説明

紙情報電子化システム、紙情報電子化方法、紙情報電子化プログラム

【課題】紙情報を電子情報に変換する紙情報電子化システムにおいて、読み取りの不具合を簡易に検出する。
【解決手段】帳票に記載された情報をスキャナで読み取り電子化するシステムであって、前記帳票に記号を記載する手段114と、前記記載された記号を取得する記号/位置取得部121と、前記取得された記号を比較対象となる第1記号として取得する第1取得部126と、前記記載した記号を保持する保持部128と、保持される記号を比較基準である第2記号として取得する第2取得部127と、前記第1記号と第2記号とを比較し帳票の不具合を検出する不具合検出部122とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙に記載される紙情報を電子化して電子情報とする紙情報電子化システム等に関し、特に、帳票など大量の紙情報を電子化する紙情報電子化システム等に関する。
【背景技術】
【0002】
国や自治体、企業などが扱う帳票等は依然として紙の状態で流通しており、当該紙の帳票の保管に大きなスペースが必要となる。また、保管している帳票を入手したい場合、帳票の保管庫に出向く必要もある。
【0003】
そこで、紙の帳票等の保管スペースを削減し、目的の帳票をすぐ呼び出せるようにするために、帳票に記載されている情報を電子化し、電子情報として保管すること、すなわち、帳票をスキャン(本明細書、特許請求の範囲などにおいては、紙情報をスキャナで電子化することを指す。)して保管することが行われている。
【0004】
以上のように大量に保管された帳票をスキャンするには、多大な手間と時間を要するものである。
【0005】
従来、前記大量の帳票などをスキャンして電子化するには、いわゆるオートシードフィーダ付きのスキャナが用いられることが多い。このオートシートフィーダ付きスキャナとは、多数枚の帳票を供給装置にセットしておけば、順次帳票を自動的に供給し、供給された帳票を連続的にスキャンする装置であり、給紙から排紙まで自動的に実施されるため効率よく帳票などを電子化することができる。
【0006】
ところが、帳票の大きさは多種多様であり、前記オートシートフィーダ付きスキャナを用い従来の方法で帳票の電子化を行っても、用紙の大きさを判別することができずにスキャナが途中で止まってしまう、いわゆるエラーとなる場合があった。
【0007】
そこで、下記特許文献1には、一度判別不可能でエラーとなった帳票に対して、再判別を行うための情報を付し、再度用紙の大きさを判別することで多種多様な帳票を可能な限り自動的に判別し、さらに、附された情報により人が帳票の判別を容易に行えるものとした帳票処理システムに関する発明が記載されている。
【特許文献1】特開2004−145383号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところが、前記特許文献1に記載の発明は、帳票の大きさの相違は検出するものの、読み取りの不具合が発生してもこれを検出することはできなかった。例えば、オートシートフィーダのミスフィード、すなわち、まっすぐ供給すべき帳票が斜めに斜めの状態で供給される場合、供給ミスにより帳票に折れやしわなどが発生する場合などはスキャナ自身がこれらのエラーを検出することはできなかった。
【0009】
このようなエラーが発生したままの帳票が電子化されると、一部情報が欠落したまま電子データが保存されることになり、後から当該部分を閲覧することができなくなるため、帳票が電子化される毎に電子化された情報をディスプレイ上に表示させ、目視でエラーの有無を検査していた。
【0010】
しかし、人間による検査は、非常に手間がかかると共にコストがかかることとなる。さらに、エラーを見落とす可能性があるという問題を備えている。
【0011】
本発明は、前記問題点に鑑みなされたものであり、しわや折れ、斜めフィード等の読み取りの不具合を検出することのできる紙情報電子化システムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、本発明にかかる紙情報電子化システムは、紙に記載された紙情報をスキャナで読み取り電子化するシステムであって、前記紙に記載された第1記号を取得する第1取得手段と、前記第1記号と比較される第2記号を取得する第2取得手段と、前記第1取得手段で取得された第1記号と前記第2取得手段で取得された第2記号との相違点に基づき前記紙情報の読み取りの不具合を検出する不具合検出手段とを備えることを特徴とする。
【0013】
なお、本明細書、特許請求の範囲、及び、図面において記載される”紙”の語は、植物由来の繊維からなる紙に限定するものではなく、紙様の物、例えば樹脂製のシートや金属製の箔、またこれらの積層物などを含む広い概念で使用している。
【0014】
これにより、取得した第1記号と第2記号との間に相違点がある場合、読み取りの不具合、例えば、紙の一部が折れて重なっていた等を検出することが可能となる。
【0015】
前記第1取得手段は、紙情報が前記スキャナで読み取られ電子化された電子情報から第1記号を抽出してもよく、前記第2取得手段は、紙情報が前記スキャナで読み取られ電子化された電子情報から第2記号を抽出してもよい。
【0016】
これらにより、必須である電子化された電子情報から第1、第2記号を取得するため、わざわざ第1、第2記号取得のための電子化工程などを設ける必要がなく、簡易な構成で目的を達成することが可能となる。
【0017】
さらに、前記紙に第1記号と第2記号とを記載する記載手段を備えることが望ましい。
これにより、いかなる紙を電子化する際に、読み取りの不具合を検出することが可能となる。
【0018】
さらに、前記第2記号を保持する保持手段を備え、前記第2取得手段は前記保持手段から第2記号を取得することが望ましい。
【0019】
さらに、前記紙に第1記号を記載するとともに当該第1記号を第2記号として前記保持手段に保持させる記載手段を備えることが望ましい。
【0020】
第2記号を保持することにより、比較対象が明確になり、読み取りの不具合が発生したことを確実に検出することが可能となる。
【0021】
前記スキャナは、紙に記載された紙情報を読み取る読み取り手段と、読み取り手段に紙を順次供給する給紙手段を備え、前記記載手段は、前記給紙手段の給紙動作に連動して第1記号を紙に印字することが好ましい。
【0022】
これにより、省スペースで印字機能をシステムに追加することが可能となる。
前記第1記号は、個々の紙を識別する識別子を備えることが望ましい。
【0023】
これにより、電子情報を管理するための情報と読み取り不具合を検出するための記号を一つの記号で併用することができる。
【0024】
前記第1記号は、文字を備え、前記第1取得手段は、取得した記号に備えられる文字を文字情報に変換する変換手段を備え、前記不具合検出手段は、前記文字情報に基づき読み取りの不具合を検出することが望ましい。
【0025】
記号の比較を、文字情報で行うことで、画像解析を行う場合に比べ、相違点を容易に検出することが可能となる。
【0026】
また、上記目的は、紙に記載された紙情報をスキャナで読み取り電子化する方法であって、前記紙に記載された第1記号を取得する第1取得ステップと、前記第1記号と比較される第2記号を取得する第2取得ステップと、前記第1取得手段で取得された第1記号と前記第2取得手段で取得された第2記号との相違点に基づき前記紙情報の読み取りの不具合を検出する不具合検出ステップとを備えることを特徴とする紙情報電子化方法によっても解決可能であり、作用効果は上記紙情報電子化システムと同様である。
【0027】
さらに、前記ステップをコンピュータに実行させるプログラムであっても、同様である。
【発明の効果】
【0028】
紙をスキャンして電子化するに際し、紙に発生したしわや折れ、また、斜めフィードなどの読み取りの不具合を簡易に検出することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
次に、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
【0030】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施形態にかかる紙情報電子化システムを示す図である。
【0031】
本実施形態にかかる紙情報電子化システム100は、複数枚の紙としての帳票に記載されている紙情報を順次電子化し、電子情報に変換して保存するシステムであって、オートシートフィーダと称されるような給紙手段を備えたスキャナ110と、コンピュータ120とで構成されている。
【0032】
なお、本明細書、及び、特許請求の範囲において「紙情報」の語は、帳票などの紙面に記載されたあらゆる情報を含む意味で用いている。また、ここでいう情報とは、文字や図形など人間が直接認知できる情報の他、バーコードやQRコード(QRコードは、株式会社デンソーウェーブの登録商標です)などのように、直接人間が認知できない情報も含む。さらに、有用な情報ばかりでなく、線や円などの単純な図形や無意味な図形なども含む広い概念で用いている。
【0033】
スキャナ110は、複数枚の帳票を重ねて保持し、保持された帳票を供給する、いわゆるオートシードフィーダと称されるような給紙手段111と、帳票の供給方向に対し垂直に固設される一次元センサアレイ、及び、光を帳票の紙面に投射し反射光を前記センサアレイに読み取らせるための発光手段からなる読み取り手段(図示せず)とを備えている。また、供給された帳票を排紙部まで搬送する排紙手段113も備えている。
【0034】
コンピュータ120は、中央演算装置(CPU)やメモリ、ハードディスク、光学ディスクドライブ、表示手段、入力手段などを備えた一般的に普及しているコンピュータである。
【0035】
図2は、紙情報電子化システム100の機構部及び機能部を示すブロック図である。
同図に示すように、紙情報電子化システム100のスキャナ110は、給紙手段111と、記載手段114と、読み取り手段112と、排紙手段113とを備えている。また、コンピュータ120は、電子化部124と、記号発生部125と、保持部128と、記号/位置取得部121と、第1取得部126と、第2取得部127と、不具合検出部122と、出力部123とを備えている。また、電子化された情報を蓄積する保存手段131と、各種情報を表示する表示手段132とを備えている。
【0036】
なお、本実施形態において、各処理部をブロックごとに示しているが、これらは一台のコンピュータ及び当該コンピュータに組み込まれるソフトウエアによって実現される処理部であり、明確に分離できるものではない。
【0037】
給紙手段111は、複数枚の帳票を重ねて保持し、保持した帳票を1枚ずつ読み取り手段112に供給することのできる装置である。
【0038】
記載手段114は、記号発生部125で生成された記号を帳票の所定の位置に印字する装置である。当該記載手段114は、給紙方向に対する紙の幅の両端部にそれぞれ印字部を備えており、同時に二箇所印字できるものとなっている。当該印字部とは具体的には、インクを噴射して印字するものや、細いワイヤの端部でインクリボンを紙面にたたきつけてインクを転写するものなどが例示できる。また、当該印字部は読み取るべき帳票の給紙方向に対して垂直方向に位置を変更することができるものとなされており、帳票の大きさ(幅方向の長さ)に対応して柔軟に対応できるようになっている。
【0039】
また、記載手段114の印字部は一文字を印字するための文字の縦方向に対応する幅を備えており、また、給紙手段111の給紙速度と同期して印字が制御されている。従って、給紙方向に並んだ文字や、数字などを含む記号が印字できるものとなっている。
【0040】
読み取り手段112は、給紙手段111から供給される帳票に記載される紙情報を光学的に読み取って電気信号に変換し、当該信号を送信する装置である。本実施形態において読み取り手段112は、紙の給紙方向に対し垂直に延びる一次元イメージセンサ(CCDやCMOSなど)と、紙を照らし、反射光を前記一次元イメージセンサで読み取らせるための発光手段とを備えている。また、当該一次元イメージセンサと発光手段とは、スキャナ110に固定されており、給紙手段114により供給される紙の供給速度に同期して紙情報をスキャンするようになっている。
【0041】
電子化部124は、読み取り手段112から送信される信号を取得し、電子情報としての画像情報に変換する処理部である。
【0042】
記号発生部125は、帳票の所定の位置に印字されるべき記号を生成する処理部である。具体的には、印字されるべき記号を現す2バイトコードが生成される。
【0043】
また、記号発生部125は、生成した記号を保持する保持部128を備えている。本実施形態の場合、保持部128には記号発生部125が生成した文字情報が保持されており、当該文字情報が第2記号として第2取得部127を経由して不具合検出部122に取得される。
【0044】
記号/位置取得部121は、記号取得部と位置取得部とを兼ね備えた処理部である。つまり、読み取りの不具合を検出するために記載手段114により印字された記号を電子化部124により得られた画像情報の中から抽出して取得する記号取得部としての機能と、取得した記号の帳票上の位置情報(例えば、給紙方向に向かって右奥の位置などの情報)を前記画像情報から取得する位置取得部としての機能とを併せ持っている。さらに本実施形態の場合、記号/位置取得部121は、取得した記号(画像情報)を2バイトコードからなる記号(文字情報)に変換する機能を備えている。
【0045】
なお、記号/位置取得部121で取得された記号は、第1記号として第1取得部126を経由して不具合検出部122に取得される。
【0046】
不具合検出部122は、第1取得部126を経由して取得した第1記号としての記号(文字情報)と、第2取得部127を経由して取得した第2記号としての記号(文字情報)とを比較し不具合を検出する処理部である。
【0047】
そして、不具合検出部122は、前記変換後の文字情報(第1記号)と記号発生部125から取得した文字情報(第2記号)と比較することにより読み取りの不具合の有無を判定する処理部である。さらに、記号/位置取得部121から、記号の位置情報を取得し、不具合が発生していると判定した場合、その不具合の発生位置を特定する機能も備えている。
【0048】
具体的に不具合検出部122は、不具合の有無の判定方法として、前記二つの文字情報(第1記号と第2記号と)が完全に一致している場合以外は、全て不具合有りとして判定する方法を採用している。
【0049】
ここで、読み取りの不具合とは、紙が斜めの状態で読み取られた状態、紙の一部が折り畳まれたままで読み取られた状態、一部が欠損した紙が読み取られた状態、紙の一部が裂けているため紙の一部分だけが斜めとなったまま読み取られた状態、複数枚の紙がずれて重なったまま読み取られた状態などを含んでいる。また、紙の状態に起因する読み取りの不具合ばかりでなく、読み取り手段112の不良による不具合や、ゴミなどによる読み取り不具合も含んでいる。
【0050】
出力部124は、不具合検出部122における判定結果を、表示手段132やプリンタ(図示せず)などに出力する処理部である。
【0051】
保存手段131は、電子化部124で紙情報から変換された画像情報を蓄積する記憶媒体である。当該記憶媒体としては、ハードディスクドライブや各種メモリ、光学ディスクなどが挙示できる。
【0052】
つぎに、本実施形態にかかる紙情報電子化システム100による不具合の検出方法について説明する。
【0053】
まず、本実施形態で電子化がなされる帳票を説明する。
図3は、本実施形態に供される帳票200を示す図である。
【0054】
同図に示すように、帳票200は、現金立替生産に関する帳票であり、帳票の四隅に数字及び英文字からなる第1記号としての記号201が記載されている。なお、同図中に示される矢印は給紙方向を示している。
【0055】
図4は、不具合の検出動作などを示すフローチャートである。
まず、記号発生部125は、印字すべき記号(「20060201AB123456」)を生成する。具体的には、帳票200を識別することができる2バイトコードからなる記号(文字情報)が生成される(S401)。当該記号に含まれる情報は、西暦、月、日、スキャナ110の識別子、連番で構成されており、スキャナ110で読み取る帳票1枚に一つの記号が生成される。
【0056】
次に、記載手段114は、記号発生部125で生成された2バイトコードからなる記号(文字情報)を取得し、帳票200の四隅に記号201を第1記号として印字する(S402)。ここで印字された記号201が第1記号(紙情報)として機能する。
【0057】
記載手段114の印字部は、事前に帳票200の幅の両端部に対応して配置され、給紙手段111により読み取り手段112に供給されつつある帳票200に順次記号を印字する。以上により、給紙方向に並んで記号が印字される。この印字方法を採用することにより、印字する記号に対応して印字部を駆動させる必要がなくなるため、記載手段114の大きさが小さくなり、スキャナ110内にコンパクトに納めることが可能となる。
【0058】
次に、読み取り手段112により、帳票200の一面に記載される全ての紙情報が読み取られる(S403)。この際、帳票200に既に記載されている紙情報に加えて、記載手段114により印字された記号201(第1記号)をも紙情報として、一度に読み取られる。
【0059】
次に、電子化部124により、読み取り手段112から送信される信号が画像情報に変換され(S404)、当該画像情報は、保存手段131に取得されて保持されると共に、記号/位置取得部121にも取得される。
【0060】
次に、記号/位置取得部121は、前記画像情報から記号201(第1記号)を抽出する(S405)。本実施形態の場合、記号/位置取得部121は、予め把握している記号201の位置情報に基づき前記画像情報から記号201のみを切り出し、文字認識により記号201に関する画像情報を文字情報(第1記号)として抽出している。
【0061】
ここで、予め把握している記号201の位置情報とは、本実施形態の場合、記載手段114で帳票200に記載した記号201の帳票200上の位置を示す情報であり、記載手段114の印字部の位置と、記号発生部125が記載手段114に記号201を記載させるタイミングと、記号201の長さにより定められる情報である。また、前記文字情報と前記位置情報とが関連付けられて保持されている。
【0062】
次に、不具合検出部122は、記号/位置取得部121から第1記号取得部126を経由して取得した第1記号としての記号201(文字情報)と、記号発生部125から保持部128及び第2記号取得部127を経由して取得した第2記号としての記号(文字情報)とを比較する(S406)。当該比較は帳票200の四隅に第1記号として印字されていた全記号201について行われる。
【0063】
そして、帳票200の四隅の内、一つでも相違点が検出されれば(S406:Y)、当該内容を示す情報を出力部123が作成(S407)し、表示手段132に表示させる(S409)。
【0064】
例えば、図5に示すように、帳票200の一つの隅が折れ曲がった状態でスキャンされておれば、当該隅から得られる記号201の文字情報は「20060」となる。従って、記号発生部125から取得した記号201に関する文字情報「20060201AB123456」と比較すると、相違点が検出されるため、読み取りの不具合が発生したと判定される。
【0065】
また、文字情報とこれに対応する位置情報とが保持されているため、これらの情報に基づき読み取りの不具合が発生した帳票200上の位置が特定される。
【0066】
一方、帳票200の四隅のいずれにおいても相違点が検出されなければ(S406:N)、当該内容を示す情報を出力部124が作成(S408)し、表示手段132に表示させる(S409)。
【0067】
図6は、表示手段132に表示される画面例を示す図である。
同図に示すように、本実施形態にかかる紙情報電子化システム100は、記号発生部125が生成した記号201を識別子とし、当該記号201と電子化された紙情報とを結びつけて管理している。そして、読み取りの不具合が検出されれば、画面に表示される記号201の左横に「error!」が表示されるものとなっている。また、表示される記号201の右横には不具合が発生している箇所が数字で表示されるものとなっている。具体的には、給紙方向に向かって帳票200の右前を「1」とし、時計回りに順次「2」、「3」、「4」と数字が割り振られており、表示手段132に表示された数字が、帳票200上の読み取り不具合発生箇所を示している。従って、「1,2,3,4」と表示された場合は、帳票200の全ての隅部に読み取りの不具合が発生している(例えば帳票200が斜めに給紙され状態でスキャンされた)ことを示している。
【0068】
以上の構成、及び、方法を採用することにより、読み取りの不具合を自動的に検出することが可能となる。従って、紙情報の一部が欠落したままの電子情報を保存することを可及的に抑止することができる。
【0069】
また、本実施形態の場合、記号発生部125で生成した記号を情報のまま第2記号とし、紙情報から取得した第1記号としての記号201を前記第2記号と照合することで帳票200における読み取り不具合を検出するため、第2記号が正確であり不具合が発生した箇所を容易に特定できるようになっている。つまり、紙情報電子化システム100が正しい文字情報(第2記号)を保有し、当該正しい文字情報を基準として比較するため、画像情報から取得された文字情報が正しいか否かを明確に判定できるためである。
【0070】
(実施の形態2)
次に、本発明にかかる他の実施形態を説明する。
【0071】
図7は、他の実施形態にかかる紙情報電子化システム100の機構構成及び機能構成を示すブロック図である。
【0072】
同図に示すように、本実施形態にかかる紙情報電子化システム100は、前記実施形態にかかる紙情報電子化システム100と、記載手段114、及び、記号発生部125、保持部128が無い点以外は機構構成、及び、機能構成は同じである。従って、これらの説明は省略する。
【0073】
図8は、他の帳票200を示す図である。
同図に示すように、本実施形態にかかる帳票200は、帳票200を印刷する際に帳票200の四隅に同一のQRコード(Quick Response code)も印刷されたものである。本実施形態では、帳票200自体の情報を保持するQRコードを読み取り不具合を検出するための第1記号および第2記号としても利用する。
【0074】
なお、当該QRコードを帳票200の印刷と共に印刷するのではなく、帳票200を読み取る前に前述の記載手段などで記載(印刷)するものでもかまわない。
【0075】
図9は、本実施形態における読み取り不具合検出動作を示すフローチャートである。
まず、読み取り手段112により、帳票200の一面に記載される全ての紙情報が読み取られる(S901)。この際、記号201としてのQRコードも読み込まれる。
【0076】
次に、電子化部124により、読み取り手段112から送信される信号が画像情報に変換され(S902)、当該画像情報は保存手段131に取得されて保持されると共に、記号/位置取得部121にも取得される。
【0077】
次に、記号/位置取得部121は、前記画像情報から記号201を取得する(S903)。本実施形態の場合、記号/位置取得部121は、QRコードの読み取り方法に従い、QRコードで表された情報を、帳票200の四隅からそれぞれ取得する。
【0078】
次に、不具合検出部122は、記号/位置取得部121から取得したQRコードに基づく四つの情報を相互に比較する(S904)。具体的には、記号/位置取得部121が取得したQRコードの一つを第1記号として第1取得部126を経由して不具合検出部122が取得すると共に、前記以外のQRコードの一つを第2記号として第2取得部127を経由して不具合検出部122が取得し、これら第1記号と第2記号とを比較する。これらの処理動作を全てのQRコードが第1記号となるように繰り返すことにより、四つの情報が相互に比較されることとなる。
【0079】
そして、相互に比較した結果、相違する情報が検出されれば(S904:Y)、読み取り不具合が発生したことを示す情報を出力部124が作成(S905)し、表示手段132にその旨を表示させる(S907)。
【0080】
本実施形態では、帳票200の四隅に位置するQRコードを相互に比較するため、読み取りの不具合を検出することができるものの、いずれのQRコードに読み取りの不具合が発生しているかを特定することは困難となる。
【0081】
一方、四つの情報の全てが一致していれば(S904:N)、読み取り不具合が発生しなかったことを示す情報を出力部124が作成(S906)し、表示手段132にその旨を表示させる(S907)。
【0082】
図10は、表示手段132に表示される画面例を示す図である。
同図に示すように、本実施形態においては、読み取り不具合の発生の有無を、QRコードから読み取られた情報を伴って表示されている。
【0083】
本実施形態によれば、スキャナ110に記載手段を設けることなく読み取りの不具合を検出することができるため、紙情報電子化システム100をコンパクトかつ低コストとすることができる。
【0084】
また、帳票200を識別するコードなどを読み取り不具合を検出するための記号として転用することができる。
【0085】
なお、上記実施形態では、ある種の情報を記号201に担持させたが、これに限定されるわけではない。例えば、記号201は円や三角形など単なる無意味な図形でもかまわない。このような記号201の場合、画像情報として記号201を取得し、画像解析を行って、記号201の相違点を検出すればよい。
【0086】
また、本実施形態では記号201を帳票200の四隅に設けたが、これに限定されるわけではなく、少なくとも1箇所以上記号201を設ければよい。また、記号を設ける位置も四隅に限定されることはなく、帳票200等の紙面上のいずれの部分に設けてもかまわない。
【0087】
また、給紙手段を備え、センサが固定され紙が移動するスキャナを用いて説明したが、本発明はこれに限定されるわけではなく、紙は一時的に固定され、センサが移動する、いわゆるフラットベッドタイプのスキャナを用いても、上記と同様の作用効果を得ることは可能である。
【産業上の利用可能性】
【0088】
本発明は、紙情報を電子化するシステムに利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】本発明の実施形態にかかる紙情報電子化システムを示す図である。
【図2】紙情報電子化システムの機構部及び機能部を示すブロック図である。
【図3】本実施形態に供される帳票を示す図である。
【図4】不具合の検出動作などを示すフローチャートである。
【図5】読み取りの不具合が発生する帳票を示す図である。
【図6】表示手段に表示される画面例を示す図である。
【図7】他の実施形態にかかる紙情報電子化システムの機構部及び機能部を示すブロック図である。
【図8】他の帳票の例を示す図である。
【図9】本実施形態における読み取り不具合検出動作を示すフローチャートである。
【図10】表示手段に表示される画面例を示す図である。
【符号の説明】
【0090】
100 紙情報電子化システム
110 スキャナ
111 給紙手段
112 読み取り手段
113 排紙手段
114 記載手段
120 コンピュータ
121 記号/位置取得部
122 不具合検出部
123 出力部
124 電子化部
125 記号発生部
131 保存手段
132 表示手段
200 帳票
201 記号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙に記載された紙情報をスキャナで読み取り電子化するシステムであって、
前記紙に記載された第1記号を取得する第1取得手段と、
前記第1記号と比較される第2記号を取得する第2取得手段と、
前記第1取得手段で取得された第1記号と前記第2取得手段で取得された第2記号との相違点に基づき前記紙情報の読み取りの不具合を検出する不具合検出手段と
を備えることを特徴とする紙情報電子化システム。
【請求項2】
前記第1取得手段は、紙情報が前記スキャナで読み取られ電子化された電子情報から第1記号を抽出する請求項1に記載の紙情報電子化システム。
【請求項3】
前記第2取得手段は、紙情報が前記スキャナで読み取られ電子化された電子情報から第2記号を抽出する請求項1に記載の紙情報電子化システム。
【請求項4】
さらに、
前記紙に第1記号と第2記号とを記載する記載手段を備える請求項1に記載の紙情報電子化システム。
【請求項5】
さらに、
前記第2記号を保持する保持手段を備え、
前記第2取得手段は前記保持手段から第2記号を取得する請求項1に記載の紙情報電子化システム。
【請求項6】
さらに、
前記紙に第1記号を記載するとともに当該第1記号を第2記号として前記保持手段に保持させる記載手段を備える請求項5に記載の紙情報電子化システム。
【請求項7】
前記スキャナは、紙に記載された紙情報を読み取る読み取り手段と、読み取り手段に紙を順次供給する給紙手段を備え、
前記記載手段は、前記給紙手段の給紙動作に連動して第1記号を紙に印字する請求項4または請求項6に記載の紙情報電子化システム。
【請求項8】
前記第1取得手段は、取得する第1記号の紙上の位置を取得する位置取得手段を備え、
前記不具合検出手段は、不具合が発生する位置をも検出する
請求項1に記載の紙情報電子化システム。
【請求項9】
前記第1記号は、個々の紙を識別する識別子を備える請求項1に記載の紙情報電子化システム。
【請求項10】
前記第1記号は、文字を備え、
前記第1取得手段は、取得した記号に備えられる文字を文字情報に変換する変換手段を備え、
前記不具合検出手段は、前記文字情報に基づき読み取りの不具合を検出する請求項1に記載の紙情報電子化システム。
【請求項11】
紙に記載された紙情報をスキャナで読み取り電子化する方法であって、
前記紙に記載された第1記号を取得する第1取得ステップと、
前記第1記号と比較される第2記号を取得する第2取得ステップと、
前記第1取得手段で取得された第1記号と前記第2取得手段で取得された第2記号との相違点に基づき前記紙情報の読み取りの不具合を検出する不具合検出ステップと
を備えることを特徴とする紙情報電子化方法。
【請求項12】
紙に記載された紙情報をスキャナで読み取り電子化するプログラムであって、
前記紙に記載された第1記号を取得する第1取得ステップと、
前記第1記号と比較される第2記号を取得する第2取得ステップと、
前記第1取得手段で取得された第1記号と前記第2取得手段で取得された第2記号との相違点に基づき前記紙情報の読み取りの不具合を検出する不具合検出ステップと
をコンピュータに実行させることを特徴とする紙情報電子化プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−299199(P2007−299199A)
【公開日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−126578(P2006−126578)
【出願日】平成18年4月28日(2006.4.28)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】