説明

精製水の製造方法

【課題】医療用、工業用に適した精製水を製造する方法の提供。
【解決手段】電気再生式脱イオン装置(EDI装置)を用いた精製水の製造方法であり、前記EDI装置が、イオン交換樹脂を備えたイオン交換室(脱塩室)、濃縮室、電極室(正及び負の電極室)を有するものであり、前記イオン交換室内に充填された陰イオン交換樹脂としてMR型の陰イオン交換樹脂を用いる、精製水の製造方法。ゲル形の陰イオン交換樹脂を用いた場合と比べて、除菌効果やエンドトキシンの除去効果が高められる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療用及び工業用として適した精製水の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
人工透析液や注射液に使用される精製水は、微生物、エンドトキシンで汚染されていないものを用いる必要がある。
【0003】
特許文献1、2には、RO処理装置とEDI装置を組み合わせて、人工透析用水を製造するための装置と製造方法が記載されている。特許文献1には、EDI処理水を逆浸透膜装置の入口に返送して循環させることが記載されている(段落0039と図1参照)。
【0004】
その他、半導体の製造工程のような産業用の製造ラインにおいて使用する洗浄水等に対しても、できるだけエンドトキシンや生菌等で汚染されていない清浄な精製水への需要が非常に大きい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−252396号公報
【特許文献2】特開2007−237062号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、脱塩室に特定の陰イオン交換樹脂を備えた電気再生式脱イオン装置(EDI装置)を用いることで、微生物やエンドトキシンの除去効果が向上された、医療用及び工業用精製水として適した精製水の製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願発明は、課題の解決手段として、
電気再生式脱イオン装置(EDI装置)を用いた精製水の製造方法であり、
前記EDI装置が、イオン交換樹脂を備えたイオン交換室(脱塩室)、濃縮室、電極室(正及び負の電極室)を有するものであり、
前記イオン交換室内に充填されたイオン交換樹脂として少なくとも1種以上のMR型の陰イオン交換樹脂を含む陰イオン交換樹脂を用いる、精製水の製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の製造方法によれば、脱塩室にゲル形の陰イオン交換樹脂を充填した従来のEDI装置を用いた場合に比べて、除菌効果やエンドトキシン(ET)の除去効果を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】実施例1、比較例1の除菌効果を示すグラフ。
【図2】実施例2、比較例2のETの除去効果を示すグラフ。
【図3】実施例3、比較例3のイオン交換樹脂から脱離されたものの生菌数を示すグラフ。
【図4】実施例4、比較例4のイオン交換樹脂から脱離されたもののET活性を示すグラフ。
【図5】実施例5、比較例5の処理水の電気伝導度を示すグラフ。
【図6】実施例6、比較例6の処理水のpHを示すグラフ。
【図7】参考例1の除菌効果を示すグラフ。
【図8】参考例2のETの除去効果を示すグラフ。
【図9】参考例3の除菌効果を示すグラフ。
【図10】参考例4のETの除去効果を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<EDI装置>
本発明の製造方法で用いるEDI装置は、イオン交換樹脂を備えたイオン交換室(脱塩室)内に充填された陰イオン交換樹脂として少なくとも1種以上のMR(macro−reticular)型の陰イオン交換樹脂を含む陰イオン交換樹脂を用いることが従来技術と異なるものである。
【0011】
EDI装置自体は汎用されているものであり、例えば、特許文献1、2に記載のもの、特開平11−244853号公報、特開2001−239270号公報、特開2001−353498号公報、特開2004−74109号公報に記載のもののほか、市販のEDI装置である、EDIシステムシリーズ,商品名MOLSEP(登録商標)(ダイセン・メンブレン・システムズ(株)販売)等を用いることができる。
本発明を実施する際には、市販のEDI装置のイオン交換室(脱塩室)内に充填された陰イオン交換樹脂を少なくとも1種以上のMR型の強塩基性陰イオン交換樹脂を含む陰イオン交換樹脂に替えることで対応できる。
【0012】
EDI装置で用いるMR型の陰イオン交換樹脂は公知のものであり、ゲル形の陰イオン交換樹脂とは異なり、表面に細孔を有するものである。
MR型の陰イオン交換樹脂は市販されており、例えば、ダイヤイオン(登録商標)PKシリーズ(三菱化成社製)、アンバーライト(登録商標)200シリーズ(ローム&ハース社製)、アンバーライト(登録商標)IRA900J、IRA904(オルガノ製)、アンバーリスト(登録商標)XNシリーズ(ローム&ハース社製)、ダウエックス(登録商標)MSC−1(ダウケミカル社製)、レバチット(登録商標)SPシリーズ(バイエル社製)が知られている。
【0013】
EDI装置で用いるMR型の陰イオン交換樹脂としては、マクロ孔とミクロ孔を有する強塩基性のものであり、前記マクロ孔が直径2〜20μmの範囲の孔であり、ミクロ孔が直径20〜300nmの範囲の孔であるものを有しているものが好ましい。前記マクロ孔の孔径測定およびミクロ孔の孔径測定は、それぞれ水銀圧入法による測定法と気体吸着法による測定法が用いられる。
【0014】
さらに本発明では、上記数値範囲内に含まれるものの内、下記の(I)及び(II)のMR型の陰イオン交換樹脂がより好ましい。
(I)マクロ孔とミクロ孔を有する強塩基性のものであり、マクロ孔が直径2〜20μmの範囲の孔であり、ミクロ孔が直径20〜60nm(好ましくは直径28〜44nm)(但し、全細孔容積の5.0〜95.0%の範囲にある孔径である)の範囲の孔であるものを有しており、イオン交換容量は、0.8〜1.5meq/ml湿潤樹脂)の範囲のもの。
【0015】
(II)マクロ孔とミクロ孔を有する強塩基性のものであり、マクロ孔が直径2〜20μmの範囲の孔であり、ミクロ孔が直径30〜300nm(好ましくは直径42〜240nm)(但し、全細孔容積の5.0〜95.0%の範囲にある孔径である)の範囲の孔であるものを有しており、イオン交換容量は、0.5〜1.0meq/ml湿潤樹脂)の範囲のもの。
【0016】
<EDI装置を用いた精製水の製造方法>
EDI装置の運転方法には特別なものはなく、通常の運転方法をそのまま適用できる。次に、EDI装置の運転条件の好ましい例を挙げる。
供給水量:25〜4500L/hr
EDI水量(脱塩水量):20〜4000L/hr
濃縮水流量:供給液量の5%〜50%の流量
印加電圧:30〜1000V
印加電流密度:0.1〜1.5A/dm2
【0017】
なお、EDI装置で処理する原水となる水道水や地下水は、必要に応じて、軟水装置、活性炭、ミクロフィルター等で前処理することもできる。
【0018】
<RO膜装置とEDI装置を組み合わせた2段階処理による精製水の製造方法>
本発明の精製水の製造方法では、前記の前処理水を用いてRO膜装置とEDI装置を組み合わせた2段階処理による精製水の製造方法も適用できる。RO膜処理との2段階処理により、EDIで除去対象となるイオン類の負荷を下げ、EDIの長寿命化とEDI処理水の高純度化が可能となる。
【0019】
1段目の処理では、RO膜装置を用いてRO処理水を得る。
RO膜装置は、公知のものを用いることができ、例えば、ダイセン・メンブレン・システムズ株式会社より販売されている、SV08−DRA981、−DRA991シリーズ、SV04−DRA981、−DRA991シリーズ等を用いることができる。
【0020】
RO膜装置は、処理能力(処理水の製造能力)が30〜5000L/hrのものを用いることができるが、前記範囲に限定されるものではなく、EDI装置への供給量に応じて、適宜選択することができる。
【0021】
次の2段目の処理では、上記した(I)又は(II)のEDI装置により、1段目の処理で得たRO処理水を処理する。
【0022】
また、RO処理前の前処理水の水質によっては、RO膜装置処理を2段階として2段RO膜処理水をEDI装置に供給することもできる。
【0023】
更に、RO処理水中の炭酸イオンや硬度分の残存状況に応じて、RO処理水をEDI装置に供給する前に、脱気膜処理や軟水化処理を行っても良い。
【0024】
なお、RO膜装置とEDI装置との間には、RO処理水を貯水するための貯水タンクを設け、貯水タンクの水をEDI装置に供給するようにしてもよい。
貯水タンクには、水位計、外部雰囲気からの雑菌等の混入を防ぐためのエアフィルター付きの通気孔を取り付けることができ、タンク内には、殺菌を目的として紫外線ランプを取り付けることもできる。
【0025】
<MR型の陰イオン交換樹脂を用いた精製水の製造方法>
本発明の精製水の製造方法では、EDI装置の脱塩室内に少なくとも1種以上のMR型の強塩基性陰イオン交換樹脂を含む陰イオン交換樹脂を用いることにより、エンドトキシンや生菌の少ない精製水を得ることができる。
【0026】
EDI装置の脱塩室内に充填される陽イオン交換樹脂との混床で用いられる陰イオン交換樹脂は、MR型の陰イオン交換樹脂単独でもよいし、2種以上のMR型陰イオン交換樹脂を組合わせて使用することもできる。
また、MR型の陰イオン交換樹脂とゲル型の陰イオン交換樹脂を混合して充填することもできる。
【0027】
前記のMR型の陰イオン交換樹脂は、ミクロ孔が大きいものは、ゲル型の陰イオン交換樹脂よりも生菌やエンドトキシンの除去能に優れるが、イオン交換容量が小さくなる場合が多い。そのため、ミクロ孔が大きいMR型陰イオン交換樹脂で、生菌とエンドトキシンを効率よく除去し、水中に含まれる無機イオン類はイオン交換容量の大きなゲル型の陰イオン交換樹脂で除去することにより、EDI処理水中に残存する生菌とエンドトキシンを大きく減少させるとともに、比抵抗値の大きな超純水を得ることが可能となる。
【実施例】
【0028】
(1)EDI装置
EDI装置は、中央が脱塩室で、脱塩室の外方向両側が濃縮室、濃縮室の外方向両側が電極室から構成される5室系の装置(脱塩室の膜間距離は0.4cm,有効膜面積は297cm2)を用いた。
陽極側の脱塩室と濃縮室の間には陰イオン交換膜(陰イオン交換膜AHA;(株)アストム製)が配置され、濃縮室と電極室の間には陽イオン交換膜(陽イオン交換膜CMB;(株)アストム製)が配置されている。
陰極側の脱塩室と濃縮室の間には前記の陽イオン交換膜が配置され、濃縮室と電極室の間には前記の陰イオン交換膜が配置されている。濃縮室の膜間距離は二室とも0.4cmであり、電極室の電極とイオン交換膜との距離は両電極室とも0.4cmであった。また、濃縮室と電極間に配置されたイオン交換膜の有効膜面積は297cm2であった。
なお、陰イオン交換膜と陽イオン交換膜は、超純水約10Lに約15分間浸漬する浸漬洗浄を3回行ったものを用いた。
脱塩室には、下記の陰イオン交換樹脂と陽イオン交換樹脂が体積比1:1(60mlずつ)で充填されている。
【0029】
(陰イオン交換樹脂)
表1に示す4種を用いた。アンバーライトIRA−900J(マクロ孔が直径2〜20μm、ミクロ孔が直径28〜44nm)とアンバーライトIRA−904(マクロ孔が直径2〜20μm、ミクロ孔が半径42〜240nm)が実施例、アンバーライトIRA−400J、アンバーライトIRA−404Jが比較例の陰イオン交換樹脂となる。いずれの樹脂もオルガノ(株)製である。
(陽イオン交換樹脂)
アンバーライトIR−120B(強酸性,イオン交換容量:2.0meq/ml,オルガノ(株)製)
【0030】
アンバーライトIRA−900JとアンバーライトIRA−904の細孔径は「イオン交換樹脂とその技術と応用(基礎編)」(改訂第2版1997年3月31日発行,編集発行者 オルガノ株式会社 IER部)のp37の「表1.9 MR形のイオン交換樹脂の細孔構造」に記載のものである。
【表1】

【0031】
(EDIの運転条件)
EDI装置の脱塩室、濃縮室、電極室のそれぞれに対して、試料水を417ml/min、200ml/min、167ml/minで通水しつつ、電流密度0.11A/dm2で通電した。なお、前記流速条件は、前記EDI装置を脱塩目的に使用する場合の実用通水速度である。
【0032】
(2)測定方法
(2-1)試料水の調製方法
普通寒天培地にて毎月1回継代保存した緑膿菌(Pseudmonas aeruginosa GNB-139)を用いた。
普通ブイヨン10mlを分注したL字管にて37℃で20±2時間振とう培養後、さらに同培地(普通ブイヨン)30mlを分注した三角フラスコに移植し、37℃で18時間振とう培養した。
培養終了後、遠心集菌(4℃,6000r/m,11min)した菌体を滅菌生理食塩水で2回遠心洗浄した。
この洗浄菌体を滅菌生理食塩水30mlに再度懸濁し(菌濃度109CFC/ml)、その0.5mlをRO膜装置の処理水50Lに添加し、菌濃度が103−104CFU/mlとなるように調整したものを試料水とした。なお、この試料水のET活性は1.5±0.6EU/mlであった。
【0033】
(2-2)除菌効果の評価
除菌効果の評価は、次の方法で行った。
通電開始前を0分として、通電開始後5、15、30、60、120、180分後に脱塩室流出水(EDI処理水)を採水し、それぞれ滅菌生理食塩水で適当段階希釈したものを用い、R2A寒天培地を用いた平板塗抹法により、20〜25℃で4〜7日間培養後の生菌数を測定した。
試料水(0分のもの)中の生菌数に対する各時間のEDI処理水中の生菌数の割合を算出し、生存率として評価した。100%−生菌の生残率(%)が除菌率(%)を示すことになる。
【0034】
(2-3)ETの除去効果の評価
上記の除菌効果の評価と同様にして採水したEDI処理水のET活性を、トキシノメーターミニ(和光純薬工業(株)製)を用いたリムルス(LAL)テスト比濁時間法により測定し、試料水(0分のもの)と各時間のEDI処理水のET活性を比較した。試料水(0分のもの)のET活性は、1.5±0.6EU/mlである。ET活性の低下が大きいものほど、ET除去効果が高いことを示す。
【0035】
(2-4)イオン交換樹脂から脱離されたもの(イオン交換樹脂に吸着されていたもの)の細菌数の評価/ET活性の評価
運転終了後にEDI装置を解体し、脱塩室内のイオン交換樹脂を、液の流入口側(i)から流出口側(v)にかけて5区画(i〜v)に分け、各区画からイオン交換樹脂を約20mlずつ採取した。
【0036】
次に、1mol/Lになるよう塩化ナトリウムを添加したリン酸緩衝液(pH8.0)200ml中に、各区画から採取した約20mlのイオン交換樹脂を入れ、その後、約20分間振とう撹拌して、イオン交換樹脂に吸着されている細菌及びETをリン酸緩衝液(pH8.0)中に脱離させた。
このリン酸緩衝液を用いて、「(2-2)除菌効果の評価」及び「(2-3)ETの除去効果の評価」と同様にして細菌数とET活性を測定した。
脱離したサンプル中の生菌数が多いほど、除菌効果が高いことを示し、脱離したサンプル中のET活性が高いほど、ET除去効果が高いことを示す。
【0037】
(2-5)その他の評価
上記の除菌効果の評価と同様にして採水したEDI処理水の電気伝導度とpHを測定した。
電気伝導度は、電気伝導度計200CR(Thorntonl社製)で測定し、pHは、pHメーター(堀場製作所製)にて測定した。
【0038】
実施例1、比較例1
陰イオン交換樹脂として、表1に示す4種の陰イオン交換樹脂を充填したEDI装置を用いて、所定の運転条件にて試料水を処理した。処理水について「(2-2)除菌効果の評価(生菌の生残率(%)の変化)」を行った。結果を図1に示す。
【0039】
MR形の2つの陰イオン交換樹脂(実施例1)とゲル形の2つの陰イオン交換樹脂(比較例1)を用いた場合を比べると、MR形の2つの陰イオン交換樹脂の方が、除菌効果が高かった。
MR形の2つの陰イオン交換樹脂を比べると、イオン交換容量が小さい方(IRA−904)が、除菌効果が高かった。
【0040】
実施例2、比較例2
陰イオン交換樹脂として、表1に示す4種の陰イオン交換樹脂を充填したEDI装置を用いて、所定の運転条件にて試料水を処理した。処理水について「(2-3)ETの除去効果の評価」を行った。結果を図2に示す。
【0041】
図2から明らかなとおり、IRA900J(MR形)、IRA904(MR形)(実施例2)、IRA400J(ゲル形)(比較例2)のET効果は同程度であった。なお、実用上の人工透析用水のET基準値は、0.05EU/mlである、
【0042】
実施例3、比較例3
陰イオン交換樹脂として、表1に示す4種の陰イオン交換樹脂を充填したEDI装置を用いて、所定の運転条件にて試料水を処理した。処理水について「(2-4)イオン交換樹脂から脱離されたものの生菌数の評価」を行った。結果を図3に示す。
【0043】
いずれの陰イオン交換樹脂の場合も、入り口側(i)側の脱離量(生菌数)が多く、流出口側(v)に向かうほど少なくなった。
MR形とゲル形では、MR形の陰イオン交換樹脂(実施例3)の方がより多くの生菌を吸着保持していた(除菌効果が高かった)。
IRA900J(MR形)とIRA904(MR形)では、IRA900J(MR形)の方がより多くの生菌を吸着保持していた(除菌効果が高かった)。
【0044】
実施例4、比較例4
陰イオン交換樹脂として、表1に示す4種の陰イオン交換樹脂を充填したEDI装置を用いて、所定の運転条件にて試料水を処理した。処理水について「(2-4)イオン交換樹脂から脱離されたもののET活性の評価」を行った。結果を図4に示す。
【0045】
いずれの陰イオン交換樹脂の場合も、入り口側(i)側の脱離サンプル中のET活性が高く、流出口側(v)に向かうほど小さくなった。
IRA900J(MR形)とIRA904(MR形)では、IRA900J(MR形)の脱離サンプル中の方が、ET活性が高かった(ET除去効果が高かった)。
【0046】
実施例5、比較例5
陰イオン交換樹脂として、表1に示す4種の陰イオン交換樹脂を充填したEDI装置を用いて、所定の運転条件にて試料水を処理した。処理水について「(2-5)その他の評価」により電気伝導度を測定した。結果を図5に示す。
【0047】
実施例6、比較例6
陰イオン交換樹脂として、表1に示す4種の陰イオン交換樹脂を充填したEDI装置を用いて、所定の運転条件にて試料水を処理した。処理水について「(2-5)その他の評価」によりpHを測定した。結果を図6に示す。
【0048】
参考例1〜4
参考例1(図7)は、ゲル形の陰イオン交換樹脂を使用し、EDI装置を通電運転したときと、非通電で運転したときの生残率(%)の変化を測定した。
参考例2(図8)は、MR形の陰イオン交換樹脂を使用し、EDI装置を通電運転したときと、非通電で運転したときの生残率(%)の変化を測定した。
参考例3(図9)は、ゲル形の陰イオン交換樹脂を使用し、EDI装置を通電運転したときと、非通電で運転したときのET活性の変化を測定した。
参考例4(図10)は、MR形の陰イオン交換樹脂を使用し、EDI装置を通電運転したときと、非通電で運転したときのET活性の変化を測定した。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明の製造方法で得られる精製水は、人工透析用水や注射液等で使用する医療用の精製水、半導体の製造工程のような産業用の製造ラインにおいて使用する洗浄水等として適している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気再生式脱イオン装置(EDI装置)を用いた精製水の製造方法であり、
前記EDI装置が、イオン交換樹脂を備えたイオン交換室(脱塩室)、濃縮室、電極室(正及び負の電極室)を有するものであり、
前記イオン交換室内に充填された陰イオン交換樹脂として少なくとも1種以上のMR型の陰イオン交換樹脂を含む陰イオン交換樹脂を用いる、精製水の製造方法。
【請求項2】
前記EDI装置が、前記MR型の陰イオン交換樹脂として、マクロ孔とミクロ孔を有する強塩基性のものであり、前記マクロ孔が直径2〜20μmの範囲の孔であり、前記ミクロ孔が直径20〜300nmの範囲の孔である、請求項1記載の精製水の製造方法。
【請求項3】
前記EDI装置が、前記MR型の陰イオン交換樹脂として、マクロ孔とミクロ孔を有する強塩基性のものであり、前記マクロ孔が直径2〜20μmの範囲の孔で、前記ミクロ孔が直径20〜60nmの範囲の孔であり、イオン交換容量が0.8〜1.5meq/ml(湿潤樹脂)のものである、請求項1記載の精製水の製造方法。
【請求項4】
前記EDI装置が、前記MR型の陰イオン交換樹脂として、マクロ孔とミクロ孔を有する強塩基性のものであり、前記マクロ孔が直径2〜20μmの範囲の孔で、前記ミクロ孔が直径30〜300nmの範囲の孔であり、イオン交換容量が0.5〜1.0meq/ml(湿潤樹脂)のものである、請求項1記載の精製水の製造方法。
【請求項5】
逆浸透膜装置(RO膜装置)で処理した水をさらにEDI装置で処理する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の精製水の製造方法。
【請求項6】
精製水が人工透析用水である、請求項1〜5のいずれか1項記載の精製水の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−240264(P2011−240264A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−115112(P2010−115112)
【出願日】平成22年5月19日(2010.5.19)
【出願人】(594152620)ダイセン・メンブレン・システムズ株式会社 (104)
【出願人】(594199407)株式会社オスモ (10)
【Fターム(参考)】