説明

粘着剤組成物

本発明は、粘着剤組成物、光学部材保護フィルム、光学部材及び液晶表示装置に関する。本発明では、高い低速剥離力と低い高速剥離力を有し、前記低速及び高速剥離力のバランスが優秀に維持され、被着体への濡れ性、耐久性、再剥離性、透明性及び帯電防止性が優れた粘着剤組成物及び光学部材保護フィルムを提供することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粘着剤組成物、光学部材保護フィルム、偏光板及び液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置には、偏光板、位相差板、光学補償フィルム、反射シート及び輝度向上フィルムなどのような多様な光学部材が含まれる。このような光学部材には、液晶表示装置の製造過程や製造後、出荷または流通過程での保護のために保護フィルムが付着される。
【0003】
光学部材保護フィルムは、剥離速度による剥離力の調節が非常に重要である。例えば、保護フィルムが役目を実行するためには適当な低速剥離力を有する必要がある。低速剥離力が低すぎると、光学部材の裁断過程などで浮上り現象が発生しやすくなり、これによって、外部からの汚染にも脆弱になる。
【0004】
また、液晶表示装置の製造過程では、一定時点で光学部材の保護フィルムを除去する場合があり、生産性側面で光学部材から保護フィルムを高速で剥離して除去するようになる。したがって、粘着剤の高速剥離力が高すぎる場合、液晶パネルが損傷されるか、静電気発生量が非常に大きくなって、パネルの駆動素子などを損傷させる。
【0005】
したがって、光学部材保護フィルムの粘着剤は、高い低速剥離力と低い高速剥離力とを同時に有する必要がある。
【0006】
しかし、粘着剤の低速及び高速剥離力は、架橋度などによって、同時に増加するか、または同時に減少する傾向があるため、高い低速剥離力と低い高速剥離力を持たせることは難しい問題である。
【0007】
例えば、特許文献1から4では、多様な粘着剤を開示しているが、前記文献の粘着剤は、低速及び高速剥離力のバランス、被着体に対する濡れ性や密着力などが低下される問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】日本特許公開平5−163468号公報
【特許文献2】日本特許公開平11−256111号公報
【特許文献3】日本特許公開第2001−323239号公報
【特許文献4】日本特許公開第2005−023143号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、前記のような従来の諸問題点を解消するために提案されたものであって、本発明の目的は、粘着剤組成物、光学部材保護フィルム、偏光板及び液晶表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、重量平均分子量が110万以下のアクリル樹脂を含み、硬化された後に前記アクリル樹脂を架橋された状態で有する相互浸透高分子ネットワーク(IPN:Interpenetrating Polymer Network)構造を含み、また、前記構造を含んだ状態で180度の剥離角度と0.3m/minの剥離速度で測定したTAC(Triacetyl cellulose)シートに対する剥離力が8gf/inchから40gf/inchであり、180度の剥離角度と30m/minの剥離速度で測定したTACシートに対する剥離力が80gf/inchから300gf/inchである粘着剤組成物に関する。
【0011】
以下、本発明の粘着剤組成物について詳細に説明する。
【0012】
本発明の粘着剤組成物は、重量平均分子量が110万以下のアクリル樹脂を含み、硬化された後には、前記アクリル樹脂が架橋されて形成される架橋構造と、前記架橋構造とは異なる種類の架橋構造と、を含むIPN構造を含む。
【0013】
用語「粘着剤組成物の硬化」は、光を照射するか、所定温度で粘着剤組成物を維持することで、物理的作用または化学反応により粘着剤組成物に粘着特性を発現させた状態を意味する。本明細書では、硬化された粘着剤組成物が、場合によって、粘着剤または粘着剤層と同一な意味で使用される。
【0014】
また、用語「光の照射」は、電磁気波の照射を意味し、前記電磁気波の例には、マイクロ波(microwaves)、赤外線(IR)、紫外線(UV)、X線及びγ線や、α−粒子ビーム(α−particle beam)、陽子ビーム(proton beam)、中性子ビーム(neutron beam)及び電子ビーム(electron beam)のような粒子ビームなどが含まれる。
【0015】
用語「IPN構造」は、前記のような硬化された後の粘着剤組成物内に2種類以上の架橋構造が同時に存在する状態を意味する。一例として、前記2種類以上の架橋構造は、お互いにインタングルメント状態(entanglement)で存在する。すなわち、本発明の粘着剤組成物は、硬化された後に、前記アクリル樹脂が架橋されて具現される架橋構造及び前記アクリル樹脂から具現される架橋構造とは異なる種類の架橋構造を少なくとも含む。前記アクリル樹脂は、例えば、多官能性架橋剤により架橋された状態で相互浸透高分子ネットワーク構造に含まれる。前記多官能性架橋剤により架橋されたアクリル樹脂の架橋構造は、前記粘着剤組成物に含まれる所定分子量のアクリル樹脂として架橋性アクリル樹脂を使用し、このような架橋性アクリル樹脂を粘着剤組成物の硬化過程で多官能性架橋剤により架橋させて具現することができる。用語 「架橋性アクリル樹脂」は、測鎖または末端に後述する多官能性架橋剤と反応することができる官能基が存在するアクリル樹脂を意味する。
【0016】
前記アクリル樹脂では、IPN構造を含む粘着剤の剥離力を考慮して、重量平均分子量(Mw:Weight Average Molecular Weight)が110万以下のアクリル樹脂を使用する。硬化後にIPNに多官能性架橋剤により架橋された状態で含まれるアクリル樹脂で重量平均分子量が110万以下の樹脂を使用することで、適切な低速及び高速剥離力特性を具現することができる。本明細書において、重量平均分子量は、GPC(Gel Permeation Chromatograph)で測定した標準ポリスチレン換算数値を意味し、より具体的には、後述する測定方法1の項目で規定する方式により測定した数値を意味する。また、本明細書では、特定しない限り、用語「分子量」は、「重量平均分子量」を意味する。
【0017】
前記アクリル樹脂の分子量は、好ましくは、100万以下、より好ましくは、80万以下、さらに好ましくは、60万以下である。前記アクリル樹脂の分子量の下限は、特別に限定されないで、例えば、粘着剤の凝集力や耐久性を考慮して、約15万以上、好ましくは、約30万以上の範囲で制御することができる。
【0018】
一例として、前記アクリル樹脂は、(メタ)アクリル酸エステル単量体及び架橋性単量体を重合単位で含むアクリル樹脂である。
【0019】
前記(メタ)アクリル酸エステル単量体では、例えば、アルキル(メタ)アクリレートを使用することができ、粘着剤の凝集力、ガラス転移温度及び剥離力などを考慮して、炭素数が1から14、好ましくは、1から12であるアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートを使用することができる。このようなアルキル(メタ)アクリレートでは、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルブチル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート及びテトラデシル(メタ)アクリレートなどを挙げることができ、上記のうち1種又は2種以上が樹脂に重合単位で含まれる。
【0020】
また、前記架橋性単量体は、例えば、前記(メタ)アクリル酸エステル単量体と共重合することでき、共重合後に樹脂に架橋性官能基を提供することができる単量体を意味する。
【0021】
前記架橋性官能基では、例えば、ヒドロキシ基、カルボキシル基、グリシジル基、イソシアネート基または窒素含有官能基などが挙げられ、通常的には、ヒドロキシ基またはカルボキシル基を使用することができる。この分野では、目的する架橋性官能基を考慮して、使用できる多様な架橋性単量体が公知されており、本発明では、そのような単量体を全て使用することができる。このような単量体の例では、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、8−ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチレングリコル(メタ)アクリレートまたは2−ヒドロキシプロピレングリコル(メタ)アクリレートなどのようなヒドロキシ基含有単量体、または、(メタ)アクリル酸、2−(メタ) アクリロイルオキシ醋酸、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル酸、4−(メタ)アクリロイルオキシブチル酸、アクリル酸ダイマー、イタコン酸、マレイン酸及び無水マレインなどのようなカルボキシル基含有単量体、または、(メタ)アクリルアミド、N−ビニルピロリドンまたはN−ビニルカプロラクタムなどのような窒素含有単量体などを挙げることができ、上記のうち1種または2種以上を前記アクリル樹脂に重合単位で含むことができるが、これらに限定されるものではない。
【0022】
前記アクリル樹脂は、前記(メタ)アクリル酸エステル単量体80重量部から99.8重量部及び架橋性単量体0.01重量部から10重量部を重合単位で含むことができる。これによって、粘着剤の凝集力、剥離力及び耐久性などの物性を適切に維持することができる。
【0023】
本明細書におい特定しない限り、用語「重量部」は「重量の割合」を意味する。
【0024】
前記アクリル樹脂は、必要によって、下記化学式1で表示される単量体を重合単位でさらに含むことができる。
【0025】
【化1】

【0026】
前記化学式1において、RからRは、各々独立的に水素またはアルキルを示し、Rは、シアノ、アルキルに置換または非置換されたペニル、アセチルオキシ、またはCORを示し、Rは、アルキルまたはアルコキシアルキルに置換または非置換されたアミノまたはグリシジルオキシを示す。
【0027】
前記化学式1の単量体は、例えば、粘着剤の物性を追加的に調節するか、あるいはその他の機能性を付与するために使用することができる。
【0028】
前記化学式1のRからRの定義において、アルキルまたはアルコキシは、炭素数1から8のアルキルまたはアルコキシを意味し、好ましくは、メチル、エチル、メトキシ、エトキシ、プロポキシまたはブトキシである。
【0029】
前記化学式1の単量体は、例えば、前述した(メタ)アクリル酸エステル単量体または架橋性単量体の重量割合対比20重量部以下でアクリル樹脂に含まれることができる。
【0030】
前記アクリル樹脂は、この分野で公知された通常の重合方法を通じて製造することができる。例えば、上述のような、(メタ)アクリル酸エステル単量体、架橋性単量体及び/又は化学式1の単量体などを目的とする重量割合によって適切に配合して単量体混合物を製造し、これを溶液重合(solution polymerization)、光重合(photo polymerization)、塊状重合(bulk polymerization)、懸濁重合(suspension polymerization)または乳化重合(emulsion polymerization)のような通常の重合方式に適用して製造することができる。この過程において必要な場合、適合な重合開始剤又は鎖移動剤などを共に使用することができる。
【0031】
前記粘着剤組成物は、硬化過程で前記アクリル樹脂と反応して架橋構造を具現することができる多官能性架橋剤をさらに含むことができる。
【0032】
多官能性架橋剤では、例えば、イソシアネート架橋剤、エポキシ架橋剤、アジリジン架橋剤及び金属キレート架橋剤のような公知の架橋剤の中で前記アクリル樹脂に含まれる架橋性官能基を考慮して適切な種類を使用することができる。前記イソシアネート架橋剤の例では、トリレンジイソシアネート、キシリンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、テトラメチルクシレンジイソシアネートまたはナフタレンジイソシアネートなどのように少なくとも2個以上のイソシアネート基を有する化合物や、または前記のような2個以上のイソシアネート基を有する化合物をポリオールと反応させて得られる架橋剤を挙げることができ、前記ポリオールでは、例えば、トリメチロールプロパンなどが挙げられる。また、エポキシ架橋剤では、エチレングリコールジグリシジルエーテル、トリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、N,N,N',N'−テトラグリシジルエチレンジアミン及び/又はグリセリンジグリシジルエーテルなどを挙げることができ、アジリジン架橋剤の例では、N,N'−トルエン−2,4−ビス(1−アジリジンカルボキサミド)、N,N'−ジフェニルメタン−4,4'−ビス(1−アジリジンカルボキサミド)、トリエチレンメラミン、ビスイソプロタロイル−1−(2−メチルアジリジン)及び/又はトリ−1−アジリジニルホスフィンオキシドなどを挙げることができるが、これに限定されるものではない。また、前記金属キレート系架橋剤の例では、アルミニウム、鉄、亜鉛、錫、チタン、アンチモン、マグネシウムまたはバナジウムのような多価金属がアセチルアセトンまたはアセト酢酸(acetoacetic acid)のアルキルエステルなどに配位している化合物などを挙げることができるが、これに限定されるものではない。
【0033】
前記粘着剤組成物またはIPN構造は、前記架橋剤を前記アクリル樹脂100重量部に対して、0.01重量部から10重量部、より好ましくは、0.01重量部から5重量部で含むことができる。このような範囲で、粘着剤の凝集力や耐久性を優秀に維持することができる。
【0034】
前記粘着剤組成物は、前記アクリル樹脂が架橋されて具現される架橋構造とは異なる種類の架橋構造を具現するための成分として光重合性化合物をさらに含むことができる。すなわち、前記IPN構造は、重合された光重合性化合物を含む架橋構造をさらに含むことができる。このような架橋構造は、粘着剤組成物に光重合性化合物を配合し、組成物の硬化過程で光の照射などを通じて前記光重合性化合物を重合させて具現することができる。用語「光重合性化合物」は、光の照射により重合されて架橋構造を具現するように、分子構造のうち光重合性官能基を少なくとも2個以上含む化合物を意味する。また、前記光重合性官能基は、光の照射により重合または架橋されることができる官能基として、その例では、アクリロイル基またはメタクリロイル基などのようなエチレン性不飽和二重結合を含む官能基などを挙げることができるが、これに限定されるものではない。
【0035】
前記光重合性化合物では、例えば、多官能性アクリレート(MFA:Multifunctional acrylate)を使用することができる。
【0036】
多官能性アクリレートの例では、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールアジペート(neopentylglycol adipate)ジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸(hydroxyl puivalic acid)ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(dicyclopentanyl)ジ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジシクロペンテニルジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性ジ(メタ)アクリレート、ジ(メタ)アクリロキシエチルイソシアヌレート、アリル(allyl)化シクロヘキシルジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノール(メタ)アクリレート、ジメチロールジシクロペンタンジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ヘキサヒドロフタル酸ジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノール(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコール変性トリメチルプロパンジ(メタ)アクリレート、アダマンタン(adamantane)ジ(メタ)アクリレートまたは9,9−ビス[4−(2−アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレン(fluorene)などの2官能性アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、3官能型ウレタン(メタ)アクリレートまたはトリス(メタ)アクリロキシエチルイソシアヌレートなどの3官能型アクリレート、ジグリセリンテトラ(メタ)アクリレートまたはペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレートなどの4官能型アクリレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートなどの5官能型アクリレート及び、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートまたはウレタン(メタ)アクリレート(例えば、イソシアネート単量体及びトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートの反応物など)などの6官能型アクリレートなどを挙げることができ、上記のうち1種または2種以上を混合を使用することができるが、これに限定されるものではない。
【0037】
本発明では、特に、分子量が1,000未満であり、3官能性以上、すなわち、(メタ)アクリロイル基を3個以上有するアクリレートを使用することが耐久性の側面で好ましいが、これに限定されるものではない。
【0038】
また、前記多官能性アクリレートでは、分子構造内に環状構造及び/又はウレタン結合を含むアクリレートを使用することが好ましい。この場合、アクリレートに含まれる環状構造は、炭素環状構造でも、複素環状構造でもよく、また、単環状構造でも多環状構造でもよい。具体的に、多官能性アクリレートに含まれる環状構造の例では、シクロペンタン、シクロヘキサンまたはシクロヘプタンなどのような炭素数3から12、好ましくは、炭素数3から8のシクロアルキル環状構造を挙げることができ、前記環状構造は、アクリレート内に一つ以上、好ましくは、1から5、より好ましくは、1から3個含まれて、また、O、SまたはNのようなヘテロ原子が一つ以上含まれてもよい。
【0039】
前記環状構造及び/又はウレタン結合を含む多官能性アクリレートの具体的な例では、トリス(メタ)アクリロキシエチルイソシアヌレートなどのイソシアヌレート構造を有する単量体、ウレタンアクリレート(例えば、分子中に環状構造を有するイソシアネート化合物(例えば、イソボロンジイソシアネート)及びアクリレート化合物(例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート又はジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート)の反応物など)などを挙げることができるが、これに限定されるものではない。
【0040】
前記粘着剤組成物またはIPN構造内において光重合性化合物は、前記アクリル樹脂100重量部に対して、1重量部から30重量部、好ましくは、3重量部から25重量部、より好ましくは、8重量部から25重量部、さらに好ましくは、10重量部から20重量部で含まれることができ、これによって、IPN構造を効果的に具現し、低速及び高速剥離力を良好に維持し、粘着剤の耐久性も安定的に確保することができる。
【0041】
また、粘着剤組成物は、光開始剤をさらに含むことができる。光開始制は、光照射により上述の光重合性化合物の重合反応を進行させて粘着剤内に架橋構造を付与することができる。
【0042】
光開始剤の種類は、特別に限定されない。光開始剤の具体的な例では、ベンゾイン系、ヒドロキシケトン系、アミノケトン系またはフォスフィンオキサイド系などを挙げることができ、具体的には、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾイン−n−ブチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、アセトフェノン、ジメチルアミノアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−プロパン−1−オン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−2−(ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、ベンゾフェノン、p−フェニルベンゾフェノン、4,4'−ジエチルアミノベンゾフェノン、ジクロロベンゾフェノン、2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−ターシャリ−ブチルアントラキノン、2−アミノアントラキノン、2−メチルチオキサントン(thioxanthone)、2−エチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、ベンジルジメチルケタール、アセトフェノンジメチルケタール、p−ジメチルアミノ安息香酸エステル、オリゴ[2−ヒドロキシ−2−メチル−1−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパノン]及び2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイドなどを挙げることができるが、これに限定されるものではない。本発明では、上記のうち1種または2種以上を使用することができる。
【0043】
前記光開始剤は、前記光重合性成化合物100重量部に対して、0.1重量部から10重量部、好ましくは、0.5重量部から10重量部、より好ましくは、0.5重量部から5重量部で含まれることができる。前記光開始剤の含量が少なすぎると、重合または硬化反応が円滑に行われない恐れがあり、多すぎると、耐久信頼性や透明性などのような物性が低下される恐れがある。
【0044】
粘着剤組成物は、帯電防止剤をさらに含むことができ、帯電防止剤では、アクリル樹脂など組成物に含まれる他の成分との相溶性が優秀であり、粘着剤の透明性、作業性及び耐久性などに悪影響を及ばないで、且つ粘着剤に帯電防止性能を付与することができるものであれば、何れの化合物でも使用することができる。帯電防止剤の具体的な例では、無機塩または有機塩などを挙げることができる。
【0045】
前記無機塩は、陽イオン成分としてアルカリ金属陽イオンまたはアルカリ土類金属陽イオンを含む塩である。前記陽イオンの具体的な例では、リチウムイオン(Li)、ナトリウムイオン(Na)、カリウムイオン(K)、ルビジウムイオン(Rb)、セシウムイオン(Cs)、ベリリウムイオン(Be2+), マグネシウムイオン(Mg2+), カルシウムイオン(Ca2+)、ストロンチウムイオン(Sr2+) 及びバリウムイオン(Ba2+) などの1種または2種以上を挙げることができ、好ましくは、リチウムイオン(Li)、ナトリウムイオン(Na)、カリウムイオン(K)、セシウムイオン(Cs)、ベリリウムイオン(Be2+)、マグネシウムイオン(Mg2+)、カルシウムイオン(Ca2+)及びバリウムイオン(Ba2+)の1種または2種以上を挙げることができ、イオン安全性及び粘着剤内での移動性の側面からリチウムイオン(Li)が一番好ましいが、これに限定されるものではない。
【0046】
また、前記有機塩は、陽イオン成分として、オニウム(onium)陽イオンを含む塩である。用語「オニウム陽イオン」は、少なくとも一部の電荷が窒素(N)、リン(P)及び硫黄(S)からなる群より選択された一つ以上の原子に偏在されている陽(+)に荷電されたイオンを意味する。前記オニウム陽イオンは、環型または非環型化合物であり、環型化合物の場合、非芳香族または芳香族化合物であることができる。また、前記環型化合物の場合、窒素、リンまたは硫黄原子以外のヘテロ原子(例えば、酸素)を一つ以上含むことができる。また、前記環型または非環型化合物は、任意に水素、ハロゲン、アルキルまたはアリールなどの置換体により置換されている。また、前記非環型化合物の場合、一つ以上、好ましくは、4個以上の置換体を含むことができ、この時、前記置換体は、環型または非環型置換体、芳香族または非芳香族置換体である。
【0047】
一例として、前記オニウム陽イオンは、窒素原子を含む陽イオンであり、好ましくは、アンモニウムイオンである。前記アンモニウムイオンは、4級アンモニウムイオンまたは芳香族アンモニウムイオンである。
【0048】
前記4級アンモニウムイオンは、具体的に、下記化学式2で表示される陽イオンであることが好ましい。
【0049】
【化2】

【0050】
前記化学式2において、RからRは、各々独立的に水素、置換または非置換されたアルキル、置換または非置換されたアルコキシ、置換または非置換されたアルケニル、置換または非置換されたアルキニル、置換または非置換されたアリール、または置換または非置換されたヘテロアリールを示す。
【0051】
前記化学式2の定義において、アルキルまたはアルコキシは、炭素数1から12、好ましくは、1から8のアルキルまたはアルコキシを示し、アルケニルまたはアルキニルは、炭素数2から12、好ましくは、炭素数2から8のアルケニルまたはアルキニルを示す。
【0052】
また、前記化学式2の定義において、アリールは、芳香族化合物から誘導された置換基として、フェニル、ビフェニル、ナフチルまたはアントラセニル環状システムなどを示し、ヘテロアリールは、O、N及びSから選択された一つ以上のヘテロ原子を含む5から12環のヘテロ環またはアリール環を意味し、具体的には、プリル、ピロリル、ピロデジニル、チエニル、ピリジニル、ピペリジル、インドリル、キノリル、チアゾール、ベンゾチアゾール及びトリアゾールなどを示す。
【0053】
また、前記化学式2の定義において、アルキル、アルコキシ、アルケニル、アルキニル、アリールまたはヘテロアリールは、一つ以上の置換基により置換されており、この時、置換基の例では、ヒドロキシ基、ハロゲンまたは炭素数1から12、好ましくは、1から8、より好ましくは、1から4のアルキルまたはアルコキシなどを挙げることができるが、これに限定されるものではない。
【0054】
本発明では、前記化学式2の陽イオンの中で4級アンモニウム系陽イオンを使用することが好ましくて、特に、RからRが各々独立的に炭素数1から12、好ましくは、炭素数1から8の置換または非置換されたアルキルである陽イオンを使用する。
【0055】
前記化学式2で表示される4級アンモニウムイオンの具体的な例では、N−エチル−N,N−ジメチル−N−(2−メトキシエチル)アンモニウムイオン、N,N−ジエチル−N−メチル−N−(2−メトキシエチル)アンモニウムイオン、 N−エチル−N,N−ジメチル−N−プロピルアンモニウムイオン、N−メチル−N,N,N−トリオクチルアンモニウムイオン、N,N,N−トリメチル−N−プロピルアンモニウムイオン、テトラブチルアンモニウムイオン、テトラメチルアンモニウムイオン、テトラヘキシルアンモニウムイオン及びN−メチル−N,N,N−トリブチルアンモニウムイオンなどを挙げることができるが、これに限定されるものではない。
【0056】
また、前記芳香族アンモニウムイオンの例では、ピリジ二ウム、ピリダジニウム、 ピリミジニウム、ピラジニウム、イミダゾリウム、ピラゾリウム、チアゾリウム、オキサゾリウム及びトリアゾリウムからなる群より選択された一つ以上を挙げることができ、好ましくは、炭素数4から16のアルキル基に置換されたN−アルキルピリジニウム、炭素数2から10のアルキルグル基に置換された1,3−アルキルメチルイミダゾリウム、及び炭素数2から10のアルキル基に置換された1,2−ジメチル−3−アルキルイミダゾリウムなどの1種または2種以上であり、これに限定されるものではない。
【0057】
また、本発明の前記芳香族アンモニウムイオンは、下記化学式3で表示される化合物である。
【0058】
【化3】

【0059】
前記化学式3において、R10からR15は、各々独立的に水素、置換または非置換されたアルキル、置換または非置換されたアルコキシ、置換または非置換されたアルケニル、置換または非置換されたアルキニル、置換または非置換されたアリール、または置換または非置換されたヘテロアリールを示す。
【0060】
前記化学式3において、アルキル、アルコキシ、アルケニル、アルキニル、アリール及びヘテロアリール、及びその置換体に対する定義は、前記化学式2と同一である。
【0061】
前記化学式3の化合物では、特に、R11からR15が各々独立的に水素またはアルキルであり、R10がアルキルであることが好ましい。
【0062】
本発明の帯電防止剤において前記のような陽イオンを含む無機塩または有機塩に含まれる陰イオンの例では、フルオライド(F)、クロライド(Cl)、ブロマイド(Br)、ヨーダイド(I)、ペルクロラート(ClO)、ヒドロキシド(OH)、カーボネート(CO2−)、ニトレート(NO) スルホネート(SO)、メチルベンゼンスルホネート(CH(C6H4)SO)、p−トルエンスルホネート(CHSO)、カルボキシベンゼンスルホネート(COOH(C)SO)、トリフルオロメタンスルホネート(CFSO)、ベンゾエート(CCOO)、アセテート(CHCOO)、トリフルオロアセテート(CFCOO)、テトラフルオロボレート(BF)、テトラベンジルボレート(B(C))、ヘキサフルオロホスフェート(PF)、トリスペンタフルオロエチルトリフルオロホスフェート(P(C))、ビストリフルオロメタンスルホンイミド(N(SOCF))、ビスペンタフルオロエタンスルホンイミド(N(SOC))、ビスペンタフルオロエタンカルボニルイミド(N(COC))、ビスぺルフルオロブタンスルホンイミド(N(SO))、ビスぺルフルオロブタンカルボニルイミド(N(COC))、トリストリフルオロメタンスルホニルメチド(C(SOCF))、及びトリストリフルオロメタンカルボニルメチド(C(SOCF))からなる群より選択されることが好ましいが、これらに限定されるものではない。前記陰イオンのうち、電子求引(electron withdrawing)の役目を行うことができ、疎水性が良好なフッ素が置換されてイオン安定性が高いイミド系陰イオンを使用することが好ましいが、これに限定されるものではない。
【0063】
帯電防止剤は、アクリル樹脂100重量部に対して、0.01重量部から5重量部、好ましくは、0.01重量部から2重量部、より好ましくは、0.1重量部から2重量部で粘着剤組成物に含まれる。前記含量が0.01重量部未満なら、目的する帯電防止効果が得られない恐れがあり、5重量部を超過すれば、他成分との相溶性が低下されて、粘着剤の耐久信頼性または透明性が悪くなる恐れがある。
【0064】
本発明の粘着剤組成物は、上述の成分とともに、前記帯電防止剤、具体的には、前記帯電防止剤に含まれる陽イオンと配位結合を形成することができる化合物(以下、「配位結合性化合物」と称する)をさらに含むことができる。配位結合性化合物を適切に含めば、相対的に少量の帯電防止剤を使用する場合にも、粘着剤層内部の陰イオン濃度を増加させて効果的に帯電防止性能を付与することができる。
【0065】
使用できる配位結合性化合物の種類は、分子内に前記帯電防止剤と配位結合可能な官能基を有するものであれば、特別に限定されない。
【0066】
本発明では、例えば、前記配位結合性化合物として、アルキレンオキシド系化合物を使用することができる。
【0067】
本発明で使用することができるアルキレンオキシド系化合物の具体的な種類は、特別に限定されないが、基本単位の炭素数が2以上、好ましくは、3から12、より好ましくは、3から8であるアルキレンオキシド単位を含むアルキレンオキシド系化合物を使用することが好ましい。
【0068】
また、本発明では、前記アルキレンオキシド系化合物は、分子量が5,000以下であることが好ましい。本発明で使用する用語「分子量」は、化合物の分子量または重量平均分子量を意味する。本発明において、アルキレンオキシド系化合物の分子量が5,000を超過すれば、粘度が過度に上昇して、コーティング性が悪くなるか、金属との錯体形成能が低下される恐れがある。一方、本発明で前記アルキレンオキシド化合物の分子量の下限は特別に限定されないで、例えば、500以上、好ましくは、4,000以上の範囲で適切に制御することができる。
【0069】
本発明で使用することができるアルキレンオキシド系キレート剤の具体的な例は、上述の特性を示す限り、特別に限定されないで、例えば、下記化学式4で表示される化合物を使用することができる。
【0070】
【化4】

【0071】
前記化学式4において、Aは、炭素数2以上のアルキレンを示し、nは、1から120を示し、R16及びR17は、各々独立的に水素、ヒドロキシ、アルキルまたは−C(=O)R18を示し、前記R18は、水素またはアルキル基を示す。
【0072】
前記化学式4の定義において、アルキレンは、炭素数3から12、好ましくは、3から8のアルキレンを示し、具体的には、エチレン、プロピレン、ブチレンまたはペンチレンを示す。
【0073】
また、化学式4の定義において、アルキルは、炭素数1から12、好ましくは、1から8、より好ましくは、1から4のアルキルを示し、nは、好ましくは、1から80、より好ましくは、1から40を示す。
【0074】
化学式4の化合物のより具体的な例では、ポリアルキレンオキシド(例えば、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキシド、ポリブチレンオキシドまたはポリペンチレンオキシドなど)、ポリアルキレンオキシド(例えば、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキシド、ポリブチレンオキシドまたはポリペンチレンオキシドなど)の脂肪酸系アルキルエステルまたはポリアルキレンオキシド(例えば、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキシド、ポリブチレンオキシドまたはポリペンチレンオキシドなど)のカルボン酸エステルなどを挙げることができるが、これに限定されるものではない。
【0075】
本発明では、上述のアルキレンオキシド系化合物の以外にも、韓国公開特許第2006−0018495号に開示された、分子のうち一つ以上のエーテル結合を有するエステル化合物や、韓国公開特許第2006−0128659に開示されたオキサラート基含有化合物、ジアミン基含有化合物、多価カルボキシル基含有化合物またはケトン基含有化合物などの多様な配位結合性化合物を必要によって適切に選択して使用することができる。
【0076】
前記配位結合性化合物は、アクリル樹脂100重量部に対して、3重量部以下、好ましくは、0.1重量部から3重量部、より好ましくは、0.5重量部から2重量部で粘着剤組成物に含まれる。前記含量が2重量部を超過すると、剥離力などの粘着剤物性が低下される恐れがある。
【0077】
また、粘着剤組成物は、シランカップリング剤をさらに含むことができる。シランカップリング剤では、例えば、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、γ−アセトアセテートプロピルトリメトキシシラン、γ−アセトアセテートプロピルトリエトキシシラン、β−シアノアセチルトリメトキシシラン、β−シアノアセチルトリエトキシシラン及びアセトキシアセトトリメトキシシランなどを挙げることができ、上記のうち1種または2種以上の混合を使用することができる。本発明では、アセトアセテート基またはβ−シアノアセチル基を有するシラン系カップリング剤を使用することが好ましいが、これに限定されるものではない。本発明の組成物においてシランカップリング剤は、アクリル樹脂100重量部に対して0.01重量部から5重量部、好ましくは、0.01重量部から1重量部の量で含まれる。カップリング剤の含量が0.01重量部未満なら、粘着力増加効果が低い恐れがあり、5重量部を超過すれば、耐久信頼性が低下される恐れがある。
【0078】
また、本発明の粘着剤組成物は、粘着性能の調節の観点から、粘着性付与樹脂をさらに含むことができる。このような粘着性付与樹脂の種類は、特別に限定されないで、例えば、ハイドロカーボン樹脂またはその水素添加物、ロジン樹脂またはその水素添加物、ロジンエステル樹脂またはその水素添加物、テルペン樹脂またはその水素添加物、テルペンフェノール樹脂またはその水素添加物、重合ロジン樹脂または重合ロジンエステル樹脂などの1種または2以上の混合物を使用することができる。前記粘着性付与樹脂は、アクリル樹脂100重量部に対して1重量部から100重量部の量で含まれる。前記含量が1重量部未満なら、添加効果の低い恐れがあり、100重量部を超過すれば、相溶性及び/または凝集力向上效果が低下される恐れがある。
【0079】
また、本発明の粘着剤組成物は、発明の効果に影響を及ばない範囲で、エポキシ樹脂、架橋剤、紫外線安定剤、酸化防止剤、調色剤、補強剤、充填剤、消泡剤、界面活性剤及び可塑剤からなる群より選択された一つ以上の添加剤をさらに含むことができる。
【0080】
前記粘着剤組成物は、硬化された後の状態、すなわち、IPN構造を含んだ状態でゲル(gel)分率が80%から99%である。前記ゲル分率は、下記一般式1で計算される数値である。
【0081】
[式1]
ゲル含量(重量%) = B/A × 100
【0082】
前記一般式1において、Aは、前記粘着剤の質量を示し、Bは、上記と同一な粘着剤を常温でエチルアセテートで48時間沈積した後に得た前記粘着剤の不溶解分の乾燥質量を示す。
【0083】
前記のような範囲内で粘着剤の低速及び高速剥離力特性を効果的に維持することができる。
【0084】
本発明の粘着剤組成物は、硬化された後、すなわち、IPN構造を含む状態で低速剥離力(X)が8gf/inchから40gf/inchであり、高速剥離力(X)が80gf/inchから300gf/inchである。用語「低速剥離力」は、180度の剥離角度及び0.3m/minの剥離速度で測定したTACシートに対する剥離力(X)を意味し、具体的には、後述する測定方法2の項目で規定する方式によって測定した剥離力を意味する。また、用語「高速剥離力」は、180度の剥離角度及び30m/minの剥離速度で測定したTACシートに対する剥離力(X)を意味し、具体的には、後述する測定方法2の項目で規定する方式によって測定した剥離力を意味する。
【0085】
低速剥離力(X)は、好ましくは、10gf/inchから30gf/inch、より好ましくは、10gf/inchから20gf/inchである。低速剥離力(X)を前記範囲で制御することで、光学部材を汚染から安定的に保護して、剥離時に光学部材を損傷させない粘着剤を提供することができる。
【0086】
また、高速剥離力(X)は、好ましくは、100gf/inchから280gf/inch、より好ましくは、100gf/inchから200gf/inch、さらに好ましくは、100gf/inchから150gf/inchである。高速剥離力を前記範囲で制御することで、高速剥離過程で被着体の損傷を誘発しないで、静電気などの発生も効果的に抑制することができる。
【0087】
また、高速剥離力(X)に対する低速剥離力(X)の割合、すなわち、X/Xが1から15、好ましくは、5から15、より好ましくは、7から13である。前記割合(X/X)を1から15で制御することで、光学部材保護フィルムとして、優秀な保護機能を示しながら、高速剥離時に効果的な剥離が行われるようにすることができる。
【0088】
また、本発明は、重量平均分子量が110万以下であり、また架橋された状態のアクリル樹脂を有する相互浸透高分子ネットワーク構造を含み、180度の剥離角度と0.3m/minの剥離速度で測定したTACシートに対する剥離力が8gf/inchから40gf/inchであり、180度の剥離角度と30m/minの剥離速度で測定したTACシートに対する剥離力が80gf/inchから300gf/inchである粘着剤層を含む光学部材保護フィルムに関する。
【0089】
前記保護フィルムの粘着剤層は、上述の本発明による粘着剤組成物を硬化させて形成することができる。したがって、前記粘着剤層に含まれる個個の成分や、前記粘着剤の低速及び高速剥離力(X、X)の具体的な測定方法や数値などは、前記粘着剤組成物における説明と同一である。
【0090】
また、前記光学部材保護フィルムは、例えば、基材をさらに含み、粘着剤層が前記基材の一面または両面に形成されているものである。上述のように、前記粘着剤組成物を硬化させて形成した粘着剤層は、高い低速剥離力及び低い高速剥離力を示しながら、両方のバランスも優秀である。また、前記粘着剤層は、優秀な耐久性、作業性、透明性及び帯電防止性を有することができる。これによって、前記粘着剤組成物は、各種光学装置または部品やディスプレー装置または部品に効果的に適用することができる。特に、透明基材及び前記透明基材上に形成された本発明の前記粘着剤層からなった粘着シートの場合、液晶表示装置などに使われる偏光板、位相差板、光学補償フィルム、反射シート及び輝度向上フィルムなどの光学部材を保護するための保護フィルムで効果的に使用することができる。
【0091】
しかし、前記保護フィルムの用途は、上述の用途に限定されないで、各種産業用シート、例えば、保護フィルム、クリーニングシート、反射シート、救助用粘着シート、写真用粘着シート、車線表示用粘着シート、光学用粘着製品または電子部品用粘着剤などに効果的に使われることができる。また、本発明のアクリル組成物は、多層構造のラミネート製品や、一般商業用粘着シート製品、医療用パッチ、加熱活性粘着剤(Heat−activated pressure−sensitive adhesive)などにも適用することができる。
【0092】
保護フィルムに使われる基材では、この分野の一般的な透明性フィルムを制限なしに使うことができ、その例では、ポリエステルフィルム(例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリブチレンテレプタレート)、ポリテトラフルオルエチレンフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリブテンフィルム、ポリブタジエンフィルム、塩化ビニル共重合体フィルムまたはポリイミドフィルムのようなプラスチックフィルムを挙げることができる。このような基材フィルムは、断層で構成するか、2層以上を積層することができ、場合によって、防汚層または帯電防止層などの機能性層をさらに含んでもよい。また、基材の密着性向上の観点から、前記基材の一面または両面にプライマー処理のような表面処理を行うこともできる。
【0093】
基材の厚さは、用途によって適切に選択することができ、特別に限定されない。通常的に、5μmから500μm、好ましくは、10μmから100μmの厚さで形成することができる。
【0094】
また、前記粘着剤層の厚さは、特別に限定されないで、例えば、2μmから100μm、好ましくは、5μmから50μmである。粘着剤層の厚さが上述の範囲を脱すれば、均一な粘着剤層形成が難しくなって粘着フィルムの物性が不均一になる恐れがある。
【0095】
前記粘着剤層を形成する方法は、特別に限定されない。例えば、バーコータなどの通常の手段で前記粘着剤組成物またはそれを含むコーティング液を基材などに塗布して硬化させる方法、または粘着剤組成物を一応剥離性基材の表面に塗布して硬化させた後に、形成された粘着剤層を転写させる方法などを使用することができる。
【0096】
また、前記過程で本発明の粘着剤組成物を硬化させる方法も特別に限定されない。例えば、組成物内に含まれたアクリル樹脂及び架橋剤が反応できるように適切な熟成工程を経るか、光重合性化合物の重合反応を誘導することができる光の照射、例えば、紫外線の照射などを通じて実行することができる。前記紫外線の照射は、例えば、高圧水銀ランプ、無電極ランプまたはキセノンランプ(xenon lamp)などの手段を使用して実行することができる。また、紫外線硬化方式での照射量は、諸般の物性を毀損しないで十分な硬化が行われる程度で制御すれば、特別に限定されない。例えば、照度が50mW/cmから1,000mW/cmであり、光量50mJ/cmから1,000mJ/cmであることが好ましい。
【0097】
また、本発明は、基材及び前記基材の一面または両面に付着された請求項12の保護フィルムを含む光学部材に関する。
【0098】
前記基材は、液晶表示装置に適用することができる機能性シートとして、例えば、偏光板、位相差板、光学補償フィルム、反射シートまたは輝度向上フィルムなどであることができ、通常的には偏光板である。
【0099】
前記偏光板は、例えば、偏光子及び前記偏光子の一面または両面に形成された偏光子保護フィルムを含む構造を有することができる。また、本発明の偏光板は、場合によって、保護層、反射層、 防幻層、位相差板、光視野角補償フィルム及び輝度向上フィルムからなる群より選択された一つ以上の機能性層をさらに含むことができる。
【0100】
偏光板に含まれる偏光子の種類は、特別に限定されないで、例えば、ポリビニルアルコール系偏光子などのように、この分野で公知されている一般的な種類を制限ないしに採用することができる。
【0101】
偏光子は、多くの方向に振動しながら入射される光から一方向に振動する光のみを抽出することができる機能性フィルムまたはシートである。このような偏光子は、例えば、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムに異色性色素が吸着配向されている形態である。偏光子を構成するポリビニルアルコール系樹脂は、例えば、ポリビニルアセテート系樹脂をゲル化して得ることができる。この場合、使用できるポリビニルアセテート系樹脂には、ビニルアセテートの単独重合体は勿論、ビニルアセテート及び前記と共重合可能な他の単量体の共重合体も含まれる。前記ビニルアセテートと共重合可能な単量体の例には、不飽和カルボン酸類、オレフィン類、ビニルエーテル類、不飽和スルホン酸類及びアンモニウム基を有するアクリルアミド類などの1種または2種以上の混合を挙げることができるが、これに限定されるものではない。ポリビニルアルコール系樹脂のゲル化度は、通常85モル%から100モル%程度、好ましくは、98モル%以上である。前記ポリビニルアルコール系樹脂は、追加に変性されていることができ、例えば、アルデヒド類に変性されたポリビニルホルマールまたはポリビニルアセタールなども使用することができる。また、ポリビニルアルコール系樹脂の重合度は、通常、1,000から10,000程度、好ましくは、1,500から5,000程度である。
【0102】
前記のようなポリビニルアルコール系樹脂を製膜して偏光子の円盤フィルムとして使用することができる。ポリビニルアルコール系樹脂を製膜する方法は、特別に限定されないで、この分野で公知されている一般的な方法を使用することができる。ポリビニルアルコール系樹脂で製膜された円盤フィルムの厚さは、特別に限定されないで、例えば、1μmから150μmの範囲内で適切に制御することができる。延伸の容易性などを考慮して、前記円盤フィルムの厚さは、10μm以上に制御することができる。
【0103】
偏光子は、前記のようなポリビニルアルコール系樹脂フィルムを延伸(例えば、一軸延伸)する工程、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを異色性色素で染色して、その異色性色素を吸着させる工程、異色性色素が吸着されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムをホウ酸(boric acid)水溶液で処理する工程及び、ホウ酸水溶液で処理後に水洗する工程などを経て製造することができる。前記異色性色素としては、ヨード(iodine)や異色性の有機染料などを使用することができる。
【0104】
また、本発明の偏光板は、前記偏光子の一面または両面に形成された保護フィルムをさらに含むことができる。前記保護フィルムは、上述の本発明による粘着剤層を含む保護フィルムとは区別される概念である。本発明の偏光板に含まれることができる保護フィルムの種類は、特別に限定されないで、例えば、トリアセチルセルロースのようなセルロース系フィルム、ポリカーボネートフィルムまたはポリエチレンテレフタレートフィルムのようなポリエステルフィルム、ポリエテルスルホン系フィルム、及び/またはポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルムまたはシクロ系やノルボルネン構造を有するポリオレフィンフィルムまたはエチレンプロピレン共重合体のようなポリオレフィン系フィルムなどで構成される保護フィルムが積層された多層フィルムで形成することができる。この時、前記保護フィルムの厚さも特別に限定されないで、通常的な厚さで形成することができる。
【0105】
また、本発明は、液晶パネル、及び前記液晶パネルの一面または両面に付着された前記光学部材を含む液晶表示装置に関するもので、前記光学部材は、通常的に前記保護フィルムが付着された偏光板である。
【0106】
液晶表示装置に含まれる液晶パネルの種類は、特別に限定されない。例えば、TN(Twisted Nematic)型、STN(Super Twisted Nematic)型、F(ferroelectric)型及びPD(polymer dispersedLCD)型などを含む各種受動行列方式と、2端子型(two terminal)及び3端子型(three terminal)を含む各種能動行列方式と、横電界型(IPS:In Plane Switching)パネル及び垂直配向型(VA:Vertical Alignment)パネルを含んだ公知の液晶パネルを全て適用できる。また、液晶表示装置に含まれるその他の構成の種類及びその製造方法も特別に限定されないで、この分野の一般的な構成を制限なしに採用して使用することができる。
【発明の効果】
【0107】
本発明は、高い低速剥離力と低い高速剥離力を有し、前記低速及び高速剥離力のバランスが優秀に維持され、被着体への濡れ性、耐久性、再剥離性、透明性及び帯電防止性が優れた粘着剤組成物及び光学部材保護フィルムを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0108】
以下、 本発明による実施例及び本発明によらない比較例を通じて本発明をより詳しく説明するが、本発明の範囲は、下記提示された実施例により限定されるものではない。
【0109】
[製造例1.アクリル樹脂(A1)の製造]
窒素ガスが還流され、温度調節が容易に冷却装置を設置した1L反応器に、2−エチルヘキシルアクリレート(2−EHA)98重量部及び2−ヒドロキシブチルアクリレート(2−HBA)2重量部を投入して、溶剤でエチルアセテート(EAc)100重量部を投入した。次に、窒素ガスを1時間の間パージング(purging)して酸素を除去し、温度を62℃に維持した。その後、反応開始剤(アゾビスイソブチロニトリル(AIBN))0.03重量部及び分子量調節剤(n−ドデシルメルカプタン(n−DDM))0.05重量部を投入して、8時間の間反応させた。反応後、反応物をエチルアセテート(EAc)で希釈して、固形分濃度が44重量%であり、重量平均分子量(Mw)が45万であるアクリル樹脂(A1)を製造した。
【0110】
[製造例2.アクリル樹脂(A2)の製造]
窒素ガスが還流され、温度調節が容易に冷却装置を設置した1L反応器に、ブチルアクリレート(BA)97.5重量部及び2−ヒドロキシブチルアクリレート(2−HBA)1.5重量部を投入して、溶剤でエチルアセテート(EAc)100重量部を投入した。次に、窒素ガスを1時間の間パージング(purging)して酸素を除去した後、温度を62℃に維持した。その後、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN))0.03重量部及びn−ドデシルメルカプタン(n−DDM))0.05重量部を投入して、8時間の間反応させた後、エチルアセテート(EAc)で希釈して、固形分濃度が44重量%であり、重量平均分子量(Mw)が60万であるアクリル樹脂(A2)を製造した。
【0111】
[製造例3.アクリル樹脂(A3)の製造]
窒素ガスが還流され、温度調節が容易に冷却装置を設置した1L反応器に、2−エチルヘキシルアクリレート(2−EHA)99重量部及び2−ヒドロキシブチルアクリレート(2−HBA)1重量部を投入して、溶剤でエチルアセテート(EAc)100重量部を投入した。次に、窒素ガスを1時間の間パージング(purging)して酸素を除去した。反応器の温度を60℃に維持して、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN))0.01重量部を投入した後、8時間の間反応させて、エチルアセテート(EAc)で希釈して、固形分濃度が44重量%であり、重量平均分子量(Mw)が120万であるアクリル樹脂(A3)を製造した。
【0112】
[製造例4.アクリル樹脂(A4)の製造]
窒素ガスが還流され、温度調節が容易に冷却装置を設置した1L反応器に、2−エチルヘキシルアクリレート(2−EHA)99重量部及びアクリル酸(AA)1重量部を投入して、溶剤でエチルアセテート(EAc)100重量部を投入した。その後、窒素ガスを1時間の間パージング(purging)して、温度を62℃に維持した。次に、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN))0.03重量部及びn−ドデシルメルカプタン(n−DDM)0.05重量部を投入して、8時間の間反応させた後、エチルアセテート(EAc)で希釈して、固形分濃度が44重量%であり、重量平均分子量(Mw)が60万であるアクリル樹脂(A4)を製造した。
【0113】
[製造例5.アクリル樹脂(A5)の製造]
窒素ガスが還流され、温度調節が容易に冷却装置を設置した1L反応器に、2−エチルヘキシルアクリレート(2−EHA)98重量部及び2−ヒドロキシブチルアクリレート(2−HBA)2重量部を投入して、溶剤でエチルアセテート(EAc)100重量部を投入した。次に、窒素ガスを1時間の間パージング(purging)して酸素を除去し、温度を60℃に維持した。その後、反応開始剤(アゾビスイソブチロニトリル(AIBN))0.03重量部及び分子量調節剤(n−ドデシルメルカプタン(n−DDM))0.01重量部を投入して、8時間の間反応させた。反応後、反応物をエチルアセテート(EAc)で希釈して、固形分濃度が44重量%であり、重量平均分子量(Mw)が80万であるアクリル樹脂(A5)を製造した。
【0114】
[製造例6.アクリル樹脂(A6)の製造]
窒素ガスが還流され、温度調節が容易に冷却装置を設置した1L反応器に、2−エチルヘキシルアクリレート(2−EHA)99重量部及び2−ヒドロキシブチルアクリレート(2−HBA)1重量部を投入して、溶剤でエチルアセテート(EAc)100重量部を投入した。次に、窒素ガスを1時間の間パージング(purging)して酸素を除去し、温度を60℃に維持した。その後、反応開始剤(アゾビスイソブチロニトリル(AIBN))0.01重量部及び分子量調節剤(n−ドデシルメルカプタン(n−DDM))0.02重量部を投入して、8時間の間反応させた。反応後、反応物をエチルアセテート(EAc)で希釈して、固形分濃度が44重量%であり、重量平均分子量(Mw)が100万であるアクリル樹脂(A6)を製造した。
【0115】
[実施例 1.]
(粘着剤組成物の製造)
製造例1のアクリル樹脂(A1)100g、トリメチロールプロパントリアクリレート10g、光開始剤(2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタノン)1.5g、架橋剤(トリメチロールプロパンのトリレンジイソシアネート付加物)1.5g、LiTFSi(lithiumbis(trifluoromethanesulfonyl)imide)0.3g及びポリエチレングリコールビス(2−ヘキサノエート)1.2gを均一に配合して、コーティング性を考慮して適正濃度で希釈して粘着剤組成物を製造した。
【0116】
(光学部材保護フィルムの製造)
前記粘着剤組成物を2軸延伸PET(poly(ethylene terephthalate))フィルム(厚さ:38μm)の一面にコーティング及び乾燥して、厚さが20μmである均一なコーティング層を形成させた。その後、コーティング層上に離形フィルムを合板して、高圧水銀ランプを使用して下記条件で紫外線処理を実行した。その後、50℃で3日間熟成させて保護フィルムを製造した。
【0117】
<紫外線の処理条件>
照度:約700mW/cmから750mW/cm
光量: 約150mJ/cmから200mJ/cm
【0118】
【表1】

【0119】
【表2】

【0120】
[実施例2から9及び比較例1から7]
粘着剤組成物の組成を上記表1または2に示したように変更して、紫外線の照射が必要な場合、照射条件を組成物の組成を考慮して、十分な硬化が発生するように調節したことの以外は、実施例1と同一な方法で粘着剤組成物及び保護フィルムを製造した。
【0121】
実施例及び比較例で製造された粘着剤または粘着フィルム(保護フィルム)に対して下記方式でその物性を評価した。
【0122】
[測定方法1.重量平均分子量の測定]
アクリル樹脂の重量平均分子量は、GPCを使用して、以下の条件で測定した。検量線の製作には、Agilent systemの標準ポリスチレンを使用して、測定結果を換算した。
【0123】
<重量平均分子量の測定条件>
測定機:Agilent GPC(Agilent 1200series、アメリカ)
コラム:PL Mixed B 2個連結
コラム温度:40℃
溶離液:テトラヒドロフラン
流速:1.0mL/min
濃度:〜2mg/mL(100μL injection)
【0124】
[測定方法2.TACシートに対する低速及び高速剥離力の測定]
低速剥離力(X)及び高速剥離力(X)は、以下の手続きによって測定した。製造された光学部材保護フィルムを10inch×1inch(横×縦)の大きさで裁断した。その後、裁断されたフィルムをTACシート(商品名:UZ−TAC、日本富士フィルム社(製))にJIS Z 0237によって、2kgのローラーを使用して付着した。その後、保護フィルムが付着されたTACシートを23℃の温度及び65%の相対湿度で24時間の間保管した。その後、常温で引張試験機を使用して、保護フィルムを180度の剥離角度及び0.3m/minの剥離速度で剥離しながら低速剥離力(X)を測定し、また、保護フィルムを180度の剥離角度及び30m/minの剥離速度で剥離しながら高速剥離力(X)を測定した。
【0125】
[測定方法3. AGシートに対する低速及び高速剥離力の測定]
低速剥離力及び高速剥離力は、以下の手続きによって測定した。製造された光学部材保護フィルムを10inch×1inch(横×縦)の大きさで裁断した。その後、裁断されたフィルムをAGシート(商品名:AGL25、日本DNP社(製))にJIS Z 0237によって、2kgのローラーを使用して付着した。その後、保護フィルムが付着されたAGシートを23℃の温度及び65%の相対湿度で24時間の間保管した。その後、常温で引張試験機を使用して、保護フィルムを180度の剥離角度及び0.3m/minの剥離速度で剥離しながら低速剥離力(X)を測定し、また、保護フィルムを180度の剥離角度及び30m/minの剥離速度で剥離しながら高速剥離力(X)を測定した。
【0126】
[測定方法4.濡れ性の測定]
実施例及び比較例で製造された保護フィルムを偏光板に付着して、2.5cm×25cm(横×縦)の大きさで裁断してサンプルを製造した。製造されたサンプルをガラス基板に両面テープを利用して付着した。その後、サンプルから保護フィルムを剥離した後、更に剥離された保護フィルムを偏光板において、保護フィルムの縦方向に均一に3等分したポイントに一定圧力を印加しながら、保護フィルムが偏光板表面にまったく染み付く時間を測定して、下記基準で濡れ性を評価した。
【0127】
<濡れ性の評価基準>
◎:偏光板表面をまったく濡れるようにするに10秒未満所要
○:偏光板表面をまったく濡れるようにするに10秒以上15秒未満所要
△:偏光板表面をまったく濡れるようにするに15秒以上20秒未満所要
×:偏光板表面をまったく濡れるようにするに30秒以上所要
【0128】
[測定方法5. 耐熱性測定]
実施例及び比較例で製造した保護フィルムをTACシート(UZ−TAC、日本富士フィルム社(製))面及びAGシート(商品名:AGL25、日本DNP社(製))面に2kgのローラーを使用して附着して、50℃のオーブンで7日間放置した後、常温で上述の方式と同一な方式で低速及び高速剥離力を測定して、下記基準で耐熱性を評価した。
【0129】
<耐熱性の評価基準>
○:初期対比1.2倍以下の低速及び高速剥離力を示す
△:初期対比1.2倍超過、1.5倍以下の低速または高速剥離力を示す
×:初期対比2倍以上の低速または高速剥離力を示す
【0130】
[測定方法6. 剥離定電圧の測定]
実施例及び比較例で製造した保護フィルムをTACシート(UZ−TAC、日本富士フィルム社(製))面及びAGシート(商品名:AGL25、日本DNP社(製))面に2kgのローラーを使用して附着して、23℃の温度及び50%の相手湿度で24時間保管して試料を製造した(試料形象:直四角形、試料大きさ:横縦の割合(横:縦)=3:4、対角線長さ=15インチ)。各々の試料からフィルムを40m/分の速度で剥離するうちに発生する定電圧を、試料表面から1cm高さで定電圧測定機(STATIRON−M2)で測定した。各々の場合、定電圧は3回測定して平均値を取り、剥離定電圧特性は、下記基準によって評価した。
【0131】
<評価基準>
○:剥離定電圧が0.5kV以下
×:剥離定電圧が0.5kV超過
【0132】
[測定方法7. 耐熱剥離帯電圧]
前記測定方法6の項目と同一な方式で製造した試料を50℃のオーブンで7日間放置した後、前記測定方法6と同一な方式で常温で剥離帯電圧を測定して、下記基準によって耐熱剥離帯電圧特性を評価した。
【0133】
<評価基準>
○:剥離定電圧0.5kV以下
×:剥離定電圧0.5kV超過
【0134】
前記方式で測定された物性は、下記表3から表5に整理して記載した。
【0135】
【表3】

【0136】
【表4】

【0137】
【表5】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
重量平均分子量が110万以下のアクリル樹脂を含み、硬化された後に前記アクリル樹脂を架橋された状態で有する相互浸透高分子ネットワーク構造を含み、前記構造を含んだ状態で180度の剥離角度と0.3m/minの剥離速度で測定したTACシートに対する剥離力が8gf/inchから40gf/inchであり、180度の剥離角度と30m/minの剥離速度で測定したTACシートに対する剥離力が80gf/inchから300gf/inchである、粘着剤組成物。
【請求項2】
アクリル樹脂は、重量平均分子量が100万以下である、請求項1に記載の粘着剤組成物。
【請求項3】
アクリル樹脂は、多官能性架橋剤により架橋された状態で相互浸透高分子ネットワーク構造に含まれる、請求項1に記載の粘着剤組成物。
【請求項4】
相互浸透高分子ネットワーク構造は、重合された光重合性化合物を有する架橋構造をさらに含む、請求項1に記載の粘着剤組成物。
【請求項5】
光重合性化合物は、多官能性アクリレートである、請求項4に記載の粘着剤組成物。
【請求項6】
光重合性化合物は、アクリル樹脂100重量部に対して1重量部から30重量部で含まれる、請求項4に記載の粘着剤組成物。
【請求項7】
帯電防止剤をさらに含む、請求項1に記載の粘着剤組成物。
【請求項8】
相互浸透高分子ネットワーク構造を含んだ状態でゲル含量が80%から99%である、請求項1に記載の粘着剤組成物。
【請求項9】
硬化された後に180度の剥離角度と0.3m/minの剥離速度で測定したTACシートに対する剥離力が10gf/inchから30gf/inchである、請求項1に記載の粘着剤組成物。
【請求項10】
硬化された後に180度の剥離角度と30m/minの剥離速度で測定したTACシートに対する剥離力が100gf/inchから280gf/inchである、請求項1に記載の粘着剤組成物。
【請求項11】
硬化された後に180度の剥離角度及び0.3m/minの剥離速度で測定したTACシートに対する剥離力(X)に対する180度の剥離角度及び30m/minの剥離速度で測定したTACシートに対する剥離力(X)の割合(X/X)が1から15である、請求項1に記載の粘着剤組成物。
【請求項12】
重量平均分子量が110万以下であり、架橋された状態のアクリル樹脂を有する相互浸透高分子ネットワーク構造を含み、180度の剥離角度と0.3m/minの剥離速度で測定したTACシートに対する剥離力が8gf/inchから40gf/inchであり、180度の剥離角度と30m/minの剥離速度で測定したTACシートに対する剥離力が80 gf/inchから300gf/inchである粘着剤層を含む、光学部材保護フィルム。
【請求項13】
基材、及び前記基材の一面または両面に付着された請求項12に記載の光学部材保護フィルムを含む、光学部材。
【請求項14】
基材が偏光板、位相差板、光学補償フィルム、反射シートまたは輝度向上フィルムである、請求項13に記載の光学部材。
【請求項15】
液晶パネル、及び前記液晶パネルの一面または両面に付着された請求項14に記載の光学部材を含む、液晶表示装置。

【公表番号】特表2013−520549(P2013−520549A)
【公表日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−554947(P2012−554947)
【出願日】平成23年2月28日(2011.2.28)
【国際出願番号】PCT/KR2011/001405
【国際公開番号】WO2011/105877
【国際公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【出願人】(500239823)エルジー・ケム・リミテッド (1,221)
【Fターム(参考)】