説明

紙材料から作られたカップ

【課題】 円錐形套管と底により形成された充填可能な内部を持つ紙材料から作られたカップを提供する。
【解決手段】底は内部の下方端で套管に本質的に液密方式で底スカートにより取付けられる。底スカートの領域の套管及び/または底及び/または底スカート自体は周囲に沿った少なくとも一つの領域に外向きに突出する広がりを含む。広がりの下方縁はカップのための立ち表面を形成する。広がりは同じ形式の別のカップを保持するための手段を形成することができ、この手段は積重ね時に同様なカップと一緒に作用することができる。カップは断熱外部套管を含むことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙材料から作られかつ充填可能な内部を持つカップに関し、この内部は円錐形套管と底により形成され、さらに底は底スカートにより内部の下方端で本質的に液密方式で套管に取付けられている。
【0002】
本発明はさらに、紙材料から作られたカップの製造方法に関し、このカップは円錐形套管とこの套管の小さい方の周囲の領域内に底スカートにより取付けられた底からなる。
【背景技術】
【0003】
この種のカップは、日本の公開された特許出願JP2001−192015Aで従来技術である。公知のカップの底スカートは下向きに広くなっている。この広がりは外部套管を固定する役目をし、それは中空空間を形成することにより内部構成套管を取り囲む。底スカートの広がりは内部套管と外部套管の間に距離を構成するので、底スカートの周囲に沿った広がりは連続的でなければならない。外部套管は、底スカート周りに置かれ、内向きに折りたたまれ、そこに取付けられる。外部套管が底スカートに取付けられるとき、底スカートの液密性が影響を受けることが起こるかもしれない。外部套管の内向きの折りたたみによる取付けは非常に複雑な方法である。
【0004】
公知のカップの場合、外部套管は底スカートを完全に取り囲み、従ってこれはもはや外側から見られることができない。外部套管が内向きに折りたたまれて内側から底スカートに取付けられるとき、外側からのカウンター保持はもはや不可能である。外部套管は、底スカートが吸収することができる非常に低いレベルの力により内側から押圧されることができるのみである。もし圧力が大きすぎると、底スカートは破れるかもしれず;他方で、もし圧力が低すぎると外部套管の取付けは不適当でありうる。外部套管を熱封止により取付ける場合、内向きに折りたたまれた外部套管が封止されるとき、カウンター圧力が外側から底スカート上に及ぼされないので、底と内部構成套管との間の封止が失われることが起こりうる。
【0005】
紙材料から作られたカップの場合、底スカートはカップの非常に重要な要素である。底スカートは套管と底との間の連結のために必要である。少なくとも二つの材料層、すなわち底の材料と内部構成套管の材料、が厚さ方向に互いの上に配置される。底は有利にはポット形状をしており、その開放側はカップの充填開口から離れるように面している。少なくとも二つの材料層は有利にはポット形状底の壁に沿って配置される。追加的に、例えば套管は底の材料周りに内向きに折りたたまれること、及び底スカートが三つ以上の材料層からなることが規定されることができる。底の材料は、少なくともある時間の間、液密であるために、底スカートの領域で套管の材料に接着または封止される。
【0006】
底及び套管が作られている「紙材料」という用語は種々の材料を含み、それらは紙、板紙または厚紙の少なくとも一層を含む。加えて、材料は合成物及び/またはアルミニウムから作られた一つ以上の層を含むことができる。また、紙材料は、カップが続いて充たされる液体に対して抵抗を提供するために、ワックス仕上げまたは被覆されることが規定されることができる。紙材料は有利には少なくとも内部に面する側を好ましくはポリエチレンから作られた薄い合成物層で被覆される。純粋な合成材料とは対照的に、成形性、特にかかる紙材料が引伸ばされる程度が制限される。変形が大きすぎる場合、紙材料自体、または設けられた被覆は破れるかもしれず、従って液密性がそこなわれる。従って、底スカートは紙材料から作られたカップの場合、必須の設計特徴であり、省かれることができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】日本公開特許出願JP2001−192015A
【特許文献2】ヨーロッパ特許EP1227042B1
【発明の概要】
【0008】
本発明の目的は、上述の形式のカップの製造方法を簡略化すること、及び底スカートでの液密性の持つ困難性を避けることである。
【0009】
この目的は、本発明によれば、底スカートの領域の套管及び/または底及び/または底スカート自体が少なくとも周囲に沿った領域に外向きに突出する広がり(widening)を含むこと、及び下方縁がカップのための立ち表面を形成することで達成される。
【0010】
この目的は、本発明によれば、底が底スカートの成形により套管に結合され、さらに底スカートの成形時に、底スカートの領域の套管及び/または底及び/または底スカート自体が周囲に沿って少なくとも一つの領域で外向きに広がり、従って広がりの下方縁がカップのための立ち表面を形成することで達成される。
【0011】
カップの立ち表面は、広がりが部分的であっても、広がりにより拡大され、従ってカップは改善された安定性を取得する。広がりはここでは外部套管により覆われておらず、または完全に覆われておらず、従って套管または底の材料は立ち表面を直接形成する。従って、底スカートは外部套管の追加の材料の適用によりその液密性をそこなわれることができない。有利な実施態様では、広がりは連続的であり、周囲に沿って均一的に形成される。紙材料が被覆されるとき、被覆が破れない点までのみ広がりを形成することが有利である。
【0012】
底スカートは有利にはその全範囲に沿って広げられる。そのとき底スカートは軸方向断面で見たときカップの中心軸に関して本質的に一定の傾斜角度を持つ。しかし、一実施態様では、底スカートが異なる高さ領域を持ち、それらは傾斜の変動する角度を持つことが規定されることができる。底を境界付ける底スカートの領域はここではその初期形状のままであることができ、一方、底スカートの下方縁はますます広げられる。その上部の最も高い領域は、主として充填可能な内部を封止する役目をすることができ、本質的に液密方式で円錐形套管を底と結合する。この上部の最も高い領域で、套管と壁は一緒に封止または接着される。底スカートのより低い高さ領域で、内部構成套管及び/または底の壁の材料は、広げられ、かつその下方縁によりカップのための拡大された立ち表面を形成する。この高さ領域での底の材料及び套管の材料の液密結合はもはや絶対的に必要ではなく、従ってより低い高さ領域での封止または接着は少なくともある程度まで省かれることができる。
【0013】
本発明によるカップは、外部套管なしで、または種々の異なる外部套管を持って利用されることができるので、非常に多用性がある。中空空間を形成しながら内部構成套管を取り囲む断熱套管が有利に提供される。外部套管は、ここでは中心軸に沿って円錐形内部構成套管上をスライドされ、底スカートが形成されかつ広げられた後に固定される。
【0014】
底スカートの広がりは、カップの積重ね性を改善するために非常に有利に付与されることができる。積重ね可能なカップは例えばヨーロッパ特許EP1227042B1で知られている。この公知のカップの内部構成套管は同じ形式の別のカップを保持するための第一手段を含む。この公知のカップは、断熱中空空間を持つ内部構成套管を取り囲む外部套管上の第二保持手段を含む。第二保持手段は、内向きに巻かれかつ外部套管の下方端に付与されたカールした部分により形成される。カップが積重ねられるとき、外部套管に付与された第二保持手段は同様なカップに付与された第一保持手段と一緒に作用することができる。互いの上に積重ねられた多数のカップはこれにより安定な積重ね体を形成し、そこでは積重ねられたカップは互いにくさび留めされることなしに、互いの上にしっかりと載る。積重ねられたカップのくさび留めが防がれるので、それゆえ個々のカップは非常に容易に積重ね体から除去されることができる。
【0015】
この公知のカップは、積重ねで発生する力が内部構成套管を通してかつ外部套管を通して中継されるという欠点を持つ。カップ内で第一保持手段から第二保持手段へ中継されなければならないこの力は、まず内部構成套管を通して内部套管と外部套管の間の連結点に伝達され、これらの連結点を介して外部套管に中継される。外部套管内で、この力は内向きに巻かれた縁として形成された第二保持手段に中継され、そこで次のカップに伝達される。内部套管と外部套管は、発生する力を吸収するために十分に安定でなければならない。加えて、外部套管と内部套管の間の連結点は最大発生力を吸収するように設計されなければならない。
【0016】
ヨーロッパ特許EP1227042B1によるカップの設計の範囲は、外部套管に付与された第二保持手段が同じ形式の別のカップの第一保持手段の寸法に、かつまた中継された力に常に適合されなければならないので、不利に制限される。任意の形を持つ外部套管を提供すること、またはその形を要求されるように変えることも不可能である。良好な積重ね性を失うことなく必要な場合に外部套管を省くこともまた不可能である。
【0017】
本発明によるカップでは、同じ形式の別のカップを保持するための手段が底スカート上に配置されることが規定され、この手段はカップが積重ねられるとき同様なカップと一緒に作用することができる。保持手段は有利には広がりにより形成される。第一保持手段が内部構成套管上に配置されることが有利に規定され、この第一保持手段はカップが積重ねられるとき同様なカップの広がり上に付与された第二保持手段と一緒に作用することができる。
【0018】
積重ね可能なカップは次の製造工程による方法で有利に製造される:
− 同じ形式の別のカップを保持するための少なくとも一つの第一保持手段を内部構成套管上に形成する;
− 底スカート上に第二保持手段を形成する、但しこの第二保持手段はカップが積重ねられるとき同様なカップに付与された第一保持手段と一緒に作用することができる。
【0019】
第二保持手段は、ここでは内部構成套管上にまたは底上に、または内部構成套管を底と連結する底スカート上に、配置される。どの場合でも、第二保持手段は、充填可能な内部と接触しているカップの要素に付与される。
【0020】
本発明によるカップは、外部套管なしであっても、カップがくさび留めなしに安定な態様で信頼性を持って積重ねられることができかつ容易に再度積重ねを解くことができるという利点を持つ。もしカップが断熱外部套管を割当てられるべきであることが規定されるなら、これは、かなりの程度で独立してかつヨーロッパ特許EP1227042B1のカップの制限を含むことなく達成されることができる。積重ね時に発生する力は簡単に内部構成要素内で第一保持手段から第二保持手段に中継される。従って、外部套管は絶対的に必要というわけではない。しかし、もし外部套管が設けられるとしても、それには積重ね時に発生する力はかからない。内部構成套管が底に連結される底スカートは、カップの非常に安定な部分であり、力を吸収するために非常にうまく適している。積重ね時に発生する力は、本質的に内部構成套管により第一保持手段から第二保持手段に中継され、この第二保持手段は底スカートを広がりにより形成されることができる。これは、非常に多数のカップを含む非常に安定な積重ね体の形成を可能とし、これらのカップは、積重ね体がたたかれたり、または例えば地面上に急に置かれるときであっても、互いにくさび留めされることはない。底と内部構成套管は、それらが充填時に発生する力も吸収しなければならないので、いずれの場合でも積重ね時に発生する力を吸収するのに十分な強さがある。
【0021】
多数のカップが積重ね時にくさび留めされるのを防ぐために、第二保持手段の寸法が同じ形式の別のカップの第一手段の寸法に適合していることが有利である。同じ形式の別のカップを保持するための第一手段はここでは任意に形成されることができる。しかし、カップの軸方向に作用する力、すなわち積重ね時に二つのカップ間に作用する力、を吸収することができる形状が形成されることが必須である。第一保持手段は有利にはビードまたはリブとして設計され、それは少なくとも内部構成套管の周囲に沿った一領域に形成される。ビードまたはリブは、周囲に沿って連続的にまたは中断を持って設計されることができる。
【0022】
もし、本発明の一実施態様において、カップが断熱外部套管を含むことが規定されるなら、断熱外部套管の設計はここでは任意である。外部套管は例えば合成物、紙または複合材料から作られることができる。断熱効果を改善するために、外部套管はまた、波形加工、ひだ付き加工、エンボス加工されることができ、または発泡層を含むことができる。外部套管は多層套管として設計されることができ、例えば波形加工中間層が設けられ、それが次いで滑らかな外部層により覆われる。本発明によるカップは外部套管の形式から独立して積重ねられることができるので、一つの同じ内部カップは簡単でかつ略無限の種々の方法で種々の外部套管と組合されることができる。消費者により見られるカップの外観は主として外部套管の設計により構成されるという事実のため、内部カップまたは充填可能な内部を形成する要素の形状と寸法を変えることなく、種々の視覚的及び触覚的設計を持つ種々のカップが作られることができる。
【0023】
二重壁カップを製造する方法において、次の工程が有利に実行される:
− 内部構成套管上への同じ形式の別のカップを保持するための少なくとも一つの第一保持手段の形成;
− 広げられた底スカートの形成及び内部構成套管と底のプレス;
− 底スカートでの第二保持手段の形成、但しこの第二保持手段はカップが積重ねられるとき同様なカップに付与された第一保持手段と一緒に作用することができる;
− 内部構成円錐形套管上の管状予備形成外部套管の軸方向のスライド;
− 外部套管の内部構成套管への固定。
【0024】
外部套管の内部套管上への固定は例えば封止または接着により行われることができる。これは外部套管と内部構成套管の間のしっかりした連結を実現し、従って外部套管は、たとえ外部套管が低い高さしか持たないとしても、滑るのを信頼性を持って防がれる。
【0025】
カップの良好な外観を達成するために、外部套管が、同じ形式の別のカップを保持するための第一手段の下で、または底の下でさえ終わるのが有利である。従って、内部套管に付与された第一保持手段は外部套管により覆われ、もはや外側から見られない。さらに、外部套管が底スカートの広がりの上で終わるとき有利である。
【0026】
底スカートの広がりは有利には底スカートの外側及び内側に配置された道具の二重作用により行われる。従って、広がりは非常に正確に形成されることができる。
【0027】
広がりは、有利には広がりの下方縁上に配置された内部構成套管に対する平行線が内部構成套管の外側のある距離で延びるような程度に外向きに広げられる。設けられた外部套管がカップの積重ねを妨げないために、外部套管の外部輪郭が内部構成套管に対する平行線内に位置し、この平行線が底スカートの広がり上に配置されていることが有利である。
【0028】
本発明のこれらの及びさらなる目的、特徴及び利点は、添付図面に関してなされる以下のそれらの詳細な説明からより容易に明らかとなるであろう。示されかつ説明された種々の実施態様の個々の特徴は、本発明の枠を越えることなく任意に組合されることができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】図1は、本発明によるカップを縦断面で示す。
【0030】
【図2】図2は、二つの積重ねられたカップの図1に似た図を示す。
【0031】
【図3】図3A〜3Cは、底スカートの領域の種々の実施態様の縦断面を概略的にかつ部分的にのみ示す。
【0032】
【図4】図4は、種々の実施態様の中の一つの実施態様の部分的に描かれたカップの図1に似た図を示し、そこでは種々の外部套管の一つが設けられている。
【0033】
【図5】図5は、種々の実施態様の中の一つの実施態様の部分的に描かれたカップの図1に似た図を示し、そこでは種々の外部套管の一つが設けられている。
【0034】
【図5A】図5Aは、図5の変形例の拡大された図である。
【0035】
【図6】図6は、套管が内向きに折りたたまれるとき及び別のカップを保持するための手段が形成されるときの底スカートの領域のカップの縦断面である。
【0036】
【図7】図7は、図6の変形例の図である。
【0037】
【図8】図8は、底スカートをプレスするための内部道具と外部道具を持つ本発明によるカップの底スカートの縦断面である。
【0038】
【図9】図9は、製造の種々の段階の一つの図5に示されたカップの外部套管を部分的に示す。
【0039】
【図10】図10は、製造の種々の段階の一つの図5に示されたカップの外部套管を部分的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0040】
図1に示されたカップ1は本質的に円錐形套管2とポット形状底3からなる。ポット形状底3の開放側は、カップ1の充填開口から離れる方に面するような方法で配置されている。壁31を持つ底3はその最小直径の領域で底スカート4の形成により套管2に液密的に結合される。底スカート4の領域で、套管2の材料は底3の壁31の周りに置かれかつ内向きに折りたたまれる。套管2と底3はカップ1の充填可能な内部5を形成する。充填可能な内部5は高さAを持つ。内部5を構成する套管2はその上部縁に、すなわちその最大周囲の領域に、外向きに巻かれた縁6を含み、それは充填開口を取り巻く。
【0041】
套管2の円錐形特徴はここでは套管2が図1に示された縦断面で縁6から底3に少なくともある領域で先細りとなるということで理解される。套管2はここでは充填可能な内部5の領域でビード8の上にカップ1の中心軸13に対して傾斜角度αを含む。套管2はビード8の下に底3に達する円筒形を持つ。套管2の断面での形はここでは無関係である。套管2は有利には断面が円形であるが、これに代えて例えば長円形で、または丸いコーナーを持つ長方形であることもできる。カップ1は円錐形套管2の丸い断面の場合に切頭円錐形形状を持ち、一方、カップの長方形断面の場合に円錐形套管2はおそらく切頭ピラミッド形状を持つ。
【0042】
底スカート4は、少なくともその周囲に沿った領域に外向きに突出する広がり10を含む。広がりは、この場合、底スカート4が中心軸13の周りの円筒に関して外向きに張り出し、従って底スカートは立ち表面に向けて下向きに拡大する断面領域を取り囲む。底スカート4上の広がり10の下方縁14はカップ1のための立ち表面を形成する。カップ1は、使用時にはその立ち表面で立ち、この立ち表面は広がり10により拡大される。これはカップ1をひっくり返すのを困難にする。広がり10は有利には底スカート4の周囲のまわりに連続的に設計される。
【0043】
外向きに突出する広がり10はまた、同じ形式の別のカップ1′を保持するための手段9を形成し、この手段はカップが積重ねられるとき同様なカップ1′と一緒に作用することができる。同様なカップ1′中のカップ1の積重ねは図2に示される。カップ1を積重ねるための手段9としての広がり10はここでは例えば内部5′を構成する套管2′と一緒に作用することができる。さらなる積重ね手段は絶対的には必要ではない。
【0044】
内部5を構成する套管2は有利には同じ形式の別のカップ1を保持するための第一手段7を含み、この手段は任意に形成されることができる。第一保持手段7がカップ1の中心軸13の方向に作用する力、すなわち積重ね時の二つのカップ間に作用する力、を吸収することができる形状を含むことが重要である。第一保持手段7は例えばカップ1の内部中に突出するリブまたはビード8により形成されることができる。広がり10の形の上述の第二手段9は底スカート4に配置され、そこで内部5を構成する套管2はポット形状をした深絞り底3の周りに折りたたまれ、そこに液密的に固定される。
【0045】
第二保持手段9の寸法Yは同じ形式の別のカップ1′を保持するための第一手段7の寸法Xに適合している。カップ1の円形断面の場合、第一保持手段7の寸法Xはビード8上の套管2の内径に相当する。第二保持手段9の寸法Yは底スカート4での広がり10の最大外径、すなわち広がり10が囲む直径、に相当する。寸法XとYの適合は、寸法Yが寸法Xより幾らか小さいかまたは最大でも寸法Xと同じ寸法であることで行われる。
【0046】
保持するための第一手段7と保持するための第二手段9の相互作用は図2に示されたカップ1と1′で明らかである。内部5′を構成する套管2′に付与されたカップ1′の第一手段7′はカップ1の第二手段9を捕らえる。下方縁14の略立ち表面であるカップ1の底スカート4に付与された広がり10、特に広がり10の底端はここでは套管2′中に形成されたビード8′上に支持される。第一保持手段7の寸法Xの第二保持手段9の寸法Yへの上述の適合のため、カップ1の広がり10が円錐形套管2′内にくさび留めすることなく、安全かつ安定した方法でビード8′上に立つことが確保される。積重ね時に中心軸13に沿って発生する力、例えばカップ1のまたはその上に積重ねられたカップの重量の力は、保持手段7′としてのビード8′により信頼性を持って吸収され、套管2′を介して下方カップ1′の底スカート4′の下方縁14′に中継され、かつ立ち表面に位置した下方縁14′から地面に移行される。これは、中心軸13の方向に非常に高い力が発生するときであっても、カップが積重ねを解かれるときのカップ1または1′の容易な除去性を確保する。
【0047】
套管2の液密性に悪影響を与えることなく、対応して大きな寸法Yを持つ十分に大きな広がり10を達成するために、図1に見られるように広がり10の高さが本質的に底スカート4の全高さBにわたって延びるとき有利である。図1の軸方向断面に見られるように、底スカート4はカップ1の中心軸13に関して一定の傾斜角度βを含む。底スカート4の高さ領域Bの傾斜角度βはいずれの場合でも底スカート4が下方縁14に向けて広がりかつその下方縁14にその最大幅の寸法Yを持つような方法で、すなわち底スカート4の下方縁14が中心軸13に平行に見たとき中心軸13から最も遠くにある底スカート4の領域を形成するような方法で調整される。内部5の領域の套管2の傾斜角度αと対照的に、傾斜角度βは円錐形が反対方向に延びるように配列される。
【0048】
広がり10を取り囲む直径Yはここでは有利には、内部5と接触状態の底3の領域を取り囲む直径Dより大きい。効果的な積重ね、及び積重ね高さが不必要に高くないことを可能にするために、内部5を構成する套管2に割当てられた保持手段7が底3の上で内部5の高さAの3分の1以下に配置されることが有利である。たとえ手段7が省かれ、広がり10が套管2の円錐形領域上に直接支持されたとしても、広がり10を囲む直径Yは有利には高さAの略3分の1の底3の上の高さの套管2の内部形状を囲む直径より小さい。
【0049】
リブまたはビード8は、カップ1の軸方向または半径方向に套管2に対して置かれている成形道具によりスタンプ加工されまたはロール掛けされることができる。同じ種類の別のカップ1′を保持するための第一手段7を囲む直径W、すなわちビード8の内径Wは、内部空間5と接触する底3の領域を取り囲む直径Dと略同じ大きさである。内部5を構成する套管2は結果として第一保持手段7と底3の間で本質的に円筒状である。
【0050】
底スカート4の広がり10は、例えば下から底スカート4に対して置かれた円錐形マンドレルにより形成されることができる。もし必要なら底スカート4は広がり10を形成する目的のため加熱されることができる。底スカート4の表面に関してスライド運動を実行する成形道具は非常に容易に折り目を形成することができるので、従って広がり10をロール掛け道具によりまたは半径方向に広がる道具により形成することが有利でありうる。ここでは広がり10の形成を支援するために、底スカート4の外周に対応して形成されたカウンター道具を割当てることが有利でありうる。カップ1を製造するための特に有利な方法は以下に図6〜8の助けにより詳細に説明される。
【0051】
図3は、個々の図AからCで、底スカート4の領域のカップ1の種々の実施態様を概略的な形で示す。残る図の変形例で、底スカート4は常に三層の材料により、すなわちポット形状の底3の壁31を内側及び外側で取り囲む套管2の二層により形成される。この実施態様は非常に有利であることが多いが、本発明を実現するために絶対的に必要ではない。特定の要求の場合に、次の変形例がまた有利でありうる。
【0052】
図3Aには、底3の材料が外向きに折りたたまれ、套管2の材料を囲むことが与えられている。カップ1のための立ち表面を形成する広がり10の下方縁14はここでは底3の材料により形成される。
【0053】
図3Bには、底スカート4が二つの材料層により形成されている実施態様が示されている。套管2の材料及び底3の壁31は、両者とも下方縁14で終り、このようにして立ち表面を形成する。
【0054】
図3Cには、カップ1の底スカート4の一実施態様が示されており、そこでは底スカート4はその高さ領域Bに中心軸13に関して種々の傾斜角度を持つ。底スカート4の高さB及び広がり10の希望の寸法Yに依存して、広がり10を持つ高さ領域B内に部分領域のみを設けることが十分でありうる。残りの領域は例えば本質的に円筒状であることができ、従って底スカート4はそこでは中心軸13に略平行に延びる。小さな広がり10のためには、内部5の領域の套管2の角度αが套管2によるスカートの上部領域で変わらずに連続することで十分でありうる。
【0055】
図1〜3には示されていないけれども、中空空間を形成しながら内部5を構成する套管2を取り囲む外部套管をカップ1に割当てることが有利でありうる。カップ1の積重ねがそこなわれないために、外部套管の外部輪郭が内部5を構成する套管2に対する平行線15内に位置し、さらに平行線15が底スカート4の広がり10上に配置されることが有利でありうる。外部套管が平行線15と内部5を構成する套管2の間の空間16内に位置している限り、カップの積重ね性はどのようにも影響を受けない。設計可能性は従って無限である。また、第一保持手段7と第二保持手段9を変える必要性なしに、カップ1の共通実施態様に種々に設計された外部套管を備えることもできる。この形式の外部套管のための幾つかの可能な実施態様が図4と5の助けにより以下に説明される。
【0056】
図4と5に示されたカップ1はそれぞれ断熱外部套管17を含み、それは内部5を構成する套管2を中空空間18の形成下に部分的に取り囲む。この形式のカップは二重壁断熱カップとして構成され、そこでは外部套管17の内側に設けられた套管2は、底3と共に、「内部カップ」として構成されることができる。同じ形式の別のカップ1′を保持するための第一手段7及び第二保持手段9は、図1に記載された実施態様に類似して設計されており、従って繰返しの説明は省かれる。
【0057】
図4に示されたカップ1の外部套管17は、内部5を構成する套管2に本質的に平行に配置される。外部套管17は、上部及び下部端に内向きに巻かれたカールした部分19と20を含み、内部5を構成する套管2上にカールした部分19と20により支持される。外部套管17はカールした部分19及び/または20の領域に、例えば接着により固定されることが規定されることができる。カールした部分20は、水平底3の下にある底スカート4の領域で内部套管2上に支持され、その結果として外部套管17は非常に安定である。同時に、外部套管17はまた、第一保持手段7を覆い、従ってこれは外側から認識できない。カールした部分20は外部套管17に平行に延びる領域23を含む。領域23は、外部套管17の内側にきわめて接近して延び、前記内側上に配置されることができる。外部套管17の套管2上へのスライドは、外部套管17に平行に延びる領域23の結果として、外部套管17はもはや底スカート4上にくっつくことができないので、簡略化される。
【0058】
図5では、内部5を構成する套管2は、縁6の下の領域の肩21の形の寸法の急な変化を含み、この肩21は、底3から縁6を見るとき断面の急な増加としてそれ自体を与える。外部套管17は縁6と肩21の間の領域で内部5を構成する套管2に、例えば封止または接着により取付けられる。外部套管17はその下方端に、内向きに巻かれたカールした部分20を含み、それはまた、外部套管17に平行に延びる領域23を含む。カールした部分20は底3の下の底スカート4上に支持される。カールした部分20は、図4とは対照的に、平坦にプレスされ、外部套管17の下方縁領域24でわずかに圧縮され、従って外部套管17のより大きな円錐体がこの領域に与えられる。
【0059】
図5に示された記載とは対照的に、カップ1は肩21の領域で異なるように設計されることができる。肩21の領域の有利な変更例が図5Aに大きく拡大して示されている。縁6と肩21の間に位置しかつ参照番号25により示された、内部5を構成する套管2の領域は、図5に示された記載とは対照的に、套管2の残りとは別の中心軸13に対する傾斜角度を含む。図5Aでは、套管2の領域25は縁6と肩21の間で中心軸13に略平行に延びる。外部套管17が内部カップ1上にスライドされるとき縁6のすぐ下に外部套管17が置かれることができるために、外部套管17の上縁領域26はわずかに圧縮される。縁領域26は円錐形の外部套管17を均一に延ばさず、むしろ幾らか先細りの直径を含む。もし図5Aに示すように、外部套管17がその上方縁を縁6中にわずかに押されるなら、外部套管17の上方縁はもはや見えないので、カップ1は特に良好な外観を得る。もし外部套管17が図示されない実施態様でさらに縁6中に押されるなら、外部套管17のくさび留めが縁6の材料による外部套管17の固定を実現する。ある用途のためには、縁6内の外部套管17のくさび留めは外部套管17の唯一の取付けを提供するために十分でありうる。
【0060】
カップの場合の第一保持手段7のビード8は、同じ形式の別のカップ1′を保持するための第二手段9の寸法Yに適合させられる。種々の外部套管17を含む図4と5のカップの寸法XとYが同一であるとき、全てのこれらの種々のカップ1は、全ての外部套管17が平行線15と内部5を構成する套管2との間の空間16内に位置するので、どのような組合せでもくさび留めなしに一緒に積重ねられることができる。カップ1の視覚的及び触覚的外観を変えるために、外部套管17の外側22は種々の模様及び表面組織を含むことができる。外側22は例えば波形加工、ひだ付き加工、エンボス加工されることができ、または発泡被覆を含むことができる。また、外部套管17がひだ付き加工された意匠を持つことを規定されることができ、かつまたカップ1の断熱性を改善するために、さらなる套管の形のひだ付き構造の滑らかなカバーを外側22に追加的に与えることができる。
【0061】
特に、上方のカールした部分19、または套管2の肩21の領域に外部套管17の取付けを含む外部套管17の実施態様は、縁6の下に接近した領域に、既に非常に広い中空空間18が套管2と外部套管17の間に発生し、それが非常に高い断熱効果を与えるという利点を持つ。カールした部分19または肩21は、追加の手段、例えば中空空間18内の発泡被覆または波形加工板紙層を持たなくても、套管2と外部套管17の間の距離が圧力下、例えばカップ1を握る手からの圧力下でさえ減少しないこと、及び断熱効果が失われないことを確保する。
【0062】
図1によるカップの製造において、円錐形套管2と略ポット形状の底が形成される。図6に見られるように、套管2は当初、円錐形管の形を持ち、底3は套管2に平行に先細りとなる切頭円錐形の形を持つ。図6に示された状態では、底3と套管2は互いにまだ結合されておらず、むしろ互いに挿入されている。套管2はここではマンドレル30上に置かれる。マンドレル30は第一領域29に切頭円錐形状を持ち、それにさらなる切頭円錐形状表面32が切頭円錐形状領域29の先細り端に隣接し、この円錐形状表面32はより先細りとなり、それはビード8(図1参照)の形成のために設けられている。表面32に結合されているのは円形円筒形状領域33であり、その自由端に底3が配置されている。この円形円筒形状領域33の直径Eは底の直径Dより小さくすることができ、例えば略0.5mm小さい(図1も参照)。底3と套管2はまだ封止または接着により一緒に結合されていないので、套管2は既に封止された套管2と底3の場合に可能であるよりもビード8の形成のために少し多く圧縮されることができる。套管2並びに底3は被覆された紙材料からなり、底3は少なくとも少しだけ圧縮されることができる。そのとき多数のカップの信頼性ある積重ねを確保するためにカップ1の内部中に比較的遠くにビード8を絞ることができる。
【0063】
驚くべきことに、実際に、底3の直径Dを越えてさらに内部中にビード8を絞ることができる。切頭円錐形状領域は、完成カップ1の場合に底3に向いた方向でビード8に隣接するであろう。前記切頭円錐形状領域の円錐形は、残りの套管2に対して逆であるであろうし、それは再度ビード8から底3まで広げるであろう。
【0064】
マンドレル30に加えて、成形道具34がビード8の形成のために使用され、この成形道具34は図6に示され、それは矢印35の方向にマンドレル30に向けて上向きに動かされる。成形道具34は切頭円錐形状表面36を持ち、その円錐形は本質的にマンドレル30の表面32に対応する。外部管2はこのようにしてマンドレル30と成形道具34の間で締められ、ビード8が表面32と36の間で形成される。
【0065】
套管の下方端37は同時に成形道具34により折りたたまれ、従って図6に破線により示された位置をとる。この目的のために、成形道具34は溝状領域38を含み、それは図6中の成形道具34の断面図に部分的にのみ示されているが、360°に渡って延びる。ビード8の形成時の套管2の下方縁37の同時折りたたみは、本発明によるカップの製造を容易にする。
【0066】
套管2は、マンドレルの上で円形リング片から巻かれ、次いで縦継目に沿って接着または封止される。成形道具34による套管2の下方縁37の折りたたみを容易にするために、套管2の縦継目は下方端37の領域では接着または封止されないことがある。この領域は図6の図中参照文字Fにより示されている。領域F内の縦継目が接着または封止されていないときは、套管2は、折りたたまれるときより自由に造形されることができ、かつ原則として形成が困難である紙材料中のひだ形成が避けられる。領域Fは図6にまた参照文字F′により示されるように、套管2の下方縁37から底3の底縁まで延びることができる。従って、長さFとF′は可変であり、変更されることができる。
【0067】
ビード8の形成及び套管2の下方端37の折りたたみに続いて、内部カップ1は、套管2と共に底3が底スカート4に結合されることで完成される。これは外部リング及び内部道具の助けによりなされ、そこでは底スカート4の広がり及び底3の套管2との結合が同時に実行され、従って図1に示されるように、底スカート4のその形状の下方縁14に向いた方向の広がりが発生する。これは図8の助けにより以下に説明される。
【0068】
図7の図は本発明のさらなる実施態様を示し、そこでは図6の実施態様とは対照的に套管2′は当初、円錐形を持ち、それが次いで水平底3′で円筒状となる。従って、この実施態様では、底3′は円筒状周壁31を持つ逆ポット形を持つ。マンドレル30及び成形道具34の形状は図6により上に開示された設計と同一である。底3′の周壁31の円筒形状及び套管2′の下方領域の円筒形状の結果として、套管2′の下方縁37′を折りたたむとき及び続いての底スカート4を広げる時及び底スカート4の形成時のしわ形成が減らされる。
【0069】
破線により示されている折りたたまれた下方縁37を持つ図7の状態に基づくと、套管2′はマンドレル30上に底3′と共に残り、成形道具34の除去に続いて、外部リング38が底3′の下の領域中に動かされる。套管2′に面する外部リング38の内表面は、外向きにとがっており、底スカート4が最終段階にとる角度を含む。外部リング38に対向して位置する多数の内部フランジ39が設けられ、図8の図中には唯一つの内部フランジ39が示されている。図8の図において、内部フランジ39は外部リング38に向いた方向に外向きに動かされることができ、結果として折りたたまれた縁37′を底3′の壁31に対してかつ外部リング38の内表面に対してプレスする。
【0070】
例えばフランジ39またはリング38のいずれか、またはまた内部フランジ39と外部リング38が加熱されることができ、従ってそのとき互いの上に配置された三つの材料層が封止され、従って底スカート4を形成する。半径方向に外に面する内部フランジ39の表面は、外部リング38の内向きに位置する表面に平行に配置され、かつまた底スカート4が最終段階でその下に配置されるべき角度を持つ。
【0071】
内部フランジ39は例えばマンドレルの一部であり、中間部分(図6に示されていない)のスライドにより半径方向外向きに動かされることができる。外部リング38は、固定リングとしてまたは例えば套管2′上へのスライドを容易にするために開くことのできるリングとして設計されることができる。多数の内部フランジ39の代わりに、回転ローラーが例えば供給されることもでき、それは、底スカート4を形成するために、縁37′及び壁31上に外部リング38の方向の半径方向外向きの力を働かせる。カップは底スカート4の形成時にマンドレル30上に残る。
【0072】
内部カップ1は、底スカート4の形成に続いて完成され、マンドレル30から除去されることができる。
【0073】
外部套管17が次いで完成した内部カップ1上にスライドされる(図4、図5参照)。これは、外部套管17がリング状外部道具に受け入れられ、吸引ヘッドを持つパイロットマンドレルが外部套管17の先細り端を通して延びるような方法で行われる。この吸引ヘッドは、底3上で下から内部カップ1と係合し、それを吸引し、前記内部カップ1を図4と5に示された状態に達するまで先細りの外部套管17中に引張る。
【0074】
外部套管22の製造のため、前記外部套管22は、まず円形のリング片形状素材からマンドレル上で巻かれ、切頭円錐形状管になる。下方先細り端の領域では、巻かれた部分40が図9に示されるように形成される。図5に示されたカップの製造のために、巻かれた部分が、図10に示された巻かれた部分の形が達成されるまで平坦にプレスされる。巻かれた部分20により形成される外部套管17の下方縁はわずかに絞られ、従って上に開示したように下方端により大きな円錐形を含む。図10の図において、ぎざぎざまたはうねりが、巻かれた部分20の内側に示されている。巻かれた部分20の内側のぎざぎざまたはうねり41は、外部套管17を内部カップ1上にスライドするとき高度の弾性を達成するために設けられることができる。
【0075】
図5で上に開示されたように、巻かれた部分20の内径Vは外径Yより小さい(図5の底スカート4参照)。外部套管17がスライドされるとき、巻かれた部分20を持つ外部套管17の端部は、それが底スカート4の上をスライドされることができるために、少し広げられなければならない。この広げ工程はぎざぎざまたはうねり41により容易化される。さらに、巻かれた部分20の領域の外部套管17の縦継目は接着または封止されなくてもよい。これは、カールした部分20の領域の外部套管17のある膨張を容易にし、従って外部套管17は底スカートの上をスライドされることができ、続いて再度収縮し、従って巻かれた部分20は底スカート4の外側の図5に示された位置に位置する。
【0076】
カールした部分20の上端の直径Uが底スカート4の外径Yより大きいことがさらに確立されることができる。これはまた、図5中に見られることができる。従って、外部套管17の内径は巻かれた部分20の上縁で外径Yより大きく、カールした部分20のこの上縁は前記底スカート4上をスライドされるとき底スカート4上に当らない。その代わり、巻かれた部分20の内側により形成されている斜面を底スカート4はせり上がり、外部套管17がさらにスライドされるとき、外部套管は広げられ、底スカート4の最大直径Yを持つ領域の上をスライドし、図5に示された位置をとる。外部套管17を除去するために、外部套管17は円錐形に広くなっている底スカート4の上を再度引張らなければならないので、外部套管17は内部応力により内部カップ1上に見えるように保持される。
【0077】
この点で、外部套管17及びビード8または肩21のようなカップ1の他の造形手段の種々の実施態様が必要に応じて任意に組合されることができ、かつ示された変形例に限定されないことは明白に述べられるべきである。加えて、図面は縮尺通り描かれていないことは注意されるべきである。明確化の目的にために、広がり10の寸法及び底スカート4の傾斜角度は縮尺より大きく示されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙材料から作られかつ充填可能な内部(5)を持つカップ(1)であって、内部(5)が円錐形套管(2)と底(3)により形成され、さらに底(3)が底スカート(4)により本質的に液密方式で套管(2)に内部(5)の下方端で取付けられているものにおいて、底スカート(4)の領域の套管(2)及び/または底(3)及び/または底スカート(4)自体が少なくとも周囲に沿った領域に外向きに突出する広がり(10)を含むこと、及び広がり(10)の下方縁(14)がカップ(1)のための立ち表面を形成することを特徴とするカップ。
【請求項2】
底スカート(4)が軸方向断面で見たときカップ(1)の中心軸(13)に対して一つの傾斜角度(β)を持ち、さらに底スカート(4)が傾斜角度(β)を持って下方縁(14)の方向に広がることを特徴とする請求項1に記載のカップ。
【請求項3】
底スカート(4)が、前記カップ(1)が積重ねられるとき同様なカップ(1′)と一緒に作用することができる保持手段(9)を含むことを特徴とする請求項1または2に記載のカップ。
【請求項4】
広がり(10)が保持手段(9)を形成することを特徴とする請求項3に記載のカップ。
【請求項5】
第一保持手段(7)が内部(5)を構成する套管(2)上に配置され、この保持手段(7)が前記カップ(1)が積重ねられるとき同様なカップ(1′)上の第二保持手段(9′)と作用することができることを特徴とする請求項3または4に記載のカップ。
【請求項6】
第二保持手段(9)の寸法(Y)が、同じ形式の別のカップ(1′)を保持するための第一手段(7)の寸法(X)に適合されていることを特徴とする請求項5に記載のカップ。
【請求項7】
同じ形式の別のカップ(1′)を保持するための第一手段(7)がリブ(58)またはビード(8;48;68;78)として設計され、それが内部(5)を構成する套管(2)の周囲に沿った少なくとも一つの領域に成形されていることを特徴とする請求項5または6に記載のカップ。
【請求項8】
同じ形式の別のカップ(1′)を保持するための第一手段(7)を囲む直径(W)が、内部(5)と接触する底(3)の領域を取り囲む直径(D)と略同じ大きさであることを特徴とする請求項5から7のいずれか一つに記載のカップ。
【請求項9】
内部(5)を構成する套管(2)が第一保持手段(7)と底(3)の間で本質的に円筒状であることを特徴とする請求項8に記載のカップ。
【請求項10】
カップ(1)が外部套管(17)を含むことを特徴とする請求項1から9のいずれか一つに記載のカップ。
【請求項11】
外部套管(17)の外部輪郭が、内部(5)を構成する套管(2)に対する平行線(15)内に位置されており、前記平行線(15)が底スカート(4)の広がり(10)上に配置されていることを特徴とする請求項10に記載のカップ。
【請求項12】
円錐形外部套管(17)が縁領域に内向きに巻かれた部分(20)を含み、この巻かれた部分(20)が外部套管(17)に対して本質的に平行に延びる領域(23)を含むことを特徴とする請求項10または11に記載のカップ。
【請求項13】
円錐形套管とこの套管の小さい方の周囲の領域に挿入されている底からなるカップを紙材料から製造するための方法において、底が底スカートの形成により套管に結合され、さらに底スカートの形成時に底スカートの領域の套管及び/または底及び/または底スカート自体が周囲に沿った少なくとも一つの領域で外向きに広げられ、従ってこの広がりの下方縁がカップのための立ち表面を形成することを特徴とする方法。
【請求項14】
底が、底スカートの形成のために套管と結合されるとき内部道具及び外部道具によりプレスされることを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項15】
底スカートがプレスされる前に套管の縁が底のポット形状壁の周りに内向きに折りたたまれ、かつ同じ工程段階で内部を構成する套管上に同じ形式の別のカップを保持するための第一手段が形成されることを特徴とする請求項13または14に記載の方法。
【請求項16】
内部構成套管が、保持手段を形成するために底の上で本質的に円筒状に造形されることを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項17】
外部套管が、円錐形内部構成套管上でスライドされかつ固定されることを特徴とする請求項13から16のいずれか一つに記載の方法。
【請求項18】
広がった底スカートの形成後に管形状の予備成形された外部套管が軸方向に円錐形内部構成套管上でスライドされることを特徴とする請求項17に記載の方法。
【請求項19】
管形状の予備成形された外部套管が、円錐形内部構成套管上でスライドされるとき少なくとも一つの領域に底スカートの広がりの外部寸法未満の直径を含むことを特徴とする請求項18に記載の方法。
【請求項20】
積重ね可能なカップを製造するための請求項13から19のいずれか一つに記載の方法において、次の工程を含むことを特徴とする方法:
− 同じ形式の別のカップを内部構成套管上に保持するための少なくとも一つの第一手段の形成;
− 底スカート上に保持するための第二手段の形成、但しこの第二保持手段は、カップが積重ねられるとき同様なカップに付与された第一保持手段と一緒に作用することができる。
【請求項21】
積重ね可能なカップを製造するための請求項13から20のいずれか一つに記載の方法において、次の工程を含むことを特徴とする方法:
− 同じ形式の別のカップを内部構成套管上に保持するための少なくとも一つの第一手段の形成;
− 広げられた底スカートの形成及び内部構成套管と底のプレス;
− 底スカートでの第二保持手段の形成、但しこの第二保持手段はカップが積重ねられるとき同様なカップに付与された第一保持手段と一緒に作用することができる;
− 管形状の予備成形された外部套管の内部構成円錐形套管の上の軸方向のスライド;
− 外部套管の内部構成套管への固定。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図5A】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−173346(P2009−173346A)
【公開日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−10385(P2009−10385)
【出願日】平成21年1月20日(2009.1.20)
【出願人】(506110597)ピーティーエム・パッケージング・ツールズ・マシネリー・ピーティーイー.・リミテッド (7)
【Fターム(参考)】