説明

紙容器

【課題】 表面から第2ハーフカットで囲まれた部分を層間剥離させて開口させたストロー口に、ストローの差し込みを容易に行えるようにした紙容器を得る。
【解決手段】 表裏両面に熱可塑性樹脂層を積層した板紙基材によって有底の胴部3とその上を閉塞する頂部4とが形成され、頂部4に裏面からストロー口8となる第1ハーフカット9が設けられ、表面から第1ハーフカット9を囲むように第2ハーフカット10が設けられ、第2ハーフカット10はその剥離の糸口となる略弧状の剥離糸口端部11と、この剥離糸口端部11の両端から平行に連続して延びる平行直線部12、13とからなる略U字状の形状になっており、表面から前記剥離糸口端部11を起点として前記第2ハーフカット10で囲まれた部分10aを層間剥離させることによって前記ストロー口8を開口させる構造の紙容器であって、第2ハーフカット10は平行直線部12、13の開放端12a、13aの一方が他方より短く設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、牛乳やジュース等の液体飲料を収容する紙容器であって、頂部表面に形成されたハーフカットで囲まれた部分を層間剥離するとストロー口が開口するようになっている紙容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のこの種の紙容器として、図8に示すように、表裏両面に熱可塑性樹脂層を積層した板紙基材によって有底の胴部3とその上を閉塞する頂部4とが形成され、前記頂部4に裏面からストロー口8となる第1ハーフカット9が設けられ、表面から前記第1ハーフカット9を囲むように第2ハーフカット10が設けられ、前記第2ハーフカット10はその剥離の糸口となる略弧状の剥離糸口端部11と、この剥離糸口端部11の両端から平行に連続して延びる平行直線部12、13とからなる略U字状の形状になっており、表面から前記剥離糸口端部11を起点として前記第2ハーフカット10で囲まれた部分を層間剥離させることによって前記ストロー口8を開口させる構造となっているものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
このような構造を持つ紙容器にあって、前記第2ハーフカット10における剥離糸口端部11の両端から平行に連続して延びる2本の平行直線部12、13は、その長さが等しく、平行直線部12、13の両開放端12a、13aを結ぶ線Lは平行直線部に直交するようになっていた。
【特許文献1】実公昭60−34572号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記する従来の紙容器によれば、前記第2ハーフカット10における剥離糸口端部11の両端から平行に連続して延びる平行直線部12、13は、その長さが等しく、平行直線部12、13の両開放端12a、13aを結ぶ線Lは平行直線部12、13に直交するようになっていたので、前記剥離糸口端部11を起点として、前記第2ハーフカット10で囲まれた部分10aを、平行直線部12、13の両開放端12a、13aまで層間剥離させて前記ストロー口8を開口し、ストロー口8にストローを差し込もうとするとき、層間剥離させた前記第2ハーフカット10で囲まれた部分10aはストロー口8の上方に位置することになるため、前記第2ハーフカット10で囲まれた部分10aの存在がストロー口8へのストローの差し込みの妨げとなり、ストローを差し込み難くするおそれがあるといった問題があった。
【0005】
本発明の目的は、第2ハーフカットで囲まれた部分を層間剥離させて開口させたストロー口に、ストローの差し込みを容易に行えるようにした紙容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために請求項1に記載の発明は、表裏両面に熱可塑性樹脂層を積層した板紙基材によって有底の胴部とその上を閉塞する頂部とが形成され、前記頂部に裏面からストロー口となる第1ハーフカットが設けられ、表面から前記第1ハーフカットを囲むように第2ハーフカットが設けられ、前記第2ハーフカットはその剥離の糸口となる略弧状の剥離糸口端部と、この剥離糸口端部の両端から平行に連続して延びる平行直線部とからなる略U字状の形状になっており、表面から前記剥離糸口端部を起点として前記第2ハーフカットで囲まれた部分を層間剥離させることによって前記ストロー口を開口させる構造の紙容器であって、前記第2ハーフカットは前記平行直線部の開放端の一方が他方より短く設けられていることを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の、前記第2ハーフカットは、その剥離の糸口となる略弧状の剥離糸口端部が前記頂部と前記胴部の境界の頂部横罫線を越え前記胴部の平面部に渡って下向きに設けられていることを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の、前記平行直線部の両開放端を結ぶ線と前記平行直線部とのなす角度は20度以上90度未満であることを特徴とする。
【0009】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の、前記平行直線部の両開放端を結ぶ線と前記平行直線部とのなす角度は45度であることを特徴とする。
【0010】
請求項5に記載の発明は、請求項1、2、3または4に記載の、前記第2ハーフカットの剥離糸口端部が存在する前記頂部又は胴部の平面部に、前記第2ハーフカットを横切り又は剥離糸口端部の先端と一致し且つ前記頂部と前記胴部の境界の頂部横罫線の両端又はその近傍に繋がる成形補助折線が設けられていることを特徴とする。
【0011】
請求項6に記載の発明は、請求項1、2、3または4に記載の、前記第2ハーフカットの剥離糸口端部が存在する前記頂部又は胴部の平面部に、前記第2ハーフカットの左右の剥離糸口端部又はその近傍からそれぞれ延びて、前記頂部と前記胴部の境界の頂部横罫線のそれぞれ対応する一端又はその近傍に繋がる2本の成形補助折線が設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に係る紙容器によれば、前記第2ハーフカットは前記平行直線部の開放端の一方が他方より短く設けられているので、前記剥離糸口端部を起点として前記第2ハーフカットで囲まれた部分を、2本の平行直線部の両開放端まで層間剥離させて前記ストロー口を開口し、前記第2ハーフカットで囲まれた部分を2本の平行直線部の両開放端を結ぶ線で折り返したとき、層間剥離させた前記第2ハーフカットで囲まれた部分の折り返し部位が前記平行直線部に対して傾斜状態になるため、層間剥離させた前記第2ハーフカットで囲まれた部分はストロー口の上方から逸れて位置することになるので、層間剥離させた前記第2ハーフカットで囲まれた部分の存在がストロー口へのストローの差し込みの妨げとならず、ストロー口に対するストローの差し込みを容易に行うことができる。
【0013】
請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の、前記第2ハーフカットは、その剥離の糸口となる略弧状の剥離糸口端部が前記頂部と前記胴部の境界の頂部横罫線を越え前記胴部の平面部に渡って下向きに設けられているので、多段積での輸送中、紙容器頂部が上方に積まれた紙容器の底部による衝撃を受けても前記第2ハーフカットの前記剥離糸口端部が損傷するおそれがなく、また輸送中の振動で隣の紙容器に当たっても、前記剥離糸口端部の先端に剥離方向の力が加わらず、前記第2ハーフカットは前記剥離糸口端部で囲まれた部分が層間剥離するおそれが少ない。
【0014】
請求項3に記載の発明によれば、請求項1または2に記載の、前記平行直線部の両開放端を結ぶ線と前記平行直線部とのなす角度は20度以上90度未満であるので、前記剥離糸口端部を起点として前記第2ハーフカットで囲まれた部分を層間剥離させるに際し、前記第2ハーフカットで囲まれた部分を2本の平行直線部の両開放端まで無理なく層間剥離させることができるとともに、前記第2ハーフカットで囲まれた部分を2本の平行直線部の両開放端を結ぶ線で折り返したとき、層間剥離させた前記第2ハーフカットで囲まれた部分をストロー口の上方から逸れて位置させることができる。
【0015】
請求項4に記載の発明によれば、請求項3に記載の、前記平行直線部の両開放端を結ぶ線と前記平行直線部とのなす角度は45度であるので、前記剥離糸口端部を起点として前記第2ハーフカットで囲まれた部分を層間剥離させるに際し、前記第2ハーフカットで囲まれた部分を2本の平行直線部の両開放端まで無理なく容易に層間剥離させることができるとともに、前記第2ハーフカットで囲まれた部分を2本の平行直線部の両開放端を結ぶ線で折り返したとき、層間剥離させた前記第2ハーフカットで囲まれた部分をストロー口の上方から確実に逸れて位置させることができる。
【0016】
請求項5に記載の発明によれば、請求項1、2、3または4に記載の、前記第2ハーフカットの剥離糸口端部が存在する前記頂部又は胴部の平面部に、前記第2ハーフカットを横切り又は剥離糸口端部の先端と一致し且つ前記頂部と前記胴部の境界の頂部横罫線の両端又はその近傍に繋がる成形補助折線が設けられているので、ストロー口の開口に際し、前記頂部横罫線を押し下げると、山折り状態にあった前記頂部横罫線が谷折り状態となって凹み、前記平面部が成形補助折線で山折り状態となって突出し、前記平面部に設けられている前記第2ハーフカットの剥離の糸口となる剥離糸口端部で囲まれた部分の先端が層間剥離して浮き上がるので、剥離糸口端部で囲まれた部分が掴み易くなり、前記第2ハーフカットで囲まれた部分を容易に層間剥離することができることになり、ストロー口の開口を容易に行うことができる。
【0017】
請求項6に記載の発明は、請求項1、2、3または4に記載の、前記第2ハーフカットの剥離糸口端部が存在する前記頂部又は胴部の平面部に、前記第2ハーフカットの左右の剥離糸口端部又はその近傍からそれぞれ延びて、前記頂部と前記胴部の境界の頂部横罫線のそれぞれ対応する一端又はその近傍に繋がる2本の成形補助折線が設けられているので、ストロー口の開口に際し、前記頂部横罫線を押し下げると、山折り状態にあった前記頂部横罫線が谷折り状態となって凹み、前記平面部が成形補助折線で山折り状態となって突出し、前記平面部に設けられている前記第2ハーフカットの剥離の糸口となる剥離糸口端部の先端が層間剥離して浮き上がるので、剥離糸口端部で囲まれた部分が掴み易くなり、前記第2ハーフカットで囲まれた部分を容易に層間剥離することができることになり、ストロー口の開口を容易に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明に係る紙容器を実施するための最良の形態を、図面を参照して詳細に説明する。
【0019】
図1及び図2は本発明に係る紙容器の第1実施例を示したもので、図1は第1実施例の紙容器の斜視図、図2はストロー口を開口した状態を示す第1実施例の紙容器の斜視図である。
【0020】
本例は、本発明をゲーブルトップ紙容器1Aに実施した実施例であり、図1に示すように、表裏両面に熱可塑性樹脂層を積層した板紙基材によって形成されたものであって、4つの平面部2の隣接部が直角につながった構造の有底の胴部3の上部を切妻屋根型の頂部4で閉塞した構成となっている。切妻屋根型の頂部4は、切妻屋根面5とその両端を閉塞する妻壁6とによって構成されている。
【0021】
本例では、切妻屋根面5の平面部7に、その裏面からストロー口8となる第1ハーフカット9が設けられ、表面から第1ハーフカット9を囲むように第2ハーフカット10が設けられている。
【0022】
第2ハーフカット10はその剥離の糸口となる略弧状の剥離糸口端部11と、この剥離糸口端部11の両端から平行に連続して延びる平行直線部12、13とからなる略U字状の形状になっており、表面から剥離糸口端部11を起点として第2ハーフカット10で囲まれた部分10aを層間剥離させることによって前記ストロー口8を開口させる構造となっている。また、略弧状の剥離糸口端部11にあっては、本例では円弧状となっているが、これに限定されるものではなく、図示しないが、剥離糸口端部11の先端11aを頂点とした三角形状になっていてもよく、台形状になっていてもよく、多角形状になっていてもよい。
【0023】
略U字状の形状となっている第2ハーフカット10の2本の平行直線部12、13は、いずれかの開放端の一方が他方より短く設けられている。本例では、平行直線部13の開放端13aが平行直線部12の開放端12aより短く設けられている。
【0024】
平行直線部12、13の両開放端12a、13aを結ぶ線Lと平行直線部12、13とのなす角度θにあっては特に限定されないが、角度θは20度以上90度未満が好ましく、特に45度であることが好ましい。この角度θが小さいと、後述する第2ハーフカット10で囲まれた部分10aを平行直線部12、13の両開放端12a、13aまで層間剥離させ折り返したとき、第2ハーフカット10で囲まれた部分10aの折り返し方向とストロー口8の開口位置に大きな角度差ができ、第2ハーフカット10で囲まれた部分10aがストロー口8の上方から大きく逸れて位置することになるので、層間剥離した第2ハーフカット10で囲まれた部分10aの存在がストロー口8へのストローの差し込みの妨げとならず、ストロー口8に対するストローの差し込みをより容易に行うことができるものとなるが、第2ハーフカット10で囲まれた部分10aを平行直線部12、13の開放端12a、13aまで層間剥離させることに難が生じることになる。また、この角度θが大きいと、第2ハーフカット10で囲まれた部分10aを平行直線部12、13の両開放端12a、13aまで容易に層間剥離させるものとなるが、第2ハーフカット10で囲まれた部分10aを平行直線部12、13の両開放端12a、13aまで層間剥離させ折り返したとき、第2ハーフカット10で囲まれた部分10aの折り返し方向とストロー口8の開口位置の角度差が小さく、第2ハーフカット10で囲まれた部分10aがストロー口8の上方からあまり逸れずに位置することになるので、ストロー口8に対してストローを差し込むときの容易性が減ずるものとなる。
【0025】
このような構造のゲーブルトップ紙容器1Aによれば、略U字状の形状となっている第2ハーフカット10の平行直線部12、13は、平行直線部13の開放端13aが平行直線部12の開放端12aより短く設けられているので、剥離糸口端部11を起点として、第2ハーフカット10で囲まれた部分10aを、平行直線部12、13の両開放端12a、13aまで層間剥離させてストロー口8を開口し、第2ハーフカット10で囲まれた部分10aを平行直線部12、13の両開放端12a、13aを結ぶ線Lで折り返したとき、層間剥離させた第2ハーフカット10で囲まれた部分10aの折り返し部位16が平行直線部12、13に対して傾斜状態になるため(図2)、層間剥離させた第2ハーフカット10で囲まれた部分10aはストロー口8の上方から逸れて位置することになり、層間剥離した第2ハーフカット10で囲まれた部分10aの存在がストロー口8へのストローの差し込みの妨げとならず、ストロー口8に対するストローの差し込みを容易に行える。
【0026】
本例では、平行直線部12、13の両開放端12a、13aを結ぶ線Lと平行直線部12、13とのなす角度θが45度となっているので、剥離糸口端部11を起点として第2ハーフカット10で囲まれた部分10aを層間剥離させるに際し、第2ハーフカット10で囲まれた部分10aを平行直線部12、13の両開放端12a,13aまで無理なく容易に層間剥離させることができるとともに、前記第2ハーフカット10で囲まれた部分10aの折り返し部位16を平行直線部12、13の両開放端12a、13aを結ぶ線Lで折り返したとき、層間剥離させた第2ハーフカット10で囲まれた部分10aをストロー口8の上方から確実に逸れて位置させることができる。
【0027】
図3乃至図5は本発明に係る紙容器の第2実施例を示したもので、図3は第2実施例の紙容器の斜視図、図4は第2実施例の紙容器の頂部横罫線に下向きの押圧力を加えることにより変形した第2実施例の紙容器の斜視図、図5はストロー口を開口した状態を示す第2実施例の紙容器の斜視図である。なお、前述した第1実施例と対応する部分には、同一符号を付けて示している。
【0028】
本例も、本発明をゲーブルトップ紙容器1Aに実施した実施例であり、本例のゲーブルトップ紙容器1Aも、第1実施例と同様に、切妻屋根面5の平面部7に、その裏面からストロー口8となる第1ハーフカット9が設けられ、表面から第1ハーフカット9を囲むように第2ハーフカット10が設けられている。
【0029】
第2ハーフカット10も、第1実施例と同様に、剥離の糸口となる略円弧状の剥離糸口端部11と、この剥離糸口端部11の両端から平行に連続して延びる平行直線部12、13とからなる略U字状の形状になっており、第2ハーフカット10の平行直線部12、13にあっては、平行直線部13の開放端13aが平行直線部12の開放端12aより短く設けられている。
【0030】
また、本例のゲーブルトップ紙容器1Aは、本例では、切妻屋根面5の平面部7に、第2ハーフカット10との間に僅かの隙間Sを空けた状態で第2ハーフカット10の左右の剥離糸口端部11の近傍からそれぞれ延びて、頂部横罫線14のそれぞれ対応する一端に繋がる成形補助折線15a、15bが設けられている。なお、成形補助折線15a、15bにあっては本例に限られるものではなく、図示しないが、頂部横罫線14のそれぞれ対応する一端の近傍に繋がるようになっていてもよく、また、第2ハーフカット10の左右の剥離糸口端部11からそれぞれ延びて、頂部横罫線14のそれぞれ対応する一端又はその近傍に繋がるようになっていてもよい。
【0031】
その他の構成は、第1実施例と同様なので第1実施例の説明を援用する。
【0032】
このような構造のゲーブルトップ紙容器1Aによれば、前記第1実施例と同様の効果を得ることができ、さらに、本例では第2ハーフカット10の剥離糸口端部11が存在する切妻屋根面5の平面部7に、第2ハーフカット10との間に僅かの隙間Sを空けた状態で第2ハーフカット10の左右の剥離糸口端部11の近傍からそれぞれ延びて、頂部横罫線14のそれぞれ対応する一端に繋がる成形補助折線15a、15bが設けられているので、ストロー口8の開口に際し、頂部横罫線14を押し下げると、山折り状態にあった頂部横罫線14が谷折り状態となって凹み、平面部7が成形補助折線15a、15bで山折り状態となって突出し、平面部7に設けられている第2ハーフカット10の剥離の糸口となる剥離糸口端部11で囲まれた部分の先端11aが層間剥離して浮き上がるので(図4)、剥離糸口端部11で囲まれた部分が掴み易くなり、第2ハーフカット10で囲まれた部分10aを容易に層間剥離することができることになる。
【0033】
図6は本発明に係る紙容器の第3実施例を示した斜視図である。なお、前述した第1実施例と対応する部分には、同一符号を付けて示している。
【0034】
本例も、本発明をゲーブルトップ紙容器1Aに実施した実施例であり、本例のゲーブルトップ紙容器1Aも、第1実施例と同様に、切妻屋根面5の平面部7に、その裏面からストロー口8となる第1ハーフカット9が設けられ、表面から第1ハーフカット9を囲むように第2ハーフカット10が設けられている。
【0035】
この第2ハーフカット10も、第1実施例と同様に、剥離の糸口となる略円弧状の剥離糸口端部11と、この剥離糸口端部11の両端から平行に連続して延びる平行直線部12、13とからなる略U字状の形状になっており、第2ハーフカット10の平行直線部12、13にあっては、平行直線部13の開放端13aが平行直線部12の開放端12aより短く設けられている。
【0036】
本例では、第2ハーフカット10は、その剥離の糸口となる剥離糸口端部11が、切妻屋根面5の平面部7と胴部3の境界の頂部横罫線14を越えて胴部3の平面部2に渡って下向きに延びて設けられている。頂部横罫線14と交わる部分からその先端までの第2ハーフカット10の長さは、特に限定されないが5〜50mmであることが好ましい。
【0037】
また、本例では、第2ハーフカット10の剥離糸口端部11が存在する胴部3の平面部2に、第2ハーフカット10を横切り且つ頂部横罫線14の両端に繋がる成形補助折線15が設けられている。成形補助折線15にあっては本例に限られるものではなく、図示しないが、頂部横罫線14の両端の近傍に繋がるようになっていてもよく、また、第2ハーフカット10の剥離糸口端部11の先端11aと一致し且つ頂部横罫線14の両端又はその近傍に繋がるようになっていてもよい。また、成形補助折線15は、本例では円弧形となっているが、これに限定されない。
【0038】
その他の構成は、第1実施例と同様なので第1実施例の説明を援用する。
【0039】
このような構造のゲーブルトップ紙容器1Aによれば、前記第1実施例及び第2実施例と同様の効果を得ることができ、さらに、本例では、第2ハーフカット10は、剥離糸口端部11が切妻屋根面5の平面部7と胴部3の境界の頂部横罫線14を越え胴部3の平面部2に渡って下向きに設けられているので、多段積での輸送中、切妻屋根面5が上方に積まれたゲーブルトップ紙容器1Aの底部による衝撃を受けても第2ハーフカット10の剥離糸口端部11が損傷するおそれがなく、また輸送中の振動で隣のゲーブルトップ紙容器1Aに当たっても、剥離糸口端部11の先端11aに剥離方向の力が加わらず、第2ハーフカット10は剥離糸口端部11で囲まれた部分11aが層間剥離するおそれがないといった効果が得られる。
【0040】
図7は本発明に係る紙容器の第4実施例を示した斜視図である。なお、前述した第1実施例と対応する部分には、同一符号を付けて示している。
【0041】
本例は、本発明を平らな屋根をもつフラットトップ紙容器1Bに実施した実施例であり、図7に示すように、表裏両面に熱可塑性樹脂層を積層した板紙基材によって形成されたものであって、4つの平面部2の隣接部が直角につながった構造の有底の胴部3とその上を閉塞するフラット屋根の頂部4とで形成された構造になっている。
【0042】
本例も、第1実施例と同様に、頂部4の平面部17に、その裏面からストロー口8となる第1ハーフカット9が設けられ、表面から第1ハーフカット9を囲むように第2ハーフカット10が設けられている。
【0043】
この第2ハーフカット10も、第1実施例と同様に、剥離の糸口となる剥離糸口端部11と、この剥離糸口端部11の両端から平行に連続して延びる平行直線部12、13とからなる略U字状の形状になっており、第2ハーフカット10の平行直線部12、13にあっては、平行直線部13の開放端13aが平行直線部12の開放端12aより短く設けられている。
【0044】
また、本例では、第2ハーフカット10は、その剥離の糸口となる略円弧状の剥離糸口端部11が頂部4と胴部3の境界の頂部横罫線14と第1ハーフカット9との間に設けられている。そして、頂部4には、第2ハーフカット10との間に僅かの隙間Sを空けた状態で第2ハーフカット10の左右の剥離糸口端部11の近傍からそれぞれ延びて、頂部横罫線14のそれぞれ対応する一端に繋がる成形補助折線15a、15bが設けられている。
【0045】
その他の構成は、第1実施例と同様なので第1実施例の説明を援用する。
【0046】
このような構造のフラットトップ紙容器1Bによれば、前記第1実施例と同様の効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明に係る紙容器の第1実施例を示す斜視図である。
【図2】ストロー口を開口した状態を示す第1実施例の紙容器の斜視図である。
【図3】本発明に係る紙容器の第2実施例を示す斜視図である。
【図4】第2実施例の紙容器の頂部横罫線に下向きの押圧力を加えることにより変形した状態を示す斜視図である。
【図5】ストロー口を開口した状態を示す第2実施例の紙容器の斜視図である。
【図6】本発明に係る紙容器の第3実施例を示す斜視図である。
【図7】本発明に係る紙容器の第4実施例を示す斜視図である。
【図8】従来の紙容器を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0048】
1A ゲーブルトップ紙容器
1B フラットトップ紙容器
2 平面部
3 胴部
4 頂部
5 切妻屋根面
6 妻壁
7 平面部
8 ストロー口
9 第1ハーフカット
10 第2ハーフカット
10a 第2ハーフカットで囲まれた部分
11 剥離糸口端部
11a 先端
12、13 平行直線部
12a、13a 開放端
14 頂部横罫線
15,15a,15b 成形補助折線
16 折り返し部位
17 平面部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表裏両面に熱可塑性樹脂層を積層した板紙基材によって有底の胴部とその上を閉塞する頂部とが形成され、前記頂部に裏面からストロー口となる第1ハーフカットが設けられ、表面から前記第1ハーフカットを囲むように第2ハーフカットが設けられ、前記第2ハーフカットはその剥離の糸口となる略弧状の剥離糸口端部と、この剥離糸口端部の両端から平行に連続して延びる平行直線部とからなる略U字状の形状になっており、表面から前記剥離糸口端部を起点として前記第2ハーフカットで囲まれた部分を層間剥離させることによって前記ストロー口を開口させる構造の紙容器であって、前記第2ハーフカットは前記平行直線部の開放端の一方が他方より短く設けられていることを特徴とする紙容器。
【請求項2】
前記第2ハーフカットは、その剥離の糸口となる略弧状の剥離糸口端部が前記頂部と前記胴部の境界の頂部横罫線を越え前記胴部の平面部に渡って下向きに設けられていることを特徴とする請求項1に記載の紙容器。
【請求項3】
前記平行直線部の両開放端を結ぶ線と前記平行直線部とのなす角度は20度以上90度未満であることを特徴とする請求項1または2に記載の紙容器。
【請求項4】
前記平行直線部の両開放端を結ぶ線と前記平行直線部とのなす角度は45度であることを特徴とする請求項3に記載の紙容器。
【請求項5】
前記第2ハーフカットの剥離糸口端部が存在する前記頂部又は胴部の平面部に、前記第2ハーフカットを横切り又は剥離糸口端部の先端と一致し且つ前記頂部と前記胴部の境界の頂部横罫線の両端又はその近傍に繋がる成形補助折線が設けられていることを特徴とする請求項1、2、3または4に記載の紙容器。
【請求項6】
前記第2ハーフカットの剥離糸口端部が存在する前記頂部又は胴部の平面部に、前記第2ハーフカットの左右の剥離糸口端部又はその近傍からそれぞれ延びて、前記頂部と前記胴部の境界の頂部横罫線のそれぞれ対応する一端又はその近傍に繋がる2本の成形補助折線が設けられていることを特徴とする請求項1、2、3または4に記載の紙容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−83885(P2009−83885A)
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−254415(P2007−254415)
【出願日】平成19年9月28日(2007.9.28)
【出願人】(502394520)日本紙パック株式会社 (33)
【Fターム(参考)】