説明

糸巻取装置

【課題】ボビン切換時における空ボビンへの糸巻き付き不良を低減するとともに、空ボビンに巻き付いた後に形成されるバンチ巻の量を正確に管理することが可能な、糸巻取装置を提供すること。
【解決手段】糸巻取装置は、ボビン切換時に糸Yが空ボビン20bを経由して満巻パッケージ21に至る状態となったときに、この糸Yをトラバース範囲よりもボビン20の軸方向外側のバンチ巻位置に寄せる糸寄せガイド30と、空ボビン20bからの糸Yが満巻パッケージ21から落ちるのを防止する糸落ち防止ガイド31と、糸寄せガイド30によりバンチ巻位置に寄せられた糸Yを把持する糸把持機構40とを備えている。さらに、糸把持機構40の固定ガイド41は糸落ち防止ガイド31に一体的に設けられるとともに、糸把持機構40の可動部42は糸寄せガイド30に一体的に設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、連続的に供給される糸をボビンに巻取ってパッケージを形成するとともに、満巻状態のパッケージが形成されたボビンと空のボビンとを切換可能に構成された糸巻取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、紡糸機から連続的に供給される糸をボビンに巻取る糸巻取装置(テイクアップワインダー)が知られている。特許文献1に示されているように、この糸巻取装置は、複数のボビンが装着されたボビンホルダを回転させつつ、供給された複数の糸をトラバース装置によりそれぞれボビンの軸方向に綾振りしながら、複数のボビンにそれぞれ糸を巻取って、複数の巻取パッケージを同時に形成するように構成されている。また、この糸巻取装置は、回転可能なターレットにそれぞれ支持された2本のボビンホルダを有する。そして、一方のボビンホルダに装着されているボビンに形成されたパッケージが満巻状態となると、ターレットを回転させることにより、満巻パッケージが形成されたボビンを、他方のボビンホルダに装着されている空ボビンに切換えるように構成されている。
【0003】
このボビン切換動作(ボビンチェンジ)について、さらに詳細に説明する。一方のボビンホルダに装着されたボビンに満巻状態のパッケージが形成されると、ターレットを回転させて、満巻パッケージをその外周面がコンタクトローラと接触する糸巻取位置から移動させるとともに、他方のボビンホルダに装着された空ボビンに、満巻パッケージに向けて走行する糸を接触させる。次に、空ボビンから満巻パッケージに至る糸道に糸寄せガイドを進出させた後、この糸寄せガイドをボビンの軸方向に移動させて、糸を空ボビンの端部に寄せる。この糸寄せ動作は、次工程においてパッケージの糸端を取り出して他のパッケージの糸端と糸継ぎしやすくするために、ボビンの軸方向中央部の本巻部分から離れた端部に糸端を飛び出させておく、いわゆる、バンチ巻を行うためである。
【0004】
そして、紡糸機から糸が連続的に供給されている状態で、下流側の満巻パッケージが装着されたボビンホルダの回転を減速させると、空ボビンと満巻パッケージの間の糸の張力が低下し、弛んだ糸が空ボビンのバンチ巻位置に巻き付く。この状態で空ボビンが装着されたボビンホルダが回転することで、空ボビンのバンチ巻位置においてバンチ巻の形成が開始される。さらに、バンチ巻が開始されて空ボビンに糸が巻取られていくと、空ボビンと満巻パッケージとの間における糸の張力が大きくなって糸が引きちぎられ、糸が完全に空ボビンに渡された状態となる。
【0005】
【特許文献1】特開2002−114443号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前述した特許文献1の糸巻取装置においては、糸寄せガイドにより糸を空ボビン端部のバンチ巻位置に寄せた後、下流側の満巻パッケージの回転を減速させることにより、糸を空ボビンのバンチ巻位置に巻き付かせてバンチ巻を行っている。しかし、満巻パッケージは慣性モーメントが大きいために、その回転を急減速させることが困難である。そのため、糸の張力を急激に低下させることができず、張力が高い状態がしばらく続くことによって、空ボビンへの糸巻き付き不良が生じる虞がある。さらに、糸が正常に空ボビンに巻き付いた場合でも、その巻き付きタイミング(バンチ巻が開始されるタイミング)は、満巻パッケージの減速開始からの糸張力の時間的変化に依存する。しかし、糸張力の時間的変化は精度よく予測できるものではなく、管理することはほぼ不可能である。従って、空ボビンへの糸巻き付きタイミング(バンチ巻開始タイミング)を正しく把握できず、その結果、バンチ巻の量(巻数)を正確に管理することもできないことから、パッケージ間でバンチ巻量がばらついてしまう。
【0007】
本発明の目的は、ボビン切換時における空ボビンへの糸巻き付き不良を低減するとともに、空ボビンに巻き付いた後に形成されるバンチ巻の量を正確に管理することが可能な、糸巻取装置を提供することである。
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
【0008】
第1の発明の糸巻取装置は、ボビンがそれぞれ装着される複数のボビンホルダと、前記ボビンに巻取られる糸を綾振るトラバース装置と、糸巻取位置にあるボビンホルダに装着されたボビンに糸が巻取られて満巻パッケージが形成された後に、糸が巻取られるボビンを前記満巻パッケージが形成されたボビンから、他のボビンホルダに装着された空ボビンに切換える切換手段と、前記空ボビンに対してその軸方向に移動可能に構成され、前記切換手段によるボビン切換時に糸が前記空ボビンを経由して前記満巻パッケージに至る状態となったときに、前記空ボビンと前記満巻パッケージとの間の糸を前記トラバース装置によるトラバース範囲よりも前記軸方向外側のバンチ巻位置に寄せる、糸寄せガイドと、前記糸寄せガイドにより前記バンチ巻位置に寄せられた糸を把持する糸把持手段と、を備えていることを特徴とするものである。
【0009】
本発明の糸巻取装置においては、複数のボビンホルダのうち、糸巻取位置にあるボビンホルダに装着されたボビンに、トラバース装置により綾振りされた糸が巻取られることにより、このボビンにトラバース装置のトラバース範囲(綾振り幅)に応じた所定幅のパッケージが形成されていく。
【0010】
その後、ボビンに満巻状態のパッケージが形成されたときには、切換手段により、糸が巻取られるボビンが、満巻パッケージが形成されたボビンから、他のボビンホルダに装着された空ボビンに切換えられる。次に、糸寄せガイドが空ボビンと満巻パッケージとの間の糸道に進出し、空ボビンと満巻パッケージとの間の糸をボビンの軸方向に移動させることで、糸がトラバース範囲よりも軸方向外側のバンチ巻位置に寄せられる。
【0011】
さらに、バンチ巻位置に寄せられた糸は、糸把持手段により把持される。このように、空ボビンと満巻パッケージとの間で糸が把持されると、この糸の張力は急減少して上流側で弛みが生じるため、糸は速やかに空ボビンに巻き付くことになり、糸巻き付き不良も生じにくい。さらに、糸把持手段による糸の把持が行われるとすぐに糸張力が低下して糸が巻き付くことから、糸把持タイミングと糸の巻き付きタイミングがほぼ等しくなり、バンチ巻開始のタイミングを把握することができる。従って、バンチ巻量を正確に管理することが可能になり、パッケージ間でバンチ巻量がばらつくのを防止できる。
【0012】
第2の発明の糸巻取装置は、前記第1の発明において、前記糸寄せガイドは、前記糸把持手段により糸が把持されてから、予め定められた所定の時間、糸寄せ状態を維持することを特徴とするものである。
【0013】
糸把持手段による糸の把持が行われると、糸の張力が急激に低下して、すぐに空ボビンに糸が巻き付く。そのため、糸が把持されてから、糸寄せガイドの糸寄せ状態を定められた所定の時間維持するだけで、バンチ巻量を正確に管理することができ、パッケージ間でバンチ巻量がばらつくのを容易に防止できる。
【0014】
第3の発明の糸巻取装置は、前記第1又は第2の発明において、前記糸把持手段は、前記空ボビンに対してその軸方向に移動不能な固定部と、前記固定部に対して、前記空ボビンの軸方向に移動可能な可動部とを備え、前記可動部が前記固定部に対して、前記空ボビンの軸方向に移動したときに、前記可動部と前記固定部とが協働して糸を把持するように構成されていることを特徴とするものである。
【0015】
この構成によれば、糸寄せガイドにより糸がバンチ巻位置に寄せられてから、可動部が固定部に対してボビンの軸方向に移動することにより、バンチ巻位置に寄せられた糸が、固定部と可動部によって把持される。
【0016】
第4の発明の糸巻取装置は、前記第3の発明において、前記切換手段によるボビン切換時に、前記空ボビンからの糸が前記満巻パッケージから落ちるのを防止する糸落ち防止ガイドをさらに備え、
前記固定部が前記糸落ち防止ガイドに一体的に設けられるとともに、前記可動部が前記糸寄せガイドに一体的に設けられており、
前記糸寄せガイドが前記糸落ち防止ガイドに対して前記空ボビンの軸方向に移動して糸を前記バンチ巻位置に寄せるときに、同時に、前記可動部も前記固定部に対して前記空ボビンの軸方向に移動して、前記可動部と前記固定部とが糸を把持するように構成されていることを特徴とするものである。
【0017】
本発明においては、糸把持手段の固定部が糸落ち防止ガイドに一体的に設けられ、糸把持手段の可動部が糸寄せガイドに一体的に設けられている。そして、満巻パッケージからの糸落ちが糸落ち防止ガイドによって防止されている状態で、糸寄せガイドがボビンの軸方向に移動することにより、糸寄せガイドによって糸がバンチ巻位置へ寄せられるとともに、この糸寄せガイドに設けられた可動部と糸落ち防止ガイドに設けられた固定部とによって糸が把持される。この構成によれば、糸把持手段の可動部を糸寄せガイドと一体的に移動させることにより、バンチ巻位置への糸寄せと糸の把持とを同時に行うことができるため、構成を簡素化できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明の実施の形態について説明する。図1は、本実施形態の糸巻取装置の概略的な正面図である。
【0019】
図1に示すように、本実施形態の糸巻取装置1には、紡糸機(図示省略)からゴデットローラ2,3を介して複数の糸(例えば、弾性糸)が連続的に供給される。そして、糸巻取装置1は、紡糸機から供給された複数の糸Yを、ボビンホルダ13に装着された複数のボビン20にそれぞれ巻取ることで、複数の巻取パッケージ21を形成する。
【0020】
糸巻取装置1は、機枠10と、機枠10に回転可能に設けられた円板状のターレット12と、ターレット12に支持されるとともに、複数のボビン20が装着される2本のボビンホルダ13(13a,13b)と、ボビン20に巻取られる糸Yを綾振るトラバース装置14と、巻取位置P1にあるボビンホルダ13に装着されたボビン20(又は、ボビン20の外周に形成されるパッケージ21)に接触するコンタクトローラ15と、2本のボビンホルダ13の間で糸Yを渡す糸渡し装置16等を備えている。
【0021】
図2は、図1のII-II線矢視図である。円板状のターレット12は、機枠10の鉛直面に平行な姿勢で、機枠10に回転可能に設けられている。ターレット12の回転中心に対して互いに対称な2つの位置には、ターレット12と直交する水平方向に延びる2本のボビンホルダ13(13a,13b)がそれぞれ回転可能に突設されている。また、これら2本のボビンホルダ13は、ターレット12と一体的に回転するようになっている。図2に示すように、各ボビンホルダ13には、複数(本実施形態では8つ)のボビン20が、ボビンホルダ13の軸方向に並べて装着される。
【0022】
ターレット12は、図示しないモータにより回転駆動される。このターレット12が回転することにより、2本のボビンホルダ13が、コンタクトローラ15に接触してボビン20に糸Yが巻取られる上方の糸巻取位置P1と、糸巻取位置P1とターレット12の回転中心に関して点対称な位置である下方の待機位置P2とにわたって移動可能である。
【0023】
糸巻取位置P1にあるボビンホルダ13(図1ではボビンホルダ13a)に装着されたボビン20に満巻状態のパッケージ21が形成されると、ターレット12が図1の矢印方向(反時計回りの方向)に回転し、糸巻取位置P1に位置するボビンホルダ13aと、待機位置P2に位置するボビンホルダ13bとが切換えられる。即ち、糸Yが巻取られるボビン20が、一方のボビンホルダ13aの満巻パッケージ21が形成されたボビン20aから、待機位置P2にある他方のボビンホルダ13bに装着されている空ボビン20bと切換えられる。このボビン切換を行うターレット12が、本願発明の切換手段に相当する。
【0024】
尚、このターレット12によるボビン切換時には、待機位置P2にあるボビンホルダ13は、図7(c)に示すように、一旦、糸巻取位置P1よりもさらに矢印方向へ90度回転した(つまり、待機位置P2からは270度回転した)、糸渡し位置P3へ移動する。そして、後述する糸渡し装置16により、満巻パッケージ21から糸渡し位置P3の空ボビン20bへ糸Yが渡された後に、空ボビン20bが装着されたボビンホルダ13bは糸巻取位置P1へ移動して、空ボビン20bへの糸巻取が開始されるようになっている。
【0025】
ターレット12に支持された2本のボビンホルダ13は、図示しないモータによりそれぞれ回転駆動される。そして、糸巻取位置P1にあるボビンホルダ13が回転することによって、このボビンホルダ13に装着された複数のボビン20に複数の糸Yがそれぞれ巻取られる。
【0026】
機枠10のターレット12よりも上側の部分には、ボビンホルダ13の軸方向に長尺な昇降ボックス17が昇降自在に設けられている。この昇降ボックス17には、トラバース装置14とコンタクトローラ15が支持されている。
【0027】
トラバース装置14は、糸巻取位置P1にあるボビンホルダ13に装着された複数のボビン20に対応する、複数のトラバースガイド14aを備えている。そして、トラバース装置14は、複数のトラバースガイド14aに複数の糸Yがそれぞれ掛けられた状態で、ボビンホルダ13の軸方向(図1の紙面垂直方向)に関して、複数のトラバースガイド14aを所定のトラバース範囲で往復移動させるように構成されている。これにより、複数の糸Yをそれぞれ綾振りながら、対応する複数のボビン20に巻取らせて、複数のパッケージ21を同時に形成することが可能となっている。
【0028】
コンタクトローラ15は、ボビンホルダ13と平行な状態で昇降ボックス17に回転自在に支持されている。このコンタクトローラ15は、ボビン20への糸巻取時に、パッケージ21に所定の接圧を付与しながら回転することで、パッケージ21の形状を整える。
【0029】
次に、糸渡し装置16について詳細に説明する。図3は、コンタクトローラ15、2本のボビンホルダ13、及び、糸渡し装置16の斜視図、図4は、コンタクトローラ15、2本のボビンホルダ13、及び、糸渡し装置16を斜め上方から見た正面図である。
【0030】
図1〜図4に示すように、糸渡し装置16は、ターレット12によるボビン切換時に、空ボビン20bにバンチ巻22を形成するために糸Yを空ボビン20bの軸方向端部のバンチ巻位置に寄せる糸寄せガイド30と、空ボビン20bからの糸Yが満巻パッケージ21から落下するのを防止する糸落ち防止ガイド31とを備えている。
【0031】
図5は糸寄せガイド30の一部拡大平面図、図6は糸落ち防止ガイド31の一部拡大平面図である。図2〜図6に示すように、糸寄せガイド30と糸落ち防止ガイド31は、共に、ボビン20(ボビンホルダ13)の軸方向に延びる長尺な板状部材であり、糸寄せガイド30の上に糸落ち防止ガイド31が重なるように配置されている。また、図1に示すように、糸寄せガイド30と糸落ち防止ガイド31は、機枠10に揺動可能に設けられた揺動アーム32の先端部に取り付けられている。
【0032】
図7は、満巻パッケージ21と空ボビン20bの切換時の状態を示す図である。図7(a)のように、糸巻取位置P1にある一方のボビンホルダ13aのボビン20aに満巻パッケージ21が形成されると、図7(b)に示すように、ターレット12が矢印方向(反時計回りの方向)に180度回転して、待機位置P2にて待機していた、空ボビン20bが装着されたボビンホルダ13bが糸巻取位置P1に到達し、その空ボビン20bに糸Yが接触する。その後、さらにターレット12が矢印方向に90度回転して、図7(c)に示すように、ボビンホルダ13bが糸巻取位置P1から糸渡し位置P3に移動する。
【0033】
ここで、図7(c)に示すように、糸Yが空ボビン20bを経由して満巻パッケージ21に至る状態となったときに、糸渡し装置16の糸寄せガイド30と糸落ち防止ガイド31は、揺動アーム32と一体的に揺動する。糸寄せガイド30と糸落ち防止ガイド31は、空ボビン20bから退避した退避位置(図7(c)の二点鎖線の位置)と、この退避位置から空ボビン20bと満巻パッケージ21との間の糸道Y2まで進出した進出位置(図7(c)の実線位置)とにわたって移動可能である。また、糸寄せガイド30と糸落ち防止ガイド31が退避位置にあるときには、空ボビン20bと満巻パッケージ21の間の糸道Y2’は、空ボビン20bと満巻パッケージ21の共通接線上にあるが、糸寄せガイド30と糸落ち防止ガイド31が進出位置まで進出することによって、糸道Y2’が、コンタクトローラ15と空ボビン20bとの間の糸道Y1付近まで押し上げて、図7(c)の糸道Y2に変化する。
【0034】
尚、図7(c)に示すように、糸巻取位置P1でなく、糸巻取位置P1よりもさらに矢印方向に90度回転した糸渡し位置P3まで、ボビンホルダ13を移動させるのは、糸寄せガイド30と糸落ち防止ガイド31を進出位置まで進出させたときに、空ボビン20bへの糸Yの接触長さ(巻き付け角)を大きくして、糸Yが空ボビン20bに巻き付きやすくするためである。
【0035】
糸寄せガイド30は、糸落ち防止ガイド31に対して、その長手方向、即ち、ボビン20(ボビンホルダ13)の軸方向に相対移動(スライド移動)可能に、揺動アーム32に連結されている。つまり、糸寄せガイド30はボビンホルダ13に装着されたボビン20に対してその軸方向に相対移動可能である。また、図2に示すように、糸寄せガイド30は、糸落ち防止ガイド31の上面に固定された流体圧シリンダ33のロッド33aと、連結部材34を介して連結されている。そして、流体圧シリンダ33のロッド33aが進退することによって糸寄せガイド30は糸落ち防止ガイド31に対して、ボビン20の軸方向(図2の左右方向)に駆動される。尚、糸寄せガイド30をボビン20の軸方向に駆動する駆動手段としては、流体圧シリンダ33の他、ステッピングモータ等の公知の駆動手段を採用することも可能である。
【0036】
図2〜図5に示すように、糸寄せガイド30の先端部(空ボビン20と対向する部分)には、ボビンホルダ13に装着された複数のボビン20にそれぞれ対応する、複数のV字切欠形状の係合部30aが形成されている。また、図3、図7(c)に示すように、糸寄せガイド30の係合部30aは、空ボビン20bから満巻パッケージ21に至る糸道Y2だけでなく、コンタクトローラ15から空ボビン20bに至る糸道Y1まで進出する。即ち、係合部30aには、糸道Y2の糸部分がその奥部に係合するとともに、糸道Y1の糸部分も収容される。
【0037】
そして、流体圧シリンダ33により糸寄せガイド30が糸落ち防止ガイド31に対してボビン20の軸方向に駆動されることで、複数の糸Yのそれぞれについて、糸道Y1の糸部分と糸道Y2の糸部分とが、トラバース装置14(トラバースガイド14a)のトラバース範囲T(図4参照)よりも軸方向外側のバンチ巻位置まで寄せられる。この状態で空ボビン20bが装着されているボビンホルダ13が回転することにより、ボビンホルダ13に装着された複数の空ボビン20bの端部にそれぞれ棒巻状のバンチ巻22が形成される。
【0038】
糸落ち防止ガイド31は、揺動アーム32に固定的に連結されている。つまり、前述の糸寄せガイド30とは異なり、ボビン20の軸方向に関して移動不能である。図2〜図4、及び、図6に示すように、糸落ち防止ガイド31の先端部(空ボビン20と対向する部分)には、ボビンホルダ13に装着された複数のボビン20にそれぞれ対応する、複数の切欠部31aが形成されている。各切欠部31aは、ガイドの長手方向一方側(図6の右側)においては、糸落ち防止ガイド31の先端部外縁に対して直角的に切り欠かかれた形状である一方、他方側は先端部外縁に対して緩やかに傾斜した切欠形状となっている。
【0039】
図3、図7(c)に示すように、ボビン切換時に、糸落ち防止ガイド31が糸寄せガイド30とともに、空ボビン20bから満巻パッケージ21に至る糸道Y2まで進出したときには、この糸道Y2の糸部分は、糸寄せガイド30の係合部30aに係合すると同時に、糸落ち防止ガイド31の切欠部31aにも係合する。これにより、糸落ち防止ガイド31が退避位置に戻るまでの間、空ボビン20bから満巻パッケージ21へ走行する糸Yが、満巻パッケージ21の端面から落下するのが防止される。
【0040】
ところで、本実施形態の糸渡し装置16には、糸寄せガイド30により糸Yが空ボビン20bのバンチ巻位置まで寄せられた後に、糸Yを空ボビン20bに巻き付かせるために、糸Yを把持して糸張力を低下させる、糸把持機構40(糸把持手段)が設けられている。
【0041】
図8(a)は糸寄せ前の状態における糸渡し装置16の一部拡大平面図、(b)は(a)の糸寄せガイド30と糸落ち防止ガイド31を紙面上側から紙面と平行な向きに見た図である。また、図9(a)は糸寄せ状態における糸渡し装置16の一部拡大平面図、(b)は(a)の糸寄せガイド30と糸落ち防止ガイド31を紙面上側から紙面と平行な向きに見た図である。また、図8、図9において、矢印Aは糸Yの走行方向を示している。
【0042】
図6〜図9に示すように、糸把持機構40は、糸落ち防止ガイド31に一体的に設けられ、空ボビン20bに対してその軸方向に移動不能な固定ガイド41(固定部)と、糸寄せガイド30に一体的に設けられ、糸寄せガイド30とともに、空ボビン20b及び固定ガイド41に対して、空ボビン20bの軸方向に移動可能な可動部42とを有する。固定ガイド41と可動部42は、糸落ち防止ガイド31の複数の切欠部31aや糸寄せガイド30の複数の係合部30aと同様に、複数のボビン20に対応して複数設けられている。
【0043】
固定ガイド41は、糸落ち防止ガイド31に沿って延びる基部41aと、この基部41aの一端から二股状に分かれるとともに、基部41aに対して下方へ傾斜して延びるガイド部41bとを有する。そして、固定ガイド41は、二股状のガイド部41bが糸落ち防止ガイド31に形成された切欠部31aの方を向いた状態で、基部41aが、板状の糸落ち防止ガイド31の先端部の裏面(糸寄せガイド30との対向面)に、2つのネジで固定されている。
【0044】
可動部42は、U字状に折り曲げられた板バネからなる。そして、U字状の開放側が、糸寄せガイド30の係合部30aの方を向いた状態で、板バネの一端部が、糸寄せガイド30の表面(糸落ち防止ガイド31との対向面)に、2つのネジで固定されている。
【0045】
図8(a),(b)に示すように、糸寄せガイド30と糸落ち防止ガイド31が、空ボビン20bと満巻パッケージ21との間の糸道Y2まで進出した直後の状態(糸寄せ前の状態)では、糸寄せガイド30の係合部30aと糸落ち防止ガイド31の切欠部31aが、ボビン20の軸方向に関してほぼ等しい位置にあり、係合部30aと切欠部31aに係合する糸Yはボビン20の軸方向に対してほぼ直交した状態となっている。また、糸寄せガイド30に設けられた可動部42と、糸落ち防止ガイド31に設けられた固定ガイド41は、係合部30aと切欠部31aを挟んで、互いに反対側に位置している。
【0046】
この状態から、図9に示すように、流体圧シリンダ33(図2参照)により糸寄せガイド30がボビン20の軸方向(図9の矢印Bの方向)に駆動されると、糸寄せガイド30の係合部30aに係合している糸Yは、糸落ち防止ガイド31の切欠部31aに係合した状態のまま、糸寄せガイド30によりボビン端部のバンチ巻位置まで寄せられる。このとき、糸寄せガイド30に一体的に設けられた可動部42も、固定ガイド41に対してボビン20の軸方向に移動する。そして、板バネからなる可動部42は、係合部30aと切欠部31aとの間の糸Yを固定ガイド41の二股状のガイド部41bへ押し込みつつ、そのバネ付勢力によって糸Yを押し付け、ガイド部41bと協働して糸Yを把持(クランプ)する。
【0047】
ここで、糸Yは紡糸機から連続的に供給されているため、可動部42と固定ガイド41のガイド部41bとの間で糸Yが把持されると、把持位置よりも上流側の糸Yの張力が急激に低下して瞬時に糸Yが弛む。そのため、糸Yが空ボビン20bに巻き付くとともに、ボビンホルダ13bの回転によって空ボビン20bにおけるバンチ巻22の形成が開始される。このように、糸Yが把持されるとすぐに糸Yが空ボビン20bに巻き付くことから、糸Yを把持するタイミングとバンチ巻開始のタイミングとがほぼ等しくなる。従って、糸Yを把持してから糸寄せガイド30による糸寄せ状態を維持する時間を設定するだけで、バンチ巻量を正確に管理することが可能となる。
【0048】
次に、糸巻取装置1の電気的な構成について、簡単に説明しておく。図1に示すように、機枠10内には、糸巻取装置1の全体動作を制御する制御装置50が設けられている。この制御装置50は、演算処理装置であるCPU(Central Processing Unit)と、CPUが実行するプログラム及びプログラムに使用されるデータが記憶されているROM(Read-Only Memory)と、プログラム実行時にデータを一時記憶するためのRAM(Random Access Memory)等で構成されている。そして、この制御装置50は、機枠10に設けられた操作ボックス51から作業者により入力された指令に基づいて、ターレット12を回転駆動するモータ、ボビンホルダ13を回転駆動するモータ、トラバース装置14、コンタクトローラ15、及び、糸渡し装置16の流体圧シリンダ33等、糸巻取装置1の各部の動作を制御する。
【0049】
次に、糸巻取装置1のボビン切換時における一連の動作について説明する。
図7(a)に示すように、糸巻取位置P1にあるボビンホルダ13aのボビン20aに満巻パッケージ21が形成されると、図7(b)に示すように、矢印方向(反時計回りの方向)にターレット12を180度回転させ、待機位置P2にあったボビンホルダ13bを糸巻取位置P1まで移動させて、このボビンホルダ13bに装着されている空ボビン20bに糸Yを接触させる。
【0050】
さらに、ターレット12を矢印方向に90度回転させて、図7(c)に示すように、空ボビン20bが装着されたボビンホルダ13を糸渡し位置P3まで移動させる。そして、糸渡し装置16の糸寄せガイド30と糸落ち防止ガイド31を、二点鎖線で示す退避位置から実線で示す進出位置に移動させ、両ガイド30,31の先端部を、空ボビン20bを経由して満巻パッケージ21に至る糸道Y2に進出させる。すると、糸寄せガイド30の係合部30aと糸落ち防止ガイド31の切欠部31aに糸道Y2の糸部分が係合した状態で、この糸部分が押し上げられ、糸道Y2の糸部分がコンタクトローラ15から空ボビン20bに至る糸道Y1付近まで接近する。これにより、空ボビン20bの外周面のほぼ全周にわたって糸が接触する。また、このとき、図3に示すように、糸寄せガイド30の係合部30aには、糸道Y2の糸部分がその奥部に係合するとともに、糸道Y1の糸部分も収容される。
【0051】
この糸寄せ前の状態では、図8に示すように、糸寄せガイド30の係合部30aと糸落ち防止ガイド31の切欠部31aが、ボビン20の軸方向に関してほぼ等しい位置にあり、係合部30a及び切欠部31aと係合する糸Yはボビン20の軸方向とほぼ直交する方向に走行している。この状態から、流体圧シリンダ33により、糸寄せガイド30を糸落ち防止ガイド31に対してボビン20の軸方向(図9の矢印B方向)に駆動する。すると、図9(a),(b)に示すように、糸寄せガイド30により、係合部30aに係合している糸道Y2の糸部分、及び、係合部30a内に収容されている糸道Y1の糸部分が、トラバース装置14(トラバースガイド14a)のトラバース範囲Tよりもさらに外側の、ボビン20の軸方向端部のバンチ巻位置に寄せられる。
【0052】
このとき、同時に、糸寄せガイド30に設けられた板バネからなる可動部42が、糸落ち防止ガイド31に設けられた固定ガイド41に対して、ボビン20の軸方向(図9の矢印B方向)に移動する。そして、可動部42は、糸寄せガイド30の係合部30aと糸落ち防止ガイド31の切欠部31aとの間の糸Yを、固定ガイド41の二股状のガイド部41bに押し込み、ガイド部41bと協働して糸Yを把持する。
【0053】
このように可動部42と固定ガイド41とにより糸Yが把持されると、糸張力が急激に減少し、糸Yが速やかに空ボビン20bのバンチ巻位置に巻き付き、さらに、ボビンホルダ13の回転によって空ボビン20bへのバンチ巻22の形成が開始される。また、糸Yの把持とほぼ同時に糸Yが空ボビン20bに巻き付くことから、バンチ巻22の量(巻数)は、糸Yが把持されてからの糸寄せガイド30の糸寄せ状態の継続時間にほぼ依存することになる。そこで、この糸寄せガイド30の糸寄せ状態を、予め設定された所定の時間維持することにより、バンチ巻22の量を正確に管理することができるようになる。具体的には、糸寄せ状態の継続時間は、制御装置50の記憶部に予め記憶されており、この記憶されている時間に従って、制御装置50が流体圧シリンダ33を制御することで、糸寄せガイド30の糸寄せ状態を定められた時間だけ継続させる。
【0054】
また、空ボビン20bへのバンチ巻22の形成が開始されると、空ボビン20bと満巻パッケージ21との間の糸道Y2の糸部分に大きな張力が作用し、その張力によって糸Yが引きちぎられるように切断される。その結果、満巻パッケージ21から空ボビン20bへ糸が渡される。
【0055】
尚、糸把持機構40により糸Yが把持されると速やかに糸Yは空ボビン20bに巻き付き、バンチ巻22の形成が開始されるとすぐに空ボビン20bと満巻パッケージ21との間の糸Yが切断されることから、糸寄せガイド30による糸寄せ状態が維持されている間、糸Yが糸把持機構40により把持されたままであっても、別段支障は生じない。
【0056】
糸把持機構40(可動部42及び固定ガイド41)が糸Yを把持してから、予め設定された所定の時間が経過して、空ボビン20bに所望量のバンチ巻22が形成されると、流体圧シリンダ33により糸寄せガイド30をボビン20の軸方向逆側(図9の矢印Bと反対側)に駆動することで、図8に示すように、糸寄せガイド30を元の位置に戻す。このとき、糸把持機構40(可動部42及び固定ガイド41)による糸Yの把持状態も解除される。さらに、糸寄せガイド30と糸落ち防止ガイド31とを図7(c)の二点鎖線の退避位置まで退避させる。すると、糸寄せガイド30の係合部30aによる、糸Yのボビン20の軸方向に関する移動規制が解除されるため、糸Yはトラバース装置14のトラバースガイド14aによって、トラバース範囲T内で軸方向に綾振りされる。
【0057】
さらに、ターレット12を図7の矢印方向とは逆方向(時計回りの方向)に回転させることにより、空ボビン20bが装着されたボビンホルダ13を、糸渡し位置P3から糸巻取位置P1に移動させ、空ボビン20bの外周面をコンタクトローラ15に接触させる。これにより、コンタクトローラ15により糸層に接圧が付与された状態で、トラバースガイド14aによってトラバース範囲T内で綾振りされながら糸Yが巻取られて、ボビン20にパッケージ21が形成されていく。
【0058】
以上説明した糸巻取装置においては、糸寄せガイド30によって、空ボビン20bから満巻パッケージ21へ向かう糸Yがバンチ巻位置に寄せられた後、この糸Yは糸把持機構40により把持されるため、糸張力が急減少して糸Yが速やかに空ボビン20bに巻き付くことになり、糸巻き付き不良が生じにくい。さらに、糸把持機構40による糸Yの把持が行われると糸Yはすぐに空ボビン20bに巻き付くことから、バンチ巻開始のタイミングを把握できる。従って、糸把持機構40により糸Yが把持された後に、糸寄せガイド30による糸寄せ状態を予め定められた所定の時間維持するだけで、バンチ巻22の量を正確に管理することができ、パッケージ21間でバンチ巻量がばらつくのを容易に防止できる。
【0059】
また、糸把持機構40は、固定ガイド41とこの固定ガイド41に対してボビン20の軸方向に移動可能な可動部42の協働によって、糸Yを把持するように構成されている。さらに、固定ガイド41は糸落ち防止ガイド31に一体的に設けられる一方で、可動部42は糸寄せガイド30に一体的に設けられている。従って、満巻パッケージ21からの糸落ちが糸落ち防止ガイド31によって防止されている状態で、糸寄せガイド30がボビン20の軸方向に移動することにより、糸寄せガイド30によって糸Yがバンチ巻位置に寄せられるとともに、糸寄せガイド30に設けられた可動部42と糸落ち防止ガイド31に設けられた固定ガイド41とによって糸Yが把持される。この構成によれば、糸把持機構40の可動部42を糸寄せガイド30と一体的に移動させることにより、バンチ巻位置への糸寄せとその後の糸Yの把持とを同時に行うことができるため、構成を簡素化できる。
【0060】
また、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で、前記実施形態に以下のような種々の変更を加えることが可能である。尚、以下の説明において、前記実施形態と同様の構成を有するものについては、同じ符号を付して適宜その説明を省略する。
【0061】
前記実施形態においては、糸把持機構40の固定ガイド41と可動部42が、糸落ち防止ガイド31と糸寄せガイド30にそれぞれ一体的に設けられているが、固定ガイド41と可動部42が、糸落ち防止ガイド31や糸寄せガイド30とは別に設けられて、可動部42が糸寄せガイド30のスライド移動とは独立してボビン20の軸方向に移動可能に構成されていてもよい。
【0062】
前記実施形態では、空ボビン20bへの糸Yの巻き付け角を大きくするために、糸巻取位置P1からさらに90度回転した糸渡し位置P3に空ボビン20bが位置する状態で、満巻パッケージ21から空ボビン20bへの糸渡しが行われている。しかし、巻取られる糸Yの種類や糸張力などの種々の条件から、空ボビン20bへの糸巻き付き失敗が比較的生じにくい場合には、糸巻取位置P1に空ボビン20bが位置するとともに、待機位置P2に満巻パッケージ21が位置する状態で、糸渡しが行われてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明の実施形態に係る糸巻取装置の概略正面図である。
【図2】図1のII-II線矢視図である。
【図3】コンタクトローラ、ボビンホルダ、及び、糸渡し装置の斜視図である。
【図4】図3のコンタクトローラ、ボビンホルダ、及び、糸渡し装置を斜め上方から見た正面図である。
【図5】糸寄せガイドの一部拡大平面図である。
【図6】糸落ち防止ガイドの一部拡大平面図である。
【図7】満巻パッケージと空ボビンの切換時の状態を示す図であり、(a)は切換直前、(b)は切換途中、(c)は糸渡し中の状態をそれぞれ示す。
【図8】(a)は糸寄せ前の状態における糸渡し装置の一部拡大平面図であり、(b)は(a)の糸寄せガイドと糸落ち防止ガイドを紙面上側から紙面と平行な向きに見た図である。
【図9】(a)は糸寄せ状態における糸渡し装置の一部拡大平面図であり、(b)は(a)の糸寄せガイドと糸落ち防止ガイドを紙面上側から紙面と平行な向きに見た図である。
【符号の説明】
【0064】
1 糸巻取装置
12 ターレット
13 ボビンホルダ
14 トラバース装置
20 ボビン
21 パッケージ
30 糸寄せガイド
31 糸落ち防止ガイド
40 糸把持機構
41 固定ガイド
42 可動部
Y 糸


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボビンがそれぞれ装着される複数のボビンホルダと、
前記ボビンに巻取られる糸を綾振るトラバース装置と、
糸巻取位置にあるボビンホルダに装着されたボビンに糸が巻取られて満巻パッケージが形成された後に、糸が巻取られるボビンを前記満巻パッケージが形成されたボビンから、他のボビンホルダに装着された空ボビンに切換える切換手段と、
前記空ボビンに対してその軸方向に移動可能に構成され、前記切換手段によるボビン切換時に糸が前記空ボビンを経由して前記満巻パッケージに至る状態となったときに、前記空ボビンと前記満巻パッケージとの間の糸を前記トラバース装置によるトラバース範囲よりも前記軸方向外側のバンチ巻位置に寄せる、糸寄せガイドと、
前記糸寄せガイドにより前記バンチ巻位置に寄せられた糸を把持する糸把持手段と、
を備えていることを特徴とする糸巻取装置。
【請求項2】
前記糸寄せガイドは、前記糸把持手段により糸が把持されてから、予め定められた所定の時間、糸寄せ状態を維持することを特徴とする請求項1に記載の糸巻取装置。
【請求項3】
前記糸把持手段は、
前記空ボビンに対してその軸方向に移動不能な固定部と、前記固定部に対して、前記空ボビンの軸方向に移動可能な可動部とを備え、
前記可動部が前記固定部に対して、前記空ボビンの軸方向に移動したときに、前記可動部と前記固定部とが協働して糸を把持するように構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の糸巻取装置。
【請求項4】
前記切換手段によるボビン切換時に、前記空ボビンからの糸が前記満巻パッケージから落ちるのを防止する糸落ち防止ガイドをさらに備え、
前記固定部が前記糸落ち防止ガイドに一体的に設けられるとともに、前記可動部が前記糸寄せガイドに一体的に設けられており、
前記糸寄せガイドが前記糸落ち防止ガイドに対して前記空ボビンの軸方向に移動して糸を前記バンチ巻位置に寄せるときに、同時に、前記可動部も前記固定部に対して前記空ボビンの軸方向に移動して、前記可動部と前記固定部とが糸を把持するように構成されていることを特徴とする請求項3に記載の糸巻取装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−7110(P2009−7110A)
【公開日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−169536(P2007−169536)
【出願日】平成19年6月27日(2007.6.27)
【出願人】(502455511)TMTマシナリー株式会社 (91)
【Fターム(参考)】