説明

細穴放電加工機及び細穴放電加工方法

【課題】穴加工時の抜け際及び穴の貫通を検出可能で、抜け際でも安定した加工を行うことができる細穴放電加工機及び細穴放電加工方法を得ること。
【解決手段】先端から加工液を噴射するパイプ状の電極2と、電極2とワーク3との間に群パルスを含むパルス電圧を休止時間を挟んで間欠的に印加するパルス発生装置6とを有し、電極2とワーク3との間に介在する加工液中で群パルスによる放電を発生させてワーク3に対して放電加工を施す細穴放電加工機1であって、電極2とワーク3との間での短絡の発生を検出する短絡検出部7と、短絡の発生頻度を検出する短絡頻度検出部8と、短絡頻度検出部8の検出結果に基づいて、放電加工による加工中の穴が非貫通の通常状態であるか、部分的に貫通した抜け際状態であるか、完全に貫通した貫通状態であるかを判断する加工制御部4とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、細穴放電加工機及び細穴放電加工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、細穴放電加工では、被加工物(ワーク)に僅かに穴が開いた状態(この状態を「抜け際」と定義する)では、加工が不安定になるという問題がある。具体的には、抜け際ではパイプ電極から噴出させている加工液がワークから抜けてしまうことによって、電極−ワーク間に滞留したスラッジを排出できなくなり、そのスラッジによって短絡が引き起こされるため、短絡が頻発する。短絡が発生すると、短絡回避動作として「短絡バック(電極の後退)」を行うために加工が進行しにくくなる。
【0003】
また、細穴放電加工による穴加工では、中空形状のワークの上層のみに穿孔したい場合や、既に横穴が存在するワークに、横穴を通り越さないように縦穴を加工する場合などには、穴加工が完了した(貫通した)ことを正確に検出する必要がある。
【0004】
放電加工での穴加工において、穴の貫通を検出する技術としては、特許文献1に開示される発明がある。特許文献1に開示される発明は、電極が下降中で、下降位置更新を検出する手段と、電極とワーク間電圧をサンプリング測定し、デジタル化して最大電圧を得る手段と、サンプリングおよびデジタル数値化する手段を制御する手段と、第一の既定回数分の最大電圧を第一の最大電圧値とし、第一の最大電圧値より低い最大電圧が次のサンプリングで得られれば、その電圧を第二の最大電圧値とし、第一の最大電圧値と第二の最大電圧値を比較する手段と、電極が下降中でその最下位置を更新しており、第一の最大電圧値が第二の最大電圧値より既定電圧値以上高くなる事象が第二の既定回数以上連続して発生すれば、放電により生成した穴が貫通したと判定する手段により貫通検出を実現していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−144651号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来の技術によれば、穴の貫通は検出できるものの、抜け際を検出することはできない。したがって、穴加工時の抜け際で加工が不安定になるという問題を解決することはできない。
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、穴加工時の抜け際及び穴の貫通を検出可能で、抜け際でも安定した加工を行うことができる細穴放電加工機及び細穴放電加工方法を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、先端から加工液を噴射するパイプ状の電極と、電極とワークとの間に加工パルスを含むパルス電圧を印加するパルス発生手段とを有し、電極とワークとの間に介在する加工液中で加工パルスによる放電を休止時間を挟んで間歇的に発生させてワークに対して放電加工を施す細穴放電加工機であって、電極とワークとの間での短絡の発生を検出する短絡発生検出手段と、短絡の発生頻度を検出する短絡発生頻度検出手段と、短絡発生頻度検出手段の検出結果に基づいて、放電加工による加工中の穴が非貫通の通常状態であるか、部分的に貫通した抜け際状態であるか、完全に貫通した貫通状態であるかを判断する加工状態判定手段とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、穴加工時の抜け際及び穴の貫通を検出可能で、抜け際でも安定した加工を行うことができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、本発明にかかる細穴放電加工機の実施の形態1の構成を示す図である。
【図2】図2は、実施の形態1にかかる細穴放電加工機の細穴加工の動作の流れを示す図である。
【図3】図3は、電極−ワーク間に印加されるパルス電圧の波形の一例を示す図である。
【図4】図4は、細穴放電加工中の電極及びワークの状態並びに加工液の流れを示す図である。
【図5】図5は、抜け際で休止時間を延長する場合の加工時間と短絡頻度、非短絡頻度との関係を示す図である。
【図6】図6は、抜け際で休止時間を延長しない場合の加工時間と短絡頻度、非短絡頻度との関係を示す図である。
【図7】図7は、抜け際での加工条件と加工時間との関係を示す図である。
【図8】図8は、実施の形態2にかかる細穴放電加工機の細穴加工の動作の流れを示す図である。
【図9】図9は、実施の形態3にかかる細穴放電加工機の細穴加工の動作の流れを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明にかかる細穴放電加工機の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0012】
実施の形態1.
図1は、本発明にかかる細穴放電加工機の実施の形態1の構成を示す図である。本実施の形態にかかる細穴放電加工機1は、電極2、加工制御部4、パルス発生条件設定部5、パルス発生装置6、短絡検出部7、短絡頻度検出部8、及び加工送り指令部9を有する。
【0013】
パルス発生条件設定部5は、電極2とワーク3との間に印加する群パルス(加工パルス)の電圧値、チェックパルスの電圧値、休止時間などの条件を設定する。なお、通常状態と抜け際状態とで、群パルスの電圧値及びチェックパルスの電圧値は共通であるが、休止時間は相違する。パルス発生装置6は、加工制御部4から通知される加工状態に応じて、パルス条件設定部5によって設定された条件で電極2及びワーク3にパルス電圧を印加する。短絡検出部7は、チェックパルスが電極2−ワーク3間に印加された際に、電極2−ワーク3間で実際に生じた電圧を測定し、所定の閾値と比較することによって電極2−ワーク3間で正常に放電が行われたか、短絡していたかを判断し、短絡検出結果を短絡頻度検出部8へ出力する。例えば、短絡検出部7は、チェックパルスの印加時に電極2−ワーク3間で測定された電圧が閾値以下である場合を短絡として検出し、短絡検出を短絡頻度検出部8へ通知する。具体例を挙げると、チェックパルスとして50Vの電圧を印加した場合に、電極2−ワーク3間で実際に測定された電圧が10V以下である場合に短絡として検出する。短絡頻度検出部8は、所定のサンプリング期間中の短絡の検出割合を加工制御部4へ出力する。例えば、サンプリング期間中に電極2−ワーク3間にチェックパルスが100回印加され、15回の短絡が検出されたのであれば、短絡頻度として15%を加工制御部4へ出力する。加工制御部4は、細穴放電加工機1による細穴放電加工を制御する機能部であり、短絡頻度と所定の閾値との比較結果に基づいて、加工状態を変更する。すなわち、加工制御部4は、短絡頻度検出部8の検出結果に基づいて、放電加工による加工中の穴が非貫通の通常状態であるか、部分的に貫通した抜け際状態であるか、完全に貫通した貫通状態であるかを判断する加工状態判定手段として動作する。加工制御部4は、加工状態情報記憶部41を備えている。加工状態情報記憶部41は、加工状態が通常状態であるか、抜け際状態であるか、貫通状態であるかを示す加工状態情報を記憶する。加工状態情報は、短絡頻度検出部8から入力される短絡頻度情報に基づいて更新され、パルス発生装置6及び加工送り指令部9へ出力される。例えば、加工制御部4は、通常状態の時に第1の閾値以上を示す短絡頻度情報が短絡頻度検出部8から入力された場合に、加工状態を通常状態から抜け際状態へ変更する。また、抜け際状態の時に第2の閾値以下を示す短絡頻度情報が入力された場合には、加工状態を貫通状態に変化させる。加工送り指令部9は、加工制御部4から通知される加工状態情報に応じた速度で電極2を移動させる。ここで、第1の閾値には、通常状態で取りうる短絡発生頻度の上限側に余裕度を持たせた(所定値を加えた)値が予め設定される。一例として、通常状態での短絡発生頻度は30%程度であるため、上限側に約20%の余裕度を持たせた「50%」が第1の閾値として設定される。また、第2の閾値には、抜け際状態で取りうる短絡発生頻度の下限側に余裕度を持たせた(所定値を減じた)値が予め設定される。一例として、抜け際状態での短絡発生頻度が15%程度であるため、下限側に約5%の余裕度を持たせた「10%」が第2の閾値として設定される。
【0014】
電極2はパイプ状であり、加工中には先端から加工液を噴出できるようになっている。
【0015】
図2は、細穴放電加工機1の細穴加工の動作の流れの一例を示す図である。加工制御部4は、加工動作を開始すると、パルス発生装置6及び加工送り指令部9に、通常状態を通知する。加工送り指令部9は通常状態の加工送り速度で電極2を移動させ、パルス発生装置6は、通常状態でのパルス電圧を電極2−ワーク3間に印加する(ステップS101)。図3は、電極2−ワーク3間に印加されるパルス電圧の波形の一例を示す図である。図3に示すように、電極2−ワーク3間に印加されるパルスは、短絡検出用のチェックパルスを含んでいる。このため、電極2−ワーク3間には、実際の加工に用いられる群パルスに先立って、チェックパルスが印加される。
【0016】
短絡検出部7は、チェックパルス印加時に電極2−ワーク3間に実際に生じた電圧に基づいて、短絡の発生を検出する。検出結果は、短絡検出部7から短絡頻度検出部8へ出力される。短絡頻度検出部8は、予め設定されたサンプリング期間中のチェックパルスの総数と、短絡検出回数とに基づいて、短絡頻度を検出する(ステップS102)。短絡頻度検出部8は、検出した短絡頻度を加工制御部4へ出力する。
【0017】
加工制御部4は、短絡頻度検出部8から短絡頻度が入力されると、短絡頻度がある第1の閾値(この例では50%とする)以上であるか否かを判断する(ステップS103)。短絡頻度が50%以上であるならば(ステップS103/Yes)、加工制御部4は、加工状態を通常状態から抜け際状態へと変更し、これをパルス発生装置6及び加工送り指令部9へ通知する。さらに、加工状態情報記憶部41に記憶させている加工状態情報を更新する(ステップS104)。その後、加工送り指令部9は抜け際状態の加工送り速度で電極2を移動させ、パルス発生装置6は、抜け際状態でのパルス電圧を電極2−ワーク3間に印加する(ステップS101)。なお、抜け際状態で電極2−ワーク3間に印加するパルスは、通常状態でのパルスと比較して休止時間が延長したものとなっている。すなわち、抜け際状態では、通常状態よりも休止時間が延長されたパルス電圧による加工(休止時間延長加工)を行う。
【0018】
図4は、細穴放電加工中の電極2及びワーク3の状態並びに加工液の流れを示す図である。図中の矢印は加工液の流れを表している。図4(a)は通常状態を示しており、パイプ状の電極2の先端から噴射された加工液によって、ワーク3の穴からスラッジ15が排出されるため、短絡の発生頻度は低い。図4(b)は、抜け際状態を示しており、パイプ状の電極2の先端から噴射された加工液は、ワーク3に僅かに開いた穴から流れ出てしまい、穴内部のスラッジ15が排出されにくくなる。
【0019】
上記のように、抜け際状態ではパルス発生装置6が電極2−ワーク3間に印加するパルスは、通常状態と比較して休止時間が延長されているため、スラッジ15を排出するための時間を確保するとともに、単位時間当たりに生成されるスラッジ15を減少させることができる。これにより、抜け際状態での加工を安定させることができる。
【0020】
一方、短絡頻度検出部8から入力された短絡頻度が第1の閾値未満である場合は(ステップS103/No)、加工制御部4は加工状態が抜け際状態であるか否かを確認する(ステップS105)。
【0021】
加工状態が抜け際状態である場合には(ステップS105/Yes)、加工制御部4は、短絡頻度検出部8から入力された短絡頻度が抜け際の判断に用いた第1の閾値よりも小さい別の第2の閾値(この例では10%とする)以下であるか否かを判断する(ステップS106)。短絡頻度が第2の閾値以下であるならば(ステップS106/Yes)、加工制御部4は加工状態を抜け際状態から貫通状態へと変更し、パルス発生装置6及び加工送り指令部9へ通知する(ステップS107)。これを受けてパルス発生装置6及び加工送り指令部9は、パルスの発生及び電極2の送りを停止し、加工を終了する(ステップS108)。一方、短絡頻度が第2の閾値を越える場合には(ステップS106/No)、ステップS101に戻り、抜け際状態での加工を継続する。
【0022】
図5、図6は、加工時間と短絡頻度、非短絡頻度との関係を示す図である。縦軸は頻度(%)、横軸は加工時間(秒)である。図5は、抜け際で休止時間を延長する場合の加工時間と短絡頻度、非短絡頻度との関係を示しており、図6は、抜け際で休止時間を延長しない場合の加工時間と短絡頻度、非短絡頻度との関係を示している。加工状態によらずに休止時間が一定である場合、抜け際では短絡が頻発している。これに対し、抜け際で休止時間を延長する場合は、抜け際での短絡の発生が少なくなっており、加工が安定している。
【0023】
図7は抜け際での加工条件と加工時間との関係を示す図である。抜け際で休止時間を延長しない場合は、平均すると加工開始から45.8秒で抜け際状態となり、抜け際からから53秒で貫通し、全体としては98.8秒の加工時間を要している。これに対し、抜け際で休止時間を延長した場合は、平均すると加工開始から47秒で抜け際状態となり、抜け際から11.2秒で貫通し、全体として58.2秒の加工時間を要している。このように、抜け際での短絡の発生を抑えることで、短絡バックを行う回数を減少させ、加工完了までの所要時間を短縮できる。また、加工完了までに消費するエネルギーを低減できる。
【0024】
このように、本実施の形態にかかる細穴放電加工機は、穴加工時に抜け際及び貫通の検出が可能であるとともに、貫通までの加工時間を短縮することができる。しかも、短絡頻度が上昇した際に、パルスの休止時間を延ばし、その状態において短絡頻度が減少した場合に貫通と判断するため、確実に貫通を検出できる。
【0025】
実施の形態2.
本発明にかかる細穴放電加工機の実施の形態2の構成は、実施の形態1と同様である。図8は、本実施の形態にかかる細穴放電加工機の細穴加工の動作の流れの一例を示す図である。実施の形態1とほぼ同様の動作であるが、本実施の形態では短絡頻度が第1の閾値(この例では50%とする)以上の状態や第2の閾値(この例では10%とする)以下の状態が予め設定された時間継続した場合に、抜け際や貫通と判断し、加工状態を切り替える。例えば、通常状態のときに0.2秒以上継続して短絡頻度が50%以上となったら抜け際と判断し、抜け際状態のときに0.5秒以上継続して短絡頻度が10%以下となったら貫通と判断する。短絡頻度は、所定のサンプリング期間ごとに検出するため、図8に示す例では短絡頻度の継続時間が閾値以上となったことは、カウンタのカウント値に基づいて検出している。
【0026】
本実施の形態においては、短絡頻度が第1の閾値以上の状態や第2の閾値以下の状態が予め設定した時間継続しなければ抜け際や貫通とみなさないため、抜け際や貫通の誤検出を低減できる。この他については実施の形態1と同様であるため、重複する説明は割愛する。
【0027】
実施の形態3.
本発明にかかる細穴放電加工機の実施の形態3の構成は、実施の形態1と同様である。図9は、本実施の形態にかかる細穴放電加工機の細穴加工の動作の流れの一例を示す図である。実施の形態1とほぼ同様の動作であるが、本実施の形態においては、加工制御部は、抜け際状態において第1の閾値(この例では50%とする)以上の短絡頻度を検出した場合には、加工状態を抜け際状態から通常状態に変更する。
【0028】
抜け際状態でないにも係わらずパルスの休止時間を延ばすと、加工に十分なパルスが供給されないため加工が不安定となって短絡頻度は減少しない。よって、パルスの休止時間を延ばしたにも係わらず短絡頻度が減少しない場合には、パルスの休止時間を元に戻すことで、加工に十分なパルスを供給し、抜け際状態となるまでの時間が長期化することを防ぐことが可能となる。
【0029】
なお、抜け際状態へ移行後、短絡頻度が閾値以上の状態が一定期間持続した場合に通常状態へ戻すように動作させることも可能である。さらに、通常状態から抜け際状態への移行を判断する際に用いる第1の閾値とは異なる閾値に基づいて、抜け際状態から通常状態へ復帰するか否かを判断しても良い。
【0030】
この他については実施の形態1と同様であるため、重複する説明は割愛する。
【0031】
上記の各実施の形態は、本発明の実施の一例であり、本発明はこれに限定されることはない。例えば、上記各実施の形態においては、加工制御部が加工状態を通常状態から抜け際状態へ変化させる判断に用いる第1の閾値が所定の値(50%)である場合を例としたが、一定期間の短絡頻度の平均値よりも所定値大きくなった場合(例えば10以上大きくなった場合)に加工状態を通常状態から抜け際状態に変化させてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0032】
以上のように、本発明にかかる細穴放電加工機は、抜け際状態での加工を安定して行える点で有用であり、特に、中空形状のワークの上層のみの穿孔や、既に存在する横穴を通り越さないように縦穴を加工するのに適している。
【符号の説明】
【0033】
1 細穴放電加工機
2 電極
3 ワーク
4 加工制御部
5 パルス発生条件設定部
6 パルス発生装置
7 短絡検出部
8 短絡頻度検出部
9 加工送り指令部
41 加工状態情報記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端から加工液を噴射するパイプ状の電極と、前記電極とワークとの間に加工パルスを含むパルス電圧を休止時間を挟んで間欠的に印加するパルス発生手段とを有し、前記電極と前記ワークとの間に介在する前記加工液中で前記加工パルスによる放電を発生させて前記ワークに対して放電加工を施す細穴放電加工機であって、
前記電極と前記ワークとの間での短絡の発生を検出する短絡発生検出手段と、
前記短絡の発生頻度を検出する短絡発生頻度検出手段と、
前記短絡発生頻度検出手段の検出結果に基づいて、前記放電加工による加工中の穴が非貫通の通常状態であるか、部分的に貫通した抜け際状態であるか、完全に貫通した貫通状態であるかを判断する加工状態判定手段とを有することを特徴とする細穴放電加工機。
【請求項2】
前記加工状態判定手段は、
前記通常状態での加工中の短絡発生頻度が第1の閾値以上である場合に前記通常状態から抜け際状態へ遷移したと判断し、
前記抜け際状態での加工中の前記短絡発生頻度が前記第1の閾値よりも小さい第2の閾値以下である場合に、前記抜け際状態から前記貫通状態に遷移したと判断することを特徴とする請求項1記載の細穴放電加工機。
【請求項3】
前記加工状態判定手段は、
前記通常状態での加工中の前記短絡発生頻度が前記第1の閾値以上となった状態が予め設定された時間以上継続した場合に、前記通常状態から前記抜け際状態へ遷移したと判断し、
前記抜け際状態での加工中の前記短絡発生頻度が前記第2の閾値以下となった状態が予め設定された時間以上継続した場合に、前記抜け際状態から前記貫通状態へ遷移したと判断することを特徴とする請求項1記載の細穴放電加工機。
【請求項4】
前記加工状態判定手段が前記通常状態から前記抜け際状態へ遷移したと判断した際に、前記放電加工の加工条件を、前記休止時間を前記通常状態よりも延長した休止時間延長加工条件に変更する加工条件変更手段を有することを特徴とする請求項2又は3記載の細穴放電加工機。
【請求項5】
前記加工状態判定手段は、前記放電加工の加工条件を前記休止時間延長加工条件へ変更後に前記短絡発生頻度が低下しない場合は、前記通常状態であると判断し、前記加工条件変更手段は、前記放電加工の加工条件を前記休止時間延長加工条件から前記通常加工の加工条件へ変更することを特徴とする請求項4記載の細穴放電加工機。
【請求項6】
前記パルス発生手段は、前記短絡の検出用のチェックパルスを前記加工パルスに先立って含むパルス電圧を、前記電極と前記ワークとの間に印加し、
前記短絡発生検出手段は、前記チェックパルスを印加した際に前記電極と前記ワークとの間に生じた電位差に基づいて、前記短絡の発生を検出することを特徴とする請求項1から5のいずれか1項記載の細穴放電加工機。
【請求項7】
前記短絡頻度検出手段は、予め設定された期間中の前記チェックパルスの総数と、前記短絡の発生回数とに基づいて、前記短絡発生頻度を検出することを特徴とする請求項6記載の細穴放電加工機。
【請求項8】
先端から加工液を噴射するパイプ状の電極とワークとの間に加工パルスを含むパルス電圧を休止時間を挟んで間欠的に印加して、前記電極と前記ワークとの間に介在する前記加工液中で前記加工パルスによる放電を発生させて前記ワークに対して放電加工を施す細穴放電加工機による細穴放電加工方法であって、
通常加工中の前記電極と前記ワークとの間での短絡の発生頻度が第1の閾値以上である場合に、前記放電加工によって穴が部分的に貫通したと判断して、前記放電加工の条件を、前記休止時間を前記通常加工時よりも延長した休止時間延長加工条件へ変更する工程と、
前記休止時間延長加工条件下での加工中の前記短絡の発生頻度が前記第1の閾値よりも小さい第2の閾値以下である場合に、前記放電加工によって穴が貫通したと判断して加工を終了させる工程とを有することを特徴とする細穴放電加工方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−206896(P2011−206896A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−78527(P2010−78527)
【出願日】平成22年3月30日(2010.3.30)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】