説明

純粋な非結晶ロスバスタチンカルシウムの調製方法

実質的に不純物を含まない、純粋な非結晶ロスバスタチンカルシウムの新規調製方法が開示されている。他のカチオンを用いて他のロスバスタチン塩に変換され得る(例えばカルシウムカチオンを用いてロスバスタチンカルシウムを得る)ロスバスタチンの溶液を得るための、ロスバスタチンのCからCのアルキルエステル、好ましくはロスバスタチンメチルまたはロスバスタチンtert−ブチルの、例えば水酸化ナトリウムといった塩基を用いて、非プロトン性溶媒存在下、好ましくはテトラヒドロフランおよびN,N−ジメチルアセトアミド、または非プロトン性溶媒および水との混合物存在下で加水分解することを含む方法。ロスバスタチンアミン塩類も同様に得られる。本発明の別の好ましい態様において、ロスバスタチン遊離酸は、例えばロスバスタチンカルシウム水和物といったロスバスタチン溶媒和物類を含んだ、例えばロスバスタチンカルシウム、ロスバスタチンナトリウム、または様々なロスバスタチンアミン塩類といった様々なロスバスタチン塩類に変換され得る。ロスバスタチンカルシウムは、高脂血症、高コレステロール血症、およびアテローム性動脈硬化症の治療に有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、実質的に不純物を含まない、純粋な非結晶ロスバスタチンカルシウムの新規調製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ロスバスタチンは、治療において、市販薬として、そのカルシウム塩として投与される、(+)−7−[4−(4−フルオロフェニル)−6−イソプロピル−2−(N−メチル−N−メチルスルホニルアミノ)ピリミジン−5−イル]−(3R,5S)−ジヒドロキシ−(E)−ヘプテン酸に対する一般名であり、以下式1に図示するが、本化合物は酵素3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリル−コエンザイムAリダクターゼ(HMG CoAリダクターゼ)の阻害剤であり、高脂血症、高コレステロール血症、およびアテローム性動脈硬化症の治療に有用である。ロスバスタチン、およびロスバスタチンカルシウムの合成は、特許EP−B−521 471に最初に開示され、全合成の最終二工程で、ロスバスタチンのメチルエステル(ロスバスタチンメチル)の、例えばエタノールといった極性溶媒中、塩基存在下での加水分解、続いてロスバスタチンのナトリウム塩(ロスバスタチン酸ナトリウム)の単離、および前記ロスバスタチンのナトリウム塩の、水溶性カルシウム塩を用いる、水性条件下でのロスバスタチンのカルシウム塩への変換ににより提供される。EP−B−521 471に開示された該中間体の調製方法は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0003】
WO2005/023778は、ロスバスタチンのCからCのアルキルエステル、好ましくはロスバスタチンのtert−ブチルエステルを、塩基、好ましくは水酸化ナトリウムを用いて、CからCのアルコール、好ましくはエタノール存在下で、ロスバスタチン塩、例えばそのナトリウム塩の溶液への変換によるロスバスタチンカルシウムの調製方法を開示しており、前記溶液にカルシウム源を添加することにより前記塩をロスバスタチンカルシウムに変換した。
【0004】
WO2000/042024に記載されているが、ロスバスタチンカルシウムの新規結晶形態が、(i)水およびアセトニトリルとの体積比1:1の混合物から、(ii)水およびアセトンとの体積比1:1、または水、メタノールおよびtert−ブチルメチルエーテルの体積比1:1:1の混合物から、ロスバスタチンカルシウムの非結晶形態の結晶化により、調製できる。
【0005】
WO2005/040134は、公知の結晶ロスバスタチンカルシウムから得られる99%を超す純度を有する非結晶ロスバスタチンカルシウムを記載している。該結晶形態は、先行技術で公知の方法である非結晶ロスバスタチンカルシウムの結晶化により調製し得る。
【0006】
【化1】

【0007】
有機カルボン酸のアルカリ金属塩がしばしば、単離で問題の原因となる可能性のある、吸湿性であることはよく知られている。実際に、ロスバスタチンカルシウム塩の調製での中間体となり得るロスバスタチンのナトリウム塩の単離は、反応条件や、制御が困難な溶媒類の蒸発に影響される、収率および物理的状態の点で再現性がない場合がある。WO05/23778は、ロスバスタチンナトリウム塩を単離せずに、その水溶液から不純物を抽出することにより、前記問題を回避しようと試みたが、しかし反応溶剤としてCからCのアルコール類を使用することにより、特有の不純物への変換のリスクが依然存在している。すなわち、アルコール性アルカリ溶液中のβ−ヒドロキシ酸類は、再アルコキシ化後に特有の副生成物(Scheme1参照。式中RおよびRは、独立にCからCのアルキル基を意味する)、例えばロスバスタチンO−エチルといったロスバスタチンO−アルキルをもたらす可能性のある、脱水を受けることが公知である。
【0008】
図1に表された苛酷安定性試験の結果から、ロスバスタチンがアルコール性溶剤としてのエタノール中で特有の分解を受けたことは明白である。NN 20−47.143で示される特有不純物は、O−エチルエーテル誘導体(Scheme1参照。式中Rは、エチル(Et)基を意味する)であり、そのような不純物が観測されなかったアセトン溶液と比較して、HPLCにより0.35面積%で検出された。
【0009】
したがって、顕著な量の副生成物を全く含まない、純粋なロスバスタチンカルシウムの効率的な調製方法の必要性が、依然存在している。
【発明の開示】
【0010】
(発明の概要)
本発明の第一の態様において、本発明は、ロスバスタチンのカルシウム塩の製造方法であり、それが
a)ロスバスタチンのCからCのアルキルエステルを、非プロトン性溶媒の存在下で塩基を用いて、または非プロトン性溶媒および水との混合物存在下で塩基を用いて加水分解して、ロスバスタチン塩の溶液を得ること;
b)上記のようにして得られたロスバスタチン塩を、カルシウム源を用いて変換して、ロスバスタチンカルシウムを得ること;
c)ロスバスタチンの該カルシウム塩を単離すること;
を含む、方法を提供する
本発明のもう一つの態様において、ロスバスタチンのCからCの該エステルは、ロスバスタチンの固体ナトリウム塩に変換され得、それは得られた該溶液から単離される。前記単離塩は、優れた取り扱い上の物理的性質を有する。
【0011】
本発明の更なる態様において、該ロスバスタチン遊離酸(「ロスバスタチニン酸」)は、(図面を挿入(規則26))
a)ロスバスタチンのCからCのアルキルエステルを、水で場合により希釈した非プロトン性溶媒中で塩基を用いて加水分解すること;
b)過剰の非プロトン性有機溶媒を除去すること;
c)水に乏しい溶液を、場合により水の添加で希釈すること;
d)上記のようにして得られた塩基のロスバスタチン塩水溶液を、場合により水と混和しない有機溶媒で洗浄すること;
e)塩基のロスバスタチン塩水溶液を酸性化すること;
f)結果生じた該ロスバスタチン酸を、水と混和しない該有機溶媒で抽出すること;
g)得られた該抽出液から、水と混和しない該有機溶媒を除去して、単離されたロスバスタチン遊離酸を得ること;
を含む手順に従って単離され得る。
【0012】
更に本発明のもう一つの態様は、ロスバスタチン酸に対して溶媒中でカチオン源を単に添加することにより、上記のようにして得られたロスバスタチン酸(ロスバスタチニン酸)を、ロスバスタチンのいずれかの塩、例えばそのナトリウム塩またはカルシウム塩へ変換することを提示する。
【0013】
ロスバスタチン酸をそのカルシウム塩に非水溶剤中で変換することにより、実質的に無水のロスバスタチンカルシウム塩が得られ得る。
【0014】
更に本発明の別の態様は、ロスバスタチンカルシウム一水和物の、新規でより簡便な調製方法を提示する。
【0015】
本発明に従ってこのように改善された手順で調製されたロスバスタチンカルシウムは、クロマトグラフィー純度が少なくとも99.5%であり、その上、本発明の非常に純粋な出発物質CからCのロスバスタチンエステルを使用する場合は、99.8%を超す純度であり、また更に、一部の例では、所望のロスバスタチンカルシウムのクロマトグラフィー純度は、99.9%を超す可能性がある。
【0016】
語句「クロマトグラフィー純度」は、HPLC(“High Pressure Liquid Chromatography”)により決定される純度を意味する。
【0017】
そして本発明の最後の態様は、上記方法に従って調製されたロスバスタチンカルシウムを具備する医薬品製剤、および前記医薬品製剤を、それを必要とする哺乳類に投与する段階を含む高脂血症、高コレステロール血症、およびアテローム性動脈硬化症の治療法を提供する。
【0018】
該出発物質エステルは、好ましくはロスバスタチンのメチルエステルであってよく、更に好ましくはロスバスタチンのtert−ブチルエステル(ロスバスタチンtert−ブチル)であってよい。
【0019】
上記方法の段階a)のいずれかの非プロトン性溶媒は、該反応に使用され得、好ましくはテトラヒドロフラン(THF)またはN,N−ジメチルアセトアミド(DMA)である。
【0020】
段階a)の該上記方法で使用される該塩基は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、およびそれらの類似物からなる群より選択される。
【0021】
いずれかの適切なカルシウム源の供給源が、利用され得、好ましくは塩化カルシウムまたは酢酸カルシウムである。
【0022】
上記段階d)およびf)で使用される水と混和しない該溶媒は、例えば酢酸エステル類といったC−Cエステル類、好ましくは酢酸エチル(AcOEt)、エーテル類、塩素化炭化水素類、環状炭化水素類からなる群より選択される。
【0023】
上記方法の段階e)で水性溶液の酸性化のための酸として、例えば塩酸または硫酸といった、いずれかの無機酸または有機酸が、使用され得る。
【0024】
用語「ロスバスタチン酸」は、(+)−7−[4−(4−フルオロフェニル)−6−イソプロピル−2−(N−メチル−N−メチルスルホニルアミノ)ピリミジン−5−イル]−(3R,5S)−ジヒドロキシ−(E)−6−ヘプテン酸を意味する。
【0025】
[発明の詳細な開示]
本発明の目的は、実質的に不純物を含まない、純粋な非結晶ロスバスタチンカルシウムの新規調製方法を見出すことであり、この調製方法は、例えば先行技術の方法で公知の反応溶媒としてのCからCのアルコールといったアルコール類の使用を回避し、先行技術の方法に基づいて調製されたロスバスタチンカルシウムに含まれる、例えばロスバスタチンO−エチルといったロスバスタチンO−アルキル不純物(Scheme 1参照)、の除去をもたらすであろう。
【0026】
更に本発明の目的は、先行技術の方法では単離が困難であった、例えばロスバスタチンナトリウムまたはロスバスタチン酸といった中間体ロスバスタチン塩の容易で簡便な調製および単離を、良好な品質、結晶性および再現性で可能にするであろう新規方法、ならびに前記中間化合物類の、所望の市販ロスバスタチンカルシウムへの、簡便で容易な変換を可能にするであろう新規方法を見出すことである。
【0027】
用語「実質的に不純物を含まない」は、HPLCの面積百分率で測定された全不純物が0.5%未満であること、好ましくはHPLCの面積百分率で測定された全不純物が0.2%未満であること、最も好ましくはHPLCの面積百分率で測定された全不純物が0.1%未満であることを意味する。
【0028】
われわれは予想外にも、また驚くべきことに、出発物質ロスバスタチンのCからCのアルキルエステル類の加水分解により上記問題が解決されたことを見出し、ここでは先行技術の方法で公知の溶剤としてのCからCのアルコール類を使用する代わりに、水を添加した非プロトン性溶媒中で前記加水分解が行われる。適したいずれかの非プロトン性溶媒を使用してもよいが、好ましくはテトラヒドロフラン(THF)およびN,N−ジメチルアセトアミド(DMA)である。
【0029】
本発明の第一の態様において、アルキルがメチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、tert−ブチル基、アミル基、およびtert−アミル基を意味し、最も好ましくはロスバスタチンのtert−ブチルエステルである、ロスバスタチンのCからCのアルキルエステルを、非プロトン性溶媒−水混合物中で塩基と、好ましくは塩基として水酸化ナトリウムと、他の溶媒類との混合物であってよいテトラヒドロフラン(THF)含有溶媒中で、好ましくはあらゆる比率のTHFと水との混合物、より好ましくは体積比が5:1から1:5のテトラヒドロフランと水との混合物中で反応させる。純粋なTHFも同様に溶媒として採用してよい。前記加水分解反応の完結後、好ましくはロスバスタチンナトリウムが得られる。出発物質ロスバスタチンのCからCのエステルの加水分解は、20℃から60℃の温度で実施され得る。該加水分解は、30分(60℃で)から2時間(20℃で)以内で完了する。その後、得られた該反応混合物は、水性に乏しい加水分解溶媒がその前に使用されていた場合は、もう一つの溶媒で、好ましくは水で希釈され得る。その後、該非プロトン性有機溶媒は場合により除去され、該残存水溶液は、エステル類、エーテル類、塩素化炭化水素類、または環状炭化水素類、好ましくは、例えば酢酸エステル類、より好ましくは酢酸エチル(AcOEt)、または環状炭化水素類といった、より使用者に扱いやすい溶媒類からなる群より選択される、水と混和しない有機溶媒で洗浄され、純粋なロスバスタチンアルカリ塩、好ましくはロスバスタチンのナトリウム塩の水溶液を得る。
【0030】
別法では、水に富む溶媒中での前記加水分解後、該反応混合物は、例えばテトラヒドロフランといった、水との該混合物の有機物成分を事前に部分的に蒸発させることなく、エステル類、エーテル類、塩素化炭化水素類、または環状炭化水素類からなる群より選択される、好ましくは例えば酢酸エステル類または環状炭化水素類といった、より使用者に扱いやすい溶媒類から選択される、より好ましくは酢酸エチルである、水と混和しない有機溶媒で洗浄される。
【0031】
その後、カルシウムイオン源(例えばハロゲン化カルシウム、好ましくは塩化カルシウム、および、例えば硝酸カルシウムまたは水酸化カルシウム、C−C20アルカン酸のカルシウム塩、好ましくはパルミチン酸カルシウム、ピバル酸カルシウム、または酢酸カルシウムといった他のカルシウム源)が、ロスバスタチン塩の該溶液に、好ましくはロスバスタチンナトリウム塩の該溶液に、添加される。最も好ましいカルシウム源は、酢酸カルシウム一水和物(Ca(OAc)・HO)である。Ca(OAc)・HOの添加は、0℃から40℃の間の温度で実施され得る。Ca(OAc)・HOは一度に、または5から60分かけて滴下して添加され得る。Ca(OAc)・HOの添加後、結果生じた懸濁液は、0℃から40℃の温度で、30分から2時間撹拌され得る。所望の該ロスバスタチンカルシウムは、固体沈殿として生成され得、これは都合よく単離される。
【0032】
前記方法からの得られた非結晶ロスバスタチンカルシウムは、クロマトグラフィー的に純粋である(HPLCで測定され、99.5%面積以上、たいていの場合は99.8%面積以上)が、さまざまな量の残存カチオン類、前記加水分解で使用された水酸化ナトリウムの場合は、ナトリウムカチオンの残存量を含む可能性がある。大部分のナトリウムカチオンを除去する際に変換方法をより再現性よくするために、撹拌に対して特別な注意を払う必要がある。従って、該反応混合物からのロスバスタチンカルシウム塩の該沈殿生成は、高速回転機構を備えた分散機に使われるultraturrax(Ultra−Turrax(登録商標)IKA Werke GmbH & Co.(ドイツ、シュタウフェン)のブランド名)を用いて、6000rpmから30000rpmの運転速度で、好ましくは15000rpmから25000rpmで、最も好ましくは16000rpmから20000rpmで、前記反応混合物の撹拌により実行され得る。得られた該ロスバスタチンカルシウムは、真水中で同様の条件でUltraturax(登録商標)撹拌を実施して再度温浸され得る。そのような好ましい場合に、ナトリウムカチオン含有量は、所望のロスバスタチンカルシウム内において重量で0.1%未満に低下する。
【0033】
所望の該ロスバスタチンカルシウム生成物からのカチオン性不純物の洗浄は、水中だけでなく、適切な溶媒/水混合物中、好ましくはテトラヒドロフラン/水混合物中で行なわれ得る。
【0034】
アセトンおよび水との混合物を用いたロスバスタチンカルシウムの該処理を適用して、ロスバスタチンカルシウム塩の一水和物が調製され得る。前記生成物の得られた結晶形態は、X線回折パターン(XRD)解析(図2を参照)により確認されたように、先行技術由来のロスバスタチンカルシウム一水和物と同一である。ロスバスタチンカルシウム一水和物は、いずれかの形態のロスバスタチンカルシウムを、アセトンおよび水との混合物中で再処理することによって調製され得、または他のロスバスタチン塩類もしくはロスバスタチン酸を、アセトンおよび水との混合物中でカルシウム源を用いて変換することによって調製され得る。
【0035】
出発物質CからCのロスバスタチンエステル類の加水分解において、非プロトン性溶媒類と塩基とを使用するが、水を使用しない本発明の第二の態様において、該非プロトン性溶媒類は、減圧下、10℃から50℃の温度で蒸発される。加水分解に使用された該塩基との、得られた該ロスバスタチンの塩は単離され得る。出発物質CからCのロスバスタチンエステル類の前記無水的開裂に使用される好ましい溶媒は、アミド類、好ましくはN,N−ジメチルアセトアミド(DMA)、場合により、例えばジエチルエーテルといったエーテル類から選択されるもう一つの溶媒との組み合わせである。上記のように、該出発物質ロスバスタチンのCからCエステルは、純粋なDMA中で、またはDMAおよびエーテルとの体積比1:1から3:1の混合物中で、塩基を用いて加水分解される。加水分解は、0℃から30℃の温度で実施され得、30から90分以内に完了される。所望の該ロスバスタチン塩の沈殿生成は、例えばジエチルエーテル(EtO)、tert−ブチルメチルエーテル(BuMeO)、ジイソプロピルエーテル(PrO)といったエーテル類の追加的量を用いて、達成され得る。このような場合、溶媒類の除去後、結果生じた該ロスバスタチン塩、好ましくはロスバスタチンナトリウム塩は洗浄され、容易にろ過できる固体として単離される。用語「減圧」は一般的に、約10mbarから約50mbarの圧力を指す。
【0036】
その後ロスバスタチンナトリウム塩は、水に溶解され、ついでカルシウムイオン源を添加する。カルシウム源の添加前に、塩基のロスバスタチン塩の該水溶液は、場合により水と混和しない有機溶媒で洗浄され得、続いて前記溶媒が除去され得る。例えばハロゲン化カルシウム、好ましくは塩化カルシウム、例えば硝酸カルシウムまたは水酸化カルシウム、C−C20アルカン酸のカルシウム塩、好ましくはパルミチン酸カルシウム、2−エチルヘキサン酸カルシウム、ピバル酸カルシウム、または酢酸カルシウムといった他のカルシウム源が、前記変換で使用され得る。Ca(OAc)・HOの添加は、0℃から40℃の間の温度で実施され得る。Ca(OAc)・HOは一度に、または5から60分かけて滴下して添加され得る。Ca(OAc)・HOの添加後、懸濁液を、0℃から40℃の温度で、30分から2時間撹拌され得る。得られた該非結晶ロスバスタチンカルシウムが、容易に単離される固体沈殿として生成され得る。またこの態様では、ロスバスタチンカルシウムに含まれるナトリウムカチオンの残存量は、上述のように、撹拌および再度の温浸での特別の注意をはらい、低減され得る。
【0037】
前述のいずれかの手順に基づいて単離されたロスバスタチンカルシウム塩は、非結晶形態である。該最終生成物ロスバスタチンカルシウムはまた、溶媒和物として、好ましくはロスバスタチンカルシウム一水和物として、都合よく単離され得、これはロスバスタチンカルシウムに添加されたアセトンおよび水との混合物から、好ましくは体積比2:1のアセトンおよび水との混合物から、単離され得る。これは先行技術由来の既に公知の長く続く手順に比べより簡単な手順である。
【0038】
記載の手順は、高純度の所望のロスバスタチンカルシウムを提供し、ここでは本発明の第一の態様によれば、このように生成されたロスバスタチンカルシウムの該純度は、HPLCによる測定で、99.8%面積を超し、好ましくは99.9%面積を超すが、一方で、第二の態様によれば、生成された該ロスバスタチンカルシウムは、99.5%面積を超し、好ましくは99.7%面積を超す。
【0039】
本発明の第三の態様において、出発物質CからCのロスバスタチンエステル類の該加水分解における非プロトン性溶媒類の使用は、純粋な固体ロスバスタチン酸の単離を可能にする。非プロトン性溶媒−水混合物および塩基であるとして先に記述された加水分解条件を実施すること、および、有機溶媒の大部分を除去後、結果生じた該ロスバスタチン塩の水性溶液は無機酸、好ましくは塩酸を用いて酸性化され、ロスバスタチン遊離酸が、例えばエーテル類、エステル類、塩素化炭化水素類、好ましくはC−C酢酸エステル類、最も好ましくは酢酸エチル(AcOEt)といった、水と混和しない、または部分的に混和する有機溶媒中に抽出される。
【0040】
本発明に基づくロスバスタチン固体遊離酸の単離、または純粋なロスバスタチン遊離酸溶液の調製は、種々の新規ロスバスタチンアミン塩類および種々の無水ロスバスタチン塩類の調製を可能にする。この後に示された実施例において、ロスバスタチンtert−オクチルアンモニウム(2,4,4−トリメチル−2−ペンチルアンモニウム)塩、および無水ロスバスタチンカルシウム塩が調製され得る。ロスバスタチンアミン塩の調製は、溶媒としてアセトニトリル(MeCN)中で、tert−オクチルアミン(2,4,4−トリメチル−2−ペンチルアミン)を、該ロスバスタチン遊離酸溶液に添加し、続いて反応完結後に該ロスバスタチンtert−アミン塩沈殿をろ別することで行なわれ得る。
【0041】
無水非結晶ロスバスタチンカルシウム塩の調製はまた、酢酸iso−ブチル溶媒中で、2−エチルヘキサン酸カルシウムを該ロスバスタチン遊離酸溶液に添加し、続いて非結晶ロスバスタチンカルシウムの該沈殿をろ別して行なわれ得る。実質的に無水のロスバスタチンカルシウムは、水が存在しないことが望まれる、本発明の特有の医薬品製剤で使用され得る。用語「実質的に無水」は、無水ロスバスタチンカルシウム中の該水分含量が、重量で0.1%未満であることを意味する。
【0042】
本発明の種々の態様は、以下のスキーム2に示され、以下の実施例で詳細に記述されている。
【0043】
【化2】

【0044】
分析法
クロマトグラフィー純度は、以下の方法によるHPLC法で決定する。装置:Waters Alliance2695セパレーションモジュール、検出器PDA2996、ソフトウェアEmpower5.0。カラム:Xterra RP18、3μm、150×4.6mm。移動相、A:緩衝液10mM KHPO、pH=2.5、B:アセトニトリル。温度:45℃。流速:1.2ml/min。波長:224および242nm。注入体積:20μl。グラジエント表:
【0045】
【表1】

【0046】
該検体の粉末X線回折スペクトルは、Siemens D−5000に記載される、CuKα放射、2°から37°2θまでの範囲、0.04°2θきざみ、積分時間1秒、0.6のスリットV20。
【実施例1】
【0047】
ロスバスタチンナトリウム塩溶液を経由するロスバスタチンカルシウム塩の調製
ロスバスタチンtert−ブチルエステル(60.0g、111.6mmol)をTHF/水の4:1混合物500mLに溶解する。該透明溶液を30℃に加温し、8.0M NaOH(15mL、120.0mmol)を分割添加する。該反応混合物を30℃で2時間撹拌して、透明な黄色溶液を得る。次にTHFを減圧下(20mbar)、40℃で完全に除去する。該残留水溶液を水で希釈して500mLとし、AcOEt(2×200mL)で洗浄する。該有機層からの分離後、水相を減圧下(20mbar)、40℃で蒸留し、溶解した該AcOEtを完全に除去する。ロスバスタチン酸ナトリウムの該残留透明溶液(440mL)を水(60mL)で希釈して500mLとし、40℃に加温する。激しく撹拌しているロスバスタチン酸ナトリウム溶液に、Ca(OAc)・HO(14.8g、84.0mmol、60mLの水中)を40℃で5分にわたり滴下添加する。添加完了後、該懸濁液を更に30分間、40℃で撹拌する。該白色沈殿をろ別する。次に湿った白色固体を水(200mL)に懸濁させ、1時間、20℃で激しく撹拌する。該不溶沈殿をろ過で集め、水(200mL)で洗浄し、真空中40℃で乾燥し、ロスバスタチンカルシウム塩48.5g(86.8%)を白色粉末として得る(HPLC:99.87%)。
【実施例2】
【0048】
ロスバスタチンtert−ブチルエステル(60.0g、111.6mmol)をテトラヒドロフラン(THF)120mLに溶解し、8.0M NaOH(21mL)で処理した水300mlを分割添加する。該反応混合物を50℃で2時間撹拌する。反応混合物を室温まで放冷し、メチルシクロヘキサン2×540mlで洗浄する。
【0049】
水相を60℃で減圧下、全体積220mlまで蒸発させ、有機溶媒類を除去する。得られた該残留物を脱気した脱塩水で、全体積440mlまで再希釈する。結果生じた該溶液に活性炭1.0gを加え、該懸濁液を半時間撹拌する。活性炭をろ別する。該ろ液の体積の半分(全440mlのうち220ml)に、塩化カルシウム水溶液25.5ml(4M塩化カルシウム10.5mlと脱塩水15mlから調製)を、氷浴上で撹拌しながら添加する。生成した該懸濁液を、ultraturraxを用いて約18000rpmで3分間激しく処理する。該沈殿をろ別し、脱塩水100mlに新たに懸濁させ、Ultraturax(登録商標)を用いて18000rpmで3分間、氷浴上で再度処理する。該生成物をろ過で分離し、氷冷した脱気脱塩水30mlで洗浄し、該フィルターから集め、12時間50℃で、真空デシケータ内で乾燥する。
【0050】
収量:非結晶ロスバスタチンカルシウム25.05g(99.75%面積、HPLC、0.085%Na)。
【0051】
ろ液のもう一つの分割量220mlを、ultraturax混合の代わりに機械的撹拌を行うことを除けば同一の方法で処理する。収量25.11g(99.72%面積、HPLC、1.55%Na)。
【実施例3】
【0052】
ロスバスタチンtert−ブチルエステル(10.0g)をテトラヒドロフラン20mLに溶解し、8.0M NaOH(3.51mL)で処理した水50mLを分割添加する。該反応混合物を50℃で1時間撹拌する。結果生じた該溶液の3分の1(全78mlのうち26ml)を、メチルシクロヘキサン35mlで洗浄する。メチルシクロヘキサン相を脱塩水3mlで抽出する。併せた水相を酢酸iso−プロピル20mlで洗浄する。次に水相を、減圧下50℃での蒸発により全体積15−20mlまで濃縮する。これを氷浴上で冷却し、4M塩化カルシウム水溶液1.1mlを、撹拌しながら1分以内に徐々に加える。これを氷浴上で更に30分間撹拌し、該沈殿生成物をろ過により分離する。該沈殿を脱塩水4.0mlで洗浄し、該フィルターから集め、室温で12時間、真空デシケータ中で乾燥する。
【0053】
収量:非結晶ロスバスタチンカルシウム2.22g。
【0054】
更に二つの分割量を酢酸エチル20mlまたはtert−ブチルメチルエーテル20mlでそれぞれ洗浄し、収量および品質は同様である。
【実施例4】
【0055】
ロスバスタチンナトリウム塩の調製
ロスバスタチンtert−ブチルエステル(3.0g、5.6mmol)を、THF/水の4:1混合物25mlに溶解する。該透明溶液を30℃に加温し、8.0M NaOH(0.75mL、6.0mmol)を分割添加した。該反応混合物を30℃で2時間撹拌し、透明な黄色溶液を得る。次にTHFを減圧下(20mbar)、40℃で完全に除去する。該残存水溶液を水で25mLまで希釈し、AcOEt(2x10mL)で洗浄する。該有機層から分離後、水相を減圧下(20mbar)、40℃で蒸留し、溶解したAcOEtを完全に除去する。ロスバスタチン酸ナトリウムの該残存透明溶液を水で25mLまで希釈し、凍結乾燥して、ロスバスタチンナトリウム塩2.81g(100%)を白色粉末として得る。
【実施例5】
【0056】
ロスバスタチンtert−ブチルエステル(3.0g、5.6mmol)を常温でN,N−ジメチルアセトアミド(4mL)に溶解し、透明な黄色溶液を得る。次にNaOH 8.0M(0.75mL、6.0mmol)を、常温で撹拌している溶液に滴下添加する。該反応混合物を常温で30分間撹拌し、透明な黄色溶液を得る。次にEtO(50mL)を、激しく撹拌している該反応混合物に分割添加すると、速やかに濁り、該混合物から淡黄色オイルが分離する。激しい撹拌をして20分後、オイルは固化し、微細白色沈殿が生成する。該懸濁液を常温で2.5時間撹拌する。該白色沈殿(ロスバスタチン酸ナトリウム)をろ別し、EtO(2×20mL)で洗浄する。
【実施例6】
【0057】
単離されたロスバスタチンナトリウム塩からのロスバスタチンカルシウム塩の調製
実施例5で得た白色固体のロスバスタチンナトリウムを水(30mL)に溶解し、溶液をろ過して透明な無色溶液を得る。1.0M HCl(0.5mL)を添加して、溶液のpHを7に調節する。激しく撹拌しているロスバスタチン酸ナトリウム溶液に、Ca(OAc)・HO(0.74g、4.2mmol、3mLの水中)を1分間にわたって常温で滴下添加し、ロスバスタチンカルシウムを沈殿させる。添加完了後、該懸濁液を更に45分間、常温で撹拌する。該白色沈殿をろ別し、水(2×10mL)で洗浄し、真空中40℃で乾燥し、ロスバスタチンカルシウム塩2.43g(87.0%)を白色粉末として得る(HPLC:99.72%)。
【実施例7】
【0058】
結晶性ロスバスタチンカルシウム一水和物塩の調製
ロスバスタチンカルシウム塩(2.0g、2.0mmol)に、アセトン/水の2:1混合物10mLを添加する。該混合物を常温で30分間撹拌し、白色不透明溶液を得る。次に更にアセトン/水の2:1混合物1mLを該混合物に添加する。常温で10分間撹拌した後、該混合物より白色固体が多量に沈殿する。該沈殿をろ過で集める。真空中40℃で乾燥後、結晶性ロスバスタチンカルシウム一水和物塩1.67g(82.0%)を得る。結晶形態は、回折図(図2)と先行技術由来の参照図とを比較することにより確認する。
【実施例8】
【0059】
固体ロスバスタチン遊離酸の調製
ロスバスタチンtert−ブチルエステル(27.0g、50.2mmol)を、THF/水の4:1混合物225mLに溶解する。該透明溶液を30℃に加温し、8.0M NaOH(6.75mL、54.0mmol)を分割添加する。該反応混合物を30℃で2時間撹拌し、透明な黄色溶液を得る。次にTHFを減圧下(20mbar)、40℃で完全に除去する。該残存水溶液を水で225mLまで希釈し、AcOEt(3×90mL)で洗浄する。激しく撹拌しているロスバスタチン酸ナトリウム溶液に、37%HCl(4.2mL、50.2mmol)を常温で滴下添加する。得られた遊離酸の該白色エマルジョンをAcOEt(150mL)で抽出する。該有機層から分離後、水相を更にAcOEt(2×50mL)で抽出する。有機層を併せて、水(3×30mL)で洗浄する。次に減圧下(20mbar)、40℃でAcOEtを除去する。該残留物を最小量のアセトニトリル(MeCN)に溶解し、該溶媒を減圧下(20mbar)、40℃で素早く蒸発させ、遊離ロスバスタチン酸の該固体残留物25.48gを得る。
【実施例9】
【0060】
ロスバスタチンの結晶性tert−オクチルアンモニウム塩の調製
次に、固体遊離ロスバスタチン酸をアセトニトリル(MeCN)(100mL)に溶解し、透明な溶液を得る。激しく撹拌しているロスバスタチン遊離酸溶液に、tert−オクチルアミン(6.83g、50.2mmol)を1分間にわたって常温で滴下添加する。10分未満で該溶液から白色固体が多量に沈殿し、該混合物の固化を引き起こす。この固体を次に、ヘキサン/MeCNの1:2混合物75mLで処理し、濃い懸濁液を得る。該白色沈殿をろ過し、真空中40℃で乾燥して、白色粉末27.6gを得る。この粉末をヘキサン(100mL)に懸濁し、1時間常温で激しく撹拌する。該不溶沈殿をろ過で集め、ヘキサン(50mL)で洗浄し、真空中40℃で乾燥して、ロスバスタチンtert−オクチルアンモニウム塩27.4g(89.4%)を白色結晶性粉末として得る。
【実施例10】
【0061】
ロスバスタチンtert−ブチルエステル20.0gを、テトラヒドロフラン40mlおよび水100mlとの混合物に溶解し、次に8M NaOH 7.0mlを添加し、40℃で1時間撹拌する。結果生じた該溶液をメチルシクロヘキサン200mlで洗浄する。メチルシクロヘキサン相を脱塩水5mlで抽出する。水相を併せてロスバスタチンナトリウム塩溶液の全体積140mlを得る。
【0062】
この溶液に酢酸iso−ブチル180mlおよび、脱塩水21ml中の85%オルトリン酸5.4mlとを添加すると、ここで発生したロスバスタチン遊離酸は、該有機相に抽出され、生じた該層を分離する。該有機相に活性炭3.0gおよび無水硫酸マグネシウム30gとを添加し、結果生じた該懸濁液を45分間撹拌する。続くろ過で、ろ液240mlを得た。
【0063】
該ろ液に、2−エチルヘキサン酸カルシウムの0.4M酢酸iso−ブチル溶液84mlを添加する。次に、該反応混合物にn−ヘプタン240mlを氷浴上で撹拌しながら徐々に添加する。該固体沈殿をろ別し、酢酸iso−ブチル/ヘキサン混合物(1:1)120mlで洗浄する。
【0064】
収量:乾燥後、非結晶ロスバスタチンカルシウム19.7gが得られる。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1−1】本発明による調整方法スキーム。
【図1−2】ロスバスタチン安全性試験結果。
【図2】実施例7X線回析図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
純粋な非結晶ロスバスタチンカルシウムの製造方法であり、
a)ロスバスタチンのCからCのアルキルエステルを、非プロトン性溶媒存在下で塩基を用いて、または非プロトン性溶媒および水との混合物存在下で塩基を用いて加水分解して、ロスバスタチン塩の溶液を得ること;
b)上記のように得られたロスバスタチン塩を、カルシウム源により変換して、ロスバスタチンカルシウムを得ること;
c)非結晶ロスバスタチンカルシウムを単離すること;
を含む前記方法。
【請求項2】
ロスバスタチンのCからCのアルキルエステルが、ロスバスタチンtert−ブチルである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
非プロトン性溶媒が、テトラヒドロフランである、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
テトラヒドロフランと水の比が体積で5:1から1:5である、請求項1から3に記載の方法。
【請求項5】
テトラヒドロフランと水の比が、体積で4:1から1:3である、請求項1から3に記載の方法。
【請求項6】
水酸化ナトリウムが、塩基である、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
カルシウム源が、塩化カルシウム、硝酸カルシウム、水酸化カルシウム、およびC−C20アルカン酸のカルシウム塩からなる群より選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
−C20アルカン酸のカルシウム塩が、パルミチン酸カルシウム、ピバル酸カルシウム、および酢酸カルシウムからなる群より選択される、請求項1から7に記載の方法。
【請求項9】
ロスバスタチンカルシウムが、固体形態で単離される、請求項1から8に記載の方法。
【請求項10】
非結晶ロスバスタチンカルシウムの製造方法であり、
a)ロスバスタチンのCからCのアルキルエステルを、非プロトン性溶媒中で塩基を用いて加水分解する段階;
b)前記非プロトン性溶媒を除去して残留物を得る段階;
c)前記残留物を水と混合して、塩基のロスバスタチン塩水溶液を得る段階;
d)得られた前記水溶液を、水と混和しない有機溶媒で場合により洗浄する段階;
e)前記有機溶媒を場合により除去する段階;
f)結果生じた前記溶液にカルシウム源を添加して、ロスバスタチンカルシウムを沈殿させる段階;
g)非結晶ロスバスタチンカルシウム塩を単離する段階;
を含む、前記方法。
【請求項11】
非プロトン性溶媒が、N,N−ジメチルアセトアミドであり、場合によりエーテルと併用する、請求項11に記載の方法。
【請求項12】
N,N−ジメチルアセトアミドとジエチルエーテルの比が、体積で1:1から3:1である、請求項10および11に記載の方法。
【請求項13】
請求項1および10の段階a)で調製された混合物がultraturraxで処理される、請求項1から請求項12のいずれかに記載の非結晶ロスバスタチンカルシウムの製造方法。
【請求項14】
ロスバスタチン遊離酸の製造方法であり、
a)ロスバスタチンのCからCのアルキルエステルを、非プロトン性溶媒中で塩基を用いて加水分解する段階;
b)過剰の有機非プロトン性溶媒を除去する段階;
c)水の乏しい溶液を、水の添加により場合により希釈する段階;
d)上記のように得られた塩基のロスバスタチン塩水溶液を、場合により水と混和しない有機溶媒で洗浄する段階;
e)塩基のロスバスタチン塩水溶液を酸性にする段階;
f)結果生じたロスバスタチン酸を、水と混和しない有機溶媒で抽出する段階;
g)結果生じた前記抽出液から、水と混和しない有機溶媒を除去して、単離されたロスバスタチン遊離酸を得る段階;
を含む、前記方法。
【請求項15】
ロスバスタチンのCからCのアルキルエステルが、ロスバスタチンメチルである、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
ロスバスタチンのCからCのアルキルエステルが、ロスバスタチンtert−ブチルである、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
ロスバスタチンのCからCのアルキルエステルにおいてアルキルが、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、tert−ブチル基、アミル基、およびtert−アミル基を意味する、請求項1、10、および14に記載の方法。
【請求項18】
酢酸エチルが、水と混和しない溶媒である、請求項10および14に記載の方法。
【請求項19】
塩酸が、水溶液の酸性化のために使用される、請求項14e)に記載の方法。
【請求項20】
単離されたロスバスタチン遊離酸が、有機溶媒中のカチオン源と接触している、ロスバスタチン塩類の製造方法。
【請求項21】
単離されたロスバスタチン遊離酸が、有機溶媒中のカルシウム源と接触している、請求項20に記載のロスバスタチンカルシウムの製造方法。
【請求項22】
有機溶媒が、CからCのアルキル酢酸エステル類からなる群より選択される、請求項20および21に記載のロスバスタチンカルシウムの製造方法。
【請求項23】
単離されたロスバスタチン遊離酸が、0.1重量%未満の水含有量を有する、請求項20および21に記載のロスバスタチンカルシウムの製造方法。
【請求項24】
カルシウム源が、2−エチルヘキサン酸カルシウムである、請求項20から23に記載のロスバスタチンカルシウムの調製方法。
【請求項25】
単離されたロスバスタチン遊離酸が、アセトンおよび水との混合物中のカルシウム源と接触している、請求項20から24に記載のロスバスタチンカルシウム一水和物の調製方法。
【請求項26】
非結晶ロスバスタチンカルシウムが、アセトンおよび水との混合物中で接触している、請求項25に記載のロスバスタチンカルシウム一水和物の調製方法。
【請求項27】
HPLCを用いた面積百分率で測定された99.8%を超す純度を有する、請求項1から26のいずれかに基づいて調製された、固体状態の非結晶ロスバスタチンカルシウム。
【請求項28】
HPLCを用いた面積百分率で測定された99.9%を超す純度を有する、請求項1から27のいずれかに基づいて調製された、固体状態の非結晶ロスバスタチンカルシウム。
【請求項29】
0.1重量%未満の水含有量を有する、実質的に無水のロスバスタチンカルシウム。
【請求項30】
請求項1から請求項29のいずれかに基づいて調製されるロスバスタチンカルシウムを含む、血中コレステロールレベルの低下を必要としている哺乳類に投与するための医薬品製剤。
【請求項31】
血中コレステロールレベルの低下を必要としている哺乳類の治療方法であり、これを必要としている前記哺乳類に対し請求項30の医薬品製剤の投与段階を含む、前記方法。

【図1−1】
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【図1−2】
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【図2】
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【公表番号】特表2008−543899(P2008−543899A)
【公表日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−517414(P2008−517414)
【出願日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【国際出願番号】PCT/EP2006/006008
【国際公開番号】WO2006/136408
【国際公開日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【出願人】(504359293)レツク・フアーマシユーテイカルズ・デー・デー (60)
【Fターム(参考)】