説明

紡績機

【課題】紡績機の稼働効率を向上させる。
【解決手段】精紡機1は、複数の紡績ユニット2と、糸継台車3と、ユニットフレーム6と、を備えている。紡績ユニット2は、繊維束8に撚りを与えて紡績糸10を生成する紡績部9、及び紡績部9で生成された紡績糸10を巻き取って、パッケージ45を形成する巻取部13をそれぞれ有し、第1方向に沿って配列されている。糸継台車3は、第1方向に沿って走行可能に配置され、紡績部9と巻取部13とにより形成される糸道LPに面する正面41aと、正面41aと反対側に設けられた背面41bとを有する。ユニットフレーム6は、紡績ユニット2を支持する支持部20aと、糸継台車3の走行空間20cと、糸継台車3の背面41bに通じる開口部20bと、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紡績機、特に、繊維束に撚りを与えて紡績糸を生成し、生成された紡績糸を巻き取ってパッケージを形成する精紡機等の紡績機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の紡績機は、複数の紡績ユニットと、複数の紡績ユニットをそれぞれ一括して支持する複数のユニットフレームと、複数の紡績ユニット間を移動可能な糸継作業用の作業台車と、を有している(例えば、特許文献1参照)。複数の紡績ユニットは、繊維束に撚りを与えて紡績糸を生成し、生成された紡績糸を巻き取ってパッケージを生成する。複数の紡績ユニットは第1方向に並べて配置されている。ユニットフレームには、紡績部で発生する糸屑、作業台車で発生する糸屑、及び糸継作業時に発生する糸屑を吸引して搬送する複数の吸引ダクトが配置されている。吸引ダクトは、複数のユニットフレームの第1方向に沿って配置されている。作業台車用の吸引ダクトは、作業台車の後方となる位置に配置されている。また、紡績機には、糸継作業用の作業台車以外にも、玉揚台車等の他の作業台車が設けられる場合がある。
従来の紡績機では、作業台車をメンテナンスする場合、通常は作業台車の背面から作業を行っている。作業台車の背面には吸引ダクトが配置されているので、メンテナンスを行う場合、従来は、紡績機の側方から作業台車を外している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−77577号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の紡績機では、作業台車のメンテナンスの際は、紡績機の側方から作業台車を取り出している。この場合、複数の作業台車がユニットフレーム上に配置されているとき、メンテナンス対象ではない作業台車を取り出す必要が生じる場合がある。このような場合、紡績機の運転中にメンテナンスを行うことが不可能になり、紡績機の稼働効率を著しく低下させることになる。
本発明の課題は、紡績機の稼働効率を向上させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以下に、課題を解決するための手段として複数の態様を説明する。これら態様は、必要に応じて任意に組み合せることができる。
【0006】
本発明の一見地に係る紡績機は、複数の紡績ユニットと、少なくとも一つの作業台車と、少なくとも一つのユニットフレームと、を備えている。複数の紡績ユニットは、繊維束に撚りを与えて紡績糸を生成する紡績部、及び紡績部で生成された紡績糸を巻き取り、パッケージを形成する巻取部をそれぞれ有し、第1方向に沿って配列されている。少なくとも一つの作業台車は、第1方向に沿って走行可能に配置され、紡績部と巻取部とにより形成される糸道に面する第1面と、第1面と反対側に設けられた第2面とを有する。少なくとも一つのユニットフレームは、紡績ユニットを支持する支持部と、作業台車の走行空間と、作業台車の第2面に通じる開口部と、を有する。
この紡績機では、作業台車をメンテナンスするときは、作業台車を開口部と対向する位置に移動させる。作業台車を開口部に移動させると、開口部が第2面に通じているので、作業者は、第2面、つまり作業台車の背面にあるメンテナンス対象物を取り扱うことができる。このため、紡績機の稼働中に作業台車だけをメンテナンス可能になり、紡績機の稼働効率を向上させることができる。
【0007】
作業台車は、第1面と第2面とを上部及び下部のいずれかでつなぐ第3面を有し、開口部は、作業台車の第3面より大きくてもよい。
これにより、作業台車を倒せば、作業台車を開口部から取り出すことができ、取出後に紡績機を稼働させることができる。このため、一つの作業台車のメンテナンスのために紡績機全体を停止させる時間が短くなり、紡績機の稼働効率をさらに向上できる。
しかも、作業台車が糸継台車の場合は、第1面側には、紡績部から巻取部に向かう紡績糸が走行する糸道があるので、第1面側から取り外すと、紡績部と巻取部の作業を行えなくなる。しかし、上記紡績機では、第2面側から作業台車を取り出すので、取出作業時に紡績部及び巻取部を使用可能である。
【0008】
開口部は、作業台車の第2面より大きくてもよい。
これにより作業台車を倒すことなく直立の姿勢でも開口部から取り出すことができ、取出後に紡績機を稼働させることができる。このため、一つの作業台車のメンテナンスのために紡績機全体を停止させる時間がさらに短くなり、紡績機の稼働効率をさらに向上できる。
しかも、作業台車が糸継台車の場合は、第1面側には、紡績部から巻取部に向かう紡績糸が走行する糸道があるので、第1面側から取り外すと、紡績部と巻取部の作業を行えなくなる。しかし、上記紡績機では、第2面側から作業台車を取り出すので、取出作業時に紡績部及び巻取部を使用可能である。
【0009】
上記紡績機は、作業台車に対して吸引空気流を供給する吸引ダクトをさらに備えていてもよい。吸引ダクトは、第1方向に沿って配置されている。吸引ダクトは、作業台車に対して上方及び下方のいずれかに配置されていてもよい。
これにより、吸引ダクトを作業台車の走行方向に沿って配置しても、開口部を形成可能になる。このため、開口部を容易に実現できる。
【0010】
上記紡績機は、作業台車に対して吸引空気流を供給する吸引ダクトをさらに備えていてもよい。吸引ダクトは、第1方向に沿って配置されている。吸引ダクトは、開口を形成可能に移動自在に設けられてもよい。
これにより、ユニットフレームに対して吸引ダクトを移動させることにより開口部を容易に実現できる。このため、従来の吸引ダクトの位置を作業台車の後方に配置しても、開口部を容易に実現できる。
【0011】
上記紡績機は、作業台車に対して吸引空気流を供給する吸引ダクトをさらに備えている。吸引ダクトは、第1方向に沿って配置されている。吸引ダクトは、開口部を形成可能にユニットフレームに着脱自在に設けられていてもよい。
これにより、吸引ダクトを取り外すだけで開口部を容易に実現できる。このため、従来の吸引ダクトの位置を、作業台車の後方に配置しても、開口部を容易に実現できる。
【0012】
上記紡績機は、複数の作業台車を有していてもよい。これにより、メンテナンスが必要な作業台車だけを開口部に配置することで、その作業台車に対するメンテナンスを行える。
また、作業台車の取出作業を行っても、紡績ユニット及びその他の作業台車を使用することができる。このため、複数台の作業台車を設けても、メンテナンスを迅速に行え、かつ稼働効率を向上できる。
【0013】
ユニットフレームは、開口部の周囲に配置された補強用の梁部材を有してもよい。これにより、開口部を形成することにより強度が低下しやすいユニットフレームを補強できる。
【0014】
作業台車は、紡績糸の切断時に、紡績部から送り出される紡績糸の糸端と、巻取部で巻き取られる紡績糸の糸端とを継ぐ糸継部を有してもよい。これにより、糸継部を有する作業台車に介して容易にメンテナンス作業を行える。また、作業台車が糸継台車である。糸継台車の第1面側には、紡績部から巻取部に向かう紡績糸が走行する糸道があるので、第1面側から取り外すと、紡績部と巻取部の作業を行えなくなる。しかし、上記紡績機では、第2面側から作業台車を取り出すので、取出作業時に紡績部及び巻取部を使用可能である。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、作業台車を開口部に移動させると、開口部が第2面に通じているので、作業者は、第2面、つまり作業台車の背面にあるメンテナンス対象物を取り扱うことができる。このため、紡績機の稼働中に作業台車だけをメンテナンス可能になり、紡績機の稼働効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施形態による紡績機の全体構成を示す正面図。
【図2】紡績機の断面図。
【図3】紡績機の正面斜視図。
【図4】紡績機の背面斜視図。
【図5】第1変形例の紡績機の吸引ダクトが閉じた状態の背面斜視図。
【図6】第1変形例の紡績機の吸引ダクトが開いた状態の背面斜視図。
【図7】第2変形例の紡績機の吸引ダクトを示す背面斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
次に、本発明の一実施形態に係る精紡機(紡績機)について、図面を参照して説明する。なお、本明細書において「上流」及び「下流」とは、紡績時での糸の走行方向における上流及び下流を意味するものとする。
【0018】
(1)全体構成
図1に示す紡績機としての精紡機1は、並設された多数の錘である複数の紡績ユニット2を備えている。また、精紡機1は、糸継台車3と、玉揚台車4と、ブロアボックス80と、原動機ボックス5と、ユニットフレーム6と、棒状部材16と、を備えている。さらに、図2に示すように、精紡機1は、第1吸引ダクト17と、第2吸引ダクト18と、第3吸引ダクト19と、を備えている。
【0019】
複数の紡績ユニット2は、ユニットフレーム6に図1左右方向である第1方向に並べて配置されている。各紡績ユニット2は、それぞれ所定長の紡績糸10が巻き付けられたパッケージ45を形成する。1台のユニットフレーム6は、例えば8錘の紡績ユニット2を装着可能である。なお、1台のユニットフレーム6に装着される紡績ユニット2の錘数は、特に限定されない。また、1つの精紡機1には、1つ又は複数のユニットフレーム6が設けられる。
【0020】
(2)紡績ユニット
図1に示すように、各紡績ユニット2は、上流から下流へ向かって順に、ドラフト部7と、紡績部9と、糸弛み取り部12と、巻取部13と、を主要な構成として備えている。ドラフト部7は、精紡機1のユニットフレーム6の上端近傍に設けられている。ドラフト部7は、スライバ15を延伸して繊維束8とする。紡績部9は、ドラフト部7から送られてくる繊維束8に旋回気流を利用して撚りを与えて空気紡績する。紡績部9から送出された紡績糸10は、ヤーンクリアラ52を通過した後、糸弛み取り部12に送られて巻取部13によって巻き取られ、これによりパッケージ45が形成される。これにより、各紡績ユニット2の紡績部9から巻取部13にかけて、糸道LP(図2)が上下方向に形成される。なお、ヤーンクリアラ52は、紡績糸10の太さ異常及び/又は紡績糸10に含まれる異物の有無を検出する。
【0021】
糸弛み取り部12は、紡績糸10に所定の張力を付与して紡績部9から引き出す機能と、糸継台車3による糸継時に紡績部9から送出される紡績糸10を滞留させて紡績糸10の弛みを取る機能と、を有している。また、糸弛み取り部12は、巻取部13側の張力の変動が紡績部9側に伝達されないようにするバッファ機能を有している。
【0022】
巻取部13は、図2に示すように支持軸70回りに揺動自在に支持されたクレードルアーム71と、巻取ドラム72と、を有している。クレードルアーム71は、紡績糸10を巻回するためにボビン48を回転可能に支持する。巻取ドラム72は、ユニットフレーム6の前面に設けられ、ボビン48又はパッケージ45を、その外周面に接触して所定の巻取速度で回転駆動する。
【0023】
(3)糸継台車
糸継台車3は、ユニットフレーム6に設けられた第1走行レール81上を第1方向に沿って走行可能である。糸継台車3は、糸切断時に、糸継が必要な紡績ユニット2の位置まで走行し、紡績部9側の上糸と巻取部13側の下糸とを糸継できるように構成されている。糸継台車3は、図1では1台しか描かれていないが、精紡機1全体では、複数台設けられている。各糸継台車3は、図1及び図2に示すように、台車部41と、台車部41に装着された糸継装置43(糸継部の一例)、サクションパイプ44、サクションマウス46、及び吸引空気供給パイプ47(図2)と、を有している。
【0024】
台車部41は、糸道LPに面する正面41aと、正面41aと反対側に設けられた背面41bと、正面41aと背面41bとを上下でつなぐ上面41c及び下面41dと、を有している。正面41a及び背面41bの奥行き方向(図2左右方向)の投影面積は同じである。また、上面41cと下面41dの上下方向の投影面積も同じである。
【0025】
台車部41は、走行方向に間隔を隔てて配置された二つの走行輪41eを第1方向の両端に有している。台車部41の上部及び下部には、1対のガイドローラ41fがそれぞれ設けられている。上部のガイドローラ41fは、案内レール41gにより案内される。
糸継装置43は上糸と下糸の糸継を行う。サクションパイプ44は、水平軸回りに回動して紡績部9にある上糸端を捕捉する。サクションマウス46は、上下方向に移動して巻取部13にある下糸端を捕捉する。
【0026】
吸引空気供給パイプ47は、第1吸引ダクト17の後述する副吸引ダクト17bの各紡績ユニット2に対応する位置に設けられたシャッタ95を開閉する。これにより、副吸引ダクト17bから糸継装置43、サクションパイプ44及びサクションマウス46にそれぞれ吸引用の空気が供給される。
【0027】
(4)玉揚台車
玉揚台車4は、図1、図2及び図3に示すように、紡績ユニット2の正面側に第1方向に沿って走行可能に配置されている。玉揚台車4は、紡績ユニット2でパッケージ45が満巻になると、第2走行レール82上を当該紡績ユニット2まで走行し、そこで停止する。玉揚台車4は、図1及び図2に示すように、台車ケーシング85を有している。台車ケーシング85には、サクションパイプ88と、空ボビン供給部材89と、クレードル操作アーム90と、が設けられている。
【0028】
台車ケーシング85は、第1方向の両端に配置された二つの走行輪85aを有している。走行輪85aは、台車ケーシング85の下面の紡績ユニット2から離反する側に配置されている。したがって、玉揚台車4は、紡績ユニット2に離反する側で第2走行レール82に案内される。台車ケーシング85の高さは、紡績ユニット2の高さより低い。具体的には、台車ケーシング85の高さは、紡績ユニット2の糸弛み取り部12の位置より僅かに低い。
【0029】
台車ケーシング85は、ユニットフレーム6に設けられた後述するパッケージ載置部21を上方から覆うように形成されている。したがって、本実施形態では、玉揚台車4が精紡機1の最も外側に配置されている。台車ケーシング85は、棒状部材16が通過可能な断面視C字状に凹んだ通過凹部85bを有している。通過凹部85bは、紡績ユニット2に対向する面に形成され、棒状部材16に加えて棒状部材16を支持する支持部材96も通過可能な大きさを有している。通過凹部85bには、図2のA部に拡大して示すように、棒状部材16により案内される転倒防止用のガイドローラ85cが設けられている。ガイドローラ85cは、棒状部材16を左右から挟んで2個配置されている。
【0030】
サクションパイプ88は、台車ケーシング85に伸縮可能かつ揺動可能に設けられている。サクションパイプ88は、紡績部9に進出して紡績部9から送出される紡績糸10の上糸端を吸い込みながら捕捉する。そして、退入しながら揺動して捕捉した紡績糸10を巻取部13に装着されるボビン48に案内する。サクションパイプ88の案内動作の範囲GLは、図2に二点鎖線で示した範囲である。空ボビン供給部材89は、空のボビン48を巻取部13に供給するために台車ケーシング85に回動自在に設けられている。クレードル操作アーム90は、台車ケーシング85に揺動自在に装着され、巻取部13のクレードルアーム71を揺動させてパッケージ45を取り外すことができる。
【0031】
(5)ブロアボックス
ブロアボックス80には、第1吸引ダクト17、第2吸引ダクト18、及び第3吸引ダクト19が接続されている。ブロアボックス80には、これらの第1吸引ダクト17、第2吸引ダクト、及び第3吸引ダクト19に吸引する空気の流れを発生するための図示しないブロアが搭載されている。
【0032】
(6)ユニットフレーム
ユニットフレーム6は、例えば8個の紡績ユニット2を装着する枠形状の部材である。ユニットフレーム6は、紡績ユニット2を装着するメインフレーム20と、メインフレーム20の正面側に配置されたパッケージ載置部21と、ステップ22と、つま先収納部23と、を有している。
【0033】
(6−1)メインフレーム
メインフレーム20は、鋼材を組んで構成された部材である。メインフレーム20の正面上部には、図2及び図3に示すように、紡績ユニット2のドラフト部7と紡績部9とを支持するための傾斜した支持部20aが形成されている。支持部20aの傾斜角度αは、たとえば50度以上70度以下の角度の範囲である。これにより、ドラフト部7及び紡績部9は、従来の精紡機よりも起立して配置される。この結果、作業通路からドラフト部7及び紡績部9までの距離が短くなり、ドラフト部7及び紡績部9をメンテナンスしやすくなる。
【0034】
メインフレーム20の正面中央部には、糸継台車3が走行する走行空間20cが凹んで形成されている。走行空間20cの下部に糸継台車3用の第1走行レール81が第1方向に沿って装着されている。
【0035】
メインフレーム20の背面は、図4に二点鎖線で示すように、開口部20bが形成されている。開口部20bは、糸継台車3の背面41bに通じて形成され、糸継台車3をメインフレーム20の背面側から取出可能な大きさである。具体的には、開口部20bは、糸継台車の台車部41の背面41bより大きい。より詳細には、開口部20bは、正面41a及び背面41bの奥行き方向の投影面積より大きい。また、開口部20bは、糸継台車3の上面41c又は下面41dより大きい。
【0036】
開口部20bの第1方向の両側には、補強用の一対のリブ部材20dと梁部材20eとが設けられている。リブ部材20dは、メインフレーム20の上部から下部を連結しており、第1方向の端部からの長さが上部より下部のほうが長くなっている。梁部材20eは、例えば鋼板製であり、メインフレーム20の上部から下部の第1方向の端部に向けて斜めに配置されている。この一対のリブ部材20dと梁部材20eとの間に開口部20bが形成されている。リブ部材20d及び梁部材20eは、開口部20bを設けたことによるメインフレーム20の強度の低下を防止するために設けられている。
【0037】
メインフレーム20の背面の開口部20bの側方には、ユニット電源ボックス31が配置されている。また、開口部20bの上方には、ユニット電源ダクト32が配置されている。これらは、従来は糸継台車3の後方に配置されている。
【0038】
メインフレーム20の背面下部には、作業者の踏み台として使用される背面ステップ20fが形成されている。背面ステップ20fは、作業者が背面側から作業する際に使用される。背面ステップ20fは、正面側のステップ22より高さが僅かに高く設定されている。
【0039】
(6−2)パッケージ載置部
パッケージ載置部21は、図2及び図3に示すように、巻取部13で満巻になったパッケージ45が載置される場所である。パッケージ載置部21は、頭部が切断された円錐台形状のパッケージ45を転がらずに載置することを目的として、断面視多角形状に凹んで形成されている。パッケージ載置部21は、図1に示すように、精紡機1の全長にわたり第1方向に沿って配置されている。パッケージ載置部21は、図2のB部に拡大して示すように、例えばベルトコンベアの形態のパッケージ搬送部25を有している。パッケージ搬送部25は、載置されたパッケージ45を第1方向の一端側(例えばブロアボックス80側)又は他端側に搬送する。
【0040】
パッケージ載置部21の長手方向側面のうち、複数の紡績ユニット2が配列されている第1側と逆側の第2側の側面21aには、図2のB部に拡大して示すように、パッケージ45から離反する方向に折り曲げられたパッケージ保護部27が装着されている。このようなパッケージ保護部27を設けることにより、パッケージ載置部21に接近したステップ22に作業者が乗っても、作業者によりパッケージ45が汚染されにくくなる。また、パッケージ45がパッケージ載置部21に載置されるとき、及びパッケージ搬送部25でパッケージ45が搬送されるとき、パッケージ45が保護される。
【0041】
パッケージ載置部21と巻取部13との間には、玉揚台車4で玉揚する際に使用されるパッケージ案内部28が設けられている。パッケージ案内部28は、紡績糸10が巻き取られたパッケージ45をパッケージ載置部21に案内する。パッケージ案内部28は、巻取部13からパッケージ載置部21に向かって先下がりの傾斜面28aを有している。
【0042】
(6−3)ステップ
ステップ22は、パッケージ載置部21の第2側の側面(図2左側面)に配置されている。ステップ22は、作業者が紡績ユニット2のメンテナンスのために使用する踏み台として使用される。ステップ22は、平坦面で構成されている。ステップ22の上面には、玉揚台車4が走行する第2走行レール82が配置されている。第2走行レール82は、僅かな厚みの金属製の板状の部材である。ステップ22の内部には、玉揚台車4に電力の供給、各種の信号の通信及び圧縮空気の供給を行うための配線及び空圧配管ホースを通すためのケーブルベア26が配置されている。ステップ22の紡績ユニット2から離反する外側は作業通路となっている。
【0043】
(6−4)つま先収納部
つま先収納部23は、図2のB部に拡大して示すように、作業者の靴のつま先部分を収納可能な空間を有している。つま先収納部23は、パッケージ載置部21の下方に上下方向で重なり合うように形成されている。つま先収納部23の空間は、パッケージ載置部21の第2側の側面に第1側に向けて突出して形成されている。このようなつま先収納部23を設けることにより、ステップ22に乗った作業者が紡績ユニット2にさらに接近することができる。これにより、作業者がメンテナンス等の作業を行うとき、作業性を向上させることができる。
【0044】
(7)棒状部材
棒状部材16は、手すりとしての機能と、玉揚台車4の案内部としての機能を有している。棒状部材16は、例えば、ステンレス鋼製のパイプ部材であり,紡績ユニット2から離反した位置に配置されている。これにより、例えば、紡績ユニット2に対してメンテナンス等の作業を行う際に、作業者が棒状部材16に手を置く、又は体を預けて作業を行うことができる。このため、紡績ユニット2に面して作業を行っても作業者が姿勢を安定して作業できるようになる。
棒状部材16の外周面には、図2のA部に示すように、玉揚台車4のガイドローラ85cが左右の両側から接触している。棒状部材16は、図1に示すように、第1方向に沿って配置されている。棒状部材16は、図2に示すように、玉揚台車4のサクションパイプ88の案内動作の範囲GLより紡績ユニット2から離反する側に配置されている。また、棒状部材16は、糸道LPとステップ22の間に配置されている。
このようにして、玉揚台車4の案内を第2走行レール82と棒状部材16により行える。ここで、棒状部材16で玉揚台車4の上部を案内し、第2走行レール82で玉揚台車4の上部を案内することにより、玉揚台車4の紡績ユニット2に対する位置精度が高くなる。このため、玉揚台車4が玉揚位置から精度良く玉揚作業を行うことができる。
【0045】
棒状部材16は、第1方向に間隔を隔てて配置された複数の支持部材96により支持されている。支持部材96は、棒状部材16の下面を固定している。したがって、棒状部材16の上面及び左右面には支持部材96は配置されない。これにより、ガイドローラ85cの配置が可能になる。
【0046】
支持部材96は、例えば4個の紡績ユニット2毎に配置されている。支持部材96は、メインフレーム20の正面に固定されている。支持部材96は肉厚の板状部材であり、内部に第2吸引ダクト18に連通する吸引通路(図示せず)を有している。吸引通路の先端には吸引部としての吸引キャップ96aが、例えば開位置と閉位置とに回動自在に装着されている。この吸引キャップ96aを開位置に回動させると、吸引通路を開放でき、糸屑等を吸引できる。これにより、作業者がメンテナンス作業等で集めた糸屑等の廃棄物を廃棄することができる。
【0047】
また、図1、図2及び図3に示すように、棒状部材16の下方には、棒状部材16に沿って、停止操作部29が配置されている。支持部材96の先端下部には、停止操作部29が通過可能な貫通孔96bが形成されている。停止操作部29は、一端に非常停止ボタン30が連結されたロープ状の部材である。支持部材96から離反する方向に停止操作部29を引っ張ると、非常停止ボタン30が押圧操作された場合と同様に非常停止動作するように、停止操作部29は構成されている。これにより、作業者は精紡機1の正面であればどのような位置にいても非常停止操作を迅速に行える。しかも、停止操作部29は、棒状部材16の下方に配置されるので、作業者が誤って停止操作部29を操作しにくい。
【0048】
(8)吸引ダクト
図2、図3及び図4に示すように、第1吸引ダクト17は、糸継台車3が糸継作業を行うときに発生する糸屑を回収してブロアボックス80に搬送する。第2吸引ダクト18は、糸継作業の前後で発生する糸屑を回収してブロアボックス80に搬送する。第3吸引ダクト19は、ドラフト部7のドラフト中に発生するダスト及び浮遊繊維と、紡績部9による紡績中に発生するダスト及び糸屑等と、を回収してブロアボックス80に搬送する。
【0049】
従来の第1吸引ダクト及び第2吸引ダクトは、糸継台車の後方に位置しているので、糸継台車3の背面に対して作業することができない。そこで、本実施形態では、上下位置において、第1吸引ダクト17は、糸継台車3の下方に配置されるようにメインフレーム20内に配置されている。また、第2吸引ダクト18は、糸継台車3の上方に配置されるようにメインフレーム20内に配置されている。第3吸引ダクト19は、ドラフト部7及び紡績部9の後方に配置されるようにメインフレーム20内に配置されている。
【0050】
ここで、第2吸引ダクト18と第3吸引ダクト19は、精紡機1の各メインフレーム20に連続して設けられている。一方、第1吸引ダクト17は、メインフレーム20に連続して設けられる主吸引ダクト17aと、副吸引ダクト17bと、連結ダクト17cとにより構成されている。副吸引ダクト17bは、各メインフレーム20に両端が閉塞して設けられている。連結ダクト17cは、主吸引ダクト17aと副吸引ダクト17bとを連結する。主吸引ダクト17aは、糸継台車3の下方に配置され、複数の紡績ユニット2を1組として複数組の紡績ユニット2の第1方向に沿って配置される。副吸引ダクト17bは、第2吸引ダクト18の下方に設けられており、つまり糸継台車3の上方に設けられている。副吸引ダクト17bには、下面に紡績ユニット2に対応する位置に糸継台車3の走行に応じて開閉するシャッタ95が設けられている。
【0051】
第2吸引ダクト18及び主吸引ダクト17aは、断面が円形である。第2吸引ダクト18及び主吸引ダクト17aは、メインフレーム20に固定されているが、メインフレーム20に直接連結されていない。したがって、第2吸引ダクト18及び主吸引ダクト17aは、メインフレーム20の構造部材としては機能しない。
第3吸引ダクト19は、矩形の断面の一つの角部を切り欠いた形状の変形五角形状断面を有している。第3吸引ダクト19は、メインフレーム20に連結されており、メインフレーム20の構成部材として機能する。したがって、第3吸引ダクト19は、メインフレーム20の強度を高めるためにも用いられている。
【0052】
(9)メンテナンス作業
このように構成された精紡機1では、糸継台車3のメンテナンス作業を行う場合には、糸継台車3を最寄りのユニットフレーム6のメインフレーム20の開口部20bに面した位置に停止させる。この状態で、糸継台車3は、そのまま開口部20bを通って取り出し可能である。このとき、糸継台車3は、メインフレーム20の背面側から取り出されるので、紡績ユニット2の紡績動作を妨げることがない。このため、取出作業が終わればメンテナンス作業中も紡績動作を継続して行える。
また、紡績ユニット2のメンテナンス作業を行う場合、作業者は、ステップ22に乗る。ステップ22に作業者が乗るときに、靴のつま先をつま先収納部23に配置することができる。つま先収納部23は、パッケージ載置部21の下方に位置しているので、作業者は可及的に紡績ユニット2に接近できる。このため、作業者の作業効率を高めることができる。しかも、紡績ユニット2の正面に面して棒状部材16が第1方向に沿って配置されている。このため、作業者は、棒状部材16に手をつく又は棒状部材16に体を預けてメンテナンス作業を行うことができる。このため、作業者の作業効率をさらに高めることができる。
【0053】
(10)第1変形例
上記実施形態では、第1吸引ダクト17を精紡機1の全長にわたり形成された主吸引ダクト17aと各ユニットフレーム6に設けられた副吸引ダクト17bとに分割している。そして、主吸引ダクト17a及び副吸引ダクトを糸継台車3の下方及び上方に配置し、メインフレーム20に開口部20bを設けている。
なお、以降の説明では上記実施形態と異なる構成のみを説明する。
【0054】
第1変形例では、図5及び図6に示すように、第1吸引ダクト117は、糸継台車3の下方に配置された主吸引ダクト117aと、糸継台車3の後方に配置された左右一対の副吸引ダクト117bと、を有している。主吸引ダクト117aは、上記実施形態より正面側に位置している。したがって、主吸引ダクト117aは、糸継台車3の直下に配置される。一対の副吸引ダクト117bは、両外方で垂直軸回りに揺動自在にメインフレーム20に支持されている。一対の副吸引ダクト117bは、例えば、それぞれ4つの紡績ユニット2に対応する第1方向の長さを有し、両端がそれぞれ閉塞されている。これにより、副吸引ダクト117bは、図5に示す閉姿勢と図6に示す開姿勢とに垂直軸回りに開閉する。副吸引ダクト117bが図6に示す開姿勢になると、糸継台車3の後方に開口部20bが形成される。メインフレーム20には副吸引ダクト117bを揺動支持用の一対の揺動軸117dが設けられている。連結ダクト117cは一対の副吸引ダクト117bを主吸引ダクト117aに連通するために一対設けられている。連結ダクト117cは、可撓ダクトホースを用いており、一端が主吸引ダクト117aに連通し、他端が副吸引ダクト117bに連通している。
【0055】
なお、第1変形例において、副吸引ダクト117bの開閉方向は垂直軸回りの開閉に限定されない。副吸引ダクトは、メインフレーム20に開口部20bを形成可能に移動できればその移動形態は第1変形例に限定されない。例えば、副吸引ダクトは、水平軸回りの開閉動作を行うようにしてもよい。また、副吸引ダクトを上下方向にスライドするように配置してもよい。
【0056】
(11)第2変形例
第1変形例では、副吸引ダクト117bを開閉させたが、第2変形例では、図7に示すように、副吸引ダクト217bをネジ部材217eにより着脱可能にメインフレーム20に固定している。副吸引ダクト217bは、可撓ダクトホースを用いた連結ダクト117cにより主吸引ダクト117aと連通している。副吸引ダクト217bは、8つの紡績ユニット2に対応する第1方向の長さを有し、両端が閉塞されている。その他の構成は、上記実施形態と同様である。精紡機1では、副吸引ダクト217bを取り外すことにより、糸継台車3の後方に開口部20bを形成できる。
【0057】
(12)特徴
上記実施形態は、下記のように表現可能である。
(A)紡績機の一例である精紡機1は、複数の紡績ユニット2と、少なくとも一つの糸継台車3(作業台車の一例)と、少なくとも一つのユニットフレーム6と、を備えている。複数の紡績ユニット2は、繊維束8に撚りを与えて紡績糸10を生成する紡績部9、及び紡績部9で生成された紡績糸10を巻き取り、パッケージ45を形成する巻取部13をそれぞれ有し、第1方向に沿って配列されている。少なくとも一つの糸継台車3は、第1方向に沿って走行可能に配置され、紡績部9と巻取部13とにより形成される糸道LPに面する正面41a(第1面の一例)と、正面41aと反対側に設けられた背面41b(第2面の一例)とを有する。少なくとも一つのユニットフレーム6は、紡績ユニット2を支持する支持部20aと、糸継台車3の走行空間20cと、糸継台車3の背面41bに通じる開口部20bと、を有する。
この精紡機1では、糸継台車3をメンテナンスするときは、糸継台車3を開口部20bと対向する位置に移動させる。糸継台車3を開口部20bに移動させると、開口部20bが背面41bに通じているので、作業者は、背面41b、つまり糸継台車3の背面にあるメンテナンス対象物を取り扱うことができる。このため、精紡機1の稼働中に糸継台車3だけをメンテナンス可能になり、精紡機1の稼働効率を向上させることができる。
【0058】
(B)糸継台車3は、正面41aと背面41bとを上部及び下部のいずれかでつなぐ上面41c(第3面の一例)又は下面41d(第3面の一例)を有し、開口部20bは、糸継台車3の上面41c又は下面41dより大きい。
これにより、糸継台車3を倒せば、糸継台車3を開口部20bから取り出すことができ、取出後に精紡機1を稼働させることができる。このため、一つの糸継台車3のメンテナンスのために精紡機1全体を停止させる時間が短くなり、精紡機1の稼働効率をさらに向上できる。
しかも、作業台車が糸継台車3の場合は、正面41a側には、紡績部9から巻取部13に向かう紡績糸10が走行する糸道LPがあるので、正面41a側から取り外すと、紡績部9と巻取部13の作業を行えなくなる。しかし、精紡機1では、背面41b側から糸継台車3を取り出すので、取出作業時に紡績部9及び巻取部13を使用可能である。
【0059】
(C)開口部20bは、糸継台車3の第2面より大きい。
これにより、糸継台車3を倒すことなく直立の姿勢でも開口部から取り出すことができ、取出後に精紡機1を稼働させることができる。このため、一つの糸継台車3のメンテナンスのために精紡機1全体を停止させる時間がさらに短くなり、精紡機1の稼働効率をさらに向上できる。
しかも、作業台車が糸継台車3の場合は、正面41a側には、紡績部9から巻取部13に向かう紡績糸10が走行する糸道LPがあるので、正面41a側から取り外すと、紡績部9と巻取部13の作業を行えなくなる。しかし、本実施形態では、背面41b側から糸継台車3を取り出すので、取出作業時に紡績部9及び巻取部13を使用可能である。
【0060】
(D)精紡機1は、糸継台車3に対して吸引空気流を供給する第1吸引ダクト17をさらに備えている。第1吸引ダクト17は、第1方向に沿って配置されている。第1吸引ダクト17は、糸継台車3に対して上方及び下方のいずれかに配置されている。
これにより、第1吸引ダクト17を糸継台車3の走行方向に沿って配置しても、開口部20bを形成可能になる。このため、開口部20bを容易に実現できる。
【0061】
(E)精紡機1は、糸継台車3に対して吸引空気流を供給する副吸引ダクト117bをさらに備えている。副吸引ダクト117bは、第1方向に沿って配置されている。副吸引ダクト117bは、開口部20bを形成可能にメインフレーム20に移動可能に設けられている。
これにより、メインフレーム20に対して接離する方向に副吸引ダクト117bを移動させることにより開口部20bを容易に実現できる。このため、副吸引ダクト117bの位置を糸継台車3の後方に配置しても、開口部20bを容易に実現できる。
【0062】
(F)精紡機1は、糸継台車3に対して吸引空気流を供給する副吸引ダクト217bをさらに備えている。副吸引ダクト217bは、第1方向に沿って配置されている。副吸引ダクト217bは、開口部20bを形成可能にメインフレーム20に着脱自在に設けられている。
これにより、副吸引ダクト217bを取り外すだけで開口部20bを容易に実現できる。このため、副吸引ダクト217bの位置を、糸継台車3の後方に配置しても、開口部20bを容易に実現できる。
【0063】
(G)精紡機1は、複数の糸継台車3を有している。これにより、メンテナンスが必要な糸継台車3だけを開口部20bに配置することで、その糸継台車3に対するメンテナンスを行える。
また、糸継台車3の取出作業を行っても、紡績ユニット2及びその他の糸継台車3を使用することができる。このため、複数台の糸継台車3を設けても、メンテナンスを迅速に行え、かつ稼働効率を向上できる。
【0064】
(H)ユニットフレーム6のメインフレーム20は、開口部20bの周囲に配置された補強用の梁部材20eを有している。これにより、開口部20bを形成することにより強度が低下しやすいメインフレーム20を補強できる。
【0065】
(I)糸継台車3は、紡績糸の切断時に、紡績部9から送り出される紡績糸10の糸端と、巻取部13で巻き取られる紡績糸の糸端とをつなぐ糸継装置43を有している。これにより、糸継装置43を有する糸継台車3に介して容易にメンテナンス作業を行える。また、作業台車が糸継台車3である。糸継台車3の正面41a側には、紡績部9から巻取部13に向かう紡績糸10が走行する糸道LPがあるので、正面41a側から取り外すと、紡績部9と巻取部13の作業を行えなくなる。しかし、上記実施形態では、背面41b側から糸継台車3を取り出すので、取出作業時に紡績部9及び巻取部13を使用可能である。
【0066】
(13)他の実施形態
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。特に、本明細書に書かれた複数の実施形態及び変形例は必要に応じて任意に組合せ可能である。
【0067】
(a)前記実施形態及び変形例では、作業台車として糸継台車を例示したが、作業台車は、糸継台車に限定されない。例えば玉揚台車でもよいし、さらにメンテナンス用の別の台車であってもよい。
【0068】
(b)前記実施形態及び変形例では、上方から下方に糸道が形成されているが、下方から上方に糸道が形成される紡績機にも本発明を適用できる。
【0069】
(c)前記実施形態及び変形例では、第2吸引ダクトが糸継台車の上方に配置され、第1吸引ダクトが糸継台車の下方に配置されていたが、逆でもよい。
【0070】
(d)前記実施形態及び変形例では、玉揚台車を設けているが、玉揚台車を設けなくてもよい。
【0071】
(e)前記実施形態及び変形例では、第3吸引ダクトがユニットフレーム6の構造部材を兼用しているが、第1吸引ダクト及び第2吸引ダクトの少なくともいずれかが構造部材を兼用してもよい。なお、ユニットフレーム6が所定の強度を保てる場合は、第1吸引ダクト及び第2吸引ダクトのいずれも構造部材を兼用しなくても良い。
【0072】
(f)前記実施形態及び変形例では、糸弛み取り部12により紡績糸10を紡績部9から引き出しているが、本発明はこれに限定されない。例えばデリベリローラとニップローラとにより紡績糸10をニップして紡績部から引き出す紡績機にも本発明を適用できる。
【産業上の利用可能性】
【0073】
本発明は、作業台車を有する紡績機に広く適用可能である。
【符号の説明】
【0074】
1 精紡機(紡績機の一例)
2 紡績ユニット
3 糸継台車(作業台車の一例)
4 玉揚台車
5 原動機ボックス
6 ユニットフレーム
7 ドラフト部
8 繊維束
9 紡績部
10 紡績糸
12 糸弛み取り部
13 巻取部
15 スライバ
16 棒状部材
17 第1吸引ダクト
17a 主吸引ダクト
17b 副吸引ダクト
17c 連結ダクト
18 第2吸引ダクト
19 第3吸引ダクト
20 メインフレーム
20a 支持部
20b 開口部
20c 走行空間
20d リブ部材
20e 梁部材
20f 背面ステップ
21 パッケージ載置部
21a 側面
22 ステップ
23 つま先収納部
25 パッケージ搬送部
26 ケーブルベア
27 パッケージ保護部
28 パッケージ案内部
28a 傾斜面
29 停止操作部
30 非常停止ボタン
31 ユニット電源ボックス
32 ユニット電源ダクト
41 台車部
41a 正面(第1面の一例)
41b 背面(第2面の一例)
41c 上面(第3面の一例)
41d 下面(第3面の一例)
41e 走行輪
41f ガイドローラ
41g 案内レール
43 糸継装置
44 サクションパイプ
45 パッケージ
46 サクションマウス
47 吸引空気パイプ
48 ボビン
52 ヤーンクリアラ
70 支持軸
71 クレードルアーム
72 巻取ドラム
80 ブロアボックス
81 第1走行レール
82 第2走行レール
85 台車ケーシング
85a 走行輪
85b 通過凹部
85c ガイドローラ
88 サクションパイプ
89 空ボビン供給部材
90 クレードル操作アーム
95 シャッタ
96 支持部材
96a 吸引キャップ
96b 貫通孔
117 第1吸引ダクト
117a 主吸引ダクト
117b 副吸引ダクト
117c 連結ダクト
117d 揺動軸
217b 副吸引ダクト
217e ネジ部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
繊維束に撚りを与えて紡績糸を生成する紡績部、及び前記紡績部で生成された前記紡績糸を巻き取り、パッケージを形成する巻取部をそれぞれ有し、第1方向に沿って配列された複数の紡績ユニットと、
前記第1方向に沿って走行可能に配置され、前記紡績部と前記巻取部とにより形成される糸道に面する第1面と、前記第1面と反対側に設けられた第2面とを有する少なくとも一つの作業台車と、
前記紡績ユニットを支持する支持部と、前記作業台車の走行空間と、前記作業台車の前記第2面に通じる開口部と、を有する少なくとも一つのユニットフレームと、
を備えた紡績機。
【請求項2】
前記作業台車は、前記第1面と前記第2面とを上部及び下部のいずれかでつなぐ第3面を有し、
前記開口部は、前記作業台車の前記第3面より大きい、請求項1に記載の紡績機。
【請求項3】
前記開口部は、前記作業台車の前記第2面より大きい、請求項1又は2に記載の紡績機。
【請求項4】
前記第1方向に沿って配置され、前記作業台車に対して吸引空気流を供給する吸引ダクトをさらに備え、
前記吸引ダクトは、前記作業台車に対して上方及び下方のいずれかに配置されている、請求項1〜3のいずれかに記載の紡績機。
【請求項5】
前記第1方向に沿って配置され、前記作業台車に対して吸引空気流を供給する吸引ダクトをさらに備え、
前記吸引ダクトは、前記開口部を形成可能に前記ユニットフレームに移動可能に設けられる、請求項1〜3のいずれかに記載の紡績機。
【請求項6】
前記第1方向に沿って配置され、前記作業台車に対して吸引空気流を供給する吸引ダクトをさらに備え、
前記吸引ダクトは、前記開口部を形成可能に前記ユニットフレームに着脱自在に設けられている、請求項1〜3のいずれかに記載の紡績機。
【請求項7】
前記作業台車は、複数設けられている、請求項1〜6のいずれかに記載の紡績機。
【請求項8】
前記ユニットフレームは、前記開口部の周囲に配置された補強用の梁部材を有する、請求項1〜7のいずれかに記載の紡績機。
【請求項9】
前記作業台車は、前記紡績糸の切断時に、前記紡績部から送り出される紡績糸の糸端と、前記巻取部で巻き取られる紡績糸の糸端とを継ぐ糸継部を有する、請求項1〜8のいずれかに記載の紡績機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−57271(P2012−57271A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−202655(P2010−202655)
【出願日】平成22年9月10日(2010.9.10)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ケーブルベア
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】