説明

精神障害に関連する遺伝子変化

本発明は、個体の精神障害を発症する可能性を決定する方法に関する。より詳細には、本発明の方法は、メラトニンのモジュレーションに関与する遺伝子における遺伝子変化及び個体が精神障害(例えば、自閉症スペクトラム障害(ASD)、注意欠陥・多動性障害(ADHD)及び無食欲症)に罹患し易いかどうかを決定する経路に対するその結果の同定に基づく。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、個体の精神障害を発症する可能性を決定する方法に関する。より詳細には、本発明の方法は、メラトニンのモジュレーションに関与する遺伝子中の遺伝子変化、並びに或る個体が精神障害(例えば自閉症、欠陥・多動性障害(ADHD)及び無食欲症)に罹患し易いかどうかを決定するため及びそのような精神障害の治療のための経路に対するその結果の同定に基づく。
【背景技術】
【0002】
先行技術の簡単な説明
自閉症スペクトラム障害(ASD)及び注意欠陥/多動性障害(ADHD)
ASD及びADHDは、子供において最も優勢な精神医学的症候群であり、遺伝子により強く影響されるようである1-4。ASDは、コミュニケーション能力及び社会的相互作用の障害、並びに制限された反復的で常同的な行動様式によって特徴付けられる5。ASDには、自閉性障害(古典的自閉症)、崩壊性障害、特定不能の広汎性発達障害(PDD-NOS)及びアスペルガー症候群が含まれる。同胞群における自閉症の再現危険率は一般集団より約45倍高く、双生児研究により、一卵性双生児の一致率(60%〜91%)が二卵性双生児の一致率(0%〜6%)より高いことが証明されている1。更に、自閉症を有する個体の約10%が、他の症候群に関連する遺伝子(例えば、FMR1(ぜい弱X症候群)、TSC1及びTSC2(結節硬化)又はNF1(神経線維腫症))に染色体再配置(例えば、15qの重複)又は変異を有する。
【0003】
ADHDは、全ての幼児の比較的安定な比率8〜12%に影響する、小児期に最も一般的に診断される行動障害であり、正常行動の極端を表している可能性がある6。これは、小児期に現れる不注意及び/又は多動性−衝動性という行動上の症状により特徴付けられる状態である5。症状としては、情動不安、課題の整理が困難、逸らされ易い、忘れっぽい、順番を待つのが苦手、及び頻繁に邪魔するが挙げられる。ADHDは学齢児童で学業に顕著に影響し、一生涯の機能障害に至る。家族、双生児及び養子研究により、ADHDに対する感受性(susceptibility)の媒介に遺伝子が強力な役割を演じているという説得力ある証拠が提供された3,4
【0004】
これら2つの障害間の明らかな臨床上の境界にもかかわらず、或る程度の表現型的重複を示唆する行動的、認識的及び神経生物学的欠損(例えば、不適応な社会生活機能及び完遂機能欠損)が存在する7,8。更に、興奮薬による薬物療法に応答する、ASD及びADHDの症状を有する小児の有意なサブグループが存在する9。このことは、一部の症例に共通の神経生物学的メディエータが存在し得ることを示唆している。連鎖分析(例えば、16p13及び17p11)10又は染色体再配置(例えば、Xp22.3)11,12,13を用いて同じ染色体領域を指摘した遺伝子研究の結果からも、ASD及びADHDに共有される感受性遺伝子が示唆された。
【0005】
ASMT(アセチルセロトニンメチルトランスフェラーゼ)遺伝子及びAA NAT(アリールアルキルアミンアセチルトランスフェラーゼ)遺伝子
ASMT遺伝子は、X染色体及びY染色体に共通する偽常染色体領域1(PAR1)に位置する14。ASMTは酵素HIOMT(ヒドロキシインドール-O-メチルトランスフェラーゼ;EC 2.1.1.4)をコードする。この酵素は、メラトニン生合成の最後の工程を触媒する。メラトニン(N-アセチル-5-メトキシトリプタミン)は松果腺の主要な分泌性産物である。メラトニンは、トリプトファンから、先ずセロトニンへ、次いでN-アセチルセロトニンへ、最終的にはメラトニンに変換されることにより産生される15,16。メラトニンの合成は、顕著な概日リズムを示す:身体中のその濃度は、代表的には、日中低く、夜間暗闇で最大レベルに達する15。松果腺におけるメラトニン産生の調節には、特に、β-アドレナリン性レセプターへのノルエピネフリン(NE)のカップリングが関与する17。メラトニンは、概日リズム、季節的リズム、免疫機能の調節に機能的に関連付けられており、強力なフリーラジカルスカベンジャー及び抗酸化剤である15,18。にもかかわらず、メラトニンサイクルが生物に付与する時計及び暦情報の結果は未だ完全には理解されていない。
【0006】
酵素AA.NATは、生合成経路においてASMTの前に位置し、セロトニンをN.アセチルセロトニンに変換する。
精神神経障害を有する個体において非定形概日リズムがしばしば観察され、多くの研究により、メラトニンの異常な合成又はメラトニンでの治療による利益が報告されている19-21,22-25,26。WO 02/076452及びWO 2004/028532は、ADHDの治療におけるメラトニンの使用を記載している。しかし、これら研究のいずれも、これら障害の原因も結果も識別できていない。
【0007】
メラトニンレセプター
ヒトでは、2つの識別できるメラトニンレセプターMTNR1A及びMTNR1Bがこれまでに報告されている。両タイプのレセプターも、異なる発現プロフィールを有する種々の広範な組織で同定された。第3のメラトニン関連レセプターGPR50は、ごく最近に同定された。このレセプターは、メラトニンレセプターと構造的に近縁である(アミノ酸レベルで45%の相同性)が、メラトニンとは結合しない。にもかかわらず、へテロ二量体MTNR1A/GPR50は、MTNR1Aへの高親和性アゴニスト結合及びGタンパク質カップリングを止める。
【0008】
MTNR1Aの活性化は、フォルスコリン刺激によるcAMP形成、PKA活性及び転写因子の1つであるcAMP反応性エレメント結合性タンパク質のリン酸化の阻害を導く。MTNR1Aの活性化はまた、マイトジェン活性化プロテインキナーゼ並びにMEK1-2及びERK1/2のリン酸化を増大させ、おそらくは非ニューロン組織におけるフィラメント状構造の合成誘導を導く。非ニューロン細胞におけるフィラメント状構造のメラトニン誘導は、ヒトMTNR1Aメラトニンレセプターの発現に依存する。MTNR1Aは、並行シグナル伝達経路に共役し、イオンチャンネルにおけるメラトニンの機能的応答を調節する。MTNR1Aレセプターのセカンドメッセンジャー経路に類似して、MTNR1Bの活性化もまた、フォルスコリン刺激cAMP形成を阻害する。加えて、このレセプターとのカップリングはまたcGMP形成の阻害を導くことができる。
【0009】
GPR50の大きなC末端尾部の欠失は、へテロ二量体化に影響することなく、GPR50のMT1に対する阻害効果を抑制する。このことは、このドメインが調節タンパク質のMT1との相互作用を調節していることを示す。この効果は、GPR50/MT1へテロ二量体に特異的であるようである。なぜなら、この効果は、近縁のMT2とのへテロ二量体に関しては観察されなかったからである。哺乳動物において、このレセプターは、種々の脳構造及び末梢組織で検出されている。
【0010】
ヒトにおいて、MTNR1A及びMTNR1Bは、海馬中、小脳皮質を通じて識別し得る細胞集団中で見出された。MTNR1Aは、ドーパミン性の行動に関連する種々の領域(ブロードマンの第10野(すなわち、前頭皮質)、被殻、黒質、扁桃体及び海馬を含む)に位置している。メラトニンは、特にメラトニンレベルが高い夜間に、阻害効果を発揮しているかもしれない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
このように、精神障害に対する感受性と関連する新たなツールマーカーについての必要性が存在する。結果的に、遺伝的特徴及び生化学データの両方に基づいて、本発明の発明者らは、ASMT遺伝子中の変異がメラトニンの不存在又は減少を引き起こし、精神神経障害(例えば、ASD及びADHD)に対する増大した危険を付与しているという提案をする。したがって、本発明者らは、メラトニン生合成に関与する遺伝子中の何らかの遺伝子変化が、小児期及び成人期の間にメラトニンの不存在又は減少を引き起こし、精神障害(例えば、自閉症、ADHD及び無食欲症)に対する危険を付与し、したがってそのような精神障害に関する新たな診断方法及び治療方法を提供することを証明する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
発明の要旨
本発明の1つの観点は、個体の精神障害を発症する可能性を決定する方法を提供することであり、該方法は、以下:
− メラトニンのモジュレーションに関与する遺伝子中の少なくとも1つの遺伝子変化を同定し、及び/又は
− 該遺伝子のmRNA転写物レベルをアッセイし、及び/又は
− 個体サンプル中のメラトニン生合成経路に関与する酵素の酵素活性をアッセイし、及び/又は
− メラトニンレベルをアッセイする
ことを含んでなり、精神障害のない個体と比較して、遺伝子変化の同定及び/又は酵素活性の減少及び/又は該遺伝子の転写物レベルの減少及び/又はメラトニンレベルの減少が、その個体が精神障害を発症する可能性の指標である。
【0013】
本発明の別の観点は、許容され得るキャリアと、治療有効量のメラトニン生合成促進分子とを含んでなる、メラトニンのモジュレーションに関与する欠陥遺伝子を有する個体において精神障害を治療及び/又は予防するための組成物に関する。
【0014】
本発明の更なる観点は、本発明の組成物を個体に投与することを含んでなる、メラトニンのモジュレーションに関与する欠陥遺伝子を有する個体において精神障害を治療及び/又は予防するための方法を提供することである。
【0015】
本発明はまた、メラトニンのモジュレーションに関与する欠陥遺伝子を有する個体において精神障害を治療及び/又は予防するための医薬の製造のための、許容され得るキャリア及び治療有効量のメラトニン生合成促進分子を含んでなる組成物の使用を提供する。
【0016】
本発明の更に別の観点は、メラトニン又はその機能的誘導体を含んでなる組成物を個体に投与することを含んでなる、個体においてASDを治療及び/又は予防するための方法を提供することである。
【0017】
本発明はまた、個体におけるASDの治療及び/又は予防用医薬の製造のための、メラトニン又はその機能的誘導体を含んでなる組成物の使用を提供する。
【0018】
本発明の更なる観点は、ポリペプチド又はその機能的誘導体が配列番号1、4、5又は6に規定されるアミノ酸配列中の点変異を含んでなることを特徴とする、該ポリペプチド又はその機能的誘導体をコードする単離されたポリヌクレオチドを提供することである。
【0019】
本発明の更なる観点は、ASMT遺伝子又はAANAT遺伝子の調節配列がASMT遺伝子又はAANATの野生型調節配列と比較して挿入/欠失変異を含んでなることを特徴とする、該調節配列を含んでなる単離されたポリヌクレオチドを提供することである。
本発明の別の観点は、本発明のポリヌクレオチドによりコードされる単離されたポリペプチドに関する。
【0020】
図面の簡単な説明
図1:ASD及びADHDとのASMTの連鎖及び関連。a.ASDを有する71家族を使用したPAR1の連鎖分析。b.ASMT遺伝子の連鎖不均衡マップ(linkage disequilibrium map)。c.ASD及びADHDにおけるASMT遺伝子の関連研究。
【0021】
図2:ASD及びコントロールからのBLCLにおけるASMT mRNAの分析。a.ASMTイソフォームの相対的比率。挿入図 コントロールからのASMTイソフォーム(C5)、2人のASDからのASMTイソフォーム(A39及びA40)、松果腺からのcDNA。b.rs4446909遺伝子型と相関するASMTの相対的な多さ。c.rs5989681遺伝子型と相関するASMTの相対的な多さ。d.ASMT遺伝子のプロモーターB配列(配列番号27及び配列番号28)。ASDで同定された稀な変化及び高頻度の変化をそれぞれ赤及び紫で示す。
【0022】
図3:ASD、親及びコントロールからの血液及びBLCLの生化学分析。a.血中のセロトニン濃度。b.血小板中のASMT活性。c.血中のメラトニン濃度。d.BLCL中のASMT活性。C1 親に関する年齢適合コントロール;C2 ASDに関する年齢適合コントロール。
【0023】
図4:ASDを有する個体及びコントロールにおけるASMT転写物レベル及び活性。rs5989681にGG及びCG遺伝子型を有するASDをそれぞれ赤色丸及び橙色丸で示す。rs5989681にGG及びCG遺伝子型を有するコントロールをそれぞれ緑色四角及び青色四角で示す。低中度ASMTイソフォーム及び非同義変異を有する個体を、それぞれ二重線及び矢印で示す。
【0024】
図5:ASD、ADHD及び無食欲症を有する家族におけるASMT変異の位置及び分離。
図6:ASDを有する少年及びその両親における夜間のメラトニン濃度。0は20時30分。
図7:エキソン6及び7でオルタナティブスプライスされたHIOMT酵素のアミノ酸配列(配列番号1;NCBI受入番号AAA75290)。
【0025】
図8:エキソン7でオルタナティブスプライスされエキソン6を欠くHIOMT酵素のアミノ酸配列(配列番号2;NCBI受入番号AAA75291)。
図9:エキソン6及び7を欠くHIOMT酵素のアミノ酸配列(配列番号3;NCBI受入番号AAA75289)。
図10:AA.NAT酵素のアミノ酸配列(配列番号4;NCBI受入番号NM_ 001088)。
【0026】
図11:A.MTNR1A/MTNR1Bレセプター内での変化の局在化。B.ADHDを有する家族及びMTNR1AのSTOP変異。進化の間に高度に保存されたアミノ酸又はほとんど保存されていないアミノ酸を変更させる変化を、それぞれ赤及び橙色で示す。メラトニンに直接結合するアミノ酸を青で示す。
図12:メラトニンMTNR1Aレセプターのアミノ酸配列(配列番号5;NCBI受入番号P48039)。
図13:メラトニンMTNR1Bレセプターのアミノ酸配列(配列番号6;NCBI受入番号AAS00461)。
【0027】
発明の詳細な説明
本発明は、個体の精神障害を発症する可能性を決定するための方法に関する。本発明は更に、精神障害(例えば、自閉症、欠陥・多動性障害(ADHD)及び無食欲症)を治療及び/又は予防するための組成物及び方法に関する。
【0028】
1.診断方法
1つの実施形態によれば、本発明は、個体の精神障害を発症する可能性を決定する方法を提供する。
より具体的には、本発明の方法は、好ましくは、メラトニンのモジュレーションに関与する遺伝子又はそのmRNA転写物中の少なくとも1つの遺伝子変化を同定すること、又は該遺伝子のmRNA転写物レベルをアッセイすること、又はメラトニンレベルをアッセイすることによって達成される。
【0029】
本明細書中で使用する場合、表現「メラトニンのモジュレーションに関与する遺伝子」とは、メラトニン生合成経路に関与する遺伝子及びメラトニンにより誘導されるシグナル伝達(例えばそのレセプター)に関与する遺伝子をいう。
【0030】
本発明の方法が企図する精神障害に好ましい感受性遺伝子はASMT(アセチルセロトニンメチルトランスフェラーゼ)及びAA-NAT(アリールアルキルアミンN.アセチルトランスフェラーゼ)遺伝子並びにメラトニンレセプター(例えば、メラトニンレセプターMTNR1A及びMTNR1B)をコードする遺伝子である。
【0031】
本明細書中で使用する場合、表現「遺伝子の遺伝子変化」とは、本発明が企図する遺伝子のDNA配列内に起こり得る任意の変化をいう。DNA配列は、調節配列(例えば、プロモーター)、イントロン、エキソン及びコーディング配列を含んでなるが、これらに限定されない。用語「遺伝子変化」は、特定の遺伝子の転写及び/又は翻訳に干渉し得る任意の変化を意味する。遺伝子変化は、組換え事象又は変異(例えば、点変異及びスプライス部位変異のような置換/欠失/挿入事象)であり得る。
【0032】
ASMT遺伝子に関して、本発明の方法に興味深い好ましい遺伝子変化は、配列番号1(図7)中の位置で規定される17位、81位、210位、306位又は326位に位置する以下の好ましい点変異である。より好ましくは、点変異は、N17K変異、K81E変異、R210H変異、G306A変異及びL326F変異からなる群より選択される。ASMT遺伝子に関する他の好ましい遺伝子変化は、配列番号2(図8)中の位置で規定される17位、81位、228位若しくは298位、又は配列番号3(図9)中の位置で規定される17位、81位、231位若しくは251位に位置する点変異である。
【0033】
ASMT遺伝子に関する別の好ましい遺伝子変化は、IVS5+2T>Cからなるスプライス部位変異である。
ASMT遺伝子に関する別の好ましい遺伝子変化は、単一ヌクレオチド多型(SNP)(例えば、Rs5989681又はRs6588809)における変異である。
【0034】
AA.NAT遺伝子に関して、本発明の方法に興味深い好ましい遺伝子変化は、配列番号4(図10)中の位置で規定される3位、13位、62位、157位又は163位に位置する以下の好ましい点変異である。より好ましくは、点変異は、T3M変異、A13S変異、V62I変異、A157V変異及びA163V変異からなる群より選択される。
【0035】
メラトニンレセプターコーディング遺伝子に関して、本発明の方法に興味深い好ましい遺伝子変化は、好ましくはメラトニンレセプター(例えば、MTNR1A(配列番号5)及びMTNR1B(配列番号6)をコードする遺伝子に生じるものである。好ましい点変異は、配列番号5(図12)中の位置で規定される、MTNR1Aタンパク質中のY170X変異である。
【0036】
別の好ましい実施形態によれば、本発明の方法は、メラトニンのモジュレーションに関与する遺伝子(例えば、その生合成に関与するもの)のmRNA転写物レベルをアッセイすることにより達成することができる。
【0037】
別の好ましい実施形態によれば、本発明の方法は、個体サンプルにおいて、メラトニン生合成経路に関与する酵素の酵素活性をアッセイすることにより達成することができる。酵素は、好ましくは、HIOMT(ヒドロキシインドール-O-メチルトランスフェラーゼ)酵素である。当業者に公知の任意の適切なアッセイ法(例えば、Chanutら28及びFinocchiaroら29に記載の方法)が本発明の技術的範囲に入ることが理解される。
【0038】
別の好ましい実施形態によれば、本発明の方法は、個体サンプルにおいて、メラトニンレベルをアッセイすることにより達成することができる。メラトニンレベルをアッセイする方法は当業者に公知である(Tordjmanら25、Chanutら28及びFinocchiaroら29を参照)。
【0039】
本明細書中で使用する場合、用語「サンプル」とは、個体から得られ、本発明の方法に従って使用することができる種々のサンプルタイプをいう。この定義には、血液、唾液、尿及び生物学的起源のその他のサンプルを包含する。
【0040】
当業者が上記の観点から理解し得るように、遺伝子変化の同定及び/又は精神障害のない個体と比較しての上記酵素の酵素活性の減少及び/又は上記遺伝子の転写物レベルの減少が、当該個体が精神障害を発症する可能性の指標である。
【0041】
2.組成物及び使用方法
別の実施形態によれば、本発明は、メラトニンのモジュレーションに関与する欠陥遺伝子を有する個体における精神障害を治療及び/又は予防するための組成物に関する。用語「予防(する)」とは、精神障害を妨害し又は遅延させるプロセスをいい、一方、用語「治療(する)」とは、本発明の目的のためには、精神障害の症状が改善されるか又は完全に消失することを意図される。
【0042】
本明細書中で使用される場合、用語「欠陥遺伝子」とは、該遺伝子によりコードされるタンパク質(例えば、酵素)の産生及び/又は活性を損なうか又は完全に停止させ、したがってメラトニンの生合成に干渉する遺伝子変化を受けている、メラトニンのモジュレーションに関与する遺伝子(例えば、メラトニンの生合成経路に関与するもの)をいう。
【0043】
より詳細には、本発明の組成物は、許容され得るキャリアと、治療有効量のメラトニン生合成促進分子(好ましくは、ポリペプチド(例えば、酵素又はその機能的誘導体))とを含んでなる。好ましくは、酵素はHIOMT(ヒドロキシインドール-O-メチルトランスフェラーゼ)酵素又はその機能的誘導体である。酵素の「機能的誘導体」とは、一般に理解され本明細書中で使用されているように、全体酵素の生物学的活性に実質的に類似する機能的な生物学的活性を有するタンパク質/ペプチド配列又はそのフラグメント若しくはそのペプチド模擬体をいう。
【0044】
本明細書中で使用される場合、表現「許容され得るキャリア」は、有害効果なく個体に投与することができる、本発明の組成物中に存在する酵素(好ましくはHIOMT)又はその機能的誘導体を含有するためのビヒクルを意味する。当該分野において公知の適切なキャリアとしては、金粒子、滅菌水、生理食塩水、グルコース、デキストロース又は緩衝化溶液が挙げられるが、これらに限定されない。キャリアには、希釈剤、安定化剤(すなわち、糖及びアミノ酸)、防腐剤、湿潤剤、乳化剤、pH緩衝化剤、増粘添加剤、着色剤などを含むがこれらに限定されない補助剤が含まれ得る。
【0045】
別の実施形態によれば、本発明は、メラトニンのモジュレーションに関与する欠陥遺伝子を有する個体において、精神障害を治療及び/又は予防する方法を提供する。1つの実施形態において、本発明の方法は、上記で規定の組成物を個体に投与する工程を含んでなる。
【0046】
本発明の組成物中に存在する酵素(好ましくは、HIOMT)又はその機能的誘導体の量は、好ましくは、治療有効量である。本発明の組成物中に存在する酵素又はその機能的誘導体の治療有効量は、組成物を投与される個体において、過度に負の効果を引き起こすことなくメラトニン生合成経路中でのその役割を果たすことが可能となるに必要な量である。使用されるべき本発明の組成物中に存在する酵素又はその機能的誘導体及び投与される組成物の正確な量は、治療される精神障害のタイプ、投与形態及び組成物中の他の成分のような複数の要因により変化する。
【0047】
本発明の組成物は、種々の投与経路を通じて個体に与えられ得る。例えば、本組成物は、注射用滅菌調製物(例えば、注射用滅菌水性又は油性懸濁液)の形態で投与され得る。これら懸濁液は、適切な分散剤又は湿潤剤及び懸濁化剤を用いて当該分野で公知の技法により製剤化され得る。注射用滅菌調製物はまた、非毒性の非経口的に許容され得る希釈剤又は溶媒中の注射用滅菌溶液又は懸濁液であり得る。これらは、注射、注入により非経口的、例えば静脈内、筋肉内若しくは皮下に、又は経口で与えられ得る。適切な投薬量は、組成物中の各成分の量、所望の効果(短期又は長期)、投与経路、治療される個体の年齢及び体重のような複数の要因に依存して変化する。本発明の組成物を投与するために、当該分野で周知の任意の他の方法を使用し得る。
【0048】
別の実施形態では、個体においてASDを治療及び/又は予防する方法は、メラトニン又はその機能的誘導体を含んでなる組成物を個体に投与する工程を含んでなる。
【0049】
3.本発明のポリヌクレオチド及びポリペプチド
本発明の更なる実施形態は、ポリペプチド又はその機能的誘導体が配列番号1、4、5又は6に規定されるアミノ酸配列に点変異を含んでなることを特徴とする該ポリペプチド又はその機能的誘導体をコードする単離されたポリヌクレオチドに関する。
【0050】
本発明の関連する観点は、ASMT遺伝子又はAANAT遺伝子の調節配列を含んでなる単離されたポリヌクレオチドに関する。調節配列は、ASMT又はAANAT遺伝子の野生型調節配列と比較して挿入/欠失変異を含んでなる。好ましくは、調節配列はプロモーターからなる。
【0051】
本発明の別の実施形態によれば、上記のポリヌクレオチドによりコードされる単離されたポリペプチドが提供される。
本明細書中で使用される場合、用語「単離(された)」は、天然で存在する環境とは異なる環境にあるポリヌクレオチド又はポリペプチドを記述するものと意味づけられている。
【0052】
本発明は以下の実施例を参照することよってより容易に理解される。この実施例は、本発明の広範な利用可能性の例示であり、本発明の範囲を制限することを意図するものではない。本発明の精神及び範囲を逸脱することなく、それらに改変及び変更をなすことが可能である。本発明の試験の実施には、本明細書中に記載のものと類似又は等価の任意の方法及び材料を使用することができるが、好ましい方法及び材料を記載する。
【0053】
実施例1
ASMT及びAA-NAT遺伝子における変異はメラトニン合成を減少させ、精神障害に対する感受性を付与する
自閉症スペクトラム障害(ASD)又は注意欠陥・多動性障害(ADHD)に対する感受性因子の検索の間に、本発明者らは、精神神経障害に関する感受性遺伝子として、ASMT(アセチルセロトニンメチルトランスフェラーゼ)遺伝子及びAA.NAT遺伝子を同定した。この遺伝子は、X染色体及びY染色体に共通して、偽常染色体領域1(PAR1)上に位置する14。ASMTは、酵素HIOMT(ヒドロキシインドール-O-メチルトランスフェラーゼ;EC 2.1.1.4)をコードし、この酵素はメラトニン生合成の最後の工程を触媒する15,16
【0054】
プロモーター又はコーディング配列に位置する多型性並びにスプライシング及びタンパク質機能に影響する稀な変異は、ASMT転写物レベル及び/又は活性の減少に関連している。これら遺伝子変化を保有する個体において、ASMT活性の減少はメラトニン濃度の減少を導く。メラトニン(N-アセチル-5-メトキシトリプタミン)は、松果腺の主要な分泌性産物である。メラトニンの合成は、顕著な概日リズムを示す:身体中のその濃度は、代表的には、日中はより低く、夜間に暗中で最大レベルに達する。
【0055】
材料及び方法
変異スクリーニング及び遺伝子型決定
変異についての遺伝子型決定及びスクリーニングの両方を直接配列決定により実施した。エキソン/イントロン境界と5'及び3'非翻訳領域と調節領域とを含むASMT遺伝子のコーディング領域を、HotstarTaq(Qiagen)を用いるPCRにより増幅させた。プライマー及びPCR条件に関しては、表8を参照。BigDye Terminator Cycle Sequencingキット(V3.1,Applied Biosystems)を用いて、PCR産物の配列決定を実施した。次いで、サンプルを、ABI PRISM遺伝子分析装置(Applied Biosystems)を用いる電気泳動に供した。ABI電気泳動図データを取り込み、Genalysソフトウェア(作者:Masazumi Takahashi)を用いて変化について分析した。
【0056】
RT-PCR及び定量RT-PCR
調査対象からのASMT転写物の分析のために、NucleoSpin(登録商標)RNA IIキット(MACHEREY-NAGEL)を使用して、生じたリンパ芽球様細胞株からRNAを単離した。バイオホトメータ(Eppendorf)でOD260の吸光度を測定することによりトータルRNAの定量を実施した。5μgのこのRNAから、superscript II(Invitrogen)を製造業者の指示書に従って40μlの反応容量で用いて、オリゴ(dT)プライムしたcDNAを調製した。DNA汚染のコントロール用に、逆転写酵素を含まない同時並行のチューブ(RTネガティブコントロール)をRT反応に含ませた。全てのcDNAサンプルを、GAPDH PCR(プライマーについては表8を参照)を使用してアガロースゲル(3%)で試験し、続いてリアルタイムPCR分析用にサンプルをホモジナイズするために40〜80μlのdH2O(DEPC)で希釈した。cDNAを、ABI PRISM 7500 Sequence Detection System(PE Biosystems)を用いるTaqManアッセイにおいて直接使用した。各反応を三連(in triplicate)で実施し、1.25μLのアッセイ及び12.5μLのTaqMan Universal PCR Master Mix(Applied Biosystems)を含有する各反応物(25μL)にcDNAを加えた。研究サンプルを、二連(in duplicate)又は三連で96ウェル光学PCRプレート(ABgene)上で増幅させた。市販のAssays-on-Demandを用いてASMT mRNAの定量を実施した。2つの異なるアッセイを使用した:1つは、エキソン1Bとエキソン2(Hs00946625_m1)との境界をカバーし、1つは、エキソン8とエキソン9(Hs00187839_m1)との境界をカバーした。標準曲線法(ABIユーザーズマニュアル)を用いて、各サンプルについて発現の相対値を決定し、これら値を、グリセルアルデヒドリン酸デヒドロゲナーゼアッセイHs99999905_m1を用いて、標準の「ハウスキーピング」コントロール遺伝子であるGAPDHのCt値に対して規格化した。ASMT及びGAPDHについて、閾値をそれぞれ0.2及び0.25に設定した。これらは、全てのアッセイにおいて片対数プロットの線形領域内であった。
【0057】
結果
偽常染色体領域1とASDとの間の連鎖
偽常染色体領域1(PAR1)は、性染色体の短腕の先端に位置し、15の遺伝子を含有する僅か2.7MbのDNAである。4つのマイクロサテライトマーカー(DXYS233、DXYS234、DXYS228及びDXYS229)を用いたPAR1の詳細なマッピングを、少なくとも2人のASDの子供を有する52家族について行った。本発明者らは、過剰な対立遺伝子共有を観察した(Genehunter NPL=2.12;P=0.014及びASPEX mlod=1.53)。この領域内で、本発明者らは、プロモーター及びイントロン3に位置する多型性の組合せを使用し、22の新たな家族を加えて、研究をASMT遺伝子に集中させた(図1a、表1)。最初の詳細マッピングの結果と一致して、本発明者らは、罹患した同胞ペアでASMT対立遺伝子共有の増加を観察した(Genehunter NPL=2.95;P=0.0014及びASPEX mlod=2.29;0.0012)。男性罹患同胞ペアのみを有する家族を分析に用いたとき、連鎖は劇的に増大する(Genehunter NPL=4.8;P=4.86×10-7及びASPEX mlod=5.92;P=1.81×10-7)。しかし、PAR1の連鎖研究では、過剰な父系共有には高度の注意を払わなければならない。なぜならば、この領域は性染色体分離からは完全に独立していないからである。父系減数分裂に特異的なこの歪み効果は、男性−男性ASPにおける過剰の共有及び男性−女性ASPにおける過剰の非共有を説明し得る。にもかかわらず、罹患した同胞ペアにおけるASMTの母系対立遺伝子共有の有意な過剰(ASPEX maternal mlod=1.9;P=0.003)により、本発明者らは、ASDにおけるASMT遺伝子の遺伝子可変性をコントロール集団と比較して分析することを促された。
【0058】
ASD、ADHD及びコントロールにおけるASMT遺伝子の遺伝子可変性
ASMT中の頻繁な変化がASDと有意に関連しているかどうかを決定するために、本発明者らは、275のASD、95のADHD及び187の地理的適合コントロールで、プロモーターAに位置する1つの挿入/欠失及び12の単一ヌクレオチド多型(SNP)を遺伝子型決定した。この遺伝子型領域は、コーディングエキソン及び2つのプロモーターを含む41.3kbをカバーする(図1b)。ASMT遺伝子は、高度のマーカー間連鎖不均衡(D'>0.8)の5つのハプロタイプブロックに分けることができる。対立遺伝子及び遺伝子型の頻度の比較を図1c及び表2に示す。全体として、ASDとプロモーターBに位置する1つのSNP rs4446909との間に有意な関係が観察された(P=0.028)。フランス人及びスカンジナビア人のサンプルを別々に研究すると、フランス人サンプルにrs4446909と関係する傾向が観察され(P=0.078)、スカンジナビア人サンプルには近接マーカーrs5989681との有意な関係が存在する(P=0.047)。ハプロタイプ分析により、1つのハプロタイプACGC(プロモーター中の3つのSNP及び5'UTR中の1つのSNPを含む)は、ASDにおいて有意に頻度が低いことが示された(P=0.012)(表3)。集団を別々に研究すると、このハプロタイプは、関連するコントロール群と比較して、フランス人ASD集団(P=0.057)及びスカンジナビア人ASD集団(P=0.067)の両方で頻度が低かったが、有意ではなかった。これに対し、GGGCハプロタイプは、ASDでより頻繁に観察された(P=0.097)ので、「危険性があるハプロタイプ(at risk haplotype)」を表し得る。同じSNPを、ADHDを有する95人のスウェーデン人個体で遺伝子型決定したが、有意な関係は見出せなかった。しかし、ASD又はADHDを有する個体をプールしコントロールと比較すると、関係はより顕著になった(rs4446909 P=0.015、ACGC、P=0.0077;GGGC、P=0.042)。
【0059】
ASMT遺伝子型と転写物レベルとの間の相関
ASMT遺伝子は、2つのプロモーター(A及びB)及び2つのオルタナティブスプライスされたエキソン(エキソン6及び7)を含有する(図2a)。プロモーターAは、以前に網膜に独占的であると示されている27。これに一致して、本発明者らは、ヒトBリンパ芽球様細胞株(BLCL)又は松果腺cDNAを用いて、プロモーターA起源のASMT転写物を増幅できなかった。対照的に、本発明者らは、プロモーターBに由来する3つの既知のオルタナティブイソフォーム(alternative isoform)を検出することができた(図2b挿入図)。長いイソフォームは、エキソン6(ロングインタースパースト核エレメント(Long Interspersed Nuclear Element:LINE)である)を含む全てのエキソンを含有する。中程度のイソフォームはLINE挿入を含有せず、他の種のASMTタンパク質に相同なイソフォームをコードする。最も短いイソフォームは、LINE挿入及びエキソン7を含有しない。エキソン6の挿入又はエキソン7の欠失はASMTのO-メチラーゼドメインを大いに改変するので、中程度イソフォームのみが機能的であると推測される。蛍光RT-PCRを用い、本発明者らは、この3つのASMTイソフォームの相対的比率を確かめることができた。全体として、ASDとコントロールとの間に、この3つのイソフォームの多さに有意な差異はなかった(図2b)。しかし、幾つかの個体(13/48患者及び4/23コントロール)で、中程度イソフォームの相対的割合が比較的低かった(<20%)。例えば、個体ASD49では、LINEを含む長いASMTイソフォームは、中程度イソフォームより多かった(図2b挿入図)。興味深いことに、1つの非同義SNP rs6588809(R190W)(これは、LINEエレメント内でエキソン6に位置する)は、LINE挿入のレベルと関係していた(P=0.004)。平均すると、C対立遺伝子についてホモ接合体の個体は、T対立遺伝子についてホモ接合体の個体と比較して、ASMT転写物中のLINEの挿入が3.6倍多かった。この変化rs6588809は、おそらく、1つのエキソンスプライシングエンハンサー(ESE)(スプライシング因子(例えば、SRタンパク質)に結合する配列である)に位置する。ASMTイソフォームの比較的多さに対する機能的結果にもかかわらず、rs6588809とASDとの間に何らかの関係は観察されなかった。
【0060】
ASMT転写物のレベルを定量するために、TaqMan技術並びにmRNAの5'末端及び3'末端にそれぞれ位置する2つの独立プローブE1CE2及びE8E9を使用した。60のASD個体及び35のコントロール個体のサンプル間には、ASMT mRNAレベルに有意差は観察されなかった(図2c)。両サンプルにおいて、ASMT転写物レベルは、GAPDH mRNAレベルに対して0.0019〜1.39と不均一範囲であった。しかし、ASMT遺伝子型と転写物レベルとを比較すると、本発明者らは、転写物レベルと2つのSNP rs4446909(5'プローブ P=0.0009;3'プローブ P=0.06)及びrs5989681(5'プローブ P=0.000057;3'プローブ P=0.02)との間に非常に有意な関係を観察することができた。これらSNPは、109bp離れており、高度に連鎖不均衡(D'=0.94)であり、プロモーターBに位置する(図2d)。SNP rs4446909は、CCCACボックス中の転写部位から−207bpで、これもまたプロモーターA中に存在するCAAT/10マーボックスの6ヌクレオチド下流に位置する(図2d)。SNP rs5989681は、転写因子NF-κBの推定結合部位中の転写部位から−97bpに位置する。両方のSNPのG対立遺伝子についてホモ接合体の個体は、へテロ接合体の個体と比較して、ASMT転写物が少なかった。rs4446909 G/G遺伝子型及びrs5989681 C/G遺伝子型を有する2つの個体は、高い転写物レベルを有していた。このことは、rs5989681のC対立遺伝子が高い転写物レベルの原因であり得ることを示唆している。興味深いことに、これら2つのSNP(rs4446909及びrs5989681)は、ASDと関係するものであった。両SNPのG対立遺伝子は、ASD及びADHDでより頻度が高く、低いASMT転写物レベルに関係していた。ASMT遺伝子とこれら障害に対する感受性との間の関連を更に探索するために、本発明者らは、ASDを有する家族及びコントロールで酵素活性を測定した。
【0061】
ASD個体及びコントロール個体におけるASMT活性
ASMT活性を、まず、ASD、その親及びコントロール個体の血小板で調べた。他のサンプルで既に報告されているように、本発明者らは、コントロール(5HT:0.42±0.22μM;図3a)と比較して、ASD(5HT 1.0±0.65μM;P=1.46×10-7)及びその親(5HT 0.80±0.24μM;P=1.85×10-10)の血中セロトニン濃度の増加を観察することができた。驚くべきことに、本発明者らはまた、コントロール(ASMT血液 1.81±0.68ピコモル/109血小板/30分;図3b)と比較して、ASDを有する個体(ASMT血液 0.77±0.47ピコモル/109血小板/30分 P=1.15×10-10)のほとんど全て及びその親(1.18±0.87ピコモル/109血小板/30分 P=0.00045)についてASMT活性の強力な減少を観察した。親において、ASMT活性は、性別及び年齢適合コントロールと比較して、母親で有意に減少した(P=0.016)が、父親で有意に減少しなかった(P=0.80)。ASMTの減少は、コントロール(ML 0.14±0.04nM)と比較して、ASD(ML 0.07±0.04nM;P=5.2×10-10)及びその親(ML 0.09±0.04nM;P=2.04×10-6)において血中メラトニン濃度の有意な減少を伴っていた(図3C)。親において、メラトニン濃度は、母親(P=3.35×10-5)及び父親(P=0.007)で有意に低かった。これらの結果を再現するため、ASDを有する51個体(11個体は既に血液サンプルで分析)及び33の新たな独立コントロールからのBLCLを分析した(図3d)。血小板を使用して得られた結果と一致して、ASMT活性レベルは、コントロール(ASMT BLCL 7.97±2.5ピコモル/mg prot/30分)と比較してASD(ASMT BLCL 3.29±2.5ピコモル/mg prot/30分)で劇的に減少していた(P=7.2×10-7)。
【0062】
次いで、本発明者らは、ASMT mRNAの相対量を酵素活性レベルに対してプロットした(図4)。コントロールサンプルで、本発明者らは、RNA量と酵素活性との間に有意な相関を検出できなかった。このことから、ASMT転写物レベルはBLCLにおける酵素活性の強力な制限因子ではないことが示唆される。ASDサンプルで、ASMT活性はほとんど全ての個体で転写物レベルに依存することなく減少した。ASDを有する幾つかの個体に関しては、本発明者らは、低いASMT活性が、非常に低いASMT転写物レベル及び/又は中程度イソフォームの特異的で強力な減少の直接的結果であり得ることを排除できない。にもかかわらず、これらの結果により、ASDにおいて観察されたASMT活性の全体的減少がASMT mRNAの減少のみによって説明され得ないことが示された。この酵素欠損を更に調べるために、本発明者らは、ASMT遺伝子を変異についてスクリーニングする。
【0063】
ASD、ADHD及びコントロールにおけるASMT遺伝子の変異スクリーニング
2つのプロモーター及びオルタナティブスプライスされたエキソンを含むASMT遺伝子の全てのエキソンを、ASD(n=275)又はADHD(n=103)を有する個体において直接配列決定した。スプライス部位変異(IVS5+2T>C)、5つの稀な非同義変化(N17K、K81E、R210H、G306A、L326F)及び2つの同義変化(N167N、Q205Q)を含む幾つかの遺伝子変化体が同定された。これら稀な変化の位置、分離及び頻度を図5及び表4に示す。スプライス部位変異(IVS5+2T>C)は、ASDを有する2家族及びADHDを有する1家族に存在したが、411のコントロールでは観察されなかった。スプライス部位変異(IVS5+2T>C)を保有する1人の患者では、本発明者らは、コントロールと比較して、追加の転写物イソフォームを検出することができた。これは、イントロン5の31bpに位置するドナースプライス部位が起源である(図5)。この異常なスプライス転写物は、アミノ酸G188の後の異なるC末端タンパク質配列及び全てのASMTイソフォームの成熟前短形化を導く(図5)。ASD家族1では、母親が、rs4446909及びrs5989681のG対立遺伝子についてホモ接合体である息子に当該変異を伝えた。ASD家族2では、父親が、自閉症を有する2人の息子にスプライス部位変異を伝えた。母親は、以前、父親が異なり中庸な表現型の自閉症を有する最初の子供がいた。ハプロタイプ分析により、母親が、同じASMT GGGTプロモーターハプロタイプを、罹患した全ての息子に伝えたことが示された。ADHD家族1では、スプライス部位変異を保有する母親が、注意及び衝動性の問題を含む精神神経障害の病歴を有していた。彼女が、当該変異を、ADHDを有する息子及び無食欲症を有する娘に伝えたが、非罹患の娘には伝えなかった。全ての個体が当該ハプロタイプを保有していた。N17K変化が、親がアジア諸国に起源を有する2つのASD家族(家族3及び4)で観察された。家族3及び4では、母親が変異を伝えた。ASD家族5では、母親が非同義変化K81Eを伝えた。ノルウェー出身のASD家族6では、父親が、変化G306Aを、自閉症を有する2人の息子に伝えた。変化L326Fが、ASDを有する独立した2家族及びADHDを有する1家族で同定された。家族7及び8では、変異はそれぞれ母親及び父親により伝えられた。ADHD家族2では、ADHDを有する息子は326変異を有し、無食欲症を有する娘がいる。これら非同義変化のいずれもコントロールでは観察されなかった。例外は、L326Fで、これは3/400コントロールに存在した。これら稀な変化体の機能的効果を究明するために、本発明者らは保有者におけるASMT酵素活性及びメラトニン濃度を測定した。
【0064】
ASMT遺伝子の稀な変化を保有する個体の生化学的及び臨床学的特徴付け
血小板の生化学分析により、スプライス部位変異(IVS5+2T>C)又はL326F変異を保有する個体は、コントロールと比較して、低いHIOMT活性、メラトニンの減少及び相対的に高い濃度の5-HTを有することが示される(表5)。血液サンプルについて得られた結果と一致して、BLCLにおけるASMT活性は、(IVS5+2T>C)及びL326F変異を保有する全ての個体で減少していることが見出された。これら個体では、メラトニン濃度はまた、コントロールと比較して減少していることが見出された。インビボでASMT欠損を更に探求するために、本発明者らは、スプライス部位変異を保有する家族1を調べた(図6)。父親は、当該変異を保有しておらず、夜間の正常なメラトニン増加を示した。これに対して、ASMTスプライス変異の両保有者(非罹患の母親及びASDを有する息子)は、夜間のメラトニン増加を示さなかった。このメラトニン不在にもかかわらず、コントロールと比較して、睡眠パターンに明白な差異は観察されなかった。
【0065】
ASD及びADHDを有する個体におけるAANATの変異
メラトニン生合成経路において、酵素AANATはASMTの前に位置し、セロトニンをN-アセチルセロトニンに変換する。AANAT遺伝子中の変異をスクリーニングし、5つの稀な非同義変化(T3M、A13S、V62I、A157V、A163V)を、ASD及びADHDを有する個体で同定した。これら変化は200のコントロールでは観察されなかった。
【0066】
実施例2
メラトニンレセプターMTNR1A及びMTNR1B中の変異はメラトニン結合を減少させ、精神障害に対する感受性を付与する
自閉症又は注意欠陥・多動性障害(ADHD)に対する感受性因子の検索の間に、本発明者らは、ASMT(アセチルセロトニンメチルトランスフェラーゼ)遺伝子中の遺伝子変異を同定した(実施例1を参照)。本実施例では、本発明者らは、ADHDを有する患者におけるメラトニンレセプター中の遺伝子変化(ストップ変異を含む)(これらは、試験した全てのコントロール(n=150)には存在しない)を報告する。加えて、本発明者らは、OCDを有する患者で、ASMTスプライス部位変異を同定した。これら結果は、メラトニン経路が精神障害に関連することを示した実施例1の結果を確証する。
【0067】
結果
本発明者らは、ASD(n=78〜130)又はADHD(n=79〜102)を有する個体の全てのエキソン及びプロモーターを直接配列決定することにより、MTNR1A及びMTNR1B中の変化がASD及びADHDと関係するかどうかを調べた。幾つかのエキソン変異が同定された(表9、図11A)。これには、ADHDを有する患者における170位(配列番号5を参照)での点変異(すなわちY170X変異)により引き起こされたストップ変異が含まれる。この女性は、ADHDに罹患し自閉症の形質を有する息子がいるが、この患者についてはDNAは利用できない。
【0068】
実施例1に示された結果を基に、本発明者らは、メラトニンレセプターMTNR1AもまたADHDを有する個体で変異し得ることを証明した。これら結果は、異常なメラトニン経路が、精神神経障害の危険因子であることを確証する。
【0069】
一般的結論
メラトニンは、神経伝達物質セロトニンから2つの工程で合成される。HIOMT酵素は、N-アセチルセロトニンをメラトニンに変換する最終反応を触媒する。このホルモンは松果腺で主に産生されるが、他の組織(例えば、網膜又はリンパ球)でも産生される。これは概日周期の間に、夜間には高レベルで、日中には低レベルで分泌される。メラトニンの生理学的役割は、未だ不明であるが、概日リズム又は季節的リズムに相関する重大な役割を演じている。更に、メラトニンは、抗酸化性又は抗老化性、並びにホルモン自己分泌/傍分泌機能、免疫系、神経伝達物質放出のモジュレーションに対する効果を有していることが示された。
【0070】
精神神経障害を有する患者では、睡眠の問題がしばしば報告されている。加えて、自閉症を有する個体及びその親族でのセロトニン濃度の増加が、自閉症で最も反復して見出されることの1つである。しかし、セロトニン輸送体又はレセプターに関する多くの遺伝的研究にもかかわらず、高レベルのセロトニンが存在する理由は解明されていなかった。本発明の成果は、少なくとも3つの主要な理由から、自閉症及びADHDの診断及び治療に極めて重要である:
【0071】
A.メラトニン生合成の生化学分析は、精神神経障害(自閉症、ADHD及びOCD)に対する感受性に関係する最初の生物学的マーカーである。メラトニン濃度は単純な唾液サンプルで定量し得、HIOMT酵素活性は血液サンプルを用いて測定できるので、このアッセイはスクリーニング検査として使用できる。
【0072】
B.或る患者でメラトニン濃度の減少が同定された場合、外来性メラトニンの補充が実行可能であり、これにより遺伝子欠陥が矯正され得る。
C.これら変異の同定により、同じ生物学的経路で役割を有する他の感受性因子を見出すことが可能になるはずである。
【0073】
【表1】

【0074】
【表2−1】

【表2−2】

【0075】
【表3】

【0076】
【表4】

【0077】
【表5】

【0078】
【表6】

【0079】
【表7】

【0080】
【表8−1】

【表8−2】

【表8−3】

【0081】
【表9】

【0082】
【表10−1】

【表10−2】

【表10−3】

【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】ASD及びADHDとのASMTの連鎖及び関連を示す。
【図2】ASD及びコントロールからのBLCLにおけるASMT mRNAの分析を示す。
【図3】ASD、親及びコントロールからの血液及びBLCLの生化学分析を示す。
【図4】ASDを有する個体及びコントロールにおけるASMT転写物レベル及び活性を示す。
【図5】ASD、ADHD及び無食欲症を有する家族におけるASMT変異の位置及び分離を示す。
【図6】ASDを有する少年及びその両親における夜間のメラトニン濃度を示す。
【図7】エキソン6及び7でオルタナティブスプライスされたHIOMT酵素のアミノ酸配列(配列番号1;NCBI受入番号AAA75290)を示す。
【図8】エキソン7でオルタナティブスプライスされエキソン6を欠くHIOMT酵素のアミノ酸配列(配列番号2;NCBI受入番号AAA75291)を示す。
【図9】エキソン6及び7を欠くHIOMT酵素のアミノ酸配列(配列番号3;NCBI受入番号AAA75289)を示す。
【図10】AA.NAT酵素のアミノ酸配列(配列番号4;NCBI受入番号NM_ 001088)を示す。
【図11】A.MTNR1A/MTNR1Bレセプター内での変化の局在化を示す。B.ADHDを有する家族及びMTNR1AのSTOP変異を示す。
【図12】メラトニンMTNR1Aレセプターのアミノ酸配列(配列番号5;NCBI受入番号P48039)を示す。
【図13】メラトニンMTNR1Bレセプターのアミノ酸配列(配列番号6;NCBI受入番号AAS00461)を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
− メラトニンのモジュレーションに関与する遺伝子中の少なくとも1つの遺伝子変化を同定し、及び/又は
− 該遺伝子のmRNA転写物レベルをアッセイし、及び/又は
− 個体サンプル中のメラトニン生合成経路に関与する酵素の酵素活性をアッセイし、及び/又は
− メラトニンレベルをアッセイする
ことを含んでなり、精神障害のない個体と比較して、遺伝子変化の同定及び/又は酵素活性の減少及び/又は該遺伝子の転写物レベルの減少及び/又はメラトニンレベルの減少が、その個体が精神障害を発症する可能性の指標である、個体の精神障害を発症する可能性を決定する方法。
【請求項2】
前記遺伝子がASMT遺伝子であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記遺伝子変化が点変異であることを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記点変異が配列番号1中の位置により規定される17位、81位、210位、306位又は326位での変異であることを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記点変異がN17K変異であることを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項6】
該点変異がK81E変異であることを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記点変異がR210H変異であることを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項8】
前記点変異がG306A変異であることを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項9】
前記点変異がL326F変異であることを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項10】
前記遺伝子変化がスプライス部位変異であることを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項11】
前記スプライス部位変異がIVS5+2T>Cであることを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記遺伝子変化が前記ASMT遺伝子の単一ヌクレオチド多型(SNP)中に位置することを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項13】
前記SNPがRs5989681又はRs6588809であることを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記点変異が配列番号2中の位置により規定される17位、81位、228位又は298位での変異であることを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項15】
前記点変異が配列番号3中の位置により規定される17位、81位、231位又は251位での変異であることを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項16】
前記遺伝子がAA.NAT遺伝子であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記遺伝子変化が点変異であることを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記点変異が配列番号4中の位置により規定される3位、13位、62位、157位又は163位での変異であることを特徴とする請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記点変異がT3M変異であることを特徴とする請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記点変異がA13S変異であることを特徴とする請求項18に記載の方法。
【請求項21】
前記点変異がV62I変異であることを特徴とする請求項18に記載の方法。
【請求項22】
前記点変異がA157V変異であることを特徴とする請求項18に記載の方法。
【請求項23】
前記点変異がA163V変異であることを特徴とする請求項18に記載の方法。
【請求項24】
前記酵素がHIOMT(ヒドロキシインドール-O-メチルトランスフェラーゼ)又はその機能的誘導体からなることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項25】
前記遺伝子がメラトニンレセプターをコードする遺伝子であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項26】
前記メラニンレセプターがMTNR1A又はMTNR1Bからなることを特徴とする請求項25に記載の方法。
【請求項26】
前記遺伝子変化が点変異であることを特徴とする請求項25又は26に記載の方法。
【請求項27】
前記点変異が配列番号5中の位置により規定されるMTNR1Aレセプター中のY170X変異であることを特徴とする請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記精神障害が自閉症スペクトラム障害(ASD)、注意欠陥・多動性障害(ADHD)及び無食欲症からなる群より選択されることを特徴とする請求項1〜27のいずれか1項に記載の方法。
【請求項29】
許容され得るキャリア及び治療有効量のメラトニンモジュレーション促進分子を含んでなる、メラトニンのモジュレーションに関与する欠陥遺伝子を有する個体における精神障害を治療及び/又は予防するための組成物。
【請求項30】
前記分子がポリペプチドであることを特徴とする請求項29に記載の組成物。
【請求項31】
前記ポリペプチドが酵素であることを特徴とする請求項30に記載の組成物。
【請求項32】
前記酵素がHIOMT(ヒドロキシインドール-O-メチルトランスフェラーゼ)酵素又はその機能的誘導体であることを特徴とする請求項31に記載の組成物。
【請求項33】
個体に請求項29〜31のいずれか1項に記載の組成物を投与することを含んでなる、メラトニンのモジュレーションに関与する欠陥遺伝子を有する個体における精神障害を治療及び/又は予防するための方法。
【請求項34】
前記精神障害が自閉症スペクトラム障害(ASD)、注意欠陥・多動性障害(ADHD)及び無食欲症からなる群より選択されることを特徴とする請求項33に記載の方法。
【請求項35】
個体にメラトニン又はその機能的誘導体を含んでなる組成物を投与することを含んでなる、個体においてASDを治療及び/又は予防するための方法。
【請求項36】
ポリペプチド又はその機能的誘導体が配列番号1に規定されるアミノ酸配列中に点変異を含んでなることを特徴とする、該ポリペプチド又はその機能的誘導体をコードする単離されたポリヌクレオチド。
【請求項37】
ポリペプチド又はその機能的誘導体が配列番号4に規定されるアミノ酸配列中に点変異を含んでなることを特徴とする、該ポリペプチド又はその機能的誘導体をコードする単離されたポリヌクレオチド。
【請求項38】
ポリペプチド又はその機能的誘導体が配列番号5に規定されるアミノ酸配列中に点変異を含んでなることを特徴とする、該ポリペプチド又はその機能的誘導体をコードする単離されたポリヌクレオチド。
【請求項39】
ASMT遺伝子の調節配列を含んでなり、該調節配列が該ASMT遺伝子の野生型調節配列と比較して挿入/欠失変異を含んでなることを特徴とする、単離されたポリヌクレオチド。
【請求項40】
AANAT遺伝子の調節配列を含んでなり、該調節配列が該AANAT遺伝子の野生型調節配列と比較して挿入/欠失変異を含んでなることを特徴とする、単離されたポリヌクレオチド。
【請求項41】
前記調節配列がプロモーターからなることを特徴とする請求項39又は40に記載の単離されたポリヌクレオチド。
【請求項42】
請求項36、37又は38に記載のポリヌクレオチドによりコードされる単離されたポリペプチド。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公表番号】特表2009−511038(P2009−511038A)
【公表日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−535134(P2008−535134)
【出願日】平成18年10月13日(2006.10.13)
【国際出願番号】PCT/IB2006/003935
【国際公開番号】WO2007/052166
【国際公開日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【出願人】(501474748)インスティティ・パスツール (27)
【氏名又は名称原語表記】INSTITUT PASTEUR
【住所又は居所原語表記】28,rue du Docteur Roux,F−75724 Paris Cedex 15 FRANCE
【Fターム(参考)】