説明

粘着付与樹脂と混合されたポリアクリレート感圧接着剤の安定化方法

本発明は、少なくとも1種の樹脂と、芳香環が少なくとも2個の炭素原子上でチオール及び/又はチオエーテルの誘導体である置換基により置換された少なくとも1種のo−、m−又はp−クレゾール誘導体とを含むポリアクリレート系感圧接着剤に関する。さらに、本発明は、該感圧接着剤の少なくとも一つの層を備えた接着テープ及び該クレゾール誘導体のポリアクリレート感圧接着剤用酸化防止剤としての使用に関するものでもある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粘着付与樹脂と混合されたポリアクリレート感圧接着剤の安定化方法に関する。
【背景技術】
【0002】
所定のエステル側基鎖長を有するアクリル酸エステルを主成分とするポリアクリレートは、感圧接着特性を示す。このエステル側基の長さが所定のレベルを超える場合には、感圧接着特性は、共重合体の結晶化のため失われる。
【0003】
ポリアクリレートは、従来の他の感圧接着剤用骨格重合体と比較して、幅広い特性プロファイルを示す。ポリアクリレート骨格重合体は、二重結合を有していない(「飽和系」)ため、老化プロセスに対して非常に安定である。このものは無色透明であり、しかもUV暴露下であっても並はずれて安定であることが分かっている。これらの事情のため、ポリアクリレートに対して老化抑制剤や光安定剤を加えることも必須ではないが、これに対し、例えば天然ゴム系感圧接着剤やスチレンブロック共重合体系感圧接着剤に対しては必須である。
【0004】
不飽和化合物は、老化からの保護が必要である。老化抑制剤については、一次酸化防止剤と二次酸化防止剤とに基本的な区別がなされている。一次酸化防止剤は、連鎖成長工程において連鎖停止剤として介在するのに対し、二次酸化防止剤又は予防的酸化防止剤は、連鎖開始や連鎖分岐の引き金となるヒドロペルオキシド基を破壊する。
【0005】
老化特性においては、シリコーン感圧接着剤がポリアクリレートを上回るが、シリコーン感圧接着剤はそれよりもかなり高価である。
【0006】
しかしながら、感圧接着剤ポリアクリレートの接着特性の所望の技術的側面を共重合体の組成のみにより調節する可能性は制限されている。この理由のため、ポリアクリレート感圧接着剤にも粘着付与樹脂を添加することが必要な場合が多い。
【0007】
ポリアクリレートのための樹脂成分は、原則として、例えばテルペン・フェノール樹脂や炭化水素型の粘着付与樹脂などの合成樹脂と、例えばロジン誘導体やポリテルペンなどの、純粋な形態又は様々な樹脂の混合物としての天然樹脂との両方を含む。
【0008】
ポリアクリレートは、極性の骨格重合体である。粘着付与樹脂が弾性骨格重合体において効果的に粘着活性を示すためには、基本的に多数の基準を満たす必要がある。一方、粘着付与樹脂は、骨格重合体と相溶性がなければならない。さらに、粘着付与樹脂のガラス転移点は、該エラストマーのガラス転移点よりも有意に高い状態にあるべきである。これに対する補足として、粘着付与樹脂のモル質量は、弾性骨格重合体のモル質量よりもかなり低くなければならない。
【0009】
これらの状況に基づき、良好な老化特性という理由で、テルペン・フェノール樹脂、すなわち芳香族変性HC樹脂と、ロジン誘導体、特に水素化ロジン誘導体とが適用の中心となっている。
【0010】
しかし、これらの粘着付与樹脂の全てには、該樹脂が多かれ少なかれ強い固有の色を有するという欠点があるところ、これは、これらの樹脂を透明で完全に無色の感圧接着剤に添加すると、その感圧接着剤が変色し、そしてそのポリアクリレート感圧接着剤の無色透明品質が失われることを意味する。
【0011】
キャリア材料に溶液の状態で被覆され、その後高温の乾燥トンネル内で乾燥される、樹脂がブレンドされたポリアクリレートは分解を伴う熱負荷を受け、感圧接着剤のわずかな褐変が生じる。ポリアクリレート感圧接着剤の無溶媒被覆は、例えば厚い層の状態で被覆することが可能である等の広範囲の無溶媒操作の利点のため、ますますその重要性が増している。しかしながら、感圧接着剤(PSA)をホットメルト方法により無溶媒被覆技術でキャリア材料に被覆する場合には、このPSAは、さらに高い熱負荷を受ける。もっぱら160℃付近の温度で30分までの期間、さらにはそれよりも長い期間が普通である。この種の熱負荷は、添加された粘着付与樹脂に酸化的損傷をもたらし、そしてこれは、使用する粘着付与樹脂に応じて、樹脂の褐変、すなわち樹脂ブレンドポリアクリレートPSAの褐変に反映されてしまう。
【0012】
化合物の色を安定化させる目的で、樹脂ブレンドポリアクリレートPSAにチオアルキル置換クレゾール誘導体型の老化抑制剤を使用することは、当該技術分野においては本願出願時までに行われていない。
【0013】
この種の老化抑制剤は、従来、感圧接着剤用途に好適な二重結合を有するエラストマーとの組み合わせでのみ記載されていた。
【0014】
例えば、Schmierer外の米国特許出願公開第20080070053号及びMiller外のWO2008/036322号には、スチレンブロック共重合体を主成分とする高剪断強度のPSAにおいて老化抑制剤として4,6−ビス(ドデシルチオメチル)−o−クレゾールを使用することが記載されている。Mader外のWO2006/128799号では、ブタジエン含有共重合体において光酸化分解に対する保護のためにチオアルキル置換クレゾールが使用されている。WO2006/095015において、Dubois外は、様々なブロック共重合体及び粘着付与樹脂を主成分とするPSAのために、老化抑制剤パッケージをIrganox 1726と共に使用している。WO2006/003092において、Maeder外は、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール及びポリウレタンを安定化させるために4,6−ビス(ドデシルチオメチル)−o−クレゾールを使用している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】米国特許出願公開第20080070053号明細書
【特許文献2】国際公開第2008/036322号パンフレット
【特許文献3】国際公開第2006/128799号パンフレット
【特許文献4】国際公開第2006/095015号パンフレット
【特許文献5】国際公開第2006/003092号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
この状況を改善させ、かつ、熱負荷後、特にホットメルト方法による被覆後に、非常に明るい色を示し続け、高い透明性のままであり、しかも暗い色への変色を受けない粘着付与樹脂配合ポリアクリレートPSAを製造することのできる方法を示すことが本発明の目的であった。
【課題を解決するための手段】
【0017】
この目的は、一分子内に一次老化抑制剤及び二次老化抑制剤の機能を同時に保持する特定の老化抑制剤を使用することにより達成された。
【0018】
したがって、本発明は、少なくとも1種の樹脂と、芳香環が少なくとも2個の炭素原子上で硫黄含有置換基により置換された少なくとも1種のクレゾール誘導体(o−、m−及び/又はp−クレゾール誘導体)とを含むポリアクリレート系感圧接着剤に関し、ここで、該置換基は、チオール及び/又はチオエーテルの誘導体であり、言い換えれば、構成単位−S−R及び/又は−R−S−R(Rが有機基、特に炭化水素鎖を表す場合には、以下、チオアルキル鎖という。)を有する(それに応じて変性されたクレゾール化合物を、以下、チオアルキル変性クレゾール誘導体という。)。
【0019】
上記置換基によるクレゾール誘導体の芳香環の置換は、特に、該芳香環のC3、C4、C5及びC6炭素原子の少なくとも2個で生じる。
【0020】
本発明の老化抑制剤は、特に、芳香環がOH基(ヒドロキシル基)に対してオルト位及びメタ位でチオアルキル鎖により置換されたクレゾール誘導体であり、ここで、その硫黄原子は、直接的に(非介在的に)又は間接的に、特に1個以上のアルキル鎖を介して、該クレゾール構成単位の芳香環に結合することが可能である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
好ましい方法では、クレゾール誘導体の硫黄含有置換基は、−S−R及び−(CH−S−R(ここで、xは整数を表し、R基は、互いに独立に、分岐及び非分岐飽和脂肪族炭化水素基(アルキル基)の群G3から特に好ましく選択される有機基を表す。)よりなる群G1から選択される。
【0022】
芳香族と硫黄原子との間の炭素原子の数は、有利には1〜10、好ましくは1〜4(つまり、特に1≦x≦10、特にx=1、2、3又は4である)。
【0023】
アルキル側鎖(アルキル基R)の炭素原子数は、好ましくは1〜25の範囲内、好ましくは6〜16の範囲内である。特に有益な老化抑制剤は、アルキル基Rが8、9、10、11及び/又は12個の炭素原子を有する基であるものである。
【0024】
非常の好ましい方法では、クレゾール誘導体の2個又は随意に2個を超える硫黄含有置換基が同じものから選択される。
【0025】
本発明の好ましいクレゾール誘導体は、次式で説明できる。
【化1】

式中、R、R、R及びR基の2つは、群G1から選択され、他の2つの基R、R、R及びRは、それぞれ独立に、分岐及び非分岐アルキル鎖並びに水素よりなる群G2から選択される。特に 硫黄含有置換基ではない2個の基は水素である。さらに有利には、この式においても、硫黄含有置換基は、ヒドロキシル基に対してオルト位及びメタ位(C6及びC4位)に位置する。
【0026】
本発明の老化抑制剤の特に好ましい例は、4,6−ビス(アルキルチオアルキル)−o−クレゾール型の化合物であり、例えば4,6−ビス(ドデシルチオメチル)−o−クレゾール、4,6−ビス(ウンデシルチオメチル)−o−クレゾール、4,6−ビス(デシルチオメチル)−o−クレゾール、4,6−ビス(ノニルチオメチル)−o−クレゾール及び4,6−ビス(オクチルチオメチル)−o−クレゾールである。これらの種の老化抑制剤は、例えば、Irganox(登録商標)1726又はIrganox(登録商標)1520という商品名でチバ社から入手できる。
【0027】
本発明のクレゾール誘導体老化抑制剤は、単独で使用でき(クレゾール老化抑制剤の1種以上)、或いは他の老化抑制剤との混合物として使用できるが、この場合、使用される他の老化抑制剤は、好ましくは、立体障害フェノール及び/又は紫外線吸収剤とすることができる。
【0028】
老化抑制剤の添加量又は2種以上の老化抑制剤の添加量(2種以上の老化抑制剤の場合)は、全固形分を基にして、有利には0.1重量%〜10重量%の範囲内、好ましくは0.2重量%〜5重量%の範囲内、より好ましくは0.5重量%〜3重量%の範囲内である。
【0029】
ポリアクリレートPSA(ポリアクリレート系PSA)は、飽和系、言い換えれば、二重結合を有しない又は二重結合の残存数がほんのわずかしかない重合体である。
【0030】
粘着付与樹脂としては、従来技術で知られている通常の粘着付与樹脂を使用することが可能である。有利には、該少なくとも1種の樹脂は、テルペン・フェノール樹脂、ロジン誘導体、芳香族部分を有する炭化水素樹脂、ポリテルペン樹脂、芳香族変性ポリテルペン樹脂、上記樹脂の混合物よりなる群G4から選択される。
【0031】
さらに、本発明は、芳香環が少なくとも2個の炭素原子上でチオール及び/又はチオエーテルの誘導体である硫黄含有置換基により置換されたクレゾール誘導体(o−、m−及び/又はp−クレゾール誘導体)の、ポリアクリレートPSA、特に樹脂含有ポリアクリレートPSA用の老化抑制剤としての使用を提供する。ポリアクリレートPSA用、特に樹脂含有ポリアクリレートPSA用の老化抑制剤として本発明に従って使用されるクレゾール誘導体は、特に、上記クレゾール誘導体の1種以上(単独又は他の老化抑制剤、特に特定した他の老化抑制剤との混合物)である。
【実施例】
【0032】
実験的調査
アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸グリシジル及びアクリル酸を主成分とする様々な組成のポリアクリレート重合体と、様々な粘着付与樹脂、特にテルペン・フェノール樹脂と組み合わせたものを調査した。
【0033】
例として次の樹脂を記載することができる:
樹脂: 物質の種類 軟化点(R&B):
DT110(DRT) テルペン・フェノール樹脂 115℃
TP115(Arizona) テルペン・フェノール樹脂 115℃
TP95(Arizona) テルペン・フェノール樹脂 95℃
TF−100(Xinyi) テルペン・フェノール樹脂 100℃
【0034】
全ての場合において、使用したポリアクリレートPSAの色は、期待通り安定であった。使用した粘着付与樹脂は、全て、多かれ少なかれ強い固有の色を有しており、保存温度に応じてさらに暗い色に変化した。軟化点の低いテルペン・フェノール樹脂は、温度の影響下で暗い色への変色を受ける強い傾向を示した。
【0035】
立体障害アミン又はホスフィット又は有機スルフィド型の従来の一次又は二次酸化防止剤は、実施した調査ではいかなる顕著な活性も示さなかった。調査したものには、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール(BHT)、テトラキス(メチレン3−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)メタン(Irganox1010)、2,4−ビス(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン(Irganox565)又はトリス(ジノニルフェニル)ホスフィット(Irgafos TNPP)又はそれらの混合物が含まれていた。
【0036】
この場合の使用量は、PSAの固形分に基づき、0.2重量%〜2重量%であった。
【0037】
実施した試験の過程で、不飽和エラストマー用の既知の老化抑制剤は、ポリアクリレート−粘着付与樹脂コンパウンドの色に十分な安定化効果を及ぼさないことが分かった。
【0038】
PSAの色を比較的高温で安定化させることについての非常に良好な効果は、本発明の老化抑制剤の群からの老化抑制剤のみにより、ここでは特に4,6−ビス(アルキルチオアルキル)−o−クレゾール、好ましくはIrganox(登録商標)1726及びIrganox(登録商標)1520により得ることができた。
【0039】
本発明の老化抑制剤を使用することによって、樹脂配合PSAが(熱負荷下であっても)時間経過と共により暗くなる傾向を示さないことが可能とした。場合によっては、本発明の老化抑制剤を使用することによりPSAの明色化を認めることも実際に可能であった。
【0040】
これにより、PSAを暗色化させることなく、ホットメルト方法であっても樹脂配合PSAを使用することが可能になる。したがって、簡単な方法で、樹脂配合PSAをさらにホットメルト方法で十分に処理加工し、しかも明るい色、透明及び/又は無色の製品を製造することが可能である。
【0041】
実施した調査の結果を以下の表にまとめる。ここでの定義は次のとおりである:
Irganox1520 4,6−ビス(オクチルチオメチル)−o−クレゾール
(Irganox(登録商標)1520;Ciba)

Irganox1726 4,6−ビス(ドデシルチオメチル)−o−クレゾール
(Irganox(登録商標)1726;Ciba)

DT110 テルペン・フェノール樹脂、軟化点115℃
(Dertophene(登録商標)T 110; DRT;製造者による軟化点:111℃)

TP115 テルペン・フェノール樹脂、軟化点115℃
(Sylvares(登録商標)TP 115、Arizona)

TP95(Arizona) テルペン・フェノール樹脂、軟化点95℃
(Sylvares(登録商標)TP 95、Arizona)

TF-100 テルペン・フェノール樹脂、軟化点100℃
(TF-100(登録商標)、Xinyi))

Tinuvin765 紫外線吸収剤; ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケートとメチル1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルセバケート(CAS 41556-26-7及び82919-37-7)との混合物
(Tinuvin(登録商標)765、Ciba)

Irgafos168 トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスフィット(CAS 31570-04-4)
(Irgafos(登録商標)168、Ciba)

IrgavosP-EPQ テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)4,4−ビフェニルジホスホナイト(CAS 119345-01-6)
(Irgafos(登録商標)P-EPQ、Ciba)

DesmodurN3600 脂肪族ポリイソシアネート[低粘度ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)トリマー] (Desmodur(登録商標)N3600、BayerMaterialScience)

Irganox1010 テトラキス(メチレン(3,5−ジ(−t−)ブチル−4−ヒドロシンナメート))メタン(CAS 6683-19-8)1
(Irganox(登録商標)010、Ciba)

BHT ブチル化ヒドロキシトルエン(=2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール)(CAS 128-37-0)
【0042】
特定した化合物のいくつかの名称は、商標保護下にある。表中における対応する商標マークの省略は、その表示を自由に使用できることを意味するものではない。
【0043】
表中における量の数字は、質量部(TL)を表す。
【表1】

【0044】
【表2】

【0045】
黄変の評価で重要なのは、3次元色空間におけるb軸上での色の変化である。
【0046】
上記表から分かるように、1%又は2%のIrganox1726の添加後には、温度負荷後であっても、ポリアクリレートコンパウンドの顕著な変化はない。Irganox1726では、さらに、温度の影響下(約160℃まで)での色の安定性に関して110℃よりも高い軟化点を有するテルペン・フェノール樹脂よりも安定性が低い場合が多い比較的低い軟化点(95℃)を有するテルペン・フェノール樹脂をも安定化させることが可能である。
【0047】
Irganox1726濃度の増加は、コンパウンドの色に安定化効果をもたらす。Irganox1520を用いた例も同様にこの挙動を示す。
【0048】

例1:
60/95ベンジンスピリット中でのラジカル重合により製造され、かつ、48.5モル%のアクリル酸2−エチルヘキシル、48.5モル%のアクリル酸ブチル、1モル%のアクリル酸及び2モル%のメタクリル酸グリシジルを主成分とする共重合体からなる、約1.5百万g/モルの重量平均モル質量(M)を有するポリアクリレートPSAを、約30重量%のAizona社製テルペン・フェノール樹脂TP95と混練する。その後、このコンパウンドを2重量%のIrganox1726の60/95ベンジンスピリット溶液と混合する。その後、このコンパウンドを24時間にわたりローラー床上で均質化する。
【0049】
得られた樹脂配合ポリアクリレートPSAを、エッチングされたPETフィルム上に50g/mの被膜重量で実験用被覆ユニットにおける被覆用ナイフを使用して被覆する。
【0050】
この被覆材料を室温で24時間にわたり乾燥させ、そして基準物として色の測定をする。
【0051】
その後、この基準材料を強制空気乾燥オーブン内において150℃で3時間にわたり熱処理する。
【0052】
別々に保管した接着テープと、保管していない接着テープとの色及び光沢を、BYK Gardnerスペクトロ・ガイド比色計を使用して測定した。色を、光源D65/10°を用いたCIELabスケールで決定した。
【0053】
問題の3次元色空間における色の定義は次のとおりである:
1 L=明度(0=黒、100=白)
2 a=赤−緑(−120=緑、+120=赤)
3 b=黄−青(−120=青、+120=黄)
【0054】
各試料について、3回の測定を3カ所の異なる位置で実施した。
【0055】
使用した基準は、白色タイル(V+B Steinzeug、商品番号1106TW01、色45X)であった。その後、試料を基準タイルに付着させ、そして測定を行った。
【0056】
【表3】

【0057】
例2:
60/95ベンジンスピリット中でのラジカル重合により製造され、かつ、48.5モル%のアクリル酸2−エチルヘキシル、48.5モル%のアクリル酸ブチル、1モル%のアクリル酸及び2モル%のメタクリル酸グリシジルを主成分とする共重合体からなる、約1.5百万g/モルの重量平均モル質量(M)を有するポリアクリレートPSAを、約30重量%のAizona社製テルペン・フェノール樹脂TP95と混練する。その後、このコンパウンドを、1重量%のIrganox1726と1重量%のIrgafos168との混合物の60/95ベンジンスピリットへの溶液と混合する。その後、このコンパウンドを24時間にわたりローラー床上で均質化する。
【0058】
得られた樹脂配合ポリアクリレートPSAを、エッチングされたPETフィルム上に50g/mの被膜重量で実験用被覆ユニットにおける被覆用ナイフを使用して被覆する。
【0059】
この被覆材料を室温で24時間にわたり乾燥させ、そして基準物として色の測定をする。
【0060】
その後、この基準材料を強制空気乾燥オーブン内において150℃で3時間にわたり熱処理する。
【0061】
別々に保管した接着テープと、保管していない接着テープとの色及び光沢を、BYK Gardnerスペクトロ・ガイド比色計を使用して測定した。色を、光源D65/10°を用いたCIELabスケールで決定した。
【0062】
問題の3次元色空間における色の定義は次のとおりである:
4 L=明度(0=黒、100=白)
5 a=赤−緑(−120=緑、+120=赤)
6 b=黄−青(−120=青、+120=黄)
【0063】
各試料について、3回の測定を3カ所の異なる位置で実施した。
【0064】
使用した基準は、白色タイル(V+B Steinzeug、商品番号1106TW01、色45X)であった。その後、試料を基準タイルに付着させ、そして測定を行った。
【0065】
【表4】

【0066】
例3:
60/95ベンジンスピリット中でのラジカル重合により製造され、かつ、48.5モル%のアクリル酸2−エチルヘキシル、48.5モル%のアクリル酸ブチル、1モル%のアクリル酸及び2モル%のメタクリル酸グリシジルを主成分とする共重合体からなる、約1.5百万g/モルの重量平均モル質量(M)を有するポリアクリレートPSAを、約30重量%のAizona社製テルペン・フェノール樹脂TP95と混練する。その後、このコンパウンドを、1重量%のIrgaox1726と1重量%のTinuvin765との混合物の60/95ベンジンスピリットへの溶液と混合する。その後、このコンパウンドを24時間にわたりローラー床上で均質化する。
【0067】
得られた樹脂配合ポリアクリレートPSAを、エッチングされたPETフィルム上に50g/mの被膜重量で実験用被覆ユニットにおける被覆用ナイフを使用して被覆する。
【0068】
この被覆材料を室温で24時間にわたり乾燥させ、そして基準物として色の測定をする。
【0069】
その後、この基準材料を強制空気乾燥オーブン内において150℃で3時間にわたり熱処理する。
【0070】
別々に保管した接着テープと、保管していない接着テープとの色及び光沢を、BYK Gardnerスペクトロ・ガイド比色計を使用して測定した。色を、光源D65/10°を用いたCIELabスケールで決定した。
【0071】
問題の3次元色空間における色の定義は次のとおりである:
7 L=明度(0=黒、100=白)
8 a=赤−緑(−120=緑、+120=赤)
9 b=黄−青(−120=青、+120=黄)
【0072】
各試料について、3回の測定を3カ所の異なる位置で実施した。
【0073】
使用した基準は、白色タイル(V+B Steinzeug、商品番号1106TW01、色45X)であった。その後、試料を基準タイルに付着させ、そして測定を行った。
【0074】
【表5】

【0075】
例4:
ラジカル溶液重合により製造され、かつ、45モル%のアクリル酸2−エチルヘキシル、45モル%のアクリル酸n−ブチル、8モル%のアクリル酸メチル、1モル%のアクリル酸及び1モル%のメタクリル酸2−ヒドロキシエチルを主成分とし、62のK値、605000g/モルの重量平均モル質量(M)及び8.6の多分散性(約55%固形分)を有するアクリレート骨格重合体をBerstoff一軸押出器(濃縮押出器)により溶媒から非常に大きく遊離させた。出口温度は105℃で、固形分は99.7%であった。
【0076】
その後、このアクリレートホットメルトPSAを下流のWelding二軸押出器に導入し、そして粘着付与樹脂及び老化抑制剤を固形物計量装置により計量した。混合された粘着付与樹脂は、テルペン・フェノール樹脂TP95(Arizona Chemicals)であり、95℃のR&Bを有するものであった。使用した酸化防止剤は、チバ社製のIrganox1726(4,6−ビス(ドデシルチオメチル)−o−クレゾール)であった。
【0077】
この方法で製造されたコンパウンドは、70質量部のアクリレート骨格重合体、30質量部の粘着付与樹脂及び1質量部の老化抑制剤からなる。
【0078】
その後、このアクリレートホットメルトPSAをフィーダー押出器で溶融し、そして溶融重合体として二軸押出器に導入した。
【0079】
好適な計量装置を使用して架橋剤を二軸押出器内のPSAに添加した。3量体化HDIポリイソシアネートDesmodur N3600(Bayer AG)を0.45重量%(該アクリレート共重合体に基づく)添加した。
【0080】
ブレンドされた架橋PSAが二軸押出器から出てきた後に、これを、2ロール塗布装置ユニットを使用して、予備被覆された23μmPETフィルム上に50g/mの被膜重量で被覆した。
【0081】
その後、この被覆されたキャリア材料を室温で3日間状態調製した。
【0082】
状態調整後に、アクリレートホットメルト接着剤の高温での変色傾向を決定するために、次の熱負荷を行った:
1 乾燥オーブン内において140℃で10分
2 乾燥オーブン内において140℃で20分
3 乾燥オーブン内において140℃で3時間
【0083】
別々に保管した接着テープと、保管していない接着テープとの色及び光沢を、BYK Gardnerスペクトロ・ガイド比色計を使用して測定した。色を、光源D65/10°を用いたCIELabスケールで決定した。
【0084】
問題の3次元色空間における色の定義は次のとおりである:
10 L=明度(0=黒、100=白)
11 a=赤−緑(−120=緑、+120=赤)
12 b=黄−青(−120=青、+120=黄)
【0085】
各試料について、3回の測定を3カ所の異なる位置で実施した。
【0086】
使用した基準は、白色タイル(V+B Steinzeug、商品番号1106TW01、色45X)であった。その後、試料を基準タイルに付着させ、そして測定を行った。
【0087】
【表6】

【0088】
補足的接着性能試験
基準試料は、3日の状態調整後、熱負荷なしのものである。
【0089】
【表7】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1種の樹脂と、芳香環が少なくとも2個の炭素原子上でチオール及び/又はチオエーテルの誘導体を構成する置換基(「硫黄含有置換基」)により置換された少なくとも1種のo−、m−又はp−クレゾール誘導体とを含むポリアクリレート系感圧接着剤。
【請求項2】
前記クレゾール誘導体の置換基が、
−S−R及び−(CH−S−R
(式中、xは整数を表し、R基は、互いに独立に有機基を表す。)
よりなる群G1から選択されることを特徴とする、請求項1に記載の感圧接着剤。
【請求項3】
前記クレゾール誘導体がo−クレゾール誘導体であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の感圧接着剤。
【請求項4】
前記クレゾール誘導体の前記少なくとも2個の硫黄含有置換基が同じものから選択されることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の感圧接着剤。
【請求項5】
前記少なくとも1種のクレゾール誘導体が次の一般式:
【化1】

(式中、R、R、R及びR基の2つが前記群G1から選択され、他の2つの基R、R、R及びRがそれぞれ独立に分岐及び非分岐アルキル鎖並びに水素よりなる群G2から選択される。)
の化合物を示すことを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の感圧接着剤。
【請求項6】
前記クレゾール誘導体の硫黄含有置換基がヒドロキシル基に対してオルト位及びメタ位にあることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の感圧接着剤。
【請求項7】
及びRがそれぞれ独立に分岐及び非分岐の飽和炭化水素基の群G3から選択されることを特徴とする、請求項2〜6のいずれかに記載の感圧接着剤。
【請求項8】
1≦x≦10、特にx=1、2、3又は4であることを特徴とする、請求項2〜7のいずれかに記載の感圧接着剤。
【請求項9】
前記群G2のアルキル鎖中における炭素原子の数が1〜25の範囲内、好ましくは6〜16の範囲内、より好ましくは8又は12であることを特徴とする、請求項5〜8のいずれかに記載の感圧接着剤。
【請求項10】
4,6−ビス(アルキルチオアルキル)−o−クレゾール、特に 4,6−ビス(ドデシルチオメチル)−o−クレゾール、4,6−ビス(デシルチオメチル)−o−クレゾール、4,6−ビス(ノニルチオメチル)−o−クレゾール及び/又は4,6−ビス(オクチルチオメチル)−o−クレゾールを含むポリアクリレート系感圧接着剤。
【請求項11】
立体障害フェノール誘導体をさらに含む、請求項1〜10のいずれかに記載の感圧接着剤。
【請求項12】
紫外線吸収剤を含む、請求項1〜11のいずれかに記載の感圧接着剤。
【請求項13】
前記少なくとも1種の樹脂がテルペン・フェノール樹脂、ロジン誘導体、芳香族部分を有する炭化水素樹脂、ポリテルペン樹脂、芳香族変性ポリテルペン樹脂、上記樹脂の混合物よりなる群G4から選択されることを特徴とする、請求項1〜12のいずれかに記載の感圧接着剤。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれかに記載の感圧接着剤の少なくとも一つの層を備える片面又は両面接着テープ。
【請求項15】
感圧接着剤の少なくとも一つの層が1〜1000g/mの範囲内、好ましくは10〜300g/mの範囲内の単位面積当たりの質量を有することを特徴とする、請求項14に記載の接着テープ。

【公表番号】特表2013−514393(P2013−514393A)
【公表日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−543567(P2012−543567)
【出願日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際出願番号】PCT/EP2010/067732
【国際公開番号】WO2011/072977
【国際公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【出願人】(509120403)テーザ・ソシエタス・ヨーロピア (118)
【Fターム(参考)】