粘着性微粉体の回収方法及び装置

【課題】例えばスプレードライ乾燥又はパルス燃焼乾燥する際に、排気中に拡散して逃散する微粉状ゴムなどの粘着性微粉体を回収する。
【解決手段】粘着性微粉体が分散した排気流に、その流れ方向に対して角度180度方向から±100度以下の方向から、少なくとも一つの気体流を導入して、排気流中の粘着性微粉体を回収する方法及びその装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は排気流中の粘着性微粉体の回収方法及び装置に関し、更に詳しくはスプレードライ法又はパルス燃焼乾燥法により液体状のゴム溶液又はゴムラテックスを乾燥する際に発生する排気流中に分散した微粉状ゴムの回収方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、スプレードライ又はパルス燃焼乾燥により液体状のゴム溶液又はゴムラテックスを乾燥させた場合に、乾燥した微粉状ゴムが排気中に拡散するため、乾燥ゴムの約10%程度は回収できずに廃棄しており、しかもこれらのゴム粒子は粒径が10μm程度と小さい場合もあるために、例えばサイクロン回収装置を用いても回収しにくいという問題がある。
【0003】
蒸気等の湿った気流中に含まれる粘着性のある微粉体を確実に分離することによって、後段に集塵機を用いる必要がない程度まで粘着性のある微粉体を捕集することができるサイクロン方式の微粉体捕集装置は例えば特許文献1に記載されている。しかし、この文献には排気中の粉体の捕集回収については記載されていない。
【0004】
【特許文献1】特開2000−494号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、本発明の目的はスプレードライ法又はパルス燃焼乾燥法により液体状のゴム溶液又はゴムラテックスを乾燥させる際に、乾燥した微粉体ゴムが排気中に拡散し、しかもゴム粒径が10μm程度と小さいためにサイクロン回収装置でも回収しにくく、約10%程度は回収できずに損失しているという現状に鑑み、排気流中に分散した粘着性微粉体を回収(又は増大化して回収)する方法及び装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に従えば、粘着性微粉体が分散した排気流に、その流れ方向に対して角度180度方向から±100度以下の方向から、少なくとも一つの気体流を導入して、排気流中の粘着性微粉体を回収する方法が提供される。
【0007】
本発明に従えば、更に粘着性微粉体が分散した排気流の排気管並びにその流れ方向に対して角度180度方向から±100度以下の方向から気体を導入して粘着性微粉体を回収する少なくとも一つの気体導入用流路を含んでなる排気流中の粘着性微粉体の回収装置が提供される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、現状ではスプレードライ法又はパルス燃焼乾燥法により乾燥させた微粉体ゴムなどの粘着性微粉体が排気中に拡散して、約10%程度は回収できずに廃棄しているのに対し、排気流中に一定方向から気体流を導入することによって微粉ゴムを回収することができる。特に、本発明によれば排気中の微粉ゴムの粒径を大きくすることもできるので、サイクロン回収装置で回収されやすくなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明者らは、前記課題を解決すべく研究を進めた結果、例えば液体状のゴム溶液又はゴムエマルジョンをスプレードライ法又はパルス燃焼乾燥法により乾燥する時に発生する粘着性微粉体が分散した排気流に、その流れ方向に対して角度180度方向から±100度以下の方向から、少なくとも一つの気体流を、例えば気体導入流路より導入することにより、排気流中の粘着性微粉体を効果的に回収することができることを見出した。
【0010】
以下添付図面を参照しながら、本発明について具体的に説明する。
前述の如く、スプレードライ法又はパルス燃焼乾燥法などにより液体状ゴムラテックスなどを乾燥させるに際し、現状では、図1に示すように、乾燥した微粉状ゴムの一部が乾燥室上部から排気流中に拡散して、約10%程度は回収できずに廃棄している。しかもこのゴム粒子は粒径が小さいために、例えばサイクロン回収装置でも回収しにくいのが現状である。然るに本発明では、例えば図2に示すように、排気管中に空気、窒素、炭酸ガス、ヘリウムなどの気体を噴射することによって分散ゴム微粉体が噴射した部分で回収できるようになる。特に、排気中の微粉ゴムの粒径が大きくなって(例えば30μm程度)、サイクロン回収装置などの回収装置で回収されやすくなる。
【0011】
更に、具体的には、図2に模式的に示した気体噴射導入角度が排気流の流速方向に対して角度180度方向から±100度以下、好ましくは±60度以下であることが肝要でこの角度が180度±100度を超えると、所望の効果が得られない。本発明に従って回収することができるのは粘着性、タック性のある微粉体を含む排気流で、本発明によれば水やフィルター(ろ過)を使わないで微粉体ゴムを効果的に回収することができる。
【0012】
本発明によれば粘着性微粉体が分散した流速のある排気流などの気体流に、流速方向に対して角度180度方向から±100度以下の方向から気体流を少なくとも1流路以上から導入して微粒子を回収することができ、また微粉体の粒径増大化させて回収することができる。最も典型的には粘着性微粉体が液体状のゴム溶液又はゴムエマルジョン(ラテックス)をスプレードライ法又はパルス燃焼乾燥法により乾燥することで発生する微粉ゴム状組成物を含む排気流に適用することができる。前記流速には特に限定はないが、なるべく細い配管径から多量の気体流を導入するのが良く、配管径5〜20mmφで気体流量が10〜50m3/hであるのが好ましい。
【0013】
本発明に従ってゴム溶液又はゴムエマルジョンを乾燥するのに用いるスプレードライ法はゴム工業、その他のポリマー業界において汎用されている方法を用いることができ特に説明をする必要はないと考えるが、パルス燃焼乾燥法について少し説明する。本発明によれば、例えば天然ゴムラテックス又は乳化重合によって合成した合成ゴムラテックスを、例えば特開平7−71875号公報などに記載のパルス衝撃波を発生させるパルス燃焼機を用いて、乾燥してゴムを製造する。本発明ではこのようなパルス燃焼機を用いて、好ましくは固形分濃度60重量%以下のラテックスを、好ましくは周波数250〜1200Hz、更に好ましくは300〜1000Hzで、好ましくは温度140℃以下、更に好ましくは40〜100℃の条件下に乾燥室にラテックスを噴射乾燥させることができる。
【0014】
本発明に従って乾燥されるゴムラテックスの固形分(乾燥ゴム分)濃度は60重量%以下であるのが好ましく、20〜50重量%であるのが更に好ましい。この固形分濃度が60重量%を超えると、ラテックスの粘度が高くなると同時に安定性が低下するため、パルス衝撃波乾燥機に投入する際、輸送管内部で凝固したり、燃焼室への噴射がうまく行われないなどの不具合が生じる可能性がある。またこの固形分濃度が低すぎる場合は乾燥自体には問題はないが、単位時間に乾燥できるラテックスの量が減り、生産性が劣るので実用上問題が生じることがある。
【0015】
本発明に従って気体噴射されて排気流から分離された粘着性微粉体は、例えば汎用のサイクロン、集塵装置などの気固分離装置を用いて容易に回収することができる。
【実施例】
【0016】
以下、実施例によって本発明を更に説明するが、本発明の範囲をこれらの実施例に限定するものでないことはいうまでもない。
【0017】
実施例1〜4及び比較例1
天然ゴムラテックス(固形分30重量%)を不純物をろ過した後、図1に示すような構造の周波数1000Hz及び、温度60℃の条件でパルス衝撃波乾燥機(パルテック社製ハイパルコン)を用いて噴射して乾燥させた。乾燥時間は60分であった。次に図1に示すように、パルス衝撃波乾燥機の乾燥室上部からの排気を排気管に導き、図2に示すように一つ又は二つの気体流を種々の角度から気体導入流路から供給して排気中に含まれるゴム微粒子を回収した。
【0018】
実験条件は以下の通りであり、気体流導入方式及び結果は表Iに示す。
天然ゴム微粉体の粒径:10μm
微粉体処理量:650g/h
排気流風量:60m3/h
排気管径:120mm
気体流噴射管径:8mm
噴射空気量:30m3/h(実施例1)、20m3/h×2本(実施例2)、30m3/h(実施例3)、20m3/h×2本(実施例4)
【0019】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0020】
以上の通り、本発明によれば、例えばパルス燃焼乾燥方法(又はスプレードライ法)によってゴム溶液又はゴムラテックスを乾燥した場合に、排気中に拡散して逃散する微粒状ゴム粒子を、排気管中で、排気流の流れ方向に対して角度180度方向から±100度以下の方向で、気流を導入することにより、微粉ゴムを回収でき、また、排気中の微粉状ゴムの粒径も大きくすることができるので、例えばサイクロン回収装置で回収されやすくなるので、例えばゴム溶液又はゴムラテックスからのゴムの分離回収に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明に従ってゴム溶液(又はエマルジョン)をパルス燃焼乾燥する方法及び装置を説明する模式図である。
【図2】本発明に従って粘着性微粉体が分散した排気流に対して気体を導入する方向を模式的に示した図面である。
【図3】本発明の実施例1で用いた気流導入方式を示す模式図である。
【図4】本発明の実施例2で用いた気流導入方式を示す模式図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粘着性微粉体が分散した排気流に、その流れ方向に対して角度180度方向から±100度以下の方向から、少なくとも一つの気体流を導入して、排気流中の粘着性微粉体を回収する方法。
【請求項2】
粘着性微粉体が液体状のゴム溶液又はゴムエマルジョンをスプレードライ法又はパルス燃焼乾燥法により乾燥することで発生する微粉状ゴム組成物である請求項1に記載の回収方法。
【請求項3】
粘着性微粉体が分散した排気流の排気管並びにその流れ方向に対して角度180度方向から±100度以下の方向から気体を導入して粘着性微粉体を回収する少なくとも一つの気体導入用流路を含んでなる排気流中の粘着性微粉体の回収装置。
【請求項4】
粘着性微粉体が液体状のゴム溶液又はゴムエマルジョンをスプレードライ法又はパルス燃焼乾燥法により乾燥させる乾燥装置で発生する微粉状ゴム組成物である請求項3に記載の回収装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−330942(P2007−330942A)
【公開日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−168754(P2006−168754)
【出願日】平成18年6月19日(2006.6.19)
【出願人】(000006714)横浜ゴム株式会社 (4,892)
【Fターム(参考)】