説明

細胞内に送達するためのジブロックコポリマーおよびそのポリヌクレオチド複合体

ここにおいて、コポリマー並びに前記コポリマーの製造方法および利用を開示する。前記コポリマーは、少なくとも2つのブロックを有する:生理学的pHで親水性である少なくとも1つのユニットを有する第1のブロックと、疎水性基を有する第2のブロック。この第2のブロックは更に生理学的pHでアニオン性である基を有する少なくとも1つのユニットを有する。記載される当該コポリマーは、細胞外膜、細胞内膜、小胞、オルガネラ、エンドソーム、リポソームまたは赤血球を含む細胞膜を破壊する。好ましくは、ある場合には、当該コポリマーは、膜を破壊し、細胞内環境に入る。特異的な例において、当該コポリマーはエンドソーム溶解性である。

【発明の詳細な説明】
【発明の概要】
【0001】
[相互参照]
本出願は、2008年5月13日に提出されたU.S. 仮出願第 61/052,908、2008年5月13日に提出された仮出願第 61/052,914、2008年8月22日に提出されたU.S. 仮出願第 61/091,294、2008年11月6日に提出されたU.S. 仮出願第 61/112,054、2008年11月6日に提出されたU.S. 仮出願第 61/112,048、2008年12月12日提出されたU.S. 仮出願第 61/120,769、2008年12月24日提出されたU.S. 仮出願第 61/140,779、2008年12月24日に提出されたU.S. 仮出願第 61/140,774、2009年4月21日に提出されたU.S. 仮出願第 61/171,377の優先権を主張するものであり、これらの全ての文書の内容は、引用によりそれらの全体がここに組み込まれる。
【0002】
[連邦政府に助成された研究に関する陳述]
本発明は、国立保健研究所により認められ、契約番号5 R01 EB 2991-03のもとで政府の助成を受けてなされたものである。政府は、本発明において正当な権利を有する。
【0003】
[分野]
本発明は、有機化学、ポリマー化学、生化学、分子生物学および医学に関する。特に、生細胞にポリヌクレオチドを送達するための輸送手段として使用されるべきコポリマー(例えば、ジブロックコポリマー)およびポリヌクレオチドとのその複合体に関する。
【0004】
[発明の背景]
ある場合において、生細胞に治療剤(例えば、オリゴヌクレオチド)を提供することは有益である。いくつかの場合において、そのようなポリヌクレオチドの生細胞への送達は、治療的な利益を与える。
[概要]
ある態様において、ここでは、少なくとも2つのブロックコポリマーであって、第1のブロックが(例えば、略生理学的pHで)親水性である少なくとも1つの構成ユニットを含み、第2のブロックが複数の疎水性部分を含むコポリマーが提供される。ある態様において、当該第2のブロックは、更に、荷電または非荷電状態の何れかである荷電可能な種を含み、それは生理学的pHでアニオン性である。しかしながら、pHが荷電可能な種の略pKaであるとき、両方の形態で、均衡な分布の荷電可能な種が存在し、約50%がアニオン性であり、約50%が非荷電であるだろう。更に、さらに、pHが荷電可能な種のpKから離れると、この平衡において対応するシフトがあり、より高いpH値においてはアニオン性形態が優勢になり、より低いpHにおいては電荷を持たない形態が優勢になる。ここで開示される態様は、何れかのpH値でのコポリマーの形態を含む。エンドソームのpH値で、荷電可能な種は、主に非荷電形態である。
【0005】
好ましくは、ある場合には、ここで記載されるポリマーは、細胞膜と接触し、膜を破壊または別の方法により不安定化し、細胞内環境に入る。特異的な態様において、ここにおいて提供されるポリマーは、エンドソーム溶解性であるか、または別の方法によりエンドソーム膜を不安定化する。
【0006】
ある態様において、ここにおいて、
(a)第1のブロック、当該第1のブロックは親水性ブロックである;および
(b)第2のブロック、当該第2のブロックは、以下を含む膜不安定化疎水性ブロック(membran destabilizing hydropHobic block)である:
(i)略生理学的pHで、アニオン性である第1の荷電可能な種、
(iii)略生理学的pHで、カチオン性である第2の荷電可能な種
を含む細胞膜を不安定化する(例えば、エンドソーム溶解性またはエンドソーム膜不安定化)コポリマーが提供される。
【0007】
ある態様において、ここにおいて、
(a)第1のブロック、当該第1のブロックは、生理学的pHでカチオン性である第1の荷電可能な種を含む親水性ブロックである;
(b)第2のブロック、当該第2のブロックは以下を含む膜不安定化疎水性ブロックである:
(i)略中性のpHでアニオン性である第2の荷電可能な種;および
(ii)略生理学的pHでカチオン性である第3の荷電可能な種;並びに、
(c)第1のブロックと結合したオリゴヌクレオチド;
を含む細胞膜不安定化(例えば、エンドソーム溶解性またはエンドソーム膜不安定化)コポリマーが提供される。
【0008】
ある態様において、ここにおいて、
第1のブロック、当該第1のブロックは、親水性ブロックである;
第2のブロック、当該第2のブロックは、アクリル酸残基またはアルキルアクリル酸残基を含む膜不安定化疎水性ブロックである;
を含む細胞膜不安定化(例えば、エンドソーム溶解性またはエンドソーム細胞膜不安定化)コポリマーが提供される。
【0009】
1つの側面において、本発明は、
正常な生理学的pHで親水性である第1の構成ユニットを含む第1のブロック;
以下を含む第2のブロック:
正常な生理学的pHでカチオン性である第2の構成ユニットであり、第1の構成ユニットと同じでも異なっていてもよい第2の構成ユニット;
正常な生理学的pHでアニオン性である第3の構成ユニット;
疎水性増大部分、ここにおいて、
当該疎水性増大部分は、当該第2の構成ユニットに対して共有結合的に結合している;または
当該疎水性増大部分は、当該第3の構成ユニットに対して共有結合的に結合している;
当該疎水性増大部分は、当該第2のブロックの第4の構成ユニットに含まれる;または
上記何れかの組み合わせである;並びに
当該第2のブロックは、全体的な電荷において実質的に中性である:
を含むコポリマー(例えば、ジブロックコポリマー)に関する。
【0010】
種々の態様において、第1の構成ユニットは、正常な生理学的pHで(即ち、略生理学的pHで)カチオン性であっても、正常な生理学的pHでアニオン性であっても、正常な生理学的pHで中であっても、正常な生理学的pHで両性イオン性であってもよい。いくつかの態様において、コポリマーの第1のブロックは、正常な生理学的pHでポリカチオン性であっても、正常な生理学的pHでポリアニオン性であっても、正常な生理学的pHで中性であっても、正常な生理学的pHでポリ両性イオン性であってもよい。更なる態様において、コポリマーの第1のブロックは実質的に、正常な生理学的pHとしてエンドソームのpHで実質的に同じイオン特性を有してもよく、例えば、エンドソームのpHでポリカチオン性であっても、エンドソームのpHでポリアニオン性であっても、エンドソームのpHで中性であっても、エンドソームのpHでポリ両性イオン性であってもよい。
【0011】
1つの側面において、本願発明は、
正常な生理学的pHでカチオン性の第1の構成ユニットを含む第1のブロック;
以下を含む第2のブロック:
正常な生理学的pHでカチオン性である第2の構成ユニットであり、第1の構成ユニットと同じであっても異なっていてもよい第2の構成ユニット;
正常な生理学的pHでアニオン性である第3の構成ユニット;
疎水性増大部分、ここにおいて、
当該疎水性増大部分は、第2の構成ユニットに対して共有結合的に結合している;または
当該疎水性増大部分は、第3の構成ユニットに対して共有結合的に結合している;または
当該疎水性増大部分は、第2のブロックの第4の構成ユニットに含まれる;または
上記何れかの組み合わせである;並びに、
当該第2のブロックは、全体的な電荷において、実質的に中性である;
を含むコポリマー(例えば、ジブロックコポリマー)に関する。
【0012】
本発明の側面において、第1の構成ユニットは、カチオン性窒素種(即ち、正常な生理学的pHでカチオン性である窒素種)を含む。本発明の側面において、当該カチオン性窒素種は、アンモニウム種である。本発明の側面において、第2の構成ユニットは、第2の構成ユニットと同じである。本発明の側面において、アニオン性種は、カルボン酸アニオンを含む。本発明の側面において、第1のブロックは更に、第1の構成ユニットの間にランダムに分散した中性な電荷の構成ユニットを含む。本発明の側面において、第1および/または第2のブロックは、少なくとも1つの反応性基または修飾を受け入れ可能な基を含む。本発明の側面において、仮に存在する場合には、第4の構成ユニットは、第2のブロックの約10重量%〜約60重量%を含む。
【0013】
ある態様において、第1のポリマーブロックは、約10,000ダルトン、または約2,000ダルトン〜約30,000ダルトン、または約8,500ダルトン〜約13,000ダルトンのサイズである。ある態様において、第1の ポリマーブロックは、送達されるsiRNA分子における負の正味電荷に対する絶対値において同じ正の正味電荷を有する。
【0014】
ある態様において、第2のポリマーブロックは、分子量について第1のポリマーブロックと大凡等しく、または第1のポリマーブロックのサイズの約0.2〜5倍、または約1〜3倍であり、最も好ましい態様において、第2のポリマーブロックは、第1のポリマーブロックのサイズの約2〜3倍である。
【0015】
ある態様において、親水性荷電ブロックは、例えば、siRNAなど、ポリヌクレオチドを含む少なくとも1つのヌクレオチドと複合(complexed)される(ここにおいて、例えば、1または1以上の共有結合、1または1以上のイオン性相互作用、その組み合わせなどによる「会合する(associated)」または「結合する(attached)」と交換可能に使用される)。
【0016】
本発明の側面において、ポリヌクレオチドブロックは、1のポリマーブロックに対して、任意の切断可能な共有結合により結合している。本発明の側面において、ポリヌクレオチド酸は、DNA、RNAおよびその天然および合成類似体からなる群より選択される。本発明の側面において、ポリヌクレオチドはアンチセンスである。本発明の側面において、ポリヌクレオチドはRNAである。本発明の側面において、RNAは、mRNA、piRNA、miRANおよびsiRNAからなる群より選択される。本発明の側面において、RNAはsiRNAである。
【0017】
本発明の側面において、各構成ユニットは、独立して、エチレンモノマーに由来し、コポリマーの合成は生重合を含む。
【0018】
本発明の側面において、エチレンモノマーは、アクリルモノマーである。
【0019】
ある態様において、ここにおいて、化学式Iを有するジブロックコポリマー;
【化1】

【0020】
が提供される。
【0021】
ある態様において、
A0、A1、A2、A3およびA4は、-C-C-、-C-、-C(O)(C)aC(O)O-、-O(C)aC(O)-および-O(C)bO-からなる群より選択される;ここにおいて、
aは、1 - 4である;
bは、2 - 4である;
Y4は、水素、(1C-10C)アルキル、(3C-6C)シクロアルキル、O-(1C-10C)アルキル、-C(O)O(1C-10C)アルキル、C(O)NR6(1C-10C)およびアリールからなる群より選択され、これらの何れかは1または1以上のフッ素基で任意に置換される;
Y0、Y1およびY2は、独立して、共有結合、(1C-10C)アルキル-、-C(O)O(2C-10C)アルキル-、-OC(O)(1C-10C) アルキル-、-O(2C-10C)アルキル-および-S(2C-10C)アルキル-、-C(O)NR6(2C-10C)アルキル-からなる群より選択される;
Y3は、共有結合、(1C-10C)アルキルおよび(6C-10C)アリールからなる群より選択される;
ここにおいて、R1-R5で完全には置換されていないA1-A4の四価の炭素原子およびY0-Y4は、適切な数の水素原子を完備する;
各R1、R2、R3、R4、R5およびR6は、独立して、水素、-CN、アルキル、アルキニル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールおよびヘテロアリールからなる群より選択され、これらの何れかは1または1以上のフッ素原子で任意に置換されてよい;
Q0は、生理学的pHで親水性である残基および生理学的pHで少なくとも部分的に正に荷電されている残基(例えば、アミノ、アルキルアミノ、アンモニウム、アルキルアンモニウム、グアニジン、イミダゾイル、ピリジルなど);生理学的pHで少なくとも部分的に負に荷電されている残基であるが、低いpHではプロトン化を受ける残基(例えば、カルボキシル、スルホンアミド、ボロネート、ホスホネート、ホスフェートなど);生理学的pHで実質的に中性(または非荷電)残基(例えば、ヒドロキシ、ポリオキシレート化アルキル、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、チオールなど);生理学的pHで少なくとも部分的に両性イオン性の残基(例えば、生理学的pHでホスフェート基およびアンモニウム基を含むモノマー残基);結合可能または機能化可能な残基(例えば、反応性基、例えば、アジド、アルキン、スクシンイミドエステル、テトラフルオロフェニルエステル、ペンタフルオロフェニルエステル、p-ニトロフェニルエステル、ピリジルジスルフィドなど);または水素;からなる群より選択される;
Q1は、生理学的pHで親水性である残基、および生理学的pHで少なくとも部分的に正に荷電されている残基(例えば、アミノ、アルキルアミノ、アンモニウム、アルキルアンモニウム、グアニジン、イミダゾイル、ピリジルなど);生理学的pHで少なくとも部分的に負に荷電されている残基であるが、低いpHではプロトン化を受ける残基(例えば、カルボキシル、スルホンアミド、ボロネート、ホスホネート、ホスフェートなど);生理学的pHで実質的に中性の残基(例えば、ヒドロキシ、ポリオキシレート化アルキル、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、チオールなど);生理学的pHで少なくとも部分的に両性イオン性の残基(例えば、生理学的pHでホスフェート基およびアンモニウム基を含むモノマー残基など)である;
Q2は、生理学的pHで正に荷電されている残基であり、これらに限定するものではないが、アミノ、アルキルアミノ、アンモニウム、アルキルアンモニウム、グアニジン、イミダゾイルおよびピリジルを含む;
Q3は、生理学的pHで負に荷電されている残基であるが、低いpHではプロトン化を受ける残基であり、これらに限定するものではないが、カルボキシル、スルホンアミド、ボロネート、ホスホネートおよびホスフェートを含む;
mは、0〜1.0未満である(例えば、0〜約0.49);
nは、0よりも大きい値〜1.0である(例えば、約0.51〜約1.0);ここにおいて、
m + n = 1である;
pは、約0.1〜約0.9である(例えば、約0.2〜約0.5);
qは、約0.1〜約0.9である(例えば、約0.2〜約0.5);ここにおいて、
rは、0〜約0.8である(例えば、0〜約0.6);ここにおいて、
p + q + r = 1である;
vは、約1〜約25kDaである;並びに、
wは、約1〜約50kDaである。
【0022】
特異的な態様において、v は、約5〜約25kDaである。更なるまたは代替的な特異的な態様において、wは、約1〜約50kDaである。
【0023】
ある態様において、pおよびqにより表されるモノマー残基の数または比は、互いの約30%、互いの約20%、互いの約10%以内などである。特異的な態様において、pは実質的にqと同じである。ある態様において、少なくとも部分的に荷電されたは、一般的に、僅かな量よりも多くの荷電された種を含み、例えば、少なくとも20%の残基が荷電された、少なくとも30%の残基が荷電された、少なくとも40%の残基が荷電された、少なくとも50%の残基が荷電された、少なくとも60%の残基が荷電された、少なくとも70%の残基が荷電されたなどを含む。
【0024】
ある態様において、mは0であり、Q1は、生理学的pHで親水性であり実質的に中性(非荷電)である残基である。即ち、生理学的pHで、Q1における何れかの荷電可能な種は、主に中性形態である。幾つかの態様において、実質的に、非荷電は、例えば、5%未満が荷電された、3%未満が荷電された、1%未満が荷電されたなどを含む。ある態様において、mは0であり、Q1は、生理学的pHで親水性であり少なくとも部分的にカチオン性である残基である。ある態様において、mは0であり、Q1は、生理学的pHで親水性であり、少なくとも部分的にアニオン性である残基である。ある態様において、mは>0であり、nは>0であり、Q0またはQ1の1つは、生理学的pHで親水性および少なくとも部分的にカチオン性である残基であり、およびQ0またはQ1の他方は、生理学的pHで親水性および実質的に中性である残基である。ある態様において、mは>0であり、nは>0であり、Q0またはQ1の1つは、生理学的pHで親水性且つ少なくとも部分的にアニオン性である残基であり、Q0またはQ1の他方は、生理学的pHで親水性であり、実質的に中性である残基である。ある態様において、mは>0であり、nは>0であり、Q1は生理学的pHで親水性且つ少なくとも部分的にカチオン性である残基であり、Q0は結合可能または機能化可能な残基である残基である。ある態様において、mは>0であり、nは>0であり、Q1は、生理学的pHで親水性且つ実質的に中性である残基であり、Q0は結合可能または機能化可能な残基である残基である。
【0025】
ある態様において、ここにおいて、少なくとも2つのブロック、化学式Iaを有する第1のブロック、化学式Ibを有する第2のブロック、を含むコポリマーであって、ここで、そこにおいて記載される各用語は上記の通りであるコポリマー;
【化2】

【0026】
が提供される。
【0027】
ある態様において、式IIの化合物:
【化3】

【0028】
がここで提供される。
【0029】
幾つかの態様において、
A0、A1、A2、A3およびA4は、-C-C-、-C(O)(C)aC(O)O-、-O(C)aC(O)-および-O(C)bO-からなる群より選択される;ここにおいて、
aは、1 - 4である;
bは、2 - 4である;
Y0およびY4は、独立して、水素、(1C-10C)アルキル、(3C-6C)シクロアルキル、O-(1C-10C)アルキル、-C(O)O(1C-10C)アルキル、C(O)NR6(1C-10C)およびアリールからなる群より選択され、これらの何れかは1または1以上のフッ素基で任意に置換される;
Y1およびY2は、独立して、共有結合、(1C-10C)アルキル-、-C(O)O(2C-10C)アルキル-、-OC(O)(1C-10C)アルキル-、-O(2C-10C)アルキル-および-S(2C-10C)アルキル-、-C(O)NR6(2C-10C)アルキルからなる群より選択される;
Y3は、共有結合、(1C-10C)アルキルおよび(6C-10C)アリールからなる群より選択される;ここにおいて、
R1-R51で完全には置換されていないA1-A4の四価の炭素原子およびY0-Y4は、適切な数の水素原子を完備する;
各R1、R2、R3、R4、R5およびR6は、独立して、水素、-CN、アルキル、アルキニル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールおよびヘテロアリールからなる群より選択され、これらの何れかは1または1以上のフッ素原子で任意に置換されてよい;
Q1およびQ2は、生理学的pHで正に荷電されている残基であり、これらに限定するものではないが、アミノ、アルキルアミノ、アンモニウム、アルキルアンモニウム、グアニジン、イミダゾイルおよびピリジルを含む;
Q3は、生理学的pHで負に荷電されている残基であるが、低いpHではプロトン化を受ける残基であり、これらに限定するものではないが、カルボキシル、スルホンアミド、ボロネート、ホスホネートおよびホスフェートを含む;
mは、0〜約0.49である;
nは、約0.51〜約1.0である;ここにおいて、
m + n = 1である;
pは、約0.2〜約0.5である;
qは、約0.2〜約0.5である;ここにおいて、
pは実質的にqと同じである;
rは、0〜約0.6である;ここにおいて、
p + q + r = 1である;
vは、約5〜約25kDaである;並びに、
wは、約5〜約50kDaである。
【0030】
幾つかの態様において、ここにおいて、(生理学的pHで)化学式IIIを有するジブロックコポリマー;
【化4】

【0031】
が提供される。
【0032】
幾つかの態様において:
A0、A1、A2、A3およびA4は、-C-C-、-C(O)(C)aC(O)O-、-O(C)aC(O)-および-O(C)bO-からなる群より選択される;ここにおいて、
a は、1 - 4である;
bは、2 - 4である;
R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10およびR11は、独立して、水素、(1C-5C)アルキル、(3C-6C)シクロアルキルおよびフェニルからなる群より選択され、これらの何れかは1または1以上のフッ素原子で任意に置換されてよい;
Y0およびY4は、独立して、水素、(1C-10C)アルキル、(3C-6C)シクロアルキル、O-(1C-10C)アルキル、-C(O)O(1C-10C)アルキルおよびフェニルからなる群より選択され、これらの何れかは1または1以上のフッ素基で任意に置換される;
Y1およびY2は、独立して、共有結合、(1C-10C)アルキル-、-C(O)O(2C-10C)アルキル-、-OC(O)(1C-10C)アルキル-、-O(2C-10C)アルキル-および-S(2C-10C)アルキル-からなる群より選択される;
Y3は、共有結合、(1C-5C)アルキルおよびフェニルからなる群より選択される;ここにおいて、
R7-R11で完全には置換されていないA1-A4の四価の炭素原子およびY0-Y4は、適切な数の水素原子を完備する;
Zは、生理学的に許容される対イオンである、
mは、0〜約0.49である;
nは、約0.51〜約1.0である;ここにおいて、
m + n = 1である;
pは、約0.2〜約0.5である;
qは、約0.2〜約0.5である;ここにおいて、
pは、実質的にqと同じである;
rは、0〜約0.6である;ここにおいて、
p + q + r = 1である;
vは、約5〜約25kDaである;並びに、
wは、約5〜約50kDaである。
【0033】
本発明の側面において、
A1は、-C-C-であり;
Y1は、-C(O)OCH2CH2-であり;
R6は、水素であり;
R7およびR8は、各々-CH3であり;並びに、
R2は、-CH3である。
【0034】
本発明の側面において、
A2は、-C-C-であり;
Y2は、-C(O)OCH2CH2-であり;
R9は、水素であり;
R10およびR11は、各々-CH3であり;並びに、
R3は、-CH3である。
【0035】
本発明の側面において、
A3は、-C-C-であり;
R3は、CH3CH2CH2-であり;
Y3は、共有結合であり;並びに、
Zは、生理学的に許容されるアニオン(例えば、ポリカチオン or 複数のカチオン)である。
【0036】
ある態様において;
A4は、-C-C-であり;
R5は、水素および-CH3からなる群より選択され;並びに、
Y4は、-C(O)O(CH2)3CH3である。
【0037】
ある態様において:
A0は、C-C-であり;
R1は、水素および(1C-3C)アルキルからなる群より選択され;並びに、
Y0は、-C(O)O(1C-3C)アルキルからなる群より選択される。
【0038】
幾つかの態様において、mは0である。ある態様において、rは0である。幾つかの態様において、mおよびrは共に0である。
【0039】
ある態様において、細胞にポリヌクレオチドを送達する方法であって、細胞とポリマー:そのポリヌクレオチド複合体とを接触させることを含む方法が提供される。特異的な態様において、ポリマー:ポリヌクレオチド複合体は、非限定的な例である、イオン性および非イオン性相互作用、例えば、1または1以上の共有結合、その組み合わせなどによる様式を含む何れかの適切な様式において、結合される。特異的な態様において、ここにおいて、細胞にポリヌクレオチドを送達する方法であって、細胞とポリマーおよびポリヌクレオチドの共有結合体とを接触させることを含む方法が提供される。
【0040】
本発明の側面において、ポリヌクレオチドは、DNA、RNA、並びにその天然および合成類似体からなる群より選択される。
【0041】
本発明の側面において、DNA、RNAまたはその天然もしくは合成類似体はアンチセンスである。本発明の側面において、ポリヌクレオチドはRNAである。本発明の側面において、RNAはsiRNAである。本発明の側面において、siRNAは、インビボで細胞に対して送達される。本発明の側面において、本発明のポリマーは、標的部分に対して結合または複合される。本発明の側面において、標的分子は、共有結合的にコポリマー(例えば、ジブロックコポリマーなど)のα末端に対して結合される。本発明の側面において、標的分子は、共有結合的にコポリマーのω末端に結合されるか、またはコポリマー(例えば、ジブロックコポリマー)のペンダント基に対して共有結合的に結合される。本発明の側面において、標的部分は、これらに限定するものではないが、抗体、抗体フラグメント、抗体様分子、ペプチド、環状ペプチドおよび小分子からなる群より選択される。
【0042】
[参照による組み込み]
本明細書において言及される全ての出版物および特許出願は、そのような個々の出版物または特許出願が引用することにより組み込まれることを示しているかの如く、同じ範囲にまで言及する目的のために引用することによりここに組み込まれる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
本発明の新規な特徴は、特に添付の特許請求の範囲において明らかになる。本発明の特徴および利点のより良好な理解が、本発明の原理を利用する実例となる態様を明らかにする以下の詳細な説明および次のような添付の図面を参照することにより得られるであろう。
【図1A】図1は、ここにおいて記載される種々のポリマーの概要を示す図である。
【図1B】図1は、ここにおいて記載される種々のポリマーの概要を示す図である。
【図2】図2は、[PEGMAw]-[B-P-D]の合成を示す図である。
【図3A】図3は、P7-PEGMA100-40 kDaの特徴決定を示す図である。
【図3B】図3は、P7-PEGMA100-40 kDaの特徴決定を示す図である。
【図3C】図3は、P7-PEGMA100-40 kDaの特徴決定を示す図である。
【図4】図4は、PEGMA-DMAEMAコポリマーの組成および性質を記載する図である。
【図5】図5は、[PEGMAw-MAA(NHS)]-[B-P-D]の合成を示す図である。
【図6A】図6は、PEGMAおよびMAA-NHSのRAFTコポリマー化を示す図である。
【図6B】図6は、PEGMAおよびMAA-NHSのRAFTコポリマー化を示す図である。
【図6C】図6は、PEGMAおよびMAA-NHSのRAFTコポリマー化を示す図である。
【図7A】図7は、DMAEMAおよびMAA-NHSのRAFTコポリマー化を示す図である。
【図7B】図7は、DMAEMAおよびMAA-NHSのRAFTコポリマー化を示す図である。
【図7C】図7は、DMAEMAおよびMAA-NHSのRAFTコポリマー化を示す図である。
【図8】図8は、PDSMAの合成を示す図である。
【図9】図9は、siRNA結合体のためのHPMA-PDSMAコポリマーの合成を示す図である。
【図10A】図10は、(A)ポリマーおよび(B)ポリマー/siRNA構築物の溶血を示す図である。
【図10B】図10は、(A)ポリマーおよび(B)ポリマー/siRNA構築物の溶血を示す図である。
【図11】図11は、FAM標識siRNAおよびポリマー/siRNA複合体のHeLa細胞内部移行を示す図である。
【図12A】図12は、siRNAポリマー担体の機能としての非特異的HeLa細胞毒性(A)およびGAPDHノックダウン(B)を示す図である。
【図12B】図12は、siRNAポリマー担体の機能としての非特異的HeLa細胞毒性(A)およびGAPDHノックダウン(B)を示す図である。
【図13A】図13は、HeLaにおけるGAPDHノックダウンを示す図である。
【図13B】図13は、HeLaにおけるGAPDHノックダウンを示す図である。
【図14】図14は、ポリ[HPMA]-b-[(PAA)(BMA)(DMAEMA)]のためのポリマー設計を示す図である。
【図15】図15は、ピリジルジスルフィド-CTAの合成を示す図である。
【図16】図16は、ピリジルジスルフィドポリマー末端基とペプチドシステインとの反応を示す図である。
【図17A】図17は、ペプチド-ポリマー結合体についてのSDS PAGEゲルを示す図である。
【図17B】図17は、ペプチド-ポリマー結合体についてのSDS PAGEゲルを示す図である。
【図18】図18は、脂質二重膜のpH依存性の破壊のトリガーとなるポリマーの能力を決定するために使用される膜破壊アッセイを示す図である。
【図19A】図19は、ポリマー結合に続くペプチド細胞内位置を示す図である。
【図19B】図19は、ポリマー結合に続くペプチド細胞内位置を示す図である。
【図20A】図20は、pH応答性ブロックを欠く結合体が、両方のコントロール群と同様であり、有意な毒性を導かなかったことを示す図である。
【図20B】図20は、pH応答性ブロックを欠く結合体が、両方のコントロール群と同様であり、有意な毒性を導かなかったことを示す図である。
【図21A】図21は、ペプチド結合体の生物活性を示す図である。
【図21B】図21は、ペプチド結合体の生物活性を示す図である。
【0044】
[発明の詳細な説明]
本発明の好ましい態様はここに示され、且つ記載されていると同時に、そのような態様が例示のために提供されることは当業者には明白であるだろう。多数の変形、変更および置換が、本発明から逸脱することなく当業者により直ぐに見出されるであろう。ここに記載された本発明の態様の種々の代用物が、本発明の実施において使用されてよいことが理解されるべきである。以下の特許請求の範囲が本発明の範囲を明確にすること、並びにこれらの請求項の範囲内の方法および構造およびそれらの同等物がそれにより保護されることを意図する。
【0045】
<ポリマー>
ある態様において提供される通り、本発明は、担体ポリマーおよびポリマー:ポリヌクレオチド構築物を提供する。ある場合において、これらのポリマーおよびポリマー:ポリヌクレオチド構築物は、治療学的なポリヌクレオチドを細胞内に送達するための安全な且つ確固とした系のための要求を満たす。
【0046】
ある態様において、ここにおいて、細胞膜不安定化(例えば、エンドソーム溶解性またはエンドソーム細胞膜不安定化)コポリマーであって、
(a)第1のブロック、当該第1のブロックは親水性ブロックである;および
(b)第2のブロック、当該第2のブロックは膜不安定化疎水性ブロックであり、以下を含む:
(i)略生理学的pHでアニオン性である第1の荷電可能な種、
(ii)略生理学的pHでカチオン性である第2の荷電可能な種;
を含む細胞膜不安定化(例えば、エンドソーム溶解性またはエンドソーム細胞膜不安定化)コポリマーが提供される。
【0047】
ある態様において、ここにおいて、細胞膜不安定化(例えば、エンドソーム溶解性またはエンドソーム細胞膜不安定化)コポリマーであって、
(a)第1のブロック、当該第1のブロックは、生理学的pHでカチオン性である第1の荷電可能な種を含む親水性ブロックである;
(b)第2のブロック、当該第2のブロックは、以下を含む膜不安定化疎水性ブロックである:
(i)略中性のpHでアニオン性である第2の荷電可能な種;および
(ii)略生理学的pHでカチオン性である第3の荷電可能な種;並びに
(c)第1のブロックと結合したオリゴヌクレオチド;
を含む細胞膜不安定化(例えば、エンドソーム溶解性またはエンドソーム細胞膜不安定化)コポリマーが提供される。
【0048】
ここにおいて記載されたポリマーの特異的な態様において、各荷電可能な種は、異なる構成ユニットにおいて存在する。ある態様において、第1の構成ユニットは、第1の荷電可能な種を含む。更なるまたは代替的な態様において、第2の構成ユニットは、第2の荷電可能な種を含む。更なるまたは代替的な態様において、第3の構成ユニットは、第3の荷電可能な種を含む。
【0049】
本発明の幾つかの構成ユニットは、生理学的pHでカチオン性またはアニオン性であると言える。従って、ある場合には、正常な生理学的pHで、当該種は、それがプロトン化されていることに(カチオン性、正に荷電されている)、または脱プロトン化されていることに(アニオン性、負に荷電されている)帰着するpKaを有する。現在、生理学的pHで好ましいカチオン性種は、窒素種、例えば、アンモニウム、-NRR'R"、グアニジニウム(-NRC(=NR'H)+NR"R"'、当業者に公知の限界構造を無視する)、ここにおいて、R基は、独立して、水素、アルキル、シクロアルキルまたはアリールであり、または同じまたは隣接する窒素原子に対して結合された2つのR基は、また互いの結合して、ヘテロ環式種、例えば、ピロール、イミダゾール、インドールなどを形成してもよい。正常な生理学的pHでカチオン性としてここにおいて、記載されたモノマー残基または構成ユニットは、カチオンに荷電されたまたは荷電可能な種を含み、脱プロトン化可能なカチオン性種を含む。
【0050】
ここにおいて記載される種々の態様において、ここで記載された生理学的pHでカチオン性または正に荷電されている構成ユニット(例えば、ある親水性構成ユニットを含む)は、1または1以上のアミノ基、アルキルアミノ基、グアニジン基、イミダゾイル基、ピリジル基など、またはそのプロトン化された、アルキル化された、または他の方法で荷電された形態を含む。幾つかの態様において、ここにおいて利用される正常な生理学的pHでカチオン性である構成ユニットは、非限定的な例として、ジアルキルアミノアルキルメタクリレート(例えば、DMAEMA)のモノマー残基を含む。ここで記載された種々の態様において、ここで記載された生理学的pHでアニオン性または負に荷電されている構成ユニット(例えば、ある親水性構成ユニットを含む)は、1または1以上の酸性基またはその共役塩基を含み、限定的な例ではないが、カルボキシレート、スルホンアミド、ボロネート、ホスホネート、ホスフェートなどを含む。幾つかの態様において、ここで利用される正常な生理学的pHでアニオン性または負に荷電されている構成ユニットは、非限定的な例として、アクリル酸、アルキルアクリル酸(例えば、メチルアクリル酸、エチルアクリル酸、プロピルアクリル酸など)などのモノマー残基を含む。ここで記載される種々の態様において、生理学的pHで中性である親水性構成ユニットは、1または1以上の親水性基、例えば、ヒドロキシ、ポリオキシレート化アルキル、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、チオールなどを含む。幾つかの態様において、ここで利用される正常な生理学的pHで中性である親水性構成ユニットは、限定的な例ではないが、PEG化されたアクリル酸、PEG化されたメタクリル酸、ヒドロキシアルキルアクリル酸、ヒドロキシアルキルアルクアクリル酸(例えば、HPMA)などのモノマー残基を含む。ここで記載される種々の態様において、生理学的pHで両性イオン性の親水性 構成ユニットは、生理学的pHでアニオン性または負に荷電されている基と、生理学的pHでカチオン性または正に荷電されている基とを含む。幾つかの態様において、ここで利用される正常な生理学的pHで両性イオン性である親水性構成ユニット葉、非限定的な例として、生理学的pHでホスフェート基とアンモニウム基とを含むモノマー残基、例えば、US 7,300,990において明らかにされたものなどを含み、これによって前記開示物についてここに組み込む。
【0051】
ある態様において、ここにおいて提供されるポリマーは、更に、結合可能または機能化可能な側鎖(例えば、モノマー残基のペンダント基)を含む1または1以上の構成ユニットを含む。幾つかの例において、結合可能または機能化可能な側鎖は、化学技術において公知の技術、例えば、「クリック(click)」化学(例えば、「クリック」反応、Wu, P.; Fokin, V. V. Catalytic Azide-Alkyne Cycloaddition: Reactivity and Applications. Aldrichim. Acta, 2007, 40, 7-17を参照)などにより、更なる機能性のポストポリマー化導入のために使用できる1または1以上の反応性基を有する基である。ある態様において、ここにおいて提供される結合可能または機能化可能な側鎖は、1または1以上の何れかの適切な活性基、例えば、これらに限定するものではないが、 N-ヒドロスクシンイミド(NHS)エステル、HOBt(1-ヒドロキシベンゾトリアゾール)エステル、p-ニトロフェニルエステル、テトラフルオロフェニルエステル、ペンタフルオロフェニルエステル、ピリジルジスルフィド基などを含む。
【0052】
幾つかの態様において、正常な生理学的pHでアニオン性である構成ユニットは、カルボン酸、例えば、限定するものではないが、2-プロピルアクリル酸のモノマー残基(即ち、それから誘導される構成ユニット、2-プロピルプロピオン酸, -CH2C((CH2)2CH3)(COOH)-(PAA))を含むが、保護種、例えば、エステルなど、または遊離酸の何れとしてでも、選択されたポリマー化工程において存在できる何れかの有機酸または無機酸もまた本発明の考慮の内にある。ここにおいて記載されるアニオン性モノマー残基または構成ユニットは、アニオンに荷電された、または荷電可能な種を含み、プロトン化可能なアニオン性種を含む。ある場合において、アニオン性モノマー残基は、中性のpH7.0でアニオン性であってよい。
【0053】
モノマー、例えば、無水マレイン酸(Scott M. Henry, Mohamed E. H. El-Sayed, ChristopHer M. Pirie, Allan S. Hoffman, and Patrick S. Stayton "pH Responsive Poly(styrene-alt-maleic anhydride) Alkylamide Copolymers for Intracellular Drug Delivery" Biomacromolecules 7:2407-2414, 2006)などもまた、第2のブロックに負に荷電されているユニット(例えば、第3の構成ユニット)を導入するために使用されてもよい。そのような態様において、負に荷電されている構成ユニットは、無水マレイン酸モノマーの残基である。
【0054】
本発明の態様は、以下の式Iの一般構造を有するポリマー:
【化5】

【0055】
である。
【0056】
幾つかの態様において:
A0、A1、A2、A3およびA4は、-C-、-C-C-、-C(O)(C)aC(O)O-、-O(C)aC(O)-および-O(C)bO-からなる群より選択される;ここにおいて、
aは、1 - 4である;
bは、2 - 4である;
Y4は、水素、(1C-10C)アルキル、(3C-6C)シクロアルキル、O-(1C-10C)アルキル、-C(O)O(1C-10C)アルキル、C(O)NR6(1C-10C)、(4C-10C)ヘテロアリールおよび(6C-10C)アリールからなる群より選択され、これらの何れかは1または1以上のフッ素基で任意に置換される;
Y0、Y1およびY2は、独立して、共有結合、(1C-10C)アルキル-、-C(O)O(2C-10C)アルキル-、-OC(O)(1C-10C)アルキル-、-O(2C-10C)アルキル-および-S(2C-10C)アルキル-、-C(O)NR6(2C-10C)アルキル-、-(4C-10C)ヘテロアリール-および-(6C-10C)アリール-からなる群より選択される;
Y3は、共有結合、-(1C-10C)アルキル-、-(4C-10C)ヘテロアリール-および-(6C-10C)アリール-からなる群より選択される;ここにおいて、
R1-R5で完全には置換されていないA1-A4の四価の炭素原子およびY0-Y4は、適切な数の水素原子を完備する;
R1、R2、R3、R4、R5およびR6は、独立して、水素、-CN、アルキル、アルキニル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールおよびヘテロアリールからなる群より選択され、これらの何れかは1または1以上のフッ素原子で任意に置換されてよい;
Q0は、生理学的pHで親水性である残基、および生理学的pHで少なくとも部分的に正に荷電されている残基(例えば、アミノ、アルキルアミノ、アンモニウム、アルキルアンモニウム、グアニジン、イミダゾイル、ピリジルなど);生理学的pHで少なくとも部分的に負に荷電されている残基であるが、低いpHではプロトン化を受ける残基(例えば、カルボキシル、スルホンアミド、ボロネート、ホスホネート、ホスフェートなど);生理学的pHで実質的に中性である(または非荷電の)残基(例えば、ヒドロキシ、ポリオキシレート化アルキル、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、チオールなど);生理学的pHで少なくとも部分的に両性イオン性である残基(例えば、生理学的pHでホスフェート基とアンモニウム基とを含むモノマー残基);結合可能または機能化可能な残基(例えば、反応性基を含む残基、例えば、アジド、アルキン、スクシンイミドエステル、テトラフルオロフェニルエステル、ペンタフルオロフェニルエステル、p-ニトロフェニルエステル、ピリジルジスルフィドなど);または水素からなる群より選択される残基である;
Q1は、生理学的pHで親水性である残基、および生理学的pHで少なくとも部分的に正に荷電されている残基(例えば、アミノ、アルキルアミノ、アンモニウム、アルキルアンモニウム、グアニジン、イミダゾイル、ピリジルなど);生理学的pHで少なくとも部分的に負に荷電されているが、低いpHではプロトン化を受ける残基(例えば、カルボキシル、スルホンアミド、ボロネート、ホスホネート、ホスフェートなど);生理学的pHで実質的に中性である残基(例えば、ヒドロキシ、ポリオキシレート化アルキル、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、チオールなど);または生理学的pHで少なくとも部分的に両性イオン性である残基(例えば、生理学的pHでホスフェート基とアンモニウム基とを含む残基)である;
Q2は、生理学的pHで正に荷電されている残基であり、これらに限定するものではないが、アミノ、アルキルアミノ、アンモニウム、アルキルアンモニウム、グアニジン、イミダゾイルおよびピリジルを含む;
Q3は、生理学的pHで負に荷電されている残基であるが、低いpHではプロトン化を受ける残基であり、これらに限定するものではないが、カルボキシル、スルホンアミド、ボロネート、ホスホネートおよびホスフェートを含む;
mは、約0〜1.0未満(例えば、0〜約0.49)である;
nは、0よりも大きい値〜約1.0(例えば、約0.51〜約1.0)である;ここにおいて
m + n = 1である;
pは、約0.1〜約0.9(例えば、約0.2〜約0.5)である;
qは、約0.1〜約0.9(例えば、約0.2〜約0.5)である;ここにおいて、
rは、0〜約0.8(例えば、0〜約0.6)である;ここにおいて、
p + q + r = 1である;
vは、約1〜約25kDa、または約5〜約25kDaである;並びに、
wは、約1〜約50kDa、または約5〜約50kDaである。
【0057】
幾つかの態様において、pおよびqにより表されるモノマー残基の数または比は、互いの約30%、互いの約20%、互いの約10%以内などである。特異的な態様において、pは実質的にqと同じである。ある態様において、少なくとも部分的に荷電されたは、一般的に、僅かな量よりも多くの荷電された種を含み、例えば、少なくとも20%の残基が荷電された、少なくとも30%の残基が荷電された、少なくとも40%の残基が荷電された、少なくとも50%の残基が荷電された、少なくとも60%の残基が荷電された、少なくとも70%の残基が荷電されたなどを含む。
【0058】
ある態様において、mは0であり、Q1は、生理学的pHで親水性であり実質的に中性(非荷電)である残基である。幾つかの態様において、実質的に、非荷電は、例えば、5%未満が荷電された、3%未満が荷電された、1%未満が荷電されたなどを含む。ある態様において、mは0であり、Q1は、生理学的pHで親水性であり少なくとも部分的にカチオン性である残基である。ある態様において、mは0であり、Q1は、生理学的pHで親水性であり、少なくとも部分的にアニオン性である残基である。ある態様において、mは>0であり、nは>0であり、Q0またはQ1の1つは、生理学的pHで親水性および少なくとも部分的にカチオン性である残基であり、およびQ0またはQ1の他方は、生理学的pHで親水性および実質的に中性である残基である。ある態様において、mは>0であり、nは>0であり、Q0またはQ1の1つは、生理学的pHで親水性且つ少なくとも部分的にアニオン性である残基であり、Q0またはQ1の他方は、生理学的pHで親水性であり、実質的に中性である残基である。ある態様において、mは>0であり、nは>0であり、Q1は生理学的pHで親水性且つ少なくとも部分的にカチオン性である残基であり、Q0は結合可能または機能化可能な残基である残基である。ある態様において、mは>0であり、nは>0であり、Q1は、生理学的pHで親水性且つ実質的に中性である残基であり、Q0は結合可能または機能化可能な残基である残基である。
【0059】
幾つかの態様において、生理学的pHで正に荷電されている、または少なくとも部分的に正に荷電されているは、-NR'R''基であり、ここにおいて、R'およびR''は、独立して、水素、アルキル、シクロアルキルまたはヘテロアルキルから選択され、これらは任意に1または1以上のハロゲン、アミノ、ヒドロキシル基で置換されてもよく、および/または1または1以上の不飽和結合を含んでもよく;幾つかの態様において、R'およびR'は、共に置換型または非置換型のヘテロアリールまたは脂環式ヘテロ環を形成する。幾つかの態様において、生理学的pHで正に荷電されている、または少なくとも部分的に正に荷電されているとしてここで記載される基は、非限定的な例であるが、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、環状アミノ(例えば、ピペリジンまたはN-アルキル化ピペリジン)、脂環式イミノ(例えば、ジヒドロピリジニル、2,3,4,5-テトラヒドロ-ピリジニルなど)、ヘテロアリールイミノ(例えば、ピリジニル)などを含んでよい。幾つかの態様において、生理学的pHで負に荷電されている、または少なくとも部分的に負に荷電されているが、低いpHではプロトン化を受けるとしてここで記載される基は、例えば、非限定的な例であるが、カルボン酸(COOH)、スルホンアミド、ボロン酸、スルホン酸、スルフィン酸、硫酸、リン酸、ホスフィン酸、亜リン酸、炭酸およびその脱プロトン化共役塩基などを含む。
【0060】
ある態様において、式IIの化合物:
【化6】

【0061】
がここにおいて提供される。
【0062】
ある態様において:
A0、A1、A2、A3およびA4は、-C-C-、-C(O)(C)aC(O)O-、-O(C)aC(O)-および-O(C)bO-からなる群より選択される;ここにおいて、
aは、1 - 4である;
bは、2 - 4である;
Y0およびY4は、独立して、水素、(1C-10C)アルキル、(3C-6C)シクロアルキル、O-(1C-10C)アルキル、-C(O)O(1C-10C)アルキル、C(O)NR6(1C-10C)およびアリールからなる群より選択され、これらの何れかは1または1以上のフッ素基で任意に置換される;
Y1およびY2は、独立して、共有結合、(1C-10C)アルキル-、-C(O)O(2C-10C)アルキル-、-OC(O)(1C-10C)アルキル-、-O(2C-10C)アルキル-および-S(2C-10C)アルキル-、-C(O)NR6(2C-10C)アルキルからなる群より選択される;
Y3は、共有結合、(1C-10C)アルキルおよび(6C-10C)アリールからなる群より選択される;ここにおいて、
R1-R5で完全には置換されていないA1-A4の四価の炭素原子およびY0-Y4は、適切な数の水素原子を完備する;
R1、R2、R3、R4、R5およびR6は、独立して、水素、-CN、アルキル、アルキニル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールおよびヘテロアリールからなる群より選択され、これらの何れかは1または1以上のフッ素原子で任意に置換されてよい;
Q1およびQ2は、生理学的pHで正に荷電されている残基であり、これらに限定するものではないが、アミノ、アルキルアミノ、アンモニウム、アルキルアンモニウム、グアニジン、イミダゾイルおよびピリジルを含む:
Q3は、生理学的pHで負に荷電されている残基であるが、低いpHではプロトン化を受ける残基であり、これらに限定するものではないが、カルボキシル、スルホンアミド、ボロネート、ホスホネートおよびホスフェートを含む:
mは、0〜約0.49である;
nは、約0.51〜約1.0である;ここにおいて、
m + n = 1である;
pは、約0.2〜約0.5である;
qは、約0.2〜約0.5である;ここにおいて、
pは、実質的にqと同じである;
rは、0〜約0.6である;ここにおいて、
p + q + r = 1である;
vは、約1〜約25kDaであるか、または約5〜約25kDaである;および、
wは、約1〜約50kDaであるか、または約5〜約50kDaである。
【0063】
ある態様において、ブロックコポリマーは、(正常な生理学的pHまたは略中性のpHで)式IIIの化学式:
【化7】

【0064】
を有するジブロックコポリマーである。
【0065】
ある態様において、記載されるように置換されたA0、A1、A2、A3およびA4は、式IIIのポリマーの構成ユニット(「モノマーユニット」および「モノマー残基」と交換可能に使用される)を含む。
【0066】
特異的な態様において、式IIIのA基を構成するモノマーユニットは、適切な条件下で適合してポリマー化可能である。ある場合において、エチレン主鎖または構成ユニット、-(C-C-)m-ポリマーは、ここにおいて、各Cは、Hおよび/または何れか他の適切な基で二置換されており、これは、炭素-炭素二重結合、>C=C<を含むモノマーを使用してポリマー化される。ある態様において、各A基(例えば、A0、A1、A2、A3およびA4の各々)は、-C-C-(即ち、エチレンモノマーユニットまたはポリマー主鎖)、-C(O)(C)aC(O)O-(即ち、a ポリ無水物モノマーユニットまたはポリマー主鎖)、-O(C)aC(O)-(即ち、ポリエステルモノマーユニットまたはポリマー主鎖)、-O(C)bO-(即ち、ポリアルキレングリコールモノマーユニットまたはポリマー主鎖)など(ここにおいて、各C は、ここにおいて記載されるようにHおよび/または他の適切な基で二置換され、R12および/またはR13は上述の通りである)であってもよい(即ち、それらから独立して選択される)。特異的な態様において、用語「a」は、1〜4の整数であり、および「b」は、2〜4の整数である。ある場合において、式IIIの主鎖に対して結合された各「Y」および「R」基(即ち、Y0、Y1、Y2、Y3、Y4、R1、R2、R3、R4、R5の何れか1)は、特異的なモノマーユニットの(何れかの(C)aまたは(C)bを含む)何れかの「C」に対して結合される。特異的な態様において、特異的なモノマーユニットのYおよびRの両者は、同じ「C」に対して結合している。ある特異的な態様において、特異的なモノマーユニットのYおよびRの両者は、同じ「C」に対して結合しており、「C」は、もし存在するのであれば、モノマーユニットのカルボニル基に対してαである。
【0067】
特異的な態様において、R1-R11は、独立して、水素、アルキル(例えば、1C-5Cアルキル)、シクロアルキル(例えば、3C-6Cシクロアルキル)またはフェニルからなる群より選択され、ここにおいて、何れかのR1-R11は、1または1以上のフッ素、シクロアルキルまたはフェニルで任意に置換され、それは1または1以上のアルキル基で更に任意に置換されてもよい。
【0068】
ある特異的な態様において、Y0およびY4は、独立して、水素、アルキル(例えば、1C-10Cアルキル)、シクロアルキル(例えば、3C-6Cシクロアルキル)、O-アルキル(例えば、O-(2C-10C)アルキル、-C(O)O-アルキル(例えば、-C(O)O-(2C-10C)アルキル)またはフェニルからなる群より選択され、その何れかは1または1以上のフッ素で任意に置換される。
【0069】
幾つかの態様において、Y1およびY2は、独立して、共有結合、アルキル、好ましくは(1C-10C)アルキルで存在、-C(O)O-アルキル、好ましくは-C(O)O-(2C-10C)アルキルで存在、-OC(O)アルキル、好ましくは-OC(O)-(2C-10C)アルキルで存在、O-アルキル、好ましくは-O(2C-10C)アルキルで存在、および-S-アルキル、好ましくは-S-(2C-10C)アルキルで存在から選択される。ある態様において、Y3は、共有結合、アルキル、好ましくは(1C-5C)アルキルで存在、およびフェニルから選択される。
【0070】
幾つかの態様において、Z-は、存在するか、または不在である。ある態様において、ここにおいて、R1および/またはR4は水素であり、Z-はOH-である。ある態様において、Z-は、何れかの対イオン(例えば、1または1以上の対イオン)、好ましくは、生体適合性対イオン、例えば、非限定的な例であるが、クロライド、無機または有機ホスフェート、スルフェート、スルホネート、アセテート、プロピオネート、ブチレート、バレレート、カプロエート、カプリレート、カプレート、ラウレート、ミリステート、パルメート、ステアレート、パルミトレート、オレエート、リノレート、アラキデート、ガドレート、ワクシネート、ラクテート、グリコレート、サリチレート、脱アミノフェニルアラニン、脱アミノセリン、脱アミノトレオニン、ε-ヒドロキシカプロエート、3-ヒドロキシブリルレート、4-ヒドロキシブチレートまたは3-ヒドロキシバレレートなどである。幾つかの態様において、各Y、Rおよび任意のフッ素が、共有結合的に選択される主鎖の炭素に対して結合しているとき、完全に置換されていない何れの炭素も、適切な数の水素原を完備する。数m、n、p、qおよびrは、そのブロックにおける各構成ユニットのモル率を表し、およびvおよびwは、各ブロックの分子量を提供する。
【0071】
ある態様において、
A0、A1、A2、A3およびA4は、-C-、-C-C-、-C(O)(CR12R13)aC(O)O-、-O(CR12R13)aC(O)-およびO(CR12R13)bOからなる群より選択される;ここにおいて、
aは1 - 4である;
bは2 - 4である;
R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12およびR13は、独立して、水素、(1C-5C)アルキル、(3C-6C)シクロアルキル、(5C-10C)アリール、(4C-10C)ヘテロアリールからなる群より選択され、これらの何れかは1または1以上のフッ素原子で任意に置換されてよい;
Y0およびY4は、独立して、水素、(1C-10C)アルキル、(3C-6C)シクロアルキル、O-(1C-10C)アルキル、-C(O)O(1C-10C)アルキルおよびフェニルからなる群より選択され、これらの何れかは1または1以上のフッ素基で任意に置換される;
Y1およびY2は、独立して、共有結合、(1C-10C)アルキル-、-C(O)O(2C-10C)アルキル-、-OC(O)(1C-10C)アルキル-、-O(2C-10C)アルキル-および-S(2C-10C)アルキル-からなる群より選択される;
Y3は、共有結合、(1C-5C)アルキルおよびフェニルからなる群より選択される;ここにおいて、R1-R5で完全には置換されていないA1-A4の四価の炭素原子およびY0-Y4は、適切な数の水素原子を完備する;
Zは、1または1以上の生理学的に許容される対イオンである、
mは、0〜約0.49である;
nは、約0.51〜約1.0である;ここにおいて、
m + n = 1である;
pは、約0.2〜約0.5である;
qは、約0.2〜約0.5である;ここにおいて、
pは、 実質的にqと同じである;
rは、0〜約0.6である;ここにおいて、
p + q + r = 1である;
vは、約1〜約25kDaであるか、または約5〜約25kDaである;および、
wは、約1〜約50kDaであるか、または約5〜約50kDaである。
【0072】
特異的な態様において、
A0、A1、A2、A3およびA4は、独立して、-C-C-、-C(O)(C)aC(O)O-、-O(C)aC(O)-および-O(C)bO-からなる群より選択される;ここにおいて、
aは、1 - 4である;
bは2 - 4である;
R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10およびR11は、独立して、水素、(1C-5C)アルキル、(3C-6C)シクロアルキルおよびフェニルからなる群より選択され、これらの何れかは1または1以上のフッ素原子で任意に置換されてよい;
Y0およびY4は、独立して、水素、(1C-10C)アルキル、(3C-6C)シクロアルキル、O-(1C-10C)アルキル、-C(O)O(1C-10C)アルキルおよびフェニルからなる群より選択され、これらの何れかは1または1以上のフッ素基で任意に置換される;
Y1およびY2は、独立して、共有結合、(1C-10C)アルキル-、-C(O)O(2C-10C)アルキル-、-OC(O)(1C-10C)アルキル-、-O(2C-10C)アルキル-および-S(2C-10C)アルキル-からなる群より選択される;
Y3は、共有結合、(1C-5C)アルキルおよびフェニルからなる群より選択される;
ここにおいて、R1-R5で完全には置換されていないA1-A4の四価の炭素原子およびY0-Y4は、適切な数の水素原子を完備する;
Zは、生理学的に許容される対イオンである;
mは、0〜約0.49である;
nは、約0.51〜約1.0である;
ここにおいて、m + n = 1である;
pは、約0.2〜約0.5である;
qは、約0.2〜約0.5である;ここにおいて、
pは、実質的にqと同じである;
rは、0〜約0.6である;ここにおいて、
p + q + r = 1である;
vは、約5〜約25kDaである;並びに、
wは、約5〜約25kDaである。
【0073】
幾つかの態様において、
A1は、-C-C-である;
Y1は、-C(O)OCH2CH2-である;
R6は、水素である;
R7およびR8は、各々-CH3である;並びに、
R2は、-CH3である。
【0074】
ある態様において、
A2は、-C-C-である;
Y2は、-C(O)OCH2CH2-である;
R9は、水素である;
R10およびR11は、各々-CH3である;並びに、
R3は、-CH3である。
【0075】
幾つかの態様において、
A3は、-C-C-である;
R4は、CH3CH2CH2-である;
Y3は、共有結合である;
並びに、Z-は、生理学的に許容されるアニオンである。
【0076】
幾つかの態様において、
A4は、-C-C-である;
R5は、水素および-CH3からなる群より選択される;並びに、
Y4は、-C(O)O(CH2)3CH3である。
【0077】
幾つかの態様において、
A0は、C-C-である;
R1は、水素および(1C-3C)アルキルからなる群より選択される;並びに、
Y0は、-C(O)O(1C-3C)アルキルである。
【0078】
幾つかの態様において、mは0である。
【0079】
幾つかの態様において、rは0である。
【0080】
幾つかの態様において、mおよびrは、共に0である。
【0081】
幾つかの態様において提供されるとき、非限定的な本発明のポリマーの例は:
【化8】

【0082】
である。
【0083】
ある場合において、化合物1の構成ユニットは、左のカギ括弧および右のカギ括弧に示され、それらはモノマー;
【化9】

【0084】
に由来する。
【0085】
文字p、qおよびrは、そのブロック内の各構成ユニットのモル率を表す。文字vおよびwは、ジブロックポリマー内の各ブロックの分子量(平均数)を表す。
【0086】
幾つかの態様において提供されるとき、ここで提供される化合物は、構造;
【化10】

【0087】
を有する化合物である。
【0088】
上において記載される通り、文字p、qおよびrは、そのブロックに含まれる各構成ユニットのモル率を表す。文字vおよびwは、ジブロックコポリマーにおける各ブロックの分子量(平均数)を表す。
【0089】
幾つかの態様において、ここで以下のポリマー:provided herein the following ポリマーs:
[DMAEMA]v-[Bp-/-Pq-/-Dr]w IV3
[PEGMA]v-[Bp-/-Pq-/-Dr]w IV4
[PEGMAm-/-DMAEMAn]v-[Bp-/-Pq-/-Dr]w IV5
[PEGMAm-/-MAA(NHS)n]v-[Bp-/-Pq-/-Dr]w IV6
[DMAEMAm-/-MAA(NHS)n]v-[Bp-/-Pq-/-Dr]w IV7
[HPMAm-/-PDSMn]v-[Bp-/-Pq-/-Dr]w IV8
[PEGMAm-/-PDSMn]v-[Bp-/-Pq-/-Dr]w IV9
が提供される。
【0090】
幾つかの態様において、Bは、メタクリル酸ブチル 残基である; Pは、プロピルアクリル酸残基である;DおよびDMAEMAは、ジメチルアミノエチルメタクリレート残基である; PEGMAは、ポリエチレングリコールメタクリレート残基(例えば、1-20エチレンオキシドユニットを有し、例えば、化合物IV-2に示され、または4-5エチレンオキシドユニット、または7-8エチレンオキシドユニット)である;MAA(NHS)はメチルアクリル酸-N-ヒドロキシスクシンイミド残基である;HPMAは、N-(2-ヒドロキシプロピル)メタクリルアミド残基である;およびPDSMはピリジルジスルフィドメタクリレート残基である。ある態様において、用語m、n、p、q、r、wおよびvは、ここにおいて記載される通りである。特異的な態様において、wはvの約0.1倍〜約5倍であり、またはvの約1倍〜約5倍である。
【0091】
ポリマーIV1-IV9は、ポリマーの第1のブロックを構成する構成ユニットを含むここで提供されるポリマーの例である。更に、ポリマーを図および表において明らかにし、並びに、構造的に関連するポリマー(例えば、MWおよび/またはモノマー残基比など)がここにおいて特に提供される。幾つかの態様において、第1のブロックの構成ユニットは、ポリマーをつくり出すために構成変更または化学的に処理され、ここにおいて、第1のブロックは中性(例えば、PEGMA)、カチオン性(例えば、DMAEMA)、アニオン性(例えば、PEGMA-NHS、ここでNHSは酸に加水分解される、またはアクリル酸)、両性電解性(例えば、DMAEMA-NHS、ここでNHSは酸に加水分解される)、または双性イオン(例えば、ポリ[2-メタクリロイルロキシ-2'トリメチルアンモニウムエチルホスフェート])である構成ユニットである、または構成ユニット含む。幾つかの態様において、第1のブロックにピリジルジスルフィド官能性を含むポリマー、例えば、[PEGMA−PDSM]-[B-P-D]であってよいポリマーは、チオール化されたsiRNAと任意に反応してポリマー-siRNA結合体を形成する。
【0092】
幾つかの態様において、本発明のポリマーは、「ジブロックコポリマー」である。用語「コポリマー」は、ポリマーが2または2以上の異なるモノマーのポリマー化の結果であることを表す。幾つかの例において、「ブロック」コポリマーは、構成ユニットの別個のサブコンポーネントが互いに会合している構造を示す。ある場合において、「block」は、特定の特徴(勾配コポリマーの例えば、親水性セグメントまたは疎水性セグメント)を有するポリマーのセグメントまたは部分をいう。幾つかの例において、ジブロックコポリマーは、丁度2つのブロックを含む;そのようなポリマーの一般的な図式は次のように見え:[AaBbCc ...]m - [XxYyZz...]n、ここにおいて、各文字は構成ユニットのために位置し、構成ユニットに対する各添字は、特定のブロックにおけるそのユニットのモル率を表し、3つの点は、各ブロックにおいて構成ユニットがそれよりも多くあってもよいこと(しかしながら、勿論、少なくてもよいのであるが)を示し、mおよびnは、ジブロックコポリマーの各ブロックの分子量を示す。この図式により示されるように、各構成ユニットの数および性質が、各ブロックについて別々に制御される。当該図式は、各ブロックにおける構成ユニットの数値間または異なる種類の構成ユニットの数値間の何れの関係を意味するものでも、暗示すると解釈されるべきものでも全くないことが、理解される。また、この図式は、特定のブロック内で構成ユニットの何れかの特定の配列を記載することを意味するものでもない。即ち、各ブロックにおいて、構成ユニットは、純粋に無作為に、交互無作為に、規則的に交互に、規則的なブロックまたは無作為なブロック配置で、明確に他の状態になる位置にならない限りで配置されてよい。純粋な無作為の配置は、例えば:x-x-y-z-x-y-y-z-y-z-z-z...またはy-z-x-y-z-y-z-x-x...であるだろう。交互無作為な配置は:x-y-x-z-y-x-y-z-y-x-z...であるだろうし、規則的に交互な配置は:x-y-z-x-y-z-x-y-z...であるだろう。規則的なブロック配置は、以下の一般的な配置:...x-x-x-y-y-y-z-z-z-x-x-x...:を有し、一方、無作為なブロック配置は一般的な配置:...x-x-x-z-z-x-x-y-y-y-y-z-z-z-x-x-z-z-z-...を有する。前述の一般的な例の何れにおいても、個々の構成ユニットまたはブロックの特定の並列ではなく、またはブロックにおける構成ユニットの数またはブロックの数は、本発明のジブロックコポリマーの実際の構造を何れかの様式で有する、または制限すると解釈されることを意味するものでも、解釈されるべきものでもない。
【0093】
更に、構成ユニットを含む括弧は、構成ユニットそれ自身がブロックを構成することを意味するものではなく、またそれを意味すると解釈されるべきものでもないことも理解される。即ち、カギ括弧内の構成ユニットは、何れかの様式で、即ち、純粋な無作為、交互無作為、規則的な交互、規則的なブロックまたは無作為のブロック配置でブロック内の他の構成ユニットと結合されてもよい。従って、ジブロックコポリマー1において、p、qおよびrは、ブロックにおけるその構成ユニットのモル率を表し、括弧内の構成ユニットがブロック内にブロックを含むことを示すまたは示唆することを意図するものでも、解釈されるべきものでない。
【0094】
従って、電荷中性の構成ユニットが本発明のジブロックコポリマーの第1のブロックの第1の構成ユニット中に「無作為に分散した」状態でここに配置される場合、それは、第1のブロックが、純粋に無作為の配置について上述したのと一般的に類似する構造を有するであろうことを意味する。
【0095】
幾つかの態様において、ここで記載される何れかのブロックコポリマーの水性の溶液または媒体における溶解性は、略中性のpHで、1mg/mLよりも大きく、5mg/mLよりも大きく、10mg/mLよりも大きく、25mg/mLよりも大きく、50mg/mLよりも大きく、100mg/mLよりも大きく、並びに500mg/mLよりも大きい。幾つかの態様において、特に、親水性(例えば、カチオン性親水性)の第1のブロックを有するジブロックポリマーのために、疎水性ブロック(アニオン性、カチオン性および疎水性)に存在する3つの種が無作為のコポリマーブロックとして存在する、またはほかの状態で分散した配列において、ブロックがその長さに亘り大凡正味中性の電荷であるように存在する。幾つかの例において、この配向は、ブロックコポリマーの溶解性を増大する。
【0096】
ある態様において、表1で示すジブロックコポリマーがここにおいて提供される;ある場合において、そのようなポリマーは、ポリヌクレオチド複合剤および担体として使用される。ここにおいて表1および他の方法により記載されるジブロックコポリマーの特徴は、ここにおける開示に基づき、当業者がそのようなコポリマーを製造することが可能であり、そのために本発明の範囲に含まれるように、ここにおける他のジブロックコポリマーに言い換えることができると理解される。
【0097】
例示的なジブロックコポリマーの第1のブロックは、ジメチルアミノエチルメタクリレート(DMAEMA)のモノマー残基で構成され、これは、生理学的なpHで核酸に効率的に結合し、縮合させる。ここにおいて記載される例示的なポリマーの第2のブロックは、DMAEMAのモノマー残基をカチオン性構成ユニットととして;プロピルアクリル酸(PAA)のモノマー残基をアニオン性構成ユニットとして含み、疎水性プロピル置換基のために、疎水性増大部分のための貢献物;およびブチルメチルアクリレート(BMA)のモノマー残基を別々の構成ユニットとして、疎水性増大部分を構成または含む。ある場合において、第2のブロックは、pH誘導性の高次構造的な変化を介して結合された核酸のエンドソームの逸脱を可能にし、幾つかの例においては、膜不安定化を引き起こす。幾つかの例において、生理学的な条件下で、第2のまたは疎水性コアブロックは、正の残基(例えば、プロトン化されたDMAEMA)と負の残基(例えば、脱プロトン化されたPAA)の両方を同じ量で有し、イオン対の形成によりコアの大凡の中性の電荷と電荷安定化を引き起こす。ある場合において、ここにおいて記載されるポリマー-核酸組成物の細胞のエンドソームコンパートメントへの取り込みにおいて、エンドソーム環境の低いpHが、第3の構成ユニットのアニオン性残基(例えば、PAAカルボキシレート基)をプロトン化し、それにより膜破壊を引き起こす。幾つかの例において、幾つかまたは全てのアニオン性残基のプロトン化または中性化が、PAA酸性基の電荷中性化を引き起こし、ある場合においては、ポリマーにおける高次構造的な電荷を疎水性膜不安定化形態にする。
【表1】

【0098】
a Viscotek GPCmax VE2001および屈折計VE3580 (Viscotek, Houston, TX)に連続して会合されたSEC Tosoh TSK-GEL R-3000およびR-4000カラム(Tosoh Bioscience, Mongomeryville, PA)により測定した結果。0.1重量%のLiBを含むHPLC-グレードDMFを移動相として使用した。構成されたコポリマーの分子量を、一連のポリ(メチルメタクリレート)標準を使用して決定した。
【0099】
b 1H NMR分光法(CDCL3において3重量%;Bruker DRX 499)により測定した結果。
【0100】
ここにおいて使用されるポリ(DMAEMA)および他のポリマー性実体(例えば、コポリマーまたはBMA、DMAEMAおよびPAAのコポリマーブロック)を何れかの適切な様式で製造した。1つの例において、ポリ(DMAEMA)が、RAFT CTA、ECTおよびラジカル開始剤の存在においてDMAEMAをポリマー化することにより製造された。幾つかの例において、ブロック、ポリ(DMAEMA) (9,100g/mol;DP 58)が、一連のジブロックコポリマーの製造のために使用され、BMA含有量が増大され、当該モル量のDMAEMAおよびPAAが維持された。得られたポリマーの特徴を表1に示す。同様なブロックサイズが全7つのジブロックについて観察され、ポリマーの全体的な分子量が約20,000g/molであることが示された。ある態様において、より低い分子量が選択される。幾つかの例において、より低い分子量ポリマーが、ポリマー毒性を最少にし、ポリマーの腎クリアランスを可能にし、それによりインビボ試験への受け入れ可能な移行を保証する。また、表1には、第2のブロックの理論上および実験的に誘導されたモノマー組成が示される。列記された各ポリマーは、関連するポリマーの分類の例である。例えば、P7クラスのポリマーは、多くの変型を有し、その1つが表1において特徴決定される。全てのポリマーが理論上の組成物に比較的近いと同時に、幾つかの逸脱が全ての場合において観察され、恐らくモノマー反応比において異なるためである。
【0101】
或いは、ジブロックポリマーのブロックの配向が、ポリマーのω末端が親水性ブロックであるように逆である。種々の態様において、これは、多くの合成的な方法を含む何れかの適切な様式において達成される。例えば、本発明のブロックコポリマーの合成が、PAA/BMA/DMAEMA疎水性ブロックの製造で始まり、親水性の荷電されたブロックが第2の合成工程において、各々得られたPAA/BMA/DMAEMA マクロCTAを第2のRAFTポリマー化工程に供されることにより付加される。代替的なアプローチは、PAA/BMA/DMAEMA マクロCTAを還元してチオール末端を形成し、次に、前形成された親水性の荷電されたポリマーを形成されたチオールに共有結合的に結合することを含む。この合成アプローチは、反応性基をポリマー鎖の親水性末端のω末端に導入するための方法を提供し、それにより、ポリマーの化学的複合への代替的なアプローチを提供する。
【0102】
ジブロックコポリマー P7は、本発明のポリマーの1例であり、これは2つのブロックからなる;1つはポリ(DMAEMA)であり、これは生理学的なpHで親水性且つ荷電されており、他のブロックはモノマーユニットの無作為なコポリマー;疎水性(BMA)およびイオン化された/疎水性またはイオン化可能な/疎水性ユニット(PAA, DMAEMA)である。
【0103】
[定義および態様]
本明細書に関して、単数形の使用には複数形が含まれ、特に言及しない限り逆もまた同じであると理解される。すなわち、「a」および「the」は、その文言が修飾する1または1以上のものを意味する。例えば、「the polymer」または「a nucleotide」は、1つのポリマーもしくはヌクレオチドまたは複数のポリマーもしくはヌクレオチドを意味し得る。同じように、「polymers」および「nucleotides」は、特に言及しない限り、またはそのような意味ではないことが文脈から明らかな場合を除き、1つのポリマーもしくは1つのヌクレオチドならびに複数のポリマーもしくはヌクレオチドを意味する。
【0104】
ここにおいて使用されるとき、限定するものではないが「約」、「実質的に」、「本質的に」および[大凡]などの近似の語は、限定される成分が、記載された正確なものである必要はなく、変更されて、記述された記載からある範囲にまで変動してよいことを意味する。記載が変動できる範囲は、当該業者が受容できる、またその成分が特徴有するおよびその成分若しくは限定の可能性を有すると看做されるのがどの位の大きさであるのかに依存するであろう。一般的に、しかし、前述の考察に曝されるが、ここにおいて数値的な値は、近似の語により変更され、少なくとも±15%、約±15%、約±10%、約±5%、約±3%、約±2%、または約±1%で定まった値から変動してよい。本発明からの特異的な非限定的な例として、本発明のジブロックコポリマーの第2のブロックは、正常な生理学的なpHでカチオン性およびアニオン性種の両方を含み、「実質的に、全体的な電荷において中性である」且つ実質的に疎水性であると記載されている。しかしながら、実験的に、正確な中性を達成することは非常に難しく、カチオン性種またはアニオン性種の何れかが表1に示されるようにある程度優勢になる。しかしながら、当該業者は、1または他の若干の範囲で電荷された種を有する第2のブロックがなお「実質的に中性である」と受け入れるであろう。
【0105】
ここにおいて使用される通り、「ポリマー」は、1または1以上の「モノマー」と呼ばれる小分子で構成される分子をいう。モノマーは、それ自身と反応して、ホモポリマーを形成してもよく、それが1または1以上の他のモノマーと反応してコポリマーを形成してもよい。モノマーの基は、反応して、次に結合されてポリマーを形成するプレポリマーを形成してもよい。モノマーはポリマーの構成ユニットを含む。
【0106】
「電荷が中性である」または「非荷電の」構成ユニットは、生理学的なpHで完全に正または負の電荷を有する原子ではないものをいい、即ち、両性(双性)分子もなお「電荷が中性である」または「非荷電」であると看做される。荷電が中性である構成ユニットの非限定的な例は、メタクリル酸ブチルから誘導されたもの、例えば、CH2=C(CH3)C(O)O(CH2)3CH3モノマーであるであろう。
【0107】
ここにおいて使用されるとき、「アルキル」は、直鎖または分岐鎖の完全に飽和された(二重結合または三重結合のない)炭化水素(炭素および水素のみの)基をいう。アルキル基の例は、これに限定するものではないが、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec-ブチル、第三ブチル、ペンチルおよびヘキシルを含む。ここにおいて使用されるとき、「アルキル」は「アルキレン」基を含み、これは、他の基と結合するために1よりも寧ろ2つの開放性の電子価を有する直鎖または分岐鎖の完全に飽和された炭化水素基を示す。アルキレン基の例は、これらに限定するものではないが、-CH2-、エチレン、-CH2CH2-、プロピレン、-CH2CH2CH2-、n-ブチレン、-CH2CH2CH2CH2-、sec-ブチレン、-CH2CH2CH(CH3)-などを含む。本発明のアルキル基は、任意に1または1以上のフッ素基で置換されてもよい。
【0108】
ここにおいて使用されるとき、「mC〜nC」は、ここにおいてmおよびnは整数であり、表示された基における可能な炭素の数を指示する。即ち、その基がこれら数を含めて「m」から「n」の炭素原子を含む。本発明のアルキル基は、1〜10の炭素原子を含んでよいとは、即ち、mは1であり、nは10である。勿論、特定のアルキル基は、更に制限されてもよい。例えば、制限のない限り、本発明のアルキル基は、3〜8の炭素原子からなってよく、この場合には、(3C-8C)アルキル基と命名されるであろう。この数が、含まれるものであり、示される数の炭素原子を有する全ての直鎖または分岐鎖構造が組み込まれる。例えば、制限がない限り、「C1〜C4アルキル」基は、1〜4の炭素を有する全てのアルキル基を指示し、即ち、CH3-、CH3CH2-、CH3CH2CH2-、CH3CH(CH3)-、CH3CH2CH2CH2-、CH3CH2CH(CH3)-、(CH3)2CHCH2-および(CH3)3CH-を示す。
【0109】
ここにおいて使用されるとき、シクロアルキル基は、アルキル鎖の末端の炭素原子がもう1方に対して共有結合的に結合しているアルキル基を指示する。数「m」および「n」は形成される環における炭素の数を示す。従って、例えば、(3C-8C)シクロアルキル基は、3、4、5、6、7または8員環、即ち、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタンおよびシクロオクタンを示す。本発明のシクロアルキル基は、任意に、1または1以上のフッ素基または1または1以上のアルキル基で置換されてもよい。
【0110】
ここにおいて使用されるとき、「フェニル」は単に、基:
【化11】

【0111】
を示し、示された通り、1または1以上のフッ素基で任意に置換されてもよい。
【0112】
ここにおいて使用されるとき、「疎水性増大部分」は、ここにおいて「疎水性種」と交換可能に使用され、ジブロックコポリマーの構成ユニットに対して共有結合的に結合される置換基をいい、前記疎水性増大部分を有するそのような構成ユニットは、結果として、その部分の付与がない場合よりも、ジブロックコポリマーをより膜破壊性または他の方法によってより膜不安定化する。そのような部分の例は、これに限定するものではないが、アルキル基、シクロアルキル基およびフェニル基を含み、その何れも1または1以上のフッ素原子で置換されてもよい。幾つかの態様において、疎水性増大部分は約1、または1以上のπ値を有する。化合物のπ値は、その相対的な親水性-親油性値の尺度である(例えば、Cates, L.A., "Calculation of Drug Solubilities by PHarmacy Students" Am. J. PHarm. Educ. 45:11-13 (1981)を参照されたい)。ここにおいて記載される疎水性モノマー残基または構成ユニットは、1または1以上の疎水性種を含む。更に、親水性モノマー残基は、1または1以上の親水性種を含む。
【0113】
本発明の非限定的なポリマーの例に関して、上で示されるIV1に関して、そのようなポリマーは、「エチレン」であることにより特徴付けられ、そこにおいて構成ユニットは、各モノマーのエチレン、-C=C-、の官能性の反応から誘導される。上記例の特定のエチレンモノマーは、更に、「アクリル性」であると記載されてもよく、そこにおいて、それらは全てアクリル酸、CH2=CHC(O)OH、の誘導体であり、上記の第1のモノマーがジメチルアミノエチルメタクリレートであり、第2が2-プロピルアクリル酸であり、第3がメタクリル酸ブチルである。
【0114】
ここにおいて使用される「正常な生理学的pH」は、生体、血清、正常な細胞のサイトゾルなどの主な液体のpHをいう。更に、ここにおいて使用される通り、「正常な生理学的なpHで」は「略生理学的なpHで」または「略中性のpHで」と交換可能に使用され、一般的には、略中性のpH(即ち、約pH7)をいい、例えば、約7.2〜約7.4であるpHを含む。特異的例において、「正常な生理学的pH」は、水性の媒体、例えば、血液、血清などにおける略中性であるpHをいう。
【0115】
ここにおいて使用されるとき、RNAは、A、C、GまたはUを含むポリヌクレオチドをいい、DNAはdA、dC、dGおよびdTを含むポリヌクレオチドをいい、「d」は、糖がデオキシリボースであることを示す。
【0116】
ここにおいて使用されるとき、「天然のDNA類似体」または「天然のRNA類似体」ポリヌクレオチド、ここにおいて1または1以上の天然に生じるヌクレオチドが、特定のDNAまたはRNAの天然のヌクレオチドに対して置換されるが、なお本来のDNAまたはRNAの機能性を呈する。これは、非天然の環境において、天然に生じるヌクレオチド含み、例えば、DNA分子においてデオキシリボヌクレオチドに対して置換されたリボヌクレオチド、またはRNA分子においてリボヌクレオチドに対して置換されたデオキシリボヌクレオチドを含む。
【0117】
ここにおいて使用されるとき、「合成DNA類似体」または「合成RNA類似体」は、1または1以上の変更されたヌクレオチドで構成されているポリヌクレオチドを示す。「変更されたヌクレオチド」は、非天然に存在するヌクレオチドをいい、それは化学的に変更された塩基、糖および/またはリン酸ジエステル結合を含む。化学的な変更は、天然に生じるヌクレオチドの個々の原子の付加、欠失または置換、ヌクレオチドの全体の機能性基の付加、欠失または置換を含んでよい。本発明の目的のために、変更されたヌクレオチドが、あったとしても僅かに天然のヌクレオチドに似ているが、それにもかかわらず、上記の一般的な構造を有するポリヌクレオチドに組み込まれる能力がある分子を実際に含んでもよい。典型的に維持される合成DNAまたはRNA類似体の1つの性質は、全てが天然のポリヌクレオチドであるように、分子が一般的に負に荷電されていることであり、それにより、本発明のジブロックコポリマーと複合化可能である。
【0118】
特許請求の範囲において明確に列挙されていない理論により束縛されていることを除いて、膜不安定化ポリマーは、直接または間接的に細胞膜構造(例えば、エンドソーム膜)における電荷(例えば、透過電荷(permeability change))を誘発でき、それによりポリマーに関連して、またはポリマーとは無関係に薬剤(例えば、ポリヌクレオチド)を透過させる、膜構造などを通過して、例えば、細胞に入る、または細胞小胞(例えば、エンドソーム)を出る。膜不安定性ポリマーは、(しかし必然的ではないが)膜破壊性ポリマーであってよい。膜破壊性ポリマーは、直接的または間接的に、細胞小胞の溶解または細胞膜の破壊を誘発できる(例えば、細胞膜の集団の実質的なフラクションとして観察される)。
【0119】
一般的に、ポリマーの膜不安定化または膜破壊性の性質は、種々の手段により評価できる。1つの非限定的なアプローチにおいて、細胞膜構造における電荷は、細胞膜(例えば、エンドソーム膜)からの薬剤(例えば、ポリヌクレオチド)の放出を(直接または間接的に)測定するアッセイにおいて評価することにより、例えば、そのような薬剤の存在または不在、またはそのような薬剤の活性をそのような膜の外側の環境において測定することにより、観察可能である。もう1つの非限定的なアプローチは、赤血球溶解(溶血)を測定すること、例えば、問題となる細胞膜についての代理アッセイとして含む。そのようなアッセイは、単一のpHで、またはある範囲のpH値に亘り行われてよい。
【0120】
好ましくは、ここにおいて提供されるジブロックコポリマーは生体適合性である。ここにおいて使用されるとき、「生体適合性」はそれまたはそのインビボ分解生成物により特徴付けられるポリマーの性質をいい、生組織に対する障害性がない、または少なくとも最小限および/または修繕可能である性質をいう。塩に関して、現在、好ましくは、カチオン性種およびアニオン性種の両方が生体適合性である。ここにおいて使用されるとき、「生理学的に許容される」は生体適合性と交換可能である。
【0121】
ある側面において、ここにおいて記載される組成物および/または薬剤は、インビボで治療学的薬剤として使用される。「インビボ」により、それらがそのような治療を必要とする対象に対して投与されることを意図されることを意味する。「対象」は、何れかの生存している実体を示し、それは本発明の複合体の治療学的使用からの利点を受ける。ここにおいて使用されるとき、「対象」および「患者」は交換可能に使用されてよい。対象または患者は、特に哺乳類をいい、例えば、これに限定するものではないが、ネコ、イヌ、ウマ、ウシ、ヒツジ、ウサギなど、好ましくは現在においてヒトなどである。
【0122】
ここにおいて使用されるとき、「治療学的薬剤」は、ここの複合体をいい、治療学的に有効な量を疾患に罹患した対象に対して投与したときに、対象の健康および福祉において治療学的に有利な効果を有する。対象の健康および福祉において治療学的に有利な効果は、これらに限定するものではないが:(1)疾患の治癒;(2)疾患の進行の緩徐化;(3)疾患の退行を引き起こす;または(4)疾患の1または1以上の症状を軽減すること;である。ここにおいて使用されるとき、治療学的薬剤はまた何れかの複合体を含み、特に遺伝的な疾患の存在する疾患に対して特定の感受性があることが公知のまたは疑わしい患者に対して投与されるとき、その患者の健康および福祉において予防的に有利な効果を有する。患者の健康および福祉において予防的に有利な効果は、これらに限定するものではないが、:(1)第1の場所で発症した疾患を防止または遅滞すること;(2)一旦退行したレベルが複合体の治療学的に有効量により達成されれば、退行したレベルに疾患を維持すること;または(3)複合体の治療学的に有効な量での治療過程の後に、疾患の再発を防止または遅延することを含む。幾つかの例において、治療学的薬剤は、治療学的に有効なポリヌクレオチド(例えば、RNAiポリヌクレオチドなど)、治療学的に有効なペプチド、治療学的に有効なポリペプチド、または幾つかの他の治療学的に有効なバイオ分子である。特異的な態様において、RNAiポリヌクレオチドは、RNAiメカニズムを介して遺伝子の発現の阻害を媒介できるポリヌクレオチドであり、これらに限定するものではないが、メッセンジャーRNA(mRNA)、siRNA、マイクロRNA (miRNA)、短ヘアピンRNA(shRNA)、非対称干渉RNA(aiRNA)、そのダイサー基質および前駆体を含む。
【0123】
ここにおいて使用されるとき、「生ポリマー化」は、更なるポリマー化の周知の概念を使用してポリマーを合成する方法をいい、即ち、そこにおいて、モノマーが成長するポリマー鎖の活性部位に対して1つ1つ追加するが、もう1つのモノマーの連続する追加のための活性部位が、目的以外は完全には除外されないポリマー化である。即ち、ポリマー鎖は、ポリマーがキャップ形成されるまで、それはポリマー化を継続またはクエンチすることが可能なように可逆的であってもよく、通常は持続性であり、それまで、反応混合物に対して更なるモノマーの添加により、実質的にはいつも更なる伸張が可能である。多数の生ポリマー化が公知である一方で、現在の主な種類は、アニオン性、カチオン性およびラジカル生ポリマー化である。これらの、現在のラジカルポリマー化は、本発明に関して特に興味深い。ラジカルポリマー化は、フリーラジカル開始剤を含み、これは、エチレンモノマーの二重結合のpi電子の1つを抽出し、反応性の不対電子を炭素上で開始剤が反応した以前の二重結合の他の末端で生じる。不対電子は次に、もう1つのモノマーの二重結合と反応し、安定したシグマ結合と、もう1つのフリーラジカルなどを生じる。通常の開始剤を用い、進行は、最終的に終結反応、一般的には組み合わせた反応により停止され、そこにおいて、2つの増加された鎖の不対電子を併用して安定なシグマ結合形成するか、またはそこにおいて活性鎖がもう1つの活性鎖または反応混合物における不純物から水素原子を除去して安定な非反応性分子および二重結合を含む分子を生成する。生ポリマー化において、成長する鎖の終結反応に入る能力は除去され、存在するモノマーの量により単独で効果的にポリマー化が制限される;即ち、ポリマー化は、モノマーの供給が枯渇するまで継続する。この点で、そのような実体、例えば、これに限定されるものではないが、ニトロキシラジカル、ハロゲン分子、ペルオキシドなどの酸素種および金属など、でのフリーラジカルの末端基のキャップ形成のために、または単に溶媒との相互作用などにより、残留するフリーラジカル種は実質的に活性を失う。しかしながら、仮に更なるモノマーが溶液に添加された場合、ポリマー化反応は、上記のような場合を除いて再開できる。
【0124】
[合成]
ここにおいて記載されるポリマーは、何れかの適切な方法において製造される。例えば、ある態様において、本発明のポリマーは、エチレン種に限定されるものでは決してない一方で、そのようなポリマーに関して、それらが「生ポリマー化」により製造されることは現在特に好ましい。
【0125】
生ポリマー化の使用において、非常に低い多分散性または鎖長が異なるポリマーが得られる。多分散性は通常、それらの数平均分子量によりポリマー鎖の重量平均分子量を割り出すことにより測定される。数平均分子量は、個々の鎖の分子量の和を鎖の数で割ったものである。重量平均分子量は、分子量を二乗し、その分子量の分子の数で割ったものに比例する。重量平均分子量は、常に数平均分子量よりも大きいことから、多分散性は、常に1よりも大きいか1に等しい。数が近くなる、または同じに近づくとき、即ち、多分散性が1の値に近づくとき、ポリマーは、そこにおいては全ての鎖が性格に同じ数の構成ユニットを有する単分散に近くなる。1に近づく多分散性値は、ラジカル生ポリマー化の使用を達成する。これらに限定するものではないが、例えば、サイズ排除クロマトグラフィ、動的光散乱、マトリックス補助レーザー脱離/イオン化クロマトグラフィおよびエレクトロスプレー質量クロマトフラフィなどの多分散性の測定の方法が、当該技術分野において周知であり、ここでは更なる詳細は記載しない。
【0126】
可逆的な付加-断片化鎖移行またはRAFT(RAFT)は、本発明のエチレン主鎖ポリマーの合成において使用するために現在好ましい生ポリマー化技術である。RAFTは当業者には周知であり、ここにおいては簡単に記載するのみである。RAFTは、フリーラジカル変性鎖移行方法を含む。多数のRAFT手順は、チオカルボニルチオ化合物、例えば、これらに限定するものではないが、ジチオエステル、ジチオカルバメート、トリチオカルボネートおよびキサンチン酸のOエステルなどを使用し、可逆的な鎖移行メカニズムによりポリマー化を媒介する。ポリマーラジカルと先行する何れかの化合物のC=S基との反応が、安定化されたラジカル中間体の形成を導く。これらの安定化されたラジカル中間体は、標準的なポリマー化に典型的な終結反応は生じないが、寧ろ、ラジカルの再導入は、再開始またはモノマーでの生長反応を可能にし、当該方法においてC=S結合を二次形成する。次のラジカルの断片化に続くC=S結合に対する追加のこのサイクルは、全てのモノマーが消費されるか、反応がクエンチされるまで続く。何れの特定の時間での低濃度の活性なラジカルは、通常の終結反応を制限する。他の態様において、ポリマーは、キサンチン酸のOエステルの可逆的な付加-断片化鎖移行を介するマクロ分子設計(MADIX)により合成される(Direct Synthesis of Double Hydrophilic Statistical Di- and Triblock Copolymers Comprised of Acrylamide and Acrylic Acid Units via the MADIX Process", Daniel Taton, et al., Macromolecular Rapid Communications, 22, No. 18, 1497-1503 (2001).)。
【0127】
[ポリマー:バイオ分子構築物]
ある態様において、ここにおいてポリマー:ポリヌクレオチド構築物または例えば、ポリマー:ペプチド構築物、ポリマー:ポリヌクレオチド構築物、または他の種類のポリマー:バイオ分子構築物を含む他の構築物が提供される。ある態様において、1または1以上のポリヌクレオチド(例えば、siRNA)がここにおいて記載される何れかのポリマーと結合される。種々の態様において、ポリヌクレオチド、ペプチド、ポリペプチドまたは他のバイオ分子が、何れかの様式において(例えば、共有結合的および/または非共有結合的な相互作用などにより)ポリマーと結合し、そのような結合は何れかの適切な部位にあり、それは例えば、ポリマーのアルファ末端、ポリマーのオメガ末端、ポリマーの親水性末端、ポリマーの疎水性末端、またはポリマーのモノマー側鎖に結合しているペンダント基などを含む。
【0128】
ここにおいて使用されるとき、ポリヌクレオチドは、鎖内で共有結合的に結合された直鎖のヌクレオチドモノマーからなる多くの種類の有機ポリマー分子をいい、当業者には周知である。簡単には、ヌクレオチドは、単一のホスフェート基(または、慣習的には、ポリヌクレオチドへのその組み込みをいうとき、ポリメラーゼの存在において実際にポリマー化される種であるヌクレオシドトリホスフェートのための短い手)と結合したヌクレオチドを含む。ヌクレオシドは、順番に糖部分と結合した塩基を含む。天然に生じたポリヌクレオチド、即ち、未修飾の生実体により生成されたポリヌクレオチドについては、糖部分は、リボ核酸またはRNAを生じさせるリボースであるか、またはデオキシリボ核酸またはDNAを生じさせるデオキシリボースの何れかである。天然に生じた塩基は、アデニン(A)、グアニン(G)またはその天然の置換物であるイノシン(I)、シトシン(C)またはチミン(T)またはその天然の置換物であるウラシル(U)である。更に、ポリヌクレオチドは、1つのヌクレオシドの糖部分の3'-ヒドロキシル基と、更にもう1つのヌクレオシドの5'-に対してその3'-ヒドロキシル基で順次結合される第2のヌクレオシドの糖部分の5'-ヒドロキシルとの間でリン酸ジエステル結合により結合された複数のヌクレオシドを含む。
【0129】
本発明のDNAまたはRNAは、センスまたはアンチセンスであってよい。DNAは、2本鎖、センス鎖である一本鎖およびその相補鎖である他方、またはアンチセンス鎖である。センス鎖は、同じ配列のRNAがタンパク質に翻訳されるという事実により特徴付けられる。アンチセンス鎖は、同じ配列において関与できない。この結果は、特定のDNAまたはそのメッセンジャーRNAによるタンパク質生成が、タンパク質生成の適切な段階で相補的またはアンチセンスポリヌクレオチドの導入により中断できることである。
【0130】
即ち、タンパク質生成は、2つの相、転写および翻訳において生じる。転写において、DNAは、メッセンジャーRNAまたはmRNAを形成するための鋳型として使用される。翻訳の相において、mRNAは細胞の領域に伝わり、そこにおいて、DNAにより提供された遺伝的なメッセージをリボソームに伝え、それは実際にDNAによりコードされたタンパク質を構築する細胞機構である。アンチセンスポリヌクレオチドは、mRNAの配列に相補的な核酸配列を含み、mRNAに結合またはハイブリダイズし、ハイブリダイズされたmRNAは、引き続いて1または1以上の生化学的なメカニズムにより分解され、それにより、mRNAの指示がリボソームへの到達が阻止される。現在好ましい本発明のポリヌクレオチドはRNAである。
【0131】
本発明のRNAは、センスまたはアンチセンスmRNA、マクロまたはmiRNAまたは短干渉RNA、siRNAであってよい。mRNAは上述された。miRNAは、1本鎖RNA分子であり、約21〜23ヌクレオチド長である。それらの機能は、遺伝子発現の制御である。miRNAは、DNAから転写される遺伝子によりコードされるが、タンパク質に翻訳はされない。寧ろ、それらは公知のプリmiRNAをプレmiRNAと呼ばれる短ステムループ構造に一次転写することから処理され、最終的に機能的なmiRNAに処理される。機能的なmiRNAは、部分的に1または1以上のmRNAに部分的に相補的である。そのために、それらは上述のアンチセンスポリヌクレオチドのように機能し、mRNAの指令がリボソームに到達するのを阻止する。従って、それらは遺伝子発現を下方制御できる。
【0132】
miRNAがゲノム自身から転写される一方で、siRNA、小型干渉または短干渉RNAはそうではない。siRNAは、1999年におけるその発見から、分子生物学者の研究室において最も研究されているポリヌクレオチドの1つとなっており、これは現在、次世代の薬物の最重要な候補と看做されており、それはそれらが実質的な何れかの遺伝子の発現をサイレント化できる潜在的な能力があるからである。本発明の目的のために、現在公知であるまたは将来において公知になり得る何れかのsiRNAを使用し、ここにおけるジブロックコポリマーと共に本発明の複合体を形成することが可能であり、その結果、これらに限定するものではないが、治療学的、予防的または診断上の目的のために生細胞の内部に輸送されてよい。最初に、外因的に添加されるsiRNAは、siRNAとしての活性化のために非常に特異的な2塩基のオーバーハングを有する特異的な長さ(21〜23bp)であるべきであると考えられていたが、現在では、哺乳類の細胞における遺伝子サイレンシングでの有効性には、より長いまたはより短い平滑末端化された、並びに27+bpのRNAが丁度よいことが明らかである。より短いsiRNAはRNA-誘導性サイレンシング複合体(RISC)に直接に負荷することが可能であり、一方、より長い2本鎖RNAは、細胞質において、細胞質内の多領域エンドヌクレアーゼダイサーによってより短いsiRNAに切断される。即ち、長い2本鎖RNAが細胞の細胞質に入る。長い2本鎖RNAは、20〜25のヌクレオチドsiRNAに、ダイサーと呼ばれるRNアーゼIII様酵素により処理される。siRNAは次に、RNA誘導性サイレンシング複合体またはRISCとして知られるエンドリボヌクレアーゼ含有複合体に構築される。RISCへの組み込みの後、その2本鎖siRNAのセンス鎖が、無傷および/または切断されて、相補的なmRNA分子にRISCを導くsiRNAアンチセンス鎖を脱離する。siRNAは次に、相補的なmRNAに結合し、一旦結合すると、RISCが標的mRNAを切断し、効率的にそのRNAに関連する遺伝子をサイレンシングする。もう1つの本発明のジブロックコポリマーを有する複合体を形成し、それにより生細胞に輸送されるポリヌクレオチドの亜種は、所謂「ロック核酸」またはLNAポリヌクレオチドである。ロック核酸ポリヌクレオチドは、ヌクレオシドの糖部分の2'-酸素から4'-炭素メチレンへの結合を形成する多くのメカニズムの1つにより製造される;しかしながら、何れのロック核酸ポリヌクレオチドの使用も本発明の範囲内にある。LNAの1つの特徴は、相補的なDNAまたはRNAとハイブリダイズする際に、非変更のDNA:DNAまたはDNA:RNA二重鎖と比較して、増強されたそれらの熱安定性と増強された核酸認識である。これらの性質は、分子適用のホストにおけるLNAポリヌクレオチドを潜在的に有用なものにする。例えば、LNA-DNA-LNA構築物、siRNA、ホスホロチオネートおよび2'- O-メチルRNA-DNA構築物について、それらに暴露されたCos-7細胞におけるバニロイド受容体サブタイプ1(VR1)の発現について比較は、siRNAはVR1発現に対して最も強力なアンチセンス剤であるという一方で、LNA-DNA-LNA構築物は等しい配列のホスホロチオネートおよび2'- O-メチルオリゴヌクレオチドよりもVR1抑制において175〜550倍であった(Grunweller, A., et al., 2003, NAR, 31:2185-3193)。
【0133】
本発明の側面は、ここにおいてに記載の何れかのポリマーに(例えば、共有結合的および/またはイオン性相互作用、水素結合相互作用および/またはファンデルワールス相互作用を含む非共有結合的に)結合または会合されたポリヌクレオチドまたは複数のポリヌクレオチドである。ある態様において、ポリマーおよびポリヌクレオチド間の会合は、共有結合、非共有結合的相互作用、またはその組み合わせにより達成される。特異的な態様において、(例えば、その第1のブロックの)ポリマーとポリヌクレオチドとの非共有結合性の会合が使用される。非共有結合的な相互作用は、これらに限定するものではないが、イオン性相互作用、水素結合およびファンデルワールス力を含むが、本発明の目的のためには、非共有結合的な総合作用は、イオン性相互作用を含む。イオン性相互作用は、(例えば、その第1のブロックの)カチオン性構成ユニットとリン酸ジエステル結合により天然に負に荷電されているポリヌクレオチドとの間で生じる。
【化12】

【0134】
非共有結合的な会合は、多くの更なる方法により達成されてもよい。ポリヌクレオチドおよび/またはポリマーは、化学的な部分で修飾されてもよく、それによりそれらが結合などのもう1つの親和性を導き、例えば、アリールボロン酸−サリチルヒドロキサム酸、ロイシンジッパーまたは他のペプチドモチーフ、ポリマーおよびポリヌクレオチドにおける正および負の電荷の間でのイオン性相互作用、または他の種類の非共有結合性化学親和性結合を導く。更に、2本鎖ポリヌクレオチドが、微量なグルーブ結合(minor groove binding)またはポリマーに共有結合的に結合する挿入剤を用いてポリマーを形成することにより、本発明のポリマーに対して複合されてもよい。
【0135】
幾つかの態様において、ポリヌクレオチドは何れかの標準的な化学的複合技術によりポリマーに化学的に複合されてもよい。ポリマーとポリヌクレオチドとの間の共有結合は、非開裂可能であってもよく、開裂可能な結合が使用されてもよい。特に好ましくは、開裂可能な結合は、細胞質の還元性環境において解離するジスルフィド結合である。共有結合性の会合は、化学的複合方法により達成され、これらに限定するものではないが、アミン−カルボキシルリンカー、アミン-スルフヒドリルリンカー、アミン-炭水化物リンカー、アミン-ヒドロキシルリンカー、アミン-アミンリンカー、カルボキシル-スルフヒドリルリンカー、カルボキシル-炭水化物リンカー、カルボキシル-ヒドロキシルリンカー、カルボキシル-カルボキシルリンカー、スルフヒドリル-炭水化物リンカー、スルフヒドリル-ヒドロキシルリンカー、スルフヒドリル-スルフヒドリルリンカー、炭水化物-ヒドロキシルリンカー、炭水化物-炭水化物リンカーおよびヒドロキシル-ヒドロキシルリンカーを含む。複合は、pH感受性結合およびリンカーを用いて行われてもよく、これらに限定するものではないが、ヒドラゾンおよびアセタールリンカーを含む。複合化学の大きな多様性は当該技術分野において確立されている(例えば、Bioconjugation, Aslam and Dent, Eds, Macmillan, 1998 and chapters thereinを参照されたい)。ポリヌクレオチドは、ポリマーのアルファまたはオメガ末端に対して、またはポリマーのモノマーにおけるペンダント基に対して複合化されてもよい。
【0136】
一連のポリマーおよびそれらのそれぞれのsiRNA縮合粒子は、サイズおよび表面電荷について特徴が決定され、得られたデータを表2に示す。
【0137】
ある場合において、ポリマーは、溶液中でユニマー(<10 nm)に見える。理論上4:1の電荷比(Charge Ratio)のポリマーおよびsiRNAから形成された複合体は、85〜236nmのサイズで変動した。BMA含有量に関して複合体のサイズは、決定的な傾向ではないように思えた。しかしながら、エンドソーム溶解性ブロックにおいて48%のBMA含有量を有するポリマーP7は、85nm ± 0.20の最も小さい粒子を示した。粒子の残部は、144〜236nmのサイズを有し、最も大きなサイズの粒子は、エンドソーム溶解性ブロックにおいて27%のBMA含有量を有するポリマー6から形成された。ポリマーP7/siRNA粒子サイズは、更に、1:1〜8:1までの範囲の電化比で試験され、データを表3に示す。ポリマー/siRNA 粒子サイズは、電荷比の増加に従って劇的に減少し、値は、1:1での643nm ± 0.09から8:1での54nm ± 0.27までであった。
【表2】

【表3】

【0138】
ある場合において、ζ電位測定値に基づくsiRNA/ポリマー複合体の表面電荷は、全ポリマーについて同様および僅かに正であることが明らかにされる(0.13〜1.1mVの範囲を有する〜0.5mV)。更に、幾つかの例において、ポリマー7を使用する+/−が1:1、2:1、4:1および8:1で形成された複合体は、表面電荷において違いは見られず、重ねて、電荷比に関して傾向のない若干の正値を伴った(0.18-0.99mV)。幾つかの例において、電荷比1:1で、粒子は、互いに均衡する第2のブロックにおいてPAA およびDMAEMA電荷として、非常に僅かな表面電位を有することが予測される。種々の例において、電荷比が2:1、4:1および8:1に増加するとき、正の表面電荷における増加が見られることが予測されるが、興味深いことに、そのような結果は観察されなかった。幾つかの例において、ポリマーの量の増加に伴って、粒子が形態学的に変化し、より密接に充填されるようになる。電荷比の増加に伴い、DMAEMA正電荷の効果的なシールドのために、表面電荷の無影響にすることが可能であり、そのため多くのポリマー鎖およびsiRNAは粒子コア内に充填できる。
【0139】
ある態様において、粒子サイズおよび表面電荷における変更は、細胞により取り込まれる複合体に関して、適切な設計基準であってよい。幾つかの例において、正の表面電位を有するナノ粒子は、負に荷電されている細胞膜との静電気的な相互作用により取り込みを促進する。
【0140】
ポリマーおよびsiRNA/ポリマー複合体の両方を、エンドソーム/リソソーム輸送経路に関連するpH値で赤血球の溶血を誘導する能力について評価した。有意な溶血はポリマー1〜3については生じなかった。しかしながら、関連するpH依存性溶血活性が、ポリマー4で明らかであり、応答性の増強が、エンドソーム溶解性ブロックのBMA含有量の増加と共に観察された。ポリマー7は、最も強いpH依存性溶血を示し、pH=7.4では本質的に不活性であり、pH=6.6で約25%の溶血、pH=5.8で85%の溶血であった。引き続いてポリマー5〜7を、それらのsiRNA複合体において溶血活性について評価した。試験された全ての電荷比でポリマー5〜7で形成された複合体は、適切なpH依存性様式で溶血性であることが監査裂された。更に、複合体により示された溶血は、遊離ポリマーに比較して高く、1:1に対して4:1の電荷比でより大きかった。ポリマー7は、4:1の電荷比で最も強い溶血活性を示し、pH=7.4では本質的に溶血はなく、pH=6.8で60%の溶血、pH=5.8で100%の溶血であった。これらのデータは、これらのポリマーのpH応答性溶血活性は、疎水性増大部分、メタクリル酸ブチルの組み込みに関連することを示唆する。この発見は、例えば、カルボキシレート官能性を持たせたポリマーのpH依存性の疎水性移行を増大するために、アルキルアミンまたは芳香族基などの疎水性部分の組み込みに利用できるpH応答性膜不安定化ポリマーについての以前の報告を実証するものである。
【0141】
[膜破壊および/または膜不安定化]
ある態様において、ポリマーまたはポリマー:ポリヌクレオチド構築物(即ち、ここにおいて記載される1または1以上のポリヌクレオチドと会合した何れかのポリマーを含む)は、細胞膜不安定化または破壊性ポリマー(即ち、細胞膜不安定化または細胞膜破壊性)である。ある態様において、細胞膜は、これらに限定するものではないが、細胞外膜、細胞内膜、小胞、オルガネラ、エンドソーム、リポソームまたは赤血球である。幾つかの態様において、細胞に投与される場合、膜破壊性ポリマーまたはポリマー:ポリヌクレオチドは、細胞内に送達される。ある態様において、siRNAは、好ましくは、本発明のポリマーと会合され、引き続き、生細胞の内部にポリマーにより飲食運動されるポリヌクレオチドである。
【0142】
エンドサイトーシスは、物質(例えば、本発明のポリマーまたは核酸など)が形質膜を横切ることなく、細胞内への入り口を得る過程である。物質は、細胞膜の部分により包まれて、次に、摘み取られて細胞内小胞を形成する。一旦物質が飲食運動されると、エンドソームは酸性化され、成熟したエンドソーム内のpH、約5〜6.5で、非イオン化とイオン化された形態の酸性ユニット、即ち、本発明のポリマーのアニオン性構成ユニットの間での平衡が非イオン化形態の方にシフトするようにポリマーのpKaが選択されるために、ポリマーの化学的な組成が変わる。相対的に親水性であるポリマーのイオン化された形態とは対照的に、非イオン化形態は、実質的に、疎水性であり、相互作用、即ち、エンドソーム膜の破壊することが可能であり、これは結果としてサイトゾルへの物質の放出を生じる。
【0143】
電荷比4:1のsiRNA複合体の細胞内部移行は、それらの関連するpH応答性エンドソーム溶解性特性に基づいて、ポリマーP4〜P7についてフローサイトメトリーを用いて試験された。25nMのポリマー複合化siRNAの4時間の暴露に続く、細胞取り込みは、この時間枠において最も高い取り込みレベル(23%siRNAポジティブ細胞)を示すポリマーP7を有する第2のブロックのBMA含有量と正に相関することが分かった。正に荷電されている複合体は、カチオン性ポリマー/核酸複合体の内部移行に影響することが以前に示されており、正に荷電されている複合体がより高い内部移行率と導入遺伝子発現を達成した。これらの結果は、全ての粒子が同様に、若干の正味正荷電とサイズ(85〜236nm)を非特異的なエンドサイトーシスのための限界以内で良好に示したことから(表2)、恐らくは表面電位または全粒子としてのサイズの機能ではない。寧ろ、取り込みにおける効果は、BMA含有ブロックのエンドソーム溶解性の有効性の機能であるかもしれない。溶血結果に基づくと、BMA含有量が増加すると、エンドソームの逸脱がより大きな範囲にまで生じ、それにより細胞からの再利用が減少し、細胞内のsiRNAの正味蓄積が増加し、これは他のプロピルアクリル酸含有バイオ結合体と同様である。siRNAと細胞膜との間の静電気的な反発に基づくと、全てのポリマー配合物は、担体と複合されていないsiRNA(裸のsiRNA)に比べて、細胞による取り込みが非常に大きい(25倍まで)ことが示された。4時間後のみの細胞の23%までの複合されたsiRNAの内部移行は、治療学的有効性のために非常に有望であり、それにより累積的な取り込みは恐らく完全な48時間治療後に非常に高くなるであろう。加えて、siRNA活性は、触媒作用性であると考えられ、細胞質内で再利用され、複数のmRNAの転写物を破壊し、そのために長時間、多世代効果を有すると考えられる。
【0144】
ポリマー担体の非特異的な細胞障害性が、電荷比4:1での複合体の存在においてHeLa細胞を24時間インキュベートすることにより試験した。高い相対的な生存が全ての試験されたポリマーについて観察された(24時間後に>90%)。合成ポリマー、特にカチオン性ポリマーは、かなりの細胞障害性に関連し得る。例えば、PEIは、種々の細胞株においてアポトーシスおよび/またはネクローシスのトリガーとなることが示されている。この毒性は、ポリカチオン性セグメントを親水性セグメントで化学的に修飾することにより減少できるが、しかしながら、通常は効果と毒性は交換条件である。このアプローチにおいて、ポリマー送達媒体の電荷が中性化された第2のブロックの使用が、恐らく培養HeLa細胞のインビトロの高い生存性を維持した。
【0145】
担体のsiRNAを効果的に送達する能力を、GAPDHに対するノックダウン実験で、全てのポリマーから理論上の電荷比4:1で形成された複合体を用いて試験した。GAPDHタンパク質レベルは、複合体での処理後48時間で評価した。ポリマー担体1〜3は、タンパク質レベルの減少に効果がなく、恐らくこれはそれらのエンドソーム逸脱を媒介しないことによると思われた。しかしながら、GAPDHタンパク質減少は、ポリマー4のsiRNA担体としての使用で明らかになった。タンパク質のノックダウンは、担体のBMA含有量のエンドソーム溶解性ブロック(ポリマー7)の48%にまで増加したときに更に増加した。ポリマーP7は、タンパク質のsiRNAノックダウンを媒介する最も高い能力を示し、そこにおいてGAPDHは、コントロールの32%までに減少した。更にコントロールsiRNAはGAPDHタンパク質レベルにおいて無視できる減少しか示さなかった。
【0146】
更に、担体の有効性を特徴付けるために、ポリマーをそれらのGAPDHのmRNAレベルのノックダウンする能力について分析した。RT-PCRによる評価したとき、タンパク質測定と同様に、ポリマー1〜3はmRNAシグナルの減少を全くもって殆ど誘発しなかった。再度、ポリマーP4〜P7は、エンドソーム溶解性ブロックのBMA含有量の増加に伴って、GAPDHのノックダウンの増加が見られた。特に、GAPDHのノックダウンは、電荷比が4:1でポリマーP4、P5、P6およびP7の夫々について、コントロールの39%、30%、31%および21%まで減少した。全体的に、結果は、疎水性ドメインの添加、特に、ここで利用される通りのN-オレイル部分、フェニルアラニン残基およびメタクリル酸ブチルなどがトランスフェクションを増大することが見出されているDNAに関する送達戦略を試験している他のグループからの知見と一致している。
【0147】
更に、表2のポリマーおよび同様な構造(P7v6などのP7の種々の変形を含み、それはPRx0729v6とここにおいて交換可能に使用される)を含むP7の遺伝子ノックダウンを媒介する能力についての研究を、電荷比およびsiRNA容量に関して行った。理論上の電荷比の変化は、遺伝子ノックダウンに大きな影響を及ぼすことが明らかになった。GAPDHは、電荷比が1:1、2:1、4:1および8:1で夫々、コントロールレベルの51%、42%、21%および14%まで減少された。特に4:1および8:1の電荷比で、遺伝子ノックダウンは、商業的に入手可能な担体であるハイパーフェクト(HiPerFect)と同等であり、そこにおいて、GAPDHレベルは、80%を超えて減少された。重要なことは、GAPDHレベルにおける効果は送達されるsiRNAに特異的であり、コントロールsiRNAが電荷比8:1で利用できるとき、GAPDHレベルにおける有意な効果はない。電荷比の変化は、ナノ粒子内のsiRNAの凝縮に異なるレベルを生じた。DLS試験は、複合体におけるコポリマー含有量の増加が結果としてより凝縮した粒子を生じることを示した(表3)が、これらの機能性の研究はより緻密な粒子は、より効率的な内部移行を可能にするか、またはsiRNAの生物学的利用能を増加を伴うことを示唆している。これらの知見は、より緻密なDNA/ポリエチレンイミンおよびDNA/ポリリジン複合体がより高率での内部移行させ、より高いトランスフェクション効率を達成することを示す以前の報告と一致する。電荷比4:1でのP7を使用する用量反応試験を行った。GAPDH遺伝子発明において1nMまたは5nMのsiRNAでは殆ど応答はなかったが、発現は、10 nM、25 nMまたは50 nMのsiRNAをポリマー7を用いて送達した場合に、コントロールの77%、21%および12%にまで減少した。ノックダウンアプローチのこのレベルは、商業的に入手可能なポジティブコントロールであるハイパーフェクトの50nMの使用で見られた。しかしながら、ポリマー7を含む全てのポリマーは、高い生体適合性を示し、これはハイパーフェクトと比較しての非特異的な細胞障害性により測定された通りである。インビボ適用に対する翻訳について、高用量のsiRNA(25〜50 nM)で遺伝子ノックダウンの有意なレベルが達成されたが、標的外の影響を避けるためにsiRNAの低用量の使用により有意な減少を達成することがより望ましい。幾つかの態様において、これは、ポリマー/siRNA粒子のより効率的な取り込みにより達成され、恐らく最良はターゲティングリガンドにより達成される。
【0148】
[使用]
ある態様において、対象に対して投与され、最終的に対象の細胞内に送達される本発明のポリヌクレオチドは、好ましくはDNA、RNAまたはその合成された類似体である。標的遺伝子の発現を阻害することが可能なDNA/RNAおよびその類似体に関して、これらは、例えば、アンチセンスポリヌクレオチド、miRNAおよびsiRNAを含むが、これらに限定するものではない。
【0149】
本発明のポリマーおよび/またはポリマー:ポリヌクレオチド複合体を用いて任意に治療される疾患は、これらに限定するものではないが、病原体疾患、癌、炎症性疾患、酵素欠損、代謝の先天性な誤り、感染、自己免疫疾患、心血管性疾患、神経性疾患、神経変性疾患、神経筋性疾患、血液疾患および凝固疾患を含む。
【0150】
以下の例は、説明の目的のためのものであり、本発明を制限すると解釈されるべきではない。ここにおいて引用される全ての出版物は、引用によって出版物が記載することについての情報のために組み込まれる。
【0151】
[例]
本発明の記載を通して、種々の公知の頭接語および略語が、モノマーのポリマー化に由来するモノマーまたはモノマー残基を記載するために使用される。他の記載による限定のない限り;「BMA」(または速記的な記号に相当する文字「B」)は、メタクリル酸ブチルまたはそれに由来するモノマー残基を表す;「DMAEMA」(または速記的な記号に相当する文字「D」)はN,N-ジメチルアミノエチルメタクリレートまたはそれに由来するモノマー残基を表す;「Gal」は、任意にヒドロキシル保護部分(例えば、アセチル)を含むガラクトース残基またはそのペジレート化(pegylated)された誘導体(以下に記載される通り)を表す;HPMAは、2-ヒドロキシプロピル メタクリレートまたはそれに由来するモノマー残基を表す;「MAA」はメチルアクリル酸またはそれに由来するモノマー残基を表す;「MAA(NHS)」はメタクリル酸のN-ヒドロキシル-スクシンイミドエステルまたはそれに由来するモノマー残基を表す;「PAA」(または速記的な記号に相当する文字「P」)は、2-プロピルアクリル酸またはそれに由来するモノマー残基を表す、「PEGMA」は、ペジレートされたメタクリルモノマー、CH3O(CH2O)7-8OC(O)C(CH3)CH2またはそれに由来するモノマー残基を表す。各々の場合において、何れのそのような明示は、(その全ての塩またはイオン性類似体を含む)モノマーまたはそのモノマーのポリマー化に由来するモノマー残基(その全ての塩またはイオン性類似体を含む)を示し、特異的に指示される形態は、前後関係から当業者には明白である。
【0152】
例1:ジブロックポリマーおよびコポリマーの製造
以下の一般式のジブロックポリマーおよびコポリマーが製造される:
[A1x-/-A2y]n -[B1x-/-B2y-/-B3z]1-5n
ここにおいて、[A1-A2]は、第1のブロックコポリマーであり、モノマーA1およびA2の残基からなる;
[B1-B2-B3]は、第2のブロックコポリマーであり、モノマーB1、B2、B3の残基からなる;
x、y、zは、モノマー残基のモル%のポリマー組成である;
nは分子量である。
【0153】
例示的なジブロックコポリマー:
[DMAEMA]-[B-/-P-/-D]
[PEGMAw]-[B-/-P-/-D]
[PEGMAw-DMAEMA]-[B-/-P-/-D]
[PEGMAw-MAA(NHS)]-[B-/-P-/-D]
[DMAEMA-/-MAA(NHS)]-[B-/-P-/-D]
[HPMA-/-PDSM]-[B-/-P-/-D]
ここにおいて:
Bは、メタクリル酸ブチルであり、
Pは、プロピルアクリル酸であり、
Dは、DMAEMAであり、これはジメチルアミノエチルメタクリレートであり、
PEGMAは、ポリエチレングリコールメタクリレートであり、ここにおいて、例えば、w = 4〜5または7〜8のエチレンオキシドユニットであり)、
MAA(NHS)は、メチルアクリル酸-N-ヒドロキシスクシンイミドであり、
HPMAは、N-(2-ヒドロキシプロピル)メタクリルアミドであり、
PDSMは、ピリジルジスルフィドメタクリレートである。
【0154】
これらのポリマーは、構造を表し、ここにおいてポリマーまたはコポリマーの第1のブロックの組成は、ポリマーを形成するために多様であるか、または化学的に処理されており、ここにおいて第1のブロックは、中性(例えば、PEGMA)、カチオン性(DMAEMA)、アニオン性(PEGMA-NHS、ここにおいてNHSは、酸に加水分解されている)、両性電解性(DMAEMA-NHS、ここにおいてNHSは、酸に加水分解されている)、または双性イオン(例えば、ポリ[2-メタクリロイロキシ-2'トリメチルアンモニウムエチルホスフェート])である。加えて、[PEGMA-PDSM]-[B-P-D]ポリマーは、第1のブロックにおけるピリジルジスルフィド官能性を含み、これはチオール化されたsiRNAと反応して、ポリマー-siRNA結合体を形成できる。
【0155】
例1.1:RAFTによるブロックコポリマーの製造のための一般的な合成手順
A.RAFT鎖移行剤(RAFT chain transfer agent)
以下のRAFTポリマー化のために利用できる鎖移行剤(CTA)、4-シアノ-4-(エチルスルファニルチオカルボニル)スルファニルペンタン酸(ECT)の合成は、モアドらによる手順を変更した(Moad et al., ポリマー, 2005, 46(19): 8458-68)。即ち、エタンチオール(4.72 g、76 mmol)を10分掛けて、10℃で撹拌されているジエチルエーテル(150ml)中の水素化ナトリウム(油中60%)( 3.15 g、79 mmol)の懸濁液に対して添加した。この溶液を次に、10分間撹拌し、次に二硫化炭素(6.0 g、79 mmol)を添加した。粗S-エチルトリチオカルボネートナトリウム(7.85 g、0.049 mol)を濾過により回収し、ジエチルエーテル(100mL)に懸濁し、ヨウ素(6.3 g、0.025 mol)と反応させた。1時間後、溶液を濾過し、水性溶液チオスルフェートで洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥した。粗ビス(エチルスルファニルチオカルボニル)ジスルフィドを次に回転蒸発により単離した。ビス(エチルスルファニルチオカルボニル)ジスルフィド(1.37 g、0.005 mol)と4,4'-アザビス(4-シアノペンタン酸)( 2.10 g、0.0075 mol)とのエチルアセテート(50mL)中の溶液を還流で18時間加熱した。溶液の回転蒸発に続いて、粗4-シアノ-4(エチルスルファニルチオカルボニル)スルファニルペンタン酸(ECT)を、固定相としてシリカゲルを、50:50のエチルアセテートヘキサンを溶離液として使用するカラムクロマトグラフィにより単離した。
【0156】
B.ポリ(N,N-ジメチルアミノエチルメタクリレート)マクロ鎖移行剤(ポリDMAEMA マクロCTA)
DMAEMAのRAFTポリマー化を30℃のDMF中で、窒素雰囲気下で18時間に亘り、ECTおよび2,2'-アゾビス(4-メトキシ-2.4-ジメチルバレロニトリル)(V-70)(Wako chemicals)をラジカル開始剤として使用して行った。CTAに対する最初のモノマーの比(([CTA]0/[M]0)は、100%の変換で理論上のMnが10,000(g/mol)となるような値であった。最初のCTAの開始剤に対する比は([CTA]o/[I]o)は10対1である。生成されたポリDMAEMAマクロ鎖移行剤をv:vで50:50のジエチルエーテル/ペンタンへの沈殿により単離した。生成されたポリマーをアセトン中に再溶解し、続いてペンタン(x3)で沈殿させ、減圧で一晩乾燥した。
【0157】
C.ポリ(DMAMEA)マクロCTAからのDMAEMA、PAAおよびBMAのブロックコポリマー化
所望の化学量論的な量のDMAEMA、PAAおよびBMAをN,N-ジメチルホルムアミド中のポリ(DMAMEA)マクロCTA(溶媒に対して25重量%モノマーおよびマクロCTA)に対して添加した。全てのポリマー化のために、[M]o/[CTA]o and [CTA]o/[I]oをそれぞれ250:1および10:1とした。V70の添加に続いて、溶液を窒素で30分間パージし、30℃で18時間反応させた。生成されたジブロックコポリマーをv:vで50:50のジエチルエーテル/ペンタンに沈殿させて単離した。沈殿したポリマーを次にアセトンに再溶解し、続いてペンタン(x3)で沈殿させ、減圧下で一晩乾燥した。ゲル浸透クロマトグラフィHy(GPC)を使用して分子量および多分散性(PDI、Mw/Mn)をDMF中のポリ(DMAEMA) マクロCTAおよびジブロックコポリマーサンプルの両方についてポリメチルメタクリレート標準に関して測定した(一連のViscotek GPCmax VE2001および屈折計 VE3580 (Viscotek, Houston, TX)に連結されたSEC Tosoh TSK-GEL R-3000 および R-4000カラム (Tosoh Bioscience, Montgomeryville, PA)。1.0 重量% のLiBrを含むHPLC-グレードDMFを移動相として使用した。図1Aは、幾つかのRAFT合成されたポリマーの分子量および組成の概要である(PRx0729v6は本適用および種々の優先的な適用においてP7v6と交換可能に使用される)。図1Bは、幾つかのRAFT合成されたポリマーの分子量、粒子サイズおよび組成の概要である。
【0158】
例1.2.DMAEMA、PAAおよびBMAのポリ(DMAMEA)マクロCTAからの第2のブロック(B1-B2-B3)コポリマー化の製造
所望の化学量論的な量のDMAEMA、PAAおよびBMAをN,N-ジメチルホルムアミドに溶解されたポリ(DMAMEA)マクロCTA(溶媒に対して25重量%モノマーおよびマクロCTA)に対して添加した。全てのポリマー化のために、[M]o/[CTA]o and [CTA]o/[I]oをそれぞれ250:1および10:1とした。AIBN添加に続き、溶液を窒素で30分間パージし、68℃で6〜12時間反応させた(図2)得られたジブロックコポリマーをv:vで50:50のジエチルエーテル/ペンタンで沈殿させて単離した。沈殿したポリマーを次にアセトンに再溶解し、続いてペンタン(x3)で沈殿させ、減圧下で一晩乾燥した。ゲル浸透クロマトグラフィHy(GPC)を使用して分子量および多分散性(PDI、Mw/Mn)をDMF中のポリ(DMAEMA) マクロCTAおよびジブロックコポリマーサンプルの両方についてViscotek GPCmax VE2001および屈折計VE3580(Viscotek, Houston, TX)を用いて測定した。1.0 重量% のLiBrを含むHPLC-グレードDMFを移動相として使用した。CDCl3中でのNMR分光法を使用して、ポリマー構造を確認し、第2のブロックの組成を計算した。図2は、[PEGMAw]-[B-P-D] ポリマーの合成の概要であり、ここで、w = 7〜8である。図3A、3Bおよび3Cは、[PEGMAw]-[B-P-D] ポリマーの特徴決定の概要であり、ここにおいて、w = 7〜8である。
【0159】
例1.3.PEGMA-DMAEMAコポリマーの製造および特徴決定
ポリマー合成は、例1.1および1.2において記載した手順と同様に行った。第1のブロックにおけるPEGMおよびDMAEMAの比は、個々のモノマーの異なる供給比を用いることにより変更して、図4に記載するコポリマーを形成した。
【0160】
例1.4.PEGMA-MAA(NHS)コポリマーの製造および特徴決定
ポリマー合成は、所望の第1のブロックコポリマーの組成を得るためのモノマー供給比を用いて、例1.1および1.2において記載した手順と同様に行った(図5に概要を示す)。図6A、6Bおよび6Cは、[PEGMAw-MAA(NHS)]-[B-P-D] ポリマーの合成および特徴決定の概要であり、ここにおいて、第1のブロックにおけるモノマーのコポリマー比は、70:30である。ポリマーを含むNHSを水性緩衝液中(ホスフェートまたはバイカルボネート)で室温または37℃で1〜4時間7.4〜8.5のpHでインキュベートし、加水分解(酸性)型を生じた。
【0161】
例1.5.DMAEMA-MAA(NHS) コポリマーの製造および特徴決定
ポリマー合成は、所望の第1のブロックコポリマーの組成を得るためのモノマー供給比を用いて、例1.1および1.2において記載した手順と同様に行った。図7A、7Bおよび7Cは、[DMAEMA-MAA(NHS)]-[B-P-D] ポリマーの合成および特徴決定の概要であり、ここにおいて、第1のブロックにおけるモノマーのコポリマー比は70:30である。ポリマーを含むNHSを、水性緩衝液中(ホスフェートまたはバイカルボネート)で室温または37℃で1〜4時間7.4〜8.5のpHでインキュベートし、加水分解(酸性)型を生じた。
【0162】
例2.siRNA薬物送達のためのHPMA-PDS(RNA) コポリマー 結合体の製造および特徴決定
A. ピリジルジスルフィド メタクリレートモノマー(PDSMA)の合成
PDSMA のための合成スキームを図8に概要する。アルドリチオール-2(Aldrithiol-2)TM (5 g,
22.59 mmol)を40mlのメタノールおよび1.8mlのAcOH中に溶解した。その溶液を、20mlのメタノール中の2-アミノエタンチオール.HCl(1.28 g、11.30 mmol)の溶液として30分間掛けて添加した。反応物をN2下で48時間室温で撹拌した。溶液の蒸発後、残渣油を40mlのジエチルエーテルで2回洗浄した。粗化合物を10mlのメタノールに溶解し、生成物を50mlのジエチルエーテルで沈殿し、所望の化合物1を淡黄色固体として、95%の収率で得た。
【0163】
ピリジンジチオエチルアミン(1, 6.7 g、30.07 mmol)およびトリエチルアミン(4.23 ml、30.37 mmol)をDMF(25ml)に溶解し、ピリジン(25ml)およびメタクリロイルクロライド(3.33 ml、33.08 mmol)をゆっくりとシリンジを介して0℃で添加した。反応混合物を2時間室温で撹拌した。反応後、反応を飽和NaHCO3(350ml)によりクエンチし、エチルアセテート(350ml)により抽出した。合わせた有機層を更に10%のHCl(100 ml、1回)で洗浄し、純水(100 ml、2回)で洗浄し、MaSO4により乾燥した。純粋な生成物をカラムクロマトグラフィ(EA/Hex : 1/10 〜 2/1)により精製して黄色シロップを得た。Rf = 0.28 (EA/Hex = 1/1)。収率: 55 %。
【0164】
B. HPMA-PDSMA コポリマー合成
N-(2-ヒドロキシプロピル)メタクリルアミド (HPMA)およびピリジルジスルフィドメタクリレート(典型的には70:30 モノマー比で)のRAFTポリマー化をDMF(50重量パーセントモノマー:溶液)中で68℃で窒素雰囲気下で8時間2,2'-アゾ-ビス-イソブチリルニトリル(AIBN)をフリーラジカル開始剤として使用して行った(図 9)。CTAのAIBNに対するモル比は10:1であり、モノマーのCTAに対する比は、100%変換された場合に25,000 g/molの分子量が達成されるように設定される。ポリ(HPMA-PDS) マクロCTAを、ジエチルエーテル中へのメタノールからの繰り返しての沈殿により単離した。
【0165】
マクロCTAを真空下で24時間乾燥し、次にジメチルアミノエチルメタクリレート(DMAEMA)、プロピルアクリル酸(PAA)およびメタクリル酸ブチル(BMA)のブロックコポリマー化のために使用した。DMAEMA、PAAおよびBMAの等モル量 ([M]o / [CTA]o = 250)をN,N-ジメチルホルムアミドに溶解したHPMA-PDSマクロCTAに対して添加した(溶媒に対して25重量%のモノマーおよびマクロCTA)。ラジカル開始剤AIBNをCTAの開始剤比が10:1で添加した。ポリマー化を、窒素雰囲気下で8時間68℃で行った。その後、生成されたジブロックポリマーを50:50のジエチルエーテル/ペンタンへの4回の沈殿と沈殿の間のエタノールへの再溶解によって単離した。生成物を1回ジエチルエーテルで洗浄し、減圧下で一晩乾燥した。
【0166】
C. HPMA-PDSMA コポリマーに対するsiRNA結合
チオール化したsiRNAをジスルフィド修飾された5'-センス鎖を含む2本鎖RNAとして商業的に得た(Agilent, Boulder, CO)。結合のために遊離したチオール形態を凍結乾燥した化合物を水に溶解して調製し、1時間、アガロースゲルに固定化されたジスルフィド還元剤TCEPで処理した。還元されたRNA(400μM)を次に24時間、5mMエチレンジアミン四酢酸(EDTA)を含むホスフェート緩衝液(pH7)中のピリジルジスルフィド官能性化ポリマーと反応させた(図9)。
【0167】
ピリジルジスルフィドポリマーとRNA チオールとの反応により、2-ピリジンエチオンを形成し、これは分光光度的に測定され、結合効率を特徴決定する。更にジスルフィド交換について検査するために、結合体をSDS-PAGE 16.5% トリシンゲル上を泳動した。並行して、結合反応物のアリクウォットを固定化されたTCEPでSDS-PAGEに先駆けて処理し、ポリマーからのRNAの放出を確認した。結合反応は、ポリマー/RNA化学量論的に1、2および5で行う。UV 分光光度的な吸収を343nmで2-ピリジンエチオン放出のために使用し、結合効率を測定した。
【0168】
例3.siRNA/ポリマー複合体の特徴決定
完全に血清安定性siRNA複合体のガロースゲル遅延を介した検査の後、siRNA/ポリマー複合体をサイズとゼータ電位についてZetaPALS 検出器 (Brookhaven Instruments Corporation, Holtsville, NY, 15 mW laser, incident beam = 676 nm)を用いて特徴決定した。即ち、ポリマーを0.1 mg/mlでホスフェート緩衝生食水 (PBS, Gibco)中に調製し、ポリマーを正に荷電されている DMAEMAに基づいてGAPDH siRNA (Ambion)に対して記載された理論上の電化比で添加することにより、複合体を形成した(pH7.4で50%プロトン化され、負に電荷されたsiRNAである)。相関関数を90°のスキャッタリング角で補正し、粒子サイズを粘度および25℃の水の屈折インデックスを用いて計算した。粒子サイズは、Log-正規分布を仮定した有効直径として示す。平均電気泳動移動性を25℃でZetaPALS ゼータ電位分析ソフトウエアを使用して測定し、ゼータ電位を水性懸濁液のためのスモルコフスキーモデルを用いて計算した。
【0169】
例4.HeLa細胞培養
HeLa、ヒト子宮頸癌細胞 (ATCC CCL-2)をL-グルタミン (Gibco)、1%のペニシリン-ストレプトマイシン (Gibco)および10% ウシ胎仔血清 (FBS, Invitrogen)を含むミニマムエッセンシャルメディウム (MEM)中に37℃および5%CO2で維持した。
【0170】
例5:担体およびsiRNA/ポリマー複合体のpH依存性膜破壊
溶血を用いて、遊離ポリマーおよびsiRNA/ポリマー結合体の両方の潜在的なエンドソーム溶解性活性をエンドソーム輸送を擬似するpH値 (細胞外 pH = 7.4、初期エンドソーム pH = 6.6、および後期エンドソーム pH = 5.8)で測定した。即ち、ヒト全血をEDTAを含むバキュテイナー(vaccutainer)に採取した。血液を遠心し、血漿を吸引し、150nMのNaCl中で3回洗浄し、赤血球(RBC)を単離した。RBCを次に、pH7.4、pH6.6またはpH5.8でホスフェート緩衝液に再懸濁した。ポリマー (10 ug/ml) またはポリマー/siRNA複合体を次にRBCと1時間、37℃でインキュベーションした。無傷なRBCを次に遠心し、上清に放出されたヘモグロビンを541nmでの吸光度により測定し、pH依存性RBC膜溶解性の指標とした。図10Aは、10 μg/mlの濃度でのポリマーの溶血を示し、図10Bは、理論上の電荷比が1:1および4:1でのポリマー5〜7のポリマー/siRNA複合体を示す。溶血性活性は、ポジティブコントロール、1体積%のTriton X-100に対して相対的に正規化し、トリプリケート±標準偏差において行われた単一の実験からのデータを示す。
【0171】
例6.担体媒介siRNA取り込みの測定
siRNA/ポリマー複合体の細胞内取り込みをフローサイトメトリー(Becton Dickinson LSR benchtop analyzer)を使用して測定した。Helaを15,000cells/cm2で播種し、一晩掛けて接着させた。FAM (5-カルボキシフルオレシン(carboxyfluorescine))で標識したsiRNA(Ambion)を理論上の電荷比4:1のポリマーと30分間室温で複合させ、次に、プレートに播種されたHeLaに最終siRNA濃度25nMで添加した。4時間の複合体とのインキュベーションの後、細胞をトリプシン処理し、0.5%のBSAおよび0.01トリパンブルーを含むPBSに懸濁した。トリパンブルーを以前に記載された通りに細胞外フルオレシンのクエンチングと、細胞により飲食運動された複合体の識別のために利用した。10,000細胞をサンプル当たりについて分析し、蛍光の増大を未処理でポリマーがFAM標識siRNAと複合されていないサンプルを用いて測定した。図11は、4時間に亘り送達されたHeLa細胞のFAM標識siRNAおよびポリマー4〜7で形成したポリマー/siRNA複合体の内部移行を示す。データはトリプリケートで行った3つの独立した試験からのものであり、平均値の標準誤差を示すエラーバーを付して表す。
【0172】
例7:siRNA/ポリマー複合体細胞傷害性
siRNA/ポリマー複合体の細胞傷害性を乳酸脱水素酵素(LDH)細胞毒性検出キット(Roche)を用いて測定した。HeLa細胞は、96ウェルプレートに1ウェル当たり12,000の密度で細胞を播種し、一晩接着させた。複合体は、GAPDH siRNAに対して理論上の電荷比が4:1のポリマー(0.1 mg/ml ストック溶液)を添加し、1ウェル当たり25nMのsiRNAの濃度を達成することにより形成した。複合体 (電荷比= 4:1)をトリプリケートでウェルに対して添加した。細胞を24時間、ポリマー複合体とのインキュベーションした後に、培地を除去し、細胞をPBSで2回洗浄した。細胞を次に、溶解緩衝液(100 uL/well、20 mM Tris-HCl、pH 7.5、150 mM NaCl、1 mM Na2EDTA、1 mM EGTA、1% Triton、2.5 mMピロホスフェートナトリウム、1 mM β-グリセロホスフェート、1 mM オルトバナデートナトリウム)で1時間、4℃で溶解した。ピペッティングによる混合の後、20 uLの細胞溶解物をPBS中で1:5に希釈し、乳酸脱水素酵素(LDH)を100μLのLDH基質溶液と混合することにより定量した。色素形成のために10〜20分のインキュベーションした後、490nmでの吸光度を参照設定650nm内で測定した。
【0173】
図12A は、非特異的な HeLa細胞傷害性を示し、図12Bは、siRNAポリマー担体の機能としてのGAPDHノックダウンを示す。HeLa細胞は、理論上の電荷比が4:1で形成されたポリマー/siRNA複合体を使用して25nMでGAPDHに対してsiRNAで形質導入された。(A) 24時間後、細胞溶解物を回収し、乳酸脱水素酵素についてアッセイし、細胞生存度の測定し、データは比処理の細胞と相対して示す。(B) 48時間後、タンパク質(黒)およびmRNAレベル(白)の両方をGAPDH酵素活性アッセイおよびRT-PCRをそれぞれ使用して検査し、データは、未処理の細胞と相対して示す。データは、トリプリケートで独立して行った実験からのものであり、標準偏差を表すエラーバーを付与して示す。
【0174】
例8:siRNA/ポリマー複合体によるGAPDHタンパク質と遺伝子ノックダウンの評価
siRNA送達のための一連のポリマーの有効性をGAPDH活性アッセイ(Ambion)を用いてスクリーニングした。HeLa (12,000 cells/cm2) を96ウェルプレートに播種した。24時間後、複合体(電荷比= 4:1)を細胞に最終siRNA濃度が25nMとなるように10%の血清の存在下で添加した。siRNA媒介GAPDHタンパク質減少の範囲は、掲出導入後48時間に検査した。ポジティブコントロールとして、並行してノックダウンした実験をハイパーフェクト(Qiagen)を製造者の推奨する条件に従って使用して行った。GAPDH活性の維持は、製造者により記載された通りに、5分に亘る動態学的な蛍光増加法を使用して測定し、以下の方程式に従って計算した:% 発現維持= (蛍光、GAPDH)/(蛍光、未処理)、ここにおいて、蛍光=( 5分の蛍光)-(1分の蛍光)。siRNAの非ターゲティング配列を使用したとき、形質導入の手順は、GAPDH発現に有意な影響を与えなかった。図13Aは、電荷比(1:1〜8:1)で機能基としての複合体で処理した48時間後にリアルタイムRT-PCRを介して測定されたHeLaにおけるGAPDHノックダウンを示し、図13Bは担体としてポリマー7を有するsiRNA用量(1〜50nM)を機能基とする複合体で処理した48時間後のリアルタイムRT-PCRを経て測定されたHeLaにおけるGAPDHノックダウンを示す。ネガティブコントロールsiRNA#1(Ambion)と商業的に入手可能な形質導入試薬、ハイパーフェクト(Qiagen)をネガティブおよびポジティブコントロールとしてそれぞれ使用した。
【0175】
最も強いsiRNA媒介GAPDHノックダウンを生じる担体を同定するための最初のスクリーニングの後、リアルタイム逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)をsiRNA送達の直接の評価のために使用した。上記で形成された通りの複合体と48時間のインキュベーションを行った後、細胞をPBSで濯いだ。総RNAをQiagen's QiashredderおよびRNeasy mini kitを用いて単離した。サンプルに残った何れのDNAも消化(RNase-Free DNase Set, Qiagen)し、RNAをRiboGreen assay (Molecular Probes)を用いて製造者の指示に基づいて定量した。
【0176】
逆転写はOmniscript RT kit (Qiagen)を用いて行った。25 ngの総RNAサンプルをcDNA合成のために使用し、PCRをABI配列検出システム7000を使用し、GAPDHとハウスキーピング遺伝子としてのベータアクチンのために予め設計されたプライマーおよびプローブセット(Assays on Demand, Applied Biosystems)を使用して行った。反応液(計20μl)は、10 μL の2X Taqman Universal PCR Mastermix、1 μLのプライマー/プローブ、および2 μLのcDNA、20μlにするためのヌクレオチドを含まない水(Ambion)から構成された。以下のPCRパラメータを使用した95℃で90秒、次に、95℃で30秒および55℃で60秒で45サイクル。閾値サイクル(CT)分析を使用し、GAPDHを定量し、ベータアクチンに対して正規化し、未処理HeLaの発現と比較した。
【0177】
例9.ポリ[HPMA]-b-[(PAA)(BMA)(DMAEMA)]の機能性設計
図14は、ポリ[HPMA]-b-[(PAA)(BMA)(DMAEMA)]のために設計されたポリマーを示す。多機能的な特定が、ピリジルジスルフィド末端機能性化CTAを使用したRAFTポリマー合成戦略を経て組み込まれ、水可溶性およびpH依存性膜不安定化特性を有するために設計されたジブロック構造を形成した。図14において強調されているモノマー化学的機能性は、各ポリマーブロックの所望の特性を生成するために選択された。重要な点は、モジュール3が生理学的pHで電荷が中性の近くに設計されたことであり(略50%のDMAEMAプロトン化と50%のPAA脱プロトン化が予測される)、より疎水性への変化と低いpH環境において正に荷電されている状態への変化を受けている。
【0178】
例10.ピリジルジスルフィド-CTAの合成
図15に示した通りに、4-シアノ-4-(エチルスルフィニルチオカルボニル)スルフィニルペンタン酸(ECT)前駆体を合成した。ピリジルジスルフィド機能性化されたRAFT鎖移行剤 (CTA)をNHSエステルへのECTの第1の変換と、それに続く、ピリジンジチオ-エチルアミンとの反応により合成された。ECT (1.05 g、4 mmol)およびN-ヒドロキシスクシンイミド (0.460 g、4 mmol)を100 mLのクロロホルムに溶解した。その混合物を次に0℃に冷却し、そのときにN,N' ジシクロヘキシルカルボジイミド (0.865 mg, 4.2 mmol)を添加した。その溶液を0℃で1時間維持し、次に室温で22時間反応させた。その溶液を次に、濾過して、ジシクロヘキシルウレアを除去し、その溶液を回転蒸発により濃縮した。生成された固体を次に減圧下で乾燥し、何れの更なる精製もせずに使用した。次に、NHS ECT (1.80 g、5.0 mmol)およびピリジルジチオ-エチルアミン (0.90 g、5.0 mmoL)を別々にそれぞれ200mLおよび300mLのクロロホルムに溶解した。The solution of ピリジルジチオ-エチルアミンの溶液を次に、20分毎に3つに分けて滴下により添加した。その混合物を次に、室温で2時間反応させた。溶媒を除去した後、2つの逐次的なカラムクロマトグラフィ(シリカゲル 60, Merk)を行い(エチルアセテート:ヘキサンの体積比50:50、エチルアセテート:ヘキサンの体積比70:30)、粘性の橙色固体を得た。
【0179】
1H NMR 200MHz (CDCl3, RT, ppm) 1.29-1.41 [t, CH3CH2S: 3H], 1.85-1.93 [s, (CH3)C(CN): 3H], 2.33-2.59 [m, C(CH3)(CN)(CH2CH2): 4H], 2.86-2.97 [t, CH2SS: 2H], 3.50-3.61 [t, NHCH2: 2H], 7.11-7.22 [m, Ar Para CH: 1H], 7.46-7.52 [m, Ar CH Ortho: 1H], 7.53-7.62 [br, NH: 1H], 7.53-7.68 [m, Ar meta CH: 1H], 8.47-8.60 [m, meta CHN, 1H]。
【0180】
チオール反応性ポリマーの製造:ピリジルジスルフィド機能性化ポリ [HPMA]-b-[(PAA)(BMA)(DMAEMA)]のRAFTポリマー化。N-(2-ヒドロキシプロピル)メタクリルアミド (HPMA)のRAFTポリマー化をメタノール中(50重量%モノマー:溶媒)で70℃で窒素雰囲気下で8時間、フリーラジカル開始剤として2,2'-アゾ-ビス-イソブチリルニトリル (AIBN)を使用して行った。CTAのAIBNに対するモル比は10対 1であり、モノマーのCTAに対する比は100%の変換が達成した場合に25,000g/molの分子量となるように設計された。ポリ(HPMA) マクロCTAは、メタノールからのジエチルエーテルへの繰り返しの沈殿により単離した。
【0181】
マクロCTAは24時間の減圧下で乾燥し、次にジメチルアミノエチルメタクリレート(DMAEMA)、プロピルアクリル酸 (PAA)およびメタクリル酸ブチル (BMA)のブロックコポリマー化のために使用した。DMAEMA、PAAおよびBMAの等モル量([M]o / [CTA]o = 250)を、N,N-ジメチルホルムアミド(25重量%モノマーおよびマクロCTAの溶媒に対する)に溶解されたHPMAマクロCTAに添加した。ラジカル開始剤V70をCTAと当初比10対1で添加した。ポリマー化を窒素雰囲気下で18時間30℃で進行させた。その後、生成されたジブロックポリマーを4回の50:50ジエチルエーテル/ペンタンへの沈殿により単離し、沈殿の間ではエタノールに再溶解した。生成物を次に1回、ジエチルエーテルで洗浄し、減圧下で一晩乾燥した。
【0182】
ゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)を使用し、分子量および多分散性 (Mw/Mn、PDI)をポリ(HPMA)マクロCTAとジブロックポリマーの両方についてDMF中で測定した。分子量計算は、60℃で移動相として1.0 重量% のLiBrを含むHPLCグレードDMFを用いたカラム溶出時間に基づいて、ポリメチルメタクリレート標準と相対して得た。Tris(2-カルボキシエチル)ホスフィンハイドロクロライド (TCEP)を使用して、そのポリマー末端ピリジルジスルフィドを還元し、2-ピリジンエチオンを放出した。実験的に測定されたポリマー分子量およびモル濃度に基づいて、343nmでの2-ピリジンエチオンの吸光度係数を水性溶媒において測定し、ポリ(HPMA)マクロCTAおよびジブロックコポリマーについて末端基保存率(%)を測定した。
【0183】
例11.ポリマー-ペプチド結合体
ペプチド伝達ドメインペプチドトランスポルチン(アンテナペディアペプチド(Antp)として公知)配列との融合が、カルボキ末端システイン残基を含むBak-BH3ペプチド(Antp-BH3)の細胞内部移行型を合成するために利用された(NH2-RQIKIWFQNRRMKWKKMGQVGRQLAIIGDDINRRYDSC-COOH)。結合体のための遊離チオールを保証するために、ペプチドを水中で再構築し、1時間、アガロースゲルに固定化されたジスルフィド還元剤TCEPで処理した。還元されたペプチド(400μM)を次に、24時間、ピリジルジスルフィド末端修飾化ポリマーと、5mMのエチレンジアミン四酢酸(EDTA)を含むホスフェート緩衝液(pH7)において反応させた。
【0184】
図16に示すとおり、reaction of the ピリジルジスルフィドポリマー末端基とペプチドシステインの反応は、2-ピリジンエチオンを形成し、それは、分光光度的に結合効率を特徴決定するために測定することが可能である。更にジスルフィド交換について検査するために、結合体をSDS-PAGE 16.5% トリシンゲル上を泳動した。並行して、結合反応物のアリクウォットを固定化されたTCEPでSDS-PAGEに先駆けて処理し、還元性環境におけるポリマーからのRNAの放出を確認した。
【0185】
結合反応は、ポリマー/RNA化学量論的に1、2および5で行う。UV 分光光度的な吸収を343nmで2-ピリジンエチオン放出のために使用し、結合効率はそれぞれ40%、75%およい80%を示した(2-ピリジンエチオンのモル/ペプチドのモル)。SDS PAGEゲルが利用され、更にペプチド-ポリマー結合体を特徴決定した(図17)。ポリマー/ペプチドのモル比が1で、検出可能な量のペプチドが、末端のシステインを介するジスルフィド架橋によりダイマーを形成した。しかしながら、ピリジルジスルフィドに対するチオール反応が支持され、遊離ペプチド結合は、最早、2または2よりも大きいポリマー/ペプチド比は可視ではなくなった(図 17 A)。
【0186】
結合体の還元剤TCEPでの処理により、これらのサンプルにおけるペプチドバンドが見られることにより示されるポリマー-ペプチドジスルフィド結合を形成することが可能になった(図17 B)。
【0187】
例12.ポリ[HPMA]-B-[(PAA)(BMA)(DMAEMA)]pH依存性膜不安定化特性
ポリマーの潜在的なエンドソーム溶解性活性を評価するために、膜破壊アッセイを利用して、図18に示すような脂質二重膜のpH依存性破壊のトリガーとなる当該ポリマーの能力を測定した。ヒト全血を吸引し、血漿を除去するために遠心した。残った赤血球を150mMのNaCl中で3回洗浄し、生理学的pH(pH7.4)、初期エンドソーム(pH6.6)および後期エンドソーム(pH5.8)環境に対応するホスフェート緩衝液に再懸濁した。ポリマー(1〜40μg/mL)または1%のTriton X-100を赤血球懸濁液に添加し、37℃で1時間インキュベーションした。無傷な赤血球を遠心によりペレットにし、上清中のヘモグロビン含有量を吸光度541nmにより測定した。溶血のパーセンテージをTriton X-100と相対して決定した。ポリマー溶血性は、1〜40μg/mLの範囲の濃度で定量し、1%のTriton X-100に相対した。この実験は、2回トリプリケートで行って完結し、同様な結果を得た。データは、トリプリケートにおいて行った単一の実験からのものであり、±標準偏差として示す。
【0188】
赤血球溶血は、生理学的pHに擬似するpH値(7.4)、初期エンドソーム(6.6)および後期エンドソーム(5.8)環境で、ジブロックコポリマーのpH依存性膜破壊特性を測定する。生理学的pHで、有意性のない赤血球膜破壊が40μg/mLの濃度のポリマーでさえも観察された(図18)。しかしながら、pHがエンドソームの値に対してより低い場合、溶血における有意な増加が検出され、6.6に比較してより強力な膜破壊がpH5.8で得られた。ポリマーの溶血性挙動はポリマー濃度に相関し、pH5.8の緩衝液中では40μg/mLで70%近くの赤血球溶血が生じた。エンドソームのpHで膜不安定化高次構造に対するこの鋭い「スイッチ」は、生理学的pHの範囲における無視できる膜活性はこのポリマーが潜在的に非毒性の細胞内送達媒体であることを示す。
【0189】
例13.HeLa細胞への細胞内送達の特徴決定
HeLa、ヒト子宮頸癌細胞 (ATCC CCL-2)をL-グルタミン (Gibco)、1%のペニシリン-ストレプトマイシン (Gibco)および10% ウシ胎仔血清 (FBS, Invitrogen)を含むミニマムエッセンシャルメディウム (MEM)中に37℃および5%CO2で維持した。実験に先駆けて、HeLaを、顕微鏡観察のために8ウェルチャンバースライド内に(1ウェル当たり20,000細胞)、他のアッセイのために96ウェルプレートに(1ウェル当たり10,000細胞) 一晩接着させた。ポリマー-ペプチド結合体およびコントロールを1%のFBSを含むMEMに添加した。
【0190】
ポリマー細胞内送達の潜在性は、Antp(ペネトラチン)細胞貫通性ペプチドと融合されたBak-BH3ペプチドに対する以下のバイオ結合体を評価した。AntpHasに対するBH3融合は、細胞トランスロケーションドメインとして広範に研究されており、以前にアポトーシスシグナリングのトリガーであることが見出されている(Li et al. Neoplasia (New York, N.Y. 2007;9(10):801-811)。しかしながら、ペプチド伝達ドメインを介する治療学的な送達が、細胞内小胞内で隔絶しているために、回転効力を受ける可能性があると考えられる(Sugita et al. British Journal of PHarmacology. 2008;153(6):1143-1152)。以下のインビトロ研究は、Antp-BH3ペプチド細胞質送達とプロアポトーシス機能性との組み合わせがジブロックポリマーに対する結合により増強されることを示す。
【0191】
結合体のエンドソーム逸脱の顕微鏡による解析。アミン反応性のAlexa-488スクシンイミジルエステルを1対1モル比でAntp-BH3ペプチドと無水ジメチルホルムアミド(DMF)中で混合した。未反応のフルオロフォアfおよび有機溶媒をPD10脱塩カラムを使用して除去し、蛍光により標識されたペプチドを凍結乾燥した。Alexa-488標識Antp-BH3は、上記のポリマーに対して結合された。遊離ペプチドまたはポリマー-ペプチド結合体を25μMのAntp-BH3の濃度で顕微鏡用のチャンバースライド上に成長させたHeLaに対して適用した。細胞を15分間処理し、PBSで2回洗浄し、フレッシュな培地で約30分間インキュベーションした。サンプルを再度洗浄し、4%のパラホルムアルデヒドで10分間37℃で固定した。スライドをDAPIを含むProLong Gold Antifade試薬で標本を作製し、蛍光顕微鏡を使用して画像化した。
【0192】
ポリマーエンドソーム逸脱におけるポリマー結合体の影響を研究するために、Alexa-488 標識ペプチドを蛍光顕微鏡により分析した。蛍光標識ペプチドは、単独またはポリマーバイオ結合体として送達された。顕微鏡分析は、以下のポリマー結合体のペプチド細胞内局在化におけるはっきりとした違いを明らかにした(図19)。ペプチド単独では、点状の染色が示され、これはエンドソーム区画化を示すものである。ポリマー-ペプチド結合体で送達されたサンプルは、分散された蛍光パターンを示し、細胞質を介するペプチド拡散と一致していた。代表的な画像は、(図19A)ペプチドが単独で送達されたサンプルにおける点状のペプチド染色(緑色)、(図19B)ペプチド-ポリマー結合体の十分な送達に続き、サイトゾル内に分散したペプチド蛍光が25μMのペプチドで15分間処理され、DAPI核染色に続き顕微鏡観察試験のための準備がなされた(青色)。
【0193】
結合体の細胞毒性の測定。腫瘍細胞死をトリガーするためのバイオ結合体の有効性を、乳酸脱水素酵素(LDH)細胞毒性アッセイを使用して決定した。各時点の最後に、細胞をPBSで2回洗浄し、次に、細胞溶解緩衝液(100 uL/well、20 mM Tris-HCl、pH 7.5、150 mM NaCl、1 mM Na2EDTA、1 mM EGTA、1% Triton、2.5 mMピロホスフェートナトリウム、1 mM β-グリセロホスフェート、1 mM オルトバナデートナトリウム)で1時間4℃で溶解した。各サンプルからの20 uLの細胞溶解物を80μlのPBSで希釈し、LDHを100μLのLDH基質溶液と混合することにより定量した。10分間のインキュベーションに続いて、LDHを、490nmでの吸光度を測定することにより測定した。生存度(パーセント)を未処理のサンプルと相対して示した。
【0194】
ポリマー-ペプチド結合体のバイオ活性を評価するために、細胞毒性試験をHeLa子宮頸癌細胞において行った。Antp-BH3ポリマー結合体は、HeLa細胞死の用量依存的に強力なトリガーとなることが見出された。50%未満のHeLa生存率が、10μMのペプチド結合体での処理の6時間後に検出され(図20A)、25μMペプチド結合体を受けたサンプル(図20B)は、暴露から4時間と短い時間に続き、もし何れかの生存可能な細胞があったとしてもほとんど観察されなかった。ペプチドまたはポリマー単独で受けたコントロールサンプルは、無視できる処理効果を示し、これらのコントロール処理群の間に違いはなかった。重要な点は、pH応答性ブロックを欠くAntp-BH3ポリ(HPMA)結合体も、両方のコントロール群と同様であり、有意な毒性を生じず、更に、エンドソーム溶解性ブロックの機能性を確認もできなかった(図20)。
【0195】
ミトコンドリア膜ポテンシャルのフローサイトメトリー評価。ミトコンドリア膜ポテンシャルの損失は、JC-1色素を使用して評価した。JC-1は、健康な細胞におけるサイトゾルに分散されたときに緑色蛍光を示し、ミトコンドリア膜では赤色蛍光の凝集体が形成される(Cossarizza et al. Biochemical and biopHysical research communications. 1993;197(1):40-45)。
【0196】
HeLaを2時間、10μMのペプチドまたは等価の結合体またはポリマー単独を使用してインキュベーションした。JC-1は、最終濃度5μg/mLで添加され、15分間インキュベーションした。細胞を2回PBSで洗浄し、トリプシン処理し、フローサイトメトリーのために0.5%のBSAに再懸濁した。ミトコンドリアの偏光解消を示す細胞のパーセントを、緑色蛍光細胞の数に基づいて、赤色蛍光のためのネガティブとして使用して定量した。ここにおいて、赤色蛍光JC-1行週の有意な損失およびそのためにミトコンドリアにおける偏光の損失が、Antp-BH3ペプチドおよびポリマー-ペプチド結合体の両方での処理に続いて検出された(図21 A)。ポリマーコントロールは、未処理の細胞同様であり、一方で、Antp-BH3単独とポリマー結合体においては、大凡、細胞におけるパーセントにおいて、それぞれ4〜10倍のミトコンドリアの偏光の喪失が生じた。
【0197】
カスパーゼ3/7 活性アッセイ。カスパーゼ3/7活性は、商業的に入手可能なアッセイキットを使用して測定された。このアッセイは、プロ蛍光カスパーゼ3/7基質を利用し、一旦酵素的に切断されると蛍光を発して、蛍光プレートリーダーを用いて相対的な酵素活性の決定が可能となる。ここにおいて、HeLaは、30分間、25μMのペプチド(単独またはポリマー結合体として)、加えて、結合体サンプルに対して量的に同等な条件において、更にポリマー単独でインキュベーションされた。その後、カスパーゼ3/7フルオリジェニックインジケーターは、直接に各サンプルについて培養用の培地に対して添加される。プレートを1時間震盪し、次に、蛍光プレートリーダーを用いて評価した。データは、未処理のサンプルに相対するカスパーゼ活性の存在として示した。
【0198】
カスパーゼ3および7の活性化は、プロアポトーシスシグナルを示しており、これは、これらのプロテアーゼに対して特異的なプロ蛍光基質を使用して測定できる。図21 Bは、未処理のネガティブコントロールに対して等しいカスパーゼ活性を示すポリマー単独を含むコントロールを示す。しかしながら、迅速なカスパーゼの活性化(約2.5倍)が、Antp-BH3ペプチドで、それ単独で、またはポリマー結合体の形態での処理に続き検出された。Antp-BH3単独またはポリマー結合体としての同様な効果は、カスパーゼシグナリングが、ペプチド単独での処理により飽和されること、または他のポジティブフィードバックメカニズムが、カスパーゼ活性状態における摂動を増幅するために存在する。最小でも、ポリマーの結合体の結果で示されるように、これらの結果は、立体障害ではない、または他のペプチド誘導性カスパーゼ活性を減少するものが存在することを示唆する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下を含むコポリマー:
(a)正常な生理学的pHで親水性である第1の構成ユニットを含む第1のブロック;
(b)以下を含む第2のブロック:
(i)正常な生理学的pHでカチオン性である第2の構成ユニット、これは第1の構成ユニットと同じであっても異なっていてもよい;
(ii)正常な生理学的pHでアニオン性である第3の構成ユニット;
(iii)疎水性増大部分、ここにおいて、
当該疎水性増大部分は、当該第2の構成ユニットに対して共有結合的に結合しているか;
当該疎水性増大部分は、当該第3の構成ユニットに対して共有結合的に結合しているか;
当該疎水性増大部分は、当該第2の構成ユニットの第4の構成ユニットにおいて含まれるか;
または、その何れかの組み合わせである。
【請求項2】
請求項1に記載のコポリマーであって、前記第2のブロックは、実質的に全体的な電荷において中性であるコポリマー。
【請求項3】
請求項1〜2の何れか1項に記載のコポリマーであって、当該コポリマーがジブロックコポリマーであるコポリマー。
【請求項4】
請求項1〜3の何れか1項に記載のコポリマーであって、当該第1の構成ユニットがカチオン性、アニオン性、中性、または両性イオン性であるコポリマー。
【請求項5】
請求項4に記載のコポリマーであって、当該第1の構成ユニットがカチオン性であるコポリマー。
【請求項6】
請求項1〜5の何れか1項に記載のコポリマーであって、当該第1のブロックが、複数の第1の構成ユニットを含むコポリマー。
【請求項7】
請求項1〜6の何れか1項に記載のコポリマーであって、当該第2のブロックが、複数の第2の構成ユニット、複数の第3の構成ユニットおよび複数の疎水性増大部分を含むコポリマー。
【請求項8】
請求項1〜7の何れか1項に記載のコポリマーであって、当該正常な生理学的pHが約7.2から約7.4でるコポリマー。
【請求項9】
以下を含むコポリマー:
(a)正常な生理学的pHでカチオン性である第1の構成ユニットを含む第1のブロック;
(b)以下を含む第2のブロック:
(i)生理学的pHでカチオン性である第2の構成ユニット、これは第1の構成ユニットと同じであっても異なっていてもよい;
(ii)正常な生理学的pHでアニオン性である第3の構成ユニット;
(iii)疎水性増大部分、ここにおいて、
当該疎水性増大部分は、当該第2の構成ユニットに対して共有結合的に結合している;または、
当該疎水性増大部分は、当該第3の構成ユニットに対して共有結合的に結合している;または、
当該疎水性増大部分は、当該第2の構成ユニットの第4の構成ユニットにおいて含まれる;または、
上記の何れかの組み合わせである;および
前記第2のブロックは、実質的に全体的な電荷において中性である。
【請求項10】
以下を含むエンドソーム溶解性コポリマー:
(a)第1のブロック、当該第1のブロックは親水性ブロックである;および、
第2のブロック、当該第2のブロックは、以下を含む膜不安定化疎水性ブロックである:
(i)略中性のpHでアニオン性である第1の荷電可能な種
(ii)略中性のpHでカチオン性である第2の荷電可能な種。
【請求項11】
以下を含むエンドソーム溶解性コポリマー:
(a)第1のブロック、当該第1のブロックは、略中性のpHでカチオン性である第1の荷電可能な種を含む親水性ブロックである;
(b)第2のブロック、当該第2のブロックは、以下を含む膜不安定化疎水性ブロックである:
(i)略中性のpHでアニオン性である第2の荷電可能な種;および、
(ii)略中性のpHでカチオン性である第3の荷電可能な種;並びに、
(c)当該第1のブロックに結合されたオリゴヌクレオチド。
【請求項12】
以下を含むエンドソーム溶解性コポリマー:
(a)第1のブロック、当該第1のブロックは親水性ブロックである;
(b)第2のブロック、当該第2のブロックは、アクリル酸残基またはアルキルアクリル酸残基を含む膜不安定化疎水性ブロックである。
【請求項13】
請求項1〜12の何れか1項に記載のポリマーであって、当該第1の ポリマーブロックが約10,000ダルトンであるポリマー。
【請求項14】
請求項1〜12の何れか1項に記載のポリマーであって、当該第1のポリマーブロックが約2,000ダルトン〜約30,000ダルトンであるポリマー。
【請求項15】
請求項1〜12の何れか1項に記載のポリマーであって、当該第1のポリマーブロックが約8,500ダルトン〜約13,000ダルトンであるポリマー。
【請求項16】
請求項1〜15の何れか1項に記載のポリマーであって、当該第2のポリマーブロックが、第1のポリマーブロックの分子量の約1〜3倍の分子量を有するポリマー。
【請求項17】
化学式Iを含む請求項1、9、10、11または12〜16の何れか1項に記載のコポリマー:
【化1】

A0、A1、A2、A3およびA4は、-C-、-C-C-、-C(O)(C)aC(O)O-、-O(C)aC(O)-および-O(C)bO-からなる群より選択される;ここにおいて、
aは、1〜4である;
bは、2〜4である;
Y4は、水素、(1C-10C)アルキル、(3C-6C)シクロアルキル、O-(1C-10C)アルキル、-C(O)O(1C-10C)アルキル、C(O)NR6(1C-10C)、(4C-10C)ヘテロアリールおよび(6C-10C)アリールからなる群より選択され、これらの何れかは1または1以上のフッ素基で任意に置換される;
Y0、Y1およびY2は、独立して、共有結合、(1C-10C)アルキル-、-C(O)O(2C-10C)アルキル-、-OC(O)(1C-10C)アルキル-、-O(2C-10C)アルキル-および-S(2C-10C)アルキル-、-C(O)NR6(2C-10C)アルキル-、(4C-10C)ヘテロアリールおよび(6C-10C)アリールからなる群より選択される;
Y3は、共有結合、(1C-10C)アルキル、(4C-10C)ヘテロアリールおよび(6C-10C)アリールからなる群より選択される;ここにおいて、
R1-R5で完全には置換されてはいないA1-A4の四価の炭素原子およびY0-Y4は、適切な数の水素原子を完備する;
R1、R2、R3、R4、R5およびR6は、独立して、水素、-CN、アルキル、アルキニル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールおよびヘテロアリールからなる群より選択され、これらの何れかは1または1以上のフッ素基で任意に置換される;
Q0は、生理学的pHで親水性である残基;結合可能または機能化可能な残基;または水素;からなる群より選択される残基である
Q1は、正常な生理学的pHで親水性である残基である;
Q2は、正常な生理学的pHで正に荷電されている残基である;
Q3は、正常な生理学的pHで負に荷電されているが、低いpHではプロトン化を受ける残基である;
mは、約0〜1.0未満である(例えば、0〜約0.49);
nは、0よりも大きい値〜約1.0までである(例えば、約0.51〜約1.0);ここで、
m + n = 1である
pは、0.2〜約0.5である;
qは、約0.2〜約0.5である;ここにおいて、
pは、実質的に、qと同じである;
rは、0〜約0.6である;ここにおいて、
p + q + r = 1である
vは、約5〜約25kDaである;および、
wは、約5〜約50kDaである。
【請求項18】
請求項13に記載のコポリマーであって、Q1は、正常な生理学的pHで正に荷電されている;正常な生理学的pHで 負に荷電されているが、低いpHではプロトン化を受ける;正常な生理学的pHで中性である;または正常な生理学的pHで両性イオン性である;残基である。
【請求項19】
化学式IIを含む請求項1、9、10、11または12の何れか1項に記載のコポリマー:
【化2】

A0、A1、A2、A3およびA4は、-C-C-、-C(O)(C)aC(O)O-、-O(C)aC(O)-および-O(C)bO-からなる群より選択される;ここにおいて、
aは1 - 4である;
bは2 - 4である;
Y0およびY4は、独立して、水素、(1C−10C)アルキル、(3C-6C)シクロアルキル、O-(1C-10C)アルキル、-C(O)O(1C-10C)アルキル、C(O)NR6(1C-10C)、(4C-10C)ヘテロアリールおよび(6C-10C)アリールからなる群より選択され、これらの何れかは1または1以上のフッ素基で任意に置換される;
Y1およびY2は、独立して、共有結合、(1C-10C)アルキル-、-C(O)O(2C-10C)アルキル-、-OC(O)(1C-10C)アルキル-、-O(2C-10C)アルキル-および-S(2C-10C)アルキル-、-C(O)NR6(2C-10C)アルキル、(4C-10C)ヘテロアリールおよび(6C-10C)アリールからなる群より選択される;
Y3は、共有結合、(1C-10C)アルキル、(4C-10C)ヘテロアリールおよび(6C-10C)アリールからなる群より選択される;ここにおいて、
R1-R51で完全には置換されていないA1-A4の四価の炭素原子およびY0-Y4は、適切な数の 水素原子を完備する;
各R1、R2、R3、R4、R5およびR6は、独立して、水素、-CN、アルキル、アルキニル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールおよびヘテロアリールからなる群より選択され、これらの何れかは1または1以上のフッ素原子で任意に置換されてよい;
Q1およびQ2は、正常な生理学的pHで正に荷電されている残基である;
Q3は、正常な生理学的pHで負に荷電されているが、低いpHではプロトン化を受ける残基である;
mは、0〜約0.49である;
nは、約0.51〜約1.0である;ここにおいて、
m + n = 1である
pは、約0.2〜約0.5である;
qは、約0.2〜約0.5である;ここにおいて、
pは、実質的に、qと同じである;
rは、0〜約0.6である;ここにおいて、
p + q + r = 1である
vは、約5〜約25kDaである;および
wは、約5〜約50kDaである。
【請求項20】
化学式Iを含む請求項1、9、10、11または12の何れか1項に記載のコポリマー:
【化3】

A0、A1、A2、A3およびA4は、-C-C-、-C(O)(C)aC(O)O-、-O(C)aC(O)-および-O(C)bO-からなる群より選択される;ここにおいて、
aは、1 - 4である;
bは、2 - 4である;
Y0およびY4は、独立して、水素、(1C-10C)アルキル、(3C-6C)シクロアルキル、O-(1C-10C)アルキル、-C(O)O(1C-10C)アルキル、C(O)NR6(1C-10C)、(4C-10C)ヘテロアリールおよび(6C-10C)アリールからなる群より選択され、これらの何れかは1または1以上のフッ素基で任意に置換される;
Y1およびY2は、独立して、共有結合、(1C-10C)アルキル-、-C(O)O(2C-10C)アルキル-、-OC(O)(1C-10C)アルキル-、-O(2C-10C)アルキル-および-S(2C-10C)アルキル-、-C(O)NR6(2C-10C)アルキル、(4C-10C)ヘテロアリールおよび(6C-10C)アリールからなる群より選択される;
Y3は、共有結合、(1C-10C)アルキルおよび(6C-10C)アリールからなる群より選択される;ここにおいて、
R7-R11で完全には置換されていないA1-A4の四価の炭素原子およびY0-Y4は、適切な数の水素原子を完備する;
R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10およびR11は、独立して、水素、-CN、アルキル、アルキニル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールおよびヘテロアリールからなる群より選択され、これらの何れかは1または1以上のフッ素原子で任意に置換されてよい;
Q1およびQ2は、正常な生理学的pHで正に荷電されている残基であり、これらに限定するものではないが、、アミノ、アルキルアミノ、アンモニウム、アルキルアンモニウム、グアニジン、イミダゾイルおよびピリジルを含む;
Q3は、正常な生理学的pHで負に荷電されているが、低いpHではプロトン化を受ける残基であり、これらに限定するものではないが、カルボキシル、スルホンアミド、ボロネート、ホスホネートおよびホスフェートを含む;
mは、0〜約0.49である;
nは、約0.51〜約1.0である;ここにおいて、
m + n = 1である
pは、約0.2〜約0.5である;
qは、約0.2〜約0.5である;ここにおいて、
pは、実質的に、qと同じである;
rは、0〜約0.6である;ここにおいて、
p + q + r = 1である
vは、約5〜約25kDaである;および、
wは、約5〜約50kDaである。
【請求項21】
化学式IIを含む請求項1、9、10、11または12の何れか1項に記載のコポリマー:
【化4】

A0、A1、A2、A3およびA4は、独立して、-C-C-、-C(O)(C)aC(O)O-、-O(C)aC(O)-および-O(C)bO-からなる群より選択される;ここにおいて、
aは、1 - 4である;
bは、2 - 4である;
R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10およびR11は、独立して、水素、(1C-5C)アルキル、(3C-6C)シクロアルキルおよびフェニルからなる群より選択され、これらの何れかは1または1以上のフッ素原子で任意に置換されてよい;
Y0およびY4は、独立して、水素、(1C-10C)アルキル、(3C-6C)シクロアルキル、O-(1C-10C)アルキル、-C(O)O(1C-10C)アルキルおよびフェニルからなる群より選択され、これらの何れかは1または1以上のフッ素基で任意に置換される;
Y1およびY2は、独立して、共有結合、(1C-10C)アルキル-、-C(O)O(2C-10C)アルキル-、-OC(O)(1C-10C)アルキル-、-O(2C-10C)アルキル-および-S(2C-10C)アルキル-からなる群より選択される;
Y3は、共有結合、(1C-5C)アルキルおよびフェニルからなる群より選択される;ここにおいて、
R1-R5で完全には置換されていないA1-A4の四価の炭素原子およびY0-Y4は、適切な数の水素原子を完備する;
Zは、生理学的に許容される対イオンである、
mは、0〜約0.49である;
nは、約0.51〜約1.0である;
ここにおいて、m + n = 1である
pは、約0.2〜約0.5である;
qは、約0.2〜約0.5である;ここにおいて、
pは、実質的に、qと同じである;
rは、0〜約0.6である;ここにおいて、
p + q + r = 1である
vは、約5〜約25kDaである;および
wは、約5〜約50kDaである。
【請求項22】
化学式Iを含むコポリマー:
【化5】

A0、A1、A2、A3およびA4は、-C-、-C-C-、-C(O)(C)aC(O)O-、-O(C)aC(O)-および-O(C)bO-からなる群より選択される;ここにおいて、
aは、1 - 4である;
bは、2 - 4である;
Y4は、水素、(1C-10C)アルキル、(3C-6C)シクロアルキル、O-(1C-10C)アルキル、-C(O)O(1C-10C)アルキル、C(O)NR6(1C-10C)およびアリールからなる群より選択され、これらの何れかは1または1以上のフッ素基で任意に置換される;
Y0、Y1およびY2は、独立して、共有結合、(1C-10C)アルキル-、-C(O)O(2C-10C)アルキル-、-OC(O)(1C-10C)アルキル-、-O(2C-10C)アルキル-および-S(2C-10C)アルキル-、-C(O)NR6(2C-10C)アルキルからなる群より選択される;
Y3は、共有結合、(1C-10C)アルキルおよび(6C-10C)アリールからなる群より選択される;ここにおいて、
R1-R5で完全には置換されていないA1-A4の四価の炭素原子およびY0-Y4は、適切な数の水素原子を完備する;
R1、R2、R3、R4、R5およびR6は、独立して、水素、-CN、アルキル、アルキニル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールおよびヘテロアリールからなる群より選択され、これらの何れかは1または1以上のフッ素原子で任意に置換されてよい;
Q0は、生理学的pHで親水性である残基;結合可能または機能化可能な残基;または水素;からなる群より選択される残基である;
Q1は、正常な生理学的pHで親水性である残基である;
Q2は、正常な生理学的pHで正に荷電されている残基である;
Q3は、正常な生理学的pHで負に荷電されているが、低いpHではプロトン化を受ける残基である;
mは、約0〜1.0未満である(例えば、0〜約0.49);
nは、0よりも大きい値〜約1.0である(例えば、約0.51〜約1.0);ここにおいて、
m + n = 1である
pは、約0.2〜約0.5である;
qは、約0.2〜約0.5である:ここにおいて、
pは、実質的に、qと同じである;
rは、0 〜約0.6である;ここにおいて、
p + q + r = 1である
vは、約5〜約25kDaである;および
wは、約5〜約50kDaである。
【請求項23】
請求項18に記載のコポリマーであって、Q1は、正常な生理学的pHで正に荷電されている;正常な生理学的pHで負に荷電されているが、低いpHではプロトン化を受ける;正常な生理学的pHで中性の;または正常な生理学的pHで両性イオン性の;残基であるコポリマー。
【請求項24】
化学式IIを有するコポリマー:
【化6】

A0、A1、A2、A3およびA4は、-C-C-、-C(O)(C)aC(O)O-、-O(C)aC(O)-および-O(C)bO-からなる群より選択される;ここにおいて、
aは、1 - 4である;
bは、2 - 4である;
Y0およびY4は、独立して、水素、(1C-10C)アルキル、(3C-6C)シクロアルキル、O-(1C-10C)アルキル、-C(O)O(1C-10C)アルキル、C(O)NR6(1C-10C)およびアリールからなる群より選択され、これらの何れかは1または1以上のフッ素基で任意に置換される;
Y1およびY2は、独立して、共有結合、(1C-10C)アルキル-、-C(O)O(2C-10C)アルキル-、-OC(O)(1C-10C)アルキル-、-O(2C-10C)アルキル-および-S(2C-10C)アルキル-、-C(O)NR6(2C-10C)アルキルからなる群より選択される;
Y3は、共有結合、(1C-10C)アルキルおよび(6C-10C)アリールからなる群より選択される;ここにおいて、
R1-R51で完全には置換されていないA1-A4の四価の炭素原子およびY0-Y4は、適切な数の水素原子を完備する;
各R1、R2、R3、R4、R5およびR6は、独立して、水素、-CN、アルキル、アルキニル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールおよびヘテロアリールからなる群より選択され、これらの何れかは1または1以上のフッ素原子で任意に置換されてよい;
Q1およびQ2は、正常な生理学的pHで正に荷電されている残基である;
Q3は、正常な生理学的pHで負に荷電されているが、低いpHではプロトン化を受ける残基である;
mは、0〜約0.49である;
nは、約0.51〜約1.0である;ここにおいて、
m + n = 1である
pは、約0.2〜約0.5である;
qは、約0.2〜約0.5である;ここにおいて、
pは、実質的に、qと同じである;
rは、0〜約0.6である;ここにおいて、
p + q + r = 1である
vは、約5〜約25kDaである;および、
wは、約5〜約50kDaである。
【請求項25】
化学式IIを含むコポリマー:
【化7】

A0、A1、A2、A3およびA4は、-C-C-、-C(O)(C)aC(O)O-、-O(C)aC(O)-および-O(C)bO-からなる群より選択される;ここにおいて、
aは、1 - 4である;
bは、2 - 4である;
Y0およびY4は、独立して、水素、(1C-10C)アルキル、(3C-6C)シクロアルキル、O-(1C-10C)アルキル、-C(O)O(1C-10C)アルキル、C(O)NR6(1C-10C)およびアリールからなる群より選択され、これらの何れかは1または1以上のフッ素基で任意に置換される;
Y1およびY2は、独立して、共有結合、(1C-10C)アルキル-、-C(O)O(2C-10C)アルキル-、-OC(O)(1C-10C)アルキル-、-O(2C-10C)アルキル-および-S(2C-10C)アルキル-、-C(O)NR6(2C-10C)アルキルからなる群より選択される;
Y3は、共有結合、(1C-10C)アルキルおよび(6C-10C)アリールからなる群より選択される;ここにおいて、
R7-R11で完全には置換されていないA1-A4の四価の炭素原子およびY0-Y4は、適切な数の水素原子を完備する;
R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10およびR11は、独立して、水素、-CN、アルキル、アルキニル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールおよびヘテロアリールからなる群より選択され、これらの何れかは1または1以上のフッ素原子で任意に置換されてよい;
Q1およびQ2は、正常な生理学的pHで正に荷電されている残基であり、これらに限定するものではないが、、、アミノ、アルキルアミノ、アンモニウム、アルキルアンモニウム、グアニジン、イミダゾイルおよびピリジルを含む;
Q3は、正常な生理学的pHで負に荷電されているが、低いpHではプロトン化を受ける残基であり、これらに限定するものではないが、、、カルボキシル、スルホンアミド、ボロネート、ホスホネートおよびホスフェートを含む;
mは、0〜約0.49である;
nは、約0.51〜約1.0である;ここにおいて、
m + n = 1である
pは、約0.2〜約0.5である;
qは、約0.2〜約0.5である;ここにおいて、
pは、実質的に、qに同じである;
rは、0〜約0.6である;ここにおいて、
p + q + r = 1である
vは、約5〜約25kDaである;並びに、
wは、約5〜約50kDaである。
【請求項26】
請求項17〜19または21〜24の何れか1項に記載のコポリマーであって、R2-A1-Y1-Q1が、C1-6ジアルキルアミノ(C1-6)アルキルメタクリレート、C1-6アルキルアミノ(C1-6)アルキルメタクリレート、アミノ(C1-6)アルキルアクリレート、C1-6ジアルキルアミノ(C1-6)アルキルエタクリレート、C1-6アルキルアミノ(C1-6)アルキルエタクリレート、アミノ(C1-6)アルキルエタクリレート、C1-6ジアルキルアミノ(C1-6)アルキルアクリレート、C1-6アルキルアミノ(C1-6)アルキルアクリレートまたはアミノ(C1-6)アルキルアクリレートの残基であるコポリマー。
【請求項27】
請求項17〜19、21〜24または26の何れか1項に記載のコポリマーであって、R3-A2-Y2-Q2が、C1-6ジアルキルアミノ(C1-6)アルキルメタクリレート、C1-6アルキルアミノ(C1-6)アルキルメタクリレート、アミノ(C1-6)アルキルアクリレート、C1-6ジアルキルアミノ(C1-6)アルキルエタクリレート、C1-6アルキルアミノ(C1-6)アルキルエタクリレート、アミノ(C1-6)アルキルエタクリレート、C1-6ジアルキルアミノ(C1-6)アルキルアクリレート、C1-6アルキルアミノ(C1-6)アルキルアクリレートまたはアミノ(C1-6)アルキルアクリレートの残基であるコポリマー。
【請求項28】
請求項17〜19、21〜24または26〜27の何れか1項に記載のコポリマーであって、R4-A3-Y3-Q3が、C1-6アルキルアクリル酸の残基であるコポリマー。
【請求項29】
請求項17〜19、21〜24または26〜28の何れか1項に記載のコポリマーであって、R5-A4-Y4-Q4が、C1-6アルキルアクリレート、C1-C6アルキルメタクリレートまたはC1-C6アルキルエタクリレートの残基であるコポリマー。
【請求項30】
化学式IIIを含むコポリマー:ここにおいて、
【化8】

A0、A1、A2、A3およびA4は、独立して、-C-C-、-C(O)(C)aC(O)O-、-O(C)aC(O)-および-O(C)bO-からなる群より選択される;
aは、1 - 4であり;
bは、2 - 4であり;
R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10およびR11は、独立して、水素、(1C-5C)アルキル、(3C-6C)シクロアルキルおよびフェニルからなる群より選択され、これらの何れかは1または1以上のフッ素原子で任意に置換されてよい;
Y0およびY4は、独立して、水素、(1C-10C)アルキル、(3C-6C)シクロアルキル、O-(1C-10C)アルキル、-C(O)O(1C-10C)アルキルおよびフェニルからなる群より選択され、これらの何れかは1または1以上のフッ素基で任意に置換される;
Y1およびY2は、独立して、共有結合、(1C-10C)アルキル-、-C(O)O(2C-10C)アルキル-、-OC(O)(1C-10C)アルキル-、-O(2C-10C)アルキル-および-S(2C-10C)アルキル-からなる群より選択される;
Y3は、共有結合、(1C-5C)アルキルおよびフェニルからなる群より選択される;
ここにおいて、R1-R5で完全には置換されていないA1-A4の四価の炭素原子およびY0-Y4は、適切な数の水素原子を完備する;
Zは、生理学的に許容される対イオンである、
mは、0〜約0.49である;
nは、約0.51〜約1.0である;
ここにおいて、m + n = 1である
pは、約0.2〜約0.5である;
qは、約0.2〜約0.5である;ここにおいて、
pは、実質的に、qと同じである;
rは、0〜約0.6である;ここにおいて、
p + q + r = 1である
vは、約5〜約25kDaである;並びに
wは、約5〜約50kDaである。
【請求項31】
請求項17〜31の何れか1項に記載のコポリマーであって、v:wの割合が、約1:1〜約1:3であるコポリマー。
【請求項32】
請求項1〜31の何れか1項に記載のコポリマーであって、更に、治療薬を含むコポリマー。
【請求項33】
請求項32に記載のコポリマーであって、前記治療薬が当該コポリマーに結合しているコポリマー。
【請求項34】
請求項33に記載のコポリマーであって、前記治療薬がsiRNAであるコポリマー。
【請求項35】
請求項33に記載のコポリマーであって、前記治療薬がポリペプチドであるコポリマー。
【請求項36】
請求項34または35の何れか1項に記載のコポリマーであって、前記治療薬が当該コポリマーに対して共有結合的に結合しているコポリマー。
【請求項37】
請求項34または35の何れか1項に記載のコポリマーであって、前記治療薬が当該コポリマーとイオン結合しているコポリマー。
【請求項38】
請求項1〜37の何れかのコポリマーを複数含む組成物。
【請求項39】
請求項38に記載の組成物であって、当該複数のコポリマーが約1.2の多分散性インデックスを有するコポリマー。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図8】
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【図9】
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【図10A】
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【図10B】
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【図11】
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【図12A】
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【図12B】
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【図13A】
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【図13B】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17A】
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【図17B】
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【図18】
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【図19A】
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【図19B】
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【図20A】
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【図20B】
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【図21A】
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【図21B】
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【公表番号】特表2011−521054(P2011−521054A)
【公表日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−509670(P2011−509670)
【出願日】平成21年5月13日(2009.5.13)
【国際出願番号】PCT/US2009/043847
【国際公開番号】WO2009/140427
【国際公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【出願人】(502457803)ユニヴァーシティ オブ ワシントン (93)
【出願人】(510302870)フェイズアールエックス,インコーポレイテッド (8)
【Fターム(参考)】