説明

素子搭載用基板および半導体モジュール

【課題】電磁波を透過させるための開口部が設けられた素子搭載用基板の剛性を高める技術を提供する。
【解決手段】チップ部品220が搭載された素子搭載用基板210に、半導体素子120の設置領域に対応して開口部300が設けられている。開口部300に透明部材310が嵌め込まれており、透明部材310の外周の側面は、開口部300に露出する素子搭載用基板210の内壁に接着剤320により固着されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チップ部品等を搭載可能な素子搭載用基板およびこれを用いた半導体モジュールに関する。より具体的には、開口部が形成された素子搭載用基板に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話、PDA、DVC、DSCといったポータブルエレクトロニクス機器には、人物や風景を撮影できるカメラ機能が付加されるなどの高機能化が加速するなか、こうした製品が市場で受け入れられるためには小型・軽量化が必須となっており、その実現のために高集積のシステムLSIが求められている。
【0003】
一方、これらのエレクトロニクス機器に対しては、より使い易く便利なものが求められており、機器に使用されるLSIに対し、高機能化、高性能化が要求されている。このため、LSIチップの高集積化に伴いそのI/O数が増大する一方でパッケージ自体の小型化、薄型化の要求も強く、これらを両立させるために、半導体部品の高密度な基板実装に適合した半導体パッケージの開発が強く求められている。このような要求に応えるため、半導体部品を搭載する半導体モジュールについてはさらなる薄型化が求められている。
【0004】
従来のポータブルエレクトロニクス機器の一例であるカメラモジュールについて説明する。
【0005】
図10は、従来のカメラモジュールの構造を示す断面図である。図10に示すように、従来のカメラモジュールは、撮像用半導体素子である撮像素子31、鏡筒33、レンズ35、光学フィルター(赤外線フィルター)37、回路基板39、補強板41、接着剤43および封止材45を備えている。
【0006】
被写体像が入射される撮像面(受光面)47を有する撮像素子31は、バンプ49を介して回路基板39に電気的に接続されている。レンズ35は、被写体像を撮像素子31の受光面47に結像し、レンズ35と撮像素子31との間に導光空間51が形成されている。導光空間51には赤外線フィルター37が設けられ、赤外線フィルター37は撮像画像の劣化の原因となる赤外線を遮断する。補強板41は、回路基板39が強度不足となる場合に、この強度不足を補うために設けられている。補強板41は接着剤43により回路基板39に接着されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2005−316127号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来のようにプリント基板に代表される配線基板(素子搭載用基板あるいは回路基板)に可視光を含む電磁波を透過させるための開口部を設けると、配線基板の剛性が低くなり、熱応力が加わったときに変形しやすくなるという課題が生じていた。具体的には、開口部を有する配線基板にチップ部品などをはんだを用いて実装する際に配線基板にねじれが生じ、配線基板の接続信頼性の低下を招くおそれがあった。
【0009】
本発明はこうした課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、電磁波を透過させるための開口部が設けられた素子搭載用基板の剛性を高める技術の提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のある態様は素子搭載用基板である。当該素子搭載用基板は、一方の主表面から他方の主表面に貫通する開口部が設けられている配線基板と、開口部に嵌め込まれ、特定の波長領域の電磁波が透過可能な透明部材と、を備え、配線基板の面方向において、透明部材の外周の側面の少なくとも一部と、開口部の配線基板の側壁とが重畳している。
【0011】
上記態様の素子搭載用基板において、透明部材は、赤外線カットフィルターであってもよい。また、配線基板は、無機充填材が充填された絶縁樹脂層を含み、透明部材は、無機充填材と熱膨張係数が同等であってもよい。また、また、透明部材はガラス材からなり無機充填材はガラスクロスからなっていてもよい。
【0012】
本発明の他の態様は、半導体モジュールである。当該半導体モジュールは、半導体素子を搭載した他の素子搭載用基板と、他の素子搭載用基板の上方に設けられた上述した態様の素子搭載用基板と、半導体素子の周囲に設けられ、他の素子搭載用基板に設けられている配線層と上述した態様の素子搭載用基板に設けられている配線層とを電気的に接続する電気接続部材と、を備えることを特徴とする。
【0013】
本発明のさらに他の態様は、半導体モジュールである。当該半導体モジュールは、上述した態様の素子搭載用基板と、素子搭載用基板の他方の主表面に実装されている半導体素子と、を備えることを特徴とする。
【0014】
なお、上述した各要素を適宜組み合わせたものも、本件特許出願によって特許による保護を求める発明の範囲に含まれうる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、電磁波を透過させるための開口部が設けられた素子搭載用基板の剛性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】実施の形態1に係るカメラモジュールの構造を示す概略断面図である。
【図2】実施の形態2に係るカメラモジュールの構造を示す概略断面図である。
【図3】実施の形態3に係るカメラモジュールの構造を示す概略断面図である。
【図4】素子搭載用基板の作製方法を示す工程図である。
【図5】素子搭載用基板の作製方法を示す工程図である。
【図6】素子搭載用基板の作製方法を示す工程図である。
【図7】素子搭載用基板の作製方法を示す工程図である。
【図8】実施の形態に係るカメラモジュールを備えた携帯電話の構成を示す図である。
【図9】図8に示した携帯電話の部分断面図である。
【図10】従来のカメラモジュールの構造を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。なお、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0018】
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1に係る半導体モジュールの一例としてのカメラモジュール10の構造を示す概略断面図である。本実施の形態に係るカメラモジュール10は、デジタルスチルカメラ、デジタルビデオカメラ、携帯電話に搭載のカメラなどの撮像装置に用いられる。
【0019】
実施の形態1に係るカメラモジュール10は、回路モジュール200を備える。
【0020】
回路モジュール200は、素子搭載用基板210の一方の面にチップ部品220が搭載され、素子搭載用基板210の他方の面に半導体素子120が搭載された構成を有する。チップ部品220は、後述するレンズ290を駆動するための電子部品であり、たとえば、駆動IC、電源IC、抵抗や容量等の受動部品等が挙げられる。半導体素子120はCMOS型イメージセンサ等の受光素子である。半導体素子120の表面には、フォトダイオードがマトリクス状に形成されており、各フォトダイオードは、受光量に応じて光を電荷量に光電変換し、画素信号として出力する。
【0021】
素子搭載用基板210は、基材となる絶縁樹脂層230と、絶縁樹脂層230の一方の主表面(本実施の形態では、半導体素子搭載面)に形成された配線層240と、絶縁樹脂層230の他方の主表面に形成された電極部242と、絶縁樹脂層230の一方の主表面に形成された絶縁樹脂層250と、絶縁樹脂層230の他方の主表面に形成された絶縁樹脂層252とを含む。
【0022】
絶縁樹脂層230は、たとえば、BTレジン等のメラミン誘導体、液晶ポリマー、エポキシ樹脂、PPE樹脂、ポリイミド樹脂、フッ素樹脂、フェノール樹脂、ポリアミドビスマレイミド等の熱硬化性樹脂で形成することができる。本実施の形態では、絶縁樹脂層230に、補強材として無機充填材の一種であるガラスクロス232が埋設されている。絶縁樹脂層230の厚さは、たとえば、240μmである。
【0023】
絶縁樹脂層230の一方の主表面に所定パターンの配線層240が設けられている。図示しないが、配線層240の上にNi/Au層などの金めっき層が形成されていてもよい。配線層240の所定箇所において、チップ部品220がはんだ221により電気的に接続されている。また、絶縁樹脂層230の他方の主表面に電極部242が設けられている。図示しないが、電極部242の上にNi/Au層などの金めっき層が形成されていてもよい。配線層240および電極部242を構成する材料としては銅が挙げられる。配線層240と電極部242とは、絶縁樹脂層230の所定位置において絶縁樹脂層230を貫通するビア導体(図示せず)により電気的に接続されている。なお、特に図示していないが、絶縁樹脂層230の他方の主表面には、電極部242と同層で、かつ、同じ高さの配線層が設けられている。
【0024】
絶縁樹脂層230の一方の主表面にフォトソルダーレジストなどからなる絶縁樹脂層250が設けられている。また、絶縁樹脂層230の他方の主表面にフォトソルダーレジストなどからなる絶縁樹脂層252が設けられている。絶縁樹脂層250および絶縁樹脂層252の厚さは、たとえば、30μmである。絶縁樹脂層252には、電極部242にはんだ272を搭載するための開口が設けられている。はんだ272により、電極部242と半導体素子120に設けられた素子電極121とが電気的に接続されている。
【0025】
素子搭載用基板210には、鏡筒280が設置されており、鏡筒280の内周面に設けられたネジ部の螺合によって円筒型本体282と鏡筒280とが結合している。レンズ290は、円筒型本体282に取り付けられている。
【0026】
また、半導体素子120の設置領域に対応して、素子搭載用基板210を貫通する開口部300が設けられている。この開口部300に透明部材310が嵌め込まれている。透明部材310の外周の側面は、開口部300に露出する素子搭載用基板210の内壁に接着剤320により固着されている。透明部材310の厚さは、たとえば、300μmである。
【0027】
透明部材310は、特定の波長領域の電磁波が透過可能な材料で形成されており、具体的には、IRカットフィルターである。透明部材310をIRカットフィルターとすることにより、半導体素子120へ流入する過度な長波長の赤外線が遮断される。なお、透明部材310としては、IRカットフィルターの他に、紫外線カットフィルター、カラーフィルター、偏光板、燃焼ガス透過フィルター、火炎測温フィルター、プラスチック測温フィルター、石英ガラス透過フィルター、ガラス測温用フィルターなどが挙げられる。
【0028】
本実施の形態では、透明部材310のレンズ290側の主表面は、絶縁樹脂層250のレンズ290側の主表面と面一であるが、透明部材310のレンズ290側の主表面と絶縁樹脂層250のレンズ290側の主表面とが段差を形成していてもよい。言い換えると、素子搭載用基板210の面方向において、透明部材310の外周の側面の少なくとも一部と、開口部300の素子搭載用基板210の内壁とが重畳していればよい。なお、本実施の形態では、配線基板は、絶縁樹脂層230、絶縁樹脂層250および絶縁樹脂層252を含む素子搭載用基板210である。
【0029】
透明部材310の熱膨張係数は、絶縁樹脂層230に埋設された無機充填材、本実施の形態では、ガラスクロス232の熱膨張係数と同等である。一般的に使用されるガラスクロスの熱膨張係数(℃−1)は、5.5×10−6である。この場合、透明部材310の熱膨張係数(℃−1)として5.5×10−6が好ましい。なお、石英ガラス、ホウケイ酸ガラス、ソーダ石英ガラスの熱膨張係数(℃−1)は、それぞれ、5.6×10−7、5.2×10−6、8.5×10−6であり、ガラスクロスの構成材料によっては、透明部材310の熱膨張係数(℃−1)の範囲として、5×10−7〜9×10−6の範囲を取り得る。なお、エポキシ樹脂の熱膨張係数(℃−1)は、およそ6×10−5であり、透明部材310の熱膨張係数の範囲から外れている。
【0030】
以上説明した半導体モジュールの一例としてのカメラモジュール10によれば、少なくとも以下に挙げる効果を得ることができる。
(1)素子搭載用基板210に設けられた開口部300に透明部材310を嵌め込むことにより、素子搭載用基板210の強度あるいは剛性を高めることができる。
【0031】
この他に、本実施の形態のカメラモジュール10によって得られる効果として以下の項目が挙げられる。
(2)素子搭載用基板210に設けられた開口部300に絶縁樹脂層230に埋設された無機充填材と熱膨張係数が同等の透明部材310を嵌め込むことにより、素子搭載用基板210全体の熱応答性を均一にすることができる。これにより、チップ部品220や半導体素子120を表面実装する際に、素子搭載用基板210に熱が加わった場合に、素子搭載用基板210にねじれが生じることを抑制することができる。
(3)素子搭載用基板210に設けられた開口部300に透明部材310を嵌め込むことにより、図10に示すように、光学フィルター37を回路基板39の上方に載置する場合に比べて、レンズ290の高さをより低くすることができ、ひいては、カメラモジュール10の低背化を図ることができる。
(4)透明部材310を素子搭載用基板210の上方に載置する場合には、透明部材310を固定するための接着剤によるフィレットが形成され、透明部材310の側方に広がる。これにより、素子搭載用基板210にチップ部品を搭載する場合に、チップ部品の搭載領域が制約される。これに対して、素子搭載用基板210に設けられた開口部300に透明部材310を嵌め込むことにより、透明部材310を固着する接着剤320は開口部300内にとどまるため、チップ部品220の設置領域に関する設計自由度を向上させることができる。
(5)開口部300に露出する素子搭載用基板210の内壁が接着剤320で被覆されるため、ダスト発生抑制のための端面保護樹脂を別途設ける必要がない。
【0032】
(実施の形態2)
図2は、実施の形態2に係る半導体モジュールの一例としてのカメラモジュール10の構造を示す概略断面図である。実施の形態2に係るカメラモジュール10は、回路モジュール100と、回路モジュール100の上に搭載された回路モジュール200とを備える。実施の形態1に係るカメラモジュール10では、半導体素子120が素子搭載用基板210の裏面側に搭載され、回路モジュール200に備えられているが、本実施の形態では、半導体素子120が回路モジュール100に備えられている。
【0033】
回路モジュール100は、主な構成として素子搭載用基板110と素子搭載用基板110に実装された半導体素子120を備える。
【0034】
素子搭載用基板110は、絶縁樹脂層130とガラスクロス132とを含む。このガラスクロス132は、絶縁樹脂層130に複数層織り込まれていてもよい。
【0035】
絶縁樹脂層130は、たとえば、BTレジン等のメラミン誘導体、液晶ポリマー、エポキシ樹脂、PPE樹脂、ポリイミド樹脂、フッ素樹脂、フェノール樹脂、ポリアミドビスマレイミド等の熱硬化性樹脂で形成することができる。
【0036】
絶縁樹脂層130に埋め込まれたガラスクロス132により、素子搭載用基板110の剛性が高められている。
【0037】
絶縁樹脂層130の一方の主表面(本実施の形態では、回路素子搭載面)に所定パターンの配線層140が設けられている。また、絶縁樹脂層130の一方の主表面には、回路モジュール搭載用のはんだを接合するための電極部160が設けられている。電極部160については後述する。配線層140を構成する材料としては銅が挙げられる。配線層140の厚さは、たとえば20μmである。
【0038】
絶縁樹脂層130の一方の主表面に絶縁樹脂層150が設けられている。絶縁樹脂層150は、電極部160の周囲および電極部160を構成する導体部162の上面周縁部を被覆している。言い換えると、絶縁樹脂層150には、電極部160の中央領域が露出するような開口が設けられている。なお、絶縁樹脂層150は、たとえば、フォトソルダーレジストにより形成される。絶縁樹脂層150の厚さは、たとえば80〜100μmである。絶縁樹脂層150は、電極部160の周囲のみならず、絶縁樹脂層130の周縁に沿って堤防状に設けられている。すなわち、絶縁樹脂層150で囲まれた領域が凹部(キャビティ)となっている。
【0039】
電極部160は、導体部162および導体部164を含む。
【0040】
導体部162は、配線層140と同層であり、絶縁樹脂層130の一方の主表面に形成されている。さらに、導体部162は、配線層140と同等の厚さ(たとえば20μm)を有する。導体部162の径は、たとえば350μmである。
【0041】
導体部164は、導体部162の上面、絶縁樹脂層150の側壁により形成された空間内に充填されている。すなわち、導体部164の上面は、絶縁樹脂層150に設けられた開口内に位置している。導体部164の厚さは、たとえば40μmである。
【0042】
なお、導体部164の上面にNi/Au層などの金めっき層が形成されていてもよい。金めっき層により導体部164の酸化が抑制される。金めっき層としてNi/Au層を形成する場合には、導体部164側に設けられるNi層の厚さは、たとえば1〜15μmであり、Ni層の上に設けられるAu層の厚さは、たとえば0.03〜1μmである。
【0043】
以上説明した素子搭載用基板110に半導体素子120が搭載されている。具体的には、絶縁樹脂層150で囲まれたキャビティに半導体素子120が実装されている。半導体素子120に設けられた素子電極121と所定領域の配線層140とが金線122によりワイヤボンディング接続されている。また、ワイヤボンディングが接続される配線層140の上面にNi/Au層などの金めっき層が形成されていてもよい。
【0044】
本実施の形態のカメラモジュール10によれば、実施の形態1のカメラモジュール10で得られる効果(1)〜(5)の他に以下の効果が得られる。
(6)開口部が設けられた上側のプリント基板を下側のプリント基板に積層した後、上側のプリント基板の開口部を塞ぐように透明部材を設置する場合に、透明部材を設置するまでの間に下側のプリント基板上のCMOSイメージセンサー等の半導体素子にダストが落ちるおそれがある。これに対して、素子搭載用基板210は、素子搭載用基板210を素子搭載用基板110に搭載する前に、開口部300が透明部材310により塞がれているため、素子搭載用基板210を素子搭載用基板110に搭載することで、半導体素子120にダストが落ちることを抑制することができる。
【0045】
(実施の形態3)
図3は、実施の形態3に係る半導体モジュールの一例としてのカメラモジュール10の構造を示す概略断面図である。本実施の形態のカメラモジュール10は、レンズ290および透明部材310の構成を除き、実施の形態2と同様である。
【0046】
本実施の形態では、レンズ290が非対称の平凸レンズであり、透明部材310の側が凸になっている。
【0047】
素子搭載用基板210のレンズ290側の主表面(本実施の形態では、絶縁樹脂層250の表面)に対して、透明部材310のレンズ290側の表面が凹んだ構造となっている。このため、実施の形態2で述べた効果の他に、レンズ290の凸側表面と透明部材310のレンズ290側の表面との距離を確保することができ、カメラモジュール10のさらなる低背化を図ることができる。
【0048】
(素子搭載用基板の作製方法)
図4(A)、図4(B)、図5乃至図7は、素子搭載用基板210の作製方法を示す工程図である。なお、図6および図7では、図6(i)、図7(i)に素子搭載用基板210の平面図を示し、それぞれのA−A’線に対応する断面図を図6(ii)、図7(ii)に示す。
【0049】
まず、図4(A)に示すように、素子搭載用基板210を用意する。なお、図4乃至図7では、素子搭載用基板210が簡略化して図示されており、配線層240等は適宜省略されている。
【0050】
次に、図4(B)に示すように、素子搭載用基板210の所定領域(後の工程で組み付けられる透明部材310の角部に対応する領域)にドリル加工により貫通孔(捨て穴)312を形成する。より具体的には、貫通孔312の領域内に透明部材310の角部が位置するように貫通孔312を形成する。
【0051】
次に、図5に示すように、四隅が貫通孔312となるような切断線314に沿って素子搭載用基板210を切断し、開口部300を形成する。開口部300を形成する切断加工をルーターのみを用いて行うと、四隅の形状が点線316のように丸みを帯びるため、開口部300内の有効面積が減少する。これに対して、開口部300の四隅に貫通孔312を予め形成しておくことにより、開口部300の四隅に障害となる部分がなくなるため、開口部300内をより広く利用することができる。すなわち、より大きい面積の透明部材を開口部300に嵌め込むことができる。
【0052】
次に、図6(i)および図6(ii)に示すように、台座(または治具)400の上に、素子搭載用基板210を載置した状態で、開口部300に透明部材310を嵌め込み、仮置きを行う。なお、台座400の中央部分の領域410は、台座400の基準面420から深さHだけ低くなっている。このため、開口部300に透明部材310を嵌め込むと、透明部材310の下面は、素子搭載用基板210の下面から深さHだけ下方に突出する。言い換えると、透明部材310と素子搭載用基板210の厚みが同じ場合には、中央部分の領域410が低くなった台座400を用いることにより、透明部材310の上面が素子搭載用基板210の上面より深さH分だけ低くなった状態で保持することができる。また、台座400の中央部分の領域410の周囲に領域410よりさらに低い凹部430が設けられている。
【0053】
次に、図7(i)および図7(ii)に示すように、台座400によって透明部材310が保持された状態で、透明部材310と開口部300に露出した素子搭載用基板210の内壁との間の隙間に接着剤320を流し込む。このとき、余分な接着剤が発生した場合に、余分な接着剤は凹部430に流れ込み、凹部430が液だめとして機能することにより、余分な接着剤が素子搭載用基板210に付着することを抑制することができる。
【0054】
なお、実施の形態2に係るカメラモジュール10では、透明部材310の厚みと素子搭載用基板210の厚みとが同等であり、素子搭載用基板210の半導体素子120側の主表面に対して、透明部材310の半導体素子120側の表面が凸になっているが、これに限られない。透明部材310の厚みが素子搭載用基板210よりも厚みが薄く、透明部材310の半導体素子120側の表面が素子搭載用基板210の半導体素子120側の表面に対して凹んでいてもよい。この場合には、中央部分の領域410が基準面420より高くなっている台座400を用いて、台座400の上に、素子搭載用基板210を載置した状態で、開口部300に透明部材310を嵌め込み、仮置きを行う。
【0055】
(携帯機器への適用)
次に、本発明の一態様のカメラモジュールを備えた携帯機器について説明する。なお、携帯機器として携帯電話に搭載する例を示すが、たとえば、個人用携帯情報端末(PDA)、デジタルビデオカメラ(DVC)、音楽プレーヤ、及びデジタルスチルカメラ(DSC)といった電子機器であってもよい。
【0056】
図8は実施の形態に係るカメラモジュール10を備えた携帯電話の外観の構成を示す図である。なお、本願のカメラモジュールを搭載した構造については後述する。携帯電話1111は、第1の筐体1112と第2の筐体1114が可動部1120によって連結される構造になっている。第1の筐体1112と第2の筐体1114は可動部1120を軸として回動可能である。第1の筐体1112には文字や画像等の情報を表示する表示部1118やスピーカ部1124が設けられている。第2の筐体1114には操作用ボタンなどの操作部1122やマイク部1126が設けられている。なお、本発明の各実施形態に係るカメラモジュールのいずれかがこうした携帯電話1111の内部に搭載されている。
【0057】
図9は図8に示した携帯電話の部分断面図(第1の筐体1112および第2の筐体1114の断面図)である。半導体モジュール1200がはんだボール1210を介してプリント基板1128aに搭載され、こうしたプリント基板1128aを介して表示部1118などと電気的に接続されている。半導体モジュール1200は、たとえば、各回路を駆動するための電源回路、RFを発生するRF発生回路、DAC、エンコーダ回路、携帯電話の表示部に採用される液晶パネルの光源としてのバックライトの駆動回路、後述するカメラモジュール10で取得された画像データなどの入出力回路などとして機能する。
【0058】
実施の形態に係るカメラモジュール10は、第2の筐体1114に設けられたプリント基板1128bに実装されている。第2の筐体1114には、光を透過させる窓部1115が設けられており、カメラモジュール10に設けられたレンズが窓部1115に対向して設けられている。このカメラモジュール10により携帯電話で撮影が可能になっている。撮影されたデータは、半導体モジュール1200の処理によりメモリ(図示せず)に格納される。
【0059】
本発明の実施形態に係る半導体モジュールを備えた携帯機器によれば、以下の効果を得ることができる。
【0060】
上記実施の形態で示したカメラモジュール10は、図1に示したような素子搭載用基板210の強度あるいは剛性が高められているので、こうしたカメラモジュール10を搭載した携帯機器の動作信頼性を高めることができる。
【0061】
本発明は、上述の各実施の形態に限定されるものではなく、当業者の知識に基づいて各種の設計変更等の変形を加えることも可能であり、そのような変形が加えられた実施の形態も本発明の範囲に含まれうるものである。
【0062】
例えば、絶縁樹脂層130が多層化され、配線層が絶縁樹脂層130の多層化に応じて多層化されていてもよい。同様に、絶縁樹脂層230が多層化され、配線層が絶縁樹脂層230の多層化に応じて多層化されていてもよい。
【符号の説明】
【0063】
10 カメラモジュール、100 回路モジュール、110 素子搭載用基板、120 半導体素子、130 絶縁樹脂層、132 ガラスクロス、150 絶縁樹脂層、160 電極部、200 回路モジュール、210 素子搭載用基板、220 チップ部品、230,250,252 絶縁樹脂層、270 はんだボール、280 鏡筒、282 円筒型本体、290 レンズ、310 透明部材、320 接着剤

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方の主表面から他方の主表面に貫通する開口部が設けられている配線基板と、
前記開口部に嵌め込まれ、特定の波長領域の電磁波が透過可能な透明部材と、
を備え、
前記配線基板の面方向において、前記透明部材の外周の側面の少なくとも一部と、前記開口部の前記配線基板の内壁とが重畳している素子搭載用基板。
【請求項2】
前記透明部材は、赤外線カットフィルターである請求項1に記載の素子搭載用基板。
【請求項3】
前記配線基板は、無機充填材が充填された絶縁樹脂層を含み、
前記透明部材は、前記無機充填材と熱膨張係数が同等である請求項1または2に記載の素子搭載用基板。
【請求項4】
前記透明部材はガラス材からなり前記無機充填材はガラスクロスからなる請求項3に記載の素子搭載用基板。
【請求項5】
半導体素子を搭載した他の素子搭載用基板と、
前記他の素子搭載用基板の上方に設けられた請求項1乃至4のいずれか1項に記載の素子搭載用基板と、
前記半導体素子の周囲に設けられ、前記他の素子搭載用基板に設けられている配線層と請求項1乃至4のいずれか1項に記載の素子搭載用基板に設けられている配線層とを電気的に接続する電気接続部材と、を備えることを特徴とする半導体モジュール。
【請求項6】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の素子搭載用基板と、
前記素子搭載用基板の他方の主表面に実装されている半導体素子と、
を備えることを特徴とする半導体モジュール。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2013−51222(P2013−51222A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−298260(P2009−298260)
【出願日】平成21年12月28日(2009.12.28)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】