説明

粘稠物容器

【課題】粘性調味料等を少量で個別に区分け収容でき、供食使用時には面倒な手間を要せず、手指、周囲等を汚損させることなく簡単に取り出し供給できる。
【解決手段】上部開放の有底筒状を呈し、内周壁面には雌ネジ2を形成して、底部には収容してある粘稠収容物Pを容器本体1外部に供給させる破断可能な被破砕膜4によって閉塞してある供給口3を設けた容器本体1を形成する。容器本体1の雌ネジ2にネジ結合する雄ネジ11を有して容器本体1内に捻回作用で進入可能になっていて、粘稠収容物Pを押出する底部の押出部13に前記被破砕膜4を破断する尖端を備えた破断突部14を形成した押出体10を設ける。また押出体10の上部には捻回操作部12を設け、この捻回操作部12は、有底筒状の押出体10本体の上部開口部縁に掛け渡し形成する。容器本体1は、粘稠収容物Pを供給させる物品容器Cの開口部に跨るセット板21を固定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は例えば納豆が1食毎で個別容器に収納された、いわゆる納豆容器において、同梱されている粘稠性の調味料である包装パック入りのカラシ等を収容しておき、手指等を汚損させることなく簡単に押し出して納豆容器内にカラシ等を供給できる粘稠物容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から一般的に供食されている納豆は、近時は1食毎に個別の小型容器内に、容易に破断開封できるよう小袋に区分け収容してパック詰めされた醤油、カラシ等の調味料と共に封入され、提供されるようになっている。供食に際し、調味料等は破断させた小袋から取り出し供給し、納豆に混練している。
【特許文献1】特になし
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところが、カラシは粘性があるためにその小袋を破断開封して取り出すときに手指等で小袋を押し潰すようにしても、小袋内に残留することがある。また手指等で破断開封するとき、切り裂いた開封口からカラシが急に飛び出し、手指、周囲等を汚損させることがある。これは小袋入りのカラシに限らず、粘性がある各種の調味料更には一般的な粘稠物についても同様である。
【0004】
そこで本発明は叙上のような従来存した諸事情に鑑み創出されたもので、その目的は粘性ある例えばカラシ等の調味料等を少量で個別に区分け収容しておき、しかも簡単に取り出し供給することにある。またその取り出し操作に際し、面倒な手間を要せず、手指、周囲等を汚損させることがない粘稠物容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決するため、本発明にあっては、上部開放の有底筒状を呈し、内周壁面には雌ネジ2が形成されていて、底部には収容してある粘稠収容物Pを容器本体1外部に供給させる破断可能な被破砕膜4によって閉塞されている供給口3を設けて成る容器本体1と、容器本体1の雌ネジ2にネジ結合する雄ネジ11を有して容器本体1内に捻回作用で進入可能になっていて、粘稠収容物Pを押出する底部の押出部13に前記被破砕膜4を破断する尖端を備えた破断突部14を形成して成る押出体10とを備えて成る。
押出体10の上部には捻回操作部12を設け、この捻回操作部12は、有底筒状の押出体10本体の上部開口部縁に掛け渡し形成する。
容器本体1は、粘稠収容物Pを供給させる所定の物品容器Cの開口部に跨るセット板21に固定しておくことができる。
容器本体1はセット板21に着脱自在にし、容器本体1には上部にフランジ状の固定縁27を設けると共に、この固定縁27に連続させて容器本体1の外側周面に取付片28を配し、セット板21には容器本体1を嵌め入れる固定孔22を開口形成すると共に、取付片28が挿入される位置決めスリット23を固定孔22縁に配する。
セット板21には、このセット板21の少なくともいずれか一方の端部に突出伸張可能にした伸張調整板24をスライド自在に組み合わせて成る。
【0006】
以上のように構成された本発明に係る粘稠物容器にあって、例えば粘性調味料である粘稠収容物Pを収容してある容器本体1内での押出体10の捻回操作は、押出体10の底部における押出部13を容器本体1の底部側に向かわせる。これと同時に、押出部13の破断突部14が被破砕膜4を破断することで供給口3を経て所定の粘稠収容物Pを押し出させる。
押出体10の底部における破断突部14は、容器本体1底部における供給口3の被破砕膜4を破断することで、容器本体1に収容した粘稠収容物Pの導出口を確保させる。また容器本体1内にネジ止めされる押出体10は、押出体10自体の捻回によって押出部13が粘稠収容物Pを押圧し、その押圧作用が粘稠収容物Pを被破砕膜4における破断部位に案内して供給口3から粘稠収容物Pを確実に押出させる。
押出体10上部の捻回操作部12は、押出体10自体を容器本体1内で捻回させ、押出部13、破断突部14を供給口3、被破砕膜4側へ進行させる。
セット板21は、これに固定の容器本体1を所定の物品容器Cの開口部に跨がせて載置セットさせ、当該物品容器Cと共に保持固定されることで、容器本体1内での押出体10の捻回操作を円滑にさせる。
容器本体1に設けた固定縁27、取付片28は、セット板21に設けられている固定孔22、位置決めスリット23との嵌め合いで、相互に別部材となっている容器本体1とセット板21とを、セット板21に対して容器本体1を回転不能な状態で位置決めセットして組み合わせ、押出体10による捻回操作を円滑にさせる。
セット板21に対して突出長さの調整が自在な伸張調整板24は、セット板21自体の全体長さを自在に調整させ、物品容器Cに載置セットするとき、これの開口部幅員の大小に対応させる。
【発明の効果】
【0007】
本発明は以上説明したように構成されているため、例えば個食に適する容量で小分け包装される納豆の如き各種の食品を収納している小型パック型の物品容器C内に、あるいはこの物品容器Cに添えられる調味料容器として利用できる。こうすることで、供食するときに添加されるカラシの如き粘性ある調味料を容器本体1内に予じめ封入しておき、供食時に取り出し、セット等した後の押出体10の容器本体1内での捻回操作によって、手指、周囲等を汚損することなく、簡単確実に粘稠収容物Pを物品容器C内に供給できる。
【0008】
すなわちこれは本発明において、上部開放の有底筒状で、粘稠収容物Pを収容した容器本体1内で押出体10を捻回することで、容器本体1の底部側に進行する押出体10底部の破断突部14によって容器本体1の底部を破断開口し、押出体10の押出部13によって供給口3を経て粘稠収容物Pを押出可能にしたからである。これによって、所定の物品容器Cに添えることで、粘性調味料の個別パック、手指、周囲等を汚損しない供食時の簡単な供給取り出し等を可能にする。
【0009】
また容器本体1には雌ネジ2を形成し、押出体10には雄ネジ11を形成してあるから、容器本体1内に押出体10をネジ結合でき、押出体10の捻回操作によって容器本体1内で押出体10を進行できる。そのため、押出体10の押出部13、破断突部14が容器本体1底部の被破砕膜4、供給口3を破断開口し、粘稠収容物Pを外部に簡単に押し出すことができる。また物品容器Cに添えられているときには容器本体1内に収容の粘稠収容物Pを外部環境の影響を受けずに新鮮な状態で保持でき、供食必要時での容器本体1に対する押出体10の捻回操作で、収容している粘稠収容物P等を簡単に取り出し可能にしている。
【0010】
押出体10底部の押出部13には、容器本体1底部の供給口3を閉塞している被破砕膜4を破断する尖端を備えた破断突部14を形成してあるから、容器本体1内での押出体10の進行で破断突部14が被破砕膜4位置に至り、更に進行すると被破砕膜4を破断するものとなる。こうして開口させた供給口3を経て押出部13の進行と共に粘稠収容物Pを容器本体1外に押出し、容器本体1内に粘稠収容物Pを残留させることがない。
【0011】
更に容器本体1は、物品容器Cの開口部に跨るセット板21に固定してあることで、このセット板21を物品容器Cの開口部に載置セットし、物品容器Cと共にセット板21を保持することによって、容器本体1に対する押出体10の捻回を確実に操作でき、容器本体1からの粘稠収容物Pの物品容器C内への取り出し供給を円滑にする。
【0012】
そしてまた、容器本体1の上部に設けたフランジ状の固定縁27に連続させて容器本体1の外側周面に取付片28を配し、一方、セット板21に開口形成した固定孔22の縁部に位置決めスリット23を配して、セット板21に容器本体1を着脱自在に固定することで、セット板21と容器本体1とを別々に取り扱うことができる。固定孔22への容器本体1の嵌め入れ、取付片28の位置決めスリット23への位置決め挿入によってセット板21に容器本体1を確実に位置決めでき、押出体10を捻回するときにセット板21に対して容器本体1が空回りすることがない。
【0013】
セット板21には伸張調整板24をスライド自在に組み合わせてあるから、伸張調整板24の突出伸張長さの調整でセット板21全体長さを調整できる。そのため、物品容器Cの開口部幅員に大小があってもこれに対応でき、物品容器Cへの載置セットを安定、確実にする。
【0014】
尚、上記の課題を解決するための手段、発明の効果の項夫々においての符号は、図面中に記載した構成各部を示す部分との参照を容易にするために付した。本発明は図面中の符号によって示された構造・形状等に限定されない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下図面を参照して本発明を実施するための最良の一形態を説明する。図において示される符号1は粘性があるペースト状の例えばカラシの如き粘性調味料である粘稠収容物Pを所定量で収容する容器本体である。この容器本体1は上部開放の有底筒状を呈し、内周壁面には雌ネジ2が形成されている。また底部には容器本体1内に収容してある粘稠収容物Pを容器本体1外部に供給させる破断容易可能な被破砕膜4によって閉塞されている供給口3を設けてある。
【0016】
容器本体1自体は例えば所定肉厚の合成樹脂材によって形成してあり、雌ネジ2が形成される容器本体1周囲の周側壁は、これ自体が内外で螺旋状溝が形成される凹凸のものとなっていてもよい。
【0017】
供給口3における被破砕膜4は、容器本体1内からの鋭利な尖端による刺通作用で、少なくとも開穿されるよう破断されるものとなっている。後述するように容器本体1及びこれにネジ止め進行される押圧体10等がある程度の剛性を備え、被破砕膜4と容器本体1とが一体的に形成されていても、被破砕膜4自体は脆弱性あるものとして形成される。例えば肉薄状にするか、容器本体1の素材に比し脆弱性がある素材とするか等とされる。ただ、刺通作用が付与されないときには破断されず、容器本体1内で所定の粘稠収容物Pを収容している状態とする。
【0018】
このような容器本体1には、これの底部にある被破砕膜4を破断し、内部に収容している粘稠収容物Pを押圧して押し出す押出体10が供給口3側にネジ止め進行するように組み合わせて配装してある。この押出体10は、容器本体1の雌ネジ2にネジ結合する雄ネジ11を有して容器本体1内に捻回作用で進入可能になっている。また、捻回操作部12を上部に設けると共に粘稠収容物Pを押出する押出部13に前記被破砕膜4を破断する尖端を備えた破断突部14を形成して成る。
【0019】
図示にあっての押出体10は、容器本体1内にネジ込まれる上部開放の有底筒状を呈している。また押出体10自体は例えば所定肉厚の合成樹脂材によって形成してあり、雄ネジ11が形成される押出体10周囲の周側壁は、これ自体が内外で螺旋状溝が形成される凹凸のものとなっていてもよい。尚、この押出体10自体は中空状とするか、中実の無垢状とするかは任意に選定可能である。
【0020】
捻回操作部12は、押出体10本体における上端に例えば横架状に掛け渡された板片として形成されている。もとより、この捻回操作部12はこれに限定されず、手指にて摘み、あるいは係止等することで押出体10を捻回操作できればよく、例えば突片状、突部状等であってもよい。
【0021】
押出部13は押出体10自体の底部としてあり、容器本体1における底部とは相互でほぼ並行面となるように形成されている。並行面とすることで、押出体10が容器本体1内に充分にネジ込まれて押出部13が容器本体1の底部内側面に到達したとき、容器本体1内の粘稠収容物Pを残留させることなく供給口3から押出できるようにする(図3参照)。図5にあっては、押出部13底面、容器本体1の底部内側面が共に、供給口3の中心側に至るに伴い次第に容器本体1の外方に突出するに傾斜した場合である。こうすることで、粘稠収容物Pの押出を一層確実にする。
【0022】
破断突部14は押出部13の底面に錐体状にして突出形成されている。この破断突部14の高さは、容器本体1内に収容してある粘稠収容物P容量の高さに比し高くはない。破断突部14の先端は、押出体10の捻回によって容器本体1内で進行して供給口3における被破砕膜4に至ると被破砕膜4を突き通してこれを破断するに足る鋭利性を備え、押出部13底面の粘稠収容物Pに対する押出作用と相俟ち、破断部位から粘稠収容物Pを押出する。
【0023】
また図1、図2においては、例えば納豆がパック詰めされている納豆容器である物品容器Cの開口部に掛け渡されて使用される例が示されている。すなわち物品容器C本体の開口縁に跨るように載置されるセット板21に、容器本体1自体を回転させることなく着脱自在に嵌め合わせて成る。具体的には図示例のように、例えば容器本体1の上部にフランジ状の固定縁27を設けると共に、この固定縁27に連続させて容器本体1の外側周面に複数の取付片28を放射状に配しておく。一方、セット板21には容器本体1を嵌め入れる固定孔22を開口形成すると共に、取付片28が挿入される位置決めスリット23を固定孔22縁に同じく放射状に配したものである。
【0024】
こうすることで、容器本体1の取付片28を位置決めスリット23に位置合わせして容器本体1を固定孔22に嵌め入れ、固定縁27をセット板21上面に当接することで、セット板21に容器本体1を嵌め合わせ固定する。一方、セット板21を物品容器C本体の開口縁に跨がせることで容器本体1の底部を物品容器C内に位置決めする。そして物品容器Cに対してセット板21を例えば手指で挟み込むように固定しておいて、押出体10の捻回で破断開口した供給口3から粘稠収容物Pを物品容器C内に押出する。
【0025】
更に図中符号24は、セット板21の少なくともいずれか一方の端部に突出伸張可能にしてセット板21にスライド自在に組み合わせた伸張調整板である。セット板21の端部の両側縁に形成した左右のスライド案内溝25にスライド可能にして嵌め合わせてあり、物品容器Cの開口幅員に大小があっても突出長さの調整でこれに対応可能にする。
【0026】
図3においては、セット板21に容器本体1を一体形成した例を示している。尚、容器本体1とセット板21とを一体にするか、別体にして組合せ可能にするかは任意に選定可能である。
【0027】
次にこれの使用の一例を説明する。例えば納豆が個食可能な収容容量でパック詰めされる納豆容器である所定の物品容器C等に付随して使用される。すなわちカラシ等の所定の調味料である粘稠収容物Pを容器本体1内に収容し、この容器本体1にネジ止めした押出体10にてほぼ密封状に封入した状態とした調味料容器として物品容器Cと共に提供しておく。このときの容器本体1は、図4に示されるように単独形態とするも、図1、図2に示されるようにセット板21との組合せ可能形態とするも、図3に示されるようにセット板21との一体形態とするも任意である。
【0028】
納豆を供食するに際し、開封した物品容器C本体の開口部にセット板21を跨がせ、容器本体1底部側を物品容器C本体内に位置決めする。このとき必要であれば伸張調整板24を適当に伸張させて物品容器C本体の開口部幅員に対応させる。次いで、物品容器Cに対してのセット板21を一方の手指等にて保持固定しながら、捻回操作部12を他方の手指等にて摘んで押出体10を捻回し、押出体10底部の押出部13にて被破砕膜4を破断し、開口した供給口3から粘稠収容物Pを押出する。
【0029】
尚、容器本体1はセット板21と組み合わせずに単独で使用もできる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明を実施するための最良の形態を示す分解斜視図である。
【図2】同じく使用状態の一例における断面図である。
【図3】同じく別の実施の形態における断面図である。
【図4】同じく別の実施の形態における一部切欠斜視図である。
【図5】同じく別の実施の形態における断面図である。
【符号の説明】
【0031】
C…物品容器 P…粘稠収容物
1…容器本体 2…雌ネジ
3…供給口 4…被破砕膜
10…押出体 11…雄ネジ
12…捻回操作部 13…押出部
14…破断突部
21…セット板 22…固定孔
23…位置決めスリット 24…伸張調整板
25…スライド案内溝 27…固定縁
28…取付片

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部開放の有底筒状を呈し、内周壁面には雌ネジが形成されていて、底部には収容してある粘稠収容物を容器本体外部に供給させる破断可能な被破砕膜によって閉塞されている供給口を設けて成る容器本体と、容器本体の雌ネジにネジ結合する雄ネジを有して容器本体内に捻回作用で進入可能になっていて、粘稠収容物を押出する底部の押出部に前記被破砕膜を破断する尖端を備えた破断突部を形成して成る押出体とを備えて成ることを特徴とする粘稠物容器。
【請求項2】
押出体の上部には捻回操作部を設け、この捻回操作部は、有底筒状の押出体本体の上部開口部縁に掛け渡し形成する請求項1に記載の粘稠物容器。
【請求項3】
容器本体は、粘稠収容物を供給させる所定の物品容器の開口部に跨るセット板に固定してある請求項1または2に記載の粘稠物容器。
【請求項4】
容器本体はセット板に着脱自在にし、容器本体には上部にフランジ状の固定縁を設けると共に、この固定縁に連続させて容器本体の外側周面に取付片を配し、セット板には容器本体を嵌め入れる固定孔を開口形成すると共に、取付片が挿入される位置決めスリットを固定孔縁に配した請求項1乃至3のいずれかに記載の粘稠物容器。
【請求項5】
セット板には、このセット板の少なくともいずれか一方の端部に突出伸張可能にした伸張調整板をスライド自在に組み合わせて成る請求項1乃至4のいずれかに記載の粘稠物容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−290722(P2007−290722A)
【公開日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−118624(P2006−118624)
【出願日】平成18年4月24日(2006.4.24)
【出願人】(506140882)
【Fターム(参考)】