説明

紙製品から構造体を形成する方法と形成された構造体

高強度構造体を形成するのに用い得る紙構造体であって、粉末繊維紙製品を用いる。粉末繊維紙製品は、生分解性プラスチック基材と粉末繊維表面被覆材により形成される。粉末繊維表面被覆材は生分解プラスチック基材の少なくとも一面上に形成される。紙構造体は、上層シートと中間層シートと下層シートとを有しこれらは粉末繊維紙からなる。中間層シートには複数の突起があり、突起は正方形の底面と正三角形の側面を有するピラミッド状をなす。複数のピラミッド状の突起は連続しており、上層シートと下層シートの間に延びる。4個の底辺エッジは下層シートに接合され、ピラミッド状の突起の頂上は上層シートに接合される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は紙製品から構造物を形成する方法に関する。紙製品は農林物粉末繊維及び・或いは再生紙粉末繊維を含む。
【背景技術】
【0002】
農林物及び・或いは再生紙から得られた粉末繊維を使う紙製品は2004‐504176号公報及び米国特許出願公開第2004−0040680号公報に開示されている。ここに言う紙製品は生分解プラスチック基材とその表層に粉末繊維が被覆する紙製品である。粉末繊維表層被覆材は農林物及び・或いは再生紙製品を含む。
【0003】
当該公報に記載されているように、この紙製品は農林物及び・或いは再生紙製品である。粉末繊維材は繊維質に由来するがここではいわゆる“糸状繊維”ではなく材料繊維は機械的にも摩擦的にも絡みあわない。種々の態様において、粉末繊維材は植物性接着液の使用により生分解プラスチックに付着している。植物性接着液は粉末繊維材を基材に適用する前に使ってもよいし後でもよい。また、生分解プラスチック基材に適用する前に植物性粉末繊維材と混ぜてもよい。
【0004】
特に、農林物素材及び・或いは再生紙製品は、繊維性ではなく水や植物性接着液を吸水する吸水度を基準にして選考される。対照的に、従来工法の紙製品は木材、綿、麻、亜麻(フラックス)などの植物性繊維を使って形成される。そのような従来工法の紙製品はウェブ又はフェルトを形成する。そして、個々の繊維の持つ内部引っ張り強度やウェブ又はフェルト中の種々の繊維間の摩擦的機械的相互作用から強度を得る。特に、従来紙の引っ張り強度は繊維の方向性によるところが大きい。
【0005】
このタイプの紙製品は製造工程で少なくとも一定の耐水性や耐油性を持たせることができる。このタイプの紙は、空気や水分の浸透性を遮断するように製造することができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した公報記載による紙製品は、幾多の理由により梱包用の箱などに使うことが難しい。例えば、段ボール箱などに使われる従来の繊維紙に比べると、この粉末繊維の紙製品は従来の繊維質で出来た紙製品の持つ引っ張り強度に頼ることが出来ないので横方向の応力に耐えることが出来ない。
【0007】
また、上述した公報記載による粉末繊維の紙製品は、その製法次第で、柔軟にも相当堅固にも出来る。特に、種々の態様において、粉末繊維材が生分解プラスチック基材に野菜粘着液のような植物性糊接着材で接着すると、熱を使わなければ植物性糊接着剤が乾いたあとでも柔軟でしなやかになる。対照的に、粉末繊維材が適用された後粉末繊維紙に熱を工程中の一部作業としてかけると粉末繊維紙製品の強度、堅固さ、及び・或いは硬度は格段に増加する。
【0008】
本発明は粉末繊維紙製品シートを立方体の製品或いは構造物に形成するシステムと方法を提供する。
【0009】
また本発明は、粉末繊維シートを立方体の構造物に形成するための、そして、そのシートの上部と底部をほかの複数のシートにつけ加えるためのシステムと方法を提供する。
【0010】
また本発明は、粉末繊維紙シートを立体的に形状化するためのシステムと方法を提供する。
【0011】
また本発明は、粉末繊維紙をピラミッド型立方体の構造物に形状化するためのシステムと方法を提供する。
【0012】
また本発明は、粉末繊維紙シートを形成するためのシステムと方法を提供する。
【0013】
また本発明は、粉末繊維紙シートを立法形に形状化するためのシステムと方法を提供する。
【0014】
また本発明は、粉末繊維紙シートの上部と底部そして粉末繊維紙の立法形シートを中間層に持つ紙構造体を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明のシステムと方法による種々の実施の形態によれば、粉末繊維紙シートは農林物材料及び・或いは再生紙材料を生分解プラスチック基材の少なくとも片面に接着又は付着され形成される。種々の実施の形態によれば、粉末繊維材は生分解プラスチック基材の両側に接着又は付着され形成される。種々の実施の形態によれば、粉末繊維材は水など霧状ミストを生分解プラスチック基材にスプレイすることにより生分解プラスチック基材の適応表面に接着又は付着する。従って、粉末繊維材は生分解基材の湿った表面にスプレイされる。その後、生分解基材に粉末繊維材を接着又は付着するために適当な熱が加えられる。種々の実施の形態において、霧状ミストに水を使う代わりに植物性液体を使うこともできる。種々の形態において、植物性液体は粘り気のあるべたべたした植物性液体である。種々の形態において、植物性液体は植物性粘液(ベジタブルスライム)である。
【0016】
種々の実施の形態において、粉末繊維紙製品は生分解プラスチックの繊維が混ざり、農林物材料及び・或いは再生紙材料から得られる粉末をミックスして形成される。種々の実施の形態において、粉末繊維紙を形成するために混合物は型に広げられ乾燥される。種々の形態において、型は粉末繊維紙のシートに立体状の形を提供する。種々の形態において、型又はモールドは凹凸状を呈し、そこから成形される粉末紙材シートには突起物がある。突起物はピラミッド型をしていてもよい。
【0017】
種々の実施の形態において、立方体構造を持つ紙構体又は紙製品は粉末紙の複数シートから形成される。種々の形態において、中間シートは突起物をプレスして形状するか凹凸に成形する。従って、突起物の先端は接着、糊付けなどにより粉末紙の一枚目のシートに付着している。突起物の底辺の淵の部分は粉末紙の二枚目のシートに付着している。
【0018】
種々の実施の形態において、一枚目の成形済みシートはピラミッド型の底辺部の四辺が粉末紙の一枚目シートに付着する。二枚目の成形されたシートは底辺部の四辺が粉末紙の二枚目のシートに付着する。その後は、二層の組み合わせは一枚目と二枚目の成形紙を互いに二枚目シートが一枚目シートの間に組み合わさるように置いて行う。二層の間にある種の接着材を用いる。すると、接着材が四枚のシートをしっかりと固定する。
【0019】
種々の実施の形態において、凹凸形状はピラミッド型である。種々の実施の形態において、ピラミッド型凹凸形状に二次的くぼみがある。同じように、種々の形態において、二次的くぼみはピラミッド型凹凸形状に加えて・或いはその代わりに先端近くにあってもよいし、ピラミッド型凹凸形状の底辺付近にあってもよい。
【0020】
種々の実施の形態において、粘着性植物液は粉末繊維表面被覆材を生分解プラスチック基材に接着又は付着させるために加えてもよいし、中間層や粉末繊維紙シートを上部層又は上部シートに及び・或いは下部層又は下部シートに接着又は付着させるのに加えてもよい。
【0021】
種々の実施の形態において、生分解プラスチック基材は上層面と下層面を持ち、粉末繊維表面被覆材を上層面と下層面のそれぞれに適用してよい。
【0022】
種々の実施の形態において、農林材料はサトウキビ、亜麻、ケナフ、トウモロコシの茎、綿実の殻、トウモロコシの葉、トウモロコシの皮、小麦、藁類,茎類、パイナップルの葉、バナナの茎、バナナの葉、ヘーゼルナッツの殻のうちの一つ以上を含む。
【0023】
本発明のシステムや方法に或いはその他の特徴や利点は以下に示される本発明のシステムや方法についての実施の形態に詳細に記述される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下に詳細に記述される本発明によるシステム、方法、製作、構造の種々の実施の形態は、農林物材料及び・或いは再生紙材料から得られる繊維質を使って形成される紙製品シートに関する。ここで言う粉末繊維紙や粉末繊維材は、農林物材料及び・或いは再生紙材料を指し、それらは摩擦及び・或いは繊維間の機械的相互作用を伴わない。従って、「粉末繊維」という言葉は、繊維が引っぱり強度や機械的強度或いは紙製品にかなりな機械的或いは摩擦的からまり強度を求めない限りにおいて、広く純粋な粉末状から繊維状までを指す。
【0025】
以下の本発明による粉末繊維紙の紙製品や紙構造体の詳細記述は、強度、堅固さ、非柔軟性が必ずしも無い様な紙を使っても得られる構造物を指す。
【0026】
図1は本発明による粉末繊維紙製品100の実施の形態を示す断面図である。ここにいう粉末繊維紙製品100は前述した例に示したものに類似する。図1〜8に示される粉末繊維紙製品100は、基材110、粉末繊維表面被覆材の上層120、そして粉末繊維表面被覆材の下層122からなる。
【0027】
基材110は生分解プラスチックで、フェルトなどの不織布を含む。生分解プラスチックは脂肪ポリエステルレジン系やポリビニールアルコール系などの多糖類分子構造を基礎とし、たくさん種類がある。たくさんの種類があることで強度、耐油性、耐水性、自然界に廃棄する際の生分解性などを考慮していろいろな用途に使える。更に正確には例えば島津製作所の「ラクテイ」(登録商標)や、カネボウの「ラクトロン」(登録商標)を使うことができる。
【0028】
更に、粉末繊維表面被覆材の上層120、そして粉末繊維表面被覆材の下層122はそれぞれ、一つ以上の農林物由来繊維及び・或いは再生紙由来繊維などから構成される。農林物由来繊維及び・或いは再生紙由来繊維などが以下の一つ以上から入手できる。サトウキビ、亜麻、ケナフ、トウモロコシの茎、綿実の殻、トウモロコシの皮、小麦、藁類、茎類、パイナップルの葉、バナナの茎、バナナの葉、又は、ヘーゼルナッツの殻。これらの農林物由来繊維の単体使い或いは複数の組み合せ方は粉末繊維紙製品がどの様な用途に使われるかにより調合してよい。更に、再生紙繊維がいわゆるバージンファイバー由来の場合はバージンファイバーも使用してよい。繊維やその他使用可能な材料が従来紙製造工程から出るフィンやピンなどの低品質材、端材、屑材などでも粉末繊維表面被覆材に用いることができる。
【0029】
種々の実施の形態において、粉末繊維紙製品100は基材110の対表面に霧状ミストをスプレイしたものである。種々の形態において、霧状ミストは水である。そして、粉末繊維表面被覆材層120と122が基材110の表面にスプレイされる。その後、適量の熱を加えてもよい。基材110の表面がかすかに融ける温度の熱を加えることにより、粉末繊維表面被覆材層120と122は基材110にほどよく付着する。更に、熱を加えることにより、基材110がかすかに融けるので耐水性が増す。
【0030】
種々の実施の形態において、霧状ミストに加えて・或いは霧状ミストに代えて、ねばりのあるべたべたした野菜粘液を基材110に用いてもよい。粘液はオクラ、モロヘイヤの葉、ファヌグリーク類、トロロアオイの根などから採れる粘液で、これらはみな粘り気のあるべたべたした植物液である。こうしたタイプの粘り気のあるべたべたした野菜液を使うと、ねばねばべたべたした野菜液が粉末繊維表面被覆材層120と122の糊状接着材又は付着材として機能する。この場合、粉末繊維表面被覆材層120と122を接着又は付着させるために熱を使うことは必要ない。しかしながら、耐水性を向上するには上記のように熱を用いてもよい。
【0031】
図2は本発明による上記粉末紙を使って作った紙構造体200の一例の断面図である。図2の通り、紙構造体200は粉末紙100の上層又はトップレイヤーシート210、粉末紙100の下層又はボトムレイヤーシート220、そして、粉末紙100の中間層又はミドルレイヤーシート230が挿入されたものからなる。粉末紙100の中間層又はミドルレイヤーシート230は複数の突起物、凹凸、引っ込み、出っ張り、膨らみ、又は、でこぼこ状240を呈し、それは粉末紙の上層又はトップレイヤーシート210と下層又はボトムレイヤーシート220の中へと延びている。
【0032】
種々の実施の形態において、このような突起物240は水平断面が正四角形で、上層又はトップレイヤーシート210と下層又はボトムレイヤーシート220に平行に位置し上からみると、正四角形である。種々の実施の形態において、突起物240の側面241は正三角形で、突起物240は正四面形ピラミッド型をなす。しかし、突起物240はほかの形をしていてもよく、非正四面形ピラミッド型,正四面体、非正四面体、高次元正多面体、高次元非正多面体、半球体、楕円球体などでもよい。種々の実施の形態において、突起物240が隣接する部分は底辺エッジ244を共有し、中間層シート230に隙間などはない。正三角形を四面に持つピラミッド型(正四角錐)は、工学的に強い構造を持つものである。その他の上記にある構造も同様である。故に、以下の詳細記述は特に正四角錐ピラミッド型に基くが、上記のいずれも代替可能で、この語彙は突起物240の適当な形すべてを含むものとする。故に、以下の詳細記述の「正四角錐ピラミッド型突起物」と言う語彙は通常すべてのバリエーションを指しているものであり、そのようなバリエーションが正三角形でなくても、四面体でなくても、及び・或いは工学的にピラミッド型でなくても同様である。
【0033】
種々の実施の形態において、正四角錐ピラミッド型突起物240は中間層シート230に形成され、中間層シート230は押型成形されて成形される。故に、正四角錐ピラミッド型突起物240は中間層シート230による底辺面を持たない。図2の通り、正四角錐ピラミッド型突起物240は、中間層シート230を形成し又は用意し、中間層シート230の先端部242は上層シート210に接着又は付着する。同様に、正四角錐ピラミッド型突起物の底辺エッジ244は下層又はボトムレイヤーシート220に接着又は付着する。本発明の紙構造体の一実施の形態では紙梱包箱の材料として使えることである。箱を作るための段ボール紙、そういった紙梱包箱の中の仕切り紙や詰め物用の紙などの材料である。本発明の紙構造体の一実施の形態では従来型段ボール紙を使用するところにはすべて本発明の紙構造体が使用できる。
【0034】
図3は正四角錐ピラミッド型突起物240の部分斜視図である。正四角錐ピラミッド型突起物240は図2の紙構造体200に示される例のように、中間層シート230を形成し又は用意する。特に、図3に示される例は、複数のピラミッド型突起物240がどのように位置又は配置されるかを示す。
【0035】
図4は本発明の紙構造体300の第2の実施の形態を示す断面図である。第2の実施の形態は図1の粉末繊維紙シート100を使って形成される。図4の通り、紙構造体300は粉末繊維紙シート100の第2の対面中間層シート330を、粉末繊維紙シート100の最初の中間層シート230に加えて、持つ。さらに、この第2対面中間層シート330は複数のピラミッド型突起物340も持つ。この第2中間層シート330は第1中間層シート230に関連して配置される。従って、粉末繊維紙シート100の第1中間層シート230と組み合わさる。
【0036】
種々の実施の形態において、第1中間層シート230の底辺エッジ244は粉末繊維紙シート100の下層シート320の内面に接着又は付着する。同時に、粉末繊維紙シート100の第2中間層シート330の底辺エッジ344は粉末繊維紙シート100の上層シート310の内面に同様に接着又は付着する。そして、第1第2中間層シート230と330は互いにくみ合わさる様にそれぞれ接着又は付着し、シート230か330のどちらかの突起物240と340がもう一方のシート330又は230の突起物340又は240の間に延びる。第1第2中間層シート230と330の突起物240と340のどちらかの先端部242と342は、第1第2中間層シート230と330のどちらかの突起物240と340の底辺エッジ344と244とそれぞれ隣接する。
【0037】
図2の紙構造体200では、正四角錐ピラミッド型突起物240の底辺エッジ244の縦又は横が粉末繊維紙シート100の下層シートに接触して折れたり曲がったりする可能性があるかもしれない。しかし、図4にある紙構造体300では、そのような位置には折れ曲がりは起こりにくい。第2中間層シート330は第1中間層シート230のそういった位置を補強したり十分に強度を与える傾向があるからである。つまり、一つの正四角錐ピラミッド型突起物240又は340の先端部242又は342は、他方の正四角錐ピラミッド型突起物240又は340の底辺エッジ344又は244が、それぞれ係合しており、そのような位置には折れ曲がりは起こりにくいからである。
【0038】
図5は本発明の第3の実施の形態による図1の粉末繊維紙シート100を使った紙構造体400を示す断面図である。図5の通り、この紙構造体400は粉末繊維紙シート100の上層シート410と粉末繊維紙シート100の下層シート420を持つ。この紙構造体400は粉末繊維紙シート100の中間層シート430が粉末繊維紙シート100の上層又は下層シート210と220の間に延びる。図5の通り、粉末繊維紙シート100の中間層シート430の正四角錐ピラミッド型突起物の少なくとも部分的に先端部442を形成する窪み443があり、窪みの先端部442は粉末繊維紙シート100の下層シート420に向かって下向きである。同時に、窪み433の上部エッジ446は粉末繊維紙シート100の上層シート410に接する。窪み433は構造的に対ストレス強度を増大する。窪み443は粉末繊維紙シート100の上層410を中間層430に接着又は付着させるための接着又は付着部分を大きくし、粉末繊維紙シート100の上層410が粉末繊維紙シート100の中間層430から剥けたり剥がれたりするのを難しくする。
【0039】
図6は、本発明の図1の粉末繊維紙シート100を使った紙構造体500の第4の実施の形態である。図6の通り、正四角錐ピラミッド型突起物540の先端部542に、窪み543に加えて、立体形中間層シート530の底辺エッジ544に複数の窪み545が更に形成されてもよい。つまり、今度は正四角錐ピラミッド型突起物540の隣接する少なくとも一部の間にあるつなぎエッジ544が粉末繊維紙シート100の上層シート510に向かって跳びだしている。窪み443又は543と同様に、窪み545は紙構造体のこの第四例に、種々のストレス変形に対する耐性を更に増強する。
【0040】
更に、窪み443又は543の様に、窪み545は粉末繊維紙シート100の下層を中間層シート530に接着又は付着する部分を大きくする。そうして、粉末繊維紙シート100の下層シート520が中間層シート530の底辺エッジ544に接着したり付着したりするための接着面や付着面を大きくする。そして、粉末繊維紙シート100の下層シート520が中間層シート530の追加窪み545の底辺エッジ548から剥けたり剥がれたりするのを更に難しくする。この様に、これらの追加窪み545は紙構造体のこの第4例になお強度を増し、高度ストレスへの耐性を増強するものである。
【0041】
図7は、上述した第1又は第2中間層シート230−530に形成された複数の正四角錐ピラミッド型突起物240−540を示す平面図である。図7の通り、正四角錐ピラミッド型突起物240−540は図1の粉末繊維紙シート100のシート230−530を押型成形する。特に、種々の実施の形態において、突起物240−540は粉末繊維紙シート100のシート230−530に位置し、突起物240−540は粉末繊維紙シート100の上層シート210−510及び・或いは下層又は底辺層シート220−520のそれぞれに平行であるか或いは中間シートに対して角度を持つ。
【0042】
図8は、第1又は第2中間層シート230−530に形成された複数の正四角錐ピラミッド型突起物240−540の第2の形態を示す平面図である。図8の通り、この実施の形態では、粉末繊維紙シート100のシート230−530に形成された突起物240−540は上層シート210−510及び・或いは下層シート220−520のそれぞれの底辺エッジに相対的に傾斜して位置するか或いは中間層シート230−530のそれぞれの底辺エッジに傾斜して位置する。図8の例では、正四角錐ピラミッド型突起物240−540は正四角形が列をなして詰まり、粉末繊維紙シート100の上層シート210−510及び・或いは下層シート220−520のそれぞれの底辺エッジに、及び・あるいは中間層シート230−530のエッジに、相対的に角度45度で位置する。
【0043】
列をなして詰まる突起物240−540は、中間層シート230−530の形成に使われた粉末繊維紙シート100のエッジに相対的に、どんな角度で位置してもよい。同様に、突起物240−540の列は、粉末繊維紙シート100の上層シート210−510及び・或いは下層シート220−520のそれぞれのエッジに相対的に、どんな角度で位置してもよい。更に、複数の突起物240−540は必ずしも縦横の列をそろえてきっちり正四角形に詰まる必要はない。むしろ、複数の突起物240−540は、隣り合わせの縦横の列を相対的にずらして並べてもよい。紙構造体200−500の層210−530を製作するために使う粉末繊維紙シート100の種々のシートのエッジに相対的に回転を加えてもよい。加えて、二種類の違うサイズの突起物240−540が中間層シート230−530に形成された突起物240−540の位置組合せに含まれてもよい。この場合、大きい方の突起物240−540は一つ以上の窪み443,543、又は545を有し、大突起物240−540は小突起物240−340と同じ高さである。
【0044】
種々の実施の形態において、前述の紙構造体200−530の種々の実施の形態に使われる中間層シート230−530は一つ以上のローラを用いて押し型で形成される。図9は、装置600の一例を示す概略側面図である。装置600は一組のローラ610と620を持ち、中間層シート230−530を押し型成形するのに使われる。図10は、ローラ610とこのローラ610と組をなすもう一つの又は対応するローラ620を使い製作する中間層シート230又は330の一例を示す平面図である。特に、図10の例の様に、対応ローラ620は複数の対応型窪み又は穴を有し、ローラ610と620が互いに回転すると、ローラ610の突起がローラ620の窪みに入り込む。ローラ610の突起は、粉末繊維紙シート100のシート状粉末繊維紙を押し、ローラ620の窪み又は穴はローラ610と620へととり込まれ、層シート230又は330に突起物240又は340を形成する。
【0045】
図10の通り、ローラ610に形成される突起物の横断面形は正四角形で、突起物の側面は正三角形である。この様に形成された正四角錐ピラミッド型突起物は隣接の突起物との間に隙間無くローラ610上に並び詰められる。前述の通り、層シート230又は330は、図1に示した通り、粉末繊維紙製品100を、図9の様に、ローラ610と620の間を通過させて形成することが出来る。
【0046】
前述の例では、中間層シート230−530は一つ以上のローラを使って押し型成形して作る。しかしながら、中間層シート230−530の製作はこの工程に限らない。むしろ、種々の実施の形態において、中間層シート230−530は、粉末繊維紙製品を成型して作るために使用可能な液体又はスラリー混合物を注ぐことで形成されてもよい。種々の実施の形態では、型は、複数の正四角錐ピラミッド型を持つシート状粉末繊維紙を作るため横断面形が正四角形でよく、側面が正三角形でよい。
【0047】
種々の実施の形態において、液体混合物は、粉末状農林物繊維及び・或いは再生紙繊維と、その中に生分解プラスチック材の不織繊維を混ぜて作った材料で、繊維を保ちながら、正四角錐ピラミッド型凹凸複数体をした型に成型できる。その後、混合物又はスラリーを乾燥してもよい。乾燥した混合物又はスラリーを型出すると、出来上がった粉末繊維シートは層シート230−530に対応するものが得られる。このようにして、横断面形が正四角形で側面が正三角形の突起物240−540のある正四角錐ピラミッド型突起物を有する中間層シート230−530が得られる。更には、中間層シート230−530は従来的又は将来的ないかなる適切な工程を用いて作ることができるものである。
【0048】
図2、図4−6の紙構造体は様々な方法を使って製造できる。バッチ法の一例では、枚用紙の粉末繊維紙シート100は一組のローラ610と620を通過し、シート230−530を形成する。ローラ610と620は手動で操作できる。人力や畜力が手動操作力をもたらす。従って、上層シート210−510及び・或いは下層シート220−520に対応する枚用紙はシート230−530の上と下に持ち込まれ、紙構造体200−500を形成する様に適宜接着及び・或いは付着される。種々の実施の形態において、接着剤及び・或いは付着材は上層シート210−510及び・或いは下層シート220−520の内側一面に、及び・或いは中間層シート230−530の上面又は下面にスプレイ又は塗り広げられる。このバッチ法の第1例は、前述の様に、図4が示す紙構造体を形成する。更に、適切なローラ610と620が使われれば、このバッチ法は、図5及び・或いは図6の示す紙構造体400と500を形成するのに使うこともできる。
【0049】
或いは、連続製法の第1例において、図1の粉末繊維紙100に使うローラを三つ以上一緒にしてもよい。粉末繊維紙の一枚以上の中間シートは、第1及び・或いは第2中間層230−530を形成するために、一組以上で対応数のローラ610と620へとロール紙から直接もたらされてもよい。一枚以上の中間層シート230−530は、上層シート210−510を形成する一枚目シートと、下層シート220−520を形成する二枚目シートと一緒に合わされ、それに一種類以上の適切な接着剤又は付着材が使われる。それぞれのシートは、図2、4、5、又は6の示す紙構造体200−500の連続紙を形成するため、種々の接着剤及び・或いは付着材で一緒に合わされる。従って、希望用途により、紙構造体200−500連続紙はその紙構造体200−500個別のシート、用紙、パネルなど、様々に切り分けることができる。種々の実施の形態において、仕上がった紙又は用紙は、箱、挿入紙、仕切紙など、様々に折り曲げることができる。或いは、図2、図4−6に示す紙構造体200−500の一つを使って、この他いかなる物体を作ってもよい。
【0050】
最終的に、全自動プロセスによる実施の形態では、図1の粉末繊維紙シート100を形成するための多様な使用可能材料は、三種類の粉末繊維紙製作機器又は装置に供給される。三種類の粉末繊維紙製作機器又は装置のそれぞれが、図1の粉末繊維紙シート100の連続紙を産出する。そして、粉末繊維紙シート100のシートをロール紙にまとめるのではなく、一枚以上の中間シートは、仕上がった後、粉末繊維紙一枚以上を中間層シート230−530に変形するため、一組以上対応数のローラへと送り込まれる。すると、前述の連続例の様に、一枚以上の中間シート230−530は一緒に合わされて、上層シート210−510と、下層シート220−520と共に、一種類以上の適切な接着剤又は付着材によって、つなぎ合わされる。以上の概説の様に、様々な枚用紙が、一種類以上の適切な接着剤又は付着材と共に、前述の図2に該当する紙構造体200−500の一つを形成するため、合わされる。
【0051】
図1の粉末繊維紙シート100を作るための材料がどのようにプロセスされるかによって、粉末繊維紙シート100に様々な特性を持たせることができる。耐水性の度合い、空気の浸透性、遮断性、堅固さ、硬度、引っぱり強度などである。図2、図4−6に示す、紙構造体200−500は、段ボール箱やその他梱包材に形成することができる。どのようにプロセスされるかによって、紙構造体200−500は、壁板やその他の製品に適した使い方ができる。そうした製品には多方向耐圧性や強度は利点である。
【0052】
本発明の紙構造体200−500の種々の実施の形態は、さほど強度のない紙製品100からでさえも強い構造体を用意できる。更に、農林材繊維及び・或いは再生紙材繊維を使う紙製品100は簡単に作れ、親水性又は耐水性の度合いとコントロール、通気性又は気密性の度合いとコントロールが容易なので、本発明による紙梱包箱としての紙構造体の種々の実施の形態と共に、様々な特性を持たせることが可能である。さらにまた、本発明による紙構造体の種々の実施の形態は、汚染添加物を一切使用しないので、本発明による紙構造体の種々の実施の形態で生産された構造や物体は環境に利便でやさしい。
【0053】
本発明は上述した実施の形態を参照して説明したが、当業者にとって種々の代替、応用、多様化、改良、変更が可能であることは明白である。従って、前述のような、当発明の実施の形態は単に概略であり、制限を課すものではない。様々な変更が、当発明の精神と許容範囲から逸脱することなく、加えられてよい。故に、当発明は周知のまた将来開発されるであろうすべての代替、応用、多様化、改良、及び・或いは、かなりの互換性を包括する。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】図1は本発明の実施の形態による粉末繊維からなる紙を示す断面図。
【図2】図2は本発明による粉末繊維紙から形成される紙構造物又は紙構造体の第1の実施の形態を示す断面図。
【図3】図3は第1の実施の形態による紙構造体の中間層の一部を示す斜視図。
【図4】図4は本発明による粉末繊維紙から形成される紙構造体である第2の実施の形態を示す断面図。
【図5】図5は本発明による粉末繊維紙から形成される紙構造体である第3の実施の形態を示す断面図。
【図6】図6は本発明による粉末繊維紙から形成される紙構造体である第4の実施の形態を示す断面図。
【図7】図7は本発明による紙構造体の粉末繊維紙の中間層に形成されるピラミッド型突起物の配置の一例を示す平面図。
【図8】図8はピラミッド型突起物の配置の第2例を示す平面図。
【図9】図9は本発明による紙構造体の粉末繊維紙の中間層を形成するために使われるローラ組の側面平面図。
【図10】図10は図9に示されたローラ組を示す平面図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生分解性プラスチック基材と、該生分解性プラスチック基材の少なくとも一面上に設けられた粉末繊維表面被覆材とからなる紙製品を用いた紙構造体であって、該紙構造体は、
該粉末繊維からなる上層シートと、
該粉末繊維からなる下層シートと、
該上層紙と下層紙の間に配置され、該粉末繊維からなり、前記上層紙と下層紙方向に突出する複数の連続した突起物を備えた中間層シートとを有することを特徴とする紙構造体。
【請求項2】
少なくとも一部の該突起物の個々の断面が、該上下層シートに平行な面に沿って正四角形状をしていることを特徴とする請求項1に記載の紙構造体。
【請求項3】
少なくとも一部の該突起物のそれぞれの側面が正三角形状であることを特徴とする請求項2に記載の紙構造体。
【請求項4】
少なくとも一部の突起物のそれぞれが正三角形四面体である正四角錐ピラミッド型で、正四角錐ピラミッド型のそれぞれが四辺の底辺と一点の先端部をもつことを特徴とする請求項3に記載の紙構造体。
【請求項5】
それぞれの該正四角錐ピラミッド型の底辺四辺が上層シートか下層シートのいずれかに接着又は付着していることを特徴とする請求項4に記載の紙構造体。
【請求項6】
該上層シートか下層シートのいずれかに粘着性植物液で中間シートを接着又は付着することを特徴とする請求項5に記載の紙構造体。
【請求項7】
少なくとも一部の正四角錐ピラミッド型突起物の先端が、突起物の底辺に向かって窪んでいることを特徴とする請求項4に記載の紙構造体。
【請求項8】
少なくとも一部の正四角錐ピラミッド型突起物であって互いに隣接する突起物の一組の共通底辺エッジが突起物の先端に向かって窪んでいることを特徴とする請求項4に記載の紙構造体。
【請求項9】
複数の該正四角錐ピラミッド型突起物の底辺エッジが、中間シートのエッジに平行であることを特徴とする請求項4に記載の紙構造体。
【請求項10】
複数の該正四角錐ピラミッド型突起物の底辺エッジが中間シートのエッジに対応して傾斜していることを特徴とする請求項4に記載の紙構造体。
【請求項11】
該生分解プラスチック基材は上面と下面を持ち、該粉末繊維表面被覆材は該上面と下面とを覆うことを特徴とする請求項1に記載の紙構造体。
【請求項12】
該粉末繊維表面被覆材は、少なくとも農産物材料、林産物材料、再生紙材料のうちのいずれか一種より選択された粉末繊維材料により構成されることを特徴とする請求項1に記載の紙構造体。
【請求項13】
該農産物材料は、サトウキビ、亜麻、ケナフ、トウモロコシの茎、綿実の殻、トウモロコシの葉、トウモロコシの皮、小麦、藁類,パイナップルの葉、バナナの茎、バナナの葉、ヘーゼルナッツの殻の少なくとも一つであることを特徴とする請求項12に記載の紙構造体。
【請求項14】
該粉末繊維表面被覆材は、フエルト又はウエブを構成するには機械的に又は摩擦的に絡み合う長さが足りない繊維の粉末材料を有することを特徴とする請求項1に記載の紙構造体。
【請求項15】
該中間層シートは該上下層間に延在し複数連続突起物を有する第1中間シートと第2中間シートとを有し、
該第1中間シートの少なくとも一部の突起物の底辺エッジは該上層シートに接着又は付着され、
該第2中間シートの少なくとも一部の突起物の底辺エッジが該下層シートに接着又は付着され、
該第1中間シートの突起物は該第2中間シートの突起物と互いにかみ合っていることを特徴とする請求項1に記載の紙構造体。
【請求項16】
生分解プラスチック基材と、該生分解プラスチック基材の少なくとも片面上に形成された粉末繊維表面被覆材とを有する粉末繊維紙製品を用いて紙構造体を製造する方法であって、
中間層シートに形成するべき複数の突起物の形に対応する複数の突起物を備えたローラを用いて、中間層シートに複数の突起物を押圧成型する工程と、
上層シートを中間層シートの上面に接合する工程と、
下層シートを中間層シートの底面に接合する工程と、を備えたことを特徴とする紙構造体を製造する方法。
【請求項17】
該中間層シートに形成された該突起物は上下層に平行な平面に関して四角形状の断面をなし、側面は正三角形であって、突起物は正四角錐のピラミッド形状をなすことを特徴とする請求項16に記載の紙構造体を製造する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2008−515675(P2008−515675A)
【公表日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−535926(P2007−535926)
【出願日】平成17年10月21日(2005.10.21)
【国際出願番号】PCT/US2005/038061
【国際公開番号】WO2006/047348
【国際公開日】平成18年5月4日(2006.5.4)
【出願人】(502281150)
【Fターム(参考)】