説明

紙幣束分析方法および装置

【課題】 高速で大きな精度で紙幣の処理を行う。
【解決手段】 平坦物スタック分析方法は、平坦物の端により画定される少なくとも一つの表面を備えている平坦物スタックを提供するステップと、スタックの表面を照らすステップと、光センサを使用することによって、スタックの二次元画像を提供するステップと、分析の結果を表す出力信号を提供するステップとを備えている。二次元画像の提供は、画像がy-方向において拡大されかつ画像がx-方向において縮小される。y-方向が平坦物スタックの高さとして定義され、x-方向は、平坦物スタックの幅として定義される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、平坦物スタック分析装置と同様に平坦物スタック分析方法に関する。この発明は、とくに、紙幣束を分析する装置および方法に関係し、その方法は、紙幣の端により画定される少なくとも一つの表面を備えている紙幣束を提供するステップと、束の表面を照らすステップと、光センサを使用することによって、束の二次元画像を提供するステップと、分析の結果を表す出力信号提供するステップとを備えている。
【背景技術】
【0002】
特許文献1から、プラスチック材のシート状基質および基質の2つの外面に適用された不透明層を含む紙幣の特徴を決定する方法は、公知である。そこから公知である方法は、不透明層が基質「内」放射を導いて、基質に照射するステップを備えており、その結果、基質の端での放射が検出され、その後、強度または波長のような、1またはそれ以上の放射の特徴が分析される。その国際出願に記載されている方法は、所謂「ポリマー紙幣」に適しているだけであり、その理由は、光ビームが基質内に閉じ込められなければならないということである。
【0003】
特許文献2から、単一の紙葉を紙幣束から切り離す方法は、公知であり、そこにおいて、束の厚みは、密度センサにより決定される。密度は、紙幣束が回収手段に対して押圧される圧力の基準であると主張される。そこから公知である方法は、紙幣束から単一の紙幣を取り除くことを目的とする。しかしながら、紙幣束は、全体として、そのようにしては、分析されない。
【0004】
導入部で言及した方法は、また、特許文献3から公知である。そこから公知であるスタックされた紙幣を計数する方法は少なくとも一つの光センサの使用を必要とし、それは、紙幣束の少なくとも1つの表面に同時にそう少なくとも2つの分離したコラムの像を造り、そのコラムは、紙幣の表面と直交する方向にのびている。光センサにより出力される信号に基づいて、例えば2つの画像を比較することによって、束の紙幣の数の認識は、得られる。この種の方法の1つの欠点は、紙幣束が2つの異なる位置でいわゆるコラム・イメージングを受けなければならないという事実である。束が折られたか、裂けているか、強く皺になった紙幣を含む場合、これによって、結果が不正確になる。
【0005】
特許文献4から、単一の紙幣を2つの異なる波長の紫外線で照らす方法は、公知であり、そこにおいて、探知器が第1の波長バンドの範囲内で第1の波長を有する紙幣から反射光を検出するために、そして、前記第1の波長バンドと異なる第2の波長バンドの範囲内で第2の波長を有する紙幣から蛍光を検出するために用いられ、前記紫外線光を浴びるときに、偽物の目的物が蛍光を発する波長を前記第2の波長バンドが含んでいる。この種の方法は単一の紙幣の確実性特徴を検査することに限られているだけであり、それは、紙幣の大量が検査されることになっている場合、各々の紙幣が確実性特徴のこの種の確認を別々に受けなければならないことを意味する。
【0006】
紙幣は、確実性特徴を含んでおり、それは、個々の国、領域またはゾーンによって、何枚かの紙幣の幾つかの確実性特徴から、例えば、ユーロ紙幣の20以上の確実性特徴まで異なる。この種の確実性特徴は、ユーザ、商業的金融機関および中央銀行で異なるレベルで紙幣の確実性を決めることを可能にする。確実性確認は、紙幣の受領に応じて、一般に起こる。中央銀行で、紙幣の確実性特徴の確認は、所謂、「単一紙幣」選別を行う、所謂、紙幣選別器により行われる。これは、通常100,500または1000の単位の束で供給される全ての紙幣が当初は「束でない」ことであらねばならず、これは、コストが掛かることを意味する。その後、一連の探知器およびセンサを通して紙幣を担持するいわゆる選別器によって、それらの値またはそれらの物理的条件にかかわりなく、束ねられていない紙幣は、個別に機械的に検査される。確認は、多くの確実性チェックを備えており、それは、紙幣を使う能力の現在の条件または適応度を決定するための各種の測定値と同様に、機械により実行されうる。
【0007】
低金額紙幣は、世界的に流通している紙幣の総量の約40%を構成する。上記の通りの「単一貨幣」選別プロセスは、高い選別経費および(しばしば)これらの紙幣の劣った条件の観点から、低金額紙幣を扱うための望ましい解決を提供しない。さらに、処理される紙幣の物理的条件が劣っている場合、選別器の効率は強く減少する。低金額紙幣の品質は、通常、高い金額紙幣のそれより劣っている。このことは、低金額紙幣の取扱いコストが、この種の紙幣が表す金額に関して、不相応に高いことを意味する。加えて、低金額紙幣はまず偽造されず、その結果、高い選別経費は国家の安全を危うくする事態を上回る。
【特許文献1】国際出願WO 01/50426
【特許文献2】米国特許No.6,182、962
【特許文献3】米国特許特許No.5,534、690(対応欧州特許番号0 805 992)
【特許文献4】米国特許No.5,918、960
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
この発明の目的は、紙幣を分析するための方法および装置を提供することにあり、その方法は、高速で大きな精度で紙幣の処理を行うことを可能にする。
【0009】
この発明の他の目的は、紙幣を分析するための方法および装置を提供することにあり、それは、ローコストで低金額紙幣を処理することを可能にする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
導入部で言及したこの発明は、二次元画像の提供が、画像がy-方向において拡大され、y-方向が紙幣束の高さとして定義されるように行われることを特徴とするものである。 特別な実施例において、画像がx-方向において縮小され、x-方向は、紙幣束の幅として定義される。
【0011】
1またはそれ以上の上記目的は、この種の方法を用いて達成され、そこにおいて、いわゆる歪み性(anamorphous)画像が、紙幣の全ての束の一方の側にできる。
【0012】
紙幣は、方形の平坦物であると考慮され、これは、4つの側または端、2つの長辺または端および2つの短辺または端に囲まれた上側および下側を有している。歪み性画像は、短辺および長辺の双方の中でつくられうる。用語「高さ」は、紙幣束の距離また長さを意味し、それは、束またはスタックに含まれる紙幣の数に依存する。紙幣の数が増加するときに、「高さ」またはy-方向の長さが比例して増加するが、幅またはx-方向の長さは同じままであり、その幅は、紙幣の短辺または長辺側の大きさであると考慮される。であるから、この発明を用いて、紙幣束は、横向姿勢(上側および下側が支持面と平行)および直立姿勢(上側および下側が支持面に対して直交)のどちらでも、分析しうる。
【0013】
望ましくは、束の二次元画像を提供しかつ出力信号を得るステップが、ピクセルのマトリックスを使用して、画像処理操作を行うことであり、とくに、画像処理操作を行うステップが、ピクセルのマトリックスの提供を備えており、y−方向のピクセル数が、x-方向のピクセル数より大きいことである。
【0014】
分析の高度な精度を得るために、y-方向のピクセル数が、x-方向のピクセル数より少なくとも3倍大きく、より特別には、y-方向のピクセル数が、x-方向のピクセル数より好ましくは少なくとも5倍大きいことである。
【0015】
画像処理操作を行うステップは、光学濃度に対応する値をピクセルに与えるステップと、光学濃度のしきい値を決定すること、しきい値より高い光学濃度値を有するピクセルに優先権を与える一方、周囲ピクセルの濃度プロフィルのいわゆる第2の誘導体を決定するステップと、y-方向の列のピクセルのための濃度の平均値を決定し、その列は優先権をもつ1またはそれ以上のピクセルを有しているステップと、このように決定された平均値の広がりおよび標準偏差を決定するステップと、しきい値より高い平均値の数の和である出力信号を提供するステップとを備えている。この分析の方法は、この明細書において、より詳細に説明される。用語「第2の誘導体」は、変化の決定を意味することと理解される(ピクセルおよび周囲ピクセルの濃度値の増加/減少)。用語「第1の誘導体」は、最大/最低限の決定を意味することと理解される。
【0016】
分析の特別な方法は、紙幣束が機械的に損なわれていないままである方法である。事実、このことは、紙幣束が破壊的な動作を受けておらず、その結果、例えば、紙幣束はこの種の分析を受けた後に再流通に適していることを意味する。
【0017】
特定実施例において、しかしながら、束が、照らすステップより前の1またはそれ以上の破壊的な動作に従属させられているように分析を行うことが、好ましくてもよい。ある種の実施形態では、一方では、分析は、好ましくは、束を機械的に損なわれないままにして、その上に破壊的な動作を実行することの組合せを備えている。
【0018】
この種の破壊的な動作は、紙幣束の1またはそれ以上の側を機械的の動作を受けさせて破壊的な動作によれば、紙幣束の、1またはその以上の側または端が、機械的動作に従属させられて、1またはその以上の清浄表面が得られ、その清浄表面が紙幣束を分析する際に使用され、例えば、切断要素によって、いわゆる清浄切断面は紙幣束の上に形成され、その清浄切断面は紙幣束の横断面である。その後、紙幣束およびその中に含まれる個々の紙幣の多くの特徴は、その横断面に基づいて決定されうる。紙幣束の大きさが許容範囲内で切断される場合、切断紙幣は再流通に適している。
【0019】
この明細書において、分析は、以下のパラメータ、すなわち、確実性、数の紙幣、紙幣束の価値および適応度の1またはそれ以上の決定を備えている。
【0020】
紙幣束の確実性の決定は、紙幣束の1またはそれ以上の側に破壊的な動作を実行することをであり、その結果、1またはそれ以上の清浄表面は得られ、そこにおいて、切断面は、紫外線による照射を受ける。紙幣は、原料として一般に綿の繊維または綿のけばを含むので、紫外線下の蛍光の欠如は、通常、確実性特徴を構成する。特別な実施例において、一方では、紙幣束の切断面にヨウ素の線を提供することも可能であり、その場合、茶色の変色がヨウ素を提供した基質が澱粉を接着された紙であることを示すであろう。そのような結果は紙幣が偽であることを意味する。その理由は、ヨウ素で処理されたときに、綿の基質はいかなる変色も呈しないからである。多くの合成物が、綿の基本的材料、例えば、硝酸カルシウム、にがりおよびクロロ亜鉛を色づけるために用いられることが可能である。
【0021】
そのような確実性の決定は、また、紙幣束の一方の側に赤外線を放射することにより起こることができ、好ましくは、照射を受ける側が破壊的な動作によって得られた切断面である。
【0022】
他の実施例によれば、高解像度のカメラを使用して、紙幣束の一方の側の像を得ることが望ましく、その像は、束の起源および/または確実性を決定するために、適切なデータ処理ユニットを用いて処理される。しかしながら、紙幣のEモジュールの測定、X線蛍光に反応する所謂マーカーの存在の決定による確実性を決定することは、また、可能である。
【0023】
多くの紙幣は、基質に所謂セキュリティ・フィラメントを備えている。例えば、切断面を形成することによって、紙幣束が破壊的な動作を受けるときに、セキュリティ・フィラメントは、断面において、基質の中央に置かれて、断面図では検出されるが、平面では検出されない。この種のセキュリティ・フィラメントの存在は、認識アルゴリズムと結合する所謂高解像度またはCCD-カメラを使用して、切断面を調べることらより確かめられる。
【0024】
紙幣束が破壊的な動作、例えば切断面の形成を受けた場合、高解像度のカメラを使用して、紙幣束の一方の側の像を得ることは可能であり、紙幣束に含まれる紙幣の数を決定するために、その画像は適切なデータ処理ユニットを用いて処理される。額面金額単位の決定は、また、紙幣に存在するセキュリティ・フィラメントを加熱して、マイクロ波放射線を使用して、その後赤外スペクトルを分析することにより行いうる。
【0025】
高解像度カメラまたは所謂CCD-カメラを用いて、紙幣の用紙/空気移り変りを登録することは可能であり、その移り変りは、認識アルゴリズムによって分析されかつ定量化される。認識アルゴリズムは、紙幣の適応度を、束の個々の紙幣間の隙間および移り変りの大きさと関連づける。特別な実施例において、紙幣束が機械的にそのなままであるように、紙幣束における紙幣の数の決定をすることができ、その場合、紙幣の数は、様々な方向から遠赤外(THz)照明を束に照射して、その後、時間の関数として、短いTHzパルスの反射を登録することにより決定される。
【0026】
紙幣束の値を決定することを可能とするために、特別な実施例において、高解像度カメラを使用して、紙幣束の一方の側の像を得ることは可能であり、そこにおいて、それは、画像は適切なデータ処理ユニットを用いて処理され、そこにおいて、紙幣束は、破壊的な動作、特に切断面の形成を受ける。
【0027】
この種の高解像度カメラ、特に、所謂はCCD-カメラを用いて、断面における光学濃度の相違は登録され、そして、紙幣が正しい金額をもっているかどうかは認識アルゴリズムにより決定されうる。
【0028】
望ましくは、紙幣束の圧縮性は、紙幣束の適応度を決定するために測定される。
【0029】
事実、適応度は、紙幣の皺または折り目の数に依存し、そして、本出願人は、汚れて皺になった紙幣のスタック高さが、流通しない、清浄紙幣のスタックの高さより大きいことを見出した。このように、その圧縮性を測定することによって、紙幣束の適応度を決定することが可能である。
【0030】
特別な実施例において、しかしながら、紙幣束の音響抵抗を測定することによって、紙幣束の平均適応度を決定することは、また、可能であり、その場合、音波が様々な位置で紙幣束に通過させられる。
【0031】
特定の実施態様において、さらに、個々の紙幣または多数の紙幣の適応度を、そのような紙幣における音波の伝播に基づいて決定することが、好ましい。紙幣を通過する異なる強度値および位置での反射および伝達測定値を用いて、最大音響抵抗値の位置決めすることは、可能なようである。その最大値は、空気包含の最大量を示し、それは、従って、皺および折り目を最高の数をもつ紙幣に対応する。このように、所謂超音波は、紙幣束において発生させられ、その波の速度および減衰は紙幣束の機械的性質で決定される。このように、紙幣束の非破壊検査は、それの適応度を決定するためになされうる。
【0032】
しかしながら、所謂切断面が得られるように、紙幣束を破壊的な動作に従属させることは、また、可能であり、その場合、音響パルスがそのような切断面上にレーザパルスによって発生させられ、そして、紙幣内のそのパルス伝播速度が正確に決定され、その大きさが銀行券の確実性を示す。しかしながら、注意すべきは、新しく流通してない紙幣において、その伝搬速度が最大値を持っている点である。流通は、紙幣に皺をもたらし、より密度の高くない繊維構造を示めさせるであろう。このように、伝搬速度は減少させられ、そして、超音波の伝搬速度の計測値はこのように紙幣の適応度の尺度となるでろう。
【0033】
この発明は、さらに、紙幣束を分析するための装置に関し、それは、紙幣の端により画定される少なくとも1つの表面を備えた、紙幣束を分析するための装置であって、表面を照射する光源と、二次元画像を提供するための少なくとも一つの光センサと、二次元画像を処理するための画像処理ユニットと、分析の結果を表す出力信号を提供することとを備えている紙幣束分析装置において、光センサが、y-方向において拡大される二次元画像を提供し、y-方向は、紙幣束の高さとして定義されるものである。
【0034】
特に好ましくは、光センサが、x-方向において縮小される二次元画像を提供し、x-方向が、紙幣束の幅として定義されることである。この装置は、ディスインテグレータまたは独立型機械として、選別器と整列して機能しうる。
【0035】
特別な実施例において、光センサが、多くの個々の光センサを備えており、光センサが、各々紙幣の照らされた束の部分を受け入れて、その使用がミラー構造を形成しており、ミラー構造が、多くのサブミラー、とくに、半透ミラーから形成されている。
【0036】
不正確で望ましくない湾曲を予防するために、センサは、x-、y-およびz-方向において、好ましくは個々に移動可能である。それに加えて、光センサは走査式カメラであってもよく、その走査式カメラは、x-方向の紙幣束の走査をする。
【0037】
所謂切断面を得るために、装置は、さらに、切断要素を備えており、それは、z-方向に対して直交する平面において紙幣束から、一定量の材料を取り除き、切断面が、照射するステップの表面として使用される。切断面の品質は、切断要素の鋭さに関連がある。切断面の増加の輝きは、切断要素の減少する品質の表示である。特定実施例において、したがって、輝き、すなわち、輝きインジケータを測定するための手段を使用することが望ましい。
【0038】
歪み性画像の場合、画像のスケールは、x-and y-方向において、異なる。数、確実性、適応度および単位が紙幣束の短辺によって決定されるときに、個々の紙幣間の基質および移り変りの特性を検討することは、第1に重要である。紙幣の高さは、より重要でない。
【0039】
短辺の歪み性画像は、束をy-方向により大きいスケールで表示し(そして、個々の紙幣の厚みに、より多くのピクセルを与える)そして、x-方向により小さいスケールで表示することを可能にする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0040】
この発明の実施の形態を図面を参照しながらつぎに説明する。
【0041】
束の短辺(または長辺)の点検のための歪み性画像の原理は、以下で説明される。
【0042】
調べられる束(紙幣は、横向姿勢においてある)は、100,500または1000枚の紙幣と関係している高さを有し、フレームの中に締付られており、光学センサーが束の短辺を走査する。照明手段は、その短辺側の拡散光照明を提供する。続いて、レンズ構造がその短辺側をセンサの列の上に映す。
【0043】
紙幣の厚さおよびその紙幣の間の移り変りについてのより多くの情報を集めることは、望ましい。経験的データは、約25ピクセルが紙幣の0.1mmの厚みを示すために必要なことを示す。500枚の紙幣束の短辺は、約60mmの高さおよび約75mmの幅を有する。垂直方向において、前記60mmは約12,500ピクセル(500x25)からなり、そして、水平方向において、前記75mmは約1000ピクセルまで減少させられなければならない。7x7μmのオーダのピクセル大きさを考慮して、これは、60mmから87.5mm(ファクター1.45)までの拡大、75mmから7mm(ファクター0.09)までの減少を意味する。歪み性画像割合は、その場合ほぼ16である。例えば、垂直方向に拡大されて、その後センサに映される2つのシリンダレンズによって、短辺は、水平方向において、減少させられている。それぞれ1000×1000ピクセルのセンサの数(例えば12以上)への分割は、望ましい。
【0044】
サブミラーは、連続して配置されたセンサ上の投影画像の分割を提供する。連続して配置される用語は、例えば、短辺の上の10mmが左側頂部センサ上に、第2の10mmが右側頂部センサ上に、第3の10mmが中間のセンサ上の等にそれそれと映されることを意味すると理解される。センサは高精度でもって個々に移動でき、そして、それらは各々に関して、そして、束に関して機械的に調整されうる。その運動は、x-、y-および z-方向において行われうる。さらに、また、センサは、表示面のわずかな湾曲を相殺するために、小角度で回転しうる。
【0045】
このように歪み性画像は、束の短辺の画像よりなる。勿論、必要ならば゛束の長辺の画像を提供することも、可能である。
【0046】
拡大ファクター <2の場合、個々の紙幣の大きさの相違によって生じる被写界深度問題は、制御可能である。束が側部の鮮明であるか焦点に集の合った画像を得ることが難しいような低品質の紙幣を含む場合、束は切断されて、清浄切断面が提供されるであろう。このように形成された断片は、束および照明要素間に配置された吸入手段によって、吹きつけられるか、吸入される。そのカットは、例えば、0.25mmのステップで行われる。ステップが紙幣の切断な耐性の範囲内である場合、紙幣は再流通に回されうる。ステップが切断公差を超えていると、紙幣は流通に回されることはできず、それらはその後破壊されなければならない。切断面の品質は、切断要素、例えば、ナイフの鋭利さに直接的に関係する。切断面の輝きの増加は、ナイフの低品質を示し、換言すれば、輝きインジケータは、ナイフの品質をモニタするように機能する。
【0047】
垂直方向の約12,500ピクセルおよび水平方向の約1000ピクセルからなる画像を得る他の方法によれば、12,500ピクセルのラインセンサに拡大されている束の短辺の高さについては、束は、走査される。その後、約75μmのステップで水平方向の束を走査することが望ましい。減少した束幅を1000ピクセルのラインセンサに映して、その後、5μmのステップで垂直方向に束を走査することも、また、可能である。このステップの大きさおよび関連する精度の観点において、水平方向のスキャンは、好ましい。
【0048】
歪み性高解像度カメラまたは走査を経て、束の短辺または長辺は、y-方向のピクセル数がx-光線-方向において、より非常に大きいラスタに変換される。個々のピクセルは光学濃度に対応する信号値を有し、そして、紙幣の数は、この密度のラスタの画像情報処理を経て以下の通りに決定される。図面に示されるラスタは、アルゴリズムを説明するのに役立つ。
【0049】
図面は、2枚の紙幣間の移り変り間における垂直方向に0.08mmおよび水平方向に1.5mmと測定されている断面を備えており、そこにおいて、1-10のピクセル密度を有する20×20ピクセルが配列されている。
【0050】
断面は、センサから得られる密度分布の例である。例えば、5のしきい値が、この例でセットされている。勿論、他のしきい値でもよい。全ての密度≧ 5は、陰影をつけられた灰色である。それに続いて、密度≧ 5を有するピクセルおよび周囲n x mピクセルが、注目される。その周囲n x mピクセルでの、x-および y-方向の密度展開、そして、その後、その展開の勾配、すなわち、第2の誘導体が決定される。最大勾配変化を示しているピクセルは、相互に接続される。このように得られた水平線は2枚の紙幣の間の分割を示し、そして、計数することは水平線の数を合計することにより行われる。垂直方向におけるnのための最大値は、各々の紙幣厚のためのピクセル数である(1紙幣につき25ピクセルの値は、以前に指示された)。m(水平なピクセル数)のための値は、水平線を形成しているドット数に関連がある。
【0051】
線は含まれる前に更なる分析を受け、そこにおいて、線が変動しなければならないバンド幅を分析し、2つの連続した相互に連結したピクセル等間の線の角度境界が、考慮される。ソフトウェアは、また、不完全な線の数または線間の相互接続の数を考慮しなければならない。それは、カウントの信頼性について何かを言う可能性を提供する。その後の改良は、ソフトウェアに自己学習をさせることである。
【0052】
束に含まれる紙幣の数を決定するための他の方法は、束の個々の紙幣上におけるTerahertz放射線の反射および吸収を測定することである。紙は、mmレンジの波長を有するTerahertz放射を、比較的透過する。
【0053】
束の側部の画像が不十分なコントラストを呈する場合、測定のために、コントラストは、束を曲げることおよび/または側面を色づけることにより強化されうる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】2枚の紙幣間の移り変り間における垂直方向および水平方向に測定されている断面を示す。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙幣の端により画定される少なくとも一つの表面を備えている紙幣束を提供するステップと、束の表面を照らすステップと、光センサを使用することによって、束の二次元画像を提供するステップと、分析の結果を表す出力信号を提供するステップとを備えている紙幣束分析方法において、二次元画像の提供が、画像がy-方向において拡大され、y-方向が紙幣束の高さとして定義されるように行われることを特徴とする紙幣束分析方法。
【請求項2】
請求項1の方法であって、画像がx-方向において縮小され、x-方向は、紙幣束の幅として定義されること特徴とする方法。
【請求項3】
請求項1または2の方法であって、束の二次元画像を提供しかつ出力信号を得るステップが、ピクセルのマトリックスを使用して、画像処理操作を行うことを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項3の方法であって、画像処理操作を行うステップが、ピクセルのマトリックスの提供を備えており、y−方向のピクセル数が、x-方向のピクセル数より大きいことを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項4の方法であって、y-方向のピクセル数が、x-方向のピクセル数より少なくとも3倍大きいことを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項4の方法であって、y-方向のピクセル数が、x-方向のピクセル数より好ましくは少なくとも5倍大きいことを特徴とする方法。
【請求項7】
請求項3〜6のいずれか1つの方法であって、画像処理操作を行うステップが、光学濃度に対応する値をピクセルに与えるステップと、光学濃度のしきい値を決定すること、しきい値より高い光学濃度値を有するピクセルに優先権を与える一方、周囲のピクセルの濃度プロフィルのいわゆる第2の誘導体を決定するステップと、y-方向の列のピクセルのための濃度の平均値を決定し、その列は優先権をもつ1またはそれ以上のピクセルを有しているステップと、このように決定された平均値の広がりおよび標準偏差を決定するステップと、しきい値より高い平均値の数の和である出力信号を提供するステップとを備えていることを特徴とする方法。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1つの方法であって、束が、照らすステップより前の1またはそれ以上の破壊的な動作に従属させられていることを特徴とする方法。
【請求項9】
請求項8の方法であって、破壊的な動作によれば、紙幣束の、1またはその以上の側または端が、機械的動作に従属させられて、1またはその以上の清浄表面が得られ、その清浄表面が紙幣束を分析する際に使用されることを特徴する方法。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか1つの方法であって、分析が、以下のパラメータ、すなわち、確実性、数の紙幣、紙幣束の価値および適応度の1またはそれ以上の決定を備えていることを特徴とする方法。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか1つの方法であって、紫外線の照射が、紙幣束の一方の側に行われることを特徴とする方法。
【請求項12】
請求項1〜10のいずれか1つの方法であって、赤外線の照射が、紙幣束の一方の側に行われることを特徴とする方法。
【請求項13】
請求項10〜12のいずれか1つの方法であって、紙幣束の一方の側の画像が、光センサとして高解像度のカメラを使用することによって得られ、その画像が、束の確実性を決定するために、適切なデータ処理ユニットを用いて、処理されることを特徴とする方法。
【請求項14】
請求項10〜12のいずれか1つの方法であって、紙幣束の一方の側の画像が、光センサとして高解像度のカメラを使用することによって得られ、その画像が、束の数を決定するために、適切なデータ処理ユニットを用いて、処理されることを特徴とする方法。
【請求項15】
請求項10〜12のいずれか1つの方法であって、紙幣束における紙幣の数の決定が多くの入射角で遠赤外線を束の一方の側に照射しかつ反射光を時間測定を行うことによって行われることを特徴とする方法。
【請求項16】
請求項10〜12のいずれか1つの方法であって、紙幣束の一方の側の画像が、光センサとして高解像度のカメラを使用することによって得られ、その画像が、紙幣束の素性および/または価値を決定するために、適切なデータ処理ユニットを用いて処理されることを特徴とする方法。
【請求項17】
請求項10の方法であって、紙幣束の適応度が、紙幣束の圧縮性を測定することにより決定されることを特徴とする方法。
【請求項18】
紙幣束の適応度が、紙幣束の音響抵抗を測定することにより決定されることを特徴とする方法。
【請求項19】
紙幣の端により定義される少なくとも1つの表面を備えた、紙幣束を分析するための装置であって、表面を照射する光源と、二次元画像を提供するための少なくとも一つの光センサと、二次元画像を処理するための画像処理ユニットと、分析の結果を表す出力信号を提供することとを備えている紙幣束分析装置において、光センサが、y-方向において拡大される二次元画像を提供し、y-方向は、紙幣束の高さとして定義されることを特徴とする紙幣束分析装置。
【請求項20】
請求項19の紙幣束分析装置であって、光センサが、x-方向において縮小される二次元画像を提供し、x-方向が、紙幣束の幅として定義されることを特徴とする紙幣束分析装置。
【請求項21】
請求項19または20の紙幣束分析装置であって、光センサが、多くの個々の光センサを備えており、光センサが、各々紙幣の照らされた束の部分を受け入れて、その使用がミラー構造を形成していることを特徴とする紙幣束分析装置。
【請求項22】
請求項21の紙幣束分析装置であって、ミラー構造が、多くのサブミラー、とくに、半透ミラーから形成されていることを特徴とする紙幣束分析装置。
【請求項23】
請求項21または22の紙幣束分析装置であって、センサが、x−、y-、およびz-方向に個々に移動可能であることを特徴とする紙幣束分析装置。
【請求項24】
請求項19の紙幣束分析装置であって、光センサが、走査式カメラであり、走査式カメラが、x-方向において紙幣束の走査をすることを特徴とする紙幣束分析装置。
【請求項25】
請求項19〜24のいずれか1つの紙幣束分析装置であって、装置が、さらに、切断要素を備えており、それは、z-方向に対して直交する平面において紙幣束から、一定量の材料を取り除き、切断面が、照射するステップの表面として使用されることを特徴とする紙幣束分析装置。

【公表番号】特表2006−512646(P2006−512646A)
【公表日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−563049(P2004−563049)
【出願日】平成15年12月24日(2003.12.24)
【国際出願番号】PCT/NL2003/000943
【国際公開番号】WO2004/059585
【国際公開日】平成16年7月15日(2004.7.15)
【出願人】(505010803)シンテック ホールディングス ベー ヴェー (2)
【Fターム(参考)】