説明

粒状洗剤組成物

【課題】被洗物への柔軟性付与効果に優れた粒状洗剤組成物を提供する。
【解決手段】本発明は、α−スルホ脂肪酸エステル塩(A)と、石鹸(B)と、カチオン化セルロース(C)とを含有し、該(A)成分と該(B)成分との質量比が(A)/(B)=25/75〜95/5であることを特徴とする粒状洗剤組成物である。本発明の粒状洗剤組成物においては、4質量%以下の直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩(D)が含有されることが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粒状洗剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
省エネルギー・省資源の観点から、近年では、少量の水で洗濯を行う「節水洗濯」が主流となってきている。これに伴って、浴比(被洗物に対する洗濯液の質量比)が低下傾向にある。
従来、低浴比の下で洗濯を行うと、洗濯中に、被洗物同士の擦れや絡まりが生じやすくなり、被洗物が傷んで風合いが悪くなる問題がある。
そのため、低浴比の洗濯環境下においても、被洗物に、新品のような外観や柔らかい風合い(柔軟性)を付与できる洗剤組成物が望まれている。
【0003】
洗剤組成物においては、従来、洗浄効果と同時に、被洗物に柔軟性を付与するための様々な検討が行われている。
たとえば、粘土鉱物であるスメクタイトを布帛柔軟化成分として配合した洗剤組成物が提案されている(特許文献1参照)。
また、ベントナイトまたはモンモリロナイト粘土等の粘土成分を圧縮して調製された圧縮粘土成分を含むクリーニング組成物が提案されている(特許文献2参照)。
また、界面活性剤、水不溶性水膨潤性の有機物およびA)〜C)[A)粘土鉱物および/または有機処理粘土鉱物、B)特定の高分子化合物、C)シリコーン誘導体]から選ばれる少なくとも1種の成分を含有する洗浄剤組成物が提案されている(特許文献3参照)。
また、水不溶性固体粒子を含有する繊維処理剤組成物または洗剤組成物が提案されている(特許文献4参照)。
また、アニオン界面活性剤および/またはノニオン界面活性剤と、カチオン性布地柔軟化化合物と、洗剤ビルダーと、菌類セルラーゼとを含有するアルカリ性洗剤組成物が提案されている(特許文献5参照)。
【0004】
さらに、アニオン界面活性剤主体の界面活性剤と、カチオン化セルロースとを併用して、被洗物に柔軟性を付与する洗剤組成物が開示されている。
具体的には、特定のカチオン活性剤と、カルボキシメチルセルロース(CMC)および/またはポリアクリル酸と、特定の水溶性カチオン性窒素含有ポリマー(カチオン化セルロース)とを含有する洗剤用添加剤が提案されている(特許文献6参照)。
また、陽イオン部として第四級アンモニウム残基、対イオンとして重合性陰イオンを有する界面活性剤の小胞体を重合して得られる高分子小胞体と、カチオン化セルロース等のカチオン化ポリマーとから成る洗濯用柔軟剤組成物が提案されている(特許文献7参照)。
【0005】
また、毛羽立ち防止効果等を発揮する、洗剤界面活性剤と、有機または無機洗浄性ビルダーと、カチオン化セルロース等の変性セルロースエーテル布帛処理剤とを含有する洗濯洗剤組成物が提案されている(特許文献8参照)。
【特許文献1】特開平1−98697号公報
【特許文献2】特表2002−543270号公報
【特許文献3】特開2002−194391号公報
【特許文献4】特開2003−64574号公報
【特許文献5】特開昭61−64797号公報
【特許文献6】特開昭54−142209号公報
【特許文献7】特開平2−113095号公報
【特許文献8】特表2001−507396号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1〜5に記載の組成物は、被洗物への柔軟性付与効果が未だ充分に満足できるものではない。
また、特許文献6〜8に記載の洗剤組成物においては、被洗物に柔軟性を付与するための成分の一つとしてカチオン化セルロースが配合されているが、低浴比の洗濯環境下では、被洗物への柔軟性付与効果は充分ではない。
したがって、近年における低浴比の洗濯環境下であっても、被洗物への高い柔軟性付与効果が発揮される洗剤組成物が求められる。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、被洗物への柔軟性付与効果に優れた粒状洗剤組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは鋭意検討した結果、カチオン化セルロースを配合した洗剤組成物において、特定の二種の界面活性剤を、特定の比率で配合することにより、被洗物への柔軟性付与効果が顕著に向上することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の粒状洗剤組成物は、α−スルホ脂肪酸エステル塩(A)と、石鹸(B)と、カチオン化セルロース(C)とを含有し、該(A)成分と該(B)成分との質量比が(A)/(B)=25/75〜95/5であることを特徴とする。
本発明の粒状洗剤組成物においては、4質量%以下の直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩(D)が含有されることが好ましい。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、被洗物への柔軟性付与効果に優れた粒状洗剤組成物を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
≪粒状洗剤組成物≫
本発明の粒状洗剤組成物は、α−スルホ脂肪酸エステル塩(A)(以下、(A)成分という。)と、石鹸(B)(以下、(B)成分という。)と、カチオン化セルロース(C)(以下、(C)成分という。)とを含有する。
【0010】
<(A)成分>
本発明において、(A)成分はα−スルホ脂肪酸エステル塩である。該(A)成分を含有することにより、洗浄効果が得られる。また、(B)成分との併用により、被洗物への柔軟性付与効果が向上する。
【0011】
(A)成分として好適なものを以下に例示する。
【0012】
【化1】

[式中、R11は炭素数8〜20の直鎖もしくは分岐鎖状のアルキル基またはアルケニル基であり、R12は炭素数1〜6のアルキル基である。Mは対イオンを表す。]
【0013】
前記式(A−1)中、R11は、炭素数8〜20の直鎖もしくは分岐鎖状のアルキル基、または炭素数8〜20の直鎖もしくは分岐鎖状のアルケニル基である。
11において、アルキル基またはアルケニル基の炭素数は8〜20であり、12〜18であることが好ましい。
12は、炭素数1〜6のアルキル基であり、直鎖状であってもよく、分岐鎖状であってもよい。R12において、炭素数は1〜6であり、1〜3であることが好ましい。具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基が挙げられ、洗浄力がより向上することから、メチル基、エチル基、プロピル基がより好ましく、メチル基が特に好ましい。
Mは、対イオンを表し、たとえばナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアミン塩;アンモニウム塩等が挙げられ、なかでもアルカリ金属塩が好ましい。
【0014】
本発明において、(A)成分は、1種または2種以上混合して用いることができる。
【0015】
<(B)成分>
本発明において、(B)成分は石鹸である。該(B)成分を含有することにより、洗浄効果が得られる。また、(A)成分との併用により、被洗物への柔軟性付与効果が向上する。
(B)成分としては、炭素数10〜20のものが好ましく、炭素数12〜18のものがより好ましい。
また、飽和脂肪酸塩であってもよく、不飽和脂肪酸塩であってもよく、飽和脂肪酸塩と不飽和脂肪酸塩との混合物であってもよい。
(B)成分における炭素鎖は、直鎖状であってもよく、分岐鎖状であってもよく、直鎖状であることが好ましい。(B)成分としては、単一の炭素鎖のものであってもよく、異なる炭素鎖のものが混合したものであってもよい。
塩としては、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩が挙げられ、アルカリ金属塩が好ましく、ナトリウム塩、カリウム塩がより好ましい。
【0016】
本発明において、(B)成分は、1種または2種以上混合して用いることができる。
【0017】
本発明の粒状洗剤組成物においては、(A)成分と(B)成分との質量比が(A)/(B)=25/75〜95/5であり、25/75〜90/10であることが好ましく、55/45〜85/15であることがより好ましく、65/35〜80/20であることがさらに好ましい。(A)/(B)が前記範囲であることにより、本発明の粒状洗剤組成物は被洗物への柔軟性付与効果に優れる。
【0018】
(A)成分と(B)成分との合計の含有量は、粒状洗剤組成物中、6〜25質量%であることが好ましく、10〜20質量%であることがより好ましい。該含有量の下限値以上であると、洗浄力、被洗物への柔軟性付与効果が向上する。該含有量の上限値以下であれば、充分な洗浄効果が得られる。
【0019】
<(C)成分>
本発明において、(C)成分はカチオン化セルロースである。該(C)成分を含有することにより、被洗物への柔軟性付与効果が得られる。
【0020】
(C)成分の重量平均分子量は、10万〜200万であることが好ましく、40万〜160万であることがより好ましい。該範囲の下限値以上であることにより、被洗物への柔軟性付与効果が向上する。一方、上限値以下であれば、(C)成分自身の溶解性がより良好となる。
なお、(C)成分の重量平均分子量は、標準物質をポリエチレングリコール(PEG)としてゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で分析を行った値を示す。
【0021】
(C)成分のカチオン化度は、0.4〜1.2質量%であることが好ましく、0.4〜0.8質量%であることがより好ましい。該範囲であることにより、被洗物への柔軟性付与効果がさらに向上する。
ただし、「カチオン化度」とは、カチオン化セルロース分子中に占める窒素の含有率(質量%)を意味し、グルコース環単位当たりの窒素原子の割合を示す。該窒素原子はカチオン化剤に由来する。
該カチオン化度は、その値が大きいほど(C)成分のカチオン性が強まり、水溶性が高くなることを意味する。したがって、カチオン化度は、被洗物への吸着性と関係する物性である。(C)成分は、カチオン化度が0.4質量%以上であると、適度な強さのカチオン性が得られ、被洗物への吸着性がより良好となるため、(C)成分を含有させることによる効果が得られると考えられる。一方、1.2質量%以下であると、カチオン性の強さが適度に抑えられて水溶性が高くなりすぎず、被洗物への吸着性が良好に保たれるため、(C)成分を含有させることによる効果が得られると考えられる。
【0022】
(C)成分は、たとえば、セルロースに酸化エチレンを付加させて得られるヒドロキシエチルセルロースと、カチオン化剤のグリシジルトリメチルアンモニウムクロライドとを反応させることによって製造することができる。
【0023】
(C)成分の好適なものとしては、下記一般式(C−1)で表される繰返し単位を有する高分子化合物、すなわち、(ハロゲン)−O−[2−ヒドロキシ−3−(トリメチルアンモニオ)プロピル]ヒドロキシエチルセルロースが挙げられる。
【0024】
【化2】

[式(C−1)中、R〜Rは、それぞれ独立して水素原子または下記式(C−1−1)で表される基である。l、m、nは、それぞれエチレンオキシドの平均付加モル数を示す。]
【0025】
【化3】

[式(C−1−1)中、Xはハロゲン原子を示す。]
【0026】
前記式(C−1−1)中、Xはハロゲン原子を示し、塩素原子、臭素原子、フッ素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、塩素原子が好ましい。
【0027】
前記式(C−1)で表される高分子化合物において、グルコース環単位当たりのエチレンオキシド(EO)置換度は、0.3〜3.0であることが好ましく、0.7〜2.5であることがさらに好ましい。
ただし、「EO置換度」とは、セルロース原料のグルコース環単位当たり、EOで置換された水酸基の平均個数(該グルコース環の持つ3つの水酸基のうち、いくつにEOが付加されたかを示すもので、最大3となる。)を示す。
【0028】
前記式(C−1)で表される高分子化合物において、グルコース環単位当たりのEO平均付加モル数は、l+m+n=1〜5であることが好ましく、特に洗浄力の向上、再汚染(汚れの再付着)の抑制の効果が良好なことから、下限値は1以上が好ましく、上限値は3以下がより好ましい。
【0029】
(C)成分として具体的には、レオガードGPS(カチオン化度1.8質量%)、レオガードGP(カチオン化度1.8質量%)、レオガードGP0(カチオン化度1.8質量%)、レオガードLP(カチオン化度1.0質量%)、レオガードKGP(カチオン化度1.8質量%)、レオガードMGP(カチオン化度1.8質量%)、レオガードMLP(カチオン化度0.6質量%)[以上、商品名;ライオン化学社製];カチナールHC−100(カチオン化度1.0〜2.0質量%)、カチナールHC−200(カチオン化度1.0〜2.0質量%)、カチナールLC−100(カチオン化度0.5〜1.5質量%)、カチナールLC−200(カチオン化度0.5〜1.5質量%)[以上、商品名;東邦化学工業社製];UCARE Polymer LR400(カチオン化度0.8〜1.1質量%)、UCARE Polymer LR30M(カチオン化度0.8〜1.1質量%)[以上、商品名;ダウケミカル社製]等の市販のものが好適なものとして挙げられる。
なお、上記市販のものにおけるグレードの相違は、セルロースの分子量、EOの平均付加モル数、およびカチオン化度等が異なることによる。
【0030】
本発明において、(C)成分は、1種または2種以上混合して用いることができる。
粒状洗剤組成物中の(C)成分の含有量は、0.1〜3質量%であることが好ましく、 0.3〜1.5質量%であることがより好ましい。該含有量の下限値以上であることにより、被洗物への柔軟性付与効果が向上する。一方、上限値以下であれば、充分な被洗物への柔軟性付与効果を得ることができる。
【0031】
本発明の粒状洗剤組成物においては、配合するアニオン界面活性剤の全量と、(C)成分との質量比が(アニオン界面活性剤)/(C)=10〜70であることが好ましく、10〜50であることがより好ましく、15〜40であることがさらに好ましい。該質量比の上限値以下であることにより、被洗物への柔軟性付与効果が良好に得られる。一方、該質量比の下限値以上であることにより、洗濯後の被洗物への白色粉状物(粒状洗剤組成物に由来する粉状物)の付着が抑制される。
【0032】
<(D)成分>
本発明において、(D)成分は直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩である。該(D)成分を含有すると、洗浄力が向上すると共に、粒状洗剤組成物の粒子が壊れにくくなる、粒子形状が保たれやすくなる等の効果が得られる。(D)成分としては、アルキル基の炭素数が8〜18であるものが好ましく、炭素数が10〜16であるものがより好ましい。
塩としては、たとえばナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアミン塩;アンモニウム塩等が挙げられ、なかでもアルカリ金属塩が好ましい。
【0033】
本発明において、(D)成分は、1種または2種以上混合して用いることができる。
一例として、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩と、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸カリウム塩とを混合して用いることもできる。
本発明の粒状洗剤組成物においては、4質量%以下の直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩(D)が含有されることが好ましい。粒状洗剤組成物中の(D)成分の含有量は、4質量%以下であることが好ましく、3質量%以下であることがより好ましい。該含有量が4質量%以下であることにより、被洗物への柔軟性付与効果がさらに高まる。
【0034】
<その他の成分>
本発明の粒状洗剤組成物には、前記(A)〜(D)成分以外に、必要に応じて通常、衣料用等の洗浄剤組成物に用いられる洗剤成分等の成分を適宜、配合することができる。
具体的には、(A)成分、(B)成分および(D)成分以外の界面活性剤、洗浄性ビルダー、蛍光増白剤、酵素、酵素安定剤、ポリマー類、ケーキング防止剤、消泡剤、還元剤、金属イオン捕捉剤、pH調整剤、香料、色素等が挙げられる。
【0035】
(界面活性剤)
(A)成分、(B)成分および(D)成分以外の界面活性剤としては、通常、洗浄剤組成物に用いられる界面活性剤(ノニオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤)が併用できる。
【0036】
ノニオン界面活性剤:
ノニオン界面活性剤としては、たとえば、以下に示すものを挙げることができる。
(1)炭素数6〜22、好ましくは8〜18の脂肪族アルコールに炭素数2〜4のアルキレンオキサイドを平均3〜30モル、好ましくは3〜20モル付加したポリオキシアルキレンアルキルエーテルまたはポリオキシアルキレンアルケニルエーテルである。
この中でも、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルケニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルケニルエーテルが好適なものとして挙げられる。
ここで使用される脂肪族アルコールとしては、第1級アルコール、第2級アルコールが挙げられ、第1級アルコールが好ましい。また、アルキル基またはアルケニル基は、直鎖状であってもよく、分岐鎖状であってもよい。
(2)ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルまたはポリオキシエチレンアルケニルフェニルエーテル。
(3)長鎖脂肪酸アルキルエステルのエステル結合間にアルキレンオキサイドが付加した、たとえば下記一般式(I)で表される脂肪酸アルキルエステルアルコキシレート。
CO(OA)n’OR (I)。
[式中、RCOは、炭素数6〜22、好ましくは8〜18の脂肪酸残基を示し;OAは、炭素数2〜4、好ましくは2〜3のアルキレンオキサイド(たとえば、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等)の付加単位(オキシアルキレン基)を示し;n’はアルキレンオキサイドの平均付加モル数を示し、一般に3〜30、好ましくは5〜20の数である。Rは炭素数1〜3の置換基を有していてもよい低級(炭素数1〜4の)アルキル基を示す。]
(4)ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル。
(5)ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル。
(6)ポリオキシエチレン脂肪酸エステル。
(7)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油。
(8)グリセリン脂肪酸エステル。
【0037】
上記のノニオン界面活性剤のなかでも、(1)のノニオン界面活性剤が好ましく、そのなかでも炭素数12〜16の脂肪族アルコールに炭素数2〜4のアルキレンオキサイドを平均5〜20モル付加したポリオキシアルキレンアルキルエーテルまたはポリオキシアルキレンアルケニルエーテルが特に好ましい。
また、融点が50℃以下で、HLBが9〜16のポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルケニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルケニルエーテル、脂肪酸メチルエステルにエチレンオキサイドが付加した脂肪酸メチルエステルエトキシレート、脂肪酸メチルエステルにエチレンオキサイドとプロピレンオキサイドとが付加された脂肪酸メチルエステルエトキシプロポキシレート等が好適に用いられる。
これらのノニオン界面活性剤は、1種単独で、または2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
なお、上記の「HLB」とは、Griffinの方法により求められた値である(吉田、進藤、大垣、山中共編、「新版界面活性剤ハンドブック」,工業図書株式会社,1991年,第234頁参照)。
また、上記の「融点」とは、JIS K 0064−1992「化学製品の融点及び溶融範囲測定方法」に記載されている融点測定法によって測定された値である。
【0038】
アニオン界面活性剤:
アニオン界面活性剤としては、たとえば、以下に示すものを挙げることができる。
(1)炭素数8〜18のアルキル基を有する分岐鎖状のアルキルベンゼンスルホン酸塩(ABS)。
(2)炭素数10〜20のアルカンスルホン酸塩。
(3)炭素数10〜20のα−オレフィンスルホン酸塩(AOS)。
(4)炭素数10〜20のアルキル硫酸塩またはアルケニル硫酸塩(AS)。
(5)アルキレンオキサイドを平均0.5〜10モル付加した、炭素数10〜20の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基を有するアルキルエーテル硫酸塩または炭素数10〜20の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルケニル基を有するアルケニルエーテル硫酸塩(AES);ただし、該アルキレンオキサイドとしては、好ましくは、炭素数2〜4のアルキレンオキサイドのいずれか、またはエチレンオキサイド(EO)とプロピレンオキサイド(PO)とが混在したもの(モル比でEO/PO=0.1/9.9〜9.9/0.1)が挙げられる。
(6)アルキレンオキサイドを平均3〜30モル付加した、炭素数10〜20の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基を有するアルキルフェニルエーテル硫酸塩または炭素数10〜20の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルケニル基を有するアルケニルフェニルエーテル硫酸塩;ただし、該アルキレンオキサイドとしては、好ましくは、炭素数2〜4のアルキレンオキサイドのいずれか、またはEOとPOとが混在したもの(モル比でEO/PO=0.1/9.9〜9.9/0.1)が挙げられる。
(7)アルキレンオキサイドを平均0.5〜10モル付加した、炭素数10〜20の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基を有するアルキルエーテルカルボン酸塩または炭素数10〜20の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルケニル基を有するアルケニルエーテルカルボン酸塩;ただし、該アルキレンオキサイドとしては、好ましくは、炭素数2〜4のアルキレンオキサイドのいずれか、またはEOとPOとが混在したもの(モル比EO/PO=0.1/9.9〜9.9/0.1)が挙げられる。
(8)炭素数10〜20のアルキルグリセリルエーテルスルホン酸等のアルキル多価アルコールエーテル硫酸塩。
(9)長鎖モノアルキルリン酸塩、長鎖ジアルキルリン酸塩または長鎖セスキアルキルリン酸塩。
(10)ポリオキシエチレンモノアルキルリン酸塩、ポリオキシエチレンジアルキルリン酸塩またはポリオキシエチレンセスキアルキルリン酸塩。
上記の(A)成分は、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアミン塩;アンモニウム塩等として用いることができる。なかでも、アルカリ金属塩が好ましい。
これらのアニオン界面活性剤は、1種単独で、または2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
【0039】
カチオン界面活性剤:
カチオン界面活性剤としては、たとえば、以下に示すものを挙げることができる。
(1)ジ長鎖アルキルジ短鎖アルキル型4級アンモニウム塩。
(2)モノ長鎖アルキルトリ短鎖アルキル型4級アンモニウム塩。
(3)トリ長鎖アルキルモノ短鎖アルキル型4級アンモニウム塩。
ただし、上記の「長鎖アルキル」は炭素数12〜26、好ましくは14〜18のアルキル基を示す。
「短鎖アルキル」は、フェニル基、ベンジル基、ヒドロキシ基、ヒドロキシアルキル基等の置換基を包含し、炭素間にエーテル結合を有していてもよい。
なかでも、炭素数1〜4、好ましくは1〜2のアルキル基;ベンジル基;炭素数2〜4、好ましくは2〜3のヒドロキシアルキル基;炭素数2〜4、好ましくは2〜3のポリオキシアルキレン基が好適なものとして挙げられる。
【0040】
両性界面活性剤:
両性界面活性剤としては、たとえばイミダゾリン系の両性界面活性、アミドベタイン系の両性界面活性剤等を挙げることができる。
具体的には、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ラウリン酸アミドプロピルベタインが好適なものとして挙げられる。
【0041】
(洗浄性ビルダー)
洗浄性ビルダーとしては、無機ビルダーおよび有機ビルダーが挙げられる。
【0042】
無機ビルダーとしては、たとえば炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、重炭酸ナトリウム、セスキ炭酸ナトリウム等のアルカリ金属炭酸塩;亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム等のアルカリ金属亜硫酸塩;結晶性層状珪酸ナトリウム[たとえば、クラリアントジャパン社製の商品名「Na−SKS−6」(δ−NaO・2SiO)等の結晶性アルカリ金属珪酸塩]、非晶質アルカリ金属珪酸塩;硫酸ナトリウム、硫酸カリウム等の硫酸塩;塩化ナトリウム、塩化カリウム等のアルカリ金属塩化物;オルソリン酸塩、ピロリン酸塩、トリポリリン酸塩、メタリン酸塩、ヘキサメタリン酸塩、フィチン酸塩等のリン酸塩;結晶性アルミノ珪酸塩、無定形アルミノ珪酸塩、炭酸ナトリウムと非晶質アルカリ金属珪酸塩の複合体(たとえば、Rhodia社の商品名「NABION15」)等が挙げられる。
上記無機ビルダーの中でも、炭酸ナトリウム、アルミノ珪酸塩、または溶解性向上の効果を併せ持つものとしてカリウム塩(炭酸カリウム、硫酸カリウム等)もしくはアルカリ金属塩化物(塩化カリウム、塩化ナトリウム等)が好ましい。
【0043】
アルミノ珪酸塩としては、結晶性、非晶質(無定形)のいずれのものも用いることができ、カチオン交換能の点から結晶性アルミノ珪酸塩が好ましい。
結晶性アルミノ珪酸塩としては、A型、X型、Y型、P型ゼオライト等が好適に配合でき、平均一次粒子径は0.1〜10μmが好ましい。粒状洗剤組成物中の結晶性アルミノ珪酸塩の含有量は、1〜40質量%が好ましく、洗浄性能および流動性等の粉体物性の点から2〜30質量%が特に好ましい。
炭酸カリウムを配合する場合、その含有量は、溶解性向上の効果の点から、粒状洗剤組成物中に、好ましくは1〜15質量%、より好ましくは2〜12質量%、さらに好ましくは5〜12質量%である。
アルカリ金属塩化物を配合する場合、その含有量は、溶解性向上の効果の点から、粒状洗剤組成物中に、好ましくは1〜10質量%、より好ましくは2〜8質量%、さらに好ましくは3〜7質量%である。
結晶性アルカリ金属珪酸塩を配合する場合、その含有量は、洗浄性能の点から、粒状洗剤組成物中に、好ましくは0.5〜40質量%、より好ましくは1〜25質量%、さらに好ましくは3〜20質量%、特に好ましくは5〜15重量%である。
【0044】
有機ビルダーとしては、たとえばニトリロトリ酢酸塩、エチレンジアミンテトラ酢酸塩、β−アラニンジ酢酸塩、アスパラギン酸ジ酢酸塩、メチルグリシンジ酢酸塩、イミノジコハク酸塩等のアミノカルボン酸塩;セリンジ酢酸塩、ヒドロキシイミノジコハク酸塩、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸塩、ジヒドロキシエチルグリシン塩等のヒドロキシアミノカルボン酸塩;ヒドロキシ酢酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、グルコン酸塩等のヒドロキシカルボン酸塩;ピロメリット酸塩、ベンゾポリカルボン酸塩、シクロペンタンテトラカルボン酸塩等のシクロカルボン酸塩;カルボキシメチルタルトロネート、カルボキシメチルオキシサクシネート、オキシジサクシネート、酒石酸モノまたはジサクシネート等のエーテルカルボン酸塩;ポリアクリル酸塩、アクリル酸−アリルアルコール共重合体の塩、アクリル酸−マレイン酸共重合体の塩、ポリグリオキシル酸等のポリアセタールカルボン酸の塩;ヒドロキシアクリル酸重合体、多糖類−アクリル酸共重合体等のアクリル酸重合体または共重合体の塩;マレイン酸、イタコン酸、フマル酸、テトラメチレン1,2−ジカルボン酸、コハク酸、アスパラギン酸等の重合体または共重合体の塩;デンプン、セルロース、アミロース、ペクチン等の多糖類酸化物、カルボキシメチルセルロース等の多糖類誘導体等が挙げられる。
上記有機ビルダーの中でも、クエン酸塩、アミノカルボン酸塩、ヒドロキシアミノカルボン酸塩、ポリアクリル酸塩、アクリル酸−マレイン酸共重合体の塩、ポリアセタールカルボン酸の塩が好ましい。特に、ヒドロキシイミノジコハク酸塩、重量平均分子量が1000〜80000のアクリル酸−マレイン酸共重合体の塩、ポリアクリル酸塩、重量平均分子量が800〜1000000(好ましくは5000〜200000)のポリグリオキシル酸等のポリアセタールカルボン酸塩(たとえば、特開昭54−52196号公報に記載のもの)が好適である。
有機ビルダーの含有量は、粒状洗剤組成物中、1〜20質量%が好ましく、より好ましくは1〜10質量%、特に好ましくは2〜5質量%である。
【0045】
上記洗浄性ビルダーは、1種単独で、または2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
上記洗浄性ビルダーの中でも、洗浄力、洗濯液中での汚れ分散性が向上することから、クエン酸塩、アミノカルボン酸塩、ヒドロキシアミノカルボン酸塩、ポリアクリル酸塩、アクリル酸−マレイン酸共重合体の塩、ポリアセタールカルボン酸の塩等の有機ビルダーと、ゼオライト等の無機ビルダーとを併用することが好ましい。
粒状洗剤組成物中の洗浄性ビルダーの含有量は、充分な洗浄性能を付与する点から、10〜80質量%が好ましく、20〜75質量%がより好ましい。
【0046】
(蛍光増白剤)
蛍光増白剤としては、たとえば4,4’−ビス−(2−スルホスチリル)−ビフェニル塩、4,4’−ビス−(4−クロロ−3−スルホスチリル)−ビフェニル塩、2−(スチリルフェニル)ナフトチアゾール誘導体、4,4’−ビス(トリアゾール−2−イル)スチルベン誘導体、ビス−(トリアジニルアミノスチルベン)ジスルホン酸誘導体等が挙げられる。
上記蛍光増白剤は、1種単独で、または2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
粒状洗剤組成物中の蛍光増白剤の含有量は、0.001〜1質量%が好ましい。
市販品として具体的には、ホワイテックスSA、ホワイテックスSKC(以上、商品名;住友化学(株)製);チノパールAMS−GX、チノパールDBS−X、チノパールCBS−X(以上、商品名;チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製);Lemonite CBUS−3B(以上、商品名;Khyati Chemicals製)等が好適なものとして挙げられる。なかでも、チノパールCBS−X、チノパールAMS−GXがより好ましい。
【0047】
(酵素)
酵素としては、酵素の反応性から分類すると、ハイドロラーゼ類、オキシドレダクターゼ類、リアーゼ類、トランスフェラーゼ類、およびイソメラーゼ類が挙げられ、本発明においてはいずれも適用できる。
なかでも、プロテアーゼ、エステラーゼ、リパーゼ、ヌクレアーゼ、セルラーゼ、アミラーゼ、ペクチナーゼ等が好ましい。
【0048】
プロテアーゼの具体例としては、ペプシン、トリプシン、キモトリプシン、コラーゲナーゼ、ケラチナーゼ、エラスターゼ、スプチリシン、パパイン、プロメリン、カルボキシペプチターゼAまたはB、アミノペプチターゼ、アスパーギロペプチターゼAまたはB等が挙げられる。
市販品としては、サビナーゼ、アルカラーゼ、カンナーゼ、エバラーゼ、デオザイム(以上、商品名;ノボザイムズ社製);API21(商品名、昭和電工(株)製);マクサカル、マクサペム(以上、商品名;ジェネンコア社製);プロテアーゼK−14またはK−16(特開平5−25492号公報に記載のプロテアーゼ)等を挙げることができる。
【0049】
エステラーゼの具体例としては、ガストリックリパーゼ、バンクレアチックリパーゼ、植物リパーゼ類、ホスホリパーゼ類、コリンエステラーゼ類、ホスホターゼ類等が挙げられる。
リパーゼの具体例としては、リポラーゼ、ライペックス(以上、商品名;ノボザイムズ社製)、リポサム(商品名、昭和電工(株)製)等の市販のリパーゼ等を挙げることができる。
セルラーゼとしては、たとえば市販品のセルザイム(商品名、ノボザイムズ社製);アルカリセルラーゼK、アルカリセルラーゼK−344、アルカリセルラーゼK−534、アルカリセルラーゼK−539、アルカリセルラーゼK−577、アルカリセルラーゼK−425、アルカリセルラーゼK−521、アルカリセルラーゼK−580、アルカリセルラーゼK−588、アルカリセルラーゼK−597、アルカリセルラーゼK−522、CMCアーゼI、CMCアーゼII、アルカリセルラーゼE−II、およびアルカリセルラーゼE−III(以上、特開昭63−264699号公報に記載のセルラーゼ)等が挙げられる。
アミラーゼとしては市販のターマミル、デュラミル(ノボザイムズ社製)等を挙げることができる。
【0050】
上記酵素は、1種単独で、または2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
なお、酵素は、別途安定な粒子として造粒したものを、洗剤生地(粒子)にドライブレンドした状態で使用することが好ましい。
【0051】
(酵素安定剤)
酵素安定剤としては、たとえばカルシウム塩、マグネシウム塩、ポリオール、蟻酸、ホウ素化合物等を配合することができる。なかでも、4ホウ酸ナトリウム、塩化カルシウム等が好ましい。
酵素安定剤は、1種単独で、または2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
粒状洗剤組成物中の酵素安定剤の含有量は、0.05〜2質量%が好ましい。
【0052】
(ポリマー類)
本発明の粒状洗剤組成物においては、粒状洗剤組成物粒子を高密度化する場合に使用されるバインダーもしくは粉体物性調整剤として、または疎水性微粒子(汚れ)に対する再汚染防止効果を付与するため、平均分子量が200〜200000のポリエチレングリコール、重量平均分子量1000〜100000のアクリル酸および/またはマレイン酸ポリマーの塩、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)等のセルロース誘導体等を配合することができる。
また、汚れ放出剤としてテレフタル酸に由来する繰返し単位と、エチレングリコールおよび/またはプロピレングリコールに由来する繰返し単位とのコポリマー、またはターポリマー等を配合することができる。
また、色移り防止効果を付与するため、ポリビニルピロリドン等を配合することができる。
上記ポリマー類の中でも、被洗物への柔軟性付与効果、再汚染防止の観点から、HPMCが好ましく、重量平均分子量2万以上のHPMCがより好ましい。
かかるポリマー類は、1種単独で、または2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
粒状洗剤組成物中の上記ポリマー類の含有量は、0.05〜5質量%が好ましい。
【0053】
(ケーキング防止剤)
ケーキング防止剤としては、パラトルエンスルホン酸塩、キシレンスルホン酸塩、酢酸塩、スルホコハク酸塩、タルク、微粉末シリカ、粘土、酸化マグネシウム等を配合することができる。
【0054】
(消泡剤)
消泡剤としては、従来公知の、たとえばシリコーン/シリカ系のものを挙げることができる。また、かかる消泡剤は、下記製造方法により得られる消泡剤造粒物として用いてもよい。
[消泡剤造粒物の製造方法]
まず、マルトデキストリン(商品名、日澱化学株式会社製;酵素変性デキストリン)100gに、消泡剤成分としてシリコーン(コンパウンド型、商品名:PSアンチフォーム、ダウコーニング社製)20gを添加し混合して均質混合物を得る。次に、得られた均質混合物50質量%、ポリエチレングリコール(PEG−6000,融点58℃)25質量%、および中性無水芒硝25質量%を70〜80℃で混合した後、押出し造粒機(型式EXKS−1、不二パウダル株式会社製)により造粒し、消泡剤造粒物を得る(特開平3−186307号公報参照)。
【0055】
(還元剤)
還元剤としては、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム等が挙げられる。
【0056】
(金属イオン捕捉剤)
金属イオン捕捉剤は、水道水中の微量金属イオン等を捕捉し、金属イオンの繊維(被洗物)への吸着を抑制する効果を有する。
金属イオン捕捉剤としては、前記洗浄性ビルダーに包含されるものの他に、エチレンジアミン四酢酸、ニトリロ三酢酸、グリコールエチレンジアミン6酢酸等のアミノポリ酢酸類;1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸(HEDP−H)、エタン−1,1−ジホスホン酸、エタン−1,1,2−トリホスホン酸、ヒドロキシエタン−1,1,2−トリホスホン酸、エタン−1,2−ジカルボキシ−1,2−ジホスホン酸、ヒドロキシメタンホスホン酸、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、ニトリロトリ(メチレンホスホン酸)、2−ヒドロキシエチルイミノジ(メチレンホスホン酸)、ヘキサメチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)等の有機ホスホン酸誘導体またはその塩;ジグリコール酸、クエン酸、酒石酸、シュウ酸、グルコン酸等の有機酸類またはその塩等が挙げられる。
上記金属イオン捕捉剤は、1種単独で、または2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
粒状洗剤組成物中の金属イオン捕捉剤の含有量は、0.1〜5質量%が好ましく、より好ましくは0.5〜3質量%である。0.1質量%以上であれば、水道水中の金属イオンを捕捉する効果が向上する。一方、5質量%以下であれば、金属イオンを捕捉する効果が充分に得られる。
【0057】
(pH調整剤)
本発明の粒状洗剤組成物は、そのpHが特に制限されるものではないが、洗浄性能の点から、粒状洗剤組成物の1質量%水溶液におけるpHが8以上であることが好ましく、該1質量%水溶液におけるpHが9〜11であることがより好ましい。前記pHが8以上であることにより、洗浄効果が発揮されやすくなる。
粒状洗剤組成物のpHを制御するための技術としては、通常アルカリ剤によってpH調整が行われており、前記洗浄性ビルダーに記載のアルカリ剤のほか、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が挙げられる。
具体的には、たとえば、水への溶解性およびアルカリ度の点から、炭酸ナトリウムと珪酸ナトリウムと水との割合が55/29/16(質量比)の混合物であるNABION15(商品名、ローディア社製)を用いるのが好ましい。
また、粒状洗剤組成物のpHが高くなりすぎることを防止するために、酸等を用いて上記pHの範囲に調整することもできる。
かかる酸としては、前記金属イオン捕捉剤、リン酸2水素カリウム等のアルカリ金属リン酸2水素塩、乳酸、コハク酸、リンゴ酸、グルコン酸、またはそれらのポリカルボン酸、クエン酸、炭酸水素ナトリウム、硫酸、塩酸等を使用することができる。
また、洗浄時に繊維の汚れに由来する酸成分によるpHの低下を防止するための緩衝剤の使用も可能である。
上記pH調整剤は、1種単独で、または2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
【0058】
(香料)
本発明における香料とは、香料成分、溶剤、香料安定化剤等からなる混合物(香料組成物)である。
かかる香料としては、たとえば特開2002−146399号公報、特開2003−89800号公報に記載のもの等を用いることができる。
粒状洗剤組成物中の香料の含有量は、0.001〜2質量%が好ましく、0.01〜1質量%がより好ましい。
【0059】
(色素)
本発明においては、粒状洗剤組成物の外観を良好にするために、染料、顔料等の各種色素を用いることができる。なかでも、保存安定性の点から顔料が好ましく、耐酸化性を有するものが特に好ましい。
かかる色素としては、たとえば酸化物等が挙げられ、好ましくは、酸化チタン、酸化鉄、銅フタロシアニン、コバルトフタロシアニン、群青、紺青、シアニンブルー、シアニングリーン等が挙げられる。
【0060】
本発明の粒状洗剤組成物の製造方法は、特に制限されるものではなく、一般に用いられている製造方法により製造可能である。たとえば、界面活性剤や他の原料を水に分散・溶解し噴霧乾燥する方法や、捏和・押出、撹拌造粒、転動造粒等の装置に供して、捏和や造粒、圧縮成形等を施し、さらに必要に応じて粉砕等する方法により製造することができる。
(C)成分の配合方法は、特に限定されるものではなく、アルカリ剤や洗浄性ビルダーと共に噴霧乾燥用スラリー調製の際に予備混合する方法、捏和又は攪拌造粒時に添加して噴霧乾燥粒子と混練する方法、(C)成分を粉体のまま後混合(界面活性剤含有粒子等と混合)する方法が挙げられる。
【0061】
本発明の粒状洗剤組成物の形態は、粉末、顆粒等の固体であり、より好ましくは粉末である。
かかる粒状洗剤組成物の嵩密度は、0.3g/mL以上であることが好ましく、より好ましくは0.5〜1.2g/mL、さらに好ましくは0.6〜1.1g/mLである。嵩密度が0.3g/mL以上であると、粒状洗剤組成物の保管時に必要なスペース(保管場所)をより少なくでき有利となる。一方、1.2g/mL以下であると、長期保管後でも粒状洗剤組成物の水への溶解性が良好となる。
なお、前記嵩密度は、JIS K3362−1998に準じて測定される値を示す。
【0062】
本発明の粒状洗剤組成物の粒子の平均粒子径は、特に制限されるものではなく、200〜1500μmであることが好ましく、下限値は250μm以上がより好ましく、280μm以上がさらに好ましく、300μm以上が特に好ましい。上限値は1000μm以下がより好ましく、700μm以下がさらに好ましい。平均粒子径が200μm以上であると、粉塵の発生が起きにくくなり、使用時に粉立ちが抑制される。一方、1500μm以下であると、水への溶解性が向上する。
【0063】
前記粒状洗剤組成物の粒子の平均粒子径は、目開き1680μm、1410μm、1190μm、1000μm、710μm、500μm、350μm、250μm、および149μmの9段の篩と、受け皿とを用いて、以下の分級操作を行うことにより求められる値を示す。
かかる分級操作は、受け皿に、目開きの小さな篩から目開きの大きな篩の順に積み重ね、最上部の1680μmの篩の上から100g/回の粒状洗剤組成物を入れ、蓋をしてロータップ型篩い振盪機((株)飯田製作所製、タッピング:156回/分、ローリング:290回/分)に取り付け、10分間振動させた後、それぞれの篩及び受け皿上に残留したサンプルを篩目ごとに回収して、サンプルの質量を測定する方法である。
そして、受け皿と各篩との質量頻度を積算していくと、積算の質量頻度が50%以上となる最初の篩の目開きを「aμm」とし、aμmよりも一段大きい篩の目開きを「bμm」とし、受け皿からaμmの篩までの質量頻度の積算値を「c%」、また、aμmの篩上の質量頻度を「d%」として、次式により平均粒子径(質量50%)を求め、粒状洗剤組成物の平均粒子径とした。
【0064】
【数1】

【0065】
かかる粒状洗剤組成物の流動性は、安息角として60°以下であることが好ましく、50°以下であることがより好ましい。
また、貯蔵後(紙容器、または詰め替えパウチ等の透湿性の高い容器などに長期保存された場合等)の粒状洗剤組成物の流動性は、安息角として60°以下であることが好ましく、50°以下であることがより好ましい。
安息角が60°以下であると、粒状洗剤組成物粒子の取扱性が良好なものとなりやすい。また、貯蔵後の場合、容器から粒状洗剤組成物が取り出しやすい等、使用性が良好なものとなるため好ましい。
なお、安息角は、容器に満たした粒状洗剤組成物粒子が流出するときに形成されるすべり面と水平面とのなす角を測定する、いわゆる排出法による安息角測定法によって測定することができる。具体的には、ターンテーブル形安息角測定器(筒井理化学器械(株)製)を用いて測定される値を示す。
【0066】
本発明の粒状洗剤組成物を容器に充填してなる市販製品における該容器としては、使い勝手の良さや、安定性等を考慮して選択することができ、特に湿度や光による影響が少ない容器を選択することが好ましい。
【0067】
本発明の粒状洗剤組成物の使用方法は、特に制限されるものではなく、洗濯機に、好ましくは0.02〜0.5質量%の溶液となるように投入して被洗物を洗濯する方法;被洗物を、好ましくは0.02〜2質量%溶液に浸け置く方法等が好適である。特に洗濯機に投入して5〜20分間の洗濯を行う方法に好適に使用することができる。
本発明の粒状洗剤組成物が洗濯対象とする被洗物は、特に制限されるものではなく、たとえば衣類、布巾、シーツ、カーテン等の繊維製品など、通常の洗浄剤組成物が洗濯対象とする被洗物と同じものが挙げられる。
【0068】
本発明の粒状洗剤組成物は、被洗物への柔軟性付与効果に優れるという効果を有する。かかる効果が得られる理由としては、以下のように推測される。
アニオン界面活性剤とカチオン化セルロース(C)とを含有する洗剤組成物においては、かかる洗剤組成物を水に溶解した際、アニオン界面活性剤と(C)成分とが複合体を形成し、該複合体が被洗物に吸着することにより、被洗物の繊維に柔軟性が付与される。
本発明者らは、該複合体を構成する成分および該成分の混合比率が変わると、被洗物への柔軟性付与効果の発現力が大きく変化することを見出した。
本発明においては、アニオン界面活性剤としてα−スルホ脂肪酸エステル塩(A)および石鹸(B)を用い、(A)成分と(B)成分とを特定の質量比で併用することにより、(A)成分と(B)成分と(C)成分とからなる複合体の被洗物への吸着性が格段に高くなるため、あるいは、柔軟性の発現により適した吸着膜の構造が得られるため、被洗物への柔軟性付与効果が顕著に向上すると推測される。
【0069】
また、本発明の粒状洗剤組成物においては、4質量%以下の直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩(D)が含有されることにより、洗浄力が向上すると共に、壊れにくい洗剤粒子が形成されやすくなる等の効果が得られる。
また、本発明の粒状洗剤組成物においては、(D)成分の含有量を4質量%以下とすると、被洗物への柔軟性付与効果がさらに高まる。かかる効果が得られる理由としては、次のように推測される。複合体中の(D)成分の含有量が4質量%以下であると、被洗物への吸着性が良好な複合体が形成されるため、あるいは、柔軟性の発現により適した吸着膜の構造が得られるため、被洗物への柔軟性付与効果がさらに高まると推測される。
【0070】
また、本発明の粒状洗剤組成物によれば、他の柔軟性付与成分を併用することなく、被洗物への高い柔軟性付与効果が得られる。
また、本発明の粒状洗剤組成物は、低浴比の洗濯環境下での洗濯に使用される洗剤組成物として好適なものである。
【実施例】
【0071】
以下に実施例を用いて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、「%」は特に断りがない限り「質量%」を示す。
【0072】
(実施例1〜14、比較例1〜3)
表1に示す各例の粒状洗剤組成物を、表1中に示した成分と表2に示した共通成分とを用いて製造した。
なお、表中の配合量の単位は、粒状洗剤組成物の全質量を基準とする質量%を示す。
また、表中の各成分の中で、アニオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤、ゼオライトおよびMA剤は純分換算としての配合量、その他はそのもの(有り姿)としての配合量をそれぞれ示す。炭酸Na量の「バランス」は、総量が100質量%となるように調整したことを意味する。
(A)/(B)(質量比)は、(A)成分と(B)成分との配合比率を質量比で表した値を示す。
「比較例1」は、(A)成分が未配合で、かつ(B)成分および(C)成分を含有する例であり、被洗物への柔軟性付与効果の評価における比較対照である。
以下に、表中に示した成分の説明、粒状洗剤組成物の製造方法について示す。
【0073】
<表中に示した成分の説明>。
・アニオン界面活性剤(A)
(A−1)MES:炭素数14の炭化水素基を有する化合物と、炭素数16の炭化水素基を有する化合物との混合割合が質量比で18:82のα−スルホ脂肪酸メチルエステルのナトリウム塩の水溶液(ライオン(株)製;AI濃度=70質量%、残部は未反応脂肪酸メチルエステル、硫酸ナトリウム、メチルサルフェート、過酸化水素、水等である。)。
ここで、「AI」とは、MES中に含まれる、界面活性剤としての機能を有する化合物を示す。MES中には、通常、α−スルホ脂肪酸メチルエステル塩のほか、副生物としてα−スルホ脂肪酸ジアルカリ塩が含まれる。α−スルホ脂肪酸ジアルカリ塩も、α−スルホ脂肪酸メチルエステル塩と同様、界面活性剤としての機能を有している。したがって、AI濃度は、α−スルホ脂肪酸メチルエステル塩と、副生物の1つであるα−スルホ脂肪酸ジアルカリ塩との合計の濃度を意味する。
【0074】
(A−2)MES:炭素数16の炭化水素基を有する化合物と、炭素数18の炭化水素基を有する化合物との混合割合が質量比で80:20のα−スルホ脂肪酸メチルエステルのナトリウム塩の水溶液(ライオン(株)製;AI濃度=70質量%、残部は未反応脂肪酸メチルエステル、硫酸ナトリウム、メチルサルフェート、過酸化水素、水等である)。
「AI」については上記と同様である。
【0075】
・石鹸(B)
石鹸:炭素数12〜18の脂肪酸ナトリウム(ライオン(株)製、純分:67質量%、タイター:40〜45℃;脂肪酸組成:C12(ラウリン酸)11.7質量%、C14(ミリスチン酸)0.4質量%、C16(パルミチン酸)29.2質量%、C18F0(ステアリン酸)0.7質量%、C18F1(オレイン酸)56.8質量%、C18F2(リノール酸)1.2質量%;分子量:289)。
【0076】
・直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩(D)
LAS:直鎖アルキル(炭素数10〜14)ベンゼンスルホン酸[ライオン(株)製、ライポンLH−200(LAS−H 純分96質量%)]を、界面活性剤組成物の調製時に、48質量%水酸化ナトリウム水溶液で中和した化合物と、48質量%水酸化カリウム水溶液で中和した化合物とを質量比2:1で混合したもの。表中の配合量は、これら混合物としての値(質量%)を示す。
【0077】
・カチオン化セルロース(C)
(C−1)カチオン化セルロースLF:ヒドロキシエチルセルロース(住友精化製、商品名:LF−15、1質量%水溶液粘度(25℃):700〜1300mPa・s)30g(100質量部)に、イソプロピルアルコール/水(質量比)=85/15となる混合溶媒300g(1000質量部)と、更に25質量%水酸化ナトリウム水溶液4.5g(15質量部)とを加えて混合した。次いで、30分間撹拌混合して、混合溶媒の上澄み150g(500質量部)を抜き出した。
その後、50℃まで昇温させ、カチオン化剤としてグリシジルトリメチルアンモニウムクロライド(阪本薬品工業製、商品名:SY−GTA80、有効濃度73質量%の水溶液)4g(13質量部)を加えて、3時間反応させた。その後、10質量%塩酸イソプロピルアルコール溶液を加えてpH6に調整し、カチオン化セルローススラリーを得た。
そして、遠心脱水し、乾燥(70〜80℃)を経て、カチオン化セルロースLF(重量平均分子量:90万、カチオン化度:0.6質量%、固形分:91質量%)を得た。
【0078】
(C−2)カチオン化セルロースAX:ヒドロキシエチルセルロース(住友精化製、商品名:AX−15、1質量%水溶液粘度(25℃):15000〜30000mPa・s)30g(100質量部)に、イソプロピルアルコール/水(質量比)=85/15となる混合溶媒300g(1000質量部)と、更に25質量%水酸化ナトリウム水溶液5g(16.5質量部)とを加えて混合した。次いで、30分間撹拌混合して、混合溶媒の上澄み150g(500質量部)を抜き出した。
その後、50℃まで昇温させ、カチオン化剤としてグリシジルトリメチルアンモニウムクロライド(阪本薬品工業製、商品名:SY−GTA80、有効濃度73質量%の水溶液)3g(10質量部)を加えて、3時間反応させた。その後、10質量%塩酸イソプロピルアルコール溶液を加えてpH6に調整し、カチオン化セルローススラリーを得た。
そして、遠心脱水し、乾燥(70〜80℃)を経て、カチオン化セルロースAX(重量平均分子量:160万、カチオン化度:0.6質量%、固形分:91質量%)を得た。
【0079】
・その他の成分(共通成分)
ノニオン界面活性剤:ECOROL26(商品名、ECOGREEN社製;炭素数12〜16のアルキル基を有するアルコール)の酸化エチレン平均15モル付加体(純分90質量%)。
ゼオライト:A型ゼオライト・シルトンB(商品名、水澤化学(株)製;純分80質量%)。
MA剤:アクリル酸/無水マレイン酸共重合体ナトリウム塩(商品名:アクアリックTL−400、日本触媒(株)製;純分40質量%水溶液)。
亜硫酸Na:無水亜硫酸曹達(神州化学(株)製)。
硫酸Na:中性無水芒硝(日本化学工業(株)製)。
炭酸K:炭酸カリウム(粉末)(旭硝子(株)製;平均粒子径490μm、嵩密度1.30g/cm)。
炭酸Na:粒灰(旭硝子(株)製、平均粒子径320μm、嵩密度1.07g/cm)。
蛍光剤:チノパールCBS−X(商品名、チバスペシャルティケミカルズ)/チノパールAMS−GX(商品名、チバスペシャルティケミカルズ)=3/1(質量比)の混合物。
香料:特開2002−146399号公報 [表11]〜[表18]に示す香料組成物A。
酵素:サビナーゼ12T(ノボザイムズ製)/LIPEX100T(ノボザイムズ製)/ステインザイム12T(ノボザイムズ製)=5/1/4(質量比)の混合物。
【0080】
<粒状洗剤組成物の製造方法>
表1、2に示す組成に従って、下記に示す調製方法により、界面活性剤含有粒子を調製し、当該界面活性剤含有粒子を用いて表1に示す各例の粒状洗剤組成物を製造した。
【0081】
(実施例1〜5、7〜12、14)
[界面活性剤含有粒子の調製]
まず、撹拌装置を具備したジャケット付き混合槽に水を入れ、温度を60℃に調整した。これに、(B)成分及び(D)成分を添加し、10分間撹拌した。続いて、MA剤、硫酸Na、蛍光剤をそれぞれ添加した(該添加の段階を「原料投入1」と称する)。さらに、10分間撹拌した後、ゼオライトの一部(0.5質量%相当量(対界面活性剤含有粒子、以下同じ。)の捏和時添加用、5.0質量%相当量の粉砕助剤用、2.1質量%相当量の表面被覆用の各ゼオライトを除く。)、炭酸Na、炭酸K、および亜硫酸Naをそれぞれ添加した。さらに、20分間撹拌して水分38質量%の噴霧乾燥用スラリーを調製した後、向流式噴霧乾燥塔を用いて熱風温度280℃の条件で噴霧乾燥し、水分を約5質量%含有する噴霧乾燥粒子を得た。
一方、原料の脂肪酸エステルをスルホン化し、中和して得られた(A)成分(MES)の水性スラリー(水分濃度25質量%)に、ノニオン界面活性剤の一部(MESに対して25質量%)を添加し、水分が11質量%になるまで薄膜式乾燥機で減圧濃縮して、MESとノニオン界面活性剤との混合濃縮物を得た。
上記噴霧乾燥粒子、上記混合濃縮物、2.0質量%相当量のゼオライト、1.0質量%相当量の噴霧添加用を除く残りのノニオン界面活性剤および水を、連続ニーダー((株)栗本鐵工所製、KRC−S4型)に投入(該投入の段階を「原料投入2」と称する)し、捏和能力120kg/hr、温度60℃の条件で捏和し、界面活性剤含有混練物を得た。この界面活性剤含有混練物を、穴径10mmのダイスを具備したペレッターダブル(不二パウダル(株)製、EXDFJS−100型)を用いて押し出しつつ、カッターで切断し(カッター周速は5m/s)、長さ5〜30mm程度のペレット状界面活性剤含有成型物を得た。
次いで、得られたペレット状界面活性剤含有成型物に、粉砕助剤としての粒子状ゼオライト(平均粒子径180μm)3.2質量%相当量を添加し、冷風(10℃、15m/s)共存下で、直列3段に配置したフィッツミル(ホソカワミクロン(株)製、DKA−3)を用いて粉砕した(スクリーン穴径:1段目/2段目/3段目=12mm/6mm/3mm、回転数:1段目/2段目/3段目いずれも4700rpm)。最後に、水平円筒型転動混合機(円筒直径585mm、円筒長さ490mm、容器131.7Lのドラム内部壁面に内部壁面とのクリアランス20mm、高さ45mmの邪魔板を2枚有するもの)で、充填率30容積%、回転数22rpm、25℃の条件で1.5質量%相当量の微粉ゼオライトを加え、1.0質量%相当量のノニオン界面活性剤と香料を噴霧しつつ、1分間転動し、表面改質して界面活性剤含有粒子を調製した。
【0082】
[粒状洗剤組成物の製造]
水平円筒型転動混合機(円筒直径585mm、円筒長さ490mm、容器131.7Lのドラム内部壁面に内部壁面とのクリアランス20mm、高さ45mmの邪魔板を2枚有するもの)を用いて、充填率30容積%、回転数22rpm、25℃の条件で、(C−1)カチオン化セルロースLF、界面活性剤含有粒子、および酵素等の成分を5分間混合(該混合の段階を「原料投入3」と称する)し、各例の粒状洗剤組成物を製造した。
【0083】
(実施例6)
実施例7の製造方法において、(D)成分を配合しない以外は、実施例7の製造方法と同様にして粒状洗剤組成物を製造した。
【0084】
(実施例13)
実施例1の製造方法において、原料投入3の際に、(C−1)カチオン化セルロースLFの代わりに、(C−2)カチオン化セルロースAXを投入して混合した以外は、実施例1の製造方法と同様にして粒状洗剤組成物を製造した。
【0085】
(比較例1)
実施例1の製造方法において、(A)成分を配合せず、(B)成分の配合量を16質量%とした以外は、実施例1の製造方法と同様にして粒状洗剤組成物を製造した。
【0086】
(比較例2)
実施例1の製造方法において、(B)成分を配合せず、(A)成分の配合量を16質量%とした以外は、実施例1の製造方法と同様にして粒状洗剤組成物を製造した。
【0087】
(比較例3)
実施例1の製造方法において、原料投入3の際に、(C)成分[(C−1)カチオン化セルロースLF]を配合しない以外は、実施例1の製造方法と同様にして粒状洗剤組成物を製造した。
【0088】
<被洗物への柔軟性付与効果の評価方法>
[前処理]
ポリエステルジャージ(染色試材(株)、谷頭商店から入手)1kg、二槽式洗濯機(製品名:CW−C30A1−H1形、三菱電機株式会社製)を使用し、50℃の水道水を用い、市販の洗剤トップ(ライオン(株)製)を標準使用濃度(水道水30Lに対して洗剤トップ20g、すなわち667ppm)および浴比30倍で、「15分間洗浄後、5分間脱水」の洗浄・脱水の操作を2度繰り返した後、「15分間流水濯ぎ後、5分間脱水」の濯ぎ・脱水の操作を5回繰り返し、その後、室温で吊り干しすることにより乾燥して前処理を施し、試験に供した。
綿タオル((株)東進社製、220匁ボーダーソフトFT)1kg、B.V.D肌シャツ(丸首半袖Tシャツ、品番G0134TS)1kgにおいても同様の前処理を施した。
【0089】
[洗浄処理]
洗濯機としてミニ全自動洗濯機(製品名:JW−Z23A、Haier社製)を使用し、該ミニ全自動電気洗濯機の槽内に、水温28℃の水道水12Lを溜め、各例の粒状洗剤組成物13.3gをそれぞれ溶解した後、合計800gの衣類(綿タオル3枚、B.V.D肌シャツ4枚、ポリエステルジャージ(60cm×30cm)1枚)を投入し、標準コースで洗濯を行い、室内で乾燥させた。
【0090】
乾燥後の綿タオルを用い、比較例1を比較対照として被洗物への柔軟性付与効果について、以下のようにして評価を行った。
綿タオルの柔軟性について、上記各例の粒状洗剤組成物により洗浄処理を施した綿タオルと、比較例1の粒状洗剤組成物により洗浄処理を施した綿タオルとの一対比較を、専門パネラー10人により行った。
評価は、比較する一対の綿タオル間の柔軟性にはっきりと差がある場合、柔軟性が高い方の綿タオルに+2点、低い方の綿タオルに−2点を与え;やや差がある場合、柔軟性がやや高い方の綿タオルに+1点、やや低い方の綿タオルに−1点を与え;差がなければ0点を与えた。そして、10人の合計点を求め、下記評価基準に基づいて、綿タオルへの柔軟性付与効果を評価した。その結果を表1に示した。
(評価基準)
◎◎:10人の合計点が17〜20点であった。
◎:10人の合計点が13〜16点であった。
○:10人の合計点が9〜12点であった。
△:10人の合計点が5〜8点であった。
×:10人の合計点が−4〜4点であった。
××:10人の合計点が−5点以下であった。
【0091】
【表1】

【0092】
【表2】

【0093】
表1の結果から明らかなように、本発明にかかる実施例1〜14の粒状洗剤組成物は、(C)成分を含有する比較例1の粒状洗剤組成物に比べて、被洗物への柔軟性付与効果に優れることが確認できた。
また、実施例6〜10から、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩(D)の含有量が4質量%以下であることにより、被洗物への柔軟性付与効果がさらに高まることが確認できた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
α−スルホ脂肪酸エステル塩(A)と、石鹸(B)と、カチオン化セルロース(C)とを含有し、
該(A)成分と該(B)成分との質量比が(A)/(B)=25/75〜95/5であることを特徴とする粒状洗剤組成物。
【請求項2】
4質量%以下の直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩(D)が含有される請求項1記載の粒状洗剤組成物。

【公開番号】特開2008−222919(P2008−222919A)
【公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−65167(P2007−65167)
【出願日】平成19年3月14日(2007.3.14)
【出願人】(000006769)ライオン株式会社 (1,816)
【Fターム(参考)】