説明

細胞集団のタンパク質発現プロファイルの作成のための分析用プラットフォームおよび方法

本発明は、以下を含む細胞集団の定性的および/または定量的タンパク質発現プロファイル、特に、示差的タンパク質発現プロファイルを作成するための分析用プラットフォームおよびそれを用いて行う方法に関する:
-1以上の細胞集団の可溶化液を作成すること、該可溶化液はそれぞれの細胞集団によって発現される複数のタンパク質を含む、
-実質的に平面の固体支持体を提供すること、
-希釈または非希釈形態にて該固体支持体に直接的に、または、該固体支持体上にアプライされた接着促進層上に、少量の細胞可溶化液を別々の部位に沈着させ、それによって該固体支持体上の別々の測定領域の1以上の1次元または2次元アレイを作成すること、
-例えば、シグナル伝達系路の大域解析または、最高の特異性、選択性および親和性についてのタンパク質標的に対する抗体セット/ライブラリーのスクリーニングのために、別々の測定領域における細胞可溶化液に含まれる検出すべきタンパク質の特異的結合パートナーとして複数の結合試薬をアプライすること、および適当であるならば、該1以上の測定領域のアレイに1以上の検出試薬をアプライすること、該結合試薬および該検出試薬は、1以上のアレイの別々の測定領域に逐次的にアプライされるか、または検出試薬が結合試薬に結合した後、単一添加工程にてアプライされる、そして、
-該1以上のアレイの別々の測定領域から生じる光シグナルを局所的に分解した様式で測定および記録すること、
ここで該実質的に平面の固体支持体は無孔性であり、かつ、アプライしてもよい接着促進層は厚さ1μm未満である。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、以下を含む細胞集団の定性的および/または定量的タンパク質発現プロファイル、特に、示差的タンパク質発現プロファイルを作成するための分析用プラットフォームおよびそれを用いて行う方法に関する:
-1以上の細胞集団の可溶化液を作成すること、該可溶化液はそれぞれの細胞集団によって発現される複数のタンパク質を含む、
-実質的に平面の固体支持体を提供すること、
-希釈または非希釈形態にて該固体支持体上に直接的に、または、該固体支持体上にアプライされた接着促進層上に、少量の細胞可溶化液を別々の部位に沈着させ、それによって該固体支持体上の別々の測定領域の1以上の1次元または2次元アレイを作成すること、
-別々の測定領域における細胞可溶化液に含まれる検出すべきタンパク質の特異的結合パートナーとして複数の結合試薬をアプライすること、および、適当であるならば、該1以上の測定領域のアレイに1以上の検出試薬をアプライすること、該結合試薬および該検出試薬は、1以上のアレイの別々の測定領域に逐次的にアプライされるか、または検出試薬が結合試薬に結合した後、単一添加工程にてアプライされる、そして、
-該1以上のアレイの別々の測定領域から生じる光シグナルを局所的に分解した様式で測定および記録すること、
ここで該実質的に平面の固体支持体は無孔性であり、かつ、アプライしてもよい接着促進層は厚さ1μm未満である。
【0002】
一般的背景
本発明は、具体的には、生物または組織または細胞アセンブリーに対する薬剤の医薬効果および/または毒性効果の理解の向上または促進を補助するものである。本発明は、特に、細胞シグナル伝達カスケードの調査およびその元の形態または細胞発達過程の結果、および適当であるならば、これらの過程を修飾するための外部から指示された誘導の結果、翻訳後修飾された形態における非常に多様なタンパク質の検出に関する。
【0003】
本発明は一定時間により高い可能な処理能力を有する、ウェスタンブロッティング等のよく確立されたタンパク質発現プロファイリング方法の代替方法を提供するものであり、即ち、特に多数の異なるサンプルを処理可能であるか、またはそれにアプライされた多数の試薬について1以上のサンプルを分析することができる方法であって、正確な定量的結果を導くことが出来る方法を提供する。
【0004】
多くの利用分野、例えば、個体の健康状況を判定する診断方法または生理活性化合物の生物への投与の効果を判定する医薬研究または開発において、複数の生物学的に関連する分析物は複雑なサンプル中で、その複雑な機能的態様にて測定される必要がある。
【0005】
既知の分析用分離方法は一般に、所与の物理化学パラメーター、例えば、分子量または分子の電荷比および質量に応じて、所与のサンプルに含まれる可能な最大数の化合物を可能な最短時間にて分離するよう最適化されているが、生物親和性に関連する測定方法は、複雑な内容物を有するサンプルにおける対応する(単一の)目的分析物の、非常に特異性の高い、生物学的または生化学的または合成的認識要素による高い選択性の認識および結合に基づいている。したがって多種多様な化合物の測定は、それに対応する多数の相異なる特異的認識要素の適用を必要とする。
【0006】
生物親和性反応に基づく測定方法は、均質な溶液中および固体支持体表面上の両方で行うことが可能である。具体的な方法に応じて、分析物の認識要素への結合および所望によりさらなるトレーサー化合物との結合の後、また所望により、認識要素と測定すべき分析物、および所望によりサンプルおよびアプライしてもよいさらなる指示薬の残余部分からのさらなるトレーサー化合物との間に形成された複合体の分離のための方法の異なる工程の間に、洗浄工程が必要とされ得る。
【0007】
現在では、サンプルにおける多種多様な核酸を、対応する相補的核酸を固体支持体上の別々の横方向に分離した測定領域に固定化された認識要素として用いて同時に測定する方法は比較的幅広く利用されている。例えば、簡便なガラスまたは顕微鏡プレートに基づくオリゴヌクレオチドのアレイが非常に高い特徴部密度(一般的な固体支持体上の測定領域の密度)を有する認識要素として知られている。例えば、米国特許第5445934号(Affymax Technologies)において、1平方cm当たり1000を超える特徴部の密度を有するオリゴヌクレオチドのアレイが記載され、特許請求された。このタイプの方法は核酸の発現プロファイルの測定にも適用されているが、しかし典型的には労力のかかる方法によりサンプルが精製され、多くの場合増幅された形態で得られる核酸サンプルは修飾されており、即ち、検出すべき分析物分子の数はポリメラーゼ連鎖反応(PCR)等の方法により生化学的に濃縮(増加)されている。
【0008】
最近、それらに基づく複数のタンパク質の同時測定のための同様のアレイおよび方法が頻繁に記載されるようになっており、例えば、米国特許第6365418 B1号に記載されている。
【0009】
核酸およびその他のバイオポリマー、例えば、タンパク質の両方の測定のためのいわゆる「マイクロアレイ」についての開示では、どのようにして複数の特定の認識要素が分析物認識のためのアレイを作成するために別々の測定領域に固定化されるのか、および、どのようにしておそらくは複雑な混合物中にて分析物を含む分析すべきサンプルと接触させるのかが記載されている。公知の開示によると、一般的に相異なる分析物が相異なる認識要素を有する測定領域に結合するために、分離した別々の測定領域において可能な限り純粋な形態で相異なる特定の認識要素が提供されている。
【0010】
この種の公知のアッセイには、可能な限り質的に純粋に固定化された特定の認識要素が、場合によっては非常に労力のかかる工程により濃縮される必要がある。相異なる認識要素は、その物理化学特性(例えば、その極性)に関しても多かれ少なかれ異なっているので、接着促進層により媒介されていてもよい、例えば、吸着または共有結合による、共通の支持体上の別々の測定領域における最適な固定化のための条件もまたそれに対応して相違する。したがって、複数の相異なる認識要素の固定化のために選択した条件(例えば、接着促進層の性質)は固定化されるべきすべての認識要素について最適とすることはほとんど不可能であるが、一般的には目的の相異なる認識要素の固定化特性の間の妥協条件であろう。
【0011】
さらに、この種のアッセイの欠点は、一定数のサンプルにおける分析物の測定について、相異なるサンプルがアプライされる共通の支持体または別々の支持体上に、対応する数の別々のアレイを提供する必要があることである。このことは複数の相異なるサンプルの分析のためには、その製造が比較的複雑である多数の別々のアレイが必要であることを意味する。
【0012】
例えば、解離に好適な条件下では、固定化されたオリゴヌクレオチドとサンプル中に供給された相補的オリゴヌクレオチドとの間で形成されたハイブリッドは、高い効率で解離し得、したがって認識表面は「再生される」と記載されている; しかし、100%の再生はほとんど保証され得ない。タンパク質との生物親和性複合体の場合、複合体形成工程はしばしば非可逆的であり、即ち、認識表面は再生不可能である。
【0013】
それゆえ複数のサンプルに含まれる分析物について、共通の支持体上の単一のアレイにおいて該複数のサンプルが同時に分析されうる改良されたアッセイ構造が必要とされている。この目的のために、相異なる特定の認識要素ではなく、分析すべきサンプル自体を、可能であれば直接にさらなる前処理無しに、あるいは可能な限り少ない前処理工程の後に、支持体に固定化するのが有用であろう。以後、このタイプのアッセイ構造を「逆型アッセイ構造」と称する。
【0014】
米国特許第6316267号において、(おそらくは複雑なサンプル混合物中にある)ポリアミノ酸が、例えば、固体または「半固体」サンプルマトリックスにアプライされる方法が記載されている。しかし検出工程は、生物親和性アッセイにて行われるのではなく、該開示に例示されているような特定の金属錯体を含む試薬の混合物を用いた染色により行われている。これは明らかに特定の分析物検出の方法ではない。
【0015】
米国特許第6287768号において、生物学的サンプルから測定すべき種々のRNA 分子を単離し、サイズにより分離し、固体支持体に沈着させ、その上で例えば既知の相補的ポリヌクレオチドとのハイブリダイゼーションの際にハイブリダイゼーションアッセイにおいて測定する方法が記載されている。その特許の開示によると、測定すべき生物から単離されたRNA分子は、多量に存在する場合は直接さらなる測定方法に供してもよいが、そうでなければ前もって公知の増幅方法(例えば、ポリメラーゼ連鎖反応、「PCR」)により増幅されなければならない。
【0016】
米国特許第6287768号にて提案された方法は、相異なるサンプルからのRNAを同時に測定する機会を提供するものであるが、それは依然として多数の労力のかかるサンプル調製工程、具体的には生物学的サンプルマトリックスからの単離、次いで分子サイズによるサンプルの分離を必要とするものである。RNAの例についてしか記載されていない特許請求された方法は、少なくとももとのサンプルマトリックスからの単離、およびサイズによるバイオポリマーの分離を必要とするという事実に鑑みると、この分離工程後かつ分析工程前に相対的な分子の組成はもとのサンプルの相対的な分子の組成とは異なるものとなっていると予測せざるを得ない。
【0017】
本明細書において以下、「同一の相対的な分子の組成」との語は、本発明のタンパク質が細胞集団によって発現される場合、分析において測定されるべき分析物またはその修飾形態(リン酸化、グリコシル化、メチル化、またはアセチル化形態等)の濃度比が、変化しないままであることを意味する。この命名にしたがって、溶媒またはマトリックス分子の含量またはその他の対応する測定方法において測定されない分子の含量における変化はこの語を用いる場合には無視される。
【0018】
これらの方法において適用される検出工程は一般にサンプルにおける測定すべき分析物に要求される検出限界に達成するほどには感受性ではないという事実は、これら分析方法において記載された分離または濃縮工程が含まれることの理由であると考えられる。
【0019】
特にタンパク質イムノアッセイといったアッセイの場合、固体支持体上で取り扱いを簡便にするために、また、イムノアッセイにおいて互いに相互作用する結合パートナーの固定化のために、自立または被覆されていてもよい、例えば、ニトロセルロース膜等の多孔性担体などの三次元表面を有する担体上に作成された測定領域のアレイを用いてアッセイが行われる方法が知られており、これによって相互作用表面が増大し、そして検出感度も向上する。しかしこれら三次元固定化表面の重大な欠点は、隣接する液状媒体からの輸液交換または流体置換の遅延が避けられないことであり、これによって結合反応速度が大幅に低下し、そして分析物 (即ち本発明の範囲に関すると、目的タンパク質)検出のためにアプライされた非特異的結合または非特異的吸着した結合試薬または検出試薬の除去が大幅に干渉され、それに伴い、この場合は主に非特異的結合または吸着事象に起因する「バックグラウンドシグナル」が増大するリスクが高くなってしまう。さらに、複数の相異なる分析物の、一般的なタイプ(即ち、いわゆる同一の相対的な分子の組成で沈着させた「スポット」のタイプ)の測定領域における検出のためには、固定化表面が三次元形状であることにより、相異なる分析物、即ち特定のタンパク質についての検出条件が、固定化された特異的結合パートナーの空間的に異なる分布とアプライされた対応する結合試薬と検出試薬のアクセスのための空間的に異なる条件のために変わってしまうリスクが高くなる。
【0020】
それゆえ、労力のかかる調製工程のためのコストを低減し、要求される試薬体積を小さくするために、サンプルが供される前処理を最小化しつつ、サンプルからのタンパク質発現プロファイルの作成を可能とする分析用プラットフォームが必要である。さらに生化学的相互作用および認識表面としての三次元表面の上記の欠点を避けることが出来る分析用プラットフォームおよび方法が望まれている。
【0021】
これらの解決手段を本発明により提供する。
【0022】
図面の簡単な説明
図1は、本発明による分析用プラットフォームおよび本発明による分析用プラットフォームとしての一般的な固体支持体上の(沈着させたサンプルにしたがって) 6つの同一の測定領域のアレイの配置を示す。作成した測定領域の配置の形状は2つの拡大図に示す(詳細な説明については明細書の記載を参照されたい)。
【0023】
図2は、左部分に、1:500 希釈のCy3-抗-β-アクチン(アプライ濃度: 6 nM; 露光時間:5秒、表示範囲:0-20 000)とのインキュベーション後の測定領域のアレイからの等方放射蛍光のイメージを示す。右部分:測定領域のアレイのレイアウト(1 =第一対照細胞可溶化液としての「非開示細胞可溶化液 I」、2 =アッセイ性能についての質的対照としての「非開示処理済細胞可溶化液 II」、3 = スポッティングバッファー、4 = 非処理大腸癌組織可溶化液 =「腫瘍可溶化液1」、5 = 処理済大腸癌組織可溶化液 = 「腫瘍可溶化液2」、 6 = 空;各可溶化液についてのサンプル希釈度は左から右へと上昇する。図1も参照されたい)。
【0024】
図3は、非処理および処理済大腸癌組織可溶化液(即ち、「腫瘍可溶化液1および2」)の両方についての希釈プロットを示す。データポイントはタンパク質濃度についての2連(複製)のスポットの平均正味蛍光シグナルを示す。蛍光シグナルは、Cy3-抗-β-アクチン 抗体とのインキュベーションの後に生じた(RFI = 基準化(Referenced)蛍光強度)。
【0025】
図4は、スポットした細胞および腫瘍組織可溶化液のすべてにおけるβ-アクチンの検出についての基準化蛍光強度 (RFI)を示す。
【0026】
図5は、2つの大腸癌組織可溶化液および内部対照としての2つの細胞可溶化液(それぞれ非処理および処理済)についての異なる測定領域のアレイにて測定したタンパク質発現についてのバー・プロット・プロファイルを示し、これら可溶化液は特異的結合試薬としての相異なるシグナル伝達マーカータンパク質(経路活性化)に特異的な抗体、次いで検出試薬としての対応する蛍光標識抗-種抗体(経路活性化についての例)とインキュベートした。
【0027】
図6は、2つの大腸癌組織可溶化液および内部対照としての2つの細胞可溶化液(それぞれ非処理および処理済)についての異なる測定領域のアレイにて測定したタンパク質発現についてのバー・プロット・プロファイルを示し、これら可溶化液は異なる細胞シグナル伝達マーカータンパク質(細胞増殖)に特異的な抗体とともにインキュベートした。
【0028】
図7は、2つの大腸癌組織可溶化液および内部対照としての2つの細胞可溶化液(それぞれ非処理および処理済) についての異なる測定領域のアレイにて測定したタンパク質発現についてのバー・プロット・プロファイルを示し、これら可溶化液は異なるアポトーシスマーカータンパク質(アポトーシス)に特異的な抗体とともにインキュベートした。
【0029】
図8は、各タンパク質分析物について示された「シグナル倍数」(処理済および非処理細胞集団(サンプル)から得られたシグナルの間の実施例のセクション3.4.に記載のように基準化および正規化した蛍光シグナルの比)を示す。黒色バー:発現シグナル(RFI)から計算したシグナル倍数> LOD; 白色バー: 発現シグナル(RFI)から計算したシグナル倍数。
【0030】
発明の説明
本発明の第一の対象は、以下を含む1以上の細胞集団の定性的および/または定量的タンパク質発現プロファイルの作成方法である:
-1以上の細胞集団の可溶化液を作成すること、該可溶化液はそれぞれの細胞集団によって発現される複数のタンパク質を含む、
-実質的に平面の固体支持体を提供すること、
-希釈または非希釈形態にて、該固体支持体上に直接的に、または、該固体支持体上にアプライされた接着促進層上に、少量の細胞可溶化液を沈着サンプルとして別々の部位に沈着させ、それによって該固体支持体上の別々の測定領域の1以上の1次元または2次元アレイを作成すること、
-別々の測定領域における細胞可溶化液に含まれる検出すべきタンパク質の特異的結合パートナーとして複数の(即ち1以上の) 結合試薬をアプライすること、および適当であるならば、該1以上の測定領域のアレイに1以上の検出試薬をアプライすること、該結合試薬および該検出試薬は、1以上のアレイの別々の測定領域に逐次的にアプライされるか、または検出試薬が結合試薬に結合した後、単一添加工程にてアプライされる、そして、
-該1以上のアレイの別々の測定領域から生じる光シグナルを局所的に分解した様式で測定および記録すること、
ここで該実質的に平面の固体支持体は無孔性であり、かつ、アプライしてもよい接着促進層は厚さ1μm未満である。
【0031】
例えば「ある」または「1つの」アプライすべき結合試薬といった語は、特に断りのない限り、「ある」または「1つの」アプライされた試薬溶液におけるものと同種の複数のかかる化合物のアプライの意味も常に含む。
【0032】
「タンパク質発現プロファイルの作成」という語は、検出すべきタンパク質についての同じ分子実体の絶対および/または相対コピー数の測定および、翻訳後修飾のすべての形態(例えば、リン酸化、グリコシル化、メチル化、アセチル化等)におけるかかる「タンパク質」の検出を含む。適用の特定の目的に応じて、これら異なる形態は、結合および検出工程において識別され得るものでもよく、あるいは識別されないものでもよい(以下を参照)。
【0033】
「定性的」タンパク質発現プロファイリングという語は、対応するタンパク質が、調査するサンプル(希釈または非希釈形態にて沈着した細胞可溶化液)中に存在するかあるいはかかるサンプルに存在しないかを判定することを意味する。
【0034】
「定量的」タンパク質発現プロファイリングという語は、沈着したサンプル中に含まれる目的のタンパク質の絶対および/または相対量が測定されることを意味する。それゆえ、「相対」量は、基準または較正サンプルと比較した量を意味する。
【0035】
本発明の対象は、特に、以下を含む2以上の細胞集団の定性的および/または定量的示差的タンパク質発現プロファイルの作成方法である:
-細胞集団の第一の可溶化液を作成すること、該可溶化液は、それぞれの細胞集団によって発現される複数のタンパク質を含む、
-さらなる細胞集団の第二または第三以上の可溶化液を作成すること、該可溶化液はそれぞれの細胞集団によって発現される複数のタンパク質を含む、
-実質的に平面の固体支持体を提供すること、
-希釈または非希釈形態にて、該固体支持体上に直接的に、または、該固体支持体上にアプライされた接着促進層上に、少量の細胞可溶化液を沈着サンプルとして別々の部位に沈着させ、それによって該固体支持体上の別々の測定領域の1以上の1次元または2次元アレイを作成すること、
-別々の測定領域における細胞可溶化液に含まれる検出すべきタンパク質の特異的結合パートナーとして複数の結合試薬をアプライすること、および、適当であるならば、該1以上の測定領域のアレイに1以上の検出試薬をアプライすること、該結合試薬および該検出試薬は、1以上のアレイの別々の測定領域に逐次的にアプライされるか、または検出試薬が結合試薬に結合した後、単一添加工程にてアプライされる、そして、
-希釈または非希釈形態にて、少量の第一の可溶化液の沈着によって作成された測定領域から生じる光シグナルの第一の群を局所的に分解した様式で測定および記録すること、
-希釈または非希釈形態にて、少量の第二または第三以上の可溶化液の沈着によって作成された測定領域から生じる光シグナルの第二または第三以上の群を局所的に分解した様式で測定および記録すること、
-光シグナルの第一の群の測定値と光シグナルの第二または第三以上の群の測定値を比較すること、
ここで該実質的に平面の固体支持体は無孔性であり、かつ、アプライしてもよい接着促進層は厚さ1μm未満である。
【0036】
「細胞集団の第一の可溶化液」という語は、そのタンパク質含量が比較される「同一または相異なる細胞集団の複数の第一の可溶化液」も含む。
【0037】
該「第一の可溶化液」は、例えば、非処理細胞集団から得て、対照サンプルとして用いてもよい。該「さらなる細胞集団の第二または第三以上の可溶化液」は、例えば、生理活性化合物で処理された細胞集団から得たものであってよい。
【0038】
したがって、「さらなる細胞集団の第二または第三以上の可溶化液」という語は、「さらなる細胞集団の複数の第二または第三以上の可溶化液」も含む。
【0039】
したがって、複数の第一および/または第二または第三以上の可溶化液がアプライされる場合、対応する複数の光シグナルの群の値が比較される。
【0040】
本発明の精神において、固体支持体上の、空間的に分離した、または、別々の測定領域は、沈着された可溶化液または沈着された基準化試薬(例えば、蛍光標識されたウシ血清アルブミン)により占有される閉じた領域として定義される。これら領域はいずれの形状であってもよく、例えば、円形、長方形、三角形、楕円形などの形態が挙げられる。
【0041】
「可溶化液」という語は、液体溶液中での本発明による分析用プラットフォームにおける沈着のために提供される(provided for)、細胞集団由来の細胞の集合から得られる液体サンプルに対して用いられる。可溶化液は好ましくは、その由来である細胞集団、細胞組織培養物の全プロテオームを含むように調製される。沈着させるべき可溶化液は適当な緩衝溶液中に希釈したものでもよいし、非希釈のものでもよい。固体支持体上または該固体支持体上の接着促進層の上の別々の部位に沈着させる可溶化液は、可溶化液が作成された細胞集団と、その中で検出すべきタンパク質が同一の相対的な分子の組成を有するのが好ましい。具体的用途に応じて、可溶化液は、固体支持体上へのその沈着の前にさらに異なる様式で処理されてもよい。可溶化液は、バイオポリマーまたはそれに含まれるその修飾形態の消化を妨げるために、既知の添加剤、例えば、安定剤、例えば、酵素阻害剤を含んでいてもよい。可溶化液は、クロマトグラフィーにおけるサンプルの「スパイク(spiking)」と同程度にて、添加剤として測定すべき分析物と類似した既知の濃度の化合物を(標準として)含んでいてもよい。かかる添加剤は、例えば、較正の目的で用いることが出来る。さらに、可溶化液は、サンプルマトリックスと類似であるが検出すべきタンパク質とは異なる、例えば、ウシ血清アルブミン (BSA)などの化合物の添加剤を含んでいてもよく、それは、例えば、測定領域における固定化されたタンパク質分子の表面密度の制御のために用いられる。必要であれば、不溶性物質を、例えば、遠心分離によって可溶化液から分離してもよい。可溶化液は、ろ過および/または分画 および/または希釈の他のさらなるサンプル処理工程に供さないのが好ましい。
【0042】
「検出すべきタンパク質」または「検出すべき分析物」といった語は、特に断りのない限り、同種の複数のタンパク質または分析物分子の検出の意味も常に含む。
【0043】
翻訳後修飾のすべての形態(例えば、リン酸化、グリコシル化、メチル化、アセチル化、など)を含む、沈着された可溶化液に含まれるタンパク質は、未変性形態または例えば、尿素または界面活性剤 (例えばSDS)による可溶化液の処理後の変性形態で存在しうる。沈着された可溶化液に含まれるタンパク質は、好ましくは、尿素による処理後、そのエピトープがその対応する特異的結合試薬に対する結合に自由に利用可能となるように変性形態にて存在する。これは尿素による処理により三次および四次構造が破壊されることにより可能となる。
【0044】
驚くべきことに、本発明による方法の感度は、分析すべきサンプルとしての可溶化液がさらに高度に希釈され、混合物に含まれるタンパク質が、ある場合には濃度が非常に低く、それにともなって一つの測定領域における利用可能な量が少ないにもかかわらず、高度に正確に(定量的に)測定されうる程度の高感度なものであり、既知の常套方法によっては不可能なものである。本発明による方法の場合、サンプルに含まれ、測定されるべき分析物としての沈着させたタンパク質が、その固定化後でさえ、もとのサンプルにおける組成と一般に同一の相対的な分子の組成で存在するという重要な利点を有する。本発明による方法はしたがって、他の方法では典型的な濃縮および分離工程を避けることが出来るため、もとのサンプルの全体の分子組成を表す分析結果を提供しうる。
【0045】
本発明の精神において、分析すべきサンプルに含まれる別の化合物と識別され得、かつその目的のためにアプライされる特異的検出試薬によって結合され得る、分子種または化合物、特に、タンパク質は「分析物」と称される。もし、例えば、タンパク質の非リン酸化形態ではなく、リン酸化形態のみを検出する場合は、これら二形態のタンパク質はこの定義による2つの相異なる分析物に対応する。別の結合試薬によっていずれかのリン酸化化合物または種が認識され、結合されると、かかる条件下で、対応するリン酸化化合物または種は共に1つの分析物である。この定義によると、分析物のための特異的結合試薬は、例えば、リン酸化またはグリコシル化またはメチル化またはアセチル化 (あるいはそれに対応して非リン酸化および/または非グリコシル化および/または非メチル化および/または非アセチル化)形態の検出される化合物をもっぱら認識し、結合するように選択してもよい。細胞または生物における生物学的シグナル伝達系路の活性は、対応するシグナル伝達系路を制御するリン酸化またはグリコシル化またはメチル化またはアセチル化化合物の割合と(シグナル伝達系路の性質に応じて)相関しうる。対応する化合物の全量におけるリン酸化およびグリコシル化形態の相対比、即ち、そのリン酸化およびそのグリコシル化形態にある化合物の量の、リン酸化および非リン酸化形態またはグリコシル化および非グリコシル化形態にあるこの化合物の全量中での比はそれぞれ以下において、サンプルにおける対応する化合物のリン酸化度およびグリコシル化度と称する。メチル化度またはアセチル化度も同様に定義される。リン酸化度およびグリコシル化度、ならびにメチル化度およびアセチル化度は化合物の「活性化度」と総称される。しかし、化合物の活性化度はまた化合物のその他の化学修飾形態も意味する。
【0046】
特異的結合試薬は、化合物 (タンパク質)が特定の三次元構造にて存在する場合のみ検出すべき化合物(タンパク質)と結合するように選択することが出来る。例えば、多くの抗体は、特定の三次元構造にて提供される場合、測定すべき化合物の特定の部分領域 (エピトープ)のみを認識し、結合する。測定すべき化合物の立体配座状態に応じて、これら部分領域 (エピトープ)は対応する結合試薬の結合に利用可能となるか、あるいは隠れてしまう。特異的結合試薬はまた、検出すべき化合物の領域に結合するように選択することが出来、これら領域への近接可能性は対応する化合物の三次元構造とは独立である。適切に選択された結合試薬の使用により、サンプルにおいて検出すべき、特定の立体配座状態を示す化合物の総量のなかの相対量の測定が可能となる。
【0047】
本発明による方法は細胞集団の発現プロファイルの作成のための多様な戦略を可能とする。
【0048】
一つの好ましい態様において、相異なるタンパク質の特異的結合パートナーとして相異なる結合試薬が各々相異なる検出すべきタンパク質のための相異なるアレイにアプライされる。この態様は結合試薬に付着する検出試薬をさらにアプライすることによって行うことが出来、ここで結合試薬は検出すべきタンパク質に結合している。この態様はしかし、例えば、分析物検出の測定方法として用いられる、測定領域における表面に結合した分子量が大きく、その結果局所的に屈折率が大きくなっている場合、かかる検出試薬を用いなくても行うことが出来る(以下参照)。
【0049】
別の好ましい態様において、相異なるタンパク質が共通のアレイにおいて検出され、これは、該アレイに相異なる識別可能な検出試薬をアプライすることによってなされ、ここで、検出すべき相異なるタンパク質の数はアプライされる相異なる識別可能な標識の数に対応する。この態様は明らかに検出試薬のアプライを必要とする。この場合、相異なる結合試薬および検出試薬は同時または逐次にアプライされ得る。
【0050】
これら2つの態様の組合せにおいて、複数の相異なるタンパク質が複数の測定領域のアレイにおいて検出され、これは測定領域のアレイ上の相異なるタンパク質および/または相異なる識別可能な検出試薬の検出のために相異なるアレイ上に相異なるタンパク質の特異的結合パートナーとして相異なる結合試薬をアプライすることによって行われる。
【0051】
本発明に基づく細胞タンパク質発現の研究の実際の範囲に応じて、別々の測定領域に沈着させるべき可溶化液は様々に選択することが出来る。本発明による方法の一つの可能な態様の特徴として、可溶化液は関連しない細胞集団から作成してもよい。
【0052】
「関連しない細胞集団」とは、単一のものとして共通の培養工程に供されていない細胞集団、即ち、典型的には、相異なる生物、器官または細胞培養物などに由来し互いに独立に増殖または培養された細胞集団である。したがって、この用語は、例えば、相異なるヒト、動物または植物または生物一般由来、相異なる器官由来、例えば同じ器官からの癌組織と健康組織といったかかる種の生物または器官の相異なる部位由来、独立に培養されたインビトロ細胞培養物由来等の細胞集団を含む。この語は例えば、同一の生物または器官から相異なる時点で得た細胞集団および/またはインビトロ培養工程において相異なる処理または相異なるタイプの曝露に供された細胞集団をも含む。これらの関連しない細胞集団の可溶化液から作成された示差的発現プロファイルは次いで、例えば、相異なる生物間、同じタイプの健康および疾患器官間、相異なる生物間など、特に、相異なる化学的または生化学的化合物、例えば、薬剤による処理、または相異なる生育条件に曝された場合の細胞発現の差異のモニターに用いられる。
【0053】
本発明による方法の別の態様の特徴は、相異なる細胞可溶化液が共通の細胞集団から得られた相異なる細胞亜集団から作成されることである。例えば、相異なる細胞亜集団は共通の細胞集団から相異なる時点にて得たものであってよい。相異なる細胞亜集団はまた共通の細胞集団から得たものであって、次いで相異なる試薬で処理または刺激された、および/または相異なる培養条件に曝露されたものであってよい。相異なる試薬による処理または刺激には、相異なる化学物質または薬剤の細胞亜種団の培養物へのアプライが含まれ、相異なる培養条件への曝露には、一般的にアプライされる培養条件は曝露された細胞培養物に含まれる特定の化合物に特異的にはアプライされないため、例えば、UV光、熱ショック等への曝露が含まれ得る。本発明による方法の別の重要な態様において、相異なる細胞可溶化液は疾患および健康細胞集団から作成されたものである。
【0054】
可溶化液が作成される元である健康または疾患細胞集団および/または処理または非処理細胞集団および/または刺激された細胞集団は以下を含む群由来であってよい:原核細胞、例えば、細菌、および真核細胞、例えば、ヒト、動物、または植物細胞、特に、ヒトまたは動物組織、例えば、器官、皮膚、毛または骨組織、あるいは植物組織、そして、細胞含有体液またはその構成成分、例えば、血液、血清または血漿、滑液、涙液、尿、唾液、組織液、リンパ液。
【0055】
細胞可溶化液の作成に用いられる細胞集団またはその部分は以下を含む群の既知の方法によって得たものであってよい:組織スライスまたは組織診、特にミクロ調製方法、例えば、レーザー・キャプチャー・マイクロダイセクション。
【0056】
サンプルは固体支持体上またはその上に沈着した接着促進層の上に直接、別々の測定領域に横方向に選択的に沈着させることができ、その方法は以下を含む方法の群から選択される:インクジェットスポッティング、ペン、ピンまたはキャピラリーによる機械的スポッティング、「ミクロ接触プリンティング」、平行または交差マイクロチャンネルへの圧力差または電位または電磁ポテンシャルの印加による供給を介したサンプルと測定領域の流体接触、および光化学的またはフォトリソグラフィー固定化方法。
【0057】
本発明による方法にしたがうと、一般的に、複数の相異なるタンパク質が1つの測定領域に同時に固定化される。典型的には、複数の、即ち数百または数千の、相異なるタンパク質が分析物として1つの測定領域に固定化されて存在する。
【0058】
本発明による方法は高感度であるために、非常に小容積および少量のサンプルが使用される場合でも分析可能である。ここでサンプルの量は別々の測定領域に沈着しているタンパク質含量の総量を意味する。サンプルは、例えば、20000 細胞未満のタンパク質含量を含むものであってよく、それでも高度に正確に分析される。沈着させるサンプルは1000 細胞未満のタンパク質含量を含むものでもよい。必要なサンプル量は100 細胞未満のタンパク質含量を含むものであってもよく、たった1〜10細胞の材料であってもよく、この場合でも正確に分析される。単一の細胞の内容物に対応するタンパク質含量は細胞当量とも称される。分析に必要なかかる少量の細胞当量の量は、検出すべきタンパク質が比較的に豊富である内容物である場合に必要とされる。サンプルの容積は1μl未満であることも可能である。検出すベきサンプル容積は10 nl未満または1 nl未満であってもよい。
【0059】
特に細胞集団のタンパク質発現プロファイルの測定および/または比較のための分析手順を容易にするために、検出すべき相異なるタンパク質の特異的結合パートナーとして、相異なる結合試薬が、適当であるならば1以上の検出試薬のアプライと共に各検出すべきタンパク質について、相異なるアレイにアプライされる場合であって、該検出試薬が識別可能であり、2以上が同じアレイにアプライされる場合、同一の測定領域のアレイの複製物が共通の固体支持体上に提供されるのが好ましい: 本発明による方法のさらに好ましい態様はそれゆえ、希釈または非希釈細胞可溶化液の沈着部位が、沈着させた該(希釈または非希釈)細胞可溶化液からの沈着させた量に対応する2つの相異なるアレイにおける測定領域の行と列に関して類似の位置で、同一の形状にて配置されている測定領域の複数のアレイである。
【0060】
一般に、特異的結合反応にて分析物測定のために特異的結合パートナーを固定化するもっとも簡便な方法は、例えば、固定化される特異的結合パートナーと固体支持体との間の疎水性相互作用に基づく物理的吸着である。しかしかかる相互作用の強度は、その媒体の組成およびその極性やイオン強度などの物理化学特性によって大幅に変化しうる。特に複数工程アッセイにおいて相異なる試薬を逐次供給する場合には、認識要素、本発明の場合は沈着された可溶化液に含まれるタンパク質の接着は、表面への純粋に吸着性の固定化の後ではしばしば不十分である。それゆえ接着を改善するために、固体支持体がサンプルを沈着させる接着促進層を含むのが好ましい。
【0061】
接着促進層の厚さは好ましくは200 nm未満であり、特に好ましくは20 nm未満である。
【0062】
様々な材料が接着促進層の作成に好適である。例えば、接着促進層は以下の群の化合物を含みうる: シラン、官能化シラン、エポキシド、官能化した荷電または極性ポリマーおよび「自立性受動的または官能化単層または多層」、チオール、アルキルホスファートおよびアルキルホスフォナート、多官能性ブロックコポリマー、例えば、ポリ(L)リジン/ポリエチレングリコール。
【0063】
該接着促進層は一般式I(A)の有機リン酸:
Y-B-OPO3 H2 (IA)
または一般式 I (B)の有機ホスホン酸:
Y-B-PO3 H2 (IB)
の群の化合物およびそれらの塩も含み得、式中、Bは、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール(hetaryl)、またはヘテロアリールアルキル(hetarylalkyl)残基であり、Yは水素または以下のシリーズの官能基である:例えば、ヒドロキシ、カルボキシ、アミノ、低級アルキルによって置換されていてもよいモノまたはジアルキルアミノ、チオール、または以下のシリーズ負の酸性基である:例えば、エステル、ホスファート、ホスフォナート、スルファート、スルフォナート、マレイミド、スクシンイミジル、エポキシまたはアクリラート。これら化合物は国際特許出願 PCT/EP 01/10077により詳細に記載されており、その開示全体を引用により本明細書に含める。
【0064】
本発明による方法は、好ましくは、測定領域に固定化されたサンプル(希釈または非希釈細胞可溶化液)の相対的な分子の組成が、該測定領域にアプライされるサンプルの元の相対的な分子の組成と同一となるように設計される。この要求は、例えば、測定領域に沈着させるサンプルの物質の量が固体支持体上の単層の形成に必要な物質の量と同一またはそれより少ないことによって満たされうる。同時に、結合試薬、および適当であるならばそれらと接触されるさらなる検出試薬に対する分析物としてのタンパク質の最適の近接可能性は単層未満(sub-monolayer)が固体支持体の表面を被覆する場合に生じる。近接可能性は前もって沈着させた接着促進層が方向性のある固定化を導く場合にさらに改善され得、例えば、沈着したサンプルに含まれる抗体がそのFC-部分に結合して固定化されている場合、その特異的結合エピトープの近接可能性が生じる。
【0065】
本発明による方法により、沈着したサンプル中に分析物として含まれる1以上の化合物の相対総量が、リン酸化または非リン酸化形態および/またはグリコシル化および/または非グリコシル化形態において現れるその和として測定可能となる。沈着したサンプル中に分析物として含まれる1以上の化合物の相対量が、それらがリン酸化および/または非リン酸化形態および/またはグリコシル化および/または非グリコシル化形態として現れる場合に、1以上の該形態について測定されることが好ましい。
【0066】
本発明による方法はサンプルに含まれる1以上の分析物の上記の活性化度の測定を可能とする。特に、本発明による方法はサンプルに含まれる1以上の分析物のリン酸化度および/またはグリコシル化度および/またはメチル化度および/またはアセチル化度の測定を可能とする。高感度で非常に正確かつ再現性のあることの結果として、特に、同時にまたは選択的に適用されうる多数の独立の基準化および較正方法の結果として、第一のサンプルおよび1以上の比較サンプルにおける分析物としてリン酸化および/または非リン酸化および/またはグリコシル化 および/または非グリコシル化および/またはメチル化および/または非メチル化および/またはアセチル化および/または非アセチル化形態にて含まれる1以上の化合物の相対量の間の20%未満、好ましくは10%未満の差異が1以上の該形態について測定できるということが本発明による方法のさらなる特徴である。本発明による方法はまた、タンパク質発現プロファイルにおいて、それぞれのタンパク質濃度における僅かな差異、例えば40 %、好ましくは30 %未満、もっとも好ましくは10 %未満の差異の測定を、相異なる関連するかまたは関連しない細胞集団からの可溶化液の測定によって可能とする。
【0067】
本方法の固有の特異的な高感度性および同一の分析用プラットフォームを使用する基準化および/または較正の可能性の多様性の結果、本方法により得られる測定結果の変位は非常に小さいことが本発明による方法の重要な利点である。本発明による方法はしたがってまた、生物学的生物または細胞培養物の疾患および/または生物または細胞培養物の外部操作により影響される、含まれるタンパク質の相対量または濃度の時間的進化(即ち変化)の調査にも好適である。
【0068】
トレーサー化合物の非特異的結合を最小にするために、別々の測定領域の間の領域が「不動態化」されているのが好ましく、即ち、分析物 (即ちタンパク質)およびその他の沈着したサンプルの内容物および該分析物(即ちタンパク質)に対する結合および/または検出試薬に対して「化学的に中立」(即ち非結合性)である化合物が、横方向に分離した測定領域の間に沈着しているのが好ましい。
【0069】
分析物 (即ちタンパク質)およびその他の沈着したサンプルの内容物および該分析物に対する結合および/または検出試薬に対して「化学的に中立」(即ち非結合性)である該化合物は、以下を含む群から選択するとよい:アルブミン、特にウシ血清アルブミンまたはヒト血清アルブミン、カゼイン、(特にイムノアッセイについて測定すべき分析物に対する)非特異的、ポリクローナルまたはモノクローナル、異種または経験的に非特異的な抗体、界面活性剤、例えば、Tween 20、分析すべきポリヌクレオチドとハイブリダイズしない断片化した 天然または合成 DNA、例えば、ニシンまたはサケ精子抽出物、あるいは非荷電であるが疎水性のポリマー、例えば、ポリエチレングリコールまたはデキストラン。
【0070】
一般性を失うことなく、検出すべきであって別々の測定領域に沈着させたサンプルに含まれる分析物としてのタンパク質は細胞質タンパク質、核タンパク質および膜タンパク質、体液中に分泌されるタンパク質(細胞質および膜結合型細胞タンパク質、特に、細胞においてシグナル伝達工程に関与しているタンパク質、例えば、キナーゼ)、翻訳後修飾タンパク質、例えば、リン酸化、グリコシル化、メチル化、およびアセチル化形態のタンパク質、特に処理下で過剰および/または過小発現するタンパク質を含むタンパク質の群の化合物であってよく、該群は、抗体、人工的に過剰発現させたタンパク質、人工的に過剰発現させた修飾タンパク質、例えば、さらなる結合部位を有する官能化タンパク質(「タグタンパク質」、例えば、「ヒスチジンタグタンパク質」)、および蛍光タンパク質(「緑色蛍光タンパク質」、GFPなど)を含む。分析物は、生物工学により改変されたポリマー、例えば、生物により発現される発光または蛍光基を含むバイオポリマー、それぞれ例えば、「青色蛍光タンパク質」(BFP)、「緑色蛍光タンパク質」(GFP)、または「赤色蛍光タンパク質」(RFP)であってよい。
【0071】
本発明による方法の一つの態様によると、別々の測定領域に沈着させた希釈または非希釈可溶化液に含まれる検出すべきタンパク質は、添加される特異的結合試薬および、適当であるならば、逐次的に、または検出試薬の結合試薬への結合の後に単一の添加工程にて添加される検出試薬の結合工程において、希釈または非希釈の分析すべき沈着された可溶化液に含まれるリン酸化および/または非リン酸化形態および/またはグリコシル化および/または非グリコシル化形態の存在によって識別される。
【0072】
別の態様において、別々の測定領域に沈着させた希釈または非希釈可溶化液に含まれる検出すべきタンパク質は、添加される特異的結合試薬および、適当であるならば、逐次的に、または検出試薬の結合試薬への結合の後に単一の添加工程にて添加される検出試薬の結合工程においては、分析すべき希釈または非希釈の沈着された可溶化液に含まれるその形態がリン酸化または非リン酸化形態および/またはグリコシル化または非グリコシル化形態のいずれであるかについては識別されない。
【0073】
別々の測定領域における検出すべき分析物に対する特異的結合試薬はかかるタンパク質分析物に特異的に結合する化合物の群から選択すればよく、例えば、抗原に対する抗体およびその逆、種抗体に対する抗-種抗体などが挙げられ、これらは当業者に周知である。
【0074】
検出試薬は、例えば以下を含む特異的工学的検出方法のための試薬または標識の群から選択すればよい: 局所的に分解される(locally resolved)電子スピン共鳴 (ESR)測定に基づく測定のためのESR スピン標識、局所的に分解される核磁気共鳴(NMR)測定に基づく測定のための核磁気共鳴 (NMR) 標識、標識としての放射性同位体の測定のための放射標識、質量標識、例えば、測定領域上の分子量の脱離または吸着による屈折率変化の局所的に分解される測定のためのビーズ、発光標識、特に蛍光標識(これは以下にさらに説明する)。これら標識は測定領域のアレイへの結合試薬の添加の後に逐次的にアプライされるかまたは第一の検出試薬(例えば、分析物特異的抗体に対する検出試薬としてアプライされる抗-種抗体)の結合後にアプライされるかまたは、検出試薬の切り離せない部分である。標識は結合試薬に直接結合させてもよい。
【0075】
作成された測定領域に直接または接着促進層に媒介されて物理的に接触している実質的に平面の固体支持体の材料は、実質的に光学的に透明であるのが好ましい。
【0076】
固体支持体上にアプライされる接着層の材料も同様に実質的に光学的に透明であるのが好ましい。
【0077】
好ましくは、実質的に光学的に透明の固体支持体の材料は、以下のを含む群から選択される材料である:成形可能、噴霧可能または製粉可能なプラスチック、金属、金属酸化物、ケイ酸塩、例えば、ガラス、石英またはセラミックス。
【0078】
固体支持体の物理的設計に応じて、分析物測定において計量型のシグナルの作成の可能性が生じる。一般に、1以上の多色または単色光源からのプローブ光が、1以上の測定領域のアレイにおける1以上の測定領域に向けられ、該1以上の測定領域のアレイから生じる光シグナルおよび/またはかかる光シグナルの変化が測定および記録される方法が好ましい。
【0079】
本方法の一群の態様の特徴は、プローブ光が落射照明立体配置にて送達されることである。
【0080】
別の群の態様の特徴は、プローブ光が透光立体配置にて送達されることである。
【0081】
好ましくは、別々の測定領域における1以上のタンパク質の検出は、1以上の発光の強度または強度変化の検出に基づく。
【0082】
シグナル検出方法による特定の群の態様の特徴は、別々の測定領域における1以上のタンパク質の検出が、該測定領域上または測定領域から1μm未満の距離内での屈折率の変化の検出に基づくことである。
【0083】
本発明による方法のこの群の特定の態様において、一つの変法は該測定領域上または測定領域から1μm未満の距離内での屈折率の変化の検出が、固体支持体上に作成された測定領域の領域における平面状の固体支持体から生じる光の干渉パターンの変化の検出に基づくことを特徴とし、ここで光は屈折率が異なる様々な材料との接触面の平面から生じ、かかる異なる屈折率はアプライされる特異的結合パートナーの結合または脱離または置換によって、該接触面から生じる光と測定領域の領域から生じる光との位相差によって引き起こされ、ここで異なる領域から生じる干渉光は局所的に測定され、そして適当であるならば、スペクトル的に分解された様式で測定される。この態様の測定方法は、屈折率が異なる、相異なる平行する薄層から生じる光の干渉の周知原理に基づき、これは位相差および検出すべきタンパク質に特異的な結合試薬、そして適当であるならば、さらにアプライされる検出試薬の結合によって誘導されるその変化、および/または干渉パターンのスペクトル変化を(測定領域のアレイを担持する固体支持体に関して)局所的に分解した様式で、測定することによって実行できる。
【0084】
本発明による方法のこの群の態様における別の変法の特徴は、固体支持体が金属薄層、好ましくは銀または金薄層、そして好ましくは厚さ20 nm〜200 nmの薄層を備えていることであり、該薄層は直接にまたは接着促進層に媒介されて測定領域と接触しており、そして該測定領域上または測定領域から1μm未満の距離内での屈折率変化の検出は、該金属薄層における表面プラズモン共鳴を作る条件における変化の検出に基づく。
【0085】
測定技術として、(一定波長での照射光の入射角の変位による) 共鳴角および(一定入射角での照射励起波長の変位による) 共鳴波長が、共鳴条件における変化の判定のために測定されうる。その結果、共鳴条件の該変化は、該固体支持体の部分としての金属薄層における表面プラズモンの作成のための励起光の照射についての共鳴角の変化によって現れうる。したがって、共鳴条件の該変化はまた、該固体支持体の部分としての金属薄層における表面プラズモンの作成のための照射励起光についての共鳴波長の変化によって現れうる。
【0086】
別々の測定領域におけるサンプルに含まれる分析物としてのタンパク質に対する特異的結合試薬および/または検出試薬の結合の結果として、横方向に分解される様式で測定すべき光シグナルの変化は、エバネセント場センサープラットフォームとして提供された場合に、該固体支持体上のこれら領域における有効屈折率の局所変化によってもたらされうる。
【0087】
本発明による方法の別の好ましい態様において、固体支持体は連続的光導波路または個々の導波路領域に分割された光導波路を含む。
【0088】
光導波路が第一の実質的に光学的に透明の層(a)より低い屈折率を有する第二の実質的に光学的に透明の層(b)上に別々の測定領域を担持する表面に向いている第一の層(a)を備えた光学膜導波路であるのが特に好ましい。
【0089】
それゆえ、光学的に透明の層(a)へのプローブ光のインカップリングのために、この層は以下を含む群からの1以上の光学的インカップリング要素と光学的に接触している態様が好ましい: プリズムカップラー、光導波路とオーバーラップするエバネセント場が組み合わさったエバネセントカップラー、集束レンズを有する接合部(butt-end)カップラー、好ましくは導波路層の一方の面の前に配置されたシリンダーレンズ、および格子カップラー。
【0090】
プローブ光は光学的に透明の層 (a)に備えられた1以上の格子構造(c)を用いて光学的に透明の層 (a)にインカップリングするのが特に好ましい。
【0091】
有効屈折率の(局所) 変化の検出の別の変法の特徴は、光学的に透明の層 (a)に導かれた光が、光学的に透明の層(a)に備えられた1以上の格子構造(c')を用いてアウトカップリングされることである。この場合、(アウトカップリング格子上の分子量の変化による) アウトカップリング角の変化を測定パラメーターとして用いることが出来る。
【0092】
表面プラズモン共鳴 (上記) 作成用立体配置および励起光の導波路層へのカップリング用立体配置の両方において、送達される光の波長が一定に維持され、共鳴条件のマッチングのための角が変化し、最大の共鳴 (または導波路層へのインカップリング)が達成されると記録されるか、または入射角が一定に維持され、(例えば、スペクトル的に波長可変なレーザーまたは半導体レーザーを用いて)照射波長が変化し、共鳴条件がマッチングする波長が測定および記録される。
【0093】
横方向に分解された測定すべき光シグナルの変化が、結合試薬およびアプライしてもよい検出試薬が別々の測定領域におけるサンプルに含まれる分析物に結合する結果として、固体支持体に置かれた発光可能な分子からの1以上の発光の局所変化によってもたらされるのが好ましい。
【0094】
光導波路が第一の光学的に透明の層(a)よりも屈折率が小さい第二の光学的に透明の層 (b)上に第一の光学的に透明の層 (a)を備えた光学膜導波路として設計され、ここでプローブ光は、光学的に透明の層 (a)に備えられた1以上の格子構造の補助により光学的に透明の層 (a)にさらにインカップリングされ、その上に位置する測定領域(d)への導波として送達され、ここで該導波のエバネセント場において生じた発光可能な分子の発光が1以上の検出器を用いてさらに測定され、測定領域に含まれるタンパク質の相対量がこれら発光シグナルの強度から測定されるのが、非常に好ましい。
【0095】
発光または1以上の発光の変化が、1以上の検出試薬または別々の測定領域に含まれる分析物としてのタンパク質に対する1以上の結合試薬に対して発光標識として結合している発光可能な分子またはナノ粒子から生じるのが好ましい。
【0096】
測定領域における検出すべきタンパク質に特異的に結合した結合試薬と結合した検出試薬が励起した際に発光が生じ、ここで、検出試薬が発光標識として用いられる波長300 nm〜1100 nmにて励起および放射可能な発光色素または発光ナノ粒子を含むのが好ましい。
【0097】
相異なる放射波長および/または相異なる励起スペクトル、好ましくは相異なる放射波長および同一の励起波長を有する2以上の発光標識が分析物検出のためにアプライされるのが特に好ましい。相異なるスペクトル特性、特に相異なる放射波長を有する数個の発光標識が、相異なる検出試薬に結合するか、または結合試薬に直接結合し、それらが、測定領域と近接している場合、例えば、相異なる分析物は単一検出工程にて測定でき、即ち、測定領域が該検出試薬と近接し、必要であれば相異なる波長のプローブ光 (またはそれぞれ励起光)に当たった際に、生じた発光が同時または逐次に検出される。
【0098】
本発明による方法のかかる変法は例えば、特に1の(共通の)測定領域内の化合物(タンパク質)のリン酸化および非リン酸化形態の、2つの対応する相異なる識別可能な検出試薬を用いた同時検出に特に好適である。
【0099】
同様に、相異なる放射減衰時間(放射半減期)を有する2以上の発光標識が(検出試薬全体または切り離せない部分として) 分析物検出のためにアプライされると、2以上の分析物を同時に検出することが出来る。
【0100】
本発明による方法のためには、それゆえ2以上の発光標識がサンプルにおける相異なる分析物の検出のためにアプライされるのが好ましい。測定領域における相異なる分析物の検出のために2以上の発光標識がアプライされるのもまた好ましい。
【0101】
励起光が持続時間1 fs〜10分間のパルスにて照射され、測定領域からの放射光が時間分解様式で測定されるのがまた好ましい。
【0102】
特別の変法は1以上の発光の測定に加えて測定される測定領域上の有効屈折率の変化にある。
【0103】
感度をさらに向上させるために、1以上の発光測定および/または励起波長の光シグナルの測定を偏光選択的測定として行うのが好ましい。1以上の発光が励起光の偏光とは異なる偏光にて測定されるのが好ましい。
【0104】
本発明のさらなる目的は、光シグナル読み取りおよび1以上の細胞集団の定性的および/または定量的タンパク質発現プロファイルの作成のための以下を含む分析用プラットフォームである:
-実質的に平面の固体支持体、
-該固体支持体上の別々の測定領域の1以上の1次元または2次元アレイ、該アレイは、少量の細胞可溶化液が、希釈または非希釈形態にて、別々の部位に該固体支持体上に直接に沈着するか、または、固体支持体上に前もってアプライされた接着促進層上に沈着することによって作成され、該細胞可溶化液は1以上の細胞集団由来であり、かかる細胞集団によって発現される複数のタンパク質を含む、
ここで該実質的に平面の固体支持体は無孔性であり、かつ、アプライしてもよい接着促進層は厚さ1μm未満である。
【0105】
本発明の特別の目的は、 光シグナル読み取りおよび1以上の細胞集団の定性的および/または定量的示差的タンパク質発現プロファイルの作成のための以下を含む分析用プラットフォームである:
-実質的に平面の固体支持体、
-該固体支持体上の別々の測定領域の1以上の1次元または2次元アレイ、該アレイは少量の2以上の細胞可溶化液を、希釈または非希釈形態にて、別々の部位に該固体支持体上に直接に沈着することまたは前もって固体支持体上にアプライされた接着促進層上に沈着することによって作成され、該細胞可溶化液は2以上の細胞集団由来であり、かかる細胞集団によって発現される複数のタンパク質を含む、
ここで該実質的に平面の固体支持体は無孔性であり、かつ、アプライしてもよい接着促進層は厚さ1μm未満である。
【0106】
相異なる沈着された細胞可溶化液は上記のように関連しない細胞集団から作成したものであってもよい。
【0107】
相異なる沈着された可溶化液は共通の細胞集団から得られた相異なる細胞亜集団から作成したものであってもよい。
【0108】
本発明による分析用プラットフォームの1つの変法の特徴は、相異なる沈着された可溶化液が、共通の細胞集団から相異なる時点にて得られた相異なる細胞亜集団から作成されたものであることである。
【0109】
相異なる沈着された可溶化液は共通の細胞集団から得られ、相異なる試薬による処理または刺激および/または相異なる培養条件への曝露に供された、相異なる細胞亜集団から作成されたものであってもよい。
【0110】
特に、相異なる沈着された可溶化液は疾患および健康細胞集団から作成されたものであってもよい。
【0111】
沈着された可溶化液の作成の元となった健康または疾患および/または処理または非処理および/または刺激細胞集団は以下を含む群由来のものであってよい:原核細胞、例えば、細菌、および真核細胞、例えば、ヒト、動物、または植物細胞、特に、ヒトまたは動物組織、例えば、器官、皮膚、毛または骨組織、または植物組織、ならびに細胞含有体液またはその構成成分、例えば、血液、血清または血漿、滑液、涙液、尿、唾液、組織液、リンパ液。
【0112】
固体支持体上または該固体支持体上の接着促進層の上の別々の部位に沈着させた希釈または非希釈形態の可溶化液は、可溶化液の作成の元となった細胞集団と、その中で検出すべきタンパク質が同一の相対的な分子の組成を有することが好ましい。
【0113】
沈着された可溶化液は、ろ過および/または分画および/または希釈以外のさらなサンプル処理工程に供されないのが特に好ましい。
【0114】
本発明による分析用プラットフォームにより提供される高検出感度により、単一の測定領域に沈着させた材料は、1000未満の細胞のタンパク質含量に対応しうる。
【0115】
本発明による分析用プラットフォームの好ましい態様はアレイが 50を超える、好ましくは500を超える、もっとも好ましくは5000を超える測定領域を有するものである。
【0116】
ここで各測定領域はその他の測定領域に固定化されたサンプルと類似または異なる、固定化された「性質が同一の(nature-identical)」サンプルまたは比較サンプルを含みうる。
【0117】
測定領域のアレイは1平方cm当たり10を超える、好ましくは100を超える、もっとも好ましくは1000を超える測定領域の密度にて配置されうる。
【0118】
特に細胞集団のタンパク質発現プロファイルの測定および/または比較のための分析手順を促進するために、適当であるならば、識別可能であるならば2以上が同一のアレイにアプライされうる1以上の検出試薬のアプライと組み合わせて、各検出すべきタンパク質について相異なるアレイにおいて検出すべき相異なるタンパク質の特異的結合パートナーとして相異なる結合試薬がアプライされる場合、同一の測定領域のアレイの複製が共通の固体支持体上に提供されるのが好ましい: 本発明による分析用プラットフォームのさらに好ましい態様においては、それゆえ希釈または非希釈細胞可溶化液の沈着部位の同一の形状にアレンジされた測定領域の複数のアレイであって、2つの相異なるアレイにおける測定領域の行と列に関して類似の位置が、そこに沈着させた同じ(希釈または非希釈)細胞可溶化液からの沈着させた量に対応する。
【0119】
固体支持体上にアプライされる接着促進層の厚さは200 nm未満であるのが好ましく、好ましくは20 nm未満である。
【0120】
接着促進層は以下の群の化合物を含みうる:シラン、官能化シラン、エポキシド、官能化、荷電または極性ポリマーおよび「自立性受動的または官能化単層または多層」、チオール、アルキルホスファートおよびアルキルホスフォナート、多官能性ブロックコポリマー、例えば、ポリ(L)リジン/ポリエチレングリコール。
【0121】
該接着促進層は一般式 I (A)の有機リン酸の群の化合物:
Y-B-OPO3 H2 (IA)
または一般式 I (B)の有機ホスホン酸の群の化合物:
Y-B-PO3 H2 (IB)
およびそれらの塩も含み得、ここで、Bは、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アラルキル、ヘテロ(het)アリール、またはヘテロ(het)アリールアルキル残基、Yは水素または以下のシリーズの官能基、例えば、ヒドロキシ、カルボキシ、アミノ、低級アルキルによって置換されていてもよいモノまたはジアルキルアミノ、チオール、または以下のシリーズの負の酸性基、例えば、エステル、ホスファート、ホスフォナート、スルファート、スルフォナート、マレイミド、スクシンイミジル、エポキシまたはアクリラートである。これら化合物は国際特許出願 PCT/EP 01/10077により詳細に記載されており、その開示全体を引用により本明細書に含める。
【0122】
本発明による分析用プラットフォームの態様は、トレーサー化合物の非特異的結合を最小にするために、別々の測定領域の間の領域が「不動態化」されていることを特徴とし、即ち、結合試薬および適当であるならば、検出試薬に対して「化学的に中立」(即ち非結合性)である化合物が横方向に分離した測定領域の間に沈着される。
【0123】
検出すべきであって別々の測定領域に沈着させた希釈または非希釈可溶化液に含まれるタンパク質は、以下を含むタンパク質の群の化合物であり得る:細胞質タンパク質、核タンパク質および膜タンパク質、体液中に分泌されるタンパク質(細胞質および膜結合型細胞タンパク質、特に、細胞におけるシグナル伝達工程に関与するタンパク質、例えば、 キナーゼ)、翻訳後修飾タンパク質、例えば、タンパク質のリン酸化、グリコシル化、メチル化、およびアセチル化形態、特に処理されると過剰および/または過小発現するタンパク質:該群は、以下を含む:抗体、人工的に過剰発現させたタンパク質、人工的に過剰発現させた修飾タンパク質、例えば、さらなる結合部位を有する官能化タンパク質 (「タグタンパク質」、例えば、「ヒスチジンタグタンパク質」)、および蛍光タンパク質(「緑色蛍光タンパク質」、GFPなど)。
【0124】
作成された測定領域に直接にまたは接着促進層に媒介されて物理的に接触している実質的に平面の固体支持体の材料は実質的に光学的に透明であるのが好ましい。
【0125】
同様に、固体支持体上にアプライされる接着層の材料も実質的に光学的に透明であるのが好ましい。
【0126】
好ましくは、実質的に光学的に透明の固体支持体の材料は以下を含む群の材料を含む:成形可能、噴霧可能または製粉可能なプラスチック、金属、金属酸化物、ケイ酸塩、例えば、ガラス、石英またはセラミックス。
【0127】
本発明による分析用プラットフォームの別の態様において、固体支持体には測定領域に直接にまたは接着促進層に媒介されて接触する、好ましくは銀または金であり、好ましくは厚さ30 nm〜200 nmの金属薄層が備えられ、プラットフォームは該金属層における表面プラズモン共鳴の生成のために作動可能である。本発明による分析用プラットフォームの特別の変法は、分析用プラットフォームの一部としてエバネセント場センサープラットフォームを含み、これは、所望により屈折率が好ましくは < 1.5である中間層の上に金属薄層を含み、下層である中間層としては、例えば、二酸化ケイ素またはフッ化マグネシウムが挙げられ、ここで、金属層および備えられていてもよい中間層の厚さは、表面プラズモンが照射励起光波長および/または生じた発光波長にて励起可能であるように選択される。
【0128】
金属が金および銀を含む群から選択されるのが好ましい。また、金属層の厚さは好ましくは10 nm〜1000 nm、より好ましくは30 nm〜200 nmである。
【0129】
別の態様において、好ましくは、固体支持体は、連続した光導波路または個々の導波路領域へと分割される光導波路を含む。
【0130】
光導波路は、第一の実質的に光学的に透明の層 (a)が、第一の層(a)よりも屈折率が低い第二の実質的に光学的に透明の層 (b)上の別々の測定領域を担持する表面に面した光学膜導波路であるのが好ましい。
【0131】
特に好ましい本発明による分析用プラットフォームは以下の分析用プラットフォームを含み、即ち該分析用プラットフォームにおいて、プローブ光の光学的に透明の層 (a)へのインカップリングのために、この層はプリズムカップラー、光導波路とオーバーラップするエバネセント場が組み合わされたエバネセントカップラー、集束レンズ、好ましくは導波路層の一方の表面の前に配置しているシリンダーレンズを備えた接合部カップラーおよび格子カップラーを含む群からの1以上の光学的インカップリング要素と光学的に接触している。
【0132】
1以上の格子構造(c)がプローブ光の光学的に透明の層(a)へのインカップリングを可能とするための光学的に透明の層 (a)に備えられていることが好ましい。
【0133】
本発明はさらに、光学膜導波路を含む分析用プラットフォームを含み、ここで該光導波路は、第一の光学的に透明の層(a)よりも屈折率が低い第二の光学的に透明の層 (b)上に第一の光学的に透明の層 (a)が備えられた光学膜導波路として設計され、ここで、分析用プラットフォームはプローブ光を光学的に透明の層 (a)へと1以上の格子構造の補助によりインカップリングさせることができ、格子構造は、光学的に透明の層 (a)に備えられており、測定領域 (d)への導波として該プローブ光を送達し、該導波のエバネセント場における発光可能な分子の発光を励起する。
【0134】
本発明のさらなる対象は上記いずれかの態様による方法の使用および/または上記いずれかの態様による分析用プラットフォームの使用であり、かかる使用は、以下のための定量的および/または定性的分析のためのものである:医薬研究におけるスクリーニング方法、コンビナトリアルケミストリー、臨床および臨床前開発におけるタンパク質測定、親和性スクリーニングにおける動力学的パラメーターのリアルタイム結合研究および測定および特に、プロテオームにおけるプロテオームの差異の測定の研究、タンパク質-DNA 相互作用の測定、タンパク質 (生)合成のための制御メカニズムの測定、生物学的および化学的マーカー化合物のスクリーニング、患者の層別化。
【0135】
以下に、本発明をさらに実施例により説明する。本発明の態様は一般性を失わせるものではない。
【0136】
上記いずれかの態様による方法および/または上記いずれかの態様による分析用プラットフォームは、タンパク質の発現の際のその修飾の効果を相関させる際の経路活性化マーカーのハイスループット・プロファイリング、疾患関連適用の生物のモデルとしての細胞培養物(集団)への適用の際の有効性および/または毒性についての創薬における化合物および/または薬剤候補のプロファイリングおよび/またはスクリーニング、バイオマーカー・モニタリング、バイオマーカー発見および確認、医薬標的発見、(例えば、タンパク質発現/発現活性化とアプライされる薬剤に対する応答の相関付けの際の)確認およびモニタリング、細胞または組織特異的タンパク質発現および/または例えば様々な発達状態(例えば、癌の初期段階および進行段階)の癌細胞のタンパク質発現の活性化の測定、タンパク質発現プロファイルとその生物学的事象による変化の相関づけ、シグナル伝達経路のいわゆる「大域解析」、および最高の特異性、選択性および親和性についての可溶化液サンプルに含まれるタンパク質標的に対する抗体のセットまたはライブラリーのスクリーニングに特に好適である。
【実施例】
【0137】
1. 材料
1.1.組織可溶化液サンプル
示差的タンパク質発現プロファイルを調べるために2種類の組織可溶化液を用いた。可溶化液は共通の細胞集団に由来する細胞亜種団から得た: 癌組織 (= 共通の細胞集団)を2つの細胞亜種団に分け、これらを互いに独立に培養した。その一方はさらなる処理に供さず、対照サンプル (「腫瘍可溶化液1」)の作成に用いた。他方の細胞亜種団は化学的に処理し、第二可溶化液サンプル(「腫瘍可溶化液2」)の作成に用いた。これらサンプルは以下の特徴を有していた:
【0138】

【0139】
タンパク質濃度は PIERCE Coomassie Plus-Kit (セクション 3.1参照)を用いて改変ブラッドフォード試験により測定した。
【0140】
1.2.抗体およびアッセイ試薬
以下のマーカー特異的抗体を選択し、特異的結合試薬として用いた(CST = Cell Signaling Technology、Inc.、Beverly、MA 01915、USA、BD = BD Biosciences、Basel、Switzerland):
α-P-p44/42 MAPK (CST # 9101) ウサギ
α-P-Akt (CST #4051) マウス IgG2b
α-P-p38 (CST #9211) ウサギ
α-P-SAPK/JNK (CST #9251) ウサギ
α-P-IκB-α (CST #9241) ウサギ
α-P-Stat3 (CST #9138) マウス IgG1
α-P-ヒストン H3 (CST #9706) マウス IgG1
α-P-Rb (CST #9308) ウサギ
α-P-p53/Ser15 (CST #9284) ウサギ
α-サイクリン D1 (CST #2926) マウス IgG2a
α-切断カスパーゼ3 (CST #9664) ウサギ
α-切断PARP (CST #9541) ウサギ
α-α-カテニン (BD #6101193)
α-β-カテニン (CST #9562)。
【0141】
以下の蛍光標識化合物を組織可溶化液アレイの質的対照のための検出試薬として用いた:
Cy3-α-β-アクチン (内部標識)
【0142】
以下の蛍光標識化抗-種抗体を検出試薬としてアプライした:
Alexa Fluor 647 (α-ウサギ IgG); Molecular Probes #Z-25308
Alexa Fluor 647 (α-マウス IgG1); Molecular Probes #Z-25008
Alexa Fluor 647 (α-マウス IgG2a); Molecular Probes #Z-25108
Alexa Fluor 647 (α-マウス IgG2b); Molecular Probes #Z-25208。
【0143】
すべての分析物-特異的抗体を供給元の推奨にしたがって、5% ウシ血清アルブミン (BSA)または5% 脱脂粉乳を含むアッセイバッファーにて、1:250 希釈にて用いた。検出試薬 (蛍光標識化 Fab 断片)を、5% BSAを含むアッセイバッファーにて、1:500 希釈にて用いた。
【0144】
2.本発明による分析用プラットフォームの部分としての固体支持体
本発明による分析用プラットフォームの部分としての実質的に平面の固体支持体として、平面状膜導波路を用い、この大きさは、幅14 mm x 長さ57 mm x厚さ0.7 mmであった。これら薄膜導波路は、ガラス基体(AF 45、第二の光学的に透明の層 (b))および(b)の上に沈着する150 nmの厚さの、屈折率の高い五酸化タンタル層(第一の光学的に透明の層 (a))を含む。2つの表面レリーフ格子(格子構造(c)および(c’))は、これらプレートの長さに平行に、ガラス基体上に互いに9 mmの距離に調整される (格子周期: 318 nm、格子深度: 12 nm +/- 2 nm)。光の屈折率の高い層へのインカップリングのための回折格子として役立つこれら構造は、該屈折率の高い層の沈着の結果、該五酸化タンタル層の表面に導入される。
【0145】
薄膜導波路プレートを注意深く洗浄した後、モノドデシルホスファート (DDP)の単層を、接着促進層として、金属酸化物層の表面に、水溶液(0.5 mM DDP)から沈降させて自発的自己集合により作成した。元は親水性の金属酸化物表面のかかる表面改変により、疎水性表面(水に対する接触角約100°)を作り、その上に複数の(希釈または非希釈) 可溶化液サンプルを沈着させる。
【0146】
3.方法 組織可溶化液アレイ生産、アッセイ調製およびデータ分析
3.1.タンパク質定量
組織可溶化液のタンパク質濃度は標準として10倍希釈溶解バッファー中のBSAを用いてPIERCE Coomassie Plus Kit (PIERCE # 23238)により測定した。組織可溶化液を比色分析試薬の添加に先立ってリン酸緩衝食塩水 (PBS)に10倍に希釈した。結果はセクション 1.1に示す。
【0147】
3.2.測定領域作成およびアレイ形状
組織可溶化液を希釈して、セクション 2に記載の接着促進層を備えた固体支持体上に沈着 (「スポッティング」)させるための可溶化液終濃度とした。スポッティング溶液のタンパク質濃度は、尿素含有スポッティングバッファー中それぞれ0.26 mg/ml、0.21 mg/ml、0.16 mg/mlおよび0.10 mg/mlとした。別々の測定領域(「スポット」)はインクジェット・スポッターを用いて約400 pl容積の一滴の沈着により固体支持体上に作成した。各可溶化液溶液から2つの複製スポットを、共通の列に互いに隣接するように作成し、常に4種類の希釈度の可溶化液から4つの測定領域が1つの行において生じるようにした(図1参照)。2つのさらなる、相異なる処理をした細胞可溶化液(「非開示細胞可溶化液」として図1の上の拡大図に示す)をアッセイ性能についての内部陽性対照としてスポットした。陽性対照は典型的には、シグナル伝達経路マーカータンパク質であるP-Akt およびP-Erk2レベルの処理による上方制御を明らかにする。陰性対照となる測定領域はバッファー溶液(細胞または組織可溶化液を含まない)をスポッティングすることにより作成した。
【0148】
沈着された可溶化液サンプルおよびバッファー溶液をそれぞれ含む測定領域に加えて、各アレイは、励起光強度の局所差異および/または時間的変位の基準化に用いられる固定化された、Cy5で蛍光標識されたウシ血清アルブミン(Cy5-BSA)を含むさらなる測定領域(図1の下の拡大図において「基準」と示される)を含んでいた。Cy5-BSA (標識率: BSA 1分子当たり Cy5約3分子)は、3.5M 尿素、1M チオ尿素中濃度0.5 nMにて沈着させた。これら 基準スポットからの蛍光シグナルをシグナル標準化に用いて、アレイ内およびアレイ間の励起光強度の差異を補償した。
【0149】
組織可溶化液アレイの作成の後、タンパク質によって被覆されていないプラットフォーム上の遊離の疎水性領域を、表面と50 mM イミダゾール / 100 mM NaCl (pH 7.4)中の BSA (30 mg/ml)溶液とのインキュベーションによってウシ血清アルブミン (BSA)により飽和し、ここでBSAは、分析物および沈着したサンプルのその他の含有物およびアプライされる結合試薬および検出試薬に対して「化学的に中立」(即ち非結合性)の化合物として、表面に対する非特異的結合を最小化するために使用される。分析用プラットフォームを精製水で洗浄し、窒素流中で乾燥し、4℃、暗所にて使用時まで保存した。
【0150】
各分析用プラットフォームは6つの同一の測定領域のアレイを含む。流体構造を国際特許出願WO 01/43875およびWO 02/103331に記載のように分析用プラットフォームの表面に結合させ、内容量が15μlである6つのサンプル区画の配列を作成し、それぞれ6つの測定領域のアレイの1つを含む。
【0151】
アッセイ手順
可溶化液アレイの質的制御、即ち、欠損したスポット、スポット形状および均一性ならびにアプライされる相対タンパク質濃度の測定を、ハウスキーピングタンパク質としてβ-アクチンを検出することにより行った。β-アクチンの検出は5% BSAを含むアッセイバッファー中に500倍希釈したCy3-α-β-アクチン抗体の測定領域の1つのアレイへの添加(アプライ濃度: 6 nM)、次いで1時間25℃でのインキュベーションによって一工程アッセイにて行った。過剰の蛍光標識化抗体を5% BSAを含むアッセイバッファーにより除去した後、アレイを励起および結果として生じる蛍光シグナルの ZeptoREADERTM を用いた(以下参照)検出による検出工程に供した。
【0152】
組織可溶化液スポットにおける分析物(マーカー特異的タンパク質)の検出は、二工程連続アッセイにて行った。第一の工程は、特異的結合試薬としての分析物特異的抗体(セクション1.2参照)の測定領域のアレイへの添加および一晩(25℃での)インキュベーションから構成された。この場合、それぞれ個々のアレイに常に1つの結合試薬のみがアプライされ、列挙した14の相異なる結合試薬のアプライには、14の相異なるアレイへのアプライが要求された。過剰の抗体を除いた後、アレイを検出試薬としての蛍光標識化抗種 Fab断片と1時間25℃でインキュベートした。共通の蛍光標識 (Alexa Fluor 647)をシグナル作成に用い、それを異なる抗-種抗体に結合させた。それらの種特異性により、相異なる抗-種抗体が検出試薬としてアレイにアプライされ、そのアレイは対応する結合試薬(マウスまたはウサギ 抗体)がアプライされたものである。最後に、アレイを5% BSA を含むアッセイバッファーで洗浄し、励起および結果として生じる蛍光シグナルのZeptoREADERTM を用いた検出による検出工程に供した(以下参照)。
【0153】
3.4 測定領域のアレイからの蛍光シグナルの検出
様々な測定領域のアレイからの蛍光シグナルをZeptoREADERTM (Zeptosens AG、Benkenstrasse 254、CH-4108 Witterswil)を用いて自動的に連続して測定した。主要な測定工程は以下の通りである:各測定領域のアレイについて、本発明による分析用プラットフォームを、光の導波路である五酸化タンタル層へのインカップリングのための共鳴条件のマッチングおよび測定領域における利用可能な励起光の最大化のために調整する。次いで、各アレイについて、対応するアレイからの蛍光シグナルのイメージを作成し、ここで、使用者は様々な露光時間および作成するイメージの数を選択することが出来る。本実施例についての測定の場合、励起波長はCy5またはAlexa Fluor 647 蛍光標識の励起のためには633 nm、Cy3 蛍光標識の励起のためには532 nmとした。Cy5またはAlexa Fluor 647の蛍光波長での蛍光検出はカメラのレンズの前に位置する散乱光を抑制するために、冷却カメラ、干渉フィルター(透過 675 nm +/- 25 nm、「赤色検出チャネル」)を用いて行う。532 nmにて励起されたCy3 蛍光標識から生じる蛍光の検出には、 透過 572 nm +/- 25 nm (「緑色検出チャネル」)の干渉フィルターを用いる。作成された蛍光イメージは、制御コンピュータのディスクに自動的に記憶される。光学システム(ZeptoREADERTM)のさらなる詳細については国際特許出願 PCT/EP 01/10012に記載されており、本明細書にその内容を引用により含める。
【0154】
3.5.データ分析
測定領域(スポット)からの可溶化液サンプル分析物濃度の相対濃度に対応する蛍光シグナル強度を複数の測定領域のアレイからの蛍光イメージの自動化分析を可能とするイメージ分析ソフトウェア(ZeptoVIEWTM、Pro 2.0 Release 2.0、Zeptosens AG、CH-4108 Witterswil)を用いて測定した。
【0155】
カメラの個々のピクセルの生データは、センサープラットフォーム上でイメージングされた領域に対応するデジタル測定データの二次元マトリックスに対応する。データ分析のために、まず、各スポットのイメージ画分が個々の二次元グリッド素子に含まれるように、二次元座標格子を像点(ピクセル)上に重ね合わせる。このグリッド素子内において、使用者が決定できる半径を有する調整可能な円形の「目的領域(AOI)」が各スポットに割り当てられる。この場合、スポット直径は一定値120 μmに設定した。選択した分析領域内のピクセル値(シグナル強度)の相加平均を各スポットについての平均総シグナル強度として決定する。
【0156】
バックグラウンドシグナルはスポットの間で測定されたシグナル強度から決定する。この目的のため、4つのさらなる円形領域(典型的にはスポットの分析領域と同じ半径を有する)を、各スポットについてのバックグラウンドシグナル測定のための分析領域として決定し、該領域は好ましくは隣接するスポットの間の中央に位置させる。平均バックグラウンドシグナル強度は、例えば、4つの円形の領域の各々について規定のAOIにおけるピクセル値(シグナル強度)の相加平均として決定する。測定領域(スポット)からの平均正味シグナル強度を次いで、対応するスポットの平均局所総シグナル強度とバックグラウンドシグナル強度との差異として算出する。
【0157】
すべての可溶化液サンプルスポットの正味シグナル強度の基準化は、各測定領域のアレイの基準スポット(Cy5-BSA)によって行う。この目的のため、特定の行における2つの隣接した測定された基準スポットの間の各可溶化液サンプルスポット位置の人為的基準スポットシグナル強度を内挿により算出する。次いで、各可溶化液サンプルスポットについて、基準化した蛍光強度を、分析物スポットの正味のシグナル強度の平均を対応する人為的基準スポットの正味のシグナル強度の平均値によって割ることにより算出する。この基準化方法は、各マイクロアレイ内および相異なるマイクロアレイ間の両方の、光伝播の方向に垂直な方向に沿った利用可能な励起光強度における局所差異を補償する。
【0158】
さらなる分析のために、上記のように各二連のスポット対から平均した、基準化蛍光強度(RFI)を、各処理および各抗体について、それぞれの組織可溶化液のアプライされたタンパク質濃度の関数としてプロットした(データは示さず)。一例として、較正曲線としてのかかる希釈プロットをβ-アクチン測定について示す(図3)。この希釈プロットから、シグナルを、実験データに対して最大線形適合にあてはまる(4つの希釈度の) アプライされたタンパク質濃度について標準化した。その後、標準化したシグナルの平均を取った。したがって、4種類の希釈度(8スポット)の細胞可溶化液を含む各アレイ領域は最終的に、各サンプルおよび抗体ついての標準化された発現シグナルを提供する。結果を最終的にバー・プロット・プロファイルとして要約し、各バーは標準化した発現シグナル(RFI単位)を表し;エラーバーはこれら標準化した発現シグナルの標準偏差に対応する。
【0159】
4.結果
4.1. 組織可溶化液アレイの生産-質的対照
スポットした可溶化液アレイの質(例えば、欠損したスポットの数、スポット形状、スポット形態、相対タンパク質濃度)をハウスキーピングタンパク質としてのβ-アクチンの発現レベルを測定するアッセイにて調べた。測定は、図1において「非開示細胞可溶化液」と称される測定領域のアレイにアプライされるCy3-標識抗-β-アクチン抗体を検出試薬として用いてZeptoREADERTMの緑色検出チャネルにて行った。
【0160】
生産したチップの良好なアレイの質が達成された:
・欠損したスポットが無い
・スポット形状が良好である
・スポットの均一性が良好である。
【0161】
図2は左側に、1:500 希釈Cy3-抗-β-アクチンとのインキュベーション後の蛍光イメージ(露光時間 5秒、表示範囲 0-20'000)を示す。図2の右側はアレイのレイアウト(形状)を示す(1 = 非開示対照細胞可溶化液、2 = 非開示処理済細胞可溶化液、3 = スポッティングバッファー、4 = 非処理結腸直腸癌組織可溶化液 = 「腫瘍可溶化液1」、5 = 処理済結腸直腸癌組織可溶化液 = 「腫瘍可溶化液2」、6 = 空;沈着したサンプルの希釈度は各可溶化液について左から右へと上昇する、図1も参照されたい)。
【0162】
4種類の希釈度での細胞/組織可溶化液のスポッティングにより、以下が可能となった:
・シグナル生成のダイナミックレンジの指定、および、
・単一地点測定(即ち、個々のタンパク質濃度についてのみ測定される蛍光強度)ではなく用量依存的シグナル勾配を用いることによるより正確なシグナルの抽出。
【0163】
スポットした組織可溶化液のタンパク質濃度の低下にともなう明らかな蛍光シグナル強度の低下を、すべてのアプライされた可溶化液について観察することが出来た。一例として、非処理および処理済腫瘍組織についてCy3-抗-β-アクチン抗体による検出により得られた、沈着された可溶化液サンプルにおけるタンパク質濃度に対して基準化した蛍光シグナルが線形の依存性を示す希釈プロットを図3に示す。データポイントは常にタンパク質濃度当たりの2つの複製スポットの平均正味蛍光シグナルを示す(RFI = 基準化した蛍光強度)。
【0164】
図4は、セクション 3.5に記載した希釈プロットから得られた、すべてのスポットした細胞/組織可溶化液でのβ-アクチンの検出についてのバー・プロット・プロファイルを示す。
【0165】
「非開示細胞可溶化液」では、蛍光シグナルレベルはほぼ同程度の高さであり、相異なる細胞可溶化液が同じ濃度でスポットされたこと、および、処理はβ-アクチンのレベルに影響を与えなかったことを示す。大腸癌組織可溶化液では非処理と比較して処理済サンプルについてわずかに高レベルのβ-アクチンが検出された。これら2つの組織可溶化液のタンパク質濃度は、スポッティング溶液の調製の前に同レベルに均等化されているため、得られた差異はおそらく標準からの正しいタンパク質濃度の測定における誤差に起因すると考えられる(10-15%の範囲内の典型的な誤差)。それゆえ、以下において、処理済癌可溶化液のすべての分析物特異的シグナルをβ-アクチンシグナルのこの差異について修正した。
【0166】
4.2. 14のシグナル伝達経路マーカーのタンパク質発現プロファイリング
ひとつの測定領域のアレイを、特異的結合試薬としてアプライされた各異なる抗体および沈着したサンプルにおける検出すべきタンパク質について測定した。以下において、各測定したマイクロアレイから得たバー・プロット・プロファイルを各タンパク質分析物について示す。
【0167】
図5は、経路活性化マーカーである、P-Erk2、P-Akt、P-p38、P-SAPK/JNK、P-IκB-α、P-Stat3、α-カテニン、およびβ-カテニンの相異なるサンプルにおける検出についてのバー・プロファイルを示す。
【0168】
図6は、増殖マーカーである、P-ヒストン H3、P-Rb、P-p53、およびサイクリン D1の相異なるサンプルにおける検出についてのバー・プロファイルを示す。
【0169】
図7は、アポトーシスマーカー(切断PARP、切断カスパーゼ 3)の相異なるサンプルにおける検出についてのバー・プロファイルを示す。
【0170】
4.3. 示差的タンパク質発現プロファイル/結果の要約
図8は、14種類のタンパク質分析物への結合およびそれらの検出のための、14種類のマーカー抗体によりプロファイリングされた2種の異なる処理済大腸癌組織可溶化液について得られた結果を要約する。「シグナル倍数」変化は、対照可溶化液サンプルのシグナルに対する処理済可溶化液サンプルのシグナルの比として算出したものであり、したがって目的のタンパク質の示差的発現プロファイルを表す。破線はタンパク質 発現の有意な上方制御および下方制御の限界を示す:
上方制御の限界= 1.24
下方制御の限界= 0.81。
【0171】
これら限界はより大きいセットの同様の研究実験から判定したものであり、かかる実験は典型的には二連の抗体実験からの7-14% (平均10%)の範囲におけるシグナル倍数変化のCVを明らかにする。この実験において、該典型的変動係数は、14のすべての単一の抗体の測定の平均発現シグナルを(各8スポットの複製から)平均したものであり、 2-20%の範囲であった(平均CV = 8%)。
【0172】
これら限界線の上/下のシグナル値は処理によってタンパク質発現レベルが有意に変化したことを示す。プロットから見られるように、有意な上方制御は調べたシグナル伝達マーカータンパク質のいずれについても観察できなかった。顕著な下方制御は1つのタンパク質、即ち、経路活性化マーカーのグループのP-SAPK/JNKについてのみ観察できた(シグナルレベル0.50)。2つのその他の経路活性化マーカーは有意差の限界に近い程度の低い下方制御を示した: P-Erk2 (シグナルレベル 0.74)およびP-p38 (シグナルレベル 0.71)。その他のすべての分析物は有意なシグナル変化を示さなかった。
【図面の簡単な説明】
【0173】
【図1】図1は、本発明による分析用プラットフォームおよび本発明による分析用プラットフォームとしての一般的な固体支持体上の(沈着させたサンプルにしたがって) 6つの同一の測定領域のアレイの配置を示す。
【図2】図2は、左部分に、1:500 希釈のCy3-抗-β-アクチン(アプライ濃度: 6 nM; 露光時間:5秒、表示範囲:0-20 000)とのインキュベーション後の測定領域のアレイからの等方放射蛍光のイメージを示す。
【図3】図3は、非処理および処理済大腸癌組織可溶化液(即ち、「腫瘍可溶化液1および2」)の両方についての希釈プロットを示す。
【図4】図4は、スポットした細胞および腫瘍組織可溶化液のすべてにおけるβ-アクチンの検出についての基準化蛍光強度 (RFI)を示す。
【図5】図5は、2つの大腸癌組織可溶化液および内部対照としての2つの細胞可溶化液(それぞれ非処理および処理済)についての異なる測定領域のアレイにて測定したタンパク質発現についてのバー・プロット・プロファイルを示し、これら可溶化液は特異的結合試薬としての相異なるシグナル伝達マーカータンパク質(経路活性化)に特異的な抗体、次いで検出試薬としての対応する蛍光標識抗-種抗体(経路活性化についての例)とインキュベートした。
【図6】図6は、2つの大腸癌組織可溶化液および内部対照としての2つの細胞可溶化液(それぞれ非処理および処理済)についての異なる測定領域のアレイにて測定したタンパク質発現についてのバー・プロット・プロファイルを示し、これら可溶化液は異なる細胞シグナル伝達マーカータンパク質(細胞増殖)に特異的な抗体とともにインキュベートした。
【図7】図7は、2つの大腸癌組織可溶化液および内部対照としての2つの細胞可溶化液(それぞれ非処理および処理済) についての異なる測定領域のアレイにて測定したタンパク質発現についてのバー・プロット・プロファイルを示し、これら可溶化液は異なるアポトーシスマーカータンパク質(アポトーシス)に特異的な抗体とともにインキュベートした。
【図8】図8は、各タンパク質分析物について示された「シグナル倍数」(処理済および非処理細胞集団(サンプル)から得られたシグナルの間の実施例のセクション3.4.に記載のように基準化および正規化した蛍光シグナルの比)を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下を含む、1以上の細胞集団の定性的および/または定量的タンパク質発現プロファイルを作成する方法:
-1以上の細胞集団の可溶化液を作成すること、該可溶化液はそれぞれの細胞集団によって発現される複数のタンパク質を含む、
-実質的に平面の固体支持体を提供すること、
-希釈または非希釈形態にて、該固体支持体上に直接的に、または、該固体支持体上にアプライされた接着促進層上に、少量の細胞可溶化液を沈着サンプルとして別々の部位に沈着させ、それによって該固体支持体上の別々の測定領域の1以上の1次元または2次元アレイを作成すること、
-別々の測定領域における細胞可溶化液に含まれる検出すべきタンパク質の特異的結合パートナーとして複数の結合試薬をアプライすること、および、適当であるならば、該1以上の測定領域のアレイに1以上の検出試薬をアプライすること、該結合試薬および該検出試薬は、1以上のアレイの別々の測定領域に逐次的にアプライされるか、または検出試薬が結合試薬に結合した後、単一添加工程にてアプライされる、および、
-該1以上のアレイの別々の測定領域から生じる光シグナルを局所的に分解した様式で測定および記録すること、
ここで該実質的に平面の固体支持体は無孔性であり、かつ、アプライしてもよい接着促進層は厚さ1μm未満である。
【請求項2】
以下を含む、2以上の細胞集団の定性的および/または定量的示差的タンパク質発現プロファイルを作成する方法:
-細胞集団の第一の可溶化液を作成すること、該可溶化液はそれぞれの細胞集団によって発現される複数のタンパク質を含む、
-さらなる細胞集団の第二または第三以上の可溶化液を作成すること、該可溶化液はそれぞれの細胞集団によって発現される複数のタンパク質を含む、
-実質的に平面の固体支持体を提供すること、
-希釈または非希釈形態にて、該固体支持体上に直接的に、または、該固体支持体上にアプライされた接着促進層上に、少量の細胞可溶化液を沈着サンプルとして別々の部位に沈着させ、それによって該固体支持体上の別々の測定領域の1以上の1次元または2次元アレイを作成すること、
-別々の測定領域における細胞可溶化液に含まれる検出すべきタンパク質の特異的結合パートナーとして複数の結合試薬をアプライすること、および、適当であるならば、該1以上の測定領域のアレイに1以上の検出試薬をアプライすること、該結合試薬および該検出試薬は、1以上のアレイの別々の測定領域に逐次的にアプライされるか、または検出試薬が結合試薬に結合した後、単一添加工程にてアプライされる、および、
-希釈または非希釈形態にて、少量の第一の可溶化液の沈着によって作成された測定領域から生じる光シグナルの第一の群を局所的に分解した様式で測定および記録すること、
-希釈または非希釈形態にて、少量の第二または第三以上の可溶化液の沈着によって作成された測定領域から生じる光シグナルの第二または第三以上の群を局所的に分解した様式で測定および記録すること、および、
-光シグナルの第一の群の測定値と光シグナルの第二または第三以上の群の測定値を比較すること、
ここで該実質的に平面の固体支持体は無孔性であり、かつ、アプライしてもよい接着促進層は厚さ1μm未満である。
【請求項3】
相異なるタンパク質に対する特異的結合パートナーとして相異なる結合試薬が各相異なる検出すべきタンパク質についての相異なるアレイ上にアプライされる請求項1または2の方法。
【請求項4】
アレイ上に相異なる識別可能な検出試薬をアプライすることにより共通のアレイにおいて相異なるタンパク質を検出し、検出すべき相異なるタンパク質の数が、アプライされる相異なる識別可能な標識の数に対応する、請求項1または2の方法。
【請求項5】
測定領域のアレイ上の相異なるタンパク質および/または相異なる識別可能な検出試薬の検出のために相異なるアレイ上に相異なるタンパク質に対する特異的結合パートナーとして相異なる結合試薬をアプライすることにより、複数の相異なるタンパク質を複数の測定領域のアレイにおいて検出する、請求項1または2の方法。
【請求項6】
相異なる可溶化液が関連しない細胞集団から作成される、請求項1〜5のいずれかの方法。
【請求項7】
相異なる可溶化液が共通の細胞集団から得られた相異なる細胞亜集団から作成される、請求項1〜5のいずれかの方法。
【請求項8】
相異なる可溶化液が共通の細胞集団から相異なる時点にて得られた相異なる細胞亜集団から作成される、請求項7の方法。
【請求項9】
相異なる可溶化液が共通の細胞集団から得られ、相異なる試薬によって処理または刺激された、および/または、相異なる培養条件に曝された、相異なる細胞亜集団から作成される、請求項7または8の方法。
【請求項10】
相異なる可溶化液が疾患および健康細胞集団から作成される請求項1〜9のいずれかの方法。
【請求項11】
可溶化液の作成の由来である健康または疾患および/または処理または非処理および/または刺激された細胞集団が、以下を含む群に由来する、請求項1〜10のいずれかの方法:細菌を含む原核細胞、およびヒト、動物、または植物細胞を含む真核細胞、特に器官、皮膚、毛または骨組織を含むヒトまたは動物組織、または植物組織、および血液、血清または血漿、滑液、涙液、尿、唾液、組織液、リンパ液を含む細胞含有体液またはその構成成分。
【請求項12】
固体支持体上または該固体支持体上の接着促進層上の別々の部位に希釈または非希釈形態にて沈着される可溶化液が、その中で検出すべきタンパク質を該可溶化液が由来する細胞集団と同一の相対的な分子の組成にて有する請求項1〜11のいずれかの方法。
【請求項13】
可溶化液が、例えば、較正目的に使用することができる添加剤として、測定すべき分析物と類似の、追加された既知の濃度の化合物を(標準として)含む請求項1〜11のいずれかの方法。
【請求項14】
単一の測定領域に沈着させる材料が1000 細胞未満のタンパク質含量に対応する請求項1〜13のいずれかの方法。
【請求項15】
複数の測定領域のアレイが希釈または非希釈細胞可溶化液の沈着部位の同一の形状にて配置されており、2つの相異なるアレイにおける測定領域の行および列に関する類似の位置が、そこに沈着させた同一の(希釈または非希釈)細胞可溶化液からの沈着させた量に対応する、請求項1−14のいずれかの方法。
【請求項16】
固体支持体上にアプライされる接着促進層の厚さが200 nm未満、好ましくは20 nm未満である請求項1−15のいずれかの方法。
【請求項17】
該接着促進層が以下の群の化合物を含む請求項16の方法:シラン、官能化シラン、エポキシド、官能化荷電または極性ポリマーおよび「自立性受動的または官能化単層または多層」、チオール、アルキルホスファートおよびアルキルホスフォナート、ポリ(L)リジン/ポリエチレングリコールを含む多官能性ブロックコポリマー。
【請求項18】
サンプルが固体支持体上に直接に、または、固体支持体上に沈着させた接着促進層上に、横方向に選択的に、別々の測定領域に、以下を含む群から選択される方法によって沈着される、請求項16または17のいずれかの方法:インクジェットスポッティング、ペン、ピンまたはキャピラリーによる機械的スポッティング、「ミクロ接触プリンティング」、平行または交差マイクロチャンネルにおける、圧力差または電位または電磁ポテンシャルの印加によるその供給を介した測定領域とサンプルとの流体接触、および光化学的またはフォトリソグラフィー固定化方法。
【請求項19】
別々の測定領域の間の領域が、結合試薬および/または検出試薬の非特異的結合を最小にするために「不動態化」されており、即ち、分析物(即ちタンパク質)および沈着したサンプルのその他の含有物および結合試薬、ならびに適当であるならば、検出試薬に対して「化学的に中立」(即ち非結合性)の化合物が横方向に分離した測定領域の間に沈着されている、請求項1−18のいずれかの方法。
【請求項20】
検出すべきであって別々の測定領域に沈着している希釈または非希釈可溶化液に含まれるタンパク質が以下を含むタンパク質の群の化合物である請求項1−19のいずれかの方法:細胞質タンパク質、核タンパク質および膜タンパク質、体液中の分泌タンパク質(細胞質タンパク質および膜結合型細胞タンパク質、特にキナーゼを含む、細胞におけるシグナル伝達過程に関与するタンパク質)、タンパク質のリン酸化、グリコシル化、メチル化、およびアセチル化形態を含む翻訳後修飾タンパク質、特に処理の下で過剰発現および/または過小発現するタンパク質、抗体、人工的に過剰発現させたタンパク質、さらなる結合部位により官能化されたタンパク質を含む人工的に過剰発現させた修飾タンパク質(「ヒスチジンタグタンパク質」を含む「タグタンパク質」)、および蛍光タンパク質(「緑色蛍光タンパク質」、GFPを含む)。
【請求項21】
検出すべきであって、別々の測定領域に沈着している希釈または非希釈可溶化液に含まれるタンパク質が、添加された特異的結合試薬、および適当であるならば、逐次的に添加されたか、あるいは検出試薬の結合試薬への結合の後に単一添加工程にて添加された検出試薬の結合工程において、分析すべき希釈または非希釈の沈着された可溶化液に含まれるそのリン酸化および/または非リン酸化形態および/またはグリコシル化および/または非グリコシル化形態および/またはメチル化および/または非メチル化形態および/またはアセチル化および/または非アセチル化形態の存在によって識別される、請求項1−20のいずれかの方法。
【請求項22】
検出すべきであって別々の測定領域に沈着している希釈または非希釈可溶化液に含まれるタンパク質が、添加した特異的結合試薬、および適当であるならば、逐次的に添加されたか、あるいは検出試薬の結合試薬への結合の後に単一添加工程にて添加された検出試薬の結合工程において、分析すべき希釈または非希釈の沈着された可溶化液に含まれるそのリン酸化または非リン酸化形態および/またはグリコシル化または非グリコシル化形態および/またはメチル化または非メチル化形態および/またはアセチル化または非アセチル化形態の存在によって識別されない、請求項1−20のいずれかの方法。
【請求項23】
直接にまたは接着促進層に媒介されて作成された測定領域に物理的に接触している実質的に平面の固体支持体の材料が実質的に光学的に透明の材料である、請求項1−22のいずれかの方法。
【請求項24】
固体支持体上にアプライされる接着層の材料が実質的に光学的に透明の材料である、請求項16−23のいずれかの方法。
【請求項25】
実質的に光学的に透明の固体支持体の材料が、以下を含む群からの材料を含む請求項1−24のいずれかの方法:成形可能、噴霧可能または製粉可能プラスチック、金属、金属酸化物、ガラス、石英またはセラミックスを含むケイ酸塩。
【請求項26】
1以上の多色または単色光源からのプローブ光が1以上の測定領域のアレイにおける1以上の測定領域に向けられており、該1以上の測定領域のアレイから生じる光シグナルおよび/またはかかる光シグナルの変化が測定および記録される、請求項1−25のいずれかの方法。
【請求項27】
プローブ光が落射照明立体配置にて送達される請求項26の方法。
【請求項28】
プローブ光が透光立体配置にて送達される請求項26の方法。
【請求項29】
別々の測定領域における1以上のタンパク質の検出が、1以上の発光の強度または発光の強度の変化の検出に基づく、請求項1−28のいずれかの方法。
【請求項30】
別々の測定領域における1以上のタンパク質の検出が、該測定領域上または測定領域から1μm未満の距離内での屈折率変化の検出に基づく、請求項1−28のいずれかの方法。
【請求項31】
該測定領域上または測定領域から1μm未満の距離内での屈折率変化の検出が、アプライされた特異的結合パートナーの結合または脱離または移動に起因する、異なる屈折率の材料との接触面から生じる光と測定領域の領域から生じる光との位相差の変化によって生じる、該接触面から生じる光による、固体支持体上に作成された測定領域の領域における平面状の固体支持体から生じる光の干渉パターンの変化の検出に基づき、ここで、相異なる領域から生じる干渉光が、局所的に、および適当であるならば、スペクトル的に分解された様式で測定される、請求項30の方法。
【請求項32】
固体支持体に、好ましくは銀または金、好ましくは厚さ20 nm〜200 nmの金属薄層が備えられており、該金属薄層が直接にまたは接着促進層に媒介されて測定領域と接触しており、該測定領域上または測定領域から1μm未満の距離内での屈折率変化の検出が該金属層における表面プラズモン共鳴の発生の条件下での変化の検出に基づく、請求項1−30のいずれかの方法。
【請求項33】
固体支持体が連続した光導波路または個々の導波路領域へと分割される光導波路を含む、請求項1−32のいずれかの方法。
【請求項34】
光導波路が第一の実質的に光学的に透明の層 (a)よりも屈折率が低い第二の実質的に光学的に透明の層 (b)上にあり、別々の測定領域を担持する表面に面している層 (a)を備えた光学膜導波路である、請求項33の方法。
【請求項35】
プローブ光の光学的に透明の層 (a)へのインカップリングのために、この層が以下を含む群から選択される1以上の光学的インカップリング要素と光学的に接触している請求項34の方法:プリズムカップラー、オーバーラップするエバネセント場を有する光導波路を組み合わせて含むエバネセントカップラー、集束レンズを含む接合部カップラー、好ましくは、導波路層の一面の前に配置されたシリンダーレンズ、および格子カップラー。
【請求項36】
プローブ光が光学的に透明の層 (a)に、光学的に透明の層 (a)に備えられている1以上の格子構造(c)を用いてインカップリングする、請求項35の方法。
【請求項37】
光学的に透明の層(a)中に導かれる光が光学的に透明の層 (a) に備えられている1以上の格子構造(c')を用いてアウトカップリングする、請求項34−36のいずれかの方法。
【請求項38】
測定領域におけるタンパク質の検出が、膜導波路として形成された固体支持体の層(a)へのプローブ光のインカップリングのための、または、層(a)において導かれる光のアウトカップリングのための、共鳴条件における変化に基づく、光学膜導波路の層(a)に形成された格子構造を介して行われ、該変化が結合試薬および/またはさらなる検出試薬の、測定領域に含まれるタンパク質との結合に起因する、請求項34−37のいずれかの方法。
【請求項39】
該光導波路が第一の光学的に透明の層 (a)より屈折率の低い第二の光学的に透明の層(b)上に層 (a)を備えた光学膜導波路として設計され、ここでプローブ光が光学的に透明の層 (a)に備えられた1以上の格子構造の補助によって光学的に透明の層 (a)にさらにインカップリングされ、その上に位置する測定領域 (d)に導波として送達され、ここで、該導波のエバネセント場において生じた発光可能な分子の発光が、さらに1以上の検出器を用いて測定され、そして測定領域に含まれるタンパク質の相対量がこれら発光シグナルの強度から判定される、請求項34−37のいずれかの方法。
【請求項40】
測定領域における検出すべきタンパク質に特異的に結合している結合試薬と結合した検出試薬の励起により発光が生じ、検出試薬が300 nm〜1100 nmの波長にて励起され得、かつ放射し得る発光標識として用いられる発光色素または発光ナノ粒子を含む、請求項39の方法。
【請求項41】
相異なる識別可能な検出試薬が、相異なる放射波長および/または相異なる放射半減期を特徴とする、 請求項40の方法。
【請求項42】
プローブ光が持続時間1フェムト秒〜10分間のパルスにて送達され、測定領域からの放射光が時間分解様式で測定される、請求項1−41のいずれかの方法。
【請求項43】
以下を含む、1以上の細胞集団の光シグナル読み取りおよび定性的および/または定量的タンパク質発現プロファイルの作成のための分析用プラットフォーム:
-実質的に平面の固体支持体、
-該固体支持体上の別々の測定領域の1以上の1次元または2次元アレイ、該アレイは直接に該固体支持体上の、または、固体支持体上にあらかじめアプライされた接着促進層上の別々の部位に、希釈または非希釈形態にて少量の細胞可溶化液を沈着させることによって作成され、該細胞可溶化液は1以上の細胞集団由来であり、かつ、それら細胞集団によって発現される複数のタンパク質を含む、
ここで該実質的に平面の固体支持体は無孔性であり、かつ、アプライしてもよい接着促進層は厚さ1μm未満である。
【請求項44】
以下を含む、光シグナル読み取りおよび1以上の細胞集団の定性的および/または定量的示差的タンパク質発現プロファイルの作成のための分析用プラットフォーム:
-実質的に平面の固体支持体、
-該固体支持体上の別々の測定領域の1以上の1次元または2次元アレイ、該アレイは直接に該固体支持体上の、または、固体支持体上にあらかじめアプライされた接着促進層上の別々の部位に、希釈または非希釈形態にて少量の2以上の細胞可溶化液を沈着させることによって作成され、該細胞可溶化液は2以上の細胞集団由来であり、かつ、それら細胞集団によって発現される複数のタンパク質を含む、
ここで該実質的に平面の固体支持体は無孔性であり、かつ、アプライしてもよい接着促進層は厚さ1μm未満である。
【請求項45】
相異なる沈着された可溶化液が関連しない細胞集団から作成されたものである請求項43または44の分析用プラットフォーム。
【請求項46】
相異なる沈着された可溶化液が共通の細胞集団から得た相異なる細胞亜集団から作成されたものである請求項43または44の分析用プラットフォーム。
【請求項47】
相異なる沈着された可溶化液が共通の細胞集団から相異なる時点にて得られた相異なる細胞亜集団から作成されたものである請求項46の分析用プラットフォーム。
【請求項48】
相異なる沈着された可溶化液が共通の細胞集団から得られ、その後、相異なる試薬によって処理または刺激された、および/または、相異なる培養条件に曝された、相異なる細胞亜集団から作成されたものである請求項46または47の分析用プラットフォーム。
【請求項49】
相異なる沈着された可溶化液が疾患細胞集団および健康細胞集団から作成されたものである請求項43−48のいずれかの分析用プラットフォーム。
【請求項50】
沈着された可溶化液の作成の由来である健康または疾患および/または処理済または非処理および/または刺激細胞集団が、以下を含む群由来である請求項43−49のいずれかの分析用プラットフォーム:細菌を含む原核細胞、およびヒト、動物、または植物細胞を含む真核細胞、特に、器官、皮膚、毛または骨組織を含むヒトまたは動物組織または植物組織、そして血液、血清または血漿、滑液、涙液、尿、唾液、組織液、リンパ液を含む細胞-含有体液またはその構成成分。
【請求項51】
固体支持体上または該固体支持体上の接着促進層上の別々の部位に沈着された希釈または非希釈形態の可溶化液が、可溶化液の作成由来である細胞集団と、その中で検出すべきタンパク質が同一の相対的な分子の組成を有する、請求項43−50のいずれかの分析用プラットフォーム。
【請求項52】
沈着された可溶化液がろ過および/または分画および/または希釈以外のさらなるサンプル処理工程に供されていないものである請求項43−50のいずれかの分析用プラットフォーム。
【請求項53】
一つの測定領域に沈着させた材料が1000未満の細胞のタンパク質含量に対応する請求項43−52のいずれかの分析用プラットフォーム。
【請求項54】
複数の測定領域のアレイが希釈または非希釈細胞可溶化液の沈着部位が同一の形状となるよう配置され、2つの相異なるアレイにおける測定領域の行および列に関する類似の位置が、その中に沈着させた同一の(希釈または非希釈)細胞可溶化液からの沈着量に対応する、請求項43−53のいずれかの分析用プラットフォーム。
【請求項55】
固体支持体上にアプライされる接着促進層の厚さが200 nm未満、好ましくは20 nm未満である請求項43−54のいずれかの分析用プラットフォーム。
【請求項56】
該接着促進層が以下の群の化合物を含む請求項55の分析用プラットフォーム:シラン、官能化シラン、エポキシド、官能化、荷電または極性ポリマーおよび「自立性受動的または官能化単層または多層」、チオール、アルキルホスファートおよびアルキルホスフォナート、ポリ(L)リジン/ポリエチレングリコールを含む多官能性ブロックコポリマー。
【請求項57】
別々の測定領域の間の領域がトレーサー化合物の非特異的結合を最小にするために「不動態化」されており、即ち、結合試薬および、適当であるならば検出試薬に対して「化学的に中立」(即ち非結合性)の化合物が横方向に分離した測定領域の間に沈着されている請求項43−56のいずれかの分析用プラットフォーム。
【請求項58】
検出すべきであって、別々の測定領域に沈着させた希釈または非希釈可溶化液に含まれるタンパク質が以下を含むタンパク質の群の化合物である請求項43−57のいずれかの分析用プラットフォーム:細胞質タンパク質、核タンパク質および膜タンパク質、体液中に分泌されたタンパク質(細胞質タンパク質および膜結合型細胞タンパク質、特にキナーゼを含む細胞におけるシグナル伝達過程に関与するタンパク質)、リン酸化、グリコシル化、メチル化、およびアセチル化形態のタンパク質を含む翻訳後修飾タンパク質、特に処理の下で過剰発現および/または過小発現したタンパク質、抗体、人工的に過剰発現させたタンパク質、さらなる結合部位を備えた官能化タンパク質を含む人工的に過剰発現させた修飾タンパク質(「ヒスチジンタグタンパク質」を含む「タグタンパク質」)、および蛍光タンパク質(「緑色蛍光タンパク質」、GFPを含む)。
【請求項59】
直接にまたは接着促進層に媒介されて作成された測定領域と物理的に接触している実質的に平面の固体支持体の材料が実質的に光学的に透明である請求項43−58のいずれかの分析用プラットフォーム。
【請求項60】
固体支持体上にアプライされた接着層の材料が実質的に光学的に透明である請求項43−59のいずれかの分析用プラットフォーム。
【請求項61】
実質的に光学的に透明の固体支持体の材料が以下を含む群からの材料を含む請求項43−60のいずれかの分析用プラットフォーム:成形可能、噴霧可能または製粉可能プラスチック、金属、金属酸化物、ガラス、石英またはセラミックスを含むケイ酸塩。
【請求項62】
固体支持体が、好ましくは銀または金であり、好ましくは厚さが20 nm〜200 nmである、金属薄層を備えており、該金属薄層が直接にまたは接着促進層に媒介されて測定領域と接触しており、プラットフォームが該金属層における表面プラズモン共鳴の生成のために作動可能である請求項43−61のいずれかの分析用プラットフォーム。
【請求項63】
固体支持体が連続した光導波路または個々の導波路領域へと分割される光導波路を含む請求項43−62のいずれかの分析用プラットフォーム。
【請求項64】
光導波路が第一の実質的に光学的に透明の層 (a)よりも屈折率が低い第二の実質的に光学的に透明の層 (b)上にあり、別々の測定領域を担持する表面に面している層 (a)を備えた光学膜導波路である請求項63の分析用プラットフォーム。
【請求項65】
プローブ光の光学的に透明の層 (a)へのインカップリングのために、層 (a)が以下を含む群からの1以上の光学的インカップリング要素と光学的に接触している請求項64の分析用プラットフォーム:プリズムカップラー、オーバーラップするエバネセント場を備える光導波路と組み合わされたエバネセントカップラー、集束レンズ、好ましくは、導波路層の一面の前に配置されたシリンダーレンズを備える接合部カップラー、および格子カップラー。
【請求項66】
1以上の格子構造 (c)がプローブ光の光学的に透明の層 (a)へのインカップリングを可能とするために光学的に透明の層 (a)に備えられている請求項65の分析用プラットフォーム。
【請求項67】
1以上の格子構造(c')が光学的に透明の層 (a)に備えられており、光学的に透明の層 (a)において導かれた光のアウトカップリングを可能とする請求項64−66のいずれかの分析用プラットフォーム。
【請求項68】
該光導波路が第一の光学的に透明の層 (a)より屈折率が低い第二の光学的に透明の層 (b)上の層 (a)を備えた光学膜導波路として設計されており、分析用プラットフォームが光学的に透明の層 (a)に備えられた1以上の格子構造の補助による光学的に透明の層 (a)へのプローブ光のインカップリング、該プローブ光の導波としての測定領域(d)への送達、および該導波のエバネセント場における発光可能な分子の発光の励起に対して作動可能である、請求項64−67のいずれかの分析用プラットフォーム。
【請求項69】
医薬研究におけるスクリーニング方法、コンビナトリアルケミストリー、臨床および前臨床開発におけるタンパク質およびその修飾形態の測定のため、リアルタイム結合研究および親和性スクリーニングおよび研究における動力学的パラメーターの測定のため、特にプロテオームにおけるプロテオームの差異の測定のため、タンパク質-DNA 相互作用の測定のため、タンパク質 (生)合成の制御メカニズムの判定のため、生物学的および化学的マーカー化合物のスクリーニングのため、医薬品開発における患者の層別化のため、および治療薬選択のための、請求項1−42のいずれかの方法および/または請求項43−68のいずれかの分析用プラットフォームの、定量的および/または定性的分析のための使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2007−526460(P2007−526460A)
【公表日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−501122(P2007−501122)
【出願日】平成16年3月3日(2004.3.3)
【国際出願番号】PCT/EP2004/002127
【国際公開番号】WO2005/095965
【国際公開日】平成17年10月13日(2005.10.13)
【出願人】(504109610)バイエル・テクノロジー・サービシーズ・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング (75)
【氏名又は名称原語表記】Bayer Technology Services GmbH
【Fターム(参考)】