説明

細長い金属帯状片の安定化および視覚的監視のための装置および方法

溶融金属の槽(2)に連続的に通されることによって金属層でコーティングされる細長い金属帯状片(1)を、所定の搬送経路(X)に沿って搬送方向(22)に連続的に搬送される際に視覚的に監視し、安定させるための装置および方法。帯状片(1)は、槽(1)から所定の搬送経路(X)に沿って搬送されるように意図されている。装置は、所定の搬送経路(X)の各側に配置された少なくとも1つの第1組の電磁安定化手段(8、9)を備える電磁安定化装置(7)を備えている。さらに、装置は、空気流を帯状片の搬送方向(22)を横切りかつ帯状片の基本的に全幅を横切る線にて向けることによって帯状片(1)から余分な溶融金属を取り去るためのワイプ装置(4)を備えている。ワイプ装置は、帯状片(1)の各側に配置された少なくとも1つのエアナイフを有する少なくとも1組のエアナイフ(5、6)を備えている。第1の画像読み取り装置(16)が、所定の搬送経路(X)に関する帯状片の実際の位置の複数の画像を取得するように構成されている。第2および第3の画像読み取り装置(19、20)が、帯状片の表面の1つ以上の画像を取得するように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、細長い金属帯状片の表面品質の改善および効果的な安定化のための装置に関し、そのような帯状片の表面品質の改善および効果的な安定化のための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば鋼板などの細長い金属帯状片を、例えば金属の層で連続的にコーティングする場合、帯状片が、溶融金属(通常は、亜鉛またはアルミニウム)を収容してなる槽に連続的に通される。槽において、帯状片は、通常はこの金属槽に沈められたローラの下方を通り、その後に安定化および修正ローラを通って上方へと移動する。帯状片が槽から現れ、一式のエアナイフで構成されたワイプ装置(余分な溶融金属を帯状片から吹き飛ばして槽へと戻し、コーティングの厚さを制御する目的である)を通過して運ばれる。ナイフによって噴き出される気体は、通常は空気または窒素ガスであるが、蒸気または不活性ガスも使用可能である。その後に、帯状片は、コーティングが冷えて固化するまで、支持なしで搬送される。次いで、コーティング済みの帯状片が、帯状片のさらなる処理(例えば、帯状片を個別の薄板部材へと切断するなど)のため、またはローラへの巻き取りのために、上部ローラによって導かれ、あるいは案内される。通常の場合、帯状片は、槽に沈められたローラから修正および安定化ローラならびにエアナイフを通って上部ローラへと、垂直方向に移動する。
【0003】
帯状片を安定させるため、所定の搬送経路に関して帯状片の位置を安定させるように設計された電磁安定化装置が使用される。安定化装置は、帯状片の各側に配置された第1組の電磁安定化手段を備えている。
【0004】
例えば鋼板などの細長い金属帯状片が、金属の層によって連続的にコーティングされる場合、一様かつ薄いコーティング厚さが目標とされる。これを実現するために、帯状片が上部ローラを通過した後にコーティングの質量を測定し、次いでこの測定値をエアナイフ(通常は、垂直方向に可動に配置された梁から帯状片に向かう方向に吊り下げられて位置しており、帯状片上のコーティングへのガスの衝突の角度を変化させてコーティングの厚さを制御できるように、傾けることができるようにも構成されている)の制御に利用することが、一般的な実務である。
【0005】
しかしながら、帯状片の形状、帯状片が支持なしで走行しなければならない距離、その速度、およびエアナイフの噴き付け作用ゆえ、帯状片が、その搬送の方向に対して基本的に垂直な方向に移動または振動する。この横移動の問題に、修正および安定化ローラの使用、エアナイフからのガス流のより緻密な制御、ならびに帯状片の速度の調節および/または帯状片が支持なしで走行しなければならない距離の調節によって対処することが、古くから知られている。しかしながら、これらの横移動が軽減されない場合、これらの動きによって、エアナイフによる正確なワイプが大きく乱され、結果として肉眼でも視認できるコーティングの厚さの不整につながる。現時点において、帯状片がエアナイフおよび電磁安定化装置を通過した後のコーティングの厚さの不整の程度を測定設備によって確かめることは、困難である。この困難さは、測定がゆっくりと、典型的には約1〜2Hzで行われ、一度に帯状片の1つの地点においてしか行われないという事実に起因する。すなわち、帯状片が例えば2m/sという速度で移動している場合、このことは、帯状片の人間による/視覚による検査を使用せずに、コーティングの厚さの局所的な不良を自動的に見つけ、あるいは帯状片上にストライプの形態で現れるコーティング厚さの不整の有無を自動的に確認することが、不可能であることを意味している。帯状片上の水平方向のストライプは、10Hz以上の周波数に相当する頻度を有する可能性があり、帯状片上に縦方向のストライプが存在する場合、それらはたとえ横方向に移動する自動厚さセンサを用いても、やはり検出がきわめて困難である。
【0006】
代わりに、今日では、コーティングの厚さの制御が、かなり以前にエアナイフおよび電磁安定化設備を通過したときの帯状片を手作業で、視覚による検査によって制御し、必要が生じた場合にエアナイフおよび電磁石を制御するオペレータによって行われている。この遅れた制御ゆえに、帯状片の表面品質が数メートルにわたって損なわれる危険が存在し、このことは、後に帯状片の品質の等級をかなり大きく引き下げなければならず、最悪の場合には不合格としなければならないことを意味する。
【0007】
特開平09−202955号公報が、金属帯状片がエアナイフを通過したときに帯状片の安定化および引き延ばしを行うローラの助けによって、帯状片の振動をどのように軽減できるかを示している。平面内の搬送方向に対する帯状片の位置が、センサによって測定され、センサからの情報が、得られた値に基づいて振動の分析を行い、帯状片の速度についての情報と併せて、帯状片の振動を制御するために帯状片の最適な引っ張りを計算するコンピュータへと送られる。
【0008】
特許第3173755号明細書が、金属帯状片をめっきするための装置であって、安定化装置が帯状片の振動を少なくすべく配置されている装置を記載している。安定化装置が、帯状片のそれぞれの縁の角に配置されてこれらの角に接触し、縁を所望の位置に固定する案内装置と、帯状片の両面かつそれぞれの案内装置の間で帯状片の幅に対向する領域に配置され、帯状片の振動を軽減する電磁石とを備えている。上述の装置における1つの問題は、帯状片の充分な安定化を提供しない点にあり、装置が帯状片の表面品質の問題を解決していない点にある。
【0009】
さらに、帯状片の幅に沿って配置され、横移動を減衰させるべく帯状片に対して垂直に作用する磁力を生成する複数の電磁石を使用することが、例えば米国特許第6,471,153号および国際公開第2006/101446号から知られている。センサが、帯状片と電磁石との間の距離を測定すべく配置され、案内装置が、センサによって測定された帯状片と電磁石との間の距離に基づいて、電磁石を通って流れる電流の流れを案内し、横移動を減衰させて、所定の搬送経路に対する帯状片の位置が過剰に外れることがないように保証する。
【0010】
上述の技術的解決策における1つの問題は、帯状片が振動するという事実ゆえに、帯状片がエアナイフを通過した後に、帯状片上のコーティングが一様でない点にあり、したがって、細長い金属帯状片のワイプおよび安定化のための装置および方法であって、層の厚さを帯状片の全表面にわたってさらに一様にすることに大きく貢献する費用対効果に優れた方法および装置について、ニーズが存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開平09−202955号公報
【特許文献2】特許第3173755号明細書
【特許文献3】米国特許第6,471,153号
【特許文献4】国際公開第2006/101446号
【発明の概要】
【0012】
本発明の目的は、溶融金属の槽に連続的に通されることによって金属層でコーティングされ、この槽から所定の搬送経路に沿って搬送されるように意図されている細長い金属帯状片を、前記所定の搬送経路に沿って搬送方向に連続的に搬送される際に、視覚的に監視し安定化させることで、層の厚さを帯状片の全表面にわたってさらに一様にすることに大きく貢献する装置を提供することにある。
【0013】
この目的は、本発明によれば、独立請求項1の特徴付け部分に記載の特徴による装置によって達成される。
【0014】
所定の搬送経路とは、以下の説明および特許請求の範囲において、例えば帯状片の幅または形状が変化させられている場合など、帯状片の搬送の最中に決定および変更できる任意の平面を意味する。帯状片の形状は、帯状片が圧延によって製造される場合に、帯状片が変形に直面し、次いで通常は湾曲した変形に直面することができるために、例えば、帯状片の幅によって変化することができる。
【0015】
電磁石は、鉄心および鉄心の周囲に巻き付けられた少なくとも1つのコイルを備えており、以下の説明および特許請求の範囲においては、電磁石の長さが、電磁石の鉄心の長さを意味する。
【0016】
さらに、本発明の目的は、帯状片の各側に配置された少なくとも1つの電磁石を有する少なくとも1組の電磁石を備えており、所定の搬送経路に関して帯状片を安定させるように設計された少なくとも1つの電磁安定化装置を備える装置によって達成される。さらに装置は、少なくとも1つのエアナイフを帯状片の各側に配置して有する少なくとも1組のエアナイフを備えており、空気流またはガス流を帯状片の搬送方向を横切りかつ帯状片の基本的に全幅を横切る線へと向けることによって帯状片から余分な溶融金属を取り去るためのワイプ装置を備えている。
【0017】
少なくとも1つの第1の画像読み取り装置が、ワイプ装置の下流かつ電磁安定化装置の上流の第1の領域に配置され、この領域において、所定の搬送経路に関する帯状片の実際の位置の1つ以上の画像を取得する。
【0018】
少なくとも1つの第2の画像読み取り装置が、ワイプ装置の下流かつ電磁安定化装置の上流の第2の領域に配置され、この領域において、帯状片の表面の1つ以上の画像を取得し、少なくとも1つの第3の画像読み取り装置が、電磁安定化装置の下流の第3の領域に配置され、この領域において、帯状片の表面の1つ以上の画像を取得する。
【0019】
少なくとも1つの画像処理ユニットが、第1の画像読み取り装置によって取得された電磁石の前の帯状片の実際の位置の画像に基づいて、所定の搬送経路に関する帯状片の位置を割り出すように構成されている。
【0020】
さらに、画像処理装置が、第2および第3の画像読み取り装置によって取得された電磁安定化装置の下流および上流のそれぞれの帯状片の表面の画像に基づいて、画像の比較を行って、帯状片の欠陥を検出するように構成されている。
【0021】
少なくとも1つの計算モジュールが、画像処理ユニットによって割り出された帯状片の位置に基づいて、所定の搬送経路に関する帯状片のずれを計算するように構成されている。
【0022】
少なくとも1つの制御装置が、帯状片と所定の搬送経路との間に検出されたずれに応じて、帯状片の所定の搬送経路に関する位置が維持されるような磁力を帯状片へと加えるために、電磁安定化装置の電磁石への電流を制御するように意図されている。
【0023】
本発明の一実施形態によれば、第3の画像読み取り装置が、電磁安定化装置のすぐ下流または近傍に配置される。
【0024】
本発明の一実施形態によれば、第1の画像読み取り装置が、ワイプ装置の下流かつ電磁安定化装置の上流に配置され、固定された時間間隔において、帯状片の位置の1つ以上の画像を取得する。さらに、第2の画像読み取り装置が、ワイプ装置の下流かつ電磁安定化装置の上流に配置され、固定された時間間隔において、帯状片の表面の1つ以上の画像を取得する。さらに、第3の画像読み取り装置が、電磁安定化装置の下流に配置され、固定された時間間隔において、帯状片の表面の1つ以上の画像を取得する。
【0025】
本発明の一実施形態によれば、第1の画像読み取り装置が、ワイプ装置の下流かつ電磁安定化装置の上流に配置され、帯状片の位置を連続的に撮影する。さらに、第2の画像読み取り装置が、ワイプ装置の下流かつ電磁安定化装置の上流に配置され、帯状片の表面を撮影する。さらに、第3の画像読み取り装置が、電磁安定化装置の下流に配置され、帯状片の表面を撮影する。
【0026】
本発明の一実施形態によれば、第1、第2、および第3の画像読み取り装置のうちの少なくとも1つが、少なくともスチルカメラ、フィルムカメラ、ビデオカメラ、ウェブカメラ、高速度カメラ、または赤外線カメラを備えている。
【0027】
本発明の一実施形態によれば、装置が、例えば金属の層で帯状片をコーティングするための処理ラインに配置されることで、前記層が、溶融金属の槽を通って帯状片を連続的に搬送することによって適用され、エアナイフが、鋼板から余分な溶融金属を吹き飛ばすように配置される。
【0028】
本発明の一実施形態によれば、さらに制御設備が、以下のプロセスパラメータのうちの少なくとも1つに基づいて、電磁安定化装置の電磁石のコイルへの電流を制御する。ここで、以下のプロセスパラメータとは、帯状片の厚さ、帯状片へと適用される溶融金属の層の厚さ、帯状片の幅、帯状片の速度、ならびに帯状片のジョイントおよび引っ張り強度である。例えばエアナイフからのガスの圧力またはエアナイフと帯状片との間の距離など、エアナイフからのデータも、電磁安定化装置の電磁石のコイルへの電流を案内するために使用することができる。
【0029】
本発明の目的は、溶融金属の槽に連続的に通されることによって金属帯状片でコーティングされる細長い金属帯状片に関して、所定の搬送経路に沿って搬送方向に連続的に搬送される際の前記細長い金属帯状片を視覚的に監視するための方法において、独立請求項11の特徴付け部分に記載の特徴によっても達成される。
【0030】
本発明の一実施形態によれば、細長い金属帯状片が、所定の搬送経路に沿って搬送方向に連続的に搬送され、帯状片が、帯状片を溶融金属の槽に連続的に通すことによって金属層でコーティングされる。帯状片が、溶融金属の槽から所定の搬送経路に沿った方向に搬送され、所定の搬送経路に関する帯状片の位置の安定化が、必要に応じて、帯状片の各側に少なくとも1つの電磁石を有する少なくとも1組の電磁石を備える少なくとも1つの電磁安定化装置が、帯状片へと磁力を加えことで行われる。余分な溶融金属が、帯状片の各側に配置されたエアナイフを備えているワイプ装置によって生成される気流またはガス流を、帯状片の搬送方向を横切りかつ帯状片の基本的に全幅を横切る線にて帯状片へと向けることによって、取り去られる。所定の搬送経路に関する帯状片の位置の検出は、ワイプ装置の下流かつ電磁安定化装置の上流の第1の領域の第1の画像読み取り装置が、帯状片の位置の複数の画像を取得し、画像処理ユニットが、第1の画像読み取り装置によって取得された画像に基づいて所定の搬送経路に関する帯状片の実際の位置を割り出すように構成されることで、実行される。
【0031】
帯状片の表面の欠陥の検出は、ワイプ装置の下流かつ電磁安定化装置の上流の第2の領域の第2の画像読み取り装置が、帯状片の複数の画像を取得するのと同時に、電磁安定化装置の下流の第3の領域の第3の画像読み取り装置が、帯状片の表面の複数の画像を取得し、画像処理ユニットが、第2および第3の画像読み取り装置によって取得された帯状片の表面の画像に基づいて帯状片の表面の欠陥を検出するように構成されることで、実行される。
【0032】
次いで、計算モジュールが、画像処理ユニットからの情報に基づいて、所定の搬送経路に関する帯状片のずれを計算する。
【0033】
制御装置が、帯状片の所定の搬送経路に関する所望の位置が維持されるよう、磁力を帯状片へと加えるために、電磁安定化装置の電磁石への電流を制御する。
【0034】
本発明の一実施形態によれば、帯状片が所定の搬送経路に関して望ましくない位置にある旨が検出された場合に、オペレータが、帯状片を所望の位置へと動かし、帯状片に安定化力を加えるように、電磁安定化装置の電磁石のコイルへの電流を手動で制御することができる。
【0035】
本発明の一実施形態によれば、画像読み取り装置および画像処理ユニットの助けによって帯状片の表面の望ましくない欠陥が検出された場合に、オペレータが、帯状片からの溶融金属の取り去りを左右するエアナイフへの空気またはガスの流れを、手動で制御することができる。
【0036】
本発明を、添付の図面を参照しつつ行われる実施形態の説明によって、さらに詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1a】金属帯状片にコーティングを適用するための設備、帯状片を安定化するための装置、および帯状片を視覚的に監視するための装置を、側方から見て概略的に示す図。
【図1b】前方または後方から見た図1aによる発明の実施形態を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下の説明は、方法および装置に関する。
【0039】
図1aは、細長い金属帯状片1を容器3内の溶融金属の槽2を通って連続的に搬送することによって層でコーティングするときの、帯状片1の安定化および視覚的監視のための装置を示している。
【0040】
装置は、空気流を帯状片へと向けることによって帯状片から余分な溶融金属を取り去るためのワイプ装置4を備えており、ワイプ装置は、少なくとも1つの第1組のエアナイフ5、6を備えている(帯状片1の各側にエアナイフが1つずつ配置されている)。さらに装置は、所定の搬送経路Xに対して帯状片1の位置を安定させるように設計された電磁安定化装置7を備えている。電磁安定化装置7は、少なくとも第1組の電磁石8、9(搬送経路Xの各側に1ずつ配置されている)を備えている。図1aの各々の電磁石8、9は、鉄心10、11および2つのコイル12a−b、13a−bをそれぞれ備えているが、各々の安定化手段8、9の1つのコイル12a、13aだけを、図1aでは見て取ることができる。各々の電磁石8、9からの1つのコイルが、互いに電気的に接続され、帯状片を安定させるべく一緒に制御されるコイル12a、13aのペアを形成している。槽2に沈められたローラ14と安定化装置7の下流に配置された上部ローラ15との間において、所定の搬送経路Xが、主として平面Y内を延びている。
【0041】
エアナイフ5、6の下流かつ安定化装置7の上流において、少なくとも第1の画像読み取り装置16が、第1の領域に配置され、エアナイフ5、6からの気流が帯状片1上の金属層に衝突するラインに隣接する領域において、所定の搬送経路Xに対する帯状片1の位置の画像を取得するように設計されている。この線状の領域は、基本的に帯状片の全幅にわたって延びている。少なくとも1つの画像処理ユニット17が、第1の画像読み取り装置16によって取得された帯状片の位置の画像に基づいて、所定の搬送経路Xに対する帯状片1の実際の位置を割り出し、モニタ上に表示するように構成されており、これにより、オペレータ18が、コンバータ21内の制御プログラムによって、必要であれば、安定化手段へと通される電流を制御し、実際の位置に応じて帯状片に垂直な方向に安定化手段8、9によって帯状片へと加えられる磁力を制御する。
【0042】
少なくとも第2の画像読み取り装置19が、エアナイフ5、6の下流かつ安定化装置7の上流に、領域Zの帯状片の表面の画像を取得すべく配置され、少なくとも第3の画像読み取り装置20が、安定化装置7の下流の第3の領域に、領域Wの帯状片の表面の画像を取得すべく配置される。第2および第3の画像読み取り装置のそれぞれによって取得された画像が、画像処理ユニット17で処理され、結果がモニタ上に表示される。画像処理ユニット17は、領域Zにおいて取得された画像を領域Wにおいて取得された画像と比較し、帯状片上のストライプ、ドット、または他のコントラスト変化などといった表面欠陥がオペレータ18によって検出される場合に、オペレータが、安定化手段8、9によって帯状片へと加えられる磁力を制御し、帯状片の改善された表面品質を得る。
【0043】
また、オペレータ18自身が、画像処理ユニット17の助けを借りずに、領域ZおよびWのそれぞれにおいて画像読み取り装置によって取得された画像をモニタ18上で眺め、帯状片1の表面のストライプ、ドット、または他のコントラスト変化などの不規則変化を探すことも可能である。必要であれば、次いで安定化手段8、9によって帯状片へと加えられる磁力が制御され、帯状片の改善された表面品質が得られる。
【0044】
本発明は、上述の実施形態には限定されず、当然ながら、当業者であれば、特許請求の範囲によって定められる本発明の技術的範囲の範疇で、多数のやり方で変形が可能である。例えば、帯状片が、水平方向に搬送されてもよい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶融金属の槽(2)に連続的に通されることによって金属層でコーティングされ、前記槽(2)から所定の搬送経路(X)に沿って搬送されるように意図されている細長い金属帯状片(1)に関し、
前記所定の搬送経路(X)に関して前記帯状片(1)の安定化および/または変形/矯正を行うように構成され、前記帯状片(1)の各側に配置された少なくとも1つの電磁石を有する少なくとも1つの第1組の電磁石(8、9)を備える少なくとも1つの電磁安定化装置(7)と、
前記帯状片(1)の各側に配置された少なくとも1つのエアナイフを有する少なくとも1組のエアナイフ(5、6)を備えており、空気流を前記帯状片(1)の搬送方向(22)を横切りかつ前記帯状片(1)の基本的に全幅を横切る線へと向けることによって前記帯状片(1)から余分な溶融金属を取り去るためのワイプ装置(4)と、
を備えており、
前記細長い金属帯状片(1)が前記所定の搬送経路(X)に沿って前記搬送方向(22)に連続的に搬送される際に前記帯状片(1)を監視し、安定化させる装置であって、
少なくとも第1の画像読み取り装置(16)が、前記ワイプ装置(4)の下流かつ前記電磁安定化装置(7)の上流の第1の領域に配置され、前記所定の搬送経路(X)に関する前記帯状片(1)の実際の位置の複数の画像を取得するように構成されており、
少なくとも第2の画像読み取り装置(19)が、前記ワイプ装置(4)の下流かつ前記電磁安定化装置(7)の上流の第2の領域に配置され、前記帯状片(1)の表面の1つ以上の画像を取得するように構成されており、
少なくとも第3の画像読み取り装置(20)が、前記電磁安定化装置(7)の下流の第3の領域に配置され、前記帯状片(1)の表面の1つ以上の画像を取得するように構成されており、
少なくとも1つの画像処理ユニット(17)が、前記第1の画像読み取り装置(16)によって取得された前記帯状片(1)の位置の画像に基づいて、前記所定の搬送経路(X)に関する前記帯状片(1)の実際の位置を割り出すように配置および構成されるとともに、前記第2および第3の画像読み取り装置の助けによって取得された前記帯状片(1)の表面の画像に基づいて、前記表面の欠陥を検出するようにさらに構成されており、
少なくとも1つの計算モジュールが、前記画像処理ユニット(17)によって割り出された前記帯状片(1)の位置に基づいて、前記所定の搬送経路(X)に関する前記帯状片(1)のずれを計算するように構成されており、
少なくとも1つの制御装置(21)が、前記帯状片(1)と前記所定の搬送経路(X)との間に検出されたずれに応じて、前記帯状片の所定の搬送経路(X)に関する位置を維持できるような磁力を前記帯状片(1)へと加えるために、前記電磁安定化装置の電磁石(8、9)への電流を制御するように意図されていることを特徴とする、装置。
【請求項2】
前記第3の画像読み取り装置(20)が、前記電磁石(8、9)のすぐ下流に配置されていることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記第1の画像読み取り装置(16)が、固定された時間間隔において、前記ワイプ装置(4)の下流かつ前記電磁安定化装置(7)の上流の前記帯状片(1)の位置の1つ以上の画像を取得するように構成され、
前記第2の画像読み取り装置も、固定された時間間隔において、前記ワイプ装置(4)の下流かつ前記電磁安定化装置(7)の上流の前記帯状片(1)の表面の1つ以上の画像を取得するように構成され、
前記第3の画像読み取り装置(20)が、固定された時間間隔において、前記電磁安定化装置(7)の下流の前記帯状片(1)の表面の1つ以上の画像を取得するように構成されていることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記第1の画像読み取り装置(16)が、前記ワイプ装置(4)の下流かつ前記電磁安定化装置(7)の上流で、前記帯状片(1)の位置を連続的に撮影するように構成され、
前記第2の画像読み取り装置(19)が、前記ワイプ装置(4)の下流かつ前記電磁安定化装置(7)の上流で、前記帯状片(1)の表面を撮影するように構成され、
前記第3の画像読み取り装置(20)が、前記電磁安定化装置(7)の下流で、前記帯状片(1)の表面を撮影するように構成されていることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記第1(16)、第2(19)、および第3(20)の画像読み取り装置のうちの少なくとも1つが、スチルカメラの形態である、請求項3に記載の装置。
【請求項6】
前記第1(16)、第2(19)、および第3(20)の画像読み取り装置のうちの少なくともいずれかが、フィルムカメラまたはビデオカメラの形態である、請求項4に記載の装置。
【請求項7】
前記第1(16)、第2(19)、および第3(20)の画像読み取り装置のうちの少なくとも1つが、ウェブカメラの形態である、請求項4に記載の装置。
【請求項8】
前記第1(16)、第2(19)、および第3(20)の画像読み取り装置のうちの少なくとも1つが、赤外線カメラの形態である、請求項3または4に記載の装置。
【請求項9】
前記第1(16)、第2(19)、および第3(20)の画像読み取り装置のうちの少なくとも1つが、高速度カメラの形態である、請求項3または4に記載の装置。
【請求項10】
前記画像読み取り装置(16、19、20)が、請求項5〜9に記載の特徴のうちの少なくとも2つの組み合わせで構成されている、請求項1〜9に記載の装置。
【請求項11】
さらに前記制御装置(21)が、以下のプロセスパラメータ、すなわち
前記帯状片(1)の厚さ、
前記帯状片(1)へと適用される溶融金属の層の厚さ、
前記帯状片(1)の幅、
前記帯状片(1)の速度、
前記帯状片(1)のジョイントおよび引っ張り強度、
のうちの少なくとも1つに基づいて、前記電磁安定化装置(7)の電磁石(8、9)への電流を制御する、請求項1〜10のいずれかに記載の装置。
【請求項12】
溶融金属の槽(2)に連続的に通されることによって金属層でコーティングされる細長い金属帯状片(1)に関し、所定の搬送経路(X)に沿って搬送方向(22)に連続的に搬送される際の前記帯状片(1)を監視および安定化する方法であって、
前記槽(2)から前記所定の搬送経路(X)に沿った方向に金属帯状片(1)を搬送するステップと、
前記所定の搬送経路(X)に関して前記帯状片(1)の位置を安定させるために、必要に応じて、前記帯状片(1)の各側に配置された少なくとも1つの電磁石(8、9)を有する少なくとも1組の電磁石(8、9)を備える電磁安定化装置(7)によって、前記帯状片(1)へと磁力を加えるステップと、
前記帯状片の各側に少なくとも1つのエアナイフ(5、6)を備えているワイプ装置(4)によって生成される気流またはガス流を、前記帯状片(1)の搬送方向(22)を横切りかつ前記帯状片(1)の基本的に全幅を横切る線にて前記帯状片(1)へと向けることによって、前記帯状片(1)から余分な溶融金属を取り去るステップと、
を含み、
前記所定の搬送経路(X)の位置に関する前記帯状片(1)の実際の位置の検出が、前記ワイプ装置(4)の下流かつ前記電磁安定化装置(7)の上流の第1の位置の少なくとも1つの第1の画像読み取り装置(16)によって、前記帯状片(1)の位置の複数の画像を取得し、取得された画像に基づいて前記所定の搬送経路(X)に関する前記帯状片(1)の位置を画像処理ユニット(17)によって割り出すことによって実行され、
前記帯状片(1)の表面の欠陥の検出が、前記ワイプ装置(4)の下流かつ前記電磁安定化装置(7)の上流の第2の位置の少なくとも1つの第2の画像読み取り装置(19)によって、前記帯状片(1)の表面の1つ以上の画像を取得し、前記電磁安定化装置(7)の下流の第3の位置の少なくとも1つの第3の画像読み取り装置(20)によって、前記帯状片(1)の表面の1つ以上の画像を取得し、取得した画像を画像処理ユニット(17)を使用して分析し、前記欠陥(存在するのであれば)を検出することによって実行され、
少なくとも1つの計算モジュールが、取得された前記帯状片(1)の位置の画像に基づいて、前記所定の搬送経路(X)に関する前記帯状片(1)のずれを計算し、
少なくとも1つの制御装置(21)が、前記帯状片(1)の所定の搬送経路(X)に関する所望の位置を維持できるよう、磁力を前記帯状片(1)へと加えるために、前記電磁安定化装置(7)の電磁石(8、9)への電流を制御することを特徴とする、方法。
【請求項13】
オペレータ(18)が、前記帯状片(1)について前記所定の搬送経路(X)に関する望ましくない位置を検出したときに、前記帯状片を前記所定の搬送経路(X)に関する所望の位置へと戻す安定化力が前記帯状片(1)へと加えられるように、前記電磁安定化装置(7)の電磁石(8、9)のコイルへの電流を手動で制御する、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
オペレータ(18)が、手動にてリアルタイムで、前記第2の画像読み取り装置(19)の助けによって取得された画像を、前記第3の画像読み取り装置(20)の助けによって取得された画像と比較し、前記帯状片(1)の表面に望ましくない欠陥を検出したときに、手動にてリアルタイムで、前記帯状片(1)上の溶融金属の取り去りを左右するエアナイフ(5、6)からの空気またはガスの流れを制御し、さらに前記帯状片(1)へと安定化力が加えられるように前記電磁安定化装置(7)の電磁石(8、9)のコイルへの電流を手動で制御する、請求項12に記載の方法。

【図1a】
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【図1b】
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【公表番号】特表2010−540768(P2010−540768A)
【公表日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−526238(P2010−526238)
【出願日】平成20年9月8日(2008.9.8)
【国際出願番号】PCT/EP2008/061840
【国際公開番号】WO2009/040234
【国際公開日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【出願人】(303005562)エー ビー ビー リサーチ リミテッド (15)
【Fターム(参考)】