説明

糸条巻取機

【課題】綾振り支点ガイドへの糸掛けを容易に行うことができるようにする。
【解決手段】綾振り支点ガイド35、36が設けられた複数のガイド部材34は、長手方向に沿って延びるガイド支持部材30にスライド可能に支持されている。ガイド支持部材30は、長手方向に沿って移動可能となっている。綾振り支点ガイド35、36への糸掛けを行う際には、まず複数のボビン20とそれぞれ対向する綾振り支点位置にある複数のガイド部材34を長手方向にスライドさせて、ガイド支持部材30の手前側の一端に寄せた後、ガイド支持部材30を手前側に向かって引き出す。これにより、複数のガイド部材34を、糸条巻取機1の上方において糸条巻取機1に供給される糸Yを案内する糸ガイド4の作業者通路側とは反対側の端部と、糸条巻取機1におけるユニット本体5の作業者通路側の上端とを結ぶ仮想直線Xよりも作業者通路側の糸掛位置に位置させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、連続的に供給される糸条をボビンに巻き取る糸条巻取機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、紡糸機から連続的に供給される複数本の糸条を、ボビンホルダに装着された複数のボビンに同時に巻き取る糸条巻取機が開示されている。かかる糸条巻取機においては、ボビンホルダに装着されるボビンの数に対応する複数の綾振り支点ガイドが、ボビンホルダと平行なシャフトに沿ってスライド可能に設けられている。綾振り支点ガイドへの糸掛けを行う際には、まず複数の綾振り支点ガイドをスライドさせて巻取機の手前側の端部近傍である糸掛位置に寄せる。続いて、作業者が、サクションガンに吸引されている複数本の糸条を、糸掛位置にある複数の綾振り支点ガイドに一本ずつ掛ける。糸掛け作業終了後は、綾振り支点ガイドを各ボビンに対応する綾振り支点位置まで移動させて、巻取りを開始する。
【特許文献1】特開2004−106972号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
近年、上述のような糸条巻取機は、生産量を増やすために多エンド化の傾向にあり、同時に巻き取られる糸条の本数が増加している。その結果、綾振り支点ガイドに全ての糸条を掛けるのに多くの時間が必要となる。これに伴い、綾振り支点ガイドへの糸掛けを行っている間にサクションガンで吸引される糸条、すなわち廃棄することになる糸条が増え、生産効率が悪化し、生産コストがアップすることになる。
【0004】
また、多数の糸条をサクションガンで吸引するためには、高い吸引力が必要となるので、サクションガンには高圧力、高流量が要求される。その結果、圧空設備が大型化し、また設備維持費用の増大を招くという問題がある。さらに、サクションガンのエア消費量も増加し、エネルギー損失が増大するという問題がある。これらの問題を解決するためにも、綾振り支点ガイドへの糸掛け作業にかかる時間を短縮する必要がある。
【0005】
そこで、本発明の目的は、綾振り支点ガイドへの糸掛けを容易に行うことができる糸条巻取機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の糸条巻取機は、複数のボビンが装着されるボビンホルダを有するユニット本体と、前記ユニット本体の上方に設けられ、前記複数のボビンに巻き取られる複数の糸条の綾振り支点となる綾振り支点ガイドが設けられた複数のガイド部材とを備えており、前記ガイド部材の上方に位置する糸ガイドによって案内されつつ供給される複数の糸条を前記複数のボビンに巻き取るものである。前記複数のガイド部材は、前記複数のボビンにそれぞれ対応する綾振り支点位置と、前記複数のガイド部材のうち少なくとも半数のガイド部材が、前記糸ガイドの反作業者通路側の端部と前記ユニット本体の作業者通路側の上端とを結ぶ仮想線よりも作業者通路側に位置する糸掛位置との間で移動可能である。
【0007】
この構成によると、綾振り支点ガイドへの糸掛け作業を行う際に、糸掛けする糸条の糸道がユニット本体が有する様々な部材に干渉されるのを防ぐことができる。したがって、綾振り支点ガイドへの糸掛けを容易に行うことができる。
【0008】
本発明の糸条巻取機では、前記複数のガイド部材は、前記複数のガイド部材の全てが前記仮想直線よりも作業者通路側に位置するように移動可能に設けられていることが好ましい。この構成によると、綾振り支点ガイドへの糸掛け作業を行う際に、糸掛けする糸条の糸道がユニット本体が有する様々な部材に干渉されるのを完全に防ぐことができる。したがって、綾振り支点ガイドへの糸掛けを一層容易に行うことができる。
【0009】
本発明の糸条巻取機では、前記複数のボビンの配列方向に沿って延びており、前記複数のガイド部材をスライド可能に支持するガイド支持部材をさらに備えており、前記ガイド支持部材が、その長手方向に沿って移動することによって、前記複数のガイド部材が、前記綾振り支点位置と前記糸掛位置との間で移動してもよい。この構成によると、複数のガイド部材を綾振り支点位置と糸掛位置との間での移動させるための機構を、比較的簡易な機構で実現することができる。
【0010】
本発明の糸条巻取機では、長尺な形状を有しており、前記複数のガイド部材をスライド可能に支持するガイド支持部材をさらに備えており、前記ガイド支持部材が、前記複数のボビンの配列方向に平行である位置から、前記配列方向に対して傾斜した方向に引き出された位置まで移動することによって、前記複数のガイド部材が、前記綾振り支点位置と前記糸掛位置との間で移動してもよい。この構成によると、ガイド部材の綾振り支点位置が作業者の目線の高さよりも下方にある場合であっても、ガイド部材を目線の高さに近い位置まで引き出して糸掛け作業を行うことができるので、糸掛けをさらに容易に行うことができる。
【0011】
本発明の糸条巻取機は、一方向に沿って2列に配列された複数の前記ボビンに糸条を同時に巻き取ってもよい。このように、同時に巻き取る糸条の本数が比較的多い糸条巻取機においては、糸掛け作業を容易に行うこうとができるという効果がより顕著に現れる。
【0012】
本発明の糸条巻取機では、前記ガイド部材が、細長形状を有しており且つその長手方向の一端において前記ガイド支持部材に支持されており、前記2列に配列された複数の前記ボビンのうち互いに異なる列に属する2つの前記ボビンに糸条を巻き取る際の綾振り支点となる2つの前記綾振り支点ガイドが、前記ガイド部材の長手方向に関して互いに離隔するように1つの前記ガイド部材に設けられており、前記複数の綾振り支点ガイドが、いずれも前記ガイド部材の前記一端側とは反対側の他端側に開口しており、前記複数のガイド部材が前記糸掛位置にある状態で、前記複数の綾振り支点ガイドが、前記ガイド部材の前記他端側から見て、前記ガイド支持部材の長手方向に沿う一直線上に並んでいてもよい。
【0013】
2列のボビン列のうち一方の列に属するボビンに対応する綾振り支点ガイドと、他方の列に属するボビンに対応する綾振り支点ガイドとへの糸掛けを交互に行う場合には、ワイヤ等の糸掛け具を用いて糸掛け作業を行う必要がある。上記構成によると、ガイド支持部材の長手方向に沿う一直線上に並んだ複数の糸条をガイド部材の長手方向の他端側から一端側に向かって移動させることによって、まずガイド部材の他端側に位置する綾振り支点ガイドに糸掛けを行い、続いてガイド部材の一端側に位置する綾振り支点ガイドに糸掛けを行うことができる。すなわち、一連の動作で2列に配列された複数のボビンに対応する複数の綾振り支点ガイドへの糸掛けを行うことができる。したがって、ワイヤ等の糸掛け具を使用せずに、複数の綾振り支点ガイドへの糸掛け作業を行うことが可能となる。
【0014】
本発明の糸条巻取機では、前記複数のガイド部材が前記糸掛位置にある状態で、前記ガイド部材は、その前記一端近傍において、隣り合う前記ガイド部材と所定幅だけ重なり合っていると共に、隣り合う前記ガイド部材との間に、その前記他端側に開口し且つその前記一端側に位置する前記綾振り支点ガイドに連なる隙間が形成されてもよい。
【0015】
この構成によると、ガイド部材の一端側に位置する綾振り支点ガイドに掛けられる糸条は、隣り合うガイド部材の間に形成された隙間を通って該綾振り支点ガイドまで移動する。このとき、該綾振り支点ガイドよりも一端側は、隣り合うガイド部材同士が重なり合うように設けられているため、糸条が該綾振り支点ガイドに掛かることなく該綾振り支点ガイドよりも一端側まで移動してしまうのを防ぐことができる。
【0016】
本発明の糸条巻取機では、前記ガイド部材には、その前記他端と2つの前記綾振り支点ガイドとの間にそれぞれ位置する2つの切欠きが形成されており、複数の前記切欠きは、いずれも同一方向に切欠かれており、前記複数のガイド部材が前記糸掛位置にある状態で、前記ガイド支持部材の長手方向に沿う一直線上に並んでいてもよい。この構成によると、綾振り支点ガイドへの糸掛けを行う前に、切欠きに糸条を一時的に保持させることができる。したがって、連続的に供給されており揺れている糸条であっても、一旦切欠きに保持させることによって、綾振り支点ガイドへ的確に掛けることができる。
【0017】
本発明の糸条巻取機は、複数のボビンが装着されるボビンホルダを有するユニット本体と、前記ユニット本体の上方に設けられ、前記複数のボビンに巻き取られる複数の糸条の綾振り支点となる綾振り支点ガイドが設けられた複数のガイド部材とを備えている。そして、長尺な形状を有しており、前記複数のガイド部材を支持するガイド支持部材を前記ユニット本体の上方に設けており、前記ガイド支持部材を前記ユニット本体に対して作業者通路側に引き出し可能に設けている。
【0018】
この構成によると、綾振り支点ガイドへの糸掛け作業を行う際に、糸掛けする糸条の糸道を、ユニット本体が有する様々な部材により干渉されにくい位置へ移動させることができる。したがって、綾振り支点ガイドへの糸掛けを容易に行うことができる。
【0019】
本発明の糸条巻取機では、前記ガイド支持部材は、前記複数のガイド部材のピッチが、前記複数のボビンのピッチに対応する大きさと、前記複数のガイド部材が集合した状態の大きさとの間で拡縮可能となるように前記複数のガイド部材を支持することが好ましい。この構成によると、糸条の巻き取りを行う際と綾振り支点ガイドへの糸掛け作業を行う際とで、複数のガイド部材のピッチを変更することができる。すなわち、糸掛け作業を行う際に、複数のガイド部材のピッチを複数のガイド部材が集合した状態の大きさとすることができる。したがって、綾振り支点ガイドへの糸掛けをさらに容易に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の好適な実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0021】
<第1の実施の形態>
図1は、本発明の第1の実施の形態にかかる糸条巻取機の概略正面図である。図2及び図3は、いずれも図1の糸条巻取機の側方から見た説明図である。
【0022】
本実施の形態の糸条巻取機1は、図示しない紡糸機から連続的に供給される複数(本実施形態では20本)の糸Yを複数(本実施形態では20個)のボビン20にそれぞれ同時に巻き取るものである。図1に示すように、紡糸機から供給された糸Yは、ローラ2、3に巻き掛けられており、糸ガイド4によって所定の間隔に分離されてから糸条巻取機1に供給されるようになっている。
【0023】
ここで、図1〜図3に示すように、糸条巻取機1は、全体として水平な一方向(図1においては紙面に垂直な方向、図2及び図3においては左右方向)に長い細長形状を有している。そして、作業者は、糸条巻取機1の長手方向の一端側(図2及び図3における紙面左側)である作業者通路側に立って作業を行う。以下の説明において、糸条巻取機1の長手方向を単に「長手方向」と称する。また、糸条巻取機1における作業者による作業が行われる側(図2及び図3における紙面左側)を「手前側」と称し、その反対側(図2及び図3における紙面右側)を「奥側」と称する。
【0024】
糸条巻取機1は、長手方向に延びており、複数(本実施形態では10個)のボビン20がそれぞれ装着されるボビンホルダ12、13と、ボビンホルダ12、13に装着されたボビン20に接触可能なコンタクトローラ14と、ボビン20に巻取られる糸Yをボビン20の軸方向に綾振るトラバース装置15と、コンタクトローラ14及びトラバース装置15を支持する支持枠17とを主に有するユニット本体5を備えている。また、糸条巻取機1は、ユニット本体5の上方に位置しており、トラバース装置15によって綾振られる糸Yの綾振り支点となる綾振り支点ガイド35、36が設けられた複数(本実施形態では10個)のガイド部材34を備えている。
【0025】
ボビンホルダ12、13には、複数のボビン20が長手方向に並べて装着されるようになっている。そして、図2及び図3に示すように、各ボビン20の軸方向端部には、後述するようにボビン20への糸掛けが行われる際に糸Yを捕捉する糸捕捉溝21が形成されている。
【0026】
ボビンホルダ12、13は、ユニットフレーム10に回転可能に設けられた円板状のターレット11に突設されており、ターレット11と直交する水平方向に延びている。より詳細には、ボビンホルダ12、13は、ターレット11の回転中心に対して互いに対称な2つの位置にそれぞれ設けられており、ターレット11と一体的に回転するようになっている。また、図1に示すように、本実施の形態の糸条巻取機1には、ターレット11が2つ設けられている。2つのターレット11は、水平且つ長手方向と直交する方向に関して左右対称な位置に配置されている。
【0027】
2つのターレット11は、図示しない駆動モータによりそれぞれ回転駆動される。ターレット11を回転させることで、各ターレット11に支持された2本のボビンホルダ12、13を、コンタクトローラ14に接触してボビン20に糸を巻取る巻取位置P1と、巻取位置P1と、ターレット11の回転中心に関して点対称な位置である待機位置P2との間で移動させる。すなわち、図1において巻取位置P1に位置するボビンホルダ12と、待機位置P2に位置するボビンホルダ13とを交互に切り換えることが可能となっている。なお、2つのターレット11の回転方向は互いに逆方向となっている。具体的には、図1において、右側のターレット11は時計回りの方向に回転し、左側のターレット11は反時計回りの方向に回転する。
【0028】
ターレット11に支持されたボビンホルダ12、13は、図示しない駆動モータによりそれぞれ回転駆動される。巻取位置P1にある2本のボビンホルダ12が回転することによって、これらのボビンホルダ12にそれぞれ装着されたボビン20に糸Yが巻取られるようになっている。
【0029】
ここで、図1に示すように、巻取位置P1にある2本のボビンホルダ12の上方には、図示しない駆動機構により上下方向に移動可能に構成された支持枠17が配設されている。2つのコンタクトローラ14及び2つのトラバース装置15は、上述のように支持枠17に支持されており、支持枠17と一体的に上下に移動可能となっている。また、支持枠17の上面には、後で詳述するように複数のガイド部材34をスライド可能に支持するガイド支持部材30が固定されている。したがって、ガイド支持部材30についても、支持枠17と一体的に上下に移動可能となっている。
【0030】
コンタクトローラ14は、巻取位置P1にあるボビンホルダ12に装着されたボビン20に糸Yを巻取る際に、ボビン20の表面に直接接触、又は、ボビン20に形成された糸層(パッケージ)表面に接触する。これにより、ボビン20への糸Yの巻取り時に、ボビン20に形成された糸層を押圧してパッケージ形状を整えると共に、パッケージ硬度を高めるようになっている。
【0031】
トラバース装置15は、巻取位置P1にある2本のボビンホルダ12に装着された複数のボビン20にそれぞれ対応して、長手方向に2列に配列された複数のトラバースガイド18を有する。これら複数のトラバースガイド18は、支持枠17に対して長手方向に移動可能に設けられており、図示しない駆動機構により長手方向に往復駆動される。
【0032】
ガイド支持部材30は、支持枠17の上面に取り付けられたガイドフレーム32に支持されており、長手方向に延びている。図2に示すように、ガイド支持部材30には、ガイドフレーム32に形成された長手方向に沿って延びる溝32a内を転がるガイドローラ30aが設けられている。これにより、ガイド支持部材30は、長手方向に沿って所定量だけ移動可能となっている。そして、ガイド支持部材30は、図3に示すように、ほぼ全体に亘って長手方向と直交する方向に関してボビンホルダ12、13と対向している位置と、図2に示すように、手前側の一端(図中左側)近傍が支持枠17の手前側の一端(図中左側)から作業者通路側(手前側)に飛び出している位置との間で移動可能となっている。作業者通路側に飛び出している位置とは、図2に示すように、糸ガイド4の作業者通路側とは反対側(図中右側)の端部と、ユニット本体5の作業者通路側(図中左側)の上端、すなわち本実施の形態においては支持枠17の作業者通路側の上端とを結ぶ仮想直線Xに対して、ガイド支持部材30に支持されている綾振り支点ガイド35、36を備えたガイド部材34が作業者通路側にある位置をいう。
【0033】
ここで、図4及び図5をさらに参照しつつ、ガイド支持部材30に支持されるガイド部材34についてより詳細に説明する。図4は、ガイド部材の平面図であり、(a)は複数のガイド部材34が複数のボビン20に対応する綾振り支点位置にある状態、(b)は綾振り支点ガイド35、36への糸掛けが行われる糸掛位置への移動の途中段階の状態、(c)は糸掛位置にある状態をそれぞれ示している。図5(a)は、図4(c)に示す糸掛位置にあるガイド部材34の拡大図であり、図5(b)は、図5(a)を糸条巻取機1の側面から見た図である。
【0034】
ガイド部材34は、一方向に長尺な細長形状を有しており、水平且つ長手方向と直交する方向に延びている。そして、一端においてガイド支持部材30に支持されており、長手方向に沿ってスライド可能となっている。なお、以降の説明において、ガイド部材34のガイド支持部材30に支持されている側を単に「支持側」と称する。
【0035】
より詳細には、ガイド支持部材30内には、その手前側の端部に設けられたノブ31aを手前側に引っ張ることによってガイド支持部材30内から所定量だけ引き出すことができるスライドロッド31が配置されている。そして、図4(a)に示すように、スライドロッド31が引き出されていない状態では、ガイド部材34は綾振り支点位置に位置しており、長手方向に関して互いに隣り合うガイド部材34は、所定の間隔を隔てて離隔している。ここで、図3に示すように、綾振り支点位置にあるガイド部材34は、各ボビン20の軸方向の中央位置とそれぞれ対向する位置にある。すなわち、このとき、複数のガイド部材34のピッチは、複数のボビン20のピッチに対応している。
【0036】
また、図4(b)に示すように、ノブ31aを長手方向に沿って手前側に引っ張ってスライドロッド31を所定量だけ引き出すと、複数のガイド部材34が、ガイド支持部材30の手前側の端部近傍に集まった状態となる。さらに、ノブ31aを長手方向に沿って手前側に引っ張ると、図4(c)に示すように、ガイド支持部材30が手前側に移動し、ガイド部材34が糸掛位置に位置する。このとき、図2に示すように、全てのガイド部材34が、仮想直線Xよりも作業者通路側に位置している。
【0037】
ここで、図5(a)に示すように、1つのガイド部材34には、ガイド部材34の長手方向に関して互いに離隔するように2つの綾振り支点ガイド35、36が設けられている。ガイド部材34の支持側とは反対側に位置する綾振り支点ガイド35は、巻取位置P1に位置する2つのボビンホルダ12のうちの一方(図1中右側に位置するもの)に装着されたボビン20に糸Yを巻き取る際の綾振り支点となるものである。ガイド部材34の支持側に位置する綾振り支点ガイド36は、巻取位置P1に位置する2つのボビンホルダ12のうちの他方(図1中左側に位置するもの)に装着されたボビン20に糸Yを巻き取る際の綾振り支点となるものである。
【0038】
綾振り支点ガイド35、36は、いずれもガイド部材34の支持側とは反対側に開口した平面視略U字型の形状を有している。加えて、図5(b)に示すように、複数のガイド部材34が糸掛位置にある際には、各ガイド部材34に設けられた綾振り支点ガイド35、36が、長手方向に沿って一直線上に並んでいる。すなわち、綾振り支点ガイド35、36が長手方向に交互に複数並んでいる。
【0039】
さらに、図5(b)に示すように、ガイド部材34は、長手方向に対して傾いている。そして、ガイド部材34が糸掛位置にある際には、長手方向に関して隣り合うガイド部材34同士が上下方向に関して部分的に重なっている。より詳細には、図5(a)に示すように、ガイド部材34は、その支持側の端部近傍において隣り合うガイド部材34と所定幅だけ上下方向に重なっている。また、隣り合う2つのガイド部材34の間には、ガイド部材34の支持側とは反対側に開口しており、且つ綾振り支点ガイド36に連なる隙間が形成されている。
【0040】
加えて、図5(b)に示すように、各ガイド部材34には、その支持側とは反対側の端部と綾振り支点ガイド35、36との間にそれぞれ位置する2つの切欠き35a、36aが形成されている。切欠き35a、36aは、いずれも手前側に向かって切欠かれている。また、複数のガイド部材34が糸掛位置にある状態で、各ガイド部材34に形成された複数の切欠き35a、36aは、長手方向に沿って一直線上に並んでいる。
【0041】
図1に戻って、支持枠17には、後述する糸掛け装置16により空のボビン20への初期糸掛けが行われる際に、トラバースガイド18に糸Yがかからないように糸Yをはね上げる、左右2つの糸はねガイド22がそれぞれ糸道に対して進退可能に設けられている。さらに、支持枠17には、初期糸掛け時に、上方から供給される糸Yを、この糸Yが糸掛けされるボビン20の糸捕捉溝21に対応する位置に規制する、左右2つの糸規制ガイド23が設けられている。
【0042】
さらに、巻取位置P1にある左右2本のボビンホルダ12の間には、空のボビン20に糸掛けを行う糸掛け装置16が設けられている。糸掛け装置16は、図1に示すように、ガイド支持体24と、ガイド支持体24に可動連結された糸掛け部材25とを備えている。ガイド支持体24は、ユニットフレーム10の底部に立設されていると共に長手方向に延びている。そして、ガイド支持体24の左右両側部のそれぞれに、巻取位置P1にある2つのボビンホルダ12に各々装着された複数のボビン20に対応する、複数(本実施形態では10個)の糸掛け部材25が、長手方向に並べて設けられている。
【0043】
糸掛け部材25は、一方向に長尺な形状を有する部材であり、その先端部に糸Yを把持する把持部26を有する。また、糸掛け部材25は、長手方向に移動可能であり、流体シリンダ等の駆動手段によって長手方向に駆動される。
【0044】
さらに、糸掛け部材25は、その下端において図示しないリンク機構を介してガイド支持体24に連結されている。そして、糸掛け部材25は、リンク機構を介して、図1中実線で示すように、巻取位置P1にあるボビンホルダ12に装着されたボビン20から退避した退避位置と、図1中破線で示すように、ボビン20に向かって回動して、把持部26で把持した糸Yをボビン20に押しつける糸押圧位置との間で移動可能に構成されている。
【0045】
なお、本実施形態においては、巻取位置P1にある2本のボビンホルダ12に装着されたボビン20に対して糸掛け動作を行う左右の糸掛け部材25が、これら2本のボビンホルダ12の間に配置されていることから、糸条巻取機1をコンパクトにまとめて、巻取機全体のサイズを小さくすることが可能となる。
【0046】
次に、本実施の形態の糸条巻取機1においてボビン20への糸Yの巻取りを開始すべく空のボビン20への糸掛けを行うまでの手順について説明する。まず、図2に示すように、複数のガイド部材34を糸掛位置まで移動させる。すなわち、ノブ31a(図1参照)を手前側に引っ張って、複数のガイド部材34をガイド支持部材30の手前側の端部近傍に寄せた後、さらにノブ31aを手前側に引っ張って、ガイド支持部材30を手前側に引き出す。これにより、全てのガイド部材34が仮想直線X(図2参照)よりも作業者通路側に引き出された状態となる。次に、図示しない紡糸機から連続的に供給される20本の糸Yを、サクションガン50で吸引しつつ、糸掛位置にある複数のガイド部材34に設けられた綾振り支点ガイド35、36に掛ける。
【0047】
ここで、上方から供給される20本の糸Yを綾振り支点ガイド35、36に掛ける際には、まず、図6(a)に示すように、10個のガイド部材34のそれぞれに形成された切欠き35a、36aに糸Yを各々保持させる。その後、20本の糸Yをガイド部材34の支持側に向かって移動させ、図6(b)に示すように、10個の綾振り支点ガイド35のそれぞれに糸Yを掛ける。このとき、綾振り支点ガイド35に掛けられたものを除く10本の糸Yは、いずれも互いに隣り合うガイド部材34の間に形成された隙間に位置している。さらに、ガイド部材34の間にある10本の糸Yを隙間に沿ってガイド部材34の支持側に向かって移動させ、図6(c)に示すように、10個の綾振り支点ガイド36にそれぞれ掛ける。
【0048】
上述のようにして綾振り支点ガイド35、36への糸掛けを行った後、ノブ31aを奥側に戻す。これにより、各ガイド部材34を巻取位置P1にあるボビンホルダ12に装着された複数のボビン20とそれぞれ対向する綾振り支点位置にセットする。さらに、巻取位置P1にある2本のボビンホルダ12とガイド支持体24との間の空間に糸Yを通す。このとき、ガイド支持体24に連結された糸掛け部材25は、図2に示すように、手前側に寄せられており、巻取位置P1にあるボビンホルダ12に装着されたボビン20から退避した退避位置にある。また、このとき、糸はねガイド22を進出させて糸Yをはね上げることにより、糸Yがトラバース装置15のトラバースガイド18に掛からない状態にしておく。
【0049】
その後、糸掛け部材25をボビン20に向かって若干回動させることによって把持部26に糸Yを把持させる。さらに、糸Yを把持した状態の糸掛け部材25を奥側に移動させて、図3に示すように、対応するボビン20の糸捕捉溝21と対向するように位置させる。このとき、糸規制ガイド23を進出させて、糸掛け部材25に把持された糸Yが糸捕捉溝21に沿う位置から外れないように、糸Yを長手方向に関して規制しておく。この状態で、糸掛け部材25を糸押圧位置まで回動させることによって、ボビン20の糸捕捉溝21に糸Yが掛けられる。
【0050】
以上のように、本実施の形態の糸条巻取機1は、該糸条巻取機1の長手方向に沿って配列された複数のボビン20に同時に糸Yを巻き取るものであり、トラバース装置15によって綾振りされる糸Yの綾振り支点となる綾振り支点ガイド35、36が設けられた複数のガイド部材34が備えられている。複数のガイド部材34は、複数のボビン20にそれぞれ対応する綾振り支点位置と、糸ガイド4の作業者通路側とは反対側の端部と支持枠17の作業者通路側の上端とを結ぶ仮想直線Xよりも作業者通路側に位置する糸掛位置との間で移動可能である。したがって、綾振り支点ガイド35、36への糸掛けを行う際に、糸掛けする糸Yの糸道がボビン20や支持枠17などによって干渉されるのを防ぐことができる。その結果、綾振り支点ガイド35、36への糸掛けを容易に行うことができる。
【0051】
また、本実施の形態の糸条巻取機1では、ガイド部材34が糸掛位置にある際には、全てのガイド部材34が仮想直線Xよりも作業者通路側に位置している。したがって、綾振り支点ガイド35、36に糸掛けする糸Yの糸道がボビン20や支持枠17などによって干渉されるのを完全に防ぐことができる。その結果、綾振り支点ガイド35、36への糸掛けを一層容易に行うことができる。
【0052】
また、本実施の形態の糸条巻取機1は、長手方向に沿って延びており、複数のガイド部材34をスライド可能に支持するガイド支持部材30をさらに備えている。そして、ガイド支持部材30が長手方向に沿って移動することにより、複数のガイド部材34が綾振り支点位置と糸掛位置との間で移動する。したがって、複数のガイド部材34を綾振り支点位置と糸掛位置との間での移動させるための機構を、比較的簡易な機構で実現することができる。
【0053】
また、本実施の形態の糸条巻取機1では、長手方向に沿って延びる2つのボビンホルダ12に装着された複数のボビン20、すなわち長手方向に沿って2列に配列された複数のボビン20に糸Yを同時に巻き取る。このように、同時に巻き取る糸Yの本数が比較的多い巻取機においては、糸掛け作業を容易に行うこうとができるという効果がより顕著に現れる。
【0054】
さらに、本実施の形態の糸条巻取機1では、ガイド部材34は一方向に長尺な細長形状を有しており、その長手方向の一端においてガイド支持部材30に支持されている。そして、互いに異なるボビンホルダ12に装着された2つのボビン20に糸Yを巻き取る際の綾振り支点となる2つの綾振り支点ガイド35、36が、ガイド部材34の長手方向に関して互いに離隔するように1つのガイド部材34に設けられている。綾振り支点ガイド35、35は、いずれもガイド部材34の支持側とは反対側に開口した平面視略U字型形状を有している。さらに、複数のガイド部材34が糸掛位置にある状態で、複数の綾振り支点ガイド35、36は、ガイド部材34の支持側とは反対側の端部から見て長手方向に沿って一直線上に並んでいる。したがって、ガイド支持部材30の長手方向に並んだ複数の糸Yをガイド部材34の支持側に向かって移動させることによって、まずガイド部材34の支持側とは反対側に位置する綾振り支点ガイド35に糸掛けを行い、続いてガイド部材34の支持側に位置する綾振り支点ガイド36に糸掛けを行うことができる。すなわち、一連の動作で2列に配列された複数のボビン20に対応する複数の綾振り支点ガイド35、36への糸掛けを行うことができる。
【0055】
加えて、本実施の形態の糸条巻取機1では、複数のガイド部材34が糸掛位置にある状態で、ガイド部材34は、その支持側の端部近傍において、隣り合うガイド部材34と所定幅だけ重なり合っている。また、ガイド部材34は、隣り合う2つのガイド部材34との間に、その支持側とは反対側に開口しており、且つ支持側に位置する綾振り支点ガイド36に連なる隙間が形成されている。したがって、ガイド部材34の支持側に位置する綾振り支点ガイド36に掛けられる糸Yは、隣り合うガイド部材34の間に形成された隙間を通って綾振り支点ガイド36まで移動する。このとき、綾振り支点ガイド36よりも支持側は、隣り合うガイド部材34同士が重なり合うように設けられているため、糸Yが綾振り支点ガイド36に掛かることなく綾振り支点ガイド36よりも支持側へ移動してしまうのを防ぐことができる。
【0056】
また、本実施の形態の糸条巻取機1では、各ガイド部材34には、その支持側とは反対側の端部と綾振り支点ガイド35、36との間にそれぞれ位置する2つの切欠き35a、36aが形成されている。切欠き35a、36aは、いずれも手前側に向かって切欠かれている。また、ガイド部材34が糸掛位置にある状態で、各ガイド部材34に形成された複数の切欠き35a、36aは、長手方向に沿って一直線上に並んでいる。したがって、綾振り支点ガイド35、36への糸掛けを行う前に、切欠き35a、36aに糸Yを一時的に保持させることができる。よって、紡糸機から連続的に供給されており揺れている糸Yであっても、一旦切欠き35a、36aに保持させることによって、綾振り支点ガイド35、36へ的確に掛けることができる。
【0057】
また、本実施の形態の糸条巻取機1では、ガイド支持部材30は、複数のガイド部材34のピッチが、複数のボビン20のピッチに対応する大きさと、ガイド部材34が集合した状態の大きさとの間で拡縮可能となるように複数のガイド部材34を支持している。したがって、ガイド部材34を集合させた状態で綾振り支点ガイド35、36への糸掛け作業を行うことができるので、糸掛け作業をなお一層容易に行うこうとができる。
【0058】
<第2の実施の形態>
次に、図7を参照しつつ、本発明の第2の実施の形態について説明する。図7は、本実施の形態にかかる糸条巻取機のガイド支持部材の動きを示す図である。本実施の形態の糸条巻取機の構成は、ガイド支持部材の構成を除いて第1の実施の形態の糸条巻取機1とほぼ同様である。以下の説明において、第1の実施の形態と同様の構成を有するものについては、同じ符号を付して適宜その説明を省略する。
【0059】
図7に示すように、本実施の形態のガイド支持部材130は、第1の実施の形態と同様に長尺な形状を有しており、支持枠17の上面に取り付けられたガイドフレーム132に支持されている。ガイド支持部材130の奥側の端部近傍には、ガイドフレーム132に形成された長手方向に沿って延びる溝132a内を転がるガイドローラ130aが設けられている。また、ガイドフレーム132には、揺動アーム133の一端が回動自在に取り付けられている。揺動アーム133は、ガイドフレーム132に取り付けられた一端を中心に揺動可能であり、その他端はガイド支持部材130に回動可能に取り付けられている。
【0060】
これにより、図7に示すように、ほぼ水平状態である揺動アーム133が手前側に向かって回動すると、ガイド支持部材130の揺動アーム133が取り付けられた箇所は円弧の軌跡を描くように移動する。このとき、ガイドローラ130aは、ガイドフレーム132に形成された溝132a内を手前側に向かってスライドする。このように、ガイド支持部材130は、図7中破線で示すように、長手方向に平行であり、ほぼ全体に亘ってその長手方向と直交する方向に関してボビンホルダ12、13と対向している位置と、図7中実線で示すように、ボビン20の配列方向に対して傾斜した状態になるように手前側に引き出され、手前側の一端(図中左側)近傍が支持枠17の手前側の一端(図中左側)から作業者通路側に飛び出している位置との間で移動可能となっている。なお、第1の実施の形態と同様に、ガイド支持部材130が作業者通路側に飛び出している位置では、ガイド支持部材130に支持されている綾振り支点ガイド135、136を備えたガイド部材134は、糸ガイド4の反作業者通路側の端部と、支持枠17の作業者通路側の上端とを結ぶ仮想直線Xよりも作業者通路側に位置している。
【0061】
本実施の形態において、綾振り支点位置にあるガイド部材134を糸掛位置に移動させる際には、まず、ノブ131aを長手方向に沿って手前側に引っ張り、スライドロッド131を所定量だけ引き出す。これにより、複数のガイド部材134が、ガイド支持部材130の手前側の端部近傍に集まった状態となる。続いて、図7において矢印で示すように、ノブ131aを手前側に引っ張りつつ上方に持ち上げると、揺動アーム133が回動し、ガイド支持部材130が手前側上方に引き出される。このとき、複数のガイド部材134は、仮想直線Xよりも作業者通路側に引き出された糸掛位置に位置する。
【0062】
以上のように、本実施の形態においては、第1の実施の形態と同様に、ガイド部材134に設けられた綾振り支点ガイド135、136への糸掛けを容易に行うことができる。
【0063】
また、本実施の形態では、複数のガイド部材134をスライド可能に支持するガイド支持部材130が、長手方向に平行である位置と、長手方向に対して傾斜した方向に手前側へ引き出された位置との間で移動可能となっている。ガイド支持部材130を長手方向に平行である位置から手前側上方に引き出すことによって、複数のガイド部材134が、綾振り支点位置と糸掛位置との間で移動する。したがって、ガイド部材134の綾振り支点位置が作業者の目線の高さよりも下方にある場合であっても、ガイド部材134を目線の高さに近い位置まで引き出して糸掛け作業を行うことができるので、糸掛け作業をさらに容易に行うことができる。
【0064】
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて、様々な設計変更を行うことが可能なものである。例えば、上述の第1及び第2の実施の形態では、長手方向に沿って2列に配列された複数のボビン20に糸Yを同時に巻き取る場合について説明したが、これには限定されない。すなわち、糸Yが同時に巻き取られる複数のボビン20によって形成される列は1列であってもよい。
【0065】
さらに、上述の第1及び第2の実施の形態では、全ての綾振り支点ガイド35、36(135、136)が、ガイド部材34(134)の支持側とは反対側に開口していると共に、複数のガイド部材34(134)が糸掛位置にある状態で、複数の綾振り支点ガイド35、36(135、136)が、ガイド部材34(134)の支持側とは反対側の端部から見て長手方向に沿って一直線上に並んでおり、一連の動作で全ての綾振り支点ガイド35、36(135、136)への糸掛けを行うことができる場合について説明したが、ガイド部材34(134)の構成はこれには限定されない。
【0066】
加えて、上述の第1及び第2の実施の形態では、複数のガイド部材34(134)が糸掛位置にある状態で、ガイド部材34(134)が、その支持側の端部近傍において、隣り合うガイド部材34(134)と所定幅だけ重なり合っている場合について説明したが、隣り合うガイド部材34(134)同士は重なっていなくてもよい。
【0067】
また、上述の第1及び第2の実施の形態では、各ガイド部材34(135)に、その支持側とは反対側の端部と綾振り支点ガイド35、36(135、136)との間にそれぞれ位置する2つの切欠き35a、36aが形成されている場合について説明したが、これらの切欠き35a、36aは形成されていなくてもよい。
【0068】
また、上述の第1及び第2の実施の形態では、綾振り支点ガイド35、36(135、136)の全てが仮想直線Xに対して作業者通路側に位置するように、ガイド支持部材30(130)が作業者通路側へ引き出されるように構成した。しかし、例えば図8に示すように、綾振り支点ガイド35、36の半数が仮想直線Xに対して作業者通路側に位置するようにガイド支持部材30が引き出されるように構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本発明の第1の実施の形態にかかる糸条巻取機の概略正面図である。
【図2】図1に示す糸条巻取機のガイド部材が糸掛位置にある状態の概略側面図を示す図である。
【図3】図1に示す糸条巻取機のガイド部材が綾振り支点位置にある状態の概略側面図を示す図である。
【図4】図1に示すガイド部材の平面図であり、(a)は複数のガイド部材が綾振り支点位置にある状態、(b)は複数のガイド部材の糸掛位置への移動の途中段階の状態、(c)は複数のガイド部材が糸掛位置にある状態である。
【図5】(a)は図4(c)に示すガイド部材の拡大図であり、(b)は(a)の側面図である。
【図6】図1に示す綾振り支点ガイドへの糸掛けの手順を示す図であり、(a)は糸を切欠きに保持した状態、(b)は1つ目の綾振り支点ガイドへの糸掛けを行った状態、(c)は2つ目の綾振り支点ガイドへの糸掛けを行った状態である。
【図7】本発明の第2の実施の形態にかかるガイド支持部材の動きを示す図である。
【図8】本発明の第1の実施の形態の一変形例にかかる糸条巻取機のガイド部材が糸掛位置にある状態の概略側面図である。
【符号の説明】
【0070】
1 糸条巻取機
5 ユニット本体
15 トラバース装置
20 ボビン
30、130 ガイド支持部材
34、134 ガイド部材
35、36、135、136 綾振り支点ガイド
35a、36a 切欠き

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のボビンが装着されるボビンホルダを有するユニット本体と、
前記ユニット本体の上方に設けられ、前記複数のボビンに巻き取られる複数の糸条の綾振り支点となる綾振り支点ガイドが設けられた複数のガイド部材とを備えており、
前記ガイド部材の上方に位置する糸ガイドによって案内されつつ供給される複数の糸条を前記複数のボビンに巻き取る糸条巻取機において、
前記複数のガイド部材は、前記複数のボビンにそれぞれ対応する綾振り支点位置と、前記複数のガイド部材のうち少なくとも半数のガイド部材が、前記糸ガイドの反作業者通路側の端部と前記ユニット本体の作業者通路側の上端とを結ぶ仮想線よりも作業者通路側に位置する糸掛位置との間で移動可能であることを特徴とする糸条巻取機。
【請求項2】
前記複数のガイド部材は、前記複数のガイド部材の全てが前記仮想直線よりも作業者通路側に位置するように移動可能に設けられたことを特徴とする請求項1に記載の糸条巻取機。
【請求項3】
前記複数のボビンの配列方向に沿って延びており、前記複数のガイド部材をスライド可能に支持するガイド支持部材をさらに備えており、
前記ガイド支持部材が、その長手方向に沿って移動することによって、前記複数のガイド部材が、前記綾振り支点位置と前記糸掛位置との間で移動することを特徴とする請求項1または2に記載の糸条巻取機。
【請求項4】
長尺な形状を有しており、前記複数のガイド部材をスライド可能に支持するガイド支持部材をさらに備えており、
前記ガイド支持部材が、前記複数のボビンの配列方向に平行である位置から、前記配列方向に対して傾斜した方向に引き出された位置まで移動することによって、前記複数のガイド部材が、前記綾振り支点位置と前記糸掛位置との間で移動することを特徴とする請求項1または2に記載の糸条巻取機。
【請求項5】
一方向に沿って2列に配列された複数の前記ボビンに糸条を同時に巻き取ることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の糸条巻取機。
【請求項6】
前記ガイド部材が、細長形状を有しており且つその長手方向の一端において前記ガイド支持部材に支持されており、
前記2列に配列された複数の前記ボビンのうち互いに異なる列に属する2つの前記ボビンに糸条を巻き取る際の綾振り支点となる2つの前記綾振り支点ガイドが、前記ガイド部材の長手方向に関して互いに離隔するように1つの前記ガイド部材に設けられており、
前記複数の綾振り支点ガイドが、いずれも前記ガイド部材の前記一端側とは反対側の他端側に開口しており、
前記複数のガイド部材が前記糸掛位置にある状態で、前記複数の綾振り支点ガイドが、前記ガイド部材の前記他端側から見て、前記ガイド支持部材の長手方向に沿う一直線上に並んでいることを特徴とする請求項5に記載の糸条巻取機。
【請求項7】
前記複数のガイド部材が前記糸掛位置にある状態で、前記ガイド部材は、その前記一端近傍において、隣り合う前記ガイド部材と所定幅だけ重なり合っていると共に、隣り合う前記ガイド部材との間に、その前記他端側に開口し且つその前記一端側に位置する前記綾振り支点ガイドに連なる隙間が形成されることを特徴とする請求項6に記載の糸条巻取機。
【請求項8】
前記ガイド部材には、その前記他端と2つの前記綾振り支点ガイドとの間にそれぞれ位置する2つの切欠きが形成されており、
複数の前記切欠きは、いずれも同一方向に切欠かれており、前記複数のガイド部材が前記糸掛位置にある状態で、前記ガイド支持部材の長手方向に沿う一直線上に並んでいることを特徴とする請求項6または7に記載の糸条巻取機。
【請求項9】
複数のボビンが装着されるボビンホルダを有するユニット本体と、
前記ユニット本体の上方に設けられ、前記複数のボビンに巻き取られる複数の糸条の綾振り支点となる綾振り支点ガイドが設けられた複数のガイド部材とを備えた糸条巻取機において、
長尺な形状を有しており、前記複数のガイド部材を支持するガイド支持部材を前記ユニット本体の上方に設けており、前記ガイド支持部材を前記ユニット本体に対して作業者通路側に引き出し可能に設けたことを特徴とする糸条巻取機。
【請求項10】
前記ガイド支持部材は、前記複数のガイド部材のピッチが、前記複数のボビンのピッチに対応する大きさと、前記複数のガイド部材が集合した状態の大きさとの間で拡縮可能となるように前記複数のガイド部材を支持することを特徴とする請求項9に記載の糸条巻取機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−297078(P2008−297078A)
【公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−145407(P2007−145407)
【出願日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【出願人】(502455511)TMTマシナリー株式会社 (91)
【Fターム(参考)】