説明

紫外線照射装置、及び記録装置

【課題】紫外線の透過率の低下を抑制することができる紫外線照射装置、記録装置を提供する。
【解決手段】インクが付着した用紙12に対して照射口44から紫外線を照射する照射機42と、照射機42の照射口44と用紙12との間を紫外線の照射方向と交差する方向への移動自在に設けられた紫外線を透過する透過部材43と、透過部材43において照射口44と対向して紫外線を照射される部分が変更されるように透過部材43を移動させるラック51、ピニオン53と、照射口44と対向する位置よりもラック51、ピニオン53が透過部材43を移動させる方向における上流側で照射口44とは非対向となる位置において透過部材43における用紙12と対向する側から異物を除去する第1,第2ワイパー54,55とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばターゲットに付着した紫外線硬化材に紫外線を照射して記録を定着させる紫外線照射装置、及び該紫外線照射装置を備えた記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、記録装置の一つとして、紫外線と反応して硬化する紫外線硬化材(インク)を用紙(ターゲット)に付着させることにより印刷(記録処理)を施すインクジェット式プリンター(以下、「プリンター」ともいう。)が広く知られている。このプリンターは、記録ヘッドに形成されたノズルからインクを噴射して用紙に付着させると共に、そのインクが付着したターゲットに対して紫外線を照射し、インクを硬化させて印刷を定着させるようになっている。
【0003】
そして、こうしたプリンターにおいて、近時は、例えば特許文献1に記載されるように、光源となる紫外線ライトと用紙との間に透明プレート(透過部材)を設けたものがある。すなわち、特許文献1のプリンターは、透明プレートを介して用紙に紫外線を照射することで、用紙と紫外線ライトとの接触を抑制している。
【0004】
ところが、透明プレートを介して紫外線を照射する場合には、透明プレートに紙粉やインクミストなどの異物が付着して紫外線の透過率を低下させてしまう問題があった。そこで、特許文献1に記載のプリンターでは、透明プレートをクリーニング部材によって払拭し、クリーニングを行うようにしていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−63105号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1のプリンターの場合は、クリーニング部材が透明プレートの移動方向における下流側に配置され、クリーニング部材は下流側から上流側に相対移動しながら透明プレートを払拭する。さらに、透明プレートは往復移動するため、先の往移動に伴う払拭によってクリーニング部材に付着した異物が、復移動時にクリーニング部材から離れて再び透明プレートに付着し、該透明プレートの紫外線の透過率を低下させてしまう虞があった。
【0007】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、紫外線の透過率の低下を抑制することができる紫外線照射装置、記録装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の紫外線照射装置は、紫外線硬化材が付着したターゲットに対して照射口から紫外線を照射する照射手段と、該照射手段の前記照射口と前記ターゲットとの間を前記紫外線の照射方向と交差する方向への移動自在に設けられた前記紫外線を透過する透過部材と、該透過部材において前記照射口と対向して前記紫外線を照射される部分が変更されるように前記透過部材を移動させる透過部材移動手段と、前記照射口と対向する位置よりも前記透過部材移動手段が前記透過部材を移動させる方向における上流側で前記照射口とは非対向となる位置において前記透過部材における前記ターゲットと対向する側から異物を除去する異物除去手段とを備えた。
【0009】
この構成によれば、透過部材移動手段が透過部材を移動させると、透過部材が移動する方向において照射口と対向する位置よりも上流側で照射口とは非対向となる位置において透過部材におけるターゲットと対向する側から異物が異物除去手段によって除去される。そのため、異物除去手段によって除去された異物は、透過部材における照射口と対向する位置に集積されることがない。そして、透過部材は、ターゲットと対向する側から異物除去手段によって異物が除去された状態で照射口と対向するようになる。したがって、透過部材における紫外線の透過率の低下を抑制することができる。
【0010】
本発明の紫外線照射装置において、前記異物除去手段は、前記透過部材移動手段により移動させられる前記透過部材における前記ターゲットと対向する側に対して前記透過部材の移動方向と交差した一方向に延びる規制ラインに沿って前記異物の通過を規制するために前記異物に規制力を付与する規制力付与部材を有し、該規制力付与部材は、前記規制ラインが前記透過部材の移動方向に対して斜めの方向に延びるように設けられる。
【0011】
この構成によれば、異物除去手段における規制力付与部材が透過部材におけるターゲットと対向する側に対して、透過部材の移動方向と交差した一方向に延びる規制ラインに沿って異物の通過を規制するための規制力を付与することで、異物が透過部材から除去されるようになる。しかも、規制力付与部材は、透過部材に対する異物の通過を規制するために形成する規制ラインが透過部材の移動方向に対して斜めの方向に延びるように設けられているため、透過部材から異物を除去する際に規制ラインのところで堰き止められた状態にある異物を次第に規制ラインの斜め後方側となる一方側(例えば異物回収口のある側)に移動させることができる。
【0012】
本発明の紫外線照射装置において、前記透過部材移動手段は、前記透過部材を往復移動させるように構成されると共に、前記異物除去手段は、前記透過部材の移動方向において前記照射口と対向する位置の両側位置に設けられた1対の異物除去手段を含んで構成され、前記両異物除去手段のうち、前記透過部材の移動方向において前記照射口と対向する位置よりも上流側に位置する方の異物除去手段を前記透過部材から異物を除去するために使用する異物除去手段として選択する選択手段をさらに備えた。
【0013】
この構成によれば、1対の異物除去手段のうち、透過部材の移動方向において照射口と対向する位置よりも上流側に位置する異物除去手段が透過部材から異物の除去を行う。したがって、各異物除去手段に透過部材から異物を除去する際の受け持ち領域を割り当てることができるため、透過部材の移動量を減らして省スペース化を図ることができると共に、紫外線照射装置を搭載する装置の小型化に貢献することができる。
【0014】
本発明の紫外線照射装置において、前記異物除去手段は、前記透過部材に接触するワイパーであって、該ワイパーは、前記透過部材と共に移動する前記異物を係止して該異物に規制力を付与する。
【0015】
この構成によれば、透過部材と共に移動する異物をワイパーによって係止して規制力を付与することにより、異物が規制ラインを通過するのを抑制することができる。
本発明の紫外線照射装置において、前記異物除去手段は、気体に運動エネルギーを与えて前記透過部材に吹き付けることにより、前記異物に規制力を付与する。
【0016】
この構成によれば、運動エネルギーを与えた気体により、透過部材に付着した異物を吹き飛ばして異物が規制ラインを通過するのを抑制することができる。
本発明の紫外線照射装置において、前記透過部材には、紫外線の透過方向を調整するためのレンズ加工が施されている。
【0017】
この構成によれば、照射手段から照射された紫外線が、透過部材を透過する際にレンズによって集光されてターゲットに照射される。そのため、照射手段から照射された紫外線の拡散を抑制し、効率よくターゲットに照射することができる。さらに、例えば、レンズ加工が施されて表面に凹凸を有する透過部材であっても、異物除去手段が気体を吹き付けて透過部材を非接触な状態で異物を除去することができる。したがって、透過部材の表面状態に関わらず該透過部材から異物除去をすることができる。
【0018】
本発明の記録装置は、前記ターゲットに対して紫外線硬化材を付着させて記録を施す記録手段と、前記ターゲットを搬送方向の上流側から下流側へ搬送する搬送手段と、前記記録手段よりも前記搬送方向の下流側に設けられる上記構成の紫外線照射装置とを備える。
【0019】
この構成によれば、上記紫外線照射装置に係る発明と同様の作用効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】第1の実施形態のプリンターの模式図。
【図2】第1の実施形態の紫外線照射装置の模式図。
【図3】図2における3−3矢視断面模式図。
【図4】制御部のブロック図。
【図5】第2の実施形態の紫外線照射装置の模式図。
【図6】図5における6−6矢視断面模式図。
【図7】第3の実施形態の紫外線照射装置の断面模式図。
【図8】第4の実施形態の紫外線照射装置の断面模式図。
【図9】変形例の紫外線照射装置の断面模式図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
(第1の実施形態)
以下、本発明を、インクジェット式プリンター(以下「プリンター」ともいう。)に具体化した第1の実施形態を図1〜図4に従って説明する。
【0022】
図1に示すように、記録装置としてのプリンター11には、長尺状のターゲットとしての用紙12を繰り出す繰り出し部13と、その用紙12に印刷(記録)を施す印刷部14と、印刷が施された用紙12を巻き取る巻き取り部15とが設けられている。
【0023】
すなわち、図1に白抜き矢印で示す用紙12の搬送方向Xにおいて、上流側(図1において右側寄り)の位置に繰り出し部13が配設されると共に、下流側(図1において左側寄り)の位置に巻き取り部15が配設されている。そして、繰り出し部13と巻き取り部15との間となる位置に印刷部14が配設されている。
【0024】
繰り出し部13には、図1において紙面と直交する方向に延びる巻き軸16が回転可能に設けられている。そして、その巻き軸16には、可撓性を有する用紙12が予めロール状に巻かれた状態で巻き軸16と一体回転可能に支持されている。すなわち、用紙12は、巻き軸16が図示しない搬送モーターの駆動に伴って回転することにより、繰り出し部13から繰り出されて搬送方向Xの下流側に搬送されるようになっている。
【0025】
そして、巻き軸16から繰り出された用紙12は、第1ローラー17、プラテンドラム18、第2ローラー19に順次巻き掛けられて搬送方向Xを変換された後、巻き取り部15に設けられた巻き取り軸20に巻き取られるようになっている。
【0026】
印刷部14に設けられたプラテンドラム18は、図1において紙面と直交する方向に延びる円柱体であって、図示しない搬送モーターの駆動に伴って回転する回転軸21に一体回転可能に支持されている。そして、用紙12は、プラテンドラム18にテンションが加えられた状態で巻き掛けられ、曲面状の支持面18aに支持されている。そのため、回転軸21が回転すると、該回転軸21と共に回転するプラテンドラム18の回転に伴って用紙12が搬送されるようになっている。したがって、巻き軸16、第1ローラー17、プラテンドラム18、第2ローラー19、巻き取り軸20は、搬送手段として機能している。
【0027】
また、プラテンドラム18の周囲には、紫外線と反応して硬化する紫外線硬化材としてのインクを噴射する複数(本実施形態では6つ)の記録手段としての第1〜第6ヘッド31〜36が、プラテンドラム18を囲うように配置されている。
【0028】
すなわち、搬送方向Xにおいて最も上流側となる位置には、第1ヘッド31が配置されている。この第1ヘッド31には、ホワイトインクを収容する図示しないホワイトインクパックが接続され、該ホワイトインクパックから供給されたホワイトインクを図示しないノズルから用紙12に対して噴射するようになっている。
【0029】
そして、搬送方向Xにおいて第1ヘッド31の下流側となる位置には、ブラック、イエロー、マゼンタ、シアンの各色のカラーインクをそれぞれ噴射する第2〜第5ヘッド32〜35が配置されている。
【0030】
すなわち、第2〜第5ヘッド32〜35には、各色のインクを収容する図示しないインクパックがそれぞれ接続され、各インクパックから供給されたインクを図示しないノズルから用紙12に対して噴射するようになっている。
【0031】
さらに、搬送方向Xにおいて最も下流側となる位置には、第6ヘッド36が配置されている。この第6ヘッド36は、透明なクリアインクを収容する図示しないクリアインクパックが接続され、該クリアインクパックから供給されたクリアインクを図示しないノズルから用紙12に対して噴射するようになっている。
【0032】
そして、第6ヘッド36の搬送方向Xの下流側には、インクが付着した用紙12に紫外線を照射し、インクを硬化させて記録を定着させる紫外線照射装置38と、用紙12を透過した紫外線を受光する受光部材39とが設けられている。
【0033】
図2及び図3に示すように、紫外線照射装置38は、紫外線を照射する紫外線ライト41を備えた照射手段としての照射機42と、該照射機42と用紙12との間となる位置に設けられて紫外線を透過する透過部材43とを備えている。なお、本実施形態における透過部材43は、透明なシリコーン樹脂により形成され、その表面(図3において上面)43aが用紙12と対向するように設けられている。また、紫外線照射装置38は、透過部材43において照射機42と対向する側の裏面(図3において下面)43bに向けて風を送る送風機47を備えている。
【0034】
なお、紫外線ライト41は、用紙12の搬送方向Xと直交する幅方向Yに延びるように設けられると共に、用紙12と対向する側に照射口44を形成するように断面視V字状の反射板45によって囲われてケース46に収容されている。したがって、紫外線ライト41から照射された紫外線は、反射板45によって反射されて照射口44から用紙12へ向かう照射方向に沿って照射されるようになっている。
【0035】
また、透過部材43の幅方向Yにおける両側には、搬送方向Xに沿って延びるラック51が固定されている。そして、ラック51には、ピニオンモーター52(図4参照)の駆動に伴って回転するピニオン53が噛合している。すなわち、透過部材43は、ピニオン53の回転に伴って搬送方向Xに沿って往復移動し、照射機42の紫外線の照射方向と交差する方向に移動自在に設けられている。したがって、ラック51、ピニオンモーター52、ピニオン53は透過部材移動手段として機能している。なお、透過部材43のサイズは、照射口44よりも大きく、透過部材43の搬送方向Xにおける長さ寸法は、同方向における照射口44の開口寸法の2倍以上となっている。
【0036】
さらに、透過部材43と用紙12との間であって照射口44とは非対向となる位置には、可撓性を有して透過部材43の表面43aと接触する1対の規制力付与部材としての第1,第2ワイパー54,55が設けられている。なお、第1ワイパー54は、照射口44と対向する紫外線照射領域Aよりも搬送方向Xにおける上流側位置に設けられる共に、第2ワイパー55は、紫外線照射領域Aよりも搬送方向Xにおける下流側位置に設けられている。また、第1,第2ワイパー54,55は、搬送方向Xと交差すると共に、両端が搬送方向Xに位置をずらした一方向に延びる規制ラインに沿って設けられている。すなわち、第1,第2ワイパー54,55は、図2において下側の端部(−Y方向側の端部)となる第1,第2一端部54a,55aが搬送方向Xの上流側に位置すると共に、図2において上側の端部(+Y方向側の端部)となる第1,第2他端部54b、55bが搬送方向Xの下流側に位置するように斜めに設けられている。
【0037】
また、第1,第2ワイパー54、55の第1,第2一端部54a,55a、第1,第2他端部54b,55bには、第1,第2カムモーター56、57(図4参照)の駆動に伴って回転する第1,第2カム機構58,59がそれぞれ設けられている。すなわち、第1,第2ワイパー54,55は、第1,第2カムモーター56,57の駆動に応じて透過部材43と接触する接触位置と、透過部材43から離間する離間位置との間を変位する。なお、図3では、第1ワイパー54は接触位置に位置し、第2ワイパー55は離間位置に位置する状態を図示している。したがって、第1,第2ワイパー54,55、第1,第2カムモーター56,57、第1,第2カム機構58,59は異物除去手段として機能している。
【0038】
さらに、幅方向Yにおいて透過部材43と隣接すると共に、第1,第2ワイパー54,55と交差する位置には、異物回収口(図示略)を有する第1,第2回収部60,61が設けられている。すなわち、第1,第2ワイパー54,55は、搬送方向Xに対して斜めに設けられているため、第1,第2ワイパー54,55に堰き止められた異物(紙粉、インクミスト、埃など)が第1,第2ワイパー54,55に沿いつつ幅方向Yの一方側に移動されて第1,第2回収部60,61に回収されるようになっている。
【0039】
図4に示すように、プリンター11には、紫外線照射装置38の稼働状態を統括制御する制御部63が設けられている。この制御部63は、中央処理装置として機能することにより各種の演算を実行するCPU64と、各種プログラムを記憶する記憶部65を備えたデジタルコンピュータにて構成されている。そして、CPU64は、記憶部65に記憶されたプログラムに基づいてピニオンモーター52、第1カムモーター56、第2カムモーター57などを制御するようになっている。
【0040】
次に、上記のように構成された本実施形態のプリンター11の作用について、紫外線照射装置38によって用紙12に付着したインクを硬化させて印刷を定着させる場合を中心に説明する。
【0041】
なお、印刷が開始されて巻き軸16から繰り出された用紙12は、プラテンドラム18に巻き掛けられて搬送される際に第1〜第6ヘッド31〜36から噴射されたインクが付着して印刷を施される。さらに、印刷が施された用紙12は、インクが付着した印刷面12a(図3参照)が紫外線照射装置38と対向するように搬送される。
【0042】
そして、このとき制御部63は、ピニオンモーター52を駆動して透過部材43を移動させる。さらに、制御部63は、第1カムモーター56と第2カムモーター57とを駆動して、第1,第2ワイパー54,55のうち一方を接触位置に位置させると共に、他方を離間位置に位置させる。したがって、制御部63は、選択手段として機能する。
【0043】
具体的には、図3に矢印で示すように、透過部材43を搬送方向Xの下流側へ移動させる場合には、まず制御部63は、第1カムモーター56を駆動して搬送方向X(透過部材43の移動方向)の上流側に位置する第1ワイパー54を接触位置に位置させる。さらに、制御部63は、第2カムモーター57を駆動して搬送方向Xの下流側に位置する第2ワイパー55を離間位置に位置させる。その後、制御部63は、ピニオンモーター52を正転駆動して透過部材43を搬送方向Xの下流側へ移動させる。すると、そのとき透過部材43の表面43aに付着している異物は、第1ワイパー54に係止されて規制力が付与され、第1ワイパー54の照射口44に臨む側とは反対の側に集積する。したがって、透過部材43において、第1ワイパー54が受け持つ搬送方向Xの上流側の領域が、第1ワイパー54に払拭されて異物が除去された状態で紫外線照射領域Aへ移動する。
【0044】
ところで、第1ワイパー54は、搬送方向Xに対して斜めに設けられているため、この第1ワイパー54に係止された異物は、第1ワイパー54の両端部のうち相対的に搬送方向Xの上流側に位置する第1一端部54aよりも下流側に位置する第1他端部54b側(規制ラインの斜め後方側)に、より多くの異物が集まる。したがって、第1ワイパー54により堰き止められて第1他端部54b側(規制ラインの斜め後方側)に集められた異物は、第1回収部60に回収される。
【0045】
また、透過部材43において紫外線照射領域Aよりも搬送方向Xの上流側に位置する部分は、照射機42よりも搬送方向Xの上流側に設けられた送風機47によって冷却される。また、透過部材43において紫外線照射領域Aに位置する被照射部分は、紫外線を受光して温度が上昇する。そして、透過部材43において紫外線照射領域Aよりも搬送方向Xの下流側に位置する部分は、照射機42よりも搬送方向Xの下流側に設けられた送風機47によって冷却される。
【0046】
したがって、透過部材43が搬送方向Xの下流側に向かって移動すると、照射機42よりも上流側に位置して温度が低下した部分が紫外線照射領域Aに移動する。さらに、紫外線照射領域Aに位置して温度が上昇した部分は、紫外線照射領域Aから外れて温度の上昇が抑制されると共に、送風機47の送風によって冷却される。
【0047】
さて、透過部材43が移動範囲の端(図3において二点鎖線で示す位置)まで移動すると、制御部63は、ピニオンモーター52の駆動を停止する。そして、制御部63は、第1カムモーター56を駆動して接触位置に位置する第1ワイパー54を離間位置に変位させると共に、第2カムモーター57を駆動して離間位置に位置する第2ワイパー55を接触位置に位置させる。その後、制御部63は、ピニオンモーター52を逆転駆動して透過部材43を搬送方向Xの上流側(図2及び図3において左側)へ移動させる。
【0048】
なお、第2ワイパー55は、搬送方向Xに対して斜めに設けられているため、この第2ワイパー55に係止された異物は、第2ワイパー55の両端部のうち相対的に透過部材43の移動方向(搬送方向Xとは逆の方向)の上流側に位置する第2他端部55bよりも下流側(搬送方向Xの上流側)に位置する第2一端部55a側(規制ラインの斜め後方側)に、より多くの異物が集まる。したがって、第2ワイパー55により堰き止められて第2一端部55a側(規制ラインの斜め後方側)に集められた異物は、第2回収部61に回収される。
【0049】
また、透過部材43が移動すると、透過部材43において照射機42よりも搬送方向Xの下流側に位置して送風機47によって冷却された部分が、第2ワイパー55に払拭されて異物が除去された状態で紫外線照射領域Aへ移動する。すなわち、第2ワイパー55は、透過部材43が移動範囲の搬送方向Xの下流側端に位置した状態で第2ワイパー55よりも搬送方向Xの下流側に位置する領域を受け持つ。そして、紫外線照射領域Aに位置した被照射部分は、搬送方向Xの上流側に移動して紫外線照射領域Aから外れると共に、送風機47によって冷却される。
【0050】
さらに、制御部63は、透過部材43が移動範囲の端(図3に実線で示す位置)まで移動すると、ピニオンモーター52の駆動を停止する。そして、制御部63は、照射機42から用紙12に対して紫外線を照射する間、透過部材43の往復移動と第1,第2ワイパー54,55の変位とを繰り返し実行する。
【0051】
上記第1の実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)ピニオンモーター52を駆動して透過部材43を移動させると、透過部材43における紫外線の被照射部分が変更される。すなわち、透過部材43を動かすと、その透過部材43において、それまで紫外線の照射口44と対向していた部分が照射口44と対向する位置から外れると共に、それまで照射口44と非対向だった部分が照射口44と対向することになる。したがって、紫外線が照射されて温度が上昇した部分は、照射口44から外れることによって温度上昇が抑制されると共に、放熱して温度が低下する。また、新たに照射口44と対向する場合には、温度が低下した部分が対向することになるため、紫外線照射に伴う温度上昇によって透過部材43が高温になるのが抑制される。したがって、用紙12に対する紫外線の照射を継続した状態で透過部材43の温度上昇を抑制することができる。
【0052】
(2)ピニオンモーター52を駆動して透過部材43を移動させると、透過部材43が移動する方向において照射口44と対向する位置よりも上流側で照射口44とは非対向となる位置において透過部材43における用紙12と対向する表面43a側から異物が第1,第2ワイパー54,55によって除去される。そのため、第1,第2ワイパー54,55によって除去された異物は、透過部材43における照射口44と対向する位置に集積されることがない。そして、透過部材43は、用紙12と対向する表面43a側から第1,第2ワイパー54,55によって異物が除去された状態で照射口44と対向するようになる。したがって、透過部材43における紫外線の透過率の低下を抑制することができる。
【0053】
(3)第1,第2ワイパー54,55が透過部材43における用紙12と対向する表面43a側に対して、透過部材43の移動方向と交差した一方向に延びる規制ラインに沿って異物の通過を規制するための規制力を付与することで、異物が透過部材43から除去されるようになる。しかも、第1,第2ワイパー54,55は、透過部材43に対する異物の通過を規制するために形成する規制ラインが透過部材43の移動方向に対して斜めの方向に延びるように設けられているため、透過部材43から異物を除去する際に規制ラインのところで堰き止められた状態にある異物を次第に第1,第2回収部60,61側に移動させることができる。
【0054】
(4)例えば、透過部材43が搬送方向Xの下流側へ移動する場合には、照射口44と対向する位置よりも上流側に位置する第1ワイパー54が透過部材43から異物の除去を行う。したがって、第1,第2ワイパー54,55に透過部材43から異物を除去する際の受け持ち領域を割り当てることができるため、透過部材43の移動量を減らして省スペース化を図ることができると共に、紫外線照射装置38を搭載する装置の小型化に貢献することができる。
【0055】
(5)透過部材43と共に移動する異物を第1,第2ワイパー54,55によって係止して規制力を付与することにより、異物が規制ラインを通過するのを抑制することができる。
【0056】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態を図5,図6に従って説明する。なお、第2の実施形態は、第1の実施形態とは紫外線照射装置の構成を変更した点でのみ相違しており、その他の構成は共通しているため、同様の構成部分については同一の符号を付すことで、その詳細な説明を省略する。
【0057】
図5及び図6に示すように紫外線照射装置68は、円板状の透過部材69を有している。なお、本実施形態の透過部材69は、透明なシリコーン樹脂によって形成されると共に、照射機42と用紙12との間となる位置に設けられて紫外線を透過させる。そして、透過部材69の中心には孔70が形成されると共に、孔70の周縁に沿って用紙12とは非対向となる裏面69b側に突出する円筒状の凸部71が形成されている。なお、凸部71は、外面72に凹凸が形成されて歯車状になっていると共に、移動モーター73に連結された歯車74と噛合している。そして、透過部材69は、移動モーター73の駆動に伴って、用紙12と平行な態様で移動方向としての回転方向R1に回転する。したがって、移動モーター73、歯車74は透過部材移動手段として機能する。
【0058】
また、孔70には、基端部が図示しないハウジングに固定されると共に、先端部76aがL字状に湾曲した非回転部76が挿通されている。そして、非回転部76の先端部76aには、該先端部76aが延びる方向よりも回転方向R1の前方に向かって延びる規制ラインに沿って透過部材69の表面69aに接触するように規制力付与手段としての第3ワイパー77が設けられている。
【0059】
したがって、透過部材69は、透過部材69が回転に伴って第3ワイパー77と接触し、異物が清掃される周縁側の清掃領域Bと、孔70付近の第3ワイパー77とは非接触となる非清掃領域Cとに区画される。そして、照射機42及び送風機47は、清掃領域Bと対向するように、透過部材69の中心から離れた周縁側の位置に各々設けられている。
【0060】
なお、第3ワイパー77は、回転方向R1において照射機42と対向する紫外線照射領域Aよりも上流側位置であって、且つ送風機47と対向する領域よりも下流側位置において、回転方向R1と交差するように設けられている。また、透過部材69と隣接する位置であって第3ワイパー77と交差する位置には、異物回収口(図示略)を有する第3回収部78が設けられている。
【0061】
次に、上記のように構成された本実施形態のプリンター11の作用について、紫外線照射装置68によって用紙12に付着したインクを硬化させて印刷を定着させる場合を中心に説明する。なお、本実施形態における移動モーター73は、用紙12に対する紫外線照射中に常に駆動されて透過部材69は連続回転しているものとする。
【0062】
さて、印刷部14においてインクが付着した用紙12が搬送されると、用紙12は照射口44と対向して紫外線が照射されることによりインクが硬化して印刷が定着する。そして、第3ワイパー77は、回転方向R1において紫外線照射領域Aよりも上流側に設けられているため、異物が第3ワイパー77の紫外線照射領域Aに臨む側とは反対の側に堰き止められて集積する。さらに、第3ワイパー77は、回転方向R1に対して斜めに設けられているため、透過部材43の回転方向R1における下流側に位置する周縁側(規制ラインの斜め後方側)により多くの異物が集まり、第3回収部78に回収される。
【0063】
また、透過部材43は、紫外線照射領域Aに位置する被照射部分が紫外線を受光して温度が上昇するのに対し、照射口44とは非対向となる部分は送風機47によって冷却されて温度が低下する。
【0064】
したがって、透過部材69は回転しているため、透過部材69のうち送風機47によって冷却されて温度が低下した部分が、第3ワイパー77によって異物が除去された状態で照射口44と対向する。さらに、照射口44と対向して温度の上昇した部分は、照射口44と対向する位置から外れて送風機47の送風によって冷却される。
【0065】
上記第2の実施形態によれば、第1の実施形態における(1)〜(5)の効果に加えて、さらに以下のような効果を得ることができる。
(6)透過部材69を連続して回転方向R1に回転させることで複雑な制御が不要となり、簡単な制御で透過部材69の温度上昇を抑制しつつ、透過部材69の表面を清掃することができる。また、透過部材69は回転するため、第3ワイパー77を固定した状態で第3回収部78に異物を集めることができる。したがって、第3ワイパー77を変位させるための機構が不要となり、紫外線照射装置68の構成を簡素化することができる。
【0066】
(7)第3ワイパー77は、紫外線照射領域A以外の領域であって透過部材69において送風機47と対向する位置よりも回転方向R1の下流側に設けたため、第3ワイパー77は、送風機47の送風によって冷却された透過部材69を払拭する。したがって、第3ワイパー77の温度上昇を抑制し、第3ワイパー77の劣化を抑制することができる。
【0067】
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態を図7に従って説明する。なお、第3の実施形態は、第1の実施形態とは紫外線照射装置の構成を変更した点でのみ相違しており、その他の構成は共通しているため、同様の構成部分については同一の符号を付すことで、その詳細な説明を省略する。
【0068】
図7に示すように、紫外線照射装置80は、照射機42を囲むように設けられた複数(本実施形態では4つ)の透過部材移動手段としての第3〜第6ローラー81〜84を有している。そして、幅方向Y(図2参照)に延びる第3〜第6ローラー81〜84には、可撓性を有して無端状に形成された透過部材85が巻き掛けられている。すなわち、透過部材85は、照射口44と用紙12との間を通過して周回運動するように設けられている。
【0069】
また、本実施形態の透過部材85は、紫外線を透過するシリコーンゴムによって形成されている。そして、透過部材85は、第3〜第6ローラー81〜84の回転駆動に伴う移動方向としての周回方向R2(本実施形態では図7における時計回り方向)に照射機42の周囲を回動する。なお、図7の拡大図に示すように、透過部材85には、用紙12と対向する表面85aに凹凸を形成するレンズ加工が施され、マイクロレンズ86が形成されている。
【0070】
さらに、周回方向R2において、透過部材85が照射口44と対向する紫外線照射領域Aよりも上流側であって、且つ透過部材85が用紙12と対向するターゲット対向領域としての対向領域Dよりも上流側となる位置には、規制力付与手段及び異物除去手段としてのエアナイフ87が設けられている。なお、エアナイフ87は、空気(気体)に運動エネルギーを与え、幅方向Y(図2参照)に沿って延びる規制ライン(図示略)に、周回方向R2の下流側から上流側に向かって送風機47よりも勢いよく風を吹き付けるものである。したがって、風が吹き付けられて規制力が与えられた異物は、透過部材85から吹き飛ばされる。また、紫外線照射装置80は、吹き飛ばした異物を回収する図示しない回収部を有している。
【0071】
次に、上記のように構成された本実施形態のプリンター11の作用について、紫外線照射装置80によって用紙12に付着したインクを硬化させて印刷を定着させる場合を中心に説明する。なお、本実施形態における第3〜第6ローラー81〜84は、用紙12に対する紫外線照射中に常に駆動されて透過部材85を連続回動させるものとする。
【0072】
さて、印刷部14においてインクが付着した用紙12が搬送されると、用紙12は照射口44と対向して紫外線が照射されることによりインクが硬化して印刷が定着する。なお、このとき照射口44から照射された紫外線は、透過部材85に形成されたマイクロレンズ86によって集光され、紫外線の拡散が抑制された状態で用紙12に対して照射される。
【0073】
そして、紫外線照射装置80は、照射機42が紫外線を照射している間、透過部材85を周回運動させる。そのため、透過部材85において、紫外線照射領域Aに位置して温度が上昇した被照射部分が周回方向R2の下流側へ移動し、これにより照射口44とは非対向となって温度上昇が抑制され、さらに周回方向R2の下流側へ移動すると、エアナイフ87から風が吹き付けられて異物が除去される。また、透過部材85は、風が吹き付けられることによって冷却されて温度が低下する。したがって、透過部材85は、異物が除去されると共に温度が低下した部分が再び紫外線照射領域Aへ移動する。
【0074】
上記第3の実施形態によれば、第1の実施形態及び第2の実施形態における(1)〜(7)の効果に加えて、さらに以下のような効果を得ることができる。
(8)第3〜第6ローラー81〜84は、照射口44と対向する位置を通過して周回運動するように設けられた透過部材85を回動させるため、透過部材85のうち紫外線照射領域Aから外れた部分は回動する間に放熱する。そのため、透過部材85において一旦は紫外線の照射を受けて温度上昇した部分を、その温度が低下した状態で再び照射口44に対向させることができる。さらに、例えば板状の透過部材を紫外線の照射方向と交差する方向へ直線的に変位させる場合に比べて省スペース化が図れ、紫外線照射装置80を搭載する装置の小型化に貢献することができる。
【0075】
(9)照射機42から照射された紫外線が、透過部材85を透過する際にマイクロレンズ86によって集光されて用紙12に照射される。したがって、照射機42から照射された紫外線の拡散を抑制し、効率よく用紙12に照射することができる。さらに、例えば、レンズ加工が施されて表面に凹凸を有する透過部材85であっても、エアナイフ87が風を吹き付けて透過部材85を非接触な状態で異物を除去することができる。したがって、透過部材85の表面状態に関わらず該透過部材85から異物除去をすることができる。
【0076】
(10)運動エネルギーを与えた空気により、透過部材85に付着した異物を吹き飛ばして異物が規制ラインを通過するのを抑制することができる。
(11)エアナイフ87を対向領域Dよりも周回方向R2の上流側に設けると共に、その位置でエアナイフ87が透過部材85に対して周回方向R2の下流側から上流側に向かって風を吹き付けることにより、透過部材85から除去した異物が対向領域D側に飛散して用紙12に付着する虞を低減することができる。
【0077】
(第4の実施形態)
次に、本発明の第4の実施形態を図8に従って説明する。なお、第4の実施形態は、第3の実施形態とは透過部材の構成を変更した点でのみ相違しており、その他の構成は共通しているため、同様の構成部分については同一の符号を付すことで、その詳細な説明を省略する。
【0078】
図8に示すように、紫外線照射装置89は、幅方向Y(図2参照)に沿って延びる複数の履板90が無端状に連結されて形成された透過部材91を有している。そして、透過部材91は、第3〜第6ローラー81〜84に巻き掛けられ、照射口44と用紙12との間を通って周回方向R2に周回運動するようになっている。
【0079】
なお、履板90とは、無限軌道を構成する1つの要素であり、本実施形態における各履板90は、周回方向R2において互いに隣り合う履板90同士が、照射口44から用紙12へ向かう照射方向に重なりを有して連結されている。すなわち、透過部材91は、用紙12と対向する対向領域Dに位置する履板90同士の重なり部分において、搬送方向Xの上流側(周回方向R2の上流側)に位置する履板90の方が下流側に位置する履板90よりも用紙12に対して近い位置で対向するように重なりを有している。なお、各履板90同士は、隙間Sを形成して連結されている。そして、各履板90は、紫外線を透過すると共に、用紙12と対向する表面側にレンズ加工が施されてレンズ92を形成している。
【0080】
また、紫外線照射装置89は、周回方向R2において対向領域Dよりも上流側となる位置に設けられた規制力付与手段及び異物除去手段としてのエアナイフ87と、該エアナイフ87によって除去された異物を回収する図示しない回収部とを有している。
【0081】
次に、上記のように構成された本実施形態のプリンター11の作用について、紫外線照射装置89によって用紙12に付着したインクを硬化させて印刷を定着させる場合を中心に説明する。なお、本実施形態における第3〜第6ローラー81〜84は、用紙12に対する紫外線照射中に常に駆動されて透過部材91は連続回動しているものとする。
【0082】
さて、印刷部14においてインクが付着した用紙12が搬送されると、用紙12は照射口44と対向して紫外線が照射されることによりインクが硬化して印刷が定着する。なお、照射口44から照射された紫外線は、透過部材91に形成されたレンズ92によって集光され、拡散が抑制された状態で用紙12に対して照射される。
【0083】
そして、照射機42が紫外線を照射している間、第3〜第6ローラー81〜84が回転しているため、透過部材91は周回運動する。したがって、透過部材91において、紫外線照射領域Aに位置して温度が上昇した被照射部分は、周回方向R2の下流側へ移動する。すると、照射口44とは非対向となって温度上昇が抑制され、さらにエアナイフ87から風が吹き付けられて異物が除去される。また、透過部材91は、吹き付けられた風が隙間Sを通過して履板90の両面から該履板90を冷却する。したがって、透過部材91は、異物が除去されると共に温度が低下した部分が再び紫外線照射領域Aへ移動する。
【0084】
上記第4の実施形態によれば、第1の実施形態〜第3の実施形態における(1)〜(11)の効果に加えて、さらに以下のような効果を得ることができる。
(12)複数の履板90を連結しているため、履板90同士が隙間Sを有して放熱性に優れ、紫外線を受光して上昇した温度を速やかに下げることができる。
【0085】
(13)透過部材91は、用紙12と対向する場合に搬送方向Xの上流側に位置する履板90の方が下流側に位置する履板90よりも用紙12に対して近い位置で対向するように、周回方向R2で隣り合う履板90同士が部分的な重なりを有して連結されている。そのため、履板90の連結箇所への用紙12の引っ掛かりを抑制することができる。
【0086】
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・図9に示すように、透過部材94は湾曲していてもよい。すなわち、透過部材94を断面視円弧状とし、軸(図示略)を中心に回動して移動させるようにしてもよい(変形例)。なお、図9におけるその他の構成は、第1の実施形態と共通しているため、同様の構成部分については同一の符号を付すことで、その詳細な説明を省略する。
【0087】
そして、制御部63は、透過部材94を図9において実線で示す位置から二点鎖線で示す位置へ移動させる場合には、図9に示すように透過部材94の移動方向において上流側となる第1ワイパー54を接触位置に位置させる。さらに、制御部63は、透過部材94の移動方向において下流側となる第2ワイパー55を離間位置に位置させる。一方、透過部材94を図9において二点鎖線で示す位置から実線で示す位置へ移動させる場合には、制御部63は、透過部材94の移動方向において下流側となる第1ワイパー54を離間位置に位置させる。さらに、制御部63は、上流側となる第2ワイパー55を接触位置に位置させる。
【0088】
なお、透過部材94は、例えば第1ワイパー54が接触位置に位置した状態で、第1ワイパー54と透過部材94とが非接触となる位置にまで移動させてもよい。これにより、透過部材94上に異物が溜まるのを抑制することができる。
【0089】
・第4の実施形態において、各履板90を、対向領域Dに位置する履板90同士の重なり部分において、搬送方向Xの下流側に位置する履板90を用紙12と対向させるように重ねて連結してもよい。また、重なり部分において履板90同士を接触させるように連結して隙間Sを形成しないようにしてもよい。そして、各履板90を放射方向に重なりを有さないように連結してもよい。さらに、各履板90は、周回方向R2に隙間を有するように連結してもよい。
【0090】
・第3,第4の実施形態において、エアナイフ87は、周回方向R2において紫外線照射領域Aよりも上流側であって、且つ対向領域D内に設定した規制ラインに対して風を吹き付けるように設けてもよい。
【0091】
・第3,第4の実施形態において、エアナイフ87は、気体を圧縮した状態で収容するボンベを有し、該ボンベから勢いよく気体を吹き付けるようにしてもよい。
・第1,第2の実施形態において、エアナイフ87を設けてもよい。また、第1の実施形態において、制御部63は、透過部材43の移動方向の上流側に配置したエアナイフ87を駆動すると共に、透過部材43の移動方向の下流側に配置したエアナイフ87の駆動を停止するように制御してもよい。さらに、第3,第4の実施形態において、透過部材85,91に接触して清掃するワイパーを設けてもよい。
【0092】
・第1,第2の実施形態において、透過部材43,69にレンズ加工を施し、レンズ(マイクロレンズ)を形成してもよい。また、第3,第4の実施形態において、透過部材85,91にレンズ加工を施さないようにしてもよい。また、透過部材43,69,85,91の照射機42と対向する裏面側にレンズ加工を施してもよい。
【0093】
・第1,第2の実施形態において、第1〜第3ワイパー54,55,77は、異物を引っ掛けるように払拭するブラシとしてもよい。
・第1の実施形態において、第1,第2ワイパー54,55は、屈曲していてもよい。すなわち、例えば第1ワイパー54の中央部で屈曲させて搬送方向Xの上流側に位置させると共に、第1一端部54aと第1他端部54bを搬送方向の下流側に位置させるようにしてもよい。これにより、第1ワイパー54に払拭されて集積した異物は、幅方向Yの両側に移動する。したがって、異物の移動距離が短くなるため、異物を容易に透過部材43上から除去することができる。
【0094】
・第1の実施形態において、搬送方向Xにおける透過部材43の両側位置に、幅方向Yに延びるラックを固定し、透過部材43を幅方向Yに沿って移動させるようにしてもよい。これによれば、用紙12の搬送経路外に第1,第2ワイパー54,55を設けることができるため、用紙12と透過部材43との間隔を狭めて紫外線の拡散を抑制することができる。また、第3,第4の実施形態において、第3〜第6ローラー81〜84を搬送方向Xに沿って延びるように設け、透過部材85,91を幅方向Yに沿うように周回運動させてもよい。
【0095】
・上記各実施形態において、第1〜第3ワイパー54,55,77、及びエアナイフ87の向きは、透過部材43,69の移動方向と交差する方向において任意に設定することができる。すなわち、例えば第1,第2ワイパー54,55を、幅方向Yに沿って設けるようにしてもよい。また、第3ワイパー77を径方向に沿って設けるようにしてもよい。そして、エアナイフ87を周回方向R2と交差して斜めの方向に沿うように設けてもよい。
【0096】
・上記各実施形態において、透過部材43,69,85,91は、耐熱性、耐紫外線性を有して紫外線を透過する、例えばガラスや樹脂などによって任意に形成することができる。
【0097】
・上記各実施形態において、第1〜第3ワイパー54,55,77もしくはエアナイフ87は、透過部材43,69,85,91において、照射機42と対向する裏面側を清掃するようにしてもよい。
【0098】
・上記各実施形態において、第1〜第3ワイパー54,55,77、及びエアナイフ87を紫外線を透過しない部材で構成して遮蔽手段として機能させてもよい。すなわち、例えば第1ワイパー54が紫外線を遮蔽することにより、用紙12以外への紫外線照射を抑制することができる。したがって、印刷部14側への紫外線の漏れが抑制されて、第1〜第6ヘッド31〜36から噴射される前のインクが固まってしまう虞を低減することができる。なお、この場合には、第1〜第3ワイパー54,55,77、及びエアナイフ87は、印刷部14側となる搬送方向Xの上流側において照射口44の形状に沿って設けられていることが好ましい。
【0099】
・上記各実施形態において、プリンター11は、幅方向Yに亘って延びる第1〜第6ヘッド31〜36が配置されたラインプリンターとしたが、幅方向Yに沿って移動するヘッドを備えたシリアルプリンターとしてもよい。また、平坦な支持面を有するプラテンを用い、該プラテンの上方にヘッドを設けるプリンターとしてもよい。さらに、搬送手段として搬送ベルトやローラーなどを有し、単票紙を搬送して印刷を施すプリンターとしてもよい。
【0100】
・上記各実施形態において、第1〜第6ヘッド31〜36からのインクの噴射によらずに孔版印刷等の他の印刷処理により印刷面12aにインクが付着した用紙12に紫外線を照射して印刷を定着させるようにしてもよい。また、印刷処理を施す装置と、紫外線照射装置38,68,80,89とを個別に備えてもよい。
【符号の説明】
【0101】
11…プリンター(記録装置)、12…用紙(ターゲット)、16…巻き軸(搬送手段)、17…第1ローラー(搬送手段)、18…プラテンドラム(搬送手段)、19…第2ローラー(搬送手段)、20…巻き取り軸(搬送手段)、31〜36…第1〜第6ヘッド(記録手段)、38,68,80,89…紫外線照射装置、42…照射機(照射手段)、43,69,85,91,94…透過部材、44…照射口、51…ラック(透過部材移動手段)、52…ピニオンモーター(透過部材移動手段)、53…ピニオン(透過部材移動手段)、54,55,77…第1〜第3ワイパー(規制力付与部材、異物除去手段)、56,57…第1,第2カムモーター(異物除去手段)、58,59…第1,第2カム機構(異物除去手段)、63…制御部(選択手段)、73…移動モーター(透過部材移動手段)、74…歯車(透過部材移動手段)、81〜84…第3〜第6ローラー(透過部材移動手段)、87…エアナイフ(規制力付与部材、異物除去手段)、90…履板、D…対向領域(ターゲット対向領域)、R1…回転方向(移動方向)、R2…周回方向(移動方向)、X…搬送方向。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
紫外線硬化材が付着したターゲットに対して照射口から紫外線を照射する照射手段と、
該照射手段の前記照射口と前記ターゲットとの間を前記紫外線の照射方向と交差する方向への移動自在に設けられた前記紫外線を透過する透過部材と、
該透過部材において前記照射口と対向して前記紫外線を照射される部分が変更されるように前記透過部材を移動させる透過部材移動手段と、
前記照射口と対向する位置よりも前記透過部材移動手段が前記透過部材を移動させる方向における上流側で前記照射口とは非対向となる位置において前記透過部材における前記ターゲットと対向する側から異物を除去する異物除去手段と
を備えたことを特徴とする紫外線照射装置。
【請求項2】
前記異物除去手段は、前記透過部材移動手段により移動させられる前記透過部材における前記ターゲットと対向する側に対して前記透過部材の移動方向と交差した一方向に延びる規制ラインに沿って前記異物の通過を規制するために前記異物に規制力を付与する規制力付与部材を有し、該規制力付与部材は、前記規制ラインが前記透過部材の移動方向に対して斜めの方向に延びるように設けられることを特徴とする請求項1に記載の紫外線照射装置。
【請求項3】
前記透過部材移動手段は、前記透過部材を往復移動させるように構成されると共に、前記異物除去手段は、前記透過部材の移動方向において前記照射口と対向する位置の両側位置に設けられた1対の異物除去手段を含んで構成され、
前記両異物除去手段のうち、前記透過部材の移動方向において前記照射口と対向する位置よりも上流側に位置する方の異物除去手段を前記透過部材から異物を除去するために使用する異物除去手段として選択する選択手段をさらに備えたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の紫外線照射装置。
【請求項4】
前記異物除去手段は、前記透過部材に接触するワイパーであって、
該ワイパーは、前記透過部材と共に移動する前記異物を係止して該異物に規制力を付与することを特徴とする請求項1〜請求項3のうち何れか一項に記載の紫外線照射装置。
【請求項5】
前記異物除去手段は、気体に運動エネルギーを与えて前記透過部材に吹き付けることにより、前記異物に規制力を付与することを特徴とする請求項1〜請求項3のうち何れか一項に記載の紫外線照射装置。
【請求項6】
前記透過部材には、紫外線の透過方向を調整するためのレンズ加工が施されていることを特徴とする請求項1〜請求項5のうち何れか一項に記載の紫外線照射装置。
【請求項7】
前記ターゲットに対して紫外線硬化材を付着させて記録を施す記録手段と、
前記ターゲットを搬送方向の上流側から下流側へ搬送する搬送手段と、
前記記録手段よりも前記搬送方向の下流側に設けられる請求項1〜請求項6のうち何れか一項に記載の紫外線照射装置と
を備えることを特徴とする記録装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−126151(P2011−126151A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−287309(P2009−287309)
【出願日】平成21年12月18日(2009.12.18)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】