説明

紙幣処理装置

【課題】一定枚数の紙幣をクリップで挟みつけて束ねることで、束を解いたときそのクリップを回収して繰り返し再利用できるようにし、資源の無駄を生じないようにする。
【解決手段】移送機構9により移送されてくる一定枚数の紙幣Mを結束機構10の上部搬送ベルト13及び下部搬送ベルト14で挟持して搬送し、その搬送経路上にクリップ供給部17によりクリップ18を開口部側を紙幣搬送方向の上流側に向けた状態で供給することで、一定枚数の紙幣Mの先端に引っ掛けられたクリップ18をローラ15、16と同軸に設けた押圧ローラにより押圧することでクリップ18を閉じ、これにより一定枚数の紙幣Mをクリップ18で挟みつけることで紙幣Mを束ねるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、投入された紙幣を計数し、計数した紙幣を一時集積部に集積して、一定枚数毎に紙幣を結束処理する紙幣処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
銀行等の金融機関で運用されている従来の紙幣整理装置は、オペレータにより投入部にセットされた多数枚の紙幣を1枚ずつ鑑別部に搬送して真偽等の鑑別を行うと共に、金種毎の紙幣の計数を行った後、金種別あるいは正券損券別等に一時集積部に集積し、集積枚数が一定数(例えば100枚)に達すると、その紙幣を移送機構により結束部に送り、結束部で紙テープ等の結束材により束ねて放出口から放出するものとなっている。
【特許文献1】特開2002−197509号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上述した従来の技術においては、以下の問題がある。
近年、エコロジーの観点から、社会全体で資源の節減が大きな問題となっているが、 上記のように紙幣を束ねる結束材は、束を解いたとき再利用することができないために廃棄するほかなく、したがって上述した従来の紙幣整理装置では資源の無駄を生じるという問題がある。
【0004】
本発明は、このような問題を解決することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そのため、本発明は、紙幣を計数して一時集積部に集積し、一定枚数毎に紙幣を結束機構に移送して結束機構により紙幣を束ねる紙幣処理装置において、前記結束機構は前記一定枚数の紙幣を搬送する搬送手段と、この搬送手段による紙幣の搬送経路上にクリップを開口部側を紙幣側に向けた状態で供給するクリップ供給手段と、前記搬送手段により搬送されてくる前記一定枚数の紙幣の先端に引っ掛けられたクリップを閉じるように押圧する押圧手段を備え、この押圧手段により閉じたクリップが前記一定枚数の紙幣を挟みつけることで紙幣を束ねることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
このようにした本発明は、一定枚数の紙幣をクリップで挟みつけて束ねるようにしているため、束を解いたときそのクリップを回収することで、繰り返し再利用が可能になり、そのため資源の無駄を生じないという効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、図面を参照して本発明による紙幣処理装置の実施例を説明する。
【実施例】
【0008】
図1は実施例による紙幣処理装置の内部構造を示す概略側面図、図2は第1の実施例の紙幣結束機構の側面図である。
図において1は紙幣の投入部で、装置正面の上部に設けられている。
2は紙幣の真偽、金種、正損、表裏等の鑑別、及び計数を行うと共に、搬送異常の検出を行う鑑別部で、装置内に設けられている。
【0009】
3a〜3eは紙幣を挟持して搬送する搬送路、4は紙幣の表裏反転を行う表裏反転部で、この表裏反転部4は装置内の鑑別部2の後段に位置するように設けられている。
5は結束対象外の金種の紙幣を集積するオープンポケットで、装置の上面に設けられており、このオープンポケット5に集積された紙幣はオペレータが直接アクセスできるものとなっている。
【0010】
6は装置内下部に設けられた集積機構で、本実施例においてこの集積機構6には縦1列に4つの一時集積部6a〜6dが並べて配置されていて、各一時集積部6a〜6dに万、五千、二千、千の4金種の紙幣が金種別にそれぞれ予め定められた枚数、例えば本実施例では100枚の紙幣を前後左右を揃えて整列して集積できるようになっており、また各一時集積部6a〜6dには集積された紙幣を検知する図示しない紙幣検知センサが設けられている。
【0011】
尚、一時集積部は4つに限らず、取扱い金種の数以上であればよい。
7は装置上面においてオープンポケット5の後方に位置するように設けられた操作表示部で、LCD等の表示手段とその表面に配置した入力手段であるタッチパネルによって構成されており、オペレータはこの操作表示部7を操作してモードの指定や、一時集積部6a〜6dに集積する紙幣の金種、集積順序等の設定を行うものとなっている。
【0012】
また、この操作表示部7には鑑別部2で鑑別された紙幣の金種や正損及び計数結果等の表示も行われる。
8は鑑別部2で金種不明と鑑別されたりあるいは搬送異常が検知されたリジェクト紙幣を集積するリジェクトポケットで、前記投入部1の上方に設けられており、このリジェクトポケット8に集積された紙幣にオペレータが直接アクセスできるものとなっている。
【0013】
ここで搬送路3a〜3eについて説明すると、搬送路3aは投入部1から鑑別部2を経て分岐点Aにいたるように設けられ、搬送路3bは分岐点Aからリジェクトポケット8にいたるように設けられている。
また、搬送路3cは分岐点Aから表裏反転部4を経て分岐点Bにいたるように設けられており、そして搬送路3dは分岐点Bから図2に示したように装置の下部に伸びて集積機構6の一時集積部6a〜6dに沿うように設けられ、更に搬送路3eは分岐点Bからオープンポケット5にいたるように設けられている。
【0014】
尚、分岐点A、Bのそれぞれの近傍には紙幣の搬送方向を切替える図示しない切替えブレードが設けられ、後述する制御部により動作制御されるものとなっている。
9は移送機構、10は紙幣結束機構で、両者とも装置内に設けられており、移送機構9は一時集積部6a〜6dに100枚の紙幣が前後左右を揃えて整列して集積されると、その紙幣を整列したまま抜取って紙幣結束機構10に移送するように構成され、紙幣結束機構10は移送機構9により移送されてきた紙幣を再利用可能なクリップで結束して紙幣束を作成するように構成されている。
【0015】
11は紙幣結束機構10で作成された紙幣束を放出する放出口である。
12は図示しない記憶部に格納された制御プログラムに基づいて本紙幣処理装置全体の動作処理制御を行う制御部である。
本実施例の紙幣結束機構10は、図1に示したようにそれぞれ複数のローラ(プーリ)に支持された紙幣搬送手段としての上下に対向する上部搬送ベルト13と下部搬送ベルト14を備えており、この両搬送ベルト13と14はそれぞれ複数のローラに支持され、図示しないモータ等の駆動源により駆動されるものとなっている。
【0016】
そして、上部搬送ベルト13は放出口11側のローラ15を中心に上下方向に回動可能になっており、これにより上部搬送ベルト13は移送機構9側の端部は下部搬送ベルト14に対して接近、離反可能となっていて、下部搬送ベルト14から離れて開いた状態で移送機構9から紙幣Mを受取るようになっている。
また、紙幣結束機構10には、クリップ供給部(クリップ供給手段)17が設けられ、このクリップ供給部17は本実施例で紙幣の結束に用いられるクリップ18を1列に収納するクリップケース19を有し、クリップケース19は装置前面より引出せるようになっている。
【0017】
クリップ18は金属板により略コの字形に形成されていて中央部にバネ機能を有し、開口部側を一定角度開くとその状態が保持され、閉じる方向に力を加える中央部のバネ機能により閉じるようになっていて、使用前は開いた状態でクリップ18に収納されている。
またクリップケース19内には図示しない外部のモータ等からの駆動力を受けてクリップ18をクリップケース19上に押出す押出し部材が設けられ、この押出し部材によりクリップ18は紙幣搬送方向の上流側(移送機構9側)に開口部を向けた状態で上部搬送ベルト13と下部搬送ベルト14による紙幣の搬送経路上に供給されるものとなっている。
【0018】
尚、上部搬送ベルト13と下部搬送ベルト14は紙幣Mの幅方向(長手方向)に複数組配置され低手紙幣を短手方向に搬送するように構成され、クリップ供給部17は下部搬送ベルト14間に配置されている。
搬送ベルト13、14を回転させる放出口11側のローラ15、16と同軸に図示しない押圧ローラ(押圧手段)が設けられ、この押圧ローラによりクリップ18は押圧されるようになっている。
【0019】
上述した構成の作用について説明する。
尚、以下に説明する各部の動作は、上述したように図示しない記憶部に格納されたプログラム(ソフトウェア)に基づいて制御部12により制御されるものとする。
オペレータが複数の金種が混在している紙幣Mを投入口1にセットし、操作表示部7を操作して紙幣の結束を指示すると、投入口1から1枚ずつ紙幣Mが分離されて搬送路3aにより鑑別部2に搬送され、鑑別部2で紙幣の真偽、金種、表裏等の鑑別と計数、及び搬送異常の有無の検出が行われる。
【0020】
その結果、偽あるいは金種不明と鑑別された紙幣M、及び重送等の搬送異常が検出された紙幣Mは搬送路3bによりリジェクトポケット8に搬送されて集積され、オペレータに返却されるが、真券と鑑別された紙幣Mは搬送路3cにより表裏反転部4に搬送され、表裏鑑別結果に応じて表裏が揃えられた後、搬送路3dにより集積機構6に搬送されて金種別あるいは正券損券別に一時集積部6a〜6dに集積される。
【0021】
尚、オペレータにより結束する紙幣Mの金種が指定されていた場合は、指定金種以外の紙幣Mは搬送路3c及び3eによりオープンポケット5に搬送されて集積される。
一時集積部6a〜6dのいずれかに集積された紙幣Mが一定枚数(例えば100枚)に達すると、その紙幣Mは移送機構9により抜取られて紙幣結束機構10まで搬送され、そのまま紙幣結束機構10に送込まれる。
【0022】
このとき紙幣結束機構10の上部搬送ベルト13の一端は下部搬送ベルト14から離れて開いており、移送機構9により一定枚数の紙幣Mが上下の搬送ベルト13,14間に送り込まれると、上部搬送ベルト13の一端は下部搬送ベルト14側に近づいて閉じ、これにより紙幣Mは上下の搬送ベルト13、14間に挟持される。
その後、搬送ベルト13、14により紙幣Mは放出口11側に搬送されるが、その搬送途中に搬送方向の上流側に開口部を向けた状態でクリップ18がクリップケース19上に押出されて保持されているので、紙幣Mの先端部がクリップ18に押込まれ、そしてクリップ18は紙幣Mと共に搬送され、更に搬送ベルト13、14を回転させるローラ15、16と同軸に設けられた押圧ローラ間を通過する際、この押圧ローラによりクリップ18は押圧されてバネ機能により閉じ、一定枚数の紙幣Mを挟みつける。
【0023】
これにより一定枚数の紙幣Mはクリップ18で束ねられて紙幣束となり、放出口11からオペレータに放出される。
以上説明した第1の実施例によれば、一定枚数の紙幣を金属製のクリップで挟みつけて束ねるようにしているため、束を解いたときそのクリップを回収することで繰り返し再利用が可能になり、そのため、資源の無駄を生じないという効果が得られる。
【0024】
尚、上述した実施例では、中央部にバネ機能を有するクリップを用いるものとしたが、塑性変形する金属製のクリップであってもよい。
図3は本発明の第2の実施例を示す紙幣結束機構の平面図である。
本実施例における紙幣結束機構10は第1の実施例のクリップ供給部17及びローラ15、16と同軸に設けられた押圧ローラに代えて、接着剤塗布部(接着剤塗布手段)20と、接着剤を乾燥硬化させるヒータ(加熱手段)21を上下の搬送ベルト13,14による紙幣搬送経路の一側に配置したもので、接着剤塗布部20は上下の搬送ベルト13,14により搬送される一定枚数の紙幣Mの一側に市販されている冊子状のメモ用紙に使用される糊と同様の接着剤を接着剤供給口20aから供給して一定枚数の紙幣Mの厚さ全体に塗布するように構成されている。
【0025】
この他の構成は第1の実施例と同様であるので、同一の符号を付してその説明を省略する。
上述した構成の作用について説明する。
この第2の実施例における各部の動作も図示しない記憶部に格納されたプログラム(ソフトウェア)に基づいて制御部12により制御されるものとする。
【0026】
一定枚数の紙幣Mが一時集積部6a〜6dに集積され、その紙幣Mが移送機構9により紙幣結束機構10に移送されて上下の搬送ベルト13、14間に挟持されるまでの処理は第1の実施例と同様に行われる。
搬送ベルト13、14間に一定枚数の紙幣Mが挟持されると、搬送ベルト13、14により紙幣Mは放出口11側に搬送されるが、その搬送途中で接着剤塗布部20の接着剤供給口20aから一定枚数の紙幣Mの一側面に接着剤が供給されて塗布される。
【0027】
その後、紙幣Mはヒータ21の位置まで搬送され、接着剤がヒータ21により加熱されて乾燥固化される。
これにより一定枚数の紙幣Mは接着剤で束ねられ、その紙幣Mの束は搬送ベルト13、14により放出口11に搬送されてオペレータに放出される。
以上説明したように、第2の実施例では、一定枚数の紙幣の一側面に接着剤を塗布することで紙幣を束ねるようにしているため、束を解いたとき結束材として少量の接着剤が紙幣に付着するのみで、廃棄する結束材とならないため、資源の無駄を生じないという効果が得られ、しかもクリップの回収という手間もかからないものとなる。
【0028】
図4は本発明の第3の実施例を示す紙幣結束機構の平面図である。
本実施例における紙幣結束機構10は上下の搬送ベルト13、14に代えてターンテーブル22とその上方に位置するピン23を搬送手段として配置したもので、ターンテーブル22は図示しない機構により紙幣Mの前後方向つまり第1、第2の実施例における紙幣Mの搬送方向及び逆方向に移動可能となっており、またピン23はターンテーブル22と同様に動作すると共にターンテーブル22上に紙幣Mの中央を押えることができるように上下動可能となっている。
【0029】
また、本実施例の紙幣結束機構10はターンテーブル22上から紙幣Mの束を放出口11に送出す図示しない送出手段を有している。
この他の構成は第2の実施例と同様であるので、同一の符号を付してその説明を省略する。
上述した構成の作用について説明する。
【0030】
この第3の実施例における各部の動作も図示しない記憶部に格納されたプログラム(ソフトウェア)に基づいて制御部12により制御されるものとする。
一定枚数の紙幣Mが一時集積部6a〜6dに集積され、その紙幣Mが移送機構9により紙幣結束機構10に移送されるまでの処理は第1の実施例と同様に行われる。
移送機構9により紙幣結束機構10に移送された紙幣Mはターンテーブル22上に送り込まれる。
【0031】
このときピン23は上昇した位置に待機しており、移送機構9により一定枚数の紙幣Mがターンテーブル22上に送り込まれると、ピン23が下降して紙幣Mの整列状態が崩れないように紙幣Mをターンテーブル22に押さえ付ける。
この状態でターンテーブル22と共にピン23が前進して紙幣Mが放出口11側に搬送されるが、その搬送途中で接着剤塗布部20の接着剤供給口20aから一定枚数の紙幣Mの一側面に接着剤が供給されて塗布される。
【0032】
その後、紙幣Mはヒータ21の位置まで搬送され、接着剤がヒータ21により加熱されて乾燥固化される。
続いて、ターンテーブル22及びピン23が180度回転し、これにより紙幣Mは前後が逆になって接着剤が塗布されてない方の側面がヒータ21側つまり接着剤塗布部20側に向くので、ターンテーブル22をピン23と共に後退させて紙幣Mを接着剤塗布部20の接着剤供給口20aの位置まで戻した後、再び紙幣Mを放出口11側に搬送するが、その搬送途中で接着剤塗布部20の接着剤供給口20aから一定枚数の紙幣Mの側面に接着剤が供給されて塗布される。
【0033】
その後、紙幣Mはヒータ21の位置まで搬送され、接着剤がヒータ21により加熱されて乾燥固化される。
これにより一定枚数の紙幣Mは両側が接着剤で束ねられるので、ここでピン23が上昇して紙幣Mの束から離れ、そして図示しない送出手段により紙幣Mの束は放出口11に送出され、放出口11からオペレータに放出される。
【0034】
以上説明したように、第3の実施例では、一定枚数の紙幣の両側面に接着剤を塗布することで紙幣を束ねるようにしているため、第2の実施例と同様の効果が得られるほか、複数の紙幣束を搬送するとき、紙幣束同士が噛合って不要な力が加わることで紙幣束が解けるのを防止できるという効果も得られる。
尚、上述した第3の実施例においてターンテーブル22を紙幣Mの搬送方向と直交する方向である左右方向にも移動可能として、一定枚数の紙幣Mの4面に接着剤を塗布するようにしてもよい。
【0035】
図5は本発明の第4の実施例を示す紙幣結束機構の平面図である。
本実施例における紙幣結束機構10は第2の実施例における接着剤塗布部20に代えて接着剤印字部(接着剤印字手段)24を設けたものである。
この接着剤印字部24は、公知のインパクト式ドットプリンタのように複数本のドットワイヤを有するドットインパクト式の印字ヘッドとリボンカートリッジを備えるもので、リボンカートリッジとして本実施例では、市販されている冊子状のメモ用紙に使用される糊と同様の接着剤にインクを混入した着色接着剤を帯状の布材に浸み込ませた印字リボンを所定のカートリッジケースに収納すると共にその印字リボンをカートリッジケース外に供給して印字に供するように構成したリボンカートリッジを用いる。
【0036】
この他の構成は第2の実施例と同様であるので、同一の符号を付してその説明を省略する。
上述した構成の作用について説明する。
この第4の実施例における各部の動作も図示しない記憶部に格納されたプログラム(ソフトウェア)に基づいて制御部12により制御されるものとする。
【0037】
一定枚数の紙幣Mが一時集積部6a〜6dに集積され、その紙幣Mが移送機構9により紙幣結束機構10に移送されて上下の搬送ベルト13、14間に挟持されるまでの処理は第1の実施例と同様に行われる。
搬送ベルト13、14間に一定枚数の紙幣Mが挟持されると、搬送ベルト13、14により紙幣Mは放出口11側に搬送されるが、その搬送途中で接着剤印字部24により一定枚数の紙幣Mの一側面に所定の印字、例えば金融機関名及び紙幣束作成日を示す年月日が印字される。
【0038】
すなわち、接着剤印字部24の印字ヘッドが駆動され、ドットワイヤが着色接着剤リボンを介して一定枚数の紙幣Mの一側面を打撃することで、着色接着剤が一定枚数の紙幣Mの一側面に印字により塗布される。
図6はこの場合の印字例を示す図で、一定枚数の紙幣Mの厚さ全体に亘るように金融機関名及び紙幣束作成日を示す年月日が印字されている。
【0039】
印字後紙幣Mはヒータ21の位置まで搬送され、着色接着剤がヒータ21により加熱されて乾燥固化される。
これにより一定枚数の紙幣Mは着色接着剤で束ねられ、その紙幣Mの束は搬送ベルト13、14により放出口11に搬送されてオペレータに放出される。
以上説明したように、第4の実施例では、一定枚数の紙幣の一側面に着色接着剤を印字により付着させることで紙幣を束ねるようにしているため、第2の実施例と同様の効果が得られ、しかも金融機関名及び紙幣束作成日を示す年月日を印字できるという効果も得られる。
【0040】
尚、上述した第4の実施例において接着剤塗布部20と接着剤印字部24を並べて配置し、接着剤塗布部20により一定枚数の紙幣の一側面に接着剤を塗布した後、着色接着剤による印字を行うようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】実施例による紙幣処理装置の内部構造を示す概略側面図
【図2】第1の実施例の紙幣結束機構の側面図
【図3】第2の実施例の紙幣結束機構の平面図
【図4】第3の実施例の紙幣結束機構の平面図
【図5】第4の実施例の紙幣結束機構の平面図
【図6】第4の実施例における印字例を示す図
【符号の説明】
【0042】
1 投入部
2 鑑別部
3a〜3e 搬送路
6 集積機構
6a〜6d 一時集積部
7 操作表示部
9 移送機構
10 紙幣結束機構
11 放出口
12 制御部
13 上部搬送ベルト
14 下部搬送ベルト
15、16 ローラ
17 クリップ供給部
18 クリップ
19 クリップケース
20 接着剤塗布部
21 ヒータ
22 ターンテーブル
23 ピン
24 接着剤印字部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙幣を計数して一時集積部に集積し、一定枚数毎に紙幣を結束機構に移送して結束機構により紙幣を束ねる紙幣処理装置において、
前記結束機構は前記一定枚数の紙幣を搬送する搬送手段と、
この搬送手段による紙幣の搬送経路上にクリップを開口部側を紙幣側に向けた状態で供給するクリップ供給手段と、
前記搬送手段により搬送されてくる前記一定枚数の紙幣の先端に引っ掛けられたクリップを閉じるように押圧する押圧手段を備え、
この押圧手段により閉じたクリップが前記一定枚数の紙幣を挟みつけることで紙幣を束ねることを特徴とする紙幣処理装置。
【請求項2】
紙幣を計数して一時集積部に集積し、一定枚数毎に紙幣を結束機構に移送して結束機構により紙幣を束ねる紙幣処理装置において、
前記結束機構は前記一定枚数の紙幣を搬送する搬送手段と、
この搬送手段による紙幣の搬送経路の一側に設けられた接着剤供給手段及び加熱手段を備え、
前記搬送手段により搬送される前記一定枚数の紙幣の側面に前記接着剤供給手段で接着剤を塗布し、その接着剤を前記過熱手段で過熱固化して前記一定枚数の紙幣を束ねることを特徴とする紙幣処理装置。
【請求項3】
請求項1または2記載の紙幣処理装置において、
前記搬送手段は、前記一定枚数の紙幣を挟持して搬送する上部搬送ベルトと下部搬送ベルトからなることを特徴とする紙幣処理装置。
【請求項4】
請求項2記載の紙幣処理装置において、
前記搬送手段は、水平方向に回転可能で紙幣の前後方向に移動なターンテーブルとこのターンテーブル上に前記一定枚数の紙幣を押圧可能でターンテーブルと共に回転可能で紙幣の前後方向に移動するピンを備え、
前記一定枚数の紙幣を前記ターンテーブル上にピンで押圧して前後に移動させると共に回転させて、前記一定枚数の紙幣の複数の面に接着剤を塗布すると共に前記過熱手段で過熱固化することを特徴とする紙幣処理装置。
【請求項5】
紙幣を計数して一時集積部に集積し、一定枚数毎に紙幣を結束機構に移送して結束機構により紙幣を束ねる紙幣処理装置において、
前記結束機構は前記一定枚数の紙幣を搬送する搬送手段と、
この搬送手段による紙幣の搬送経路の一側に設けられた着色接着剤印字手段及び加熱手段を備え、
前記搬送手段により搬送される前記一定枚数の紙幣の側面に前記着色接着剤印字手段で印字することで着色接着剤を前記一定枚数の紙幣の側面に付着させ、その着色接着剤を前記過熱手段で過熱固化して前記一定枚数の紙幣を束ねることを特徴とする紙幣処理装置。
【請求項6】
請求項5記載の紙幣処理装置において、
前記着色接着剤印字手段は着色接着剤を浸み込ませた印字リボンを供給するリボンカートリッジと、このリボンカートリッジから供給される印字リボンを介して前記一定枚数の紙幣の側面を打撃して印字を行うドットインパクト式の印字ヘッドを有することを特徴とする紙幣処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−208829(P2009−208829A)
【公開日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−55765(P2008−55765)
【出願日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【Fターム(参考)】