説明

細長木材組立式一体工法

【課題】優れた省資源健康住宅を作るためには全て自然のあるがままの材料を使うのが理想であり、その中でも間伐材の有効利用による森林保全と住宅単価を引き下げる。
【解決手段】基礎の簡略化と施工費引き下げに対して、既製コンクリートブロックを使用、上部構造物の組立の簡略化と施工費引き下げに対して、工場加工品とする、パネル、板材以外は集成材としない、工業製品の化学物質削減に対して、間伐材を使用する、建物維持費削減に対して、地熱利用、断熱空気層を作る、解体後の資源再利用に対して、アンカーボルト以外の金物は使用しない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
一般建築工事
【背景技術】
【0002】
在来軸組、ツーバイフォー、ログハウス、による在来基礎構造と上部構造及び工作物全般の構築工法
【0003】
【特許文献】 公開特許2008−190312号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
1 基礎工事の簡略化
2 基礎と建物全体の完全接合
3 水平力(地震、風圧)による1階床面、2階床面の剛性確保
4 全製品の工場製品化
5 天然素材使用による省資源化
6 地熱利用による室内の温度調整
7 解体時の木材の再利用
8 間伐材の積極利用
【0005】
本発明は従来の建築工事における問題を解決するものであり、次の説明を添付図面と照らし合わせて読むと、より完全に明らかになるであろう。ただし、図面はもっぱら解説のためのものであって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【課題を解決するための手段】
【0003】
第一の発明は通常建築物の布基礎にあたる部分に型枠の代わりに既製型枠コンクリートブロックを積み上げて、目地セメントが硬化した後、木製スペーサーをこの上に載せて土台部材を組み立てる。土材部材には決められた孔の位置にアンカーボルトを装着し土台の高さと全体の寸法を確認した後コンクリートを打設する。従来の基礎工法のアンカー装着では必ず位置ずれが発生していたが、先組土台にアンカーボルトを装着した後にコンクリートを流し込めば、位置のずれの問題点が解決され、施工がより簡易かつ安価な利点がある。
第二の発明は前記基礎及び土台の上に水平部材を載せて組立て、アンカーボルトに固定した後、垂直部材を水平部材の決められた位置に挿入し、パネルを垂直部材相互の間にはめ込み、固定する。これを繰り返し、梁下まで組み上げて、天井部材を水平部材の上に載せ木製釘(通常ダボ)にて固定する。その後、桁部材を積み上げて所定の位置に梁部材を設置して天井部材と梁部材を木製釘にて接続し同時に小梁も同様に接続する。天井と梁、小梁と桁部材が固定されたら床板部材を載せ桁、梁、小梁とダボにて接続する。これにより水平部材(壁)、垂直部材(柱)、天井部材、梁および小梁、床部材が一体となり、従来の木造住宅のように金物の強度に依存しないで地震その他の外力に抵抗させることが出来る。又、部材が軽いため従来必要としていた重機類が不要となる。この工法により天然資材による強固な建物が簡単に安価に立てる事が出来、大口径の木材を製材しなくても間伐材のような小口径の、より強度的に優れた芯持材が使用できる。
上記目的を達成するために、本発明は構造力学上の観点から材料強度の検討を行い構造計算にてこれを確かめ、在来工法よりはるかに強度が高く精度の高い工作物を作り上げることが可能である。
【発明の効果】
【0004】
イ‐従来の工法に比べて型枠作業が不要になる。専門業者に頼らなくても施工が可能であり、アンカーボルトの位置ずれの解消になる。
ロ‐基礎工事が完了した後、上部建築物を組み立てるために前記建築物の位置を示すための再度の測量(墨出し)が不要である。
ハ‐従来工法では土台設置のためにセメント等による再度の基礎コンクリートの天端の凹凸修正をしなければならなかったが、当工法では不用である。
ニ‐工場製作であるため正確である。基礎に合わせて組むだけで正確に木材を組むことが出来る。
ホ‐基礎より上の材料が軽量であるため重機が不要である。人手の削減 熟練工が不要 特殊工具等が不要である。
ヘ‐末口10cmの間伐材が使用できる。
ト‐ボルト以外の鉄製品(釘、螺子等)が不要である。
チ‐金物を使わないため解体が容易であり材木の再利用が可能である。
リ‐在来軸組みより強度が優れている。
ヌ‐パネルの空間が断熱空気層になり又通気道となる。
ル‐前述空間を利用して電気配線の自由度が高い。
以上の説明から明らかなように、本発明にあっては次に列挙する効果が得られる。
【0005】
(1)
基礎工事の簡略化 基礎剛性の増加 資材の減少
【0006】
(2)前記(1)によって、
工期の短縮 工費の大幅な削減 熟練工不要(組立は専門職でなくとも良い)
建設工事廃材の発生の解消
したがって、
【0007】
(3)前記(1)によって
新建材や工場生産品の使用を極力抑えることが出来るため、省エネルギーである。
自然素材のため健康住宅である。加えて地熱を利用するため光熱費の大幅な節約が出来る。
強固な建築物が熟練工無しでも施工が可能になり、建築単価が下がる。そのことにより建築工事件数の大幅な増加が見込まれる。離島や交通の不便なところでも自力で建てることが出来る。又、間伐材使用量の増加によって森林保全が進み林業に関する産業や活動が活性化する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図6】図1から図3により構築した基礎に水平部材を積み上げて柱を挿入して柱相互の間にパネルをはめ込み天井梁床板の順に組んでいきこれを繰り返して完成する。
【発明を実施するための形態】
【実施例】
以下図面に示す実施の形態により本説明を詳細に説明する。
【0009】
本発明を実施するための形態において、
図‐1図2 の説明をする。
基礎工事に先立って通気パイプを地表から1m以上の深さに埋め込む(深いほど効果大)。
基礎立上り部の吸気口より吸気した空気を、地中の熱を利用して一定の温度に保ち、建物内部に導入するためである。又、後述のパネルの空間は断熱と、24時間換気をするためである。敷設位置は、建物外周部地表面の温度変化の影響を避けるため建物中央部分に埋設する。捨てコンクリート、ベースコンクリートまでは在来の工法にのっとり施工する。
基礎立ち上り部分は型枠コンクリートブロックW=200を使用する。
【0011】
本発明を実施するための形態において
図‐3の説明をする。
前記1のコンクリートブロックのセメントが硬化したら、土台と同じ厚みの木片をおいて、あらかじめ孔を空けた部材2を載せて1段分を組み立て、アンカーボルトを孔に入れ、下に落ちないようにナットを付けて中吊状態で隙間よりコンクリートを流し込む。コンクリートはブロック天端に合わせて平滑に均して基礎は完了する。
【0012】
本発明を実施するための形態において
図‐4の説明をする。
コンクリートの養生期間が終わると前述の木片をはずしコンクリート天端にゴムシートを敷設して、その上に1の部材を床全体に並べる。
【0013】
本発明を実施するための形態において
図5図6の説明をする
フクロナットに長尺ボルト1m前後の位置に合わせた長さに切ってねじ込む。次に内壁兼横架材である2を長尺ボルトに合わせて上から置いて、1段ごとに建物の外周及び間仕切りの開口部以外の壁のあるところに水平に重ねていく。サッシ出入り口等の開口部は建具の寸法にあわせた枠をあらかじめ製作し2の材料を組みながら取り付ける。これを繰り返しボルトの長さが2の高さより手前で締め付け、前記同様に長尺ボルトを取り付ける。この作業の間に長さの違う柱3,4を2の欠きこみ(蟻孔)に合わせて差込、集成材パネル5を嵌め込み梁下までこの作業を繰り返す。尚このパネルは中空になっており断熱空気層と配線スペースを兼ねる。
【0014】
本発明を実施するための形態において
図‐7の説明をする
梁下まで組みあがったら、6の部材を載せて7の部材のせ、1の部材を載せ6の部材と1の部材と7の部材を接着剤とダボで緊結する。さらにその上に8の部材4〜5段重ねて載せ、8の欠きこみ(蟻孔)に合わせて9の部材をはめる。さらに10の部材を8の部材にはめ込み8の部材とダボで接続する。
【0015】
本発明を実施するための形態において
図7の説明をする。
次に1の部材を前記の上に載せてダボと接着剤で8の部材に取り付け、7の部材を載せて7の部材から8の部材1段目までドリルで孔をあけ、長尺のダボを打ち込み天井、梁、小梁、桁、床を一体化して剛性床が完成する。
【0016】
本発明を実施するための形態において
図8,図9、図10の説明をする。
[0012][0013][0014]に同じ
【0017】
本発明を実施するための形態において
図11の説明をする。
前記により組み立てた上に2の部材を1mに切断したものを屋根勾配に合わせてずらしながら重ねたものを小屋組みにして前記に取り付け、両妻側にも同様の部材を取り付ける。
屋根下地は1の部材を同小屋組みに接着剤とダボで取り付け建物骨組みは完成する。
【0018】
本発明を実施するための異なる形態につき説明する。なお、これらの本発明を実施するための異なる形態の説明に当って、前記本発明を実施するための形態と同一構成部分には同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0019】
[発明を実施するための異なる形態]
【0020】
図 4ないし図に示す本発明を実施するための第2の形態において、前記本発明を実施するための形態と主に異なる点は、
▲1▼基礎本体を在来工法にて行えば前記本発明を実施するための形態と同様の効果が得られる。
▲2▼木材の種類を変えて間伐材、間伐集成材、一般集成材を使用すれば前記本発明を実施するための形態と同様の効果が得られる。
【0021】
本発明を実施するための形態において、前記本発明を実施
するための形態と主に異なる点は、
▲1▼前記▲2▼の材料及び土台、柱材壁材、それぞれの断面を大きくして、梁材の垂直部材8をラチス、矩形孔丸形孔等加工を施し軽量にし、組立梁にしても前記本発明を実施するための形態と同様の結果が得られる。(大スパン構造)
【産業上の利用可能性】
本発明は 建築物を製造する産業で利用される。
【符号の説明】
【0022】
1 厚板
2 横架材(水平材)
3 長柱(垂直材)
4 短柱(垂直材)
5 梁受け材(水平材)
6 押さえ桁(水平材)
7 梁材
8 外小梁材
9 内小梁材
10 小屋組み
【図−1】

【図−2】

【図−3】

【図−4】

【図−5】

【図−6】

【図−7】

【図−8】

【図−9】

【図−10】

【図−11】

【図−12】

【図−13】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
現在多くの木造住宅は、べた基礎が主流になっており、構造的にも安定しているため、ベースコンクリートまでは通常工法となるが、基礎工事に入る前に吸気配管を敷設する。
後述の24時間換気と、室内気温の変動を減らすためである。地中に埋め込まれたパイプは地熱によって年間を通して一定温度を保つ。地中パイプの中を通って吸気された空気は冬は暖かく夏は涼しく感じられる。パイプの敷設位置は建物外周部の地面が露出する部分を避けて、建物内部の中心に近い位置とする。少しでも外周部露出地面の地熱変化の影響を避けるためである。敷設後、ベースコンクリート打設後は、200mm厚の型枠コンクリートブロックを通常型枠に代えて使用する。これにより組立、脱型の手間が省かれる。ブロックを正確に設置してコンクリートを打設すればコンクリートの凹凸の問題が解決され打設後のセメント補修が省略される。ブロック目地セメントが硬化し動かなくなった状態で土台と同厚の木片を置いて1段目の壁材を組立て、アンカーボルトを装着し、宙吊りの状態でコンクリートを流し込めば通常工法で問題の多いアンカーボルトの位置ずれは発生しない。又ゴムシートは柔軟性があるためコンクリート天端に馴染み緩衝材の役割を果たす。前記基礎の上に組み立てる水平部材は建物角部分と直線部分とを正確に作成しておく。
建物の基本は水平と直角が絶対の基本であるからである。基礎が水平になっていれば積み上げていくだけで自然と建物の形ができていく。通常土台といわれる部分の下も含め厚板を床全面に敷き詰めその上に根太材を取り付けこれと水平部材と柱を貫通したダボで接続する。これはいままでの建物では省みられなかった、水平力による柱、壁の足元の変形に対して板を敷くことにより足元全体を一体化して変形に抵抗させるためである。そして前述の部材を積み上げてボルトで締め付け加工に合わせて2本の長さの違う柱を水平部材の欠き込み(蟻孔)に挿入する。長さが違うのは継ぎ手位置をずらして交互にダボで接続するためである。こうすれば連続柱になり、通し柱同様の強度となる。水平部材である壁材は上下かみ合いで一体化していて、これを通し柱で補剛するのがこの工法である。強度上の利点は、水平部材が建物荷重を負担して、柱は通常工法とは異なり、水平荷重のみの負担となるため非常に粘り強い建物となる。又、柱と柱の間にはパネルを落とし込みこれを水平材と接続するため壁の変形に対して抵抗する筋交いの役割をはたす。
これを繰り返して梁下まで組み上げて天井材を載せてその上に梁を水平桁部材の欠きこみ(蟻孔)に合わせて落とし込み接合する。間には小梁をいれてこれも接合する。これを繰り返して天井全体が組みあがったら、この上に床材を載せて接合する。尚、板材はすべて厚板であり建物巾の長さがある集成材を使用する。これらが全て組みあがると床、天井、梁、桁が一体化して剛性床となる。この建物の特徴は床と天井を構造物にして建物全体で外力に抵抗するものである。材料は全て小口径の間伐材を積み上げていくものであり、それぞれの部材が軽いため組立が簡単である。又、大断面材料を使わないことにより、応力の集中を避けることが出来る。作業は積み上げと、挿入だけであるため、ダボ用のドリルと木製ハンマーとボルト締めのスパナだけで組み立てることが出来る。
*外部側建具は気密性を高めた木製ペアガラス障子が望ましいが防火の規制地区ではアルミサッシもやむを得ない。
*屋上もしくは屋根裏にソーラー換気扇を設置して地下パイプの空気を吸い上げる。

【公開番号】特開2011−220088(P2011−220088A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−104434(P2010−104434)
【出願日】平成22年4月12日(2010.4.12)
【出願人】(510120953)
【Fターム(参考)】