細胞系のハイスループットスクリーニング方法
高い生産性の細胞系が所望のレベルの蛋白発現も適切な品質の目的とする蛋白も生じさせるその能力について同定されるような、特定の医薬品、薬剤開発、および生物工学的方法における蛋白発現で使用するための、細胞系のハイスループットスクリーニング方法を開示する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、その明細書の全体が出典明示により組み込まれている、2006年4月21日出願の米国仮出願第60/793,991号の優先権の利益を主張するものである。
【0002】
本発明は、一般に医薬品の分野に関する。より具体的には、本発明は、工業スケールの生産に十分な量および同等の品質の蛋白を生産する能力について、細胞系のスクリーニングを行う方法に関する。
【背景技術】
【0003】
ハイスループット技術は、医薬および生命工学の研究において重要なツールとなっている。ハイスループット分析方法では、蛋白の活性、蛋白発現レベル、遺伝子発現、および生物系内で起こる無数の化学的相互作用を迅速に分析するために自動手順を利用する。これらの方法および技術によって得られたデータは、癌研究、創薬、および結晶構造解析などの広範な分野で役立てられている(たとえば、Abramovitz他(2006)Proteome Sci.、4(1):5参照[印刷の前に電子発行])。
【0004】
ハイスループット分析は、系内で起こる莫大な化学反応の中から特定の化学的相互作用または化合物を感知する能力に依存する。ハイスループット技術は、数千個の遺伝子の特定の化学的相互作用および発現レベルを短期間でプローブするために使用されている。この困難な作業を達成するために、分子シグナル(たとえばフルオロフォア)および非常に速い速度で情報を処理する自動分析を利用する特定の技法が開発されている(たとえば、Pinhasov他(2004)Comb.Chem.High Throughput Screen.、7(2):133〜40参照)。たとえば、数千個の遺伝子の相互作用を一度にプローブする一方で、特定の遺伝子に関する有益な情報を提供するために、マイクロアレイ技術が広く利用されている(たとえば、MocellinおよびRossi(2007)Adv.Exp.Med.Biol.、593:19〜30参照)。
【0005】
過去数年間で、自動および手動両方のハイスループットの蛋白の発現および精製が、構造および機能の研究のために可溶性蛋白を迅速にスクリーニングおよび生産する利用可能な手段となっている(Cabrita他(2006)BMC Biotechnol.、6:12参照)。クローニング、発現および精製のためのフィルター−プレートに基づいたアッセイ、ライゲーション非依存性クローニング(LIC)、ならびに蛋白発現の自己誘導などの開発を自動システムと合わせて、単純かつ対費用効果の高い蛋白の並行生産技法が作成されている(Cabrita他(2006)BMC Biotechnol.、6:12、Aslanidis他(1990)Nucleic Acids Res.、18(20):6069〜6074参照)。これらの手法は、研究者に、医薬品および薬剤開発で使用するために蛋白を工業スケールレベルで生産する、強力なツールを提供している。
【0006】
しかし、特定の細胞からの蛋白の精製および発現は、特定の問題を提示する。目的とする蛋白が同定された後、かなりの量のその蛋白を精製した形態で得ることは、比較的困難である。その結果、組換え蛋白を産生する細胞系を用いて、工業開発のために蛋白を十分な量で産生させる。
【0007】
細胞系は、研究者に大量の特定の蛋白を産生する機会を与えることができるが、これらは必ずしも蛋白の効率的な産生体とは限らない。特定の細胞系クローンは最適以下のレベルの蛋白を産生する場合がある。他の細胞系クローンは、最適レベルの蛋白発現を生じるが、構造的形成異常または不適切な翻訳後修飾のどちらかが原因で完全に機能的な蛋白のプールを産生することができない場合がある。このような問題は、生物学的に関連する化合物の開発中に時間および資源の無駄をもたらす可能性がある。したがって、特定の細胞系中で発現された蛋白の品質および量に関する情報を迅速かつ確実に提供するハイスループットスクリーニング方法が必要である。本発明は、これらおよび他の重要な目的を対象とする。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
目的とする蛋白のフルスケール生産を開始する前に、細胞系中での目的とする蛋白の発現レベルを分析することによって、重要な時間および資源は、ハイスループット蛋白発現に不十分な品質の細胞系に対して浪費されない。本発明は、部分的には、ハイスループットスクリーニング手順およびハイスループット精製手順を行って十分な量の目的とする蛋白を産生する細胞系を決定することができるという発見に基づいている。さらに、これらの手順を利用して、候補細胞系を、それらが所望の品質、たとえば生物活性を有する目的とする蛋白を産生するかどうかを決定するために、スクリーニングすることができる。したがって、これらのハイスループットスクリーニングおよびハイスループット精製技法(以下、まとめて「ハイスループットスクリーニング」と呼ぶ)は、工業スケールの蛋白発現で利用するのに適切な細胞系を決定するための有益な方法である。この発見を活用して、目的とする蛋白の工業スケールの生産に有用な細胞系を同定するためにハイスループットスクリーニング方法の使用を可能にする発明が提供される。
【課題を解決するための手段】
【0009】
一態様では、本発明は、蛋白を発現させるための細胞系のハイスループットスクリーニング方法を提供する。この方法には、それぞれの細胞系における蛋白発現レベルを決定するための、細胞系のハイスループット力価スクリーニングが含まれる。所望の蛋白発現レベルを生じる細胞系を選択し、続いて蛋白のハイスループット精製を行う。細胞系が所望の蛋白発現レベルを生じ、かつ適切な品質を有する場合に、細胞系を蛋白発現について選択する。
【0010】
一部の実施形態では、蛋白は、抗体、リガンド、受容体、蛋白のサブユニット、蛋白の断片、融合蛋白、組換え蛋白、およびそれらの断片である。特定の実施形態では、蛋白は、抗体、組換え抗体、またはF(ab’)2断片である。
【0011】
他の実施形態では、第1の結合剤は、抗体、リガンド、受容体、融合蛋白、蛋白のサブユニット、組換え蛋白、およびそれらの断片からなる群から選択される。具体的な実施形態では、第1の結合剤は、プロテインAまたはストレプトアビジンである。さらに他の実施形態では、結合剤は、ビーズ、プレート、およびマイクロアレイチップなどの固体支持体に付着することができる。多くの実施形態では、固体支持体は、セルロース、セファロース、ポリアクリルアミド、ガラス、またはポリスチレンを含む。
【0012】
他の実施形態では、第2の結合剤は、抗体、リガンド、受容体、融合蛋白、蛋白のサブユニット、組換え蛋白、およびそれらの断片からなる群から選択される。具体的な実施形態では、第2の結合剤は、抗体およびその断片である。より具体的な実施形態では、抗体はF(ab’)2断片であり、さらにより具体的には、抗体のFc部分と特異的に結合するF(ab’)2断片である。
【0013】
さらに他の実施形態では、検出可能な標識は、フルオロフォア、化学色素、放射性結合剤、化学発光性結合剤、電気化学発光剤、磁性結合剤、常磁性結合剤、プロ磁性結合剤、有色産物をもたらす酵素、化学発光性産物をもたらす酵素、および磁性産物をもたらす酵素である。非常に具体的な実施形態では、検出可能な標識は、ルテニウムまたは複数のルテニウム標識である。
【0014】
一部の実施形態では、試薬は、具体的な実施形態では第3の結合剤が付着した樹脂を含む。特定の実施形態では、第3の結合剤は、抗体、リガンド、受容体、融合蛋白、蛋白のサブユニット、組換え蛋白、およびそれらの断片からなる群から選択される。一方で、具体的な実施形態では、第3の結合剤は、プロテインAまたはストレプトアビジンである。一部の実施形態では、蛋白は、真空を用いて試薬から溶出させる。他の実施形態では、遠心分離によって蛋白を溶出させる。さらに他の実施形態では、樹脂を通る重力流によって蛋白を溶出させる。多くの実施形態では、インキュベートした細胞系のスクリーニングに自動ワークステーションを利用する。
【0015】
別の態様では、本発明は、蛋白を発現させるための細胞系のハイスループットスクリーニング方法を提供する。この方法には、細胞系を培地でインキュベートする工程と、固体支持体を、それぞれのインキュベートした細胞系由来の試料と接触させる工程とが含まれる。この態様では、固体支持体は、その表面に、それぞれの試料中の蛋白と結合する第1の結合剤が付着している。第1の結合剤と結合した蛋白を、検出可能な標識と作動可能に連結している、その蛋白と結合する第2の結合剤と接触させる。それぞれの試料中の蛋白発現レベルは、蛋白と結合した第2の結合剤と作動可能に連結している標識を検出することによって決定する。また、この方法には、所望の蛋白発現レベルを有する細胞系の選択も含まれる。一部の例では、これは、それぞれの細胞系における蛋白発現レベルとすべての細胞系における平均蛋白発現レベルとを比較することによって決定する。たとえば、すべての細胞系における平均発現レベルと比較して増加した蛋白発現レベルが、所望の蛋白発現レベルである場合がある。あるいは、低下した蛋白発現レベルが、所望の蛋白発現レベルである場合があり、やはりこれも、それぞれのスクリーニングした細胞系における蛋白発現レベルとすべての細胞系における平均蛋白発現レベルとを比較することによって決定する。
【0016】
本発明のこの態様の方法は、選択した細胞系から上清を単離すること、およびそれぞれの上清をマルチウェルプレートのウェルに分配することをさらに伴う。その後、上清を蛋白と結合する試薬と接触させる。蛋白を試薬から溶出させ、適切な品質についてアッセイを行う。本発明のこの態様によれば、細胞系が工程e)で選択され、細胞系によって発現される蛋白が適切な品質を有する場合に、細胞系を蛋白発現について選択する。一部の実施形態では、蛋白は、抗体、リガンド、受容体、蛋白のサブユニット、蛋白の断片、融合蛋白、組換え蛋白、およびそれらの断片である。特定の実施形態では、蛋白は、抗体、組換え抗体、またはF(ab’)2断片である。
【0017】
他の実施形態では、第1の結合剤は、抗体、リガンド、受容体、融合蛋白、蛋白のサブユニット、組換え蛋白、およびそれらの断片からなる群から選択される。具体的な実施形態では、第1の結合剤は、プロテインAまたはストレプトアビジンである。さらに他の実施形態では、結合剤は、ビーズ、プレート、およびマイクロアレイチップなどの固体支持体に付着することができる。多くの実施形態では、固体支持体は、セルロース、セファロース、ポリアクリルアミド、ガラス、またはポリスチレンを含む。
【0018】
他の実施形態では、第2の結合剤は、抗体、リガンド、受容体、融合蛋白、蛋白のサブユニット、組換え蛋白、およびそれらの断片からなる群から選択される。具体的な実施形態では、第2の結合剤は、抗体およびその断片である。より具体的な実施形態では、抗体はF(ab’)2断片であり、さらにより具体的には、抗体のFc部分と特異的に結合するF(ab’)2断片である。
【0019】
さらに他の実施形態では、検出可能な標識は、フルオロフォア、化学色素、放射性結合剤、化学発光性結合剤、電気化学発光剤、磁性結合剤、常磁性結合剤、プロ磁性結合剤、有色産物をもたらす酵素、化学発光性産物をもたらす酵素、および磁性産物をもたらす酵素である。非常に具体的な実施形態では、検出可能な標識は、ルテニウムまたは複数のルテニウム標識である。
【0020】
一部の実施形態では、試薬は、具体的な実施形態では第3の結合剤が付着した樹脂を含む。特定の実施形態では、第3の結合剤は、抗体、リガンド、受容体、融合蛋白、蛋白のサブユニット、組換え蛋白、およびそれらの断片からなる群から選択される。一方で、具体的な実施形態では、第3の結合剤は、プロテインAまたはストレプトアビジンである。一部の実施形態では、蛋白は、真空を用いて試薬から溶出させる。多くの実施形態では、インキュベートした細胞系のスクリーニングに自動ワークステーションを利用する。
【0021】
別の態様では、本発明は、細胞培養法の開発方法を提供する。この方法には、試験する異なる条件でそれぞれの細胞系をインキュベートする工程が含まれる。その後、細胞系の試料を、それぞれの異なる条件からのそれぞれの細胞系からの固体支持体と接触させる。この態様では、固体支持体は、その表面に、それぞれの試料中の蛋白と結合する第1の結合剤が付着している。第1の結合剤と結合した蛋白を、検出可能な標識と作動可能に連結している、その蛋白と結合する第2の結合剤と接触させる。それぞれの試料中の蛋白発現レベルは、蛋白と結合した第2の結合剤と作動可能に連結している標識を検出することによって決定する。また、この方法には、所望の蛋白発現レベルを有する細胞系の選択も含まれる。一部の例では、これは、それぞれの細胞系における蛋白発現レベルとすべての細胞系における平均蛋白発現レベルとを比較することによって決定する。たとえば、すべての細胞系における平均発現レベルと比較して増加した蛋白発現レベルが、所望の蛋白発現レベルである場合がある。あるいは、低下した蛋白発現レベルが、所望の蛋白発現レベルである場合があり、やはりこれも、それぞれのスクリーニングした細胞系における蛋白発現レベルとすべての細胞系における平均蛋白発現レベルとを比較することによって決定する。
【0022】
本発明のこの態様の方法は、選択した細胞系から上清を単離すること、およびそれぞれの上清をマルチウェルプレートのウェルに分配することをさらに伴う。その後、上清を蛋白と結合する試薬と接触させる。蛋白を試薬から溶出させ、適切な品質についてアッセイを行う。本発明のこの態様によれば、蛋白の量および品質が試験した他の条件と比較して向上している場合に、適切な細胞培養条件を同定する。
【0023】
他の実施形態では、第1の結合剤は、抗体、リガンド、受容体、融合蛋白、蛋白のサブユニット、組換え蛋白、およびそれらの断片からなる群から選択される。具体的な実施形態では、第1の結合剤は、プロテインAまたはストレプトアビジンである。さらに他の実施形態では、結合剤は、ビーズ、プレート、およびマイクロアレイチップなどの固体支持体に付着することができる。多くの実施形態では、固体支持体は、セルロース、セファロース、ポリアクリルアミド、ガラス、またはポリスチレンを含む。
【0024】
他の実施形態では、第2の結合剤は、抗体、リガンド、受容体、融合蛋白、蛋白のサブユニット、組換え蛋白、およびそれらの断片からなる群から選択される。特定の実施形態では、第2の結合剤は、抗体およびその断片である。より具体的な実施形態では、抗体はF(ab’)2断片であり、さらにより具体的には、抗体のFc部分と特異的に結合するF(ab’)2断片である。
【0025】
さらに他の実施形態では、検出可能な標識は、フルオロフォア、化学色素、放射性結合剤、化学発光性結合剤、電気化学発光剤、磁性結合剤、常磁性結合剤、プロ磁性結合剤、有色産物をもたらす酵素、化学発光性産物をもたらす酵素、および磁性産物をもたらす酵素である。非常に具体的な実施形態では、検出可能な標識は、ルテニウムまたは複数のルテニウム標識である。
【0026】
一部の実施形態では、試薬は、具体的な実施形態では第3の結合剤が付着した樹脂を含む。具体的な実施形態では、第3の結合剤は、抗体、リガンド、受容体、融合蛋白、蛋白のサブユニット、組換え蛋白、およびそれらの断片からなる群から選択される。一方で、具体的な実施形態では、第3の結合剤は、プロテインAまたはストレプトアビジンである。一部の実施形態では、蛋白は、真空を用いて試薬から溶出させる。多くの実施形態では、インキュベートした細胞系のスクリーニングに自動ワークステーションを利用する。
【0027】
具体的な実施形態では、試験する条件は細胞増殖培地である。他の実施形態では、試験する条件は温度である。さらに他の実施形態では、試験する条件は湿度である。さらなる実施形態では、試験する条件は圧力である。さらなる実施形態では、試験する条件は酸素圧である。
【0028】
さらに別の態様では、本発明は、蛋白を生産するための細胞系のハイスループットスクリーニング方法を提供する。この方法には、細胞系を培地中でインキュベートする第1の工程が含まれる。それぞれの細胞系からの試料を固体支持体上に置く、すなわち、固体支持体をそれぞれの試料と接触させる。固体支持体には、それぞれの試料中の蛋白と結合する第1の結合剤がその表面に付着していることに留意されたい。第1の結合剤は細胞試料中の蛋白と結合する。蛋白を、検出可能な標識と作動可能に連結している、その蛋白と結合する第2の結合剤と接触させる。蛋白発現レベルは、それぞれの試料において、蛋白と結合した第2の結合剤と作動可能に連結している標識を検出することによって決定する。細胞系は、その細胞系がスクリーニングした細胞系における平均蛋白発現レベルと比較して所望の蛋白発現レベルを有するかどうかに基づいて、蛋白の産生について選択する。
【0029】
一部の実施形態では、蛋白は、抗体、リガンド、受容体、蛋白のサブユニット、蛋白の断片、融合蛋白、組換え蛋白、およびそれらの断片である。特定の実施形態では、蛋白は、抗体、組換え抗体、またはF(ab’)2断片である。
【0030】
他の実施形態では、第1の結合剤は、抗体、リガンド、受容体、融合蛋白、蛋白のサブユニット、組換え蛋白、およびそれらの断片からなる群から選択される。具体的な実施形態では、第1の結合剤は、プロテインAまたはストレプトアビジンである。さらに他の実施形態では、結合剤は、ビーズ、プレート、およびマイクロアレイチップなどの固体支持体に付着することができる。多くの実施形態では、固体支持体は、セルロース、セファロース、ポリアクリルアミド、ガラス、またはポリスチレンを含む。
【0031】
他の実施形態では、第2の結合剤は、抗体、リガンド、受容体、融合蛋白、蛋白のサブユニット、組換え蛋白、およびそれらの断片からなる群から選択される。具体的な実施形態では、第2の結合剤は、抗体およびその断片である。より具体的な実施形態では、抗体はF(ab’)2断片であり、さらにより具体的には、抗体のFc部分と特異的に結合するF(ab’)2断片である。
【0032】
さらに他の実施形態では、検出可能な標識は、フルオロフォア、化学色素、放射性結合剤、化学発光性結合剤、電気化学発光剤、磁性結合剤、常磁性結合剤、プロ磁性結合剤、有色産物をもたらす酵素、化学発光性産物をもたらす酵素、および磁性産物をもたらす酵素である。非常に具体的な実施形態では、検出可能な標識は、ルテニウムまたは複数のルテニウム標識である。特定の実施形態では、この方法はシアル酸アッセイをさらに含む。
【0033】
本発明の前述の目的および他の目的、その様々な特徴、ならびに本発明自体は、添付の図面と一緒に読んだ場合に、以下の説明からより詳細に理解し得るであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
本明細書中で言及する特許および科学文献は、当業者に利用可能な知識を確立する。本明細書中に引用する発行された米国特許、認められた出願、公開された外国出願、およびGenBankデータベースの配列を含めた参考文献は、それぞれが具体的かつ個別に参照により組み込まれていることが示された場合と同程度に、本明細書中に参照により組み込まれる。
【0035】
1.1.概要
本発明の一実施形態は、部分的に、目的とする蛋白を産生する能力について細胞系をスクリーニングする方法を提供する。本発明はまた、医薬および生物学的研究のための蛋白の工業スケールの生産において効率を向上させる方法も記載する。具体的には、本発明は、癌、アルツハイマー病、および糖尿病などの疾患の医薬治療に利用することができる蛋白の効率的な生産を可能にする。さらに、本発明の実施形態は、細胞系によって産生される目的とする蛋白の量および品質を決定するための、細胞系のハイスループットスクリーニング方法を提供する。
【0036】
したがって、本発明の一態様は、蛋白を発現させるための細胞系のハイスループットスクリーニング方法を提供する。この方法は、目的とする蛋白と結合する第1の結合剤および目的とする蛋白と結合する検出可能な標識と作動可能に連結している第2の結合剤を利用する。一部の実施形態では、第1の結合剤は、ビーズ、磁性ビーズ、プレート、またはマイクロアレイチップなどの固体支持体に付着している。また、この方法では、目的とする蛋白と結合する試薬を用い、蛋白の細胞系に由来する試料からの精製を可能にする。本発明の一部の実施形態では、蛋白は、溶出された蛋白を試薬から真空引きを行うことによって、および濾過によって、試薬から精製する。さらに他の実施形態では、重力流によって溶液を試薬に通して流す。
【0037】
本明細書中で使用する用語「治療蛋白」とは、それが作用する身体内の領域または中間体を介してそれが遠隔作用する身体の領域に対して生物学的効果を有する、蛋白またはペプチドである。治療蛋白は、本明細書中以下にさらに詳述するように、たとえば、抗体、抗体の抗原結合断片、可溶性受容体、受容体融合体、サイトカイン、成長因子、酵素、または凝固因子などの分泌蛋白であり得る。上記蛋白のリストは事実上単に例示的なものであり、限定する列挙であることを意図しない。当業者は、任意の蛋白を本発明に従って使用してよく、また、必要に応じて生産させる特定の蛋白を選択できることを理解されよう。
【0038】
本明細書で使用する用語、ポリペプチド、蛋白およびペプチドは、同義であり、互換性があるように使用する。したがって、本明細書中で使用する蛋白、ペプチドまたはポリペプチドの大きさは、一般に、2個を超えるアミノ酸を含む。たとえば、蛋白、ペプチドまたはポリペプチドは、約2〜約20個のアミノ酸、約20〜約40個のアミノ酸、約40〜約100個のアミノ酸、約100個のアミノ酸〜約200個のアミノ酸、約200個のアミノ酸〜約300個のアミノ酸などを含むことができる。本明細書中で使用するアミノ酸とは、当分野で知られている任意の天然に存在するアミノ酸、任意のアミノ酸誘導体または任意のアミノ酸模倣体をいう。具体的な実施形態では、蛋白またはペプチドの残基は逐次であり、アミノ酸でない如何なるものもアミノ酸残基の配列を中断しない。他の実施形態では、配列は1つまたは複数の非アミノ酸部分を含み得る。特定の実施形態では、蛋白またはペプチドの残基の配列は、1つまたは複数の非アミノ酸部分によって中断され得る。
【0039】
本明細書中で使用する用語「抗体」とは、抗原結合領域を有する任意の抗体様分子をいうために使用し、Fab’、Fab、F(ab’).sub.2、単一ドメイン抗体(DAB)、Fv、scFv(単鎖Fv)などの抗体断片が含まれる。抗体に基づいた様々な構築体および断片を調製および使用する技法は当分野で周知である。抗体を調製および特徴づける手段も当分野で周知である(たとえば、本明細書中に参照により組み込まれている、HarlowおよびLane、Antibodies:A Laboratory Manual、Cold Spring Harbor Laboratory、1988参照)。たとえば、抗体には、少なくとも1つ、好ましくは2つの完全長の重鎖、および少なくとも1つ、好ましくは2つの軽鎖が含まれ得る。本明細書中で使用する用語「抗体」には、抗体断片または抗原結合断片(たとえば、Fab、F(ab’)2、Fv、単鎖Fv断片、重鎖断片(たとえばラクダ科VHH)および結合ドメイン−免疫グロブリン融合体(たとえばSMIP(商標))などの変異体分子が含まれる。抗体は、モノクローナルまたは単一特異性抗体であり得る。また、抗体は、ヒト、ヒト化、キメラ、CDR移植、またはin vitro生成抗体であることもできる。さらに他の実施形態では、抗体は、たとえば、IgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4から選択された重鎖定常領域を有する。別の実施形態では、抗体は、たとえば、κまたはλから選択された軽鎖を有する。一実施形態では、定常領域は、抗体の特性を変更するために変化、たとえば突然変異している(たとえば、Fc受容体結合、抗体グリコシル化、システイン残基の数、エフェクター細胞の機能、または補体機能の1つまたは複数を増加または低下させるため)。典型的には、抗体は、所定の抗原、たとえば、神経変性、代謝、炎症性、自己免疫および/または悪性障害などの障害に関連する抗原と特異的に結合する。
【0040】
小モジュール免疫医薬品(Small Modular ImmunoPharmaceuticals、SMIP(商標))は、結合ドメインポリペプチドを含む変異体分子の例を提供する。SMIPならびにその使用および応用は、たとえば、すべてその全体が本明細書中に参照により組み込まれている、米国公開特許出願第2003/0118592号、第2003/0133939号、第2004/0058445号、第2005/0136049号、第2005/0175614号、第2005/0180970号、第2005/0186216号、第2005/0202012号、第2005/0202023号、第2005/0202028号、第2005/0202534号、および第2005/0238646号、ならびにその関連特許ファミリーのメンバーに開示されている。単一ドメイン抗体には、その相補性決定領域が単一ドメインポリペプチドの一部である抗体が含まれ得る。例には、それだけには限定されないが、重鎖抗体、天然で軽鎖を欠く抗体、慣用の4鎖抗体に由来する単一ドメイン抗体、操作した抗体および抗対に由来するもの以外の単一ドメイン骨格が含まれる。単一ドメイン抗体は、当分野の任意のもの、または任意の将来の単一ドメイン抗体であり得る。単一ドメイン抗体は、それだけには限定されないが、マウス、ヒト、ラクダ、ラマ、ヤギ、ウサギ、ウシを含めた任意の種に由来し得る。本発明の一態様によれば、本明細書中で使用する単一ドメイン抗体は、軽鎖を欠く重鎖抗体として知られている、天然に存在する単一ドメイン抗体である。そのような単一ドメイン抗体は、たとえば、国際公開公報WO9404678号に開示されている。明確にするために、天然で軽鎖を欠く重鎖抗体に由来するこの可変ドメインは、4鎖免疫グロブリンの慣用のVHと区別するために、本明細書中で、VHHまたはナノ体と呼ぶ。そのようなVHH分子は、ラクダ科の種、たとえば、ラクダ、ラマ、ヒトコブラクダ、アルパカおよびグアナで産生させた抗体に由来することができる。ラクダ科以外の他の種も天然で軽鎖を欠く重鎖抗体を産生する場合があり、そのようなVHHは本発明の範囲内にある。
【0041】
用語抗体の「抗原結合断片」に包含される結合断片の例には、(i)VL、VH、CLおよびCH1ドメインからなる一価断片であるFab断片、(ii)ヒンジ領域でジスルフィド橋によって連結された2つのFab断片を含む二価断片であるF(ab’)2断片、(iii)VHおよびCH1ドメインからなるFd断片、(iv)抗体の単一アームのVLおよびVHドメインからなるFv断片、(v)VHドメインからなるdAb断片、(vi)ラクダ科またはラクダ科可変ドメイン、たとえばVHHドメイン、(vii)単鎖Fv(scFv)、(viii)二重特異性抗体、および(ix)Fc領域と融合した免疫グロブリン分子の1つまたは複数の断片が含まれる。さらに、Fv断片の2つのドメイン、VLおよびVHは別々の遺伝子によってコードされているが、組換え方法を用いて、VLおよびVH領域が対合して一価分子を形成する単一蛋白鎖にすることを可能にする合成リンカーによって、結合することができる(単鎖Fv(scFv)として知られる、たとえば、Bird他(1988)Science、242:423〜26、Huston他(1988)Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.、85:5879〜83参照)。そのような単鎖抗体も、用語抗体の「抗原結合断片」に包含されることを意図する。これらの抗体断片は当業者に知られている慣用技術を用いて得られ、インタクトな抗体と同じ様式で機能について断片の評価を行う。
【0042】
「二重特異性」または「二官能性」抗体以外では、抗体はその結合部位のそれぞれが同一であると理解される。「二重特異性」または「二官能性抗体」とは、2つの異なる重/軽鎖対および2つの異なる結合部位を有する人工ハイブリッド抗体である。二重特異性抗体は、ハイブリドーマの融合またはFab’断片の連結を含めた様々な方法によって産生することができる。たとえば、SongsivilaiおよびLachmann、Clin.Exp.Immunol.、79:315〜321(1990)、Kostelny他、J.Immunol.、148、1547〜1553(1992)参照。
【0043】
本明細書中で使用する用語「細胞系」とは、培養中で維持され、ex vivo条件で増殖する能力を獲得した細胞を意味する。細胞系は、不死化されているか、または「初代細胞系」として一過的に確立されていてよい。特定の実施形態では、細胞系を当分野で知られている技法によって確立させる(たとえばKwak他(2006)Anim.Biotechnol.、17(1):51〜8参照)。一部の実施形態では、細胞系は、当分野で知られている技法によって産生することができる抗体産生細胞である(たとえばDessain他(2004)J.Immunol.Methods.、291(1〜2):109〜22)。また、細胞系は、ATCC細胞生物学コレクション(American Type Culture Collections、バージニア州Mannassas)などの市販の入手源から得ることもできる。
【0044】
本明細書中で使用する用語「結合剤」とは、共有結合、水素結合、イオン結合、ファンデルワールス力、ロンドン力、または力の任意の組合せによって任意の他の分子と会合することができる分子を意味する。結合剤には、それだけには限定されないが、蛋白およびその断片、ペプチド模倣化合物、抗体およびその断片、核酸、毒素、ならびに小分子が含まれる。
【0045】
結合剤は、当分野で周知の方法によって誘導体化した固体支持体上に配置することができる。固体支持体には、それだけには限定されないが、ビーズ、磁性ビーズ、マイクロアレイチップ、ニトロセルロース膜、ナイロン膜、マルチウェルプレート、およびPVDF膜が含まれる。一部の実施形態では、固体支持体は、プレートの下に電極が配置されたプレートであり、電極は、磁性材料と結合した結合剤を引き寄せる磁場を生じる。プレートは製造者のプロトコルに従って使用する(Meso Scale Discovery、メリーランド州Gaithersburg参照)。
【0046】
固体支持体は、ガラス、ポリスチレン、プラスチック、鉄などの磁性金属、ポリアクリルアミド、セファロース、セルロース、または蛋白と結合する結合剤の能力に影響を与えない任意の不活性支持体から構成されていてよい。固体支持体は、たとえばApplied Biosystems(カリフォルニア州Foster City)から購入する。
【0047】
さらに、一部の実施形態では、結合剤を、「印刷」と呼ばれる方法によって当業者によって実施される方法を利用して、マイクロアレイチップなどの固体支持体上に配置する(たとえばSchena他、(1995)Science、270(5235):467〜470参照)。本明細書中で使用する用語「印刷」とは、固体支持体上にスポットを、最大数のスポットが固体支持体上に配置されるように近接して設置することをいう。印刷法は、たとえばロボットプリンターによって実施することができる。Stealth Micro Spotting Pins(Telechem International,Inc、カリフォルニア州Sunnyvale)を用いたVersArray CHIP Writer Prosystem(BioRad Laboratories)が、本態様の集中マイクロアレイチップを生産するために使用することができる印刷装置の非限定的な例である。
【0048】
本明細書中で使用する用語「適切な品質」とは、目的とする蛋白に特に関連する品質を意味する。適切な品質には、それだけには限定されないが、酵素反応、抗体−エピトープ相互作用、および核酸−蛋白相互作用が含まれる。適切な品質は、目的とする蛋白の特定の物理化学的側面を分析することによってアッセイすることができる。たとえば、適切な品質は、使用できるアッセイの種類を限定することを意図せずに、大きさ、電荷、蛋白の炭水化物含量、結合活性、および酵素活性に関連することができる。NMRなどの物理的構造分析を用いて蛋白の全体的な三次および二次構造を決定することができる。さらに、以下により詳細に説明するレクチンに基づいたアッセイおよびシアル酸アッセイを用いて、目的とする蛋白の物理化学的側面を決定することができる。言い換えれば、適切な品質は、目的とする蛋白の化学的活性だけでなく、目的とする蛋白の物理的構造も見ることによって決定することができる。
【0049】
本明細書中で使用する用語「溶出」とは、溶媒を使用することによって樹脂または結合剤から抽出することを意味する。目的とする蛋白を樹脂または結合剤から溶出させる方法は、目的とする蛋白を結合剤から取り外すことができる分子を含む溶液を含むことができる。さらに、溶液は、目的とする蛋白が目的とする蛋白と会合しなくなるように、樹脂または結合剤の結合の特徴を変化させるpHを有することができる。その方法が目的とする蛋白の全体的な機能性または品質に影響を与えない限りは、本発明において蛋白を溶出させるために任意の溶液を使用できることに留意されたい。
【0050】
本明細書中で使用する用語「樹脂」とは、天然または合成由来の、任意の固体または半固体の有機産物を意味する。樹脂には、複合体の混合物からの分子の精製を可能にする部分とコンジュゲートすることができる任意の物質が含まれる。本発明で有用な部分には、陽イオン分子、陰イオン分子、金属、半金属、多糖類、ポリペプチド、蛋白、核酸、ペプチド、有機小分子、およびペプチド模倣化合物が含まれる。具体的には、樹脂は、それ自体が、それだけには限定されないがセファデックス、ポリスチレン、ポリアクリルアミド、または中性多糖類を含めた任意の不活性化合物からなることができる。樹脂は、たとえばClontech Laboratories,Inc.(カリフォルニア州Mountain View)から購入することができる。
【0051】
本明細書中で使用する用語「ハイスループット」とは、細胞系における望ましい蛋白発現の存在を決定するために高速かつ単純な方法を可能にすることを意味する。望ましい蛋白発現とは、ハイスループット技法によってスクリーニングした細胞系によって発現される生体分子の量および品質をどちらもいう。また、ハイスループット方法には、生体分子を処理するための自動システムおよび大きなスケールのスクリーニングを行うための自動データ処理も含まれ得る。
【0052】
本明細書中で使用する用語「ハイスループット力価スクリーニング」とは、細胞によって発現された蛋白の量を決定するために使用する手段を意味する。ハイスループット力価スクリーニングには、細胞に由来する試料中で目的とする蛋白を同定するための結合剤の使用が含まれる。結合剤は、検出可能な標識または固体支持体と作動可能に連結していてよく、すべて以下により詳細に説明する。
【0053】
本明細書中で使用する用語「ハイスループット精製」とは、複数の細胞試料から蛋白を同時にまたは実質的に同時に精製する方法を意味する。
【0054】
本明細書中で使用する用語「細胞培養法の開発」とは、工業スケールまたは小さなスケールでの生産のために、十分な量および品質で蛋白を生産するために必要な条件の最適化をもたらす手段を意味する。細胞培養法の開発を用いて試験することができる条件には、それだけには限定されないが、塩濃度、培地内容物、増殖温度、大気圧、大気酸素含有率、培養物の攪拌、および二酸化炭素含有率が含まれる。細胞培養法の開発には、蛋白の量(ハイスループット力価スクリーニング)および蛋白の品質(ハイスループット精製)を決定する工程が含まれる。
【0055】
細胞培養法の開発の目的のために蛋白の品質を決定する方法には、それだけには限定されないが、結合アッセイ、レクチンアッセイ、シアル酸アッセイ、NMR、円二色性、質量分析、MALDI−TOF、酵素アッセイ、比色アッセイ、およびアミノ酸配列決定が含まれる。これらのアッセイは、細胞培養法の開発方法中の任意の時点で使用することができる。特定の実施形態では、目的とする蛋白のハイスループット精製が完了した後にアッセイを行う。
【0056】
本明細書中で使用する用語「目的とする蛋白」とは、生物学的、医学的、医薬品的、または医薬的な目的のために生産した、任意の蛋白または蛋白様分子を意味する。たとえば、目的とする蛋白は治療蛋白であり得る。目的とする蛋白は、染色体または染色体外であるかにかかわらず、それだけには限定されないが、プレメッセンジャーRNA、メッセンジャーRNA、トランスファーRNA、ヘテロ核RNA(「HnRNA」)、リボソームRNA、一本鎖DNA、および二本鎖RNAが含まれる核酸配列から生産することができる。核酸配列の染色体外源には、二本鎖DNAウイルスゲノム、一本鎖DNAウイルスゲノム、二本鎖RNAウイルスゲノム、一本鎖RNAウイルスゲノム、細菌DNA、ミトコンドリアゲノムDNA、cDNA、または目的とする蛋白を生成することができる任意の他の外来核酸源が含まれ得る。目的とする蛋白は、任意の構造または構造の組合せであり得る。たとえば、目的とする蛋白には、それだけには限定されないが、組換え蛋白、四次構造を含む蛋白、グリコシル化蛋白、脂質付加蛋白、オリゴペプチド、ペプチド、蛋白ドメイン、蛋白サブユニット、抗体またはその断片、および抗体様分子が含まれる。また、目的とする蛋白には、たとえば融合蛋白も含まれる。融合蛋白は、一般に、NまたはC末端で第2のポリペプチドまたは蛋白の全体または一部分と連結した、標的化ペプチドの全体または実質的な部分を有する。たとえば、融合には、異種宿主中における蛋白の組換え発現を可能にするために、他の種からのリーダー配列を用い得る。別の有用な融合には、融合蛋白の精製を容易にするために、抗体エピトープなどの免疫学的に活性のあるドメインの付加が含まれる。融合蛋白には、標的化部分、たとえば可溶性受容体断片またはリガンドと、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgM、IgA1、IgA2、IgD、およびIgE)を含めた免疫グロブリン鎖、Fc断片、様々なアイソタイプの重鎖定常領域とが含まれ得る。たとえば、融合蛋白には、たとえばヒト免疫グロブリンFc鎖(たとえば、ヒトIgG、たとえばヒトIgG1もしくはヒトIgG4、またはその変異型)と融合している受容体の細胞外ドメインが含まれ得る。一実施形態では、ヒトFc配列は、Fc受容体結合を低減するために、1つまたは複数のアミノ酸で突然変異している、たとえば、野生型配列から残基254および257で突然変異している。融合蛋白にはさらに、第1の部分と第2の部分、たとえば免疫グロブリン断片とを結合するリンカー配列が含まれ得る。たとえば、融合蛋白には、ペプチドリンカー、たとえば、長さが約4〜20個、より好ましくは5〜10個のアミノ酸のペプチドリンカーが含まれ得る;そのペプチドリンカーの長さは8個のアミノ酸である。たとえば、融合蛋白には、式(Ser−Gly−Gly−Gly−Gly)y[式中、yは1、2、3、4、5、6、7、または8である]を有するペプチドリンカーが含まれ得る。他の実施形態では、発現、立体的な柔軟性、検出および/または単離もしくは精製を容易にするために、さらなるアミノ酸配列を融合蛋白のNまたはC末端に付加することができる。
【0057】
切断部位を融合接合部またはその付近に含めることにより、精製後の外来ポリペプチドの除去が容易となる。他の有用な融合には、酵素からの活性部位、グリコシル化ドメイン、細胞標的化シグナルまたは膜貫通領域などの機能的ドメインの連結が含まれる。融合蛋白内に取り込ませ得る蛋白またはペプチドの例には、細胞分裂抑制蛋白、細胞破壊蛋白、アポトーシス促進剤、抗血管形成剤、ホルモン、サイトカイン、成長因子、ペプチド薬、抗体、Fab断片抗体、抗原、受容体蛋白、酵素、レクチン、MHC蛋白、細胞接着蛋白および結合蛋白が含まれる。融合蛋白の生成方法は当業者に周知である。このような蛋白は、たとえば、二官能性架橋結合試薬を用いた化学付着によって、完全な融合蛋白の新規合成によって、または、標的化ペプチドをコードしているDNA配列を第2のペプチドもしくは蛋白をコードしているDNA配列と付着させ、次いでインタクトな融合蛋白を発現させることによって、生産することができる。
【0058】
特定の実施形態では、融合蛋白は、たとえば腫瘍壊死因子αおよびβ受容体の形態の腫瘍壊死因子阻害剤であり(TNFR−1、1991年3月20日公開の欧州特許EP417,563号、およびTNFR−2、1991年3月20日公開の欧州特許EP417,014号、これらのそれぞれがその全体で本明細書中に参照により組み込まれている)、本発明に従って分析する(総説には、その全体が本明細書中に参照により組み込まれているNaismithおよびSprang、J Inflamm.、47(1〜2):1〜7、1995〜96参照)。一部の実施形態によれば、腫瘍壊死因子阻害剤は可溶性TNF受容体を含む。特定の実施形態では、腫瘍壊死因子阻害剤は、免疫グロブリンのFc領域を含めた免疫グロブリン蛋白の一部分と融合した可溶性TNFRを含む。特定の実施形態では、本発明のTNF阻害剤は、TNFR IおよびTNFR IIの可溶形である。特定の実施形態では、本発明のTNF阻害剤は可溶性TNF結合蛋白である。特定の実施形態では、本発明のTNF阻害剤は、TNFR−Fc、たとえばエタネルセプトである。本明細書中で使用する「エタネルセプト」とは、p75TNF−α受容体の細胞外部分の2つの分子の二量体であるTNFR−Fcをいい、それぞれの分子はヒトIgG1の235個のアミノ酸のFc部分からなる。本発明に従って、カルノシンなどの抗老化化合物を用いて、TNFR−Fcの生産中の誤折り畳みおよび/または凝集蛋白の量を低下させる。
【0059】
蛋白またはペプチドは、標準の分子生物学的技法による蛋白、ポリペプチドもしくはペプチドの発現、天然源からの蛋白もしくはペプチドの単離、または蛋白もしくはペプチドの化学合成を含めた、当業者に知られている任意の技法によって作製し得る。本明細書中に開示した技法を用いてまたは当業者に知られているように、既知の遺伝子のコード領域を増幅および/または発現させ得る(たとえばKaleeba他(2006)Science、311(5769):1921〜4参照)。あるいは、蛋白、ポリペプチドおよびペプチドの様々な市販の調製物が当業者に知られている。
【0060】
さらに、本明細書中で使用する用語「所望の発現レベル」とは、蛋白の物理化学的特徴に応じて、続く蛋白の精製を可能にするために必要な蛋白を意味する。目的とする蛋白の所望の発現レベルは、利用する生産方法に関連するいくつかの要因に依存する。たとえば、特定の細胞系からの発現レベルは、蛋白の品質および量の分析ならびに蛋白の効率的な精製を可能にする。したがって、細胞系からの所望の蛋白発現レベルは、蛋白の特徴ならびに蛋白で用いる精製およびアッセイの方法を考慮して、当業者によって決定される。
【0061】
特定の実施形態では、蛋白発現の所望のレベルは、目的とする蛋白の特定の要件に基づいて選択する。たとえば、当業者は、産生される蛋白の量を最大限にするために、所望の蛋白発現レベルを増加した目的蛋白発現レベルであると選択することができる。他の実施形態では、毒素などの、毒素を産生する細胞において高レベルで毒性がある蛋白の場合、所望の蛋白発現レベルを低下した目的蛋白発現レベルであると選択する。さらに、低下した蛋白発現レベルは、目的とする蛋白が高濃度のレベルで封入体を形成する状況において選択する。したがって、当業者によって選択される蛋白発現レベルは、目的とする蛋白の特徴に依存する。
【0062】
細胞系によって産生される蛋白の量および品質を決定するにあたって、典型的には細胞系の試料が蛋白発現および蛋白品質評価に必要である。特定の実施形態では、細胞溶解および上清単離などの当分野で知られている手段を用いて細胞系の試料を単離する(たとえば、Vara他(2005)Biomaterials、26(18):3987〜93、Iyer他(1998)J.Biol.Chem.、273(5):2692〜7参照)。あるいは、細胞系の試料を、抗体、細胞外基質蛋白、または血清蛋白などの分泌蛋白を有する培地から単離する。そのような実施形態では、培地は、蛋白の量および品質について試験する試料である。一実施形態では、本明細書中に詳述するように、培地試料を、事前の精製工程を全く存在させずに、蛋白量について試験するアッセイで用いる。
【0063】
本発明の別の態様は、蛋白を生産するための細胞系のハイスループットスクリーニング方法を提供する。この方法では、蛋白発現レベルは、固体支持体を、蛋白を含む細胞系の試料と接触させることによって決定する。一実施形態では、細胞系の試料は細胞培養培地である。固体支持体は、その表面に、蛋白と結合することができる第1の結合剤が付着している。また、この方法には、第1の結合剤と結合した蛋白と結合し、固体支持体上に固定されている第2の結合剤も含まれる。第2の結合剤は検出可能な標識と作動可能に連結している。細胞系は蛋白に必要な所望の発現レベルに基づいて選択される。
【0064】
特定の蛋白の発現レベルは、第1の結合剤をニトロセルロース、ナイロン、またはPVDFなどの膜上に固定する「ドットブロット」によって測定することができる(たとえばHeinicke他(1992)J.Immunol.Methods.、152(2):227〜36参照)。また、蛋白マイクロアレイ技術を用いて、試料中の蛋白の発現を決定することもできる。あるいは、第1の結合剤を含むマルチウェルプレートのウェル内に試料を入れる。そのような実施形態では、ELISA分析などの同様の技法が当分野で日常的である(たとえば、Ausubel他(1996)Current Protocols in Molecular Biology、第1巻、ページ4.2.1〜4.2.9、John Wiley & Sons,Inc.参照。
【0065】
一部の実施形態では、自動ワークステーションを用いて細胞系の試料のハイスループットスクリーニングおよび/または精製を行う。さらに、自動ワークステーションを用いて細胞培養法の開発を行うことができる。自動ワークステーションは、一般的に、多数の実験を短期間内に行うために当分野で利用される。自動ワークステーションの例には、それだけには限定されないが、TECAN Genesisワークステーション(TECAN Schweiz AG、スイス、Mannedorf)およびBiomek FXワークステーション(Beckman Coulter、カリフォルニア州Fullerton)が含まれる。使用方法は自動ワークステーションの製造者から得ることができ、当分野で周知である。
【0066】
1.2.結合剤
本発明の態様は、目的とする蛋白を結合するために結合剤を利用する。特定の実施形態では、結合剤は抗体またはその断片である。蛋白と特異的に結合する結合剤が抗体である場合は、抗体は、それだけには限定されないが、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体、遺伝子操作した抗体、二重特異性抗体(二重特異性抗体の特異性の一方がトリオースリン酸イソメラーゼ蛋白と特異的に結合する)、抗体断片(それだけには限定されないが、「Fv」、「F(ab’)2」、「F(ab)」、および「Dab」が含まれる)、ならびに抗体の反応性部分を表す単鎖(「SC−MAb」)であり得る。抗体および他の結合剤を作製する方法は周知である(たとえば、Coligan他(1991)免疫学の最新プロトコル(Current Protocols in Immunology)、John Wiley and Sons,Inc.、Jones他(1986)Nature、321:522〜525、Marx(1985)Science、229:455〜456、Rodwell(1989)Nature、342:99〜100、Clackson(1991)Br.J.Rheumatol.、3052:36〜39、Reichman他(1988)Nature、332:323〜327、Verhoeyen他(1988)Science、239:1534〜1536参照)。
【0067】
結合剤は、抗体のFc部分と結合する抗体またはその断片であり得る。特定の実施形態では、結合剤は、細胞系の試料中の抗体の検出を可能にする。具体的な実施形態では、第2の結合剤である抗体を、ルテニウムなどの電気化学発光性の検出可能な標識で検出可能に標識する。さらに、第2の結合剤は、ルテニウムなどの電気化学発光性の検出可能な標識で検出可能に標識したF(ab’)2断片であり得る。
【0068】
F(ab’)2断片を用いた目的とする蛋白の検出を図1に示す。F(ab’)2断片は、Oriタグなどの検出可能な標識と作動可能に連結している。図1では、F(ab’)2断片は、この図の例中で目的とする蛋白である抗体のFc部分を認識する。抗体はビーズ上に固定されており、これにはプロテインAまたはストレプトアビジンがコンジュゲートしている(図1)。F(ab’)2断片の結合は光の生成として観察される(図1)。
【0069】
本発明の一態様で第1の結合剤として用いる抗体を固体支持体の表面上にカップリングできることに留意することが重要である。第1の結合剤のカップリングは反応のシグナル強度を向上させ、改善された結果が生じる。一般的なカップリング剤には、それだけには限定されないが、(3−メルカプトプロピル)トリメトキシシランを用いたシラン処理、アガロースコーティング、およびポリ−L−リシンフィルムが含まれる。さらに、支持体とのカップリングを容易にするタグが含まれるように、組換え抗体を操作することができる。たとえば、ヒスチジンタグを有する組換え抗体を、ニッケルでコーティングした支持体とカップリングさせることができる。
【0070】
さらに、ペプチド、ペプチド模倣化合物、および小分子などの化合物を結合剤として用いることができる。結合剤は、それだけには限定されないが、糖類、脂肪酸、ステロール、イソプレノイド、プリン、ピリミジン、上記の誘導体もしくは構造的類似体、またはそれらの組合せなどを含めた、ペプチドまたは他の生体分子から合成することができる。ファージディスプレイライブラリおよび化学コンビナトリアルライブラリを用いて、目的とする蛋白に許容される結合剤である合成化合物を開発および選択することができる。また、ペプトイド、ランダム生体オリゴマー(米国特許第5,650,489号)、ベンゾジアゼピン、ダイダントイン(dydantoin)、ベンゾジアゼピンおよびジペプチドなどのダイバーソマー(diversomer)、β−D−グルコース足場材料を有する非ペプチドペプチド模倣体、オリゴカルバメートまたはペプチジルホスホネートから作製した潜在的な結合剤の使用も、本発明で想定される。
【0071】
特定の例では、結合剤は、蛋白と特異的に相互作用、結合、または会合するように設計されたペプチドであり得る。また、ペプチド結合剤は、任意の他の蛋白のアミノ酸配列と相互作用、会合、または結合することもできる。ペプチドをアシル化、アルキル化、エステル化、アミド化などの定方向またはランダム化学修飾に供することができる。
【0072】
ペプチド結合剤の同定およびスクリーニングは、目的とする蛋白の構造的特徴を、たとえば、X線結晶構造解析、中性子回析、核磁気共鳴分光測定、および構造決定のための他の技法を用いて決定することによってさらに容易となる。コンピュータアルゴリズムにより結合剤の同定をさらに容易にすることができる。既知の三次元構造のペプチドおよび小分子のデータベースを、標的蛋白の部位に幾何学的に当てはまる候補について走査することができるコンピュータアルゴリズムを用いる(たとえばChenおよびKellogg(2005)J.Comput.Aided Mol.Des.、19(2):69〜82参照)。この種のアルゴリズムのほとんどが、蛋白のドメインの結合ポケットまたは領域の形状に相補的な、幅広い種類の化学構造を探す方法を提供する。特定のデータベースからのペプチド組のそれぞれを比較して、目的とする蛋白と相互作用する潜在性を最も有する特定ペプチドを決定することができる。
【0073】
本発明の化合物はまた、少なくとも部分的に非天然であり得るペプチド模倣化合物であることもできる。ペプチド模倣化合物は、任意の望ましいアミノ酸配列の一部分の小分子模倣体であり得る。化合物は、模倣体のおかげで安定性、有効性、力価および生体利用度が増加していてよい。さらに、化合物の毒性が低下していてよい。ペプチド模倣化合物は、粘膜腸管透過性が増強されていてよい。化合物を合成によって調製することができる。本発明の化合物には、L−、D−または非天然アミノ酸、α,α二置換アミノ酸、N−アルキルアミノ酸、乳酸(アラニンの等電子類似体)が含まれ得る。化合物のペプチド主鎖は、少なくとも1つの結合がPSI−[CH=CH]で置き換えられていてよい(Kempf他(1991)Int.J.Pept.Protein Res.、38(3):237〜41)。化合物にはさらに、トリフルオロチロシン、p−Cl−フェニルアラニン、p−Br−フェニルアラニン、ポリ−L−プロパルギルグリシン、ポリ−D,L−アリルグリシン、またはポリ−L−アリルグリシンが含まれ得る。
【0074】
本発明の一例は、化合物の単結合、ペプチド主鎖またはアミノ酸構成要素が適切な模倣体で置き換えられているペプチド模倣化合物である。適切なアミノ酸模倣体であり得る非天然アミノ酸の例には、それだけには限定されないが、β−アラニン、L−α−アミノ酪酸、L−γ−アミノ酪酸、L−α−アミノイソ酪酸、L−ε−アミノカプロン酸、7−アミノヘプタン酸、L−アスパラギン酸、L−グルタミン酸、システイン(アセトアミドメチル)、N−ε−Boc−N−α−CBZ−L−リシン、N−ε−Boc−N−α−Fmoc−L−リシン、L−メチオニンスルホン、L−ノルロイシン、L−ノルバリン、N−α−Boc−N−δ−CBZ−L−オルニチン、N−δ−Boc−N−α−CBZ−L−オルニチン、Boc−p−ニトロ−L−フェニルアラニン、Boc−ヒドロキシプロリン、Boc−L−チオプロリンが含まれる。(Blondelle他(1994)Antimicrob.Agents.Chemother.、38(10):2280〜6、Pinilla他(1995)Biopolymers.、37(3):221〜40)。
【0075】
場合によっては、結合剤は、蛋白と結合、相互作用、または会合する小分子であり得る。そのような小分子は、細胞の脂質二重層を透過することができる有機分子であり得る。小分子には、それだけには限定されないが、毒素、キレート化剤、金属、および半金属化合物が含まれる。小分子は、小分子を特定の細胞へと特異的に導くために、標的化剤と付着またはコンジュゲートしていてよい。
【0076】
一部の実施形態では、結合剤は、生理的条件下で転写因子などの蛋白と結合する、完全長配列、完全長配列の断片または合成オリゴヌクレオチドであり得る核酸配列である。「核酸」とは、2つ以上のヌクレオチドを含むポリマーをいい、一本鎖、二本鎖、および三本鎖のポリマーが含まれる。「ヌクレオチド」とは、天然に存在する化合物および天然に存在しない化合物をどちらもいい、ヘテロ環式塩基、糖、およびリン酸エステルなどの連結基を含む。たとえば、2’−O位のメチルもしくはアリル基または2’−O基を置換するフルオロ基など、構造基をヌクレオチドのリボシルまたはデオキシリボシル単位に付加し得る。核酸のリン酸ジエステルなどの連結基を、たとえばメチルホスホネートまたはO−メチルホスフェートで置換または修飾し得る。塩基および糖も、当分野で知られているように修飾することができる。本開示の目的のために、「核酸」には、ネイティブまたは修飾した核酸塩基がポリアミド主鎖に付着している「ペプチド核酸」も含まれる。
【0077】
本発明の結合剤を検出可能な標識とコンジュゲートさせることができる。本発明によれば、「検出可能な標識」とは感知できる部分である。一部の実施形態では、検出可能な標識は結合剤と作動可能に連結している。「作動可能に連結した」とは、検出可能な標識が、共有または非共有(たとえばイオン)結合のどちらかによって結合剤に付着していることを意味する。共有結合を生じる方法は知られている(たとえば、Wong,S.S.(1991)蛋白のコンジュゲーションおよび架橋結合の化学(Chemistry of Protein Conjugation and Cross−Linking)、CRC Press、Burkhart他(1999)アミノ架橋結合剤またはアミノプラストの化学および応用(The Chemistry and Application of Amino Crosslinking Agents or Aminoplasts)、John Wiley&Sons Inc.の一般的なプロトコルを参照されたい)。
【0078】
本発明に従って、検出可能に標識した結合剤には、検出可能な部分とコンジュゲートした結合剤が含まれる。本発明の別の検出可能に標識した結合剤は融合蛋白であり、一方のパートナーが結合剤であり、他方のパートナーが検出可能な標識である。検出可能に標識した結合剤のさらに非限定的な例は、結合剤と第2の部分に対して高い親和性を有する第1の部分とを含む第1の融合蛋白、および第2の部分と検出可能な標識とを含む第2の融合蛋白である。たとえば、蛋白と特異的に結合する結合剤がストレプトアビジン部分と作動可能に連結している。フルオレセイン部分と作動可能に連結しているビオチン部分を含む第2の融合蛋白を、結合剤−ストレプトアビジン融合蛋白に付加し、第2の融合蛋白と結合剤−ストレプトアビジン融合蛋白との組合せにより、検出可能に標識された結合剤(すなわち、検出可能な標識と作動可能に連結している結合剤)がもたらされる。具体的な実施形態では、検出可能な標識は医学的イメージング装置またはシステムによって検出可能である。たとえば、医学的イメージングシステムがX線機器の場合、X線機器によって検出することができる検出可能な標識は放射性標識(たとえば32P)である。結合剤は必ずしも検出可能な部分と直接コンジュゲートしている必要はないことに留意されたい。たとえば、それ自体が検出可能な二次結合剤(たとえばFITC標識したヤギ抗マウス二次抗体)と特異的に結合している結合剤(たとえば抗体)は、検出可能な部分(すなわちFITC部分)と作動可能に連結している。
【0079】
検出可能な標識は、それだけには限定されないが、フルオロフォア(たとえば、フルオレセイン(FITC)、フィコエリスリン、ローダミン)、化学色素、または放射性、化学発光性、電気化学発光性、磁性、常磁性、プロ磁性の化合物、または有色、化学発光性、もしくは磁性であり得る産物を生じる酵素であり得る。シグナルは、分光的、光化学的、生化学的、免疫組織学的、電気的、光学的または化学的な手段を含めた任意の適切な手段によって検出可能である。特定の場合では、シグナルは2つ以上の手段によって検出可能である。特定の実施形態では、蛋白標識には、蛍光色素、放射標識、電気化学発光性、および化学発光性標識が含まれる。
【0080】
たとえば、結合剤のアミノ酸はCy5/Cy3蛍光色素とコンジュゲートしていてよい。これらの色素は当分野で頻繁に使用される(たとえばLinder他(2002)Electrophoresis.、23(5):740〜9参照)。蛍光標識は、1−および2−アミノナフタレン、p,p’ジアミノスチルベン、ピレン、第四級フェンアントリジン塩、9−アミノアクリジン、p,p’−ジアミノベンゾフェノンイミン、アントラセン、オキサカルボシアニン、マロシアニン、3−アミノエキレニン、ペリレン、ビスベンズオキサゾール、ビス−p−オキサゾリルベンゼン、1,2−ベンゾフェナジン、レチノール、ビス−3−アミノプリジニウム塩、ヘレブリゲニン、テトラサイクリン、ステロフェノール、ベンズイミダゾリルフェニルアミン、2−オキソ−3−クロメン、インドール、キサンテン、7−ヒドロキシクマリン、フェノキサジン、サリチレート、ストロファンチジン、ポルフィリン、トリアリールメタン、フラビン、キサンテン色素(たとえば、フルオレセインおよびローダミ色素)、シアニン色素、4,4−ジフルオロ−4−ボラ−3a,4a−ジアザ−s−インダセン色素ならびに蛍光蛋白(たとえば、緑色蛍光蛋白、フィコビリ蛋白)などの非限定的な例を含めた様々な構造的クラスから選択することができる。
【0081】
他の有用な色素は化学発光色素であり、それだけには限定されないが、ビオチンとコンジュゲートしたアミノ酸が含まれ得る。具体的な実施形態では、電気化学発光プローブが結合剤とコンジュゲートしている。本明細書中で使用する「電気化学発光」とは、電気化学反応に続いて起こる化学発光反応をいう。電気化学発光プローブには、それだけには限定されないが、ルミノール、アクリダンエステル、ルテニウム、ルテニウムキレート、およびルテニウムトリビピリジン、NHSエステルが含まれる。電気化学発光プローブは、たとえばBioVeris Corp.(メリーランド州Gaithersburg)から購入することができる。
【0082】
1.3 分析アッセイ
本発明の態様はまた、蛋白の品質のアッセイも利用する。これらのアッセイは、目的とする蛋白のハイスループット力価スクリーニング中に利用することができる。蛋白の品質はまた、細胞培養法の開発中に決定することもできる。蛋白の品質の一部として、蛋白の構造には、蛋白の一次、二次、三次、および四次構造、ならびにグリコシル化、脂質化、およびリン酸化などの翻訳後修飾が含まれる。さらに、蛋白の大きさ、形状、および電荷が蛋白の品質に影響を与える。蛋白の物理的構造は、その正常な機能を行う蛋白の能力に対して著しい効果を与える。酵素反応のコンテキストでは、蛋白の構造は、完全な酵素品質にとって極めて重要である。抗体またはその断片のコンテキストでは、抗体のアミノ酸の大きさ、形状、表面電荷、グリコシル化、およびリン酸化が抗体のエピトープ特異性に対して著しい効果を与える。
【0083】
一部の実施形態では、NMR、マトリックス支援レーザー脱離/飛行時間(「MALDI−TOF」)分析、および円二色性を用いて蛋白の物理的構造を決定する(たとえば、米国特許第6,930,305号、第7,005,272号、および第7,029,872号参照)。そのような技法は蛋白の全体的な物理的構造の具体的な分析を提供する。これらの技法は当分野で周知である。
【0084】
具体的な実施形態では、サイズ排除クロマトグラフィーを用いて目的とする蛋白の大きさを決定する(たとえばBrooks他(2000)Proc.Natl.Acad.Sci.USA.、97(13):7064〜7067参照)。さらに、陽イオン交換クロマトグラフィーを用いて蛋白の電荷を決定することができる(たとえばZhangおよびGlatz(1999)Biotechnol.Prog.、15(1):12〜18参照)。目的とする蛋白の構造を同定するために利用することができる他の技法には、それだけには限定されないが、逆相HPLC、キャピラリー電気泳動SDS、キャピラリーゾーン電気泳動、および高pH陰イオン交換HPLCが含まれる。これらの技法は、当分野で周知の手順を用いて実施することができる。
【0085】
他の構造的アッセイにはシアル酸アッセイおよびレクチンアッセイが含まれる。これらのアッセイでは、蛋白の品質について情報をもたらす、蛋白の表面上で認められるグリコシル化レベルが同定される。シアル酸アッセイは、試料中に存在する炭水化物の程度を決定するために用いられており、これらの技法は当分野で知られている(たとえば、米国特許第5,807,553号および第5,855,901号参照)。レクチンに基づいたアッセイも、試料中の炭水化物の存在を検出するが、蛋白−炭水化物の相互作用の機構を通じて行う(たとえば米国特許第5,633,148号参照)。レクチンアッセイは炭水化物結合のために当分野で広く用いられており、たとえば米国特許第6,331,319号に記載されている。
【0086】
蛋白の物理的構造の決定に加えて、特定の機能を行う蛋白の能力のアッセイを行うことができる(たとえば米国特許第7,029,862号参照)。また、蛋白またはポリペプチド(たとえば、ハイブリッド形成核酸によってコードされている)の結合機能を、たとえば結合または結合阻害アッセイで、受容体を含む膜画分または受容体を発現する細胞を用いて検出することができる(たとえば、Van Riper他(1993)J.Exp.Med.、177:851 856、Sledziewski他、米国特許第5,284,746号参照)。したがって、コードされている蛋白またはポリペプチドが、リガンド、阻害剤および/またはプロモーターと結合する能力を、評価することができる。本発明の核酸によってコードされている蛋白またはポリペプチドの抗原性特性は、免疫ブロッティング、免疫沈降および免疫アッセイ(たとえば、ラジオイムノアッセイ、ELISA)などの、蛋白と結合する抗体を用いた免疫学的方法によって決定することができる。
【0087】
蛋白またはポリペプチド(たとえば、ハイブリッド形成核酸によってコードされている)のシグナル伝達機能は、酵素アッセイによって検出することができる。蛋白またはポリペプチド(たとえば、ハイブリッド形成核酸によってコードされている)の刺激機能は、蛋白またはポリペプチドを発現する細胞を用いた、化学走性またはメディエーターの放出の標準のアッセイによって検出することができる(たとえば、リガンドまたはプロモーターに応答した、化学走性、開口分泌(たとえば、エステラーゼ(たとえばセリンエステラーゼ)、パーフォリン、グランザイムなどの酵素の脱顆粒)またはメディエーターの放出(たとえば、ヒスタミン、ロイコトリエン)をモニターするアッセイ(たとえば、Taub他(1995)J.Immunol.、155:3877〜3888、Baggliolini,M.およびC.A.Dahinden(1994)Immunology Today、15:127〜133、ならびにそれらに引用される参考文献参照)。蛋白受容体に特徴的な機能は他の適切な方法によっても評価することができる。
【0088】
本発明による方法を実証するため、十分な量の蛋白および十分な品質の蛋白をどちらも産生する細胞系を同定する目的のために、上述のスクリーニング方法を様々な細胞系で行った。
【実施例】
【0089】
当業者は、日常的な実験しか用いることなく、本明細書中に記載の具体的な物質および手順の数々の均等物を理解する、またはそれを確認することができるであろう。そのような均等物は、以下の実施例に続く特許請求の範囲内に包含されることを意図する。
【0090】
実施例1
ヒトFc蛋白アッセイハイスループットスクリーニング
1.抗Aβ標準の調製
検量線バッファー(SCB)は、20ulの培地R5CD1、ならびに24mlのアッセイバッファー(PBSw/0.05%のTween20および1%のウシ血清アルブミン)を、16アッセイプレート(Corning/Costar、ニューヨーク州Corning)中で混合することによって調製した。6ulの32.5mg/mlの参照標準および644ulのSCBを用いて、0.3mg/mlの中間標準を調製した(毎回新鮮なものを調製した)。1ug/mlの標準を、2mlの深ウェルプレートのA1と指定したウェルおよびさらにH1と指定したウェルに入れた。ウェルA1は16個のアッセイプレートで6ulの0.3mg/mlの中間標準および1794ulのSCBを含んでいた。このプロセスをウェルH1で繰り返した。ウェル中の900ulの溶液を採り、16個のアッセイプレートのそれぞれに900ulのSCBを加えることによって段階希釈を調製した。希釈液は標準のウェル1個あたり50ulに分配された。
【0091】
2.対照の調製
対照は120ug/mlの中間対照の濃度が生じるように調製した。手短に述べると、6ulの32.5mg/mlの参照標準および1619ulの培地R5CD1を混合した。5ulの120ug/mlの中間対照および195ulのアッセイバッファーを混合することによって1:40の希釈液を調製し、20ulの1:40の希釈対照および180ulのアッセイバッファーを混合することによって1:400の希釈液を調製した。80ulの1:400の希釈対照を採り、2個のアッセイプレート毎に160ulのアッセイバッファーを混合することによって、1:1200希釈の希釈液を調製した。1:1200の希釈液を、0.1の対照ウェルあたり50ulの量で分配した。
【0092】
さらに、150ulの120ug/mlの中間対照(上記のように調製)を1350ulの培地中に混合することによって、0.01μg/mlの対照を含む対照を調製した。5ulの12ug/mlの中間対照を195ulのアッセイバッファー中に混合することによって1:40の希釈液を調製した。20ulの1:40の希釈対照を180ulのアッセイバッファー中に混合することによって1:400の希釈液を調製し、80ulの1:400の希釈対照を160ulのアッセイバッファー/2個のアッセイプレート中に混合することによって1:1200の希釈液を調製した。対照を、0.01の対照ウェルあたり50ulのアリコートの1:1200の希釈対照で分配した。
【0093】
2.ORIタグ付けしたF(ab’)2断片の調製
ORIタグ付けした抗FcF(ab’)2断片(Jackson ImmunoResearch Laboratories,Inc.、ペンシルバニア州West Grove)の調製は、以下のプロトコルを用いて達成した。手短に述べると、50μlのDMSOを1個のバイアルのORITAG NHSエステル(BioVeris、メリーランド州Gaithersburg)に加えた。バイアル底部のORITAGが溶けるまで、混合物を最大設定で渦攪拌した。その後、1638μlのaffiniPure F(ab’)2断片ヤギ抗ヒトIgG抗体を、50μlの溶けたORITAG NHSエステルに、1638ulまで加えた。混合物を渦攪拌し、室温で60分間、暗幕中でインキュベートした。バイアルは、インキュベーション中揺り子で回転させた。
【0094】
20μlの2Mのグリシンを加えることによって反応を停止させ、チューブを箔で巻き、10分間、室温でインキュベートした。インキュベーション中、PBSを含む2つのPD10(Pharmacia、ニュージャージー州Piscataway)カラムを0.1%のNaN3で平衡化し、製造者のプロトコルに従って使用した。チューブ内の全容量を回収するために反応チューブを5秒間遠心分離した。その後、854ulの反応物をそれぞれのPD10カラムに加えた。試料をカラムに添加し、最終的に0.5mlのアリコートの8本のチューブのがそれぞれのカラムから回収された。
【0095】
蛋白濃度はBCA蛋白アッセイキットによって決定した。さらに、第2の工程からの未標識の残りの抗体を、蛋白濃度を決定するための標準として用いた。蛋白試料の吸光度は455nmで測定した。
【0096】
適切な蛋白濃度および良好なORI−TAG:蛋白の比を有する画分をプールした。ウシ血清アルブミンを最終バイアルに加えて、1%のBSA溶液を作製した。バイアルは40℃で保存した。
【0097】
3.細胞系の試料の調製および反応
GP1bα、IL13R、抗CD22抗体、抗ルイスY抗体、抗Aβ抗体、またはTNFR融合蛋白を生成する細胞系由来の5ulの試料および195ulのアッセイバッファーを混合することによって、1:40の希釈液を調製し、20ulの1:40の希釈試料および180ulのアッセイバッファーを混合することによって試料の1:400の希釈液を調製した。最後に、70ulの1:400の希釈試料を採り、試料を140ulのアッセイバッファーと混合することによって、1:1200の希釈液を調製した。この最終希釈液をそれぞれの試料ウェルに50ulで分配した。1:400も、別のアッセイプレート中の試料ウェルに分配した。
【0098】
タグ付けしたF(ab’)2断片を、5344ulのバッファー中に6ulのF(ab’)2断片を含む5350μlのアリコートで、それぞれのアッセイプレートに分配した。50ulの溶液/ウェルであった。
【0099】
プロテインAビーズをDynal Biotech(カリフォルニア州Carlsbad)から得た。ビーズは、5mlのアッセイバッファー/プレート中に30ulの量で分配した。溶液は50ulの容量/ウェルで分配した。
【0100】
すべての試薬および試料を以下のようにプレートに分配した。添加標準、対照、および試料を最初にウェルに添加した。その後、抗FcORIタグ付けしたF(ab’)2断片を添加した。最後に、プロテインAビーズを添加した。
【0101】
混合物を2時間、室温で混合しながらインキュベートし、「FcHuman150」方法を用いてM8またはM384分析装置で読み取った。
【0102】
4.データ分析
実験に用いた標準許容指針は、標準点の繰り返し間の読取値のCVの、10個の標準のうち少なくとも8個が約20%であるべきとするものであった。さらに、対照許容指針は80〜120%内でなければならない。また、試料許容指針は、試料の繰り返し間の読取値のCVが約20%であることを要件とする。これらの範囲内に収まる読取値のみを考察した。
【0103】
5.結果
PSGLに対するF(ab’)2断片のルテニウムでの標識により、有意に高い信号対雑音比が示された(図2)。0.1μg/mlおよび0.4μg/mlのF(ab’)2断片のデータを雑音に対して正規化し、棒グラフ上に配置した。Jackson1、Jackson2、Rockland1、およびSouthern BiotechのF(ab’)2断片は、ルテニウムで標識した際に信号対雑音比が増加していた(図2)。これらの実験は、抗CD22に対するF(ab’)2断片を用いて確認した(図3)。
【0104】
これらの結果は、Fc融合蛋白GP1bα、IL13受容体、およびTNFR融合蛋白に対するF(ab’)2断片を利用した実験でさらに詳述する(図4)。プロットは、標的融合蛋白の濃度が増加するにつれて、F(ab’)2断片を用いた蛋白の検出も増加したことを示す(図4)。Fc融合蛋白の代わりに抗GDF8、抗CD22、および抗ルイスY抗体を標的として用いても同様の結果が得られた(図5)。
【0105】
試料中の蛋白の量を同定するために標識したF(ab’)2断片を用いて、力価スクリーニング方法をHPLCなどの標準のカラム手順に対して試験した。結果により、力価スクリーニング方法が、蛋白の力価を決定するHPLCクロマトグラフィーよりもはるかに速い速度であったことが示された(図6)。蛋白の量の読取値を得るために要した時間は、700個を超えるまでの試料を分析した際に、ハイスループット力価スクリーニングと比較してHPLCを用いた場合に10倍以上多かった(図6)。
【0106】
ハイスループットスクリーニングが標準のカラム手順よりも速いことに加えて、蛋白の量の決定においても正確である(図7、9、10、および11)。上記詳述したHPLCおよび力価スクリーニング手順を比較した際、抗ルイスY蛋白、PSGL、抗Aβ、およびTNFR融合蛋白でほぼ同一の力価量が同定された(図7、9、10、および11)。したがって、本明細書中に詳述した力価スクリーニングアッセイは、蛋白の量を決定することにおいて、標準のカラム技法よりも速く、類似の効率を有していた。
【0107】
上記で利用したハイスループットスクリーニングでは、適切な量の抗体を発現する細胞系を同定することができた(図8)。図8に示すように、ハイスループット力価スクリーニングにより、目的とする抗体の最も高い産生体の同定が可能となり、これはクローン1個あたりの力価(μg/ml)の増加によって示される。これらの実験では、最高力価のクローンを1と番号づけ、2番目に高い力価のクローンを2と番号づけ、以下同様にした。したがって、最高級のクローンがアッセイによって迅速に同定された。
【0108】
実施例2
ハイスループット精製および適切な細胞培養条件の同定
1.遠心分離を用いた蛋白の手動精製
細胞培養の開発の潜在的な開発を向上させるために、実施例1のハイスループット力価スクリーニング手順を以下に詳述するハイスループット精製手順と連結することができる。
【0109】
薄い樹脂は20%のエタノール中で届けられた。さらに20%のエタノール溶液を加えて、落ち着いた容量の50%を構成した。溶液を十分に混合し、フィルタープレート(Whatman 7700〜2804、ロングドリップ、25um、96個のウェル×800uL、Whatman LabSciences、ニュージャージー州Orange)のウェルに200uLのアリコート/ウェルで分配した。フィルタープレートを空のマイクロプレート(Corning/Costar、ニューヨーク州Corning)の上に積み重ね、3分間700rpm(約104Gに等しい)で遠心分離して(Sorvall Legend RT)20%のエタノールを除去した。その後、200uL/ウェルのRODI水を加え、空のマクロプレートを下に置いてプレートを3分間遠心分離した。このプロセスを2回繰り返した。
【0110】
洗浄バッファーを200uLのアリコート/ウェルで加えた。空のマイクロプレートを下に置いてプレートを3分間遠心分離した。このプロセスをさらに2回繰り返した。すべての試料が少なくとも170ug/mLとなった際、同じ試料の組の力価がほぼ同じ範囲(+/−20%)となるように最小希釈を行った。試料は、最低濃度に近くなるように希釈した。170ug/mL未満の試料はすべて複数回添加した。複数回の添加が必要な場合、添加した蛋白の全質量が同じ範囲内(+/−20%)にあることを確認するだけのために試料を希釈した。複数回の添加を行う場合、必要な試料を最初に加え、空のウェルに200uLの洗浄バッファーを加えた。必要に応じてフィルタープレートを遠心分離した。
【0111】
すべての試料は、通常のように参照物質のスパイクおよび培地ブランクと共に添加した。試料を500uLの添加容量でプロテインA樹脂(プロテインA Mab Select、Amersham Biosciences)に添加した。スパイク標準を試験試料の組全体に近い濃度で、培地中で調製した。スパイク物質および培地ブランクを500ul/ウェルで添加した。
【0112】
樹脂を試料とマルチチャネルピペットを用いて混合することによって再懸濁させた。樹脂および試料を5〜10分間、室温でインキュベートした。その後、混合物を700rpmで3分間遠心分離し、試料の流動物を深ウェルマイクロプレート(Whatman 7710〜5750、Whatman LabSciences、ニュージャージー州Orange)に回収した。その後、200uL/ウェルの洗浄バッファー(5mMのトリス、20、50または100mMのNaCl、pH7.5)を加え、混合物を、空のマイクロプレートを下に置いて3分間遠心分離した。洗浄バッファーを200uL/ウェルで加えた。空のマイクロプレートを下に置いて試料を3分間遠心分離した。その後、UV回収プレート(Corning/Costar、ニューヨーク州Corning)に対して中和させるために4uLのトリス(2.0Mのトリス、pH8.5、または1.0Mのトリス、pH8.5)を混合物に加えた後、溶出を行った。溶出バッファー(50mMのグリシン、20または50または100mMのNaCl、pH2.5または3.0)を200uLの容量/ウェルでフィルタープレートに加えた。樹脂および溶出バッファーをマルチチャネルピペットで混合した。その後、下に回収プレートを置いてフィルタープレートを3分間遠心分離した。プレートをSpectra Maxプレートリーダー(Molecular Devices)を用いてA280で読み取った。
【0113】
2.カラムクロマトグラフィーを用いた蛋白の品質の決定
CEXアッセイ:溶出液を50uLのアリコートで100uLのCEX移動相Aを含むAgilentプレートに移した。溶液を混合した。標準の手順を用いてカラム精製手順を行った。
【0114】
SECアッセイ:溶出液を30uLの容量でAgilentプレートに移した。溶液を混合した。標準の手順を用いてカラム精製手順を行った。
【0115】
HICおよびシアル酸アッセイ:4μlの2MのトリスをUVプレートに加え、UVプレートに直接溶出させた。溶液を混合し、Spectra Maxプレートリーダーを用いてA280で読み取った。
【0116】
3.結果
上記技法を用いた試料のハイスループット精製により、プレート1個あたり96個までの試料の迅速な精製が可能となった。この精製技法は、精製レベルを低下させずに試料の迅速な精製を生じた(図12および13)。それぞれの試料中に存在する高分子量蛋白の量によって決定されるように、ハイスループット精製技法は他の技法と同等の性能であった(図12および13)。具体的には、ハイスループット精製を標準のプロテインA精製と比較した場合である(図12および13)。
【0117】
さらに、高分子量蛋白の量を用いて、様々な細胞培養条件で増殖した細胞によって生成された蛋白の品質を決定した(図14)。図14に示すように、試験した様々な培地は精製後に異なる量の高分子量蛋白を示し、これは培地に依存していると考えられる。具体的には、特定の培地条件が、高分子量蛋白の量に関して他の培地と比較して統計的に有意な向上を示した(図14、大きな矢印)。したがって、上記で利用した細胞培養法の開発手順では、下流の精製において向上した増殖の特徴を示した培地が同定された。
【0118】
均等物
当業者は、日常的な実験しか用いることなく、本明細書中に記載の具体的な組成物および手順の数々の均等物を理解する、またはそれを確認することができるであろう。そのような均等物は本発明の範囲内にあるとみなされ、以下の特許請求の範囲にカバーされる。
【図面の簡単な説明】
【0119】
【図1】細胞試料中の抗体の検出を示す、ハイスループット蛋白発現アッセイを表す図である。
【図2】ルテニウムとコンジュゲートした様々なF(ab’)2断片を用いたシグナル対バックグラウンド比を示すハイスループットスクリーニングアッセイを表すグラフである。
【図3】ルテニウムとコンジュゲートした様々なF(ab’)2断片を用いたシグナル対バックグラウンド比を示すハイスループットスクリーニングアッセイを表すグラフである。
【図4】様々な濃度のGP1bα、IL13受容体、およびTNFR融合蛋白を検出するハイスループットスクリーニングアッセイの感度を示すプロットを表すグラフである。
【図5】様々な濃度の抗GDF8、抗CD22、および抗ルイスY抗体を検出するハイスループットスクリーニングアッセイの感度を示すプロットを表すグラフである。
【図6】ハイスループット力価スクリーニングアッセイおよびHPLCアッセイに必要なアッセイ時間を示すプロットを表すグラフである。
【図7】試料中のTNFR融合蛋白のレベルを決定することにおける、ハイスループットスクリーニングアッセイとHPLCとの比較を示すグラフである。
【図8】ハイスループット力価スクリーニングアッセイによって決定された、クローン中の発現レベルを示すグラフである。
【図9】試料中の抗ルイスY抗体のレベルを決定することにおける、ハイスループットスクリーニングアッセイとHPLCとの比較を示すグラフである。
【図10】試料中のPSGLおよびGP1bαのレベルを決定することにおける、ハイスループットスクリーニングアッセイとHPLCとの比較を示すグラフである。
【図11】試料中の抗Aβのレベルを決定することにおける、ハイスループットスクリーニングアッセイとHPLCとの比較を示すグラフである。
【図12】様々な精製手順を用いて精製した試料中に見つかる高分子量蛋白の割合を示すグラフである。
【図13】様々な精製手順を用いて精製した試料中に見つかる高分子量蛋白の割合を示すグラフである。
【図14】様々な条件で増殖させた様々な細胞系から単離した試料中に見つかる高分子量蛋白の量を示す棒グラフを表すグラフである。
【技術分野】
【0001】
本出願は、その明細書の全体が出典明示により組み込まれている、2006年4月21日出願の米国仮出願第60/793,991号の優先権の利益を主張するものである。
【0002】
本発明は、一般に医薬品の分野に関する。より具体的には、本発明は、工業スケールの生産に十分な量および同等の品質の蛋白を生産する能力について、細胞系のスクリーニングを行う方法に関する。
【背景技術】
【0003】
ハイスループット技術は、医薬および生命工学の研究において重要なツールとなっている。ハイスループット分析方法では、蛋白の活性、蛋白発現レベル、遺伝子発現、および生物系内で起こる無数の化学的相互作用を迅速に分析するために自動手順を利用する。これらの方法および技術によって得られたデータは、癌研究、創薬、および結晶構造解析などの広範な分野で役立てられている(たとえば、Abramovitz他(2006)Proteome Sci.、4(1):5参照[印刷の前に電子発行])。
【0004】
ハイスループット分析は、系内で起こる莫大な化学反応の中から特定の化学的相互作用または化合物を感知する能力に依存する。ハイスループット技術は、数千個の遺伝子の特定の化学的相互作用および発現レベルを短期間でプローブするために使用されている。この困難な作業を達成するために、分子シグナル(たとえばフルオロフォア)および非常に速い速度で情報を処理する自動分析を利用する特定の技法が開発されている(たとえば、Pinhasov他(2004)Comb.Chem.High Throughput Screen.、7(2):133〜40参照)。たとえば、数千個の遺伝子の相互作用を一度にプローブする一方で、特定の遺伝子に関する有益な情報を提供するために、マイクロアレイ技術が広く利用されている(たとえば、MocellinおよびRossi(2007)Adv.Exp.Med.Biol.、593:19〜30参照)。
【0005】
過去数年間で、自動および手動両方のハイスループットの蛋白の発現および精製が、構造および機能の研究のために可溶性蛋白を迅速にスクリーニングおよび生産する利用可能な手段となっている(Cabrita他(2006)BMC Biotechnol.、6:12参照)。クローニング、発現および精製のためのフィルター−プレートに基づいたアッセイ、ライゲーション非依存性クローニング(LIC)、ならびに蛋白発現の自己誘導などの開発を自動システムと合わせて、単純かつ対費用効果の高い蛋白の並行生産技法が作成されている(Cabrita他(2006)BMC Biotechnol.、6:12、Aslanidis他(1990)Nucleic Acids Res.、18(20):6069〜6074参照)。これらの手法は、研究者に、医薬品および薬剤開発で使用するために蛋白を工業スケールレベルで生産する、強力なツールを提供している。
【0006】
しかし、特定の細胞からの蛋白の精製および発現は、特定の問題を提示する。目的とする蛋白が同定された後、かなりの量のその蛋白を精製した形態で得ることは、比較的困難である。その結果、組換え蛋白を産生する細胞系を用いて、工業開発のために蛋白を十分な量で産生させる。
【0007】
細胞系は、研究者に大量の特定の蛋白を産生する機会を与えることができるが、これらは必ずしも蛋白の効率的な産生体とは限らない。特定の細胞系クローンは最適以下のレベルの蛋白を産生する場合がある。他の細胞系クローンは、最適レベルの蛋白発現を生じるが、構造的形成異常または不適切な翻訳後修飾のどちらかが原因で完全に機能的な蛋白のプールを産生することができない場合がある。このような問題は、生物学的に関連する化合物の開発中に時間および資源の無駄をもたらす可能性がある。したがって、特定の細胞系中で発現された蛋白の品質および量に関する情報を迅速かつ確実に提供するハイスループットスクリーニング方法が必要である。本発明は、これらおよび他の重要な目的を対象とする。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
目的とする蛋白のフルスケール生産を開始する前に、細胞系中での目的とする蛋白の発現レベルを分析することによって、重要な時間および資源は、ハイスループット蛋白発現に不十分な品質の細胞系に対して浪費されない。本発明は、部分的には、ハイスループットスクリーニング手順およびハイスループット精製手順を行って十分な量の目的とする蛋白を産生する細胞系を決定することができるという発見に基づいている。さらに、これらの手順を利用して、候補細胞系を、それらが所望の品質、たとえば生物活性を有する目的とする蛋白を産生するかどうかを決定するために、スクリーニングすることができる。したがって、これらのハイスループットスクリーニングおよびハイスループット精製技法(以下、まとめて「ハイスループットスクリーニング」と呼ぶ)は、工業スケールの蛋白発現で利用するのに適切な細胞系を決定するための有益な方法である。この発見を活用して、目的とする蛋白の工業スケールの生産に有用な細胞系を同定するためにハイスループットスクリーニング方法の使用を可能にする発明が提供される。
【課題を解決するための手段】
【0009】
一態様では、本発明は、蛋白を発現させるための細胞系のハイスループットスクリーニング方法を提供する。この方法には、それぞれの細胞系における蛋白発現レベルを決定するための、細胞系のハイスループット力価スクリーニングが含まれる。所望の蛋白発現レベルを生じる細胞系を選択し、続いて蛋白のハイスループット精製を行う。細胞系が所望の蛋白発現レベルを生じ、かつ適切な品質を有する場合に、細胞系を蛋白発現について選択する。
【0010】
一部の実施形態では、蛋白は、抗体、リガンド、受容体、蛋白のサブユニット、蛋白の断片、融合蛋白、組換え蛋白、およびそれらの断片である。特定の実施形態では、蛋白は、抗体、組換え抗体、またはF(ab’)2断片である。
【0011】
他の実施形態では、第1の結合剤は、抗体、リガンド、受容体、融合蛋白、蛋白のサブユニット、組換え蛋白、およびそれらの断片からなる群から選択される。具体的な実施形態では、第1の結合剤は、プロテインAまたはストレプトアビジンである。さらに他の実施形態では、結合剤は、ビーズ、プレート、およびマイクロアレイチップなどの固体支持体に付着することができる。多くの実施形態では、固体支持体は、セルロース、セファロース、ポリアクリルアミド、ガラス、またはポリスチレンを含む。
【0012】
他の実施形態では、第2の結合剤は、抗体、リガンド、受容体、融合蛋白、蛋白のサブユニット、組換え蛋白、およびそれらの断片からなる群から選択される。具体的な実施形態では、第2の結合剤は、抗体およびその断片である。より具体的な実施形態では、抗体はF(ab’)2断片であり、さらにより具体的には、抗体のFc部分と特異的に結合するF(ab’)2断片である。
【0013】
さらに他の実施形態では、検出可能な標識は、フルオロフォア、化学色素、放射性結合剤、化学発光性結合剤、電気化学発光剤、磁性結合剤、常磁性結合剤、プロ磁性結合剤、有色産物をもたらす酵素、化学発光性産物をもたらす酵素、および磁性産物をもたらす酵素である。非常に具体的な実施形態では、検出可能な標識は、ルテニウムまたは複数のルテニウム標識である。
【0014】
一部の実施形態では、試薬は、具体的な実施形態では第3の結合剤が付着した樹脂を含む。特定の実施形態では、第3の結合剤は、抗体、リガンド、受容体、融合蛋白、蛋白のサブユニット、組換え蛋白、およびそれらの断片からなる群から選択される。一方で、具体的な実施形態では、第3の結合剤は、プロテインAまたはストレプトアビジンである。一部の実施形態では、蛋白は、真空を用いて試薬から溶出させる。他の実施形態では、遠心分離によって蛋白を溶出させる。さらに他の実施形態では、樹脂を通る重力流によって蛋白を溶出させる。多くの実施形態では、インキュベートした細胞系のスクリーニングに自動ワークステーションを利用する。
【0015】
別の態様では、本発明は、蛋白を発現させるための細胞系のハイスループットスクリーニング方法を提供する。この方法には、細胞系を培地でインキュベートする工程と、固体支持体を、それぞれのインキュベートした細胞系由来の試料と接触させる工程とが含まれる。この態様では、固体支持体は、その表面に、それぞれの試料中の蛋白と結合する第1の結合剤が付着している。第1の結合剤と結合した蛋白を、検出可能な標識と作動可能に連結している、その蛋白と結合する第2の結合剤と接触させる。それぞれの試料中の蛋白発現レベルは、蛋白と結合した第2の結合剤と作動可能に連結している標識を検出することによって決定する。また、この方法には、所望の蛋白発現レベルを有する細胞系の選択も含まれる。一部の例では、これは、それぞれの細胞系における蛋白発現レベルとすべての細胞系における平均蛋白発現レベルとを比較することによって決定する。たとえば、すべての細胞系における平均発現レベルと比較して増加した蛋白発現レベルが、所望の蛋白発現レベルである場合がある。あるいは、低下した蛋白発現レベルが、所望の蛋白発現レベルである場合があり、やはりこれも、それぞれのスクリーニングした細胞系における蛋白発現レベルとすべての細胞系における平均蛋白発現レベルとを比較することによって決定する。
【0016】
本発明のこの態様の方法は、選択した細胞系から上清を単離すること、およびそれぞれの上清をマルチウェルプレートのウェルに分配することをさらに伴う。その後、上清を蛋白と結合する試薬と接触させる。蛋白を試薬から溶出させ、適切な品質についてアッセイを行う。本発明のこの態様によれば、細胞系が工程e)で選択され、細胞系によって発現される蛋白が適切な品質を有する場合に、細胞系を蛋白発現について選択する。一部の実施形態では、蛋白は、抗体、リガンド、受容体、蛋白のサブユニット、蛋白の断片、融合蛋白、組換え蛋白、およびそれらの断片である。特定の実施形態では、蛋白は、抗体、組換え抗体、またはF(ab’)2断片である。
【0017】
他の実施形態では、第1の結合剤は、抗体、リガンド、受容体、融合蛋白、蛋白のサブユニット、組換え蛋白、およびそれらの断片からなる群から選択される。具体的な実施形態では、第1の結合剤は、プロテインAまたはストレプトアビジンである。さらに他の実施形態では、結合剤は、ビーズ、プレート、およびマイクロアレイチップなどの固体支持体に付着することができる。多くの実施形態では、固体支持体は、セルロース、セファロース、ポリアクリルアミド、ガラス、またはポリスチレンを含む。
【0018】
他の実施形態では、第2の結合剤は、抗体、リガンド、受容体、融合蛋白、蛋白のサブユニット、組換え蛋白、およびそれらの断片からなる群から選択される。具体的な実施形態では、第2の結合剤は、抗体およびその断片である。より具体的な実施形態では、抗体はF(ab’)2断片であり、さらにより具体的には、抗体のFc部分と特異的に結合するF(ab’)2断片である。
【0019】
さらに他の実施形態では、検出可能な標識は、フルオロフォア、化学色素、放射性結合剤、化学発光性結合剤、電気化学発光剤、磁性結合剤、常磁性結合剤、プロ磁性結合剤、有色産物をもたらす酵素、化学発光性産物をもたらす酵素、および磁性産物をもたらす酵素である。非常に具体的な実施形態では、検出可能な標識は、ルテニウムまたは複数のルテニウム標識である。
【0020】
一部の実施形態では、試薬は、具体的な実施形態では第3の結合剤が付着した樹脂を含む。特定の実施形態では、第3の結合剤は、抗体、リガンド、受容体、融合蛋白、蛋白のサブユニット、組換え蛋白、およびそれらの断片からなる群から選択される。一方で、具体的な実施形態では、第3の結合剤は、プロテインAまたはストレプトアビジンである。一部の実施形態では、蛋白は、真空を用いて試薬から溶出させる。多くの実施形態では、インキュベートした細胞系のスクリーニングに自動ワークステーションを利用する。
【0021】
別の態様では、本発明は、細胞培養法の開発方法を提供する。この方法には、試験する異なる条件でそれぞれの細胞系をインキュベートする工程が含まれる。その後、細胞系の試料を、それぞれの異なる条件からのそれぞれの細胞系からの固体支持体と接触させる。この態様では、固体支持体は、その表面に、それぞれの試料中の蛋白と結合する第1の結合剤が付着している。第1の結合剤と結合した蛋白を、検出可能な標識と作動可能に連結している、その蛋白と結合する第2の結合剤と接触させる。それぞれの試料中の蛋白発現レベルは、蛋白と結合した第2の結合剤と作動可能に連結している標識を検出することによって決定する。また、この方法には、所望の蛋白発現レベルを有する細胞系の選択も含まれる。一部の例では、これは、それぞれの細胞系における蛋白発現レベルとすべての細胞系における平均蛋白発現レベルとを比較することによって決定する。たとえば、すべての細胞系における平均発現レベルと比較して増加した蛋白発現レベルが、所望の蛋白発現レベルである場合がある。あるいは、低下した蛋白発現レベルが、所望の蛋白発現レベルである場合があり、やはりこれも、それぞれのスクリーニングした細胞系における蛋白発現レベルとすべての細胞系における平均蛋白発現レベルとを比較することによって決定する。
【0022】
本発明のこの態様の方法は、選択した細胞系から上清を単離すること、およびそれぞれの上清をマルチウェルプレートのウェルに分配することをさらに伴う。その後、上清を蛋白と結合する試薬と接触させる。蛋白を試薬から溶出させ、適切な品質についてアッセイを行う。本発明のこの態様によれば、蛋白の量および品質が試験した他の条件と比較して向上している場合に、適切な細胞培養条件を同定する。
【0023】
他の実施形態では、第1の結合剤は、抗体、リガンド、受容体、融合蛋白、蛋白のサブユニット、組換え蛋白、およびそれらの断片からなる群から選択される。具体的な実施形態では、第1の結合剤は、プロテインAまたはストレプトアビジンである。さらに他の実施形態では、結合剤は、ビーズ、プレート、およびマイクロアレイチップなどの固体支持体に付着することができる。多くの実施形態では、固体支持体は、セルロース、セファロース、ポリアクリルアミド、ガラス、またはポリスチレンを含む。
【0024】
他の実施形態では、第2の結合剤は、抗体、リガンド、受容体、融合蛋白、蛋白のサブユニット、組換え蛋白、およびそれらの断片からなる群から選択される。特定の実施形態では、第2の結合剤は、抗体およびその断片である。より具体的な実施形態では、抗体はF(ab’)2断片であり、さらにより具体的には、抗体のFc部分と特異的に結合するF(ab’)2断片である。
【0025】
さらに他の実施形態では、検出可能な標識は、フルオロフォア、化学色素、放射性結合剤、化学発光性結合剤、電気化学発光剤、磁性結合剤、常磁性結合剤、プロ磁性結合剤、有色産物をもたらす酵素、化学発光性産物をもたらす酵素、および磁性産物をもたらす酵素である。非常に具体的な実施形態では、検出可能な標識は、ルテニウムまたは複数のルテニウム標識である。
【0026】
一部の実施形態では、試薬は、具体的な実施形態では第3の結合剤が付着した樹脂を含む。具体的な実施形態では、第3の結合剤は、抗体、リガンド、受容体、融合蛋白、蛋白のサブユニット、組換え蛋白、およびそれらの断片からなる群から選択される。一方で、具体的な実施形態では、第3の結合剤は、プロテインAまたはストレプトアビジンである。一部の実施形態では、蛋白は、真空を用いて試薬から溶出させる。多くの実施形態では、インキュベートした細胞系のスクリーニングに自動ワークステーションを利用する。
【0027】
具体的な実施形態では、試験する条件は細胞増殖培地である。他の実施形態では、試験する条件は温度である。さらに他の実施形態では、試験する条件は湿度である。さらなる実施形態では、試験する条件は圧力である。さらなる実施形態では、試験する条件は酸素圧である。
【0028】
さらに別の態様では、本発明は、蛋白を生産するための細胞系のハイスループットスクリーニング方法を提供する。この方法には、細胞系を培地中でインキュベートする第1の工程が含まれる。それぞれの細胞系からの試料を固体支持体上に置く、すなわち、固体支持体をそれぞれの試料と接触させる。固体支持体には、それぞれの試料中の蛋白と結合する第1の結合剤がその表面に付着していることに留意されたい。第1の結合剤は細胞試料中の蛋白と結合する。蛋白を、検出可能な標識と作動可能に連結している、その蛋白と結合する第2の結合剤と接触させる。蛋白発現レベルは、それぞれの試料において、蛋白と結合した第2の結合剤と作動可能に連結している標識を検出することによって決定する。細胞系は、その細胞系がスクリーニングした細胞系における平均蛋白発現レベルと比較して所望の蛋白発現レベルを有するかどうかに基づいて、蛋白の産生について選択する。
【0029】
一部の実施形態では、蛋白は、抗体、リガンド、受容体、蛋白のサブユニット、蛋白の断片、融合蛋白、組換え蛋白、およびそれらの断片である。特定の実施形態では、蛋白は、抗体、組換え抗体、またはF(ab’)2断片である。
【0030】
他の実施形態では、第1の結合剤は、抗体、リガンド、受容体、融合蛋白、蛋白のサブユニット、組換え蛋白、およびそれらの断片からなる群から選択される。具体的な実施形態では、第1の結合剤は、プロテインAまたはストレプトアビジンである。さらに他の実施形態では、結合剤は、ビーズ、プレート、およびマイクロアレイチップなどの固体支持体に付着することができる。多くの実施形態では、固体支持体は、セルロース、セファロース、ポリアクリルアミド、ガラス、またはポリスチレンを含む。
【0031】
他の実施形態では、第2の結合剤は、抗体、リガンド、受容体、融合蛋白、蛋白のサブユニット、組換え蛋白、およびそれらの断片からなる群から選択される。具体的な実施形態では、第2の結合剤は、抗体およびその断片である。より具体的な実施形態では、抗体はF(ab’)2断片であり、さらにより具体的には、抗体のFc部分と特異的に結合するF(ab’)2断片である。
【0032】
さらに他の実施形態では、検出可能な標識は、フルオロフォア、化学色素、放射性結合剤、化学発光性結合剤、電気化学発光剤、磁性結合剤、常磁性結合剤、プロ磁性結合剤、有色産物をもたらす酵素、化学発光性産物をもたらす酵素、および磁性産物をもたらす酵素である。非常に具体的な実施形態では、検出可能な標識は、ルテニウムまたは複数のルテニウム標識である。特定の実施形態では、この方法はシアル酸アッセイをさらに含む。
【0033】
本発明の前述の目的および他の目的、その様々な特徴、ならびに本発明自体は、添付の図面と一緒に読んだ場合に、以下の説明からより詳細に理解し得るであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
本明細書中で言及する特許および科学文献は、当業者に利用可能な知識を確立する。本明細書中に引用する発行された米国特許、認められた出願、公開された外国出願、およびGenBankデータベースの配列を含めた参考文献は、それぞれが具体的かつ個別に参照により組み込まれていることが示された場合と同程度に、本明細書中に参照により組み込まれる。
【0035】
1.1.概要
本発明の一実施形態は、部分的に、目的とする蛋白を産生する能力について細胞系をスクリーニングする方法を提供する。本発明はまた、医薬および生物学的研究のための蛋白の工業スケールの生産において効率を向上させる方法も記載する。具体的には、本発明は、癌、アルツハイマー病、および糖尿病などの疾患の医薬治療に利用することができる蛋白の効率的な生産を可能にする。さらに、本発明の実施形態は、細胞系によって産生される目的とする蛋白の量および品質を決定するための、細胞系のハイスループットスクリーニング方法を提供する。
【0036】
したがって、本発明の一態様は、蛋白を発現させるための細胞系のハイスループットスクリーニング方法を提供する。この方法は、目的とする蛋白と結合する第1の結合剤および目的とする蛋白と結合する検出可能な標識と作動可能に連結している第2の結合剤を利用する。一部の実施形態では、第1の結合剤は、ビーズ、磁性ビーズ、プレート、またはマイクロアレイチップなどの固体支持体に付着している。また、この方法では、目的とする蛋白と結合する試薬を用い、蛋白の細胞系に由来する試料からの精製を可能にする。本発明の一部の実施形態では、蛋白は、溶出された蛋白を試薬から真空引きを行うことによって、および濾過によって、試薬から精製する。さらに他の実施形態では、重力流によって溶液を試薬に通して流す。
【0037】
本明細書中で使用する用語「治療蛋白」とは、それが作用する身体内の領域または中間体を介してそれが遠隔作用する身体の領域に対して生物学的効果を有する、蛋白またはペプチドである。治療蛋白は、本明細書中以下にさらに詳述するように、たとえば、抗体、抗体の抗原結合断片、可溶性受容体、受容体融合体、サイトカイン、成長因子、酵素、または凝固因子などの分泌蛋白であり得る。上記蛋白のリストは事実上単に例示的なものであり、限定する列挙であることを意図しない。当業者は、任意の蛋白を本発明に従って使用してよく、また、必要に応じて生産させる特定の蛋白を選択できることを理解されよう。
【0038】
本明細書で使用する用語、ポリペプチド、蛋白およびペプチドは、同義であり、互換性があるように使用する。したがって、本明細書中で使用する蛋白、ペプチドまたはポリペプチドの大きさは、一般に、2個を超えるアミノ酸を含む。たとえば、蛋白、ペプチドまたはポリペプチドは、約2〜約20個のアミノ酸、約20〜約40個のアミノ酸、約40〜約100個のアミノ酸、約100個のアミノ酸〜約200個のアミノ酸、約200個のアミノ酸〜約300個のアミノ酸などを含むことができる。本明細書中で使用するアミノ酸とは、当分野で知られている任意の天然に存在するアミノ酸、任意のアミノ酸誘導体または任意のアミノ酸模倣体をいう。具体的な実施形態では、蛋白またはペプチドの残基は逐次であり、アミノ酸でない如何なるものもアミノ酸残基の配列を中断しない。他の実施形態では、配列は1つまたは複数の非アミノ酸部分を含み得る。特定の実施形態では、蛋白またはペプチドの残基の配列は、1つまたは複数の非アミノ酸部分によって中断され得る。
【0039】
本明細書中で使用する用語「抗体」とは、抗原結合領域を有する任意の抗体様分子をいうために使用し、Fab’、Fab、F(ab’).sub.2、単一ドメイン抗体(DAB)、Fv、scFv(単鎖Fv)などの抗体断片が含まれる。抗体に基づいた様々な構築体および断片を調製および使用する技法は当分野で周知である。抗体を調製および特徴づける手段も当分野で周知である(たとえば、本明細書中に参照により組み込まれている、HarlowおよびLane、Antibodies:A Laboratory Manual、Cold Spring Harbor Laboratory、1988参照)。たとえば、抗体には、少なくとも1つ、好ましくは2つの完全長の重鎖、および少なくとも1つ、好ましくは2つの軽鎖が含まれ得る。本明細書中で使用する用語「抗体」には、抗体断片または抗原結合断片(たとえば、Fab、F(ab’)2、Fv、単鎖Fv断片、重鎖断片(たとえばラクダ科VHH)および結合ドメイン−免疫グロブリン融合体(たとえばSMIP(商標))などの変異体分子が含まれる。抗体は、モノクローナルまたは単一特異性抗体であり得る。また、抗体は、ヒト、ヒト化、キメラ、CDR移植、またはin vitro生成抗体であることもできる。さらに他の実施形態では、抗体は、たとえば、IgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4から選択された重鎖定常領域を有する。別の実施形態では、抗体は、たとえば、κまたはλから選択された軽鎖を有する。一実施形態では、定常領域は、抗体の特性を変更するために変化、たとえば突然変異している(たとえば、Fc受容体結合、抗体グリコシル化、システイン残基の数、エフェクター細胞の機能、または補体機能の1つまたは複数を増加または低下させるため)。典型的には、抗体は、所定の抗原、たとえば、神経変性、代謝、炎症性、自己免疫および/または悪性障害などの障害に関連する抗原と特異的に結合する。
【0040】
小モジュール免疫医薬品(Small Modular ImmunoPharmaceuticals、SMIP(商標))は、結合ドメインポリペプチドを含む変異体分子の例を提供する。SMIPならびにその使用および応用は、たとえば、すべてその全体が本明細書中に参照により組み込まれている、米国公開特許出願第2003/0118592号、第2003/0133939号、第2004/0058445号、第2005/0136049号、第2005/0175614号、第2005/0180970号、第2005/0186216号、第2005/0202012号、第2005/0202023号、第2005/0202028号、第2005/0202534号、および第2005/0238646号、ならびにその関連特許ファミリーのメンバーに開示されている。単一ドメイン抗体には、その相補性決定領域が単一ドメインポリペプチドの一部である抗体が含まれ得る。例には、それだけには限定されないが、重鎖抗体、天然で軽鎖を欠く抗体、慣用の4鎖抗体に由来する単一ドメイン抗体、操作した抗体および抗対に由来するもの以外の単一ドメイン骨格が含まれる。単一ドメイン抗体は、当分野の任意のもの、または任意の将来の単一ドメイン抗体であり得る。単一ドメイン抗体は、それだけには限定されないが、マウス、ヒト、ラクダ、ラマ、ヤギ、ウサギ、ウシを含めた任意の種に由来し得る。本発明の一態様によれば、本明細書中で使用する単一ドメイン抗体は、軽鎖を欠く重鎖抗体として知られている、天然に存在する単一ドメイン抗体である。そのような単一ドメイン抗体は、たとえば、国際公開公報WO9404678号に開示されている。明確にするために、天然で軽鎖を欠く重鎖抗体に由来するこの可変ドメインは、4鎖免疫グロブリンの慣用のVHと区別するために、本明細書中で、VHHまたはナノ体と呼ぶ。そのようなVHH分子は、ラクダ科の種、たとえば、ラクダ、ラマ、ヒトコブラクダ、アルパカおよびグアナで産生させた抗体に由来することができる。ラクダ科以外の他の種も天然で軽鎖を欠く重鎖抗体を産生する場合があり、そのようなVHHは本発明の範囲内にある。
【0041】
用語抗体の「抗原結合断片」に包含される結合断片の例には、(i)VL、VH、CLおよびCH1ドメインからなる一価断片であるFab断片、(ii)ヒンジ領域でジスルフィド橋によって連結された2つのFab断片を含む二価断片であるF(ab’)2断片、(iii)VHおよびCH1ドメインからなるFd断片、(iv)抗体の単一アームのVLおよびVHドメインからなるFv断片、(v)VHドメインからなるdAb断片、(vi)ラクダ科またはラクダ科可変ドメイン、たとえばVHHドメイン、(vii)単鎖Fv(scFv)、(viii)二重特異性抗体、および(ix)Fc領域と融合した免疫グロブリン分子の1つまたは複数の断片が含まれる。さらに、Fv断片の2つのドメイン、VLおよびVHは別々の遺伝子によってコードされているが、組換え方法を用いて、VLおよびVH領域が対合して一価分子を形成する単一蛋白鎖にすることを可能にする合成リンカーによって、結合することができる(単鎖Fv(scFv)として知られる、たとえば、Bird他(1988)Science、242:423〜26、Huston他(1988)Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.、85:5879〜83参照)。そのような単鎖抗体も、用語抗体の「抗原結合断片」に包含されることを意図する。これらの抗体断片は当業者に知られている慣用技術を用いて得られ、インタクトな抗体と同じ様式で機能について断片の評価を行う。
【0042】
「二重特異性」または「二官能性」抗体以外では、抗体はその結合部位のそれぞれが同一であると理解される。「二重特異性」または「二官能性抗体」とは、2つの異なる重/軽鎖対および2つの異なる結合部位を有する人工ハイブリッド抗体である。二重特異性抗体は、ハイブリドーマの融合またはFab’断片の連結を含めた様々な方法によって産生することができる。たとえば、SongsivilaiおよびLachmann、Clin.Exp.Immunol.、79:315〜321(1990)、Kostelny他、J.Immunol.、148、1547〜1553(1992)参照。
【0043】
本明細書中で使用する用語「細胞系」とは、培養中で維持され、ex vivo条件で増殖する能力を獲得した細胞を意味する。細胞系は、不死化されているか、または「初代細胞系」として一過的に確立されていてよい。特定の実施形態では、細胞系を当分野で知られている技法によって確立させる(たとえばKwak他(2006)Anim.Biotechnol.、17(1):51〜8参照)。一部の実施形態では、細胞系は、当分野で知られている技法によって産生することができる抗体産生細胞である(たとえばDessain他(2004)J.Immunol.Methods.、291(1〜2):109〜22)。また、細胞系は、ATCC細胞生物学コレクション(American Type Culture Collections、バージニア州Mannassas)などの市販の入手源から得ることもできる。
【0044】
本明細書中で使用する用語「結合剤」とは、共有結合、水素結合、イオン結合、ファンデルワールス力、ロンドン力、または力の任意の組合せによって任意の他の分子と会合することができる分子を意味する。結合剤には、それだけには限定されないが、蛋白およびその断片、ペプチド模倣化合物、抗体およびその断片、核酸、毒素、ならびに小分子が含まれる。
【0045】
結合剤は、当分野で周知の方法によって誘導体化した固体支持体上に配置することができる。固体支持体には、それだけには限定されないが、ビーズ、磁性ビーズ、マイクロアレイチップ、ニトロセルロース膜、ナイロン膜、マルチウェルプレート、およびPVDF膜が含まれる。一部の実施形態では、固体支持体は、プレートの下に電極が配置されたプレートであり、電極は、磁性材料と結合した結合剤を引き寄せる磁場を生じる。プレートは製造者のプロトコルに従って使用する(Meso Scale Discovery、メリーランド州Gaithersburg参照)。
【0046】
固体支持体は、ガラス、ポリスチレン、プラスチック、鉄などの磁性金属、ポリアクリルアミド、セファロース、セルロース、または蛋白と結合する結合剤の能力に影響を与えない任意の不活性支持体から構成されていてよい。固体支持体は、たとえばApplied Biosystems(カリフォルニア州Foster City)から購入する。
【0047】
さらに、一部の実施形態では、結合剤を、「印刷」と呼ばれる方法によって当業者によって実施される方法を利用して、マイクロアレイチップなどの固体支持体上に配置する(たとえばSchena他、(1995)Science、270(5235):467〜470参照)。本明細書中で使用する用語「印刷」とは、固体支持体上にスポットを、最大数のスポットが固体支持体上に配置されるように近接して設置することをいう。印刷法は、たとえばロボットプリンターによって実施することができる。Stealth Micro Spotting Pins(Telechem International,Inc、カリフォルニア州Sunnyvale)を用いたVersArray CHIP Writer Prosystem(BioRad Laboratories)が、本態様の集中マイクロアレイチップを生産するために使用することができる印刷装置の非限定的な例である。
【0048】
本明細書中で使用する用語「適切な品質」とは、目的とする蛋白に特に関連する品質を意味する。適切な品質には、それだけには限定されないが、酵素反応、抗体−エピトープ相互作用、および核酸−蛋白相互作用が含まれる。適切な品質は、目的とする蛋白の特定の物理化学的側面を分析することによってアッセイすることができる。たとえば、適切な品質は、使用できるアッセイの種類を限定することを意図せずに、大きさ、電荷、蛋白の炭水化物含量、結合活性、および酵素活性に関連することができる。NMRなどの物理的構造分析を用いて蛋白の全体的な三次および二次構造を決定することができる。さらに、以下により詳細に説明するレクチンに基づいたアッセイおよびシアル酸アッセイを用いて、目的とする蛋白の物理化学的側面を決定することができる。言い換えれば、適切な品質は、目的とする蛋白の化学的活性だけでなく、目的とする蛋白の物理的構造も見ることによって決定することができる。
【0049】
本明細書中で使用する用語「溶出」とは、溶媒を使用することによって樹脂または結合剤から抽出することを意味する。目的とする蛋白を樹脂または結合剤から溶出させる方法は、目的とする蛋白を結合剤から取り外すことができる分子を含む溶液を含むことができる。さらに、溶液は、目的とする蛋白が目的とする蛋白と会合しなくなるように、樹脂または結合剤の結合の特徴を変化させるpHを有することができる。その方法が目的とする蛋白の全体的な機能性または品質に影響を与えない限りは、本発明において蛋白を溶出させるために任意の溶液を使用できることに留意されたい。
【0050】
本明細書中で使用する用語「樹脂」とは、天然または合成由来の、任意の固体または半固体の有機産物を意味する。樹脂には、複合体の混合物からの分子の精製を可能にする部分とコンジュゲートすることができる任意の物質が含まれる。本発明で有用な部分には、陽イオン分子、陰イオン分子、金属、半金属、多糖類、ポリペプチド、蛋白、核酸、ペプチド、有機小分子、およびペプチド模倣化合物が含まれる。具体的には、樹脂は、それ自体が、それだけには限定されないがセファデックス、ポリスチレン、ポリアクリルアミド、または中性多糖類を含めた任意の不活性化合物からなることができる。樹脂は、たとえばClontech Laboratories,Inc.(カリフォルニア州Mountain View)から購入することができる。
【0051】
本明細書中で使用する用語「ハイスループット」とは、細胞系における望ましい蛋白発現の存在を決定するために高速かつ単純な方法を可能にすることを意味する。望ましい蛋白発現とは、ハイスループット技法によってスクリーニングした細胞系によって発現される生体分子の量および品質をどちらもいう。また、ハイスループット方法には、生体分子を処理するための自動システムおよび大きなスケールのスクリーニングを行うための自動データ処理も含まれ得る。
【0052】
本明細書中で使用する用語「ハイスループット力価スクリーニング」とは、細胞によって発現された蛋白の量を決定するために使用する手段を意味する。ハイスループット力価スクリーニングには、細胞に由来する試料中で目的とする蛋白を同定するための結合剤の使用が含まれる。結合剤は、検出可能な標識または固体支持体と作動可能に連結していてよく、すべて以下により詳細に説明する。
【0053】
本明細書中で使用する用語「ハイスループット精製」とは、複数の細胞試料から蛋白を同時にまたは実質的に同時に精製する方法を意味する。
【0054】
本明細書中で使用する用語「細胞培養法の開発」とは、工業スケールまたは小さなスケールでの生産のために、十分な量および品質で蛋白を生産するために必要な条件の最適化をもたらす手段を意味する。細胞培養法の開発を用いて試験することができる条件には、それだけには限定されないが、塩濃度、培地内容物、増殖温度、大気圧、大気酸素含有率、培養物の攪拌、および二酸化炭素含有率が含まれる。細胞培養法の開発には、蛋白の量(ハイスループット力価スクリーニング)および蛋白の品質(ハイスループット精製)を決定する工程が含まれる。
【0055】
細胞培養法の開発の目的のために蛋白の品質を決定する方法には、それだけには限定されないが、結合アッセイ、レクチンアッセイ、シアル酸アッセイ、NMR、円二色性、質量分析、MALDI−TOF、酵素アッセイ、比色アッセイ、およびアミノ酸配列決定が含まれる。これらのアッセイは、細胞培養法の開発方法中の任意の時点で使用することができる。特定の実施形態では、目的とする蛋白のハイスループット精製が完了した後にアッセイを行う。
【0056】
本明細書中で使用する用語「目的とする蛋白」とは、生物学的、医学的、医薬品的、または医薬的な目的のために生産した、任意の蛋白または蛋白様分子を意味する。たとえば、目的とする蛋白は治療蛋白であり得る。目的とする蛋白は、染色体または染色体外であるかにかかわらず、それだけには限定されないが、プレメッセンジャーRNA、メッセンジャーRNA、トランスファーRNA、ヘテロ核RNA(「HnRNA」)、リボソームRNA、一本鎖DNA、および二本鎖RNAが含まれる核酸配列から生産することができる。核酸配列の染色体外源には、二本鎖DNAウイルスゲノム、一本鎖DNAウイルスゲノム、二本鎖RNAウイルスゲノム、一本鎖RNAウイルスゲノム、細菌DNA、ミトコンドリアゲノムDNA、cDNA、または目的とする蛋白を生成することができる任意の他の外来核酸源が含まれ得る。目的とする蛋白は、任意の構造または構造の組合せであり得る。たとえば、目的とする蛋白には、それだけには限定されないが、組換え蛋白、四次構造を含む蛋白、グリコシル化蛋白、脂質付加蛋白、オリゴペプチド、ペプチド、蛋白ドメイン、蛋白サブユニット、抗体またはその断片、および抗体様分子が含まれる。また、目的とする蛋白には、たとえば融合蛋白も含まれる。融合蛋白は、一般に、NまたはC末端で第2のポリペプチドまたは蛋白の全体または一部分と連結した、標的化ペプチドの全体または実質的な部分を有する。たとえば、融合には、異種宿主中における蛋白の組換え発現を可能にするために、他の種からのリーダー配列を用い得る。別の有用な融合には、融合蛋白の精製を容易にするために、抗体エピトープなどの免疫学的に活性のあるドメインの付加が含まれる。融合蛋白には、標的化部分、たとえば可溶性受容体断片またはリガンドと、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgM、IgA1、IgA2、IgD、およびIgE)を含めた免疫グロブリン鎖、Fc断片、様々なアイソタイプの重鎖定常領域とが含まれ得る。たとえば、融合蛋白には、たとえばヒト免疫グロブリンFc鎖(たとえば、ヒトIgG、たとえばヒトIgG1もしくはヒトIgG4、またはその変異型)と融合している受容体の細胞外ドメインが含まれ得る。一実施形態では、ヒトFc配列は、Fc受容体結合を低減するために、1つまたは複数のアミノ酸で突然変異している、たとえば、野生型配列から残基254および257で突然変異している。融合蛋白にはさらに、第1の部分と第2の部分、たとえば免疫グロブリン断片とを結合するリンカー配列が含まれ得る。たとえば、融合蛋白には、ペプチドリンカー、たとえば、長さが約4〜20個、より好ましくは5〜10個のアミノ酸のペプチドリンカーが含まれ得る;そのペプチドリンカーの長さは8個のアミノ酸である。たとえば、融合蛋白には、式(Ser−Gly−Gly−Gly−Gly)y[式中、yは1、2、3、4、5、6、7、または8である]を有するペプチドリンカーが含まれ得る。他の実施形態では、発現、立体的な柔軟性、検出および/または単離もしくは精製を容易にするために、さらなるアミノ酸配列を融合蛋白のNまたはC末端に付加することができる。
【0057】
切断部位を融合接合部またはその付近に含めることにより、精製後の外来ポリペプチドの除去が容易となる。他の有用な融合には、酵素からの活性部位、グリコシル化ドメイン、細胞標的化シグナルまたは膜貫通領域などの機能的ドメインの連結が含まれる。融合蛋白内に取り込ませ得る蛋白またはペプチドの例には、細胞分裂抑制蛋白、細胞破壊蛋白、アポトーシス促進剤、抗血管形成剤、ホルモン、サイトカイン、成長因子、ペプチド薬、抗体、Fab断片抗体、抗原、受容体蛋白、酵素、レクチン、MHC蛋白、細胞接着蛋白および結合蛋白が含まれる。融合蛋白の生成方法は当業者に周知である。このような蛋白は、たとえば、二官能性架橋結合試薬を用いた化学付着によって、完全な融合蛋白の新規合成によって、または、標的化ペプチドをコードしているDNA配列を第2のペプチドもしくは蛋白をコードしているDNA配列と付着させ、次いでインタクトな融合蛋白を発現させることによって、生産することができる。
【0058】
特定の実施形態では、融合蛋白は、たとえば腫瘍壊死因子αおよびβ受容体の形態の腫瘍壊死因子阻害剤であり(TNFR−1、1991年3月20日公開の欧州特許EP417,563号、およびTNFR−2、1991年3月20日公開の欧州特許EP417,014号、これらのそれぞれがその全体で本明細書中に参照により組み込まれている)、本発明に従って分析する(総説には、その全体が本明細書中に参照により組み込まれているNaismithおよびSprang、J Inflamm.、47(1〜2):1〜7、1995〜96参照)。一部の実施形態によれば、腫瘍壊死因子阻害剤は可溶性TNF受容体を含む。特定の実施形態では、腫瘍壊死因子阻害剤は、免疫グロブリンのFc領域を含めた免疫グロブリン蛋白の一部分と融合した可溶性TNFRを含む。特定の実施形態では、本発明のTNF阻害剤は、TNFR IおよびTNFR IIの可溶形である。特定の実施形態では、本発明のTNF阻害剤は可溶性TNF結合蛋白である。特定の実施形態では、本発明のTNF阻害剤は、TNFR−Fc、たとえばエタネルセプトである。本明細書中で使用する「エタネルセプト」とは、p75TNF−α受容体の細胞外部分の2つの分子の二量体であるTNFR−Fcをいい、それぞれの分子はヒトIgG1の235個のアミノ酸のFc部分からなる。本発明に従って、カルノシンなどの抗老化化合物を用いて、TNFR−Fcの生産中の誤折り畳みおよび/または凝集蛋白の量を低下させる。
【0059】
蛋白またはペプチドは、標準の分子生物学的技法による蛋白、ポリペプチドもしくはペプチドの発現、天然源からの蛋白もしくはペプチドの単離、または蛋白もしくはペプチドの化学合成を含めた、当業者に知られている任意の技法によって作製し得る。本明細書中に開示した技法を用いてまたは当業者に知られているように、既知の遺伝子のコード領域を増幅および/または発現させ得る(たとえばKaleeba他(2006)Science、311(5769):1921〜4参照)。あるいは、蛋白、ポリペプチドおよびペプチドの様々な市販の調製物が当業者に知られている。
【0060】
さらに、本明細書中で使用する用語「所望の発現レベル」とは、蛋白の物理化学的特徴に応じて、続く蛋白の精製を可能にするために必要な蛋白を意味する。目的とする蛋白の所望の発現レベルは、利用する生産方法に関連するいくつかの要因に依存する。たとえば、特定の細胞系からの発現レベルは、蛋白の品質および量の分析ならびに蛋白の効率的な精製を可能にする。したがって、細胞系からの所望の蛋白発現レベルは、蛋白の特徴ならびに蛋白で用いる精製およびアッセイの方法を考慮して、当業者によって決定される。
【0061】
特定の実施形態では、蛋白発現の所望のレベルは、目的とする蛋白の特定の要件に基づいて選択する。たとえば、当業者は、産生される蛋白の量を最大限にするために、所望の蛋白発現レベルを増加した目的蛋白発現レベルであると選択することができる。他の実施形態では、毒素などの、毒素を産生する細胞において高レベルで毒性がある蛋白の場合、所望の蛋白発現レベルを低下した目的蛋白発現レベルであると選択する。さらに、低下した蛋白発現レベルは、目的とする蛋白が高濃度のレベルで封入体を形成する状況において選択する。したがって、当業者によって選択される蛋白発現レベルは、目的とする蛋白の特徴に依存する。
【0062】
細胞系によって産生される蛋白の量および品質を決定するにあたって、典型的には細胞系の試料が蛋白発現および蛋白品質評価に必要である。特定の実施形態では、細胞溶解および上清単離などの当分野で知られている手段を用いて細胞系の試料を単離する(たとえば、Vara他(2005)Biomaterials、26(18):3987〜93、Iyer他(1998)J.Biol.Chem.、273(5):2692〜7参照)。あるいは、細胞系の試料を、抗体、細胞外基質蛋白、または血清蛋白などの分泌蛋白を有する培地から単離する。そのような実施形態では、培地は、蛋白の量および品質について試験する試料である。一実施形態では、本明細書中に詳述するように、培地試料を、事前の精製工程を全く存在させずに、蛋白量について試験するアッセイで用いる。
【0063】
本発明の別の態様は、蛋白を生産するための細胞系のハイスループットスクリーニング方法を提供する。この方法では、蛋白発現レベルは、固体支持体を、蛋白を含む細胞系の試料と接触させることによって決定する。一実施形態では、細胞系の試料は細胞培養培地である。固体支持体は、その表面に、蛋白と結合することができる第1の結合剤が付着している。また、この方法には、第1の結合剤と結合した蛋白と結合し、固体支持体上に固定されている第2の結合剤も含まれる。第2の結合剤は検出可能な標識と作動可能に連結している。細胞系は蛋白に必要な所望の発現レベルに基づいて選択される。
【0064】
特定の蛋白の発現レベルは、第1の結合剤をニトロセルロース、ナイロン、またはPVDFなどの膜上に固定する「ドットブロット」によって測定することができる(たとえばHeinicke他(1992)J.Immunol.Methods.、152(2):227〜36参照)。また、蛋白マイクロアレイ技術を用いて、試料中の蛋白の発現を決定することもできる。あるいは、第1の結合剤を含むマルチウェルプレートのウェル内に試料を入れる。そのような実施形態では、ELISA分析などの同様の技法が当分野で日常的である(たとえば、Ausubel他(1996)Current Protocols in Molecular Biology、第1巻、ページ4.2.1〜4.2.9、John Wiley & Sons,Inc.参照。
【0065】
一部の実施形態では、自動ワークステーションを用いて細胞系の試料のハイスループットスクリーニングおよび/または精製を行う。さらに、自動ワークステーションを用いて細胞培養法の開発を行うことができる。自動ワークステーションは、一般的に、多数の実験を短期間内に行うために当分野で利用される。自動ワークステーションの例には、それだけには限定されないが、TECAN Genesisワークステーション(TECAN Schweiz AG、スイス、Mannedorf)およびBiomek FXワークステーション(Beckman Coulter、カリフォルニア州Fullerton)が含まれる。使用方法は自動ワークステーションの製造者から得ることができ、当分野で周知である。
【0066】
1.2.結合剤
本発明の態様は、目的とする蛋白を結合するために結合剤を利用する。特定の実施形態では、結合剤は抗体またはその断片である。蛋白と特異的に結合する結合剤が抗体である場合は、抗体は、それだけには限定されないが、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体、遺伝子操作した抗体、二重特異性抗体(二重特異性抗体の特異性の一方がトリオースリン酸イソメラーゼ蛋白と特異的に結合する)、抗体断片(それだけには限定されないが、「Fv」、「F(ab’)2」、「F(ab)」、および「Dab」が含まれる)、ならびに抗体の反応性部分を表す単鎖(「SC−MAb」)であり得る。抗体および他の結合剤を作製する方法は周知である(たとえば、Coligan他(1991)免疫学の最新プロトコル(Current Protocols in Immunology)、John Wiley and Sons,Inc.、Jones他(1986)Nature、321:522〜525、Marx(1985)Science、229:455〜456、Rodwell(1989)Nature、342:99〜100、Clackson(1991)Br.J.Rheumatol.、3052:36〜39、Reichman他(1988)Nature、332:323〜327、Verhoeyen他(1988)Science、239:1534〜1536参照)。
【0067】
結合剤は、抗体のFc部分と結合する抗体またはその断片であり得る。特定の実施形態では、結合剤は、細胞系の試料中の抗体の検出を可能にする。具体的な実施形態では、第2の結合剤である抗体を、ルテニウムなどの電気化学発光性の検出可能な標識で検出可能に標識する。さらに、第2の結合剤は、ルテニウムなどの電気化学発光性の検出可能な標識で検出可能に標識したF(ab’)2断片であり得る。
【0068】
F(ab’)2断片を用いた目的とする蛋白の検出を図1に示す。F(ab’)2断片は、Oriタグなどの検出可能な標識と作動可能に連結している。図1では、F(ab’)2断片は、この図の例中で目的とする蛋白である抗体のFc部分を認識する。抗体はビーズ上に固定されており、これにはプロテインAまたはストレプトアビジンがコンジュゲートしている(図1)。F(ab’)2断片の結合は光の生成として観察される(図1)。
【0069】
本発明の一態様で第1の結合剤として用いる抗体を固体支持体の表面上にカップリングできることに留意することが重要である。第1の結合剤のカップリングは反応のシグナル強度を向上させ、改善された結果が生じる。一般的なカップリング剤には、それだけには限定されないが、(3−メルカプトプロピル)トリメトキシシランを用いたシラン処理、アガロースコーティング、およびポリ−L−リシンフィルムが含まれる。さらに、支持体とのカップリングを容易にするタグが含まれるように、組換え抗体を操作することができる。たとえば、ヒスチジンタグを有する組換え抗体を、ニッケルでコーティングした支持体とカップリングさせることができる。
【0070】
さらに、ペプチド、ペプチド模倣化合物、および小分子などの化合物を結合剤として用いることができる。結合剤は、それだけには限定されないが、糖類、脂肪酸、ステロール、イソプレノイド、プリン、ピリミジン、上記の誘導体もしくは構造的類似体、またはそれらの組合せなどを含めた、ペプチドまたは他の生体分子から合成することができる。ファージディスプレイライブラリおよび化学コンビナトリアルライブラリを用いて、目的とする蛋白に許容される結合剤である合成化合物を開発および選択することができる。また、ペプトイド、ランダム生体オリゴマー(米国特許第5,650,489号)、ベンゾジアゼピン、ダイダントイン(dydantoin)、ベンゾジアゼピンおよびジペプチドなどのダイバーソマー(diversomer)、β−D−グルコース足場材料を有する非ペプチドペプチド模倣体、オリゴカルバメートまたはペプチジルホスホネートから作製した潜在的な結合剤の使用も、本発明で想定される。
【0071】
特定の例では、結合剤は、蛋白と特異的に相互作用、結合、または会合するように設計されたペプチドであり得る。また、ペプチド結合剤は、任意の他の蛋白のアミノ酸配列と相互作用、会合、または結合することもできる。ペプチドをアシル化、アルキル化、エステル化、アミド化などの定方向またはランダム化学修飾に供することができる。
【0072】
ペプチド結合剤の同定およびスクリーニングは、目的とする蛋白の構造的特徴を、たとえば、X線結晶構造解析、中性子回析、核磁気共鳴分光測定、および構造決定のための他の技法を用いて決定することによってさらに容易となる。コンピュータアルゴリズムにより結合剤の同定をさらに容易にすることができる。既知の三次元構造のペプチドおよび小分子のデータベースを、標的蛋白の部位に幾何学的に当てはまる候補について走査することができるコンピュータアルゴリズムを用いる(たとえばChenおよびKellogg(2005)J.Comput.Aided Mol.Des.、19(2):69〜82参照)。この種のアルゴリズムのほとんどが、蛋白のドメインの結合ポケットまたは領域の形状に相補的な、幅広い種類の化学構造を探す方法を提供する。特定のデータベースからのペプチド組のそれぞれを比較して、目的とする蛋白と相互作用する潜在性を最も有する特定ペプチドを決定することができる。
【0073】
本発明の化合物はまた、少なくとも部分的に非天然であり得るペプチド模倣化合物であることもできる。ペプチド模倣化合物は、任意の望ましいアミノ酸配列の一部分の小分子模倣体であり得る。化合物は、模倣体のおかげで安定性、有効性、力価および生体利用度が増加していてよい。さらに、化合物の毒性が低下していてよい。ペプチド模倣化合物は、粘膜腸管透過性が増強されていてよい。化合物を合成によって調製することができる。本発明の化合物には、L−、D−または非天然アミノ酸、α,α二置換アミノ酸、N−アルキルアミノ酸、乳酸(アラニンの等電子類似体)が含まれ得る。化合物のペプチド主鎖は、少なくとも1つの結合がPSI−[CH=CH]で置き換えられていてよい(Kempf他(1991)Int.J.Pept.Protein Res.、38(3):237〜41)。化合物にはさらに、トリフルオロチロシン、p−Cl−フェニルアラニン、p−Br−フェニルアラニン、ポリ−L−プロパルギルグリシン、ポリ−D,L−アリルグリシン、またはポリ−L−アリルグリシンが含まれ得る。
【0074】
本発明の一例は、化合物の単結合、ペプチド主鎖またはアミノ酸構成要素が適切な模倣体で置き換えられているペプチド模倣化合物である。適切なアミノ酸模倣体であり得る非天然アミノ酸の例には、それだけには限定されないが、β−アラニン、L−α−アミノ酪酸、L−γ−アミノ酪酸、L−α−アミノイソ酪酸、L−ε−アミノカプロン酸、7−アミノヘプタン酸、L−アスパラギン酸、L−グルタミン酸、システイン(アセトアミドメチル)、N−ε−Boc−N−α−CBZ−L−リシン、N−ε−Boc−N−α−Fmoc−L−リシン、L−メチオニンスルホン、L−ノルロイシン、L−ノルバリン、N−α−Boc−N−δ−CBZ−L−オルニチン、N−δ−Boc−N−α−CBZ−L−オルニチン、Boc−p−ニトロ−L−フェニルアラニン、Boc−ヒドロキシプロリン、Boc−L−チオプロリンが含まれる。(Blondelle他(1994)Antimicrob.Agents.Chemother.、38(10):2280〜6、Pinilla他(1995)Biopolymers.、37(3):221〜40)。
【0075】
場合によっては、結合剤は、蛋白と結合、相互作用、または会合する小分子であり得る。そのような小分子は、細胞の脂質二重層を透過することができる有機分子であり得る。小分子には、それだけには限定されないが、毒素、キレート化剤、金属、および半金属化合物が含まれる。小分子は、小分子を特定の細胞へと特異的に導くために、標的化剤と付着またはコンジュゲートしていてよい。
【0076】
一部の実施形態では、結合剤は、生理的条件下で転写因子などの蛋白と結合する、完全長配列、完全長配列の断片または合成オリゴヌクレオチドであり得る核酸配列である。「核酸」とは、2つ以上のヌクレオチドを含むポリマーをいい、一本鎖、二本鎖、および三本鎖のポリマーが含まれる。「ヌクレオチド」とは、天然に存在する化合物および天然に存在しない化合物をどちらもいい、ヘテロ環式塩基、糖、およびリン酸エステルなどの連結基を含む。たとえば、2’−O位のメチルもしくはアリル基または2’−O基を置換するフルオロ基など、構造基をヌクレオチドのリボシルまたはデオキシリボシル単位に付加し得る。核酸のリン酸ジエステルなどの連結基を、たとえばメチルホスホネートまたはO−メチルホスフェートで置換または修飾し得る。塩基および糖も、当分野で知られているように修飾することができる。本開示の目的のために、「核酸」には、ネイティブまたは修飾した核酸塩基がポリアミド主鎖に付着している「ペプチド核酸」も含まれる。
【0077】
本発明の結合剤を検出可能な標識とコンジュゲートさせることができる。本発明によれば、「検出可能な標識」とは感知できる部分である。一部の実施形態では、検出可能な標識は結合剤と作動可能に連結している。「作動可能に連結した」とは、検出可能な標識が、共有または非共有(たとえばイオン)結合のどちらかによって結合剤に付着していることを意味する。共有結合を生じる方法は知られている(たとえば、Wong,S.S.(1991)蛋白のコンジュゲーションおよび架橋結合の化学(Chemistry of Protein Conjugation and Cross−Linking)、CRC Press、Burkhart他(1999)アミノ架橋結合剤またはアミノプラストの化学および応用(The Chemistry and Application of Amino Crosslinking Agents or Aminoplasts)、John Wiley&Sons Inc.の一般的なプロトコルを参照されたい)。
【0078】
本発明に従って、検出可能に標識した結合剤には、検出可能な部分とコンジュゲートした結合剤が含まれる。本発明の別の検出可能に標識した結合剤は融合蛋白であり、一方のパートナーが結合剤であり、他方のパートナーが検出可能な標識である。検出可能に標識した結合剤のさらに非限定的な例は、結合剤と第2の部分に対して高い親和性を有する第1の部分とを含む第1の融合蛋白、および第2の部分と検出可能な標識とを含む第2の融合蛋白である。たとえば、蛋白と特異的に結合する結合剤がストレプトアビジン部分と作動可能に連結している。フルオレセイン部分と作動可能に連結しているビオチン部分を含む第2の融合蛋白を、結合剤−ストレプトアビジン融合蛋白に付加し、第2の融合蛋白と結合剤−ストレプトアビジン融合蛋白との組合せにより、検出可能に標識された結合剤(すなわち、検出可能な標識と作動可能に連結している結合剤)がもたらされる。具体的な実施形態では、検出可能な標識は医学的イメージング装置またはシステムによって検出可能である。たとえば、医学的イメージングシステムがX線機器の場合、X線機器によって検出することができる検出可能な標識は放射性標識(たとえば32P)である。結合剤は必ずしも検出可能な部分と直接コンジュゲートしている必要はないことに留意されたい。たとえば、それ自体が検出可能な二次結合剤(たとえばFITC標識したヤギ抗マウス二次抗体)と特異的に結合している結合剤(たとえば抗体)は、検出可能な部分(すなわちFITC部分)と作動可能に連結している。
【0079】
検出可能な標識は、それだけには限定されないが、フルオロフォア(たとえば、フルオレセイン(FITC)、フィコエリスリン、ローダミン)、化学色素、または放射性、化学発光性、電気化学発光性、磁性、常磁性、プロ磁性の化合物、または有色、化学発光性、もしくは磁性であり得る産物を生じる酵素であり得る。シグナルは、分光的、光化学的、生化学的、免疫組織学的、電気的、光学的または化学的な手段を含めた任意の適切な手段によって検出可能である。特定の場合では、シグナルは2つ以上の手段によって検出可能である。特定の実施形態では、蛋白標識には、蛍光色素、放射標識、電気化学発光性、および化学発光性標識が含まれる。
【0080】
たとえば、結合剤のアミノ酸はCy5/Cy3蛍光色素とコンジュゲートしていてよい。これらの色素は当分野で頻繁に使用される(たとえばLinder他(2002)Electrophoresis.、23(5):740〜9参照)。蛍光標識は、1−および2−アミノナフタレン、p,p’ジアミノスチルベン、ピレン、第四級フェンアントリジン塩、9−アミノアクリジン、p,p’−ジアミノベンゾフェノンイミン、アントラセン、オキサカルボシアニン、マロシアニン、3−アミノエキレニン、ペリレン、ビスベンズオキサゾール、ビス−p−オキサゾリルベンゼン、1,2−ベンゾフェナジン、レチノール、ビス−3−アミノプリジニウム塩、ヘレブリゲニン、テトラサイクリン、ステロフェノール、ベンズイミダゾリルフェニルアミン、2−オキソ−3−クロメン、インドール、キサンテン、7−ヒドロキシクマリン、フェノキサジン、サリチレート、ストロファンチジン、ポルフィリン、トリアリールメタン、フラビン、キサンテン色素(たとえば、フルオレセインおよびローダミ色素)、シアニン色素、4,4−ジフルオロ−4−ボラ−3a,4a−ジアザ−s−インダセン色素ならびに蛍光蛋白(たとえば、緑色蛍光蛋白、フィコビリ蛋白)などの非限定的な例を含めた様々な構造的クラスから選択することができる。
【0081】
他の有用な色素は化学発光色素であり、それだけには限定されないが、ビオチンとコンジュゲートしたアミノ酸が含まれ得る。具体的な実施形態では、電気化学発光プローブが結合剤とコンジュゲートしている。本明細書中で使用する「電気化学発光」とは、電気化学反応に続いて起こる化学発光反応をいう。電気化学発光プローブには、それだけには限定されないが、ルミノール、アクリダンエステル、ルテニウム、ルテニウムキレート、およびルテニウムトリビピリジン、NHSエステルが含まれる。電気化学発光プローブは、たとえばBioVeris Corp.(メリーランド州Gaithersburg)から購入することができる。
【0082】
1.3 分析アッセイ
本発明の態様はまた、蛋白の品質のアッセイも利用する。これらのアッセイは、目的とする蛋白のハイスループット力価スクリーニング中に利用することができる。蛋白の品質はまた、細胞培養法の開発中に決定することもできる。蛋白の品質の一部として、蛋白の構造には、蛋白の一次、二次、三次、および四次構造、ならびにグリコシル化、脂質化、およびリン酸化などの翻訳後修飾が含まれる。さらに、蛋白の大きさ、形状、および電荷が蛋白の品質に影響を与える。蛋白の物理的構造は、その正常な機能を行う蛋白の能力に対して著しい効果を与える。酵素反応のコンテキストでは、蛋白の構造は、完全な酵素品質にとって極めて重要である。抗体またはその断片のコンテキストでは、抗体のアミノ酸の大きさ、形状、表面電荷、グリコシル化、およびリン酸化が抗体のエピトープ特異性に対して著しい効果を与える。
【0083】
一部の実施形態では、NMR、マトリックス支援レーザー脱離/飛行時間(「MALDI−TOF」)分析、および円二色性を用いて蛋白の物理的構造を決定する(たとえば、米国特許第6,930,305号、第7,005,272号、および第7,029,872号参照)。そのような技法は蛋白の全体的な物理的構造の具体的な分析を提供する。これらの技法は当分野で周知である。
【0084】
具体的な実施形態では、サイズ排除クロマトグラフィーを用いて目的とする蛋白の大きさを決定する(たとえばBrooks他(2000)Proc.Natl.Acad.Sci.USA.、97(13):7064〜7067参照)。さらに、陽イオン交換クロマトグラフィーを用いて蛋白の電荷を決定することができる(たとえばZhangおよびGlatz(1999)Biotechnol.Prog.、15(1):12〜18参照)。目的とする蛋白の構造を同定するために利用することができる他の技法には、それだけには限定されないが、逆相HPLC、キャピラリー電気泳動SDS、キャピラリーゾーン電気泳動、および高pH陰イオン交換HPLCが含まれる。これらの技法は、当分野で周知の手順を用いて実施することができる。
【0085】
他の構造的アッセイにはシアル酸アッセイおよびレクチンアッセイが含まれる。これらのアッセイでは、蛋白の品質について情報をもたらす、蛋白の表面上で認められるグリコシル化レベルが同定される。シアル酸アッセイは、試料中に存在する炭水化物の程度を決定するために用いられており、これらの技法は当分野で知られている(たとえば、米国特許第5,807,553号および第5,855,901号参照)。レクチンに基づいたアッセイも、試料中の炭水化物の存在を検出するが、蛋白−炭水化物の相互作用の機構を通じて行う(たとえば米国特許第5,633,148号参照)。レクチンアッセイは炭水化物結合のために当分野で広く用いられており、たとえば米国特許第6,331,319号に記載されている。
【0086】
蛋白の物理的構造の決定に加えて、特定の機能を行う蛋白の能力のアッセイを行うことができる(たとえば米国特許第7,029,862号参照)。また、蛋白またはポリペプチド(たとえば、ハイブリッド形成核酸によってコードされている)の結合機能を、たとえば結合または結合阻害アッセイで、受容体を含む膜画分または受容体を発現する細胞を用いて検出することができる(たとえば、Van Riper他(1993)J.Exp.Med.、177:851 856、Sledziewski他、米国特許第5,284,746号参照)。したがって、コードされている蛋白またはポリペプチドが、リガンド、阻害剤および/またはプロモーターと結合する能力を、評価することができる。本発明の核酸によってコードされている蛋白またはポリペプチドの抗原性特性は、免疫ブロッティング、免疫沈降および免疫アッセイ(たとえば、ラジオイムノアッセイ、ELISA)などの、蛋白と結合する抗体を用いた免疫学的方法によって決定することができる。
【0087】
蛋白またはポリペプチド(たとえば、ハイブリッド形成核酸によってコードされている)のシグナル伝達機能は、酵素アッセイによって検出することができる。蛋白またはポリペプチド(たとえば、ハイブリッド形成核酸によってコードされている)の刺激機能は、蛋白またはポリペプチドを発現する細胞を用いた、化学走性またはメディエーターの放出の標準のアッセイによって検出することができる(たとえば、リガンドまたはプロモーターに応答した、化学走性、開口分泌(たとえば、エステラーゼ(たとえばセリンエステラーゼ)、パーフォリン、グランザイムなどの酵素の脱顆粒)またはメディエーターの放出(たとえば、ヒスタミン、ロイコトリエン)をモニターするアッセイ(たとえば、Taub他(1995)J.Immunol.、155:3877〜3888、Baggliolini,M.およびC.A.Dahinden(1994)Immunology Today、15:127〜133、ならびにそれらに引用される参考文献参照)。蛋白受容体に特徴的な機能は他の適切な方法によっても評価することができる。
【0088】
本発明による方法を実証するため、十分な量の蛋白および十分な品質の蛋白をどちらも産生する細胞系を同定する目的のために、上述のスクリーニング方法を様々な細胞系で行った。
【実施例】
【0089】
当業者は、日常的な実験しか用いることなく、本明細書中に記載の具体的な物質および手順の数々の均等物を理解する、またはそれを確認することができるであろう。そのような均等物は、以下の実施例に続く特許請求の範囲内に包含されることを意図する。
【0090】
実施例1
ヒトFc蛋白アッセイハイスループットスクリーニング
1.抗Aβ標準の調製
検量線バッファー(SCB)は、20ulの培地R5CD1、ならびに24mlのアッセイバッファー(PBSw/0.05%のTween20および1%のウシ血清アルブミン)を、16アッセイプレート(Corning/Costar、ニューヨーク州Corning)中で混合することによって調製した。6ulの32.5mg/mlの参照標準および644ulのSCBを用いて、0.3mg/mlの中間標準を調製した(毎回新鮮なものを調製した)。1ug/mlの標準を、2mlの深ウェルプレートのA1と指定したウェルおよびさらにH1と指定したウェルに入れた。ウェルA1は16個のアッセイプレートで6ulの0.3mg/mlの中間標準および1794ulのSCBを含んでいた。このプロセスをウェルH1で繰り返した。ウェル中の900ulの溶液を採り、16個のアッセイプレートのそれぞれに900ulのSCBを加えることによって段階希釈を調製した。希釈液は標準のウェル1個あたり50ulに分配された。
【0091】
2.対照の調製
対照は120ug/mlの中間対照の濃度が生じるように調製した。手短に述べると、6ulの32.5mg/mlの参照標準および1619ulの培地R5CD1を混合した。5ulの120ug/mlの中間対照および195ulのアッセイバッファーを混合することによって1:40の希釈液を調製し、20ulの1:40の希釈対照および180ulのアッセイバッファーを混合することによって1:400の希釈液を調製した。80ulの1:400の希釈対照を採り、2個のアッセイプレート毎に160ulのアッセイバッファーを混合することによって、1:1200希釈の希釈液を調製した。1:1200の希釈液を、0.1の対照ウェルあたり50ulの量で分配した。
【0092】
さらに、150ulの120ug/mlの中間対照(上記のように調製)を1350ulの培地中に混合することによって、0.01μg/mlの対照を含む対照を調製した。5ulの12ug/mlの中間対照を195ulのアッセイバッファー中に混合することによって1:40の希釈液を調製した。20ulの1:40の希釈対照を180ulのアッセイバッファー中に混合することによって1:400の希釈液を調製し、80ulの1:400の希釈対照を160ulのアッセイバッファー/2個のアッセイプレート中に混合することによって1:1200の希釈液を調製した。対照を、0.01の対照ウェルあたり50ulのアリコートの1:1200の希釈対照で分配した。
【0093】
2.ORIタグ付けしたF(ab’)2断片の調製
ORIタグ付けした抗FcF(ab’)2断片(Jackson ImmunoResearch Laboratories,Inc.、ペンシルバニア州West Grove)の調製は、以下のプロトコルを用いて達成した。手短に述べると、50μlのDMSOを1個のバイアルのORITAG NHSエステル(BioVeris、メリーランド州Gaithersburg)に加えた。バイアル底部のORITAGが溶けるまで、混合物を最大設定で渦攪拌した。その後、1638μlのaffiniPure F(ab’)2断片ヤギ抗ヒトIgG抗体を、50μlの溶けたORITAG NHSエステルに、1638ulまで加えた。混合物を渦攪拌し、室温で60分間、暗幕中でインキュベートした。バイアルは、インキュベーション中揺り子で回転させた。
【0094】
20μlの2Mのグリシンを加えることによって反応を停止させ、チューブを箔で巻き、10分間、室温でインキュベートした。インキュベーション中、PBSを含む2つのPD10(Pharmacia、ニュージャージー州Piscataway)カラムを0.1%のNaN3で平衡化し、製造者のプロトコルに従って使用した。チューブ内の全容量を回収するために反応チューブを5秒間遠心分離した。その後、854ulの反応物をそれぞれのPD10カラムに加えた。試料をカラムに添加し、最終的に0.5mlのアリコートの8本のチューブのがそれぞれのカラムから回収された。
【0095】
蛋白濃度はBCA蛋白アッセイキットによって決定した。さらに、第2の工程からの未標識の残りの抗体を、蛋白濃度を決定するための標準として用いた。蛋白試料の吸光度は455nmで測定した。
【0096】
適切な蛋白濃度および良好なORI−TAG:蛋白の比を有する画分をプールした。ウシ血清アルブミンを最終バイアルに加えて、1%のBSA溶液を作製した。バイアルは40℃で保存した。
【0097】
3.細胞系の試料の調製および反応
GP1bα、IL13R、抗CD22抗体、抗ルイスY抗体、抗Aβ抗体、またはTNFR融合蛋白を生成する細胞系由来の5ulの試料および195ulのアッセイバッファーを混合することによって、1:40の希釈液を調製し、20ulの1:40の希釈試料および180ulのアッセイバッファーを混合することによって試料の1:400の希釈液を調製した。最後に、70ulの1:400の希釈試料を採り、試料を140ulのアッセイバッファーと混合することによって、1:1200の希釈液を調製した。この最終希釈液をそれぞれの試料ウェルに50ulで分配した。1:400も、別のアッセイプレート中の試料ウェルに分配した。
【0098】
タグ付けしたF(ab’)2断片を、5344ulのバッファー中に6ulのF(ab’)2断片を含む5350μlのアリコートで、それぞれのアッセイプレートに分配した。50ulの溶液/ウェルであった。
【0099】
プロテインAビーズをDynal Biotech(カリフォルニア州Carlsbad)から得た。ビーズは、5mlのアッセイバッファー/プレート中に30ulの量で分配した。溶液は50ulの容量/ウェルで分配した。
【0100】
すべての試薬および試料を以下のようにプレートに分配した。添加標準、対照、および試料を最初にウェルに添加した。その後、抗FcORIタグ付けしたF(ab’)2断片を添加した。最後に、プロテインAビーズを添加した。
【0101】
混合物を2時間、室温で混合しながらインキュベートし、「FcHuman150」方法を用いてM8またはM384分析装置で読み取った。
【0102】
4.データ分析
実験に用いた標準許容指針は、標準点の繰り返し間の読取値のCVの、10個の標準のうち少なくとも8個が約20%であるべきとするものであった。さらに、対照許容指針は80〜120%内でなければならない。また、試料許容指針は、試料の繰り返し間の読取値のCVが約20%であることを要件とする。これらの範囲内に収まる読取値のみを考察した。
【0103】
5.結果
PSGLに対するF(ab’)2断片のルテニウムでの標識により、有意に高い信号対雑音比が示された(図2)。0.1μg/mlおよび0.4μg/mlのF(ab’)2断片のデータを雑音に対して正規化し、棒グラフ上に配置した。Jackson1、Jackson2、Rockland1、およびSouthern BiotechのF(ab’)2断片は、ルテニウムで標識した際に信号対雑音比が増加していた(図2)。これらの実験は、抗CD22に対するF(ab’)2断片を用いて確認した(図3)。
【0104】
これらの結果は、Fc融合蛋白GP1bα、IL13受容体、およびTNFR融合蛋白に対するF(ab’)2断片を利用した実験でさらに詳述する(図4)。プロットは、標的融合蛋白の濃度が増加するにつれて、F(ab’)2断片を用いた蛋白の検出も増加したことを示す(図4)。Fc融合蛋白の代わりに抗GDF8、抗CD22、および抗ルイスY抗体を標的として用いても同様の結果が得られた(図5)。
【0105】
試料中の蛋白の量を同定するために標識したF(ab’)2断片を用いて、力価スクリーニング方法をHPLCなどの標準のカラム手順に対して試験した。結果により、力価スクリーニング方法が、蛋白の力価を決定するHPLCクロマトグラフィーよりもはるかに速い速度であったことが示された(図6)。蛋白の量の読取値を得るために要した時間は、700個を超えるまでの試料を分析した際に、ハイスループット力価スクリーニングと比較してHPLCを用いた場合に10倍以上多かった(図6)。
【0106】
ハイスループットスクリーニングが標準のカラム手順よりも速いことに加えて、蛋白の量の決定においても正確である(図7、9、10、および11)。上記詳述したHPLCおよび力価スクリーニング手順を比較した際、抗ルイスY蛋白、PSGL、抗Aβ、およびTNFR融合蛋白でほぼ同一の力価量が同定された(図7、9、10、および11)。したがって、本明細書中に詳述した力価スクリーニングアッセイは、蛋白の量を決定することにおいて、標準のカラム技法よりも速く、類似の効率を有していた。
【0107】
上記で利用したハイスループットスクリーニングでは、適切な量の抗体を発現する細胞系を同定することができた(図8)。図8に示すように、ハイスループット力価スクリーニングにより、目的とする抗体の最も高い産生体の同定が可能となり、これはクローン1個あたりの力価(μg/ml)の増加によって示される。これらの実験では、最高力価のクローンを1と番号づけ、2番目に高い力価のクローンを2と番号づけ、以下同様にした。したがって、最高級のクローンがアッセイによって迅速に同定された。
【0108】
実施例2
ハイスループット精製および適切な細胞培養条件の同定
1.遠心分離を用いた蛋白の手動精製
細胞培養の開発の潜在的な開発を向上させるために、実施例1のハイスループット力価スクリーニング手順を以下に詳述するハイスループット精製手順と連結することができる。
【0109】
薄い樹脂は20%のエタノール中で届けられた。さらに20%のエタノール溶液を加えて、落ち着いた容量の50%を構成した。溶液を十分に混合し、フィルタープレート(Whatman 7700〜2804、ロングドリップ、25um、96個のウェル×800uL、Whatman LabSciences、ニュージャージー州Orange)のウェルに200uLのアリコート/ウェルで分配した。フィルタープレートを空のマイクロプレート(Corning/Costar、ニューヨーク州Corning)の上に積み重ね、3分間700rpm(約104Gに等しい)で遠心分離して(Sorvall Legend RT)20%のエタノールを除去した。その後、200uL/ウェルのRODI水を加え、空のマクロプレートを下に置いてプレートを3分間遠心分離した。このプロセスを2回繰り返した。
【0110】
洗浄バッファーを200uLのアリコート/ウェルで加えた。空のマイクロプレートを下に置いてプレートを3分間遠心分離した。このプロセスをさらに2回繰り返した。すべての試料が少なくとも170ug/mLとなった際、同じ試料の組の力価がほぼ同じ範囲(+/−20%)となるように最小希釈を行った。試料は、最低濃度に近くなるように希釈した。170ug/mL未満の試料はすべて複数回添加した。複数回の添加が必要な場合、添加した蛋白の全質量が同じ範囲内(+/−20%)にあることを確認するだけのために試料を希釈した。複数回の添加を行う場合、必要な試料を最初に加え、空のウェルに200uLの洗浄バッファーを加えた。必要に応じてフィルタープレートを遠心分離した。
【0111】
すべての試料は、通常のように参照物質のスパイクおよび培地ブランクと共に添加した。試料を500uLの添加容量でプロテインA樹脂(プロテインA Mab Select、Amersham Biosciences)に添加した。スパイク標準を試験試料の組全体に近い濃度で、培地中で調製した。スパイク物質および培地ブランクを500ul/ウェルで添加した。
【0112】
樹脂を試料とマルチチャネルピペットを用いて混合することによって再懸濁させた。樹脂および試料を5〜10分間、室温でインキュベートした。その後、混合物を700rpmで3分間遠心分離し、試料の流動物を深ウェルマイクロプレート(Whatman 7710〜5750、Whatman LabSciences、ニュージャージー州Orange)に回収した。その後、200uL/ウェルの洗浄バッファー(5mMのトリス、20、50または100mMのNaCl、pH7.5)を加え、混合物を、空のマイクロプレートを下に置いて3分間遠心分離した。洗浄バッファーを200uL/ウェルで加えた。空のマイクロプレートを下に置いて試料を3分間遠心分離した。その後、UV回収プレート(Corning/Costar、ニューヨーク州Corning)に対して中和させるために4uLのトリス(2.0Mのトリス、pH8.5、または1.0Mのトリス、pH8.5)を混合物に加えた後、溶出を行った。溶出バッファー(50mMのグリシン、20または50または100mMのNaCl、pH2.5または3.0)を200uLの容量/ウェルでフィルタープレートに加えた。樹脂および溶出バッファーをマルチチャネルピペットで混合した。その後、下に回収プレートを置いてフィルタープレートを3分間遠心分離した。プレートをSpectra Maxプレートリーダー(Molecular Devices)を用いてA280で読み取った。
【0113】
2.カラムクロマトグラフィーを用いた蛋白の品質の決定
CEXアッセイ:溶出液を50uLのアリコートで100uLのCEX移動相Aを含むAgilentプレートに移した。溶液を混合した。標準の手順を用いてカラム精製手順を行った。
【0114】
SECアッセイ:溶出液を30uLの容量でAgilentプレートに移した。溶液を混合した。標準の手順を用いてカラム精製手順を行った。
【0115】
HICおよびシアル酸アッセイ:4μlの2MのトリスをUVプレートに加え、UVプレートに直接溶出させた。溶液を混合し、Spectra Maxプレートリーダーを用いてA280で読み取った。
【0116】
3.結果
上記技法を用いた試料のハイスループット精製により、プレート1個あたり96個までの試料の迅速な精製が可能となった。この精製技法は、精製レベルを低下させずに試料の迅速な精製を生じた(図12および13)。それぞれの試料中に存在する高分子量蛋白の量によって決定されるように、ハイスループット精製技法は他の技法と同等の性能であった(図12および13)。具体的には、ハイスループット精製を標準のプロテインA精製と比較した場合である(図12および13)。
【0117】
さらに、高分子量蛋白の量を用いて、様々な細胞培養条件で増殖した細胞によって生成された蛋白の品質を決定した(図14)。図14に示すように、試験した様々な培地は精製後に異なる量の高分子量蛋白を示し、これは培地に依存していると考えられる。具体的には、特定の培地条件が、高分子量蛋白の量に関して他の培地と比較して統計的に有意な向上を示した(図14、大きな矢印)。したがって、上記で利用した細胞培養法の開発手順では、下流の精製において向上した増殖の特徴を示した培地が同定された。
【0118】
均等物
当業者は、日常的な実験しか用いることなく、本明細書中に記載の具体的な組成物および手順の数々の均等物を理解する、またはそれを確認することができるであろう。そのような均等物は本発明の範囲内にあるとみなされ、以下の特許請求の範囲にカバーされる。
【図面の簡単な説明】
【0119】
【図1】細胞試料中の抗体の検出を示す、ハイスループット蛋白発現アッセイを表す図である。
【図2】ルテニウムとコンジュゲートした様々なF(ab’)2断片を用いたシグナル対バックグラウンド比を示すハイスループットスクリーニングアッセイを表すグラフである。
【図3】ルテニウムとコンジュゲートした様々なF(ab’)2断片を用いたシグナル対バックグラウンド比を示すハイスループットスクリーニングアッセイを表すグラフである。
【図4】様々な濃度のGP1bα、IL13受容体、およびTNFR融合蛋白を検出するハイスループットスクリーニングアッセイの感度を示すプロットを表すグラフである。
【図5】様々な濃度の抗GDF8、抗CD22、および抗ルイスY抗体を検出するハイスループットスクリーニングアッセイの感度を示すプロットを表すグラフである。
【図6】ハイスループット力価スクリーニングアッセイおよびHPLCアッセイに必要なアッセイ時間を示すプロットを表すグラフである。
【図7】試料中のTNFR融合蛋白のレベルを決定することにおける、ハイスループットスクリーニングアッセイとHPLCとの比較を示すグラフである。
【図8】ハイスループット力価スクリーニングアッセイによって決定された、クローン中の発現レベルを示すグラフである。
【図9】試料中の抗ルイスY抗体のレベルを決定することにおける、ハイスループットスクリーニングアッセイとHPLCとの比較を示すグラフである。
【図10】試料中のPSGLおよびGP1bαのレベルを決定することにおける、ハイスループットスクリーニングアッセイとHPLCとの比較を示すグラフである。
【図11】試料中の抗Aβのレベルを決定することにおける、ハイスループットスクリーニングアッセイとHPLCとの比較を示すグラフである。
【図12】様々な精製手順を用いて精製した試料中に見つかる高分子量蛋白の割合を示すグラフである。
【図13】様々な精製手順を用いて精製した試料中に見つかる高分子量蛋白の割合を示すグラフである。
【図14】様々な条件で増殖させた様々な細胞系から単離した試料中に見つかる高分子量蛋白の量を示す棒グラフを表すグラフである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)細胞系より得られた試料を第1の結合剤と接触させることによって、該試料をスクリーンに付して、それぞれの細胞系における目的蛋白の発現レベルを決定すること;
b)目的蛋白を、検出可能な標識と作動可能に連結している第2の結合剤と接触させること;
c)目的とする蛋白の発現レベルを決定すること;
d)目的とする蛋白の適切な品質を決定すること;
e)目的とする蛋白のハイスループット蛋白発現のための細胞系を選択すること
を含み、
ここで、細胞系が目的とする蛋白の所望の発現レベルおよび適切な品質を生じる場合にその細胞系を選択する、
蛋白の発現について細胞系をハイスループットスクリーニングする方法。
【請求項2】
目的とする蛋白が、抗体、リガンド、受容体、蛋白のサブユニット、蛋白の断片、融合蛋白、組換え蛋白、およびそれらの断片からなる群から選択される、請求項1記載の方法。
【請求項3】
目的とする蛋白が、抗体、組換え抗体、またはF(ab’)2断片である、請求項2記載の方法。
【請求項4】
第1の結合剤が、抗体、リガンド、受容体、融合蛋白、蛋白のサブユニット、組換え蛋白、およびそれらの断片からなる群から選択される、請求項1記載の方法。
【請求項5】
第1の結合剤がプロテインAまたはストレプトアビジンである、請求項4記載の方法。
【請求項6】
第1の結合剤が、ビーズ、プレート、およびマイクロアレイチップからなる群から選択された固体支持体に付着することができる、請求項4記載の方法。
【請求項7】
固体支持体が、セルロース、セファロース、ポリアクリルアミド、ガラス、またはポリスチレンを含む、請求項6記載の方法。
【請求項8】
目的とする蛋白の適切な品質が、電荷、大きさ、酵素活性、抗体−エピトープ相互作用、核酸結合、炭水化物含量、二次構造、三次構造、および結合活性からなる群から選択される、請求項1記載の方法。
【請求項9】
第2の結合剤が、抗体、リガンド、受容体、融合蛋白、蛋白のサブユニット、組換え蛋白、およびそれらの断片からなる群から選択される、請求項1記載の方法。
【請求項10】
第2の結合剤が抗体またはその断片である、請求項9記載の方法。
【請求項11】
抗体がF(ab’)2断片である、請求項10記載の方法。
【請求項12】
F(ab’)2断片が抗体のFc部分と特異的に結合する、請求項11記載の方法。
【請求項13】
ルテニウムで標識した第2の結合剤を、フルオロフォア、化学色素、放射性結合剤、化学発光性結合剤、電気化学発光剤、磁性結合剤、常磁性結合剤、プロ磁性結合剤、有色産物をもたらす酵素、化学発光性産物をもたらす酵素、および磁性産物をもたらす酵素からなる群から選択される第2の検出可能な標識で標識する、請求項1記載の方法。
【請求項14】
F(ab’)2断片が2個またはそれ以上のルテニウム標識と作動可能に連結している、請求項12記載の方法。
【請求項15】
試料を樹脂と付着した第3の結合剤と接触させる、請求項1記載の方法。
【請求項16】
第3の結合剤が、抗体、リガンド、受容体、融合蛋白、蛋白のサブユニット、組換え蛋白、およびそれらの断片からなる群から選択される、請求項15記載の方法。
【請求項17】
第3の結合剤がプロテインAまたはストレプトアビジンである、請求項16記載の方法。
【請求項18】
第3の結合剤が固体支持体に付着している、請求項17記載の方法。
【請求項19】
樹脂を混合物から単離し、発現された目的とする蛋白を第3の結合剤から溶出させる、請求項1記載の方法。
【請求項20】
目的とする蛋白を真空溶出および重力流からなる群から選択された方法によって溶出させる、請求項19記載の方法。
【請求項21】
自動ワークステーションを用いて細胞系をスクリーニングする、請求項1記載の方法。
【請求項22】
a)固体支持体を細胞系から単離した試料と接触させ、ここで該固体支持体はその表面に付着した第1の結合剤を有し、該第1の結合剤は目的とする蛋白との結合能を有すること;
b)試料を目的とする蛋白と結合する第2の結合剤と接触させ、ここで第2の結合剤は検出可能な標識と作動可能に連結していること;
c)目的とする蛋白の発現レベルを、目的とする蛋白と結合した第2の結合剤と作動可能に連結している標識を検出することによって、決定すること;および
d)それぞれの細胞系における目的とする蛋白の発現レベルを目的とする蛋白の平均発現レベルと比較し、その比較に基づいて細胞系を選択すること
を含み、
ここで、細胞系における目的とする蛋白の発現レベルが、すべての細胞系における目的とする蛋白の平均発現レベルより大きいまたはそれ未満のどちらかである場合に、その細胞系を蛋白の産生について選択する、
蛋白発現および産生について細胞系をハイスループットスクリーニングする方法。
【請求項23】
選択した細胞系から上清を単離すること、および上清を目的とする蛋白と結合する試薬と接触させることをさらに含む、請求項22記載の方法。
【請求項24】
試薬が固体支持体に付着している、請求項23記載の方法。
【請求項25】
固体支持体がマルチウェルプレートである、請求項24記載の方法。
【請求項26】
結合した目的とする蛋白を試薬から溶出させ、適切な品質についてアッセイを行う、請求項23記載の方法。
【請求項27】
細胞系が工程e)で選択され、発現された目的とする蛋白が適切な品質を有する場合に、細胞系を蛋白発現について選択する、請求項26記載の方法。
【請求項28】
目的とする蛋白が抗体、リガンド、受容体、蛋白のサブユニット、蛋白の断片、融合蛋白、組換え蛋白、およびそれらの断片からなる群から選択される、請求項22記載の方法。
【請求項29】
目的とする蛋白が抗体、組換え抗体、またはF(ab’)2断片である、請求項28記載の方法。
【請求項30】
第1の結合剤が抗体、リガンド、受容体、融合蛋白、蛋白のサブユニット、組換え蛋白、およびそれらの断片からなる群から選択される、請求項22記載の方法。
【請求項31】
第1の結合剤がプロテインAまたはストレプトアビジンである、請求項30記載の方法。
【請求項32】
結合剤がビーズ、プレート、およびマイクロアレイチップからなる群から選択された固体支持体と付着することができる、請求項22記載の方法。
【請求項33】
固体支持体がセルロース、セファロース、ポリアクリルアミド、ガラス、またはポリスチレンを含む、請求項24記載の方法。
【請求項34】
第2の結合剤が抗体、リガンド、受容体、融合蛋白、蛋白のサブユニット、組換え蛋白、およびそれらの断片からなる群から選択される、請求項22記載の方法。
【請求項35】
第2の結合剤が抗体またはその断片である、請求項34記載の方法。
【請求項36】
抗体がF(ab’)2断片である、請求項35記載の方法。
【請求項37】
抗体が抗体のFc部分と特異的に結合するF(ab’)2断片である、請求項35記載の方法。
【請求項38】
検出可能な標識がフルオロフォア、化学色素、放射性結合剤、化学発光性結合剤、電気化学発光剤、磁性結合剤、常磁性結合剤、プロ磁性結合剤、有色産物をもたらす酵素、化学発光性産物をもたらす酵素、および磁性産物をもたらす酵素からなる群から選択される、請求項22記載の方法。
【請求項39】
検出可能な標識がルテニウムである、請求項38記載の方法。
【請求項40】
試薬が第3の結合剤が付着した樹脂を含み、第3の結合剤が目的とする蛋白との結合能を有する、請求項22に記載方法。
【請求項41】
第3の結合剤が抗体、リガンド、受容体、融合蛋白、蛋白のサブユニット、組換え蛋白、およびそれらの断片からなる群から選択される、請求項40記載の方法。
【請求項42】
第3の結合剤がプロテインAまたはストレプトアビジンである、請求項41記載の方法。
【請求項43】
樹脂を単離し、目的とする蛋白を第3の結合剤から溶出させる、請求項40記載の方法。
【請求項44】
真空溶出および重力流からなる群から選択された方法を用いて目的とする蛋白を第3の結合剤から溶出させる、請求項43記載の方法。
【請求項45】
インキュベートした細胞系のスクリーニングに自動ワークステーションを利用する、請求項22記載の方法。
【請求項46】
a)異なる細胞培養条件でそれぞれの細胞系をインキュベートすること;
b)それぞれの細胞系の試料を固体支持体に付着した第1の結合剤と接触させ、第1の結合剤が細胞系の試料中の目的とする蛋白と結合すること;
c)第1の結合剤と結合した目的とする蛋白を、検出可能な標識と作動可能に連結している第2の結合剤と接触させること;
d)目的とする蛋白と結合した第2の結合剤と作動可能に連結している標識を検出することによって目的とする蛋白の発現レベルを決定すること、および
e)検出された目的とする蛋白の発現レベルに基づいて細胞系を選択すること
を含み、ここで細胞系における目的とする蛋白の発現レベルが、すべての細胞系における目的とする蛋白の平均発現レベルよりも大きいまたはそれ未満である場合に、該細胞系を選択する、
細胞培養工程を開発する方法。
【請求項47】
選択した細胞系から上清を単離すること、および上清を目的とする蛋白と結合する試薬と接触させることをさらに含む、請求項46記載の方法。
【請求項48】
試薬が固体支持体に付着している、請求項47記載の方法。
【請求項49】
固体支持体がマルチウェルプレートである、請求項48記載の方法。
【請求項50】
結合した目的とする蛋白を試薬から溶出させ、適切な品質についてアッセイを行う、請求項47記載の方法。
【請求項51】
細胞系を工程e)にて選択し、発現された目的とする蛋白が適切な品質を有する場合に、該細胞系を蛋白発現について選択する、請求項50記載の方法。
【請求項52】
目的とする蛋白が抗体、リガンド、受容体、蛋白のサブユニット、蛋白の断片、融合蛋白、組換え蛋白、およびそれらの断片からなる群から選択される、請求項46記載の方法。
【請求項53】
目的とする蛋白が抗体、組換え抗体、またはF(ab’)2断片である、請求項52記載の方法。
【請求項54】
第1の結合剤が抗体、リガンド、受容体、融合蛋白、蛋白のサブユニット、組換え蛋白、およびそれらの断片からなる群から選択される、請求項46記載の方法。
【請求項55】
第1の結合剤がプロテインAまたはストレプトアビジンである、請求項54記載の方法。
【請求項56】
結合剤がビーズ、プレート、およびマイクロアレイチップからなる群から選択された固体支持体と付着することができる、請求項46記載の方法。
【請求項57】
固体支持体がセルロース、セファロース、ポリアクリルアミド、ガラス、またはポリスチレンを含む、請求項48記載の方法。
【請求項58】
第2の結合剤が抗体、リガンド、受容体、融合蛋白、蛋白のサブユニット、組換え蛋白、およびそれらの断片からなる群から選択される、請求項46記載の方法。
【請求項59】
第2の結合剤が抗体またはその断片である、請求項58記載の方法。
【請求項60】
抗体がF(ab’)2断片である、請求項59記載の方法。
【請求項61】
抗体が、抗体のFc部分と特異的に結合するF(ab’)2断片である、請求項59記載の方法。
【請求項62】
検出可能な標識がフルオロフォア、化学色素、放射性結合剤、化学発光性結合剤、電気化学発光剤、磁性結合剤、常磁性結合剤、プロ磁性結合剤、有色産物をもたらす酵素、化学発光性産物をもたらす酵素、および磁性産物をもたらす酵素からなる群から選択される、請求項46記載の方法。
【請求項63】
検出可能な標識がルテニウムである、請求項62記載の方法。
【請求項64】
試薬が第3の結合剤が付着した樹脂を含み、第3の結合剤が目的とする蛋白と結合することができる、請求項46記載の方法。
【請求項65】
第3の結合剤が抗体、リガンド、受容体、融合蛋白、蛋白のサブユニット、組換え蛋白、およびそれらの断片からなる群から選択される、請求項64記載の方法。
【請求項66】
第3の結合剤がプロテインAまたはストレプトアビジンである、請求項65記載の方法。
【請求項67】
樹脂を単離し、目的とする蛋白を第3の結合剤から溶出させる、請求項64記載の方法。
【請求項68】
真空溶出および重力流からなる群から選択された方法を用いて目的とする蛋白を第3の結合剤から溶出させる、請求項67記載の方法。
【請求項69】
インキュベートした細胞系のスクリーニングに自動ワークステーションを利用する、請求項46記載の方法。
【請求項1】
a)細胞系より得られた試料を第1の結合剤と接触させることによって、該試料をスクリーンに付して、それぞれの細胞系における目的蛋白の発現レベルを決定すること;
b)目的蛋白を、検出可能な標識と作動可能に連結している第2の結合剤と接触させること;
c)目的とする蛋白の発現レベルを決定すること;
d)目的とする蛋白の適切な品質を決定すること;
e)目的とする蛋白のハイスループット蛋白発現のための細胞系を選択すること
を含み、
ここで、細胞系が目的とする蛋白の所望の発現レベルおよび適切な品質を生じる場合にその細胞系を選択する、
蛋白の発現について細胞系をハイスループットスクリーニングする方法。
【請求項2】
目的とする蛋白が、抗体、リガンド、受容体、蛋白のサブユニット、蛋白の断片、融合蛋白、組換え蛋白、およびそれらの断片からなる群から選択される、請求項1記載の方法。
【請求項3】
目的とする蛋白が、抗体、組換え抗体、またはF(ab’)2断片である、請求項2記載の方法。
【請求項4】
第1の結合剤が、抗体、リガンド、受容体、融合蛋白、蛋白のサブユニット、組換え蛋白、およびそれらの断片からなる群から選択される、請求項1記載の方法。
【請求項5】
第1の結合剤がプロテインAまたはストレプトアビジンである、請求項4記載の方法。
【請求項6】
第1の結合剤が、ビーズ、プレート、およびマイクロアレイチップからなる群から選択された固体支持体に付着することができる、請求項4記載の方法。
【請求項7】
固体支持体が、セルロース、セファロース、ポリアクリルアミド、ガラス、またはポリスチレンを含む、請求項6記載の方法。
【請求項8】
目的とする蛋白の適切な品質が、電荷、大きさ、酵素活性、抗体−エピトープ相互作用、核酸結合、炭水化物含量、二次構造、三次構造、および結合活性からなる群から選択される、請求項1記載の方法。
【請求項9】
第2の結合剤が、抗体、リガンド、受容体、融合蛋白、蛋白のサブユニット、組換え蛋白、およびそれらの断片からなる群から選択される、請求項1記載の方法。
【請求項10】
第2の結合剤が抗体またはその断片である、請求項9記載の方法。
【請求項11】
抗体がF(ab’)2断片である、請求項10記載の方法。
【請求項12】
F(ab’)2断片が抗体のFc部分と特異的に結合する、請求項11記載の方法。
【請求項13】
ルテニウムで標識した第2の結合剤を、フルオロフォア、化学色素、放射性結合剤、化学発光性結合剤、電気化学発光剤、磁性結合剤、常磁性結合剤、プロ磁性結合剤、有色産物をもたらす酵素、化学発光性産物をもたらす酵素、および磁性産物をもたらす酵素からなる群から選択される第2の検出可能な標識で標識する、請求項1記載の方法。
【請求項14】
F(ab’)2断片が2個またはそれ以上のルテニウム標識と作動可能に連結している、請求項12記載の方法。
【請求項15】
試料を樹脂と付着した第3の結合剤と接触させる、請求項1記載の方法。
【請求項16】
第3の結合剤が、抗体、リガンド、受容体、融合蛋白、蛋白のサブユニット、組換え蛋白、およびそれらの断片からなる群から選択される、請求項15記載の方法。
【請求項17】
第3の結合剤がプロテインAまたはストレプトアビジンである、請求項16記載の方法。
【請求項18】
第3の結合剤が固体支持体に付着している、請求項17記載の方法。
【請求項19】
樹脂を混合物から単離し、発現された目的とする蛋白を第3の結合剤から溶出させる、請求項1記載の方法。
【請求項20】
目的とする蛋白を真空溶出および重力流からなる群から選択された方法によって溶出させる、請求項19記載の方法。
【請求項21】
自動ワークステーションを用いて細胞系をスクリーニングする、請求項1記載の方法。
【請求項22】
a)固体支持体を細胞系から単離した試料と接触させ、ここで該固体支持体はその表面に付着した第1の結合剤を有し、該第1の結合剤は目的とする蛋白との結合能を有すること;
b)試料を目的とする蛋白と結合する第2の結合剤と接触させ、ここで第2の結合剤は検出可能な標識と作動可能に連結していること;
c)目的とする蛋白の発現レベルを、目的とする蛋白と結合した第2の結合剤と作動可能に連結している標識を検出することによって、決定すること;および
d)それぞれの細胞系における目的とする蛋白の発現レベルを目的とする蛋白の平均発現レベルと比較し、その比較に基づいて細胞系を選択すること
を含み、
ここで、細胞系における目的とする蛋白の発現レベルが、すべての細胞系における目的とする蛋白の平均発現レベルより大きいまたはそれ未満のどちらかである場合に、その細胞系を蛋白の産生について選択する、
蛋白発現および産生について細胞系をハイスループットスクリーニングする方法。
【請求項23】
選択した細胞系から上清を単離すること、および上清を目的とする蛋白と結合する試薬と接触させることをさらに含む、請求項22記載の方法。
【請求項24】
試薬が固体支持体に付着している、請求項23記載の方法。
【請求項25】
固体支持体がマルチウェルプレートである、請求項24記載の方法。
【請求項26】
結合した目的とする蛋白を試薬から溶出させ、適切な品質についてアッセイを行う、請求項23記載の方法。
【請求項27】
細胞系が工程e)で選択され、発現された目的とする蛋白が適切な品質を有する場合に、細胞系を蛋白発現について選択する、請求項26記載の方法。
【請求項28】
目的とする蛋白が抗体、リガンド、受容体、蛋白のサブユニット、蛋白の断片、融合蛋白、組換え蛋白、およびそれらの断片からなる群から選択される、請求項22記載の方法。
【請求項29】
目的とする蛋白が抗体、組換え抗体、またはF(ab’)2断片である、請求項28記載の方法。
【請求項30】
第1の結合剤が抗体、リガンド、受容体、融合蛋白、蛋白のサブユニット、組換え蛋白、およびそれらの断片からなる群から選択される、請求項22記載の方法。
【請求項31】
第1の結合剤がプロテインAまたはストレプトアビジンである、請求項30記載の方法。
【請求項32】
結合剤がビーズ、プレート、およびマイクロアレイチップからなる群から選択された固体支持体と付着することができる、請求項22記載の方法。
【請求項33】
固体支持体がセルロース、セファロース、ポリアクリルアミド、ガラス、またはポリスチレンを含む、請求項24記載の方法。
【請求項34】
第2の結合剤が抗体、リガンド、受容体、融合蛋白、蛋白のサブユニット、組換え蛋白、およびそれらの断片からなる群から選択される、請求項22記載の方法。
【請求項35】
第2の結合剤が抗体またはその断片である、請求項34記載の方法。
【請求項36】
抗体がF(ab’)2断片である、請求項35記載の方法。
【請求項37】
抗体が抗体のFc部分と特異的に結合するF(ab’)2断片である、請求項35記載の方法。
【請求項38】
検出可能な標識がフルオロフォア、化学色素、放射性結合剤、化学発光性結合剤、電気化学発光剤、磁性結合剤、常磁性結合剤、プロ磁性結合剤、有色産物をもたらす酵素、化学発光性産物をもたらす酵素、および磁性産物をもたらす酵素からなる群から選択される、請求項22記載の方法。
【請求項39】
検出可能な標識がルテニウムである、請求項38記載の方法。
【請求項40】
試薬が第3の結合剤が付着した樹脂を含み、第3の結合剤が目的とする蛋白との結合能を有する、請求項22に記載方法。
【請求項41】
第3の結合剤が抗体、リガンド、受容体、融合蛋白、蛋白のサブユニット、組換え蛋白、およびそれらの断片からなる群から選択される、請求項40記載の方法。
【請求項42】
第3の結合剤がプロテインAまたはストレプトアビジンである、請求項41記載の方法。
【請求項43】
樹脂を単離し、目的とする蛋白を第3の結合剤から溶出させる、請求項40記載の方法。
【請求項44】
真空溶出および重力流からなる群から選択された方法を用いて目的とする蛋白を第3の結合剤から溶出させる、請求項43記載の方法。
【請求項45】
インキュベートした細胞系のスクリーニングに自動ワークステーションを利用する、請求項22記載の方法。
【請求項46】
a)異なる細胞培養条件でそれぞれの細胞系をインキュベートすること;
b)それぞれの細胞系の試料を固体支持体に付着した第1の結合剤と接触させ、第1の結合剤が細胞系の試料中の目的とする蛋白と結合すること;
c)第1の結合剤と結合した目的とする蛋白を、検出可能な標識と作動可能に連結している第2の結合剤と接触させること;
d)目的とする蛋白と結合した第2の結合剤と作動可能に連結している標識を検出することによって目的とする蛋白の発現レベルを決定すること、および
e)検出された目的とする蛋白の発現レベルに基づいて細胞系を選択すること
を含み、ここで細胞系における目的とする蛋白の発現レベルが、すべての細胞系における目的とする蛋白の平均発現レベルよりも大きいまたはそれ未満である場合に、該細胞系を選択する、
細胞培養工程を開発する方法。
【請求項47】
選択した細胞系から上清を単離すること、および上清を目的とする蛋白と結合する試薬と接触させることをさらに含む、請求項46記載の方法。
【請求項48】
試薬が固体支持体に付着している、請求項47記載の方法。
【請求項49】
固体支持体がマルチウェルプレートである、請求項48記載の方法。
【請求項50】
結合した目的とする蛋白を試薬から溶出させ、適切な品質についてアッセイを行う、請求項47記載の方法。
【請求項51】
細胞系を工程e)にて選択し、発現された目的とする蛋白が適切な品質を有する場合に、該細胞系を蛋白発現について選択する、請求項50記載の方法。
【請求項52】
目的とする蛋白が抗体、リガンド、受容体、蛋白のサブユニット、蛋白の断片、融合蛋白、組換え蛋白、およびそれらの断片からなる群から選択される、請求項46記載の方法。
【請求項53】
目的とする蛋白が抗体、組換え抗体、またはF(ab’)2断片である、請求項52記載の方法。
【請求項54】
第1の結合剤が抗体、リガンド、受容体、融合蛋白、蛋白のサブユニット、組換え蛋白、およびそれらの断片からなる群から選択される、請求項46記載の方法。
【請求項55】
第1の結合剤がプロテインAまたはストレプトアビジンである、請求項54記載の方法。
【請求項56】
結合剤がビーズ、プレート、およびマイクロアレイチップからなる群から選択された固体支持体と付着することができる、請求項46記載の方法。
【請求項57】
固体支持体がセルロース、セファロース、ポリアクリルアミド、ガラス、またはポリスチレンを含む、請求項48記載の方法。
【請求項58】
第2の結合剤が抗体、リガンド、受容体、融合蛋白、蛋白のサブユニット、組換え蛋白、およびそれらの断片からなる群から選択される、請求項46記載の方法。
【請求項59】
第2の結合剤が抗体またはその断片である、請求項58記載の方法。
【請求項60】
抗体がF(ab’)2断片である、請求項59記載の方法。
【請求項61】
抗体が、抗体のFc部分と特異的に結合するF(ab’)2断片である、請求項59記載の方法。
【請求項62】
検出可能な標識がフルオロフォア、化学色素、放射性結合剤、化学発光性結合剤、電気化学発光剤、磁性結合剤、常磁性結合剤、プロ磁性結合剤、有色産物をもたらす酵素、化学発光性産物をもたらす酵素、および磁性産物をもたらす酵素からなる群から選択される、請求項46記載の方法。
【請求項63】
検出可能な標識がルテニウムである、請求項62記載の方法。
【請求項64】
試薬が第3の結合剤が付着した樹脂を含み、第3の結合剤が目的とする蛋白と結合することができる、請求項46記載の方法。
【請求項65】
第3の結合剤が抗体、リガンド、受容体、融合蛋白、蛋白のサブユニット、組換え蛋白、およびそれらの断片からなる群から選択される、請求項64記載の方法。
【請求項66】
第3の結合剤がプロテインAまたはストレプトアビジンである、請求項65記載の方法。
【請求項67】
樹脂を単離し、目的とする蛋白を第3の結合剤から溶出させる、請求項64記載の方法。
【請求項68】
真空溶出および重力流からなる群から選択された方法を用いて目的とする蛋白を第3の結合剤から溶出させる、請求項67記載の方法。
【請求項69】
インキュベートした細胞系のスクリーニングに自動ワークステーションを利用する、請求項46記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公表番号】特表2009−534035(P2009−534035A)
【公表日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−506634(P2009−506634)
【出願日】平成19年4月20日(2007.4.20)
【国際出願番号】PCT/US2007/009815
【国際公開番号】WO2007/124143
【国際公開日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【出願人】(591011502)ワイス (573)
【氏名又は名称原語表記】Wyeth
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年4月20日(2007.4.20)
【国際出願番号】PCT/US2007/009815
【国際公開番号】WO2007/124143
【国際公開日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【出願人】(591011502)ワイス (573)
【氏名又は名称原語表記】Wyeth
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]