説明

細胞外マトリックス分解酵素阻害剤

【課題】酵母エキスの新たな用途を提供すること。
【解決手段】酵母エキスが細胞外マトリックス分解酵素阻害剤として機能することが見出された。酵母エキスは、ビール酵母エキス、パン酵母エキス及びトルラ酵母エキスからなる群より選ばれる少なくとも1種を含有することが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、細胞外マトリックス分解酵素阻害剤に関する。
【背景技術】
【0002】
酵母は、ビールの原料として用いられてきた、安全性の高い食品素材である。酵母エキスは、酵母細胞内に含まれる成分を抽出したものであり、従来、生鮮物の変色防止剤(特許文献1参照)、大腸菌用選択培地(特許文献2参照)、免疫機能賦活剤(特許文献3参照)等に用いられている。
【特許文献1】特開平8−266245号公報
【特許文献2】特開11−262383号公報
【特許文献3】特開2000−169386号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、安全性の高い自然食品素材である酵母から容易に入手可能な酵母エキスには、更なる有用な用途が見出されることが期待されている。
【0004】
そこで、本発明の目的は、酵母エキスの新たな用途を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、酵母エキスについて、更なる有用な用途に関する検討を行なった結果、酵母エキスが細胞外マトリックス分解酵素活性阻害作用を有することを発見し、本発明を完成するに至った。
【0006】
すなわち、本発明は、酵母エキスからなる細胞外マトリックス分解酵素阻害剤を提供するものである。
【0007】
酵母エキスの原料となる酵母としては、清酒酵母、ブドウ酒酵母、パン酵母、ビール酵母、トルラ酵母(Candida utilis)等が知られているが、これらの中でもビール酵母、パン酵母又はトルラ酵母を用いることが好ましい。すなわち、酵母エキスは、ビール酵母エキス、パン酵母エキス又はトルラ酵母エキスが好ましい。ビール酵母エキス、パン酵母エキス又はトルラ酵母エキスを用いることにより、細胞外マトリックス分解酵素の阻害活性が優れるようになる。
【0008】
本発明の細胞外マトリックス分解酵素阻害剤は、特にゼラチナーゼA阻害活性又はコラゲナーゼ阻害活性を有することによって、優れた抗シワ効果を発揮する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、酵母エキスの細胞外マトリックス分解酵素阻害剤としての新たな用途を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
【0011】
本発明の細胞外マトリックス分解酵素阻害剤は、酵母エキスからなる。
【0012】
酵母エキスは、酵母に含まれる成分を抽出したものである。酵母エキスとしては、(1)酵母自身が有する酵素で酵母内容物を分解させる方法(以下「自己消化法」という。)、(2)外部から酵素を加えて酵母内容物や細胞壁成分を分解させる方法(以下「酵素分解法」という。)、(3)酸やアルカリを用いて酵母内容物を分解させる方法(以下、「酸やアルカリによる加水分解法」という。)、(4)酵母菌体を熱水で処理してエキス分を抽出する方法(以下「熱水抽出法」という。)又は(5)酵母菌体若しくは酵母消化液を、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、濃グリセリン等で抽出する方法(以下「有機溶媒抽出法」という。)により抽出したエキスが好適である。これらの方法は、単独で用いられる他、適宜組み合わせて用いられている。
【0013】
上記(1)自己消化法は、酵素分解法と同様に反応が穏やかである点、食塩の生成が少ない点、外部から酵素を添加する必要がない点、作業が簡便である点、製造コストが安価である点、及び不安定な成分も抽出可能である点で有利である。
【0014】
(2)酵素分解法は、反応が穏やかである点、食塩の生成が少ない点、及び収率を高めることができる点で有利である。
【0015】
(3)酸やアルカリによる加水分解法は、アミノ酸等内容物の収得率が高い点で有利である。
【0016】
(4)熱水抽出法は、親水性のアミノ酸や有機酸が主に抽出され、自己消化法で得られる酵母エキスと比較して疎水性成分が少なく、色のうすい酵母エキスが得られる点で有利である。
【0017】
(5)有機溶媒抽出法は、脂溶性成分の収率を向上させる点で有利である。
【0018】
これらの方法によって製造される酵母エキスのうち、特別な設備を必要としない点、温和な条件のためランニングコストが低い点、分解のコントロールが容易である点等から、自己消化法又は酵素分解法によって製造される酵母エキスが好ましい。自己消化法による酵母エキスは、例えば、培養した酵母の液胞を、物理的方法や界面活性剤等で破壊させて、pH3〜7、30〜60℃で、1〜2日程度自己消化させることにより得ることができる。一方、酵素分解法による酵母エキスは、例えば、酵母菌体懸濁液にプロテアーゼ、β−グルカナーゼ等の酵素を添加して酵母を分解させて得ることができる。なお、いずれの方法においても、更に抽出・濃縮等を行ってもよい。抽出は、上記方法で得られたエキスを40〜100℃(好ましくは60〜100℃)の水(熱水)で行うことが好ましい。
【0019】
酵母エキスは、一般に、タンパク成分、核酸成分及びその他微量成分から構成されている。タンパク成分としてはタンパク質のみならず、その分解物であるアミノ酸等が含まれる。また、核酸成分としては、DNA、RNAのみならず、その分解物であるアデニル酸、グアニル酸、イノシン酸等が含まれる。細胞外マトリックス分解酵素阻害剤としての酵母エキスの有効成分は必ずしも明らかではないが、酵素阻害は、酵母エキスの、多糖類、タンパク成分、核酸成分、微量成分のいずれかによるものであるか、これらの成分が協働して発現しているものと想定される。これらの成分の中でも、少なくとも、コハク酸、リンゴ酸、乳酸、蟻酸、酢酸、ピログルタミン酸が酵素阻害に寄与する成分であると考えられる。
【0020】
すなわち、酵母エキスは、コハク酸、リンゴ酸、乳酸、蟻酸、酢酸及びピログルタミン酸からなる群より選ばれる少なくとも1種を含有することが好ましい。このような成分を含有することで、細胞外マトリックス分解酵素阻害剤の阻害活性が優れるようになる。
【0021】
原料となる酵母としては、毒性のないものであれば特に制限はなく、例えば、サッカロマイセス(Saccharomyces)属、キャンディダ(Candida)属、ハンゼヌラ(Hansenula)属、ピキア(Pichia)属、デバリオマイセス(Debariomyces)属、クリベロマイセス(Kluyveromyces)属、チゴサッカロマイセス(Zygosaccharomyces)属等に属する酵母が挙げられる。特に、食品工業で用いられている酵母である、ビール酵母(Saccharomyces cerevisiae、又は、pastorianus)、パン酵母(Saccharomyces cerevisiae)、キャンディダ酵母(Candida utilis)、アルコール酵母(Saccharomyces diastaticus)、清酒酵母(Saccharomyces cerevisiae)、ワイン酵母(Saccharomyces cerevisiae、又は、bayanus)等を用いることができる。これらの酵母は、1種のみを用いてもよく、2種以上の酵母を組み合わせて用いてもよい。
【0022】
特に、ビール酵母は、ビール醸造において余剰となり、安全かつ安価に入手可能であるため、好ましい。ビール酵母エキスは、ビール酵母に含まれる成分を上記のような方法で抽出したものである。ビール酵母は、子嚢菌門に属する出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae、又は、pastorianus)のうち、ビール製造の副生成物として分離されるものである。
【0023】
ビール酵母エキスを用いることにより、上述した有効成分に富んだエキスを得ることが容易となる。例えば、自己消化法により抽出されたビール酵母エキスは、典型的には、300〜1600ppmのコハク酸、10〜40ppmのリンゴ酸、300〜1100ppmの乳酸、90〜140ppmの蟻酸、300〜1100ppmの酢酸、及び200〜1000ppmのピログルタミン酸を含有する。
【0024】
また、酵素分解法により抽出されたビール酵母エキスは、典型的には、300〜1600ppmのコハク酸、10〜40ppmのリンゴ酸、300〜1100ppmの乳酸、90〜140ppmの蟻酸、300〜1100ppmの酢酸、及び200〜1000ppmのピログルタミン酸を含有する。
【0025】
ビール酵母エキスとしては、サッポロビール社製の「RT」、「RB2P」、「RN7P3」、「RN7」(以上、商品名)等を用いることができる。このうち、「RT」は酵素分解法により抽出されたものであり、「RB2P」、「RN7P3」及び「RN7」は自己消化法により抽出されたものである。
【0026】
また、酵母エキスは、パン酵母エキス又はトルラ酵母エキスであることが好ましい。パン酵母エキスは、パン酵母に含まれる成分を上記のような方法で抽出したものであり、トルラ酵母エキスは、トルラ酵母に含まれる成分を上記のような方法で抽出したものである。パン酵母は、子嚢菌門に属する出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)を用いることができ、トルラ酵母は、一般に飼料や食品用に普及しているキャンディダ(Candida)属を用いることができる。
【0027】
細胞外マトリックス分解酵素阻害剤は、細胞外マトリックス分解酵素の活性阻害作用を有する物質である。細胞外マトリックス分解酵素は、マトリックスメタロプロテアーゼ、マトリックスメタロプロテイナーゼ(MMP:Matrix Metallo Proteinase)等とも呼ばれる、細胞外マトリックスの代謝に関わる酵素である。
【0028】
一般に、動物の結合組織は、コラーゲンやプロテオグリカンを主成分とする細胞外マトリックスにより構成されている。細胞外マトリックスの代謝は、細胞外マトリックス分解酵素(以下「MMP」という。)と生体内阻害因子(TIMP:Tissue Inhibitor of Metallo Proteinase)とのバランスにより調節されているが、このうち、MMPは、細胞外マトリックスを分解又は変性することにより、皮膚の弾力性の低下、及びそれに伴うシワやタルミの発生の原因となると考えられている。
【0029】
MMPのうち、MMP1(コラゲナーゼ)は、真皮に分布する膠原繊維であるI型コラーゲン等を基質とし、MMP2(ゼラチナーゼA)は、基底膜に分布するIV型コラーゲンや変性コラーゲンであるゼラチン、真皮に分布するV型コラーゲンや弾性繊維であるエラスチン、軟結合組織及び基底膜に分布する糖タンパク質であるフィブロネクチン等を基質とする。
【0030】
MMP1及びMMP2は、このように、皮膚のハリを保つ上で重要な基質を分解又は変性するため、皮膚のシワやタルミの発生と特に関わりがあると考えられている。また、MMP1及びMMP2は、皮膚に紫外線が当たると活性化されるため、紫外線による皮膚マトリックスの損傷にも関わっていると考えられている。
【0031】
本発明のMMP阻害剤は、これらMMPのうち特にMMP2(ゼラチナーゼA)又はMMP1(コラゲナーゼ)の活性を阻害することにより、皮膚のシワやタルミを防止し、皮膚のハリを保つ効果を発揮する。すなわち、本発明のMMP阻害剤は、皮膚シワ防止剤、皮膚タルミ防止剤、皮膚ハリ改善剤等として機能する。
【0032】
本発明のMMP阻害剤は、皮膚外用剤として用いることができる。その場合、直接皮膚に塗布することもできるし、他の物質を混ぜて用いてもよい。
【0033】
本発明のMMP阻害剤は、化粧品、トイレタリー、オーラルケア製品、食品、飲料又は医薬品に含ませて用いることができる。本発明のMMP阻害剤を含む化粧品、食品、飲料又は医薬品は、有効成分である有機酸の他、浸潤剤、油性成分、保湿剤、粉体、色素、乳化剤、分散助剤、可溶化剤、洗浄剤、紫外線吸収剤、増粘剤、薬剤、香料、樹脂、賦形剤、防菌防黴剤、消臭・脱臭剤、歯磨粉、酵素、精製水又はアルコールを含んでもよい。また、他のMMP阻害剤を添加してもよい。
【実施例】
【0034】
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。また、特に明記しない限り、「%」は「質量%」を表す。
【0035】
(実施例1)
酵母エキスの熱水抽出物におけるMMP2阻害活性
〈試料の調製〉
サッポロビール社製の酵母エキス「RT」、「RB2P」、「RN7P3」及び「RN7」(以上、商品名)0.1gにそれぞれ蒸留水1mLを加え、100℃にて30分間保持した後、遠心して上清を試料とした。
【0036】
〈MMP2阻害活性試験〉
反応容器に、58mU/μLのE.coli recombinant human(大腸菌組み換えヒト)MMP2酵素液と、緩衝液(50mM HEPES、10mM CaCl、 0.05%Brij−35、 1mM DTNB、pH7.5)と、試料を添加し、反応液を調製した。37℃にて60分間インキュベートした後、細胞外マトリックス模擬基質溶液として1mM Thiopeptolide溶液(主成分はオリゴタンパク質Ac−PLG−[2−mercapto−4−methyl−pentanoyl]−LG−OC)を反応液に加えた。MMP2がThiopeptolideを切断して生じるsulfhydry(スルフヒドリル)基がDTNB(5,5’−dithiobis(2−nitrobenzoiv acid)のジスルフィド結合を切断して生じるチオールを、412nmの吸光度で検出した。
【0037】
インキュベート後に細胞外マトリックス模擬溶液を加えた時点から412nmにおける吸光度を60分間測定した。測定開始から60分間の経時的な吸光度の上昇を一次式で近似し、その傾きを吸光度変化量(ΔABS)とした。コントロールには、試料の代わりに緩衝液を加えたものを用いた。この吸光度変化量を用いて下記式より阻害率を求めた。

阻害率(%)=(ΔABSコントロール)−(ΔABS試料))/(ΔABSコントロール)×100

【0038】
更に、上記阻害率をもとに、MMP2活性を50%阻害するときの濃度(IC50値:50%阻害濃度)を算出した。
【0039】
(比較例1)
ウコン及びレモンのメタノール抽出物におけるMMP2阻害活性
〈試料の調製〉
山本漢方製薬社製の「紫ウコン」(商品名)及び市販のレモンの果皮0.1gにそれぞれメタノール1mLを加え、30分間振とうした。遠心後、上清500μLをとり、減圧乾固し、蒸留水100μLに再溶解したものを試料とした。
【0040】
〈MMP2阻害活性試験〉
実施例1と同様の方法で、IC50値を算出した。
【0041】
表1は、各酵母エキス並びにウコン及びレモンのMMP2阻害活性を、実施例1及び比較例1で算出したIC50値により評価した結果を示すものである。
【0042】
【表1】

【0043】
表1に示されるように、酵母エキスの熱水抽出物は、従来からMMP2活性阻害作用を有することが知られているウコン及びレモンのメタノール抽出物と比較して、同等以上のMMP2阻害活性を示すことが明らかになった。特に、サッポロビール社製の酵母エキス「RT」(商品名)は、極めて高いMMP2阻害活性を有することが明らかになった。
【0044】
(実施例2)
酵母エキスの熱水抽出物におけるMMP1阻害活性
〈試料の調製〉
サッポロビール社製の酵母エキス「RT」、「RB2P」、「RN7P3」、「RN7」、「FLavRMax」、「酵味」及び「スーパーミーストA」(以上、商品名)0.1gにそれぞれ蒸留水1mLを加え、100℃にて30分間保持した後、遠心して上清を試料とした。
【0045】
〈MMP1阻害活性試験〉
反応容器に、765mU/μLのE.coli recombinant human(大腸菌組み換えヒト)MMP1酵素液と、緩衝液(50mM HEPES、10mM CaCl、 0.05%Brij−35、 1mM DTNB、pH7.5)と、試料を添加し、反応液を調製した。37℃にて60分間インキュベートした後、細胞外マトリックス模擬基質溶液として1mM Thiopeptolide溶液(主成分はオリゴタンパク質Ac−PLG−[2−mercapto−4−methyl−pentanoyl]−LG−OC)を反応液に加えた。MMP1がThiopeptolideを切断して生じるsulfhydry(スルフヒドリル)基がDTNB(5,5’−dithiobis(2−nitrobenzoiv acid)のジスルフィド結合を切断して生じるチオールを、412nmの吸光度で検出した。
【0046】
インキュベート後に細胞外マトリックス模擬溶液を加えた時点から412nmにおける吸光度を60分間測定した。測定開始から60分間の経時的な吸光度の上昇を一次式で近似し、その傾きを吸光度変化量(ΔABS)とした。コントロールには、試料の代わりに緩衝液を加えたものを用いた。この吸光度変化量を用いて下記式より阻害率を求めた。

阻害率(%)=(ΔABSコントロール)−(ΔABS試料))/(ΔABSコントロール)×100

【0047】
更に、上記阻害率をもとに、MMP1活性を50%阻害するときの濃度(IC50値:50%阻害濃度)を算出した。
【0048】
(比較例2)
ウコン及びレモンのメタノール抽出物におけるMMP1阻害活性
〈試料の調製〉
山本漢方製薬社製の「紫ウコン」(商品名)、リアルネット社製の「ウコン」(商品名)及び市販のレモンの果皮0.1gにそれぞれメタノール1mLを加え、30分間振とうした。遠心後、上清500μLをとり、減圧乾固し、蒸留水100μLに再溶解したものを試料とした。
【0049】
〈MMP1阻害活性試験〉
実施例2と同様の方法で、IC50値を算出した。
【0050】
表2は、各酵母エキス並びにウコン及びレモンのMMP1阻害活性を、実施例2及び比較例2で算出したIC50値により評価した結果を示すものである。
【0051】
【表2】

【0052】
表2に示されるように、酵母エキスの熱水抽出物は、従来からMMP1活性阻害作用を有することが知られているウコン及びレモンのメタノール抽出物と比較して、非常に高いMMP1阻害活性を示すことが明らかになった。特に、サッポロビール社製の酵母エキス「RN7」(商品名)は、極めて高いMMP1阻害活性を有することが明らかになった。
【0053】
(製造例1)
実施例1で製造した酵母エキスを用いて、表3に示す処方の化粧水を常法により調製した。
【0054】
【表3】

【0055】
(実施例3)
製造例1で調製した化粧水について、女性パネル16名(年齢20〜39歳)に使用してもらい、使用感をアンケート形式で質問した。なお、対照として製造例1において酵母エキスを含まない(精製水の配合量を90.0%とした)化粧水を同様に製造し、使用した。使用感について比較したところ、16名中11名が、酵母エキスを含む化粧水の方が好ましいとした。好ましい理由は、肌のコンディションに関わる「しっとり感」、「ハリ」等であった。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明により提供されるMMP阻害剤は、化粧品、トイレタリー、オーラルケア製品、食品、飲料又は医薬品として好適に用いられる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
酵母エキスからなる細胞外マトリックス分解酵素阻害剤。
【請求項2】
前記酵母エキスが、酵母自身が有する酵素で酵母を分解させて得られる酵母エキスである、請求項1に記載の細胞外マトリックス分解酵素阻害剤。
【請求項3】
前記酵母エキスが、分解酵素を添加して酵母を分解させて得られる酵母エキスである、請求項1に記載の細胞外マトリックス分解酵素阻害剤。
【請求項4】
前記酵母エキスがビール酵母エキス、パン酵母エキス及びトルラ酵母エキスからなる群より選ばれる少なくとも1種を含有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の細胞外マトリックス分解酵素阻害剤。
【請求項5】
ゼラチナーゼA阻害剤である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の細胞外マトリックス分解酵素阻害剤。
【請求項6】
コラゲナーゼ阻害剤である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の細胞外マトリックス分解酵素阻害剤。

【公開番号】特開2008−266146(P2008−266146A)
【公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−107337(P2007−107337)
【出願日】平成19年4月16日(2007.4.16)
【出願人】(303040183)サッポロビール株式会社 (150)
【Fターム(参考)】