説明

粘性流体塗布装置

【課題】バルブユニットと管路を容易に接離することができるとともに、バルブユニットからシリンジへのペースト供給を安定させることができる粘性流体塗布装置を提供する。
【解決手段】バルブユニット50と管路71bを連結部90により接続し、この連結部90が、流路65と連通して外周に外ねじ部92が形成された内管91と、管路71bに連通して内周に外ねじ部92に螺合する内ねじ部96が形成された外管95とから成り、この外管95の内部に弾性筒30を内挿し、外ねじ部92と内ねじ部96を螺着することにより、内管91の端面bにより弾性筒30の一端面aを押圧して、弾性筒30の他端面cを外管95の受け部dに押接するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リードフレームや基板等の被塗布体に接着用の粘性流体を塗布する粘性流体塗布装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体装置製造のダイボンディング工程では、リードフレームや基板等の被塗布体に半導体チップを接着するためのペースト等の粘性流体を塗布する粘性流体塗布装置が広く使用されている。粘性流体塗布装置には、粘性流体を基板等に塗布する塗布部や、塗布部に粘性流体を供給する粘性流体貯溜容器等の粘性流体供給部が設けられており、主として空圧により粘性流体の供給が行われる。粘性流体供給部から塗布部への粘性流体の供給は、両者の間に介在させたバルブユニットにより流量等を制御して行われる(例えば特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2000−117171号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
バルブユニットは、粘性流体供給部と塗布部とを接続する管路を開閉することにより塗布部への粘性流体の供給を制御している。一般に、ペースト等の粘性流体は短時間で変質する性質を有しているので、バルブユニットの機能を維持するために適宜洗浄することが必要となる。また、粘性流体塗布装置において使用される粘性流体は多品種あり、粘性流体の品種を変更する場合も洗浄を行う必要がある。従って、洗浄の際にバルブユニットを粘性流体塗布装置に対し脱着し、分解・組立作業を頻繁に行う必要がある。そのため、バルブユニットと管路を容易に接離できるようにすることが求められる。
【0004】
しかしながら、バルブユニットと管路との連結部においては、雄ねじと雌ねじを螺合させることにより両者の接続がなされ、雄ねじにはペースト等の漏れを防止するシールテープが巻回される。このシールテープは接続の度に新たなものに巻き直す必要があるため、接離作業上の大きな手間となっていた。
【0005】
一方、バルブユニットから塗布部に至る管路において断面積が急激に変化すると、圧力損失が発生し、また断面積が増大した箇所に空気溜りが生じて粘性流体に混入し、塗布部への粘性流体供給の安定性が損なわれる。これにより、塗布部から基板等へのペーストの塗布量や塗布速度等が不安定となって塗布精度が悪化するという問題が発生する。
【0006】
そこで本発明は、バルブユニットと管路を容易に接離することができるとともに、バルブユニットから塗布部への粘性流体供給を安定させることができる粘性流体塗布装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の発明は、粘性流体を供給する粘性流体供給部と、この粘性流体供給部より粘性流体を供給され被塗布体に粘性流体を塗布する塗布部と、この塗布部を水平方向に移動させる水平移動手段と、前記粘性流体供給部と前記塗布部とを接続する管路と、この管路に設けられたバルブユニットとを備え、
前記バルブユニットに形成された流路と前記塗布部側の前記管路を連結部により接続し、この連結部が、前記流路に連通して外周に外ねじ部が形成された内管と、前記塗布部側の前記管路に連通して内周に前記外ねじ部に螺合する内ねじ部が形成された外管とから成り、この外管の内部に弾性筒を内挿し、前記内管の外ねじ部と前記外管の内ねじ部を螺着
することにより、前記内管の端面により前記弾性筒の一端面を押圧して、前記弾性筒の他端面を前記外管の受け面に押接するようにした。
【0008】
請求項2記載の発明は、被塗布体を位置決めする位置決め部と、粘性流体を供給する粘性流体供給部と、この粘性流体供給部より粘性流体を供給され被塗布体に粘性流体を塗布する塗布部と、この塗布部を被塗布体と相対的に移動させる水平移動手段と、前記粘性流体供給部と前記塗布部とを接続する管路と、この管路に設けられたバルブユニットとを備え、
前記バルブユニットに形成された流路と前記塗布部側の前記管路を連結部により接続し、この連結部が、前記流路に連通して外周に外ねじ部が形成された内管と、前記塗布部側の前記管路に連通して内周に前記外ねじ部に螺合する内ねじ部が形成された外管とから成り、この外管の内部に弾性筒を内挿し、前記内管の外ねじ部と前記外管の内ねじ部を螺着することにより、前記内管の端面により前記弾性筒の一端面を押圧して、前記弾性筒の他端面を前記外管の受け面に押接するようにした。
【0009】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の発明において、前記弾性筒の前記他端面がテーパ面であり、且つ前記外管の前記受け面がこのテーパ面が当接するテーパ面であり、このテーパ面同士を押接させる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、バルブユニットと塗布部側の管路との連結部を互いに螺合する内管と外管により構成しているので、バルブユニットと塗布部側の管路の接離が容易である。また、弾性筒を外管に内挿した状態で内管と外管を螺着するので、弾性筒が連結部のシーリングの役目を果たすとともに連結部内の段差をなくして連結部内を流れる粘性流体の供給量を安定させる。従って、バルブユニットから塗布部への粘性流体供給が安定し、塗布部から被塗布体への粘性流体塗布量が安定するので、塗布精度の悪化を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の一実施の形態を図面を参照して説明する。図1は本発明の一実施の形態における粘性流体塗布装置の側面図、図2は本発明の一実施の形態における粘性流体塗布装置の連結部の分離状態の側断面図、図3は本発明の一実施の形態における粘性流体塗布装置の連結部の連結状態の側断面図である。
【0012】
まず、粘性流体塗布装置の全体構成について説明する。図1において、基台1上には位置決め部2が配設されている。位置決め部2は被塗布体としての基板Pの搬送機構を具備しており、基板Pを搬送して所定位置に位置決めする。なお本発明では、位置決め部2による基板Pの搬送方向をX方向とし、これに直交する方向をY方向とする。位置決め部2の上方には、粘性流体としてのペーストを基板Pに塗布する粘性流体塗布部10が配設されている。
【0013】
粘性流体塗布部10の移動機構として、Xテーブル11、Yテーブル12が積層して設けられている。Xテーブル11の下部にはZテーブル13が設けられている。Zテーブル13にはブラケット14を介して塗布部20が装着され、Xテーブル11には粘性流体供給部としてペースト供給体70が装着されている。ペースト供給体70と塗布部20は管路71により接続されており、ペースト供給体70内に貯溜されたペーストは管路71を経て塗布部20に供給される。
【0014】
Xテーブル11、Yテーブル12、Zテーブル13には、それぞれの駆動部としてXモータMX、YモータMY、ZモータMZが備えられており、各モータMX、MY、MZの
駆動により、塗布部20がX、Y、Zの各方向に移動する。これにより、ペースト供給体70から管路71を経て塗布部20に供給されるペーストを塗布部20下端のノズル19から吐出し、所定の描画パターンで基板Pに塗布する。Xテーブル11、Yテーブル12は、塗布部20を基板Pに対して相対的に水平移動させる水平移動手段となっている。
【0015】
Zテーブル13の下端にはセンサ72が装着されている。センサ72は、ノズル19の先端部と基板Pとの距離を検知するとともに、基板Pに設けられた認識マークMを認識してノズル19の水平方向の位置を検知する。
【0016】
図1において、管路71には、バルブユニット50が連結部80、90により接続されている。バルブユニット50は可動部62を備えており、可動部62の移動(矢印a)により管路71と連通する流路65を開閉し、ペースト供給体70から塗布部20へのペースト供給の制御を行う。
【0017】
次に、連結部90について説明する。図2及び図3において、連結部90は内管91と外管95から構成されている。内管91の一端部はバルブユニット50に取り付けられており、流路65と連通している。内管91の外周は外ねじ部92となっている。外管95には、一方の端部の内周に外ねじ部92と螺合する内ねじ部96が設けられ、他方の端部に塗布部20側の管路120bと接続する接続管98が設けられている。外管95の他方の端部には受け部97が形成されており、その上面である受け面dは、外管95の内部と接続管98の内部をなだらかに連続させるテーパ面に形成されている。
【0018】
図3は、内管91の外ねじ部92と外管95の内ねじ部96が螺着して内管91と外管95が接続された状態を示している。この状態において、図1に示すペースト供給体70に貯留されたペーストは、管路71aから連結部80を経てバルブユニット50に流入し、流路65の開動作により連結部90へ流出し、管路71bを経てシリンジなどの塗布部20(図1参照)に供給される。
【0019】
図3において、外管95の内部には弾性筒30が内挿されている。弾性筒30は、外径が外管95の内径と同一若しくは略同一であって内径が内管91の内径と同一若しくは略同一に形成されている。弾性筒30の一端面(図2、図3において上端面)aは内管91の端面(図2、図3において下端面)bと当接している。また、弾性筒30の他端面(図2、図3において下端面)cはテーパ面となっており、外管95のテーパ面である受け面dと当接している。これにより、内管91と外管95内に形成される流路には段差がなくなり、連結部90内はその全体が略均一の内径となる。
【0020】
内管91と外管95の接続は、外管95内に弾性筒30を内挿した状態で外ねじ部92と内ねじ部96を螺着して行う。外ねじ部92と内ねじ部96を螺着させると、内管91は外管95の内部に進入するため、弾性筒30の端面aは内管91の端面bに押され、これにより弾性筒30の端面cは受け部97の受け面dにテーパ面同士で強く押接される。従って、弾性筒30は端面bと受け面dの間で押圧された状態でしっかり挟持される。このように、弾性筒30の一端面aは端面bに密着し、他端面cは受け面dに密着して連結部90内の水密性が確保される。この場合、他端面cと受け面dは互いにテーパ面で当接しているため、接触面積が大きくなって水密性がより向上する。
【0021】
このように、バルブユニット50と塗布部20側の管路71bの接離を内管91と外管95に設けられたねじ部92、96を螺着させることにより行うので、粘性流体塗布装置の洗浄等の際にバルブユニット50と管路71bとの接続及び離脱を容易に行うことができる。また、弾性筒30を外管95に内挿した状態で内管91と外管95を螺着することにより弾性筒30が連結部90のシーリングの役目を果たし、外ねじ部92にシールテー
プを巻回する手間を省くことができる。また、連結部90内の流路の段差をなくし略均一な内径にしているので、連結部90内を流れるペーストの圧力損失を防止するとともに空気溜りの発生を防止し、連結部90内を流れるペーストの供給量が安定する。これにより、塗布部20から基板等へのペーストの塗布量や塗布速度等が安定して塗布精度の向上を期すことができる。
【産業上の利用可能性】
【0022】
本発明の粘性流体塗布装置は、バルブユニットと塗布部側の管路の接離が容易であり、外管に内挿した弾性筒が連結部のシーリングの役目を果たすとともに、連結部内の段差をなくし略均一な内径にして連結部内を流れる粘性流体の供給量を安定させることができるという利点を有し、リードフレームや基板等の被塗布体に半導体チップ等を接着等するための粘性流体を塗布する分野において有用である。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の一実施の形態における粘性流体塗布装置の側面図
【図2】本発明の一実施の形態における粘性流体塗布装置の連結部の分離状態の側断面図
【図3】本発明の一実施の形態における粘性流体塗布装置の連結部の連結状態の側断面図
【符号の説明】
【0024】
2 位置決め部
10 粘性流体塗布部
11 Xテーブル
12 Yテーブル
19 ノズル
20 塗布部
30 弾性筒
50 バルブユニット
65 流路
70 ペースト供給体
71 管路
90 連結部
91 内管
92 外ねじ部
95 外管
96 内ねじ部
P 基板
a 一端面
b 端面
c 他端面
d 受け面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粘性流体を供給する粘性流体供給部と、この粘性流体供給部より粘性流体を供給され被塗布体に粘性流体を塗布する塗布部と、この塗布部を水平方向に移動させる水平移動手段と、前記粘性流体供給部と前記塗布部とを接続する管路と、この管路に設けられたバルブユニットとを備え、
前記バルブユニットに形成された流路と前記塗布部側の前記管路を連結部により接続し、この連結部が、前記流路に連通して外周に外ねじ部が形成された内管と、前記塗布部側の前記管路に連通して内周に前記外ねじ部に螺合する内ねじ部が形成された外管とから成り、この外管の内部に弾性筒を内挿し、前記内管の外ねじ部と前記外管の内ねじ部を螺着することにより、前記内管の端面により前記弾性筒の一端面を押圧して、前記弾性筒の他端面を前記外管の受け面に押接するようにしたことを特徴とする粘性流体塗布装置。
【請求項2】
被塗布体を位置決めする位置決め部と、粘性流体を供給する粘性流体供給部と、この粘性流体供給部より粘性流体を供給され被塗布体に粘性流体を塗布する塗布部と、この塗布部を被塗布体と相対的に移動させる水平移動手段と、前記粘性流体供給部と前記塗布部とを接続する管路と、この管路に設けられたバルブユニットとを備え、
前記バルブユニットに形成された流路と前記塗布部側の前記管路を連結部により接続し、この連結部が、前記流路に連通して外周に外ねじ部が形成された内管と、前記塗布部側の前記管路に連通して内周に前記外ねじ部に螺合する内ねじ部が形成された外管とから成り、この外管の内部に弾性筒を内挿し、前記内管の外ねじ部と前記外管の内ねじ部を螺着することにより、前記内管の端面により前記弾性筒の一端面を押圧して、前記弾性筒の他端面を前記外管の受け面に押接するようにしたことを特徴とする粘性流体塗布装置。
【請求項3】
前記弾性筒の前記他端面がテーパ面であり、且つ前記外管の前記受け面がこのテーパ面が当接するテーパ面であり、このテーパ面同士を押接させることを特徴とする請求項1又は2記載の粘性流体塗布装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−314860(P2006−314860A)
【公開日】平成18年11月24日(2006.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−137037(P2005−137037)
【出願日】平成17年5月10日(2005.5.10)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】