。
そのため、低浴比の洗濯環境下においても、被洗物に、新品のような外観や柔らかい風合い(柔軟性)を付与できる洗剤組成物が望まれている。
【0003】
洗剤組成物においては、従来、洗浄効果と同時に、被洗物に柔軟性を付与するための様々な検討が行われている。
たとえば、アニオン界面活性剤主体の界面活性剤と、カチオン化セルロースとを併用して、被洗物に柔軟性を付与する洗剤組成物が開示されている。
具体的には、特定のカチオン活性剤と、カルボキシメチルセルロース(CMC)および/またはポリアクリル酸と、特定の水溶性カチオン性窒素含有ポリマー(カチオン化セルロース)とを含有する洗剤用添加剤が提案されている(特許文献1参照)。
また、陽イオン部として第四級アンモニウム残基、対イオンとして重合性陰イオンを有する界面活性剤の小胞体を重合して得られる高分子小胞体と、カチオン化セルロース等のカチオン化ポリマーとから成る洗濯用柔軟剤組成物が提案されている(特許文献2参照)。
【0004】
また、毛羽立ち防止効果等を発揮する、洗剤界面活性剤と、有機または無機洗浄性ビルダーと、カチオン化セルロース等の変性セルロースエーテル布帛処理剤とを含有する洗濯洗剤組成物が提案されている(特許文献3参照)。
また、カチオン化セルロース等の送達向上剤により、水不溶性布地ケア有益剤の被洗物への吸着性を向上させた洗濯製品組成物が提案されている(特許文献4、5参照)。
【特許文献1】特開昭54−142209号公報
【特許文献2】特開平2−113095号公報
【特許文献3】特表2001−507396号公報
【特許文献4】特表2005−536618号公報
【特許文献5】特表2005−537408号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1〜5に記載の組成物は、被洗物への柔軟性付与効果が未だ充分に満足できるものではない。
【0006】
ところで、アニオン界面活性剤とカチオン化セルロースとを含有する洗剤組成物は、従来、アニオン界面活性剤主体の界面活性剤含有成型物を調製した後、該界面活性剤含有成型物と、カチオン化セルロース粉体とを乾式混合する方法などにより製造されている。かかる製造方法により得られる洗剤組成物を使用して洗濯した場合、洗濯後の被洗物に、白い微細な粉状の付着物(白色粉状物)が発生する問題がある。
本発明者らの検討によると、該白色粉状物は、10℃以下の低温水で洗濯した場合に発生する洗剤組成物の溶け残り、または洗剤組成物粒子同士の凝集物とは、見た目だけでなく、発生する条件も異なるものであることが分かった。さらに、該白色粉状物は、25℃以上の比較的洗剤組成物が溶解しやすい条件下においても発生することが分かった。
特に、該白色粉状物の発生は、近年の低浴比の洗濯条件下において顕著であり、アニオン界面活性剤とカチオン化セルロースとを含有する洗剤組成物における実使用上の重要な問題となっている。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、被洗物への柔軟性付与効果に優れると共に、洗濯後の被洗物への白色粉状物の付着が抑制された粒状洗剤組成物、および該粒状洗剤組成物の製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは鋭意検討した結果、洗剤組成物の製造において、カチオン化セルロースの配合方法、および洗剤組成物中のアニオン界面活性剤とカチオン化セルロースとの割合を制御することにより、上記課題が解決されることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、アニオン界面活性剤(A)とカチオン化セルロース(B)とを含有し、該(A)成分と該(B)成分との質量比が(A)/(B)=10〜70である粒状洗剤組成物であって、前記(A)成分と前記(B)成分とを含むスラリーを調製し、当該スラリーを噴霧乾燥する工程、または前記(A)成分を含む噴霧乾燥粒子と前記(B)成分とを捏和混練する工程を有する製造方法により得られることを特徴とする粒状洗剤組成物である。
【0009】
また、本発明の粒状洗剤組成物においては、前記(A)成分が、α−スルホ脂肪酸エステル塩および/または石鹸を含有することが好ましい。
また、本発明の粒状洗剤組成物においては、前記(B)成分のカチオン化度が0.4〜1.2であることが好ましい。
【0010】
また、本発明は、アニオン界面活性剤(A)とカチオン化セルロース(B)とを含有し、該(A)成分と該(B)成分との質量比が(A)/(B)=10〜70である粒状洗剤組成物の製造方法であって、前記(A)成分と前記(B)成分とを含むスラリーを調製し、当該スラリーを噴霧乾燥する工程、または前記(A)成分を含む噴霧乾燥粒子と前記(B)成分とを捏和混練する工程を有することを特徴とする粒状洗剤組成物の製造方法である。
【0011】
また、本発明の粒状洗剤組成物の製造方法においては、前記(A)成分が、α−スルホ脂肪酸エステル塩および/または石鹸を含有することが好ましい。
また、本発明の粒状洗剤組成物の製造方法においては、前記(B)成分のカチオン化度が0.4〜1.2であることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明の粒状洗剤組成物によれば、被洗物への柔軟性付与効果に優れると共に、洗濯後の被洗物への白色粉状物の付着が抑制できる。
本発明の粒状洗剤組成物の製造方法によれば、被洗物への柔軟性付与効果に優れると共に、洗濯後の被洗物への白色粉状物の付着が抑制された粒状洗剤組成物が提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
≪粒状洗剤組成物≫
本発明の粒状洗剤組成物は、アニオン界面活性剤(A)(以下、(A)成分という。)とカチオン化セルロース(B)(以下、(B)成分という。)とを含有する。
【0014】
<(A)成分>
本発明において、(A)成分はアニオン界面活性剤である。該(A)成分は、汚れに対して洗浄成分としての役割を発揮する。また、該(A)成分と、後述の(B)成分とを特定の割合(後述)で混合した際、両者の相互作用により、被洗物への柔軟性付与効果が発現され、また、洗濯後の被洗物への白色粉状物の付着抑制の効果の向上に寄与する。
【0015】
(A)成分としては、たとえば、以下の(1)〜(12)に示すものを挙げることができる。
(1)炭素数8〜18のアルキル基を有する直鎖または分岐鎖状のアルキルベンゼンスルホン酸塩(LASまたはABS)。
(2)炭素数10〜20のアルカンスルホン酸塩。
(3)炭素数10〜20のα−オレフィンスルホン酸塩(AOS)。
(4)炭素数10〜20のアルキル硫酸塩またはアルケニル硫酸塩(AS)。
(5)アルキレンオキサイドを平均0.5〜10モル付加した、炭素数10〜20の直鎖もしくは分岐鎖状のアルキル基を有するアルキルエーテル硫酸塩または炭素数10〜20の直鎖もしくは分岐鎖状のアルケニル基を有するアルケニルエーテル硫酸塩(AES);ただし、該アルキレンオキサイドとしては、好ましくは、炭素数2〜4のアルキレンオキサイドのいずれか、またはエチレンオキサイド(EO)とプロピレンオキサイド(PO)とが混在したもの(モル比でEO/PO=0.1/9.9〜9.9/0.1)が挙げられる。
(6)アルキレンオキサイドを平均3〜30モル付加した、炭素数10〜20の直鎖もしくは分岐鎖状のアルキル基を有するアルキルフェニルエーテル硫酸塩または炭素数10〜20の直鎖もしくは分岐鎖状のアルケニル基を有するアルケニルフェニルエーテル硫酸塩;ただし、該アルキレンオキサイドとしては、好ましくは、炭素数2〜4のアルキレンオキサイドのいずれか、またはEOとPOとが混在したもの(モル比でEO/PO=0.1/9.9〜9.9/0.1)が挙げられる。
(7)アルキレンオキサイドを平均0.5〜10モル付加した、炭素数10〜20の直鎖もしくは分岐鎖状のアルキル基を有するアルキルエーテルカルボン酸塩または炭素数10〜20の直鎖もしくは分岐鎖状のアルケニル基を有するアルケニルエーテルカルボン酸塩;ただし、該アルキレンオキサイドとしては、好ましくは、炭素数2〜4のアルキレンオキサイドのいずれか、またはEOとPOとが混在したもの(モル比EO/PO=0.1/9.9〜9.9/0.1)が挙げられる。
(8)炭素数10〜20のアルキルグリセリルエーテルスルホン酸等のアルキル多価アルコールエーテル硫酸塩。
(9)α−スルホ脂肪酸塩またはそのエステル塩。好ましくは、炭素数8〜20(好ましくは12〜18)の飽和もしくは不飽和のα−スルホ脂肪酸塩またはそのエステル塩が挙げられる。
(10)長鎖モノアルキルリン酸塩、長鎖ジアルキルリン酸塩、または長鎖セスキアルキルリン酸塩。
(11)ポリオキシエチレンモノアルキルリン酸塩、ポリオキシエチレンジアルキルリン酸塩、またはポリオキシエチレンセスキアルキルリン酸塩。
(12)高級脂肪酸塩(石鹸)。好ましくは炭素数8〜22、さらに好ましくは炭素数12〜18の飽和脂肪酸塩と不飽和脂肪酸塩との混合物。
上記の(A)成分は、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアミン塩;アンモニウム塩等として用いることができる。なかでも、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩が好ましい。
【0016】
上記(A)成分のなかでも、LASまたはABS、α−スルホ脂肪酸塩またはそのエステル塩、石鹸が好ましく、LAS、α−スルホ脂肪酸エステル塩、石鹸(以上、好ましくはナトリウム塩またはカリウム塩)がより好ましい。
本発明においては、(A)成分が、α−スルホ脂肪酸エステル塩および/または石鹸を含有することが特に好ましい。α−スルホ脂肪酸エステル塩および/または石鹸を含有することにより、被洗物への柔軟性付与効果がさらに向上する
【0017】
α−スルホ脂肪酸エステル塩として好適なものを以下に例示する。
【0018】
【化1】

[式中、R11は炭素数8〜20の直鎖もしくは分岐鎖状のアルキル基またはアルケニル基であり、R12は炭素数1〜6のアルキル基である。Mは対イオンを表す。]
【0019】
前記式(A−1)中、R11は、炭素数8〜20の直鎖もしくは分岐鎖状のアルキル基、または炭素数8〜20の直鎖もしくは分岐鎖状のアルケニル基である。
11において、アルキル基またはアルケニル基の炭素数は8〜20であり、12〜18であることが好ましく、12〜16が特に好ましい。R12は、炭素数1〜6のアルキル基であり、直鎖状であってもよく、分岐鎖状であってもよい。R12において、炭素数は1〜6であり、1〜3であることが好ましい。具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基が挙げられ、洗浄力がより向上することからメチル基、エチル基、プロピル基が好ましく、メチル基が特に好ましい。
Mは、対イオンを表し、たとえばナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアミン塩;アンモニウム塩等が挙げられ、なかでもアルカリ金属塩が好ましい。
【0020】
石鹸としては、炭素数8〜22のものが好ましく、炭素数12〜18のものがより好ましい。また、飽和脂肪酸塩であってもよく、不飽和脂肪酸塩であってもよく、なかでも飽和脂肪酸塩と不飽和脂肪酸塩との混合物が好ましく、特に石鹸中の50質量%以上が不飽和脂肪酸塩である混合物が好ましい。
【0021】
本発明において、(A)成分は、1種または2種以上混合して用いることができる。
(A)成分の含有量は、本発明の粒状洗剤組成物中、5〜30質量%であることが好ましく、10〜20質量%であることがさらに好ましい。該範囲の下限値以上であることにより、洗浄力が向上する。また、被洗物への柔軟性付与効果が向上する。一方、上限値以下であれば、洗浄力が充分に得られる。
【0022】
(A)成分としてα−スルホ脂肪酸エステル塩を用いる場合、α−スルホ脂肪酸エステル塩の含有量は、本発明の粒状洗剤組成物中、5〜20質量%であることが好ましく、5〜15質量%であることがより好ましい。該範囲であると、被洗物への柔軟性付与効果がさらに向上する。
また、(A)成分として石鹸を用いる場合、石鹸の含有量は、本発明の粒状洗剤組成物中、 0.5〜15質量%であることが好ましく、1〜10質量%であることがより好ましい。該範囲であると、被洗物への柔軟性付与効果、洗浄力、再汚染防止の観点から好ましい。
また、(A)成分としてα−スルホ脂肪酸エステル塩および石鹸の両方を用いることが、被洗物への柔軟性付与効果の観点から好ましく、α−スルホ脂肪酸エステル塩と石鹸との合計の含有量は、本発明の粒状洗剤組成物中、5〜25質量%であることが好ましく、10〜20質量%であることがより好ましい。該範囲であると、被洗物への柔軟性付与効果、洗浄力、再汚染防止の観点から好ましい。
【0023】
<(B)成分>
本発明において、(B)成分はカチオン化セルロースである。該(B)成分は、主として被洗物への柔軟性付与効果の向上に寄与する。本発明においては、該(B)成分と、前記(A)成分とを特定の割合(後述)で混合した際、両者の相互作用により、被洗物への柔軟性付与効果が得られる。
【0024】
本発明における(B)成分としては、たとえば、セルロース原料に、カチオン化剤を反応させて得られるカチオン性のポリマーであり、ほかに少量の水を含むものが好適に挙げられる。
セルロース原料としては、たとえば、酸化エチレンをセルロースに付加させて得られるヒドロキシエチルセルロース(HEC)が挙げられる。
カチオン化剤としては、たとえば、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウム、グリシジルトリメチルアンモニウムクロライドが挙げられる。
【0025】
本発明において、(B)成分の重量平均分子量は、10万〜200万であることが好ましく、40万〜160万であることがより好ましい。該範囲の下限値以上であることにより、被洗物への柔軟性付与効果が向上する。一方、上限値以下であれば、(B)成分自身の溶解性がより良好となる。
なお、(B)成分の重量平均分子量は、標準物質をポリエチレングリコール(PEG)としてゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で分析を行った値を示す。
【0026】
(B)成分のカチオン化度は、0.4〜1.2質量%であることが好ましく、0.4〜0.8質量%であることがより好ましい。該範囲であることにより、被洗物への柔軟性付与効果がさらに向上する。
ただし、「カチオン化度」とは、(B)成分のグルコース環単位当たりの窒素原子の割合(質量%)を意味する。該窒素原子はカチオン化剤に由来する。
該カチオン化度は、その値が大きいほど(B)成分のカチオン性が強まり、水溶性が高くなることを意味する。したがって、カチオン化度は、被洗物への吸着性と関係する物性である。(B)成分は、カチオン化度が0.4質量%以上であると、適度な強さのカチオン性が得られ、被洗物への吸着性がより良好となるため、(B)成分を含有させることによる効果が得られると考えられる。一方、1.2質量%以下であると、カチオン性の強さが適度に抑えられて水溶性が高くなりすぎず、被洗物への吸着性が良好に保たれるため、(B)成分を含有させることによる効果が得られると考えられる。
【0027】
(B)成分として好適なものを以下に例示する。
【0028】
【化2】

[式中、R〜Rは、それぞれ独立して水素原子または下記式(B−1−1)で表される基である。l、m、nは、それぞれエチレンオキシドの平均付加モル数を示す。]
【0029】
【化3】

【0030】
前記式(B−1)で表される繰返し単位を有するポリマーは、(ハロゲン)−O−[2−ヒドロキシ−3−(トリメチルアンモニオ)プロピル]ヒドロキシエチルセルロースである。
前記式(B−1)中、グルコース環単位当たりのエチレンオキシド(EO)置換度は、好ましくは0.7〜2.5である。ただし、「EO置換度」とは、セルロース原料のグルコース環単位当たり、EOで置換された水酸基の平均個数(該グルコース環の持つ3つの水酸基のうち、いくつにEOが付加したかを示すもので、最大3となる。)を示す。
また、グルコース環単位あたりのEO平均付加モル数は、好ましくはl+m+n=1〜5であり、特に洗浄力の向上、再汚染(汚れの再付着)の抑制の効果が良好なことから、下限値は1以上がより好ましく、上限値は3以下がより好ましい。
【0031】
本発明において、(B)成分は、1種または2種以上混合して用いることができる。
【0032】
また、(B)成分として具体的には、レオガードGPS(カチオン化度1.8質量%)、レオガードGP(カチオン化度1.8質量%)、レオガードGP0(カチオン化度1.8質量%)、レオガードLP(カチオン化度1.0質量%)、レオガードKGP(カチオン化度1.8質量%)、レオガードMGP(カチオン化度1.8質量%)、レオガードMLP(カチオン化度0.6質量%)[以上、商品名;ライオン化学社製];カチナールHC−100(カチオン化度1.0〜2.0質量%)、カチナールHC−200(カチオン化度1.0〜2.0質量%)、カチナールLC−100(カチオン化度0.5〜1.5質量%)、カチナールLC−200(カチオン化度0.5〜1.5質量%)[以上、商品名;東邦化学工業社製];UCARE Polymer LR400(カチオン化度0.8〜1.1質量%)、UCARE Polymer LR30M(カチオン化度0.8〜1.1質量%)[以上、商品名;ダウケミカル社製]等の市販のものが好適なものとして挙げられる。
なお、上記市販のものにおけるグレードの相違は、セルロースの分子量、EOの平均付加モル数、およびカチオン化度等が異なることによる。
【0033】
本発明の粒状洗剤組成物における前記(A)成分と前記(B)成分との質量比は、(A)/(B)=10〜70であり、10〜50であることが好ましく、15〜40であることがより好ましい。該質量比の上限値以下であることにより、被洗物への柔軟性付与効果が良好に得られる。一方、該質量比の下限値以上であることにより、洗濯後の被洗物への白色粉状物の付着抑制の効果が良好に得られる。
【0034】
<その他の成分>
本発明の粒状洗剤組成物には、前記(A)、(B)成分以外に必要に応じて、通常、衣料用等の洗浄剤組成物に用いられる洗剤成分等の成分を適宜、配合することができる。
具体的には、たとえば前記(A)成分以外の界面活性剤、洗浄性ビルダー、蛍光増白剤、酵素、酵素安定剤、ポリマー類、ケーキング防止剤、消泡剤、還元剤、金属イオン捕捉剤、pH調整剤、香料、色素等が挙げられる。
【0035】
(界面活性剤)
前記(A)成分以外の界面活性剤としては、通常、洗浄剤組成物に用いられる界面活性剤(ノニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤)が併用できる。
【0036】
ノニオン界面活性剤としては、たとえば、以下に示すものを挙げることができる。
(1)炭素数6〜22、好ましくは炭素数8〜18の脂肪族アルコールに炭素数2〜4のアルキレンオキサイドを平均3〜30モル、好ましくは5〜20モル付加したポリオキシアルキレンアルキルエーテルまたはポリオキシアルキレンアルケニルエーテル。
この中でも、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルケニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルケニルエーテルが好適なものとして挙げられる。
ここで使用される脂肪族アルコールとしては、第1級アルコール、第2級アルコールが挙げられ、第1級アルコールが好ましい。また、アルキル基またはアルケニル基は、直鎖状であってもよく、分岐鎖状であってもよい。
(2)ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルまたはポリオキシエチレンアルケニルフェニルエーテル。
(3)長鎖脂肪酸アルキルエステルのエステル結合間にアルキレンオキサイドが付加した、たとえば下記一般式(I)で表される脂肪酸アルキルエステルアルコキシレート。
CO(OA)n’OR (I)。
[式中、RCOは、炭素数6〜22、好ましくは8〜18の脂肪酸残基を示し;OAは、炭素数2〜4、好ましくは2〜3のアルキレンオキサイド(たとえば、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等)の付加単位(オキシアルキレン基)を示し;n’はアルキレンオキサイドの平均付加モル数を示し、一般に3〜30、好ましくは5〜20の数である。Rは炭素数1〜3の置換基を有していてもよい低級(炭素数1〜4の)アルキル基を示す。]
(4)ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル。
(5)ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル。
(6)ポリオキシエチレン脂肪酸エステル
(7)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油。
(8)グリセリン脂肪酸エステル。
【0037】
上記のノニオン界面活性剤のなかでも、(1)のノニオン界面活性剤が好ましく、そのなかでも炭素数12〜16の脂肪族アルコールに炭素数2〜4のアルキレンオキサイドを平均5〜20モル付加したポリオキシアルキレンアルキルエーテルまたはポリオキシアルキレンアルケニルエーテルが特に好ましい。
また、融点が50℃以下で、HLBが9〜16のポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルケニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルケニルエーテル、脂肪酸メチルエステルにエチレンオキサイドが付加した脂肪酸メチルエステルエトキシレート、脂肪酸メチルエステルにエチレンオキサイドとプロピレンオキサイドとが付加した脂肪酸メチルエステルエトキシプロポキシレート等が好適に用いられる。
これらのノニオン界面活性剤は、1種単独で、または2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
なお、上記の「HLB」とは、Griffinの方法により求められた値である(吉田、進藤、大垣、山中共編、「新版界面活性剤ハンドブック」,工業図書株式会社,1991年,第234頁参照)。
また、上記の「融点」とは、JIS K 0064−1992「化学製品の融点及び溶融範囲測定方法」に記載されている融点測定法によって測定された値である。
【0038】
カチオン界面活性剤としては、たとえば、以下のものを挙げることができる。
(1)ジ長鎖アルキルジ短鎖アルキル型4級アンモニウム塩。
(2)モノ長鎖アルキルトリ短鎖アルキル型4級アンモニウム塩。
(3)トリ長鎖アルキルモノ短鎖アルキル型4級アンモニウム塩。
ただし、上記の「長鎖アルキル」は炭素数12〜26、好ましくは14〜18のアルキル基を示す。
「短鎖アルキル」は、フェニル基、ベンジル基、ヒドロキシ基、ヒドロキシアルキル基等の置換基を包含し、炭素間にエーテル結合を有していてもよい。なかでも、炭素数1〜4、好ましくは1〜2のアルキル基;ベンジル基;炭素数2〜4、好ましくは2〜3のヒドロキシアルキル基;炭素数2〜4、好ましくは2〜3のポリオキシアルキレン基が好適なものとして挙げられる。
【0039】
両性界面活性剤としては、たとえばイミダゾリン系の両性界面活性、アミドベタイン系の両性界面活性剤等を挙げることができる。具体的には、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ラウリン酸アミドプロピルベタインが好適なものとして挙げられる。
【0040】
(洗浄性ビルダー)
洗浄性ビルダーとしては、無機ビルダーおよび有機ビルダーが挙げられる。
【0041】
無機ビルダーとしては、たとえば炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、重炭酸ナトリウム、セスキ炭酸ナトリウム等のアルカリ金属炭酸塩;亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム等のアルカリ金属亜硫酸塩;結晶性層状珪酸ナトリウム[たとえば、クラリアントジャパン社製の商品名「Na−SKS−6」(δ−NaO・2SiO)等の結晶性アルカリ金属珪酸塩]、非晶質アルカリ金属珪酸塩;硫酸ナトリウム、硫酸カリウム等の硫酸塩;塩化ナトリウム、塩化カリウム等のアルカリ金属塩化物;オルソリン酸塩、ピロリン酸塩、トリポリリン酸塩、メタリン酸塩、ヘキサメタリン酸塩、フィチン酸塩等のリン酸塩;結晶性アルミノ珪酸塩、無定形アルミノ珪酸塩、炭酸ナトリウムと非晶質アルカリ金属珪酸塩の複合体(たとえば、Rhodia社の商品名「NABION15」)等が挙げられる。
上記無機ビルダーの中でも、炭酸ナトリウム、アルミノ珪酸塩、または溶解性向上の効果を併せ持つものとしてカリウム塩(炭酸カリウム、硫酸カリウム等)もしくはアルカリ金属塩化物(塩化カリウム、塩化ナトリウム等)が好ましい。
【0042】
アルミノ珪酸塩としては、結晶性、非晶質(無定形)のいずれのものも用いることができ、カチオン交換能の点から結晶性アルミノ珪酸塩が好ましい。
結晶性アルミノ珪酸塩としては、A型、X型、Y型、P型ゼオライト等が好適に配合でき、平均一次粒子径は0.1〜10μmが好ましい。粒状洗剤組成物中の結晶性アルミノ珪酸塩の含有量は、1〜40質量%が好ましく、洗浄性能および流動性等の粉体物性の点から2〜30質量%が特に好ましい。
炭酸カリウムを配合する場合、その含有量は、溶解性向上の効果の点から、粒状洗剤組成物中に、好ましくは1〜15質量%、より好ましくは2〜12質量%、さらに好ましくは5〜12質量%である。
アルカリ金属塩化物を配合する場合、その含有量は、溶解性向上の効果の点から、粒状洗剤組成物中に、好ましくは1〜10質量%、より好ましくは2〜8質量%、さらに好ましくは3〜7質量%である。
結晶性アルカリ金属珪酸塩を配合する場合、その含有量は、洗浄性能の点から、粒状洗剤組成物中に、好ましくは0.5〜40質量%、より好ましくは1〜25質量%、さらに好ましくは3〜20質量%、特に好ましくは5〜15重量%である。
【0043】
有機ビルダーとしては、たとえばニトリロトリ酢酸塩、エチレンジアミンテトラ酢酸塩、β−アラニンジ酢酸塩、アスパラギン酸ジ酢酸塩、メチルグリシンジ酢酸塩、イミノジコハク酸塩等のアミノカルボン酸塩;セリンジ酢酸塩、ヒドロキシイミノジコハク酸塩、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸塩、ジヒドロキシエチルグリシン塩等のヒドロキシアミノカルボン酸塩;ヒドロキシ酢酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、グルコン酸塩等のヒドロキシカルボン酸塩;ピロメリット酸塩、ベンゾポリカルボン酸塩、シクロペンタンテトラカルボン酸塩等のシクロカルボン酸塩;カルボキシメチルタルトロネート、カルボキシメチルオキシサクシネート、オキシジサクシネート、酒石酸モノまたはジサクシネート等のエーテルカルボン酸塩;ポリアクリル酸塩、アクリル酸−アリルアルコール共重合体の塩、アクリル酸−マレイン酸共重合体の塩、ポリグリオキシル酸等のポリアセタールカルボン酸の塩;ヒドロキシアクリル酸重合体、多糖類−アクリル酸共重合体等のアクリル酸重合体または共重合体の塩;マレイン酸、イタコン酸、フマル酸、テトラメチレン1,2−ジカルボン酸、コハク酸、アスパラギン酸等の重合体または共重合体の塩;デンプン、セルロース、アミロース、ペクチン等の多糖類酸化物、カルボキシメチルセルロース等の多糖類誘導体等が挙げられる。
上記有機ビルダーの中でも、クエン酸塩、アミノカルボン酸塩、ヒドロキシアミノカルボン酸塩、ポリアクリル酸塩、アクリル酸−マレイン酸共重合体の塩、ポリアセタールカルボン酸の塩が好ましい。特に、ヒドロキシイミノジコハク酸塩、重量平均分子量が1000〜80000のアクリル酸−マレイン酸共重合体の塩、ポリアクリル酸塩、重量平均分子量が800〜1000000(好ましくは5000〜200000)のポリグリオキシル酸等のポリアセタールカルボン酸塩(たとえば、特開昭54−52196号公報に記載のもの)が好適である。
有機ビルダーの含有量は、粒状洗剤組成物中、1〜20質量%が好ましく、より好ましくは1〜10質量%、特に好ましくは2〜5質量%である。
【0044】
上記洗浄性ビルダーは、1種単独で、または2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
上記洗浄性ビルダーの中でも、洗浄力、洗濯液中での汚れ分散性が向上することから、クエン酸塩、アミノカルボン酸塩、ヒドロキシアミノカルボン酸塩、ポリアクリル酸塩、アクリル酸−マレイン酸共重合体の塩、ポリアセタールカルボン酸の塩等の有機ビルダーと、ゼオライト等の無機ビルダーとを併用することが好ましい。
粒状洗剤組成物中の洗浄性ビルダーの含有量は、充分な洗浄性能を付与する点から、10〜80質量%が好ましく、20〜75質量%がより好ましい。
【0045】
(蛍光増白剤)
蛍光増白剤としては、たとえば4,4’−ビス−(2−スルホスチリル)−ビフェニル塩、4,4’−ビス−(4−クロロ−3−スルホスチリル)−ビフェニル塩、2−(スチリルフェニル)ナフトチアゾール誘導体、4,4’−ビス(トリアゾール−2−イル)スチルベン誘導体、ビス−(トリアジニルアミノスチルベン)ジスルホン酸誘導体等が挙げられる。
上記蛍光増白剤は、1種単独で、または2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
粒状洗剤組成物中の蛍光増白剤の含有量は、0.001〜1質量%が好ましい。
市販品として具体的には、ホワイテックスSA、ホワイテックスSKC(以上、商品名;住友化学(株)製);チノパールAMS−GX、チノパールDBS−X、チノパールCBS−X(以上、商品名;チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製);Lemonite CBUS−3B(以上、商品名;Khyati Chemicals製)等が好適なものとして挙げられる。なかでも、チノパールCBS−X、チノパールAMS−GXがより好ましい。
【0046】
(酵素)
酵素としては、酵素の反応性から分類すると、ハイドロラーゼ類、オキシドレダクターゼ類、リアーゼ類、トランスフェラーゼ類、およびイソメラーゼ類が挙げられ、本発明においてはいずれも適用できる。
なかでも、プロテアーゼ、エステラーゼ、リパーゼ、ヌクレアーゼ、セルラーゼ、アミラーゼ、ペクチナーゼ等が好ましい。
【0047】
プロテアーゼの具体例としては、ペプシン、トリプシン、キモトリプシン、コラーゲナーゼ、ケラチナーゼ、エラスターゼ、スプチリシン、パパイン、プロメリン、カルボキシペプチターゼAまたはB、アミノペプチターゼ、アスパーギロペプチターゼAまたはB等が挙げられる。
市販品としては、サビナーゼ、アルカラーゼ、カンナーゼ、エバラーゼ、デオザイム(以上、商品名;ノボザイムズ社製);API21(商品名、昭和電工(株)製);マクサカル、マクサペム(以上、商品名;ジェネンコア社製);プロテアーゼK−14またはK−16(特開平5−25492号公報に記載のプロテアーゼ)等を挙げることができる。
【0048】
エステラーゼの具体例としては、ガストリックリパーゼ、バンクレアチックリパーゼ、植物リパーゼ類、ホスホリパーゼ類、コリンエステラーゼ類、ホスホターゼ類等が挙げられる。
リパーゼの具体例としては、リポラーゼ、ライペックス(以上、商品名;ノボザイムズ社製)、リポサム(商品名、昭和電工(株)製)等の市販のリパーゼ等を挙げることができる。
セルラーゼとしては、たとえば市販品のセルザイム(商品名、ノボザイムズ社製);アルカリセルラーゼK、アルカリセルラーゼK−344、アルカリセルラーゼK−534、アルカリセルラーゼK−539、アルカリセルラーゼK−577、アルカリセルラーゼK−425、アルカリセルラーゼK−521、アルカリセルラーゼK−580、アルカリセルラーゼK−588、アルカリセルラーゼK−597、アルカリセルラーゼK−522、CMCアーゼI、CMCアーゼII、アルカリセルラーゼE−II、およびアルカリセルラーゼE−III(以上、特開昭63−264699号公報に記載のセルラーゼ)等が挙げられる。
アミラーゼとしては市販のターマミル、デュラミル(ノボザイムズ社製)等を挙げることができる。
【0049】
上記酵素は、1種単独で、または2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
なお、酵素は、別途安定な粒子として造粒したものを、洗剤生地(粒子)にドライブレンドした状態で使用することが好ましい。
【0050】
(酵素安定剤)
酵素安定剤としては、たとえばカルシウム塩、マグネシウム塩、ポリオール、蟻酸、ホウ素化合物等を配合することができる。なかでも、4ホウ酸ナトリウム、塩化カルシウム等が好ましい。
酵素安定剤は、1種単独で、または2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
粒状洗剤組成物中の酵素安定剤の含有量は、0.05〜2質量%が好ましい。
【0051】
(ポリマー類)
本発明の粒状洗剤組成物においては、粒状洗剤組成物粒子を高密度化する場合に使用されるバインダーもしくは粉体物性調整剤として、または疎水性微粒子(汚れ)に対する再汚染防止効果を付与するため、平均分子量が200〜200000のポリエチレングリコール、重量平均分子量1000〜100000のアクリル酸および/またはマレイン酸ポリマーの塩、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)等のセルロース誘導体等を配合することができる。
また、汚れ放出剤としてテレフタル酸に由来する繰返し単位と、エチレングリコールおよび/またはプロピレングリコールに由来する繰返し単位とのコポリマー、またはターポリマー等を配合することができる。
また、色移り防止効果を付与するため、ポリビニルピロリドン等を配合することができる。
上記ポリマー類の中でも、被洗物への柔軟性付与効果、再汚染防止の観点から、HPMCが好ましく、重量平均分子量2万以上のHPMCがより好ましい。
かかるポリマー類は、1種単独で、または2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
粒状洗剤組成物中の上記ポリマー類の含有量は、0.05〜5質量%が好ましい。
【0052】
(ケーキング防止剤)
ケーキング防止剤としては、パラトルエンスルホン酸塩、キシレンスルホン酸塩、酢酸塩、スルホコハク酸塩、タルク、微粉末シリカ、粘土、酸化マグネシウム等を配合することができる。
【0053】
(消泡剤)
消泡剤としては、従来公知の、たとえばシリコーン/シリカ系のものを挙げることができる。また、かかる消泡剤は、下記消泡剤造粒物として用いてもよい。
[消泡剤造粒物の製造方法]
まず、マルトデキストリン(商品名、日澱化学株式会社製;酵素変性デキストリン)100gに、消泡剤成分としてシリコーン(コンパウンド型、商品名:PSアンチフォーム、ダウコーニング社製)20gを添加し混合して均質混合物を得る。次に、得られた均質混合物50質量%、ポリエチレングリコール(PEG−6000,融点58℃)25質量%、および中性無水芒硝25質量%を70〜80℃で混合した後、押出し造粒機(型式EXKS−1、不二パウダル株式会社製)により造粒し、消泡剤造粒物を得る(特開平3−186307号公報参照)。
【0054】
(還元剤)
還元剤としては、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム等が挙げられる。
【0055】
(金属イオン捕捉剤)
金属イオン捕捉剤は、水道水中の微量金属イオン等を捕捉し、金属イオンの繊維(被洗物)への吸着を抑制する効果を有する。
金属イオン捕捉剤としては、前記洗浄性ビルダーに包含されるものの他に、エチレンジアミン四酢酸、ニトリロ三酢酸、グリコールエチレンジアミン6酢酸等のアミノポリ酢酸類;1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸(HEDP−H)、エタン−1,1−ジホスホン酸、エタン−1,1,2−トリホスホン酸、ヒドロキシエタン−1,1,2−トリホスホン酸、エタン−1,2−ジカルボキシ−1,2−ジホスホン酸、ヒドロキシメタンホスホン酸、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、ニトリロトリ(メチレンホスホン酸)、2−ヒドロキシエチルイミノジ(メチレンホスホン酸)、ヘキサメチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)等の有機ホスホン酸誘導体またはその塩;ジグリコール酸、クエン酸、酒石酸、シュウ酸、グルコン酸等の有機酸類またはその塩等が挙げられる。
上記金属イオン捕捉剤は、1種単独で、または2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
粒状洗剤組成物中の金属イオン捕捉剤の含有量は、0.1〜5質量%が好ましく、より好ましくは0.5〜3質量%である。0.1質量%以上であれば、水道水中の金属イオンを捕捉する効果が向上する。一方、5質量%以下であれば、金属イオンを捕捉する効果が充分に得られる。
【0056】
(pH調整剤)
本発明の粒状洗剤組成物は、そのpHが特に制限されるものではないが、洗浄性能の点から、粒状洗剤組成物の1質量%水溶液におけるpHが8以上であることが好ましく、該1質量%水溶液におけるpHが9〜11であることがより好ましい。前記pHが8以上であることにより、洗浄効果が発揮されやすくなる。
粒状洗剤組成物のpHを制御するための技術としては、通常アルカリ剤によってpH調整が行われており、前記洗浄性ビルダーに記載のアルカリ剤のほか、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が挙げられる。
具体的には、たとえば、水への溶解性およびアルカリ度の点から、炭酸ナトリウムと珪酸ナトリウムと水との割合が55/29/16(質量比)の混合物であるNABION15(商品名、ローディア社製)を用いるのが好ましい。
また、粒状洗剤組成物のpHが高くなりすぎることを防止するために、酸等を用いて上記pHの範囲に調整することもできる。
かかる酸としては、前記金属イオン捕捉剤、リン酸2水素カリウム等のアルカリ金属リン酸2水素塩、乳酸、コハク酸、リンゴ酸、グルコン酸、またはそれらのポリカルボン酸、クエン酸、炭酸水素ナトリウム、硫酸、塩酸等を使用することができる。
また、洗浄時に繊維の汚れに由来する酸成分によるpHの低下を防止するための緩衝剤の使用も可能である。
上記pH調整剤は、1種単独で、または2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
【0057】
(香料)
本発明における香料とは、香料成分、溶剤、香料安定化剤等からなる混合物(香料組成物)である。
かかる香料としては、たとえば特開2002−146399号公報、特開2003−89800号公報に記載のもの等を用いることができる。
粒状洗剤組成物中の香料の含有量は、0.001〜2質量%が好ましく、0.01〜1質量%がより好ましい。
【0058】
(色素)
本発明においては、粒状洗剤組成物の外観を良好にするために、染料、顔料等の各種色素を用いることができる。なかでも、保存安定性の点から顔料が好ましく、耐酸化性を有するものが特に好ましい。
かかる色素としては、たとえば酸化物等が挙げられ、好ましくは、酸化チタン、酸化鉄、銅フタロシアニン、コバルトフタロシアニン、群青、紺青、シアニンブルー、シアニングリーン等が挙げられる。
【0059】
<粒状洗剤組成物の製造方法>
本発明の粒状洗剤組成物は、前記(A)成分と前記(B)成分とを含むスラリーを調製し、当該スラリーを噴霧乾燥する工程、または前記(A)成分を含む噴霧乾燥粒子と前記(B)成分とを捏和混練する工程を有する製造方法により得られる。
該粒状洗剤組成物の製造方法の詳細については、後述する本発明の≪粒状洗剤組成物の製造方法≫における製造方法についての説明と同じである。
【0060】
本発明の粒状洗剤組成物の形態は、粉末、顆粒等の固体であり、より好ましくは粉末である。
かかる粒状洗剤組成物の嵩密度は、0.3g/mL以上であることが好ましく、より好ましくは0.5〜1.2g/mL、さらに好ましくは0.6〜1.1g/mLである。嵩密度が0.3g/mL以上であると、粒状洗剤組成物の保管時に必要なスペース(保管場所)がより少なく有利となる。一方、1.2g/mL以下であると、長期保管後でも粒状洗剤組成物の水への溶解性が良好となる。
なお、前記嵩密度は、JIS K3362−1998に準じて測定される値を示す。
【0061】
かかる粒状洗剤組成物の平均粒子径は、200〜1500μmであることが好ましく、下限値は250μm以上がより好ましく、280μm以上がさらに好ましく、300μm以上が特に好ましい。上限値は1000μm以下がより好ましく、700μm以下がさらに好ましい。平均粒子径が200μm以上であると、粉塵の発生が抑制されやすくなる。一方、1500μm以下であると、水への溶解性が向上する。
【0062】
前記粒状洗剤組成物の平均粒子径は、目開き1680μm、1410μm、1190μm、1000μm、710μm、500μm、350μm、250μm、および149μmの9段の篩と、受け皿とを用いて、以下の分級操作を行うことにより求められる値を示す。
かかる分級操作は、受け皿に、目開きの小さな篩から目開きの大きな篩の順に積み重ね、最上部の1680μmの篩の上から100g/回の粒状洗剤組成物を入れ、蓋をしてロータップ型篩い振盪機((株)飯田製作所製、タッピング:156回/分、ローリング:290回/分)に取り付け、10分間振動させた後、それぞれの篩及び受け皿上に残留したサンプルを篩目ごとに回収して、サンプルの質量を測定する方法である。
そして、受け皿と各篩との質量頻度を積算していくと、積算の質量頻度が50%以上となる最初の篩の目開きを「aμm」とし、aμmよりも一段大きい篩の目開きを「bμm」とし、受け皿からaμmの篩までの質量頻度の積算値を「c%」、また、aμmの篩上の質量頻度を「d%」として、次式により平均粒子径(質量50%)を求め、粒状洗剤組成物の平均粒子径とした。
【0063】
【数1】

【0064】
かかる粒状洗剤組成物の流動性は、安息角として60°以下であることが好ましく、50°以下であることがより好ましい。
また、貯蔵後(紙容器、または詰め替えパウチ等の透湿性の高い容器などに長期保存された場合等)の粒状洗剤組成物の流動性は、安息角として60°以下であることが好ましく、50°以下であることがより好ましい。
安息角が60°以下であると、粒状洗剤組成物粒子の取扱性が良好なものとなりやすい。また、貯蔵後の場合、容器から粒状洗剤組成物が取り出しやすい等、使用性が良好なものとなるため好ましい。
なお、安息角は、容器に満たした粒状洗剤組成物粒子が流出するときに形成されるすべり面と水平面とのなす角を測定する、いわゆる排出法による安息角測定法によって測定することができる。具体的には、ターンテーブル形安息角測定器(筒井理化学器械(株)製)を用いて測定される値を示す。
【0065】
本発明の粒状洗剤組成物を容器に充填してなる市販製品における該容器としては、使い勝手の良さや、安定性等を考慮して選択することができ、特に湿度や光による影響が少ない容器を選択することが好ましい。
本発明の粒状洗剤組成物の使用方法は、特に制限されるものではなく、洗濯機に、好ましくは0.02〜0.5質量%の溶液となるように投入して被洗物を洗濯する方法;被洗物を、好ましくは0.02〜2質量%溶液に浸け置く方法等が好適であり、特に洗濯機に投入して5〜20分間の洗濯を行う方法に好適に使用することができる。
本発明の粒状洗剤組成物が洗濯対象とする被洗物は、特に制限されるものではなく、たとえば衣類、布巾、シーツ、カーテン等の繊維製品など、通常の洗浄剤組成物が洗濯対象とする被洗物と同じものが挙げられる。
【0066】
本発明の粒状洗剤組成物によれば、従来の洗剤組成物に比べて、被洗物への柔軟性付与効果に優れると共に、洗濯後の被洗物への白色粉状物の付着が抑制できる。
しかしながら、それらの特性を発現する構造を確認することは困難である。そのため、本特許請求の範囲および本明細書においては、本発明の粒状洗剤組成物を、該粒状洗剤組成物中の(A)成分と(B)成分との質量比、および製造方法により特定している。
【0067】
≪粒状洗剤組成物の製造方法≫
本発明は、アニオン界面活性剤(A)とカチオン化セルロース(B)とを含有し、該(A)成分と該(B)成分との質量比が(A)/(B)=10〜70である粒状洗剤組成物の製造方法であって、前記(A)成分と前記(B)成分とを含むスラリーを調製し、当該スラリーを噴霧乾燥する工程(噴霧乾燥工程)、または前記(A)成分を含む噴霧乾燥粒子と前記(B)成分とを捏和混練する工程(捏和混練工程)を有することを特徴とする粒状洗剤組成物の製造方法である。
本発明の粒状洗剤組成物の製造方法においては、前記(A)成分が、α−スルホ脂肪酸エステル塩および/または石鹸を含有することが好ましい。
また、本発明の粒状洗剤組成物の製造方法においては、前記(B)成分のカチオン化度が0.4〜1.2であることが好ましい。
(A)成分、(B)成分、その他の成分、それら成分の粒状洗剤組成物中の含有量については、上記本発明の≪粒状洗剤組成物≫における(A)成分、(B)成分、その他の成分、それら成分の粒状洗剤組成物中の含有量についての説明とそれぞれ同じである。
【0068】
かかる粒状洗剤組成物の製造方法としては、一例として[噴霧乾燥工程]、[捏和混練工程]、[粉砕工程]、および[表面被覆工程]を有する製造方法が挙げられる。
また、本発明においては、[表面被覆工程]の後、その他の成分(特に粉体状の成分)を配合するための「粉体混合工程」、粒状洗剤組成物粒子を着色するための「着色工程」を有していてもよい。
以下に、本発明の粒状洗剤組成物の製造方法について、[噴霧乾燥工程]または[捏和混練工程]において(B)成分を投入し、[表面被覆工程]の後に「粉体混合工程」と「着色工程」とを有する製造例について説明する。
【0069】
[噴霧乾燥工程]
噴霧乾燥工程においては、噴霧乾燥用のスラリーを調製し、当該スラリーを噴霧乾燥して噴霧乾燥粒子を調製する。
たとえば、撹拌装置を具備したジャケット付き混合槽に水を入れ、約50〜70℃の温度に調整する。該混合槽に、前記(A)成分を含む界面活性剤(ただし、α−スルホ脂肪酸塩またはそのエステル塩と、ノニオン界面活性剤とを使用する場合、これらを除くことが好ましい。)を投入し、撹拌する。続いて、有機ビルダーと蛍光増白剤などの成分を投入する。さらに撹拌した後、ゼオライトの一部(たとえば捏和時投入用、粉砕助剤用、表面被覆用の各ゼオライト分を除く。)、無機ビルダーをそれぞれ投入して撹拌する。その後、前記(B)成分を投入する場合は、この配合位置で該(B)成分を投入し、さらに撹拌することにより噴霧乾燥用のスラリーを調製する。
その後、当該スラリーを、向流式噴霧乾燥塔などを用いて水分1〜10質量%の噴霧乾燥粒子を調製する。
本発明に係る製造方法の第一の実施形態は、上記のように、前記噴霧乾燥用のスラリーを調製する際に、前記(B)成分を系内へ投入し、前記(A)成分と(B)成分とを含むスラリーを調製し、当該スラリーを噴霧乾燥する工程を有する製造方法である。
【0070】
[捏和混練工程]
捏和混練工程においては、前記噴霧乾燥粒子と、必要に応じてその他の成分とを捏和混練して界面活性剤含有成型物を調製する。
ただし、(A)成分であるα−スルホ脂肪酸塩またはそのエステル塩や、(A)成分以外の界面活性剤であるノニオン界面活性剤等は、噴霧乾燥工程で投入すると飛散、分解し易いため、それら界面活性剤を使用する場合、それら界面活性剤の混合濃縮物を予め調製し、該混合濃縮物と前記噴霧乾燥粒子等とを捏和混練して界面活性剤含有成型物を調製することが好ましい。
たとえば、α−スルホ脂肪酸塩またはそのエステル塩の水性スラリー(水分濃度10 〜40質量%)に、ノニオン界面活性剤の一部(α−スルホ脂肪酸塩またはそのエステル塩に対して10〜50質量%)を投入し、水分を3〜30質量%近くになるまで薄膜式乾燥機などで減圧濃縮して、α−スルホ脂肪酸塩またはそのエステル塩とノニオン界面活性剤との混合濃縮物を予め調製する。
次いで、該混合濃縮物と、前記噴霧乾燥粒子と、たとえば捏和時投入用のゼオライトと、ノニオン界面活性剤(前記混合濃縮物の調製の際に使用したものと、後述の表面被覆工程での噴霧用のものを除いたもの)と、水とを連続ニーダーに投入する。その際、前記(B)成分を投入する場合は、この配合位置で該(B)成分を連続ニーダーに投入し、50〜60℃の温度で捏和混練して界面活性剤含有混練物を調製する。
その後、前記界面活性剤含有混練物を、ペレッターダブルを用いて押し出しつつ、カッターで切断し、長さ5〜50mm程度のペレット状界面活性剤含有成型物を調製する。
本発明に係る製造方法の第二の実施形態は、上記のように、該捏和混練の際に、前記(B)成分を系内へ投入し、前記(A)成分を含む噴霧乾燥粒子と(B)成分とを捏和混練する工程を有する製造方法である。
【0071】
上記のように、本発明の粒状洗剤組成物の製造方法は、前記(A)成分と前記(B)成分とを含むスラリーを調製し、当該スラリーを噴霧乾燥する工程(第一の実施形態)を有する製造方法であってもよく、前記(A)成分を含む噴霧乾燥粒子と前記(B)成分とを捏和混練する工程(第二の実施形態)を有する製造方法であってもよく、第一の実施形態と第二の実施形態の両方を有する製造方法であってもよい。なかでも、特に被洗物への柔軟性付与効果がさらに良好なことから、第二の実施形態を有する製造方法が好ましい。
【0072】
本発明の粒状洗剤組成物の製造方法においては、最終的に得られる粒状洗剤組成物中の(A)成分の含有量の90質量%以上の(A)成分を、前述の噴霧乾燥工程もしくは捏和混練工程で投入することが好ましい。
また、かかる粒状洗剤組成物の製造方法においては、(A)成分のうち、アルキルベンゼンスルホン酸塩(LASまたはABS)や石鹸などのように噴霧乾燥工程で安定であるものを、噴霧乾燥工程における噴霧用のスラリー調製時に投入することが好ましい。
(A)成分として石鹸を用いる場合、石鹸の含有量は、最終的に得られる粒状洗剤組成物中、0.5〜15質量%であることが好ましく、1〜10質量%であることがより好ましい。該範囲であると、被洗物への柔軟性付与効果、洗浄力、再汚染防止の観点から好ましい。
(A)成分としてα−スルホ脂肪酸エステル塩を用いる場合は、α−スルホ脂肪酸エステル塩を、捏和混練工程における混合濃縮物の調製時に投入することが好ましい。
α−スルホ脂肪酸エステル塩の含有量は、最終的に得られる粒状洗剤組成物中、5〜20質量%であることが好ましく、5〜15質量%であることがより好ましい。該範囲であると、被洗物への柔軟性付与効果がさらに向上する。
また、(A)成分としては、α−スルホ脂肪酸エステル塩および石鹸の両方を用いることが、被洗物への柔軟性付与効果の観点から好ましい。その場合、α−スルホ脂肪酸エステル塩と石鹸との合計の含有量は、最終的に得られる粒状洗剤組成物中、5〜25質量%であることが好ましく、10〜20質量%であることがより好ましい。該範囲であると、被洗物への柔軟性付与効果、洗浄力、再汚染防止の観点から好ましい。
(B)成分は、噴霧乾燥工程で全量投入することも、捏和混練工程で全量投入することも可能であり、また、(B)成分の一部を噴霧乾燥工程で投入し、残りを捏和混練工程で投入することも可能である。なかでも、捏和混練工程で(B)成分の全量を投入することが、被洗物への柔軟性付与効果の観点からより好ましい。
【0073】
[粉砕工程]
粉砕工程においては、前記ペレット状界面活性剤含有成型物に、粉砕助剤用のゼオライトを投入し、冷風共存下でフィッツミル等を用いて粉砕する。
【0074】
[表面被覆工程]
さらに、水平円筒型転動混合機、レーディゲミキサー等に、粉砕後の界面活性剤含有成型物と、表面被覆用のゼオライト(好ましくは微粉ゼオライト)と、被覆炭酸ナトリウムとを加え、残りのノニオン界面活性剤と香料とを噴霧しながら混合(転動等)することにより、表面改質させて界面活性剤含有粒子を得る。
【0075】
[粉体混合工程]
最後に、前記界面活性剤含有粒子をベルトコンベアにより移送しながら、漂白剤粒子、漂白活性化剤粒子、酵素などのその他の成分を、定量フィーダーによりベルトコンベア上に投入して前記界面活性剤含有粒子と混合することにより、最終の粒状洗剤組成物が得られる。
なお、前記その他の成分は、表面被覆工程において、たとえば水平円筒型転動混合機中に投入することもできる。
【0076】
「着色工程」
着色工程においては、上記で得られる粒状洗剤組成物の粒子の一部または全部を着色する。
着色方法としては、色素としてたとえば青み付与剤(群青等の青色顔料もしくは銅フタロシアニン等の緑色顔料など)の水溶液または水分散液を、硫酸ナトリウムや炭酸ナトリウム等に噴霧して造粒したものと上記粒状洗剤組成物粒子とを混合する方法、または上記粒状洗剤組成物粒子に噴霧または滴下する方法が挙げられる。
また、水分散系におけるラジカル乳化重合により得られる球状樹脂粒子を含む重合樹脂懸濁液に、該球状樹脂粒子の樹脂分に対して0.1〜5質量%程度の色素を加え、加熱処理して得られる顔料水分散体も、上記青み付与剤の場合において造粒したものと同様、粒状洗剤組成物粒子を着色する外観付与剤として好適に用いることができる。
上記のなかでも、混合機内で、上記で得られる粒状洗剤組成物粒子に対して、色素の水溶液または水分散液を、噴霧または滴下する方法が好ましく、そのなかでも噴霧する方法がより好ましい。また、上記で得られる粒状洗剤組成物粒子を、ベルトコンベアで移送しながら、該粒状洗剤組成物粒子の表面に、色素の水溶液または水分散液を噴霧する方法が特に好ましい。
【0077】
本発明の粒状洗剤組成物の製造方法は、上記例示の製造方法に限定されるものではなく、前記(A)成分においては、炭酸ナトリウム、硫酸ナトリウム等の無機塩に対して(A)成分(好ましくは、最終的に得られる粒状洗剤組成物中の(A)成分の含有量の10質量%以下の量)を噴霧等によりコーティングした被覆無機粒子(該被覆無機粒子中の(A)成分の割合は20質量%未満)を調製し、該被覆無機粒子と、噴霧乾燥粒子または捏和混練工程もしくは粉砕工程を経て得られる成型物(洗剤粒子)とを混合することもできる。
ノニオン界面活性剤においては、噴霧乾燥用のスラリー中に配合することもできる。
香料においては、表面被覆工程における混合機内で、粉砕後の界面活性剤含有成型物に、香料を噴霧あるいは滴下してもよく、または香料含有造粒物を調製しておき、該香料含有造粒物と界面活性剤含有成型物とを混合してもよい。
【0078】
本発明の粒状洗剤組成物の製造方法により得られる粒状洗剤組成物は、前記(A)成分と前記(B)成分との質量比が(A)/(B)=10〜70であり、10〜50であることが好ましく、15〜40であることがより好ましい。該質量比の上限値以下であることにより、被洗物への柔軟性付与効果が良好に得られる。一方、該質量比の下限値以上であることにより、洗濯後の被洗物への白色粉状物の付着抑制の効果が良好に得られる。
【0079】
かかる粒状洗剤組成物の製造方法により得られる粒状洗剤組成物の形態、嵩密度、平均粒子径、流動性、使用方法、洗濯対象とする被洗物、充填するための容器などについては、上記本発明の≪粒状洗剤組成物≫におけるそれぞれについての説明と同じである。
【0080】
本発明の粒状洗剤組成物の製造方法によれば、被洗物への柔軟性付与効果に優れると共に、洗濯後の被洗物への白色粉状物の付着が抑制された粒状洗剤組成物が提供できる。
かかる本発明の効果が得られる理由については、以下のように推測される。
本発明における被洗物への柔軟性付与効果の発現メカニズムとしては、(A)成分の一部と、(B)成分の構造中のいくつかのカチオン基とが静電的に相互作用し、A−B複合体を形成し被洗物に吸着するため、被洗物への柔軟性付与効果が得られるものと考えられる。
しかし、このA−B複合体は、洗濯という限られた時間内において様々な複合状態を取り得る。たとえば、(B)成分のカチオン基に、(A)成分がモノマーで相互作用して複合体を形成する場合や、(A)成分を含むミセルとして(B)成分と相互作用する場合などがある。また、ミセルの大きさなども共存する物質の種類や濃度によって様々に変化する。すなわち、A−B複合体における(A)成分と(B)成分との比率によって被洗物への柔軟性付与効果のレベルは異なる。また、(A)成分と(B)成分との比率によって複合体は、水溶性になったり水不溶性になったりし、特に水不溶性の状態では、さらに複合体を形成していないフリーの(A)成分が少ない状態であると、洗濯後の被洗物に白い微細な粉状の付着物(白色粉状物)が発生すると考えられる。
本発明によれば、このA−B複合体の形成状態がコントロールされることにより、粒状洗剤組成物粒子中で(A)成分と(B)成分とが密接に存在し、被洗物への柔軟性付与効果および白色粉状物の発生抑制にとって、より有利な複合体を形成できるため、かかる本発明の効果が得られると推測される。
【0081】
また、本発明の粒状洗剤組成物の製造方法によれば、他の柔軟性付与成分を併用することなく、被洗物への柔軟性付与効果が高い粒状洗剤組成物が得られる。
また、本発明に係る粒状洗剤組成物は、低浴比の洗濯環境下での洗濯に使用される洗剤組成物として好適なものであり、近年の「節水洗濯」、たとえばドラム式洗濯機などによる洗濯にも好適に使用できる。
【実施例】
【0082】
以下に実施例を用いて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、「%」は特に断りがない限り「質量%」を示す。
【0083】
(実施例1〜16、比較例1〜9)
表1に示す粒状洗剤組成物の基本組成、表2〜5に示すカチオン化セルロース(B)の種類と投入量、(A)/(B)(質量比)、および粒状洗剤組成物の製造方法に従って、各例の粒状洗剤組成物を製造した。
なお、(A)/(B)(質量比)は、(A)成分と(B)成分との混合割合を質量比で表した値を示す。
表中の配合量の単位は、粒状洗剤組成物の全質量を基準とする質量%を示す。
また、表中の各成分の中で、アニオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤、A型ゼオライト、およびMA剤は純分換算としての配合量、その他はそのもの(有り姿)としての配合量をそれぞれ示す。炭酸ナトリウム量の「バランス」は、総量が100質量%となるように調整したことを意味する。
「比較例1」は、カチオン化セルロース未配合の例であり、被洗物への柔軟性付与効果の評価における比較対照である。
以下に、表中に示した成分、粒状洗剤組成物の製造方法について説明する。
【0084】
<表中に示した成分の説明>。
・アニオン界面活性剤(A)
MES−Na:炭素数14の炭化水素基を有する化合物と、炭素数16の炭化水素基を有する化合物との混合割合が質量比で18:82のα−スルホ脂肪酸メチルエステルのナトリウム塩の水溶液(ライオン(株)製;AI濃度=70質量%、残部は未反応脂肪酸メチルエステル、硫酸ナトリウム、メチルサルフェート、過酸化水素、水等である。)。
ここで、「AI」とは、MES中に含まれる、界面活性剤としての機能を有する化合物を示す。MES中には、通常、α−スルホ脂肪酸メチルエステル塩のほか、副生物としてα−スルホ脂肪酸ジアルカリ塩が含まれる。α−スルホ脂肪酸ジアルカリ塩も、α−スルホ脂肪酸メチルエステル塩と同様、界面活性剤としての機能を有している。したがって、AI濃度は、α−スルホ脂肪酸メチルエステル塩と、副生物の1つであるα−スルホ脂肪酸ジアルカリ塩との合計の濃度を意味する。
【0085】
LAS−Na:直鎖アルキル(炭素数10〜14)ベンゼンスルホン酸[ライオン(株)製、ライポンLH−200(LAS−H 純分96質量%)]を、界面活性剤組成物の調製時に48質量%水酸化ナトリウム水溶液で中和した化合物。表1中の配合量は、LAS−Naとしての値(質量%)を示す。
LAS−K:前記LAS−Naにおいて、48質量%水酸化ナトリウム水溶液の代わりに、48質量%水酸化カリウム水溶液で中和した化合物。表1中の配合量は、LAS−Kとしての値(質量%)を示す。
【0086】
石鹸:炭素数12〜18の脂肪酸ナトリウム(ライオン(株)製、純分:67質量%、タイター:40〜45℃;脂肪酸組成:C12(ラウリン酸)11.7質量%、C14(ミリスチン酸)0.4質量%、C16(パルミチン酸)29.2質量%、C18F0(ステアリン酸)0.7質量%、C18F1(オレイン酸)56.8質量%、C18F2(リノール酸)1.2質量%;分子量:289)。
【0087】
・カチオン化セルロース(B)
カチオン化セルロースA:下記方法によりカチオン化セルロースAを合成した。
ヒドロキシエチルセルロース(住友精化社製、商品名:LF−15、1質量%水溶液粘度(25℃):700〜1300mPa・s)30g(100質量部)に、イソプロピルアルコール/水(質量比)=85/15となる混合溶媒300g(1000質量部)と、更に25質量%水酸化ナトリウム水溶液4.5g(15質量部)とを加えて混合した。次いで、30分間撹拌混合して、混合溶媒の上澄み150g(500質量部)を抜き出した。
その後、50℃まで昇温させ、カチオン化剤としてグリシジルトリメチルアンモニウムクロライド(阪本薬品工業製、商品名:SY−GTA80、有効濃度:73質量%水溶液)4g(13質量部)を加えて、3時間反応させた。その後、10質量%塩酸イソプロピルアルコール溶液を加えてpH6に調整し、カチオン化セルローススラリーを得た。
そして、遠心脱水し、乾燥(70〜80℃)を経て、カチオン化セルロースA(重量平均分子量:90万、カチオン化度:0.6質量%、固形分:91質量%)を得た。
【0088】
カチオン化セルロースB:レオガードLP(商品名、ライオンケミカル社製;重量平均分子量:約90万、カチオン化度1.0質量%)。
【0089】
カチオン化セルロースC:下記方法によりカチオン化セルロースCを合成した。
ヒドロキシエチルセルロース(住友精化社製、商品名:AX−15、1質量%水溶液粘度(25℃):15000〜30000mPa・s)30g(100質量部)に、イソプロピルアルコール/水(質量比)=85/15となる混合溶媒300g(1000質量部)と、更に25質量%水酸化ナトリウム水溶液4.5g(15質量部)とを加えて混合した。次いで、30分間撹拌混合して、混合溶媒の上澄み150g(500質量部)を抜き出した。
その後、50℃まで昇温させ、カチオン化剤としてグリシジルトリメチルアンモニウムクロライド(阪本薬品工業製、商品名:SY−GTA80、有効濃度:73質量%水溶液)2.7g(13質量部)を加えて、3時間反応させた。その後、10質量%塩酸イソプロピルアルコール溶液を加えてpH6に調整し、カチオン化セルローススラリーを得た。
そして、遠心脱水し、乾燥(70〜80℃)を経て、カチオン化セルロースC(重量平均分子量:160万、カチオン化度:0.4質量%、固形分:91質量%)を得た。
【0090】
・その他の成分
ノニオン界面活性剤:ECOROL26(商品名、ECOGREEN社製;炭素数12〜16のアルキル基をもつアルコール)の酸化エチレン平均15モル付加体(純分90質量%)。
【0091】
A型ゼオライト:シルトンB(商品名、水澤化学(株)製;純分80質量%)。
炭酸ナトリウム:粒灰(商品名、旭硝子(株)製;平均粒子径320μm、嵩密度1.07g/cm)。
炭酸カリウム:炭酸カリウム(粉末)(商品名、旭硝子(株)製;平均粒子径490μm、嵩密度1.30g/cm)。
硫酸ナトリウム:中性無水芒硝(商品名、日本化学工業(株)製)。
亜硫酸ナトリウム:無水亜硫酸曹達(神州化学(株)製)。
【0092】
被覆炭酸ナトリウム:以下に示す第1〜3工程により、被覆炭酸ナトリウム粒子(炭酸ナトリウム90質量%、アクリル酸/無水マレイン酸共重合体ナトリウム塩3質量%、ラウリン酸7質量%からなる被覆炭酸ナトリウム)を製造した。
(第1工程)
鋤刃状ショベルを装備し、ショベル−壁面間クリアランスが5mmのレーディゲミキサー((株)マツボー製、製品名:M20型)に、予め温度を50℃に調整した炭酸ナトリウムを投入し(充填率30容積%)、主軸200rpmで撹拌を開始した(その際、チョッパーは停止させて行った)。撹拌開始から10秒後に、予め50℃で3日間保存したアクリル酸/無水マレイン酸共重合体ナトリウム塩水溶液を30秒間で添加し、造粒・被覆操作を行った。
(第2工程)
引き続き、レーディゲミキサーの撹拌を継続しつつ、予め温度を60℃に調整したラウリン酸(日本油脂(株)製、商品名:NAA−122、融点43℃)を30秒間で添加し、被覆操作を行った。そして、引き続き、30秒間撹拌を続け、粒子を得た。
なお、被覆操作終了時(直後)の粒子の温度が50℃になるように、第1工程および第2工程を通じて、適宜レーディゲミキサーのジャケットに温水を通水して上記被覆操作を実施した。
(第3工程)
次いで、得られた粒子を、目開き2000μmの篩を用いて分級し、目開き2000μmの篩を通過する被覆炭酸ナトリウム粒子(平均粒子径350μm、嵩密度1.25g/mL)を得た。
【0093】
MA剤:アクリル酸/マレイン酸コポリマーNa塩(日本触媒(株)製、商品名:アクアリックTL−400;純分40質量%水溶液)。
蛍光増白剤:チノパールCBS−X(商品名、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製)/チノパールAMS−GX(商品名、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製)=3/1(質量比)の混合物。
酵素:サビナーゼ12T(商品名、ノボザイムズ製)/LIPEX50T(商品名、ノボザイムズ製)/ターマミル60T(商品名、ノボザイムズ製)/セルザイム0.7T(商品名、ノボザイムズ製)=5/2/1/2(質量比)の混合物。
【0094】
香料A:特開2002−146399号公報の表11〜18に示される香料組成物A。
香料B:特開2002−146399号公報の表11〜18に示される香料組成物B。
香料C:特開2002−146399号公報の表11〜18に示される香料組成物C。
香料D:特開2002−146399号公報の表11〜18に示される香料組成物D。
【0095】
色素A:群青(大日精化工業(株)製、商品名:Ultramarine Blue)。
【0096】
<粒状洗剤組成物の製造方法>
以下に、各例の粒状洗剤組成物の製造方法について、カチオン化セルロース(B)の配合方法が異なる、製造方法1(表面被覆工程で転動混合)、製造方法2(噴霧乾燥工程でスラリー調製)、製造方法3(捏和混練工程で捏和混練)、製造方法4(表面被覆工程で噴霧投入)、製造方法5(表面被覆工程で撹拌)をそれぞれ示す。
なお、比較例1の製造は、下記製造方法1(ただし、[表面被覆工程]におけるカチオン化セルロース(B)の投入操作を除く。)により行った。
【0097】
(製造方法1)
下記表1、2に示す基本組成等に従って、以下に示す一連の工程により粒状洗剤組成物を製造した。
[噴霧乾燥工程]
まず、撹拌装置を具備したジャケット付き混合槽に水を入れ、温度を60℃に調整した。該混合槽に、MES−Naを除く(A)成分を投入し、10分間撹拌した。続いて、MA剤と蛍光増白剤とを投入し、10分間撹拌した後、粉末状のA型ゼオライトの一部(0.5質量%相当量の捏和時投入用、5.0質量%相当量の粉砕助剤用、2.0質量%相当量の表面被覆用の各A型ゼオライト分を除く。)、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、および硫酸ナトリウムを投入した。さらに20分間撹拌し、水分を38質量%含有する噴霧乾燥用スラリーを調製した。その後、向流式噴霧乾燥塔を用いて熱風温度280℃の条件で噴霧乾燥し、平均粒子径320μm、嵩密度0.30g/cm、水分量5質量%の噴霧乾燥粒子を得た。
【0098】
[捏和混練工程]
一方、原料の脂肪酸エステルをスルホン化し、中和して得られたMES−Naの水性スラリー(水分濃度25質量%に調製した。)に、ノニオン界面活性剤の一部(MES−Naに対して25質量%の量)を投入し、水分濃度を11質量%になるまで薄膜式乾燥機で減圧濃縮して、MES−Naとノニオン界面活性剤との混合濃縮物を得た。
【0099】
上述の噴霧乾燥粒子、上述の混合濃縮物、0.5質量%相当量のA型ゼオライト、1.0質量%相当量の表面被覆工程での噴霧用を除く残りのノニオン界面活性剤、および水を、連続ニーダー((株)栗本鐵工所製、KRC−S4型)に投入し、捏和能力120kg/hr、温度60℃の条件で捏和混練し、界面活性剤含有混練物を得た。該界面活性剤含有混練物を、穴径10mmのダイスを具備したペレッターダブル(不二パウダル(株)製、EXDFJS−100型)を用いて押し出しつつ、カッターで切断(カッター周速は5m/s)し、長さ5〜30mm程度のペレット状界面活性剤含有成型物を得た。
【0100】
[粉砕工程]
次いで、得られたペレット状界面活性剤含有成型物に、粉砕助剤としての粒子状A型ゼオライト(平均粒子径180μm)5.0質量%相当量を添加し、冷風(10℃、15m/s)共存下で、直列3段に配置したフィッツミル(ホソカワミクロン(株)製、DKA−3)を用いて粉砕した(スクリーン穴径:1段目/2段目/3段目=12mm/6mm/3mm、回転数:1段目/2段目/3段目いずれも4700rpm)。
【0101】
[表面被覆工程]
その後、水平円筒型転動混合機(円筒直径585mm、円筒長さ490mm、容器131.7Lのドラム内部壁面に内部壁面とのクリアランス20mm、高さ45mmの邪魔板を2枚有するもの)で、充填率30容積%、回転数22rpm、25℃の条件下、粉砕後の界面活性剤含有成型物、2.0質量%相当量の微粉A型ゼオライト、被覆炭酸ナトリウム、および表2に示す投入量の(B)成分を加え、1.0質量%相当量のノニオン界面活性剤と香料とを噴霧しつつ、1分間転動し、表面改質して界面活性剤含有粒子を得た。
【0102】
[粉体混合工程]
得られた界面活性剤含有粒子を、ベルトコンベアにより0.5m/sの速度で移送しながら(界面活性剤含有粒子層の高さ30mm、層幅300mm)、0.4質量%相当量の酵素を定量フィードした。
【0103】
[着色工程]
続いて、得られた粒子の一部を着色するために、界面活性剤含有粒子を、ベルトコンベアにより0.5m/sの速度で移送しながら(界面活性剤含有粒子層の高さ30mm、層幅300mm)、界面活性剤含有粒子の表面に、色素の20質量%水分散液を噴霧し、粒状洗剤組成物粒子(平均粒子径530μm、嵩密度0.84g/cm、安息角45°)を得た。
【0104】
(製造方法2)
下記表1、3に示す基本組成等に従って、以下に示す一連の工程により粒状洗剤組成物を製造した。
製造方法1における[噴霧乾燥工程]を下記[噴霧乾燥工程(2)]とした以外は、製造方法1と同様にして一連の工程を順次行うことにより、粒状洗剤組成物粒子(平均粒子径530μm、嵩密度0.84g/cm、安息角45°)を得た。
ただし、製造方法1の[表面被覆工程]におけるカチオン化セルロース(B)の投入操作を除く。
【0105】
[噴霧乾燥工程(2)]
まず、撹拌装置を具備したジャケット付き混合槽に水を入れ、温度を60℃に調整した。該混合槽に、MES−Naを除くアニオン界面活性剤(A)を投入し、10分間撹拌した。続いて、MA剤と蛍光増白剤とを投入し、10分間撹拌した後、粉末状のA型ゼオライトの一部(0.5質量%相当量(捏和混練工程後に調製される粒子に対する割合、以下同じ。)の捏和時投入用、5.0質量%相当量の粉砕助剤用、2.0質量%相当量の表面被覆用の各A型ゼオライト分を除く。)、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、および硫酸ナトリウムを投入した。さらに20分間撹拌した後、表3に示す投入量の(B)成分を少量ずつ15分間で投入し、さらに20分間撹拌し、水分を38質量%含有する噴霧乾燥用スラリーを調製した。その後、向流式噴霧乾燥塔を用いて熱風温度280℃の条件で噴霧乾燥し、平均粒子径320μm、嵩密度0.30g/cm、水分量5質量%の噴霧乾燥粒子を得た。
【0106】
(製造方法3)
下記表1、4、5に示す基本組成等に従って、以下に示す一連の工程により粒状洗剤組成物を製造した。
製造方法1における[捏和混練工程]を下記[捏和混練工程(3)]とした以外は、製造方法1と同様にして一連の工程を順次行うことにより、粒状洗剤組成物粒子(平均粒子径510μm、嵩密度0.86g/cm、安息角45°)を得た。
ただし、製造方法1の[表面被覆工程]におけるカチオン化セルロース(B)の投入操作を除く。
【0107】
[捏和混練工程(3)]
上述の噴霧乾燥粒子、上述の混合濃縮物、0.5質量%相当量のA型ゼオライト、表4、5に示す投入量の(B)成分、1.0質量%相当量の表面被覆工程での噴霧用を除く残りのノニオン界面活性剤、および水を、連続ニーダー((株)栗本鐵工所製、KRC−S4型)に投入し、捏和能力120kg/hr、温度60℃の条件で捏和混練し、界面活性剤含有混練物を得た。該界面活性剤含有混練物を、穴径10mmのダイスを具備したペレッターダブル(不二パウダル(株)製、EXDFJS−100型)を用いて押し出しつつ、カッターで切断(カッター周速は5m/s)し、長さ5〜30mm程度のペレット状界面活性剤含有成型物を得た。
【0108】
(製造方法4)
下記表1、2に示す基本組成等に従って、以下に示す一連の工程により粒状洗剤組成物を製造した。
製造方法1における[表面被覆工程]を下記[表面被覆工程(4)]とした以外は、製造方法1と同様にして一連の工程を順次行うことにより、粒状洗剤組成物粒子(平均粒子径530μm、嵩密度0.84g/cm、安息角50°)を得た。
ただし、製造方法1の[表面被覆工程]におけるカチオン化セルロース(B)の投入操作を除く。
【0109】
[表面被覆工程(4)]
最後に、水平円筒型転動混合機(円筒直径585mm、円筒長さ490mm、容器131.7Lのドラム内部壁面に内部壁面とのクリアランス20mm、高さ45mmの邪魔板を2枚有するもの)で、充填率30容積%、回転数22rpm、25℃の条件下、粉砕後の界面活性剤含有成型物、2.0質量%相当量の微粉A型ゼオライト、被覆炭酸ナトリウム、0.4質量%相当量の(B)成分を溶解・分散させたノニオン界面活性剤1.4質量%相当量と香料とを噴霧しつつ、1分間転動し、表面改質して界面活性剤含有粒子を得た。
【0110】
(製造方法5)
下記表1、2に示す基本組成等に従って、以下に示す一連の工程により粒状洗剤組成物を製造した。
製造方法1における[表面被覆工程]を下記[表面被覆工程(5)]とした以外は、製造方法1と同様にして一連の工程を順次行うことにより、粒状洗剤組成物粒子(平均粒子径420μm、嵩密度0.90g/cm、安息角50°)を得た。
ただし、製造方法1の[表面被覆工程]におけるカチオン化セルロース(B)の投入操作を除く。
【0111】
[表面被覆工程(5)]
最後に、鋤刃状ショベルを装備し、ショベル−壁面間クリアランスが5mmのレーディゲミキサー((株)マツボー製、M20型)を用いて、充填率50容積%、ジャケット温度25℃、主軸50rpm、チョッパー停止の条件下、粉砕後の界面活性剤含有成型物、2.0質量%相当量の微粉A型ゼオライト、被覆炭酸ナトリウム、0.4質量%相当量の(B)成分を加え、1.0質量%相当量のノニオン界面活性剤と香料とを噴霧しつつ、撹拌混合して界面活性剤含有粒子を得た。
【0112】
<評価>
得られた各例の粒状洗剤組成物に対して、以下に示す、洗濯後の被洗物への白色粉状物の付着性、被洗物への柔軟性付与効果の評価をそれぞれ行った。その結果を表2〜5に併記した。
【0113】
[被洗物への白色粉状物の付着性の評価]
(前処理)
黒色綿Tシャツ((株)ファーストリテイリング社製、商品名:キモウクルーネックT66Blue)、黒色アクリルTシャツ(三和(株)社製、商品名:OLPIA軽柔暖)、黒色ナイロンスリップ(林産業(株)社製、品番N−18)は、個別に各約1kgを下記の通り前処理した。
二槽式洗濯機(製品名:CW−C30A1−H形、三菱電機株式会社製)を使用し、50℃の水道水を用い、市販の洗剤トップ(ライオン(株)製)を標準使用濃度(水道水30Lに対して洗剤トップ20g、すなわち667ppm)および浴比30倍で、「15分間洗浄後、5分間脱水」の洗浄・脱水の操作を2度繰り返した後、「15分間流水濯ぎ後、5分間脱水」の濯ぎ・脱水の操作を5回繰り返し、その後、室温で吊り干しすることにより乾燥して前処理を施し、試験に供した。
【0114】
(洗浄処理)
洗濯機(製品名:AW−801HVP(GT)、東芝(株)製)に、合計6kgの衣類(黒色綿Tシャツ28枚、黒色アクリルTシャツ12枚、黒色ナイロンスリップ12枚)を投入し、各例の粒状洗剤組成物80gを、それぞれ衣類上に万遍なく振りまき、水道水(28℃)を用いて標準コース(56L)で洗濯を行った。
【0115】
前記洗浄処理後、衣類に付着している白色粉状物の有無を、目視により観察し、下記評価基準に基づいて、衣類への粒状白色粉状物の付着性を評価した。その結果を表2〜5に示した。
(評価基準)
◎:衣類に、白色粉状物は無かった。
○:衣類1〜2枚に、わずかに白色粉状物があった。
×:衣類3枚以上に、白色粉状物があった。
【0116】
[被洗物への柔軟性付与効果の評価]
(前処理)
ポリエステルジャージ(染色試材(株)、谷頭商店から入手)1kg、二槽式洗濯機(製品名:CW−C30A1−H1形、三菱電機株式会社製)を使用し、50℃の水道水を用い、市販の洗剤トップ(ライオン(株)製)を標準使用濃度(水道水30Lに対して洗剤トップ20g、すなわち667ppm)および浴比30倍で、「15分間洗浄後、5分間脱水」の洗浄・脱水の操作を2度繰り返した後、「15分間流水濯ぎ後、5分間脱水」の濯ぎ・脱水の操作を5回繰り返し、その後、室温で吊り干しすることにより乾燥して前処理を施し、試験に供した。
綿タオル((株)東進社製、220匁ボーダーソフトFT)1kg、B.V.D肌シャツ(丸首半袖Tシャツ、品番G0134TS)1kgにおいても同様の前処理を施した。
【0117】
(洗浄処理)
洗濯機としてミニ全自動洗濯機(製品名:JW−Z23A、Haier社製)を使用し、該ミニ全自動電気洗濯機の槽内に、水温28℃の水道水12Lを溜め、各例の粒状洗剤組成物10gをそれぞれ溶解した後、合計600gの衣類(綿タオル2枚、B.V.D肌シャツ3枚、ポリエステルジャージ(60cm×30cm)1枚)を投入し、標準コースで洗濯を行い、室内で乾燥させた。
【0118】
乾燥させた綿タオルの柔軟性について、上記各例の粒状洗剤組成物により前記洗浄処理を施した綿タオルと、比較例1の粒状洗剤組成物により前記洗浄処理を施した綿タオルとの一対比較を、シェッフェの一対比較法により、専門パネラー10人で行った。
評価は、比較する一対の綿タオル間の柔軟性にはっきりと差がある場合、柔軟性が高い方の綿タオルに+2点、低い方の綿タオルに−2点を与え;やや差がある場合、柔軟性がやや高い方の綿タオルに+1点、やや低い方の綿タオルに−1点を与え;全く差がなければ両者に0点を与えた。そして、10人の合計点を求め、下記評価基準に基づいて、綿タオルへの柔軟性付与効果を評価した。その結果を表2〜5に示した。
(評価基準)
◎◎:10人の合計点が17〜20点であった。
◎:10人の合計点が13〜16点であった。
○:10人の合計点が9〜12点であった。
○〜△:10人の合計点が5〜8点であった。
△:10人の合計点が1〜4点であった。
×:10人の合計点が0点以下であった。
【0119】
【表1】

【0120】
【表2】

【0121】
【表3】

【0122】
【表4】

【0123】
【表5】

【0124】
以上の結果から、本発明に係る実施例1〜16は、被洗物への柔軟性付与効果に優れると共に、洗濯後の被洗物への白色粉状物の付着が抑制されることが確認できた。
【0125】
また、実施例10、14、15、16から、アニオン界面活性剤としてα−スルホ脂肪酸エステル塩および/または石鹸を含有することにより、被洗物への柔軟性付与効果がさらに向上することが確認できた。
【0126】
また、実施例3、5、6、および実施例10、12、13から、カチオン化セルロースのカチオン化度が0.4〜0.8であることにより、被洗物への柔軟性付与効果がさらに向上することが確認できた。
【0127】
一方、カチオン化セルロース未配合の比較例1は、被洗物への柔軟性付与効果が悪いことが確認できた。
本発明とは製造方法が異なる比較例2〜5は、洗濯後の被洗物への白色粉状物の付着性が悪く、比較例2、4、5は、被洗物への柔軟性付与効果もやや劣ることが確認できた。
本発明に比べて(A)/(B)(質量比)が大きい比較例6、8は、被洗物への柔軟性付与効果が劣ることが確認できた。
また、本発明に比べて(A)/(B)(質量比)が小さい比較例7、9は、洗濯後の被洗物への白色粉状物の付着性が悪いことが確認できた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アニオン界面活性剤(A)とカチオン化セルロース(B)とを含有し、該(A)成分と該(B)成分との質量比が(A)/(B)=10〜70である粒状洗剤組成物であって、
前記(A)成分と前記(B)成分とを含むスラリーを調製し、当該スラリーを噴霧乾燥する工程、または前記(A)成分を含む噴霧乾燥粒子と前記(B)成分とを捏和混練する工程を有する製造方法により得られることを特徴とする粒状洗剤組成物。
【請求項2】
前記(A)成分が、α−スルホ脂肪酸エステル塩および/または石鹸を含有する請求項1記載の粒状洗剤組成物。
【請求項3】
前記(B)成分のカチオン化度が0.4〜1.2である請求項1または2に記載の粒状洗剤組成物。
【請求項4】
アニオン界面活性剤(A)とカチオン化セルロース(B)とを含有し、該(A)成分と該(B)成分との質量比が(A)/(B)=10〜70である粒状洗剤組成物の製造方法であって、
前記(A)成分と前記(B)成分とを含むスラリーを調製し、当該スラリーを噴霧乾燥する工程、または前記(A)成分を含む噴霧乾燥粒子と前記(B)成分とを捏和混練する工程を有することを特徴とする粒状洗剤組成物の製造方法。
【請求項5】
前記(A)成分が、α−スルホ脂肪酸エステル塩および/または石鹸を含有する請求項4記載の粒状洗剤組成物の製造方法。
【請求項6】
前記(B)成分のカチオン化度が0.4〜1.2である請求項4または5に記載の粒状洗剤組成物の製造方法。

【公開番号】特開2008−163192(P2008−163192A)
【公開日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−354462(P2006−354462)
【出願日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【出願人】(000006769)ライオン株式会社 (1,816)
【Fターム(参考)】