説明

索繰出し機および揚艇装置

【課題】ワイヤロープの繰り出しを確実にすると共に、シーブからの外れを防止する索繰出し機および揚艇装置を提供する。
【解決手段】索繰出し機1000は、下ハウジング100と上ハウジング200と上ハウジング支持手段300(スプリング130aを具備)と上ハウジング固定手段700と空圧モータ800とを有する。下ハウジング100には、空圧モータ800によって回転される下カリバーロール120と、回転自在な水平下ガイドロール160a、160bおよび鉛直ガイドロール140a、150a、140bが、上ハウジング200には、回転自在な一対の上カリバーロール220aと、水平上ガイドロール260a、260bが、それぞれ設置されている。空圧モータ800の回転軸にはラチェット機構が設けられ、下カリバーロール120は一方側への空回りを可能にしている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、船舶に搭載された救命艇や作業艇等の揚艇装置、および揚艇装置に設置された索繰出し機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
船舶に搭載された救命艇、作業艇等(以下「ボート」と総称する)の揚艇装置において、ボートを吊り上げる際、ボートが波(たとえば、上下の振幅が最大で1.7m、周期は不確定な複雑な波)よって持ち上げられることがある。このため、ボートが波の山に乗っている間はボートを吊り上げているワイヤロープは弛み、その後、波が落ちる(ボートが波の谷に位置する)と、ボートも落下して揚艇装置およびボートにショックを与えることになる。
そこで、かかるワイヤロープの弛みを防止するため、ワイヤロープを常に低張力で展開させて保持することにより、ボートを揚水する際のワイヤロープの踊り等を防止することができると共に、ボートが波の山や谷などの位置にある場合でもワイヤロープの巻取り、繰出しを行うことができ、さらにボートが波に合わせて落下するときのショックを吸収することのできるボートの揚艇装置が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2005−67788号公報(4−6頁、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記発明は、ボートを揚収するワイヤロープが巻かれたウインチを駆動する油圧モータの巻取り側と繰出し側に、その吐出圧が電磁弁付きリリーフ弁によってそれぞれ制御された作動油を供給する2台のポンプを有し、アンロード時において前記巻取り側に作動油を供給するポンプの吐出圧を、前記繰出し側に作動油を供給するポンプの吐出圧より高くして前記ワイヤロープに常時低張力を付与するようにしたもの、さらに、前記油圧モータの巻取り側と該巻取り側に作動油を供給するポンプとの間に、前記油圧モータの駆動時に開路するソレノイドバルブ、二方向ロジックバルブ及び高圧アキュムレータを接続し、前記油圧モータの繰出し側と該繰出し側に作動油を供給するポンプとの間に、前記油圧モータの駆動時に開路する二方向ロジックバルブ及び低圧アキュムレータを接続した緩衝装置を備えたものである。
このため、前記発明は、ボートの上下動に追従してワイヤロープの巻取り、繰出し作動を行いながらボートを揚収できるので、水切り時のショックを吸収することができ、水切り後に高圧アキュムレータに蓄圧した油量で一気に揚収できるため、ボートの底部が水に叩かれるのを防止することができるという顕著な効果を奏するものの、以下のような問題があった。
【0005】
(あ)ワイヤロープをボートに向けて繰り出す際、ワイヤロープの先端に設置されたフックの重量が軽量であったり、ワイヤロープを繰り出す経路が複雑で途中に多数のシーブが設置されていたりした場合、フックが自重では下降しないことがある。
(い)フックが自重では下降しないとき、ワイヤロープがシーブから外れることがある。
(う)ボートを吊り上げているワイヤロープが水平方向に振れた場合(特に、ボートが波の山に位置した状態において)、最先端のシーブからワイヤロープが外れることがある。
【0006】
本発明は上記に鑑みてなされたものであって、ワイヤロープの繰り出しを確実にすると共に、ワイヤロープのシーブからの外れを防止することができる、索繰出し機、および該索繰出し機が設置された揚艇装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本発明に係る索繰出し機は、互いに平行する回転軸を具備し、外周面に所定深さの円周方向溝が形成された一対の上カリバーロールと、
該上カリバーロールを回転自在に保持する上ハウジングと、
該上ハウジングが傾動自在に設置される下ハウジングと、
該下ハウジングに回転自在に設置され、外周面に所定深さの円周方向溝が形成された下カリバーロールと、
前記下ハウジングに設置され、前記下カリバーロールを回転駆動する空圧モータと、
前記上ハウジングが倒伏した状態で、前記上ハウジングを起立不能に固定する上ハウジング固定手段と、を有し
前記上ハウジングが倒伏した状態で、前記一対の上カリバーロールの円周方向溝と前記下カリバーロールの円周方向溝とが同一面内に位置することを特徴とする。
【0008】
(2)また、前記下ハウジングにスプリングが設置されると共に、該スプリングの先端にヒンジ手段が設置され、該ヒンジ手段によって前記上ハウジングが傾動自在に設置されることを特徴とする。
【0009】
(3)また、前記下カリバーロールの円周方向溝が位置する中心面を挟む対称位置に、該中心面に平行した回転軸を具備する一対の鉛直ガイドロールが、前記下ハウジングに回転自在に設置され、
前記中心面を貫通して、前記下カリバーロールの回転軸に平行した回転軸を具備する水平下ガイドロールが前記下ハウジングに回転自在に設置され、
前記上ハウジングが倒伏した状態で前記水平下ガイドロールとの間に所定の隙間を形成し、かつ、前記上カリバーロールの回転軸に平行した回転軸を具備する水平上ガイドロールが、前記上ハウジングに回転自在に設置されることを特徴とする。
【0010】
(4)また、前記上ハウジング固定手段が、前記上ハウジングに形成されたロックホールと、該ロックホールに侵入自在な前記下ハウジングに設置されたロックピンと、該ロックピンに設置されたロックアームと、前記下ハウジングに設置されて前記ロックピンを進退自在に支持するロックピンガイドと、前記ロックピンの前進位置および後退位置において前記ロックアームがそれぞれ係止するロックアーム前進ストッパおよびロックアーム後退ストッパとを、有し、
前記ロックピンの前進位置において、前記ロックピンが前記ロックホールに侵入し、前記ロックピンの後退位置において、前記ロックピンが前記ロックホールから離脱することを特徴とする。
【0011】
(5)また、前記下カリバーロールの内周面と前記空圧モータの回転軸の外周との間に、ラチェット機構が配置され、該ラチェット機構によって前記下カリバーロールが一方向のみに回転駆動されることを特徴とする。
【0012】
(6)さらに、本発明に係る揚艇装置は、索体と、
船舶の甲板上に設置され、前記索体を巻き上げるウインチと、
船舶の甲板上に設置され、前記索体を案内する複数のシーブが回転自在に設置されたフレームと、を有し、
前記複数のシーブのうち前記フレームの甲板寄りに設置されたシーブと前記ウインチとの間に、(1)乃至(5)の何れかに記載の索繰出し機が設置されることを特徴とする。
【0013】
(7)また、索体と、
船舶の甲板上に設置され、前記索体を巻き上げるウインチと、
船舶の甲板上に設置され、前記索体を案内する複数のシーブが回転自在に設置されたフレームと、を有する揚艇装置であって、
前記複数のシーブの何れか同士の間に、(1)乃至(5)の何れかに記載の索繰出し機が設置されることを特徴とする。
【0014】
(8)また、索体と、
船舶の甲板上に設置され、前記索体を巻き上げるウインチと、
船舶の甲板上に設置され、前記索体を案内する複数のシーブが回転自在に設置されたフレームと、を有する揚艇装置であって、
前記複数のシーブのうち前記フレームの先端寄りに設置されたシーブよりも先端に近い位置に、(1)乃至(5)の何れかに記載の索繰出し機が設置されることを特徴とする。
【0015】
(9)また、前記索体の先端に、ボールフックが設置されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
(i)したがって、本発明によると、上ハウジングを倒伏させることにより、一対の上カリバーロールおよび下カリバーロールの円周方向溝(以下「カリバー」と称す)によって索体(ワイヤロープ等)を移動自在に把持することができると共に、上ハウジングを起立させることにより、索体を取り外すことができる。また、空圧モータが軽量かつ簡素であるから設置が容易になるため、フレームの先端等に設置することができる。
(ii)また、上ハウジングがスプリングを介して支持されるから、一対の上カリバーロールおよび下カリバーロールは一定の力でもって索体を把持することができる。
(iii)また、一対の鉛直ガイドロールと水平下ガイドロールと水平上ガイドローラとによって索体が案内されるから、索体の引き出し方向(または侵入方向)が変動しても、索体は確実に把持される。
(iv)また、上ハウジング固定手段が、ロックホールとロックピンとを具備する簡素な構成であるから、軽量化が図られと共に、操作が容易になる。
(v)また、下カリバーロールが一方向のみに回転駆動され、他方向には自由回転するから、索体の巻き上げ時に、索繰出し機に余計な力がかからない。
【0017】
(vi)さらに、本発明に係る揚艇装置は、前記索繰出し機がフレームに向けて索体を繰り出すから、索体を繰り出す際に、ウインチとフレームとの間における索体の弛みが防止される。
(vii)また、前記索繰出し機がフレームのシーブ間に設置されているから、索体を繰り出す際に、フレームにおける索体の弛みが防止される。
(viii)また、前記索繰出し機がフレームの先端に設置されているから、索体が振れた場合でも、索体がシーブから外れることがない。
(ix)また、前記索繰出し機が、索体の自重に頼らないで索体を繰り出すから、軽量のボールフックが設置された索体であっても、索体を確実に繰り出すことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
[実施形態1]
(索繰出し機:一方向繰り出し式)
図1および図2は、本発明の実施形態1に係る索繰出し機の概要を示す、図1の(a)および(b)は全体の側面図(Y−Z面)および正面図(X−Z面)、図2の(a)および(b)は全体のうちの下部分の平面図および全体のうちの上部分の平面図である。また、図3〜図5は、本発明の実施形態1に係る索繰出し機の各部材を示す、図3の(a)および(b)は下部分のうちの下ハウジングの平面図および正面図、図4の(a)および(b)は下部分のうちの下ハウジングの平面図および背面図、図5の(a)、(b)、(c)および(d)は上部分のうちの上ハウジングの側面図、正面図、平面図および背面図である。
なお、前記各図および以下の各図において、同じ部分または相当する部分には同じ符号を付し、一部の説明を省略すと共に、図毎で一部の部分については記載を省略している。
【0019】
(全体概要)
図1および図2において、索繰出し機1000は、下ハウジング100と、上ハウジング200と、上ハウジング200を傾動自在に支持する上ハウジング支持手段300と、上ハウジング200が倒伏した状態で、上ハウジング200を下ハウジング100に起立不能に固定する上ハウジング固定手段700と、空圧モータ800を有する。以下、それぞれについて説明する。
【0020】
(下ハウジング)
下ハウジング100は、下ハウジングベース101と、下ハウジングベース101に立設された平行する一対の板材102、103とからなる下スタンド110を有している。
そして、下スタンド110内の左右方向(X方向)の略中央に下カリバーロール120が配置され、左右方向(X方向)の両端近くに水平下ガイドロール160a、160bが回転自在に設置され、下スタンド110の左右方向(X方向)の両側の外に鉛直ガイドロール140a、150a、140b、150bが回転自在に設置されている。
また、下スタンド110の一方の板材102に、下カリバーロール120を回転駆動する空圧モータ800と、上ハウジング固定手段700を構成する下ロック機構170とが設置されている。
さらに、下スタンド110の他方の板材103に上ハウジング支持手段300を構成するスプリング130a、130bが設置されている。
【0021】
(鉛直ガイドロール)
鉛直ガイドロール140a、140bは、下スタンド110の板材102の左右方向(X方向)の両側にブラケット141a、141bを介して設置され、略上方向(Z方向)を回転軸として自由回転するものである。また、鉛直ガイドロール150a、150bは、下スタンド110の板材103の左右方向(X方向)の両側にブラケット151a、151bを介して設置され、略上方向(Z方向)を回転軸として自由回転するものである。
【0022】
なお、後記するように、下カリバーロール120の下カリバー123の底(最も深い点)が形成する面を「中心面1001」と称呼し、図中に一点鎖線で表示している。このとき、鉛直ガイドロール140aの回転軸と鉛直ガイドロール150aの回転軸とは、何れも中心面1001に平行した面内にあって、それぞれ中心面1001から等しい距離に配置されている。同様に、鉛直ガイドロール140bの回転軸と鉛直ガイドロール150bの回転軸とは、何れも中心面1001に平行した面内にあって、それぞれ中心面1001から等しい距離に配置されている。
【0023】
なお、鉛直ガイドロール140aと鉛直ガイドロール150aとは、左右方向(X方向)で厳密に同一位相であるものに限定するものではなく、同様に、鉛直ガイドロール140bと鉛直ガイドロール150bとも、左右方向(X方向)で同一位相であるものに限定するものではない。
さらに、鉛直ガイドロール140a、140b、150a、150b(以下まとめて「鉛直ガイドロール140」と称する場合がある)は、下ハウジングベース101に垂直であるものに限定するものではなく、中心面1001に平行な面内にある限り、下ハウジングベース101に対してそれぞれが同じ方向にあるいは別個の方向に傾斜してもよい。
【0024】
(水平下ガイドロール)
また、下スタンド110の板材102および板材103には、左右方向(X方向)の両側近くに長孔162a、162bおよび長孔163a、163bがそれぞれ向かい合って形成され、長孔162a、163aに設置された固定手段161aによって、幅方向(Y方向)の回転軸を有する水平下ガイドロール160aが回転自在に設置され、同様に、長孔162b、163bに設置された固定手段161bによって、幅方向(Y方向)の回転軸を有する水平下ガイドロール160bが回転自在に設置されている。
したがって、後記する水平上ガイドロール260a、260bと共働して、側面視で矩形状の空間が形成されるため、該空間を通過する索体(ワイヤロープ)は、左右および上下方向をガイド(拘束)されることになる(これについては別途詳細に説明する)。
【0025】
(上ハウジング支持手段)
上ハウジング支持手段300を構成するスプリング130a、130bは、ブラケット131a、131bを介して下スタンド110の板材103に設置されている。
スプリング130a、130bの上端には、上ハウジング200に設置された上ハウジング係止部230a、230bとの間で「ヒンジ手段」を形成するための下ハウジング係止部132a、132bが設置されている。
また、スプリング130a、130bの下端には、付勢力調整手段133a、133bが設置されている。付勢力調整手段133a、133bは、スプリング130a、130bに予張力または予圧縮力(プレロード)を付与するものであって、スプリング130a、130bの長さを調整する調整ナットと、該ナットによって進退される調整ロッドと、該調整ロッドに固定されて押し付けプレートを有している(図4の(b)参照)。
【0026】
したがって、上ハウジング支持手段300がスプリング130a、130bと付勢力調整手段133a、133bとを具備するから、上ハウジング200は、適宜調整された所定の荷重でもって下ハウジング100に支持されると共に、上カリバーロール220a、220bと下カリバーロール120とによって、索体が把持されるとき、索体の外径が変動しても、索体は一定の力で把持されることになる。
【0027】
(下ハウジング固定手段)
上ハウジング固定手段700を構成する下ロック機構170は、略円柱または略円筒状のロックピン171と、ロックピン171に設置されたロックアーム172と、ロックピン171を左右方向(X方向)に進退自在かつ左右方向(X方向)を回転軸として回転自在に案内するロックピンガイド173(板材102に設置されている)とを有している。すなわち、ロックアーム172は傾動する。
さらに、ロックピン171を板材102の左右方向(X方向)の中央寄りに進出させ、て、ロックアーム172を傾動した際、ロックアーム172が係止する、ロックアーム前進ストッパ174と、ロックピン171を板材102の左右方向(X方向)の端寄りに後退させ、て、ロックアーム172を傾動した際、ロックアーム172が係止する、ロックアーム後退ストッパ175と、が板材102に設置されている。
したがって、後記する上ハウジング200に形成されたロックホール271にロックピン171を挿入すれば、上ハウジング200は下ハウジングに固定されることになる(これについては別途詳細に説明する)。
【0028】
(空圧モータ)
空圧モータ800は下スタンド110の板材102に設置されている。このとき、空圧モータ800は小型で軽量であるから、設置場所の自由度が高く、たとえば、揚艇機のフレーム等に設置することができる。
【0029】
(上ハウジング)
上ハウジング200は、上ハウジングルーフ201と、上ハウジングルーフ201に立設された平行する一対の板材202、203とからなる上スタンド210を有している。そして、上スタンド210内の左右方向(X方向)で所定の間隔を設けて一対の上カリバーロール220a、220bが配置され、左右方向(X方向)の両端近くに水平上ガイドロール260a、260bが回転自在に設置されている。
また、上スタンド210の一方の板材202に、上ハウジング固定手段700を構成する上ロック機構270とが設置されている。さらに、上スタンド210の他方の板材103に上ハウジング支持手段300を構成する上ハウジング係止部230a、230bが設置されている。
【0030】
(水平上ガイドロール)
また、上スタンド210の板材202および板材203には、左右方向(X方向)の両側近くに長孔262a、262bおよび長孔263a、263bがそれぞれ向かい合って形成され、長孔262a、263aに設置された固定手段261aによって、幅方向(Y方向)の回転軸を有する水平上ガイドロール260aが回転自在に設置され、同様に、長孔262b、263bに設置された固定手段261bによって、幅方向(Y方向)の回転軸を有する水平上ガイドロール260bが回転自在に設置されている。
【0031】
したがって、鉛直ガイドロール140a、150aと水平下ガイドロール160aと水平上ガイドロール260aとによって、側面視で矩形状の空間が形成されるため、該空間を通過する索体は、左右および上下方向をガイド(拘束)されることになる。このとき、鉛直ガイドロール140a、150aと水平下ガイドロール160aと水平上ガイドロール260aとは(正確には、各ガイドロールの中心軸は)、同一平面内にあるものに限定するものではない。
同様に、鉛直ガイドロール140b、150bと水平下ガイドロール160bと水平上ガイドロール260bとによって、側面視で矩形状の空間が形成されるため、該空間を通過する索体は、左右および上下方向をガイド(拘束)されることになる。このとき、鉛直ガイドロール140b、150bと水平下ガイドロール160bと水平上ガイドロール260bとは(正確には、各ガイドロールの中心軸は)、同一平面内にあるものに限定するものではない。
なお、水平下ガイドロール160aと水平上ガイドロール260aとは、左右方向(X方向)で同一位相であるものに限定するものではなく、同様に、水平下ガイドロール160bと水平上ガイドロール260bとも、左右方向(X方向)で同一位相であるものに限定するものではない。
【0032】
(上ハウジング支持手段)
上ハウジング支持手段300を構成する上ハウジング係止部230a、230bが、ブラケット231a、231bを介して上スタンド210の板材203に設置されている。
上ハウジング係止部230a、230bは、それぞれ下ハウジング係止部132a、132bに回動自在に設置され「ヒンジ手段」を形成している。たとえば、上ハウジング係止部230aと下ハウジング係止部132aとに断面円形の孔が形成され、該孔に断面円形のピンが挿入され、同様に、上ハウジング係止部230bと下ハウジング係止部130bとに断面円形の孔が形成され、該孔に断面円形のピンが挿入されている。
したがって、上ハウジング200は、当該ヒンジ手段を中心にして傾動(起立および倒伏)自在になっている。
さらに、上スタンド210の板材202の左右方向の略中央に、上スタンドハンドル204が設置されているから、上ハウジング200の傾動作業が容易になっている。
【0033】
(上ハウジング固定手段)
上ハウジング固定手段700を構成する上ロック機構270は、ロックピン171が貫通自在または侵入自在なロックホール271に設置されたロックプレート272と、ロックプレート272を支持するロックプレートブラケット273(板材202に設置されている)とを有している。
したがって、ロックホール271にロックピン171を挿入すれば、上ハウジング200は下ハウジングに固定されることになる。このとき、ロックアーム172は転倒してロックアーム前進ストッパ174に係止しているから、ロックホール271からロックピン171が抜け出すことはない。
なお、上ロック機構270および下ロック機構170は、所定の強度を具備するものであって、たとえば、ロックピンガイド173は、ロックホール271を貫通した状態のロックピン171を2点支持(カンチレバーにならない)している。
【0034】
(下カリバーロール)
図6は、本発明の実施形態1に係る索繰出し機に設置される下カリバーロールを説明する、(a)は正面図、(b)は側面図である。
図6において、下カリバーロール120は、下ロール本体121の外周に円環状のウレタンゴム122が設置され、ウレタンゴム122の外周に断面半円状の円周方向溝(以下「下カリバー」と称す)123が形成されている。そして、下カリバーロール120の回転軸が下スタンド110に垂直になった状態で、軸受104、105によって下スタンド110に回転自在に支持されている。また、下カリバーロール120の内周には、複数のラチェット溝190が形成されている。
なお、ウレタンゴム122の設置を省略して、下ロール本体121に直接下カリバー123を形成してもよいし、また、ウレタンゴムに限定するものではなく、その他の樹脂等を使用してもよい。また、下カリバー123の形状は断面半円状に限定するものではなく、たとえば、楕円状の円弧等、索体を把持するのに好適な形状であればよい。
【0035】
一方、空圧モータ800の回転軸801には、ラチェット爪890が、ラチェットスプリング891によって広がり方向に付勢されて、回動自在に設置されている。したがって、ラチェット爪890はラチェット溝190に常時押し付けられているから、回転軸801が、ラチェット爪890がラチェット溝190に食い込む方向に回転した場合(図中、時計回り)にのみ、下カリバーロール120は回転駆動されることになる。また、これと反対に、下カリバーロール120を、ラチェット爪890がラチェット溝190によって押し戻される方向に回転した場合(図中、時計回り)には、かかる回転は回転軸801に伝達されない。すなわち、下カリバーロール120は空回りすることになる(図中、時計回り)。
【0036】
したがって、索繰出し機1000を索体を巻き上げるウインチに並設し、索体の巻き上げ方向には空回りするように設置しておけば、索体が巻き上げ時に索体は「弛まない」から、索体の「乱巻き」が防止される。また、索体の繰り出し(巻き戻し)時には索繰出し機1000の下カリバーロール120を回転させるから、索体が「弛む」ことがなく、索体を案内するシーブ等から外れることがない。すなわち、索体を巻き上げる作業および繰り出し(巻き戻し)作業が、容易かつ確実になる。
【0037】
(上カリバーロール)
上カリバーロール220a、220bは、上ロール本体221a、221bに直接、断面半円状の円周上溝(以下「上カリバー」と称す)223a、223bが形成されている。なお、下カリバーロール120に準じて、上ロール本体の外周に円環状のウレタンゴム等を設置して、該ウレタンゴム等に上カリバー223a、223bを形成してもよい。また、上カリバー223a、223bの形状は断面半円状に限定するものではなく、下カリバー123と同一形状である必要はない。
【0038】
(中心面)
ところで、下カリバーロール120の下カリバー123の底(最も深い点)が形成する面を「中心面1001」と称呼し、図中に一点鎖線で表示している。
このとき、上ハウジング200を倒伏して下ハウジング100に固定した際、上カリバーロール220a、220bの上カリバー223a、223bは、中心面1001内に位置している。すなわち、索体が下カリバーロール120と上カリバーロール220a、220bとに当接した際、当該索体は中心面1001内にあって、略直線状または略く字状に把持されることになる。
また、鉛直ガイドロール140aの回転軸と鉛直ガイドロール150aの回転軸とは、何れも中心面1001に平行した面内にあって、それぞれ中心面1001から等しい距離に配置されている。同様に、鉛直ガイドロール140bの回転軸と鉛直ガイドロール150bの回転軸とは、何れも中心面1001に平行した面内にあって、それぞれ中心面1001から等しい距離に配置されている。
【0039】
(索体の把持)
図7は、本発明の実施形態1に係る索繰出し機における索体の把持を説明する、(a)は上ハウジング固定手段が上ハウジングを開放した際の正面図、(b)は上ハウジングを持ち上げた際の側面図である。
図7の(a)において、ロックアーム前進ストッパ174に係止していたロックアーム172が一旦、持ち上げられ(起立させられ)、ロックピン171が右方向(X方向)に後退している。そして、再度、ロックアーム172は持ち下げられ(倒伏させられ)、ロックアーム後退ストッパ175に係止している。
このとき、ロックピン171は上ハウジング200に形成されたロックホール271から抜けだしているから、上ハウジング200は、下ハウジング100の固定から開放され、上ハウジング支持手段300(ヒンジ手段)を中心に回動して持ち上げ(起立)可能になっている。
【0040】
図7の(b)において、上ハウジング200が上ハウジング支持手段300(ヒンジ手段)を中心に回動して持ち上げ(起立)られている。したがって、索体1002を、鉛直ガイドロール140a、150aと水平下ガイドロール160aとが形成する溝に侵入させることができる。また、同様に、索体(ワイヤロープ)1002を、図示しない鉛直ガイドロール140b、150bと水平下ガイドロール160bとが形成する溝に侵入させることができる。
このとき、索体1002は下カリバーロール120の下カリバー123内に浸入している。
【0041】
そして、上ハウジング200を持ち下げる(倒伏する)と、索体1002は、鉛直ガイドロール140a、150aと水平下ガイドロール160aと水平上ガイドロール260aとが形成する側面視で矩形状の空間に閉じこめられることになり、同様に、鉛直ガイドロール140b、150bと水平下ガイドロール160bと水平上ガイドロール260bとが形成する側面視で矩形状の空間に閉じこめられることになる。
また、索体1002は、下カリバーロール120の下カリバー123内と、上カリバーロール220aの上カリバー223a内と、上カリバーロール220bの上カリバー223b内とに、それぞれ浸入して3点で略直線上または略く字状に把持されることになる。
【0042】
よって、索体1002には下カリバーロール120の回転力が確実に伝達されるから、索体1002は確実に繰り出されることになる。さらに、かかる状態(図1の(b)参照)において、索体1002が索繰り出し機1000の外部で大きく振れた(揺れた)場合であっても、索体1002は前記各ガイドロールによって案内されているから、索体1002が前記各カリバーロールから外れることがない。
【0043】
[実施形態2]
(索繰出し機:二方向繰り出し式)
索繰出し機2000は、ラチェット手段を具備しないものである、下カリバーロール120は空圧モータ800の回転軸801に固定されている(図示しない)。すなわち、索繰出し機2000に把持された索体は、下カリバーロール120の回転方向によって、繰り出し方向にも巻き上げ方向にも、移動自在である。
【0044】
したがって、索繰出し機2000を索体を巻き上げるウインチに並設し、索体の繰り出し(巻き戻し)時にのみ、索体を把持して索繰出し機1000の下カリバーロール120を回転させれば、索体が「弛む」ことがない。
一方、索体の巻き上げ時は、索体の把持を中止(索体を開放)するようにすれば、索体が「弛む」ことがなく、索体の「乱巻き」が防止されることになる。このとき、索繰出し機2000は停止しているから、当然に、ウインチの巻き上げ速度と索繰出し機2000の繰り出し速度とを同期させる必要がない。
【0045】
[実施形態3]
(ラフティング式揚艇装置−上部装備)
図8は、本発明の実施形態3に係る揚艇装置の概要を示す正面図であって、(a)は格納時、(b)は振出時である。なお、船首から船尾に向かって見た方向を正面視としている(以下の各図において同じ)。
図8において、揚艇装置3000はラフティング式であって、傾動フレーム3100に索繰出し機1000が設置されている。すなわち、傾動フレーム3100は略コ字状であって、下方の端部が船舶の甲板9000に設置された傾動支持9100に傾動自在に支持され、傾動シリンダ3300によって傾動されるものである。
傾動フレーム3100の上方の端部には第1シーブ3201が、傾動フレーム3100の曲がり部には第2シーブ3202および第3シーブ3203が、傾動フレーム3100の下方の端部近くには第4シーブ3204が、それぞれ回転自在に設置されている。また、第1シーブ3201と第2シーブ3202との間に、索繰出し機1000が設置されている。さらに、甲板9000には、ワイヤロープ(索体)1002を巻き上げおよび繰り出す(巻き戻す)ウインチ8000が設置されている。
【0046】
したがって、ウインチ8000から繰り出されたワイヤロープ1002は、第4シーブ3204に巻回されて方向転換し、その後、第3シーブ3203および第2シーブ3202に案内されながら第1シーブ3201に到達し、第1シーブ3201から垂直に垂れ下がっている。なお、ワイヤロープ1002の先端にはボールフック1003が設置されている。
このとき、索繰出し機1000がワイヤロープ1002を繰り出しているから、仮に、第2シーブ3202、第3シーブ3203あるいは第4シーブ3204の何れかの回転が不十分であっても、ワイヤロープ1002が弛むことがない。
【0047】
さらに、索繰出し機1000にはラッチ手段(ラチェット爪890等)を具備しているから、ワイヤロープ1002を巻き上げるときには、空圧モータ800を停止(OFF)しておけば、下カリバーロール120が空回するから、カリバーロール120に余計な引っ張り力が働くことがない。また、下カリバーロール120をワイヤロープ1002の巻き上げ速度に同期して回転させる必要がないから、制御系が簡素になる。さらに、かかる同期回転の不良から、ウインチ8000に乱巻きが生ずるようなこともない。
また、空圧モータ800が軽量であるから、索繰出し機1000を傾動フレーム3100に設置しても、傾動に支障が生じることがない。
【0048】
[実施形態4]
(ラフティング式揚艇装置−下部装備)
図9は、本発明の実施形態4に係る揚艇装置の概要を示す正面図であって、(a)は格納時、(b)は振出時である。
図9において、揚艇装置4000は、揚艇装置3000(実施形態3)の傾動フレーム3100から索繰出し機1000を撤去し、甲板9000に設置されている傾動支持9100の近くに索繰出し機2000(実施形態2参照)を移設したものに同じである。なお、実施形態3と同じ部分にはこれと同じ符号を付し、一部の説明を省略する。
【0049】
索繰出し機2000はラッチ手段(ラチェット爪890等)を具備しないから、索繰出し機2000はワイヤロープ1002の繰り出し時にのみ使用するものである((b)参照)。すなわち、ワイヤロープ1002の繰り出しに際し、索繰出し機2000の上スタンドハンドル204を操作して、ワイヤロープ1002を下カリバーロール120と上カロバーロール220a、220bでもって把持し、上ハウジング200を下ロック機構170によって下ハウジング100に固定する。
【0050】
そうすると、索繰出し機2000がワイヤロープ1002を繰り出すから、仮に、何れかのシーブの回転が不十分であっても、ワイヤロープ1002が弛むことがない。さらに、ワイヤロープ1002は、鉛直ガイドロール140a、150aと水平下ガイドロール160aと水平上ガイドロール260aとが形成する閉鎖空間内に、および鉛直ガイドロール140b、150bと水平下ガイドロール160bと水平上ガイドロール260bとが形成する閉鎖空間内に、拘束されているから、繰り出されたワイヤロープ1002が振れた場合でも、ワイヤロープ1002が下カリバーロール120等から外れたり、第1シーブ3201から外れたりすることがない。
【0051】
なお、第1シーブ3201を離れたワイヤロープ1002は、索繰出し機2000によって引っ張られているから鉛直に垂れ下がらない。そのため、ワイヤロープ1002がボートを吊り上げる前に、下ロック機構170を操作して、上ハウジング200の固定を開放し、上スタンドハンドル204を操作して上ハウジング200を起立させ、ワイヤロープ1002を下カリバーロール120と上カロバーロール220a、220bとによる把持から開放している。
なお、索繰出し機2000に替えて、索繰出し機1000を甲板9000に設置してもよく、この場合も、ボートを吊り上げる前にワイヤロープ1002の把持を開放するものである。
【0052】
[実施形態5]
(重力式揚艇装置−上部装備)
図10は、本発明の実施形態5に係る揚艇装置の概要を示す正面図であって、(a)は格納時、(b)は振出時である。
図10において、揚艇装置5000は重力式であって、一方が船舶の甲板9000に、他方が甲板9000上の構造物9200に設置された傾斜フレーム5100と、傾斜フレーム5100に摺動自在(昇降自在)に配置されたクレードル5200と、を有している。傾斜フレーム5100の下面には、ワイヤロープ(索体)1002を巻き上げおよび繰り出す(巻き戻す)ウインチ8000が設置され、上面には、シーブ設置台5300が設置され、シーブ設置台5300にワイヤロープ(索体)1002を案内するガイドシーブ5203が回転自在に設置されている。
【0053】
一方、クレードル5200の先端にはトップシーブ5201が、クレードル5200の中間位置には中間シーブ5202が、それぞれ回転自在に設置されている。さらに、トップシーブ5201と中間シーブ5202との間に、索繰出し機1000(実施形態1参照)が設置されている。
したがって、索繰出し機1000が前記作用効果を奏するため、揚艇装置3000(実施形態3参照)と同様の効果を奏する。また、空圧モータ800が軽量であるから、索繰出し機1000をクレードル5200に設置してもクレードル5200の移動に支障が生ずることがない。
【0054】
[実施形態6]
(振出し式揚艇装置−上部装備)
図11は、本発明の実施形態6に係る揚艇装置の概要を示すものであって、(a)は格納時および振出時を一図にまとめた正面図、(b)は全体の略半分を示す側面図である。
図11において、揚艇装置6000は門形フレーム6100に索繰出し機1000が設置されている。すなわち、門形フレーム6100は一対の脚部6120と、一対の脚部6120に支持された梁部6110とから構成され、一対の脚部6120の下端部は、それぞれ船舶の甲板9000に設置されている。
そして、門形フレーム6100は、一方が甲板9000に、他方が脚部6120の中間部に、それぞれ設置された傾動シリンダ6300によって傾動されるものである。
【0055】
門形フレーム6100の梁部6110には、一対の第1シーブ6201が、梁部6110と脚部6120との接合部には第2シーブ6202が、脚部6120の下端部には第3シーブ6203および第4シーブ6204が、それぞれ回転自在に設置されている。
また、甲板9000には、第4シーブ6204と図示しないウインチとの間に第5シーブ6205が回転自在に設置されている。
したがって、索繰出し機1000が前記作用効果を奏するため、揚艇装置3000(実施形態3参照)と同様の効果を奏する。また、空圧モータ800が軽量であるから、索繰出し機1000を門形フレーム6100のは梁部6110に設置しても門形フレーム6100の強度や傾動に支承が生ずることがない。
【0056】
[実施形態7]
(振出し式揚艇装置−下部装備)
図12は、本発明の実施形態7に係る揚艇装置の概要を示すものであって、(a)は格納時および振出時を一図にまとめた正面図、(b)は全体の略半分を示す側面図である。
図12において、揚艇装置7000は、揚艇装置6000(実施形態6)の梁部6110から索繰出し機1000を撤去し、甲板9000に索繰出し機2000(実施形態2参照)を移設したものに同じである。なお、実施形態6と同じ部分にはこれと同じ符号を付し、一部の説明を省略する。
【0057】
索繰出し機2000はラッチ手段(ラチェット爪890等)を具備しないから、索繰出し機2000はワイヤロープ1002の繰り出し時にのみ使用するものである((b)参照)。すなわち、ワイヤロープ1002の繰り出しに際し、索繰出し機2000の上スタンドハンドル204を操作して、ワイヤロープ1002を下カリバーロール120と上カロバーロール220a、220bでもって把持し、上ハウジング200を下ロック機構170によって下ハウジング100に固定する。
【0058】
そうすると、索繰出し機2000がワイヤロープ1002を繰り出すから、仮に、何れかのシーブの回転が不十分であっても、ワイヤロープ1002が弛むことがない。さらに、ワイヤロープ1002は、鉛直ガイドロール140a、150aと水平下ガイドロール160aと水平上ガイドロール260aとが形成する閉鎖空間内に、および鉛直ガイドロール140b、150bと水平下ガイドロール160bと水平上ガイドロール260bとが形成する閉鎖空間内に、拘束されているから、繰り出されたワイヤロープ1002が振れた場合でも、ワイヤロープ1002が下カリバーロール120等から外れたり、第1シーブ3201から外れたりすることがない。
【0059】
なお、第1シーブ6201を離れたワイヤロープ1002は、索繰出し機2000によって引っ張られているから鉛直に垂れ下がらない。そのため、ワイヤロープ1002がボートを吊り上げる前に、下ロック機構170を操作して、上ハウジング200の固定を開放し、上スタンドハンドル204を操作して上ハウジング200を起立させ、ワイヤロープ1002を下カリバーロール120と上カロバーロール220a、220bとによる把持から開放している。
なお、索繰出し機2000に替えて、索繰出し機1000を甲板9000に設置してもよく、この場合も、ボートを吊り上げる前にワイヤロープ1002の把持を開放するものである。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明は以上の構成であるため、索繰出し機は軽量小型で設置容易かつ操作容易であるから、各種索体の索繰出し機として広く利用することができると共に、起重機類に設置され、各種揚艇機あるいは起重機として広く利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明の実施形態1に係る索繰出し機の概要を示す全体の側面図と正面図。
【図2】図1に示す索繰出し機の概要を示す全体のうちの下部分と上部分の平面図。
【図3】図1に示す索繰出し機の各部材を示す下ハウジングの平面図と正面図。
【図4】図1に示す索繰出し機の各部材を示す下ハウジングの平面図と背面図。
【図5】図1に示す索繰出し機の各部材を示す上ハウジングの側面図等。
【図6】図1に示す索繰出し機に設置される下カリバーロールを説明する正面図等。
【図7】図1に示す索繰出し機における索体の把持を説明する正面図と側面図。
【図8】本発明の実施形態3に係る揚艇装置の概要を示す正面図。
【図9】本発明の実施形態4に係る揚艇装置の概要を示す正面図。
【図10】本発明の実施形態5に係る揚艇装置の概要を示す正面図。
【図11】本発明の実施形態6に係る揚艇装置の概要を示す正面図。
【図12】本発明の実施形態7に係る揚艇装置の概要を示す正面図。
【符号の説明】
【0062】
100 下ハウジング
101 下ハウジングベース
102 板材
103 板材
104 軸受
110 下スタンド
120 下カリバーロール
121 下ロール本体
122 ウレタンゴム
123 下カリバー
130a、130b スプリング
131a、131b ブラケット
132a、132b 下ハウジング係止部
133a、133b 付勢力調整手段
140a、140b 鉛直ガイドロール
141a、141b ブラケット
150a、150b 鉛直ガイドロール
151a、151b ブラケット
160a、160b 水平下ガイドロール
161a、161b 固定手段
162a、162b 長孔
163a、163b 長孔
170 下ロック機構
171 ロックピン
172 ロックアーム
173 ロックピンガイド
174 ロックアーム前進ストッパ
175 ロックアーム後退ストッパ
190 ラチェット溝
200 上ハウジング
201 上ハウジングルーフ
202 板材
203 板材
204 上スタンドハンドル
210 上スタンド
220a、220b 上カリバーロール
221a、221b 上ロール本体
223a、223b 上カリバー
230a、230b 上ハウジング係止部
231a、231b ブラケット
260a、260b 水平上ガイドロール
261a、261b 固定手段
262a、262b 長孔
263a、263b 長孔
270 上ロック機構
271 ロックホール
272 ロックプレート
273 ロックプレートブラケット
300 上ハウジング支持手段
700 上ハウジング固定手段
800 空圧モータ
801 回転軸
890 ラチェット爪
891 ラチェットスプリング
1000 索繰出し機(実施形態1)
1001 中心面
1002 ワイヤロープ(索体)
1003 ボールフック
2000 索繰出し機(実施形態2)
3000 揚艇装置(実施形態3)
3100 傾動フレーム
3201 第1シーブ
3202 第2シーブ
3203 第3シーブ
3204 第4シーブ
3300 傾動シリンダ
4000 揚艇装置(実施形態4)
5000 揚艇装置(実施形態5)
5100 傾斜フレーム
5200 クレードル
5201 トップシーブ
5202 中間シーブ
5203 ガイドシーブ
5300 シーブ設置台
6000 揚艇装置(実施形態6)
6100 門形フレーム
6110 梁部
6120 脚部
6201 第1シーブ
6202 第2シーブ
6203 第3シーブ
6204 第4シーブ
6205 第5シーブ
6300 傾動シリンダ
7000 揚艇装置(実施形態7)
8000 ウインチ
9000 甲板
9100 傾動支持
9200 構造物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに平行する回転軸を具備し、外周面に所定深さの円周方向溝が形成された一対の上カリバーロールと、
該上カリバーロールを回転自在に保持する上ハウジングと、
該上ハウジングが傾動自在に設置される下ハウジングと、
該下ハウジングに回転自在に設置され、外周面に所定深さの円周方向溝が形成された下カリバーロールと、
前記下ハウジングに設置され、前記下カリバーロールを回転駆動する空圧モータと、
前記上ハウジングが倒伏した状態で、前記上ハウジングを起立不能に固定する上ハウジング固定手段と、を有し
前記上ハウジングが倒伏した状態で、前記一対の上カリバーロールの円周方向溝と前記下カリバーロールの円周方向溝とが同一面内に位置することを特徴とする索繰出し機。
【請求項2】
前記下ハウジングにスプリングが設置されると共に、該スプリングの先端にヒンジ手段が設置され、該ヒンジ手段によって前記上ハウジングが傾動自在に設置されることを特徴とする請求項1記載の索繰出し機。
【請求項3】
前記下カリバーロールの円周方向溝が位置する中心面を挟む対称位置に、該中心面に平行した回転軸を具備する一対の鉛直ガイドロールが、前記下ハウジングに回転自在に設置され、
前記中心面を貫通して、該中心面に垂直な回転軸を具備する水平下ガイドロールが前記下ハウジングに回転自在に設置され、
前記上ハウジングが倒伏した状態で、前記水平下ガイドロールとの間に所定の隙間を形成して前記中心面に垂直な回転軸を具備する上ガイドローラが、前記上ハウジングに回転自在に設置されることを特徴とする請求項1または2記載の索繰出し機。
【請求項4】
前記上ハウジング固定手段が、前記上ハウジングに形成されたロックホールと、該ロックホールに侵入自在な前記下ハウジングに設置されたロックピンと、該ロックピンに設置されたロックアームと、前記下ハウジングに設置されて前記ロックピンを進退自在に支持するロックピンガイドと、前記ロックピンの前進位置および後退位置において前記ロックアームがそれぞれ係止するロックアーム前進ストッパおよびロックアーム後退ストッパとを、有し、
前記ロックピンの前進位置において、前記ロックピンが前記ロックホールに侵入し、前記ロックピンの後退位置において、前記ロックピンが前記ロックホールから離脱することを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の索繰出し機。
【請求項5】
前記下カリバーロールの内周面と前記空圧モータの回転軸の外周との間に、ラチェット機構が配置され、該ラチェット機構によって前記下カリバーロールが一方向のみに回転駆動されることを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の索繰出し機。
【請求項6】
索体と、
船舶の甲板上に設置され、前記索体を巻き上げるウインチと、
船舶の甲板上に設置され、前記索体を案内する複数のシーブが回転自在に設置されたフレームと、を有する揚艇装置であって、
前記複数のシーブのうち前記フレームの甲板寄りに設置されたシーブと前記ウインチとの間に、請求項1乃至5の何れかに記載の索繰出し機が設置されることを特徴とする揚艇装置。
【請求項7】
索体と、
船舶の甲板上に設置され、前記索体を巻き上げるウインチと、
船舶の甲板上に設置され、前記索体を案内する複数のシーブが回転自在に設置されたフレームと、を有する揚艇装置であって、
前記複数のシーブの何れか同士の間に、請求項1乃至5の何れかに記載の索繰出し機が設置されることを特徴とする揚艇装置。
【請求項8】
索体と、
船舶の甲板上に設置され、前記索体を巻き上げるウインチと、
船舶の甲板上に設置され、前記索体を案内する複数のシーブが回転自在に設置されたフレームと、を有する揚艇装置であって、
前記複数のシーブのうち前記フレームの先端寄りに設置されたシーブよりも先端に近い位置に、請求項1乃至5の何れかに記載の索繰出し機が設置されることを特徴とする揚艇装置。
【請求項9】
前記索体の先端に、ボールフックが設置されることを特徴とする請求項6乃至8の何れかに記載の揚艇装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2007−191237(P2007−191237A)
【公開日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−8632(P2006−8632)
【出願日】平成18年1月17日(2006.1.17)
【出願人】(502116922)ユニバーサル造船株式会社 (172)
【Fターム(参考)】