説明

細胞標的および可溶性被検体を含有する試料を実質的同時に評価するための方法

細胞マーカーに結合し、かつ対象が治療の評価を阻害するそれに対する遮蔽反応または自己抗体を発生するような、ヘパリン療法またはCD20もしくはCD52抗体のようなリガンドを使用する対象の治療をモニタリングする方法が提供される。これらの方法は、細胞標的を発現する細胞を含む試料を、(i)細胞標的に結合する可溶性リガンド、(ii)可溶性被検体または競合する可溶性被検体に結合する可溶性リガンド;ならびに、(iii)可溶性被検体へ直接的に、可溶性被検体へ間接的に、または可溶性被検体に結合する可溶性リガンドへ結合する捕捉媒体と共に、単独の容器へ添加することに関する。これらの成分の相互作用により容器内で形成された複合体は、これらの複合体の物理的分離を伴わずに、実質的に同時に分析され、かつ定量される。このアッセイを行うためのキットも提供される。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
発明の背景
本発明は一般に、生物学的試料の定量的および定性的評価のためのアッセイ法に関し、より詳細には細胞および可溶性の標的または被検体の双方を含有する生物学的試料のアッセイ法に関する。
【0002】
様々な生物学的試料または生成物中の多種多様な標的、被検体、分子、化合物および複合体などを検出および/または測定する能力は、疾患の診断、疾患の治療、療法の有効性のモニタリング、分子生物学の研究、水の純度、生成物の夾雑の検出およびモニタリング、ならびに他の分野において重要な用途がある。多くの様々な種類のアッセイが、分析される標的、例えば基体(細胞など)の上もしくは内部に固定された標的、または可溶性標的、タンパク質性である標的、または化合物などの同一性および状態に応じて展開されている。従って抗体を用いタンパク質性標的を同定するイムノアッセイが存在し、競合的イムノアッセイは、標的を、限定量の抗体への結合について既知量の標識された抗原と競合させることにより、標的を同定している。抗体に結合した標識された抗原の量は、試料中の抗原の量に反比例する。免疫測定アッセイは、標識された抗体を使用し、かつ標的に会合した標識された抗体の量が、試料中で利用可能な標的量に正比例するので測定される。細胞数測定アッセイは、標的を、サイズ、形状、電荷、光の回折もしくは反射、または他の手段により同定する。
【0003】
一般に、リガンドを固形支持体上に固定し、かつ標的と結合したリガンドの間に複合体を形成することにより標的を検出するアッセイは、検出のために可溶性リガンドを使用するアッセイとは異なる処理段階を必要とする。更に血液試料について実行されるアッセイにおいて、試料中の骨髄細胞による固形支持体粒子の食作用は、アッセイに誤差をもたらし得る。同じくほとんどの公知のアッセイは、複数の処理段階、例えば適切なリガンドまたは標識を検出する前の、試料中に形成された成分の溶解、洗浄および物理的分離などが関連している。更に公知のアッセイは一般に、結合した被検体を、可溶性被検体から除去する洗浄段階を使用し、およびこれは血清、血漿または細胞を欠いている媒体マトリックス中で実行される。
【0004】
洗浄、溶解および分離の追加段階は、標的の量を不注意により減少することにより、不正確さをもたらす。単独の稀な、または少量の試料に対する多くの異なるアッセイを実行する必要性は、アッセイにより別の問題点を経験することが多く、これは、試料材料の枯渇およびアッセイコストそれ自体の増大につながる。
【0005】
様々なアッセイが、下記参考文献において説明されている:Lindmo T, et al, J. Immunol. Meth., 1990 126:183-189;Frengen J et al., J. Immunol. Meth., 1995 178:131-140;Frengen J et al, J. Immunol. Meth., 1995 178:141-151;米国特許第4,572,028号;第4,376,110号;第5,006,459号;第5,168,044号;第5,426,029号;第5,525,461号;第5,567,627号;第5,756,011号;第5,811,525号;第5,981,180号;第6,268,155号;および、米国特許公開公報第2002/0076833号。
【0006】
最近の癌の治療のための生物学的療法の承認は、治療のモニタリングに関する新たな領域を切り開いた。例えばB細胞リンパ腫のCD20に対するモノクローナル抗体(Rituximab(登録商標)、Bexxar(商標))による治療が、数年前FDAにより承認された。初期の結果は期待できるものであったが、寛解対腫瘍エスケープ(tumor escape)を評価する継続的モニタリングが必要とされている。治療後、B細胞は、抗CD20治療抗体(Rituximab、またはBexxar)によるか、または検出抗体に結合する循環可溶性CD20のいずれかによる、B細胞枯渇、腫瘍エスケープ、またはCD20遮断のために、もはやCD20を発現しない(Giles, F. J., et al. 2003. Br J Haematol, 123:850-857)。
【0007】
例えば、循環Rituximab(登録商標)のレベルは、治療後最大6ヶ月出現し、CD20+細胞の検出を遮断することができる。細胞質CD20の存在は、Rituximab(登録商標)が効果的にB細胞CD20を遮断することは示すが、B細胞はCD20陰性となり始めること(腫瘍エスケープ)は示さないであろう(Clarke, L. E. et al. 2003. J Cutan Pathol, 30:459-462;Kennedy, G. A. et al. 2002. Br J Haematol, 119:412-416;およびDavis, T. A. 1999. Clin Cancer Res, 5:611-615)。循環Rituximab(登録商標)を検出する能力は、単に薬物の評価を確認するのみではなく、薬物の定量測定も提供する。
【0008】
現在、循環Rituximab(登録商標)およびCD20+細胞のレベルは、フローサイトメトリー、免疫組織学およびイムノアッセイの方法により個別にアッセイされている。これらの種類のマーカーの、表面および細胞質での発現の双方に加え、循環薬物(Rituximab)の存在を実質的に同時にモニタリングする能力は、治療有効性の評価における前向きの重要な段階を提供する。
【0009】
治療的モニタリング適用の別の例は、数年前FDAに承認された、抗CD52抗体(CAMPATH-1、alemtuzumab)によるB細胞性慢性リンパ性白血病の治療である。CD52は、正常リンパ系細胞および単球上、ならびに大きい割合の悪性リンパ系細胞で高度に発現されるが、造血前駆細胞においては発現されない、グリコホスファチジルイノシトール(GPI)アンカータンパク質である(Dumont, F. J. 2002. Expert Rev Anticancer Ther, 2:23-35)。抗CD52抗体による治療において、寛解対腫瘍エスケープを評価するためには継続的モニタリングが必要である。治療後、B細胞は、検出抗体に結合する薬物(CAMPATH-1)によるCD52の遮断のために、B細胞枯渇し、腫瘍エスケープし、もはやCD52を発現しない(Giles, F. J. , et al. 2003. Br J Haematol, 123:850-857)。加えてCD52は、GPIアンカータンパク質の特徴として、循環系へ流出する。
【0010】
CD52の異なるエピトープ(例えば、HI186またはCF1D12)への特異性を伴う第二の抗体を使用し、腫瘍エスケープを評価することができる。CAMPATH-1血清レベルの測定は、投与法を最適化するために使用し、かつ同じく腫瘍エスケープの評価を確認することができる(Birhiray, R. E. et al. 2002. Leukemia, 16:861-864、およびRebello, P. and G. Hale. 2002. J Immunol Methods, 260:285-302)。抗イディオタイプ抗体の可能性は、ヒト化されたモノクローナル抗体、例えばCAMPATH-1が使用される場合に問題が少ないが、モニタリングすることもできる[10]。加えてリンパ球の過度の枯渇を生じるこの治療の毒性のために、CD52発現レベルの差を定量する能力は、応答個体対非応答個体の層化を可能にする[11]。この状況をモニタリングするために、表面発現のためのフローサイトメトリーならびに循環CD52または免疫複合体のための蛍光顕微鏡およびイムノアッセイなどの2〜3種の異なる技術を用い、これまで個別に分析が行われてきた。
【0011】
ヘパリン/血小板第4因子(H:PF4)複合体に対する自己抗体は、ヘパリン療法の重要な副作用であるヘパリン誘導型血小板減少症(HIT)が原因である(Reilly, R. F. 2003. Semin Dial 16:54-60)。ヘパリンを服用している患者におけるHIT発症率は、1〜3%である(DeBois, W. J. et al. 2003. Perfusion, 18:47-53)。増加したトロンビン形成は、低下した血小板数(<150k/μL)、および高い抗ヘパリン/PF4抗体レベルに関連している。この事象の組合せは、生命を脅かす可能性がある。従って抗ヘパリン/PF4抗体の量を迅速に決定する能力は、臨床管理の指導の上で一助となるであろう。最近、アネキシンVを使用する、抗H:PF4抗体および血小板活性化を検出する新規なフローサイトメトリーアッセイが記載された(Gobbi, G. et al. 2004 Cytometry, 58B:32-38)。この開発の前に、H:PF4で被覆されたビーズが、単独で抗血小板抗体を検出するために使用されている(Tazzari, P. L. et al. 2002. Transfus Med, 12:193-198)。
【0012】
当技術分野において、単独の試料中の複数の被検体を分析する、より効果的な方法に関する必要性が存在し続け、この方法はその試料について行われる段階を少なくすることができ、このことにより精度および費用対効果を改善する一方、希少試料を保存する。
【発明の開示】
【0013】
発明の概要
本発明は、細胞マーカーに結合する可溶性リガンドが投与される、患者の治療をモニタリングするハイスループット法を提供する。1つの態様において、本発明は、細胞表面に発現された標的CD20へ特異的に結合する治療リガンドにより、治療が必要な患者の治療をモニタリングする方法を提供する。本発明のCD20モニタリング法は、患者から得たCD20+細胞を有する体液を含む試料を含有する容器内で、以下の段階の1つを行う:
i)容器内のアッセイ成分を、CD20に特異的に結合し、かつ第一の識別可能な蛍光標識に複合する第一の可溶性リガンドと共に、CD20と第一のリガンドの複合体形成を可能にする条件下および時間、インキュベーションする段階 ;または
ii)容器へ、B細胞へ特異的に結合しおよび第二の蛍光標識に複合する第二の可溶性リガンドを、アッセイ成分間で複合体形成を可能にする条件下および時間、添加する段階;または
iii)以下の段階の組合せ:
a)容器へCD20抗原に連結された捕捉粒子を添加する段階;
b)容器中の細胞を透過化する段階;および
c)容器内のアッセイ成分を、細胞内CD20に特異的に結合し、かつ第三の識別可能な蛍光標識と複合する第三の可溶性リガンドと共に、細胞内CD20と第一のリガンドの複合体形成を可能にする条件下および時間、インキュベーションする段階。容器内で形成された複合体中の蛍光標識からの蛍光を検出し、患者の治療をモニタリングする。
【0014】
別の態様において、本発明は、下記のアッセイ成分を、その間の複合体形成を可能にする条件下および十分な時間、容器内で共にインキュベーションすることにより、細胞表面に発現された標的CD20へ特異的に結合する治療リガンドにより、治療が必要な患者の治療をモニタリングする方法を提供する:1)患者から得たCD20+細胞を含有する体液を含む試料;2)第一の識別可能な蛍光標識へ複合した可溶性CD20へ特異的に結合する第一の可溶性リガンド;3)第二の識別可能な蛍光標識へ複合したB細胞へ特異的に結合する第二の可溶性リガンド;ならびに、4)CD20抗原へ連結された捕捉粒子。容器内の細胞を透過化した後、容器内のアッセイ成分は、細胞内CD20へ特異的に結合し、かつ第三の識別可能な蛍光標識に複合する第三のリガンドと、細胞内CD20と第三のリガンドとの複合体形成を可能にする条件下および時間、インキュベーションされ、これによりその中に成分の混合物を形成する。患者の治療をモニタリングするために、容器内で形成された複合体の混合物中の第一、第二または第三の蛍光標識からの蛍光の存在が検出される。
【0015】
更に別の態様において、本発明は、細胞表面に発現された標的CD52へ特異的に結合する治療リガンドで、治療が必要な患者の治療をモニタリングする方法を提供する。CD52治療をモニタリングする方法は、患者から得たCD52+細胞を含有する体液を含む試料を含有する容器を得る段階;容器内の試料を、以下との間での複合体形成を可能にする条件下および十分な時間、インキュベーションする段階を含む:i)第一の識別可能な蛍光標識に複合した治療リガンドの結合部位において発現された標的へ特異的に結合する第一のリガンド、およびii)第二の識別可能なリガンドへ複合した治療リガンドとは異なる結合部位において発現された標的に結合する第二のリガンドから選択された1つのアッセイ成分;第三の識別可能な蛍光標識へ複合したヒト免疫グロブリンへ特異的に結合する第三のリガンド;および、CD52抗原へ連結された第一の識別可能な捕捉粒子。患者の治療をモニタリングするために、容器内で形成された複合体中の蛍光標識からの蛍光が、実質的に同時に検出される。
【0016】
更に別の態様において、本発明は、細胞表面に発現された標的CD52に特異的に結合する治療リガンドにより、治療を必要とする患者の治療をモニタリングする方法を提供する。CD52治療をモニタリングする方法は、1)患者から得たCD52+細胞を含有する体液を含む試料;2)CD52抗原へ連結された第一の識別可能な捕捉粒子;3)治療リガンドに連結された第二の識別可能な捕捉粒子、の間の複合体形成を可能にする条件下および十分な時間、容器内のアッセイ成分をインキュベーションする段階を含む。この第一のインキュベーションにより形成された複合体は、下記の追加のアッセイ成分との結合相互作用を可能にする条件下および十分な時間、再度インキュベーションされ、複合体の混合物を形成する:1)治療リガンドとは異なる結合部位において発現された標的へ結合し、かつ第一の識別可能な蛍光標識に複合した、第一のリガンド;2)治療リガンドの結合部位において発現された標的へ特異的に結合し、かつ第二の識別可能な蛍光標識へ複合する、第二のリガンド;ならびに、3)ヒト免疫グロブリンに特異的に結合し、かつ第三の識別可能な蛍光標識へ複合する、第三のリガンド。患者の治療をモニタリングするために、容器内で形成された複合体の混合物中の第一、第二または第三の蛍光標識からの蛍光の存在が、実質的に同時に検出される。
【0017】
更に別の態様において、本発明は、モニタリングが必要な患者においてヘパリン療法の副作用をモニタリングする方法を提供し、これは下記のアッセイ成分を、それらの間の複合体形成を可能にする条件下および十分な時間、容器内でインキュベーションする段階を含む:1)患者の安定化された全血を含む試料;2)ヘパリン:血小板第4因子複合体に連結された識別可能な捕捉粒子;3)血小板活性化抗体に特異的に結合し、かつ第一の蛍光標識に複合する第一の可溶性リガンド;ならびに、4)血小板へ特異的に結合し、かつ第二の蛍光標識へ複合した、第二の可溶性リガンド。この第一のインキュベーションにより形成される複合体は、第三の蛍光標識に複合されたヒト免疫グロブリンに特異的に結合する第三の可溶性リガンドとの結合相互作用を可能にする条件下および十分な時間、容器内で再度インキュベーションされ、複合体の混合物を形成する。患者におけるヘパリン療法をモニタリングするために、容器内で形成された複合体中の第一の蛍光標識、第二の蛍光標識または第三の蛍光標識からの蛍光が、実質的に同時に検出される。
【0018】
別の態様において、本発明は、細胞表面に発現された標的CD20に特異的に結合する治療リガンドによる、患者の治療をモニタリングするためのキットを提供する。この態様において、キットは、細胞内CD20へ特異的に結合する第一の可溶性リガンド;および、下記の1種または複数種を備える:1)CD20+細胞へ特異的に結合する第一の可溶性リガンド;2)CD19+細胞へ特異的に結合する第二の可溶性リガンド;3)CD20抗原へ連結された捕捉粒子;および、4)これらのリガンドの複合について識別可能な1〜3種の蛍光標識。
【0019】
更に別の態様において、本発明は、CD52抗原へ特異的に結合する治療リガンドにより、患者の治療をモニタリングするキットを提供する。このCD52モニタリングするキットは、a)CD52抗原へ連結された第一の識別可能な捕捉粒子;および、下記の1種または複数種を備える:1)治療リガンドへ連結された第二の識別可能な捕捉粒子;2)治療リガンドとは異なる結合部位において発現された標的に結合する第一の可溶性リガンド;3)治療リガンドの結合部位において発現された標的へ特異的に結合する第二の可溶性リガンド;4)ヒト免疫グロブリンへ特異的に結合する第三の可溶性リガンド;ならびに、5)これらのリガンドへの複合について識別可能な3種の蛍光標識。
【0020】
更に別の態様において、本発明は、患者のヘパリン療法をモニタリングするキットを提供する。本発明のヘパリンモニタリングキットは、ヘパリン:血小板第4因子複合体に連結された識別可能な捕捉粒子;および、下記の1種または複数種を備える:1)血小板活性化抗原へ特異的に結合する第一の可溶性リガンド;2)血小板へ特異的に結合する第二の可溶性リガンド;3)ヒト免疫グロブリンに特異的に結合する第三の可溶性リガンド;ならびに、e)これらのリガンドへの複合について識別可能な3種の蛍光標識。
【0021】
発明の詳細な説明
本発明の方法は、試料中の可溶性標的および結合した標的の双方の実質的に同時の評価(検出および/または測定)を提供することにより、当技術分野の必要性に答えるものである。この方法は一般に、より大きい構造へ結合された少なくとも1つの標的、および試料溶液中で結合せず、かつ遊離している少なくとも1つの可溶性被検体を含む、試料の分析に関連している。
【0022】
本方法の一般的段階は、試料を、(i)細胞標的に結合する少なくとも1種の可溶性リガンド、(ii)好ましくは検出可能な標識に会合された可溶性被検体または少なくとも1種の競合する可溶性被検体に結合する少なくとも1種の可溶性リガンド;ならびに、(iii)可溶性被検体または可溶性被検体に結合する可溶性リガンドへ直接的または間接的に結合する固相捕捉媒体と共に、単独の容器へ添加することを含む。試料をこれらの添加物と共に適宜インキュベーションした後、試料中に形成される様々な複合体を物理的に分離することなく、試料は実質的に同時に分析される。例えば1つの可能性のある複合体は、細胞標的と少なくとも1種の可溶性リガンドの間で形成される。別の可能性のある複合体は、可溶性被検体に直接結合された捕捉媒体(標識されたまたは標識されない、いずれか)の間で形成される。一般にこの直接結合は、被検体に結合する少なくとも1種のリガンド(例えば、モノクローナル抗体)がその上に固定された捕捉媒体に関連している。更に別の複合体は、可溶性被検体に間接的に結合された捕捉媒体間で形成される。この場合、捕捉媒体は、可溶性被検体に関するリガンド(例えば、被検体に結合するモノクローナル抗体)に結合される別のリガンド(例えば、ストレプトアビジン)に結合するリガンド(例えば、ビオチン)によりその上が被覆される。別の複合体は、可溶性被検体に結合した可溶性リガンドに結合した捕捉媒体の間で形成することができる。この場合、捕捉媒体の上に可溶性被検体が被覆され、これは被検体の可溶性リガンドに結合する。
【0023】
これらの方法において使用される1種または複数種のリガンドは、以下により詳細に説明されるように、1種または複数種の検出マーカーで標識されることが理解される。ある競合的阻害アッセイフォーマットにおいて、これらの方法で使用される1種または複数種の可溶性被検体は、以下により詳細に説明されるように、1種または複数種の検出マーカーで標識される。この方法における物理的分離段階の欠如、すなわち同じ容器内で関連のある複合体を測定する能力は、分析結果を得る有効性および時間の点で価値のある利点を提供し、更に可能な限り少ない試料を使用することにより、少量または稀な試料を保存する利点を提供する。
【0024】
試料
好ましくは試料は生物学的試料であり、ここで結合した標的は、少なくとも1種の細胞標的を生じ、かつ少なくとも1種の可溶性被検体を有する細胞である。この生物学的試料は、 好ましくは様々な種類の生物学的組織の細胞を含む。例えばある生物学的試料は、全血、唾液、尿、滑液、骨髄液、脳脊髄液、膣粘液、頚管粘液、痰、精液、羊水、細胞株、細胞含有滲出液、細胞含有媒体、細胞含有緩衝液、細菌試料、ウイルス試料、および細菌またはウイルスを含む患者からの他の滲出液を含むが、これらに限定されるものではない。このような試料は更に、生理食塩水、緩衝液または生理的に許容できる希釈剤で希釈することができる。好ましくはこのような希釈は、可溶性リガンドまたは競合する可溶性被検体の添加前に行われる。
【0025】
このような生物学的試料において、細胞標的を生じる細胞型は、生物学的細胞、特に哺乳類の血液学的細胞または血液細胞、ならびに同じく全ての脊椎動物または無脊椎動物の細胞、昆虫細胞、細菌細胞、寄生体、酵母または真菌の細胞、藻類または他の植物細胞などであることができる。この定義に、ウイルス、ウイルス様粒子、寄生体、およびその表面に対応する受容体リガンドまたは特異的結合パートナーが存在する、受容体または抗原(すなわち被検体)を有する本質的にいずれかの生物学的コロイド状粒子も含まれる。本発明は、哺乳類の血液細胞、特に1種または複数種の赤血球および白血球を用い、以下に詳細に説明される。存在し得る白血球は、顆粒球、単球/マクロファージ、血小板、リンパ球、リンパ芽球、芽細胞、白血球、および樹状細胞を含むが、これらに限定されるものではない。これらの方法で使用される細胞とその他の細胞型は、線維芽細胞、上皮細胞、表皮細胞、胚細胞、肝細胞、組織球、腹水細胞、腎細胞、肺細胞、精子細胞、卵母細胞、ならびに他の哺乳類組織の正常および癌細胞を含むが、これらに限定されるものではない。細胞標的は、一般に細胞表面抗原、細胞内抗原、核抗原、それらの断片、または前述の標的の2種もしくはそれよりも多い混合物である。
【0026】
このような生物学的試料において天然に生じるか、あるいは本発明の方法のある態様の成分として使用される競合する可溶性被検体であるような、可溶性被検体は、おそらく血清マーカー、医薬品、タンパク質、ウイルス、ホルモン、脂質、核酸配列、炭水化物、毒素、または先に確定された細胞型から流出した抗原、または哺乳類細胞、細菌細胞、ウイルス、ウイルス感染した細胞、癌細胞、真菌などから産生もしくは分泌された抗原、またはそれらの断片、前記被検体の2種もしくはそれよりも多い混合物を含むが、これらに限定されるものではない。
【0027】
このような天然の標的および/または可溶性被検体の病態への関係のために、それらを検出または定量することが望ましい。従ってこのような標的の検出は、とりわけ疾患の診断、または療法のモニタリングにおいて有用である。
【0028】
本発明の方法に従い評価することができる更に他の種類の試料は、いずれかの給源からの水、ガソリン、アルコール、医薬品、香水、食品などの液体製品を含む。これらの試料中の標的および被検体は、薬物、毒物、毒素、微生物タンパク質などの、希釈する化合物を含む。従ってこのような標的は、望ましくない夾雑または希釈を検出するための品質管理手段として検出されることが望ましい。
【0029】
ある態様において、試料は、追加の試薬を含むことができる。例えば試料が全血である場合、この試料は、以下に説明されたもののように抗凝固剤を含むことができる。別の態様において、骨髄細胞を含有する試料は、以下に説明されたような食作用のインヒビターを含むことができる。更に別の態様において、試料は、1種または複数種の固定剤(fixative)、ホスファターゼインヒビター、またはカルシウムインヒビターで処理することができる。
【0030】
発明に有用なリガンド
一般に本方法の成分は、細胞標的または可溶性被検体のいずれかに結合するリガンドを含む。「リガンド」は、細胞上の標的または可溶性被検体へ特異的に結合する部分または結合パートナーを意味する。このようなリガンドは、個々におよび独立して、細胞抗原に結合する抗体、可溶性抗原に結合する抗体、細胞または可溶性抗原に既に結合した抗体に結合する抗原;または、結合が可能であるそのような抗体および抗原の断片;標的または被検体配列に結合するために細胞標的または可溶性被検体の標的核酸配列に十分に相補的である核酸配列、細胞標的または可溶性被検体に既に結合したリガンド核酸配列に十分に相補性である核酸配列、または化学性もしくはタンパク質性化合物、例えばビオチンまたはアビジンである。
【0031】
これらのリガンドは、アッセイフォーマットにより示されるように、可溶性であるか、または捕捉媒体上に固定され得る(すなわち、ビーズへ合成的共有結合的に連結される)。本明細書に定義されるように、リガンドは、1種または複数種の特異的細胞標的または可溶性被検体により検出され、かつ反応する様々な物質を含む。本発明の意味の範囲のリガンドおよびそれらの被検体の例は、表1に列記されたようなものを含むが、これらに限定されるものではない。
【0032】
【表1】

【0033】
当業者にとって、このようなリガンドを構築する有用は公知である。このようなリガンドは全て、可溶性であるか、または細胞に結合されるかどうかにかかわらず、特定された標的または被検体に結合する望ましい能力により特徴付けられる。1つの好ましい態様において、本発明のリガンドは、細胞表面受容体の全てまたは一部に優先的に結合する成分である。従って本発明のこの態様において有用なリガンドは、WBC集団上の細胞表面受容体への結合が可能である、抗体またはそれらの機能性断片である。このような抗体または断片は、いずれか未変性の給源由来のポリクローナル抗体、ならびにクラスIgG、IgM、IgA、IgDおよびIgEの未変性または組換えのモノクローナル抗体、ハイブリッド誘導体、ならびにFab、Fab'およびF(ab')2を含む抗体断片、ヒト化された抗体またはヒト抗体、抗体の相補性決定領域を含む組換えまたは合成の構築体、それらのFc抗体断片、1本鎖Fv抗体断片、所望の細胞表面受容体に結合する抗体の機能的に同等の結合特性を保持するのに十分なCDRを共有する合成抗体またはキメラ抗体の構築体、およびファージディスプレーにより作製された結合断片である。
【0034】
本発明の実施例において使用される抗体は一般に、通常のハイブリドーマ法により得られ、腹水から硫酸アンモニウム(45%)沈殿、遠心およびプロテインAを使用するアフィニティクロマトグラフィーにより精製される。モノクローナル抗体を作製する標準のプロセスは、G. Kohler and C. Milstein, 1975 Nature, 256:495-497に説明されている。当然、モノクローナル抗体の作製の具体的方法および種類は、このような技術に限定されず、かつこのような抗体を作製する技術は、本発明の実践の範囲内で想起される。蛍光強度の増幅は、細胞上の特定の受容体部位の密度に左右されないので、細胞標的または可溶性被検体に結合することができる任意のリガンドを使用することができる。
【0035】
他の典型的なリガンドは、標的または被検体に結合することができるレクチン、ホルモン、増殖因子、または合成ペプチドまたは化合物、またはそれらの一部を含むが、これらに限定されるものではない。リガンドの選択は、本発明の限定因子ではない。リガンドの例は、以下に説明された方法の具体的態様および実施例において例示される。
【0036】
検出可能な標識またはマーカー
本発明の方法で使用されるリガンドおよび/または競合する可溶性被検体および/または捕捉媒体は、指摘されたように、検出可能な標識または検出マーカーに会合している(例えば、共有結合的に連結される)。本発明に有用な成分への結合に関し検出可能な標識は、公知の多くの組成物間から容易に選択することができ、診断アッセイ技術分野の業者は直ちに入手可能である。本発明の試薬、リガンド、競合する被検体、または捕捉媒体は、特定の検出可能な標識または使用される標識システムにより限定されない。場合によっては、検出可能な「標識」は、細胞表面またはビーズの屈折率を含むことができる。
【0037】
本明細書に使用されたように、用語「標識」または「マーカー」は一般に、直接または間接のいずれかで検出可能であるシグナルを提供する分子、好ましくはタンパク質性の分子を意味するが、しかし、単独で、または他の分子もしくはタンパク質と共に作用することが可能である小型化学分子も意味する。本発明において、マーカーは、アッセイにおいて使用される様々なリガンドまたは競合する被検体と会合する。例えば、検出可能な標識またはマーカーは、被検体、固形粒子、細胞またはリガンドに連結された(例えば共有結合的に)蛍光標識、発光標識、放射性標識、または化学発光標識であり得る。
【0038】
1つの態様において、好ましいマーカーは、レーザーによる励起時に特定波長の検出可能なシグナルを放出することにより検出が可能である。その他の手段により検出可能な、フィコビリタンパク質、タンデム色素、ある種の蛍光タンパク質、小型化学分子、およびその他の手段により検出可能なある種の分子は全て、フローサイトメトリー分析のマーカーと考えられる。例えば、「Handbook of Fluorescent Probes and Research Chemicals」第6版、R. P. Haugland、Molecular Probes, Inc., Eugene, OR(1996)に列記されたマーカーを参照されたい。「フィコビリタンパク質」は、紅藻および藍藻において認められる巨大分子のファミリーである。ビリタンパク質(用語「ビリタンパク質」は、用語「フィコビリタンパク質」と同等である)は、分子量が少なくとも約30,000ダルトン、より一般的には少なくとも約40,000ダルトンであり、60,000ダルトンと同じくらいの大きさまたはそれよりも大きいものであってよいが、通常約300,000ダルトンを超えない。ビリタンパク質は、通常2〜3種の異なるサブユニットで構成され、ここでこれらのサブユニットは、分子量約10,000〜約60,000の範囲であってよい。ビリタンパク質は、通常多種多様な藻類およびシアノバクテリウムからそれらの天然の形で得られたものとして使用される。
【0039】
ビリタンパク質中のタンパク質の存在は、タンパク質性分子および非タンパク質性分子に複合する多種多様な官能基を提供する。存在する官能基は、アミノ、チオール、およびカルボキシルを含む。場合によっては、ビリタンパク質が別のタンパク質へ複合された場合に、官能基、特にチオール基を導入することが望ましいことがある。各フィコビリタンパク質分子は、非常に多数の発色団を含む。リガンドの例、例えばフルオレセインで直接標識された抗体分子は、それに会合した1〜3個の発色団を有するであろう。(例えば)フィコビリタンパク質による複合により直接標識された抗体分子は、34種と多い会合した発色団を有することができ、各々、フルオレセインの吸光度および量子収量と大まかに同等である吸光度および量子収量を伴う。
【0040】
本発明に有用なフィコビリタンパク質の例は、フィコシアニン、アロフィコシアニン(APC)、アロフィコシアニンB、フィコエリスリン(PE)、および好ましくはRフィコエリスリンである。PEは、現在利用可能な最も明るい蛍光色素である。抗体に複合されたPEは、蛍光プレートアッセイにおいてインターロイキン4を検出するために使用され、かつ適切なシグナルを発生した唯一の試験された蛍光標識であることがわかっている(M. C. Custer and M. T. Lotze, 1990 J. Immunol. Methods, 128:109-117)。
【0041】
タンデム色素は、フィコビリタンパク質および別の色素から形成され得る天然に生じない分子である。例えば、米国特許第4,542,104号および第5,272,257号を参照されたい。本発明において有用なタンデム色素の例は、フィコエリスロシアニンまたはPC5(PE-Cy5、フィコエリスリン-シアニン5.1;励起486-580nm、発光660-680nm)[A. S. Waggoner et al, 1993 Ann. N. Y. Acad. Sci., 677:185-193および米国特許第5,171,846号]およびECD(フィコエリスリン-テキサスレッド;励起486-575nm、発光610-635nm)[米国特許第4,542,104号および第5,272,257号]である。他の公知のタンデム色素は、PE-Cy7、APC-Cy5、およびAPC-Cy7である[M. Roederer et al, 1996 Cytometry, 24:191-197]。タンデム色素PC5およびECDは、この色素のイミノチオラン活性化が関連するいくつかの方法によりモノクローナル抗体へ成功裡に直接複合される。
【0042】
好ましくは、本発明のリガンドおよび/または競合する被検体および/または捕捉媒体は、蛍光検出可能な蛍光色素、例えば、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)、フィコエリスリン(PE)、アロフィコシアニン(APC)、またはタンデム色素、PE-シアニン-5(PC5)、PE-シアニン-7(PC7)、およびPE-テキサスレッド(ECD)と会合、または複合する。ビリタンパク質およびタンデム色素は、Beckman Coulter, Inc., Miami, FL、Molecular Probes, Inc., Eugene, ORおよびProzyme, Inc., San Leandro, CAを含む様々な供給業者から市販されている。これらの蛍光色素の全てが市販されており、かつそれらの使用は当技術分野において公知である。
【0043】
更に本発明の方法の成分に直接複合し、かつこの方法へ追加数のマーカー(標識されたリガンド)を添加するために本発明においてフィコビリタンパク質またはタンデム色素と共に使用され得るような他のマーカーは、励起時に550nm未満の波長で発光する小型分子を含む。このような分子は、フィコビリタンパク質の発光と重複しない。このようなマーカーの一例は、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)である。他のものは、先に引用された「Handbook」に列記されている。
【0044】
追加の色を提供するために本方法で利用される更に他のマーカーは、グリーン蛍光タンパク質およびブルー蛍光タンパク質として公知のタンパク質であり;同じく、紫外光による励起時に発光するマーカーも有用であり得る。
【0045】
マーカーは、検出可能なシグナルを発生するために、基質と相互作用する酵素であり得る。別のマーカーの態様は、抗体結合によるか、または適宜標識されたリガンドへの結合により、検出可能であるタンパク質であり得る。様々な酵素システムは、アッセイにおける比色シグナルを明らかにするように操作し、例えばグルコースオキシダーゼ(これは基質としてグルコースを使用する)は、ペルオキシダーゼの存在下で生成物として過酸化物を放出し、かつテトラメチルベンジジン(TMB)のような水素供与体は、青色として認められる酸化されたTMBを生成する。別の例は、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)またはアルカリホスファターゼ(AP)、ならびにATP、グルコースおよびNAD+と反応し、他の生成物中でも特に波長340nmでの吸光度増大として検出されるNADHを生じる、グルコース-6-リン酸デヒドロゲナーゼと複合するヘキソキナーゼを含む。
【0046】
本発明の方法において利用され得る他の標識システムは、他の手段により検出可能であり、例えば色素が包埋された着色ラテックス微小粒子(Bangs Laboratories, Indiana)は、酵素の代わりに使用することができ、インヒビター配列またはリガンドと複合体を形成し、および適用可能なアッセイにおいて得られる複合体の存在の可視シグナル指標を提供する。使用することができる更に別の標識システムは、ナノ粒子または量子ドットを含む。
【0047】
このようなマーカーは、別の態様において、好ましくは発現時に検出可能な遺伝子産物を生成するレポーター遺伝子であり得る。このようなリポーター配列は、lux遺伝子、β-ラクタマーゼ、ガラクトシダーゼ酵素、例えば、β-ガラクトシダーゼ(LacZ)、アルカリホスファターゼ、チミジンキナーゼ、グリーン蛍光タンパク質(GFP)、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)、ルシフェラーゼ酵素、またはグルコナーゼ酵素をコードしているDNA配列を含むが、これらに限定されるものではない。
【0048】
本発明の方法の成分に結合され得る更に他の適切なマーカーは、例えば、CD2、CD4、CD8、インフルエンザヘムアグルチニンタンパク質、ビオチン分子、アビジン分子、およびそれらに対する高親和性抗体が存在するかまたは通常の手段により作製され得る当業者に周知の他のものを含む、膜結合タンパク質を含む。別のクラスのマーカーは、特にヘムアグルチニンまたはMyc遺伝子からの抗原タグドメインに適宜融合された膜結合タンパク質を含む、融合タンパク質を含む。更に別の検出可能な標識は、ハイブリダイゼーションまたはPCRプローブを含むことができる。
【0049】
いくつかの追加および通常使用されるマーカーシステムは、本発明の方法に適合することができる。当業者は、標識システムの選択および/または履行は、単に慣習的実験法であることを理解する。先に考察されたこれらの標識およびマーカーは、公知の給源から商業的に得られる。
【0050】
固相捕捉媒体
固相捕捉媒体は典型的には、試料の細胞集団から分離されることが可能であることを特徴とする、生理的に適合性のあるビーズまたは安定化された細胞粒子などの捕捉粒子である。そのような特徴は、屈折率、サイズ、光散乱強度(前方、側方または90°)、または独自の蛍光痕跡(signature)を提供するための蛍光検出用色素の保持を含む。本発明の方法における捕捉粒子としての使用に適したこのようなビーズは、当技術分野において通常利用可能である。例えば、固相捕捉媒体の1つのサブセットは、サイズが直径約0.2〜約5.0ミクロンの範囲(すなわち、コロイドサイズ)のポリスチレンビーズのような、安定したコロイド状粒子を含む。このようなポリスチレン基体またはビーズは、例えばInterfacial Dynamics Corporation, Portland, Oregonから市販されているビーズのように、アルデヒドおよび/または硫酸官能基を含み得る。
【0051】
あるいはポリスチレンビーズは、その球表面上のアミノデキストランコーティングおよび/またはコロイド状金属コーティングを有する。好ましくはアミノデキストランコーティングは、アミノデキストランの遊離アミノ基とポリスチレン基体のアミン反応性官能基の間の共有結合により、更にはグルタルアルデヒドなどの物質との架橋により、コア基体へ共有結合する。アミノデキストランコーティングは一般に、最大理論値1/2.5と比べ、1/40〜1/35(1X-アミノデキストラン)の範囲の、ジアミン置換の程度を有することを特徴としている。より好ましくは、アミノデキストランコーティングのジアミン置換は、約1/7〜1/8(5X-アミノデキストラン)である。被検体、特にタンパク質被検体は、以下に引用された参考文献中に示されたこれらのビーズに容易に結合することができる。同じく、O. Siimanら、「Covalently Bound Antibody on Polystyrene Latex Beads: Formation, Stability and Use in Analysis of White Blood Cell Populations」、J. Colloid Interface Sci., 233:(Jan. 2001)を参照。
【0052】
様々なアミノデキストランビーズが、米国特許第6,074,884号;第5,945,293号;および、第5,658,741号で開示される。磁気フェライトのアミノデキストランコートされた単分散コロイド状分散体[米国特許第5,240,640号]、金属粒子[米国特許第5,248,772号]、ポリスチレン粒子[米国特許第5,466,609号;米国特許第5,707,877号;米国特許第5,639,620号;米国特許第5,776,706号]、およびポリスチレン-金属粒子[米国特許第5,552,086号;米国特許第5,527,713号]も、本発明の形成された本体として使用することができる。
【0053】
別の型のビーズは、アミノデキストランコーティングに重なる、コロイドサイズの金属固形物の層を伴う前述のコートされた基体を含むことができる。好ましくはこの層は、アミノデキストラン層の分散された表面上に均一に分散される。コートされた基体を形成するのに有用なコロイド状金属は一般に、アミノデキストランコーティングにより、イオン状態から金属(0)状態に還元され得る金属、または約+0.7Vまたはそれよりも高い還元電位を有する金属イオンもしくは金属イオン複合体を形成することができる金属として説明される。このような金属イオンは、Ag(I)、Au(III)、Pd(II)、Pt(II)、Rh(III)、Ir(III)、Ru(II)、Os(II)を含むことができるが、そのような使用について好ましい金属イオンは、コロイド状金(III)およびコロイド状銀(I)である。特に、金/銀のコロイドでコーティングされたポリスチレン-アミノデキストランビーズ、それらの調製、特徴および全血中の白血球亜群の分析における使用が説明されている。例えば、米国特許第5,248,772号;米国特許第5,552,086号;米国特許第5,945,293号;ならびに、O. Siiman and A. Burshteyn, 2000 J. Phys. Chem., 104:9795-9810;および、O. Siiman et al, 2000 Cytometry, 41:298-307を参照されたい。
【0054】
このコートされたビーズの代わりに、米国特許第5,639,620号に開示されたような、EDACカップリングによりアミノデキストランで被覆されたコア基体として、カルボキシ官能基化されたポリスチレン粒子を使用する。
【0055】
本発明の方法で利用することができる他の適切なビーズは、色素が包埋された着色ラテックス微粒子(Bangs Laboratories, Indiana)であり、標的、被検体もしくはリガンドと複合体を形成するために使用することができる。これらのビーズも、適切なアッセイにおいて得られる複合体の存在の可視シグナル指標を提供する。更に別の適切なビーズは、ナノ結晶、量子ドットおよび同様の材料を含む。
【0056】
1つの態様において、ビーズは直径が0.05〜20ミクロンである。別の態様において、ビーズは5〜7ミクロンである。更に別の態様において、捕捉媒体は、サイズが1μMよりも大きい。特に1種よりも多い検出されるべき可溶性被検体が存在する場合、様々なサイズのビーズの混合物も使用することができる。より小さいビーズはより少ない抗体に結合するので、一般にビーズサイズは、アッセイの感度範囲に影響を及ぼす(例えば、先に引用されたLindmo、または先に引用されたFrengenの文献を参照されたい)。従って高感度が必要である1つの態様において、より大きいビーズのより少ない数が、そのアッセイに望ましい。多数の可溶性被検体の存在において、より多数のビーズ(大型および小型の双方)を、これらの方法において使用することができる。本発明の一部の態様での使用のためには、捕捉媒体またはビーズは、検出される可溶性被検体よりもより大きい。
【0057】
捕捉媒体は、複数のリガンドまたは複数の競合する被検体にそれらを結合することができる。捕捉媒体に結合された各リガンドは、可溶性被検体への結合またはそれ自身可溶性被検体への結合が可能である抗体への結合が可能である。捕捉媒体へ結合した競合する被検体それぞれは、可溶性被検体(標識されたまたは標識されない、いずれか)への結合が可能であるリガンド(例えば、抗体)に結合することが可能である。このようなリガンドまたは競合する被検体は、従来の方法により捕捉媒体上に会合または固定される。例えば、抗体、抗原、またはリンカー(例えば、ストレプトアビジン、プロテインA)などのリガンドまたは被検体は、以下に説明されたような、被検体アッセイのフォーマット(競合的、免疫複合体またはサンドイッチ)に応じて、ビーズに結合することができる。これらのビーズは、先に考察されたような、検出可能な標識、好ましくは蛍光標識に会合することもできる。このような標識に結合された方法は、本明細書に引用された文献において明らかにされる。
【0058】
ビーズは、蛍光性または非蛍光性であってよく、複数の被検体の区別のために、異なるサイズまたは異なる蛍光強度、またはこれら双方であってよい。標識するビーズに関する蛍光強度を使用する場合、蛍光発光は、様々な被検体に示された各集団について独自であることが好ましい。異なる強度のビーズ集団は、ビーズの蛍光が、可溶性被検体および細胞標的の間を識別するための単に検出可能な標識として使用される場合、溶解可能であることが好ましい。あるいはビーズ集団のサイズは可溶性被検体および細胞標的の間を識別するために、単独の検出可能な標識として使用される場合、各ビーズ集団は、アッセイにおいて関心対象の細胞集団とは異なる前方散乱(FS)または側方散乱(SS)を有さなければならない。
【0059】
得られる分析段階がフローサイトメトリーに関連する場合、ビーズの最小パラメータまたは特徴は、散乱(前方散乱(FS)および/もしくは側方散乱(SS))または少なくとも2つの蛍光波長である。
【0060】
本明細書に説明された方法の試料容器において使用されるビーズの相対容積は、ビーズ濃度、被検体検出限界、および細胞標的、および試料サイズによって左右される。例えば1つの態様において、12x75テストチューブについて50〜100μL血液当たり約10μLのビーズが添加されるのに対し、マイクロプレートアッセイについては25〜50μL血液当たり5μLのビーズを添加することができる。
【0061】
好ましくは、かつ任意に、本発明において有用なビーズ集団の溶液は、標的細胞を損傷することも標的細胞とリガンドの結合を阻害することもなく、捕捉媒体の食作用を阻害する試薬を含む。
【0062】
更にまたは代わりに、このビーズ溶液は、以下に言及されたもののような、抗凝固剤を含んでも良い。更にビーズ溶液は、試料へ添加される前または試料へ導入される際に、温度37℃未満で、より好ましくは25℃未満で維持することができる。これらの代替および任意の段階も、試料中である場合、ビーズの食作用を阻害するために有用である。
【0063】
アッセイフォーマット
本方法は、通常のアッセイフォーマット、例えばサンドイッチアッセイ、競合的阻害アッセイ、免疫複合体アッセイなど多くを利用することができる。これらのアッセイの一部の成分に加え、試料がインキュベーションされる条件、ならびに任意の段階または試薬の包含は、選択されたアッセイに左右される。しかし驚くべきことに、ビーズおよび細胞マーカーの双方を使用するこれらのアッセイは、単独の分析において正確な結果を提供する。細胞マーカーの存在下でビーズの結合に対する負の作用は存在せず、またはその逆もあてはまる。驚くべきことに、ビーズの存在下で細胞蛍光特性の光散乱の測定に対する作用は存在しない。
【0064】
(1)サンドイッチアッセイ
1つの態様において、この方法は、サンドイッチアッセイのための下記の段階を含む。例えば図1を参照されたい。試料は、マイクロタイタープレートウェルまたはテストチューブなどの容器へ導入される。固相捕捉媒体が、この容器へ添加される。このアッセイにおいて、捕捉媒体またはビーズは、それらの上に、可溶性被検体に結合することが可能である複数の第一のリガンドを固定している。好ましくはこの方法は、混合、および、温度37℃またはそれ未満での約5分〜最大3時間までの、好ましくは約60分間のインキュベーションを使用する。1つの態様において、温度は、25℃または22℃未満が望ましい。この温度およびインキュベーション時間は、被検体、被検体検出限界および試料中の細胞標的の同一性を基に、当業者が選択することができる。
【0065】
従ってインキュベーションおよび随時の混合後、捕捉媒体、複数の固定された第一のリガンド、およびこの時点で第一のリガンドにより捕捉媒体へ結合した複数の可溶性被検体からなる「第一の」複合体が、試料中に形成される。
【0066】
任意の洗浄段階を、必要なアッセイ感度に応じ、その後の成分の添加前に使用することができる。これらの方法の一部の態様において、非結合の第一のリガンドを除去するための洗浄段階が、感度増大のために必要である。
【0067】
その後、少なくとも2種の追加のリガンドが適切な濃度で、試料へ添加される。追加のリガンドの1つは、細胞標的よりもより小さい可溶性の第二のリガンドである。第二のリガンドは、細胞標的への、例えば細胞表面または細胞内部分への結合が可能である。ここで、例えば細胞表面抗原に対する抗体は、適したリガンドである。各第二のリガンドは、先に説明されたような検出可能な標識と会合し、かつ複数の第二のリガンドが単独の標的細胞へ結合することができることが望ましい。他の追加のリガンドは、被検体が第一の複合体中の捕捉媒体上に固定されるか、または試料中に溶解し続けるかどうかにかかわらず、可溶性被検体に結合することが可能である第三のリガンドである。この第三のリガンドは、第二のリガンド、すなわち、細胞標的へ結合するリガンドの検出可能な標識とは異なる第二の検出可能な標識へ会合することが望ましい。
【0068】
このサンドイッチアッセイ法のある態様において、同じ細胞型上の1種よりも多い標的に対する1種よりも多い第二のリガンド(例えば、細胞表面抗原CD45に対する抗CD45-PC5抗体、および細胞表面抗原CD14に対する抗CD14-FITC抗体)が存在する。更に他の態様において、1種よりも多い可溶性リガンドは、同一の、または異なる細胞型上の同一の、または異なる標的に対する。このアッセイのある態様において、1種よりも多いリガンドが、1種よりも多い可溶性被検体(例えば、可溶性被検体IL-2に対する抗IL-2-PE抗体、可溶性被検体IL-6に対する抗IL-6-PC7抗体)に使用される。あるいは1種よりも多い可溶性リガンドを、同じ可溶性被検体について使用するか、または同じ蛍光色素を、1種よりも多い可溶性被検体について使用することができる。
【0069】
これらの成分の試料への添加後、試料が混合され、かつ前述のように随時混合しながらインキュベーションされる。従ってここでこの試料は、ここで細胞標的に結合された第二の標識されたリガンドからなる第二の複合体、および第一のリガンドを介して捕捉媒体へ結合された可溶性被検体に結合した第三のリガンドを含む第三の複合体を含む。同じく試料中に若干の小型の可溶性第三のリガンド-可溶性被検体複合体が存在する。
【0070】
試料が、赤血球のような無核細胞を含む場合、かつ以後の分析段階により高い感度が必要である場合に、別の任意の段階を、この時点でこのアッセイ法へ挿入することができる。この試料は任意に、無核細胞を溶解する物質で処理することができる。必要なアッセイ感度に応じ、複合体から溶解した物質を除去するか、または過剰な非結合の標識されたリガンドを除去するために、別の任意の洗浄段階も含むことができる。
【0071】
この方法の最終段階は、測定されるべき様々な複合体を物理的に分離することのない、先に説明されたように処理された試料の実質的に同時の分析である。この方法の前述の段階が施される場合、これは、これらの複合体を含む試料を採取することができ、かつ、第一のリガンドを介し捕捉媒体に結合された可溶性被検体に結合した第三のリガンドを含む第三の複合体と、この際に細胞標的に結合された第二の標識されたリガンドからなる第二の複合体とを、同じ試料を用いて識別することができる。この分析段階を実行するのに適した方法は、画像解析、および好ましくはフローサイトメトリー分析を含む。フローサイトメトリー分析は、試料型に適したゲート戦略を使用することにより実行される。例えばビーズを含有する第三の複合体は、光散乱および/または蛍光強度を基に、リガンド標識された細胞の第二の複合体から個別にゲートされる。その後1種よりも多い蛍光標識が細胞標的またはビーズ上に存在する場合、この戦略は、各蛍光標識へ個別の補償(compensation)を提供することができる。同様に他の細胞パラメータ、例えば示差的に発現された標的および細胞内標的も、この分析の間に測定することができる。検出される第三の複合体の量は、試料中に存在する可溶性被検体(標識されない)の量に比例する。
【0072】
被検体の定量のための標準は、血清ベースの被検体標準を伴う細胞対照を含む。このような標準は、本明細書に説明された全てのアッセイ型に適用可能である。これらの標準は、関心対象の可溶性被検体を含有する媒体中の安定化された細胞である。
【0073】
(2)競合的阻害アッセイ
更に別の態様において、この方法は、競合的阻害アッセイの以下の段階を含むことができる。例えば、図2Aおよび図2Bを参照されたい。
【0074】
図2Aに示された1つのフォーマットにおいて、試料は、マイクロタイタープレートウェルまたはテストチューブのような容器へ導入される。単独の細胞標的へ結合可能である既知濃度の第一の可溶性リガンドが、この試料へ添加される。この第一のリガンドは、第一の検出可能な標識へ会合することが望ましい。複数の第一のリガンドがこの細胞へ結合することができる。同時に可溶性被検体に結合可能である既知濃度の第二のリガンドが、試料へ添加される。第二のリガンドは、第二の検出可能な標識に会合する。温度37℃以下で約5分〜約3時間、好ましくは最大60分間の混合およびインキュベーションの後、第一の標識されたリガンドに結合された細胞標的を含む第一の複合体が形成され、および第二の標識されたリガンドへ結合された可溶性被検体を含む第二の複合体が形成される。
【0075】
その後、既知の複数の同じ被検体がその上に固定された固相捕捉媒体が、試料へ添加される。この試料は、激しく攪拌され、再度同じ条件下でインキュベーションされ、捕捉媒体、それらに固定された被検体および可溶性被検体に結合しなかった試料中の第二のリガンドからなる第三の複合体が形成される。
【0076】
任意の洗浄段階を、必要なアッセイ感度に応じ、前述の成分の添加後に使用することができる。
【0077】
試料が赤血球などの無核細胞を含む場合、および以後の分析段階により高い感度が必要である場合、別の任意の段階を、この時点でアッセイ法へ挿入することができる。この試料は任意に、無核細胞を溶解するために物質により処理することができる。このような物質には、ImmunoPrep(商標)試薬(Beckman Coulter)、塩化アンモニウムなどが含まれるが、これらに限定されるものではない。必要なアッセイ感度に応じ、これらの複合体から溶解した物質を除去するため、または過剰な非結合の標識されたリガンドを除去するために、別の任意の洗浄段階も含むことができる。
【0078】
この方法の最終段階は、測定されるべき様々な複合体を物理的に分離することのない、先に説明されたように処理された試料の実質的に同時の分析である。この方法の前述の段階が施される場合、これは、これらの複合体を含む試料を採取することができ、かつ、第一の標識されたリガンドに結合された細胞標的を含む第一の複合体と、捕捉媒体、それらに固定された被検体、および可溶性被検体に結合しなかった試料中の第二のリガンドからなる第三の複合体とを識別することができる。検出される第三の複合体の量は、試料中に存在する可溶性被検体の量に比例する。
【0079】
図2Bに示された1つのフォーマットにおいて、試料は、マイクロタイタープレートウェルまたはテストチューブのような容器へ導入される。単独の細胞標的へ結合可能である既知濃度の第一の可溶性リガンドが、この試料へ添加される。この第一のリガンドは、第一の検出可能な標識へ会合することが望ましい。複数の第一のリガンドはこの細胞へ結合することができる。同時に既知濃度の競合する可溶性被検体が、試料へ添加される。競合する可溶性被検体は、第二の検出可能な標識へ会合することが好ましい。温度37℃以下で約5分〜約3時間、好ましくは最大60分間の混合およびインキュベーションの後、第一の標識されたリガンドへ結合された細胞標的を含む第一の複合体が形成される。
【0080】
その後、可溶性被検体(存在するならば試料中の競合する被検体または天然の被検体)に結合する既知の複数のリガンドがその上に固定された固相捕捉媒体が、試料へ添加される。この試料は混合され、再度同じ条件下でインキュベーションされ、かつ、可能性のある第二および第三の複合体が形成される。第二の複合体は、捕捉媒体に固定されたリガンド、および存在するならば、試料中の天然の可溶性被検体(非標識)により形成される。第三の複合体は、非標識の可溶性被検体に結合しなかった捕捉媒体に固定されたリガンドおよび競合する被検体(標識)により形成される。競合する標識された可溶性被検体と試料中の天然の非標識の可溶性被検体との間では、複合体は形成されない。
【0081】
任意の洗浄段階を、必要なアッセイ感度に応じ、前述の成分の添加後に使用することができる。
【0082】
試料が赤血球のような無核細胞を含む場合、かつ以後の分析段階により高い感度が必要である場合、この時点で別の任意の段階を、このアッセイ方法に挿入することができる。この試料は任意に、無核細胞を溶解するために物質により処理することができる。このような物質には、ImmunoPrep(商標)試薬(Beckman Coulter)、塩化アンモニウムなどが含まれるが、これらに限定されるものではない。必要なアッセイ感度に応じ、これらの複合体から溶解した物質を除去するため、または過剰な非結合の標識されたリガンドを除去するために、別の任意の洗浄段階も含むことができる。
【0083】
この方法の最終段階は、測定されるべき様々な複合体を物理的に分離することのない、先に説明されたように処理された試料の実質的に同時の分析である。この方法の前述の段階が施される場合、これは、これらの複合体を含む試料を採取することができ、かつ、第一の標識されたリガンドに結合された細胞標的を含有する第一の複合体と、捕捉媒体に固定されたリガンドおよび競合する被検体(標識)からなる第三の複合体とを識別することができる。更に非標識被検体を伴う捕捉媒体の第二の複合体も検出することができる。検出される第三の複合体の量は、試料中に存在する可溶性被検体(非標識)の量に比例する。
【0084】
サンドイッチアッセイのように、いくつかの可溶性リガンド、検出可能な標識、およびその上に異なるリガンドまたは競合する被検体が固定された固相捕捉媒体から選択することにより、このアッセイを、1種よりも多い細胞型、細胞型に対する1種よりも多い細胞標的、または1種よりも多い可溶性被検体の測定のために操作することができる。分析段階を実行するために適した方法は、画像解析を、かつ好ましくはフローサイトメトリー分析を含む。フローサイトメトリー分析は、試料型に適したゲート戦略を使用することにより行うことができる。例えばビーズを含む複合体は、光散乱および/または蛍光強度を基にリガンド標識された細胞の複合体から個別にゲートされる。その後、1種よりも多い蛍光標識が細胞標的またはビーズ上に存在する場合、この戦略は、各蛍光標識について個別の補償を提供することができる。同様に他の細胞パラメータ、例えば示差的および細胞内抗原または他の標的なども、この分析の間に測定することができる。
【0085】
被検体の定量のための標準は、血清ベースの被検体標準を伴う細胞対照を含む。このような標準は、本明細書に説明された全てのアッセイ型に適用可能である。これらの標準は、関心対象の可溶性被検体を含有する媒体中の安定化された細胞である。
【0086】
(3)免疫複合体アッセイ
1つの態様において、この方法は、免疫複合体アッセイのための以下の段階を含む。例えば図3を参照されたい。試料は、マイクロタイタープレートウェルまたはテストチューブのような容器へ導入される。細胞標的へ結合可能である既知濃度の第一の可溶性リガンドが、この試料へ添加される。これらの複数の第一のリガンドは、単独の標的細胞へ結合することができる。望ましくはこれらの第一のリガンドは、好ましくは検出可能な標識との会合のために、第一の検出可能なシグナルを提供する。可溶性被検体へ結合することが可能である第二のリガンドも試料へ添加される。この第二のリガンドも同じく好ましくは標識され、および第二の検出可能なシグナルを提供することができる。同じ試料へ、同じ可溶性被検体へ結合することが可能である第三のリガンドが添加され、このリガンドは、異なる検出可能な標識と会合される。温度37℃以下で約5分〜約3時間、好ましくは最大60分間の混合およびインキュベーション後、第一の細胞標的および第一のリガンドを含む第一の複合体が形成され、ならびに第二のリガンドおよび第三のリガンドの一方または双方へ結合された可溶性被検体を含む第二の複合体が形成される。
【0087】
その後、その上に複数の第四のリガンドが固定された固相捕捉媒体が、試料へ添加される。これらの第四のリガンドは、第二または第三のリガンドへ結合することが可能である。混合、および先に説明された条件下でのインキュベーション後、第三の複合体が形成される。この第三の複合体は、複数の第四のリガンドに結合された固相捕捉媒体からなり、各第四のリガンドは第三のリガンドへ結合される。各第三のリガンドも、可溶性被検体に結合され、これはその後更に1種または複数種の第二のリガンドへ結合される。
【0088】
任意の洗浄段階を、必要なアッセイ感度に応じ、アッセイ成分の添加後に使用することができる。試料が赤血球などの無核細胞を含む場合、および以後の分析段階により高い感度が必要である場合、別の任意の段階を、この時点でアッセイ法へ挿入することができる。この試料は任意に、無核細胞を溶解するために物質により処理することができる。このような物質には、ImmunoPrep(商標)試薬(Beckman Coulter)、塩化アンモニウムなどが含まれるが、これらに限定されるものではない。必要なアッセイ感度に応じ、これらの複合体から溶解した物質を除去するため、または過剰な非結合の標識されたリガンドを除去するために、別の任意の洗浄段階も含むことができる。
【0089】
この方法の最終段階は、測定されるべき様々な複合体を物理的に分離することのない、先に説明されたように処理された試料の実質的に同時の分析である。この方法の前述の段階が施される場合、これは、これらの複合体を含む試料を採取することができ、かつ、第一の複合体、第二の複合体および第三の複合体の間を識別することができる。検出される第三の複合体の量は、試料中に存在する可溶性被検体(非標識)の量に比例する。
【0090】
サンドイッチアッセイのように、いくつかの可溶性リガンド、検出可能な標識、およびその上に異なる被検体が固定された固相捕捉媒体を選択することにより、このアッセイは、1種よりも多い細胞型、細胞型上の1種よりも多い細胞標的、または1種よりも多い可溶性被検体を操作することができる。分析段階を行うのに適した方法は、画像解析、好ましくはフローサイトメトリー分析を含む。フローサイトメトリー分析は、その試料型に適したゲート戦略を使用することにより実施される。例えばビーズを含む複合体は、光散乱および蛍光強度を基にリガンド標識された細胞の複合体から個別にゲートされる。その後1種よりも多い蛍光標識が細胞標的またはビーズ上に存在する場合、この戦略は、各蛍光標識に個別の補償を提供することができる。同様に他の細胞パラメータ、例えば示差的および細胞内標的または抗原も、この分析時に測定することができる。
【0091】
被検体の定量のための標準は、血清ベースの被検体標準を伴う細胞対照を含む。このような標準は、本明細書に説明された全てのアッセイ型に適用可能である。これらの標準は、関心のある可溶性被検体を含有する媒体中の安定化された細胞である。
【0092】
任意の方法段階
本発明の方法は、多くの任意の段階も含むことができる。
【0093】
(1)洗浄段階
例えば、アッセイ感度増大が望ましい場合、緩衝液による洗浄段階、または希釈を、この方法へ導入することができる。一般にこのような洗浄段階は、試料の捕捉媒体と共のインキュベーションの後に導入され、捕捉媒体に結合しなかった物質を除去することができる。あるいは、このような洗浄段階は、複合しない物質を除去するために、可溶性リガンドによるインキュベーションに続けることができる。更に別の選択肢は、溶解された赤血球成分の試料を除去するために、任意の溶解段階後の試料の洗浄を含む。
【0094】
(2)食作用阻害
本発明の方法に適した別の任意の段階は、標的細胞に損傷を及ぼさないか、または本方法で使用される標的細胞およびリガンドの結合を阻害することのない、細胞、特に試料中の骨髄細胞による捕捉媒体の食作用を阻害する試薬の添加である。適切な食作用インヒビターは、アジ化ナトリウム(好ましくは、0.01容量%未満の濃度)である。エピポリチオジオキソピペラジン(epipolythiodioxopiperazines)のクラスに属するグリオトキシン(Gliotoxin)、三硫化グリオトキシンおよび四硫化グリオトキシンおよび関連化合物も、宿主防御システムに参画するマクロファージ、白血球による食作用を阻害する。例えば米国特許第4,886,796号を参照されたい。他の適切な食作用インヒビターは、サイトカラシンBである(同じく米国特許第5,162,990号も参照されたい)。他の食作用インヒビターは、プロテインキナーゼインヒビター、過剰な重金属、例えば亜鉛、カドミニウム、鉛、水銀など、ホスファターゼインヒビター、例えばピロリン酸およびレバミソール、過剰なアデノシンまたはポリアミンであるプトレッシンおよびスペルミジン、シクロヘキシミド、EDTA、ブロモエノールラクトン、および他のホスホリパーゼインヒビターおよびサイトカラシンDである。
【0095】
骨髄細胞によるビーズの食作用は一般的であるので、これらの食作用インヒビターは、特に生物学的試料が骨髄細胞を含む場合、ビーズ溶液に添加することができる。この食作用阻害試薬は、捕捉媒体の試料への添加前に、捕捉媒体に添加することができるが、食作用阻害試薬を捕捉媒体へ、捕捉媒体が試料へ添加されるのと同時に添加することも可能である。あるいは食作用阻害試薬は、捕捉媒体の試料への添加前に、試料へ添加される。食作用阻害試薬は、捕捉媒体が試料へ添加されるのと同時に、試料へ添加される。1つの態様において、この方法は、直径1μm以下のビーズを利用する場合、先に定義されたインヒビターの組合せなどの、複数の食作用インヒビターを導入することが好ましいことが決定される。
【0096】
(3)溶解
血液細胞を含む試料のための方法の別の任意の段階は、分析段階以前に、赤血球を含む、一般に非常に多数の無核血液細胞を除去するための試料の溶解を含む。好ましくは界面活性剤、より好ましくは非イオン性界面活性剤である溶解剤を使用し、細胞膜を破壊し、その結果細胞からDNA、RNAおよびタンパク質を放出する。任意の適切な溶解剤を使用することができる。塩化アンモニウムおよびTrizma based(例えば、1Lにつき塩化アンモニウム約7.5g、およびトリス(Tris) 2g)のような緩衝されたハロゲン化物は、1つの適切な溶解剤のクラスを規定し、ここで望ましくない細胞は赤血球を含む。任意に、溶解前に、これらの細胞は、それらを適切な固定剤に接触すること、それらを加熱すること、またはこれら双方による予備的固定段階を受ける。例えばこれらの細胞は、適量の固定剤(例えば、約0.11%ホルムアルデヒド)を含有する緩衝された抗菌生理食塩水に接触される。
【0097】
更に別の溶解剤は、ImmunoPrep(商標)試薬(Beckman Coulter)、塩化アンモニウムなどを含むが、これらに限定されるものではない。1つの態様において、溶解試薬は、Pierce Chemical Companyから市販されている非イオン性界面活性剤の専売混合物であるBacterial Protein Extraction Reagent(BPER)である。他の非イオン性界面活性剤が有用であり、たとえある適用下のアニオン性およびカチオン性界面活性剤であっても、多くの界面活性剤が機能可能である。非イオン性界面活性剤の溶解剤は一般に、濃度約0.1〜5、より好ましくは0.5〜2質量%で試料へ添加される。他の公知の溶解剤も、凍結/解凍、細胞フレンチプレス、酵素、マイクロフルイダイゼーション(microfluidization)、音波処理などのような技術と共に使用することができる。
【0098】
先に示したように、その後この試料は溶解後に、任意に洗浄することができる。
【0099】
(4)細胞活性化のインヒビターの添加
本明細書に説明された方法に含まれ得る更に別の任意の段階は、試料の細胞活性化のインヒビターとの接触を含む。細胞活性化のインヒビターは、これらの方法で使用される捕捉媒体またはリガンドの試料への添加の前に、または実質的に同時に試料と接触される。細胞活性化のインヒビターは、抗凝固剤、阻害試薬、固定剤または阻害反応温度の1種または複数種である。
【0100】
(a)抗凝固剤
試料の抗凝固は、様々な基質によるカルシウムイオンの結合またはキレート形成により実現することができる。通常の抗凝固剤は、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)またはそれらの塩、クエン酸のナトリウムもしくはカリウム塩、シュウ酸のナトリウムもしくはカリウム塩、またはそれらの組合せを含むが、これらに限定されるものではない。他の従来の抗凝固剤は、ヘパリンまたはフッ化ナトリウムもしくはヒルジンのような、凝固配列の天然の酵素インヒビターである。更に別の抗凝固剤は、プロテアーゼ、プロテインキナーゼインヒビター、例えばフェニルメチルスルホニルフルオリド(PMSF)、4-(2-アミノエチル)ベンゼンスルホニル-フルオリド(AEBSF)、トシル-リシンクロロ-メチルケトン(TLCK)、トシル-フェニルアラニンクロロメチルケトン(TPCK)、ロイペプチン、エプスタチンA、1-(5-イソキノリンスルホニル)ピペラジンを含むが、これらに限定されるものではない。このような抗凝固剤または保存剤は、試料への添加に関して単独で、または組合せて使用することができる。例えば米国特許第5,935,857号および第4,528,274号を参照されたい。抗凝固剤は、好ましくはリガンドおよび/または捕捉媒体の添加の前に、本発明において試料へ添加されてもよい。
【0101】
(b)固定剤
前記方法に添加されるべき別の任意の段階は、リガンドまたは捕捉媒体の導入前の、試料への固定剤の添加を含む。「固定剤」は、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、およびグルタルアルデヒド、脱水アルコール、グリオキサール、ならびに有機酸、例えば酢酸、ギ酸およびピクリン酸、水銀化合物、タンニン酸および多くの他の化合物を含む。別の有用な固定剤は米国特許第5,459,073号に開示されており、この固定剤は、ホルムアルデヒドドナー、例えばジアゾリジニル尿素、イミダゾリジニル尿素、ジメチロール-5,5-ジメチルヒダントイン、ジメチロール尿素および同様の他のホルムアルデヒドそれ自身を使用し、低い毒性を有する。
【0102】
(c)阻害試薬
更に別の任意の段階は、試料へ阻害試薬を添加し、細胞活性化を制御することである。適切な試薬組成物は、1種または複数種のプロテアーゼインヒビターを含むことができる。本発明において使用するためのプロテアーゼインヒビターの非限定的なリストは、セリンプロテアーゼインヒビター、例えば分子量230.7でありかつプロテアーゼ活性部位の触媒活性を阻害する、4-(2-アミノエチル)ベンゼンスルホニルフルオリド塩酸塩(AEBSF);血液凝固カスケードにおいて、トロンビンおよび他のセリンプロテアーゼを阻害する、アンチトロンビン血漿タンパク質(分子量60,000);または、トリプシン様セリンプロテアーゼの不可逆的インヒビターである、4-アミジノフェニルメタンスルホニル-フルオリド-HCl(APMSF, 分子量352.7)を含む。更に別のセリンプロテアーゼは、酵素の活性部位への密な結合により、セリンプロテアーゼを阻害する、Aprotinin(分子量6500);非常に毒性があり、セリンプロテアーゼおよびアセチルコロンエステラーゼの不可逆的インヒビターである、ジイソプロピルホスホロフルオリデート(DFP, 分子量184.2);酵素活性部位の化学的修飾により作用する別の毒性の不可逆的インヒビターである、フェニルメタンスルホニルフルオリド(PMSF, 分子量174.2);および、α-トルエンスルホニルフルオリドである。
【0103】
本発明の方法において有用な他の適切なセリンおよびシステインプロテアーゼインヒビターは、プロテアーゼおよびRNA合成の可逆的インヒビターであるアンチパイン(分子量678.2);いくつかのセリンおよびシステインプロテアーゼの可逆的インヒビターであるキモスタチン(分子量600);トリプシン様プロテアーゼの可逆的競合インヒビターであるロイペプチン(分子量475.6);酵素活性部位を化学的に変更することにより不可逆的に阻害するL-1-クロロ-3-[4-トシル-アミド]-7-アミノ-2-ヘプタノン-HCl(TLCK, 分子量369.3);および、酵素活性部位を化学的に変更することにより不可逆的に阻害するL-1-クロロ-3-[4-トシルアミド]-4-フェニル-2-ブタノン(TPCK, 分子量351.8)を含む。
【0104】
更に別の、本発明において有用な適切なシステインプロテアーゼインヒビターは、システインプロテアーゼの非競合的不可逆的インヒビターであるE-64(分子量357.4)を含む。他の適切なプロテアーゼインヒビターは、メタロプロテアーゼを阻害する。例えば、アマスタチン(分子量511)は、無毒の可逆的インヒビターであり;ベスタチン(分子量244.8)は、抗癌特性および免疫変調特性を有する多機能メタロプロテアーゼインヒビターであり;ジプロチン(分子量341.5)は、可逆的インヒビターであり;EDTA(分子量372.3)は、酵素補因子をキレートすることにより作用し、かつ他の金属依存性の生物学的プロセスと干渉することができる、可逆的インヒビターである。他のメタロプロテアーゼインヒビターは、バナジウム、モリブデン酸塩、および1,10-フェナントロリンを含む。更に他の本発明における使用に適切なインヒビターは、アスパラギン酸プロテアーゼインヒビター、例えばペプスタチン(分子量685.9)であり、これは可逆的阻害を提供するペプチドである。
【0105】
1つの態様において、前記方法は、単独のインヒビターを試料に導入する段階を含む。別の態様において、本発明は、このようなインヒビターの2種またはそれよりも多い組合せの添加を含み、このことは単独で高濃度で使用した場合に、毒性があるかまたはそうでなければ望ましくない作用を引き起こすそのようなインヒビターの、少量の使用を可能にする。安定化試薬組成物中のプロテアーゼインヒビターの濃度は、最大約10mMまでが望ましい。しかし濃度範囲は全体に使用されるインヒビターにより決まる。この範囲は、本明細書に説明されたような血小板活性化の阻害の実験データを基に決定される。本明細書に提供された内容が与えられた当業者は、このアッセイ法において使用される各特異的インヒビターの望ましい濃度について、実験の最低量および通常量を容易に決定することができる。
【0106】
有用なインヒビターの別の群は、1種または複数種のホスファターゼインヒビターを含む。適切なホスファターゼインヒビターの非限定的リストは、ピロリン酸塩、ミクロシスチン1A、ミクロシスチン1R、テトラミソール、1-4-ブロモテトラミソール、タウトマイシン、オカダ酸、カリクリン(calyculin)、スリシフェリル(thrysiferyl)-23-アセテート、カンタリジン、バナジウム塩、オルトバナジン酸ナトリウム、酒石酸塩、ホロリジン、モリブデン酸塩、およびイミダゾールを含むが、これらに限定されるものではない。他の適切なインヒビターについては、「Handbook of Enzyme Inhibitors」、Melmward Sollner(1989)、ISBN 3-527-26994-0;ISBN 0-89537-860-0を参照されたく、これらは本明細書に参照として組入れられている。1つの態様において、本発明の方法は、単独のホスファターゼインヒビターを試料へ添加することを含む。
【0107】
別の態様において、本発明の方法は、2種またはそれよりも多いそのようなインヒビターの組合せを添加することを含み、これにより、単独で高濃度で使用した場合に毒性があるかまたはそうでなければ望ましくない作用を引き起こすそのようなインヒビターの、少量の使用を可能にする。試料中のホスファターゼインヒビターの濃度は、最大約120mMまでが望ましい。しかし濃度範囲は使用されるインヒビターにより全体的に決まる。この範囲は、本明細書に説明されたような血小板活性化の阻害の実験データを基に決定される。本明細書に提供された内容が与えられた当業者は、実験の最低量および通常量により、各試料の望ましい濃度を容易に決定することができる。
【0108】
(d)温度
細胞活性化を阻害しおよび本発明のより有効なプロセスを作製するのに有用な本発明の別の任意の段階は、25℃未満の阻害反応温度の使用である。好ましくはこのような低い温度のインキュベーションは、4℃〜25℃の範囲の温度で行うことができる。1つの態様において、この温度は、20℃未満である。別の態様において、温度は15℃未満である。更に別の態様において、温度は10℃未満である。更に別の態様において、温度は7℃未満である。本明細書の開示が示された当業者は、使用される方法に適した温度を容易に選択することができる。
【0109】
発明の具体的方法
本発明の方法は、様々な哺乳類の疾患または状態の診断において有用である。このような疾患または状態の例は、敗血症、炎症、自己免疫疾患、心臓血管系疾患、ウイルス感染症、細菌感染症、癌、および薬物の活性、半減期または相互作用を含むが、これらに限定されるものではない。例証的薬物は、インスリン、生物学的物質(例えば、Rituximab(登録商標))および化学療法剤を含む。本発明の方法は、微生物または毒素または他の夾雑物の混入に関する、食物または水または他の製品の評価にも有用である。
【0110】
1つの態様において、前述の本発明のアッセイ法は、敗血症を診断、またはそれらの進行をモニタリングする方法において有用である。この方法は、CD64(N)、HLA-DR(Mo)、CD11a、CD14(またはCD64)/CD16(Mo)、CD16(N)およびCD142(組織因子)を含むが、これらに限定されるものではない、細胞標的に結合する可溶性リガンドにより所望の前記アッセイ法を実行し、かつ、IL-6、IL-10、IL-1、TNF-α、ネオプテリン、C反応性タンパク質、プロカルシトニン、または活性化されたプロテインCの1種または複数種であってよい、可溶性リガンドおよび可溶性被検体へ直接または間接に結合する捕捉媒体を使用することにより、実現される。
【0111】
別の態様において、前記方法は、自己免疫疾患の診断またはその進行をモニタリングすることにおける使用に適合することができる。本発明のこの局面において、前記アッセイ法は、これらの細胞を特徴付ける1種または複数種の細胞表面抗原または細胞内抗原により活性化されたT細胞および活性化されたB細胞を含む1種または複数種の細胞型に結合するリガンドを使用する。これらの方法は、可溶性被検体を結合するためのリガンドおよび捕捉媒体も使用し、これは1種または複数種のC反応性タンパク質、自己抗体、ケモカイン、またはサイトカインであり得る。可溶性試薬としてのケモカインまたはサイトカインの選択は、当業者により容易に行うことができる。
【0112】
より更なる態様において、本発明の方法は、心臓血管系疾患の診断またはその進行のモニタリングにおいて有用である。このような方法は、細胞標的として、1種または複数種の血小板-白血球凝集物、またはCD142(TF)を利用し、かつそれらに結合するリガンドを使用する。この方法は、hsC反応性タンパク質、トロポニン、またはミオグロビンであってよい、可溶性被検体を標的化することにおいても有用である。本開示が示された当業者は、この方法で使用するのに適切なリガンドおよび捕捉媒体をデザインおよび選択することができる。
【0113】
ウイルスおよび細菌感染症の示差的診断またはそれらの進行のモニタリングにおいて使用する方法は、HLA-DR、CD4/CD8、CD38、CD64(N)、またはCD14(もしくはCD64)/CD16(Mo)、CD16(N)の1種または複数種を含むがこれらに限定されるものではない、細胞標的への結合が可能なリガンドによる、本明細書に明らかにされたアッセイ段階を利用する。1種または複数種のIFNγ、ネオプテリン、またはC反応性タンパク質であり得る、この可溶性被検体は、これらの被検体へ直接または間接に結合するリガンドおよび捕捉媒体により検出される。
【0114】
更に別の態様において、本発明の方法は、水システムのような流体、または他の液体製品中の夾雑を検出およびモニタリングするのに適している。例えば水は、細菌起源の細胞表面抗原または細胞内抗原に対するリガンドを使用することにより、細菌細胞の存在について、かつ、その上に毒素に対するレジェンド(legend)が会合した捕捉媒体を使用することにより、毒素のような可溶性被検体について試験される。例えば1つの態様において、可溶性被検体は、コレラのような腸毒素であり、かつ細胞標的は腸球菌である。当業者は、このような汚染物および本発明の方法における使用に適した標的の他の例を選択することができる。
【0115】
同じく本発明の方法および組成物は、本明細書において指定されたような、細胞標的、可溶性標的およびそれらに結合するリガンドの同定を基に、他の疾患および状態の診断およびモニタリングに適合させることができる。
【0116】
従って図4に図示されたより更なる態様において、本発明は、細胞表面に発現された標的CD20へ特異的に結合するリガンドにより治療されている、治療が必要な患者の治療をモニタリングする方法を提供する。CD20をモニタリングする方法は、望ましい分析の幅に応じ様々な態様を有する。最も簡単なフォーマットにおいて、この方法は、患者から得たCD20+細胞を含有する体液を含む試料を含有する容器を得る段階、ならびに、以下の一方又は双方において、アッセイ成分の間での複合体形成を可能にする条件下及び時間、これらを容器へ添加する段階:1)容器中の細胞を透過化する段階;ならびに、アッセイ成分を、細胞内CD20に特異的に結合しおよび第一の識別可能な蛍光標識と複合する第一の可溶性リガンドと共に、容器内で、細胞内CD20と第一のリガンドとの間の複合体形成を可能にする条件下および時間、インキュベーションする段階;または、2)B細胞へ特異的に結合し、かつそのような条件下で第二の蛍光標識に複合する第二の可溶性リガンドを容器に添加する段階を含む。容器内で形成された複合体内の蛍光標識からの蛍光の存在が、患者の治療をモニタリングするために検出される。例えば、第一の標識のみからの蛍光強度は、試料内のB細胞上の細胞内CD20の量を示す。第二の場合、第二の蛍光標識からの蛍光強度は、試料中の全てのB細胞の量を示す。
【0117】
画像解析またはフローサイトメーターを使用し、容器内で形成された複合体中の蛍光標識からの蛍光の相対強度を、治療に対する患者の反応に関する更なる情報を得るために、実質的に同時に検出することができる。例えば第一の代替品が選択される場合、このアッセイは更にCD20+細胞へ特異的に結合する第二の可溶性リガンドおよび/または第三の可溶性リガンドの一方または双方を容器へ添加する段階を含む。図4において、容器内で形成された複合体からの蛍光を分析し、各々、表面上(FL2)および細胞内(FL2およびFL1)にCD20を含有するB細胞の割合を決定することができる。更に別の例において、この方法は更に、インキュベーション中の捕捉粒子へ特異的に結合する第三のリガンドを添加する段階、ならびに患者に存在する循環系治療リガンドの相対量を決定するために、第三の蛍光標識の相対強度を検出する段階を含む。
【0118】
更に別の態様において、CD20治療をモニタリングする本発明の方法は、以下のアッセイ成分をそれらの間の複合体形成を可能にする条件下および十分な時間、分析チューブのような容器中で、共にインキュベーションする段階を含む:1)患者の血液または骨髄由来のB細胞を含有する試料;2)第一の識別可能な蛍光標識に複合した可溶性CD20に特異的に結合する第一のリガンド;3)第二の識別可能な蛍光標識に複合したB細胞へ特異的に結合する第二のリガンド;ならびに、4)CD20抗原へ共有結合的に連結された捕捉粒子。非結合の第一および第二のリガンドならびに血液血漿の非結合の成分は、容器から任意に除去され、かつ、そこに残存する細胞は透過化される。第三の識別可能な蛍光標識に複合した細胞内CD20に特異的に結合する第三のリガンドは、第一のインキュベーション期間に、形成された複合体と共に容器内で、細胞内CD20および第三のリガンドの間の結合を可能にする条件下および時間、インキュベーションされる。捕捉ビーズおよび試料中の細胞に結合した1種または複数種の第一、第二および第三の蛍光標識からの蛍光の存在は、患者の治療をモニタリングするために、実質的に同時に検出される。このアッセイ法においてB細胞へ特異的に結合するリガンドは、一般にCD19、CD5、CD22、CD24などのB細胞の細胞表面マーカーに結合するように選択される。
【0119】
このアッセイ法において使用される試料は、全血または骨髄に含まれ、またはそこから得ることができ、この場合、この方法は更に、例えば細胞内CD20への結合のために、第三のリガンドの導入前に、容器中で細胞を溶解することを含む。細胞および/または捕捉粒子に結合した第一、第二および第三の蛍光標識の相対強度は、検出前にアッセイ期間中に形成される複合体を分離することなく、画像解析装置またはフローサイトメトリーにより、実質的に同時に検出することができる。
【0120】
本発明のCD20モニタリング法の結果として容器中に形成することができる複合体の性質のために、価値のある情報が、患者の治療の成功に関して取得され得る。例えば、捕捉粒子に結合された第一の蛍光標識の相対強度の検出を用い、患者の血液内に存在する循環治療リガンドの相対量を決定することができる。他方で、第三および/または第二の蛍光標識の検出された強度は、患者におけるB細胞枯渇の程度に直接比例する。加えて第一の蛍光標識の検出は、第二および第三の蛍光標識の検出と比べて低く、患者のB細胞に対するCD20の遮断が示される。
【0121】
CD20治療をモニタリングする方法のより詳細な態様は、患者の状態に関する追加の情報を提供し、これは容器内で、以下のアッセイ成分間の複合体形成を可能にする条件下および十分な時間、これらを共にインキュベーションすることを含む:患者から得た血液または骨髄を含む試料;第一の識別可能な蛍光標識へ複合したCD20+細胞へ特異的に結合する第一のリガンド;第二の識別可能な蛍光標識に複合したB細胞へ特異的に結合する第二のリガンド;ならびに、CD20抗原に共有連結された捕捉粒子。このインキュベーション後、容器内の細胞は、透過化され、かつアッセイ成分は、第三の識別可能な蛍光標識に複合した細胞内CD20へ特異的に結合する第三のリガンドと、細胞内CD20および第三のリガンドの間の結合を可能にする条件下および時間で、再度インキュべーションされる。先に説明されたように、容器内で形成された複合体中の第一、第二または第三の蛍光標識からの蛍光が検出され、患者の治療がモニタリングされる。
【0122】
1つの局面において、患者の治療をモニタリングする本発明の方法において使用されるリガンドは、抗体、好ましくはモノクローナル抗体であってよく、かつ治療リガンドは、CD20の発現に関連した疾患の治療において患者に投与するためにFDAにより承認された抗体である。例えばRituximab(登録商標)およびBexxarr(商標)モノクローナル抗体が、現在B細胞リンパ腫の治療における患者への投与についてFDAにより承認されており、いずれかを、このような治療の経過をモニタリングするために、本発明の方法の治療リガンドとして使用することができる。
【0123】
更に別の態様において、本発明は、細胞表面に発現された標的CD52に特異的に結合する治療リガンドにより治療されることが必要である患者の治療をモニタリングする方法を提供する。本発明のCD52モニタリング法は、血液または骨髄由来などの、B細胞を含有する体液を含む患者由来の試料と、細胞表面に発現された標的CD52に特異的に結合する治療リガンドとの間の複合体形成を可能にする条件および十分な時間、分析チューブなどの容器中でインキュベーションする段階を含む。本発明のCD52モニタリング法は、患者から得たCD52+細胞を含有する体液を含む試料を、容器中で、CD52抗原に共有結合した第一の識別可能な捕捉粒子(循環薬物への結合について)および/または治療リガンドへ共有結合した第二の識別可能な捕捉粒子(自己抗体形成および任意の流出CD52抗原を検出するため)と共に、複合体形成する条件下および十分な時間、インキュベーションすることを含む。以下のアッセイ成分の1つが、インキュベーションのために容器に添加される:第一の識別可能な蛍光標識に複合した治療リガンドの結合部位において発現された標的に対し特異的に結合する第一のリガンド;第二の識別可能なリガンドに複合した治療リガンドとは異なる結合部位において発現された標的に結合する第二のリガンド;第三の識別可能な蛍光標識に複合したヒト免疫グロブリンに特異的に結合する第三のリガンド。患者の治療をモニタリングするために、容器中で形成された複合体中の蛍光標識からの蛍光は、実質的に同時に検出される。任意にB細胞に特異的に結合する第四のリガンドは、試料と共にインキュベーションするために導入することもでき、この方法は更に、第四の蛍光標識の相対強度を決定することを含む。
【0124】
試料が血液を含む場合、この方法は更に、この方法のインキュベーション段階または検出段階前に、複合しないリガンド-蛍光標識複合体および複合しない血漿成分を容器から除去することを含む。同様に試料が全血を含む場合、赤血球は、本方法のインキュベーション段階もしくは検出段階の前に、容器から除去または溶解することができる。加えて試料が全血を含む場合、この方法は更に、人為的活性化を防止するために、当技術分野において公知の手法または本明細書の実施例において例示されたような手法を用い、段階b)の前に安定化することを含むことができる。
【0125】
CD52リガンドで治療された患者の治療をモニタリングする、本発明の方法のさらなる態様は、図5に図示されたような、インキュベーション段階および検出段階への更なるリガンドの添加に関連している。一例において、容器内の試料とのインキュベーションについて第一のリガンドが選択される場合、この方法は更に、例えば共有結合的に、治療リガンドに連結された第一の捕捉粒子または第二の識別可能な捕捉粒子のいずれかの、インキュベーション後の容器への添加を含むことができる。あるいは第三のリガンドは、容器へ添加することができ、かつ第一の捕捉粒子および第二の捕捉粒子の一方または双方のいずれかと共にインキュベーションされる。別の例において、第二のリガンドが容器への添加および試料と一緒のインキュベーションのために選択される場合、この方法は更に、試料、治療リガンドへ例えば共有結合的に連結された第一の捕捉粒子および第二の識別可能な捕捉粒子の一方または双方を、インキュベーションのために容器へ添加することを含む。
【0126】
1つの態様において、細胞表面に発現された標的CD52へ特異的に結合する治療リガンドによる患者の治療をモニタリングする本発明の方法は、以下を含み得る:
a)容器中で以下のアッセイ成分間の複合体形成を可能にする条件下および十分な時間、これらをインキュベーションする段階:
1)患者から得た血液または骨髄を含む試料;
2)CD52抗原へ連結された第一の識別可能な捕捉粒子;および
3)治療リガンドへ連結された第二の識別可能な捕捉粒子;
b)段階a)において形成された複合体を容器中で、以下の追加のアッセイ成分との結合相互作用を可能にする条件下および十分な時間、インキュベーションする段階;
1)治療リガンドとは異なる結合部位において発現された標的に結合し、かつ第一の識別可能な蛍光標識に複合する、第一のリガンド;
2)第二の識別可能な蛍光標識に複合した治療リガンドの結合部位において発現された標的へ特異的に結合する第二のリガンド;および
3)第三の識別可能な蛍光標識に複合したヒト免疫グロブリンに特異的に結合する第三のリガンド;ならびに
c)患者の治療をモニタリングするために、容器中で形成された複合体中の第一、第二または第三の蛍光標識の少なくとも1種からの蛍光を実質的に同時に検出する段階。
【0127】
本発明の方法の別の態様として、この検出は、容器中の2種またはそれよりも多い蛍光標識の相対強度を決定するために、画像処理装置またはフローサイトメーターを使用し実施することができる。本発明のCD52モニタリング法の結果として容器中で形成され得る複合体の性質のために、価値のある情報を、患者の治療の成功に関して取得することができる。例えば、試料中の第三の蛍光標識または第二の蛍光標識の相対強度の定量を用い、患者における循環治療リガンドの相対量を決定することができる。別の例において、第一の蛍光標識または第二の蛍光標識の相対強度の検出は、患者の血液中の流出CD52抗原の相対量の決定において有用である。更に別の例において、第三の蛍光標識の相対強度の検出は、この薬物に対する循環自己抗体の相対量または患者における循環薬物の量を決定するために使用することができる。本発明の方法は、薬物は、CAMPATHエピトープを遮蔽する場合であっても、B細胞の表面上に存在するCD52の相対量を決定するために使用することもできる。
【0128】
治療リガンドの血清レベル(例えば、CAMPATH-1血清レベル)の測定は、投与法を最適化するために使用することができ、腫瘍エスケープの評価が確認されるであろう[8,9]。CAMPATH-1Hなどのヒト化されたモノクローナル抗体の場合、より問題は少ないが、抗イディオタイプ抗体の能力もモニタリングすることができる。加えてこの治療の毒性のために(例えば、リンパ球の過度の枯渇)、CD52発現のレベルの差異を定量する能力は、応答個体と非応答個体の層化を可能にする。
【0129】
抗CD52治療をモニタリングする本発明の方法の1つの局面において、リガンドは、抗体、好ましくはモノクローナル抗体であってよく、かつ治療リガンドは、CD52の発現に関連した疾患の治療における患者への投与についてFDAにより承認されたものである。例えば、B細胞性慢性リンパ性白血病の治療における患者への投与に関して、CAMPATH-1Hモノクローナル抗体は現在FDAにより承認されており、かつ、このような治療の経過をモニタリングするために、本発明の方法において治療リガンドとして使用することができる。このような場合、例えばCD52抗体クローンHI186のような、CD52のCAMPATH-1エピトープへ結合しないモノクローナル抗体は、このアッセイにおいて第二のリガンドとして都合良く使用することができるが、CAMPATH-1Hが結合しないエピトープに結合する任意のリガンドもまた、この目的で使用することができる。第一の捕捉ビーズに結合した合成抗原も、第二リガンドが結合するCD52のエピトープと反応性を有さないように選択することができる。
【0130】
更に別の態様において、本発明は、ヘパリン誘導した血小板減少症(HIT)のような患者におけるヘパリン療法の副作用をモニタリングする方法を提供する。本発明の方法は、容器中で、以下のアッセイ成分の間の複合体形成を可能にする条件下および十分な時間、インキュベーションする段階を含む:1)患者の安定化された全血を含む試料;2)ヘパリン:血小板第4因子(H:PF4)複合体に連結された第一の識別可能な捕捉粒子;3)第一の蛍光標識に複合した血小板活性化抗原に特異的に結合する第一のリガンド、および4)全ての血小板に特異的に結合し、かつ第二の蛍光標識に複合する第二のリガンド。インキュベーション後、非結合の第一および第二のリガンドならびに非結合の血漿成分は、任意に容器から除去される。その後、第三の蛍光標識に複合するヒト免疫グロブリンに特異的に結合する第三のリガンドが、容器の内容物に添加され、かつこれらの内容物が、それらの間での複合体形成が可能である条件下で十分な時間、インキュベーションされる。患者のヘパリン療法をモニタリングするために、容器内で形成された複合体において第一の蛍光標識、第二の蛍光標識および第三の蛍光標識の存在が検出される。この検出は、患者の血液中の血小板活性化抗原の割合を決定するために、複合体中の第一および第二の蛍光標識の割合を検出するために、画像解析装置またはフローサイトメーターを使用することを含むことができる。あるいはこの検出は、患者の血液中の抗ヘパリン自己抗体の量を評価するための、捕捉粒子に結合した第三の蛍光標識の平均蛍光強度の検出に関連し得る。あるいは検出段階は、試料中の血小板濃度を決定するために、試料中の赤血球の血小板に対する比の検出を含み得る。
【0131】
第一のリガンドとしての使用に有用なモノクローナル抗体は、抗CD62p抗体である。CD62p抗体が、血小板活性化を標的化するために使用され、かつ第二の識別可能な蛍光標識に複合したCD41は、血小板についてのゲート試薬として使用することができる。
【0132】
関連する細胞標的および可溶性標的、細胞抗原、細胞特性および血液学的パラメータの実質的に同時の分析を可能にするこれらの方法は、細胞性および可溶性の双方のメディエータ、アクチベータまたはインヒビターに関する、患者の医学的状態に関し、先行技術の方法と比べより完全な臨床像(picture)を提供する。本発明は、単独のテストチューブまたはマイクロタイタープレートにおいて複数のアッセイが実行されることを可能にし、かつ患者の状態または薬物作用の包括的評価(snapshot)を可能にする。本発明の方法の利点は、小児患者および高齢患者にとって特に重要である、減少した試料サイズ(例えば、血液)の必要性、増加した精度または臨床モニタリング、増加した処理量効率、これらの試験を実行するための短縮された時間および作業、ならびに患者への減少した全般的経費を含む。例えば、様々な可溶性被検体と組合せて活性化された免疫細胞を評価する能力は、前述の疾患の診断およびモニタリングの双方を改善することができる。
【0133】
この試料が血液を含む場合、この方法は更に、この方法のインキュベーション段階または検出段階の前に容器から、複合しないリガンド-蛍光標識複合体および複合しない血漿成分を除去する段階を含み得る。加えてこの方法は更に、人為的活性化を防止するために、当技術分野において公知の手法または本明細書の実施例に例示された手法を用い、段階b)の前に試料を安定化する段階を含む。
【0134】
キット
便宜上、本発明に有用であるハイスループットアッセイまたは他の診断アッセイのための通常の試薬は、キットの形で提供することができる。更に別の本発明の局面において、前述の方法の実行のためのキットが提供される。好ましくはこのようなキットは、本発明の診断法を実行し、かつ/または療法をモニタリングするために利用される。しかしこのようなキットは、研究目的でも集成される。従って本発明のキットは望ましくは、例えば、試料中の細胞標的に結合する少なくとも1種の可溶性リガンド;試料中の可溶性被検体または少なくとも1種の競合する可溶性被検体(好ましくは標識された)に結合する少なくとも1種の可溶性リガンド;ならびに、可溶性被検体へ直接的に、可溶性被検体へ間接的に、または可溶性被検体に結合する可溶性リガンドへ結合する、固相捕捉媒体などの、先に示された成分を含む。このキットは、特定のアッセイを実行するための使用説明書、様々な希釈物および緩衝液、ならびにシグナル発生試薬、例えば蛍光標識、酵素基質、補因子および色素原も含む。他の成分は、呈色比較のためのインジケーターチャート、使い捨て手袋、混入防止の説明書(decontamination instruction)、アプリケータースティックまたは容器、および試料調製用カップを含むことができる。
【0135】
本発明の1つの態様において、前述のサンドイッチアッセイの実行に有用なキットは、成分として、可溶性被検体に結合する複数の第一のリガンドに会合した固相捕捉媒体を含む。別のキット成分は、細胞標的に結合し、第一の検出可能な標識に会合する、可溶性リガンドである。キットは更に、可溶性被検体-第一のリガンド-捕捉媒体複合体に結合することが可能である第三のリガンドを含む。この第三のリガンドは、第二の検出可能な標識に会合する。
【0136】
別の態様において、先に説明された競合的阻害アッセイの1つを実行するキットは、第一の標識に会合した第一のリガンドを含む。複数の第一のリガンドは、単独の細胞標的に結合することが可能である。別の成分は、第二の標識に会合した第二のリガンドである。この第二のリガンドは、可溶性被検体に結合することが可能である。更に別の成分は、それらの上に固定された複数の可溶性被検体により会合した固相捕捉媒体である。
【0137】
別の態様において、別の先に説明された競合的阻害アッセイを行うためのキットは、第一の標識と会合した第一のリガンドを含む。複数の第一のリガンドは、単独の細胞標的への結合が可能である。別の成分は、第二の標識と会合した競合する被検体である。更に別の成分は、可溶性被検体(競合する可溶性被検体または試料中の自然発生する可溶性被検体のいずれか)に結合することが可能である複数のリガンドが固定された固相捕捉媒体である。
【0138】
更に別の態様において、本発明の免疫複合体アッセイを実行するキットは、第一の細胞標的に結合すること、および第一の検出可能なシグナルを提供することが可能な第一のリガンド;可溶性被検体に結合すること、および第二の検出可能なシグナルを提供することが可能な第二のリガンド;同一の可溶性被検体に結合することが可能な第三のリガンド;複数の第四のリガンドがその上に固定され、この第四のリガンドは第三のリガンドへ結合することが可能である、固相捕捉媒体を含む。
【0139】
このようなキットは、不適切な型または数の血液細胞、血液細胞型または結合した成分または可溶性抗原またはそれらの被検体と関連した病態を決定する目的のための、血液試料の評価において有用である。従ってこのようなキットは、本明細書において考察した診断アッセイを実行する上で、例えば血液試料中の不適切な細胞標的または可溶性被検体の発現を特徴とする疾患の治療の状態を決定する上で、有用であろう。このような診断キットは、本発明の方法の色素、リガンド、捕捉媒体、および他の成分を含む。このようなキットは、先に例証され、実行されるべき特定のアッセイの他の成分に予め結合された標識、または選択された成分、例えば基質への結合について個別に提供された標識も含む。あるいはそのようなキットは、このような組成物の単純な混合物、または単純な混合物を調製するための手段を含むことができる。
【0140】
このようなキットは、本発明の細胞を含む血液試料または他の生物学的試料をスクリーニングするための、臨床検査用の簡便で効率的な方法を提供する。
【0141】
当業者は、本開示に組合せた当技術分野の知識に基づく明らかな方法において、これらの診断キットの成分を変動させることが予想される。このような変動された成分は、本発明の本態様に含まれる。
【0142】
キットは、試料を含むための適切な容器、活性化された血小板の適切な対照または正常特性値もしくは罹患特性値の表;抗凝固剤または凝固経路のインヒビター、フローサイトメトリー分析の実行に適した他の試薬およびそれらの組合せ;試料に関する適切な希釈剤および緩衝液、使い捨て手袋、混入防止の説明書、アプリケータースティックまたは容器、および試料調製用カップからなる群より選択される追加の成分を少なくとも1種更に含む。
【0143】
実施例
これらの実施例は、本発明の方法および組成物の使用ならびにそれらの分析を明らかにしている。これらの実施例において報告されたデータは、本発明の新規の方法が、改善された有効性および複数種類の標的を伴う試料の実質的に同時の分析を可能にする実行パラメータを有することを明らかにしている。これらの実施例は例証であり、それらの範囲を限定するものではない。当業者は、特定の試薬および条件は下記実施例において概説されるが、本発明の組成物またはそれらを使用するプロセスを提供するために先に説明されたような変更を行うことができることを理解するであろう。
【0144】
実施例1
ImmunoPlex複数被検体サンドイッチイムノアッセイ
下記実施例は、単独のアッセイチューブ中の細胞マーカー発現プロファイル(免疫表現型タイピング)、可溶性の定量(血清マーカー)、および白血球割合の実質的に同時のアッセイを、フローサイトメトリーおよびイムノアッセイ技術を併用し試験するために行った。
【0145】
EDTA処理した全血試料(100μL)に、以下の試薬を添加した:
(a)捕捉媒体は、個別の蛍光強度を伴う、50μlの6-ビーズポリスチレンミクロスフェアビーズ集団である。このミクロスフェアまたはビーズは一般に、3.6μmより大きく10μmよりも小さい。抗体は、IL-2、IL-4、IL-5、IL-10、TNF-αまたはIFNγに特異的なビーズにより、抗体に複合した蛍光捕捉ビーズを作製するための、通常の方法によりビーズのサブセットに、個別に共有結合的に結合される。
(b)抗IL-2、抗IL-4、抗IL-5、抗IL-10、抗TNF-α、または抗IFN-γに特異的な抗体を伴う、フィコエリスリン(PE)に複合した抗ヒト検出用可溶性リガンド(50μl/試験)。
(c)細胞標的への可溶性リガンド、すなわち20μlの抗CD45-FITC(Beckman Coulter)。
【0146】
この試薬混合物は、穏やかに混合しながら室温で約1時間〜3時間インキュベーションし、さらに遮光した。比較のために、全血を血漿と置き換えることにより、並行試料を作製した。
【0147】
一旦インキュベーションされたならば、試料中の赤血球を、ImmunoPrep(商標)試薬(Beckman Coulter)の添加により溶解した。その後これらの試料に、試料中の試薬の間で形成された様々な複合体を更に操作または分離することなく、Beckman Coulter FC 500フローサイトメーターを使用するサイトメトリーフロー分析を施し、データを収集した。
【0148】
これらの結果は、捕捉ビーズ/検出用試薬が、蛍光色素抗CDマーカーを伴うかまたは伴わずに、血漿または全血中でインキュベーションされる場合に、サイトカイン値に有意差はないことを示した。評価されたサイトカインのアッセイ範囲は、0〜5000pg/mLであった。平均蛍光強度により測定された、細胞散乱パラメータまたはCD発現の決定に対するビーズの作用も存在しなかった。従ってこのデータは、単独のチューブ分析フォーマットにおける、白血球割合、マーカータンパク質の細胞表面発現、および血清サイトカインレベルに対する信頼できる情報を提供した。
【0149】
実施例2
ImmunoPlex単独被検体捕捉イムノアッセイ
抗凝固剤EDTA中で収集された全血(100μl)の試料を、この実験期間中、氷上または室温で維持した。並行試料を、全血を血漿または緩衝液と置き換えることにより作製した。これらの試料へ、以下の試薬を添加した:
(a)捕捉ビーズ10μl。捕捉ビーズとして単独の非蛍光、常磁性のポリスチレンミクロスフェアを使用し、例えばヒトIL-2抗体のような、可溶性被検体IL2に対する結合した抗体を伴う、6種の集団を作製した。これらのビーズは、3.6μmよりも大きくおよび10μmよりも小さかった。
(b)蛍光イソチオシアネート(抗CD14-FITC)(Beckman Coulter)で標識された抗体である細胞標的CD14に対するリガンド20μl;および
(c)フィコシアニン5(抗CD45-PC5)(Beckman Coulter)で標識された抗体である、細胞標的CD45に対するリガンド10μl。
【0150】
その後、これらの試料は、60分間インキュベーションし、30秒毎に2回混合(または代わりに揺動)した。
【0151】
その後、可溶性被検体IL-2に対する可溶性リガンド、すなわち、フィコエリスリン(PE)に複合した抗IL2リポーター抗体10μlを、緩衝液、血漿および全血の試料に添加し、これらの試料は30分間インキュベーションし、再度30秒毎に2回混合(または揺動)した。
【0152】
その後、全血試料を、ImmunoPrep(商標)試薬(Beckman Coulter)を用いて溶解し、試料中の試薬間で形成された様々な複合体の更なる操作または分離を伴うことなく、全ての試料に、Cytomics FC500 または Coulter(登録商標)XL/MCL(商標)フローサイトメーター上でフローサイトメトリー分析を施し、データを収集した。
【0153】
光散乱およびCD発現に対するビーズの作用を評価するために、これらの試料は、ビーズを伴いまたは伴わずに処理し、細胞光散乱パターンおよび平均蛍光強度(MFI)に対する影響を評価した。リンパ球、単球および顆粒球を試験したが、これらは可能性のある粒子の食作用に起因した最悪の場合のシナリオとして考えられた。
【0154】
収集されたデータは、全血と比較し血漿において得られた光散乱およびMFIに関する値に差がないことを示し、ビーズの食作用が阻害されたことを確認した。
【0155】
このアッセイは、抗IL-2ビーズを伴い、かつ伴わずに、可溶性標的抗体(IL2-PE)を伴い、かつ伴わずに、ならびに細胞標的抗体(CD14-FITC)を伴い、かつ伴わずに行った。アイソタイプ対照を、陰性対照として使用した。予想されたように、試料媒体が血漿または全血に比べ緩衝液であった場合に、得られた結果のプロットにおいて明確に異なる回帰方程式が認められ、これは「マトリックス作用」を示した。ビーズおよび可溶性標的抗体の添加は、細胞散乱パターンまたは抗原性発現に有害に影響しなかった。
【0156】
実施例3
ImmunoPlex CD20
本実施例および図4は、CD20に結合するリガンド(抗体)による患者の治療をモニタリングするための、本発明の方法の使用を例示している。全血、細針吸引液または骨髄を分析チューブに入れ、成分を以下の成分との同時インキュベーションにより染色した:
a)細胞表面に発現された標的CD20に特異的に結合し、かつ第一の識別可能な蛍光標識である蛍光色素1(Ab-FL1)に複合した、抗体(クローンHRC20)-PE);
b)細胞系譜(すなわちCD19)を同定し、かつ第二の識別可能な蛍光標識である蛍光色素2(Ab-FL2)に複合した、第二の抗体(CD19-ECD(登録商標))、直接の抗体複合体;および
c)物理的または蛍光特性により細胞から識別することができ、かつCD20抗原へ、例えば共有結合的に連結される、(先の実施例2に説明されたような)捕捉ビーズ(および/または、既知のCD20の発現を有し、かつ物理的および/または蛍光的特徴により、混合物中の全ての他の細胞から識別することができる、保存細胞)。この混合物は、分析チューブ中の成分の最適結合を可能にするのに十分な時間インキュベーションした。過剰な(非結合)成分a)およびb)ならびに非結合血漿成分は、洗浄により除去した。
【0157】
その後この試料を、固定剤および透過化試薬(例えば、IntraPrep(商標)試薬、Beckman Coulter)により処理し、細胞内マーカータンパク質のタグ付けのために細胞へ侵入させ、かつ、細胞内CD20に特異的に結合し、かつ第三の識別可能な蛍光標識である蛍光色素3(Ab-FL3)に複合した抗体(クローンL26)-FITC)を、分析チューブに導入した(Mason, D. Y. et al. 1990. Am J Pathol, 136:1215-1222)。インキュベーションを進行し、Ab-FL3の最適結合を可能にした。この試料は、溶解および/または洗浄し、その後フローサイトメーターまたは画像システムにおいて解析し、図4に概略的に図示された手法を用い、1種または複数種のビーズの組合せおよび/または保存細胞の組合せの相対蛍光染色の比較により、細胞表面発現、細胞内発現、更には循環CD20発現の比較および相対的定量を可能にした。キャリブレータービーズまたは細胞の利用は更に、定量的測定の実行を可能にすることができる。追加の血液学的示差的パラメータを確認することができる。
【0158】
実施例4
本実施例および図5は、CD52抗体であるCAMPATH-1を使用する患者の治療経過をモニタリングするために使用される、本発明のアッセイ手法を例示している。全血、骨髄または単独細胞浮遊液を、最初に単独の容器に配置し、かつ第一の捕捉粒子、例えばCAMPATH-1が結合するエピトープを含む合成CD52抗原に共有結合的に連結された識別可能な捕捉ビーズ(1ビーズ-Ag)、ならびに治療抗体CAMPATH-1に共有結合的に連結された第二の捕捉粒子(2ビーズ-薬物)と共にインキュベーションした。これら2つの導入の順番は重要ではない。この混合物は、試料中の捕捉ビーズのそれらの標的との最適結合を可能にするのに十分な時間、インキュベーションした(第一のインキュベーション期間)。ビーズ-Agは、任意の循環薬物と結合し、ビーズ-薬物は、試料中の循環抗CAMPATH-1抗体または流出受容体のいずれかと結合するであろう。
【0159】
分析に関して、その後この試料は、識別可能な蛍光色素で標識された一連の抗体により、分析チューブ内で染色される:
a)細胞表面に発現された標的、例えば、第一の蛍光標識FL2に複合したCD52へ特異的に結合する治療抗体(CAMPATH-1-PE)(Ab-FL2);
b)CAMPATH-1と異なる部位において同じ発現された標的抗原(CD52)に結合し、かつ第二の蛍光標識(HI186)-PC7)に複合する、第二の抗体(Ab-FL5);
c)任意の標的可溶性被検体、ヒト免疫グロブリンに特異的に結合し(例えば、抗HuIgG-FITC)、かつ第三の蛍光標識へ複合する、第三の抗体(Ab-FL1);および
d)細胞系譜の第四のマーカーが、この時添加されてよい(Ab-FL4;例えば、CD19-ECD(図5に示されていない)。
【0160】
この試料を、成分間の最適結合を可能にするのに十分な時間、分析チューブにおいてインキュベーションした(すなわち、第二のインキュベーション期間)。その後この試料を、溶解および/または洗浄し、過剰なAb-FL、非結合血漿成分および赤血球および容器の内容物を、フローサイトメーター上で分析した。対象の血液の細胞表面および循環中に存在するCD52の量は、抗CAMPATH-1反応の出現と共に評価することができる。キャリブレータービーズまたは細胞の利用は、更なる定量測定の実行を可能にする。全体の分析は、試料チューブ内で形成された複合体を分離することなく、同じ装置上で実行される。追加の血液学的示差的パラメータを確かめることができる。
【0161】
実施例5
本実施例は、患者のヘパリンによる治療をモニタリングする、本発明の方法の使用を例示する。全血は、人為的活性化を防ぐために、最初に安定化した(ThombFix、またはCTAD(クエン酸、テオフィリン、アデノシン、およびジピリダモールの混和物)(Becton Dickenson, CA)。ビーズは、ヘパリン:血小板第4因子(H:PF4)複合体および/またはH:PF4を伴う保存細胞へ共有結合的に連結し、これは物理的および/または蛍光的特性(ビーズ-H:PF4)により、混合物中の全ての他の細胞から識別することができた。血小板活性化抗体(例えば、CD62p-FITC)へ特異的に結合する蛍光色素に複合した抗体(Ab-FL1)を調製した。これらのビーズおよび蛍光色素に複合した抗体を、分析チューブ内の安定化された血液へ添加した。追加の血小板マーカー(例えば、CD41-PC7)に特異的に結合する第二の蛍光色素に複合した抗体も、この時点で分析チューブに添加した(Ab-FL4)。この試料は、ビーズ-H:PF4の任意の抗H:PF4自己抗体との最適結合を可能にするのに十分な時間インキュベーションした。引き続きの洗浄は、過剰なAb-FL1、Ab-FL2または非結合の血漿成分を除去した。ビーズ-H:PF4が結合した抗H:PF4自己抗体の検出のために、第三の蛍光標識FL2に複合したヒト免疫グロブリンに特異的に結合する第三の抗体(抗HuIg-PE)を分析チューブに添加し、この混合物を、結合を完全に生じるようにインキュベーションした。
【0162】
その後この試料は、図6に概略的に例証された手法を用い、フローサイトメーター上で分析した。血小板活性化の検出は、CD62pの割合の決定により評価し、自己抗体の測定値は、ビーズ-H:PF4:抗H:PF4:抗HuIg-PE(FL2)を含む複合体の平均蛍光強度により定量した。血小板濃度は、International Society for Laboratory Hematology(ISLH)(International Council for Standardization in Haematology Expert Panel on Cytometry and International Society of Laboratory Hematology Task Force on Platelet Counting. Platelet Counting by the RBC/platelet ratio method: Am J Clin Pathol. 2001;115:460-464を参照した方法)の指針に従い、赤血球の血小板に対する比により決定した。分析前に試料を分離することなく、血小板カウント数、血小板活性化および抗H:PF4抗体の存在を、HITの決定のために単独のチューブにおいて分析した(PLT=血小板;RBC=赤血球)。
【0163】
先に引用された全ての文献は、本明細書に参照として組み入れられる。本発明の組成物およびプロセスは、添付された「特許請求の範囲」により包含される。
【0164】
参照文献




【図面の簡単な説明】
【0165】
【図1】「サンドイッチアッセイ」段階を利用する本発明の方法を示す概略図であり、ここで捕捉媒体は、抗体である可溶性標的に関するリガンド、細胞標的に結合し、かつ蛍光標識FL1と会合する第二の可溶性リガンド(抗体)、ならびに可溶性標的に結合し。かつ第二の蛍光標識FL2に会合する第三の可溶性リガンド(抗体)で被覆される。形成された複合体の実質的に同時の評価は、前方光散乱対側方散乱の対数のフローサイトメトリーグラフにより明らかにされ、ここで固相捕捉媒体は、細胞標的から個別にゲートされ、かつゲートされた集団に関連した蛍光事象の2つの個別のグラフを決定することができる。L=リンパ球;M=単球;G=顆粒球。
【図2A】「競合阻害アッセイ」段階を使用する本発明の方法を示す概略図である。捕捉媒体は可溶性被検体で被覆される。同じく本方法において、抗体であり、かつ蛍光標識FL1に会合する細胞標的のための可溶性リガンド、ならびに試料中またはビーズ上の被検体に結合し、かつ蛍光標識FL2に会合する第二の可溶性リガンド(抗体)も使用される。形成される可能性のある複合体は、(1)可溶性リガンド-FL1および細胞標的により形成された複合体、(2)固定された可溶性被検体を伴う捕捉媒体、および第二の可溶性リガンド-FL2(これは試料中の可溶性被検体に結合しない)により形成された複合体、ならびに(3)試料中の可溶性被検体、および、もしあれば、第二の可溶性リガンド-FL2である。形成された複合体(1)および(2)の実質的に同時の評価は、固相捕捉媒体が、細胞標的から個別にゲートされる、前方光散乱対側方散乱の対数のフローサイトメトリーグラフにより明らかにされ、ゲートされた集団に関連した蛍光事象の数の2つの個別のグラフが示される。捕捉媒体-固定された被検体-リガンド-FL2複合体上のFL2の測定は、試料中の固定された被検体および可溶性被検体の間の競合的結合のために、試料中の可溶性被検体の量に反比例する。L=リンパ球;M=単球;G=顆粒球。
【図2B】別の「競合的阻害アッセイ」段階を使用する本発明の方法を示す概略図である。この代替において、捕捉媒体は、可溶性被検体に結合する可溶性リガンドで被覆される。同じくこの方法において、抗体であり、かつ蛍光標識FL1に会合した細胞標的のための可溶性リガンドも使用される。この方法の別の成分は、蛍光標識FL2に会合する可溶性被検体である。形成された可能性のある複合体は、(1)可溶性リガンド-FL1および細胞標的により形成された複合体、(2)可溶性被検体のための固定されたリガンドを伴う捕捉媒体および可溶性被検体-FL2により形成された複合体、ならびに(3)可溶性被検体のための固定されたリガンドを伴う捕捉媒体、および、もしあれば、試料中の可溶性被検体により形成された複合体である。形成された複合体(1)および(2)の実質的に同時の評価は、固相捕捉媒体が、細胞標的から個別にゲートされる前方光散乱対側方散乱の対数のフローサイトメトリーグラフにより示され、ならびにゲートされた集団に関連した蛍光事象の数の2つの個別のグラフが示される。捕捉媒体-固定されたリガンド-結合した被検体-FL2複合体上のFL2の測定は、試料中の非標識可溶性被検体の量に反比例する。L=リンパ球;M=単球;G=顆粒球。
【図3】「免疫複合体」段階を使用する本発明の方法を示す概略図である。ビーズは、ストレプトアビジンで被覆されている。細胞標的への第一のリガンド(抗体)が、蛍光標識FL1に会合する。細胞標的への第二のリガンド(抗体)は、蛍光標識FL2に会合する。第三のリガンド(ビオチンに会合した抗体)は、可溶性被検体へ標的化される。形成された複合体に関する実質的に同時の評価は、固相捕捉媒体が細胞標的から個別にゲートされる前方光散乱対側方散乱の対数のフローサイトメトリーグラフにより明らかにされ、ゲートされる集団に関連した蛍光事象の数の2つの個別のグラフが示される。L=リンパ球;M=単球;G=顆粒球。
【図4】細胞表面に発現された標的CD20に特異的に結合するリガンドで治療される患者をモニタリングする本発明の方法の態様を示す概略図である。細胞表面に発現された標的CD20に特異的に結合する抗体は、蛍光標識FL2と複合する(クローンHRC20)-PE)。細胞系譜を同定する第二の抗体(すなわち、CD19)は、第二の蛍光標識FL3と複合する(CD19-ECD(登録商標))。捕捉媒体は、CD20抗原へ共有結合的に連結される。細胞内CD20へ特異的に結合する第三の抗体は、第三の蛍光標識FL1と複合する(クローンL26-FITC)。形成された複合体の実質的に同時の評価は、捕捉媒体を細胞から区別する、前方光散乱対側方散乱の対数のフローサイトメトリーグラフ、ならびに残存細胞から個別にB細胞をゲートする、側方散乱対CD19-ECDから明らかにされる。これらのグラフは次に、2つのグラフを提供するために使用することができ、一方は、捕捉ビーズ上の蛍光標識FL2の事象の数および平均強度を示し、かつ他方は、表面上(FL2)および細胞内(FL1)にCD20を含むB細胞の割合(%)を示す。L=リンパ球;M=単球;G=顆粒球。
【図5】細胞表面に発現された標的CD52へ特異的に結合する治療リガンドで治療される患者をモニタリングする本発明の態様を示す概略図である。発現されたCD52へ特異的に結合する第一のリガンド(抗体)は、蛍光標識FL2へ複合する(CAMPATH 1G-PE)。同じく発現された標的抗原に異なる部位において結合する第二の抗体は、第二の蛍光標識FL-5に複合する(HI186)-PC7)。ヒト免疫グロブリンへ特異的に結合する第三の抗体(例えば、抗HuIgG-FITC)は、第三の蛍光標識FL1へ複合する。1つの捕捉ビーズは、HI186と反応性のない合成CAMPATH抗原へ共有結合的に連結され、他方は、治療抗体CAMPATH 1Hに共有結合的に連結される。形成された複合体の実質的に同時の評価は、前方光散乱対側方散乱の対数のフローサイトメトリーグラフにより明らかにされ、捕捉媒体の2つの種類を区別し、かつ細胞標的からこれらを分離する。次にリンパ球細胞集合は、双方のCD52のエピトープを含むB細胞の割合を評価するために、FL2対FL5のグラフへゲートすることができる。CAMPATH抗原捕捉ビーズは、循環薬物(CAMPATH-1H抗体)を含むビーズの数を示すために、カウント数対FL1またはFL2ヒストグラムへゲートされる一方、CAMPATH-1H(薬物)捕捉ビーズは、2つの個別のヒストグラム、すなわち1つは血漿中の自己抗体量を示し(カウント数対FL1)、かつ他方は血漿中への流出CD52抗原の量を示す(カウント数対FL2またはFL5)ヒストグラムへゲートされる。L=リンパ球;M=単球;G=顆粒球。
【図6】HITの発症に関するヘパリン療法による患者の治療をモニタリングするために使用される本発明の方法の態様を示す概略図である。ビーズは、ヘパリン:血小板第4因子(H:PF4)複合体へ共有結合的に連結される(ビーズ-H:PF4)。 血小板活性化抗原へ特異的に結合する抗体(例えばCD62p-FITC)は、第一の蛍光標識FL1と複合する。血小板を同定する第二の抗体(すなわち、CD41)は、第二の蛍光標識FL5と複合する(例えば、CD41-PC7)。抗H:PF4自己抗体へ特異的に結合する第三の抗体(例えば、抗HuIg-PE)は、第二の蛍光標識(FL2)と複合する。これらの形成された複合体の実質的に同時の評価は、前方光散乱の対数対側方散乱の対数のフローサイトメトリーグラフにより明らかにされ、ビーズを細胞から識別する。これらのビーズは、循環自己抗体の量を測定するために、カウント数対FL2ヒストグラムにゲートされ得る。対数FS 対 対数SSヒストグラムから、これらの細胞は、FL5 対 対数FSを示すヒストグラムへゲートされ、赤血球および白血球を血小板から区別する。その後血小板は、FL2対FL1ヒストグラムへ送られ、H:PF4に対する自己抗体を含む活性化された血小板の割合を評価する。血小板濃度は、赤血球の血小板に対する比によるか、またはビーズカウント数の比較により、決定され得る。(PLT=血小板;RBC=赤血球)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の段階を含む、細胞表面に発現された標的CD20に特異的に結合する治療リガンドにより、治療が必要な患者の治療をモニタリングする方法:
a)患者から得たCD20+細胞を含有する体液を含む試料を含有する容器を得る段階;
b)下記の段階の1つを実行する段階:
ii)容器内のアッセイ成分を、CD20に特異的に結合し、かつ第一の識別可能な蛍光標識に複合した第一の可溶性リガンドと共に、CD20と第一のリガンドとの複合体形成を可能にする条件下および時間、インキュベーションする段階;または
iii)B細胞へ特異的に結合し、かつ第二の蛍光標識と複合した第二の可溶性リガンドを、アッセイ成分間の複合体形成を可能にする条件下および時間、容器へ添加する段階;または
iv)下記の段階の組合せ:
CD20抗原に連結された捕捉粒子を容器へ添加する段階;
容器内の細胞を透過化する段階;および
容器内のアッセイ成分を、細胞内CD20に特異的に結合し、かつ第三の識別可能な蛍光標識と複合した第三の可溶性リガンドと共に、細胞内CD20と第一のリガンドとの複合体形成を可能にする条件下および時間、インキュベーションする段階;ならびに
c)容器内で形成された複合体中の蛍光標識からの蛍光の存在を検出し、患者の治療をモニタリングする段階。
【請求項2】
段階b)iii)の実行が選択され、段階b)iii)の実行前に:
a)第二の識別可能な蛍光標識に複合したB細胞へ特異的に結合する第二の可溶性リガンド;および/または、CD20+細胞へ特異的に結合する第三の可溶性リガンド、および/またはCD20抗原を含む捕捉粒子を容器へ添加する段階;ならびに
b)容器の内容物を、その中のアッセイ成分間での複合体形成を可能にする条件下および十分な時間、インキュベーションする段階;
を更に含む、請求項1記載の方法。
【請求項3】
試料が全血である、請求項1記載の方法。
【請求項4】
リガンドが抗体である、請求項1記載の方法。
【請求項5】
抗体がモノクローナル抗体である、請求項4記載の方法。
【請求項6】
治療リガンドが、Rituximab(登録商標)またはBexxar(商標)モノクローナル抗体である、請求項1記載の方法。
【請求項7】
複合体中の蛍光標識の相対強度が、蛍光計またはフローサイトメーターにより検出される、請求項1または2記載の方法。
【請求項8】
フローサイトメーターが、血液学的分析装置である、請求項7記載の方法。
【請求項9】
捕捉粒子が、既知のCD20発現を有する識別可能な捕捉ビーズまたは識別可能な保存細胞である、請求項1記載の方法。
【請求項10】
捕捉粒子に結合した第一の蛍光標識の相対強度を検出し、患者内に存在する循環治療リガンドの相対量を決定する段階を更に含む、請求項2記載の方法。
【請求項11】
第三および/または第二の蛍光標識の検出された強度が、患者におけるB細胞の枯渇に正比例する、請求項7記載の方法。
【請求項12】
第一の蛍光標識の検出が、第二および第三の蛍光標識の検出と比較して低く、これにより患者のB細胞上のCD20の遮断が示される、請求項7記載の方法。
【請求項13】
治療がB細胞リンパ腫の治療である、請求項1記載の方法。
【請求項14】
試料が血漿を含み、かつ方法が、段階b)の前に、結合していない第二および第三のリガンド、ならびに結合していない血漿成分を容器から除去する段階を更に含む、請求項1または2記載の方法。
【請求項15】
試料が赤血球を含有し、かつ方法が赤血球を除去する段階を更に含む、請求項13記載の方法。
【請求項16】
以下の段階を含む、細胞表面に発現された標的CD20に特異的に結合する治療リガンドにより、治療が必要な患者の治療をモニタリングする方法:
a)下記のアッセイ成分間の複合体形成を可能にする条件下および十分な時間、容器内で共にインキュベーションする段階:
i)患者から得た血液または骨髄を含む試料;
ii)第一の識別可能な蛍光標識に複合したCD20+細胞へ特異的に結合する第一のリガンド;
iii)第二の識別可能な蛍光標識に複合したB細胞へ特異的に結合する第二のリガンド;および
iv)CD20抗原へ連結された捕捉粒子;
b)容器内の細胞を透過化する段階;
c)容器内のアッセイ成分を、第三の識別可能な蛍光標識に複合した細胞内CD20に特異的に結合する第三のリガンドと、細胞内CD20と第三のリガンドとの間の結合を可能にする条件下および時間、インキュベーションする段階;ならびに
d)容器内に形成された複合体中の第一、第二または第三の蛍光標識からの蛍光を検出し、患者の治療をモニタリングする段階。
【請求項17】
以下の段階を含む、細胞表面に発現された標的CD52に特異的に結合する治療リガンドにより、治療が必要な患者の治療をモニタリングする方法:
a)患者から得たCD52+細胞を含有する体液を含む試料を含有する容器を得る段階;
b)容器内の試料を、以下と共に、複合体形成を可能にする条件下および十分な時間、インキュベーションする段階:
i)第一の識別可能な蛍光標識に複合した治療リガンドの結合部位において発現された標的に特異的に結合する第一のリガンド、および
ii)以下から選択される1種のアッセイ成分:
a)第二の識別可能なリガンドへ複合した治療リガンドとは異なる結合部位において発現される標的に結合する第二のリガンド;
b)第三の識別可能な蛍光標識に複合したヒト免疫グロブリンに特異的に結合する第三のリガンド;および、
c)CD52抗原へ連結された第一の識別可能な捕捉粒子;および
d)治療リガンドへ連結された第二の識別可能な捕捉粒子;ならびに
c)容器内で形成された複合体中の蛍光標識からの蛍光を実質的に同時に検出し、患者の治療をモニタリングする段階。
【請求項18】
段階b)ii)において、第二のリガンドが選択され、該方法が:
段階a)において、第一の捕捉粒子または治療リガンドへ連結された第二の識別可能な捕捉粒子のいずれかを、容器へ添加する段階;または
段階b)ii)において、第三のリガンド、ならびに第一の捕捉粒子および第二の捕捉粒子のいずれか一方または双方を添加する段階を更に含む、請求項17記載の方法。
【請求項19】
段階b)ii)において、第二のリガンドが選択され、方法が、段階a)において、第一の捕捉粒子および治療リガンドへ連結された第二の識別可能な捕捉粒子の一方または双方を容器へ添加する段階を更に含む、請求項17記載の方法。
【請求項20】
段階b)ii)において、第三のリガンドが選択され、方法が、段階a)において、CD52抗原に連結された第一の識別可能な捕捉粒子および第二の捕捉粒子の一方または双方を容器へ添加する段階を更に含む、請求項17記載の方法。
【請求項21】
試料が血漿を含み、かつ方法が、段階b)またはc)の前に、容器から複合しないリガンド-蛍光標識複合物および複合しない血漿成分を除去する段階を更に含む、請求項17記載の方法。
【請求項22】
試料が全血を含み、かつ、段階b)またはc)の前に容器から赤血球が除去される、請求項17記載の方法。
【請求項23】
試料が赤血球を含み、かつ方法が、段階b)またはc)の前に、試料中の細胞を溶解する段階を更に含む、請求項17記載の方法。
【請求項24】
リガンドが抗体である、請求項17記載の方法。
【請求項25】
抗体がモノクローナル抗体である、請求項17記載の方法。
【請求項26】
画像解析装置またはフローサイトメーターにより、第一、第二および第三の蛍光標識の相対強度を検出する段階を更に含む、請求項17記載の方法。
【請求項27】
フローサイトメーターが、血液学的分析装置である、請求項26記載の方法。
【請求項28】
細胞系譜マーカーに特異的に結合する第四のリガンドがまた、段階b)において導入され、かつ方法が、第四の蛍光標識の相対強度を決定する段階を更に含む、請求項17記載の方法。
【請求項29】
治療リガンドが、CAMPATH-1Hモノクローナル抗体であり、かつ第一のリガンドが、CAMPATH-1の結合したエピトープとは異なるCD52のエピトープへ特異的に結合する抗体である、請求項17記載の方法。
【請求項30】
試料が患者の血液または骨髄を含み、かつ方法が、試料中の第三の蛍光標識または第二の蛍光標識の相対強度を検出し、患者の循環治療リガンドの相対量を決定する段階を更に含む、請求項26記載の方法。
【請求項31】
試料が患者の血液または骨髄を含み、かつ、第一の蛍光標識または第二の蛍光標識の相対強度を検出し、患者における流出CD52抗原の相対量を決定する、請求項26記載の方法。
【請求項32】
B細胞表面上に存在するCD52の相対量が決定される、請求項26記載の方法。
【請求項33】
捕捉粒子が識別可能な捕捉ビーズである、請求項18記載の方法。
【請求項34】
捕捉粒子がCD52の既知の発現を有する識別可能な保存細胞である、請求項18記載の方法。
【請求項35】
治療がB細胞慢性リンパ性白血病の治療である、請求項18記載の方法。
【請求項36】
試料が全血を含み、かつ方法が、段階b)の前に試料を安定化して人為的活性化を防ぐ段階を更に含む、請求項16記載の方法。
【請求項37】
以下の段階を含む、細胞表面に発現された標的CD52に特異的に結合する治療リガンドにより、治療が必要な患者の治療をモニタリングする方法:
a)容器内で以下のアッセイ成分を、それらの間の複合体形成を可能にする条件下および十分な時間、インキュベーションする段階:
1)患者から得た血液または骨髄を含む試料;
2)CD52抗原に連結された第一の識別可能な捕捉粒子;および
3)治療リガンドへ連結された第二の識別可能な捕捉粒子;
b)段階a)において形成された複合体を、以下の追加のアッセイ成分との結合相互作用を可能にする条件下および十分な時間、容器内でインキュベーションする段階:
4)治療リガンドとは異なる結合部位において、発現された標的へ結合し、かつ第一の識別可能な蛍光標識に複合した第一のリガンド;
5)第二の識別可能な蛍光標識に複合した治療リガンドの結合部位において、発現された標的へ特異的に結合する第二のリガンド;および
6)第三の識別可能な蛍光標識に複合したヒト免疫グロブリンへ特異的に結合する第三のリガンド;ならびに
c)容器内で形成された複合体中の第一、第二および第三の蛍光標識の少なくとも1種からの蛍光を実質的に同時に検出し、患者の治療をモニタリングする段階。
【請求項38】
以下の段階を含む、ヘパリン療法の副作用を、モニタリングが必要な患者においてモニタリングする方法:
a)容器内で以下のアッセイ成分を、それらの間の複合体形成を可能にする条件下および十分な時間、インキュベーションする段階:
1)患者の全血を含む試料;
2)ヘパリン:血小板第4因子複合体に連結された識別可能な捕捉粒子;
3)血小板活性化抗原に特異的に結合し、かつ第一の蛍光標識に複合した、第一の可溶性リガンド;ならびに
4)血小板に特異的に結合し、かつ第二の蛍光標識に複合した、第二の可溶性リガンド;
b)段階a)で形成された複合体と、ヒト免疫グロブリンに特異的に結合し、かつ第三の識別可能な蛍光標識に複合した第三のリガンドとの間での複合体形成を可能にする条件下および十分な時間、容器内でインキュベーションし、これによりその中に複合体の混合物を形成する段階;ならびに
c)複合体の混合物中の第一の蛍光標識、第二の蛍光標識または第三の蛍光標識からの蛍光を検出し、患者におけるヘパリン療法をモニタリングする段階。
【請求項39】
試料が全血または血小板に富む血漿を含む、請求項38記載の方法。
【請求項40】
リガンドが抗体である、請求項38記載の方法。
【請求項41】
抗体がモノクローナル抗体である、請求項40記載の方法。
【請求項42】
検出が、蛍光計またはフローサイトメーターによる、請求項38記載の方法。
【請求項43】
段階b)の前に、複合しない第一のリガンドおよび結合しない血漿成分を除去する段階を更に含む、請求項38記載の方法。
【請求項44】
フローサイトメーターが、血液学的分析装置である、請求項38記載の方法。
【請求項45】
検出が、患者の血液における血小板活性化抗原の割合を決定するための、複合体における第一の蛍光標識の割合の決定に関する、請求項38記載の方法。
【請求項46】
第一のリガンドが、CD62p抗体および/またはCD41抗体である、請求項38記載の方法。
【請求項47】
検出が、患者の血液における抗ヘパリン自己抗体の量を評価するための、捕捉粒子に結合した第三の蛍光標識の平均蛍光強度の検出に関する、請求項38記載の方法。
【請求項48】
捕捉粒子が、ヘパリン-血小板第4因子複合体の既知の発現を有する識別可能な保存細胞である、請求項47記載の方法。
【請求項49】
副作用が、ヘパリン誘導型血小板減少症である、請求項38記載の方法。
【請求項50】
検出がフローサイトメトリーによるものであり、かつ方法が、試料中の赤血球対血小板の比を検出し、患者の血液中の血小板濃度を決定する段階を更に含む、請求項38記載の方法。
【請求項51】
検出がフローサイトメトリーによるものであり、かつ方法が、捕捉粒子濃度に対する比として試料中の血小板数を比較し、患者の血液中の血小板濃度を決定する段階を更に含む、請求項38記載の方法。
【請求項52】
試料が全血または血小板に富む血漿を含み、かつ方法が、段階b)の前に試料を安定化し、人為的活性化を防ぐ段階を更に含む、請求項38記載の方法。
【請求項53】
以下を含む、細胞表面に発現された標的CD20に特異的に結合する治療リガンドにより、患者の治療をモニタリングするためのキット:
a)第一の識別可能な蛍光色素に複合したCD20に特異的に結合する第一の可溶性リガンド;ならびに、以下の1種または複数種:
b)細胞内CD20+細胞へ特異的に結合する第二の識別可能な蛍光色素に複合した第二の可溶性リガンド;
c)B細胞へ特異的に結合する第三の識別可能な蛍光色素に複合した第三の可溶性リガンド;および
d)CD20抗原に連結された捕捉粒子。
【請求項54】
可溶性リガンドが、モノクローナル抗体である、請求項53記載のキット。
【請求項55】
キットの成分が、個別の容器に含まれている、請求項53記載のキット。
【請求項56】
以下を含む、CD52抗原に特異的に結合する治療リガンドにより患者の治療をモニタリングするためのキット:
a)CD52抗原に連結された第一の識別可能な捕捉粒子;および
b)第一の識別可能な蛍光標識へ複合した治療リガンドの結合部位において発現された標的へ特異的に結合する第一の可溶性リガンド。
【請求項57】
以下より選択されるアッセイ成分を更に含む、請求項56記載のキット:
a)第二の識別可能な蛍光標識に複合した治療リガンドとは異なる結合部位において発現された標的に結合する第二の可溶性リガンド;および
b)第三の識別可能な蛍光標識に複合したヒト免疫グロブリンに特異的に結合する第三の可溶性リガンド。
【請求項58】
可溶性リガンドがモノクローナル抗体である、請求項56記載のキット。
【請求項59】
キットの成分が個別の容器に含まれる、請求項56記載のキット。
【請求項60】
以下を含む、患者のヘパリン療法をモニタリングするキット:
a)ヘパリン:血小板第4因子複合体に連結された識別可能な捕捉粒子;ならびに、以下の1種または複数種:
b)第一の識別可能な蛍光標識に複合した血小板活性化抗原に特異的に結合する第一の可溶性リガンド;
c)第二の識別可能な蛍光標識に複合した血小板へ特異的に結合する第二の可溶性リガンド;および
d)第三の識別可能な蛍光標識に複合したヒト免疫グロブリンに特異的に結合する第三の可溶性リガンド。
【請求項61】
可溶性リガンドがモノクローナル抗体である、請求項60記載のキット。
【請求項62】
キットの成分が個別の容器に含まれ得る、請求項60記載のキット。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2007−516422(P2007−516422A)
【公表日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−527972(P2006−527972)
【出願日】平成16年7月28日(2004.7.28)
【国際出願番号】PCT/US2004/024235
【国際公開番号】WO2005/036123
【国際公開日】平成17年4月21日(2005.4.21)
【出願人】(504346307)ベックマン コールター インコーポレーティッド (5)
【Fターム(参考)】