説明

細胞の除去又は破壊を必要とする腫瘍及び他の状態の治療に有効なペプチド

【課題】患者における、有害又は不要な細胞の除去又は破壊を必要とする状態、例えば良性及び悪性腫瘍を、神経糸タンパク質のアミノ酸配列の一部を含むペプチドを含有する又はそれに基づく化合物を用いて治療する方法の提供。
【解決手段】特定のアミノ酸配列によって表されるペプチドからなる群から選ばれる少なくとも1個の神経糸タンパク質(neural thread protein, NTP)ペプチドを含むペプチド。該ペプチド並びにその相同体、フラグメント及び変異体に対応するアミノ酸配列をコードする核酸。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
本願は、2001年11月16日に出願された仮特許出願第60/331,447号、発明の名称“細胞の除去又は破壊を必要とする腫瘍及び他の状態の治療に有効なペプチド(Peptides Effective in the Treatment of Tumors and Other Conditions Requiring the Removal or Destruction of Cells)”に基づく優先権を主張する。前記出願の開示内容は引用によってその全体を本明細書に援用する。
【0002】
発明の背景
1.発明の分野
本発明は、細胞要素の除去又は破壊を必要とする、ヒトの良性又は悪性腫瘍のような状態を、神経糸タンパク質(neural thread protein)のアミノ酸配列の一部に対応する、類
似する又は相同なアミノ酸配列を含むペプチドに基づく化合物を用いて治療する方法に関する。本発明の方法は、該化合物を、単独で又は担体に複合させて、筋肉内、経口、静脈内、くも膜下、腫瘍内、鼻腔内、局所、経皮などに投与することを含むが、これらに限定されない。
【0003】
2.関連技術の記載
多くの医学的治療及び処置の本質は、有害又は不要な組織を除去又は破壊することである。そのような意義ある治療の例は、癌腫の外科的除去、化学療法による転移性腫瘍の破壊、及び腺(例えば前立腺)過形成の縮小などである。他の例は、不要な顔毛の除去、いぼの除去、及び不要な脂肪組織の除去を含む。
【0004】
有害又は不要な細胞及び組織を破壊し、それによってその除去を促進又はその更なる成長を阻害するが、作用は主に局所的で全身毒性は最小限もしくは皆無、というような有効な薬剤に対する明らかな需要がある。
【0005】
神経糸タンパク質及びそれらの関連分子はそのような薬剤の一クラスであることが、係属中の米国特許出願第10/092,934号、発明の名称:神経糸タンパク質を用いる腫瘍及び関連状態の治療法(Methods of Treating Tumors and Related Conditions Using
Neural Thread Proteins)に開示されている。前記出願の開示内容は引用によってその全体を本明細書に援用する。神経糸タンパク質及び関連タンパク質のある種のフラグメントが、細胞の除去又は破壊を必要とする腫瘍及び他の状態の治療に有用であることが、以下の米国特許出願に開示されている。すなわち、第10/153,334号、発明の名称:細胞の除去又は破壊を必要とする腫瘍及び他の状態の治療に有効なペプチド(Peptides Effective In The Treatment Of Tumors And Other Conditions Requiring The Removal Or
Destruction Of Cells);第10/198,069号、発明の名称:細胞の除去又は破壊を必要とする腫瘍及び他の状態の治療に有効なペプチド(Peptides Effective In The Treatment Of Tumors And Other Conditions Requiring The Removal Or Destruction Of Cells);及び第10/198,070号、発明の名称:細胞の除去又は破壊を必要とする腫瘍及び他の状態の治療に有効なペプチド(Peptides Effective In The Treatment Of Tumors And Other Conditions Requiring The Removal Or Destruction Of Cells)で、これら各出願の開示内容は引用によってその全体を本明細書に援用する。
【0006】
本明細書中には、細胞の除去又は破壊を必要とする腫瘍及び他の状態の治療に有用な神経糸タンパク質のある種の他のフラグメントも開示されている。
がんとは細胞の制御されない成長及び複製をもたらす、細胞の内部調節機構の異常であ
る。正常細胞が組織を構成するが、これらの細胞が、特定化され、制御され、調和された単位としてふるまう能力を失うと(脱分化)、その欠陥によって細胞集団内の秩序が失われる。こうなったときに腫瘍が形成される。
【0007】
組織の良性過成長は、生体からの細胞の除去が望ましい異常である。良性腫瘍は、体全体に転移はしないものの、病気の症状を引き起こす細胞増殖である。そのような腫瘍でも、脳のような器官の接近不能な領域にあると命取りになりかねない。肺、脳、皮膚、脳下垂体、甲状腺、副腎皮質及び髄質、卵巣、子宮、精巣、結合組織、筋肉、腸、耳、鼻、咽頭、扁桃、口、肝臓、胆嚢、膵臓、前立腺、心臓、及び他の器官などの器官の良性腫瘍がある。
【0008】
がん治療の第一段階は手術であることが多い。手術の目的は様々である。手術を用いて目に見える腫瘍をなるべく多量に切除することもあれば、腫瘍の塊を少なくとも“減量(debulk)”することもある(腫瘍の主塊を取り除き、他の手段による治療を必要とする部分を少なくする)。がんの種類や部位によって、手術は患者の何らかの症状も緩和できる。例えば、外科医が広がっている脳腫瘍の大部分を除去できれば、頭蓋内圧が低下し、患者の症状は改善される。
【0009】
すべての腫瘍が手術に適しているわけではない。完全に除去することが不可能な体内の部分に位置していることもあり得る。こうした例は脳幹(呼吸を司る脳の部分)の腫瘍や大血管の中及び周囲に成長した腫瘍であろう。このような場合、手術の役割は腫瘍除去に高リスクが伴うため制約される。
【0010】
場合によっては単に必要がないため、腫瘍の減量に手術が使われないこともある。一例はリンパ節のがんであるホジキンリンパ腫で、化学療法と放射線療法の併用に非常によく反応する。ホジキンリンパ腫では手術が治癒の達成に必要なことは滅多にないが、診断の確定にはほとんどいつも使用されている。
【0011】
化学療法は、別の広く知られたがん治療の形態である。本質的に化学療法は、体中の迅速に分裂する細胞(腫瘍に見られるような)を特異的に攻撃する薬物療法(通常経口又は注射による投与)の使用を伴う。このため、化学療法は、既に転移したがんや、血液及びリンパ系を通じて拡散する可能性が高いものの原発腫瘍以外は明らかでない腫瘍の治療に有用性が高い。化学療法は、局在化している腫瘍の、手術や放射線療法に対する反応を高めるためにも使用されうる。これが当てはまるのは、例えば頭部及び頚部の一部のがんである。
【0012】
残念なことに、正常でも迅速に分裂しているヒト体内の他の細胞(例えば胃の内膜及び毛髪)も化学療法の影響を受ける。このため、多くの化学療法薬は、吐き気、嘔吐、貧血、脱毛又は他の症状などの望ましくない副作用を引き起こす。これらの副作用は一過性なので、これらの副作用の多くの軽減に役立ちうる薬物療法がある。知識の増加に伴い、研究者らはがん細胞をよく殺すだけでなく患者に対する副作用も少ない新規の化学療法薬を考案している。
【0013】
化学療法は様々な方法で患者に投与される。ある場合には丸薬であり、ある場合には静脈内又は他の注射による投与である。注射式化学療法の場合、患者は治療のために通院する。他の化学療法薬は1日24時間血流中への連続注入を必要とする。このような種類の化学療法の場合、患者が装着する小ポンプを植え込むために小手術が行われる。その後該ポンプによって薬物が徐々に投与される。多くの場合、度重なる針刺しの必要性を排除するために患者の静脈に常設ポートが設置される。
【0014】
放射線療法もがんとの闘いに汎用される別の武器である。放射線は、腫瘍細胞内のDNAを損傷することによってがんを殺す。放射線は様々な方法で照射される。最も一般的な方法は、非常に精確な方式で患者に放射線のビームを向け、腫瘍に焦点を合わせる。これを行うには、患者が台上に横たわり、ビームが患者の周りを移動する。処置は数分間で終わるが、特定の全処方線量を達成するには(腫瘍の種類に応じて)数週間のあいだ毎日行われることになる。
【0015】
密封小線源療法(brachytherapy)と呼ばれる別の放射線療法が使用されることもある
。これは、放射性ペレット(シーズ)又はワイヤを利用し、それらを体内の腫瘍領域に埋め込むことを伴う。移植は一時的でも永久的でもよい。永久的移植の場合、シーズ中の放射線は数日間又は数週間かけて崩壊するので、患者は放射性ではない。一時的移植の場合、全放射線量は通常数日間で照射されるので、患者はその間入院する必要がある。いずれのタイプの密封小線源療法も、放射線は一般的にがんを局所制御するために非常に標的化した領域に照射される(化学療法が全身を処置するのとは対照的)。
【0016】
ごく一部の患者は骨髄移植に回されることもある。この方法は通常がんが特に攻撃的であるか、又は従来療法で治療した後がんが再発した患者を対象に実施される。骨髄移植は複雑な方法である。多くの種類があり、それによって副作用や治癒の可能性も変わる。ほとんどの移植は特別のセンターで実施され、多くの場合その使用は研究的とみなされる。
【0017】
ほかにもいくつかの療法がある。ただし、ほとんどはまだ臨床試験で模索中で、まだ標準的治療には至っていない。その例は、免疫療法、モノクロナール抗体、抗血管新生因子、及び遺伝子療法の使用などである。
【0018】
免疫療法:放射線や化学療法とは全く別に患者自身の免疫系ががんと闘うのを手助けするように設計された種々の技術がある。多くの場合、目標を達成するために研究者らは特別に誘導されたワクチンを患者に接種する。
【0019】
モノクロナール抗体:これらは、がん細胞と非がん細胞の抗原性及び/又は他の特徴の違いを利用してがん細胞に結合するように設計された抗体である(正常細胞には結合しない)。該抗体は、患者に単独で、又は種々の細胞毒化合物と組み合わせて、又は放射性の形態で投与できる。その結果、がん細胞を優先的に標的にする該抗体によって毒物や放射能が所望の細胞に運搬される。
【0020】
抗血管新生因子:がん細胞は迅速に分裂し腫瘍が成長するので、じきにそれらへの血液供給が追いつかなくなりうる。これを補うために、一部の腫瘍はその近辺の血管成長を誘発するのに役立つと考えられている物質を分泌する。そうすることによって、がん細胞に血管由来の栄養素が供給される。実験的療法は、腫瘍に通じる血管の成長を阻止するように設計されている。
【0021】
遺伝子療法:がんは、最終的にがん細胞の産生とその過剰増殖をもたらす一連の突然変異の産物である。がんは、がん細胞に、がんの増殖をチェック又は停止させるように作用する遺伝子、細胞のプログラムされた細胞破壊機構を作動させる遺伝子、細胞の免疫認識を増強させる遺伝子、又は毒性代謝産物転化するプロドラッグ又は腫瘍成長を阻害するサイトカインにを発現する遺伝子を導入することによって治療できる。
【0022】
良性腫瘍及び奇形も、手術、放射線療法、薬物療法、熱又は電気的剥離、寒冷療法、及びその他を含む各種方法によって治療できる。良性腫瘍は転移しないが、大きく成長したり再発することはある。良性腫瘍の外科的摘出と言えども一般に手術のあらゆる困難と副作用を伴い、一部の良性腫瘍、例えば下垂体腺腫、脳の髄膜腫、前立腺過形成、及びその
他などは摘出手術を繰り返さなければならないことが多い。
【0023】
不要な細胞要素が関与し選択的細胞除去が望ましい状態はほかにもある。例えば、心疾患及び脳卒中は一般的にアテローム性動脈硬化によって起こる。アテローム性動脈硬化は線維性脂肪の増殖性病変で、変性した平滑筋要素が血管壁を歪め、管腔を狭窄し、血流を圧迫し、局所的凝血の素因を作り、最終的には閉塞及び梗塞に至る。アテローム性動脈硬化に対する各種治療法として、バイパス移植;人工的移植;再疎通、掻爬、放射線、レーザー、又は他の除去を用いる血管形成術;脂質削減によりアテローム性動脈硬化を阻害する薬物療法;抗凝固療法;及び食事、運動、ライフスタイルの一般的対策などがある。アテローム性動脈硬化病変を外科的処置のリスク及び副作用なしに除去する方法が求められている。
【0024】
選択的細胞除去が望ましい不要細胞要素の他の例は、いぼのようなウィルス誘発性成長などである。別の例は、炎症状態で見られる肥大性炎症性腫瘤、及び肥大性瘢痕又はケロイドである。さらに別の例は美容関係の内容で、顔毛のような不要毛の除去、又は美容を目的とした、顔の真皮や結合組織又は四肢の真皮や結合組織中の不要組織部分の縮小などである。
【0025】
選択的細胞除去又は細胞増殖阻害が望ましい不要細胞要素の他の例は、循環系におけるあらゆる動脈、弁又は管の狭窄及び再狭窄などである。例えば、弁(例えば、大動脈弁口の狭窄が関与する大動脈弁狭窄症)、冠状動脈(例えば、冠状動脈口の狭窄が関与する冠状動脈口狭窄症)、頸動脈及び腎動脈などであるが、これらに限定されない。他の例は、狭窄(stenosis)、狭窄(stricture)もしくは動脈瘤治療のために血管内に設置もしくは
移植された、又は尿路内及び胆管内に設置もしくは移植されたステントなどの医療器具の部分又は完全閉塞を引き起こす不要な細胞成長又は蓄積の阻害又は除去などである。
【0026】
さらに別の例は当業者には明らかであろう。これらの例のすべて又は大部分において、不要な細胞要素を従来療法のリスクや副作用なしに除去又は破壊できる治療法、又はより精確に不要細胞要素を除去できる治療法が求められている。
【0027】
神経糸タンパク質(neural thread protein, NTP)は最近特徴が明らかになった脳
タンパク質のファミリーである。このファミリーの一員であるAD7c−NTPは〜41kDの膜関連リンタンパク質で、神経突起発芽に関わる機能を有する(de la Monteら、J.Clin.Invest.,100:3093−3104(1997);de la Monteら、Alz..Rep.,2:327−332(1999);de la Monte SM及びWands JR、Journal of Alzheimer’s Disease,3:345−353(2001))。AD7c−NTPをコードする遺伝子及びAD7c−NTPの予測タンパク質配列は同定され報告されている(de la Monteら、J.Clin.Invest.,100:3093−3104(1997))。〜41kD種のほか、神経糸タンパク質の他の種(〜26kD、〜21kD、〜17kD、及び〜15kD)も同定され、神経外胚葉腫瘍、星状芽細胞腫、グリア芽細胞腫、及び低酸素、スキーマ(schema)、又は脳梗塞による傷害に関連している(Xuら、Cancer Research,53:3823−3829(1993);de la Monteら、J.Neuropathol.Exp.Neurol.,55(10):1038−50(1996)、de la Monteら、J.Neurol.Sci.,138(1−2):26−35(1996);de la Monteら、J.Neurol.Sci.,135(2):118−25(1996);de la Monteら、J.Clin.Invest.,100:3093−3104(1997);及びde la Monteら、Alz..Rep.,2:327−332(1999))。
【0028】
神経糸タンパク質の種は、米国特許第5,948,634号;5,948,888号;及び5,830,670号(いずれも“神経糸タンパク質の遺伝子発現とアルツハイマー病の検出(Neural Thread Protein Gene Expression and Detection of Alzheimer's Disease)”)、並びに米国特許第6,071,705号(“神経疾患又は神経障害の検出法(Method of Detecting Neurological Disease or Dysfunction)”に記載されクレームされ
ている。これらの特許の開示内容は特に引用によってその全体を本明細書に援用する。それらに記載されているように、NTPは細胞死の最中に応答増強(アップレギュレーション)され産生される。従って死滅した及び死にかけの神経細胞はNTPを過剰産生すると記載されており、ゆえにその存在は神経細胞死及びアルツハイマー病(AD)の発症を示す。
【0029】
他の種の神経糸タンパク質は、AD7c−NTP遺伝子の他の産生物(例えば、NCBI Entrez−タンパク質データベースアクセッション番号XP 032307 PID g15928971に記載の112アミノ酸タンパク質)として、又は神経糸タンパク質に類似している(例えば、NCBI Entrez−タンパク質データベースアクセッション番号AAH14951 PID g15928971に記載の106アミノ酸タンパク質、及びNCBI Entrez−タンパク質データベースアクセッション番号AAH02534 PID g12803421に記載の61アミノ酸タンパク質)と同定されている。
【0030】
神経糸タンパク質はADに関連し、NTPはADにおける細胞死に伴って応答増強される。AD7c−NTPのmRNAは対照と比べてADの脳で応答増強されている;脳及びCSF中のAD7c−NTPタンパク質濃度は対照よりADで高い;そしてAD7c−NTPの免疫反応性は老人斑、神経原線維変化(NFT)、AD及びダウン症候群の脳の変性ニューロン、ニユーロピル糸、及び異栄養性神経突起芽で見られる(Ozturkら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA,86:419−423(1989);de la Monteら、J.Clin.Invest.,86(3):1004−13(1990);de la Monteら、J.Neurol.Sci.,113(2):152−64(1992);de la Monteら、Ann.Neurol.,32(6):733−42(1992);de la Monteら、J.Neuropathol.Exp.Neurol.,55(10):1038−50(1996)、de la Monteら、J.Neurol.Sci.,138(1−2):26−35(1996);de la Monteら、J.Neurol.Sci.,135(2):118−25(1996);de la Monteら、J.Clin.Invest.,100:3093−3104(1997);及びde la Monteら、Alz..Rep.,2:327−332(1999))。NTPは、細胞内、ニューロピル内の微細突起内、又はAD及びダウン症候群の脳の細胞外に局在している。de la Monteら、Ann.Neurol.,32(6):733−42(1992)。
【0031】
高められた濃度のAD7c−NTPタンパク質がAD患者のCSF及び尿中に見出されている(de la Monte及びWands、Front Biosci 7:989−96(2002);de la Monte及びWands、Journal of
Alzheimer’s Disease 3:345−353(2001);Munzarら、Alzheimer’s Reports 4:61−65(2001);Kahleら、Neurology 54:1498−1504(2000);Munzarら、Alzheimer Reports 3:155−159(2000);de la Monteら、Alzheimer’s Reports 2:327−332(1999);及びde la Monteら、J.Clin.Invest 100:3093−3104(1997))。
【0032】
NTPの過剰発現はアルツハイマー病の細胞死のプロセスにも関連している(de la Monte及びWands、J.Neuropathol.Exp.Neurol.,60:195−207(2001);de la Monte及びWands、Cell Mol Life Sci 58:844−49(2001))。AD7c−NTPはダウン症候群の脳組織中にも確認されている(Wandsら、国際特許公開第WO90/06993号;de la Monteら、J.Neurol.Sci 135:118−25(1996);de la Monteら、Alz..Rep.,2:327−332(1999))。NTPの過剰発現は正常眼圧緑内障にも関連しているかもしれないといういくつかの証拠がある(Golubnitschaja−Labudovaら、Curr Eye Res 21:867−76(2000))。
【0033】
NTPは、インビトロでは神経膠腫及び神経芽細胞腫の細胞培養物で、またインビボでは正常齧歯類の筋組織、皮下結合組織、及び真皮で、並びに各種の異なるヒト及び非ヒト起源の腫瘍、例えば乳がん、皮膚がん及び乳頭腫、結腸がん、脳の神経膠腫、並びに齧歯類モデルのその他で細胞死を起こす有効な薬剤であることが証明されている。係属中の米国特許出願第10/092,934号、発明の名称:神経糸タンパク質を用いる腫瘍及び関連状態の治療法(Methods of Treating Tumors and Related Conditions Using Neural Thread Proteins)参照。
【0034】
AD7c−NTP及び他の種のNTPのある種のペプチド配列及びフラグメントも、インビトロでは神経膠腫及び神経芽細胞腫の細胞培養物、及び/又はインビボでは正常齧歯類の筋組織、皮下結合組織、真皮及び他の組織で細胞死を起こす有効な薬剤であることが証明されている。米国特許出願第10/153,334号、発明の名称:細胞の除去又は破壊を必要とする腫瘍及び他の状態の治療に有効なペプチド(Peptides Effective In The
Treatment Of Tumors And Other Conditions Requiring The Removal Or Destruction Of Cells);第10/198,069号、発明の名称:細胞の除去又は破壊を必要とする腫瘍及び他の状態の治療に有効なペプチド(Peptides Effective In The Treatment Of Tumors And Other Conditions Requiring The Removal Or Destruction Of Cells);及び第10/198,070号、発明の名称:細胞の除去又は破壊を必要とする腫瘍及び他の状態の治療に有効なペプチド(Peptides Effective In The Treatment Of Tumors And Other Conditions Requiring The Removal Or Destruction Of Cells)参照。これら各出願の開示内容は引用によってその全体を本明細書に援用する。
【0035】
前記関連技術の記載を含む本明細書の記述全体を通して、米国特許のいずれか及びすべてを含め本明細書中に記載した公的に入手可能ないずれか及びすべての文献は、特に引用によってその全体を本明細書に援用する。前記関連技術の記載は決して、係属中の米国特許出願を含め本明細書中に記載のいずれかの文献が本発明の先行技術であることを承認することを意図しているのではない。さらに、記載された産物、方法、及び/又は装置に付随する何らかの欠点について本明細書中でなされている記述は、発明を制限することを意図しているのではない。実際、本発明の側面は、記載された産物、方法、及び/又は装置の確かな特徴を、それらの記載された欠点を被ることなく含みうる。
【0036】
当該技術分野には不要な細胞要素を処置するための新規で低毒性の治療法に対する需要が依然としてある。本発明はこれらの需要に応えるものである。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0037】
発明の概要
本発明は、AD7c−NTP以外の神経糸タンパク質の他の種のアミノ酸配列の一部に
対応するアミノ酸配列を含有するペプチドは、不要な細胞増殖物を治療及び/又は殺すことができるという発見を一部前提にしている。これらの不要な細胞増殖物は、特に、良性及び悪性腫瘍、腺(例えば前立腺)過形成,不要な顔毛、いぼ、及び不要な脂肪組織などである。
【0038】
本発明は、不要な細胞増殖物(良性及び悪性腫瘍、腺(例えば前立腺)過形成,不要な顔毛、いぼ、及び不要な脂肪組織)の治療法に関し、その必要ある哺乳動物に、治療上有効量の、AD7c−NTP以外の神経糸タンパク質(NTP)の種のアミノ酸配列の一部に対応するアミノ酸配列(又は1より多くの配列)を含むペプチドを投与することを含む。 そのようなペプチド(“NTPペプチド”)は、単独で、又は担体もしくは抗体に複合させて投与することができる。NTPペプチドは、単独で又は担体に複合させて、噴霧、注入、ボーラス注射、移植デバイス、徐放システムなどにより、筋肉内、経口、静脈内、腹腔内、脳内(実質内)、脳室内、腫瘍内、病巣内、皮内、くも膜下、鼻腔内、眼内、動脈内、局所、経皮投与できる。あるいは、NTPペプチドは、該ペプチドを発現する遺伝子を投与することにより、そのような産生を誘導するワクチンを投与することにより、又は該ペプチドをインビボで発現する細胞、細菌もしくはウィルスを導入することにより、遺伝子修飾などの結果、インビボで発現させることもできる。
【0039】
さらに、NTPペプチドは、良性及び悪性腫瘍並びに他の不要又は有害な細胞成長を治療するための他の療法と組み合わせて使用することもできる。
前述の一般的説明と以下の詳細な説明はいずれも例示及び説明的なものであり、クレームした本発明をさらに説明するために提供されるものである。他の目的、利点、及び特徴は以下の本発明の詳細な説明から当業者には容易に明らかであろう。
好ましい態様の詳細な説明
本発明のタンパク質、ヌクレオチド配列、ペプチドなど、及び方法を説明する前に、本発明は、記載した特定の方法論、プロトコル、細胞系、ベクター、及び試薬に制限されないことを理解すべきである(これらは変動しうるものである)。また、本明細書中で使用している用語は、特定の態様を説明することだけを目的としたもので、本発明の範囲を制限する意図はないことも理解すべきである。本発明の範囲は添付のクレームによってのみ制限される。
【0040】
本明細書中で使用している用語及び語句は、別途記載のない限り以下に示したように定義される。
本記述全体を通じて、“a”、“an”、及び“the”で示される単数形は、文脈が明らかに他の場合を指していない限りは複数形への言及も含まれる。従って、“1個の宿主細胞”への言及は複数のそのような宿主細胞を含み、“1個の抗体”と言うときには1個以上の抗体及び当業者に公知のその等価物への言及も含む、といったことなどである。
【0041】
“AD7c−NTP”という用語は、〜41kDのタンパク質並びにそれをコードする遺伝子及び核酸配列のことで、de la MonteらによるJ.Clin.Invest., 100:3093−3104(1997)、米国特許第5,948,634号、5,948,888号、及び5,830,670号の配列120及び121に記載されている。
【0042】
“NTP”という用語は、AD7c−NTP以外の神経糸タンパク質及び関連分子(膵臓糸タンパク質を含む)のことで、米国特許第5,948,634号、5,948,888号、5,830,670号及び6,071,705号、並びにde la Monteら、J.Neuropathol.Exp.Neurol.,55(10):1038−50(1996)、de la Monteら、J.Neurol.Sci.,138(1−2):26−35(1996);de la Monteら、J.Neurol.S
ci.,135(2):118−25(1996);de la Monteら、J.Clin.Invest.,100:3093−3104(1997);及びde la Monteら、Alz..Rep.,2:327−332(1999)に記載されている。“NTP”という用語は、
(a)神経糸タンパク質の〜42、〜26、〜21、〜17、〜14、及び〜8kD種で、米国特許第5,948,634号、5,948,888号、5,830,670号、及び6,071,705号、並びにde la Monteら、J.Neuropathol.Exp.Neurol.,55(10):1038−50(1996)、de la Monteら、J.Neurol.Sci.,138(1−2):26−35(1996);de la Monteら、J.Neurol.Sci.,135(2):118−25(1996);de la Monteら、J.Clin.Invest.,100:3093−3104(1997);及びde la Monteら、Alz..Rep.,2:327−332(1999)に記載のもの;
(b)バージニア州マナッサスのAmerican Type Culture Collectionにアクセッション番号HB−12546で寄託されているモノクロナール抗体#2又はバージニア州マナッサスのAmerican Type Culture
Collectionにアクセッション番号HB−12545で寄託されているモノクロナール抗体#5によって特異的に認識されるタンパク質;
(c)AD7c−NTP遺伝子によってコードされるタンパク質、スプライス変異体を含む;
(d)米国特許第5,830,670号、5,948,634号、及び5,948,888号の配列40に記載の、及びNCBI Entrez−タンパク質アクセッション番号AAE25447、PID g10048540に掲載の122アミノ酸神経糸タンパク質、これのアミノ酸配列を図1に示す(“NTP[122]”);
(e)NCBI Entrez−タンパク質アクセッション番号XP 032307、PID g14725132に掲載の112アミノ酸神経糸タンパク質、これのアミノ酸配列を図2に示す(“NTP[112]”);
(f)NCBI Entrez−タンパク質アクセッション番号AAH14951、PID g15928971に掲載の106アミノ酸神経糸タンパク質様タンパク質、これのアミノ酸配列を図3に示す(“NTP[106]”);
(g)米国特許第5,830,670号、5,948,634号、及び5,948,888号の配列30に記載の、及びNCBI Entrez−タンパク質アクセッション番号AAE25445、PID g10048538に掲載の98アミノ酸神経糸タンパク質、これのアミノ酸配列を図4に示す(“NTP[98]”);
(h)米国特許第5,830,670号、5,948,634号、及び5,948,888号の配列48に記載の、及びNCBI Entrez−タンパク質アクセッション番号AAE25448、PID g10048541に掲載の75アミノ酸神経糸タンパク質、これのアミノ酸配列を図5に示す(“NTP[75]”);
(i)米国特許第5,830,670号、5,948,634号、及び5,948,888号の配列36に記載の、及びNCBI Entrez−タンパク質アクセッション番号AAE25446、PID g10048539に掲載の68アミノ酸神経糸タンパク質、これのアミノ酸配列を図6に示す(“NTP[68]”);
(j)NCBI Entrez−タンパク質アクセッション番号AAH02534、PID g12803421に掲載の61アミノ酸神経糸タンパク質様タンパク質、これのアミノ酸配列を図7に示す(“NTP[61]”);
(k)膵臓糸タンパク質;
(l)米国特許第6,071,705に記載の神経膵臓糸タンパク質(nPTP);及び
(m)American Type Culture Collectionに寄託されているHB9934、HB9935、及びHB9936からなる群由来のハイブリドー
マによって産生される抗体によって特異的に認識されるタンパク質;
を含むが、これらに限定されない。
【0043】
“NTP”という用語は、文脈が他の場合を示していない限り、NTPタンパク質の相同体、フラグメント、誘導体、変異体、融合タンパク質、及びペプチドミメティックを含む。
【0044】
“NTPペプチド”という表現は、NTP、NTPの種のアミノ酸配列の少なくとも一部、又はNTPの種のフラグメントに対応するアミノ酸を含むペプチドのことで、文脈が他の場合を示していない限り、そのようなペプチドの相同体、フラグメント、誘導体、変異体、融合タンパク質、及びペプチドミメティックを含む。
【0045】
“フラグメント”という用語は、NTPタンパク質又はNTPペプチドのアミノ酸配列の連続した部分配列からなるタンパク質又はポリペプチドのことで、スプライス変異体のような天然フラグメント及び天然のインビボにおけるプロテアーゼ活性の結果生じたフラグメントを含む。そのようなフラグメントは、アミノ末端、カルボキシ末端で、及び/又は内部的に(例えば天然スプライシングによって)切断されていることもある。そのようなフラグメントは、アミノ末端のメチオニンを持つようにも持たないようにも製造できる。“フラグメント”という用語は、同じNTPタンパク質又はNTPペプチド由来の複数のフラグメント(同一でも異なっていても)を含み、共通又は共通でない連続アミノ酸配列が直接的に又はリンカーを介して一緒につながっている。
【0046】
“変異体”という用語は、NTPタンパク質又はNTPペプチドのアミノ酸配列と比べた場合に、一つ以上のアミノ酸の置換、欠失、及び/又は挿入が存在するタンパク質又はポリペプチドのことで、NTPタンパク質又はNTPペプチドの天然の対立遺伝子変異体又は選択的スプライス変異体を含む。“変異体”という用語は、ペプチド配列の中の1個以上のアミノ酸の、類似もしくは相同アミノ酸(1個又は複数個)又は非類似アミノ酸(1個又は複数個)による置換を含む。アミノ酸が類似又は相同であるとランクづけできる尺度は数多くある(Gunnar von Heijne、Sequence Analysis in Molecular Biology(分子生物学における配列分析),p.123−39(Academic Press、ニューヨーク州ニューヨーク、1987))。好適な変異体は、1個以上のアミノ酸の位置でのアラニン置換を含む。他の好適な置換は、タンパク質の全体的な実効電荷、極性、又は疎水性にほとんどないし全く影響を及ぼさない保存的置換を含む。保存的置換を以下の表2に示す。
【0047】
【表1】

【0048】
表3にアミノ酸置換の別のスキームを示す。
【0049】
【表2】

【0050】
他の変異体はあまり保存的でないアミノ酸置換からなりうる。例えば、(a)置換領域におけるポリペプチド骨格の、例えばシート又はへリックス構造としての構造、(b)標的部位における分子の電荷又は疎水性、又は(c)側鎖の嵩高さ、の維持に及ぼす影響がより著しく異なる残基が選択されるような置換である。一般的に機能についてより顕著な影響を及ぼすと考えられる置換は、(a)グリシン及び/又はプロリンが別のアミノ酸で置換されている又は欠失もしくは挿入されている;(b)親水性残基、例えばセリル又はトレオニルが疎水性残基、例えばロイシル、イソロイシル、フェニルアラニル、バリル、又はアラニルを置換している(又はその逆);(c)システイン残基が任意の他の置換基を置換している(又はその逆);(d)電気的に陽性の側鎖を有する残基、例えばリシル、アルギニル、又はヒスチジルが電気的に陰性の電荷を有する残基、例えばグルタミル又はアスパルチルを置換している(又はその逆);又は(e)嵩高い側鎖を有する残基、例えばフェニルアラニンがそのような側鎖を持たない残基、例えばグリシンを置換している(又はその逆)、というような置換である。他の変異体は、新規のグリコシル化及び/又はリン酸化部位を生じるように設計された、又は既存のグリコシル化及び/又はリン酸化部位を削除するように設計されたものなどである。変異体は、グリコシル化部位、タンパク分解的切断部位及び/又はシステイン残基における少なくとも1個のアミノ酸置換を含む。変異体は、追加のアミノ酸残基をリンカーペプチド上のNTPタンパク質又はNTPペプチドのアミノ酸配列の前又は後に有するNTPタンパク質及びNTPペプチドも含む。例えば、NTPペプチドのアミノ及びカルボキシ末端の両方にシステイン残基を加えれば、ジスルフィド結合の形成によってNTPペプチドを環化させることができる。“変異
体”という用語には、NTPペプチドの3’又は5’末端のいずれかにフランキングしている少なくとも1個及び25個以上までの追加のアミノ酸を有するNTPペプチドのアミノ酸配列を有するポリペプチドも包含される。
【0051】
“誘導体”という用語は、プロセシング及び他の翻訳後修飾のような自然過程によってだけでなく、化学修飾技術によって化学的に修飾されている化学修飾タンパク質又はポリペプチドのことを言う。化学修飾技術とは、例えば1個以上のポリエチレングリコール分子、糖、ホスフェート、及び/又は他のそのような分子、ここで該分子(1個又は複数個)は野生型のNTPタンパク質又はNTPペプチドに自然に結合しない、を付加させることなどである。誘導体には塩も含まれる。そのような化学修飾は、基本書及びさらに詳細な研究論文、並びに分厚い研究文献によく記述されており、また当業者には周知である。同じ型の修飾が所定のタンパク質又はポリペプチドのいくつかの部位で同程度に又は異なる程度に存在しうることはわかるであろう。また、所定のタンパク質又はポリペプチドが多種の修飾を含有することもあり得る。修飾は、ペプチド骨格、アミノ酸側鎖、及びアミノ又はカルボキシ末端を含め、タンパク質又はポリペプチドのどこでも起こりうる。修飾は、例えば、アセチル化、アシル化、ADP−リボシル化、アミド化、フラビンの共有結合、ヘム部分の共有結合、ヌクレオチド又はヌクレオチド誘導体の共有結合、脂質又は脂質誘導体の共有結合、ホスファチジルイノシトールの共有結合、架橋、環化、ジスルフィド結合形成、脱メチル化、共有架橋の形成、システインの形成、ピログルタメートの形成、ホルミル化、γ−カルボキシル化、グリコシル化、GPIアンカー形成、ヒドロキシル化、ヨウ素化、メチル化、ミリストイル化、酸化、タンパク分解プロセシング、リン酸化、プレニル化、ラセミ化、グリコシル化、脂質結合、硫酸化、グルタミン酸残基のγ−カルボキシル化、ヒドロキシル化とADP−リボシル化、セレノイル化、硫酸化、転移RNAによるアミノ酸のタンパク質への付加、例えばアルギニル化、及びユビキチン化などである。例えば、Proteins−−Structure And Molecular
Properties(タンパク質−−構造及び分子特性)、第2版、T.E.Creighton,W.H.Freeman and Company、ニューヨーク(1993)及びWold,F.,“Posttranslational Protein Modifications:Perspectives and Prospects(翻訳後タンパク質修飾:観点と展望”、Posttranslational Covalent Modification Of Proteins(タンパク質の翻訳後共有修飾)のp1−12,B.C.Johnson編、Academic Press
ニューヨーク(1983);Seifterら、Meth.Enzymol.182:626−646(1990)及びRattanら、“Protein Synthesis:Posttranslational Modification and Aging(タンパク質合成:翻訳後修飾と老化)”,Ann.N.Y.Acad.Sci.663:48−62(1992)参照。“誘導体”という用語には、タンパク質又はポリペプチドが分枝化又は環化(分枝があってもなくても)する化学修飾も含まれる。環状、分枝、及び分枝環状タンパク質又はポリペプチドは、翻訳後の自然過程の結果であり得るが、完全合成法でも製造されうる。
【0052】
“相同体”という用語は、2個のポリペプチドのアミノ酸の位置の類似性を比較するのに一般的に使用される標準法による測定で、場合にもよるが、NTPタンパク質又はNTPペプチドとアミノ酸配列に少なくとも60%の同一性があるタンパク質のことをいう。2個のタンパク質間の類似性又は同一性の程度は公知法で容易に算出できる。当該方法は、Computational Molecular Biology(数理分子生物学),Lesk,A.M.,編,Oxford University Press、ニューヨーク,1988;Biocomputing:Informatics and Genome Projects(バイオコンピューティング:情報科学とゲノムプロジェクト),Smith,D.W.,編、Academic Press、ニューヨーク、1
993;Computer Analysis of Sequence Data,Part I(配列データのコンピュータ分析、パートI),Griffin,A.M.,及びGriffin,H.G.,編,Humana Press、ニュージャージー、1994;Sequence Analysis in Molecular Biology(分子生物学における配列分析),von Heinje,G.,Academic
Press,1987;Sequence Analysis Primer(配列分析プライマー),Gribskov,M.及びDevereux,J.,編,M Stockton Press、ニューヨーク、1991;並びにCarillo H.及びLipman,D.,SIAM,J.Applied Math.,48:1073(1988)に記載されている方法を含むが、これらに限定されない。同一性を測定する好適な方法は、調べられる配列間のマッチを最大限にするように設計されている。同一性及び類似性を測定する方法は公的に利用可能なコンピュータプログラムに体系化されている。
【0053】
二つの配列間の同一性及び類似性を測定するのに有用な好適なコンピュータプログラム法は、GCGプログラムパッケージ(Devereux,J.ら、Nucleic Acids Research,12(1):387(1984))、BLASTP,BLASTN,及びFASTA,Atschul,S.F.ら、J.Molec.Biol.,215:403−410(1990)などであるが、これらに限定されない。BLASTXプログラムはNCBI及び他の供給元から公的に入手可能である(BLAST Manual,Altschul,S.ら,NCBI NLM NIH メリーランド州ベセスダ 20894;Altschul,S.ら、J.Mol.Biol.,215:403−410(1990))。例えば、GAP(ウィスコンシン州マディソン、ウィスコンシン大学、Genetic Computer Group(遺伝子コンピュータグループ))のようなコンピュータアルゴリズムを用いる場合、パーセント配列同一性を測定する2個のタンパク質又はポリペプチドは、それぞれのアミノ酸の最適なマッチングが得られるように整列(アライン)される(アルゴリズムによる測定で“マッチしたスパン”)。
【0054】
ギャップ開始ペナルティ(3×平均ダイアゴナルで計算される;“平均ダイアゴナル”は使用される比較マトリックス(行列)のダイアゴナルの平均である;“ダイアゴナル”は特定の比較マトリックスによって各完全アミノ酸マッチに割り当てられたスコア又はナンバーである)及びギャップ伸張ペナルティ(通常ギャップ開始ペナルティの1/10倍である)、並びにPAM250又はBLOSUM62のような比較マトリックスがアルゴリズムと組み合わせて使用される。標準的な比較マトリックス(PAM250比較マトリックスについてはDayhoffら、Atlas of Protein Sequence and Structure(タンパク質配列及び構造のアトラス),vol.5,supp.3[1978]参照;BLOSUM62比較マトリックスについてはHenikoffら、Proc.Natl.Acad.Sci USA,89:10915−10919[1992]参照)もアルゴリズムで使用できる。次にパーセント同一性をアルゴリズムで計算する。相同体は典型的には、比較NTPタンパク質又はNTPペプチドと比べて、場合にもよるが、一つ以上のアミノ酸置換、欠失、及び/又は挿入を有することになる。
【0055】
“融合タンパク質”という用語は、1個以上のNTPペプチドが、抗体又はFabフラグメントもしくは短鎖Fvなどの抗体フラグメント(これらに限定されない)のようなタン
パク質に組換え融合又は化学的に複合(共有結合及び非共有結合を含む)しているタンパク質のことを言う。“融合タンパク質”という用語は、NTPペプチドの多量体(すなわち、二量体、三量体、四量体及び高次多量体)のことも言う。そのような多量体は、1種類のNTPペプチドを含む同種多量体、2種類以上のNTPペプチドを含む異種多量体、及び少なくとも1種類のNTPペプチドと少なくとも1種類の他のタンパク質を含む異種多量体を含む。そのような多量体は、疎水性、親水性、イオン性及び/又は共有結合性の
会合、結合又は連結の結果であることも、リンカー分子を用いて架橋によって形成されることも、又は例えばリポソーム形成によって間接的に連結されることもある。
【0056】
“ペプチドミメティック”又は“ミメティック”という用語は、ペプチド又はタンパク質の生物活性を模擬するが化学的性質はもはやペプチド性でない、すなわちペプチド結合(すなわちアミノ酸間のアミド結合)をもはや全く含有しない生物学的に活性な化合物のことをいう。ここではペプチドミメティックという用語はより広い意味で使用し、性質がもはや完全にペプチドでない、偽ペプチド、半ペプチド、及びペプトイドのような分子を含む。このより広い意味でのペプチドミメティックの例(ペプチドの一部がペプチド結合を欠く構造によって置換されている場合)を以下に示す。本発明によるペプチドミメティックは、完全に又は部分的に非ペプチドであっても、該ペプチドミメティックが基づいているNTPペプチドの活性基の三次元配置と極めて類似した空間的配置を取る反応性化学部分を提供する。活性部位の幾何学がこのように類似している結果、ペプチドミメティックは、NTPペプチドの生物活性に類似した影響を生物系に及ぼす。
【0057】
本発明のペプチドミメティックは、好ましくは、三次元的形状と生物活性の両方が、本明細書中に記載のNTPペプチドと実質的に類似している。ペプチドミメティックを製造するために当該技術分野で知られているペプチド構造修飾法の例は、骨格のキラル中心の反転によるD−アミノ酸残基構造への変換などで、この構造により、特にN末端で、活性に悪影響を及ぼすことなくタンパク分解に対する安定性の増大がもたらされうる。一例が、論文“Tritiated D−ala1−Peptide T Binding(ト
リチウム化D−ala1−ペプチドT結合)”,Smith C.S.ら、Drug D
evelopment Res.,15,pp.371−379(1988)に示されている。第二の方法は、安定化のための環状構造の変更、例えばN−C鎖間イミド及びラクタムである(Edeら、Smith及びRivier(編)“Peptides:Chemistry and Biology(ペプチド:化学と生物学)”,Escom,Leiden(1991),pp.268−270)。これの一例は、Goldstein,G.らによる米国特許第4,457,489号(1985)に開示されているようなコンフォメーション的に制約されたチモペンチン様化合物に提供されている。前記特許の開示内容は引用によってその全体を本明細書に援用する。第三の方法は、NTPペプチドのペプチド結合を、耐タンパク分解性を付与する偽ペプチド結合で置換することである。
【0058】
一般的にペプチド構造及び生物活性に影響を及ぼさないいくつかの偽ペプチド結合が報告されている。このアプローチの一例はレトロ−インバーソ(retro-inverso)偽ペプチド
結合を代用することである(“チモペンチンの生物学的に活性なレトロインバーソ類似体(Biologically active retroinverso analogues of thymopentin)”,Sisto A.
ら、Rivier,J.E.及びMarshall,G.R.(編)“Peptides,Chemistry,Structure and Biology(ペプチド、化学、構造及び生物学)”,Escom,Leiden(1990),pp.722−773)及びDalpozzoら、(1993),Int.J.Peptide Protein Res.,41:561−566、引用によって本明細書に援用する)。この修飾によれば、ペプチドのアミノ酸配列は、前述のNTPペプチドの配列と、1個以上のペプチド結合がレトロ−インバーソ偽ペプチド結合で置換されている以外は同一であり得る。最もN末端のペプチド結合が置換されるのが好ましい。なぜならば、そのような置換は、N末端に作用するエキソペプチダーゼによるタンパク分解に対して耐性を付与するからである。アミノ酸の化学基を類似構造の他の化学基で置換することによってさらに修飾することもできる。生物活性をほとんどないし全く喪失せずに酵素切断に対する安定性を増大させることが知られている別の適切な偽ペプチド結合は、還元型等電子(reduced isostere)偽ペプチド結合である(Couderら(1993),Int.J.Peptide Protein Res.,41:181−184、引用によってその全体を本明細書に
援用する)。
【0059】
従って、これらのペプチドのアミノ酸配列は、NTPペプチドの配列と、1個以上のペプチド結合が等電子偽ペプチド結合で置換されている以外は同一であり得る。最もN末端のペプチド結合が置換されるのが好ましい。なぜならば、そのような置換は、N末端に作用するエキソペプチダーゼによるタンパク分解に対して耐性を付与するからである。1個以上の還元型等電子偽ペプチド結合を有するペプチドの合成は当該技術分野で公知である(Couderら(1993)、上記)。他の例は、ケトメチレン又はメチルスルフィド結合の導入によるペプチド結合の置換を含む。
【0060】
NTPペプチドのペプトイド誘導体も別のクラスのペプチドミメティックで、生物活性に必要な重要な構造決定基は保持しているがペプチド結合が除去されているため、耐タンパク分解性を有する(Simonら、1992,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,89:9367−9371、引用によってその全体を本明細書に援用する)。ペプトイドはN−置換グリシンのオリゴマーである。いくつかのN−アルキル基が報告されており、それぞれ天然アミノ酸の側鎖に対応する(Simonら(1992)、上記)。NTPペプチドの一部又はすべてのアミノ酸が、置換されるアミノ酸に対応するN−置換グリシンで置換されてよい。
【0061】
“ペプチドミメティック”又は“ミメティック”という用語は、以下に定義のリバース−Dペプチド及び鏡像異性体も含む。
“リバース−Dペプチド”という用語は、NTPペプチドのL−アミノ酸配列と比べて、逆の順に配列されたD−アミノ酸からなる生物学的に活性なタンパク質又はペプチドのことをいう。従って、L−アミノ酸のNTPペプチドのカルボキシ末端残基が、D−アミノ酸ペプチドのアミノ末端になる、などである。例えば、NTPペプチド、ETESHは、Hdddddになる。Ed、Hd、Sd、及びTdは、それぞれL−アミノ酸のE、H
、S、及びTに対応するD−アミノ酸である。
【0062】
“鏡像異性体”という用語は、NTPペプチドのアミノ酸配列中の1個以上のL−アミノ酸残基が、対応するD−アミノ酸残基で置換されている生物学的に活性なタンパク質又はペプチドのことをいう。
【0063】
本明細書中で使用している“組成物”は、広く、引用したペプチド又はアミノ酸配列を含有する任意の組成物のことを言う。組成物は、乾燥製剤、水溶液、又は無菌組成物を含みうる。NTPペプチドを含む組成物は、ハイブリダイゼーションプローブとして使用できる。該プローブは凍結乾燥形で保存し、炭水化物のような安定剤を伴いうる。ハイブリダイゼーションの際、プローブは、NaClなどの塩、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)などの界面活性剤、及びデンハード溶液(Denhard's solution)、乾燥ミルク、サケ精子DNAなどの他の成分を含有する水溶液中に配置される。
【0064】
本明細書中に記載のアミノ酸及びアミノ酸残基は、以下の表に示す承認された1文字又は3文字記号に従って表示されうる。別途記載のない限り、これらのアミノ酸又は残基は天然のL立体異性体形のものである。
【0065】
【表3】

【0066】
本発明は、本発明で上に定義したNTPペプチドを含む組成物に関する。
好適なNTPペプチドは、図1に記載の122アミノ酸配列のNTP(NTP[122])又は図2に記載の112アミノ酸配列のNTP(NTP[112])のアミノ酸配列から誘導される。しかしながら、NTP[122]又はNTP[112]と同じファミリーの他の分子の部分又はフラグメントに基づく他のNTPペプチド、例えば他の神経糸タンパク質、又は図3〜7に示したもののいずれか、及び膵臓糸タンパク質の使用も本発明の範囲に包含される。さらに、本発明は、NTPペプチドを全部又は一部含有する他のタンパク質(それによって該タンパク質は好ましくはNTPペプチドと同じ、類似した、又は増大した生物活性を有する)も含む。
【0067】
AD7c−NTP及び他の種のNTP並びにその類似変異体及び相同体のペプチド配列及びフラグメントも様々なヒト及び非ヒトタンパク質(“関連タンパク質”)に見られる。特に、AD7c−NTP遺伝子は、ヒト及び他の霊長類のゲノムの他の遺伝子にも見られるものと極めて類似したAlu型の配列を含有する。
【0068】
全てではないにしろ一部のNTPペプチドも、AD7c−NTP及び他の種のNTPに見られるペプチド配列と同一、相同又は極めて類似したペプチド配列を含有するので、細胞死を起こす有効な薬剤であると証明されるだろうと推定することは理にかなっている。当業者であれば、本明細書中に提供されているガイドラインを用いて、細胞死を起こす有効な薬剤であることがわかっているいずれかのNTPペプチドのアミノ酸配列に基づいて特定のタンパク質を合成し、細胞死を起こす薬剤としての有効性についてそれらを試験することができる。
【0069】
細胞死を起こす有効な薬剤であることがわかっているNTPペプチドから誘導された他のペプチド配列も細胞死を起こす有効な薬剤であり得る。当業者であれば、本明細書中に提供されているガイドラインを用いて、必要以上の実験をせずとも、有効なNTPペプチ
ドの、該タンパク質の全アミノ酸配列にわたるフラグメントを、他の有効なペプチド配列を確認する目的で合成することができる。
【0070】
NTP[122]のアミノ酸配列の一部に対応するアミノ酸配列を含有する本発明のNTPペプチドは以下のものを含むが、それらに限定されない。
NTP[122]ペプチド#1[配列番号8]、NTP[122]p106−122
【0071】
【化1】

【0072】
NTP[122]ペプチド#2[配列番号9]、NTP[122]p1−15
【0073】
【化2】

【0074】
NTP[122]ペプチド#3[配列番号10]、NTP[122]p16−30
【0075】
【化3】

【0076】
NTP[122]ペプチド#4[配列番号11]、NTP[122]p31−45
【0077】
【化4】

【0078】
NTP[122]ペプチド#5[配列番号12]、NTP[122]p46−60
【0079】
【化5】

【0080】
NTP[122]ペプチド#6[配列番号13]、NTP[122]p60−75
【0081】
【化6】

【0082】
NTP[122]ペプチド#7[配列番号14]、NTP[122]p76−90
【0083】
【化7】

【0084】
NTP[122]ペプチド#8[配列番号15]、NTP[122]p91−105
【0085】
【化8】

【0086】
NTP[112]のアミノ酸配列の一部に対応するアミノ酸配列を含有する本発明のNTPペプチドは以下のものを含むが、それらに限定されない。
NTP[112]ペプチド#1[配列番号16]、NTP[112]p1−15
【0087】
【化9】

【0088】
NTP[112]ペプチド#2[配列番号17]、NTP[112]p16−30
【0089】
【化10】

【0090】
NTP[112]ペプチド#3[配列番号18]、NTP[112]p31−45
【0091】
【化11】

【0092】
NTP[112]ペプチド#4[配列番号19]、NTP[112]p46−60
【0093】
【化12】

【0094】
NTP[112]ペプチド#5[配列番号20]、NTP[112]p61−75
【0095】
【化13】

【0096】
NTP[112]ペプチド#6[配列番号21]、NTP[112]p76−90
【0097】
【化14】

【0098】
NTP[112]ペプチド#7[配列番号22]、NTP[112]p91−112
【0099】
【化15】

【0100】
図3に記載の106アミノ酸NTP(NTP[106])のアミノ酸配列の一部に対応するアミノ酸配列を含有する本発明のNTPペプチドは以下のものを含むが、それらに限定されない。
NTP[106]ペプチド#1[配列番号23]、NTP[106]p1−15
【0101】
【化16】

【0102】
NTP[106]ペプチド#2[配列番号24]、NTP[106]p16−30
【0103】
【化17】

【0104】
NTP[106]ペプチド#3[配列番号25]、NTP[106]p31−45
【0105】
【化18】

【0106】
NTP[106]ペプチド#4[配列番号26]、NTP[106]p46−60
【0107】
【化19】

【0108】
NTP[106]ペプチド#5[配列番号27]、NTP[106]p61−75
【0109】
【化20】

【0110】
NTP[106]ペプチド#6[配列番号28]、NTP[106]p76−90
【0111】
【化21】

【0112】
NTP[106]ペプチド#7[配列番号29]、NTP[106]p90−106
【0113】
【化22】

【0114】
図4に記載の98アミノ酸NTP(NTP[98])のアミノ酸配列の一部に対応するアミノ酸配列を含有する本発明のNTPペプチドは以下のものを含むが、それらに限定されない。
NTP[98]ペプチド#1[配列番号30]、NTP[98]p1−15
【0115】
【化23】

【0116】
NTP[98]ペプチド#2[配列番号31]、NTP[98]p16−30
【0117】
【化24】

【0118】
NTP[98]ペプチド#3[配列番号32]、NTP[98]p31−45
【0119】
【化25】

【0120】
NTP[98]ペプチド#4[配列番号33]、NTP[98]p46−60
【0121】
【化26】

【0122】
NTP[98]ペプチド#5[配列番号34]、NTP[98]p61−75
【0123】
【化27】

【0124】
NTP[98]ペプチド#6[配列番号35]、NTP[98]p76−98
【0125】
【化28】

【0126】
図5に記載の75アミノ酸NTP(NTP[75])のアミノ酸配列の一部に対応するアミノ酸配列を含有する本発明のNTPペプチドは以下のものを含むが、それらに限定さ
れない。
NTP[75]ペプチド#1[配列番号36]、NTP[75]p1−15
【0127】
【化29】

【0128】
NTP[75]ペプチド#2[配列番号37]、NTP[75]p16−30
【0129】
【化30】

【0130】
NTP[75]ペプチド#3[配列番号38]、NTP[75]p31−45
【0131】
【化31】

【0132】
NTP[75]ペプチド#4[配列番号39]、NTP[75]p46−60
【0133】
【化32】

【0134】
NTP[75]ペプチド#5[配列番号40]、NTP[75]p61−75
【0135】
【化33】

【0136】
図6に記載の68アミノ酸NTP(NTP[68])のアミノ酸配列の一部に対応するアミノ酸配列を含有する本発明のNTPペプチドは以下のものを含むが、それらに限定されない。
NTP[68]ペプチド#1[配列番号41]、NTP[68]p1−15
【0137】
【化34】

【0138】
NTP[68]ペプチド#2[配列番号42]、NTP[68]p16−30
【0139】
【化35】

【0140】
NTP[68]ペプチド#3[配列番号43]、NTP[68]p31−45
【0141】
【化36】

【0142】
NTP[68]ペプチド#4[配列番号44]、NTP[68]p46−68
【0143】
【化37】

【0144】
図7に記載の61アミノ酸NTP(NTP[61])のアミノ酸配列の一部に対応するアミノ酸配列を含有する本発明のNTPペプチドは以下のものを含むが、それらに限定されない。
NTP[61]ペプチド#1[配列番号45]、NTP[61]p1−15
【0145】
【化38】

【0146】
NTP[61]ペプチド#2[配列番号46]、NTP[61]p16−30
【0147】
【化39】

【0148】
NTP[61]ペプチド#3[配列番号47]、NTP[61]p31−45
【0149】
【化40】

【0150】
NTP[61]ペプチド#4[配列番号48]、NTP[61]p46−61
【0151】
【化41】

【0152】
当業者には、上記NTPペプチドの他のより小さなフラグメントを、これらのペプチドが同じ又は類似の生物活性を有するように選択しうることは明白であろう。当業者は、NTPの他のフラグメントも、これらのペプチドが同じ又は類似の生物活性を有するように選択することができる。本発明のNTPペプチドはこれらの他のフラグメントも包含する。一般に、本発明のペプチドは少なくとも6個のアミノ酸、好ましくは少なくとも5個のアミノ酸、更に好ましくは少なくとも4個のアミノ酸を有する。
【0153】
本発明は、2個以上のNTPペプチドを一緒につないで含むペプチドも包含する。その2個のNTPペプチドの配列は、該NTPペプチドが誘導されたNTPの種の配列中で連続していなくてもよい。1個のNTPペプチドが所望の生物活性を有する限り、2個のそのようなNTPペプチドも、たとえこれらのセグメントが該NTPペプチドが誘導されたNTPの種のアミノ酸配列内で連続していなくても、所望の生物活性を有することになろ
う。
【0154】
本発明に包含されるNTPペプチド、並びにそれらのフラグメント、変異体、誘導体、相同体、融合タンパク質及びミメティックは、当業者に公知の方法を用いて製造できる。例えば、組換えDNA技術、タンパク質合成、及び天然のNTPペプチド、NTPタンパク質、AD7c−NTPタンパク質並びにそれらのフラグメント、変異体、誘導体及び相同体の単離などの方法である。
【0155】
NTPペプチド、並びにそれらのフラグメント、変異体、誘導体、相同体、融合タンパク質及びミメティックは、当業者に公知の方法を用いて他のNTPペプチド、NTPタンパク質、AD7c−NTPタンパク質並びにそれらのフラグメント、変異体、誘導体及び相同体から製造することもできる。そのような方法は、NTPペプチド、NTPタンパク質又はAD7c−NTPタンパク質を切断して所望のNTPペプチドにするプロテアーゼを使用する方法などであるが、それらに限定されない。
【0156】
NTPペプチド又はNTPタンパク質は、周知の組換えDNA技術による方法を用いて製造できる。例えば、Sambrookら、Molecular Cloning:A Laboratory Manual(分子クローニング:実験室マニュアル)、Cold Spring Harbor Laboratory Press,コールドスプリングハーバー、ニューヨーク[1989]及び/又はAusubelら編、Current Protocols in Molecular Biology(分子生物学におけるカレントプロトコル),Green Publishers Inc.及びWiley and Sons、ニューヨーク[1994]に記載されているような方法である。
【0157】
NTPペプチド又はNTPタンパク質をコードする遺伝子又はcDNAは、例えばゲノム又はcDNAライブラリーをスクリーニングすることによって、又はPCR増幅によって得ることができる。ライブラリーのスクリーニングに有用なプローブ又はプライマーは、例えば他のNTPペプチド又はNTPタンパク質に見出される保存モチーフのような、同じ又は関連ファミリーの遺伝子由来の他の公知遺伝子又は遺伝子フラグメントに関する配列情報に基づいて作ることができる。また、NTPペプチド又はNTPタンパク質をコードしている遺伝子が一つの種から確認されている場合、その遺伝子の全部又は一部をプローブとして使用して他の種由来の相同遺伝子を確認することができる。該プローブ又はプライマーを使用すれば、NTPペプチド又はNTPタンパク質の遺伝子を発現すると考えられる様々な組織源由来のcDNAライブラリーをスクリーニングすることができる。典型的には高度にストリンジェントな条件をスクリーニングに適用し、スクリーニングから得られる偽陽性の数を最小限にする。
【0158】
NTPペプチド又はNTPタンパク質をコードする遺伝子を用意する別の手段は、当業者に周知の、例えばEngelsらがAngew.Chem.Intl.Ed.,28:716−734[1989]に記載している方法のような化学合成法の使用である。これらの方法に含まれるのは、とりわけ、核酸合成のためのホスホトリエステル法、ホスホロアミダイト法、及びH−ホスホネート法である。そのような化学合成に好適な方法は、標準的ホスホロアミダイト化学を用い、ポリマーを支持体とする合成法である。典型的には、NTPペプチド又はNTPタンパク質をコードするDNAは、数百ヌクレオチドの長さになるであろう。約100ヌクレオチドを超える核酸はこれらの方法を用いるといくつかのフラグメントとして合成できる。次に該フラグメントを一緒に繋げば全長のNTPペプチド又はNTPタンパク質が作製できる。通常、タンパク質のアミノ末端をコードするDNAフラグメントはメチオニン残基をコードするATGを持つ。このメチオニンは、宿主細胞で産生されるタンパク質が該細胞から分泌されるように設計されているかどうかによって、成熟形のNTPタンパク質又はNTPペプチドに存在してもしなくてもよい。
【0159】
NTPタンパク質又はNTPペプチドをコードする遺伝子、cDNA、又はそのフラグメントは、標準の連結技術を用いて適当な発現又は増幅ベクターに挿入することができる。ベクターは典型的には用いられる特定の宿主細胞で機能を発揮するように選ばれる(すなわち、ベクターは宿主細胞の機構に適合し、遺伝子の増幅及び/又は遺伝子の発現を起こすことができる)。NTPタンパク質又はNTPペプチドをコードする遺伝子、cDNA、又はそのフラグメントは、原核、酵母、昆虫(バキュロウィルス系)及び/又は真核宿主細胞で増幅/発現されうる。宿主細胞の選択は、一部は、NTPタンパク質又はNTPペプチドがグリコシル化及び/又はリン酸化されるかどうかによって決まるであろう。その場合、酵母、昆虫、又は哺乳動物の宿主細胞が好ましい。
【0160】
典型的には、いずれかの宿主細胞で使用されるベクターは、少なくとも5’フランキング配列(プロモーターとも言われる)及び他の調節エレメントも含有する。例えば、エンハンサー、複製起点エレメント、転写終結エレメント、供与及び受容スプライス部位を含有する完全イントロン配列、シグナルペプチド配列、リボソーム結合部位エレメント、ポリアデニル化配列、発現されるポリペプチドをコードする核酸を挿入するためのポリリンカー領域、及び選択マーカーエレメントなどである。これらの各エレメントは以下で説明する。場合により、ベクターはタグ配列、すなわち、NTPタンパク質又はNTPペプチドをコードする配列の5’又は3’末端に位置するオリゴヌクレオチド分子を含有することもある。該オリゴヌクレオチド分子は、ポリHis(例えばヘキサHis)、又はFLAG、HA(ヘマグルチニンインフルエンザウィルス)もしくはmyc(これらに対する抗体は市販されている)のような他のタグをコードする。このタグは、通常、ポリペプチドの発現時にポリペプチドに融合され、NTPタンパク質又はNTPペプチドの宿主細胞からのアフィニティー精製の手段としての役割を果たすことができる。アフィニティー精製は、例えば、タグに対する抗体をアフィニティーマトリックスとして用いるカラムクロマトグラフィーによって達成できる。場合により、タグはその後、精製されたNTPタンパク質又はNTPペプチドから、ある種のペプチダーゼを用いるといった様々な手段によって除去することができる。
【0161】
ヒト免疫グロブリンのヒンジ部とFc領域は、当業者であれば、NTPタンパク質又はNTPペプチドのN末端又はC末端のいずれかに融合させることができる。その結果のFc−融合タンパク質は、プロテインAのアフィニティーカラムを用いて精製できる。Fcはインビボで長い薬物動態半減期を示すことが知られているので、Fcに融合したタンパク質は、融合していないものよりインビボでの半減期が実質的に長くなることがわかっている。また、Fc領域への融合は、一部の分子の生物活性にとって有用となりうる分子の二量体化/多量体化を可能にする。
【0162】
5’フランキング配列は、同種(すなわち宿主細胞と同じ種/系統由来)、異種(すなわち宿主細胞の種又は系統以外の種由来)、ハイブリッド(二つ以上の供給源由来の5’フランキング配列の組合せ)、合成であっても、又は天然のNTPタンパク質もしくはNTPペプチド遺伝子の5’フランキング配列であってもよい。従って、5’フランキング配列の供給源は、5’フランキング配列が宿主細胞の機構の中で機能的であり、該機構によって活性化されうるならば、いずれの単細胞原核又は真核生物、いずれの脊椎又は無脊椎動物、あるいはいずれの植物であってもよい。
【0163】
本発明のベクターに有用な5’フランキング配列は、当該技術分野で周知のいくつかの方法のいずれかから得ることができる。典型的には、本発明で有用な、NTPタンパク質又はNTPペプチド遺伝子のフランキング配列以外の5’フランキング配列は、マッピング及び/又は制限エンドヌクレアーゼ消化によって予め確認されているであろうから、適当な制限エンドヌクレアーゼを用いて適当な組織源から単離することができる。場合によ
っては、5’フランキング配列の全ヌクレオチド配列がわかっていることもある。ここでは、5’フランキング配列は、核酸合成又はクローニングで前述した方法を用いて合成されうる。
【0164】
5’フランキング配列のすべて又は一部のみがわかっている場合、5’フランキング配列は、PCRを用いて及び/又は適切なオリゴヌクレオチド及び/又は同種又は別種由来の5’フランキング配列のフラグメントを用いてゲノムライブラリーをスクリーニングすることによって得ることができる。
【0165】
5’フランキング配列が不明の場合、5’フランキング配列を含有するDNAのフラグメントを、例えばコード配列又は別の遺伝子までも含有していると思われる大きなDNA断片から単離すればよい。単離は、適切なDNAフラグメントを単離するために注意深く選んだ一つ以上の酵素を用いて、制限エンドヌクレアーゼ消化によって達成できる。消化後、所望のフラグメントは、アガロースゲル精製、Qiagen(登録商標)カラム又は当業者に公知の他の方法によって単離できる。この目的を達成するための適切な酵素の選択は当業者には容易にわかるであろう。
【0166】
複製起点エレメントは、典型的には市販されている原核発現ベクターの一部であり、宿主細胞におけるベクターの増幅に役割を果たす。ベクターをある複製数に増幅することは、場合によってはNTPタンパク質又はNTPペプチドの最適発現のために重要であり得る。選択したベクターが複製起点部位を含有していなければ、公知配列に基づいて化学的に合成し、ベクターに連結すればよい。転写終結エレメントは、典型的にはNTPタンパク質又はNTPペプチドをコードする配列の3’末端に位置し、NTPタンパク質又はNTPペプチドの転写を終結させる役割を果たしている。通常、原核細胞中の転写終結エレメントは、ポリT配列の前のG−Cに富むフラグメントである。エレメントは、ライブラリーからクローン化しても、ベクターの一部として市販品を購入してもよいが、前述のような核酸合成法を用いて容易に合成することもできる。
【0167】
選択マーカー遺伝子エレメントは、選択的培地で成長した宿主細胞の生存及び成長に必要なタンパク質をコードする。典型的な選択マーカー遺伝子は、(a)原核宿主細胞に抗生物質又は他の毒素、例えばアンピシリン、テトラサイクリン、又はカナマイシンに対する耐性を付与する、(b)細胞の栄養要求性欠乏を補完する、又は(c)複合培地からは得られない重要な栄養素を供給するタンパク質をコードする。好適な選択マーカーは、カナマイシン耐性遺伝子、アンピシリン耐性遺伝子、及びテトラサイクリン耐性遺伝子である。
【0168】
一般的にシャイン・ダルガーノ配列(原核生物)又はコザック配列(真核生物)と呼ばれているリボソーム結合エレメントは、通常mRNAの翻訳開始に必要である。該エレメントは典型的には、プロモーターの3’側、及び合成されるNTPタンパク質又はNTPペプチドのコード配列の5’側に位置する。シャイン・ダルガーノ配列は多様であるが、典型的にはポリプリン(すなわちA−Gの含有量が高い)である。多くのシャイン・ダルガーノ配列は同定されており、それぞれは上記の方法を用いて容易に合成でき、原核ベクターに使用できる。
【0169】
NTPタンパク質又はNTPペプチドが宿主細胞から分泌されるのが望ましい場合、シグナル配列を用いて、NTPタンパク質又はNTPペプチドを、それが合成される宿主細胞の外に出るように誘導することができる。そして、タンパク質のカルボキシ末端部分を削除し、膜に係留されないようにすればよい。典型的には、シグナル配列は、NTPタンパク質/NTPペプチドの遺伝子又はcDNAのコード領域に、又はNTPタンパク質/NTPペプチドの遺伝子のコード領域の5’末端に直接位置する。多くのシグナル配列が
同定されており、選択した宿主細胞で機能的なシグナル配列はいずれも、NTPタンパク質/NTPペプチドの遺伝子又はcDNAと共に使用できる。従って、シグナル配列はNTPタンパク質/NTPペプチドの遺伝子又はcDNAに対して同種又は異種であってよく、NTPタンパク質/NTPペプチドの遺伝子又はcDNAに対して同種又は異種であり得る。さらに、シグナル配列は前述の方法を用いて化学合成することもできる。ほとんどの場合、シグナルペプチドの存在を介しての宿主細胞からのポリペプチドの分泌は、該ポリペプチドからアミノ末端のメチオニンを除去することになるだろう。
【0170】
多くの場合、NTPタンパク質/NTPペプチドの遺伝子又はcDNAの転写は、ベクターに1個以上のイントロンが存在することによって増大しうる。このことは、NTPタンパク質又はNTPペプチドが真核宿主細胞、特に哺乳動物の宿主細胞で産生される場合、特にそうである。使用されるイントロンは、NTPタンパク質/NTPペプチドの遺伝子内に天然に存在しうる。特に、使用される遺伝子が全長ゲノム配列又はそのフラグメントの場合はそうである。イントロンが遺伝子内に天然に存在しない場合(ほとんどのcDNAの場合)、イントロンは別の供給源から得ることができる。フランキング配列及びNTPタンパク質/NTPペプチドの遺伝子に関するイントロンの位置は、イントロンが有効であるように転写されなければならないので、一般的に重要である。従って、発現ベクターに挿入されたNTPタンパク質/NTPペプチドの遺伝子がcDNA分子の場合、イントロンの好適な位置は、転写開始部位の3’側、及びポリA転写終結配列の5’側である。好ましくは、NTPタンパク質/NTPペプチドのcDNAの場合、イントロン(1個又は複数個)は、cDNAの一方の側又は他方の側(すなわち5’又は3’)に位置しているのでこのコード配列を妨害しない。任意のウィルス、原核及び真核生物(植物又は動物)などいかなる供給源のいかなるイントロンも、それが挿入される宿主細胞と適合する限り、本発明の実施に使用できる。また合成イントロンも本発明に包含される。場合により、1より多くのイントロンがベクターに使用されうる。
【0171】
使用されるベクターに前述のエレメントの一つ以上がまだ存在していない場合、それらを個々に得てベクターに連結することができる。各エレメントを得るのに使用される方法は当業者に周知であり、また前述の方法とほぼ同等である(すなわち、DNAの合成、ライブラリースクリーニングなど)。
【0172】
本発明の実施に使用される最終ベクターは、市販のベクターのような出発ベクターから構築されうる。そのようなベクターは、完成したベクターに包含されるべきエレメントの一部を含有することもしないこともある。出発ベクターに所望のエレメントが全く存在しない場合、各エレメントを個々にベクターに連結すればよい。その方法は、ベクターを適当な制限エンドヌクレアーゼで切断し、連結されるエレメントの末端とベクターの末端とを連結に適合するようにする。場合によっては、十分な連結を得るために、一緒に連結される末端を平滑化するのが必要なこともある。平滑化は、クレノウDNAポリメラーゼ又はT4 DNAポリメラーゼを用い、全4種類のヌクレオチドの存在下で、(一本鎖の)“付着末端”をまず補充することによって達成される。この方法は当該技術分野では周知であり、例えばSambrookら(上記)に記載されている。あるいは、ベクターに挿入される二つ以上のエレメントを最初に一緒に連結し(互いに隣接して配置されることになる場合)、それからベクターに連結することもできる。
【0173】
ベクターを構築する別の方法は、各種エレメントのすべての連結を一つの反応混合物中で同時に実施することである。この場合、エレメントの不適切な連結や挿入のために、無意味な又は機能しない多くのベクターが生じることになろう。しかしながら、機能するベクターは、制限エンドヌクレアーゼ消化によって確認及び選択することができる。
【0174】
本発明の実施に好適なベクターは、細菌、昆虫、及び哺乳動物の宿主細胞と適合性のあ
るものである。そのようなベクターは、とりわけ、pCRII、pCR3、及びpcDNA3.1(Invitrogen Company、カリフォルニア州サンジエゴ)、pBS II(Stratagene Company、カリフォルニア州ラ・ホーヤ)、pET15b(Novagen、ウィスコンシン州マディソン)、PGEX(Pharmacia Biotech、ニュージャージー州ピスカタウェイ)、pEGFP−N2(Clontech、カリフォルニア州パロアルト)、pETL(BlueBacII;Invitrogen)、及びpFastBacDual(Gibco/BRL、ニューヨーク州グランドアイランド)などである。
【0175】
ベクターが構築され、全長の又は切断されたNTPタンパク質又はNTPペプチドをコードする核酸分子がベクターの適正な部位に挿入されたら、完成したベクターを増幅及び/又はポリペプチド発現のために適切な宿主細胞に挿入できる。宿主細胞は、原核宿主細胞(例えば大腸菌E. coli)又は真核宿主細胞(例えば、酵母細胞、昆虫細胞、又は脊椎
動物細胞)であり得る。宿主細胞は適当な条件下で培養されると、NTPタンパク質又はNTPペプチドを合成できるので、次にそれを培地から採集するか(宿主細胞がそれを培地に分泌する場合)、又はそれを産生している宿主細胞から直接採集すればよい(分泌されない場合)。
【0176】
採集後、NTPタンパク質又はNTPペプチドは、分子ふるいクロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィーなどの方法を用いて精製できる。NTPタンパク質又はNTPペプチドの産生にふさわしい宿主細胞の選択は、一部は、NTPタンパク質又はNTPペプチドがグリコシル化されるのか又はリン酸化されるのか(この場合は真核宿主細胞が好ましい)ということと、生物活性を有するNTPタンパク質又はNTPペプチドによって生物学的に活性なタンパク質が製造されるように、宿主細胞がタンパク質をその天然の三次構造(例えばジスルフィド結合の正しい配向など)に折りたたむことができるやり方によるであろう。NTPタンパク質又はNTPペプチドは、合成後、以下に記載するような適当な化学条件を用いて折りたたむことができる。適切な細胞又は細胞系は、哺乳動物細胞、例えばチャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO)、ヒト胎性腎(HEK)293、293T細胞、又は3T3細胞であろう。適切な哺乳動物宿主細胞の選択及び形質転換、培養、増幅、スクリーニング及び生成物産生、並びに精製の各方法は、当該技術分野で公知である。他の適切な哺乳動物細胞系は、サルCOS−1及びCOS−7細胞系、並びにCV−1細胞系などである。哺乳動物宿主細胞の更なる例は、霊長類細胞系及び齧歯類細胞系で形質転換細胞系も含む。正常二倍体細胞、一次組織のインビトロ培養物由来の細胞株、並びに一次外植片も適切である。候補の細胞は、選択遺伝子に遺伝子型的欠陥があっても、又は優性に作用する選択遺伝子を含有していてもよい。他の適切な哺乳動物細胞系は、マウス神経芽細胞腫N2A細胞、HeLa、マウスL−929細胞、Swiss、Balb−c又はNIHマウス由来の3T3系、BHK又はHaKハムスター細胞系などであるが、これらに限定されない。
【0177】
本発明に適切な宿主細胞として同様に有用なのは細菌細胞である。例えば、大腸菌の様々な株(例えば、HB101、DH5.α.、DH10、及びMC1061)は、宿主細胞としてバイオテクノロジーの分野でよく知られている。様々な系統の枯草菌(B.subtilis)、シュードモナス属(Pseudomonas spp.)、他のバシラス属(Bacillus spp.)、ストレプ
トミセス属(Streptomyces spp.)なども本方法に使用できる。当業者に公知の多くの系統
の酵母細胞も、本発明のポリペプチドの発現用宿主細胞として利用できる。
【0178】
さらに、所望であれば、昆虫細胞系も本発明の方法に利用できる。そのような系は、例えばKittsら、(Biotechniques,14:810−817[1993])、Lucklow(Curr.Opin.Biotechnol.,4:564−572[1993])及びLucklowら(J.Virol.,67:4566−4579
[1993])に記載されている。好適な昆虫細胞はSf−9及びHi5(Invitrogen、カリフォルニア州カールズバッド)である。
【0179】
ベクターの選択宿主細胞への挿入(形質転換又はトランスフェクションとも言われる)は、塩化カルシウム、エレクトロポレーション、マイクロインジェクション、リポフェクション、又はDEAE−デキストラン法のような方法を用いて達成できる。選択される方法は、一部は使用される宿主細胞の種類によって決まることになろう。これらの方法及び他の適切な方法は当業者に周知であり、例えば上記Sambrookらによる文献に記載されている。
【0180】
ベクターを含有する(すなわち形質転換又はトランスフェクトされた)宿主細胞は、当業者に周知の標準培地を用いて培養できる。培地は通常、細胞の成長と生存に必要なすべての栄養素を含有している。大腸菌の培養に適切な培地は、例えばルリアブロス(Luria Broth, LB)及び/又はテリフィックブロス(Terrific Broth, TB)である。真核細
胞の培養に適切な培地は、RPMI 1640、MEM、DMEMで、いずれも培養されている特定の細胞系の必要に応じて血清及び/又は成長因子を補充してもよい。昆虫培養に適切な培地は、必要に応じてイーストレート(yeastolate)、ラクトアルブミン加水分解物(lactalbumin hydrolysate)、及び/又はウシ胎仔血清を補充したグレース(Grace)の培地である。典型的には、形質転換細胞のみの選択的成長に有用な抗生物質又は他の化合物をサプリメントとして培地に加える。使用される化合物は、宿主細胞が形質転換を受けたプラスミド上に存在する選択マーカーエレメントによって決定されることになろう。例えば、選択マーカーエレメントがカナマイシン耐性の場合、培地に添加される化合物はカナマイシンになる。
【0181】
宿主細胞で産生されるNTPタンパク質又はNTPペプチドの量は、当該技術分野で公知の標準法を用いて評価できる。そのような方法は、ウェスタンブロット分析、SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動、非変性ゲル電気泳動、HPLC分離、質量分析、免疫沈降法、及び/又はDNA結合ゲルシフト法のような活性アッセイなどであるが、これらに限定されない。
【0182】
NTPタンパク質又はNTPペプチドが宿主細胞から分泌されるように設計されている場合、大部分のNTPタンパク質又はNTPペプチドは細胞培養の培地に見出すことができる。このようにして製造されたタンパク質は通常アミノ末端のメチオニンを持たない。細胞から分泌されるときに除去されるからである。しかしながら、NTPタンパク質又はNTPペプチドが宿主細胞から分泌されない場合、細胞質及び/又は細胞核内(真核宿主細胞の場合)、又はサイトゾル内(グラム陰性菌の宿主細胞の場合)に存在することになり、アミノ末端のメチオニンを有しうる。
【0183】
宿主細胞の細胞質及び/又は細胞核内にあるNTPタンパク質又はNTPペプチドについては、典型的には、まず宿主細胞を機械的に又は界面活性剤で破壊し細胞内の内容物を緩衝溶液中に放出させる。その後、この溶液からNTPタンパク質又はNTPペプチドを単離することができる。
【0184】
溶液からのNTPタンパク質又はNTPペプチドの精製は各種の技術を用いて達成できる。タンパク質が、ヘキサヒスチジン(例えばNTPペプチド/ヘキサHis)又はFLAG(Sigma−Aldritch、ミシガン州セントルイス)もしくはカルモジュリン結合ペプチド(Stratagene、カリフォルニア州ラ・ホーヤ)のような他の小ペプチドなどのタグをカルボキシル又はアミノ末端のいずれかに含有するように合成されている場合、溶液をアフィニティーカラムに通すことによりワンステッププロセスで本質的に精製できる。アフィニティーカラムは、カラムマトリックスがタグに対して又は直接
タンパク質に対して(すなわちNTPペプチドを特異的に認識するモノクロナール抗体)高親和性を有しているカラムである。例えば、ポリヒスチジンは、ニッケル、亜鉛及びコバルトに非常に親和的かつ特異的に結合する。従って、ニッケルベースのアフィニティー樹脂(QiagenのQIAexpress system又はInvitrogenのXpress Systemに使用されている)又はコバルトベースのアフィニティー樹脂(BD Bioscience−CLONTECHのTalon systemに使用されている)を採用している固定化金属イオンアフィニティークロマトグラフィーを使用すれば、NTPタンパク質/ポリHisの精製ができる(例えば、Ausubelら、編、Current Protocols in Molecular Biology,Section 10.11.8,John Wiley & Sons、ニューヨーク[1993]参照)。
【0185】
NTPタンパク質又はNTPペプチドがタグを結合せずに製造され、利用できる抗体もない場合、他の周知の精製法が使用できる。そのような方法は、イオン交換クロマトグラフィー、ヒドロキシアパタイトクロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、分子ふるいクロマトグラフィー、HPLC、ゲル溶離と組み合わせた非変性ゲル電気泳動、及び分取用等電点電気泳動(Isoprime machine/technique,Hoefer Scientific)などであるが、これらに限定されない。場合により、これらの二つ以上の技術を組み合わせることで純度向上を達成できることもある。
【0186】
NTPタンパク質又はNTPペプチドが主として細胞内に見出されると考えられる場合、細胞内物質(グラム陰性菌の場合の封入体も含む)は、当業者に公知の任意の標準技術を用いて宿主細胞から抽出できる。例えば、宿主細胞を、フレンチプレス、ホモジナイズ、及び/又は超音波処理とその後の遠心分離によって溶解し、ペリプラズム/細胞質の内容物を放出させればよい。NTPタンパク質又はNTPペプチドがサイトゾル内で封入体を形成している場合、該封入体は内側及び/又は外側の細胞膜に結合できることが多いので、主として遠心分離後のペレット物質中に見出されるであろう。次に、該ペレット物質を、両極端のpHで、又はアルカリ性pHのジチオトレイトールもしくは酸性pHのトリスカルボキシエチルホスフィンのような還元剤の存在下、界面活性剤、グアニジン、グアニジン誘導体類、尿素、又は尿素誘導体類のようなカオトロープ剤で処理すると、封入体を放出、分断、及び可溶化することができる。次に、可溶性の形態になったNTPタンパク質又はNTPペプチドは、ゲル電気泳動、免疫沈降法などを用いて分析できる。NTPタンパク質又はNTPペプチドの単離が所望であれば、単離は、以下及びMarstonらによるMeth.Enz.,182:264−275[1990]に記載のような標準法を用いて達成できる。
【0187】
場合によって、NTPタンパク質又はNTPペプチドが単離時に生物学的に活性でないことがありうる。ポリペプチドをその三次構造にリフォールディング又は変換し、ジスルフィド結合を生じさせる種々の方法を使用すれば、生物活性を回復させることができる。そのような方法は、可溶化ポリペプチドを、特定濃度のカオトロープの存在下、通常7を超えるpHに暴露することを含む。カオトロープの選択は、封入体の可溶化に使用した選択とほとんど同じであるが、通常はそれより低い濃度で、また必ずしも可溶化に使用したのと同じカオトロープでなくてもよい。ほとんどの場合、リフォールディング/酸化溶液は、還元剤又は還元剤とある特定比のその酸化形も含有し、ある特別の酸化還元(レドックス)電位を生じるであろうから、タンパク質のシステインブリッジ形成時にジスルフィドのシャッフリングが起こることが可能になる。よく使用されるレドックスカップルをいくつか挙げると、システイン/シスタミン、グルタチオン(GSH)/ジチオビスGSH、塩化第二銅、ジチオトレイトール(DTT)/ジチアンDTT、2−メルカプトエタノール(bME)/ジチオ−b(ME)などである。多くの場合、リフォールディングの効
率を上げるために共溶媒が必要であり、この目的のためによく使用される試薬は、グリセロール、種々の分子量のポリエチレングリコール、及びアルギニンを含む。
【0188】
NTPタンパク質又はNTPペプチドの封入体が宿主細胞にあまり形成されていない場合、NTPタンパク質又はNTPペプチドは、主として細胞ホモジネートの遠心後の上清中に見出されうる。該NTPタンパク質又はNTPペプチドは、以下に記載のような方法を用いて上清から単離できる。
【0189】
NTPタンパク質又はNTPペプチドの部分的又は完全単離が好ましい状況においては、精製は当業者に周知の標準法を用いて達成できる。そのような方法は、電気泳動による分離とその後のエレクトロエルーション、各種クロマトグラフィー(免疫アフィニティー、分子ふるい、及び/又はイオン交換)、及び/又は高速液体クロマトグラフィーを含むが、これらに限定されない。場合により、完全な精製のためにこれらの方法を1より多く使用するのが好ましいこともある。
【0190】
組換えDNA技術を用いるNTPタンパク質又はNTPペプチドの製造及び精製法のほか、NTPタンパク質又はNTPペプチド、並びにそれらのフラグメント、変異体、相同体、融合タンパク質、ペプチドミメティック、及び誘導体は、当該技術分野で公知の技術を用いる化学合成法(例えば固相ペプチド合成)によって製造することもできる。例えば、Merrifieldら、J.Am.Chem.Soc.,85:2149[1963]、Houghtenら、Proc Natl Acad.Sci.USA,82:5132[1985]、及びStewartとYoung、Solid Phase Peptide Synthesis(固相ペプチド合成),Pierce Chemical
Co.,イリノイ州ロックフォード[1984]に記載のような技術である。そのようなポリペプチドは、アミノ末端にメチオニンを持つようにも持たないようにも合成できる。化学合成されたNTPタンパク質又はNTPペプチドは、これらの文献に記載の方法を用いて酸化され、ジスルフィド結合を形成することができる。該NTPタンパク質又はNTPペプチドは、組換え製造された、又は天然源から精製されたNTPタンパク質又はNTPペプチドに匹敵する生物活性を有すると考えられるので、組換え又は天然NTPタンパク質又はNTPペプチドと互換的に使用できる。
【0191】
NTPペプチドがポリマーに連結されている化学修飾されたNTPペプチド組成物も、本発明の範囲に包含される。選択されるポリマーは、ポリマーが結合しているタンパク質が生理的環境のような水性環境中で沈殿しないように、典型的には水溶性である。選択されるポリマーは、通常1個の反応基、例えばアシル化のための活性エステル又はアルキル化のためのアルデヒドを有するように修飾されているため、本方法で提供されているように重合度が制御できる。ポリマーはいかなる分子量のものでもよく、また枝分かれしていてもいなくてもよい。NTPペプチドポリマーの範囲にはポリマー混合物も含まれる。
【0192】
場合によっては、天然のNTPタンパク質又はNTPペプチドの核酸及び/又はアミノ酸変異体を製造するのが望ましいこともある。核酸変異体は、部位特異的突然変異誘発、PCR増幅、又は他の適切な方法を用いて製造できる。その場合、プライマーは所望の点変異を有する(突然変異誘発技術の解説については上記Sambrookら、及び上記Ausubelら参照)。Engelsら(上記)による方法を用いる化学合成を利用してもそのような変異体が製造できる。当業者に公知の他の方法も同様に使用できる。
【0193】
好適な核酸変異体は、NTPタンパク質又はNTPペプチドの産生に使用される宿主細胞においてコドン選択に関わるヌクレオチド置換を含有するものである。そのようなコドンの最適化は、ウィスコンシン州マディソンのGenetics Computer GroupによるUniversity of Wisconsin Package V
ersion 9.0によって提供されているような、高度に発現された細菌遺伝子のコドン選択を求めるEcohigh.Codのようなコドン頻度表を組み込んだコンピュータアルゴリズムによって決定できる。他の有用なコドン頻度表は、Celegans high.cod、Celegans low.cod、Drosophila high.cod、Human high.cod、Maize high.cod、及びYeast high.codを含む。他の好適な変異体は、野生型と比較して前述のように保存的アミノ酸変化(例えば、天然アミノ酸側鎖の電荷又は極性が、異なるアミノ酸置換によって実質的に変化しない)をコードするもの、及び/又は新規のグリコシル化及び/又はリン酸化部位を生じるように設計されたもの、又は既存のグリコシル化及び/又はリン酸化部位を削除するように設計されたものである。
【0194】
NTPタンパク質、NTPペプチド、そのフラグメント、相同体、変異体、融合タンパク質、ペプチドミメティック、誘導体及び塩は、当業者に公知の従来のペプチド合成技術を用いて製造することもできる。これらの技術は、化学カップリング法(Wunsch,E:“Methoden der organischen Chemie(有機化学の方法)”,Volume 15,Band 1+2,Synthese von Peptiden,thime Verlag,シュトゥットガルト(1974)、及びBarrany,G.;Marrifield,R.B.:“The Peptides(ペプチド)”、編者E.Gross,J.Meienhofer,Volume 2,Chapter 1,pp.1−284,Academic Press(1980)参照)、酵素カップリング法(Widmer,F.Johansen,J.T.,Carlsberg Res.Commun.,Vol.44,pp.37−46(1979);Kullmann,W.:“Enzymatic Peptide Synthesis(酵素的ペプチド合成)”,CRC Press Inc.フロリダ州ボカラトン(1987);及びWidmer,F.,Johansen,J.T.“Synthetic Peptides in Biology and Medicines(生物学及び医学における合成ペプチド)”、編者Alitalo,K.,Partanen,P.,Vatieri,A.,pp79−86,Elsevier,アムステルダム(1985)参照)、又は化学及び酵素法の組合せ(これがプロセス設計及び経済にとって好都合な場合)などである。本明細書中に提供したガイドラインを用いて、当業者は、NTPペプチドのペプチド配列を変えて、もとの又は天然のNTPタンパク質又はNTPペプチドと同じ又は類似の生物活性を有する相同体を製造することができる。
【0195】
所定のNTPペプチドのミメティックを使用する方が該ペプチド自体を使用するより好都合である。一般に、ペプチドミメティックの方が天然のタンパク質及びペプチドよりも生体内利用性が高く、作用期間が長く、そして安価に製造できる。
【0196】
従って、前述のNTPペプチドは、類似の生物活性を有する、ひいては類似の治療的有用性を有するそのような小化合物の開発に有用性がある。NTPペプチドのペプチドミメティックは、コンビナトリアルケミストリー技術及び当該技術分野で公知の他の技術を用いて開発できる(例えば、Proceedings of the 20th European Peptide Symposium(第20回欧州ペプチドシンポジウム会報)、編者G.Jung,E.Bayer,pp289−336及びそれに収載されている参考文献参照)。
【0197】
ペプチドミメティックを製造するために当該技術分野で知られているペプチドの構造修飾法の例は、骨格のキラル中心の反転によるD−アミノ酸残基構造への変換などである。この構造は、活性に悪影響を及ぼすことなく特にN末端でのタンパク質分解に対する安定性を増大させうる。一例が、論文“Tritiated D−ala1−Peptide
T Binding(トリチウム化D−ala1−ペプチドT結合)”,Smith
C.S.ら、Drug Development Res.,15,pp.371−379(1988)に記載されている。
【0198】
第二の方法は、安定化のための環状構造の変更、例えばN−C鎖間イミド及びラクタムである(Edeら、Smith及びRivier(編)“Peptides:Chemistry and Biology(ペプチド:化学と生物学)”,Escom,Leiden(1991),pp.268−270)。これの一例は、Goldstein,G.らによる米国特許第4,457,489号(1985)に開示されているようなコンフォメーション的に制約されたチモペンチン様化合物に示されている。前記特許の開示内容は引用によってその全体を本明細書に援用する。
【0199】
第三の方法は、NTPペプチドのペプチド結合を、耐タンパク分解性を付与する偽ペプチド結合で置換することである。一般的にペプチド構造及び生物活性に影響を及ぼさないいくつかの偽ペプチド結合が報告されている。このアプローチの一例はレトロ−インバーソ(retro-inverso)偽ペプチド結合を代用することである(“チモペンチンの生物学的に
活性なレトロインバーソ類似体(Biologically active retroinverso analogues of thymopentin)”,Sisto A.ら、Rivier,J.E.及びMarshall,G.
R.(編)“Peptides,Chemistry,Structure and Biology(ペプチド、化学、構造及び生物学)”,Escom,Leiden(1990),pp.722−773)及びDalpozzoら、(1993),Int.J.Peptide Protein Res.,41:561−566、引用によって本明細書に援用する)。この修飾によれば、ペプチドのアミノ酸配列は、前述のNTPペプチドの配列と、1個以上のペプチド結合がレトロ−インバーソ偽ペプチド結合で置換された以外は同一であり得る。最もN末端のペプチド結合が置換されるのが好ましい。なぜならば、そのような置換は、N末端に作用するエキソペプチダーゼによるタンパク分解に対して耐性を付与するからである。
【0200】
1個以上の還元型レトロ−インバーソ偽ペプチド結合を有するペプチドの合成は当該技術分野で知られている(Sisto(1990)及びDalpozzoら(1993)、上記)。このように、ペプチド結合は非ペプチド結合で置き換えることができ、それによってペプチドミメティックが元のペプチドと類似の構造、従って生物活性を取ることが可能になる。アミノ酸の化学基を類似構造の他の化学基で置換することによってさらに修飾することもできる。生物活性をほとんどないし全く喪失せずに酵素切断に対する安定性を増大させることが知られている別の適切な偽ペプチド結合は、還元型等電子偽ペプチド結合である(Couderら(1993),Int.J.Peptide Protein
Res.,41:181−184、引用によってその全体を本明細書に援用する)。従って、これらのペプチドのアミノ酸配列は、NTPペプチドの配列と、1個以上のペプチド結合が等電子偽ペプチド結合で置換されている以外は同一であり得る。最もN末端のペプチド結合が置換されるのが好ましい。なぜならば、そのような置換は、N末端に作用するエキソペプチダーゼによるタンパク分解に対して耐性を付与するからである。1個以上の還元型等電子偽ペプチド結合を有するペプチドの合成は当該技術分野で公知である(Couderら(1993)、上記)。他の例は、ケトメチレン又はメチルスルフィド結合の導入によるペプチド結合の置換などである。
【0201】
NTPペプチドのペプトイド誘導体も別のクラスのペプチドミメティックで、生物活性に必要な重要な構造決定基は保持しながらもペプチド結合が除去されているため、タンパク分解耐性を有する(Simonら、1992,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,89:9367−9371、引用によってその全体を本明細書に援用する)。ペプトイドはN−置換グリシンのオリゴマーである。いくつかのN−アルキル基が報告されており、それぞれ天然アミノ酸の側鎖に対応する(Simonら(1992)、上記、
引用によってその全体を本明細書に援用する)。NTPペプチドの一部又はすべてのアミノ酸が、置換されるアミノ酸に対応するN−置換グリシンで置換されている。
【0202】
ペプチドミメティックの開発は、元のNTPペプチドの三次構造を、NMR分光法、結晶学及び/又はコンピュータ支援分子モデリングによって決定することによって支援することができる。これらの技術は、元のペプチドより高い有効性及び/又は高い生体内利用性及び/又は高い安定性を有する新規組成物の開発に役立つ(Dean(1994)、BioEssays,16:683−687;Cohen及びShatzmiller(1993),J.Mol.Graph.,11:166−173;Wiley及びRich(1993),Med.Res.Rev.,13:327−384;Moore(1994),Trends Pharmacol.Sci.,15:124−129;Hruby(1993),Biopolymers,33:1073−1082;Buggら(1993),Sci.Am.,269:92−98、いずれも引用によってその全体を本明細書に援用する)。
【0203】
可能性あるペプチドミメティック化合物が確認されたら、合成し、以下の実施例に概要を記載した方法を用いて検定してその活性を評価することができる。上記方法によって得られ、NTPペプチドの生物活性及び類似の三次元構造を有するペプチドミメティック化合物は本発明に包含される。当業者には、ペプチドミメティックは、前述の一つ以上の修飾を有する任意のNTPペプチドから作製できることは容易に理解されよう。また、本発明のペプチドミメティックは、治療用化合物としての用途のほかに、さらに強力な非ペプチド化合物の開発にも利用できることは明白であろう。
【0204】
本明細書中に記載のNTPペプチドを合成できる機関が今日いくつかある。例えば、NTPペプチドの配列が与えられると、そうした機関で該ペプチドを合成し、合成したペプチドを文書とペプチドの同定証明書を添付して発送してくれる。
【0205】
本発明は、NTPペプチド及びそれらの対応核酸分子を、NTPペプチド、NTPタンパク質、AD7c−NTP、NTPペプチドのDNA、NTPタンパク質のDNA、AD7c−NTPのDNA又は対応するRNAが哺乳動物の組織又は体液試料中に存在するかどうかを定性的に又は定量的に試験するアッセイに使用することも包含する。NTPペプチド及びそれらの対応する核酸分子は、NTPペプチド又はコードされたNTPペプチドのDNAが生物活性を示すかどうかのアッセイの調製に利用できる。NTPペプチドの核酸配列は、NTPペプチドのDNA、NTPタンパク質のDNA、AD7c−NTPのDNA又は対応するRNAが哺乳動物の組織又は体液試料中に存在するかどうかを定性的に又は定量的に試験する有用なハイブリッド形成用プローブの供給源となり得る。それ自体生物学的に活性でないNTPペプチドは、NTPペプチド、NTPタンパク質又はAD7c−NTPタンパク質を認識及び/又は結合する抗体の製造に有用であり得る。そのような抗体は標準法を用いて製造できる。従って、NTPペプチドと反応又は結合する抗体、並びに短鎖の抗体フラグメント及びそのような抗体の他の反応性フラグメントも本発明の範囲内に含まれると考える。抗体は、ポリクロナール、モノクロナール、組換え、キメラ、一本鎖及び/又は二重特異性抗体でありうる。典型的には、該抗体又はそのフラグメントは、ヒト由来であるか又はヒト化されることになろう。すなわち、患者に投与した場合に該抗体に対する免疫反応を防止又は最小限にするように製造される。好適な抗体は、ポリクロナール又はモノクロナールのヒト抗体である。抗体フラグメントは、本発明のNTPペプチドと反応する任意のフラグメント、例えばFab、Fab’、などでありうる。また、本発明は、任意のNTPペプチドを選択された哺乳動物に対して抗原として提示し、次いで公知技術によって該哺乳動物の細胞(例えば脾臓細胞)をある種のがん細胞と融合して不死化細胞系を製造することによって作製したハイブリドーマも提供する。そのような細胞系及びすべて又は一部のNTPペプチドに対する抗体の作製に使用する方法も本
発明に包含される。
【0206】
該抗体はさらに、インビボ及びインビトロにおける診断又は研究目的で使用することもできる。例えば、標識した形態を用いて体液又は細胞試料中のNTPペプチド、NTPタンパク質又はAD7c−NTPの存在を検出できる。
【0207】
本発明はまた、1個以上のNTPペプチドを、NTPペプチド、NTPタンパク質、AD7c−NTP、NTPペプチドのDNA、NTPタンパク質のDNA、AD7c−NTPのDNA又は対応するRNAが哺乳動物の組織又は体液試料中に存在するかどうかを定性的に又は定量的に試験するアッセイの較正標準として使用することも包含する。
【0208】
本発明は、細胞の除去を必要とする状態、例えば良性及び悪性腫瘍、腺(例えば前立腺)過形成、不要な顔毛、いぼ、及び不要な脂肪組織の治療法、又はステントの狭窄のような不要な細胞増殖の抑制もしくは防止に関する。そのような方法は、その必要のある哺乳動物に治療上有効量のNTPペプチドを投与する、又はステントのような器具を治療上有効量のNTPペプチドで被覆することを含む。
【0209】
該状態は、例えば、肺、乳房、胃、膵臓、前立腺、膀胱、骨、卵巣、皮膚、腎臓、洞、結腸、腸、胃、直腸、食道、血液、脳及びその外皮、脊髄及びその外皮、筋肉、結合組織、副腎、副甲状腺、甲状腺、子宮、精巣、脳下垂体、生殖器官、肝臓、胆嚢、眼、耳、鼻、咽頭、扁桃、口、リンパ節及びリンパ系、並びに他の器官の腫瘍であり得る。
【0210】
本明細書中で使用している“悪性腫瘍”という用語は、分化不良の、中等度に分化した、及びよく分化した形態で発生するすべての形態のヒトのがん、肉腫及び黒色腫を包含するものとする。
【0211】
本発明は、良性腫瘍を手術のリスクと望まざる副作用を減らして除去できる治療法を求める当該技術分野の需要に応える。手術が危険な体内の深部に位置するような領域(例えば、脳、心臓、肺、及びその他)における良性腫瘍の除去法は特に求められている。
【0212】
細胞を除去しなければならない状態の治療法は、そのような状態の従来の治療法、例えば、外科的切除、化学療法、及び放射線と組み合わせて使用できる。NTPペプチドは、そのような従来式治療法の前、中、又は後に投与できる。
【0213】
治療される状態は、肺、乳房、胃、膵臓、前立腺、膀胱、骨、卵巣、皮膚、腎臓、洞、結腸、腸、胃、直腸、食道、血液、脳及びその外皮、脊髄及びその外皮、筋肉、結合組織、副腎、副甲状腺、甲状腺、子宮、精巣、脳下垂体、生殖器官、肝臓、胆嚢、眼、耳、鼻、咽頭、扁桃、口、並びにリンパ節及びリンパ系からなる群から選ばれる組織の過形成、肥大、又は過成長であり得る。
【0214】
本発明の方法を用いて治療できる他の状態は、肺、乳房、胃、膵臓、前立腺、膀胱、骨、卵巣、皮膚、腎臓、洞、結腸、腸、胃、直腸、食道、血液、脳及びその外皮、脊髄及びその外皮、筋肉、結合組織、副腎、副甲状腺、甲状腺、子宮、精巣、脳下垂体、生殖器官、肝臓、胆嚢、眼、耳、鼻、咽頭、扁桃、口、並びにリンパ節及びリンパ系からなる群から選ばれる組織のウィルス性、細菌性、又は寄生虫性変化である。
【0215】
治療される状態は、肺、乳房、胃、膵臓、前立腺、膀胱、骨、卵巣、皮膚、腎臓、洞、結腸、腸、胃、直腸、食道、血液、脳及びその外皮、脊髄及びその外皮、筋肉、結合組織、副腎、副甲状腺、甲状腺、子宮、精巣、脳下垂体、生殖器官、肝臓、胆嚢、眼、耳、鼻、咽頭、扁桃、口、並びにリンパ節及びリンパ系からなる群から選ばれる組織の奇形又は
障害であってもよい。
【0216】
特に、治療される状態は、扁桃肥大、前立腺過形成 、乾癬、湿疹、皮膚病又は痔であ
り得る。治療される状態は、アテローム性動脈硬化又は動脈硬化のような血管疾患、又は静脈瘤、動脈又はステントの狭窄又は再狭窄のような血管障害であり得る。また治療される状態は、皮膚、眼、耳、鼻、咽頭、口、筋肉、結合組織、毛髪、又は乳房組織のような組織に対する美容修正であってもよい。
【0217】
本発明ではNTPペプチドの治療用組成物も意図している。そのような組成物は、治療上有効量のNTPペプチドを製薬学的に許容しうる担体と混合して含む。担体材料は、注射用の水、好ましくは哺乳動物への投与用溶液に通常含まれている他の材料を補充した水であり得る。典型的には、治療用のNTPペプチドは、精製されたNTPペプチドと一つ以上の生理学的に許容しうる担体、賦形剤又は希釈剤とを共に含む組成物の形態で投与されることになろう。中性緩衝生理食塩水又は血清アルブミンを混合した生理食塩水は適当な担体の例である。好ましくは、製品は適当な賦形剤(例えばショ糖)を用いて凍結乾燥物として処方される。所望であれば他の標準的担体、希釈剤、及び賦形剤を含んでもよい。本発明の組成物は、当業者に公知の適当な範囲のpH値を有する緩衝液、例えばpH約7.0〜8.5のトリス緩衝液、又はpH約4.0〜5.5の酢酸緩衝液も含みうる。これにさらにソルビトール又はその適切な代替物が加わってもよい。
【0218】
不要な細胞要素を標的にするために、抗体、抗体フラグメント、抗体様分子、又は特異的腫瘍マーカー(例えば細胞受容体、シグナルペプチド又は過剰発現酵素)に対して高親和性を有する分子と複合又は連結又は結合させたNTPペプチドの使用も本発明の範囲に包含される。抗体、抗体フラグメント、抗体様分子、又は特異的腫瘍マーカーに対して高親和性を有する分子は、NTPペプチド複合体を、特定の細胞又は組織標的を標的にするために使用される。例えば、独特の表面抗原又は発現抗原を有する腫瘍は、抗体、抗体フラグメント、又は抗体様結合分子の標的となり得るので、腫瘍細胞をNTPペプチドで殺すことができる。抗体ターゲティングを用いるこのような手法は、用量の低減、標的細胞による結合と取込みの可能性の増大、並びに転移腫瘍及び顕微鏡サイズの微小腫瘍を標的にする及び治療するための有用性の増大、といった利点が期待される。
【0219】
本発明は、組成物を形成するためのタンパク質又は他の分子に複合又は連結又は結合させたNTPペプチドの使用も包含する。すなわち、該組成物は、腫瘍又は他の不要細胞の部位もしくはその近辺で、腫瘍特異的又は部位特異的酵素もしくはプロテアーゼによって、又は腫瘍もしくは他の不要細胞を標的にする抗体複合体によって分解されると、該腫瘍又は他の不要細胞の部位もしくはその近辺でNTPペプチドを放出する。
【0220】
本発明はまた、組成物を形成するためのタンパク質又は他の分子に複合又は連結又は結合させたNTPペプチドの使用も包含する。すなわち、該組成物は、治療される組織を光(レーザー療法又は他の光力学もしくは光活性化療法におけるような)、他の形態の電磁放射線照射、例えば赤外線照射、紫外線照射、X線又はγ線照射、局在熱、α又はβ線照射、超音波放射、又は他の局在エネルギー源に暴露すると、NTPペプチド又はNTPペプチドの何らかの生物活性フラグメントを放出する。
【0221】
NTPペプチドは、単独でも、一緒でも、又は治療される適応症に適切であるように、他の医薬組成物、例えばサイトカイン、成長因子、抗生物質、アポトーシス誘発剤、抗炎症薬、及び/又は化学療法剤と組み合わせて使用することもできる。
【0222】
本発明は、デンドリマー、フラーレン、並びに他の合成分子、ポリマー及び巨大分子を用いるNTPペプチドの治療用組成物も包含する。すなわち、NTPペプチド及び/又は
その対応するDNA分子が、単独で又は腫瘍特異的マーカーのような他の分子種と共に、該分子、ポリマー又は巨大分子に複合、結合又は封入されている組成物である。例えば、米国特許第5,714,166号“生物活性及び/又は標的指向デンドリマー複合体(Bioactive and/or Targeted Dendrimer Conjugates)”は、とりわけ、標的誘導物を有する少なくとも一つのデンドリマーとそれに結合した少なくとも一つの生物活性薬で構成される樹状ポリマー複合体の製造法及び使用法を提供している。米国特許第5,714,166号の開示はその全体を引用によって本明細書に援用する。
【0223】
本発明はまた、NTPペプチド及び/又は遺伝子と、脂質エマルジョン、ミセルポリマー、ポリマーミクロスフェア、電気活性ポリマー、ヒドロゲル及びリポソームのような薬物送達ビヒクルとの治療用組成物も包含する。
【0224】
不要細胞に伝達されるNTPペプチド又は関連遺伝子又は遺伝子等価物の使用も本発明に包含される。腫瘍内でのNTPペプチドの過剰発現は、腫瘍内の細胞の死を誘発し、ひいては腫瘍細胞数を削減するのに使用できる。不要細胞要素を治療するためにNTPペプチドの遺伝子又は遺伝子等価物を伝達することは、低用量でよい、標的細胞要素の細胞子孫に継代される、従って治療頻度が少なくて済む、及び総体的治療の低減といった利点を持つと期待される。本発明はまた、NTPペプチドを含有する融合タンパク質をコードする遺伝子を不要細胞又は隣接細胞に伝達することも包含する。この場合、遺伝子の発現と融合タンパク質の産生及び/又は分泌の後、該融合タンパク質が天然酵素もしくはプロテアーゼによって又はプロドラッグによって分解され、NTPペプチドが不要細胞の中、その部位又はその近辺に放出される。
【0225】
クローン組換えNTPペプチド−抗体複合体;クローン組換えNTPペプチド−抗体フラグメント複合体;及びクローン組換えNTPペプチド−抗体様タンパク質複合体の使用も本発明に包含される。ターゲティング複合体(例えば抗体、抗体フラグメント、抗体様分子、又はがん特異的受容体もしくは他の腫瘍マーカーに対する親和性の高い分子)と結合させたクローンNTPペプチドの利点は、そのような分子が、前述のターゲティングの利点とクローン複合体分子の製造及び標準化産生の利点を合わせ持っているということである。
【0226】
本発明はまた、NTPペプチド又はNTP遺伝子又は遺伝子等価物の治療用組成物の、不要細胞の増殖又は蓄積を除去、阻害又は防止するためにステントのような医療器具のコーティング成分としての使用も包含する。
【0227】
経口投与用の固体剤形は、カプセル、錠剤、ピル、散剤及び顆粒剤を含むが、これらに限定されない。そのような固体剤形の場合、活性化合物は以下の少なくとも一つ、すなわち、(a)クエン酸ナトリウム又はリン酸二カルシウムのような1またはそれより多くの不活性賦形剤(又は担体);(b)デンプン、乳糖、ショ糖、ブドウ糖、マンニトール、及びケイ酸のような充填剤又は増量剤;(c)カルボキシメチルセルロース、アルギネート、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、ショ糖及びアカシアのような結合剤;(d)グリセロールのような保湿剤;(e)寒天、炭酸カルシウム、ジャガイモ又はタピオカデンプン、アルギン酸、ある種の複合ケイ酸塩、及び炭酸ナトリウムのような崩壊剤;(f)パラフィンのような溶液凝固遅延剤;(g)第四級アンモニウム化合物のような吸収促進剤;(h)アセチルアルコール及びモノステアリン酸グリセロールのような湿潤剤;(i)カオリン及びベントナイトのような吸着剤;及び(j)タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール類、ラウリル硫酸ナトリウム、又はそれらの混合物のような滑沢剤と混合される。カプセル、錠剤、及びピルの場合、剤形は緩衝剤も含みうる。
【0228】
経口投与用の液体剤形は、製薬学的に許容しうるエマルジョン、溶液、懸濁液、シロップ、及びエリキシルを含む。液体剤形は、活性化合物のほかに、当該技術分野で通常使用されている不活性希釈剤、例えば、水又は他の溶媒、可溶化剤、及び乳化剤を含みうる。乳化剤の例は、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジメチルホルムアミド、油類、例えば綿実油、落花生油、トウモロコシ胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油、及びゴマ油、グリセロール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ポリエチレングリコール類、ソルビタンの脂肪酸エステル類、又はこれらの物質の混合物などである。
【0229】
そのような不活性希釈剤のほかに、該組成物は、湿潤剤、乳化剤及び懸濁剤、甘味料、風味料及び着香料などのアジュバントを含むこともできる。
本発明の組成物中の活性成分の実際の用量レベルは、特定の組成物及び投与法にとって所望の治療的応答を得るのに有効な量のNTPペプチドを得るために、変動しうる。従って、選択される用量レベルは、所望の治療効果、投与経路、所望の治療期間、及び他の要因によって決まる。
【0230】
ヒトを含む哺乳動物の場合、体表面積に基づいて有効量を投与できる。様々な大きさ、種の動物、及びヒトに関する用量の相互関係(mg/M2体表面積に基づく)は、E.J
.Freireichらによって、Cancer Chemother.Rep.,50(4):219(1966)に報告されている。体表面積は、個体の身長及び体重からおよそ決定できる(例えば、Scientific Tables,Geigy Pharmaceuticals,ニューヨーク州アーズリー、pp537−538(1970)参照)。
【0231】
宿主に投与されるNTPペプチドの総日用量は、1回量でも分割量でもよい。用量単位組成物は、1日量を構成するのに使用されてもよいようにその量の約数に相当する量を含有しうる。しかしながら、任意の特定の患者に対する特定の用量レベルは、体重、全身の健康状態、性別、食事、投与時間及び経路、投与薬物の効力、吸収及び排出速度、他の薬物との組合せ、及び治療される特定の疾患の重症度などの様々な要因によって異なるであろうことは理解されよう。
【0232】
本発明によるNTPペプチド組成物の投与法は、該化合物を、噴霧、注入、ボーラス注射、移植デバイス、徐放システムなどにより、筋肉内、経口、静脈内、腹腔内、脳内(実質内)、脳室内、腫瘍内、病巣内、皮内、くも膜下、鼻腔内、眼内、動脈内、局所、経皮投与することを含むが、これらに限定されない。
【0233】
本発明のNTPペプチドの別の投与法は、経皮(transdermal)または経皮(transcutaneous)経路による方法である。そのような態様の一例はパッチの使用である。特に、パッ
チは、例えばジメチルスルホキシド(DMSO)又はDMSOと綿実油の混合物中に細かく懸濁させたNTPペプチドの微細懸濁液を用いて製造でき、腫瘍を持つ哺乳動物の皮膚と、腫瘍部位から離れた皮膚ポーチ(skin pouch)内で接触させる。他の溶媒及び固体支持体を用いた他の媒体又はその混合物も同等に機能するであろう。該パッチは、溶液又は懸濁液の形態のNTPペプチド化合物を含有できる。次にパッチを患者の皮膚に適用するが、その手段は、例えば患者の皮膚を折りたたみ、縫合糸、クリップ又は他の保持装置で皮膚を保持することによって形成した皮膚ポーチ内に該パッチを挿入する方法を取る。このポーチは、哺乳動物に妨害されずに皮膚との連続接触を確保するような様式で使用されるべきである。皮膚ポーチの使用以外にも、皮膚と接触しているパッチを確実に固定する任意のデバイスが使用できる。例えば絆創膏を用いてパッチを皮膚の適所に保持するなどである。
【0234】
NTPペプチドは徐放性製剤の形態で投与してもよい。適切な徐放性製剤の例は、成形品、例えばフィルム又はマイクロカプセルの形態の半透性ポリマーマトリックスなどである。徐放性マトリックスは、ポリエステル類、ヒドロゲル類、ポリラクチド類(U.S.3,773,919、EP58,481)、L−グルタミン酸とγ−L−グルタミン酸エチルのコポリマー類(Sidmanら、Biopolymers,22:547−556[1983])、ポリ(2−ヒドロキシエチル−メタクリレート)(Langerら、J.Biomed.Mater.Res.,15:167−277[1981]及びLanger,Chem.Tech.,12:98−105[1982])、エチレン酢酸ビニル(Langerら、上記)又はポリ−D(−)−3−ヒドロキシ酪酸(EP133,988)などである。徐放性組成物はリポソームも含みうる。リポソームは当該技術分野で公知のいくつかの方法のいずれかによって製造できる(例えば、Eppsteinら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA,82:3688−3692[1985];EP36,676;EP88,046;及びEP143,949)。
【0235】
本発明のNTPペプチドの別の投与法は、NTPペプチドを治療すべき腫瘍又は他の組織に直接又は間接的に注入することによる。そのような態様の一例は、NTPペプチドを治療すべき腫瘍又は他の組織に直接注射することである。該治療法は、1回注射、一時に複数回注射、又は数時間、数日もしくは数ヶ月にわたる一連の注射からなるが、治療される腫瘍又は他の組織の退縮又は破壊は、生検、画像化又は他の組織成長モニター法によってモニターされる。治療される腫瘍又は他の組織への注射は、鼻、口、耳、膣、直腸又は尿道のような開口部に挿入したデバイスによるか、又はインビボの腫瘍又は組織に到達するために切開を通じてなされるが、適当な注射部位を確認するために超音波又は光ファイバースコープのような画像化又は光学システムと組み合わせて実施されうる。そのような態様の別の例は、NTPペプチドを組織に時間をかけて一定注入できるデバイスの使用である。
【0236】
本発明のNTPペプチドの別の投与法は、除去又は破壊が必要とされる又は求められる腫瘍又は他の組織又は細胞要素を物理的に切除、剥離、又はそうでなければ殺滅もしくは破壊するために用いられる外科的又は同様の処置との組合せである。その場合、本発明のNTPペプチドは、腫瘍又は他の組織が除去された領域に直に接している周辺領域に投与され、処置によって除去又は破壊されなかった腫瘍細胞又は他の細胞要素があればその成長を破壊又は妨害する。
【0237】
本発明のNTPペプチドの別の投与法は、治療される腫瘍又は他の組織内にデバイスを移植することによる。そのような態様の一例は、NTPペプチドを含有するウェハを治療される腫瘍又は他の組織に移植することである。該ウェハは、組織に治療量のNTPペプチドを時間をかけて放出する。あるいは又はさらに、NTPペプチドを吸収させた膜、スポンジ、又は他の適切な材料を患部に移植することによって組成物を局所投与することもできる。移植デバイスが使用される場合、該デバイスは任意の適切な組織又は器官に移植でき、NTPペプチドの送達はデバイスを通じて、ボーラスにより、又は連続投与により、又はカテーテルを用いる連続注入により直接的になされうる。
【0238】
代替の投与法は、NTPペプチドをコードする遺伝子の1またはそれより多くのコピーを標的細胞に導入し、必要であれば、該遺伝子のコピーに、NTPペプチドの細胞内での産生開始を誘発する。遺伝子療法が適用できる一つの方法は、NTPペプチドをコードする遺伝子(NTPペプチド(又はそのフラグメント、変異体、相同体もしくは誘導体)をコードするゲノムDNA、cDNA、及び/又は合成DNA)の使用で、これを構成又は誘発プロモーターに機能可能に連結し、遺伝子療法のDNA構成体を形成させればよい。プロモーターは、該構成体が挿入される細胞又は組織型で活性であれば、内因性のNTP
ペプチドコード遺伝子と同種でも異種でもよい。遺伝子療法のDNA構成体の他の成分は、場合により、必要に応じて、部位特異的組込み用に設計されたDNA分子(例えば相同的組換えに有用な内因性フランキング配列)、組織特異的プロモーター、エンハンサー、又はサイレンサー、親細胞に優る選択的利点を提供できるDNA分子、形質転換細胞を確認する標識として有用なDNA分子、負の選択システム、細胞特異的結合剤(例えば細胞ターゲティング用)、細胞特異的インターナリゼーション(細胞内取込み)因子、及びベクターによる発現を増強する転写因子並びにベクターの製造を可能にする因子を含みうる。
【0239】
インビボ又はエクスビボで細胞又は組織に遺伝子を送達する手段は、裸のDNAの直接注入、弾道法(ballistic methods)、リポソーム介在型伝達、受容体介在型伝達(リガン
ド−DNA複合体)、エレクトロポレーション、及びリン酸カルシウム沈殿などである(これらに限定されない)。米国特許第4,970,154号、WO96/40958、米国特許第5,679,559号、米国特許第5,676,954号、及び米国特許第5,593,875号参照。前記各特許の開示内容は引用によってその全体を本明細書に援用する。また、レトロウィルス、アデノウィルス、アデノ随伴ウィルス、ポックスウィルス、レンチウィルス、パピローマウィルス又は単純ヘルペスウィルスのようなウィルスベクターの使用、DNA−タンパク質複合体の使用、及びリポソームの使用も含まれる。遺伝子療法のベクターの使用については、例えば米国特許第5,672,344号、米国特許第5,399,346号、米国特許第5,631,236号、及び米国特許第5,635,399号に記載されている。前記各特許の開示内容は引用によってその全体を本明細書に援用する。
【0240】
NTPペプチドをコードする遺伝子は、本明細書中に記載のような方法を用いて、NTPペプチド、又はそのフラグメント、変異体、相同体、もしくは誘導体を発現及び分泌するようにエクスビボで遺伝子工学的に操作されたある種の細胞を患者に移植することによって送達することもできる。そのような細胞は、動物又はヒトの細胞で、患者自身の組織由来かヒト又はヒト以外の別の供給源由来でありうる。場合により、該細胞は不死化細胞又は幹細胞であり得る。しかしながら、免疫反応の機会を減らすために、該細胞を被包して周囲組織の浸潤を回避するのが好適である。被包材料は、典型的には、タンパク質生成物は放出させるが、患者の免疫系又は周囲組織の他の有害因子による細胞の破壊は防止する生体適合性、半透性のポリマー性エンクロージャー又は膜である。膜による細胞の被包化に使用される方法は当業者には周知であり、被包化細胞の製造と患者へのその移植は、必要以上の実験をせずとも達成できる。例えば、米国特許第4,892,538号;5,011,472号;及び5,106,627号参照。前記各特許の開示内容は引用によってその全体を本明細書に援用する。生細胞の被包化システムは、PCT WO91/10425に記載されている。他の各種の持続又は制御送達手段、例えばリポソーム担体、生腐食性粒子又はビーズの製剤化技術も当業者には公知であり、例えば、米国特許第5,653,975号に記載されている。前記特許の開示内容は引用によってその全体を本明細書に援用する。被包の有無にかかわらず、細胞は患者の適切な体組織又は器官に移植されうる。
【0241】
以下の実施例は本発明を説明するために提供する。しかしながら、本発明はこれらの実施例中に記載されている特定の条件又は詳細に制限されないことは理解されるべきである。本明細書全体を通じて、米国特許を含む公的に入手可能な文献へのいずれか又はすべての参照は、引用によって特に本明細書に援用する。
【0242】
特に、本発明は、係属中の米国特許出願第10/092,934号、神経糸タンパク質を用いる腫瘍及び関連状態の治療法(Methods of Treating Tumors and Related Conditions Using Neural Thread Proteins)に記載の実施例を、引用によって明示的に本明細書に
援用する。前記出願特許は、全AD7c−NTPタンパク質が、インビトロでは神経膠腫及び神経芽細胞腫の細胞培養物で、インビボでは正常齧歯類の筋肉組織、皮下結合組織、及び真皮、並びに各種の異なるヒト及び非ヒト起源腫瘍、例えば乳がん、皮膚がん及び乳頭腫、結腸がん、脳の神経膠腫及び齧歯類モデルにおけるその他の両方で細胞死を起こす有効な薬剤であることを明らかにしている。本発明はまた、米国特許出願第10/153,334号、発明の名称:細胞の除去又は破壊を必要とする腫瘍及び他の状態の治療に有効なペプチド(Peptides Effective In The Treatment Of Tumors And Other Conditions Requiring The Removal Or Destruction Of Cells);第10/198,069号、発明の名称:細胞の除去又は破壊を必要とする腫瘍及び他の状態の治療に有効なペプチド(Peptides Effective In The Treatment Of Tumors And Other Conditions Requiring The Removal Or Destruction Of Cells);及び第10/198,070号、発明の名称:細胞の除去又は破壊を必要とする腫瘍及び他の状態の治療に有効なペプチド(Peptides Effective In The Treatment Of Tumors And Other Conditions Requiring The Removal Or Destruction Of Cells)に記載の実施例を、引用によって明示的に本明細書に援用する。前記各出願特許は、AD7c−NTPの、AD7c−NTP及びNTPタンパク質に相同なタンパク質の、及びNTPタンパク質のフラグメントが、インビボの正常齧歯類の筋肉組織、皮下結合組織、真皮及び他の組織で細胞死を起こす有効な薬剤であることを示している。
【実施例】
【0243】
実施例1
本実施例の目的は、注射部位の組織に及ぼすNTP[122]ペプチド#1の影響を測定することであった。
【0244】
雄のSprague−Dawleyラット(300gの体重範囲)をエーテルで麻酔し、前立腺を外科的に切開して可視化した後、NTP[122]ペプチド#1を前立腺内注入によって投与した。注射は、pH7.4のPBS中1mg/mLのNTP[122]ペプチド#1を300μl(1.0mg/kg)(n=8)、PBSのみの対照注射(n=6)、及び注射なしの対照(n=2)であった。ラットは72時間後に安楽死させた。前立腺を切離し、10%の緩衝ホルマリンに24時間固定し、パラフィン包埋し、切片に分け、H&Eで染色した。各動物について全前立腺を包埋し切片に分割した。すべての染色切片を組織学的に検査し測定した。各前立腺について、少なくとも4枚の組織切片を検査し、各組織切片について、互いに90°を成す二つの断面直径(D)を測定した(1個の前立腺につき全部で≧8個の測定)。各前立腺のこれらの測定による平均直径を用い、V=4/3(D/2)3に従って体積を推定した。
【0245】
結果:NTP[122]ペプチド#1注射ラットの前立腺の体積の減少は、対照(PBS注射のみの対照と注射なしの対照との間に識別可能な違いはなかった)と比較して平均45%と推定された。処置ラットの前立腺は、腺上皮の広範な喪失、平坦化、及び萎縮を示していた。pH7.4のPBS中NTP[122]ペプチド#1のラット前立腺への1.0mg/kgの開放注入は、72時間の時点で、未処置又はPBS処置対照と比べて>40%の推定前立腺体積減を生じた。
【0246】
実施例2
本実施例の目的は、注射部位の組織に及ぼすNTP[112]ペプチド#1の影響を測定することであった。
【0247】
雄のSprague−Dawleyラット(300gの体重範囲)をエーテルで麻酔し、前立腺を外科的に切開して可視化した後、NTP[112]ペプチド#1を前立腺内注入によって投与した。注射は、pH7.4のPBS中1mg/mLのNTP[112]ペプチド#1を300μl(1.0mg/kg)(n=4)、PBSのみの対照注射(n=
3)、及び注射なしの対照(n=1)であった。ラットは72時間後に安楽死させた。前立腺を切離し、10%の緩衝ホルマリンに24時間固定し、パラフィン包埋し、切片に分け、H&Eで染色した。各動物について全前立腺を包埋し切片に分割した。すべての染色切片を組織学的に検査し測定した。各前立腺について、少なくとも4枚の組織切片を検査し、各組織切片について、互いに90°を成す二つの断面直径(D)を測定した(1個の前立腺につき全部で≧8個の測定)。各前立腺のこれらの測定による平均直径を用い、V=4/3(D/2)3に従って体積を推定した。
【0248】
対照は実施例1と同一であった。
結果:上記実施例1と同様、NTP[112]ペプチド#1の注射は、72時間の時点で前立腺に顕著な細胞喪失及び萎縮を生じた。対照は最小の変化を示すか無変化で、針による軽度の局所的炎症であった。
【0249】
実施例3
本実施例の目的は、注射部位の組織に及ぼす前述のNTPペプチドの影響を測定することであった。
【0250】
8匹の正常ラットのそれぞれ異なる4箇所の皮膚及び皮下の巣、及びそれぞれ異なる2箇所の四肢骨格筋の巣に、前述のNTP[122]ペプチド1〜8、NTP[112]ペプチド1〜7、NTP[106]ペプチド1〜7、NTP[98]1〜6、NTP[75]ペプチド1〜5、NTP[68]ペプチド1〜4、及びNTP[61]ペプチド1〜4(いずれも生理食塩水中)を、100〜400mLの量及び0.1〜1mg/mLの濃度で、ステンレススチールの26ゲージ針を通してプラスチック注射器から注射した。
【0251】
動物を24時間観察し、24時間時に安楽死させた。個々の浸潤巣を切除し、10%のホルマリンに固定し、パラフィン包埋し、染色して標準の組織病理学的方法で検査した。
同様の対照ラット群に、(1)生理食塩水中ウシ血清アルブミン0.1%、(2)正常ヒト血清、(3)生理食塩水、(4)非感染性細菌タンパク質、及び(5)対照ペプチドを注射し、清浄化してから前述のように試験し安楽死させた。切除した注射巣は前述のように処置した。
【0252】
結果:NTP[122]ペプチド1〜8、NTP[112]ペプチド1〜7、NTP[106]ペプチド1〜7、NTP[98]1〜6、NTP[75]ペプチド1〜5、NTP[68]ペプチド1〜4、及びNTP[61]ペプチド1〜4の注射は、全実施例で注射部位に多数の急性の組織壊死を起こした。壊死は、NTPペプチドが注射された部位の筋肉組織、皮下結合組織、及び真皮に明白であった。24時間時点で、細胞は蒼白、萎縮及び壊死しているように見え、炎症細胞による浸潤がある。壊死は注射面積に相関し、注射部位のはるか先まで拡散しているようには見えない。
【0253】
対照は、軽度の炎症領域があった以外、壊死又は細胞喪失の証拠は示さなかった。筋線維層の全領域が壊死していたNTPペプチド注射に対し、対照の筋肉の変化は最小限又は皆無であった。対照注射によって注射部位に軽度〜最小の急性炎症と、針による局所的な微小出血が見られた。
【0254】
当業者には、本発明の方法及び組成物において、本発明の精神又は範囲に反することなく多様な修飾および変形が可能であることは明白であろう。
【図面の簡単な説明】
【0255】
【図1】図1は、122アミノ酸神経糸タンパク質の完全アミノ酸配列を示す図である(米国特許第5,830,670号、5,948,634号、及び5,948,888号の配列40;NCBI Entrez−タンパク質アクセッション番号AAE25447 PID g10048540)[配列番号1]。
【図2】図2は、112アミノ酸神経糸タンパク質の完全アミノ酸配列を示す図である(NCBI Entrez−タンパク質アクセッション番号XP 032307 PID g15928971)[配列番号2]。
【図3】図3は、106アミノ酸神経糸タンパク質様タンパク質の完全アミノ酸配列を示す図である(NCBI Entrez−タンパク質アクセッション番号AAH14951 PID g15928971)[配列番号3]。
【図4】図4は、98アミノ酸神経糸タンパク質の完全アミノ酸配列を示す図である(米国特許第5,830,670号、5,948,634号、及び5,948,888号の配列30;NCBI Entrez−タンパク質アクセッション番号AAE25445、PID g10048538)[配列番号4]。
【図5】図5は、75アミノ酸神経糸タンパク質の完全アミノ酸配列を示す図である(米国特許第5,830,670号、5,948,634号、及び5,948,888号の配列48;NCBI Entrez−タンパク質アクセッション番号AAE25448、PID g10048541)[配列番号5]。
【図6】図6は、68アミノ酸神経糸タンパク質の完全アミノ酸配列を示す図である(米国特許第5,830,670号、5,948,634号、及び5,948,888号の配列36;NCBI Entrez−タンパク質アクセッション番号AAE25446、PID g10048539)[配列番号6]。
【図7】図7は、61アミノ酸神経糸タンパク質様タンパク質の完全アミノ酸配列を示す図である(NCBI Entrez−タンパク質アクセッション番号AAH02534、PID g12803421)[配列番号7]。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)配列番号8:
【化1】

のアミノ酸配列によって表されるペプチド;
b)配列番号9:
【化2】

のアミノ酸配列によって表されるペプチド;
c)配列番号10:
【化3】

のアミノ酸配列によって表されるペプチド;
d)配列番号11:
【化4】

のアミノ酸配列によって表されるペプチド;
e)配列番号12:
【化5】

のアミノ酸配列によって表されるペプチド;
f)配列番号13:
【化6】

のアミノ酸配列によって表されるペプチド;
g)配列番号14:
【化7】

のアミノ酸配列によって表されるペプチド;
h)配列番号15:
【化8】

のアミノ酸配列によって表されるペプチド;
i)配列番号16:
【化9】

のアミノ酸配列によって表されるペプチド;
j)配列番号17:
【化10】

のアミノ酸配列によって表されるペプチド;
k)配列番号18:
【化11】

のアミノ酸配列によって表されるペプチド;
l)配列番号19:
【化12】

のアミノ酸配列によって表されるペプチド;
m)配列番号20:
【化13】

のアミノ酸配列によって表されるペプチド;
n)配列番号21:
【化14】

のアミノ酸配列によって表されるペプチド;
o)配列番号22:
【化15】

のアミノ酸配列によって表されるペプチド;
p)配列番号23:
【化16】

のアミノ酸配列によって表されるペプチド;
q)配列番号24:
【化17】

のアミノ酸配列によって表されるペプチド;
r)配列番号25:
【化18】

のアミノ酸配列によって表されるペプチド;
s)配列番号26:
【化19】

のアミノ酸配列によって表されるペプチド;
t)配列番号27:
【化20】

のアミノ酸配列によって表されるペプチド;
u)配列番号28:
【化21】

のアミノ酸配列によって表されるペプチド;
v)配列番号29:
【化22】

のアミノ酸配列によって表されるペプチド;
w)配列番号30:
【化23】

のアミノ酸配列によって表されるペプチド;
x)配列番号31:
【化24】

のアミノ酸配列によって表されるペプチド;
y)配列番号32:
【化25】

のアミノ酸配列によって表されるペプチド;
z)配列番号33:
【化26】

のアミノ酸配列によって表されるペプチド;
aa)配列番号34:
【化27】

のアミノ酸配列によって表されるペプチド;
bb)配列番号35:
【化28】

のアミノ酸配列によって表されるペプチド;
cc)配列番号36:
【化29】

のアミノ酸配列によって表されるペプチド;
dd)配列番号37:
【化30】

のアミノ酸配列によって表されるペプチド;
ee)配列番号38:
【化31】

のアミノ酸配列によって表されるペプチド;
ff)配列番号39:
【化32】

のアミノ酸配列によって表されるペプチド;
gg)配列番号40:
【化33】

のアミノ酸配列によって表されるペプチド;
hh)配列番号41:
【化34】

のアミノ酸配列によって表されるペプチド;
ii)配列番号42:
【化35】

のアミノ酸配列によって表されるペプチド;
jj)配列番号43:
【化36】

のアミノ酸配列によって表されるペプチド;
kk)配列番号44:
【化37】

のアミノ酸配列によって表されるペプチド;
ll)配列番号45:
【化38】

のアミノ酸配列によって表されるペプチド;
mm)配列番号46:
【化39】

のアミノ酸配列によって表されるペプチド;
nn)配列番号47:
【化40】

のアミノ酸配列によって表されるペプチド;及び
oo)配列番号48:
【化41】

のアミノ酸配列によって表されるペプチド
からなる群から選ばれる少なくとも1個のNTPペプチドを含むペプチド。
【請求項2】
請求項1に記載の1個以上のペプチドとその担体とを含む組成物。
【請求項3】
請求項1に記載のペプチドの相同体、誘導体、フラグメント、又は変異体を含むペプチド。
【請求項4】
請求項1に記載のペプチドのアミノ酸配列を基にするとリバース−D順の配列のアミノ酸を含むペプチド。
【請求項5】
ペプチドの3’又は5’末端のいずれかにフランキングしている少なくとも1個〜25個までの追加のアミノ酸を有する請求項1に記載のペプチドを含むペプチド。
【請求項6】
請求項1に記載の少なくとも2個のペプチドを含むペプチド。
【請求項7】
請求項1に記載のペプチドの少なくとも2回の反復を含むペプチド。
【請求項8】
請求項1に記載のペプチドのミメティック。
【請求項9】
抗体、抗体のフラグメント又は抗体様分子に融合した請求項1に記載のペプチドを含むペプチド。
【請求項10】
請求項1に記載のペプチド並びにその相同体、フラグメント及び変異体に対応するアミノ酸配列をコードする核酸。
【請求項11】
請求項10に記載の1個以上の核酸とその製薬上許容しうる担体とを含む組成物。
【請求項12】
細胞の除去又は破壊を必要とする哺乳動物における状態の治療法であって、前記哺乳動物に、治療上有効量の請求項1に記載のペプチドを投与することを含む方法。
【請求項13】
前記ペプチドが、経口、皮下、皮内、鼻腔内、静脈内、筋肉内、くも膜下、鼻腔内、腫瘍内、局所、及び経皮からなる群から選ばれる方法によって投与される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記方法が、前記哺乳動物に対して、外科的切除、臓器移植、組織移植、化学療法、免疫療法、ワクチン接種、熱又は電気的剥離、寒冷療法、レーザー療法、光線療法、遺伝子療法、及び放射線からなる群から選ばれる治療法による前記哺乳動物の治療の前、中、後に実施される、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記状態が、肺、乳房、胃、膵臓、前立腺、膀胱、骨、卵巣、皮膚、腎臓、洞、結腸、腸、胃、直腸、食道、心臓、脾臓、唾液腺、血液、脳及びその外皮、脊髄及びその外皮、筋肉、結合組織、副腎、副甲状腺、甲状腺、子宮、精巣、脳下垂体、生殖器官、肝臓、胆嚢、眼、耳、鼻、咽頭、扁桃、口、及びリンパ節並びにリンパ系からなる群から選ばれる組織の良性又は悪性腫瘍である、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
前記状態が、肺、乳房、胃、膵臓、前立腺、膀胱、骨、卵巣、皮膚、腎臓、洞、結腸、腸、胃、直腸、食道、心臓、脾臓、唾液腺、血液、脳及びその外皮、脊髄及びその外皮、筋肉、結合組織、副腎、副甲状腺、甲状腺、子宮、精巣、脳下垂体、生殖器官、肝臓、胆嚢、眼、耳、鼻、咽頭、扁桃、口、及びリンパ節並びにリンパ系からなる群から選ばれる組織の過形成、肥大、又は過成長である、請求項12に記載の方法。
【請求項17】
前記状態が、肺、乳房、胃、膵臓、前立腺、膀胱、骨、卵巣、皮膚、腎臓、洞、結腸、腸、胃、直腸、食道、心臓、脾臓、唾液腺、血液、脳及びその外皮、脊髄及びその外皮、筋肉、結合組織、副腎、副甲状腺、甲状腺、子宮、精巣、脳下垂体、生殖器官、肝臓、胆嚢、眼、耳、鼻、咽頭、扁桃、口、及びリンパ節並びにリンパ系からなる群から選ばれる組織のウィルス性、細菌性、又は寄生虫性変化である、請求項12に記載の方法。
【請求項18】
前記状態が、肺、乳房、胃、膵臓、前立腺、膀胱、骨、卵巣、皮膚、腎臓、洞、結腸、腸、胃、直腸、食道、心臓、脾臓、唾液腺、血液、脳及びその外皮、脊髄及びその外皮、
筋肉、結合組織、副腎、副甲状腺、甲状腺、子宮、精巣、脳下垂体、生殖器官、肝臓、胆嚢、眼、耳、鼻、咽頭、扁桃、口、及びリンパ節並びにリンパ系からなる群から選ばれる組織の奇形である、請求項12に記載の方法。
【請求項19】
前記組織がリンパ組織である、請求項12に記載の方法。
【請求項20】
前記状態が扁桃肥大である、請求項12に記載の方法。
【請求項21】
前記状態が前立腺過形成である、請求項12に記載の方法。
【請求項22】
前記状態が乾癬である、請求項12に記載の方法。
【請求項23】
前記状態が湿疹である、請求項12に記載の方法。
【請求項24】
前記状態が皮膚病である、請求項12に記載の方法。
【請求項25】
前記状態が組織に対する美容修正である、請求項12に記載の方法。
【請求項26】
前記組織が、皮膚、眼、耳、鼻、咽頭、口、筋肉、結合組織、毛髪、及び乳房である、請求項15に記載の方法。
【請求項27】
前記状態が血管疾患である、請求項12に記載の方法。
【請求項28】
前記状態が痔である、請求項12に記載の方法。
【請求項29】
前記状態が静脈瘤である、請求項12に記載の方法。
【請求項30】
前記血管疾患がアテローム性動脈硬化又は動脈硬化である、請求項27に記載の方法。
【請求項31】
前記状態が、炎症性疾患、自己免疫疾患、代謝性疾患、遺伝性疾患/遺伝病、外傷性疾患又は身体外傷、栄養欠乏症、感染症、アミロイド病、線維症、沈着症、先天性奇形、酵素欠乏症、中毒、酩酊、環境病、放射線疾患、内分泌性疾患、消耗性疾患及び機械的疾患からなる群から選ばれる、請求項12に記載の方法。
【請求項32】
前記ペプチドが、抗体、抗体フラグメント、及び抗体様結合分子からなる群から選ばれる分子と複合、連結、又は結合しており、前記分子は他の細胞に結合するより腫瘍又は他の標的への結合の方に高い親和性を有している、請求項12に記載の方法。
【請求項33】
前記ペプチドが、該ペプチドと、抗体、抗体フラグメント、及び抗体様結合分子からなる群から選ばれる分子とからなる単一の新規クローン組換え分子の一部であり、前記分子は他の細胞に結合するより腫瘍又は他の標的への結合の方に高い親和性を有している、請求項12に記載の方法。
【請求項34】
前記状態が、動脈の又は動脈内に設置又は移植されたステントの狭窄、再狭窄、閉塞又は遮断である、請求項12に記載の方法。
【請求項35】
ステントの狭窄、閉塞又は遮断を防止又は阻害する方法であって、前記ステントを少なくとも治療上有効量の請求項1に記載のペプチドで被覆することを含む方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−135876(P2011−135876A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−11764(P2011−11764)
【出願日】平成23年1月24日(2011.1.24)
【分割の表示】特願2003−545688(P2003−545688)の分割
【原出願日】平成14年11月18日(2002.11.18)
【出願人】(501191395)ナイモックス コーポレーション (6)
【Fターム(参考)】