説明

紫外線遮蔽性化粧料

【課題】 パラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシルを使用した化粧料に特有の不快臭が解消された、パラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシルを含有する紫外線遮蔽性化粧料を提供する。
【解決手段】 高密度シリカ被覆層を有する酸化亜鉛粒子1〜80質量%及びパラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシルを含有する紫外線遮蔽性化粧料。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紫外線遮蔽性化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
紫外線を防御することによって、紫外線が皮膚や人体に与える悪影響を予防したり、皮膚が黒くなることによる美容上の悪影響を予防したりするために、紫外線遮蔽性の紫外線遮蔽性化粧料が使用されている。このような紫外線遮蔽性の紫外線遮蔽性化粧料においては、ベンゾフェノン系、安息香酸系、メトキシケイ皮酸系等の有機紫外線吸収剤が用いられている。
【0003】
これらの有機紫外線吸収剤のなかでも、特に好適な性質を有するパラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシルが広く使用されている。しかしながら、工業的に製造販売されているパラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシルは、特異な不快臭を有するため、パラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシルを配合した紫外線遮蔽性化粧料は、不快臭を有するという欠点がある。
【0004】
他方、酸化チタン、酸化亜鉛等の無機顔料も紫外線吸収剤として使用されている。これらの無機顔料は、無機顔料自体が有する紫外線吸収能によって、紫外線吸収能を向上させるために配合されるものであった。
【0005】
特許文献1には、表面にケイ素酸化物からなる高密度の被覆層を有する酸化亜鉛粒子組成物が記載されている。しかし、引用文献1においては、酸化亜鉛粒子、特に、超微粒子酸化亜鉛において、光触媒活性を抑制するためになされたものであって、パラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシルにおける上述した問題の解決を意図したものではなかった。
【0006】
【特許文献1】特開平11−302015号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記に鑑み、パラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシルを使用した化粧料に特有の不快臭が解消された、パラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシルを含有する紫外線遮蔽性化粧料を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、高密度シリカ被覆層を有する酸化亜鉛粒子1〜80質量%及びパラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシルを含有する紫外線遮蔽性化粧料である。
上記酸化亜鉛粒子は、平均粒径が0.15μm以下であることが好ましい。
上記酸化亜鉛粒子は、純水への溶解度がZnとして2ppm以下であり、かつ、0.0005質量%硫酸水溶液への溶解度がZnとして20ppm以下であることが好ましい。
上記酸化亜鉛粒子は、表面が酸化亜鉛に対して1〜20質量%の範囲のオルガノポリシロキサンで更に処理されたものであることが好ましい。
上記高密度シリカ被覆層は、アルミニウム酸化物/ケイ素酸化物(質量比)が、0.5以下であることが好ましい。
以下に、本発明を詳細に説明する。
【0009】
工業的に製造、販売されているパラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシルに特有の不快臭は、パラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシル中に不純物として含まれる2−エチルヘキサノールの臭いであることが一般的に知られている。従って、化粧品使用時における2−エチルヘキサノールの蒸散を防止することができれば、パラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシルを含有する紫外線遮蔽性化粧料における臭いの問題を改善することができることが期待される。
【0010】
本発明は、粒子表面に高密度シリカ被覆層を有する酸化亜鉛粒子をパラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシルと併用して使用することによって、上述した問題が解決することを見出すことによって完成されたものである。高密度シリカ被覆で被覆された酸化亜鉛粒子表面は元来固体酸性度が高く、その酸性度の高い酸点(Acid Site)を中和する形で2−エチルヘキサノールが強く吸着することによって蒸散が抑制され、パラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシルの臭いが改善されるものと推測される。
【0011】
上記高密度シリカ被覆層は、酸化亜鉛粒子表面に通常よりも緻密に形成されたシリカ層であり、酸化亜鉛の表面活性や亜鉛化合物の溶出等を充分に抑制できる程度に高密度に形成されたものであることが好ましい。このような高密度シリカ被覆層としては、例えば、酸化亜鉛粒子の水性懸濁液に水溶性ケイ酸塩を加え、ここに酸を加えて中和することによって形成される被覆層(被覆層1)、酸化亜鉛粒子の水性懸濁液に塩基性を保持しつつ、水溶性ケイ酸塩と酸とを同時に加えた後、更に、酸を加えて懸濁液を中和することによって形成される被覆層(被覆層2)等を挙げることができる。
【0012】
上記被覆層1の形成においては、最初に酸化亜鉛粒子の水性懸濁液に、酸化亜鉛に対して水溶性ケイ酸塩を加える。上記水性懸濁液における酸化亜鉛粒子の濃度は、50〜250g/Lの範囲が好ましい。上記水溶性ケイ酸塩としては、特に限定されず、例えば、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム等を使用することができる。上記水溶性ケイ酸塩の添加量は、酸化亜鉛に対してSiOとして1〜50質量%であることが好ましい。また、酸化亜鉛粒子は、処理前にサンドミル等の粉砕機によって、酸化亜鉛原体を十分に粉砕しておくことが好ましい。
【0013】
続く中和工程は、上記水性懸濁液中に徐々に酸を加えて中和することによってシリカ被覆層を形成させるものである。中和工程は、懸濁液の温度を60℃以上に保持しつつ、40分以上の時間をかけて酸を加えることによって行うことが好ましい。中和はpHが6.0〜8.0の範囲となるまで行うことが好ましい。上記中和に使用する酸としては特に限定されず、例えば、硫酸等の無機酸や、酢酸、シュウ酸等の有機酸等を使用することができる。
【0014】
上記被覆層1の形成においては、上記中和工程における温度条件と中和剤を加える時間条件(時間幅)が重要である。即ち、この工程における懸濁液の温度を60℃以上、好ましくは、80℃以上に保持しながら、40分以上、好ましくは、60分以上の時間をかけて、中和剤を加え、pHが6.0〜8.0の範囲まで、懸濁液を中和することが好ましい。
【0015】
上記被覆層2の形成においては、最初に酸化亜鉛粒子の水性懸濁液に、水溶性ケイ酸塩及び酸を加える。上記水性懸濁液における酸化亜鉛粒子の濃度は、50〜250g/Lの範囲が好ましい。上記水溶性ケイ酸塩としては、特に限定されず、例えば、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム等を使用することができる。上記水溶性ケイ酸塩の添加量は、酸化亜鉛に対してSiOとして1〜50質量%であることが好ましい。添加は、温度60℃以上、pH9〜10.5の範囲に保持して行い、40分以上の時間をかけて同時に添加することが好ましい。添加温度は、80℃以上であることがより好ましく、添加時間は60分以上であることがより好ましい。
【0016】
続く中和工程は、上記水性懸濁液中に酸を加えて中和することによってシリカ被覆層を形成させるものである。中和工程は、pHが6.0〜8.0の範囲となるまで行うことが好ましい。上記中和に使用する酸としては特に限定されず、例えば、硫酸等の無機酸や、酢酸、シュウ酸等の有機酸等を使用することができる。
【0017】
上記高密度シリカ被覆層を有する酸化亜鉛粒子は、酸化亜鉛粒子の表面に酸化亜鉛に対して1〜50質量%の範囲で被覆層を有するものであることが好ましい。また、純水への溶解度がZnとして2ppm以下であると共に、0.0005質量%硫酸水溶液への溶解度がZnとして20ppm以下であることが好ましい。
【0018】
本発明で使用される酸化亜鉛粒子は、平均一次粒子径が0.15μm以下であることが好ましい。酸化亜鉛粒子の平均一次粒子径が0.15μmより大きいと、隠蔽力が大きいため透明性が低く、化粧料として皮膚上に適用したときに白くなる場合がある。酸化亜鉛粒子の平均一次粒子径の下限は、特に、限定されるものではないが、0.01μm以上であることが好ましい。なお、ここでの平均一次粒子径とは、透過型電子顕微鏡写真の10万倍の視野における一定方向径(所謂 FERET 径)で定義されるものである。
【0019】
上記粒子表面に高密度シリカ被覆層を有する酸化亜鉛粒子は、更に高密度シリカ被覆層上にアルミナ層を有するものであってもよい。但し、この場合でもアルミニウム酸化物/ケイ素酸化物(質量比)が、0.5以下となる割合でアルニミウム酸化物を使用することが好ましい。上記割合が0.5を超えると、シリカが有する吸着能が低下することによって、臭いの改善という本発明の目的が充分に達成されなくなるおそれがある。アルミナ層の形成は、高密度シリカ被覆層を有する酸化亜鉛粒子の懸濁液中にアルミニウムの水溶性化合物を添加し、酸又は塩基を加えて中和することによって行うことができる。上記アルミニウムの水溶性化合物としては、特に限定されず、例えば、硝酸アルミニウム、硫酸アルミニウム、アルミン酸ナトリウム等を挙げることができる。但し、臭いの低減という効果をもっとも高い水準で実現するには、アルミナ被膜層を実質的に有さないものであることが好ましい。
【0020】
上記高密度シリカ被覆層を有する酸化亜鉛粒子は、高密度シリカ被覆層上に更にオルガノポリシロキサンによる表面処理を行ったものであってもよい。上記オルガノポリシロキサンによる表面処理を行うことによって、紫外線遮蔽性化粧料中の油剤への分散性を高め、撥水性を高めることができる。上記表面処理は、酸化亜鉛に対して、通常、1〜20質量%の範囲でオルガノポリシロキサンを付着させることが好ましい。好ましくは、3〜10質量%の範囲である。上記オルガノポリシロキサンが酸化亜鉛に対して1質量%よりも少ないときは、紫外線遮蔽性化粧料中の油剤への分散性の改善効果に乏しく、他方、20質量%を越えても、紫外線遮蔽性化粧料中の油剤への分散性や撥水性が飽和するので、経済的にも不利である。上記オルガノポリシロキサンとしては、例えば、ジメチルポリシロキサンやメチルハイドロジェンポリシロキサン等を挙げることができる。
【0021】
上記高密度シリカ被覆層を有する酸化亜鉛粒子としては、市販のものを使用することもできる。市販のものとしては、例えば、FINEX−50W−LP2(堺化学工業社製)等を挙げることができる。
【0022】
本発明による酸化亜鉛粒子は、1〜80質量%の範囲で紫外線遮蔽性化粧料に配合するものである。配合量が1質量%未満であると、臭いの改善という課題が充分に解決されず、80質量%以上配合すると、化粧料の安定性を維持することが困難となるおそれがある。上記下限は、5質量%であることがより好ましく、上記上限は50質量%であることがより好ましい。
【0023】
本発明の紫外線遮蔽性化粧料は、更に、パラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシルを配合するものである。工業的に製造されたパラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシルは、不純物としての2−エチルヘキサノールを微量含有するものである。市販のパラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシルとしては、Eusolex 2292(メルク社製)、Parsol MCX(ロシュ社製)、Neoheliopan AV(ハーマン アンド ライマー社製)、Escalol 557(ISP ハウスホールド アンド スペシャリティーズ社製)、Uvinul MC80(BASF社製)等を挙げることができる。これらはいずれも不純物として微量の2−エチルヘキサノールを含有する。パラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシルの配合量は特に限定されないが、組成物全量に対して2質量%以上、10質量%以下であることが好ましい。
【0024】
本発明の紫外線遮蔽性化粧料は、揮発性シリコーン油を更に含有するものであることが好ましい。高密度シリカ被覆層及びオルガノポリシロキサンで表面処理した酸化亜鉛粒子は上記揮発性シリコーン油と併用することにより、分散性が非常に優れた化粧料とすることができる。揮発性シリコーン油としては特に限定されず、例えば、デカメチルシクロペンタシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン等の公知のものを使用することができる。これらは、1種単独で用いることも、また2種以上を任意に組み合わせて用いることもできる。本発明の紫外線遮蔽性化粧料には、このような揮発性シリコン油を組成物全量に対して5〜70質量%、好ましくは10〜40質量%の割合で配合することができる。
【0025】
本発明の紫外線遮蔽性化粧料は、上記混合物を構成する成分以外に、化粧品分野において使用することができる任意の水性成分、油性成分を併用するものであってもよい。上記水性成分及び油性成分としては特に限定されず、例えば、油分、界面活性剤、保湿剤、高級アルコール、金属イオン封鎖剤、天然及び合成高分子、水溶性及び油溶性高分子、紫外線吸収剤、各種抽出液、無機及び有機顔料、無機及び有機粘土鉱物、金属石鹸処理又はシリコーンで処理された無機及び有機顔料、有機染料等の色剤、防腐剤、酸化防止剤、色素、増粘剤、pH調整剤、香料、冷感剤、制汗剤、殺菌剤、皮膚賦活剤等の成分を含有するものであってもよい。具体的には、以下に列挙した配合成分の1種又は2種以上を任意に配合して常法により目的の紫外線遮蔽性化粧料を製造することが可能である。これらの配合成分の配合量は、本発明の効果を損なわない範囲であれば特に限定されない。
【0026】
上記油分としては特に限定されず、例えば、アボガド油、ツバキ油、タートル油、マカデミアナッツ油、トウモロコシ油、ミンク油、オリーブ油、ナタネ油、卵黄油、ゴマ油、パーシック油、小麦胚芽油、サザンカ油、ヒマシ油、アマニ油、サフラワー油、綿実油、エノ油、大豆油、落花生油、茶実油、カヤ油、コメヌカ油、シナギリ油、日本キリ油、ホホバ油、胚芽油、トリグリセリン、トリオクタン酸グリセリン、トリイソパルミチン酸グリセリン、カカオ脂、ヤシ油、馬脂、硬化ヤシ油、パーム油、牛脂、羊脂、硬化牛脂、パーム核油、豚脂、牛骨脂、モクロウ核油、硬化油、牛脚脂、モクロウ、硬化ヒマシ油、ミツロウ、カンデリラロウ、綿ロウ、カルナウバロウ、ベイベリーロウ、イボタロウ、鯨ロウ、モンタンロウ、ヌカロウ、ラノリン、カポックロウ、酢酸ラノリン、液状ラノリン、サトウキビロウ、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラウリン酸ヘキシル、還元ラノリン、ジョジョバロウ、硬質ラノリン、セラックロウ、POEラノリンアルコールエーテル、POEラノリンアルコールアセテート、POEコレステロールエーテル、ラノリン脂肪酸ポリエチレングリコール、POE水素添加ラノリンアルコールエーテル、流動パラフィン、オゾケライト、プリスタン、パラフィン、セレシン、スクワレン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックス等を挙げることができる。
【0027】
親油性非イオン界面活性剤としては特に限定されず、例えば、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノイソステアレート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンセスキオレエート、ソルビタントリオレエート、ペンタ−2−エチルヘキシル酸ジグリセロールソルビタン、テトラ−2−エチルヘキシル酸ジグリセロールソルビタン等のソルビタン脂肪酸エステル類、モノ綿実油脂肪酸グリセリン、モノエルカ酸グリセリン、セスキオレイン酸グリセリン、モノステアリン酸グリセリン、α,α’−オレイン酸ピログルタミン酸グリセリン、モノステアリン酸グリセリンリンゴ酸等のグリセリンポリグリセリン脂肪酸類、モノステアリン酸プロピレングリコール等のプロピレングリコール脂肪酸エステル類、硬化ヒマシ油誘導体、グリセリンアルキルエーテル等を挙げることができる。
【0028】
親水性非イオン界面活性剤としては特に限定されず、例えば、POEソルビタンモノオレエート、POE−ソルビタンモノステアレート、POE−ソルビタンモノオレエート、POE−ソルビタンテトラオレエート等のPOEソルビタン脂肪酸エステル類、POE−ソルビットモノラウレート、POE−ソルビットモノオレエート、POE−ソルビットペンタオレエート、POE−ソルビットモノステアレート等のPOEソルビット脂肪酸エステル類、POE−グリセリンモノステアレート、POE−グリセリンモノイソステアレート、POE−グリセリントリイソステアレート等のPOEグリセリン脂肪酸エステル類、POEモノオレエート、POEジステアレート、POEモノジオレエート、システアリン酸エチレングリコール等のPOE脂肪酸エステル類、POEラウリルエーテル、POEオレイルエーテル、POEステアリルエーテル、POEベヘニルエーテル、POE2−オクチルドデシルエーテル、POEコレスタノールエーテル等のPOEアルキルエーテル類、POEオクチルフェニルエーテル、POEノニルフェニルエーテル、POEジノニルフェニルエーテル等のPOEアルキルフェニルエーテル類、ブルロニック等のプルアロニック型類、POE・POPセチルエーテル、POE・POP2−デシルテトラデシルエーテル、POE・POPモノブチルエーテル、POE・POP水添ラノリン、POE・POPグリセリンエーテル等のPOE・POPアルキルエーテル類、テトロニック等のテトラPOE・テトラPOPエチレンジアミン縮合物類、POEヒマシ油、POE硬化ヒマシ油、POE硬化ヒマシ油モノイソステアレート、POE硬化ヒマシ油トリイソステアレート、POE硬化ヒマシ油モノピログルタミン酸モノイソステアリン酸ジエステル、POE硬化ヒマシ油マレイン酸等のPOEヒマシ油硬化ヒマシ油誘導体、POEソルビットミツロウ等のPOEミツロウ・ラノリン誘導体、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド、ラウリン酸モノエタノールアミド、脂肪酸イソプロパノールアミド等のアルカノールアミド、POEプロピレングリコール脂肪酸エステル、POEアルキルアミン、POE 脂肪酸アミド、ショ糖脂肪酸エステル、POE ノニルフェニルホルムアルデヒド縮合物、アルキルエトキシジメチルアミンオキシド、トリオレイルリン酸等を挙げることができる。
【0029】
その他の界面活性剤としては、例えば、脂肪酸セッケン、高級アルキル硫酸エステル塩、POEラウリル硫酸トリエタノールアミン、アルキルエーテル硫酸エステル塩等のアニオン界面活性剤、アルキルトリメチルアンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩、アルキル四級アンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、POEアルキルアミン、アルキルアミン塩、ポリアミン脂肪酸誘導体等のカチオン界面活性剤、及び、イミダゾリン系両性界面活性剤、ベタイン系界面活性剤等の両性界面活性剤を安定性及び皮膚刺激性に問題のない範囲で配合してもよい。
【0030】
上記保湿剤としては特に限定されず、例えば、キシリトール、ソルビトール、マルチトール、コンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸、ムコイチン硫酸、カロニン酸、アテロコラーゲン、コレステリル−12−ヒドロキシステアレート、乳酸ナトリウム、胆汁酸塩、dl−ピロリドンカルボン酸塩、短鎖可溶性コラーゲン、ジグリセリン(EO)PO付加物、イサイヨバラ抽出物、セイヨウノキギリソウ抽出物、メリロート抽出物等を挙げることができる。
【0031】
上記高級アルコールとしては特に限定されず、例えば、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ミリスチルアルコール、オレイルアルコール、セトステアリルアルコール等の直鎖アルコール、モノステアリルグリセリンエーテル(バチルアルコール)、2−デシルテトラデシノール、ラノリンアルコール、コレステロール、フィトステロール、ヘキシルドデカノール、イソステアリルアルコール、オクチルドデカノール等の分枝鎖アルコール等を挙げることができる。
【0032】
金属イオン封鎖剤としては特に限定されず、例えば、1−ヒドロキシエタン−1,1− ジフォスホン酸、1−ヒドロキシエタン−1,1−ジフォスホン酸四ナトリウム塩、クエン酸ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、グルコン酸、リン酸、クエン酸、アスコルビン酸、コハク酸、エデト酸等を挙げることができる。
【0033】
上記天然の水溶性高分子としては特に限定されず、例えば、アラアビアガム、トラガカントガム、ガラクタン、グアガム、キャロブガム、カラヤガム、カラギーナン、ペクチン、カンテン、クインスシード(マルメロ)、アルゲコロイド(カッソウエキス)、デンプン(コメ、トウモロコシ、バレイショ、コムギ)、グリチルリチン酸等の植物系高分子、キサンタンガム、デキストラン、サクシノグルカン、プルラン等の微生物系高分子、コラーゲン、カゼイン、アルブミン、ゼラチン等の動物系高分子を挙げることができる。
【0034】
半合成の水溶性高分子としては特に限定されず、例えば、カルボキシメチルデンプン、メチルヒドロキシプロピルデンプン等のデンプン系高分子、メチルセルロース、ニトロセルロース、エチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、セルロース硫酸ナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC)、結晶セルロース、セルロース末等のセルロース系高分子、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル等のアルギン酸系高分子等を挙げることができる。
【0035】
合成の水溶性高分子としては特に限定されず、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルピロリドン等のビニル系高分子、ポリエチレングリコール20,000、40,000、60,000等のポリオキシエチレン系高分子、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン共重合体共重合系高分子、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリエチルアクリレート、ポリアクリルアミド等のアクリル系高分子、ポリエチレンイミン、カチオンポリマー等を挙げることができる。
【0036】
無機の水溶性高分子としては特に限定されず、例えば、ベントナイト、ケイ酸A1Mg(ビーガム)、ラポナイト、ヘクトライト、無水ケイ酸等を挙げることができる。
【0037】
紫外線吸収剤としては特に限定されず、例えば、パラアミノ安息香酸(以下PABAと略す)、PABAモノグリセリンエステル、N,N−ジプロポキシPABAエチルエステル、N,N−ジエトキシPABAエチルエステル、N,N−ジメチルPABAエチルエステル、N,N−ジメチルPABAブチルエステル等の安息香酸系紫外線吸収剤;ホモメンチル−N−アセチルアントラニレート等のアントラニル酸系紫外線吸収剤;アミルサリシレート、メンチルサリシレート、ホモメンチルサリシレート、オクチルサリシレート、フェニルサリシレート、ベンジルサリシレート、p−イソプロパノールフェニルサリシレート等のサリチル酸系紫外線吸収剤;オクチルシンナメート、エチル−4−イソプロピルシンナメート、メチル−2,5−ジイソプロピルシンナメート、エチル−2,4−ジイソプロピルシンナメート、メチル−2,4−ジイソプロピルシンナメート、プロピル−p−メトキシシンナメート、イソプロピル−p−メトキシシンナメート、イソアミル−p−メトキシシンナメート、2−エトキシエチル−p−メトキシシンナメート、シクロヘキシル−p−メトキシシンナメート、エチル−α−シアノ−β−フェニルシンナメート、2−エチルヘキシル−α−シアノ−β−フェニルシンナメート、グリセリルモノ−2−エチルヘキサノイル−ジパラメトキシシンナメート等のケイ皮酸系紫外線吸収剤;2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−4’−メチルベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸塩、4−フェニルベンゾフェノン、2−エチルヘキシル−4’−フェニル−ベンゾフェノン−2−カルボキシレート、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、4−ヒドロキシ−3− カルボキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系紫外線吸収剤;3−(4’−メチルベンジリデン)−d,l−カンファー、3−ベンジリデン−d,l−カンファー、ウロカニン酸、ウロカニン酸エチルエステル、2−フェニル−5− メチルベンゾキサゾール、2,2’−ヒドロキシ−5−メチルフェニルベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニルベンゾトリアゾール、ジベンザラジン、ジアニソイルメタン、4−メトキシ−4’−t−ブチルジベンゾイルメタン、5−(3,3−ジメチル−2−ノルボルニリデン)−3−ペンタン−2−オン等を挙げることができる。
【0038】
その他薬剤成分としては特に限定されず、例えば、ビタミンA油、レチノール、パルミチン酸レチノール、イノシット、塩酸ピリドキシン、ニコチン酸ベンジル、ニコチン酸アミド、ニコチン酸DL−α−トコフェロール、アルコルビン酸リン酸マグネシウム、2−O−α−D−グルコピラノシル−L−アスコルビン酸、ビタミンD2(エルゴカシフェロール)、dl−α−トコフェロール、酢酸dl−α−トコフェロール、パントテン酸、ビオチン等のビタミン類;エストラジオール、エチニルエストラジオール等のホルモン;アルギニン、アスパラギン酸、シスチン、システイン、メチオニン、セリン、ロイシン、トリプトファン等のアミノ酸;アラントイン、アズレン等の抗炎症剤、アルブチン等の美白剤、;酸化亜鉛、タンニン酸等の収斂剤;L−メントール、カンフル等の清涼剤やイオウ、塩化リゾチーム、塩化ピリドキシン等を挙げることができる。
【0039】
各種の抽出液としては特に限定されず、例えば、ドクダミエキス、オウバクエキス、メリロートエキス、オドリコソウエキス、カンゾウエキス、シャクヤクエキス、サボンソウエキス、ヘチマエキス、キナエキス、ユキノシタエキス、クララエキス、コウホネエキス、ウイキョウエキス、サクラソウエキス、バラエキス、ジオウエキス、レモンエキス、シコンエキス、アロエエキス、ショウブ根エキス、ユーカリエキス、スギナエキス、セージエキス、タイムエキス、茶エキス、海藻エキス、キューカンバーエキス、チョウジエキス、キイチゴエキス、メリッサエキス、ニンジンエキス、マロニエエキス、モモエキス、桃葉エキス、クワエキス、ヤグリマギクエキス、ハマメリスエキス、プラセンタエキス、胸腺抽出物、シルク抽出液、甘草エキス等を挙げることができる。
【0040】
本発明の紫外線遮蔽性化粧料は、サンスクリーン剤等の日焼け止め化粧料、化粧下地、ファンデーション等の化粧料とすることができる。また、油性化粧料、水性化粧料、O/W型化粧料、W/O型化粧料の任意の形態とすることができるが、耐水性が良好であることから、W/O型乳化化粧料とすることが好ましい。また、任意の剤形、例えば、パウダー、プレスドパウダー、ケーキ状、乳液状、溶液状、ゲル状等とすることができる。
【0041】
本発明による紫外線遮蔽性化粧料は、ケイ素酸化物からなる高密度の被覆層を有する酸化亜鉛粒子をパラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシルと混合することによって、不快臭を解消することができる。
【発明の効果】
【0042】
本発明により、パラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシルによる特異的な不快臭が解消された紫外線遮蔽性化粧料等を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0043】
以下に実施例を挙げて、本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。また実施例中、「部」は特に断りのない限り「質量部」を意味する。
【0044】
(評価1)
市販のパラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシルであるUvinul MC−80(BASF社製)の原液及びUvinul MC−80/シリカ(26%)被覆酸化亜鉛FINEX−50W−LP2=1/2(質量比)混合物の2つのサンプルを準備した。20名(男10名、女10名)のテスターに各サンプルの臭いを嗅いでもらい、「○ 臭いが極めて弱い、若しくはしない △ 臭いが弱い × 臭いが強い」の選択肢から1つを選んでもらった。結果を表1に示した。
【0045】
【表1】

【0046】
表1の結果から、シリカ被覆酸化亜鉛を添加することによって、パラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシルの臭いが著しく低減されたことが明らかである。
【0047】
(乳液の調製)
実施例1
粉体10部と、環状シロキサン27部と、ミリスチン酸イソプロピル5部と、ジメチコン20部と、ポリエーテル変性ジメチコン3部と、p−メトキシケイ皮酸2−エチルヘキシル5部をホモジナイザーで15分間分散させ、ホモジナイザーで液を撹拌させたまま、純水30部を徐々に加え、更に15分間分散させることによって乳液を調製した。なお、上記粉体は、表3に示した表面処理を施したものである。
実施例2及び比較例1〜4
表2及び表3に示す配合を変更した以外は、実施例1と同様にして乳液を調製した。
【0048】
【表2】

【0049】
【表3】

【0050】
(評価2)
得られた乳液を以下の基準に基づいて評価した。
20名(男性10名、女性10名)のパネラーに各サンプル乳液の匂いをかいでもらい、匂いが強い順に番号(強1〜6弱)による評価を行った。その結果をサンプル毎に平均することによって、官能試験を実施した。結果を表4に示す。
【0051】
【表4】

【0052】
表4の結果から、本発明の紫外線遮蔽性化粧料は、臭いが低減されたものであることが明らかである。
【0053】
(評価3)
市販のパラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシルであるUvinul MC−80(BASF社製)に以下表5に示す酸化亜鉛粒子を、Uvinul MC−80/酸化亜鉛=1/2の比率で、添加混合したサンプルを調製した。ブランクとしてのUvinul MC−80及び各サンプルについて、GCMass測定を行い、2−エチルヘキサノールの含有量を測定した。結果を表5に示した。
【0054】
【表5】

【0055】
なお、GC Mass測定は、ヘッドスペース法によって表6に示した条件で行った。
【0056】
【表6】

【0057】
上記被覆を有する酸化亜鉛とパラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシルを併用すると、2−エチルヘキサノールの量を顕著に低減できることが明らかになった。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明の紫外線遮蔽性化粧料は、臭いが低減されたものであり、サンスクリーン剤等の日焼け止め紫外線遮蔽性化粧料、化粧下地、ファンデーション等の紫外線遮蔽性化粧料として使用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高密度シリカ被覆層を有する酸化亜鉛粒子1〜80質量%及びパラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシルを含有する紫外線遮蔽性化粧料。
【請求項2】
前記酸化亜鉛粒子は、平均粒径が0.15μm以下である請求項1記載の紫外線遮蔽性化粧料。
【請求項3】
前記酸化亜鉛粒子は、純水への溶解度がZnとして2ppm以下であり、かつ、0.0005質量%硫酸水溶液への溶解度がZnとして20ppm以下である請求項1又は2に記載の紫外線遮蔽性化粧料。
【請求項4】
前記酸化亜鉛粒子は、表面が酸化亜鉛に対して1〜20質量%の範囲のオルガノポリシロキサンで更に処理されたものである請求項1,2又は3記載の紫外線遮蔽性化粧料。
【請求項5】
前記高密度シリカ被覆層は、アルミニウム酸化物/ケイ素酸化物(質量比)が、0.5以下である、請求項1,2,3又は4記載の紫外線遮蔽性化粧料。

【公開番号】特開2006−335654(P2006−335654A)
【公開日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−159177(P2005−159177)
【出願日】平成17年5月31日(2005.5.31)
【出願人】(000174541)堺化学工業株式会社 (96)
【Fターム(参考)】