説明

糖尿病処置のための組み合わせ治療法

本発明は、2型糖尿病及びシンドロームXなどの、ブドウ糖関連障害を処置及び予防するためのコ−セラピー並びにその方法を目的とし、上記方法は、(a)メトホルミン又はその製薬上許容され得る塩;及び(b)式(I)の化合物を含む治療上有効な量のコ−セラピーを、処置を必要とする患者に投与することを含む。本発明は、ブドウ糖関連障害のコ−セラピーのための製薬組成物を更に目的とする。
【化1】


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる2009年7月8日出願の米国仮出願第61/223,881号の利益を主張する。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、2型糖尿病及びシンドロームXなどの、ブドウ糖関連障害を、処置及び予防するためのコ−セラピー及び方法を目的とする。本発明は、本明細書に記載のコ−セラピー及び方法のための製薬組成物を更に目的とする。
【背景技術】
【0003】
糖尿病は高血糖の存在を指す医療用語である。糖尿病に罹患している人は、インスリンを産生しないか、産生できたとしても非常に少量のインスリンしか産生しないか、あるいはインスリンに対し反応しないかのいずれかにより、結果として血中のブドウ糖濃度が上昇している。最も一般的な形態の糖尿病は2型糖尿病であり、一頃には成人発症型糖尿病又はインスリン非依存性糖尿病(NIDDM)と呼ばれ、糖尿病の90%超が成人で発症していた。しかしながら、より若年層で過体重すなわち肥満が増加するに従い、10代の若者及び児童で2型糖尿病の発症が増加してきている。糖尿病は、妊娠糖尿病、かつては若年性糖尿病及び1 1/2型糖尿病(type 1 1/2 diabetes)と呼ばれ、また成人では潜在性自己免疫性糖尿病、すなわちLADAとも呼ばれた、1型糖尿病又は自己免疫性糖尿病も指す。糖尿病は、貧しい食生活又は運動不足(例えば、セデンタリー・ライフスタイル)、遺伝的変異、膵臓の損傷、薬剤(例えば、AIDS治療薬)又は化学物質(例えば、ステロイド)への曝露、あるいは疾患(例えば、嚢胞性線維症、ダウン症候群、Cushing病)により生じ得る。2つの稀な種類の遺伝的欠損により誘発される糖尿病は、若年発症成人型糖尿病(MODY)及び非典型糖尿病(ADM)と呼ばれる。
【0004】
2型糖尿病(インスリン非依存性糖尿病又はNIDDM)はブドウ糖代謝不全及びインスリン抵抗性を包含する代謝障害であり、眼、腎臓、神経及び血管に関係する長期合併症である。2型糖尿病は、通常、成人期(人生の中期から後期)で発症し、身体が十分な量のインスリンを分泌するよう機能しなくなるか(インスリン分泌の異常)又はインスリンを効果的に使用するよう機能しなくなる(標的器官及び組織でのインスリン作用に対する抵抗性)かのいずれかの身体の不能として記載される。より具体的には、2型糖尿病に罹患している患者は、インスリンを比較的欠乏している。すなわち、これらの患者では、血漿インスリン濃度は絶対的意味では正常〜高い状態であるものの、存在する血漿ブドウ糖濃度に関して予測される濃度よりも低いのである。
【0005】
2型糖尿病は、以下の臨床症状又は病徴により特徴づけられる:持続して高濃度の血漿ブドウ糖濃度、すなわち高血糖;多尿;多飲及び/又は過食;網膜症、腎障害及び神経障害などの慢性細小血管障害;並びに失明、末期腎不全、肢切断及び心筋梗塞を誘導し得る、高脂血症及び高血圧などの大血管障害。
【0006】
シンドロームX(インスリン抵抗症候群(IRS)、代謝症候群、又はメタボリックシンドロームXとも呼ばれる)は、2型糖尿病及び心疾患を発症するリスクファクターを表わす障害であり、耐糖能異常、高インスリン血症及びインスリン抵抗性、高トリグリセリド、高血圧並びに肥満が挙げられる。
【0007】
2型糖尿病の診断には、病徴の評価と、尿中及び血中ブドウ糖の測定が含まれる。正確な診断には血糖値測定が必要不可欠である。より具体的には、空腹時の血糖値測定が標準的なアプローチとして使用されている。しかしながら、経口ブドウ糖負荷試験(oral glucose tolerance test;OGTT)の方が、空腹時の血糖値測定よりも高感度であると考えられる。2型糖尿病は、経口ブドウ糖負荷(oral glucose tolerance;OGT)の障害と関連付けられる。したがって、OGTTは2型糖尿病の診断の補助にはなるが、一般的には糖尿病の診断に必要不可欠なものではない(Emancipator K,Am J Clin Pathol 1999 Nov;112(5):665〜74;Type 2 Diabetes Mellitus Decision Resources Inc.,March 2000)。OGTTは、膵臓β細胞の分泌機能の評価及びインスリン感受性の評価を可能にすることから、2型糖尿病の診断、並びに重症度又は進行度の評価を補助する(例えば、Caumo A,Bergman RN,Cobelli C,J Clin Endocrinol Metab 2000,85(11):4396〜402)。より具体的には、OGTTは、まだ糖尿病として診断されていない、空腹時血糖値に複数のボーダーラインを有する患者の、高血糖の程度の確認に非常に役立つ。加えて、OGTTは2型糖尿病の病徴を有する患者を試験するのに有用であり、糖代謝異常をはっきりと証明するかあるいは反証するような診断が可能である。
【0008】
したがって、耐糖能異常は、2型糖尿病の診断に必要とされるよりも低い空腹時血糖値を有するが、OGTT時に正常〜糖尿病の範囲の血漿ブドウ糖応答を有する固体で診断される。耐糖能異常は前糖尿病性の状態であると考えられ、(OGTTにより診断されるものとしての)耐糖能異常は、2型糖尿病の発症に関する強力な前兆である(Haffner SM,Diabet Med 1997 Aug;14 Suppl 3:S12−8)。
【0009】
2型糖尿病は、膵臓機能の低下に随伴する、並びに/あるいは血漿ブドウ糖濃度の上昇により増悪した、インスリンが関係する他のプロセスに関係する、進行性の疾患である。したがって、通常、2型糖尿病は長期にわたる前糖尿病期を有し、様々な病態生理学的機序が、例えばブドウ糖利用及び有効性の異常、前糖尿病状態でのインスリン作用及び/又はインスリン産生などの、病理学的な高血糖及び耐糖能異常を誘導し得る(Goldberg RB,Med Clin North Am 1998 Jul;82(4):805〜21)。
【0010】
耐糖能障害に関連する前糖尿病状態は、腹部肥満、インスリン抵抗性、高脂血症及び高血圧などの素因、すなわちシンドロームXの素因にも関係し得る(Groop L,Forsblom C,Lehtovirta M,Am J Hypertens 1997 Sep;10(9 Pt 2):172S−180S;Haffner SM,J Diabetes Complications 1997 Mar−Apr;11(2):69〜76;Beck−Nielsen H,Henriksen JE,Alford F,Hother−Nielson O,Diabet Med 1996 Sep;13(9 Suppl 6):S78〜84)。
【0011】
したがって、炭水化物代謝の欠陥は2型糖尿病及び耐糖能異常の病理発生の中心になる(Dinneen SF,Diabet Med 1997 Aug;14 Suppl 3:S19〜24)。事実、耐糖能異常及び空腹時血糖異常と、2型糖尿病確定の連続は存在する(Ramlo−Halsted BA,Edelman SV,Prim Care 1999 Dec;26(4):771〜89)。
【0012】
2型糖尿病を発症するリスクを持つ個体に対する、病理学的な高血糖の低下又は耐糖能異常の軽減に焦点を置いた早期治療介入は、2型糖尿病への進行並びに関連する併発症及び/又はシンドロームXを予防又は遅延させることができる。したがって、経口ブドウ糖負荷の障害及び/又は高血糖を効果的に処置することで、2型糖尿病又はシンドロームXへの障害の進行を予防又は阻害することができる。
【0013】
2型糖尿病及びシンドロームXを含むブドウ糖障害の一般的な治療法は、可能な限り正常値付近で血糖値を維持することに焦点を置いたものであり、血糖値の維持には食事療法及び運動療法を含み、必要とされる場合には、抗糖尿病薬、インスリン又はこれらの組み合わせにより処置することを含む。食生活の管理では制御することのできない2型糖尿病は、経口糖尿病薬で処置され、このような剤としては、限定するものではないが、スルホニル尿素(例えば、限定するものではないが第一世代:クロルプロパミド、トラザミド、トルブタミド;第二世代:グリブリド、グリピジド;及び第三世代:グリメピリド)、ビグアナイド(例えば、メトホルミン)、チアゾリジンジオン(例えば、ロシグリタゾン、ピオグリタゾン、トログリタゾン)、α−グルコシダーゼ阻害剤(例えば、アカルボース、ミグリトール)、メグリチニド(例えば、レパグリニド)、他のインスリン感作化合物、及び/又は他の抗肥満剤(例えば、オルリスタット又はシブトラミン)が挙げられる。シンドロームXに関しては、抗糖尿病薬は、随伴する症状の処置のために、更に製薬学的な剤と組み合わされる(例えば、高血圧については降圧薬、高脂血症については脂質低下剤)。
【0014】
典型的な第一選択治療薬としては、メトホルミン及びスルホニル尿素並びにチアゾリジンジオンが挙げられる。メトホルミン単剤療法は、特に、肥満及び/又は脂質異常症でもある2型糖尿病患者の治療に関する第一選択肢である。メトホルミンに対する適切な応答に欠く場合には、多くの場合、メトホルミンとスルホニル尿素、チアゾリジンジオン又はインスリンの組み合わせによる処置が続く。スルホニル尿素単剤療法(全ての世代の剤を含む)もまた通常の第一選択肢である。その他の治療第一選択肢はチアゾリジンジオンであり得る。糖尿病の経口単剤療法に適切な応答を示さない患者には、これらの剤を組み合わせて投与する。経口抗糖尿病剤だけでは血糖コントロールを維持できない場合には、インスリン治療が、単剤療法として又は経口糖尿病薬と組み合わせてのいずれかで使用される。場合により更なるストラテジー(例えば、降圧薬)と組み合わせた上記と同様のストラテジーを、シンドロームXの処置に使用することができる。
【0015】
抗糖尿病薬としては、限定するものではないが、次のものが挙げられる:
(a)スルホニル尿素:膵臓β細胞を刺激することによりインスリン産生を増加させ、したがってインスリン分泌促進物質として作用する。スルホニル尿素の主な作用機序は、β細胞の細胞膜に存在するATP感受性カリウムチャネルを閉じ、結果としてインスリン放出を生じる一連のイベントを開始するというものである。スルホニル尿素の好適な例としては、限定するものではないが、クロルプロパミド、トラザミド、トルブタミド、グリブリド、グリピジド、グリメピリド、及び同様物が挙げられる。
(b)メグリチニド:スルホニル尿素とは独立した作用機序を有する、インスリン分泌促進物質の他の部類。メグリチニドの好適な例としては、限定するものではないが、レパグリニドが挙げられる。
(c)インスリン分泌を緩和する剤:グルカゴン様ペプチド−1(GLP−1)及びその模倣剤、ブドウ糖−インスリン分泌刺激ペプチド(GIP)及びその模倣剤、エキセンディン及びその模倣剤、並びにジペプチルプロテアーゼ阻害薬(DPPIV)など。
(d)ビグアナイド:肝臓のブドウ糖産生を低下させ、ブドウ糖の取り込みを増加させる。好適な例としては、限定するものではないがメトホルミンが挙げられる。
(e)チアゾリジンジオン:標的器官及び組織でのインスリンの作用を増強させることにより、末端部のインスリン抵抗性を低下させる、インスリン感作剤。これらの剤は、核受容体であるペルオキシソーム増殖剤活性化受容体γ(PPAR−ガンマ)に結合し、この受容体を活性化させることで、特定のインスリン応答性遺伝子の転写を増加させる。PPARγアゴニストの好適な例はチアゾリジンジオンであり、限定するものではないが、ロシグリタゾン、ピオグリタゾン、トログリタゾン、イサグリタゾン(isaglitazone)(MCC−555として既知)、2−[2−[(2R)−4−ヘキシル−3,4−ジヒドロ−3−オキソ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−2−イル]エトキシ]−ベンゼン酢酸、及び同様物などが挙げられる。更に、非チアゾリジンジオンもまた、インスリン感作剤として作用し、このような剤としては、限定するものではないが、GW2570、及び同様物が挙げられる。
(f)レチノイド−X受容体(RXR)モジュレーター:同様にインスリン感作剤であり、このような剤としては、限定するものではないがタルグレチン(targretin)、9−cis−レチノイン酸、及び同様物が挙げられる。
(g)その他のインスリン感作剤:限定するものではないが、INS−1、PTP−1B阻害剤、GSK3阻害剤、グリコーゲンホスホリラーゼ阻害剤、フルクトース−1,6−ビスホスファターゼ阻害剤、及び同様物が挙げられる。
(h)α−グルコシダーゼ阻害剤:α−グルコシダーゼを阻害するよう作用する。α−グルコシダーゼは、フルクトースをブドウ糖に転化させることから、これらの阻害剤は炭水化物の消化を遅らせる。未消化の炭水化物は続いて腸で分解され、それにより食後のブドウ糖ピークが減少することになる。好適な例としては、限定するものではないが、アカルボース及びミグリトールが挙げられる。
(i)インスリン:通常の又は短時間作用性の、中間時間作用性の及び長時間作用性のインスリン、吸入インスリン及び天然のアミノ酸配列中にごくわずかな差異を有するインスリン分子などのインスリンアナログを含む。これらの改変インスリンはより速く作用を発現し、及び/又は作用の持続がより短いものであり得る。
(j)インスリンの小分子模倣剤:限定するものではないが、L−783281、TE−17411、及び同様物が挙げられる。
(k)Na−ブドウ糖共輸送体阻害剤:腎臓でのブドウ糖再吸収を阻害する。T−1095、T−1095A、フロリジン、及び同様物が挙げられる。
(l)アミリン作動剤:限定するものではないが、プラムリンチド、及び同様物が挙げられる。
(k)グルカゴン拮抗剤;AY−279955、及び同様物が挙げられる。
【0016】
糖尿病薬に加え、治療には、抗肥満薬(オルリスタットなど)、脂肪の分解と吸収を防ぐ膵リパーゼ阻害剤;又は食欲抑制薬のシブトラミン、並びに脳でのセロトニン、ノルエピネフリン及びドーパミンの再取り込みの阻害剤による、追加治療を包含し得る。他の可能な追加の抗肥満薬としては、限定するものではないが次のものが挙げられる;アドレナリン作動機構を介して食欲抑制作用を行う剤、例えばベンズフェタミン、フェンメトラジン、フェンテルミン、ジエチルプロピオン、マジンドール、シブトラミン、フェニルプロパノールアミン又はエフェドリンなど;セロトニン作動機構を介して食欲抑制作用を行う剤、例えばキパジン、フルオキセチン、セルトラリン、フェンフルラミン、又はデクスフェンフルラミンなど;ドーパミン作動機構を介して食欲抑制作用を行う剤、例えば、アポモルヒネ;ヒスタミン作動機構を介して食欲抑制作用を行う剤、(例えばヒスタミン模倣剤、H3受容体モジュレーター);β−3アドレナリン作動アゴニストなどのエネルギー消費促進剤、及びタンパク質の脱共役機能促進剤(stimulators of uncoupling protein function);レプチン及びレプチン模倣剤;ニューロペプチドYアンタゴニスト;メラノコルチン−1,3及び4受容体モジュレーター;コレシストキニンアゴニスト;グルカゴン様ペプチド−1(GLP−1)模倣剤及び類似体(例えばエキセンディン);アンドロゲン(例えばデヒドロエピアンドロステロン及びエチオコランジオン(etiocholandione)などの誘導体)、テストステロン、タンパク質同化ステロイド剤(例えばオキサンドロロン)、及びステロイドホルモン;ガラニン受容体アンタゴニスト;サイトカイン剤、例えば毛様体神経栄養因子など;アミラーゼ阻害剤;エンテロスタチンアゴニスト/模倣剤;オレキシン/ヒポクレチンアンタゴニスト;ウロコルチンアンタゴニスト;ボンベシンアゴニスト;プロテインキナーゼAモジュレーター;副腎皮質刺激ホルモン放出因子模倣剤;コカイン−及びアンフェタミン−調節転写産物模倣剤;カルシトニン遺伝子関連ペプチド模倣剤;及び脂肪酸シンターゼ阻害剤。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
高血糖、2型糖尿病、シンドロームX、及び同様の状態などのブドウ糖関連障害に対して、効果的な治療法を提供する必要が依然としてある。ブドウ糖関連障害に対して、同様に2型糖尿病の進行及び/若しくは発症を遅らせるか又は予防するような効果的な治療法を提供する必要も依然としてある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明は、ブドウ糖関連障害を治療及び予防するためのコ−セラピーの方法を目的とし、上記方法は、(a)メトホルミン又はその製薬上許容され得る塩、及び(b)式(I)の化合物
【0019】
【化1】

式中、環A及び環Bは以下の(1)、(2)及び(3)のうちの一つである:
(1)環Aは場合により置換されていてもよい不飽和の単環式複素環であり、かつ環Bは場合により置換されていてもよい不飽和の単環式複素環、場合により置換されていてもよい不飽和縮合複素二環、又は場合により置換されていてもよいベンゼン環である;あるいは
(2)環Aは場合により置換されていてもよいベンゼン環であり、かつ環Bは場合により置換されていてもよい不飽和の単環式複素環、又は環Bは場合により置換されていてもよい不飽和縮合複素二環であり、ここで、Yは縮合複素二環の複素環に結合する;又は
(3)環Aは場合により置換されていてもよい不飽和縮合複素二環であり、式中、糖部分X−(糖)及び部分−Y−(環B)は両方とも縮合複素二環の同一の複素環上にあり、かつ環Bは場合により置換されていてもよい不飽和の単環式複素環、場合により置換されていてもよい不飽和縮合複素二環、又は場合により置換されていてもよいベンゼン環である;
Xは炭素原子又は窒素原子であり;そして
Yは−(CH2n−(ここで、nは1又は2である)である
又はその製薬上許容され得る塩若しくはプロドラッグを、含む治療上有効な量のコセラピーを、処置を必要とする患者に投与することを含む。
【0020】
更に本発明は、ブドウ糖関連障害を治療及び予防するためのコ−セラピーの方法を目的とし、上記方法は、(a)グリブリド及び(b)式(I)の化合物又はその製薬上許容され得る塩を含む治療上有効な量のコ−セラピーを、処置を必要とする患者に投与することを含む。
【0021】
更に本発明は、ブドウ糖関連障害の処置及び予防に使用するための、(a)式(I)の化合物又はその製薬上許容され得る塩と、(b)メトホルミン又はその製薬上許容され得る塩の組み合わせを目的とする。
【0022】
更に本発明は、ブドウ糖関連障害の処置及び予防に使用するための、(a)式(I)の化合物又はその製薬上許容され得る塩と、(b)メトホルミン又はその製薬上許容され得る塩と、(c)スルホニル尿素(好ましくはグリブリド)又はその製薬上許容され得る塩の組み合わせを目的とする。
【0023】
更に本発明は、ブドウ糖関連障害を治療及び予防するためのコ−セラピーの方法を目的とし、上記方法は、(a)メトホルミン又はその製薬上許容され得る塩、及び(b)式(I)の化合物又はその製薬上許容され得る塩、及び(c)スルホニル尿素(好ましくはグリブリド)又はその製薬上許容され得る塩を含む治療上有効な量のコ−セラピーを、処置を必要とする患者に投与することを含む。
【0024】
更に本発明は、(a)メトホルミン又はその製薬上許容され得る塩、(b)式(I)の化合物又はその製薬上許容され得る塩、及び(c)製薬上許容され得る賦形剤を含む製薬組成物を目的とする。本発明は、混合により製造される、(a)メトホルミン又はその製薬上許容され得る塩、(b)式(I)の化合物又はその製薬上許容され得る塩、及び(c)製薬上許容され得る賦形剤を含む製薬組成物を例証する。本発明は、混合を含む、(a)メトホルミン又はその製薬上許容され得る塩、(b)式(I)の化合物又はその製薬上許容され得る塩、及び(c)製薬上許容され得る賦形剤を含む製薬組成物の、製造プロセスを例証する。
【0025】
更に本発明は、(a)スルホニル尿素(好ましくはグリブリド)又はその製薬上許容され得る塩、(b)式(I)の化合物又はその製薬上許容され得る塩、及び(c)製薬上許容され得る賦形剤を含む製薬組成物を目的とする。本発明は、混合により製造される、(a)スルホニル尿素(好ましくはグリブリド)又はその製薬上許容され得る塩、(b)式(I)の化合物又はその製薬上許容され得る塩、及び(c)製薬上許容され得る賦形剤を含む製薬組成物を例証する。本発明は、混合を含む、(a)スルホニル尿素(好ましくはグリブリド)又はその製薬上許容され得る塩、(b)式(I)の化合物又はその製薬上許容され得る塩、及び(c)製薬上許容され得る賦形剤を含む製薬組成物の、製造プロセスを例証する。
【0026】
更に本発明は、(a)メトホルミン又はその製薬上許容され得る塩、(b)式(I)の化合物又はその製薬上許容され得る塩、(c)スルホニル尿素又はその製薬上許容され得る塩、及び(d)製薬上許容され得る賦形剤を含む製薬組成物を目的とする。本発明は、混合により製造される、(a)メトホルミン又はその製薬上許容され得る塩、(b)式(I)の化合物又はその製薬上許容され得る塩、(c)スルホニル尿素又はその製薬上許容され得る塩、及び(d)製薬上許容され得る賦形剤を含む製薬組成物を例証する。本発明は、混合を含む、(a)メトホルミン又はその製薬上許容され得る塩、(b)式(I)の化合物又はその製薬上許容され得る塩、(c)スルホニル尿素又は製薬上許容され得る塩、及び(d)製薬上許容され得る賦形剤を含む製薬組成物の、製造プロセスを例証する。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明は、(a)メトホルミン又はその製薬上許容され得る塩、及び(b)式(I)の化合物又はその製薬上許容され得る塩を含む治療上有効な量のコ−セラピーを、処置を必要とする患者に投与することを含む、ブドウ糖関連障害を処置及び予防するための方法を目的とする。
【0028】
【化2】

式中、環A、環B、X及びYは、本明細書に定義している通りである。
【0029】
式(I)の化合物は、ナトリウム依存性ブドウ糖輸送体(例えば、SGLT2)に対する阻害活性を呈する。式(I)の化合物は、哺乳動物の腸及び腎臓に存在するナトリウム依存性ブドウ糖輸送体に対する阻害活性を呈し、かつ更に血中ブドウ糖濃度を低下させる効果を呈する。式(I)の化合物は、本明細書に参照により組み込まれる、Nomura,S.らにより開示される米国特許出願公開第2005/0233988(A1)号(2005年10月20日公開)に記載のようなプロセスに従って調製することもできる。
【0030】
一実施形態では、本発明は、(a)メトホルミン又はその製薬上許容され得る塩、及び(b)式(I−X)の化合物又はその製薬上許容され得る塩を含む治療上有効な量のコ−セラピーを、処置を必要とする患者に投与することを含む、ブドウ糖関連障害を処置及び予防するための方法を目的とする。
【0031】
【化3】

【0032】
ある好ましい実施形態では、式(I−X)の化合物は、その開示が参照によりその全文が本明細書に組み込まれる国際公開第2008/069327号に記載の式(I−X)の化合物の半水和物の、結晶形態である。
【0033】
別の実施形態では、本発明は、(a)メトホルミン又はその製薬上許容され得る塩、及び(b)式(I−Y)の化合物又はその製薬上許容され得る塩を含む治療上有効な量のコ−セラピーを、処置を必要とする患者に投与することを含む、ブドウ糖関連障害を処置及び予防するための方法を目的とする。
【0034】
【化4】

【0035】
更に本発明は、(a)スルホニル尿素(好ましくはグリブリド)又はその製薬上許容され得る塩、及び(b)式(I)の化合物又はその製薬上許容され得る塩を含む治療上有効な量のコ−セラピーを、処置を必要とする患者に投与することを含む、ブドウ糖関連障害を処置及び予防するための方法を目的とする。
【0036】
【化5】

式中、環A、環B、X及びYは、本明細書に定義している通りである。別の実施形態では、本発明は、(a)スルホニル尿素(好ましくはグリブリド)又はその製薬上許容され得る塩、及び(b)式(I−X)の化合物又はその製薬上許容され得る塩を含む治療上有効な量のコ−セラピーを、処置を必要とする患者に投与することを含む、ブドウ糖関連障害を処置及び予防するための方法を目的とする。別の実施形態では、本発明は、(a)スルホニル尿素(好ましくはグリブリド)又はその製薬上許容され得る塩、及び(b)式(I−Y)の化合物又はその製薬上許容され得る塩を含む治療上有効な量のコ−セラピーを、処置を必要とする患者に投与することを含む、ブドウ糖関連障害を処置及び予防するための方法を目的とする。
【0037】
メトホルミン及びより具体的にはメトホルミン塩酸塩(商品名GLUCOPHAGE、RIOMET、FORTAMET、GLUMETZA、OBIMET、DIANBEN、DIABEX、DIAFORMIN及びその他のものとして既知)は、ビグアナイド類の経口抗糖尿病薬である。メトホルミンは、特に過体重及び肥満の人々の2型糖尿病の第一選択治療剤である。米国及び特定の他の国での、メトホルミン(例えば、メトホルミン塩酸塩錠として)の通常の初期投与量は、500mgを日に2回か、又は850mgを日に1回、食事と共に投与するものである。1日投与量は、週に500mg又は2週毎に850mg増加させることができ、最大で一日当たり合計2000mgを分割投与することができる。患者は、2週間後には500mgを日に2回から850mgを日に2回に用量設定され得る。更に血糖コントロールを必要とする患者については、最大1日量2550mgでメトホルミンを投与してもよい。2000mgを超える投与では、1日に3回の食事と共に投与することが、より良好に許容されるものであり得る。好ましくは、メトホルミン又はその製薬上許容され得る塩はメトホルミン塩酸塩である。
【0038】
グリブリド(グリベンクラミドとしても既知であり、商品名DIABETA、GLYNASE PRESTAB、MICRONASE及びこの他のものとして更に既知である)は、スルホニル尿素類の経口抗糖尿病剤である。グリブリドは2型糖尿病の処置に使用され、膵臓β細胞において、ATP感受性カリウムチャネルを阻害することにより作動する。この阻害は、細胞膜脱分極を引き起こし、電位依存性のカルシウムチャネルを開口させ、次いでβ細胞内の細胞内カルシウムを増加させ、インスリンの放出を刺激する。グリブリドの初期投与量は、典型的には2.5mg〜5mg(微粉化グリブリドとして投与する場合には1.5gm〜3mg)であり、食事と共に毎日摂取させる。必要とされる場合、グリブリド投与量は、最大で1日20mg(微粉化グリブリドとして投与する場合には最大で1日12mg)まで徐々に(一週間当たり2.5mg以下で段階を踏んで)増加させてもよい。グリブリドはメトホルミンと組み合わせて投与してもよく、商品名GLUCOVANCE及びGLIBOMETのメトホルミンとの組み合わせとしても利用可能である。
【0039】
更に本発明は、(a)メトホルミン又はその製薬上許容され得る塩、及び(b)式(I)の化合物又はその製薬上許容され得る塩、及び(c)スルホニル尿素又はその製薬上許容され得る塩を含む治療上有効な量のコ−セラピーを、処置を必要とする患者に投与することを含む、ブドウ糖関連障害を処置及び予防するための方法を目的とする。
【0040】
一実施形態では、本発明は、(a)メトホルミン又はその製薬上許容され得る塩、及び(b)式(I−X)の化合物又はその製薬上許容され得る塩、及び(c)スルホニル尿素又はその製薬上許容され得る塩を含む治療上有効な量のコ−セラピーを、処置を必要とする患者に投与することを含む、ブドウ糖関連障害を処置及び予防するための方法を目的とする。
【0041】
別の実施形態では、本発明は、(a)メトホルミン又はその製薬上許容され得る塩、及び(b)式(I−Y)の化合物又はその製薬上許容され得る塩、及び(c)スルホニル尿素又はその製薬上許容され得る塩を含む治療上有効な量のコ−セラピーを、処置を必要とする患者に投与することを含む、ブドウ糖関連障害を処置及び予防するための方法を目的とする。
【0042】
更に本発明は、(a)メトホルミン又はその製薬上許容され得る塩、及び(b)式(I)の化合物又はその製薬上許容され得る塩、及び(c)グリブリドを含む治療上有効な量のコ−セラピーを、処置を必要とする患者に投与することを含む、ブドウ糖関連障害を処置及び予防するための方法を目的とする。
【0043】
別の実施形態では、本発明は、(a)メトホルミン又はその製薬上許容され得る塩、及び(b)式(I−X)の化合物又はその製薬上許容され得る塩、及び(c)グリブリドを含む治療上有効な量のコ−セラピーを、処置を必要とする患者に投与することを含む、ブドウ糖関連障害を処置及び予防するための方法を目的とする。
【0044】
別の実施形態では、本発明は、(a)メトホルミン又はその製薬上許容され得る塩、及び(b)式(I−Y)の化合物又はその製薬上許容され得る塩、及び(c)グリブリドを含む治療上有効な量のコ−セラピーを、処置を必要とする患者に投与することを含む、ブドウ糖関連障害を処置及び予防するための方法を目的とする。
【0045】
スルホニル尿素は製薬学的化合物類であり、膵臓β細胞を刺激することによりインスリン産生を増加させ、したがってインスリン分泌促進物質として作用する。スルホニル尿素の主な作用機序は、β細胞の細胞膜に存在するATP感受性カリウムチャネルを閉じ、結果としてインスリン放出を生じる一連のイベントを開始するというものである。スルホニル尿素の好適な例としては、限定するものではないが、クロルプロパミド、トラザミド、トルブタミド、グリブリド、グリピジド、グリメピリド、及び同様物が挙げられる。当業者は、スルホニル尿素の投与についての投与量及びレジメンを、例えばPDR(医師用卓上参考書)を参考することにより、及び/又は製薬剤についての記載が含まれる、FDAに必須の薬剤文献を参考することにより、容易に判断することができる。例えば、クロルプロパミド(DIABINESE(登録商標))の代表的な投与量は100〜250mgを1日1回であり;トラザミド(TOLINASE(登録商標))については250mgを1日1回又はを1日2回であり;トルブタミド(ORINASE(登録商標))については1000mgを1日2回又はを1日3回であり;グリメピリド(AMARYL(登録商標))については2mgを1日1回であり;グリピジド(GLUCOTROL(登録商標))については5〜10mgを1日1回又はを1日2回であり;及びグリブリド(DIABETA(登録商標)、MICRONASE(登録商標))については2.5〜5mgを1日1回又はを1日2回である。
【0046】
本発明の実施形態では、スルホニル尿素は、クロルプロパミド、トラザミド及びトルブタミドからなる群から選択され;スルホニル尿素は、約100mg〜約3000mgの範囲又はこの内の任意の範囲の量で、好ましくは約100mg〜約1000mgの範囲又はこの内の任意の範囲の量で存在する(投与される)。本発明の別の実施形態では、スルホニル尿素は、グリブリド、グリピジド及びグリメピリドからなる群から選択され;スルホニル尿素は、約0.1mg〜約50mgの範囲又はこの内の任意の範囲の量で、好ましくは約1.0mg〜約50mgの範囲又はこの内の任意の範囲の量で、より好ましくは約2.0mg〜約25mgの範囲又はこの内の任意の範囲の量で存在する。
【0047】
本発明の別の実施形態では、スルホニル尿素はグリブリドであり;グリブリドは、1日約1.0mg〜約20mgの範囲又はこの内の任意の範囲の量で、好ましくは1日約2.5mg〜約20mgの範囲又はこの内の任意の範囲の量で、より好ましくは1日約2.5mg〜約10mgの範囲又はこの内の任意の範囲の量で、より好ましくは1日約2.5mg〜約5mgの範囲又はこの内の任意の範囲の量で存在する(投与される)。
【0048】
更に本発明は、(a)メトホルミン又はその製薬上許容され得る塩、及び(b)式(I)の化合物又はその製薬上許容され得る塩を含む治療上有効な量のコ−セラピーを含む製薬組成物を目的とする。更に本発明は、(a)グリブリド、及び(b)式(I)の化合物又はその製薬上許容され得る塩を含む治療上有効な量のコ−セラピーを含む製薬組成物を目的とする。
【0049】
更に本発明は、(a)メトホルミン又はその製薬上許容され得る塩、(b)式(I)の化合物又はその製薬上許容され得る塩、及び(c)スルホニル尿素又はその製薬上許容され得る塩を含む治療上有効な量のコ−セラピーを含む製薬組成物を目的とする。
【0050】
一実施形態では、本発明は、(a)メトホルミン又はその製薬上許容され得る塩、及び(b)式(I−X)の化合物又はその製薬上許容され得る塩を含む製薬組成物を目的とする。別の実施形態では、本発明は、(a)メトホルミン又はその製薬上許容され得る塩、及び(b)式(I−Y)の化合物又はその製薬上許容され得る塩を含む製薬組成物を目的とする。本発明の別の実施形態では、製薬組成物は即時放出型の剤形である。本発明の別の実施形態では、製薬組成物は徐放型の剤形であり、この剤形は、約8〜約24時間の範囲にわたって、又はこの内の任意の時間にわたって有効成分の1種以上を放出する。
【0051】
一実施形態では、本発明は、(a)グリブリド、及び(b)式(I−X)の化合物又はその製薬上許容され得る塩を含む製薬組成物を目的とする。別の実施形態では、本発明は、(a)グリブリド、及び(b)式(I−Y)の化合物又はその製薬上許容され得る塩を含む製薬組成物を目的とする。本発明の別の実施形態では、上記製薬組成物は即時放出型の剤形である。本発明の別の実施形態では、製薬組成物は徐放型の剤形であり、この剤形は、約8〜約24時間の範囲にわたって、又はこの内の任意の時間にわたって有効成分の1種以上を放出する。
【0052】
一実施形態では、本発明は、(a)メトホルミン又はその製薬上許容され得る塩、(b)式(I−X)の化合物又はその製薬上許容され得る塩及び(c)スルホニル尿素又はその製薬上許容され得る塩を含む製薬組成物を目的とする。別の実施形態では、本発明は、(a)メトホルミン又はその製薬上許容され得る塩、(b)式(I−Y)の化合物又はその製薬上許容され得る塩、及び(c)スルホニル尿素又はその製薬上許容され得る塩を含む製薬組成物を目的とする。本発明の別の実施形態では、製薬組成物は即時放出型の剤形である。本発明の別の実施形態では、製薬組成物は徐放型の剤形であり、この剤形は、約8〜約24時間の範囲にわたって、又はこの内の任意の時間にわたって、好ましくは約8時間〜約12時間の範囲にわたって、又はこの内の任意の時間にわたって有効成分の1種以上を放出する。
【0053】
一実施形態では、本発明は、メトホルミン又はその製薬上許容され得る塩がメトホルミン塩酸塩である、製薬組成物を目的とする。別の実施形態では、本発明は、メトホルミン塩酸塩が約100mg〜約2000mg、好ましくは約250mg〜約2000mg、好ましくは約250mg〜約1000mgの範囲又はこれらの内の任意の量若しくは範囲の投与量で存在する製薬組成物を目的とする。別の実施形態では、本発明は、メトホルミン塩酸塩が、250mg、500mg、750mg、850mg、1000mg、1700mg及び2000mgからなる群から選択された投与量で存在する製薬組成物を目的とする。
【0054】
一実施形態では、本発明は、グリブリドが、約1.0mg〜約20.0mg、好ましくは約2.5mg〜約20.0mg、より好ましくは約2.5mg〜約10.0mgの範囲又はこれらの内の任意の量若しくは範囲の投与量で存在する製薬組成物を目的とする。別の実施形態では、本発明は、グリブリドが1.0、1.5、2.5、5.0、7.5、10、12.5、15及び20mgからなる群から選択された投与量で存在する製薬組成物を目的とする。
【0055】
一実施形態では、本発明は、式(I)の化合物又はその製薬上許容され得る塩が、式(I−X)の化合物又はその製薬上許容され得る塩、及び式(I−Y)の化合物又はその製薬上許容され得る塩からなる群から選択された製薬組成物を目的とする。別の実施形態では、本発明は、式(I)の化合物又はその製薬上許容され得る塩が式(I−X)の化合物又はその製薬上許容され得る塩である、製薬組成物を目的とする。
【0056】
別の実施形態では、本発明は、式(I−X)の化合物又はその製薬上許容され得る塩が、約1mg〜約500mg、好ましくは約1mg〜約300mg、好ましくは約25mg〜約300mgの範囲又はこれらの内の任意の量若しくは範囲の投与量で存在する製薬組成物を目的とする。他の実施形態では、本発明は、式(I−X)の化合物又はその製薬上許容され得る塩が、約25mg〜約300mgの範囲の投与量で存在し、好ましくは50mg、100mg、150mg、200mg及び300mgからなる群から選択された投与量で存在する、製薬組成物を目的とする。
【0057】
別の実施形態では、本発明は、式(I−Y)の化合物又はその製薬上許容され得る塩が、1mg〜約500mg、好ましくは約1mg〜約100mg、又は約1mg〜約50mgの範囲又はこれらの内の任意の量若しくは範囲の投与量で存在する製薬組成物を目的とする。別の実施形態では、本発明は、式(I−Y)の化合物又はその製薬上許容され得る塩が、1mg、5mg、10mg、25mg、50mg及び100mgからなる群から選択された投与量で存在する、製薬組成物を目的とする。
【0058】
更に別の実施形態では、本発明は次の(a)及び(b)を含む製薬組成物を目的とする:
(a)メトホルミン又はその製薬上許容され得る塩;
(b)式(I−X)の化合物又はその製薬上許容され得る塩、及び式(I−Y)の化合物又はその製薬上許容され得る塩からなる群から選択された、式(I)の化合物又はその製薬上許容され得る塩;
ここで、メトホルミン又はその製薬上許容され得る塩は、約100mg〜約2000mg、好ましくは約500mg〜約1000mgの範囲又はこれらの内の任意の量若しくは範囲の量で存在し、
式(I)の化合物又はその製薬上許容され得る塩は、約1mg〜約1000mgの範囲又はこれらの内の任意の量若しくは範囲の量(好ましくは約1mg〜約500mgの範囲又はこれらの内の任意の量若しくは範囲の量、より好ましくは約10mg〜約300mgの範囲又はこれらの内の任意の量若しくは範囲の量)で存在する。
【0059】
更に別の実施形態では、本発明は次の(a)及び(b)を含む製薬組成物を目的とする:
(a)グリブリド;ここで、グリブリドは約1.0mg〜約20mg、好ましくは約2.5mg〜約20mgの範囲又はこれらの内の任意の量若しくは範囲の量で存在する;及び
(b)式(I)の化合物又はその製薬上許容され得る塩(ここで、式(I)の化合物又はその製薬上許容され得る塩は、好ましくは式(I−X)の化合物又はその製薬上許容され得る塩及び式(I−Y)の化合物又はその製薬上許容され得る塩からなる群から選択される);ここで、式(I)の化合物又はその製薬上許容され得る塩は、約1mg〜約1000mgの範囲又はこれらの内の任意の量若しくは範囲(好ましくは約1mg〜約500mgの範囲又はこれらの内の任意の量若しくは範囲、より好ましくは約10mg〜約300mgの範囲又はこれらの内の任意の量若しくは範囲の量)で存在する。
【0060】
本発明の実施形態では、式(I)の化合物は式(I−X)の化合物であり、製薬組成物中に、約1mg〜約1000mgの範囲又はこれらの内の任意の量若しくは範囲の量で、好ましくは約50mg〜約300mgの範囲又はこれらの内の任意の量若しくは範囲の量で存在する。本発明の別の実施形態では、式(I)の化合物は式(I−Y)の化合物であり、製薬組成物中に、約1mg〜約1000mgの範囲又はこれらの内の任意の量若しくは範囲の量で、好ましくは約1mg〜約100mgの範囲又はこれらの内の任意の量若しくは範囲の量で、より好ましくは約10mg〜約50mgの範囲又はこれらの内の任意の量若しくは範囲の量で存在する。
【0061】
更に他の実施形態では、本発明は次の(a)、(b)及び(c)を含む製薬組成物を目的とする:
(a)メトホルミン又はその製薬上許容され得る塩;ここで、メトホルミン又はその製薬上許容され得る塩は、約100mg〜約2000mgの範囲、好ましくは約500mg又は約1000mg又はこれらの内の任意の量又は範囲の量で存在する;
(b)式(I)の化合物又はその製薬上許容され得る塩(ここで、式(I)の化合物は、好ましくは式(I−X)の化合物又はその製薬上許容され得る塩及び式(I−Y)の化合物又はその製薬上許容され得る塩からなる群から選択される);ここで、式(I)の化合物又はその製薬上許容され得る塩は、約1mg〜約1000mgの範囲又はこれらの内の任意の量若しくは範囲の量(好ましくは約1mg〜約500mgの範囲又はこれらの内の任意の量若しくは範囲の量、より好ましくは約10mg〜約300mgの範囲又はこれらの内の任意の量若しくは範囲の量)で存在する;
及び(c)グリブリド;ここで、グリブリドは約1.0mg〜約20mg、好ましくは約2.5mg〜約20mgの範囲又はこれらの内の任意の量若しくは範囲の量で存在する。
【0062】
一実施形態では、本発明は、(a)メトホルミン塩酸塩、(b)式(I−X)の化合物又はその製薬上許容され得る塩及び式(I−Y)の化合物又はその製薬上許容され得る塩からなる群から選択された、式(I)の化合物又はその製薬上許容され得る塩、並びに1種以上の製薬上許容され得る賦形剤を含む、製薬組成物を目的とする。製薬上許容され得る賦形剤としては、限定するものではないが、崩壊剤、結合剤、希釈剤、潤滑剤、安定剤、抗酸化剤、界面活性剤、着色剤、可塑剤、コーティング剤、及び同様物が挙げられる。より具体的には、好適な製薬賦形剤は、次の(i)〜(vi)を1つ以上含む:(i)希釈剤(ラクトース、微結晶セルロース、リン酸二カルシウム、デンプン、及び同様物など);(ii)結合剤(ポリビニルピロリドン(POVIDONEなど)、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(METHOCEL(商標)E−5など)、及び同様物);(iii)崩壊剤(デンプングリコール酸ナトリウム、クロスカルメロースナトリウム、クロスポピドン、及び同様物);(iv)湿潤剤(ラウリルステアリン酸ナトリウム、ポリソルベート20、及び同様物などの界面活性剤);(v)潤滑剤(ステアリン酸マグネシウム、フマル酸ステアリルナトリウム、タルク、及び同様物);(vi)流動促進剤又は滑剤(コロイド状二酸化ケイ素、タルク、及び同様物);並びに製薬組成物の調製に有用であることが既知であるその他の賦形剤。更なる好適な製薬賦形剤及びその特性を、R.C.Rowe、P.J.Sheskey & P.J.Weller編、「Handbook of Pharmaceutical Excipients」第4版(Pharmaceutical Press出版,Division of Royal Pharmaceutical Society of Great Britain)などの文献に見出すことができる。別の実施形態では、本発明は、スルホニル尿素又はその製薬上許容され得る塩を更に含む、上記のような製薬組成物を目的とする。
【0063】
本発明の製薬組成物に使用するための充填剤又は希釈剤としては、製剤処方に一般的に使用される充填剤又は希釈剤が挙げられる。本発明に従って使用するための充填剤又は希釈剤の例としては、限定するものではないが、ラクトース、デキストロース、ブドウ糖、スクロース、セルロース、デンプン及び炭水化物誘導体、多糖(デキストレート(dextrates)及びマルトデキストリン)などの糖、ポリオール(マニトール、キシリトール及びソルビトールを含む)、シクロデキストリン、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、微結晶セルロース、これらの組み合わせ、及び同様物が挙げられる。
【0064】
本発明の製薬組成物に使用するための結合剤としては、製薬処方に一般に使用される結合剤が挙げられる。本発明に従って使用するための結合剤の例としては、限定するものではないが、セルロース誘導体(ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース及びカルボキシメチルセルロースナトリウムを含む)、グリコール、スクロース、デキストロース、コーンシロップ、多糖(アカシア、トラガカント(targacanth)、グアー、アルギン酸塩及びデンプンを含む)、トウモロコシデンプン、α化デンプン、化工トウモロコシデンプン、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、ポリエチレン、ポリエチレングリコール、これらの組み合わせ、及び同様物が挙げられる。
【0065】
本発明の製薬組成物に使用するための崩壊剤としては、製薬処方に一般に使用される崩壊剤が挙げられる。本発明に従って使用するための崩壊剤の例としては、限定するものではないが、デンプン、及び架橋デンプン、セルロース及びポリマー、これらの組み合わせ、及び同様物が挙げられる。代表的な崩壊剤としては、微結晶セルロース、クロスカルメロースナトリウム、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、クロスポビドン、セルロース、アガー及び関連するガム、デンプングリコール酸ナトリウム、トウモロコシデンプン、ジャガイモデンプン、デンプングリコール酸ナトリウム、ビーガムHV、メチルセルロース、アガー、ベントナイト、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、カルシウムカルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸、グアーガム、これらの組み合わせ、及び同様物が挙げられる。
【0066】
本発明の製薬組成物に使用するための潤滑剤、滑剤(glidants)又は抗粘着剤(anti-tacking agents)としては、製薬処方に一般に使用される潤滑剤、滑剤及び抗粘着剤が挙げられる。本発明に従って使用するための例としては、限定するものではないが、炭酸マグネシウム、ラウリル硫酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、タルク、フュームド二酸化ケイ素、これらの組み合わせ、及び同様物が挙げられる。他の有用な潤滑剤としては、限定するものではないが、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸、フマル酸ステアリルナトリウム、ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸マグネシウム、安息香酸ナトリウム、コロイド状二酸化ケイ素、酸化マグネシウム、ケイ酸マグネシウム、鉱油、水添ベジタブルオイル、ワックス、ベヘン酸グリセリル、ポリエチレングリコール及びこれらの組み合わせ、及び同様物が挙げられる。
【0067】
本発明の製薬組成物に使用するための界面活性剤としては、製薬処方に一般に使用される界面活性剤が挙げられる。本発明に従って使用するための界面活性剤の例としては、限定するものではないが、製薬処方に一般に使用されるイオン性及び非イオン性界面活性剤又は湿潤剤、例えばエトキシ化ヒマシ油、ポリグリコール化グリセリド、アセチル化モノグリセリド、ソルビタン脂肪酸エステル、ポロキサマー、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン誘導体、モノグリセリド又はそのエトキシ化誘導体、ジグリセリド又はそのポリオキシエチレン誘導体、ドクサートナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、コール酸又はその誘導体、レシチン、リン脂質、これらの組み合わせ、及び同様物が挙げられる。
【0068】
製薬組成物に賦形剤として一般的に使用される他のポリマーとしては、限定するものではないが、メチルセルロース(MC)、エチルセルロース(EC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、メチルヒドロキシエチルセルロース(MHEC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、カルボキシメチルセルロースナトリウム(NaCMC)、及び同様物が挙げられる。
【0069】
製薬組成物は更に抗酸化剤及びキレート剤を含むことができる。例えば、製薬処方は、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、没食子酸プロピル(PG)、メタ重亜硫酸ナトリウム、パルミチン酸アスコルビル、ピロ亜硫酸カリウム、EDTA二ナトリウム(エチレンジアミン四酢酸;エデト酸2ナトリウムとしても既知)、EDTA、酒石酸、クエン酸、クエン酸一水和物及び亜硫酸ナトリウムを含有し得る。
【0070】
製薬組成物は更に、場合により1種以上の流動性調整剤(又は滑剤)を含むことができる。流動性調整剤は、粉末又は顆粒で存在してよく、特に粉末又は顆粒を押圧することにより製造される錠剤の調製時に、製造中の組成物の流動性を増加させるために混合される。使用することのできる流動性調整剤としては、限定するものではないが、高分散性二酸化ケイ素(Aerosil)又は乾燥デンプンが挙げられる。
【0071】
他の賦形剤と適合し、かつ製剤化合物(有効成分)と結合しない、すなわち製剤の分解を引き起こさないような、製薬上許容され得る適切な賦形剤が選択されることを当業者は容易に認識するであろう。
【0072】
錠剤組成物は場合により更にコーティングを含んでもよい。好適なコーティングとしては、限定するものではないが、フィルム形成ポリマー(例えば、セルロース誘導体、デキストリン、デンプンの部類のものなど)、天然ガム(例えば、アラビアゴム、キサンタン、アルジネートゴム)、ポリビニルアルコール、ポリメタクリレート及びこれらの誘導体、例えば、Eudragit(登録商標)が挙げられ、これらは製薬分野での様々な従来方法(例えば、フィルムコーティング)により溶液又は懸濁液として錠剤に適用することができる。存在する任意のフィルム形成ポリマーに加えて更に1種以上の補助薬(例えば、親水化剤(hydrophilisers)、可塑剤、界面活性剤、染料及び例えば二酸化チタンなどの白色色素)を含み得るコーティングは、典型的には、溶液/懸濁液として適用される。
【0073】
本発明の特定の実施形態では、製薬組成物は、好ましくは約5重量%〜約50重量%(組成物又は組成物層の合計重量に対して)、より好ましくは約5重量%〜約25重量%、より好ましくは約7重量%、の希釈剤を含む。
【0074】
本発明の更なる実施形態では、製薬組成物は、好ましくは約1重量%〜約10重量%(組成物又は組成物層の合計重量に対して)、より好ましくは約3重量%〜約5重量%、より好ましくは約4重量%、の結合剤を含む。
【0075】
本発明の更なる実施形態では、製薬組成物は、好ましくは約1重量%〜約10重量%(組成物又は組成物層の合計重量に対して)、より好ましくは約2重量%〜約5重量%、より好ましくは約3重量%、の崩壊剤を含む。
【0076】
本発明の更なる実施形態では、製薬組成物は、好ましくは0重量%〜約5重量%(組成物又は組成物層の合計重量に対して)、より好ましくは約0.1重量%〜約2重量%、より好ましくは約0.3重量%、の湿潤剤を含む。
【0077】
本発明の更なる実施形態では、製薬組成物は、好ましくは0重量%〜約3重量%(組成物又は組成物層の合計重量に対して)、より好ましくは約0.1重量%〜約2重量%、より好ましくは約0.5重量%の潤滑剤を含む。
【0078】
定義
用語「ハロゲン原子」又は「ハロ」は、塩素、臭素、フッ素及びヨウ素を意味し、塩素及びフッ素が好ましい。
【0079】
用語「アルキル基」は、1〜12個の炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖飽和一価炭化水素鎖を意味する。1〜6個の炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖アルキル基が好ましく、1〜4個の炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖アルキル基がより好ましい。その例は、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、t−ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、イソヘキシル基、ヘプチル基、4,4−ジメチルペンチル基、オクチル基、2,2,4−トリメチルペンチル基、ノニル基、デシル基、及びその種々の分枝鎖異性体である。更に、アルキル基は場合によりかつ独立して、必要に応じて、以下に列挙するような1〜4個の置換基で置換されてもよい。
【0080】
用語「アルキレン基」又は「アルキレン」は、1〜12個の炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖二価飽和炭化水素鎖を意味する。1〜6個の炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖アルキレン基が好ましく、1〜4個の炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖アルキレン基がより好ましい。これらの例はメチレン基、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基などである。必要とされる場合、アルキレン基は「アルキル基」について上記したのと同様の方法で場合により置換されてもよい。上記定義のアルキレン基がベンゼン環の2個の異なる炭素原子に結合する場合、それらは結合する炭素原子と共に、アニール化した5、6又は7員炭素環を形成し、場合により1個以上の以下に定義する置換基で置換されてもよい。
【0081】
用語「アルケニル基」は、2〜12個の炭素原子、及び少なくとも1個の二重結合を有する直鎖又は分枝鎖一価炭化水素鎖を意味する。好ましいアルケニル基は、2〜6個の炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖アルケニル基であり、2〜4個の炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖アルケニル基がより好ましい。その例は、ビニル基、2−プロペニル基、3−ブテニル基、2−ブテニル基、4−ペンテニル基、3−ペンテニル基、2−ヘキセニル基、3−ヘキセニル基、2−ヘプテニル基、3−ヘプテニル基、4−ヘプテニル基、3−オクテニル基、3−ノネニル基、4−デセニル基、3−ウンデセニル基、4−ドデセニル基、4,8,12−テトラデカトリエニル基などである。アルケニル基は場合によりかつ独立して、必要に応じて、以下に言及するような1〜4個の置換基で置換されてもよい。
【0082】
用語「アルケニレン基」は、2〜12個の炭素原子、及び少なくとも1個の二重結合を有する直鎖又は分枝鎖二価炭化水素鎖を意味する。2〜6個の炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖アルケニレン基が好ましく、2〜4個の炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖アルケニレン基がより好ましい。その例は、ビニレン基、プロペニレン基、ブタジエニレン基などである。必要に応じて、アルキレン基は場合により、必要に応じて以下に言及するような1〜4個の置換基で置換されてもよい。上記定義のアルケニレン基がベンゼン環の2個の異なる炭素原子に結合する場合、それらは結合する炭素原子と共に、環化5、6又は7員炭素環(例えば、縮合ベンゼン環)を形成し、場合により1個以上の以下に定義する置換基で置換されてもよい。
【0083】
用語「アルキニル基」は、少なくとも1個の三重結合を有する直鎖又は分枝鎖一価炭化水素鎖を意味する。好ましいアルキニル基は、2〜6個の炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖アルキニル基であり、2〜4個の炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖アルキニル基がより好ましい。その例は、2−プロピニル基、3−ブチニル基、2−ブチニル基、4−ペンチニル基、3−ペンチニル基、2−ヘキシニル基、3−ヘキシニル基、2−ヘプチニル基、3−ヘプチニル基、4−ヘプチニル基、3−オクチニル基、3−ノニニル基、4−デシニル基、3−ウンデシニル基、4−ドデシニル基などである。アルキニル基は場合によりかつ独立して、必要に応じて以下に言及するような1〜4個の置換基で置換されてもよい。
【0084】
用語「シクロアルキル基」は、3〜12個の炭素原子を有する単環式又は二環式一価飽和炭化水素環を意味し、3〜7個の炭素原子を有する単環式飽和炭化水素環がより好ましい。その例は、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロデシル基などのような、単環式アルキル基及び二環式アルキル基である。これらの基は場合によりかつ独立して、必要に応じて、以下に言及するような1〜4個の置換基で置換されてもよい。シクロアルキル基は場合により飽和炭化水素環又は不飽和炭化水素環と縮環してもよく(上記飽和炭化水素環及び不飽和炭化水素環は場合により必要に応じて環内に酸素原子、窒素原子、硫黄原子、SO又はSO2を含有してもよい)、縮環した飽和炭化水素環及び縮環した不飽和炭化水素環は場合によりかつ独立して、以下に言及するような1〜4個の置換基で置換されてもよい。
【0085】
用語「シクロアルキリデン基」は、3〜12個の炭素原子を有する単環式又は二環式二価飽和炭化水素環を意味し、3〜6個の炭素原子を有する単環式飽和炭化水素環が好ましい。その例は、シクロプロピリデン基、シクロブチリデン基、シクロペンチリジン基、シクロヘキシリデン基などのような、単環式アルキリデン基及び二環式アルキリデン基である。これらの基は場合によりかつ独立して、必要に応じて、以下に言及するような1〜4個の置換基で置換されてもよい。それに加えて、シクロアルキリデン基は場合により飽和炭化水素環又は不飽和炭化水素環と縮環してもよく(上記飽和炭化水素環及び不飽和炭化水素環は場合により、必要に応じて、環内に酸素原子、窒素原子、硫黄原子、SO又はSO2を含有してもよい)、縮環した飽和炭化水素環及び不飽和炭化水素環は場合によりかつ独立して、以下に言及するような1〜4個の置換基で置換されてもよい。
【0086】
用語「シクロアルケニル基」は、4〜12個の炭素原子及び少なくとも1つの二重結合を有する単環式又は二環式一価不飽和炭化水素環を意味する。好ましいシクロアルケニル基は、4〜7個の炭素原子を有する単環式不飽和炭化水素基である。これらの例は、シクロペンテニル基、シクロペンタジエニル基、シクロヘキセニル基などのような単環式アルケニル基である。これらの基は場合によりかつ独立して、必要に応じて、以下に言及するような1〜4個の置換基で置換されてもよい。それに加えて、シクロアルケニル基は場合により飽和炭化水素環又は不飽和炭化水素環と縮環してもよく(上記飽和炭化水素環及び不飽和炭化水素環は場合により、必要に応じて、環内に酸素原子、窒素原子、硫黄原子、SO又はSO2を含有してもよい)、縮環した飽和炭化水素環及び不飽和炭化水素環は場合によりかつ独立して、以下に言及するような1〜4個の置換基で置換されてもよい。
【0087】
用語「シクロアルキニル基」は、6〜12個の炭素原子及び少なくとも1個の三重結合を有する単環式又は二環式不飽和炭化水素環を意味する。好ましいシクロアルキニル基は、6〜8個の炭素原子を有する単環式不飽和炭化水素基である。その例は、シクロオクチニル基、シクロデシニル基のような単環式アルキニル基である。これらの基は場合により、必要に応じて、以下に言及するような1〜4個の置換基で置換されてもよい。それに加えて、シクロアルキニル基は場合によりかつ独立して、飽和炭化水素環又は不飽和炭化水素環と縮環してもよく(上記飽和炭化水素環及び不飽和炭化水素環は場合により、必要に応じて、環内に酸素原子、窒素原子、硫黄原子、SO又はSO2を含有してもよい)、縮環した飽和炭化水素環又は不飽和炭化水素環は場合によりかつ独立して、以下に言及するような1〜4個の置換基で置換されてもよい。
【0088】
用語「アリール基」は、6〜10個の炭素原子を有する単環式又は二環式一価芳香族炭化水素基を意味する。その例は、フェニル基、ナフチル基(1−ナフチル基及び2−ナフチル基を含む)である。これらの基は場合によりかつ独立して、必要に応じて、以下に言及するような1〜4個の置換基で置換されてもよい。それに加えて、アリール基は場合により飽和炭化水素環又は不飽和炭化水素環と縮環してもよく(上記飽和炭化水素環及び不飽和炭化水素環は場合により、必要に応じて、環内に酸素原子、窒素原子、硫黄原子、SO又はSO2を含有してもよい)、縮環した飽和炭化水素環又は不飽和炭化水素環は場合によりかつ独立して、以下に言及するような1〜4個の置換基で置換されてもよい。
【0089】
用語「不飽和の単環式複素環」は、独立して窒素原子、酸素原子、及び硫黄原子から選択される1〜4個のヘテロ原子を含有する不飽和炭化水素環を意味し、好ましいものは、独立して窒素原子、酸素原子、及び硫黄原子から選択される1〜4個のヘテロ原子を含有する4〜7員の飽和又は不飽和炭化水素環である。その例は、ピリジン、ピリミジンン、ピラジン、フラン、チオフェン、ピロール、イミダゾール、ピラゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、4,5−ジヒドロオキサゾール、チアゾール、イソチアゾール、チアジアゾール、トリアゾール、テトラゾールなどである。その中でも、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、フラン、チオフェン、ピロール、イミダゾール、オキサゾール、及びチアゾールを好ましく用いることができる。「不飽和の単環式複素環」は場合によりかつ独立して、必要に応じて、以下に言及するような1〜4個の置換基で置換されてもよい。
【0090】
用語「不飽和の縮合二環式複素環」は、上述の不飽和の単環式複素環と縮環した飽和又は不飽和炭化水素環を含む炭化水素環を意味し、上記飽和炭化水素環及び上記不飽和炭化水素環は場合により、必要に応じて環内に酸素原子、窒素原子、硫黄原子、SO又はSO2を含有してもよい。「不飽和の縮合二環式複素環」としては、例えば、ベンゾチオフェン、インドール、テトラヒドロベンゾチオフェン、ベンゾフラン、イソキノリン、チエノチオフェン、チエノピリジン、キノリン、インドリン、イソインドリン、ベンゾチアゾール、ベンゾキサゾール、インダゾール、ジヒドロイソキノリンなどが挙げられる。更に、「複素環」としてはまた、その可能なN−又はS−オキシドが挙げられる。
【0091】
用語「ヘテロシクリル」は、上述の不飽和の単環式複素環又は不飽和の縮合二環式複素環の一価基、及び上述の不飽和の単環式複素環又は不飽和の縮合二環式複素環の飽和バージョンの一価基を意味する。必要に応じて、ヘテロシクリルは場合によりかつ独立して、以下に言及するような1〜4個の置換基で置換されてもよい。
【0092】
用語「アルカノイル基」は、ホルミル基を意味し、「アルキル基」をカルボニル基に結合させることにより形成されるものである。
【0093】
用語「アルコキシ基」は、「アルキル基」を酸素原子に結合させることにより形成されるものを意味する。
【0094】
上記各基についての置換基としては、例えば、ハロゲン原子(例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素)、ニトロ基、シアノ基、オキソ基、ヒドロキシ基、メルカプト基、カルボキシル基、スルホ基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルキリデンメチル基、シクロアルケニル基、シクロアルキニル基、アリール基、ヘテロシクリル基、アルコキシ基、アルケニルオキシ基、アルキニルオキシ基、シクロアルキルオキシ基、シクロアルケニルオキシ基、シクロアルキニルオキシ基、アリールオキシ基、ヘテロシクリルオキシ基、アルカノイル基、アルケニルカルボニル基、アルキニルカルボニル基、シクロアルキルカルボニル基、シクロアルケニルカルボニル基、シクロアルキニルカルボニル基、アリールカルボニル基、ヘテロシクリルカルボニル基、アルコキシカルボニル基、アルケニルオキシカルボニル基、アルキニルオキシカルボニル基、シクロアルキルオキシカルボニル基、シクロアルケニルオキシカルボニル基、シクロアルキニルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、ヘテロシクリルオキシカルボニル基、アルカノイルオキシ基、アルケニルカルボニルオキシ基、アルキニルカルボニルオキシ基、シクロアルキルカルボニルオキシ基、シクロアルケニルカルボニルオキシ基、シクロアルキニルカルボニルオキシ基、アリールカルボニルオキシ基、ヘテロシクリルカルボニルオキシ基、アルキルチオ基、アルケニルチオ基、アルキニルチオ基、シクロアルキルチオ基、シクロアルケニルチオ基、シクロアルキニルチオ基、アリールチオ基、ヘテロシクリルチオ基、アミノ基、モノ−又はジ−アルキルアミノ基、モノ−又はジ−アルカノイルアミノ基、モノ−又はジ−アルコキシカルボニルアミノ基、モノ−又はジ−アリールカルボニルアミノ基、アルキルスルフィニルアミノ基、アルキルスルホニルアミノ基、アリールスルフィニルアミノ基、アリールスルホニルアミノ基、カルバモイル基、モノ−又はジ−アルキルカルバモイル基、モノ−又はジ−アリールカルバモイル基、アルキルスルフィニル基、アルケニルスルフィニル基、アルキニルスルフィニル基、シクロアルキルスルフィニル基、シクロアルケニルスルフィニル基、シクロアルキニルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、ヘテロシクリルスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アルケニルスルホニル基、アルキニルスルホニル基、シクロアルキルスルホニル基、シクロアルケニルスルホニル基、シクロアルキニルスルホニル基、アリールスルホニル基、及びヘテロシクリルスルホニル基が挙げられる。上述の各基は場合によりこれらの置換基で置換されてもよい。
【0095】
更に、ハロアルキル基、ハロ−低級アルキル基、ハロアルコキシ基、ハロ−低級アルコキシ基、ハロフェニル基又はハロヘテロシクリル基のような用語は、アルキル基、低級アルキル基、アルコキシ基、低級アルコキシ基、フェニル基又はヘテロシクリル基(以後、アルキル基など、と称する)がそれぞれ1個以上のハロゲン原子で置換されていることを意味する。好ましいものは、1〜7個のハロゲン原子で置換されているアルキル基等であり、より好ましいものは、1〜5個のハロゲン原子で置換されているアルキル基などである。同様に、ヒドロキシアルキル基、ヒドロキシ−低級アルキル基、ヒドロキシアルコキシ基、ヒドロキシ−低級アルコキシ基、及びヒドロキシフェニル基のような用語は、1個以上のヒドロキシ基で置換されているアルキル基などを意味する。好ましいものは、1〜4個のヒドロキシ基で置換されているアルキル基等であり、より好ましいものは、1〜2個のヒドロキシ基で置換されているアルキル基などである。更に、アルコキシアルキル基、低級アルコキシアルキル基、アルコキシ−低級アルキル基、低級アルコキシ−低級アルキル基、アルコキシアルコキシ基、低級アルコキシアルコキシ基、アルコキシ−低級アルコキシ基、低級アルコキシ−低級アルコキシ基、アルコキシフェニル基、及び低級アルコキシフェニル基のような用語は、1個以上のアルコキシ基で置換されているアルキル基などを意味する。好ましいものは、1〜4個のアルコキシ基で置換されているアルキル基等であり、より好ましいものは、1〜2個のアルコキシ基で置換されているアルキル基などである。
【0096】
用語「アリールアキル(arylakyl)」及び「アリールアルコキシ」は、単独で又は別の基の一部として用いられるとき、アリール置換基を有する上記のようなアルキル及びアルコキシ基を指す。
【0097】
本明細書中の式の定義で用いられる用語「低級」は、特に規定しない限り、1〜6個の炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖炭素鎖を意味する。より好ましくは、1〜4個の炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖炭素鎖を意味する。
【0098】
場合により置換されていてもよい、本発明の不飽和の単環式複素環の例としては場合により、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、オキソ基、ヒドロキシル基、メルカプト基、カルボキシル基、スルホ基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルキリデンメチル基、シクロアルケニル基、シクロアルキニル基、アリール基、ヘテロシクリル基、アルコキシ基、アルケニルオキシ基、アルキニルオキシ基、シクロアルキルオキシ基、シクロアルケニルオキシ基、シクロアルキニルオキシ基、アリールオキシ基、ヘテロシクリルオキシ基、アルカノイル基、アルケニルカルボニル基、アルキニルカルボニル基、シクロアルキルカルボニル基、シクロアルケニルカルボニル基、シクロアルキニルカルボニル基、アリールカルボニル基、ヘテロシクリルカルボニル基、アルコキシカルボニル基、アルケニルオキシカルボニル基、アルキニルオキシカルボニル基、シクロアルキルオキシカルボニル基、シクロアルケニルオキシカルボニル基、シクロアルキニルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、ヘテロシクリルオキシカルボニル基、アルカノイルオキシ基、アルケニルカルボニルオキシ基、アルキニルカルボニルオキシ基、シクロアルキルカルボニルオキシ基、シクロアルケニルカルボニルオキシ基、シクロアルキニルカルボニルオキシ基、アリールカルボニルオキシ基、ヘテロシクリルカルボニルオキシ基、アルキルチオ基、アルケニルチオ基、アルキニルチオ基、シクロアルキルチオ基、シクロアルケニルチオ基、シクロアルキニルチオ基、アリールチオ基、ヘテロシクリルチオ基、アミノ基、モノ−又はジ−アルキルアミノ基、モノ−又はジ−アルカノイルアミノ基、モノ−又はジ−アルコキシカルボニルアミノ基、モノ−又はジ−アリールカルボニルアミノ基、アルキルスルフィニルアミノ基、アルキルスルホニルアミノ基、アリールスルフィニルアミノ基、アリールスルホニルアミノ基、カルバモイル基、モノ−又はジ−アルキルカルバモイル基、モノ−又はジ−アリールカルバモイル基、アルキルスルフィニル基、アルケニルスルフィニル基、アルキニルスルフィニル基、シクロアルキルスルフィニル基、シクロアルケニルスルフィニル基、シクロアルキニルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、ヘテロシクリルスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アルケニルスルホニル基、アルキニルスルホニル基、シクロアルキルスルホニル基、シクロアルケニルスルホニル基、シクロアルキニルスルホニル基、アリールスルホニル基及びヘテロシクリルスルホニル基からなる群から選択される1〜5個の置換基で置換されてもよい不飽和の単環式複素環が挙げられ、各置換基は場合により更にこれらの置換基により置換されてもよい。
【0099】
場合により置換されていてもよい本発明の不飽和の縮合ヘテロ二環式の複素環の例としては、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、オキソ基、ヒドロキシル基、メルカプト基、カルボキシル基、スルホ基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルキリデン−メチル基、シクロアルケニル基、シクロアルキニル基、アリール基、ヘテロシクリル基、アルコキシ基、アルケニルオキシ基、アルキニルオキシ基、シクロアルキルオキシ基、シクロアルケニルオキシ基、シクロアルキニルオキシ基、アリールオキシ基、ヘテロシクリルオキシ基、アルカノイル基、アルケニルカルボニル基、アルキニルカルボニル基、シクロアルキルカルボニル基、シクロアルケニル−カルボニル基、シクロアルキニル−カルボニル基、アリールカルボニル基、ヘテロシクリルカルボニル基、アルコキシカルボニル基、アルケニルオキシカルボニル基、アルキニルオキシ−カルボニル基、シクロアルキルオキシカルボニル基、シクロアルケニルオキシ−カルボニル基、シクロアルキニルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、ヘテロシクリルオキシカルボニル基、アルカノイルオキシ基、アルケニルカルボニルオキシ基、アルキニルカルボニルオキシ基、シクロ−アルキルカルボニルオキシ基、シクロアルケニルカルボニルオキシ基、シクロ−アルキニルカルボニルオキシ基、アリールカルボニルオキシ基、ヘテロシクリル−カルボニルオキシ基、アルキルチオ基、アルケニルチオ基、アルキニルチオ基、シクロアルキルチオ基、シクロアルケニルチオ基、シクロアルキニルチオ基、アリールチオ基、ヘテロシクリルチオ基、アミノ基、モノ−又はジ−アルキルアミノ基、モノ−又はジ−アルカノイル−アミノ基、モノ−又はジ−アルコキシカルボニルアミノ基、モノ−又はジ−アリールカルボニルアミノ基、アルキルスルフィニルアミノ基、アルキル−スルホニルアミノ基、アリールスルフィニルアミノ基、アリールスルホニルアミノ基、カルバモイル基、モノ−又はジ−アルキルカルバモイル基、モノ−又はジ−アリールカルバモイル基、アルキルスルフィニル基、アルケニルスルフィニル基、アルキニルスルフィニル基、シクロアルキルスルフィニル基、シクロ−アルケニルスルフィニル基、シクロアルキニルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、ヘテロシクリルスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アルケニルスルホニル基、アルキニルスルホニル基、シクロアルキルスルホニル基、シクロ−アルケニルスルホニル基、シクロアルキニルスルホニル基、アリールスルホニル基及びヘテロシクリルスルホニル基からなる群から選択される1〜5個の置換基で場合により置換されてもよい不飽和の縮合ヘテロ二環式の複素環が挙げられ、各置換基は場合により更にこれらの置換基により置換されてもよい。
【0100】
場合により置換されていてもよい本発明のベンゼン環の例としては、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシ基、メルカプト基、カルボキシル基、スルホ基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルキリデンメチル基、シクロアルケニル基、シクロアルキニル基、アリール基、ヘテロシクリル基、アルコキシ基、アルケニルオキシ基、アルキニルオキシ基、シクロアルキルオキシ基、シクロアルケニルオキシ基、シクロアルキニルオキシ基、アリールオキシ基、ヘテロシクリルオキシ基、アルカノイル基、アルケニルカルボニル基、アルキニルカルボニル基、シクロアルキルカルボニル基、シクロアルケニルカルボニル基、シクロアルキニルカルボニル基、アリールカルボニル基、ヘテロシクリルカルボニル基、アルコキシカルボニル基、アルケニルオキシカルボニル基、アルキニルオキシカルボニル基、シクロアルキルオキシカルボニル基、シクロアルケニルオキシカルボニル基、シクロアルキニルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、ヘテロシクリルオキシカルボニル基、アルカノイルオキシ基、アルケニルカルボニルオキシ基、アルキニルカルボニルオキシ基、シクロアルキルカルボニルオキシ基、シクロアルケニルカルボニルオキシ基、シクロアルキニルカルボニルオキシ基、アリールカルボニルオキシ基、ヘテロシクリルカルボニルオキシ基、アルキルチオ基、アルケニルチオ基、アルキニルチオ基、シクロアルキルチオ基、シクロアルケニルチオ基、シクロアルキニルチオ基、アリールチオ基、ヘテロシクリルチオ基、アミノ基、モノ−又はジ−アルキルアミノ基、モノ−又はジ−アルカノイルアミノ基、モノ−又はジ−アルコキシカルボニルアミノ基、モノ−又はジ−アリールカルボニルアミノ基、アルキルスルフィニルアミノ基、アルキルスルホニルアミノ基、アリールスルフィニルアミノ基、アリールスルホニルアミノ基、カルバモイル基、モノ−又はジ−アルキルカルバモイル基、モノ−又はジ−アリールカルバモイル基、アルキルスルフィニル基、アルケニルスルフィニル基、アルキニルスルフィニル基、シクロアルキルスルフィニル基、シクロアルケニルスルフィニル基、シクロアルキニルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、ヘテロシクリルスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アルケニルスルホニル基、アルキニルスルホニル基、シクロアルキルスルホニル基、シクロアルケニルスルホニル基、シクロアルキニルスルホニル基、アリールスルホニル基、ヘテロシクリルスルホニル基、アルキレン基、アルキレンオキシ基、アルキレンジオキシ基及びアルケニレン基からなる群から選択される1〜5個の置換基で場合により置換されてもよいベンゼン環が挙げられ、各置換基は場合により更にこれらの置換基により置換されてもよい。更に、場合により置換されてもよいベンゼン環の例としては、アルキレン基で置換されて、それに結合する炭素原子と共に環化炭素環を形成するベンゼン環が挙げられ、またアルケニレン基で置換されて、それに結合する炭素原子と共に縮合ベンゼン環のような環化炭素環を形成するベンゼン環が挙げられる。
【0101】
場合により置換されてもよい不飽和の単環式複素環の好ましい例としては場合により、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アルキル基、ハロアルキル基、ハロアルコキシ基、ヒドロキシアルキル基、アルコキシアルキル基、アルコキシアルコキシ基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルキリデンメチル基、シクロアルケニル基、シクロアルキルオキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールアルコキシ基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、モノ−又はジ−アルキルアミノ基、アルカノイルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、モノ−又はジ−アルキルカルバモイル基、アルカノイル基、アルキルスルホニルアミノ基、アリールスルホニルアミノ基、アルキルスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、ヘテロシクリル基、及びオキソ基からなる群から選択される1〜3個の置換基で置換されてもよい不飽和の単環式複素環が挙げられる。
【0102】
場合により置換されてもよい不飽和の縮合二環式複素環の好ましい例としては場合により、独立して、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アルキル基、ハロアルキル基、ハロアルコキシ基、ヒドロキシアルキル基、アルコキシアルキル基、アルコキシアルコキシ基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルキリデンメチル基、シクロアルケニル基、シクロアルキルオキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールアルコキシ基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、モノ−又はジ−アルキルアミノ基、アルカノイルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、モノ−又はジ−アルキルカルバモイル基、アルカノイル基、アルキルスルホニルアミノ基、アリールスルホニルアミノ基、アルキルスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、ヘテロシクリル基、及びオキソ基からなる群から選択される1〜3個の置換基で置換されてもよい不飽和の縮合二環式複素環が挙げられる。
【0103】
場合により置換されてもよいベンゼン環の好ましい例としては場合により、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アルキル基、ハロアルキル基、ハロアルコキシ基、ヒドロキシアルキル基、アルコキシアルキル基、アルコキシアルコキシ基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルキリデンメチル基、シクロアルケニル基、シクロアルキルオキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールアルコキシ基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、モノ−又はジ−アルキルアミノ基、アルカノイルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、モノ−又はジ−アルキルカルバモイル基、アルカノイル基、アルキルスルホニルアミノ基、アリールスルホニルアミノ基、アルキルスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、ヘテロシクリル基、アルキレン基、アルキレンオキシ基、アルキレンジオキシ基、及びアルケニレン基からなる群から選択される1〜3個の置換基で置換されてもよいベンゼン環が挙げられる。
【0104】
好ましくは場合により置換されていてもよい不飽和の単環式複素環は、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、シアノ基、ニトロ基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルキリデンメチル基、アルコキシ基、アルカノイル基、アルキルチオ基、アルキルスルホニル基、アルキルスルフィニル基、アミノ基、モノ−又はジ−アルキルアミノ基、アルカノイルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、スルファモイル基、モノ−又はジ−アルキルスルファモイル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、モノ−又はジ−アルキルカルバモイル基、アルキルスルホニルアミノ基、フェニル基、フェノキシ基、フェニルスルホニルアミノ基、フェニルスルホニル基、ヘテロシクリル基及びオキソ基からなる群から独立して選択された1〜3個の置換基で場合により置換されていてもよい、不飽和の単環式複素環であり;
場合により置換されていてもよい不飽和の縮合ヘテロ二環式複素環は場合により、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、シアノ基、ニトロ基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルキリデンメチル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アルキルスルホニル基、アルキルスルフィニル基、アミノ基、モノ−又はジ−アルキルアミノ基、アルカノイルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、スルファモイル基、モノ−又はジ−アルキル−スルファモイル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、モノ−又はジ−アルキルカルバモイル基、アルカノイル基、アルキルスルホニルアミノ基、フェニル基、フェノキシ基、フェニルスルホニルアミノ基、フェニルスルホニル基、ヘテロシクリル基及びオキソ基からなる群から選択される1〜3個の置換基で置換されてもよい不飽和の縮合ヘテロ二環式複素環であり;並びに
場合により置換されていてもよいベンゼン環は、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、シアノ基、ニトロ基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルキリデンメチル基、アルコキシ基、アルカノイル基、アルキルチオ基、アルキルスルホニル基、アルキルスルフィニル基、アミノ基、モノ−又はジ−アルキルアミノ基、アルカノイルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、スルファモイル基、モノ−又はジ−アルキルスルファモイル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、モノ−又はジ−アルキルカルバモイル基、アルキルスルホニルアミノ基、フェニル基、フェノキシ基、フェニルスルホニルアミノ基、フェニルスルホニル基、ヘテロシクリル基、アルキレン基及びアルケニレン基からなる群から独立して選択された1〜3個の置換基で場合により置換されていてもよい、ベンゼン環であり;
不飽和の単環式複素環、不飽和の縮合ヘテロ二環式複素環及びベンゼン環上の、上述の置換基はそれぞれ更にハロゲン原子、ヒドロキシ基、シアノ基、アルキル基、ハロアルキル基、アルコキシ基、ハロアルコキシ基、アルカノイル基、アルキルチオ基、アルキルスルホニル基、モノ−又はジ−アルキルアミノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、フェニル基、アルキレンオキシ基、アルキレンジオキシ基、オキソ基、カルバモイル基及びモノ−又はジ−アルキルカルバモイル基からなる群から独立して選択される1〜3個の置換基で置換されてもよい。
【0105】
好ましくは場合により置換されていてもよい不飽和の単環式複素環は、ハロゲン原子、シアノ基、アルキル基、アルコキシ基、アルカノイル基、モノ−又はジ−アルキルアミノ基、アルカノイルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、モノ−又はジ−アルキルカルバモイル基、フェニル基、ヘテロシクリル基及びオキソ基からなる群から独立して選択された1〜3個の置換基で場合により置換されていてもよい、不飽和単環式複素環であり;
場合により置換されていてもよい不飽和の縮合ヘテロ二環式複素環は場合により、ハロゲン原子、シアノ基、アルキル基、アルコキシ基、アルカノイル基、モノ−又はジ−アルキルアミノ基、アルカノイルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、カルボキシ基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、モノ−又はジ−アルキルカルバモイル基、フェニル基、ヘテロシクリル基及びオキソ基からなる群から独立して選択される1〜3個の置換基で置換されてもよい不飽和の縮合ヘテロ二環式複素環であり;並びに
場合により置換されていてもよいベンゼン環は場合により、ハロゲン原子、シアノ基、アルキル基、アルコキシ基、アルカノイル基、モノ−又はジ−アルキルアミノ基、アルカノイルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、モノ−又はジ−アルキルカルバモイル基、フェニル基、ヘテロシクリル基、アルキレン基及びアルケニレン基からなる群から独立して選択される1〜3個の置換基で置換されてもよいベンゼン環であり;
各不飽和の単環式複素環、不飽和縮合ヘテロ二環式複素環及びベンゼン環上の、上述の置換基は、ハロゲン原子、シアノ基、アルキル基、ハロアルキル基、アルコキシ基、ハロアルコキシ基、アルカノイル基、モノ−又はジ−アルキルアミノ基、カルボキシル基、ヒドロキシ基、フェニル基、アルキレンジオキシ基、アルキレンオキシ基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基及びモノ−又はジ−アルキルカルバモイル基からなる群から独立して選択される1〜3個の置換基で更に置換されてもよい。
【0106】
本発明の好ましい実施形態では、式(I)の化合物において、
(1)環Aは場合により、独立して、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、シアノ基、ニトロ基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルキリデンメチル基、アルコキシ基、アルカノイル基、アルキルチオ基、アルキルスルホニル基、アルキルスルフィニル基、アミノ基、モノ−又はジ−アルキルアミノ基、スルファモイル基、モノ−又はジ−アルキルスルファモイル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、モノ−又はジ−アルキルカルバモイル基、アルキルスルホニルアミノ基、フェニル基、フェノキシ基、フェニルスルホニルアミノ基、フェニルスルホニル基、ヘテロシクリル基、及びオキソ基からなる群から選択される1〜3個の置換基で置換されてもよい不飽和の単環式複素環であり、
環Bは、不飽和の単環式複素環、不飽和の縮合二環式複素環又はベンゼン環であり、これらはそれぞれ場合により、独立して、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、シアノ基、ニトロ基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルキリデンメチル基、アルコキシ基、アルカノイル基、アルキルチオ基、アルキルスルホニル基、アルキルスルフィニル基、アミノ基、モノ−又はジ−アルキルアミノ基、スルファモイル基、モノ−又はジ−アルキルスルファモイル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、モノ−又はジ−アルキルカルバモイル基、アルキルスルホニルアミノ基、フェニル基、フェノキシ基、フェニルスルホニルアミノ基、フェニルスルホニル基、ヘテロシクリル基、アルキレン基、及びアルケニレン基からなる群から選択される1〜3個の置換基で置換されてもよく、
(2)環Aは場合により、独立して、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、シアノ基、ニトロ基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルキリデンメチル基、アルコキシ基、アルカノイル基、アルキルチオ基、アルキルスルホニル基、アルキルスルフィニル基、アミノ基、モノ−又はジ−アルキルアミノ基、アルカノイルアミノ基、スルファモイル基、モノ−又はジ−アルキルスルファモイル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、モノ−又はジ−アルキルカルバモイル基、アルキルスルホニルアミノ基、フェニル基、フェノキシ基、フェニルスルホニルアミノ基、フェニルスルホニル基、ヘテロシクリル基、アルキレン基、及びアルケニレン基からなる群から選択される1〜3個の置換基で置換されてもよいベンゼン環であり、
環Bは、不飽和の単環式複素環又は不飽和の縮合二環式複素環であり、これらはそれぞれ場合により、独立して、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、シアノ基、ニトロ基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルキリデンメチル基、アルコキシ基、アルカノイル基、アルキルチオ基、アルキルスルホニル基、アルキルスルフィニル基、アミノ基、モノ−又はジ−アルキルアミノ基、スルファモイル基、モノ−又はジ−アルキルスルファモイル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、モノ−又はジ−アルキルカルバモイル基、アルキルスルホニルアミノ基、フェニル基、フェノキシ基、フェニルスルホニルアミノ基、フェニルスルホニル基、ヘテロシクリル基、アルキレン基、及びオキソ基からなる群から選択される1〜3個の置換基で置換されてもよく、あるいは
(3)環Aは場合により、独立して、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、シアノ基、ニトロ基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルキリデンメチル基、アルコキシ基、アルカノイル基、アルキルチオ基、アルキルスルホニル基、アルキルスルフィニル基、アミノ基、モノ−又はジ−アルキルアミノ基、スルファモイル基、モノ−又はジ−アルキルスルファモイル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、モノ−又はジ−アルキルカルバモイル基、アルキルスルホニルアミノ基、フェニル基、フェノキシ基、フェニルスルホニルアミノ基、フェニルスルホニル基、ヘテロシクリル基、及びオキソ基からなる群から選択される1〜3個の置換基で置換されてもよい不飽和の縮合二環式複素環であり、
環Bは、不飽和の単環式複素環、不飽和の縮合二環式複素環又はベンゼン環であり、これらはそれぞれ場合により、独立して、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、シアノ基、ニトロ基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルキリデンメチル基、アルコキシ基、アルカノイル基、アルキルチオ基、アルキルスルホニル基、アルキルスルフィニル基、アミノ基、モノ−又はジ−アルキルアミノ基、スルファモイル基、モノ−又はジ−アルキルスルファモイル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、モノ−又はジ−アルキルカルバモイル基、アルキルスルホニルアミノ基、フェニル基、フェノキシ基、フェニルスルホニルアミノ基、フェニルスルホニル基、ヘテロシクリル基、アルキレン基、及びオキソ基からなる群から選択される1〜3個の置換基で置換されてもよく、
ここで環A及び環B上の上述の置換基はそれぞれ、場合により、独立して、ハロゲン原子、シアノ基、アルキル基、ハロアルキル基、アルコキシ基、ハロアルコキシ基、アルカノイル基、モノ−又はジ−アルキルアミノ基、カルボキシル基、ヒドロキシ基、フェニル基、アルキレンジオキシ基、アルキレンオキシ基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、及びモノ−又はジ−アルキルカルバモイル基からなる群から選択される1〜3個の置換基で置換されてもよい。
【0107】
本発明の別の好ましい実施形態では、式(I)の化合物において、環A及び環Bは以下の(1)〜(3)のうちの一つである:
(1)環Aは場合により、ハロゲン原子、低級アルキル基、ハロ−低級アルキル基、低級アルコキシ基又はオキソ基で置換されてもよい不飽和の単環式複素環であり、環Bは、(a)場合により、ハロゲン原子;シアノ基;低級アルキル基;ハロ−低級アルキル基;低級アルコキシ基;ハロ−低級アルコキシ基;モノ−若しくはジ−低級アルキルアミノ基;場合により、ハロゲン原子、シアノ基、低級アルキル基、ハロ−低級アルキル基、低級アルコキシ基又はモノ−若しくはジ−低級アルキルアミノ基で置換されてもよいフェニル基;あるいは場合により、ハロゲン原子、シアノ基、低級アルキル基、ハロ−低級アルキル基、低級アルコキシ基又はモノ−若しくはジ−低級アルキルアミノ基で置換されてもよいヘテロシクリル基;で置換されてもよいベンゼン環であるか、あるいは(b)場合により、ハロゲン原子、シアノ基、低級アルキル基、ハロ−低級アルキル基、低級アルコキシ基、ハロ−低級アルコキシ基、モノ(mo-)若しくはジ−低級アルキルアミノ基、フェニル基、及びヘテロシクリル基から選択される基で置換されてもよい不飽和の単環式複素環(ここで上記フェニル基は、ハロゲン原子、シアノ基、低級アルキル基、ハロ−低級アルキル基、低級アルコキシ基又はモノ−若しくはジ−低級アルキルアミノ基で置換されてもよく、上記ヘテロシクリル基は場合により、ハロゲン原子、シアノ基、低級アルキル基、ハロ−低級アルキル基、低級アルコキシ基又はモノ−若しくはジ−低級アルキルアミノ基から選択される基で置換されてもよい)であるか、あるいは(c)場合により、ハロゲン原子、シアノ基、低級アルキル基、ハロ−低級アルキル基、低級アルコキシ基、ハロ−低級アルコキシ基、モノ−若しくはジ−低級アルキルアミノ基、フェニル基、及びヘテロシクリル基から選択される基で置換されてもよい不飽和の縮合二環式複素環(ここで、上記フェニル基はハロゲン原子、シアノ基、低級アルキル基、ハロ−低級アルキル基、低級アルコキシ基又はモノ−若しくはジ−低級アルキルアミノ基で置換されてもよく、上記ヘテロシクリル基は場合により、ハロゲン原子、シアノ基、低級アルキル基、ハロ−低級アルキル基、低級アルコキシ基又はモノ−若しくはジ−低級アルキルアミノ基から選択される基で置換されてもよい)である;
(2)環Aは場合により、ハロゲン原子、低級アルキル基、ハロ−低級アルキル基、低級アルコキシ基、フェニル基又は低級アルケニレン基で置換されてもよいベンゼン環であり、環Bは、(a)場合により、ハロゲン原子;シアノ基;低級アルキル基;ハロ−低級アルキル基;フェニル−低級アルキル基;低級アルコキシ基;ハロ−低級アルコキシ基;モノ−若しくはジ−低級アルキルアミノ基;場合により、ハロゲン原子、シアノ基、低級アルキル基、ハロ−低級アルキル基、低級アルコキシ基、モノ−若しくはジ−低級アルキルアミノ基又はカルバモイル基で置換されてもよいフェニル基;あるいは場合により、ハロゲン原子、シアノ基、低級アルキル基、ハロ−低級アルキル基、低級アルコキシ基、モノ−若しくはジ−低級アルキルアミノ基又はカルバモイル基で置換されてもよいヘテロシクリル基、で置換されてもよい不飽和の単環式複素環であるか、(b)場合により、ハロゲン原子、シアノ基、低級アルキル基、ハロ−低級アルキル基、フェニル−低級アルキル基、低級アルコキシ基、ハロ−低級アルコキシ基、モノ−(mo-)若しくはジ−低級アルキルアミノ基、フェニル基、及びヘテロシクリル基から選択される基で置換されてもよい不飽和の縮合二環式複素環(上記フェニルは、ハロゲン原子、シアノ基、低級アルキル基、ハロ−低級アルキル基、低級アルコキシ基又はモノ−若しくはジ−低級アルキルアミノ基で置換されてもよく、上記ヘテロシクリル基は場合により、ハロゲン原子、シアノ基、低級アルキル基、ハロ−低級アルキル基、低級アルコキシ基又はモノ−若しくはジ−低級アルキルアミノ基から選択される基で置換されてもよい)である;あるいは
(3)環Aは場合により、ハロゲン原子、低級アルキル基、ハロ−低級アルキル基、低級アルコキシ基又はオキソ基で置換されてもよい不飽和の縮合二環式複素環であり、環Bは、(a)場合により、ハロゲン原子、シアノ基、低級アルキル基、ハロ−低級アルキル基、低級アルコキシ基、ハロ−低級アルコキシ基、モノ−(mo-)若しくはジ−低級アルキルアミノ基、フェニル基、及びヘテロシクリル基から選択される基により置換されていてもよいベンゼン環(上記フェニル基は、ハロゲン原子、シアノ基、低級アルキル基、ハロ−低級アルキル基、低級アルコキシ基又はモノ−若しくはジ−低級アルキルアミノ基で置換されてもよく、上記ヘテロシクリル基は場合により、ハロゲン原子、シアノ基、低級アルキル基、ハロ−低級アルキル基、低級アルコキシ基又はモノ−若しくはジ−低級アルキルアミノ基から選択される基で置換されてもよい)であるか、(b)場合により、ハロゲン原子;シアノ基;低級アルキル基;ハロ−低級アルキル基;低級アルコキシ基;ハロ−低級アルコキシ基;モノ−若しくはジ−低級アルキルアミノ基;場合により、ハロゲン原子、シアノ基、低級アルキル基、ハロ−低級アルキル基、低級アルコキシ基又はモノ−若しくはジ−低級アルキルアミノ基で置換されてもよいフェニル基;又は場合により、ハロゲン原子、シアノ基、低級アルキル基、ハロ−低級アルキル基、低級アルコキシ基又はモノ−若しくはジ−低級アルキルアミノ基で置換されてもよいヘテロシクリル基;で置換されてもよい不飽和の単環式複素環であるか、あるいは(c)場合により、ハロゲン原子、シアノ基、低級アルキル基、ハロ−低級アルキル基、低級アルコキシ基、ハロ−低級アルコキシ基、モノ−(mo-)若しくはジ−低級アルキルアミノ基、フェニル基、及びヘテロシクリル基(ここで、上記フェニル基はハロゲン原子、シアノ基、低級アルキル基、ハロ−低級アルキル基、低級アルコキシ基又はモノ−若しくはジ−低級アルキルアミノ基で置換されてもよく、上記ヘテロシクリル基は場合により、ハロゲン原子、シアノ基、低級アルキル基、ハロ−低級アルキル基、低級アルコキシ基又はモノ−若しくはジ−低級アルキルアミノ基から選択される基で置換されてもよい)から選択される基で置換されてもよい不飽和の縮合二環式複素環である。
【0108】
別の好ましい実施形態では、式(I)の化合物において、Yは、−CH2−であり、環Aの3位に結合し、それに対してXは1位にあり、環Aは、低級アルキル基、ハロ−低級アルキル基、ハロゲン原子、低級アルコキシ基、フェニル基、及び低級アルケニレン基からなる群から選択される1〜3個の置換基で置換されたベンゼン環であり、環Bは、それぞれ、低級アルキル基、ハロ−低級アルキル基、フェニル−低級アルキル基、ハロゲン原子、低級アルコキシ基、ハロ−低級アルコキシ基、フェニル基、ハロフェニル基、シアノフェニル基、低級アルキルフェニル基、ハロ−低級アルキルフェニル基、低級アルコキシフェニル基、ハロ−低級アルコキシフェニル基、低級アルキレンジオキシフェニル基、低級アルキレンオキシフェニル基、モノ−又はジ−低級アルキルアミノフェニル基、カルバモイルフェニル基、モノ−又はジ−低級アルキルカルバモイルフェニル基、ヘテロシクリル基、ハロヘテロシクリル基、シアノへテロシクリル基、低級アルキルへテロシクリル基、低級アルコキシヘテロシクリル基、モノ−又はジ−低級アルキルアミノヘテロシクリル(alkylaminoheterocycyclyl)基、カルバモイルヘテロシクリル基、及びモノ−又はジ−低級アルキルカルバモイル基からなる群から選択される1〜3個の置換基で置換されてもよい不飽和の単環式複素環又は不飽和の縮合二環式複素環である。
【0109】
別のより好ましい実施形態では、式(I)の化合物において、Yは、−CH2−であり、環Aの3位に結合し、それに対してXは1位にあり、環Aは、低級アルキル基、ハロゲン原子、低級アルコキシ基、及びオキソ基からなる群から選択される1〜3個の置換基で置換されてもよい不飽和の単環式複素環であり、環Bは、低級アルキル基、ハロ−低級アルキル基、ハロゲン原子、低級アルコキシ基、ハロ−低級アルコキシ基、フェニル基、ハロフェニル基、シアノフェニル基、低級アルキルフェニル基、ハロ−低級アルキルフェニル基、低級アルコキシフェニル基、ヘテロシクリル基、ハロヘテロシクリル基、シアノへテロシクリル基、低級アルキルへテロシクリル基、及び低級アルコキシヘテロシクリル基からなる群から選択される1〜3個の置換基で置換されてもよいベンゼン環である。
【0110】
更に別の好ましい実施形態では、式(I)の化合物において、Yは−CH2−であり、環Aの3位に結合し、それに対してXは1位にあり、環Aは低級アルキル基、ハロゲン原子、低級アルコキシ基及びオキソ基からなる群から選択される1〜3個の置換基で置換されてもよい不飽和の単環式複素環であり、環Bはそれぞれ低級アルキル基、ハロ−低級アルキル基、ハロゲン原子、低級アルコキシ基、ハロ−低級アルコキシ基、フェニル基、ハロフェニル基、シアノフェニル基、低級アルキルフェニル基、ハロ−低級アルキルフェニル基、低級アルコキシフェニル基、ハロ−低級アルコキシフェニル基、ヘテロシクリル基、ハロヘテロシクリル基、シアノへテロシクリル基、低級アルキルへテロシクリル基及び低級アルコキシヘテロシクリル基からなる群から選択される1〜3個の置換基で置換されてもよい、不飽和の単環式複素環又は不飽和の縮合二環式複素環である。本発明のより好ましい実施形態では、Xは炭素原子であり、Yは−CH2−である。
【0111】
更に別の好ましい実施形態では、式(I)の化合物において、環A及び環Bは以下の(1)〜(5)のうちの一つである:
(1)環Aは場合により、独立して、ハロゲン原子、場合によりハロゲン原子又は低級アルコキシ基で置換されてもよい低級アルキル基、場合によりハロゲン原子又は低級アルコキシ基で置換されてもよい低級アルコキシ基、並びにシクロアルキル基、シクロアルコキシ基、フェニル基及び低級アルケニレン基からなる群から選択される1〜3個の置換基で置換されてもよいベンゼン環であり、
環Bは、不飽和の単環式複素環又は不飽和の縮合二環式複素環であり、これらはそれぞれ場合により、独立して、ハロゲン原子;場合により、ハロゲン原子、低級アルコキシ基又はフェニル基で置換されてもよい低級アルキル基;場合により、ハロゲン原子又は低級アルコキシ基で置換されてもよい低級アルコキシ基;シクロアルキル基;シクロアルコキシ基;場合により、ハロゲン原子、シアノ基、低級アルキル基、ハロ−低級アルキル基、低級アルコキシ基、ハロ−低級アルコキシ基又はカルバモイル基で置換されてもよいフェニル基;場合により、ハロゲン原子、シアノ基、低級アルキル基、ハロ−低級アルキル基、低級アルコキシ基、ハロ−低級アルコキシ基又はカルバモイル基で置換されてもよいヘテロシクリル基;及びオキソ基からなる群から選択される1〜3個の置換基に置換されてもよい;
(2)環Aは場合により、独立して、ハロゲン原子、場合により低級アルコキシ基で置換されてもよい低級アルキル基、場合によりハロゲン原子又は低級アルコキシ基で置換されてもよい低級アルコキシ基、並びにシクロアルキル基、シクロアルコキシ基、及びオキソ基からなる群から選択される1〜3個の置換基で置換されてもよい不飽和の単環式複素環であり、
環Bは場合により、独立して、ハロゲン原子;場合により、ハロゲン原子、低級アルコキシ基又はフェニル基で置換されてもよい低級アルキル基:場合により、ハロゲン原子又は低級アルコキシ基で置換されてもよい低級アルコキシ基;シクロアルキル基;シクロアルコキシ基;場合により、ハロゲン原子、シアノ基、低級アルキル基、ハロ−低級アルキル基、低級アルコキシ基又はハロ−低級アルコキシ基で置換されてもよいフェニル基;場合により、ハロゲン原子、シアノ基、低級アルキル基、ハロ−低級アルキル基、低級アルコキシ基又はハロ−低級アルコキシ基で置換されてもよいヘテロシクリル基;低級アルキレン基からなる群から選択される1〜3個の置換基で置換されてもよいベンゼン環である;
(3)環Aは場合により、独立して、ハロゲン原子;場合により、ハロゲン原子又は低級アルコキシ基で置換されてもよい低級アルキル基;場合により、ハロゲン原子又は低級アルコキシ基で置換されてもよい低級アルコキシ基;シクロアルキル基;シクロアルコキシ基;及びオキソ基からなる群から選択される1〜3個の置換基で置換されてもよい不飽和の単環式複素環であり、
環Bは不飽和の単環式複素環又は不飽和の縮合二環式複素環であり、これらはそれぞれ場合により、独立して、ハロゲン原子;場合により、ハロゲン原子、低級アルコキシ基又はフェニル基で置換されてもよい低級アルキル基;場合により、ハロゲン原子又は低級アルコキシ基で置換されてもよい低級アルコキシ基;シクロアルキル基、シクロアルコキシ基;場合により、ハロゲン原子、シアノ基、低級アルキル基、ハロ−低級アルキル基、低級アルコキシ基又はハロ−低級アルコキシ基で置換されてもよいフェニル基;場合により、ハロゲン原子、シアノ基、低級アルキル基、ハロ−低級アルキル基、低級アルコキシ基又はハロ−低級アルコキシ基で置換されてもよいヘテロシクリル基;及びオキソ基からなる群から選択される1〜3個の置換基で置換されてもよい;
(4)環Aは場合により、独立して、ハロゲン原子;場合により低級アルコキシ基で置換されてもよい低級アルキル基;場合により、ハロゲン原子又は低級アルコキシ基で置換されてもよい低級アルコキシ基;シクロアルキル基;シクロアルコキシ基;及びオキソ基からなる群から選択される1〜3個の置換基で置換されてもよい不飽和の縮合二環式複素環であり、
環Bは場合により、独立して、ハロゲン原子;場合により、ハロゲン原子、低級アルコキシ基又はフェニル基で置換されてもよい低級アルキル基;場合により、ハロゲン原子又は低級アルコキシ基で置換されてもよい低級アルコキシ基;シクロアルキル基;シクロアルコキシ基;場合により、ハロゲン原子、シアノ基、低級アルキル基、ハロ−低級アルキル基、低級アルコキシ基又はハロ−低級アルコキシ基で置換されてもよいフェニル基;場合により、ハロゲン原子、シアノ基、低級アルキル基、ハロ−低級アルキル基、低級アルコキシ基又はハロ−低級アルコキシ基で置換されてもよいヘテロシクリル基;及び低級アルキレン基からなる群から選択される1〜3個の置換基で置換されてもよいベンゼン環である;あるいは
(5)環Aは場合により独立して、ハロゲン原子;場合により低級アルコキシ基で置換されてもよい低級アルキル基;場合により、ハロゲン原子又は低級アルコキシ基で置換されてもよい低級アルコキシ基;シクロアルキル基;シクロアルコキシ基;及びオキソ基からなる群から選択される1〜3個の置換基で置換されてもよい不飽和の単環式複素環であり、
環Bは、不飽和の単環式複素環又は不飽和の縮合二環式複素環であり、これらはそれぞれ場合により、独立して、ハロゲン原子;場合により、ハロゲン原子、低級アルコキシ基又はフェニル基で置換されてもよい低級アルキル基;場合により、ハロゲン原子又は低級アルコキシ基で置換されてもよい低級アルコキシ基;シクロアルキル基;シクロアルコキシ基;場合により、ハロゲン原子、シアノ基、低級アルキル基、ハロ−低級アルキル基、低級アルコキシ基又はハロ−低級アルコキシ基で置換されてもよいフェニル基;場合により、ハロゲン原子、シアノ基、低級アルキル基、ハロ−低級アルキル基、低級アルコキシ基又はハロ−低級アルコキシ基で置換されてもよいヘテロシクリル基;及びオキソ基からなる群から選択される1〜3個の置換基で置換されてもよい。
【0112】
別の好ましい実施形態では、式(I)の化合物において、Yは環Aの3位に結合し、それに対してXは1位にあり、環Aは場合により、ハロゲン原子、場合により、ハロゲン原子で置換されてもよい低級アルキル基、低級アルコキシ基又はフェニル基で置換されてもよいベンゼン環であり、環Bは場合により、独立して、ハロゲン原子、場合により、ハロゲン原子又はフェニル基で置換されてもよい低級アルキル基、低級アルコキシ基、場合により、ハロゲン原子、シアノ基、低級アルキル基、ハロ−低級アルキル基又は低級アルコキシ基で置換されてもよいフェニル基、場合により、ハロゲン原子、シアノ基、低級アルキル基、ハロ−低級アルキル基又は低級アルコキシ基で置換されてもよいヘテロシクリル基、及びオキソ基からなる群から選択される1〜3個の置換基で置換されてもよい不飽和の単環式複素環又は不飽和の縮合二環式複素環である。
【0113】
別のより好ましい実施形態では、式(I)の化合物において、Yは環Aの3位に結合し、それに対してXは1位にあり、環Aは、場合により、ハロゲン原子、低級アルキル基及びオキソ基から選択される置換基で置換されてもよい不飽和の単環式複素環であり、環Bは場合により、ハロゲン原子、場合により、ハロゲン原子又はフェニル基で置換されてもよい低級アルキル基、低級アルコキシ基、場合により、ハロゲン原子、シアノ基、低級アルキル基、ハロ−低級アルキル基又は低級アルコキシ基で置換されてもよいフェニル基、場合により、ハロゲン原子、シアノ基、低級アルキル基、ハロ−低級アルキル基又は低級アルコキシ基で置換されてもよいヘテロシクリル基、及び低級アルキレン基からなる群から選択される置換基で置換されてもよいベンゼン環である。
【0114】
不飽和の単環式複素環の好ましい例としては、独立して窒素原子、酸素原子及び硫黄原子から選択される1個又は2個のヘテロ原子を含有する、5又は6員不飽和の複素環が挙げられる。より具体的には、好ましいのは、フラン、チオフェン、オキサゾール、イソオキサゾール、トリアゾール、テトラゾール、ピラゾール、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、ジヒドロイソオキサゾール、ジヒドロピリジン及びチアゾールである。好ましい不飽和の縮合二環式複素環としては、独立して窒素原子、酸素原子及び硫黄原子から選択される1〜4個のヘテロ原子を含有する、9又は10員不飽和の縮合複素環が挙げられる。より具体的には、好ましいのは、インドリン、イソインドリン、ベンゾチアゾール、ベンゾキサゾール、インドール、インダゾール、キノリン、イソキノリン、ベンゾチオフェン、ベンゾフラン、チエノチオフェン及びジヒドロイソキノリンである。
【0115】
より好ましい実施形態では、式(I)の化合物において、環Aは場合により、ハロゲン原子、低級アルキル基、ハロ−低級アルキル基、低級アルコキシ基及びフェニル基からなる群から選択される置換基で置換されてもよいベンゼン環であり、環Bは、チオフェン、フラン、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン及びベンゾチアゾールからなる群から選択される複素環であり、ここで複素環は場合により、以下の群:ハロゲン原子、シアノ基、低級アルキル基、ハロ−低級アルキル基、フェニル−低級アルキル基、低級アルコキシ基、ハロ−低級アルコキシ基、フェニル基、ハロフェニル基、低級アルキルフェニル基、低級アルコキシフェニル基、チエニル基、ハロチエニル基、ピリジル基、ハロピリジル基及びチアゾリル基から選択される置換基で置換されてもよい。
【0116】
更に別の好ましい実施形態では、式(I)の化合物において、Yは−CH2−であり、環Aはチオフェン、ジヒドロイソキノリン、ジヒドロイソオキサゾール、トリアゾール、ピラゾール、ジヒドロピリジン、ジヒドロインドール、インドール、インダゾール、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、キノリン及びイソインドリンからなる群から選択される不飽和の単環式複素環又は不飽和の縮合二環式複素環であり、ここで複素環は場合により以下の群:ハロゲン原子、低級アルキル基及びオキソ基から選択される置換基で置換されてもよく、環Bは場合により以下の群:ハロゲン原子、低級アルキル基、ハロ−低級アルキル基、低級アルコキシ基及びハロ−低級アルコキシ基から選択される置換基で置換されてもよいベンゼン環である。
【0117】
更に好ましい実施形態では、式(I)の化合物において、環Aは、ハロゲン原子又は低級アルキル基で置換された、ベンゼン環であり、環Bは、フェニル基又はヘテロシクリル基で置換された、チエニル基であり、上記フェニル基及びヘテロシクリル基は、ハロゲン原子、シアノ基、低級アルキル基、ハロ−低級アルキル基、低級アルコキシ基及びハロ−低級アルコキシ基から選択される1〜3個の置換基で置換される。
【0118】
更に、本発明の別の態様では、式(I)の化合物の好ましい例としては、環Aが
【0119】
【化6】

であり、式中、R1a、R2a、R3a、R1b、R2b及びR3bがそれぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アルキル基、ハロアルキル基、ハロアルコキシ基、ヒドロキシアルキル基、アルコキシアルキル基、アルコキシアルコキシ基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルキリデンメチル基、シクロアルケニル基、シクロアルキルオキシ基、フェニル基、フェニルアルコキシ基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、モノ−若しくはジ−アルキルアミノ基、アルカノイルアミノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、モノ−若しくはジ−アルキルカルバモイル基、アルカノイル基、アルキルスルホニルアミノ基、フェニルスルホニルアミノ基、アルキルスルフィニル基、アルキルスルホニル基又はフェニルスルホニル基であり、かつ
環Bが
【0120】
【化7】

であり、式中、R4a及びR5aが、それぞれ独立して、水素原子;ハロゲン原子;ヒドロキシ基;アルコキシ基;アルキル基;ハロアルキル基;ハロアルコキシ基;ヒドロキシアルキル基;アルコキシアルキル基;フェニルアルキル基;アルコキシアルコキシ基;ヒドロキシアルコキシ基;アルケニル基;アルキニル基;シクロアルキル基;シクロアルキリデンメチル基;シクロアルケニル基;シクロアルキルオキシ基;フェニルオキシ基;フェニルアルコキシ基;シアノ基;ニトロ基;アミノ基;モノ−又はジ−アルキルアミノ基;アルカノイルアミノ基;カルボキシル基;アルコキシカルボニル基;カルバモイル基;モノ−又はジ−アルキルカルバモイル基;アルカノイル基;アルキルスルホニルアミノ基;フェニルスルホニルアミノ基;アルキルスルフィニル基;アルキルスルホニル基;フェニルスルホニル基;ハロゲン原子、シアノ基、アルキル基、ハロアルキル基、アルコキシ基、ハロアルコキシ基、アルキレンジオキシ基、アルキレンオキシ基、モノ−若しくはジ−アルキルアミノ基、カルバモイル基又はモノ−若しくはジ−アルキルカルバモイル基で場合により置換されていてもよいフェニル基;あるいはハロゲン原子、シアノ基、アルキル基、ハロアルキル基、アルコキシ基、ハロアルコキシ基、カルバモイル基又はモノ−若しくはジ−アルキルカルバモイル基で場合により置換されていてもよいヘテロシクリル基であり、あるいはR4a及びR5aは末端で互いに結合してアルキレン基を形成し;
4b、R5b、R4c及びR5cはそれぞれ独立して水素原子;ハロゲン原子;ヒドロキシ基;アルコキシ基;アルキル基;ハロアルキル基;ハロアルコキシ基;ヒドロキシアルキル基;アルコキシアルキル基;フェニルアルキル基;アルコキシアルコキシ基;ヒドロキシアルコキシ基;アルケニル基;アルキニル基;シクロアルキル基;シクロアルキリデンメチル基;シクロアルケニル基;シクロアルキルオキシ基;フェニルオキシ基;フェニルアルコキシ基;シアノ基;ニトロ基;アミノ基;モノ−若しくはジ−アルキルアミノ基;アルカノイルアミノ基;カルボキシル基;アルコキシカルボニル基;カルバモイル基;モノ−若しくはジ−アルキルカルバモイル基;アルカノイル基;アルキルスルホニルアミノ基;フェニルスルホニルアミノ基;アルキルスルフィニル基;アルキルスルホニル基;フェニルスルホニル基;場合により、ハロゲン原子、シアノ基、アルキル基、ハロアルキル基、アルコキシ基、ハロアルコキシ基、メチレンジオキシ基、エチレンオキシ基、又はモノ−若しくはジ−アルキルアミノ基で置換されていてもよい、フェニル基;あるいは場合により、ハロゲン原子、シアノ基、アルキル基、ハロアルキル基、アルコキシ基又はハロアルコキシ基で置換されていてもよい、ヘテロシクリル基である化合物が挙げられる。
【0121】
より好ましくは、式(I)の化合物は、式中、R1a、R2a、R3a、R1b、R2b及びR3bがそれぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、低級アルキル基、ハロ−低級アルキル基、低級アルコキシ基又はフェニル基であり;
4a及びR5aがそれぞれ独立して水素原子;ハロゲン原子;低級アルキル基;ハロ−低級アルキル基;フェニル−低級アルキル基;場合により、ハロゲン原子、シアノ基、低級アルキル基、ハロ−低級アルキル基、低級アルコキシ基、ハロ−低級アルコキシ基、メチレンジオキシ基、エチレンオキシ基、モノ−若しくはジ−低級アルキルアミノ基、カルバモイル基、又はモノ−若しくはジ−低級アルキルカルバモイル基で置換されていてもよい、フェニル基;あるいはハロゲン原子、シアノ基、低級アルキル基、低級アルコキシ基、カルバモイル基、又はモノ−若しくはジ−低級アルキルカルバモイル基で場合により置換されていてもよいヘテロシクリル基であるか、あるいはR4a及びR5aが互いの末端で結合して低級アルキレン基を形成し;かつ
4b、R5b、R4c及びR5cがそれぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、低級アルキル基、ハロ−低級アルキル基、低級アルコキシ基又はハロ−低級アルコキシ基である化合物である。
【0122】
更に好ましい式(I)の化合物では、式中、環Bは以下の構造を有する環であり
【0123】
【化8】

式中、R4aが場合により、ハロゲン原子、シアノ基、低級アルキル基、ハロ−低級アルキル基、低級アルコキシ基、ハロ−低級アルコキシ基、メチレンジオキシ基、エチレンオキシ基、モノ−若しくはジ−低級アルキルアミノ基、カルバモイル基、又はモノ−若しくはジ−低級アルキルカルバモイル基で置換されていてもよい、フェニル基;あるいは場合により、ハロゲン原子、シアノ基、低級アルキル基、低級アルコキシ基、カルバモイル基、又はモノ−若しくはジ−低級アルキルカルバモイル基で置換されていてもよい、ヘテロシクリル基であり、かつ
5aは水素原子であり、あるいは
4a及びR5aは互いの末端で結合して低級アルキレン基を形成する。
【0124】
以下のようになっている式(I)の化合物は更により好ましい:式中、環Aは
【0125】
【化9】

であり、式中、R1aはハロゲン原子、低級アルキル基又は低級アルコキシ基であり、かつR2a及びR3aは水素原子であり;かつ環Bは
【0126】
【化10】

であり、R4aは場合により、ハロゲン原子、シアノ基、低級アルキル基、ハロ−低級アルキル基、低級アルコキシ基、ハロ−低級アルコキシ基、モノ−若しくはジ−低級アルキルアミノ基、カルバモイル基、及びモノ−若しくはジ−低級アルキルカルバモイル基からなる群から選択された置換基で置換されてもよいフェニル基;あるいは場合により、ハロゲン原子、シアノ基、低級アルキル基、低級アルコキシ基、カルバモイル基、又はモノ−若しくはジ−低級アルキルカルバモイル基で置換されてもよいヘテロシクリル基であり、R5aは水素原子であり、Yは−CH2−である。
【0127】
より好ましい実施形態では、式(I)の化合物において、R4aは場合により、ハロゲン原子、シアノ基、低級アルキル基、ハロ−低級アルキル基、低級アルコキシ基又はハロ−低級アルコキシ基で置換されてもよいフェニル基;あるいは場合により、ハロゲン原子、シアノ基、低級アルキル基又は低級アルコキシ基で置換されてもよいヘテロシクリル基である。
【0128】
別の実施形態では、好ましい式(I)の化合物は以下の式(Ia)により表わすことができ:
【0129】
【化11】

式中、RAはハロゲン原子、低級アルキル基又は低級アルコキシ基であり;RBは場合により、ハロゲン原子、シアノ基、低級アルキル基、ハロ−低級アルキル基、低級アルコキシ基、ハロ−低級アルコキシ基、メチレンジオキシ基、エチレンオキシ基、モノ−若しくはジ−低級アルキルアミノ基、カルバモイル基、及びモノ−若しくはジ−低級アルキルカルバモイル基から選択される1〜3個の置換基で置換されてもよいフェニル基;あるいは場合により、ハロゲン原子、シアノ基、低級アルキル基、ハロ−低級アルキル基、低級アルコキシ基、ハロ−低級アルコキシ基、モノ−若しくはジ−低級アルキルアミノ基、カルバモイル基、及びモノ−若しくはジ−低級アルキルカルバモイル基から選択される1〜3個の置換基で置換されてもよいヘテロシクリル基であり;かつRCは水素原子であり;あるいはRB及びRCは共に、ハロゲン原子、低級アルキル基、ハロ−低級アルキル基、低級アルコキシ基又はハロ−低級アルコキシ基で置換されてもよい縮合したベンゼン環を形成する。
【0130】
好ましい実施形態では、式(I)の化合物において、RAはハロゲン原子又は低級アルキル基であり、RCは水素原子であり、かつRBは、ハロゲン原子、シアノ基、低級アルキル基、ハロ−低級アルキル基、低級アルコキシ基、ハロ−低級アルコキシ基、メチレンジオキシ基、エチレンオキシ基、モノ−若しくはジ−低級アルキルアミノ基、カルバモイル基及びモノ−若しくはジ−低級アルキルカルバモイル基から選択される1〜3個の置換基で置換された、フェニル基;あるいはハロゲン原子、シアノ基、低級アルキル基、ハロ−低級アルキル基、低級アルコキシ基、ハロ−低級アルコキシ基、モノ−若しくはジ−低級アルキルアミノ基、カルバモイル基及びモノ−若しくはジ−低級アルキルカルバモイル基からなる群から選択される1〜3個の置換基で置換された、ヘテロシクリル基である。このような化合物の化学的構造は以下の式(IA’)により表わすことができ、
【0131】
【化12】

式中、RAはハロゲン原子又は低級アルキル基であり、環Cはハロゲン原子、シアノ基、低級アルキル基、ハロ−低級アルキル基、低級アルコキシ基、ハロ−低級アルコキシ基、メチレンジオキシ基、エチレンオキシ基、モノ−若しくはジ−低級アルキルアミノ基、カルバモイル基及びモノ−若しくはジ−低級アルキルカルバモイル基からなる群から選択される1〜3個の置換基で置換された、フェニル基;あるいはハロゲン原子、シアノ基、低級アルキル基、ハロ−低級アルキル基、低級アルコキシ基、ハロ−低級アルコキシ基、モノ−若しくはジ−低級アルキルアミノ基、カルバモイル基、及びモノ−若しくはジ−低級アルキルカルバモイル基からなる群から選択される1〜3個の置換基で置換された、ヘテロシクリル基である。
【0132】
より好ましい実施形態では、式(I)の化合物において、環Cは、ハロゲン原子、シアノ基、低級アルキル基、ハロ−低級アルキル基、低級アルコキシ基、ハロ−低級アルコキシ基及びモノ−若しくはジ−低級アルキルアミノ基からなる群から選択される1〜3個の置換基で置換された、フェニル基;又はハロゲン原子、シアノ基、低級アルキル基、ハロ−低級アルキル基、低級アルコキシ基及びハロ−低級アルコキシ基からなる群から選択される置換基で置換された、ヘテロシクリル基である。
【0133】
中でも、環Cが、ハロゲン原子、シアノ基、低級アルキル基、ハロ−低級アルキル基、低級アルコキシ基又はハロ−低級アルコキシ基で置換された、フェニル基であるか、あるいはハロゲン原子、シアノ基、低級アルキル基又は低級アルコキシ基で置換された、ヘテロシクリル基である、式(I)の化合物が好ましい。
【0134】
好ましいヘテロシクリル基としては、独立して窒素原子、酸素原子及び硫黄原子からなる群から選択される1若しくは2個のヘテロ原子を含有する5又は6員ヘテロシクリル基、あるいは独立して窒素原子、酸素原子及び硫黄原子からなる群から選択される1〜4個のヘテロ原子を含有する9又は10員ヘテロシクリル基が挙げられる。特に、チエニル基、ピリジル基、ピリミジル基、ピラジニル基、ピラゾリル基、チアゾリル基、キノリニル基、テトラゾリル基及びオキサゾリル基が好ましい。
【0135】
更に好ましい実施形態では、式(I)の化合物において、環Cはハロゲン原子又はシアノ基で置換された、フェニル基であるか、あるいはハロゲン原子で置換された、ピリジル基である。
【0136】
別の実施形態では、以下のようになっている式(I)の化合物が好ましい:式中、環Aは、
【0137】
【化13】

であり、式中、R1aはハロゲン原子、低級アルキル基又は低級アルコキシ基であり、かつR2a及びR3aは水素原子であり;かつ環Bは
【0138】
【化14】

であり、式中、R4b及びR5bはそれぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、低級アルキル基、ハロ−低級アルキル基、低級アルコキシ基、又はハロ−低級アルコキシ基である。
【0139】
本発明の別の態様では、式(I)の化合物の好ましい例としては、以下の式(IB)で表わされる化合物が挙げられ、
【0140】
【化15】

式中、R8、R9及びR10はそれぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アルキル基、ハロアルキル基、ハロアルコキシ基、ヒドロキシアルキル基、アルコキシアルキル基、アルコキシアルコキシ基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルキリデンメチル基、シクロアルケニル基、シクロアルキルオキシ基、アリールオキシ基、アリールアルコキシ基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、モノ−若しくはジ−アルキルアミノ基、アルキルカルボニルアミノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、モノ−若しくはジ−アルキルカルバモイル基、アルカノイル基、アルキルスルホニルアミノ基、アリールスルホニルアミノ基、アルキルスルフィニル基、アルキルスルホニル基、又はアリールスルホニル基であり;かつ
【0141】
【化16】

で表わされる基であり、式中、R6a及びR7aはそれぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アルキル基、ハロアルキル基、ハロアルコキシ基、ヒドロキシアルキル基、アルコキシアルキル基、アルコキシアルコキシ基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルキリデンメチル基、シクロアルケニル基、シクロアルキルオキシ基、アリールオキシ基、アリールアルコキシ基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、モノ−若しくはジ−アルキルアミノ基、アルキルカルボニルアミノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、モノ−若しくはジ−アルキルカルバモイル基、アルカノイル基、アルキルスルホニルアミノ基、アリールスルホニルアミノ基、アルキルスルフィニル基、アルキルスルホニル基又はアリールスルホニル基であり、かつR6b及びR7bはそれぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、ハロアルキル基又はアルコキシ基である。
【0142】
式(IB)により表わされる化合物の中で、以下のような化合物がより好ましく、式中、R8、R9及びR10はそれぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、低級アルキル基、シクロアルキル基、ヒドロキシ−低級アルキル基、ハロ−低級アルキル基、低級アルコキシ−低級アルキル基、低級アルコキシ基、シクロアルコキシ基、ハロ−低級アルコキシ基又は低級アルコキシ−低級アルコキシ基であり、かつ
【0143】
【化17】

で表わされる基であり、式中、R6a、R7aはそれぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、低級アルキル基、シクロアルキル基、ヒドロキシ−低級アルキル基、ハロ−低級アルキル基、低級アルコキシ−低級アルキル基、低級アルコキシ基、シクロアルコキシ基、ハロ−低級アルコキシ基、又は低級アルコキシ−低級アルコキシ基であり、あるいは
【0144】
【化18】

で表わされる基であり、式中、R6b及びR7bはそれぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、低級アルキル基、ハロ−低級アルキル基、又は低級アルコキシ基である。
【0145】
本発明の他の態様では、式(I)の化合物の好ましい例としては、以下の式(IC)により表わされる化合物が挙げられ、
【0146】
【化19】

式中、環B’は場合により置換されていてもよいベンゼン環、場合により置換されていてもよい不飽和の単環式複素環、又は場合により置換されていてもよい不飽和の縮合ヘテロ二環式複素環である。
【0147】
環B’の好ましい例としては、ベンゼン環及び複素環が挙げられ、これらは両方ともハロゲン原子;シアノ基;場合により、ハロゲン原子で置換されてもよい低級アルキル基;場合により、ハロゲン原子で置換されてもよい低級アルコキシ基;低級アルカノイル基;モノ−若しくはジ−低級アルキルアミノ基;低級アルコキシカルボニル基;カルバモイル基;モノ−若しくはジ−低級アルキルカルバモイル基;場合により、ハロゲン原子、シアノ基、場合により、ハロゲン原子で置換されてもよい低級アルキル基、場合により、ハロゲン原子で置換されてもよい低級アルコキシ基、低級アルカノイル基、モノ−若しくはジ−低級アルキルアミノ基、低級アルコキシカルボニル基、カルバモイル基又はモノ−若しくはジ−低級アルキルカルバモイル基から選択される置換基で置換されてもよいフェニル基;場合により、ハロゲン原子、シアノ基、場合により、ハロゲン原子で置換されてもよい低級アルキル基、場合により、ハロゲン原子で置換されてもよい低級アルコキシ基、低級アルカノイル基、モノ−若しくはジ−低級アルキルアミノ基、低級アルコキシカルボニル基、カルバモイル基又はモノ−若しくはジ−低級アルキルカルバモイル基から選択される置換基で置換されてもよいヘテロシクリル基、アルキレン基、及びオキソ基からなる群から選択される置換基を有してもよい。
【0148】
環B’のより好ましい例としては、ハロゲン原子;シアノ基;場合によりハロゲン原子で置換されてもよい低級アルキル基;場合によりハロゲン原子で置換されてもよい低級アルコキシ基;モノ−若しくはジ−低級アルキルアミノ基;場合によりハロゲン原子、シアノ基、場合によりハロゲン原子で置換されてもよい低級アルキル基、場合によりハロゲン原子で置換されてもよい低級アルコキシ基で置換されてもよいフェニル基;場合によりハロゲン原子、シアノ基、場合によりハロゲン原子で置換されてもよい低級アルキル基、場合によりハロゲン原子で置換されてもよい低級アルコキシ基で置換されてもよいヘテロシクリル基からなる群から選択される置換基で置換されてもよいベンゼン環が挙げられる。
【0149】
好ましい式(I)の化合物は、以下のものからなる群から選択された化合物、並びにその製薬上許容され得る塩及びプロドラッグであってもよい:
1−(β−D−グルコピラノシル)−4−クロロ−3−(6−エチルベンゾ[b]チオフェン−2−イルメチル)ベンゼン;
1−(β−D−グルコピラノシル)−4−クロロ−3−[5−(5−チアゾリル)−2−チエニルメチル]ベンゼン;
1−(β−D−グルコピラノシル)−4−クロロ−3−(5−フェニル−2−チエニル−メチル)ベンゼン;
1−(β−D−グルコピラノシル)−4−メチル−3−[5−(4−フルオロフェニル)−2−チエニルメチル]ベンゼン;
1−(β−D−グルコピラノシル)−4−クロロ−3−[5−(2−ピリミジニル)−2−チエニルメチル]ベンゼン;
1−(β−D−グルコピラノシル)−4−メチル−3−[5−(2−ピリミジニル)−2−チエニルメチル]ベンゼン;
1−(β−D−グルコピラノシル)−4−クロロ−3−[5−(3−シアノフェニル)−2−チエニルメチル]ベンゼン;
1−(β−D−グルコピラノシル)−4−クロロ−3−[5−(4−シアノフェニル)−2−チエニルメチル]ベンゼン;
1−(β−D−グルコピラノシル)−4−メチル−3−[5−(6−フロロ−2−ピリジル)−2−チエニルメチル]ベンゼン;
1−(β−D−グルコピラノシル)−4−クロロ−3−[5−(6−フロロ−2−ピリジル)−2−チエニルメチル]ベンゼン;
1−(β−D−グルコピラノシル)−4−メチル−3−[5−(3−ジフロロメチル−フェニル)−2−チエニルメチル]ベンゼン;
1−(β−D−グルコピラノシル)−4−メチル−3−[5−(3−シアノフェニル)−2−チエニルメチル]ベンゼン;
1−(β−D−グルコピラノシル)−4−メチル−3−[5−(4−シアノフェニル)−2−チエニルメチル]ベンゼン;
1−(β−D−グルコピラノシル)−4−クロロ−3−[5−(6−フロロ−3−ピリジル)−2−チエニルメチル]ベンゼン;
1−(β−D−グルコピラノシル)−4−フルオロ−3−(5−(3−シアノフェニル)−2−チエニルメチル)ベンゼン。
【0150】
特に好ましい式(I)の化合物としては、
1−(β−D−グルコピラノシル)−4−メチル−3−[5−(3−シアノ−フェニル)−2−チエニルメチル]ベンゼン、又はこれらの製薬上許容され得る塩又はこれらのプロドラッグ;
1−(β−D−グルコピラノシル)−4−メチル−3−[5−(4−シアノ−フェニル)−2−チエニルメチル]ベンゼン、又はこれらの製薬上許容され得る塩又はこれらのプロドラッグ;
1−(β−D−グルコピラノシル)−4−メチル−3−[5−(4−フルオロ−フェニル)−2−チエニルメチル]ベンゼン、又はこれらの製薬上許容され得る塩又はこれらのプロドラッグ;
1−(β−D−グルコピラノシル)−4−クロロ−3−[5−(3−シアノ−フェニル)−2−チエニルメチル]ベンゼン、又はこれらの製薬上許容され得る塩又はこれらのプロドラッグ;
1−(β−D−グルコピラノシル)−4−メチル−3−[5−(6−フルオロ−2−ピリジル)−2−チエニルメチル]ベンゼン、又はこれらの製薬上許容され得る塩又はこれらのプロドラッグ;
1−(β−D−グルコピラノシル)−4−クロロ−3−[5−(6−フルオロ−2−ピリジル)−2−チエニルメチル]ベンゼン、又はこれらの製薬上許容され得る塩又はこれらのプロドラッグ;
1−(β−D−グルコピラノシル)−4−クロロ−3−[5−(6−フルオロ−3−ピリジル)−2−チエニルメチル]ベンゼン、又はこれらの製薬上許容され得る塩又はこれらのプロドラッグ;並びに
1−(β−D−グルコピラノシル)−4−フルオロ−3−(5−(3−シアノフェニル)−2−チエニルメチル)ベンゼン、又はこれらの製薬上許容され得る塩又はこれらのプロドラッグが挙げられる。
【0151】
式(I)の化合物の製薬上許容され得る塩としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウムなどのようなアルカリ金属塩;カルシウム、マグネシウムなどのようなアルカリ土類金属塩;亜鉛又はアルミニウム塩;アンモニウム、コリン、ジエタノールアミン、リジン、エチレンジアミン、t−ブチルアミン、t−オクチルアミン、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、N−メチルグルコサミン、トリエタノールアミン、及びデヒドロアビエチルアミンのような有機塩基塩;塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸などのような無機酸塩;又は、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸などのような有機酸塩;又はアスパラギン酸、グルタミン酸などのような酸性アミノ酸塩が挙げられる。
【0152】
用語「プロドラッグ」は、酢酸塩、ピバル酸塩、炭酸メチル、安息香酸塩などを生成するための従来の方法により、式(I)の化合物の1個以上のヒドロキシ基を、アルキル、アルコキシ又はアリールで置換された、アシル化剤と反応させることにより形成される、エステル又は炭酸塩を意味する。更に、プロドラッグはまた、エステル又はアミドを含み、これは同様に、式(I)の化合物の1個以上のヒドロキシ基を、従来の方法により、縮環剤を用いて、α−アミノ酸又はβ−アミノ酸と反応させることにより形成される。
【0153】
式(I)の化合物はまた、立体異性体の混合物又はそれぞれ純粋な若しくは実質的に純粋な異性体を含む。例えば、本化合物は場合によりいずれか1個の置換基を含有する炭素原子に、1つ以上の不斉中心を有してもよい。それゆえ、式(I)の化合物は、鏡像異性体若しくはジアステレオマー又はその混合物の形態で存在してもよい。式(I)の化合物が二重結合を含有するとき、本化合物は、幾何異性体(シス−化合物、トランス−化合物)の形態で存在してもよく、式(I)の化合物がカルボニルのような不飽和結合を含有するとき、本化合物は、互変異性体の形態で存在してもよく、本化合物はまた、これらの異性体又はその混合物を含む。ラセミ混合物、鏡像異性体又はジアステレオマーの形の出発化合物を、本化合物を調製する方法で用いてもよい。本化合物がジアステレオマー又は鏡像異性体の形態で得られるとき、それらはクロマトグラフィー又は分別晶出のような従来の方法により分離できる。
【0154】
加えて、式(I)の化合物には、その分子内塩、水和物、溶媒和物又は多形を含む。
【0155】
本発明の方法は、「ブドウ糖関連障害」の処置及び/又は予防(進行又は発症を遅らせることを含む)を目的とする。本明細書で使用するとき、用語「ブドウ糖関連障害」は、高血糖により特徴づけられるか、又は高血糖の結果として発症する、いずれかの障害として定義することができる。ブドウ糖関連障害としては、糖尿病、糖尿病性網膜症、糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症、創傷治癒の遅延、インスリン抵抗性、高血糖症、高インスリン血症、脂肪酸の血中濃度の上昇、ブドウ糖の血中濃度の上昇、高脂血症、肥満、高トリグリセリド症、シンドロームX、糖尿病合併症、アテローム性動脈硬化症又は高血圧が挙げられる。特に「ブドウ糖関連障害」は糖尿病(1型及び2型糖尿病など)、糖尿病合併症(糖尿病性網膜症、糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症など)、肥満又は食後高血糖である。
【0156】
本発明の実施形態では、ブドウ糖関連障害は、糖尿病、糖尿病性網膜症、糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症、創傷治癒の遅延、インスリン抵抗性、高血糖、高インスリン血症、脂肪酸の血中濃度の上昇、高脂血症、肥満、高トリグリセリド症、シンドロームX、糖尿病合併症、アテローム性動脈硬化症及び高血圧からなる群から選択される。
【0157】
本発明の別の実施形態では、ブドウ糖関連障害は、1型糖尿病、2型糖尿病、糖尿病性網膜症、糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症、肥満及び食後高血糖からなる群から選択される。本発明の別の実施形態では、ブドウ糖関連障害は、1型糖尿病、2型糖尿病、糖尿病性網膜症、糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症、肥満及び創傷治癒の遅延からなる群から選択される。本発明の別の実施形態では、ブドウ糖関連障害は、血糖コントロール不良、2型糖尿病、シンドロームX、妊娠糖尿病、インスリン抵抗性及び高血糖からなる群から選択される。本発明の別の実施形態では、ブドウ糖関連障害は2型糖尿病である。
【0158】
別の実施形態では、ブドウ糖関連障害は、血糖値の上昇、糖尿病前症、経口ブドウ糖負荷の障害、血糖コントロール不良、2型糖尿病、シンドロームX(代謝異常症候群としても既知)、妊娠糖尿病、インスリン抵抗性及び高血糖からなる群から選択される。
【0159】
ブドウ糖関連障害の処置は、ブドウ糖濃度の低減、血糖コントロールの改善、インスリン抵抗性の低減、及び/又はブドウ糖関連障害の進行の予防(例えば、経口ブドウ糖負荷での耐糖能異常又は血糖値の上昇に苦しむ患者における2型糖尿病発症の予防)を含み得る。
【0160】
本明細書で使用するとき、用語「シンドロームX」、「代謝異常症候群」及び「代謝性シンドロームX」は、2型糖尿病及び心血管疾患の進行に関する危険因子を表し、インスリン抵抗性及び高インスリン血症により特徴づけられ、次の(a)〜(e):(a)耐糖能障害、(b)2型糖尿病、(c)脂質異常症、(d)高血圧及び(e)肥満、のうちの1つ以上を伴う疾患を意味し得る。
【0161】
本明細書で使用するとき、用語「患者」は、処置、観察又は実験の対象である動物、好ましくは哺乳類、最も好ましくはヒトを指す。
【0162】
本明細書で使用するとき、用語「組成物」は、特定の成分を特定の量で含む生成物、並びに直接的又は間接的に特定の成分の特定の量の組み合わせから生じるいずれかの生成物を包含することを意図する。
【0163】
本明細書で使用するとき、特に断りがない限り、「処置する」、「処置」などの用語は、疾患、病状、又は障害への対処を目的とする、患者又は患者(好ましくは哺乳動物、より好ましくはヒト)の管理及びケアを包含し、また、症状若しくは合併症の発現の予防、症状若しくは合併症の緩和、又は疾患、病状、若しくは障害の根絶のための、本発明の化合物の投与を包含するものとする。
【0164】
本明細書で使用するとき、特に断りがない限り、用語「予防」は、(a)1つ以上の病状の頻度の低減、(b)1つ以上の病状の重篤度の低下、(c)更なる病状の発現の遅延若しくは回避、及び/又は(d)疾患若しくは病状の発現の遅延若しくは回避を含むものとする。
【0165】
本発明が予防方法を目的とする場合、この方法を必要とする患者(すなわち、予防を必要とする患者)が、予防されるべき障害、疾患、若しくは病状のうち少なくとも1つの症状を経験又は示しているいずれの患者あるいは患者をも包含することを、当業者は理解するであろう。更に、この方法を必要とする患者は加えて、予防されるべき障害、疾患、又は病状のいずれの症状も示していないが、それらの障害、疾患、又は病状の発現のリスクがあると医師、臨床医、又は他の医療専門家によって見なされている患者(好ましくは哺乳動物、より好ましくはヒト)であってもよい。例えば、限定されるものではないが、家族暦、個体素因、合併(併発)障害又は合併(併発)症状、遺伝子検査などを含めた、患者の医療履歴の結果として、患者は障害、疾患又は病状の発現のリスクがあると(またそれゆえ、予防又は予防的処置の必要があると)見なされる場合がある。
【0166】
本明細書で使用するとき、用語「治療上の有効量」は、研究者、獣医、医師、又は他の臨床医により求められている、処置されている疾病又は疾患の症状の緩和を含む、組織系、動物、又はヒト内で生体学的反応又は医薬反応を引き出す活性化合物又は医薬品の量を意味する。
【0167】
本発明は、(a)メトホルミン又はその製薬上許容され得る塩、及び(b)式(I)の化合物又はその製薬上許容され得る塩を投与することを含むコ−セラピー又は治療の組み合わせを目的とし、「治療に有効な量」は、併用効果が所望の生体応答又は薬物反応を引き出すように一緒に服用される、組み合わせられた剤の量を意味し得る。例えば、(a)メトホルミン又はその製薬上許容され得る塩及び(b)式(I)の化合物又はその製薬上許容され得る塩を投与することを含む、コ−セラピーの有効な量は、(a)メトホルミン又はその製薬上許容され得る塩及び(b)式(I)の化合物又はその製薬上許容され得る塩を、共に又は連続的に服用した場合に、治療に有効な効果の組み合わせを有する量であり得る。加えて、上記例におけるもののような、治療に有効な量でのコ−セラピーの場合、(a)メトホルミン又はその製薬上許容され得る塩の量及び/又は(b)式(I)の化合物又はその製薬上許容され得る塩の量は、それぞれが治療に有効な量であっても、あるいは有効な量でなくてもよいことは、当業者により認識されるであろう。
【0168】
(a)グリブリド、及び(b)式(I)の化合物又はその製薬上許容され得る塩を投与することを含むコ−セラピーに関する用語「治療に有効な量」は、共に又は連続的に服用した場合に治療に有効な併用効果を有するグリブリドの量及び式(I)の化合物又はその製薬上許容され得る塩の量を意味し、更に上記各成分の量は、それぞれ治療に有効な量であっても、あるいは有効な量でなくてもよいことを、当業者は更に認識するであろう。
【0169】
(a)メトホルミン又はその製薬上許容され得る塩、(b)式(I)の化合物又はその製薬上許容され得る塩、及び(c)スルホニル尿素(好ましくはグリブリド)又はその製薬上許容され得る塩を投与することを含むコ−セラピーの「治療に有効な量」は、共に又は連続的に服用した場合に治療に有効な併用効果を有する各成分の量を意味し、更に上記各成分の量は、それぞれ治療に有効な量であっても、あるいは有効な量でなくてもよいことを、当業者は更に認識するであろう。
【0170】
本明細書で使用するとき、用語「コ−セラピー」及び「処置の組み合わせ」は、(a)メトホルミン又はその製薬上許容され得る塩、(b)式(I)の化合物又はその製薬上許容され得る塩、及び場合により(c)スルホニル尿素(好ましくはグリブリド)又はその製薬上許容され得る塩、を投与することにより、処置を必要としている患者を処置することを意味し、(a)メトホルミン又はその製薬上許容され得る塩、(b)式(I)の化合物又はその製薬上許容され得る塩、及び場合により(c)スルホニル尿素(好ましくはグリブリド)又はその製薬上許容され得る塩は、任意の好適な手段により、同時に、連続的に、別個に又は単独の剤形で投与される。(a)メトホルミン又はその製薬上許容され得る塩、(b)式(I)の化合物又はその製薬上許容され得る塩、及び場合により(c)スルホニル尿素(好ましくはグリブリド)又はその製薬上許容され得る塩が別個の剤形で投与される場合、各化合物の1日当たりの投薬回数は同じであっても異なっていてもよい。(a)メトホルミン又はその製薬上許容され得る塩、(b)式(I)の化合物又はその製薬上許容され得る塩、及び場合により(c)スルホニル尿素(好ましくはグリブリド)又はその製薬上許容され得る塩は、同様の又は異なる投薬経路により投与してよい。投与の好適な方法の例としては、経口、静脈内(iv)、筋肉内(im)、皮下(sc)、経皮及び直腸が挙げられるが、これらに限定されない。化合物はまた、頭蓋内若しくは椎骨内針及び/又はポンプ装置を備える若しくは備えないカテーテルを介して送達することにより、脳内、脳室内、側脳室内、くも膜下腔内、嚢内、脊髄内及び/又は脊髄周辺投与経路が挙げられるが、これらに限定されない神経系に直接投与してよい。(a)メトホルミン又はその製薬上許容され得る塩、(b)式(I)の化合物又はその製薬上許容され得る塩、及び場合により(c)スルホニル尿素(好ましくはグリブリド)又はその製薬上許容され得る塩は、治療過程にて、分割された又は単一の形態で一緒に、同じ時間に又は異なる時間に、同時レジメン(simultaneous regimens)又は交替レジメン(alternating regimens)に従って投与してもよい。「コ−セラピー」及び「治療の組み合わせ」に関する上記議論は、(a)グリブリド、及び(b)式(I)の化合物又はその製薬上許容され得る塩を、処置を必要としている患者に投与することを含む、ブドウ糖関連障害を処置するためのコ−セラピー又は治療の組み合わせに対しても同様に適用され得ることを、当業者は更に認識するであろう。
【0171】
より簡潔な説明を提供するために、本明細書の量的表現のいくつかは、約量X〜約量Yの範囲として列挙される。範囲が記載されている場合、その範囲は、記載された上限及び下限に限定されるものではなく、約量X〜約量Yの全範囲、又はその中の任意の範囲の量を含むものと理解される。
【0172】
より簡潔な説明を提供するために、本明細書に記載する量的表現の一部は、用語「約」で修飾しない。用語「約」が明確に用いられていようといまいと、本明細書に記載する全ての量はその実際値を指すことを意味し、またこのような値の実験及び/又は測定条件による近似値を含む、当該技術分野における通常の技量に基づいて合理的に推測されるこのような値の近似値を指すことも意味することが理解される。
【0173】
本発明は、(a)メトホルミン又はその製薬上許容され得る塩、及び(b)式(I)の化合物又はその製薬上許容され得る塩を製薬上許容され得る賦形剤と共に含有する、製薬組成物を更に含む。有効成分として本明細書に記載される、本発明の製薬組成物は、(a)メトホルミン又はその製薬上許容され得る塩、及び(b)式(I)の化合物又はその製薬上許容され得る塩を、製薬分野の従来の合成技術に従う製薬賦形剤と共にしっかりと混合することで調製され得る。
【0174】
本発明は(a)グリブリド、及び(b)式(I)の化合物又はその製薬上許容され得る塩と共に製薬上許容され得る賦形剤を含有している製薬組成物を更に含む。有効成分として本明細書に記載される、本発明の製薬組成物は、(a)グリブリド、及び(b)式(I)の化合物又はその製薬上許容され得る塩と共に、製薬分野の従来の合成技術に従う製薬賦形剤をしっかりと混合することで調製され得る。
【0175】
本発明は、(a)メトホルミン又はその製薬上許容され得る塩、(b)式(I)の化合物又はその製薬上許容され得る塩、(c)スルホニル尿素又はその製薬上許容され得る塩を製薬上許容され得る賦形剤と共に含有する製薬組成物を更に含む。有効成分として本明細書に記載される、本発明の製薬組成物は、(a)メトホルミン又はその製薬上許容され得る塩、(b)式(I)の化合物又はその製薬上許容され得る塩、及び(c)スルホニル尿素又はその製薬上許容され得る塩を、製薬分野の従来の合成技術に従う製薬賦形剤と共にしっかりと混合することで調製され得る。
【0176】
製薬上許容され得る賦形剤は、所望の投与経路(例えば、経口、非経口など)に応じ、広範な形態を取ることができる。したがって、経口液体製剤(懸濁液、エリキシル剤及び溶液、好適な賦形剤及び添加剤など)には、水、グリコール、オイル、アルコール、矯味矯臭剤、保存料、安定剤、着色剤、及び同様物を含み;経口固形製剤(散剤、カプセル及び錠剤、好適な賦形剤及び添加剤など)には、希釈剤、造粒剤、潤滑剤、結合剤、崩壊剤、薬剤放出制御親水性ポリマー、薬剤放出制御疎水性ポリマー、湿潤剤、及び同様物を含む。経口固形製剤は、放出を延期させるために糖、セルロースエーテル、及びアクリルポリマーなどの物質でコートしてもよく、あるいは主要な吸収箇所を調節するよう腸溶剤であってもよい。非経口投与では賦形剤は通常、滅菌水からなるものであり、他の成分は溶解性を上げるために、又は防腐のために加えることができる。注射用の懸濁液又は溶液はまた、水性賦形剤を適切な添加剤と共に用いることで調製することもできる。
【0177】
本発明の製薬組成物を調製するために、有効成分としての、式(I)の化合物又はその製薬上許容され得る塩、並びに(a)メトホルミン又はその製薬上許容され得る塩、及び/又は(b)スルホニル尿素(好ましくはグリブリド)又はその製薬上許容され得る塩は、製薬分野の従来の合成技術に従って製薬賦形剤としっかり混合される。賦形剤は、例えば経口投与又は非経口投与(筋肉内投与など)などの投与に所望される調製形態に応じ、様々な形態をとり得る。経口剤形での組成物の製剤には、任意の通常の医薬媒質を用いることができる。したがって、経口液体製剤(例えば、懸濁液、エリキシル剤及び溶液、好適な賦形剤及び添加剤など)は、水、グリコール、オイル、アルコール、矯味矯臭剤、保存料、着色剤、及び同様物を含み;経口固形製剤(例えば、散剤、カプセル、及び錠剤(カプレットを含む)、好適な賦形剤及び添加剤など)は、希釈剤、造粒剤、潤滑剤、結合剤、崩壊剤、薬剤放出制御親水性ポリマー、薬剤放出制御又は疎水性ポリマー、湿潤剤、及び同様物を含む。投与が容易であることから、錠剤及びカプセル剤は最も有利な経口投薬単位形態であり、これらの形態では製薬賦形剤が使用されることは明らかである。必要に応じて、錠剤に糖をコーティングしてもよく、あるいは標準的な技術により腸溶性コーティングをしてもよい。非経口投与の場合、賦形剤には一般的に滅菌水を含むが、例えば、溶解性を助けるなどの目的のため、又は保存のために他の成分を含んでもよい。注入可能な懸濁剤も調製することもでき、この場合、適切な液剤賦形剤、懸濁剤及び類似物を用いることができる。本明細書に記載の製薬組成物には、例えば、錠剤、カプセル剤、散剤、注射液、茶さじ一杯などといった投薬単位当たり、上述した有効投与量を送達するのに必要な量の活性成分が含まれる。本明細書の製薬組成物は、例えば、錠剤、カプセル、散剤、注射液、坐剤、茶さじ1杯、及び同様物などといった投薬単位当たり、約0.01〜約2,000mg又はこのうちの任意の量又は範囲で、(a)メトホルミン又はその製薬上許容され得る塩、(b)式(I)の化合物又はその製薬上許容され得る塩、及び/又は(c)スルホニル尿素(好ましくはグリブリド)又はその製薬上許容され得る塩のそれぞれを独立して含有し得る。本明細書に記載の製薬組成物は、治療に有効な適切に選択された投与量で投与することができ、この量は患者にとっての必要量、処置される病状の重症度及び選択される化合物に応じて変化し得る。連日投与又は断続的(post-periodic)投与の使用のいずれかを用いることができる。
【0178】
好ましくは、これらの製薬組成物は、経口、非経口、鼻腔内、舌下若しくは直腸投与、又は吸入若しくは吹送による投与のための、例えば錠剤、丸剤、カプセル剤、散剤、顆粒、無菌非経口溶液又は懸濁液、定量エアゾール又は液体噴霧剤、ドロップ、アンプル、自動注入装置又は坐薬のような単位剤形である。あるいは、この製薬組成物は、週に1回若しくは月に1回の投与に好適な形態で与えることができ、例えば、デカン酸塩のような、活性化合物の不溶性の塩を、筋肉内注射用のデポ製剤を提供するために適応させることができる。
【0179】
錠剤などの固形組成物の調製については、主要な有効成分を製薬賦形剤(例えば、トウモロコシデンプン、ラクトース、スクロース、ソルビトール、タルク、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、リン酸ニカルシウム又はガムなどの従来の錠剤材料)並びにその他の製薬希釈剤(例えば、水)と混合することで、有効成分の混合物を含有している固形処方組成物を形成する。本発明の製薬組成物の錠剤又は丸剤は、長時間の効果の有利性を得るような投与形態をもたらすよう、コーティング又は他の複合を行うことができる。例えば錠剤若しくは丸剤は、内部投与成分及び外部投与成分を含むことができ、後者は前者を包む形態である。2つの成分は、胃での崩壊を阻止し、また内部成分を無傷で十二指腸内まで通過させる、又は放出を遅延させることができる腸溶性の層により分離することができる。様々な物質をそのような腸溶性の層又はコーティングに用いることができ、そのような物質には、シェラック、セチルアルコール及び酢酸セルロースのような物質と共に多数のポリマー酸が包含される。
【0180】
本発明の製薬組成物を経口若しくは注射による投与用に包含することができる液体形態としては、水性液剤、適当に風味を加えたシロップ剤、水性若しくは油懸濁剤、及び綿実油、ゴマ油、ココナッツ油若しくはピーナッツ油のような食用油で風味を加えたエマルション、並びにエリキシル剤、及び同様の製薬賦形剤が挙げられる。水性懸濁剤の適当な分散剤若しくは懸濁剤としては、合成及び天然のガム、例えば、トラガカント、アカシア、アルギネート、デキストラン、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ポリビニル−ピロリドン、若しくはゼラチンが挙げられる。
【0181】
有利なことに、本発明の製薬組成物は、1回に1日用量を投与してもよく、又は全1日用量を1日2回、3回、又は4回に分割して投与されてもよい。更に、本発明の製薬組成物は、当業者に周知の、好適な鼻腔内投与用賦形剤の局所使用による経鼻投与形態で、又は経皮貼付剤を介して投与してもよい。経皮送達系の状態で投与するためには、投薬はもちろん投薬レジメンを通して断続的ではなく連続的である。
【0182】
特定の実施形態では、錠剤若しくはカプセル剤の形態の経口投与には、製剤活性成分をエタノール、グリセロール、水及び同様物のような経口用の無毒の製薬上許容され得る不活性な賦形剤と合わせることができる。更に、所望若しくは必要に応じて、好適な結合剤、潤滑剤、崩壊剤、及び着色剤もまた、混合物に包含することができる。適当な結合剤としては、限定するものではないがデンプン、ゼラチン、天然の糖(ブドウ糖若しくはβ−ラクトースなど)、コーン甘味料、天然及び合成ガム(アカシア、トラガカント若しくはオレイン酸ナトリウムなど)、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウム、及び同様物が挙げられる。崩壊剤としては、限定するものではないがデンプン、デンプングリコール酸ナトリウム、クロスカルメロースナトリウム、クロスポピドン、メチルセルロース、アガー、ベントナイト、キサンタンガム、及び同様物が挙げられる。液体は、合成及び天然のガム(例えば、トラガカント、アカシア、メチルセルロースなど)などの、適当に風味を加えた懸濁剤若しくは分散剤として形成する。非経口投与には、滅菌懸濁剤及び液剤が望ましい。静脈内投与が所望される場合、適当な防腐剤を一般に含有する等張製剤を用いる。
【0183】
本発明の製薬組成物は、例えば、Pharmaceutical Sciences,Remington,17th Ed.,pp.1585〜1594(1985);Chemical Engineers Handbook,Perry,6th Ed.,pp.21〜13 to 21〜19(1984);Journal of Pharmaceutical Sciences,Parrot,Vol.61,No.6,pp.813〜829(1974);並びにChemical Engineer,Hixon,pp.94〜103(1990)に開示されるような既知の方法に従い、既知のプロセス及び装置を使用することで調製することもできる。
【0184】
本発明の製薬組成物用に関し、顆粒は、例えば、所望の大きさの有効成分及び所望の大きさの任意の製薬上許容され得る添加される賦形剤を製造する粉砕技術により調製してもよい。所望される粒子を製造するための好適な手段としては、限定するものではないが、意図される粒径の粒子を製造するよう、造粒、スプレー乾燥、ふるい分け、凍結乾燥、圧砕、磨砕、ジェットミリング、超微粉砕及びせん断することが挙げられる。プロセスは、超微粉砕ミル、流体エネルギーミル、磨砕ミル、ローラーミル、ハンマーミル、アトリッションミル、ねじ切りミル、ボールミル、振動ボールミル、圧砕ミル、超遠心粉砕ミル、粗砕クラッシャー及び細砕クラッシャーなどの、サイズを減少させる装置により実施することができる。粒径は、グリズリー式スクリーン、フラット式スクリーン、振動式スクリーン(vibrating screen)、回転式スクリーン、振とう式スクリーン(shaking screen)、振動式スクリーン(oscillating screen)及び往復式スクリーンが挙げられるスクリーニングにより確認することができる。次いで、顆粒を例えば既知の方法に従って押圧することで錠剤を生成する。
【0185】
本発明の製薬組成物用の顆粒は、湿式造粒法により代替え的に製造することもできる。湿式造粒法では、固体粒子を湿潤させ、造粒溶媒、結合剤及び場合によりその他の賦形剤から本質的になる結合剤溶液により互いに結合させる。有効成分(例えば、式(I−X)の化合物又はその製薬上許容され得る塩)は、他の固形賦形剤と共に、又は他の固形賦形剤は加えずに固体粒子として造粒することもでき、あるいは結合剤溶液に一部溶解させて造粒することもできる。固体粒子は機械的撹拌手段により混合することができ(例えば、低せん断又は高せん断ミキサーを用いて)、あるいは気体により流動化してもよい(流動層造粒など)。湿潤ブレンドが製造されるまで造粒流体を添加し、次いで予め設定したスクリーンにより湿潤ブレンド塊に力を加え造粒し、流動層乾燥機で乾燥させる。ブレンドを、強制対流式オーブン内で約24℃〜約35℃範囲の温度で、約18〜約24時間にわたって乾燥させる。次いで既知の方法により、乾燥させた顆粒の大きさを整える。次いで、乾燥させた顆粒の大きさを整える。次に、ステアリン酸マグネシウム又は他の好適な潤滑剤(所望される場合)及び他の賦形剤材料(必要に応じて)を顆粒に添加し、この顆粒を、ジャーミルで混合したミリングジャーサンドに10分にわたって注入する。得られる組成物は、錠剤の調製のため、例えば、Manesty(登録商標)プレス機又はKorsch LCTプレス機で一層へと圧縮する。例えば、プレス速度を15rpmに設定し、最大負荷を約3628.7kg(4トン)に設定する。
【0186】
あるいは、有効成分及び賦形剤を、粉末化した材料のように造粒機の流動層でブレンドしてもよい。乾燥粉末化した材料を造粒機でブレンドした後、例えば、ポリビニルピロリドン水溶液といった造粒流体を粉末に噴霧する。得られる凝集材料を、次いで造粒機中で乾燥させる。このプロセスは、造粒流体を添加しつつ、造粒機中に存在する全ての材料から造粒する。顆粒を乾燥させた後、潤滑剤(ステアリン酸又はステアリン酸マグネシウムなど)を、ブレンダ(例えば、Vブレンダ又はトートブレンダ)を用いて混合し造粒する。次いで顆粒を圧縮し、上記の方法でコーティングすることができる。
【0187】
製薬組成物成分の製造に好適な代表的な溶媒は、系で使用する材料に悪影響を与えることのない水溶媒又は不活性な有機溶媒を含む。溶媒には、水溶媒、アルコール、ケトン、エステル、エーテル、脂肪族炭化水素、ハロゲン化溶剤、脂環式化合物、芳香族、複素環溶媒及びこれらの混合物からなる群から選択される部類が広範に含まれる。典型的な溶媒としては、アセトン、ジアセトンアルコール、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸n−ブチル、メチルイソブチルケトン、メチルプロピルケトン、nヘキサン、n−ヘプタン、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルアセテート、二塩化メチレン、二塩化エチレン、二塩化プロピレン、テトラクロリデンニトロエタンカーボン(carbon tetrachloridenitroethane)、ニトロプロパンテトラクロロエタン、エチルエーテル、イソプロピルエーテル、シクロヘキサン、シクロオクタン、ベンゼン、トルエン、ナフタ,1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン、ジグリム、水、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、及び同様物などの無機塩を含有している水溶媒、並びにアセトン及び水、アセトン及びメタノール、アセトン及びエチルアルコール、二塩化メチレン及びメタノール、並びに二塩化エチレン及びメタノールなどのこれらの混合物が挙げられる。
【0188】
所望される場合、パンコーティングを使用して剤形を完成させることもできる。パンコーティングシステムでは、圧縮した錠剤を、回転パン中で回転させながら、コーティング組成物を連続的に噴霧し、錠剤上に堆積させる。工業規模で利用可能なことから、パンコーターが一般的に使用される。錠剤をコーティングするために他の技術を使用することもできる。コーティング後に、同様の装置の中で、例えば強制対流式オーブン又は温度及び湿度制御オーブンの中で、錠剤を、製造時に使用された溶媒は不含の剤形へと乾燥させる。乾燥条件は、利用可能な装置、周囲条件、溶媒、コーティング、コーティング厚、及び同様の事柄に基づいて従来通り選択される。
【0189】
他のコーティング法を選択することもできる。例えば、1つの代替的な方法は空気懸濁法(air-suspension procedure)を使用する。この手順は、コーティングを適用している間、錠剤を気流に懸濁し、混合することからなる。空気懸濁手順は、例えば米国特許第2,799,241号;J.Am.Pharm.Assoc.,Vol.48,pp.451〜459(1959);及び同誌Vol.49,pp.82〜84(1960)に記載されている。錠剤はまた、例えば、コーティング材料の共溶媒として二塩化メチレンメタノールを用いて、Wurster(登録商標)空気懸濁コーターによりコーティングすることもできる。Aeromatic(登録商標)空気懸濁コーターは、共溶媒を選択するのに使用することができる。
【0190】
(a)メトホルミン又はその製薬上許容され得る塩、及び(b)式(I)の化合物又はその製薬上許容され得る塩を含む本発明のコ−セラピーは、ブドウ糖関連障害の処置が必要とされる場合にはいつでも、任意の前述の組成物で、当該技術分野で確立された投与レジメンに従って投与することができる。
【0191】
(a)グリブリド、及び(b)式(I)の化合物又はその製薬上許容され得る塩を含む、本発明のコ−セラピーは、ブドウ糖関連障害の処置が必要とされる場合にはいつでも、任意の前述の組成物で、当該技術分野で確立された投与レジメンに従って投与することができる。
【0192】
(a)メトホルミン又はその製薬上許容され得る塩、(b)式(I)の化合物又はその製薬上許容され得る塩、及び(c)スルホニル尿素(好ましくはグリブリド)又はその製薬上許容され得る塩を含む、本発明のコ−セラピーは、ブドウ糖関連障害の処置が必要とされる場合にはいつでも、任意の前述の組成物で、当該技術分野で確立された投与レジメンに従って投与することができる。
【0193】
一実施形態では、経口投与のために、組成物は好ましくは、50、100、150、200、250、500、750、850、1000、1500又は2000ミリグラムのメトホルミン又はその製薬上許容され得る塩(好ましくはメトホルミン塩酸塩)を含有し;更に1、5、10、25、50、100、150、200、250、300又は500ミリグラムの式(I)の化合物又はその製薬上許容され得る塩を含有する錠剤の形態で提供される。別の実施形態では、経口投与のために、組成物は好ましくは、1.0、2.5、5.0、7.5、10.0、12.5、15又は20ミリグラムのグリブリドを含有し;更に1、5、10、25、50、100、150、200、250、300又は500ミリグラムの式(I)の化合物又はその製薬上許容され得る塩を含有する錠剤の形態で提供される。別の実施形態では、経口投与のために、組成物は好ましくは、50、100、150、200、250、500、750、850、1000、1500又は2000ミリグラムのメトホルミン又はその製薬上許容され得る塩(好ましくはメトホルミン塩酸塩)を含有し;1、5、10、25、50、100、150、200、250、300又は500ミリグラムの式(I)の化合物又はその製薬上許容され得る塩(好ましくは式(I−X)の化合物又はその製薬上許容され得る塩、あるいは式(I−Y)の化合物又はその製薬上許容され得る塩)を含有し、並びに更に1.0、2.5、5.0、7.5、10.0、12.5、15、20、25、50、100、250、500又は1000ミリグラムのスルホニル尿素又はその製薬上許容され得る塩を含有する錠剤の形態で提供される。
【0194】
好ましくは、メトホルミン又はその製薬上許容され得る塩(より好ましくはメトホルミン塩酸塩)は、1日当たり、体重1kgにつき約0.01mg〜約200mg、又は1日当たり、体重1kgにつき約0.5mg〜約50mg、又はこの範囲内の任意の量若しくは範囲の投与量レベルで投与される。範囲は好ましくは、1日当たり、体重1kgにつき約1.0〜約50.0mg又はこの範囲内の任意の量若しくは範囲、より好ましくは1日当たり、体重1kgにつき約5mg〜約30mg又はこの範囲内の任意の量若しくは範囲、より好ましくは1日当たり、体重1kgにつき約5〜約20mg又はこの範囲内の任意の量若しくは範囲である。一実施形態では、メトホルミン又はその製薬上許容され得る塩の有効量は、250mg、500mg、750mg、1000mg又は2000mg、又はこの範囲内の任意の量若しくは範囲の投与量レベルで提供される。
【0195】
好ましくは、グリブリドは、1日当たり、体重1kgにつき約0.01mg〜約0.5mg、又は1日当たり、体重1kgにつき約0.01mg〜約0.3mg、又はこの範囲内の任意の量若しくは範囲の投与量レベルで投与される。一実施形態では、グリブリドの有効量は、1.0mg、2.5mg、5.0mg、7.5mg、10.0mg、12.5mg、15mg又は20mg、又はこの範囲内の任意の量若しくは範囲の投与量レベルで提供される。
【0196】
好ましくは、式(I)の化合物又はその製薬上許容され得る塩は、1日当たり、体重1kgにつき約0.01mg〜約500mg、又は1日当たり、体重1kgにつき0.01mg〜約200mg、又はこの範囲内の任意の量若しくは範囲の投与量レベルで投与される。好ましい範囲は、1日当たり、体重1kgにつき約0.01〜約50mg又はこの範囲内の任意の量若しくは範囲、より好ましくは1日当たり、体重1kgにつき約0.05mg〜約10mg又はこの範囲内の任意の量若しくは範囲、より好ましくは1日当たり、体重1kgにつき約1〜約5mg又はこの範囲内の任意の量若しくは範囲である。一実施形態では、式(I)の化合物又はその製薬上許容され得る塩の有効量は、10mg、25mg、50mg、100mg、150mg又は300mg、又はこの範囲内の任意の量若しくは範囲の投与量レベルで提供される。好ましくは、スルホニル尿素又はその製薬上許容され得る塩は、1日当たり、体重1kgにつき約0.01mg〜約200mg、又はこの範囲内の任意の量若しくは範囲の投与量レベルで投与される。好ましくは、範囲は、1日当たり、体重1kgにつき約0.01〜約50mgである。一実施形態では、スルホニル尿素又はその製薬上許容され得る塩の有効量は、1.0mg、2.5mg、5.0mg、10mg、25mg、50mg、100mg、150mg、250mg、500mg、100mg、又はこの範囲内の任意の量若しくは範囲の投与量レベルで提供される。本発明のコ−セラピーは、1日当たり1〜4回のレジメンで投与することもできる。
【0197】
投与すべき最適用量は、当業者により容易に決定することができ、例えば投与様式、製剤の強度、投与様式、及び疾病症状の進行度により変動するであろう。更に、患者の年齢、体重、食事内容、及び投与時期などの治療される特定の患者に関連した因子によって、用量を調整する必要が生じ得る。
【0198】
当業者は、好適な、既知の及び一般に認められた細胞及び/又は動物モデルを使用したインビボ及びインビトロの両方での試験により、試験化合物又はコ−セラピーが所定の疾患を処置又は予防する能力を予測できることを認識するであろう。当業者は更に、健康な受診者及び/又は上記障害に罹患している患者を対象としたヒト初回投与(first-in-human)、用量範囲及び効力試験を含むヒトの臨床試験を、臨床及び医学分野で周知な方法に従い実施できることを認識するであろう。
【0199】
以下の実施例は本発明の理解を助ける目的で説明され、そして添付する特許請求の範囲で説明される本発明をどのようにも限定するものと解釈されるべきではない。
【0200】
ブドウ糖関連障害(例えば2型糖尿病及びシンドロームX)を処置するための、メトホルミン及び式(I)の化合物のコ−セラピーの能力及び予期されなかった相乗効果は、以下の動物実験に基づくものである。
【実施例】
【0201】
実施例1:マウスでのインビボ実験
オスのC57BL/6マウス(合計100匹のマウス)に、3週齢〜6週齢の間、高脂肪飼料を給餌した(合計3週間)。高脂肪飼料で3週間飼育した後、全てのマウスにストレプトゾトシン(STZ)(100mg/kg、0.05mol/Lのクエン酸中、pH4.5、10mg/mL)を腹腔内注射で単回投与した。全てのマウスを高脂肪飼料で更に3週間飼育した。これらのマウスの内、空腹時血糖値が7mM超でかつ15mM未満のマウスを実験のために選別した。
【0202】
前投与期間の開始時に、各マウスの前投与数(predose number)を記録し、ケージカードに記載した。投与群を割り当てた後、各マウスに固有の実験識別番号を割り当て(ケージカードに記載されることになる)、かつ尾に持続性のあるマーカーを施すことにより識別した。ステンレス製のケージに、ケージあたり5匹のマウスを収容した。実験室は、温度が18℃(64°F)〜26℃(79°F)の範囲でかつ相対湿度が30%〜70%の範囲の12時間の明暗サイクル(明暗サイクルは、実験に関連する活動の際に中断される場合がある)に維持した。温度及び湿度範囲は、温度湿度記録計によりモニターすることができる。マウスには(記載のない限り)高脂肪飼料(Southern University製造)を不断給餌した。水は水ボトルにより不断給水した。
【0203】
実験計画
検疫期間は5日間であった。試験化合物又はビヒクルを強制的に経口投与した。投与量レベルは、薬理学効果を有する曝露範囲を表わすよう選択した。
【0204】
−1日目の投与前評価に基づきマウスを選択し、体重及び空腹時血糖値に基づき、コンピュータによるランダム化法を用い、ランダムにグループを割り当てた。各グループの平均体重及び平均空腹時血糖値は同様のものであった(偏差<5%)。
【0205】
マウスを1グループあたり10匹のグループ6つにランダムに分けた。各グループを、以下のレジメンの1つを経口投与することにより3週間処理した:(a)ビヒクル;(b)1mg/kgの式(I−Y)の化合物;(c)10mg/kgの式(I−Y)の化合物;(d)500mg/kgのメトホルミン;(e)1mg/kgの式(I−Y)の化合物及び500mg/kgのメトホルミンの組み合わせ;並びに(f)10mg/kgの式(I−Y)の化合物及び500mg/kgのメトホルミンの組み合わせ。
【0206】
1日目(投与の1日目)に、全ての投与量レベルで投与を開始した。次いで全てのグループに更に20日にわたって投与を行った。本実験中及び本実験の終了時に、以下の薬理パラメーターを測定した:(a)食後血糖を投与の1、7、14及び21日に測定した;(b)−1(グループ分けの際に)、1、7、14及び21日に、血糖測定後に各マウスの体重を測定した;並びに(c)24時間の摂食量を(平均マウス5匹/ケージ)を1、7、14及び20日に測定した。
【0207】
処理の18日目にマウスを一晩絶食させ(午後5時〜午前8時)、新しいケージに移した。翌朝、空腹時の基底血糖値を測定した。次いで、ブドウ糖溶液(20%のブドウ糖、体重1kgあたり2g、体重100gあたり1mL)を経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)前に新しく調製し、強制的に経口投与した。ブドウ糖負荷試験の30、60及び120分後に、尾の血液を用い血糖値を測定した。血中ブドウ糖濃度の測定の最終時点の後で餌を取り替えた。
【0208】
統計解析及び背景の対照データに基づき、薬理的に有意な何らかの所見を見つけ出した。統計解析は、GraphPadPRISMを用いて実施した。
【0209】
式(I−Y)の化合物単独、及び式(I−Y)の化合物とメトホルミンの組み合わせを上記のような手順に従って試験した。結果は以下の表1に記載の通りのものである。
【0210】
【表1】

【0211】
実施例2:マウスでのインビボ実験
オスのob/obマウス(8週齢、約50g)を、明暗サイクル12時間の温度制御された室内で、ケージあたり2匹ずつ収容した。マウスには自由に水及び固形飼料(市販の餌)を摂取させた。マウスは体重及び食後血糖値に基づき、以下の表2に記載の通りに6つの試験グループにグループ分けした。
【0212】
【表2】

【0213】
実験計画
実験初日の朝に、マウスを上記のようにグループ分けし、ブドウ糖を投与した。次いでマウスに、22日までの間毎日、各日1回ずつ午後4:00にビヒクル又は試験化合物を強制投与した。投与量250mg/kgのメトホルミンHClによる処理と共に、あるいは処理はせずに式(I−X)の化合物を1mg/kg又は10mg/kg投与した(結果は下表に記載される通りのものである)。
【0214】
体重、飼料摂取量及び食後血糖値を毎週測定した。18日目に、一晩絶食させた後、マウスに経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)を実施した。体重1kgあたり0.5gの濃度のブドウ糖を投与し、投与の30、60及び120分後に相当するt0(ブドウ糖投与前)、t30、t60及びt120時点で、Glucometerを用いOGTTの血糖値を測定した。投与されるブドウ糖溶液は、12.5%のブドウ糖を体重250gあたり1mL用い、体重1kgあたり0.5gで調製した。
【0215】
実験完了後、最終的な体重及び血糖値を採取し、食後血糖値、空腹時血糖値、OGTT時血糖値、血漿インスリン濃度及び体重変化を含む生化学解析のため、各グループのマウスを屠殺し血液を回収した。
【0216】
式(I−X)の化合物単独、及び式(I−X)の化合物とメトホルミンの組み合わせを上記のような手順に従って試験した。結果は以下の表3に記載の通りのものである。
【0217】
【表3】

【0218】
上記表3の結果は、10mg/kgの式(I−X)の化合物が有意に血糖値を減少させ、OGTT時のブドウ糖可動域を改善させたことを示す。この結果は更に、メトホルミンと式(I−X)の化合物との組み合わせで処理したマウスには、追加の効果又は相乗効果は見られなかったことを示す。更に結果は、250mg/kgのメトホルミンでも血糖コントロールに効果は無かったことを示し、ob/obマウスは、メトホルミンの活性(これによりメトホルミンがブドウ糖濃度に作用する機構を前提)を示すのに好適な動物モデルでは無かったことを示唆している。したがって、式(I−X)の化合物とメトホルミンとの組み合わせに関する追加効果及び/又は相乗効果が見られなかったことは、既知の抗糖尿病活性を実証するにあたり、モデル特有の制限が働いた結果であると考えられる。
【0219】
実施例3
製薬組成物−メトホルミン塩酸塩と式(I−X)の化合物との組み合わせ
メトホルミン塩酸塩及び式(I−X)の化合物を含む製薬組成物を、以下の表4に記載される処方成分で調製した。メトホルミンHClは市販の原体(DS)として、Solmag S.P.A Mulazzano(Via Della Vittoria 89,26837 Cassino d’ Alberi,Mulazzano,Italy)から購入した。
【0220】
【表4】

【0221】
メトホルミン塩酸塩、式(I−X)の化合物、微結晶セルロース(MCC)及びクロスカルメロースナトリウムをスクリーニングし、bohleビンブレンダ内でブレンドした(L.B Bohle Maschinen + Verfhren GmbH(Ennigerloh,Germany))。得られた材料を、1.0mmのノズルを取り付け、エアキャップを2に設定したGlatt社製流動層プロセッサ(Glatt Air Techniques(Ramsay,NJ))で流動化した。次いで得られた顆粒上に、水中6重量%固形分溶液として結合剤(ポビドンK29/32)を噴霧した。水分量及び粒子成長をモニターし、プロセスの10分経過毎にサンプルを採取した。湿分バランスを用い、乾燥減量(LOD)を測定した。
【0222】
乾燥させた顆粒に、次いでスクリーニングしたステアリン酸マグネシウムを用い、bohleビンブレンダ中で潤滑剤を塗布した。最終的なブレンドを、2.108cm(0.830インチ)×1.040cm(0.4095インチ)のD−ツーリング(D-tooling)と、少量用フィーダーを装備したロータリープレスFette 1200i(Fette GmbH,Schwarzenbek,Germany)で錠剤へと圧縮した。2つのステーションを用い、目標とする錠剤重にバッチを圧縮した。5つの異なる圧縮プロファイルを使用して錠剤を製造した。
【0223】
5つの圧縮プロファイルサブバッチについて、錠剤の重量偏差は1%未満であり、脆弱性は0.5%未満であった。錠剤硬さは、14.6KNにて16kpの加圧〜31.3KNにて25kpの加圧により増加し、対応する錠剤厚は、14.6KNにて7.32±0.3mmから、31.3KNにて6.84±0.3mmへと減少した。崩壊時間は、14.6KNの加圧にて約4:50分〜31.3KNの加圧にて約9:40へと延長した。溶解度測定は、30分で約85%〜約93%の式(I−X)の化合物が放出され、約94%〜約99%のメトホルミン塩酸塩が放出されたことを示した。
【0224】
前述の明細書は、例示を目的として提供される実施例と共に、本発明の原理を教示するが、本発明の実践は、以下の「特許請求の範囲」及びそれらの等価物の範囲内に含まれる全ての通常の変形、改作及び/又は修正を包含することが理解されるであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)メトホルミン又はその製薬上許容され得る塩;及び
(b)式(I)
【化1】

式中、環A及び環Bは以下の(1)、(2)及び(3)のうちの一つである:
(1)環Aは場合により置換されていてもよい不飽和の単環式複素環であり、かつ環Bは場合により置換されていてもよい不飽和の単環式複素環、場合により置換されていてもよい不飽和縮合複素二環、又は場合により置換されていてもよいベンゼン環である;あるいは
(2)環Aは場合により置換されていてもよいベンゼン環であり、かつ環Bは場合により置換されていてもよい不飽和の単環式複素環、又は場合により置換されていてもよい不飽和縮合複素二環であり、ここで、Yは前記縮合複素二環の複素環に結合する;又は
(3)環Aは場合により置換されていてもよい不飽和縮合複素二環であり、ここで、糖部分X−(糖)及び部分−Y−(環B)は両方とも前記縮合複素二環の同一の複素環上にあり、かつ環Bは場合により置換されていてもよい不飽和の単環式複素環、場合により置換されていてもよい不飽和縮合複素二環、又は場合により置換されていてもよいベンゼン環である;
Xは炭素原子又は窒素原子であり;そして
Yは−(CH2n−(ここで、nは1又は2である)である、
の化合物又はその製薬上許容され得る塩
を含む治療上有効な量のコ−セラピーを、処置を必要とする患者に投与することを含む、ブドウ糖関連障害の処置方法。
【請求項2】
前記ブドウ糖関連障害が、糖尿病、糖尿病性網膜症、糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症、創傷治癒の遅延、インスリン抵抗性、高血糖、高インスリン血症、脂肪酸の血中濃度の上昇、ブドウ糖の血中濃度の上昇、高脂血症、肥満、高トリグリセリド症、シンドロームX、糖尿病合併症、アテローム性動脈硬化症及び高血圧からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ブドウ糖関連障害が2型糖尿病である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記式(I)の化合物が、式(I−X)
【化2】

又はその製薬上許容され得る塩である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記式(I−X)の化合物が、晶質半水和物である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記メトホルミン又はその製薬上許容され得る塩がメトホルミン塩酸塩であり、前記メトホルミン塩酸塩を約100mg〜約2000mgの範囲の投与量で投与する、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記式(I)の化合物又はその製薬上許容され得る塩を約50mg〜約500mgの範囲の投与量で投与する、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
(a)メトホルミン塩酸塩;及び
(b)式(I−X)
【化3】

の化合物又はその製薬上許容され得る塩
を含む治療上有効な量のコ−セラピーを、処置を必要とする患者に投与することを含む、ブドウ糖関連障害の処置方法。
【請求項9】
前記ブドウ糖関連障害が、糖尿病、糖尿病性網膜症、糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症、創傷治癒の遅延、インスリン抵抗性、高血糖、高インスリン血症、脂肪酸の血中濃度の上昇、ブドウ糖の血中濃度の上昇、高脂血症、肥満、高トリグリセリド症、シンドロームX、糖尿病合併症、アテローム性動脈硬化症及び高血圧からなる群から選択される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記ブドウ糖関連障害が2型糖尿病である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記メトホルミン塩酸塩を約100mg〜約2000mgの範囲の投与量で投与する、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
前記式(I−X)の化合物又はその製薬上許容され得る塩を約50mg〜約500mgの範囲の投与量で投与する、請求項8に記載の方法。
【請求項13】
(a)メトホルミン塩酸塩;
(b)式(I−X)
【化4】

の化合物又はその製薬上許容され得る塩;及び
(c)製薬上許容され得る賦形剤
を含む製薬組成物。
【請求項14】
前記メトホルミン塩酸塩が約100mg〜約2000mgの範囲の量で存在し、前記式(I−X)の化合物又はその製薬上許容され得る塩が約50mg〜約500mgの範囲の量で存在する、請求項13に記載の製薬組成物。
【請求項15】
前記メトホルミン塩酸塩が約250mg、約500mg、約750mg、約850mg又は約1000mgの量で存在し、前記式(I−X)の化合物又はその製薬上許容され得る塩が、約100mg、約150mg又は約300mgの量で存在する、請求項13に記載の製薬組成物。
【請求項16】
(a)メトホルミン又はその製薬上許容され得る塩;
(b)式(I−X)
【化5】

の化合物又はその製薬上許容され得る塩;
(c)スルホニル尿素又はその製薬上許容され得る塩;及び
(d)製薬上許容され得る賦形剤
を含む製薬組成物。
【請求項17】
前記スルホニル尿素が、クロルプロパミド、トラザミド、トルブタミド、グリブリド、グリピジド及びグリメピリドからなる群から選択される、請求項16に記載の製薬組成物。
【請求項18】
前記メトホルミン又はその製薬上許容され得る塩がメトホルミン塩酸塩であり、前記スルホニル尿素がグリブリドである、請求項16に記載の製薬組成物。
【請求項19】
前記メトホルミン塩酸塩が約100mg〜約2000mgの範囲の量で存在し;
前記式(I−X)の化合物又はその製薬上許容され得る塩が約50mg〜約500mgの範囲の量で存在し;
そして、前記グリブリドが約2.5mg〜約20mgの範囲の量で存在する、
請求項16に記載の製薬組成物。

【公表番号】特表2012−532875(P2012−532875A)
【公表日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−519688(P2012−519688)
【出願日】平成22年7月7日(2010.7.7)
【国際出願番号】PCT/US2010/041136
【国際公開番号】WO2011/005811
【国際公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【出願人】(390033008)ジヤンセン・フアーマシユーチカ・ナームローゼ・フエンノートシヤツプ (616)
【氏名又は名称原語表記】JANSSEN PHARMACEUTICA NAAMLOZE VENNOOTSCHAP
【Fターム(参考)】