説明

細胞構成成分取出し機能付血液採取用の容器及び核酸検出方法

【課題】被検血液採取後に容器を移し替えることなく細胞破壊を行うことの出来る血液収納容器と、該血液収納容器を用いてより正確かつより簡便に遺伝子検査などの核酸検出を行う方法を提供すること。
【解決手段】密閉状態を維持しつつ、血液の注入が可能な構造を有する容器内に、ビーズなどの機械的な細胞構成成分取出し手段や、細胞壁分解酵素などの生化学的反応による細胞構成成分取出し手段を設けておく。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、標的細胞の構成成分、なかでも核酸の被検血液中での存在の有無を検出するために有用である容器及びそれを用いた核酸検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
細菌や真菌などの微生物による感染症における感染菌の特定は、患者への適切な治療のみならず、感染の広がりを予防する上で極めて重要な作業である。血液感染症における感染菌の特定するための検査は、採血管中に被検液体としての血液を患者から採取し、これを分析機関や分析部門に移送してから行われるのが一般的である。
【0003】
従来、採血管は、血液生化学検査の分野においては、血液凝固防止剤、血液凝固剤、血漿、血清分離剤、解糖防止剤入り等、検査に適した成分を含有するものが知られている。例えば、特許2,536,921号明細書には、血液凝固防止剤および解糖防止剤を含有する血糖検用の採血管が開示されている。また、特許3,704,982号明細書には、
血液凝固防止剤および血液中の血漿成分の分離剤を含有する遺伝子検査用の採血管が開示されている。また、血液感染症検査の分野においては、採血された血液は血液培養検査を行うため、感染症原因菌の生存を保持する目的から血液凝固防止剤入りのものが使用されている。
【0004】
被検液体中に含まれる微生物を特定する方法としては、遺伝子を用いた検査法が開発されている。具体的にはウイルス、細菌等の病原体の種類に固有な塩基配列を持つ核酸断片(ターゲット核酸断片)を、塩基配列の相補性を利用して検出する方法である。この方法によれば、病原体を直接同定することが可能となる。この方法は、DNAプローブ法または、PCR(polymerase chain reaction)法を用いた遺伝子検査法として普及している。
【0005】
これらの遺伝子検査を実施するためには、まず検体中に含まれる細胞から核酸を抽出することが必要である。例えば菌血症患者からの病原菌の検出を考えた場合、まず患者より採血管、シリンジによって採血し、それをマイクロチューブ等に移し替えてから検体中の細胞の溶解、もしくは破砕により核酸抽出を行って、病原菌由来の核酸を含んだ抽出液を得る。そして抽出した核酸をもとに遺伝子検査を実施する。ここで病原菌由来の核酸の抽出量が遺伝子検査において重要となってくる。そのため細胞から核酸を遊離させる方法に関しては破砕法、酵素法などとして開発されている。その例としては、ビーズなどを用いて物理的に破砕する方法や、酵素を用いて溶解する方法が存在する。
【特許文献1】特許2,536,921号明細書
【特許文献2】特許3,704,982号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
血液感染症検査においては主に血液培養検査が採用されているが、検査結果がでるまでに数日から1週間を要するため、血液感染症の初期治療においては、血液培養の検査結果を反映させた投薬治療が行なわれていないのが現状である。
【0007】
また、血液培養によって真菌を検出することは困難な場合が多い。特に肺、臓器などに感染する深在性真菌症の場合、血液中に混在する真菌は非常に少なく、血液培養において感染症原因菌が検出されることはほとんどなく、患者の死亡時の剖検において原因が判明
することが多い。
【0008】
以上の理由から、迅速にかつ高感度な検査方法が望まれている。
【0009】
このような検査期間が長いという問題や、検出感度が低いという問題を解決するために、より迅速、かつ高感度な検査が可能な遺伝子検査により、感染症原因菌の特定をしようとする試みが行なわれている。
【0010】
遺伝子検査自体は、短時間で検査が行える上に、非常に検出感度の良い検査法である。理論的には検体中に含まれる原因菌から一組の核酸が抽出できれば検出可能である。そこで、細菌や真菌などの感染症を引き起こす微生物から核酸を抽出する必要がある。ところが、細菌や真菌のなかにはその細胞壁を細胞壁分解酵素で溶解させるための処理に時間を要するものがあり、これらの存在が想定できる場合は、十分に時間をかけた細胞壁溶解処理が必要となる。
【0011】
一方、遺伝子検査では、その高感度がゆえに検査途中の検体に環境中に常在する菌などが混入した場合、その菌までも検出してしまうこととなり、正確に菌種を同定できない場合がある。特に、核酸抽出前の検体に環境常在菌が混入した場合、感染症を引き起こしている原因菌と共に環境中の常在菌まで核酸抽出が行われることとなり、原因菌を正確に同定することが出来ない。通常これらの常在菌の混入に対しては、検体採取後の作業を全てクリーンベンチの中で行うなどすることによって防いでいる。しかしながらこれらの防御策を講じても完全に混入を防ぐことができない場合もある。
【0012】
本発明の目的は、検査に供与する細胞構成成分の細胞からの取出し処理を被検血液の容器への採取後速やかに開始するのに適した構成の容器を提供することにある。本発明の他の目的は、被検血液の容器への採取及び細胞構成成分の細胞からの取出しを、環境中の常在菌をはじめとする検出対象菌以外の菌が被検液中に混入することを防止可能であり、かつ上記の目的を達成しえる容器を提供することにある。本発明の他の目的は、これらの容器を利用した核酸採取工程を含む標的核酸の検出方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の細胞構成成分取出し機能付き血液採取用の容器は、密閉状態を維持しつつ、血液の注入が可能な構造を有する容器と、前記容器内に配置された細胞構成成分取出し手段と、
を有することを特徴とする容器である。この容器は、その密閉状態を維持した減圧下で、細胞構成成分取出し手段を配置しておく構成を採ることができる。
【0014】
本発明にかかる標的核酸の検出方法は、被検血液中に存在している可能性のある標的細胞由来の核酸を検出する方法であって、
(i)上記構成の容器に、被検血液を空気非透過に注入し、ついで該容器の密閉状態を維持しつつ該被検血液中の細胞を該容器内に配置した細胞構成成分取出し手段により、該細胞から核酸を被検血液中に取出す工程と、
(ii)前記工程(i)によって得られた被検血液から核酸を抽出する工程と、
(iii)前記工程(ii)によって抽出された核酸中の標的細胞由来の核酸を検出する工程と、
を有することを特徴とする核酸検出方法である。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、被検血液中の細胞からの細胞構成成分の取出しを、常在菌などの混入を防止しつつ、容器内への被検血液の採取後に速やかに開始することができ、検査期間の短縮と精度よい検査、例えば細胞構成成分を核酸とする遺伝子検査に有用な容器を提供することができる。更に、本発明によれば、検査期間の短縮と検査精度の向上を図ることができる標的核酸の検出方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明の細胞構成成分取出し機能付き血液採取用の容器は、密閉状態を維持しつつ血液注入が可能な構造を有し、更に、容器内に細胞からの細胞構成成分の取出し手段を配置した構成を有する。細胞構成成分取出し手段としては、細胞壁分解酵素などの(生)化学的な手段と、ビーズなどの物理的な手段を利用できる。容器構成の例としては、採血管を挙げることができる。
【0017】
採血管は、管部分と、栓体とを有して構成される。管部分の一方の端は有底部(底部となる仕切りで閉管した部分)とし、他端を開口とし、この開口が、管内を密閉可能であり、かつ外部から注射器などを用いて被検血液を内部にその密閉状態を維持しつつ注入可能な栓体により気密及び液密に閉じられている。
【0018】
細胞構成成分としては、核酸、細胞質成分(ペプチド、ポリペプチド、タンパク質、糖質、炭水化物など)、細胞壁成分(脂質、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質など)などを挙げることができる。
【0019】
以下、細胞構成成分が核酸であり、容器が採血管である場合を例として本発明を説明する。
【0020】
図1及び図2は本発明にかかる採血管の一例を示す図である。採血管1は、上端に開口部5と下端に閉塞部(底部)6を有する採血管本体3と、採血管本体3の上端開口部を気密及び液密的に封止するように取り付けられた栓体2とを有する。図1の例では、細胞構成成分の取出し手段として、ビーズ4が配置されている。採血管本体3は合成樹脂または適宜の材料によって構成され、好ましくは透明な材料で構成される。栓体2は開口部5を封止し得る限り、適宜の材料から構成され得る。このような材料としては、ゴム、エラストマーまたは合成樹脂などが挙げられる。より具体的にはゴムとしては、例えば天然ゴム、ブチルゴム、塩素化ブチルゴム、臭素化ブチルゴム、シリコーンゴム等が挙げられ、またエラストマーとしては、熱可塑性エラストマーなどが挙げられる。
【0021】
ビーズ4は採血管1に採取される被検血液中に含まれる細胞を破砕し得る限り、適宜の材料から構成されうる。具体的にはガラス;ジルコニア;ジルコニアシリカ;タングステン、ステンレス、チタンなどの金属;水晶;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチロール、ポリアミドなどのプラスチック;金属酸化物;ケイ酸塩からなる群から選択できる。ビーズ4を構成する材料は1種類である必要はなく、標的とする細胞を破砕し得る限り、破砕可能な材料群の中から複数選んで混合して使用してもよい。また、ビーズ4の径も1種類に限定されるものではなく、細胞を破砕可能である限り、複数の径を持つ、すなわち異なる径のビーズからなるビーズ群より構成してよい。
【0022】
ビーズの直径は2.5mm以下で所望の破砕効果が得られる程度であることが好ましいが、0.6以上、2.3mm以下であることが特に好ましい。また、ビーズの比重は1.0以上10.0以下であることが好ましいが、2.5以上、6.0以下であることが特に好ましい。さらに、採血管内でのビーズの容積の総和が、採血管に収容される被検血液の容積の30%から100%であることが好ましい。
【0023】
更に、直径及び比重の少なくとも一方において異なる2種以上のビーズを混合して用いることができる。
【0024】
採血管1の内部には血液凝固防止剤(抗血液凝固剤)が収容される。収容される血液凝固防止剤は収容される血液の凝固を防止可能な物質であればよく、具体的にはヘパリン;エチレンジアミン四酢酸(EDTA)二ナトリウムなどのEDTAのアルカリ金属塩;クエン酸三ナトリウムなどのクエン酸ナトリウム系のもの;フッ化ナトリウム、ACD(Acid citrate dextrose solution)、CPD(Citrate phosphate dextrose solution)からなる群より選ばれることが望ましい。これらは必要に応じて2種以上を組み合わせて用いることができる。また、後述する細胞壁分解酵素を細胞構成成分取出し手段として利用する場合には、細胞壁分解酵素とのマッチングを考慮して血液凝固防止剤を選択する。例えば、細胞壁分解酵素を用いる場合には、EDTAのアルカリ金属塩が好ましい。
【0025】
血液凝固防止剤は、血液の凝固を防止することが可能な限り、様々な形態で収容される。具体的には採血容器本体3の内部にコーティングされる形で収容されることが望ましい。このコーティングには血液凝固防止剤の水溶液を噴霧させる方法が特に好ましい。また、血液凝固防止剤の水溶液を採血管内に添加し、乾燥させてもよい。また、血液凝固防止剤の水溶液を噴霧し、血液凝固防止剤を付着させたガラス製またはプラスチック製担体を採血管内に内包させてもよい。採血管に患者血液を採血後は、直ちに数回の転倒混合をし、血液と酵素および血液凝固防止剤を充分に混合することが好ましい。
【0026】
次に、採血管1の使用方法を説明する。
【0027】
採血に関しては、図4に示すように、採血針8がホルダー7にセットされたものを用意する。そして、採血針8の先端8aを人の血管に挿入すると共にホルダーの開口部7aに採血管1を挿入する。採血針8の先端8aと反対側の端部8bは、ホルダー内に保持された栓体2のシール部材7aを刺通し、採血管本体3の内部に至る。
【0028】
上記のようにホルダー7に採血管1をセットした状態において、採血管1の内部は減圧状態にされていることが好ましい。すなわち、密閉状態が維持された減圧下で取出し手段としてのビーズが配置されていることがこのましい。
【0029】
このように、採血管1内を減圧状態としておくことで、血液が血管から採血容器1内に効果的に導かれる。すなわち、血液は血管から採血針8を通り、採血針8の端部8aから反対側の端部8bを通って採血管本体3の内部に貯留される。採血は血管内と採血管1内の圧力差がなくなった時点で終了する。
【0030】
採血が終了した後、ホルダー7と共に、採血針8を栓体2より除去する。このときに栓体2は採血針8が除去された後に閉塞し、採血管1内を液密性に封止する。図3に血液9を採取した状態を示す。
【0031】
採取した血液9は凝固しやすいが、採血管1内には採取した血液の凝固を防止するために抗血液凝固剤が採血管本体3に塗布されており、凝固が防止される。
【0032】
採血管本体3の内部にはビーズ4が収容されている。ビーズ4は単一、または複数の異なる径を持った粒子からなる群であり、また、単一、または複数の材料から構成される群である。採血容器1内に貯留された血液9はビーズ4と攪拌されることにより、血液9に含まれる細胞が破砕される。破砕のための攪拌はいかなる方法でも良い。例えば採血管1を激しく振倒させる、または超音波を照射することによってビーズ4を動かし、細胞を破砕させることができる。なお、採血場から検査部門や検査機関に採血管を搬送している間に破砕処理を行うことで、検査期間の短縮を図ることができる。
【0033】
細胞破砕後は採血管1を遠心し、採血管本体3壁面または栓体2に付着した血液9の飛沫およびビーズ4を採血管本体3の下部に落とす。遠心操作の後、慎重に栓体2を取り外し、破砕した細胞より遊離した核酸のみを取得する。取得に際しては核酸以外の生体由来物質を除去するために精製を行う。精製方法に関してはその方法を限定するものではなく、公知の技術を用いて行ってよい。
【0034】
こうして得られた核酸を遺伝子検査に用いることができる。遺伝子検査に好適に適用し得る標的核酸の検出方法は、すなわち、被検血液中に存在している可能性のある標的細胞由来の核酸を検出する方法は、少なくとも
(i)上記構成の採血管に、被検血液を空気非透過に注入し、ついで採血管の密閉状態を維持しつつ被検血液中の細胞をビーズにより破砕し、細胞から核酸を被検血液中に取り出す工程と、
(ii)前記工程(i)によって得られた被検血液から核酸を抽出する工程と、
(iii)前記工程(ii)によって抽出された核酸中の標的細胞由来の核酸を検出する工程と、
により行うことができる。
【0035】
前記工程(iii)は、前記工程(ii)から得られる該抽出核酸を鋳型として遺伝子増幅を行う工程を含むことが好ましい。また、前記工程(iii)が、核酸に、検出操作を容易にするための標識する工程を含むことが好ましい。
【0036】
被検血液からの核酸の抽出には公知の方法を利用することができる。中でも、核酸抽出は人全血に対応した市販核酸抽出キットおよび装置を用いて抽出することが好ましいが、特に、組織に対応した核酸抽出キットおよび装置を用いることが特に好ましい。
【0037】
図1の例では、ビーズを細胞構成成分取出し手段として用いているが、ビーズの代わりに細胞壁分解酵素を採血管内に配置してもよいし、ビーズに細胞壁分解酵素を付着あるいは固定させておいてもよい。
【0038】
標的微生物が細菌である場合の細菌用の細胞壁分解酵素としては、血液中にて溶解活性を有する酵素であり、例えば、N-アセチルムラミダーゼ、ラビアーゼ、アクロモペプチダーゼ、ペプチダーゼ、リゾチーム等が好ましい。この中で溶解処理がしにくいグラム陽性菌に作用するN-アセチルムラミダーゼ、ラビアーゼが特に好ましい。これらから選択された1種あるいは2種以上の組合せを用いることができる。
【0039】
アスペルギルス属、ペニシリウム属の糸状菌などの真菌用の細胞壁分解酵素としては、血液中にて細胞壁溶解活性を有する酵素であり、例えば、エンド−β−1,4−グルカナーゼ、エキソ−β−1,4−グルカナーゼ、エンド−β−1,3−グルカナーゼ、エキソ−β−1,3−グルカナーゼ、β−1,6−グルカナーゼ、エンド−β−1,4−キシラナーゼ、エキソ−β−1,4−キシラナーゼ、エンド−β−1,3−キシラナーゼ、エキソ−β−1,3−キシラナーゼ等が好ましいが、この中で溶解処理が困難なアスペルギルス属、ペニシリウム属等の糸状菌に強く作用するエンド−β−1,4−グルカナーゼ、エンド−β−1,3−グルカナーゼを挙げることができる。これらから選択された1種あるいは2種以上の組合せを用いることができる。
【0040】
細胞壁分解酵素は、採血管の内壁にコーティングしたり、上記の細胞破砕用のビーズの表面に付着あるいは固定させたりして採血管内に配置することが好ましい。また、血液凝固防止剤と同様に、プラスチック製などの適当な担体に付着させて、あるいは固定して採血管内に保持させてもよい。
【0041】
これらの酵素を採血管内に内包させる方法として、酵素水溶液を噴霧させる方法が特に好ましいが、酵素水溶液を採血管内に添加し、真空乾燥させてもよい。
【0042】
上記構成の採血管を用いて血液感染症検査の遺伝子核酸検査を行う場合には、患者血液を採血すると同時に感染症原因菌の破砕及び/または溶解を開始することができる。さらに検査部門に運搬される間、ビーズ破砕に必要な振動や超音波照射の付与、あるいは細胞壁分解酵素処理に適する温度環境の付与によって、検体が運ばれる間にも処理が継続される。このことから、検査部門で行う溶解処理時間が短縮され、結果として全検査時間が短縮された。また、溶解酵素を検体にあらたに添加する必要がないため、試薬汚染菌、環境汚染菌による検査結果の誤判定の頻度が低減した。
【実施例】
【0043】
以下に本発明の実施例について説明する。
(実施例1)
(細菌溶解酵素入り採血管の作製)
内径1.2mm、長さ70mmのプラスチック製試験管にエチレンジアミン四酢酸(EDTA)の2K(和光純薬工業(株)製)を、11.0mg/管を投入し、更にN-アセチルムラミダーゼ(生化学工業(株)製)を6.0mg/管を投入し、真空乾燥させた。その後、ブチルゴム栓を試験管の開放部に取り付け、封入した。
【0044】
(細菌溶解酵素入り採血管の効果を確認するための核酸抽出および核酸増幅)
本発明の実施例を図5及び図6を用いて説明する。本実施例により、細菌溶解酵素入り採血管を用いて採血した血液からの核酸抽出をし、かつその核酸をPCR増幅することにより、以下核酸検査に用いることが出来ることを確認した。まず、Staplylococcus aureus JCM2151を羊血液寒天培地(日本ベクトンディッキンソン製)にて12時間培養し、生育した菌を生理食塩水に溶解し、107個/mLになるよう希釈液を作製した。また健常人の全血をエチレンジアミン四酢酸(EDTA)のアルカリ金属塩入の真空採血管(日本ベクトンディッキンソン製)にて採血した。そして菌希釈液0.6mLと全血5.4mLを混合し血液感染症モデル系を作成、細菌溶解酵素入り採血管に注入し、転倒混合した。同様な調製を3本分行い、それぞれを37℃、0分、30分、60分酵素反応させた。
【0045】
酵素反応後、直ちにDNeasy Tisuue kit(QIAGEN社製)の標準プロトコルに従い、核酸抽出を行った。精製後の核酸はキット付属のAE緩衝液50μLに溶出した。抽出した核酸中の細菌由来の核酸の存在を確認するため、細菌の16SrRNA遺伝子領域を標的とした以下の配列プライマーを用いてPCR増幅を行った。
Fプライマー:5'-GAGTTTGATCCTGGCTTCAG- 3'
Rプライマー:5'-AAGGAGGTGATCCAGCC- 3'
PCR反応組成および反応条件は図5の通りである。PCR増幅の結果、図6の電気泳動像が得られた。これにより、上記採血管にて酵素反応させることにより、細菌の16SrRNA遺伝子領域(約1500bp)のPCR増幅産物が認められ、核酸検査に用いることが可能な細菌由来のゲノムDNAの存在が明らかとなった。
【0046】
(実施例2)
(真菌溶解酵素入り採血管の作製)
内径1.2mm、長さ70mmのプラスチック製試験管にエチレンジアミン四酢酸(EDTA)の2K(和光純薬工業(株)製)を、11.0mg/管の量で投入した。さらにエンド−β−1,4−グルカナーゼ、50mg/管、(sigma製:製品名 Cellulase)エンド−β−1,3−グルカナーゼ50mg/管(sigma製:製品名 Laminarinase)を投入し、真空乾燥させた。その後、ブチルゴム栓を試験管の開放部に取り付け、封入した。
【0047】
(真菌溶解酵素入り採血管の効果を確認するための核酸抽出および核酸増幅)
本発明の実施例を図5及び図6を用いて説明する。本実施例により、真菌溶解酵素入り採血管を用いて採血した血液からの核酸抽出をし、かつその核酸をPCR増幅することにより、以下核酸検査に用いることが出来ることを確認した。
【0048】
まず、Saccharomyces cerevisiae IFO1998をポテトデキストロース寒天培地(栄研)にて42℃、24時間培養し、生育した菌を生理食塩水に溶解し、107個/mLになるよう希釈液を作製した。また健常人の全血をエチレンジアミン四酢酸(EDTA)のアルカリ金属塩入の真空採血管(日本ベクトンディッキンソン製)にて採血した。そして菌希釈液0.6mLと全血5.4mLを混合し血液感染症モデル系を作成、真菌溶解酵素入り採血管に注入し、転倒混合した。同様な調製を3本分行い、それぞれを45℃、0分、60分、90分酵素反応させた。
【0049】
酵素反応後、直ちにDNeasy Tisuue kit(QIAGEN社製)の標準プロトコルに従い、核酸抽出を行った。精製後の核酸はキット付属のAE緩衝液50μLに溶出した。抽出した核酸中の真菌由来の核酸の存在を確認するため、真菌の18SrRNA遺伝子領域を標的とした以下の配列プライマーを用いてPCR増幅を行った。
Fプライマー:5'-GCCCTATCAACTTTCGATGGTAGGATAG- 3'
Rプライマー:5'-CAGCACGACCCCTATCACGTAAG- 3'
PCR反応組成および反応条件は図5の通りである。PCR増幅の結果、図6と同様の電気泳動像が得られた。これにより、上記採血管にて酵素反応させることにより、真菌の18SrRNA遺伝子領域(約1240bp)のPCR増幅産物が認められ、核酸検査に用いることが可能な真菌由来のゲノムDNAの存在が明らかとなった。
【0050】
(実施例3)
(Escherichia coliが混入した血液を検体とした遺伝子検査)
(1)採血管の作製)
一端が開口し、多端が閉塞してなるポリエチレンテレフタラートの有底管(外径12.6mmφ×75mm)に、比重が5.5のジルコニアビーズを収容した。該ビーズは粒径0.2mm、0.5mmのビーズを重量比5:5で、該有底管内に容積1.5mlになるように収容した。次に、ビーズを収容した該有底管の内壁表面に、小型噴霧器によってEDTA二ナトリウムの水溶液(25mg/ml)の霧を30μl噴霧した。噴霧は小型噴霧器のノズル先端部分を有底管の管底から開口部へと一定の速度で移動させ、該水溶液が均一に該内壁表面に付着するようにした。そして該有底管を定法に従って真空凍結乾燥し、ブチルゴム製の栓体を該有底管の開口部に装着し、内部を減圧状態とした採血管を作製した。
【0051】
(2)Escherichia coliを混入させた血液の作製
全血試料と滅菌PBSにEscherichia coli(以下 E.coli)を懸濁させた液体を以下の量で混合し、E.coliを混入させた血液モデル検体を作製した。
全血試料:1900μl
E.coli 懸濁液(104菌 / tube):100μl
(3) 増幅用プライマーの設計
E.coliの16S rRNA遺伝子領域をコードする配列を標的配列とし、その領域を増幅することが可能である以下に記載の2種類のプライマーを設計した。E.coliの16S rRNA遺伝子領域の配列情報は、公開されているデータベースから入手した。
【0052】
【表1】

【0053】
(4)増幅用プライマーの合成
(3)で設計した2種の増幅用プライマーを合成した。プライマーの合成は定法に従ってDNA合成機で合成した。精製はカートリッジ精製により行い、2種のプライマーを得た。
【0054】
(5)血液モデル検体からの核酸抽出
(2)で作製したE.coliを混入させた血液モデル検体をシリンジで吸引し、(1)で作製した容器に注入したのち、10分間容器を振盪させて細胞破砕を行った。破砕後、定法に従い、フェノール/クロロホルム混合液を添加して混合後に上清を回収した。回収した上清をエタノール沈殿し、20μlの超純水に溶解した。
【0055】
(6)PCR増幅
(4)で合成したプライマー、血液モデル検体から抽出した核酸、タカラバイオ株式会社製PCRキット TaKaRa Ex Taqを用いてPCR反応を行った。PCRの反応条件は以下のようなプロトコルによって行った。
【0056】
【表2】

【0057】
上記組成の反応液を図7のプロトコルにしたがって、市販のサーマルサイクラーを用いて増幅反応を行った。反応終了後、精製用カラム(QIAGEN QIAquick PCR Purification Kit)を用いて精製した。精製後の液量が50μlになるように調製した。得られたPCR産物の一部を取り、定法に従って電気泳動を行い、1500bp相当のバンドが出ていることを確認した。電気泳動の画像を図8に示す。
【0058】
(7)標識用プライマーの設計
(3)に記載の方法によりプライマー配列を決定した。また、配列R1の5'末端部分にCy3を標識した。
R1:(Cy3) 5’ atccaaccgcaggttcccctac 3'
(8)標識用プライマーの合成
(7)で設計したプライマーを合成した。プライマーの合成は定法に従ってDNA合成機で合成した。精製はHPLC精製によって行った。また、配列R1の5'末端部分にCy3を結合させた。合成後、TEバッファにて10μMになるように調製した。
【0059】
(8)標識PCR
(7)で合成した標識プライマー、実施例1の(6)で調製したPCR産物、タカラバイオ株式会社製PCRキット TaKaRa Ex Taqを用いてPCR反応を行った。PCRの反応条件は以下のようなプロトコルによって行った。
【0060】
【表3】

【0061】
上記組成の反応液を図9のプロトコルにしたがって、市販のサーマルサイクラーを用いて増幅反応を行った。反応終了後、精製用カラム(QIAGEN QIAquick PCR Purification Kit)を用いて精製した。精製後の液量が50μlになるように調製した。
【0062】
(9)DNAマイクロアレイの作製
(9)-1ガラス基板の洗浄
合成石英のガラス基板(サイズ:25mmx75mmx1mm、飯山特殊ガラス社製)を耐熱、耐アルカリのラックに入れ、所定の濃度に調製した超音波洗浄用の洗浄液に浸した。一晩洗浄液中で浸した後、20分間超音波洗浄を行った。続いて基板を取り出し、軽く純水ですすいだ後、超純水中で20分超音波洗浄をおこなった。次に80℃に加熱した1N水酸化ナトリウム水溶液中に10分間基板を浸した。再び純水洗浄と超純水洗浄を行い、DNAチップ用の石英ガラス基板を用意した。
【0063】
(9)-2表面処理
シランカップリング剤KBM-603(信越シリコーン社製)を、1%の濃度となるように純水中に溶解させ、2時間室温で攪拌した。続いて、先に洗浄したガラス基板をシランカップリング剤水溶液に浸し、20分間室温で放置した。ガラス基板を引き上げ、軽く純水で表面を洗浄した後、窒素ガスを基板の両面に吹き付けて乾燥させた。次に乾燥した基板を120℃に加熱したオーブン中で1時間ベークし、カップリング剤処理を完結させ、基板表面にアミノ基を導入した。次いで同仁化学研究所社製のN-マレイミドカプロイロキシスクシイミド(N-(6-Maleimidocaproyloxy)succinimido)(以下EMCSと略す)を、ジメチルスルホキシドとエタノールの1:1混合溶媒中に最終濃度が0.3mg/mlとなるように溶解したEMCS溶液を用意した。ベークの終了したガラス基板を放冷し、調製したEMCS溶液中に室温で2時間浸した。この処理により、シランカップリング剤によって表面に導入されたアミノ基とEMCSのスクシイミド基が反応し、ガラス基板表面にマレイミド基が導入された。EMCS溶液から引き上げたガラス基板を、先述のEMCSを溶解した混合溶媒を用いて洗浄し、さらにエタノールにより洗浄した後、窒素ガス雰囲気下で乾燥させた。
【0064】
(9)-3 プローブDNAの合成
E. coli由来の核酸に特有の塩基配列部分に対してハイブリッド体を形成可能な塩基配列を有するプローブとして、下記の配列を有するプローブ5種を合成した。なおこの配列は、E.coliの16S rRNA遺伝子領域をコードする配列に相補的な配列となっている。プローブDNAはガラス基板に対して共有結合させるため、定法に従って5'末端にチオール化処理を施したのち、DNA合成時に副反応を避けるために結合してある保護基を全て除去し、さらにHPLC精製および脱塩処理を施した。
【0065】
【表4】

【0066】
得られたプローブDNAは純水に溶解し、それぞれ、最終濃度(インク溶解時)10μMとなるように分注した後、凍結乾燥を行い、水分を除いた。
【0067】
(9)-4 インクジェットプリンターによるDNA吐出、および基板への結合による固定化
グリセリン7.5wt%、チオジグリコール7.5wt%、尿素7.5wt%、アセチレノールEH(川研ファインケミカル社製)1.0wt%を含む水溶液を用意した。続いて、先に用意したプローブを上記の混合溶媒に規定濃度(10μM)となるように溶解した。得られたDNA溶液をインクジェットプリンター(商品名:BJF-850 キヤノン社製)用インクタンクに充填し、印字ヘッドに装着した。
【0068】
なお、ここで用いたインクジェットプリンターは平板への印刷が可能なように改造を施したものである。またこのインクジェットプリンターは、所定のファイル作成方法に従って印字パターンを入力することにより、約5ピコリットルのDNA溶液を約120マイクロメートルピッチでスポッティングすることが可能となっている。
【0069】
続いて、この改造インクジェットプリンターを用いて、印字操作をおこなった。1枚のDNAチップあたり、16スポットの吐出が行われるよう印字のパターンをあらかじめ作成し、印字した。印字が確実に行われていることを拡大鏡等により確認した後、30分間加湿チャンバー内に静置し、ガラス基板表面のマレイミド基と核酸プローブ末端のチオール基とを反応させた。
【0070】
(9)-5洗浄
30分間の反応後、100mMのNaClを含む10mMのリン酸緩衝液(pH7.0)により表面に残ったDNA溶液を洗い流し、ガラス基板表面に一本鎖DNAが固定したDNAマイクロアレイを得た。
【0071】
(10) ハイブリダイゼーション
(9)で作製したDNAマイクロアレイと実施例1の(8)で作製したPCR産物(増幅核酸)を用いて検出反応を行った。
【0072】
(10)-1 DNAマイクロアレイのブロッキング
BSA(牛血清アルブミンFraction V:Sigma社製)を1wt%となるように100mM NaCl / 10mM Phosphate Bufferに溶解させ溶液を得た。この溶液に実施例1の(9)で作製したDNAマイクロアレイを室温で2時間浸し、ブロッキングを行った。ブロッキング終了後、0.1wt%SDS(ドデシル硫酸ナトリウム)を含む2xSSC溶液(NaCl 300mM 、Sodium Citrate (trisodium citrate dihydrate, C6H5Na3・2H2O) 30mM、p.H. 7.0)で洗浄を行った。その後、純水でリンスしてからスピンドライ装置で水切りを行った。
【0073】
(10)-2 ハイブリダイゼーション溶液の調製
最終濃度が下記の構成となるようハイブリダイゼーション溶液を調製した。
【0074】
<ハイブリダイゼーション溶液>
6 x SSPE / 10% Formamide /PCR産物
(6xSSPE: NaCl 900mM、NaH2PO4・H2O 60mM、EDTA 6mM、p.H. 7.4)
(10)-3 ハイブリダイゼーション
水切りしたDNAマイクロアレイをハイブリダイゼーション装置(Genomic Solutions Inc. Hybridization Station)にセットし、以下に示すハイブリダイゼーション条件でハイブリダイゼーション反応を行った。
【0075】
<ハイブリダイゼーション条件>
Injection → 92℃ 2min → 45℃ 4hr → Wash 2xSSC / 0.1% SDS at 25℃ → Wash 2 x SSC at 20℃ → (Rinse with H2O : Manual) → Spin dry
(6) 蛍光測定
ハイブリダイゼーション反応終了後のDNAマイクロアレイをDNAマイクロアレイ用蛍光検出装置(Axon社製、GenePix 4000B)を用いで蛍光測定を行った。励起波長532nmの測定モードによってCy3の蛍光輝度を測定した。検出時のDNAマイクロアレイの様子を図10に示す。またそれぞれのCy3蛍光輝度の測定結果を下記に示す。なお、バックグランドに相当するスポットの無い部分からの蛍光強度を引いた値を蛍光輝度の実測値とした。また、測定は2回実施してその平均値を測定結果とした。
【0076】
【表5】

【0077】
蛍光測定の結果、E.coliが検出された。このことより、細胞破砕用ビーズを内包した血液収納容器を用いることで、E.coliを破砕し、核酸を抽出することが出来たことを確認した。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】本発明の実施形態にかかる採血容器を示す模式図である。
【図2】採血容器の構成を示す模式図である。
【図3】採血容器内に検体を吸引し、採血針を有する貫通チップを除去した状態を示す模式図である。
【図4】採血針がホルダーにセットされた状態を示す模式図である。
【図5】栓体に採血針を有する貫通チップを圧入した状態を示す模式図である。本発明の血液採血管にて採血した血液から真菌由来のゲノムDNAを抽出し、そのゲノムDNAから18SrRNA遺伝子領域をPCR増幅するためのPCR反応組成および反応条件である。
【図6】本発明の血液採血管にて採血した血液から真菌由来のゲノムDNAを抽出し、その18SrRNA遺伝子領域をPCR増幅させた後、電気泳動にてPCR産物を確認した図である。
【図7】増幅PCRサイクルを示す図である。
【図8】増幅PCR産物の電気泳動の図である。
【図9】標識PCRサイクルを示す図である。
【図10】DNAマイクロアレイ検出時の図である。
【符号の説明】
【0079】
1:採血管
2:栓体
3:採血管本体
4:ビーズ
5:開口部
6:閉塞部
7:ホルダー
7a:ホルダー開口部
8:注射針
8a:注射針先端
9:血液

【特許請求の範囲】
【請求項1】
細胞構成成分取出し機能付き血液採取用の容器であって、
密閉状態を維持しつつ、血液の注入が可能な構造を有する容器と、
前記容器内に配置された細胞構成成分取出し手段と、
を有することを特徴とする容器。
【請求項2】
前記細胞構成成分取出し手段が、細胞壁分解酵素および物理的に細胞を破砕するための手段の少なくとも1種である請求項1に記載の容器。
【請求項3】
前記細胞壁分解酵素が、細菌または真菌の細胞壁の分解酵素である請求項2に記載の容器。
【請求項4】
前記物理的に細胞を破砕するための手段が、ビーズである請求項2に記載の容器。
【請求項5】
前記ビーズに、細胞壁分解酵素が固定されている請求項4に記載の容器。
【請求項6】
前記細胞壁分解酵素が、細菌または真菌の細胞壁の分解酵素である請求項5に記載の容器。
【請求項7】
前記ビーズの直径が2.5mm以下である請求項5または6に記載の容器。
【請求項8】
前記ビーズの比重が1.0以上10.0以下である請求項5ないし7のいずれかに記載の容器。
【請求項9】
直径及び比重の少なくとも一方において異なる2種以上のビーズが内包されている請求項1ないし9のいずれかに記載の容器。
【請求項10】
前記ビーズの容積の総和が、前記容器に収容される血液の容積の30%から100%である請求項5ないし8の何れかに記載の容器。
【請求項11】
前記細菌の細胞壁分解酵素が、N-アセチルムラミダーゼ、ラビアーゼ、アクロモペプチダーゼ、ペプチダーゼまたはリゾチームである請求項3または6に記載の容器。
【請求項12】
前記真菌の細胞壁分解酵素が、エンド−β−1,4−グルカナーゼ、エキソ−β−1,4−グルカナーゼ、エンド−β−1,3−グルカナーゼ、エキソ−β−1,3−グルカナーゼ、β−1,6−グルカナーゼ、エンド−β−1,4−キシラナーゼ、エキソ−β−1,4−キシラナーゼ、エンド−β−1,3−キシラナーゼまたはエキソ−β−1,3−キシラナーゼである請求項3または6に記載の容器。
【請求項13】
採血管である請求項1ないし12のいずれかに記載の容器。
【請求項14】
血液凝固防止剤を更に内包する請求項1ないし13のいずれかに記載の容器。
【請求項15】
密閉状態が維持された減圧下で前記取出し手段が配置されている請求項1ないし14のいずれかに記載の容器。
【請求項16】
被検血液中に存在している可能性のある標的細胞由来の核酸を検出する方法であって、
(i)請求項1〜15のいずれかに記載の容器に、被検血液を空気非透過に注入し、ついで該容器の密閉状態を維持しつつ該被検血液中の細胞を該容器内に配置した細胞構成成分取出し手段により、該細胞から核酸を被検血液中に取出す工程と、
(ii)前記工程(i)によって得られた被検血液から核酸を抽出する工程と、
(iii)前記工程(ii)によって抽出された核酸中の標的細胞由来の核酸を検出する工程と、
を有することを特徴とする核酸検出方法。
【請求項17】
前記工程(iii)が前記工程(ii)から得られる該抽出核酸を鋳型として遺伝子増幅を行う工程を含む請求項16に記載の核酸検出方法。
【請求項18】
前記工程(iii)が、核酸に標識する工程を含む請求項16または17に記載の核酸検出方法。
【請求項19】
前記工程(iii)が、該標的微生物に由来する核酸に特有の塩基配列部分に対してハイブリッド体を形成可能な塩基配列を有するプローブを用いて増幅核酸とハイブリダイゼーション反応を行う工程を含む請求項16ないし18の何れかに記載の核酸検出方法。
【請求項20】
プローブが、担体に固定化されている請求項19に記載の核酸検出方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図7】
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【図9】
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【図10】
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【図6】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−298615(P2008−298615A)
【公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−145603(P2007−145603)
【出願日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】