説明

紙葉類処理装置、排除券集積装置及び排除券集積方法

【課題】 セパレータを1段構造にして軽量化すると共に、排除券を処理単位ごとに確実に区分することのできる紙葉類処理装置、排除券集積装置及び排除券集積方法を提供する。
【解決手段】 最初に、区分カードPc1が区分カード供給部35から1枚集積羽根車33Aに供給される。区分カードPc1は、ミニシャッタ33C・33C上に集積され、続く排除券Prがその上に集積される。1束の処理が終了すると、ミニシャッタが開になり、集積された排除紙葉類1がバックアッププレート33Dの上に集積される。同時にセパレータ34がミニシャッタ上に挿入される。ミニシャッタが閉じ、次の束の区分カードPc2が供給され、セパレータの上に集積される。その後、セパレータが下降し、挿入されたシャッタ33F・33Fがバックアッププレート上の排除紙葉類1をカセット33Eの中に押し込む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有価証券などの紙葉類を処理する紙葉類処理装置に関し、特にこの紙葉類処理装置で排除された排除券を集積する紙葉類処理装置、排除券集積装置及び排除券集積方法に関する。
【背景技術】
【0002】
有価証券等の紙葉類を処理する紙葉類処理装置は、一括して投入された紙葉類を一定間隔ごとに1枚ずつ取り出して搬送し、紙葉類判別装置によって判別し、その判別結果に基づいて正券(再流通可能な正常な券)、損券(損傷があり最流通不可能な券)及び判別不能券、搬送異常券又は2枚取り券などの排除券に区分処理する装置である。
【0003】
正券は、100枚ごとに紙帯で結束されて把が形成され、必要に応じて10把積み重ねてさらに紙帯で結束して束が形成される。損券は、紙葉類裁断装置に搬送されて裁断される。
【0004】
排除券は、排除券集積庫に集積される場合と排除券集積装置に集積される場合がある。排除券集積庫は、取出し直後の搬送異常券や2枚取り券をさらに搬送するとその他の障害を発生する場合があるため、これらの紙葉類(券)を取出し直後に分岐して集積する集積庫である。排除券集積装置は、紙葉類判別装置によって判別不能券とされたもので、偽券や取扱い券以外の異種券を集積する集積装置である。
【0005】
以上の紙葉類処理装置において処理される紙葉類は、各束単位にカセットに投入したものが一括して当該紙葉類処理装置に供給される。
【0006】
この際、各束を処理した際に排除券集積装置に区分された排除券を束ごとに区分するために、各束の切れ目に区分カードを挿入する方法が知られている。図5に従来から行われている区分カードを挿入する方法を示す。
【0007】
図5(1)は、排除券集積装置330に搬送された排除券Prが羽根車330Aによって一時集積庫330Bに集積されている状態を示す。
【0008】
図5(2)は、投入された束の排除券処理が終了したため、シャッタ330Fが開き排除券が落下する直前の状態を示す。
【0009】
図5(3)は、当該処理を終了した第1の紙葉類群(束)の排除券Pr1と次に処理する第2の紙葉類群(束)の排除券Pr2を分離するために、セパレータ340が挿入された状態を示す。
【0010】
図5(4)は、セパレータ340は、上段に区分カードPcが挿入される空間を有し、下段にはシャッタ330Fが挿入される空間を有する。図はセパレータ34の下段にシャッタ330Fが挿入され、上段に区分カードPcが挿入される直前の状態を示す。
【0011】
図5(5)は、区分カードPc及びシャッタ330Fが挿入され、セパレータが取り除かれ、次の排除券Pr2がシャッタ330Cの上に集積されている状態を示す。
【0012】
図5(6)は、シャッタ330Fを収納庫(カセット)330Eに押し下げることによって排除券Pr1がカセットに収納される。
【0013】
以上の動作により、装置全体の処理を停止させないために、セパレータは高速で集積部を横断して券を区分し、その後に区分カード、シャッタ330Fを挿入することにより次の束の券がまざらないようにしている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平5−120515号公報 (第4頁、図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかしながら、特許文献1記載の紙葉類処理装置では、セパレータが2段階構造になっているため、重量が重くなり易い。しかしながら、セパレータは券の処理を停止させないために高速で動作する必要があるため軽量である必要がある。そのため、セパレータを1段構造にして軽量化すると共に、排除券を処理単位ごとに確実に区分することのできる紙葉類処理装置、排除券集積装置及び排除券集積方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1記載の紙葉類処理装置は、積層された紙葉類からなる複数の紙葉類群が供給された供給部から1枚ずつ取り出して搬送し、前記紙葉類を判別する紙葉類判別手段と、この紙葉類判別手段による判別の結果排除券と判別された前記紙葉類を区分搬送する搬送手段と、この搬送手段によって搬送された前記排除券を集積する排除券集積装置とを備えた紙葉類処理装置であって、前記排除券集積装置は、前記搬送手段によって搬送される前記排除券を受取る集積羽根車と、前記排除券を区分するための区分カードを前記集積羽根車に供給する区分カード供給手段と、前記集積羽根車によって集積された前記排除券及び前記区分カードからなる排除紙葉類を一時的に集積して保持する第1のシャッタと、この第1のシャッタの下方に配置され、この第1のシャッタに集積された前記排除紙葉類を収納する収納庫と、前記第1のシャッタと前記集積羽根車の間に挿入配置することが可能なセパレータと、を備え、先に処理する前記紙葉類群からなる第1の紙葉類群から区分された第1の排除紙葉類と続けて処理する前期紙葉類群からなる第2の紙葉類群から区分された第2の排除紙葉類とを前記区分カードで区分する区分制御手段と、を備えたことを特徴とする。
【0016】
また、本発明の請求項2記載の排除券集積装置は、紙葉類判別手段によって排除券と判別された排除紙葉類を区分搬送し集積する排除券集積装置であって、前記搬送手段によって搬送される前記排除券を受取る集積羽根車と、前記排除券を区分するための区分カードを前記集積羽根車に供給する区分カード供給手段と、前記集積羽根車によって集積された前記排除券及び区分カードからなる排除紙葉類を一時的に集積して保持する第1のシャッタと、この第1のシャッタの下方に配置され、この第1のシャッタに集積された前記排除紙葉類を収納する収納庫と、前記第1のシャッタと前記集積羽根車の間に挿入配置することが可能なセパレータと、を備え、先に処理する第1の紙葉類群から区分された排除紙葉類と続けて処理する第2の紙葉類群から区分された排除紙葉類とを前記区分カードで区分する区分制御手段と、を備えたことを特徴とする。
【0017】
さらに、本発明の請求項5記載の排除券集積装置の排除券集積方法は、紙葉類判別手段によって排除券と判別された排除券及び区分カードを排除券集積装置に供給して処理する紙葉類群から区分された排除券を区分して集積する排除券集積装置の排除券集積方法であって、この排除券集積装置の集積羽根車に区分カード供給手段から区分カードを供給し、前記集積羽根車の下方に配置された第1のシャッタに集積する第1工程と、先に処理する第1の紙葉類群から区分された第1の排除券を前記羽根車集積装置に供給して前記第1のシャッタに集積された区分カードの上に続けて集積する第2工程と、この第2工程の後、前記第1のシャッタを開にし、この第1のシャッタに集積された前記区分カード及び第1の排除券からなる第1の排除紙葉類を落下させ収納庫に設けられたバックアッププレート上に集積させる第3工程と、この第3工程と同時に、前記集積羽根車と前記第1のシャッタの間にセパレータを挿入し、かつ前記第1のシャッタを閉にする第4工程と、このセパレータ上に前記区分カード供給手段から区分カードを供給する第5工程と、この第5工程の後、前記セパレータを下降し、前記第1のシャッタと前記セパレータとの間に第2のシャッタを挿入し、前記セパレータを初期位置に復帰する第6工程と、この第6工程の後、前記第2のシャッタを下降させ前記バックアッププレートに集積された第1の排除紙葉類を前記収納庫に押し込むと共に、前記第1のシャッタを初期状態に復帰する第7工程と、を備え、第7工程の後、続けて処理する第2の紙葉類群が有る場合には、前記第1の工程から第7の工程を繰り返すことを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、区分カードを集積羽根車に直接供給することができるため、セパレータが1段階でよくなり、セパレータの軽量化ははかれるので、セパレータの高速動作が可能になるだけでなく、超寿命化に効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、図面を参照して本発明の実施例を説明する。
【実施例1】
【0020】
図1は、本発明の実施例による紙葉類処理装置1の概略構成図である。紙葉類処理装置1は、有価証券などの紙葉類Pの真偽又は正損を判別し、正券は紙葉類集積装置30、31、に集積し、偽券又は判別不能券は排除券集積装置33に集積し、損券は紙葉類裁断装置60で裁断し、裁断片を収納箱(図示しない)に収集する装置である。
【0021】
上記紙葉類処理装置1には、積載された紙葉類Pを一括して供給する供給部10が設けられている。この供給部10に積載された紙葉類Pは、取出ローラ10Aによって一定間隔で1枚ずつ取り出され、搬送路(搬送手段)20に供給される。この取出ローラ10Aは、1回転するごとに紙葉類Pを1枚取り出す。この搬送路20は、搬送ローラ(図示しない)と搬送ベルト(図示しない)で構成され、紙葉類Pを搬送方向上流から下流に向かって搬送する。
【0022】
さらに、この取出ローラ10Aの取出回転を検知する取出ローラ検知センサ(取出ローラ検知手段)SC10が設けられている。従って、取出ローラ検知センサSC10は、取出ローラ10Aが1回転するごとに1回暗になるセンサである。
【0023】
このようにして、取出ローラ10Aによって供給部10から供給された紙葉類Pは紙葉類判別部(紙葉類判別手段)50によって判別される。紙葉類判別部50は、紙葉類Pの物理的特性を検知して判別するもので複数の紙葉類判別装置52A〜56で構成されており、搬送方向下流に向かって搬送路20に沿って設けられている。また、これら紙葉類判別装置52A〜56の判別結果に基づいて正券と判別された紙葉類Pを集積する紙葉類集積装置30、31、損券と判別された紙葉類Pを裁断する紙葉類裁断装置60、偽券又は判別不能券などの排除券を集積する排除券集積装置33が設けられている。
【0024】
取出検知部51は、供給部10から供給された紙葉類Pの取出状態を検知し検知結果を制御部2に通知する。この取出状態の検知結果が、例えば、複数枚取り出し、搬送ピッチ詰まりなどの場合は、搬送方向下流に搬送して処理する振分ゲートで振り分けられないなどの障害が発生しやすいため、取出異常を制御部2に通知する。制御部2は、この取出異常の通知を受信し、当該紙葉類Pの搬送方向を振り分ける振り分けゲートG40を左に回動することによって当該紙葉類Pを搬送路21に沿って搬送させ排除券集積庫34に集積する。この排除券集積庫34に集積された紙葉類Pは再供給することが可能である。
【0025】
紙葉類判別部50によって排除された紙葉類Pは、搬送路22及び区分搬送する搬送手段としての搬送路26に沿って搬送され、排除券集積装置33によって集積される。
【0026】
紙葉類判別装置52A、52Bは、紙葉類Pの券種判別又は正損判別機能を有している。券種判別は、紙葉類Pが例えば日本国紙幣の場合は千円、2千円、5千円、万円からなる金種と搬送状態(正立/倒立、表/裏)を判別する。また、正損判別は紙葉類Pが正券か損券かを判別し、判別結果を制御部2に通知する。
【0027】
紙葉類判別装置53は、紙葉類Pの形状検知機能を有しており、紙葉類Pの長さ、幅、穴、破れなどを検知し検知結果を制御部2に通知する。当該紙葉類Pの長さ、幅が指定券種の設定値を超える場合は排除券となる。また、当該紙葉類Pの穴、破れ、切れなどが設定値を超える場合は損券となる。
【0028】
紙葉類判別装置54A、54Bは、紙葉類Pの磁気検知機能を有しており、紙葉類Pの磁性体量を検知し検知結果を制御部2に通知する。当該紙葉類Pの磁性体量が設定値を超える場合、又は当該紙葉類Pの所定の箇所に所定の磁性体量が存在しない場合は排除券となる。
【0029】
紙葉類判別装置54C、54Dは、紙葉類Pの蛍光検知機能を有しており、紙葉類Pの蛍光体量を検知し検知結果を制御部2に通知する。当該紙葉類Pの蛍光体が設定値を超える場合、又は当該紙葉類の所定の箇所に所定の蛍光体量が存在しない場合は排除券となる。
【0030】
紙葉類判別装置55は、紙葉類Pの厚さ検知機能を有しており、紙葉類Pの厚さを検知し検知結果を制御部2に通知する。当該紙葉類Pの厚さが設定値を超える場合は排除券となる。
【0031】
紙葉類判別装置56は、テープ貼り検知機能を有しており、紙葉類Pに張り付いたテープを検知する。テープ貼りの大きさが設定値以内であれば損券となり、設定値を超える場合は排除券となる。
【0032】
上記紙葉類判別装置52A〜56の処理の結果、正券は紙葉類集積装置30、31に搬送され、損券は紙葉類裁断装置60に搬送され、排除券は排除券集積装置33に搬送される。
【0033】
紙葉類集積装置30、31は同様に構成されているため、ここでは紙葉類集積装置30の説明を行う。なお、排除券集積装置33には、区分カード供給装置(区分カード供給装置)35が備えられているが、それ以外の部分は紙葉類集積装置30、31と同様である。
【0034】
紙葉類集積装置30には、集積羽根車30A、一時集積庫30B、集積羽根車検知センサSC30が設けられている。
【0035】
集積羽根車30Aは、複数の羽根が回転軸の周辺に組み込まれており、搬送されてきた紙葉類Pを羽根と羽根の間で受け取れるように紙葉類Pの搬送に同期して回転している。
【0036】
一時集積庫30Bには、上記紙葉類判別装置52A〜56の処理の結果正券と判別された紙葉類Pの最初の100枚が集積される。このときは、振り分けゲートG30が右に回動され、当該紙葉類Pは搬送路23を搬送されて集積羽根車30Aを備えた紙葉類集積装置30の一時集積庫30Bに集積される。100枚目の通過と共に、振り分けゲートG30を左側に回動し紙葉類Pが続けて集積されるのを防止すると共に、振り分けゲートG31を右側に回動し、続けて搬送される101枚以降の正券の紙葉類Pを紙葉類集積装置31に搬送するようにする。
【0037】
上記紙葉類集積装置30の一時集積庫30Bに集積された正券100枚の束は、施封装置40に渡されて施封される。同様に、紙葉類集積装置31の一時集積庫31Bに集積された正券が100枚に達すると、続けて搬送される101枚以降の正券の紙葉類Pを紙葉類集積装置30に搬送するようにし、集積された正券100枚は施封装置41に渡されて施封される。このようにして把が形成される。
【0038】
なお、集積羽根車30Aの羽根は、集積羽根車検知センサSC30によって検知され、搬送路23から繰り出される紙葉類Pのタイミングに合わせて、当該羽根車30Aの羽根と羽根の概略中央でこの紙葉類Pを取り込むように集積羽根車30Aの回転位置及び速度が設定される。
【0039】
図2は、本発明の排除券集積装置33の概略構成図である。また、図3は、排除券Pr又は区分カードPcをミニシャッタ33C・33Cに集積する部分の詳細図である。以下、図2及び図3を参照して排除券集積装置33の構成を説明する。
【0040】
排除券Prは、紙葉類判別部50によって排除され、搬送路26により排除券集積装置33に搬送される。
【0041】
排除券集積装置33には、上記紙葉類集積装置30と同様に構成された集積羽根車33A、この集積羽根車33Aに区分カードPcを供給する区分カード供給部(区分カード供給手段)35、排除券Prを安全に区分するためのセパレータ34、区分された排除券Prを集積する一時集積庫33B、この一時集積庫33Bに集積された排除券Prを区分カードPcによって区分し束単位ごとに収納するカセット(収納庫)33E、及びこの排除券集積装置を制御する区分制御装置(区分制御手段)36が備えられている。
【0042】
この一時集積庫33Bには、集積羽根車33Aから落下する排除紙葉類(区分カードPc及び排除Pr)を集積するミニシャッタ(第1のシャッタ)33C・33Cが設けられている。このミニシャッタ33C・33Cは、観音開き可能な門扉状に開閉動作が可能に構成され、閉状態のとき、このミニシャッタ33C・33Cの上に上記排除紙葉類が集積される。
【0043】
また、この一時集積庫33Bとカセット33Eの間には、上下移動可能なシャッタ33F・33Fが設けられ、排除紙葉類の出入りを許可又は禁止することができる。
【0044】
区分カード供給部35には、区分カードPcを供給する供給部35A及びこの供給部35Aに供給された区分カードPcを束処理ごとに1枚取出す取出部35Bが備えられている。
【0045】
カセット33E内にバックアッププレート33Dが設けられ、その上部にシャッタ(第2のシャッタ)33F、33Fが設けられている。このバックアッププレート33Dの側面には滑り止め機構(ラッチ機構)が設けられており、集積方向上部から下部に向かって押圧力を加えることによって下方に移動させることができる。従って排除紙葉類が集積されただけでは下方に移動することなく、本実施例では、バックアッププレート33D上に集積された排除紙葉類の上からシャッタ33Fを下降して押し込むことにより排除紙葉類をカセット33Eに収納することができる。
【0046】
なお、上記バックアッププレート33Dの滑り止め機構は解除することによって滑り止め機能を停止することができるが、本発明の主旨と違うため、詳細な説明を省略する。なお、上記セパレータ34及びシャッタ33Fの動作の詳細は後述する。
【0047】
以上の構成において、図3(1)は、ミニシャッタ33C・33Cを開いた状態を示しており、このミニシャッタ33C・33Cの上に集積された排除紙葉類が落下する状態を示している。このときには、先に処理した束の排除紙葉類と後に処理した束の排除紙葉類が混在するのを防止するために、セパレータ34がミニシャッタ33C・33Cの上に配置される。当然ながらこのときにはシャッタ33F・33Fは開状態になっている。
【0048】
図3(2)は、ミニシャッタ33C・33Cを閉じた状態を示しており、このミニシャッタ33C・33Cの上に区分カードPcが集積された状態を示している。このときには、セパレータ34が下降し、ミニシャッタ33C・33Cとセパレータ34との間にできた空間にシャッタ33F・33Fが挿入される。図はこの状態を示しており、この動作によって、第1の排除紙葉類に、続けて処理される第2の紙葉類群から区分された第2の排除紙葉類が混在するのを防止する効果を補強する。
【0049】
図4は、上述した排除券集積装置33の動作を説明する図である。
【0050】
排除券集積装置は区分制御装置36によって制御される。以下、1束(例えば1000枚)が紙葉類処理装置1の供給部10に供給され、処理された場合について説明する。
【0051】
図4(1)は、紙葉類処理装置1の処理開始直後の状態である。ミニシャッタ33C・33Cは、初期状態には閉状態となっている。最初に区分カードPc1が区分カード供給部35から1枚取出されて集積羽根車33Aに供給される。この供給された区分カードPc1は、集積羽根車33Aの回転により一時集積庫33Bに設けられたミニシャッタ33C・33C上に集積される(第1工程)。
【0052】
次に、続けて搬送された排除券Prが区分カードPc1の上に集積される。処理した1束の紙葉類の中からにさらに検出された排除券Prは、上記排除券Prの上に集積される(図4(2)、第2工程)。
【0053】
このようにして、1束の処理が終了すると、ミニシャッタ33C・33Cが開になり、ミニシャッタ33C・33Cに集積された排除紙葉類(区分カードPc1及び排除券Pr)がカセット33Eに設けられたバックアッププレート33Dの上に落下する(第3工程)。同時に集積羽根車33Aとミニシャッタ33C・33Cの間にセパレータ34を挿入し、かつミニシャッタ33C・33Cを閉にする(図4(3)、第4工程)。このセパレータ34は、次の束の処理を行う際に、次の束の排除紙葉類(第2の排除紙葉類)と、前の束の排除紙葉類(第1の排除紙葉類)を分離するために用いられる。
【0054】
次に、セパレータ34の上に区分カードPc2を区分カード供給部35から1枚供給する。供給された区分カードは集積羽根車33Aによってセパレータ34の上に集積される。なお、この区分カードは、束の処理を開始する運転開始釦(図示しない)が押下され、所定の初期化処理が終了した後に集積羽根車33Aとの同期をとりながら挿入される。集積羽根車33Aの羽根はセンサSC33で監視され、区分カードが羽根と羽根の間に挿入するように制御される(第5工程)。このようにすることによって、従来設けていた区分カードとシャッタを挿入するためのセパレータを2段構造から1段構造にすることができ、軽量化が可能になる。また、セパレータの軽量化によって高速動作が可能になる。
【0055】
次に、セパレータ34を降下し、このセパレータ34とミニシャッタ33C・33Cとの間にシャッタ33F・33Fを挿入する(図4(4)、第6工程)。このシャッタ33F・33Fによって第1の排除紙葉類に第2の排除紙葉類が混入するのを防止することができる。また、このシャッタ33F・33Fが設けられたことによって、カセット33Eに収納された排除紙葉類を外部から容易にアクセスすることができなくなり、セキュリティ性が向上する。
【0056】
次に、挿入されたシャッタ33F・33Fを下降してバックアッププレート33Dに集積された第1の排除紙葉類をカセット33Eに押し込む(図4(5)、第7工程)。
【0057】
このようにして、第2の紙葉類群に係る1束の処理が終了すると、ミニシャッタ33C・33Cが開になり、ミニシャッタ33C・33Cに集積された第2の排除紙葉類(区分カードPc2及び排除券Pr)がカセット33Eに設けられた第1の排除紙葉類の上に落下する(図4(6))。このようにして第1の排除紙葉類及び第2の排除紙葉類の処理が終了する。続けて処理する紙葉類群が有る場合には上述した処理が繰り返される。
【0058】
本実施例では、このシャッタ33F・33Fはカセット33Eの排除紙葉類の投入口の中央に対して開閉する方法を用いているが、これに限らず、一方向から進退する方法であってもかまわない。
【0059】
この押し込み操作の後セパレータ34は、初期位置に復帰し、シャッタ33F・33Fを押下することによって排除紙葉類をさらにカセット33Eの内部に押し込む。
【0060】
次に、続けて搬送された排除券Prは、供給された区分カードPc2の上に集積される(図4(5))。
【0061】
このようにして、1束の処理が終了すると、ミニシャッタ33C・33Cが開になり、このミニシャッタ33C・33Cに集積された排除紙葉類(区分カードPc2、排除券Pr)は、先に集積された排除紙葉類(区分カードPc1、排除券Pr)の上に落下する。この後は上述したとおりセパレータ34が挿入され同様の操作が繰り返される(図4(6))。
【0062】
本実施例では、シャッタ33F・33Fが閉状態のときには、これら2枚の板状体を両側面から中央に向かって移動する場合を示したが、これに限定するものではなく、上述したように、1枚の板状体が左右又は奥の面の何れかの方向から挿入する構成であっても本発明の効果は変わらない。
【0063】
以上説明したように、区分カードを羽根車集積装置に直接投入することにより、排除券Prと区分カードPcの同期がとれ、確実に区分できるため、セパレータが1段でよくなり、セパレータの軽量化ができるため、セパレータの高速動作が可能になるだけでなく、超寿命化に効果がある。また、本実施例では、第1の排除紙葉類と第2の排除紙葉類の混在を防止するために、各工程において2重シャッタ構造をとることができるように構成してあり、第1の排除券と第2の排除紙葉類の区分を確実に行うことができる。
【0064】
なお、本実施例ではシャッタ33F・33Fを用いた場合を説明したが、ミニシャッタ33C・33Cによって区分カードPcを受けることが可能になることから、シャッタ33F・33Fを用いない場合であっても先に処理した束に対する排除券Prと後に処理した束の排除券Prの区分を行うことが可能なことはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明の実施例1による紙葉類処理装置の概略構成図。
【図2】本発明の排除券集積装置の概略構成図。
【図3】排除券又は区分カードをミニシャッタに集積する部分の詳細図。
【図4】本発明の排除券集積装置の動作を説明する図。
【図5】従来の排除券集積装置の動作を説明する図。
【符号の説明】
【0066】
P 紙葉類
Pr 排除券
Pc 区分カード
1 紙葉類処理装置
10供給部
33 排除券集積装置
33A 集積羽根車
33B 一時集積庫
33C ミニシャッタ
33D バックアッププレート
33E カセット
33F シャッタ
34 セパレータ
35 区分カード供給部
50 紙葉類判別部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
積層された紙葉類からなる複数の紙葉類群が供給された供給部から1枚ずつ取り出して搬送し、前記紙葉類を判別する紙葉類判別手段と、この紙葉類判別手段による判別の結果排除券と判別された前記紙葉類を区分搬送する搬送手段と、この搬送手段によって搬送された前記排除券を集積する排除券集積装置とを備えた紙葉類処理装置であって、
前記排除券集積装置は、
前記搬送手段によって搬送される前記排除券を取り込む集積羽根車と、
前記排除券を区分するための区分カードを前記集積羽根車に供給する区分カード供給手段と、
前記集積羽根車によって集積された前記排除券及び前記区分カードからなる排除紙葉類を一時的に集積して保持する第1のシャッタと、
この第1のシャッタの下方に配置され、この第1のシャッタに集積された前記排除紙葉類を収納する収納庫と、
前記第1のシャッタと前記集積羽根車の間に挿入配置することが可能なセパレータと、
前記第1シャッタと前記セパレータとの間に上下移動可能に挿入され、前記排除紙葉類を前記収納庫に押し込む第2のシャッタと、
先に処理する第1の紙葉類群から区分された第1の排除紙葉類と続けて処理する第2の紙葉類群から区分された第2の排除紙葉類とを前記区分カードで区分して前記収納庫に収納する区分制御手段と、
を備えたことを特徴とする紙葉類処理装置。
【請求項2】
紙葉類判別手段によって排除券と判別された排除紙葉類を区分搬送して集積する排除券集積装置であって、
前記搬送手段によって搬送される前記排除券を受取る集積羽根車と、
前記排除券を区分するための区分カードを前記集積羽根車に供給する区分カード供給手段と、
前記集積羽根車によって集積された前記排除券及び区分カードからなる排除紙葉類を一時的に集積して保持する第1のシャッタと、
この第1のシャッタの下方に配置され、この第1のシャッタに集積された前記排除紙葉類を収納する収納庫と、
前記第1のシャッタと前記集積羽根車の間に挿入配置することが可能なセパレータと、
前記第1シャッタと前記セパレータとの間に上下移動可能に挿入され、前記排除紙葉類を前記収納庫に押し込む第2のシャッタと、
先に処理する第1の紙葉類群から区分された第1の排除紙葉類と続けて処理する第2の紙葉類群から区分された第2の排除紙葉類とを前記区分カードで区分して前記収納庫に収納する区分制御手段と、
を備え、先に処理する第1の紙葉類群から区分された排除紙葉類と続けて処理する第2の紙葉類群から区分された排除紙葉類とを前記区分カードで区分する区分制御手段と、
を備えたことを特徴とする排除券集積装置。
【請求項3】
前記区分制御手段は、
前記第1の紙葉類群の処理終了時、前記第1のシャッタを開にすることにより前記第1のシャッタに集積された前記第1の排除紙葉類を前記収納庫に設けたバックアッププレートに集積すると同時に、前記セパレータを前記第1のシャッタと前記集積羽根車の間に挿入する制御を行い、前記第2の紙葉類群の処理によって生成される前記第2の排除紙葉類が前記第1の排除紙葉類の間に混入するのを防止することを特徴とする請求項2記載の排除券集積装置。
【請求項4】
前記区分制御手段はさらに、
前記セパレータを下降し、このセパレータと前記第1のシャッタとの間に前記第2のシャッタを挿入し、この第2のシャッタを下降することにより前記バックアッププレートに集積された前記排除紙葉類を前記収納庫に押し込むと共に、前記セパレータを初期位置に復帰させることを特徴とする請求項2又は請求項3記載の排除券集積装置。
【請求項5】
紙葉類判別手段によって排除券と判別された排除券及び区分カードを排除券集積装置に供給して処理する紙葉類群から区分された排除券を区分して集積する排除券集積装置の排除券集積方法であって、
この排除券集積装置の集積羽根車に区分カード供給手段から区分カードを供給し、前記集積羽根車の下方に配置された第1のシャッタに集積する第1工程と、
先に処理する第1の紙葉類群から区分された第1の排除券を前記羽根車集積装置に供給して前記第1のシャッタに集積された区分カードの上に続けて集積する第2工程と、
この第2工程の後、前記第1のシャッタを開にし、この第1のシャッタに集積された前記区分カード及び第1の排除券からなる第1の排除紙葉類を落下させ収納庫に設けられたバックアッププレート上に集積させる第3工程と、
この第3工程と同時に、前記集積羽根車と前記第1のシャッタの間にセパレータを挿入し、かつ前記第1のシャッタを閉にする第4工程と、
このセパレータ上に前記区分カード供給手段から区分カードを供給する第5工程と、
この第5工程の後、前記セパレータを下降し、前記第1のシャッタと前記セパレータとの間に第2のシャッタを挿入し、前記セパレータを初期位置に復帰する第6工程と、
この第6工程の後、前記第2のシャッタを下降させ前記バックアッププレートに集積された第1の排除紙葉類を前記収納庫に押し込むと共に、前記第1のシャッタを初期状態に復帰する第7工程と、
を備え、第7工程の後、続けて処理する第2の紙葉類群が有る場合には、前記第1の工程から第7の工程を繰り返すことを特徴とする排除券集積装置の排除券集積方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2007−310809(P2007−310809A)
【公開日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−141695(P2006−141695)
【出願日】平成18年5月22日(2006.5.22)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】