説明

紫外線硬化型樹脂組成物、硬化物及び物品

【課題】有機色素記録層を有する光ディスクにおいて、優れた記録信号特性及び耐久性を付与できる紫外線硬化型樹脂組成物の提供。
【解決手段】紫外線硬化型樹脂組成物は、有機色素記録層を有する光ディスクに適用される紫外線硬化型樹脂組成物であって、(A)下記一般式(1)で示される構造を有する(メタ)アクリレート及び(B)光重合開始剤を含有すること。(式中、nは2〜16の整数を示す。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機色素記録層を有する光ディスクに有用な紫外線硬化型樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、実用化されている光ディスク記録媒体としては、厚さ1.2mmのポリカーボネート基板上に記録層、反射層、紫外線硬化型樹脂からなる保護層を積層したCD−R、CD−RWや、厚さ0.6mmのポリカーボネート基板と、記録層及び反射層を備えた厚さ0.6mmのポリカーボネート基板を紫外線硬化型樹脂で貼り合わせて構成されるDVD−R、DVD+R、DVD−RW、DVD+RW、DVD−RAMが存在している。
【0003】
また、近年、単層タイプのDVDの約5倍の記録容量を有するブルーレイディスク(BD−R)が発売されている。ブルーレイディスクは、厚さ1.1mmの透明または不透明のプラスチック製の基板上に反射層、記録層及び界面層を形成し、ついで界面層上に厚さ約0.1mmの光透過層を積層した構造で、光透過層を通して記録/再生するディスクである。記録層には有機色素や無機化合物、界面層としては光透過性の無機物、光透過層としては紫外線硬化型樹脂の硬化物層が使用されている。
【0004】
有機色素からなる記録層を有するブルーレイディスクでは、記録層にレーザー光を照射し、有機色素の体積変化による変形を利用して記録を行う。色素の体積変化を補助し、優れた記録信号特性(例えば、ジッタ特性)を得る目的で、界面層上に25℃での弾性率が40MPa以下の硬化性樹脂を形成させる技術(特許文献1)、25℃での弾性率が34〜96MPaの硬化性樹脂を形成させる技術(特許文献2)が提案されている。
【0005】
また、前述の光ディスク記録媒体の信頼性の評価指標として、温度80℃/相対湿度80%RHの環境下で100時間放置する環境試験が行われている。この環境試験前後の記録信号の劣化度合いを所定の範囲以内にするために、界面層上に5℃と55℃での弾性率が共に100MPa以下であり、かつ5℃の弾性率と55℃の弾性率の比が10以下である硬化性樹脂を形成させる技術(特許文献3)が提案されている。
【0006】
しかしながら、特許文献1〜3には界面上に形成する硬化性樹脂の具体例が示されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】日本国特許出願公開2008−123631号公報
【特許文献2】日本国特許出願公開2008−269703号公報
【特許文献3】日本国特許出願公開2009−026379号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、有機色素記録層を有する光ディスクにおいて、優れた記録信号特性及び耐久性を付与できる紫外線硬化型樹脂組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、特定の構造を有する(メタ)アクリレートを含有する紫外線硬化型樹脂組成物によれば、有機色素記録層を有する光ディスクに優れた記録信号特性及び耐久性を付与できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
即ち、本発明は、次の〔1〕〜〔11〕に関するものである。
〔1〕 有機色素記録層を有する光ディスク用紫外線硬化型樹脂組成物であって、(A)下記一般式(1)で示される構造を有する(メタ)アクリレート及び(B)光重合開始剤を含有する紫外線硬化型樹脂組成物。
【0011】
【化1】

【0012】
(式中、nは2〜16の整数を示す。)
〔2〕 一般式(1)で示される構造を有する(メタ)アクリレート(A)が下記一般式(2)である、上記〔1〕記載の紫外線硬化型樹脂組成物。
【0013】
【化2】

【0014】
(式中、nは7〜13の整数を示す。)
〔3〕 一般式(1)で示される構造を有する(メタ)アクリレート(A)が、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレンオキサイド変性ノニルフェニル(メタ)アクリレート、ポリプロピレンオキサイド変性ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレンオキサイド変性1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレンオキサイド変性ビスフェノールA型ジ(メタ)アクリレート及びメトキシトリプロピレングリコール(メタ)アクリレートからなる群から選ばれる1種以上である、上記〔1〕または上記〔2〕に記載の紫外線硬化型樹脂組成物。
〔4〕 (C)(A)以外の(メタ)アクリレートを含有する、上記〔1〕〜〔3〕の何れか1項に記載の紫外線硬化型樹脂組成物。
〔5〕 一般式(1)で示される構造を有する(メタ)アクリレート(A)が、組成物全体に対して10〜95重量%含まれる、上記〔1〕〜〔4〕のいずれか1項に記載の紫外線硬化型樹脂組成物。
〔6〕 (A)以外の(メタ)アクリレート(C)が、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステルポリオール又はポリエーテルポリオールとポリイソシアネートとヒドロキシ(メタ)アクリレートとの反応物、及びエチレンオキサイド変性ビスフェノールA型ジアクリレートからなる群から選ばれる1種以上である、上記〔1〕〜〔5〕のいずれか1項に記載の紫外線硬化型樹脂組成物。
〔7〕 上記〔1〕〜〔6〕のいずれか1項に記載の紫外線硬化型樹脂組成物に活性エネルギー線を照射して得られる硬化物。
〔8〕 光ディスク基板に、上記〔1〕〜〔6〕のいずれか1項に記載の紫外線硬化型樹脂組成物を塗布し、活性エネルギー線を照射して得られる光ディスク。
〔9〕 基板上に反射層、有機色素記録層、界面層及び光透過層をこの順に有するブルーレイディスクの前記光透過層の形成材料として用いられる紫外線硬化型樹脂組成物であって、(A)下記一般式(3)で示される構造を有する(メタ)アクリレート及び(B)光重合開始剤を含有する紫外線硬化型樹脂組成物。
【0015】
【化3】

【0016】
(式中、nは2〜16の整数を示す。)
〔10〕 一般式(3)で示される構造を有する(メタ)アクリレート(A)が下記一般式(4)である、上記〔9〕記載の紫外線硬化型樹脂組成物。
【0017】
【化4】

【0018】
(式中、nは7〜13の整数を示す。)
〔11〕 基板上に反射層、有機色素記録層、界面層及び光透過層をこの順に有するブルーレイディスクであって、前記光透過層が上記〔1〕〜〔6〕または上記〔9〕〜〔10〕のいずれか一項に記載の紫外線硬化型樹脂組成物に活性エネルギー線を照射して得られる硬化物からなるブルーレイディスク。
【発明の効果】
【0019】
有機色素記録層を有する光ディスクの光透過層に、本発明の一般式(1)で示される構造を有する(メタ)アクリレートを含有する紫外線硬化型樹脂組成物を使用した場合、記録時及び高温高湿下での長時間の使用において信頼性の高い光ディスクを提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の有機色素記録層を有する光ディスク用紫外線硬化型樹脂組成物(以下、単に「紫外線硬化型樹脂組成物」という)は、下記一般式(1)で示される構造を有する(メタ)アクリレート(A)及び光重合開始剤(B)を含有する。尚、本発明において(メタ)アクリレートとはメタクリレート又はアクリレートを意味し、その種類は特に限定されない。
【0021】
【化5】

【0022】
(式中、nは2〜16の整数を示す。)
【0023】
本発明の紫外線硬化型樹脂組組成物に含有される一般式(1)で示される構造を有する(メタ)アクリレート(A)としては、nが2〜16の範囲では制限されることなく使用することができる。また、一般式(1)で示される構造は直鎖でも分岐でも良いが、プロピレングリコール由来の分岐構造であることが望ましい。
一般式(1)で示される構造を有する(メタ)アクリレート(A)としては、優れた記録信号特性及び耐久性を付与するという見地から、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート(例えば、日油(株)社製ブレンマー AP−150:式中n=3、AP−400:式中n=6、AP−550:式中n=9、AP−800:式中n=13)、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート(例えば、日立化成工業(株)社製FANCRYL FA−P240A:式中n=7、FA−P270A:式中n=12)、ポリプロピレンオキサイド変性ノニルフェニル(メタ)アクリレート(例えば、東亜合成(株)社製M−117:式中n=2.5、第一工業製薬(株)社製ニューフロンティア NP−5P:式中n=5)及びメトキシトリプロピレングリコール(メタ)アクリレート(例えば、新中村化学(株)社製NKエステル AM−30PG:式中n=3)、ポリプロピレンオキサイド変性ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレンオキサイド変性1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレンオキサイド変性ビスフェノールA型ジ(メタ)アクリレート(例えば、第一工業製薬(株)社製ニューフロンティア BPP−6:式中n=6)が好ましい。
ここで、さらに優れた記録信号特性及び耐久性を付与するという見地から、分子中の(メタ)アクリロイル基の個数に応じて一般式(1)中のnの値が大きいものが特に好ましく、分子中に(メタ)アクリロイル基が1個の場合はnは2以上、(メタ)アクリロイル基が2個の場合はnは7以上であるのが好適である。具体的には、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート(例えば、日油(株)社製ブレンマー AP−150:式中n=3、AP−400:式中n=6、AP−550:式中n=9)、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート(例えば、日立化成工業(株)社製FANCRYL FA−P240A:式中n=7、FA−P270A:式中n=12)、ポリプロピレンオキサイド変性ノニルフェニル(メタ)アクリレート(例えば、東亜合成(株)社製M−117:式中n=2.5、第一工業製薬(株)社製ニューフロンティア NP−5P:式中n=5)及びメトキシトリプロピレングリコール(メタ)アクリレート(例えば、新中村化学(株)社製NKエステル AM−30PG:式中n=3)が挙げられる。
この場合において硬化物の脆さを改善する観点から、分子中に(メタ)アクリロイル基を2つ有する場合において、nの値が7〜13のものが好ましく、特にn=12のものが特に好ましい。
【0024】
(A)成分の紫外線硬化型樹脂組成物中の含有量は通常10〜95重量%、より好ましくは20〜95重量%、さらに好ましくは20〜80重量%である。10重量%未満では色素の体積変化を補助できず、記録信号特性の指標であるジッタ値(%)が悪くなる。ジッタ値(%)は20重量%以上であると特に良好となり、20〜95重量%の範囲が好ましい。
【0025】
本発明の紫外線硬化型樹脂組成物に含有される光重合開始剤(B)としては、特に限定はされないが、例えば、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(イルガキュアー184;チバ・スペシャリティ・ケミカルズ製)、2−ヒドロキシ−2−メチル−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパノールオリゴマー(ONE-Rifined)、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン(イルガキュアー2959;チバ・スペシャリティ・ケミカルズ製)、2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]−フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン(イルガキュアー127;チバ・スペシャリティ・ケミカルズ製)、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン(イルガキュアー651;チバ・スペシャリティ・ケミカルズ製)、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン(ダロキュア1173;チバ・スペシャリティ・ケミカルズ製)、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン(イルガキュアー907;チバスペシャリティ・ケミカルズ製)、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタン−1−オン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキサイド等を挙げることができる。
【0026】
本発明の紫外線硬化型樹脂組成物においては、これら(B)成分は、1種または2種以上を任意の割合で混合して使用することができる。(B)成分の紫外線硬化型樹脂組成物中の含有量は通常0.5〜20重量%、好ましくは1〜10重量%である。
【0027】
更に、光重合開始助剤となりうるアミン類等を上記の光重合開始剤(B)と併用することもできる。使用しうるアミン類等としては、安息香酸2−ジメチルアミノエチルエステル、ジメチルアミノアセトフェノン、p−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステルまたはp−ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステル等が挙げられる。該アミン類等の光重合開始助剤を使用する場合、本発明の紫外線硬化型樹脂組成物中の含有量は通常0.005〜5重量%、好ましくは0.01〜3重量%である。
【0028】
本発明の紫外線硬化型樹脂組成物は、上記成分以外にさらに(A)以外の(メタ)アクリレート(C)を含んでいても良い。
本発明の紫外線硬化型樹脂組成物に含有される(A)以外の(メタ)アクリレート(C)としては、例えば(メタ)アクリロイル基を1個以上有する(メタ)アクリレートを挙げることができる。本発明における(A)以外の(メタ)アクリレート(C)の種類は特に限定されないが、(C−1)エポキシ(メタ)アクリレート、(C−2)ウレタン(メタ)アクリレート、(C−3)(メタ)アクリレートモノマー等を用いることができる。特に、本発明においては(C)成分として、(C−1)エポキシ(メタ)アクリレート及び/又は(C−2)ウレタン(メタ)アクリレートと、(C−3)(メタ)アクリレートモノマーとをそれぞれ単独であるいは併用して用いることが好ましい。
【0029】
本発明において用いうるエポキシ(メタ)アクリレート(C−1)は、硬化性の向上や、硬化物の硬度、機械的強度(脆性)や硬化速度を向上させる機能がある。また、本発明において、エポキシ(メタ)アクリレートとしては、グリシジルエーテル型エポキシ化合物と、(メタ)アクリル酸を反応させることにより得られたものであればいずれも使用できるが、本発明で好ましく使用されるエポキシ(メタ)アクリレートを得るためのグリシジルエーテル型エポキシ化合物としては、ビスフェノールA或いはそのアルキレンオキサイド付加体のジグリシジルエーテル、ビスフェノールF或いはそのアルキレンオキサイド付加体のジグリシジルエーテル、水素添加ビスフェノールA或いはそのアルキレンオキサイド付加体のジグリシジルエーテル、水素添加ビスフェノールF或いはそのアルキレンオキサイド付加体のジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、ブタンジオールジグリシジルエーテル、へキサンジオールジグリシジルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル等を挙げることができる。
【0030】
エポキシ(メタ)アクリレートは、これらグリシジルエーテル型エポキシ化合物と、(メタ)アクリル酸を、下記のような条件で反応させることにより得られる。
【0031】
グリシジルエーテル型エポキシ化合物のエポキシ基1当量に対して、(メタ)アクリル酸を0.9〜1.5モル、より好ましくは0.95〜1.1モルの比率で反応させる。反応温度は80〜120℃が好ましく、反応時間は10〜35時間程度である。反応を促進させるために、例えばトリフェニルフォスフィン、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール(TAP)、トリエタノールアミン、テトラエチルアンモニウムクロライド等の触媒を使用するのが好ましい。又、反応中、重合を防止するために重合禁止剤として例えば、パラメトキシフェノール、メチルハイドロキノン等を使用することもできる。
【0032】
本発明において、エポキシ(メタ)アクリレート(C−1)としては、ビスフェノールA型のエポキシ化合物より得られた、ビスフェノールA型エポキシ(メタ)アクリレートがより好ましい。本発明において、エポキシ(メタ)アクリレート(C−1)の分子量としては500〜10000が好ましい。
【0033】
本発明において用いうるウレタン(メタ)アクリレート(C−2)は本発明の紫外線硬化型樹脂組成物を用いて貼り合せた光ディスクの機械的特性(反り、ゆがみ等)を向上させる機能がある。ウレタン(メタ)アクリレートは、多価アルコール、ポリイソシアネート及びヒドロキシ(メタ)アクリレート化合物を反応させることによって得られる。
【0034】
多価アルコールとしては、例えば、ネオペンチルグリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、(ポリ)エチレングリコール、(ポリ)プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、トリシクロデカンジメチロール、ビス−〔ヒドロキシメチル〕−シクロヘキサン等、これら多価アルコールと多塩基酸(例えば、コハク酸、フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、テレフタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、テトラヒドロ無水フタル酸等)との反応によって得られるポリエステルポリオール、多価アルコールとε−カプロラクトンとの反応によって得られるカプロラクトンアルコール、ポリカーボネートポリオール(例えば1,6−ヘキサンジオールとジフェニルカーボネートとの反応によって得られるポリカーボネートジオール等)又はポリエーテルポリオール(例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、エチレンオキサイド変性ビスフェノールA等)等が挙げられる。中でも、ポリエステルポリオール又はポリエーテルポリオールが好ましい。
【0035】
ポリイソシアネートとしては、例えばイソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート又はジシクロペンタニルイソシアネート等が挙げられる。中でも、イソホロンジイソシアネートが好ましい。
【0036】
ヒドロキシ(メタ)アクリレート化合物としては、例えばヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ジメチロールシクロヘキシルモノ(メタ)アクリレート、ヒドロキシカプロラクトン(メタ)アクリレート等が挙げられる。中でも、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートが好ましく、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートが特に好ましい。
【0037】
前記反応は、例えば、以下のようにして行う。即ち、多価アルコールにその水酸基1当量あたり有機ポリイソシアネートをそのイソシアネート基が好ましくは1.1〜2.0当量になるように混合し、反応温度を好ましくは70〜90℃で反応させ、ウレタンオリゴマーを合成する。次いで、ウレタンオリゴマーのイソシアネート基1当量あたり、ヒドロキシ(メタ)アクリレート化合物をその水酸基が好ましくは1〜1.5当量となるように混合し、70〜90℃で反応させて目的とするウレタン(メタ)アクリレートを得ることができる。また、UX−0937:ポリエーテル系ウレタンアクリレート(日本化薬(株)製)等として市場より入手することも可能である。ウレタン(メタ)アクリレート(C−2)の分子量としては400〜10000程度が好ましい。
【0038】
(A)以外の(メタ)アクリレート(C)として用いうる(メタ)アクリレートモノマー(C−3)は粘度、塗膜強度(機械強度)を調整するために用いることができ、その種類は特に限定されないが、例えば、(メタ)アクリロイル基を1つ有するものとして、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、イソミリスチル(メタ)アクリレート及びトリデシル(メタ)アクリレート等のC8〜C18アルキル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、モルホリン(メタ)アクリレート、フェニルグリシジル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、トリシクロデカン(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタジエンオキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルアクリレート(例えば、日立化成工業(株)社製FANCRYL FA−511A)、ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレート(例えば、日立化成工業(株)社製FANCRYL FA−512A)、ジシクロペンテニルオキシメタクリレート(例えば、日立化成工業(株)社製FANCRYL FA−512M)、ジシクロペンタニルアクリレート(例えば、日立化成工業(株)社製FANCRYL FA−513A)、ジシクロペンタニルメタクリレート(例えば、日立化成工業(株)社製FANCRYL FA−513M)、1−アダマンチルアクリレート(例えば、出光興産(株)社製Adamantate AA)、2−メチル−2−アダマンチルアクリレート(例えば、出光興産(株)社製Adamantate MA)、2−エチル−2−アダマンチルアクリレート(例えば、出光興産(株)社製Adamantate EA)、1−アダマンチルメタクリレート(例えば、出光興産(株)社製Adamantate AM)、エチレンオキサイド変性フェノキシ化リン酸(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ブトキシ化リン酸(メタ)アクリレート及びエチレンオキサイド変性オクチルオキシ化リン酸(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性フェノキシエチル(メタ)アクリレート等を挙げることができる。中でも、C8〜C18アルキル(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性フェノキシエチル(メタ)アクリレートが好ましい。(メタ)アクリロイル基を1つ有する(メタ)アクリレートモノマーは本発明の紫外線硬化型樹脂組成物を光透過層として形成させた光ディスクの機械的特性(反り、ゆがみ等の抑制)を向上させる機能を特に有する。
【0039】
(A)以外の(メタ)アクリレート(C)として用いうる(メタ)アクリレートモノマー(C−3)について(メタ)アクリロイル基を2個有する(メタ)アクリレートモノマーとしては、シクロヘキサン−1,4−ジメタノールジ(メタ)アクリレート、シクロヘキサン−1,3−ジメタノールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメチロールジ(メタ)アクリレート(例えば、日本化薬(株)社製、KAYARAD R−684、トリシクロデカンジメチロールジアクリレート等)、ジオキサングリコールジ(メタ)アクリレート(例えば、日本化薬(株)社製、KAYARAD R−604、ジオキサングリコールジアクリレート等)、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレート、1,10−デカンジオールジアクリレート、エチレンオキサイド変性1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)ジアクリレート、エチレンオキサイド変性ネオペンチルグリコールジ(メタ)ジアクリレート、ヒドロキシシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジアクリレート(KAYARAD HX−220、HX−620)、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールジアクリレート、エチレンオキサイド変性ビスフェノールA型ジ(メタ)アクリレート及びエチレンオキサイド変性リン酸ジ(メタ)アクリレート等を挙げることができる。中でも、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ビスフェノールA型ジ(メタ)アクリレートを用いることが好ましく、本発明においては、特に、エチレンオキサイド変性ビスフェノールA型ジ(メタ)アクリレートを用いることが好ましい。
【0040】
(A)以外の(メタ)アクリレート(C)として用いうる(メタ)アクリレートモノマー(C−3)について(メタ)アクリロイル基を3個有する(メタ)アクリレートモノマーとしては、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールオクタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンポリエトキシトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンポリプロポキシトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンポリエトキシポリプロポキシトリ(メタ)アクリレート、トリス[(メタ)アクロイルオキシエチル]イソシアヌレ−ト、カプロラクトン変性トリス[(メタ)アクリロイルオキシエチル]イソシアヌレ−ト、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等を挙げることができる。中でもプロピレンオキサイド3モル変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートを用いることが好ましい。
【0041】
(A)以外の(メタ)アクリレート(C)として用いうる(メタ)アクリレートモノマー(C−3)について(メタ)アクリロイル基を4個有する(メタ)アクリレートモノマーとしては、ペンタエリスリトールポリエトキシテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールポリプロポキシテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
【0042】
(A)以外の(メタ)アクリレート(C)として用いうる(メタ)アクリレートモノマー(C−3)について(メタ)アクリロイル基を5個有する(メタ)アクリレートモノマーとしては、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
【0043】
(A)以外の(メタ)アクリレート(C)として用いうる(メタ)アクリレートモノマー(C−3)について(メタ)アクリロイル基を6個有する(メタ)アクリレートモノマーとしては、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等を挙げることができる。なお、本発明において用いうる(メタ)アクリレートモノマーは、(メタ)アクリロイル基を7個以上有する多官能のものであってもよい。
【0044】
本発明の紫外線硬化型樹脂組成物においては、これら(C)成分は、1種または2種以上を任意の割合で混合して使用することができる。(C)成分の紫外線硬化型樹脂組成物中の含有量は通常0〜80重量%、好ましくは5〜70重量%である。また、(C)成分として(C−1)及び/又は(C−2)と(C−3)とを併せて用いる場合、通常(C−1)及び/又は(C−2)はそれぞれ光重合性化合物成分100重量部に対して5〜70重量部、好ましくは10〜60重量部程度であり、(C−3)は光重合性化合物成分100重量部に対して10〜80重量部、好ましくは20〜75重量部程度用いられる。尚、光重合性化合物とは、(メタ)アクリロイル基を有する化合物成分を指す。
【0045】
本発明の紫外線硬化型樹脂組成物には、必要に応じて防錆剤、酸化防止剤、有機溶剤、シランカップリング剤、重合禁止剤、レベリング剤、帯電防止剤、表面潤滑剤、蛍光増白剤、光安定剤(例えば、ヒンダードアミン化合物等)、充填剤等の添加剤を加えてもよい。ヒンダードアミン化合物は公知のものであれば特に限定なく使用することができるが、具体例として例えば、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルアルコール、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルアルコール、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル(メタ)アクリレート(アデカ(株)製、LA−82)などが挙げられる。
【0046】
本発明の紫外線硬化型樹脂組成物は、前記した各成分を常温〜80℃で混合溶解して得ることができ、必要により夾雑物をろ過等の操作により取り除いてもよい。本発明の紫外線硬化型樹脂組成物は、塗布性を考え、25℃の粘度が30〜2000mPa・sの範囲となるように、成分の配合比を適宜調節することが好ましい。
【0047】
本発明の紫外線硬化型樹脂組成物のより好ましい態様を以下に具体的に記載する。
1. 本発明の紫外線硬化型樹脂組成物の総量に対して、(A)前記一般式(2)で示される構造を有する(メタ)アクリレートを20〜95重量%、(B)光重合開始剤を1〜10重量%、(C)(A)以外の(メタ)アクリレートを0〜80重量%を含有する紫外線硬化型樹脂組成物。
2. (A)前記一般式(2)で示される構造を有する(メタ)アクリレートがポリプロピレングリコールジアクリレートで式中n=12である上記1に記載の紫外線硬化型樹脂組成物。
3. (C)(A)以外の(メタ)アクリレートとして(C−1)エポキシ(メタ)アクリレート又は(C−2)ウレタンアクリレートの少なくとも一方を含み、さらに(C−3)(メタ)アクリレートモノマーを含み、(C−1)及び/又は(C−2)は光重合性化合物成分100重量部に対して10〜60重量部であって、(C−3)は光重合性化合物成分100重量部に対して20〜75重量部である上記1または2のいずれか一項に記載の紫外線硬化型樹脂組成物。
4. (C−1)エポキシ(メタ)アクリレートの分子量が400〜10000であり、(C−2)ウレタン(メタ)アクリレートの分子量が500〜10000である上記1〜3のいずれか一項に記載の紫外線硬化型樹脂組成物。
5. (C−1)エポキシ(メタ)アクリレートがビスフェノールA型エポキシ樹脂をエポキシ基1モル当量と(メタ)アクリル酸1モル当量を反応させて得たエポキシ(メタ)アクリレートであり、(C−2)ウレタン(メタ)アクリレートがポリテトラメチレングリコール、イソホロンジイソシアネート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートをモル比1:2:2で反応させて得たウレタン(メタ)アクリレートである上記1〜4のいずれか一項に記載の紫外線硬化型樹脂組成物。
6. (C−3)(メタ)アクリレートモノマーが、エチレンオキサイド変性ビスフェノールA型ジ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド3モル変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、C8〜C18アルキル(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性フェノキシエチル(メタ)アクリレート及びポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレートからなる群から選ばれる少なくとも何れか一種である上記1〜5のいずれか一項に記載の紫外線硬化型樹脂組成物。
7. (C−3)(メタ)アクリレートモノマーが、エチレンオキサイド変性ビスフェノールA型ジ(メタ)アクリレート及びプロピレンオキサイド3モル変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートからなる群から選ばれる少なくとも何れか一種である上記1〜6のいずれか一項に記載の紫外線硬化型樹脂組成物。
【0048】
本発明の紫外線硬化型樹脂組成物は、記録層が有機色素材料から形成された光ディスクの光透過層のコート剤(光透過層形成用組成物)として好適に用いられる。光透過層は、記録層である有機色素層(以下、有機色素記録層と称する)の記録再生光レーザーが入射する側の面に直接又は界面層などの他の層を介して形成される層であり、有機色素記録層を保護する機能を有する。本発明の効果を奏する上では、本発明の紫外線硬化型樹脂組成物は、基材、反射層、記録層、界面層および光透過層がこの順に積層されたブルーレイディスクにおける光透過層形成用組成物として用いることが好ましい。
【0049】
本発明の紫外線硬化型樹脂組成物は、有機色素記録層上または界面層上に塗工された後、活性エネルギー線を照射されて硬化されることにより、光透過層を構成する。
本発明の紫外線硬化型樹脂組成物に活性エネルギー線を照射して得られる硬化物は、記録層にレーザー光を十分に照射するために、透過させる波長の光(ブルーレイディスクにおいては、405nm)の透過率が80%以上であることが好ましく、90%以上であることが特に好ましい。
【0050】
有機色素記録層の材料は、記録再生に使用するレーザー光の波長に感光性がある必要がある。さらに、有機色素記録層の材料はレーザー光の照射により物理変化あるいは化学反応することにより屈折率が変化する必要がある。そのため、有機色素記録層の材料としては、例えば、シアニン色素、オキソノール色素、アゾ色素、フタロシアニン色素、ポリフィリン系色素が挙げられる。これらの有機材料を例えば、セロソルブアセテート、テトラフルオロプロパノール等の溶剤と混合した溶液を用い、スピンコート法などにより有機色素記録層を形成する。有機色素記録層の膜厚は15nm以上、25nm以下が好ましい。
【0051】
界面層は、光透過層の成膜時における有機色素層に含まれる色素の光透過層への拡散や、光透過層の形成用の硬化樹脂の溶剤等の有機色素層への浸透などの混和現象を防止する機能がある。この界面層を構成する材料は、酸化ケイ素特に二酸化ケイ素や酸化亜鉛、酸化セリウム、酸化イットリウム、酸化インジウム(ITO)等の酸化物、硫化亜鉛、硫化イットリウムなどの硫化物、窒化ケイ素などの窒化物、炭化ケイ素、酸化物とイオウとの混合物、二酸化ケイ素と硫化亜鉛の混合物、酸化アルミニウム等が挙げられる。この界面層はスパッタリング等の方法で形成される。
【0052】
また、反射層としては、記録再生用波長として用いられる可視光、特に、青色波長領域で高反射率を有するAu、Ag、Alおよびこれらを主成分とする合金が挙げられる。反射層は、スパッタリング、イオンプレーティング、電子ビーム蒸着法などの方法で形成される。
【0053】
基材としては、一般的にDVDで使用されるポリカーボネート樹脂、ポリオレフィン樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂等を用いることができる。
【0054】
上記の通り、本発明の紫外線硬化型樹脂組成物は、ブルーレイディスク等のレーザー入射側の光透過層用コート剤として好適に使用できる。具体的には塗布した樹脂の膜厚が1〜100μmとなるように任意の方法、例えば、スピンコート法、2P法、ロールコート法、スクリーン印刷法等で組成物を光ディスク基板に塗工する。塗工後、片側もしくは両面から紫外〜近紫外(波長200〜400nm付近)の光線を照射して硬化させる。照射量は約50〜1500mJ/cm2が好ましく、特に好ましくは、100〜1000mJ/cm2程度である。紫外〜近紫外の光線照射による硬化には、紫外〜近紫外の光線を照射するランプであれば光源を問わない。例えば、低圧、高圧若しくは超高圧水銀灯、メタルハライドランプ、(パルス)キセノンランプ、または無電極ランプ等が挙げられる。
【0055】
また、本発明の紫外線硬化型樹脂組成物は、光透過層が複数の層からなる場合にも適用することができる。例えば、光透過層が記録層又は界面層上に形成される第一の樹脂層と、第一の樹脂層からみて記録層又は界面層側とは反対の面上に形成される第二の樹脂層から構成される場合において、前記第一の樹脂層に好適に使用することができる。
この場合において、前記第一の樹脂層の厚さは通常1μm〜50μmであり、好ましくは5μm〜40μm、より好ましくは10μm〜30μmである。
また、前記第二の樹脂層の厚さは通常50μm〜100μmであり、好ましくは60μm〜95μm、より好ましくは70μm〜90μmである。
【0056】
光透過層が二層から構成される場合において、光透過層の形成方法としては、具体的には第一の樹脂層として塗布した樹脂の膜厚が1〜50μmとなるように任意の方法、例えば、スピンコート法、2P法、ロールコート法、スクリーン印刷法等で組成物を光ディスク基板に塗工する。塗工後、片側もしくは両面から紫外〜近紫外(波長200〜400nm付近)の光線を照射して硬化させる。照射量は50〜1500mJ/cm2が好ましく、特に好ましくは、100〜1000mJ/cm2程度である。硬化後、第二の樹脂層として膜厚が50〜100μmとなるように任意の方法、例えば、スピンコート法、2P法、ロールコート法、スクリーン印刷法等で組成物を光ディスク基板に塗工する。塗工後、片側もしくは両面から紫外〜近紫外(波長200〜400nm付近)の光線を照射して硬化させる。照射量は約50〜1500mJ/cm2が好ましく、特に好ましくは、100〜1000mJ/cm2程度である。さらに紫外〜近紫外の光線照射による硬化には、紫外〜近紫外の光線を照射するランプであれば光源を問わない。例えば、低圧、高圧若しくは超高圧水銀灯、メタルハライドランプ、(パルス)キセノンランプ、または無電極ランプ等が挙げられる。
【0057】
本発明の紫外線硬化型樹脂組成物は、記録層が有機色素の場合だけでなく、銅合金等の無機化合物の場合でも好適に使用することができるが、記録層が有機色素の場合に特に顕著な効果を奏する。
【実施例】
【0058】
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はこれら実施例により何ら制限されるものではない。
【0059】
表1に示した組成からなる実施例1〜9、比較例1の紫外線硬化型樹脂組成物をそれぞれ調製した。
【0060】
【表1】

【0061】
なお、表1中に略称で示した各成分は下記の通りである。
M−117:プロピレンオキサイド2.5モル変性ノニルフェニルアクリレート、式中n=2.5、東亜合成(株)社製
NP−5P:プロピレンオキサイド5モル変性ノニルフェニルアクリレート、式中n=5、第一工業製薬(株)社製
AP−400:プロピレングリコールモノアクリレート、式中n=6、日油(株)社製
AM−30PG:メトキシトリプロピレングリコールアクリレート、式中n=3、新中村化学(株)社製
FA−P270A:ポリプロピレングリコールジアクリレート、式中n=12、日立化成工業(株)社製
TPGDA:トリプロピレングリコールジアクリレート、式中n=3、コグニス社製
TPA−330:プロピレンオキサイド3モル変性トリメチロールプロパントリアクリレート、式中n=1、日本化薬(株)社製
UA−1:ポリテトラメチレングリコール(分子量850)、イソホロンジイソシアネート、2−ヒドロキシエチルアクリレートの3成分をモル比1:2:2で反応させて得られたウレタンアクリレート
EA−1:ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量:185g/eq.)をエポキシ基1モル当量とアクリル酸1モル当量を酸化0.5mg・KOH/gまで反応させて得られたエポキシアクリレート
BPE−10:エチレンオキサイド10モル変性ビスフェノールA型ジアクリレート、第一工業製薬(株)社製
NPG−2P:プロピレンオキサイド2モル変性ネオペンチルグリコールジアクリレート、式中n=1、第一工業製薬(株)社製
イルガキュアー184:1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)社製
LA−82:1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルメタアクリレート、旭電化(株)社製
PMP:4−メルカプトフェノール
【0062】
得られた本発明の紫外線硬化型樹脂組成物を用いて有機色素記録層を有するブルーレイディスクを作製し、特性評価を行った。
【0063】
有機色素記録層を有するブルーレイディスクの作製(実施例1〜5、比較例1)
1.トラックピッチ0.32μmの案内溝を有する直径12cm、厚み1.1mmのポリカーボネート基板に銀合金を100nmの膜厚になるようスパッタし、反射層を形成した。その後、アゾ色素をTFP(テトラフルオロプロパノール)溶剤に溶かした色素溶液をスピンコート法により塗布し、80℃で30分間乾燥して有機色素記録層を形成した。さらに、ZnS−SiO(モル比80:20)を約15nmの厚みになるようスパッタし、界面層を形成し、ブルーレイディスク基板を作製した。
2.ブルーレイディスク基板を界面層が上になるようスピンテーブルに乗せ、内径11.5mmまで覆う様に円状のキャップ処理を行い、ついで本発明の紫外線硬化型樹脂組成物を2.0g中心部のキャップ上に供給した。
3.本発明の紫外線硬化型樹脂組成物の粘度に合わせ、1000rpmから1500rpmの速度範囲で4秒から7秒間スピンコートし、各塗布膜厚が25μmとなるよう塗布した。スピンコート終了間際にキセノンフラッシュランプを2ショット照射し、表面の流動性が無くなる程度に硬化させた。
4.高圧水銀ランプを使用し、上側から400mJ/cm2で3秒間照射して本発明の紫外線硬化型樹脂組成物を完全硬化させた。
5.硬化した本発明の紫外線硬化型樹脂組成物が上になるようスピンテーブルに乗せ、内径11.5mmまで覆う様に円状のキャップ処理を行い、ついでBRD−864(日本化薬(株)製ブルーレイディスク用光透過層用樹脂)を3.0g中心部のキャップ上に供給した。
6.1500rpmの速度範囲で4秒から7秒間スピンコートし、塗布膜厚が75μmとなるよう塗布した。スピンコート終了間際にキセノンフラッシュランプを2ショット照射し、表面の流動性が無くなる程度に硬化させた。
7.高圧水銀ランプを使用し、上側から400mJ/cm2で3秒間照射してBRD−864を完全硬化させ、本発明のブルーレイディスクを作製した。
【0064】
有機色素記録層を有するブルーレイディスクの作製(実施例6〜9)
1.トラックピッチ0.32μmの案内溝を有する直径12cm、厚み1.1mmのポリカーボネート基板に銀合金を100nmの膜厚になるようスパッタし、反射層を形成した。その後、アゾ色素をTFP(テトラフルオロプロパノール)溶剤に溶かした色素溶液をスピンコート法により塗布し、80℃で30分間乾燥して有機色素記録層を形成した。さらに、ZnS−SiO2(モル比80:20)を約15nmの厚みになるようスパッタし、界面層を形成し、ブルーレイディスク基板を作製した。
2.ブルーレイディスク基板を界面層が上になるようスピンテーブルに乗せ、内径11.5mmまで覆う様に円状のキャップ処理を行い、ついで本発明の紫外線硬化型樹脂組成物を2.0g中心部のキャップ上に供給した。
3.本発明の紫外線硬化型樹脂組成物の粘度に合わせ、800rpmから1300rpmの速度範囲で4秒から7秒間スピンコートし、塗布膜厚が100μmとなるよう塗布した。スピンコート終了間際にキセノンフラッシュランプを2ショット照射し、表面の流動性が無くなる程度に硬化させた。
4.高圧水銀ランプを使用し、上側から400mJ/cm2で3秒間照射して本発明の紫外線硬化型樹脂組成物を完全硬化させ、本発明のブルーレイディスクを作製した。
【0065】
ブルーレイディスクの耐久性試験前後の記録信号特性
本発明の光ディスクを、80℃、85%RH環境下、250時間放置した。ブルーレイディスクデータ信号測定装置パルステック社製ODU−1000を用いて、線速度4.92m/s、再生パワー0.30mW、記録パワー6.0mW、T連続記録(1T長=0.08μm)で記録し、同測定装置で耐久性試験前後のブルーレイディスクの記録信号特性(ジッタ値)を測定し、下記基準で評価した。ジッタ値は光ディスクの電気信号のひとつであり、これらの数値が高いほど、ブルーレイディスクの信号データが劣化していることを示し、10%以上となるとデータの読み書きが困難となる。
ジッタ値の評価
○・・・ジッタ値10.0%未満。
×・・・ジッタ値10.0%以上。
【0066】
光透過率測定試験
100μmの膜を作り、分光光度計(U−3310、株式会社日立ハイテクノロジーズ製)を用いて、当該膜の405nmでの吸光度の値を測定して求めた。
【0067】
表1の結果より、一般式(1)で示される構造を有する(メタ)アクリレートを含有する実施例1〜9の本発明の樹脂組成物は、耐久性試験前後において良好な記録信号特性が得られた。さらに、上記の手法により硬化物の光透過率を測定したところ、どの硬化物においても、85%以上であった。一方、比較例1については良好な記録信号特性が得られなかった。



【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機色素記録層を有する光ディスク用紫外線硬化型樹脂組成物であって、(A)下記一般式(1)で示される構造を有する(メタ)アクリレート及び(B)光重合開始剤を含有する紫外線硬化型樹脂組成物。
【化1】

(式中、nは2〜16の整数を示す。)
【請求項2】
一般式(1)で示される構造を有する(メタ)アクリレート(A)が下記一般式(2)である、請求項1記載の紫外線硬化型樹脂組成物。
【化2】

(式中、nは7〜13の整数を示す。)
【請求項3】
一般式(1)で示される構造を有する(メタ)アクリレート(A)が、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレンオキサイド変性ノニルフェニル(メタ)アクリレート、ポリプロピレンオキサイド変性ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレンオキサイド変性1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレンオキサイド変性ビスフェノールA型ジ(メタ)アクリレート及びメトキシトリプロピレングリコール(メタ)アクリレートからなる群から選ばれる1種以上である、請求項1または請求項2に記載の紫外線硬化型樹脂組成物。
【請求項4】
(C)(A)以外の(メタ)アクリレートを含有する、請求項1〜3の何れか1項に記載の紫外線硬化型樹脂組成物。
【請求項5】
一般式(1)で示される構造を有する(メタ)アクリレート(A)が、組成物全体に対して10〜95重量%含まれる、請求項1〜4のいずれか1項に記載の紫外線硬化型樹脂組成物。
【請求項6】
(A)以外の(メタ)アクリレート(C)が、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステルポリオール又はポリエーテルポリオールとポリイソシアネートとヒドロキシ(メタ)アクリレートとの反応物、及びエチレンオキサイド変性ビスフェノールA型ジアクリレートからなる群から選ばれる1種以上である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の紫外線硬化型樹脂組成物。
【請求項7】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の紫外線硬化型樹脂組成物に活性エネルギー線を照射して得られる硬化物。
【請求項8】
光ディスク基板に、請求項1〜3のいずれか1項に記載の紫外線硬化型樹脂組成物を塗布し、活性エネルギー線を照射して得られる光ディスク。
【請求項9】
基板上に反射層、有機色素記録層、界面層及び光透過層をこの順に有するブルーレイディスクの前記光透過層の形成材料として用いられる紫外線硬化型樹脂組成物であって、(A)下記一般式(3)で示される構造を有する(メタ)アクリレート及び(B)光重合開始剤を含有する紫外線硬化型樹脂組成物。
【化3】

(式中、nは2〜16の整数を示す。)
【請求項10】
一般式(3)で示される構造を有する(メタ)アクリレート(A)が下記一般式(4)である、請求項9記載の紫外線硬化型樹脂組成物。
【化4】

(式中、nは7〜13の整数を示す。)
【請求項11】
基板上に反射層、有機色素記録層、界面層及び光透過層をこの順に有するブルーレイディスクであって、前記光透過層が請求項1〜6または請求項9〜10のいずれか一項に記載の紫外線硬化型樹脂組成物に活性エネルギー線を照射して得られる硬化物からなるブルーレイディスク。

【公開番号】特開2011−119013(P2011−119013A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【公開請求】
【出願番号】特願2010−205379(P2010−205379)
【出願日】平成22年9月14日(2010.9.14)
【出願人】(000004086)日本化薬株式会社 (921)
【Fターム(参考)】