説明

紙幣集積装置

【課題】紙幣カセットに集積された紙幣の枚数をカウントし、カウントされた枚数が所定枚数未満の場合には、検知手段によるカセットフルの検知を無効とするようにして、紙幣カセットに集積された紙幣の枚数が少ないのに紙幣カセットへの紙幣の集積が停止されてしまうことを防止することができ、紙幣カセットから紙幣を取り出す作業の頻度を低下させ、回収された紙幣を効率的に運用することができ、紙幣の運用処理を高速化することができ、店舗の運営を効率化することができるようにする。
【解決手段】紙幣が集積される紙幣カセットと、紙幣カセット内に集積された紙幣の枚数をカウントする集積枚数カウンタと、集積された紙幣が紙幣カセット一杯になったことを検知する検知手段とを有し、集積枚数カウンタによってカウントされた枚数が所定枚数未満の場合には、検知手段による紙幣カセット一杯になったことの検知を無効とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙幣集積装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、コンビニエンスストア、スーパーマーケット等の店舗におけるレジ精算場では、現金による販売で必要となる釣銭準備金を管理するために、POS(Point of Sales)レジスタ等のレジスタ機に釣銭処理装置が取り付けられている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
そして、前記レジ精算場において精算を行う場合、前記店舗の係員がバーコード読取装置等の入力装置を操作して、顧客が購入した商品をPOSレジスタに登録すると、該POSレジスタの表示装置に顧客が購入した商品の合計金額が表示されるようになっている。続いて、前記係員は、表示された合計金額を顧客に伝え、該顧客から現金を受け取る。そして、受け取った現金が正常なものであることを確認した上で、前記現金を顧客から見える箇所に保持させたまま、前記POSレジスタに受け取った現金の金額、すなわち、受け取り金額を入力する。
【0004】
これにより、前記POSレジスタは、前記合計金額と入力された受け取り金額とから釣銭額を算出する。ここで、釣銭を要する場合、前記POSレジスタから前記釣銭処理装置に対して出金指示が出され、前記釣銭処理装置によって釣銭の出金が行われる。そして、前記係員が出金された釣銭を顧客に手渡した時点で該顧客との精算処理が完了する。そして、前記顧客はレジ精算場から立ち去る。
【0005】
一方、前記係員は、前記顧客から受け取って顧客が見える箇所に保持させておいた現金を紙幣と硬貨とに分別し、前記釣銭処理装置の紙幣釣銭機及び硬貨釣銭機に、それぞれ、投入する。これにより、前記紙幣釣銭機及び硬貨釣銭機は、それぞれ、紙幣及び硬貨の入金処理を行う。
【0006】
そして、入金された紙幣が、釣銭として出金可能であれば金種別収納庫に搬送され、出金用金種でなければ、回収カセットに搬送される。ここで、該回収カセットは、いわゆる上入れタイプであり、回収カセットの上から搬入された紙幣が底面上に順次積み重ねられて集積されるようになっている。そのため、後から搬入される紙幣が既に集積された紙幣の最上位に位置する紙幣に引っ掛かって紙詰まりを起こさないよう、回収カセットに集積された紙幣の高さはフル検知センサによって監視されている。そして、回収カセットに集積された紙幣の高さがあらかじめ設定された最高値になると、回収カセットが一杯になった、すなわち、カセットフルになったことがフル検知センサによって検知されて、回収カセットへの紙幣の集積が停止されるようになっている。
【特許文献1】特開2001−134806号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、前記従来の釣銭処理装置においては、回収カセットに集積された紙幣の枚数があらかじめ想定された枚数より少なくても、カセットフルになったことがフル検知センサによって検知され、回収カセットへの紙幣の集積が停止されてしまうことがある。これは、顧客から受け取る紙幣には折り目や、カールのような癖が付いたものが多いので、回収カセットに集積された紙幣の高さが枚数の割に高くなるからである。そのため、回収カセットに集積された紙幣の枚数が比較的少なくても、カセットフルになったことがフル検知センサによって検知されてしまう。
【0008】
このように、カセットフルになったことがフル検知センサによって検知されると、回収カセットへの紙幣の集積が停止されるので、集積された紙幣を回収カセットから取り出す必要がある。ところが、該回収カセットは、セキュリティの観点から、一般的に、店舗における現金回収処理の管理者によって管理され、レジ精算場の係員が開閉して内部の紙幣を取り出すことができないようになっている。そのため、前記回収カセットに収納された紙幣を取り出す場合には、前記回収カセットをレジ精算場から、例えば、店舗の管理室等の他の場所に移動させ、該他の場所において前記管理者が前記回収カセットから紙幣を取り出すようになっているので、手間がかかってしまう。さらに、係員は次の顧客のための精算を行うことができなくなってしまう。
【0009】
したがって、回収カセットに集積された紙幣の枚数が少なくても、カセットフルになったことが検知されると、集積された紙幣を頻繁に回収カセットから取り出すこととなり、係員や管理者の手間がかかるとともに、顧客がより長時間待たされることになり、迅速な精算処理の妨げとなり、レジ精算場が混雑してしまう。
【0010】
本発明は、前記従来の問題点を解決して、紙幣カセットに集積された紙幣の枚数をカウントし、カウントされた枚数が所定枚数未満の場合には、検知手段によるカセットフルの検知を無効とするようにして、紙幣カセットに集積された紙幣の枚数が少ないのに紙幣カセットへの紙幣の集積が停止されてしまうことを防止することができ、紙幣カセットから紙幣を取り出す作業の頻度を低下させ、回収された紙幣を効率的に運用することができ、紙幣の運用処理を高速化することができ、店舗の運営を効率化することができる紙幣集積装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
そのために、本発明の紙幣集積装置においては、紙幣が集積される紙幣カセットと、該紙幣カセット内に集積された紙幣の枚数をカウントする集積枚数カウンタと、集積された紙幣が前記紙幣カセット一杯になったことを検知する検知手段とを有し、前記集積枚数カウンタによってカウントされた枚数が所定枚数未満の場合には、前記検知手段による前記紙幣カセット一杯になったことの検知を無効とする。
【0012】
本発明の他の紙幣集積装置においては、さらに、前記検知手段は、前記紙幣カセットに配設され、該紙幣カセット内に集積された紙幣の高さを監視する。
【0013】
本発明の更に他の紙幣集積装置においては、さらに、前記紙幣カセットは、前記紙幣が搬入される紙幣搬入口、及び、該紙幣搬入口の下方に配設され、初期状態において、前記紙幣搬入口側端が下方となるように斜めであり、紙幣が上に集積されるにつれて水平に近くなる集積ステージを備える。
【0014】
本発明の更に他の紙幣集積装置においては、さらに、前記集積ステージは、前記紙幣搬入口側端が前記紙幣カセットの床面に枢支され、付勢手段によって上方に向けて付勢されている。
【0015】
本発明の更に他の紙幣集積装置においては、さらに、前記集積ステージは、初期状態において、自由端が前記紙幣搬入口側端より上方に位置し、集積された紙幣の枚数が増加すると、紙幣の重量によって、前記自由端が下降する。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、紙幣集積装置は、紙幣カセットに集積された紙幣の枚数をカウントし、カウントされた枚数が所定枚数未満の場合には、検知手段によるカセットフルの検知を無効とするようになっている。そのため、紙幣カセットに集積された紙幣の枚数が少ないのに紙幣カセットへの紙幣の集積が停止されてしまうことを防止することができ、紙幣カセットから紙幣を取り出す作業の頻度を低下させ、回収された紙幣を効率的に運用することができ、紙幣の運用処理を高速化することができ、店舗の運営を効率化することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0018】
図1は本発明の実施の形態における紙幣処理装置の斜視図である。
【0019】
図において、11は、紙幣釣銭機として機能する紙幣釣銭部12及び硬貨釣銭機として機能する硬貨釣銭部13を有する紙幣集積装置としての釣銭機であり、POSレジスタ14に取り付けられている。該POSレジスタ14は、店舗におけるレジ精算場に配設され、店舗を訪れた顧客が店舗で販売される商品やサービスを購入して代金の精算を行うと、前記店舗におけるレジ係等の代金精算業務を行う係員が操作して、前記代金を商品やサービスの売上額として入力して合計売上額を集計するとともに、前記代金として顧客から受領した現金を収納するための装置である。この場合、前記係員は、顧客から受け取った現金としての貨幣を後述される紙幣60と硬貨とに分別し、前記紙幣釣銭部12及び硬貨釣銭部13に、それぞれ、投入して入金するようになっている。
【0020】
また、前記POSレジスタ14は、いわゆるPOSシステムにおけるPOS端末として機能するものであり、売上額だけでなく、顧客が購入した商品やサービス毎に商品項目等の売上情報も入力される。そして、図示されないホストコンピュータが、POSレジスタ14とLAN(Local Area Network)等の通信回線網を介して接続され、前記POSレジスタ14に売上情報や売上額が入力される度に前記売上情報や売上額を収集し、店舗全体としての売上情報や売上額を集計する。なお、前記POSレジスタ14に代えて、POSシステムに組み込まれていない、通常のレジスタ機を使用することもできる。
【0021】
さらに、前記店舗は、例えば、コンビニエンスストア、スーパーマーケット、百貨店等の商店や、レストラン、喫茶店等の飲食店であるが、商品やサービスを販売する店舗であれば、いかなる種類の店舗であってもよい。
【0022】
なお、本実施の形態において、前記釣銭機11は、図書券、ビール券、ギフト券、商品券等の金券やトラベラーズチェック、小切手、株券等の有価証券も紙幣60と同様に取り扱うことができるものであるが、ここでは、説明の都合上、金券や有価証券についての説明は省略する。
【0023】
そして、前記釣銭機11は、顧客から受け取った硬貨を投入して入金する硬貨入金口15、顧客に釣銭として支払う硬貨を払い出す硬貨出金口16、受け入れ不能と判別されてリジェクトされた硬貨を収納するリジェクト部17、顧客から受け取った紙幣60を入金したり、顧客に釣銭として支払う紙幣60を払い出して出金したりする入出金部としての紙幣入出金口30、及び、紙幣釣銭部12内に収納されている紙幣60を回収し、収納する紙幣カセットとしての回収カセット部31を有する。また、前記釣銭機11は、係員が操作するための操作表示部20を有する。該操作表示部20は、通常モードと補充モードとを選択する選択手段としてのモード切換キーを含むキーボード、タッチパネル、スイッチ等から成る入力部20a、CRT、液晶ディスプレイ、LED(Light Emitting Diode)ディスプレイ等から成る表示部20bを備える。
【0024】
また、店舗における業務の開始時や、業務途中であっても釣銭機11に収納されている紙幣60又は硬貨の不足が発生した場合には、前記係員が、管理者の指示に従って、紙幣60又は硬貨を紙幣入出金口30又は硬貨入金口15から投入して釣銭機11に補充するようになっている。
【0025】
次に、前記釣銭機11の構成を機能の観点から説明する。
【0026】
図2は本発明の実施の形態における釣銭機の機能構成を示すブロック図である。
【0027】
図2において、18は釣銭機11の制御部であり、演算手段であるCPU21、記憶手段であるメモリ22、インターフェイスであるI/Oポート23〜25を有する。なお、前記CPU21、メモリ22、I/Oポート23〜25は、内部バス26を介して相互に通信可能に接続されている。また、前記制御部18はPOSレジスタ14と通信可能に接続されている。
【0028】
そして、前記I/Oポート23には操作表示部20の入力部20a及び表示部20bが接続されている。前記入力部20aの検知信号はI/Oポート23及び内部バス26を介してCPU21に送信される。また、表示部20bのドライブ信号は、CPU21から内部バス26及びI/Oポート23を介して表示部20bに送信される。
【0029】
さらに、前記I/Oポート24には、紙幣釣銭部12のモータ12a、ソレノイド12b及びセンサ12cが接続され、前記I/Oポート25には、硬貨釣銭部13のモータ13a、ソレノイド13b及びセンサ13aが接続されている。そして、前記センサ12c及びセンサ13cの検知信号は、I/Oポート24及びI/Oポート25並びに内部バス26を介してCPU21に送信される。また、前記モータ12a、モータ13a、ソレノイド12b、ソレノイド13b等の各種駆動系のドライブ信号は、CPU21から内部バス26、I/Oポート24及びI/Oポート25を介してモータ12a、モータ13a、ソレノイド12b、ソレノイド13b等に送信される。なお、前記メモリ22には、センサ12c及びセンサ13cの検知信号によって各種駆動系を制御する手順等を実行するファームウェアが格納されている。
【0030】
次に、前記紙幣釣銭部12の構成を説明する。
【0031】
図3は本発明の実施の形態における紙幣釣銭部の概略断面図である。
【0032】
図3に示されるように、紙幣釣銭部12は、顧客から受け取った紙幣60を入金する入金口及び釣銭としての紙幣60を出金するための出金口として機能する紙幣入出金口30、前記紙幣釣銭部12における内部の紙幣60を回収するための回収カセット部31、千円券等の紙幣60を収納する金種別収納庫としての第1金種別収納庫32、五千円券等の紙幣60を収納する金種別収納庫としての第2金種別収納庫33、紙幣60を認識する認識部としての入出金紙幣認識部34、受け入れ不能と判別されてリジェクトされた紙幣60を収納する出金リジェクト部35、並びに、紙幣60を搬送する搬送路36を有している。なお、前記回収カセット部31の内部には、後述される集積ステージ62及び板ばね63が配設されている。さらに、回収カセット部31の紙幣搬入口には集積ローラ61が配設されている。
【0033】
そして、顧客から受け取った紙幣60が紙幣入出金口30から入金されると、前記紙幣60は、図示されない搬送ローラ、搬送ベルト等によって搬送路36に沿って搬送され、入出金紙幣認識部34によって認識され、金種に応じて、第1金種別収納庫32又は第2金種別収納庫33に収納される。なお、前記第1金種別収納庫32及び第2金種別収納庫33は、紙幣60を上から入れる上入れ収納することができ、かつ、紙幣60を上から取り出す上出しをすることができるようになっている。
【0034】
また、回収カセット部31の真上に位置する紙幣入出金口30には、フィードローラ43及び分離ローラ44が配設されている。前記フィードローラ43及び分離ローラ44は、前記紙幣入出金口30にセットされた紙幣60を一枚ずつ分離して搬送路36に送り込むための分離ゲート部を構成し、互いに圧接して対向するように配設されている。
【0035】
さらに、前記第1金種別収納庫32の入口には、フィードローラ45及び分離ローラ46が配設されている。前記フィードローラ45及び分離ローラ46は前記第1金種別収納庫32に収納された紙幣60を一枚ずつ分離して搬送路36に送り込むための分離ゲート部を構成し、互いに圧接して対向するように配設されている。同様に、前記第2金種別収納庫33の入口には、フィードローラ47及び分離ローラ48が配設されている。前記フィードローラ47及び分離ローラ48は前記第2金種別収納庫33に収納された紙幣60を一枚ずつ分離して搬送路36に送り込むための分離ゲート部を構成し、互いに圧接して対向するように配設されている。
【0036】
なお、紙幣60の集積中は、分離ローラ44、分離ローラ46及び分離ローラ48が回転するので、図3に示されるように、遠心力によって細長いゴム部材が放射状に伸びて、ジャムが発生しないように、集積された紙幣60の後端部をたたいて沈めるように動作する。
【0037】
また、58は、前記紙幣入出金口30から分離搬送され、入出金紙幣認識部34において金種が判別された紙幣60を第1金種別収納庫32とその他とに振り分けるための搬送方向切換機構である。そして、57は、釣銭として出金される出金紙幣と、入出金紙幣認識部34において、再循環、すなわち、リサイクルして使用することができない五千円券、千円券、その他の金種の紙幣60、搬送異常が発生した紙幣60、認識不能な紙幣60等の入金リジェクト紙幣とを振り分けるための搬送方向切換機構である。さらに、59は、回収される紙幣60と、出金時に発生した認識リジェクト紙幣、確定済みのリサイクルして使用することができない五千円券、千円券、その他の金種の紙幣60、搬送異常が発生した紙幣60、認識不能な紙幣60等の入金リジェクト紙幣とを振り分けるための搬送方向切換機構である。そして、回収される紙幣60は、集積ローラ61によって回収カセット部31内に搬入されて集積される。該回収カセット部31は、紙幣60を紙幣搬入口を通して上から入れる上入れ収納するようになっている。
【0038】
なお、前記搬送路36は、双方向搬送路になっているので、入金時、補充時、出金時及び回収時において、紙幣60は常に同じ搬送路36を双方向に搬送される。これにより、シンプルな搬送系を得ることができる。また、入出金紙幣認識部34は、入金時、補充時、出金時及び回収時において、双方向に搬送される紙幣60の金種及び状態(重送、斜行、連鎖等の有無)を検出することができるようになっている。
【0039】
そして、50及び54は分離した紙幣60のタグ付け及び分離枚数や分離走行状態を検出するためのセンサであり、52は認識処理用のセンサである。さらに、51及び53は、それぞれ、入出金紙幣認識部34の情報に基づいて搬送方向切換機構58及び搬送方向切換機構57を切り換えるためのタイミングトリガセンサである。また、55及び56は紙幣60の通過確認センサである。
【0040】
次に、前記回収カセット部31の構成を説明する。
【0041】
図4は本発明の実施の形態における回収カセット部の主要な構成要素を示す概略斜視図、図5は本発明の実施の形態における回収カセット部の主要な構成要素を示す概略側面図である。
【0042】
図4及び5に示されるように、回収カセット部31は、集積ローラ61によって搬入された紙幣60が載置されて集積される集積ステージ62を有する。該集積ステージ62は、板状の部材であり、紙幣搬入口側端、すなわち、図4及び5における右端が回収カセット部31の床面に回動可能に枢支され、初期状態において傾斜し、前記紙幣搬入口側端が下方となり、自由端である他端が上方となっている。
【0043】
また、集積ステージ62の下方には、該集積ステージ62を下から支持する付勢手段としての板ばね63が配設されている。該板ばね63は、図5に示されるように、側面形状がカンチレバー状の弾性部材であり、紙幣搬入口側端が回収カセット部31の床面に固定され、自由端である他端が集積ステージ62の下面に当接して、該集積ステージ62を上方に向けて付勢している。そのため、初期状態、すなわち、紙幣60が載置されていない状態において、集積ステージ62は、板ばね63の付勢力によって自由端が上昇させられ、図4及び5において左肩上がりとなるように、傾斜している。すなわち、集積ステージ62は、紙幣搬入口側端が下方となるように斜めに配設されている。これにより、集積ステージ62の上方に紙幣60の集積空間を確保することができる。
【0044】
そして、集積ステージ62上に紙幣60が集積されると、該紙幣60の重量によって集積ステージ62の自由端が下降する。この場合、紙幣60の集積枚数が増えるほど重量が増加して、集積ステージ62は、その自由端が下降し、徐々に水平に近くなる。
【0045】
さらに、回収カセット部31の側壁には、集積された紙幣60が回収カセット部31一杯になったこと、すなわち、カセットフルを検知するための検知手段としての光学センサ64が配設されている。該光学センサ64は、集積ステージ62上に集積された紙幣60の高さを監視し、集積された紙幣60の高さがあらかじめ設定された所定の高さに到達すると、カセットフルを検知して制御部18に通知する。
【0046】
次に、前記構成の釣銭機11の動作について説明する。
【0047】
図6は本発明の実施の形態における紙幣釣銭部の紙幣の入金処理の動作を示すフローチャートである。
【0048】
まず、店舗を訪れた顧客が店舗で販売される商品やサービスを購入して、レジ精算場において代金の精算を行う。この場合、前記店舗の係員がPOSレジスタ14に付属する図示されないバーコード読取装置等の入力装置を操作して、顧客が購入した商品やサービスをPOSレジスタ14に登録する。すると、該POSレジスタ14の表示装置に顧客が購入した商品やサービスの合計金額が表示される。続いて、前記係員は、表示された合計金額を顧客に伝え、該顧客から現金を受け取る。そして、受け取った現金が正常なものであることを確認した上で、前記現金を顧客から見える箇所に保持させたまま、前記POSレジスタ14に受け取った貨幣の金額、すなわち、受け取り金額を入力する。
【0049】
これにより、前記POSレジスタ14は、前記合計金額と入力された受け取り金額とから釣銭額を算出する。ここで、釣銭を要する場合、前記POSレジスタ14から釣銭機11に対して出金指示が出され、該釣銭機11によって釣銭の出金が行われる。そして、前記係員が出金された釣銭を顧客に手渡した時点で該顧客との精算処理が完了する。そして、前記顧客はレジ精算場から立ち去る。
【0050】
一方、前記係員は、前記顧客から受け取って顧客が見える箇所に保持させておいた現金を紙幣60と硬貨とに分別し、前記紙幣60を紙幣釣銭部12の紙幣入出金口30に投入し、硬貨を硬貨釣銭部13の硬貨入金口15に投入する。ここで、前記係員が紙幣入出金口30に紙幣60をセットすると、フィードローラ43及び分離ローラ44は、前記紙幣入出金口30にセットされた紙幣60を一枚ずつ分離して搬送路36に送り込む。そして、前記紙幣入出金口30から一枚ずつ分離して搬送された紙幣60は、入出金紙幣認識部34において、その金種が判別される。ここで、リサイクルして使用可能な金種の紙幣60は、第1金種別収納庫32又は第2金種別収納庫33に収納される。また、リサイクルして使用することができない金種の紙幣60は、回収カセット部31に収納されて回収される。なお、受け入れ不能と判別されてリジェクトされた紙幣60は、出金リジェクト部35に収納される。
【0051】
ここで、回収カセット部31に収納されて回収される紙幣60は、集積ローラ61によって紙幣搬入口を通して上から回収カセット部31内に搬入され、集積ステージ62上に載置されて集積される。そして、回収カセット部31に集積された紙幣60の枚数は、制御部18のメモリ22に記録されることによってカウントされる。すなわち、メモリ22が紙幣60の集積枚数カウンタとして機能する。なお、回収カセット部31内に搬入される紙幣60は、例えば、通過確認センサ55によって一枚毎に確認されるので、該通過確認センサ55によって回収カセット部31内に搬入されたことが確認された紙幣60の枚数を累計することによって回収カセット部31に集積された紙幣60をカウントすることができる。
【0052】
そして、制御部18は、集積された紙幣60の枚数があらかじめ設定された上限枚数となったか否か、すなわち、集積枚数カウンタのカウントがカウンタフルになったか否かを判断する。なお、前記上限枚数は、回収カセット部31が一杯となる紙幣60の枚数である。そして、集積枚数カウンタのカウントがカウンタフルになった場合、前記制御部18は、回収カセット部31が一杯となった、すなわち、回収カセットフルであるとして、回収カセット部31の運用を停止する。すなわち、紙幣60を回収カセット部31に搬入しないようにして、紙幣60の回収を停止する。
【0053】
また、集積枚数カウンタのカウントがカウンタフルになっていない場合、前記制御部18は、集積された紙幣60の枚数があらかじめ設定された所定枚数となったか否か、すなわち、集積枚数カウンタのカウントがカウンタ所定枚数になったか否かを判断する。なお、前記所定枚数は、光学センサ64によるカセットフルの検知を無効とする枚数である。
【0054】
そして、集積枚数カウンタのカウントがカウンタ所定枚数になった場合、前記制御部18は、集積ステージ62上に集積された紙幣60の高さを監視している光学センサ64がカセットフルを検知したか否かを判断する。ここで、光学センサ64がカセットフルを検知した場合、前記制御部18は、回収カセットフルであるとして、回収カセット部31の運用を停止する。また、光学センサ64がカセットフルを検知していない場合、前記制御部18は、再び、集積枚数カウンタのカウントがカウンタフルになったか否かを判断し、前述の動作を繰り返す。
【0055】
一方、集積枚数カウンタのカウントがカウンタ所定枚数になったか否かを判断して、カウンタ所定枚数になっていない場合、前記制御部18は、光学センサ64がカセットフルを検知したか否かを判断することなく、再び、集積枚数カウンタがカウンタフルになったか否かを判断し、前述の動作を繰り返す。すなわち、集積された紙幣60の枚数が所定枚数未満の場合には、光学センサ64によるカセットフルの検知を無効とするようになっている。
【0056】
次に、フローチャートについて説明する。
ステップS1 集積枚数カウンタのカウントがカウンタフルになったか否かを判断する。集積枚数カウンタのカウントがカウンタフルになった場合はステップS4に進み、集積枚数カウンタのカウントがカウンタフルになっていない場合はステップS2に進む。
ステップS2 集積枚数カウンタのカウントがカウンタ所定枚数になったか否かを判断する。集積枚数カウンタのカウントがカウンタ所定枚数になった場合はステップS3に進み、集積枚数カウンタのカウントがカウンタ所定枚数になっていない場合はステップS1に戻る。
ステップS3 光学センサ64がカセットフルを検知したか否かを判断する。光学センサ64がカセットフルを検知した場合はステップS4に進み、光学センサ64がカセットフルを検知していない場合はステップS1に戻る。
ステップS4 回収カセットフルであるとして、回収カセット部31の運用を停止し、処理を終了する。
【0057】
このように、本実施の形態において、集積枚数カウンタが回収カセット部31に集積された紙幣60の枚数をカウントし、該集積された紙幣60の枚数が所定枚数未満の場合には、光学センサ64によるカセットフルの検知を無効とするようになっている。そのため、折り目や、カールのような癖が付いた紙幣60の場合、回収カセット部31に集積された紙幣60の枚数が少ないのに回収カセット部31への紙幣60の集積が停止されてしまうことを防止することができる。これにより、回収カセット部31の運用を継続することができ、紙幣60を取り出す作業の頻度を低下させることができる。
【0058】
また、回収カセット部31の集積ステージ62は、初期状態において、紙幣搬入口側端が下方となるように斜めに配設されているので、集積ステージ62の上方に紙幣60の集積空間を確保することができる。そのため、折り目や、カールのような癖が付いた紙幣60の端が持ち上がっても、光学センサ64によって検知されにくくなり、カセットフルが検知されにくくなる。
【0059】
さらに、本実施の形態においては、コンビニエンスストア、スーパーマーケット等の店舗におけるレジ精算場にて使用されるPOSレジスタ14等に接続して紙幣60の入出金処理を行う釣銭機11に適用した例について説明したが、銀行等の金融機関の窓口で使用される自動現金預払機(窓口端末)等のような銀行員が使用する端末にも適用することができる。
【0060】
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明の実施の形態における紙幣処理装置の斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態における釣銭機の機能構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の実施の形態における紙幣釣銭部の概略断面図である。
【図4】本発明の実施の形態における回収カセット部の主要な構成要素を示す概略斜視図である。
【図5】本発明の実施の形態における回収カセット部の主要な構成要素を示す概略側面図である。
【図6】本発明の実施の形態における紙幣釣銭部の紙幣の入金処理の動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0062】
11 釣銭機
22 メモリ
31 回収カセット部
60 紙幣
62 集積ステージ
63 板ばね
64 光学センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)紙幣が集積される紙幣カセットと、
(b)該紙幣カセット内に集積された紙幣の枚数をカウントする集積枚数カウンタと、
(c)集積された紙幣が前記紙幣カセット一杯になったことを検知する検知手段とを有し、
(d)前記集積枚数カウンタによってカウントされた枚数が所定枚数未満の場合には、前記検知手段による前記紙幣カセット一杯になったことの検知を無効とすることを特徴とする紙幣集積装置。
【請求項2】
前記検知手段は、前記紙幣カセットに配設され、該紙幣カセット内に集積された紙幣の高さを監視する請求項1に記載の紙幣集積装置。
【請求項3】
前記紙幣カセットは、前記紙幣が搬入される紙幣搬入口、及び、該紙幣搬入口の下方に配設され、初期状態において、前記紙幣搬入口側端が下方となるように斜めであり、紙幣が上に集積されるにつれて水平に近くなる集積ステージを備える請求項1に記載の紙幣集積装置。
【請求項4】
前記集積ステージは、前記紙幣搬入口側端が前記紙幣カセットの床面に枢支され、付勢手段によって上方に向けて付勢されている請求項3に記載の紙幣集積装置。
【請求項5】
前記集積ステージは、初期状態において、自由端が前記紙幣搬入口側端より上方に位置し、集積された紙幣の枚数が増加すると、紙幣の重量によって、前記自由端が下降する請求項3に記載の紙幣集積装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−200187(P2007−200187A)
【公開日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−20434(P2006−20434)
【出願日】平成18年1月30日(2006.1.30)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【Fターム(参考)】