説明

組合せ

MEK阻害剤N−{3−[3−シクロプロピル−5−(2−フルオロ−4−ヨード−フェニルアミノ)−6,8−ジメチル−2,4,7−トリオキソ−3,4,6,7−テトラヒドロ−2H−ピリド[4,3−d]ピリミジン−1−イル]フェニル}アセトアミド、またはその薬学上許容可能な塩もしくは溶媒和物と、mTOR阻害剤とを含んでなる新規組合せ、それらを含んでなる医薬組成物ならびにMEKおよび/またはmTORの阻害が有益である病態、例えば癌の治療におけるそのような組合せおよび組成物を使用する方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、哺乳動物の癌を治療する方法、およびこのような治療に有用な組合せに関する。特に、前記方法は、MEK阻害剤であるN−{3−[3−シクロプロピル−5−(2−フルオロ−4−ヨード−フェニルアミノ)−6,8−ジメチル−2,4,7−トリオキソ−3,4,6,7−テトラヒドロ−2H−ピリド[4,3−d]ピリミジン−1−イル]フェニル}アセトアミド、またはその薬学上許容可能な塩もしくは溶媒和物と、mTOR阻害剤とを含んでなる新規組合せ、それを含んでなる医薬組成物、および癌の治療においてこのような組合せを使用する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
癌を含む過増殖性障害の有効な治療は、腫瘍学分野における継続的な目標である。一般的に、癌は、細胞の分裂、分化およびアポトーシス細胞死を制御する正常なプロセスの調節解除に起因する。アポトーシス(プログラム細胞死)は、胚発生、ならびに神経変性疾患、心血管疾患および癌等の各種疾患の病変形成において重要な役割を果たす。アポトーシスのキナーゼ調節に関与している経路のうち最も広く研究されている経路のうちの1つは、細胞表面の成長因子受容体から核への細胞内シグナル伝達である(CrewsおよびErikson,Cell,74:215−17,1993)。
【0003】
マイトジェン活性化タンパク質(MAP)キナーゼ/細胞外シグナル調節キナーゼ(ERK)キナーゼ(本明細書以下でMEKと称する)は、Raf−MEK−ERKシグナル変換経路を媒介するキナーゼとして細胞増殖の調節に関与することが知られており、Rafファミリー(B−Raf、C−Rafなど)はMEKファミリー(MEK−1、MEK−2など)を活性化し、MEKファミリーはERKファミリー(ERK−1およびERK−2)を活性化する。
【0004】
癌、特に結腸直腸癌、膵癌、肺癌、乳癌などにおけるRaf−MEK−ERKシグナル変換経路の活性化は頻繁に観察されている。
【0005】
加えて、増殖因子、サイトカインなどのシグナル分子によって生成されるシグナルはMEK−ERKの活性化に収束するので、これらの機能の阻害剤は、RTK、Ras、およびRafなどの上流キナーゼの機能の抑制より、Raf−MEK−ERKシグナル変換をより効果的に抑制すると考えられている。
【0006】
さらに、MEK阻害活性は、ERK1/2活性の阻害および細胞増殖の抑制を有効に誘導し(The Journal of Biological Chemistry,vol.276,No.4,pp.2686−2692,2001)、化合物が腫瘍形成および/または癌等の望ましくない細胞増殖によって、引き起される疾患に対する効果を示すと予測される。
【0007】
FK506結合タンパク質12ラパマイシン関連タンパク質q(FRAP1)としても知られているラパマイシンの哺乳動物標的(mTOR)はまた、ヒトにおいてFRAP1遺伝子によってコードされるタンパク質である。mTORは、細胞成長、細胞増殖、細胞運動性、細胞生存、タンパク質合成、および転写を調節するセリン/トレオニンキナーゼである。
【0008】
現在の研究により、mTORが、インスリン、増殖因子(例えばIGF−1およびIGF−2)、およびマイトジェンを含む複数の上流経路からの入力を統合することが示されている。mTORはまた、細胞栄養素およびエネルギーレベルおよび酸化還元状態のセンサとして機能する。mTOR経路の調節不全(disregulation)は、種々のヒト疾患プロセス、特に種々の種類の癌の要因に関係がある。ラパマイシンは、その細胞内受容体FKBP12との会合を介してmTORを阻害できる細菌性の天然産物である。FKBP12−ラパマイシン複合体は、mTORのFKBP12−ラパマイシン結合(FRB)ドメインに直接結合する。
【0009】
mTORは、細胞における2つの別個の分子複合体、mTORC1およびmTORC2の触媒サブユニットとして機能することが示されている。mTOR阻害剤は既に移植片拒絶反応の治療に使用されている。それらはまた、癌の治療に使用され始めている。mTOR阻害剤はまた、いくつかの年齢に関連する疾患の治療に有用であり得る。
【0010】
癌の作用を受けている個体のより有効なおよび/または強化された治療を提供する新規療法を提供することが有用である。
【発明の概要】
【0011】
本発明は、単剤療法より高い活性を提供する化学療法剤の確認された組合せを有する。具体的には、mTOR阻害剤と組合わせた、MEK阻害剤:N−{3−[3−シクロプロピル−5−(2−フルオロ−4−ヨード−フェニルアミノ)6,8−ジメチル−2,4,7−トリオキソ−3,4,6,7−2H−ピリド[4,3−d]ピリミジン−1−イル]フェニル}アセトアミド、またはその薬学上許容可能な塩もしくは溶媒和物、構造(I)の化合物
【化1】

を含んでなる薬物の組合せである。
【0012】
本発明の第1の態様において、(i)N−{3−[3−シクロプロピル−5−(2−フルオロ−4−ヨード−フェニルアミノ)6,8−ジメチル−2,4,7−トリオキソ−3,4,6,7−テトラヒドロ−2H−ピリド[4,3−d]ピリミジン−1−イル]フェニル}アセトアミド(構造(I)の化合物)
【化2】

またはその薬学上許容可能な塩もしくは溶媒和物、好適にはジメチルスルホキシド溶媒和物(本明細書以下で構造(I)の化合物のジメチルスルホキシド溶媒和物は化合物Aとも称し、構造(I)の化合物の遊離または非溶媒和物形態は化合物Cとも称する)と、mTOR阻害剤とを含んでなる組合せが提供される。
【0013】
本発明の第2の態様において、療法に使用するための(i)構造(I)の化合物:
【化3】

またはその薬学上許容可能な塩もしくは溶媒和物、好適にはジメチルスルホキシド溶媒和物と、mTOR阻害剤とを含んでなる組合せが提供される。
【0014】
本発明の第3の態様において、癌の療法に使用するための(i)構造(I)の化合物:
【化4】

またはその薬学上許容可能な塩もしくは溶媒和物、好適にはジメチルスルホキシド溶媒和物と、mTOR阻害剤とを含んでなる組合せが提供される。
【0015】
本発明の第4の態様において、(i)構造(I)の化合物:
【化5】

またはその薬学上許容可能な塩もしくは溶媒和物、好適にはジメチルスルホキシド溶媒和物と、mTOR阻害剤とを、薬学上許容可能な希釈剤または担体と一緒に含んでなる医薬組成物が提供される。
【0016】
第5の態様において、癌の治療のための薬剤の製造における、i)式(I)の化合物
【化6】

またはその薬学上許容可能な塩もしくは溶媒和物、好適にはジメチルスルホキシド溶媒和物と、mTOR阻害剤とを含んでなる組合せの使用が提供される。
【0017】
第6の態様において、
(i)治療有効量の式(I)の化合物
【化7】

またはその薬学上許容可能な塩もしくは溶媒和物、好適にはジメチルスルホキシド溶媒和物と、mTOR阻害剤とを、哺乳動物に投与することを含んでなる、前記哺乳動物における癌を治療する方法が提供される。
【0018】
本発明のさらなる態様において、治療有効量の本発明の組合せ(ここで、その組合せの化合物は一定期間内かつ持続期間にわたって投与される)を投与することを含んでなる、それを必要とする哺乳動物における癌を治療する方法が提供される。
【0019】
本発明のさらなる態様において、治療有効量の本発明の組合せ(ここで、その組合せの化合物は連続投与される)を投与することを含んでなる、それを必要とする哺乳動物における癌を治療する方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】図1は、A427、A549、Calu6およびH2122細胞株についての細胞増殖阻害用量反応曲線を示す。
【図2】図2は、A427、A549、Calu6およびH2122細胞株についてのカスパーゼ3/7活性曲線を示す。
【図3】図3は、MEKと、mTOR阻害剤単独および組合せでの、癌細胞株に対する増殖IC50(gIC50)を示す。
【図4】図4は、癌細胞株についてのMEKとmTOR阻害剤との組合せ指数の対数値を示す。
【図5】図5は、A549肺癌細胞株増殖についてのMEK阻害剤、mTOR阻害剤およびそれらの組合せの効果を示す。
【図6】図6は、癌細胞株についてのMEK阻害剤、mTOR阻害剤およびそれらの組合せに対する細胞応答を示す。
【発明の具体的説明】
【0021】
本発明は増殖抑制作用を示す組合せに関する。好適には、その方法は、mTOR阻害剤と、N−{3−[3−シクロプロピル−5−(2−フルオロ−4−ヨード−フェニルアミノ)−6,8−ジメチル−2,4,7−トリオキソ−3,4,6,7−テトラヒドロ−2H−ピリド[4,3−d]ピリミジン−1−イル]フェニル}アセトアミド、またはその薬学上許容可能な塩もしくは溶媒和物、好適にはジメチルスルホキシド溶媒和物(ここで、その化合物は構造I:
【化8】

によって表される)の同時投与によって癌を治療する方法に関する。
【0022】
化合物Cは、その薬学上許容可能な塩および溶媒和物と共に、特に癌の治療において、MEK活性の阻害剤として有用であることが、国際出願日が2005年6月10日である国際特許出願第PCT/JP2005/011082号に開示され、請求されている。国際公開日が2005年12月22日である国際特許公開第2005/121142号は、参照することによって、全開示が本明細書に組み込まれ、化合物Bは、実施例4〜1の化合物である。化合物Cは、国際特許出願第PCT/JP2005/011082号に記載の通り調製できる。化合物Cは、引用することにより本明細書の一部とされる2006年1月19日公開の米国特許出願公開第2006/0014768号に記載の通り調製できる。
【0023】
好適には、化合物Cは、化合物Aであるジメチルスルホキシド溶媒和物の形態である。好適には、化合物Cは、ナトリウム塩の形態である。好適には、化合物Cは、水和物、酢酸、エタノール、ニトロメタン、クロロベンゼン、1−ペンタン、イソプロピルアルコール、エチレングリコールおよび3−メチル−1−ブタノールから選択される溶媒和物の形態である。これら溶媒和物および塩の形態は、国際特許出願第PCT/JP2005/011082号または米国特許出願公開第2006/0014768号の記載から当業者により調製され得る。
【0024】
本明細書で使用するために、用語mTOR阻害剤、mTORおよびその誘導体は、他に指定されない限り、限定されないが、ラパマイシンおよびその類似体、RAD001またはエベロリムス(Afinitor)、CCI−779またはテムシロリムス、AP23573、AZD8055、WYE−354、WYE−600、WYE−687およびPp121を含む。好適には、mTOR阻害剤は、ラパマイシン、エベロリムス(Afinitor)およびテムシロリムスから選択される。好適には、mTOR阻害剤は、ラパマイシンおよびエベロリムス(Afinitor)から選択される。好適には、mTOR阻害剤は、エベロリムスである。
【0025】
治療上有効量の本発明の組合せの投与は、治療上有効量の構成要素化合物の個々の投与と比較したとき、前記組合せが以下の改善された特性のうちの1つ以上を提供するという点で個々の構成要素化合物よりも有利である:i)最も活性の高い単剤よりも優れた抗癌効果、ii)相乗的または高度に相乗的な抗癌活性、iii)副作用プロファイルを低く抑えながら強化された抗癌効果を提供する投薬プロトコール、iv)毒性作用プロファイルの低下、v)治療濃度域の拡大、vi)構成化合物のうちの一方または両方の生物学的利用能の上昇、またはvii)個々の構成要素化合物に対するアポトーシスの上昇。
【0026】
本発明の化合物は、1つ以上のキラル原子を含有していてもよく、または2つの鏡像異性体として存在していてもよい。したがって、本発明の化合物は、精製された鏡像異性体または鏡像異性的に濃縮された混合物に加えて、鏡像異性体の混合物を含む。また、全ての互変異性体および互変異性体の混合物が、化合物Aならびにその薬学上許容可能な溶媒和物および/または塩、ならびにmTOR阻害化合物およびその薬学上許容可能な塩の範囲内に含まれることを理解されたい。
【0027】
本発明の化合物は、溶質(本発明では、化合物Aまたはその塩もしくは溶媒和物および/あるいはmTOR阻害剤またはその塩)および溶媒により形成される可変化学量論の複合体であると理解される溶媒和物を形成できる。本発明のためのこのような溶媒は、溶質の生物活性に干渉することはできない。好適な溶媒の例としては、水、メタノール、ジメチルスルホキシド、エタノールおよび酢酸が挙げられるが、これらに限定されない。好適には、使用される溶媒は、薬学上許容可能な溶媒である。好適には、使用される溶媒は水ではない。
【0028】
本発明の化合物の薬学上許容可能な塩は、当業者によって、容易に調製される。
【0029】
また、mTOR化合物またはその薬学上許容可能な塩、および/あるいは化合物Cまたはその薬学上許容可能な塩もしくは溶媒和物がプロドラッグとして投与される、本発明の組合せを使用して癌を治療する方法も本発明で検討される。本発明の化合物の薬学上許容可能なプロドラッグは、当業者によって、容易に調製される。
【0030】
投薬プロトコールに言及する場合、用語「日」、「1日当たり」等は、真夜中に始まり次の真夜中に終わる1暦日内の時間を指す。
【0031】
本発明で使用する用語「治療」およびその派生語は、治療的療法を意味する。特定の病態に関して、治療は、以下を意味する:(1)病態の生物学的徴候のうちの1つ以上の病態を寛解または予防する、(2)(a)病態を導くかもしくは病態の原因となる生物学的カスケードにおける1以上の点、または(b)病態の生物学的徴候のうちの1つ以上に干渉する(3)病態またはその治療に関連する症状、作用、または副作用のうちの1以上を軽減する、あるいは(4)病態または病態の生物学的徴候のうちの1つ以上の進行を遅らせる。これらによる予防的療法も検討される。当業者は、「予防」が絶対的な用語ではないことを認識する。医学では、「予防」とは、病態またはその生物学的徴候の可能性または重篤度を実質的に低下させるか、またはこのような病態またはその生物学的徴候の発生を遅らせるために薬物を予防的に投与することを指すと理解される。例えば、被験体が強い癌の家族歴を有している場合、または被験体が発癌物質に曝露された場合等、被験体が癌を発現するリスクが高いと考えられる場合、予防的療法が適切である。
【0032】
本明細書で使用するとき、用語「有効量」は、例えば、研究者または臨床医によって求められている組織、系、動物、またはヒトの生物学的反応または医学的反応を誘発する薬物または医薬剤の量を意味する。更に、用語「治療上有効量」は、このような量を投与されていない対応する被験体と比較したとき、疾患、障害または副作用の治療、治癒、予防または寛解を改善させるか、あるいは疾患または障害の進行速度の低下させる任意の量を意味する。また、この用語は、正常な生理機能を強化するのに有効量を範囲内に含む。
【0033】
本発明で使用する用語「組合せ」およびその派生語は、治療上有効量のmTOR阻害化合物および化合物Cまたはその薬学上許容可能な塩もしくは溶媒和物との同時投与または任意の方式による別々の連続投与を意味する。好ましくは、投与が同時ではない場合、互いに近接した時間に化合物を投与する。更に、同じ剤形で化合物を投与するかどうかは重要ではなく、例えば、ある化合物を局所的に投与してもよく、他の化合物を経口で投与してもよい。好適には、両方の化合物を経口で投与する。
【0034】
本発明で使用する用語「組合せキット」は、本発明に係るmTOR阻害化合物および化合物Cまたはその薬学上許容可能な塩もしくは溶媒和物を投与するために用いられる1つまたは複数の医薬組成物を意味する。両方の化合物を同時に投与する場合、組合せキットは、mTOR阻害化合物および化合物Cまたはその薬学上許容可能な塩もしくは溶媒和物を、錠剤等の単一の医薬組成物にまたは別々の医薬組成物に含有することができる。化合物を同時には投与しない場合、組合せキットは、mTOR阻害化合物および化合物Cまたはその薬学上許容可能な塩もしくは溶媒和物を、別々の医薬組成物に含有する。組合せキットは、mTOR阻害化合物および化合物Cまたはその薬学上許容可能な塩もしくは溶媒和物を、単一の包装内の別々の医薬組成物に、または別々の包装内の別々の医薬組成物に含むことができる。
【0035】
1つの態様では、以下の構成要素:
薬学上許容可能な担体を伴う、mTOR阻害化合物、および
薬学上許容可能な担体を伴う、化合物Cまたはその薬学上許容可能な塩もしくは溶媒和物、を含んでなる組合せキットが提供される。
【0036】
本発明の1つの実施形態では、組合せキットは以下の構成要素:
薬学上許容可能な担体を伴う、mTOR阻害化合物、および
薬学上許容可能な担体を伴う、化合物Cまたはその薬学上許容可能な塩もしくは溶媒和物を含んでなり、
前記構成要素は、順次、別々に、および/または同時に投与されるのに好適な形態で提供される。
【0037】
1つの実施形態では、組合せキットは、
薬学上許容可能な担体を伴う、mTOR阻害化合物含んでなる第1の容器と、
薬学上許容可能な担体を伴う、化合物Cまたはその薬学上許容可能な塩もしくは溶媒和物を含んでなる第2の容器と、前記第1の容器および第2の容器を収容するための収容手段を含んでなる。
【0038】
「組合せキット」は、用法・用量に関する説明書等の説明書を備えていてもよい。このような用法・用量に関する説明書は、例えば、薬物の製品ラベルによって医師に提供される種類であってもよく、患者に対する説明書等の医師によって提供される種類であってもよい。
【0039】
本明細書で使用する場合、用語「新生物(neoplasm)」とは、細胞または組織の異常増殖を指し、良性、すなわち非癌性増殖、および悪性、すなわち癌性増殖を含むことは理解される。用語「新生物の(neoplastic)」とは、新生物または新生物に関連するものを意味する。
【0040】
本明細書で使用する場合、用語「薬剤」は、組織、系、動物、哺乳動物、ヒト、または他の対象において所望の効果を生じる物質を意味することが理解される。したがって、用語「抗腫瘍薬(anti−neoplastic agent)」は、組織、系、動物、哺乳動物、ヒト、または他の対象において抗腫瘍効果を生じる物質を意味することが理解される。「薬剤」は、単一の化合物であってもよく、または2つ以上の化合物の組合せもしくは組成物であってもよいことは理解される。
【0041】
本発明の化合物の組合せは、1つより多い形態、多形として知られている特徴で結晶化する能力を有し得、そのような多形(「多形体」)は本発明の化合物の組合せの範囲内であることは理解される。多形は一般に、温度もしくは圧力またはその両方の変化に対する反応として生じ得、結晶化プロセスにおける変化からも得られ得る。多形は、x線回折パターン、溶解度、および融点などの当該技術分野において公知の種々の物理的特徴により識別され得る。
【0042】
別段の定義がない限り、本発明に記載される全ての投薬プロトコールにおいて、投与される化合物のレジメンが治療の開始と共に始まり治療の終わりと共に終わる必要はなく、両方の化合物が投与される連続日数、および構成要素化合物のうちの1つのみが投与される任意の連続日数、または(投与される化合物の量を含む)指示された投薬プロトコールが治療の過程における幾つかの点で生じることのみを必要とする。
【0043】
本明細書で使用する用語「化合物C」は、化合物Cまたはその薬学上許容可能な塩もしくは溶媒和物を意味する。
【0044】
本明細書で使用する用語「負荷用量(loading dose)」は、薬物の血中濃度レベルを急速に上昇させるために被験体に投与される、維持用量よりも高い投薬量を有するmTOR阻害化合物または化合物Cの単回用量または短期間レジメンを意味すると理解される。好適には、本明細書で使用する短期間レジメンは、1〜14日間、好適には1〜7日間、好適には1〜3日間、好適には3日間、好適には2日間、好適には1日間である。いくつかの実施形態では、「負荷用量」は、薬物の血中濃度を治療上有効なレベルに上昇させることができる。いくつかの実施形態では、「負荷用量」は、薬物の血中濃度を前記薬物の維持用量と併せて治療上有効なレベルに上昇させることができる。「負荷用量」は、1日当たり1回投与されてもよく、あるいは1日当たり2回以上(例えば、1日当たり4回以内)投与されてもよい。好適には、「負荷用量」は、1日当たり1回投与される。好適には、負荷用量は、維持用量の2〜100倍、好適には2〜10倍、好適には2〜5倍、好適には2倍、好適には3倍、好適には4倍、好適には5倍の量である。好適には、負荷用量は、1〜7日間、好適には1〜5日間、好適には1〜3日間、好適には1日間、好適には2日間、好適には3日間投与され、次いで、維持投薬プロトコールが実施される。
【0045】
本明細書で使用する用語「維持用量(maintenance dose)」は、連続的に投与され(例えば、少なくとも2回)、化合物の血中濃度レベルを治療上有効なレベルまでゆっくり上昇させるか、またはこのような治療上有効なレベルを維持することを意図する用量を意味すると理解される。維持用量は、一般に、1日当たり1回投与され、維持用量の日用量は、負荷用量の合計日用量よりも低い。
【0046】
好適には、「一定期間」以内に本発明の組合せを投与する。
【0047】
本明細書で使用する用語「一定期間」およびその派生語は、mTOR阻害化合物の1つと化合物Cの投与およびmTOR阻害化合物の他のものと化合物Cの投与との間の時間間隔を意味する。別段の定義がない限り、一定期間は、同時投与を含んでもよい。本発明の両方の化合物を1日当たり1回投与する場合、一定期間は、単一日の間のmTOR阻害化合物および化合物Cの投与のタイミングを指す。本発明の一方または両方の化合物を1日当たり2回以上投与する場合、一定期間は、指定の日における各化合物の最初の投与に基づいて計算される。一定期間を計算する場合、指定の日の間の最初の投与後の本発明の化合物の全ての投与は考慮されない。
【0048】
好適には、化合物が同時には投与されない場合、前記化合物は、24時間以内の間隔で互いに投与され、この場合一定期間は24時間になり、好適には、12時間以内の間隔で互いに投与され、この場合一定期間は12時間になり、好適には、約11時間以内の間隔で互いに投与され、この場合一定期間は11時間になり、好適には、10時間以内の間隔で互いに投与され、この場合一定期間は10時間になり、好適には、9時間以内の間隔で互いに投与され、この場合一定期間は9時間になり、好適には、8時間以内の間隔で互いに投与され、この場合一定期間は8時間になり、好適には、7時間以内の間隔で互いに投与され、この場合一定期間は7時間になり、好適には、6時間以内の間隔で互いに投与され、この場合一定期間は6時間になり、好適には、5時間以内の間隔で互いに投与され、この場合一定期間は5時間になり、好適には、4時間以内の間隔で互いに投与され、この場合一定期間は4時間になり、好適には、3時間以内の間隔で互いに投与され、この場合一定期間は3時間になり、好適には、2時間以内の間隔で互いに投与され、この場合一定期間は2時間になり、好適には、1時間以内の間隔で互いに投与され、この場合一定期間は約1時間になる。本明細書で使用するとき、mTOR阻害化合物と化合物Cの投与との間隔が約45分間未満である場合は、同時投与とみなされる。
【0049】
好適には、本発明の組合せが「一定期間」投与されるとき、化合物は、「持続時間」にわたって共投与される。
【0050】
本明細書で使用する用語「持続時間」およびその派生語は、本発明の両方の化合物が指定の連続日数にわたって「一定期間」以内に投与され、任意で、次いで、ある連続日数、構成要素化合物のうちの一方のみが投与されることを意味する。
【0051】
「一定期間」の投与に関して:
好適には、治療の過程中に、両方の化合物が少なくとも1日間一定期間以内に投与され、次いで、mTOR阻害化合物のみが少なくとも1日間投与され、この場合持続時間は少なくとも2日間になり、好適には、治療の過程中に、両方の化合物が少なくとも1日間一定期間以内に投与され、次いで、mTOR阻害化合物のみが少なくとも2日間投与され、この場合持続時間は少なくとも3日間になり、好適には、治療の過程中に、両方の化合物が少なくとも1日間一定期間以内に投与され、次いで、mTOR阻害化合物のみが少なくとも3日間投与され、この場合持続時間は少なくとも4日間になり、好適には、治療の過程中に、両方の化合物が少なくとも1日間一定期間以内に投与され、次いで、mTOR阻害化合物のみが少なくとも4日間投与され、この場合持続時間は少なくとも5日間になり、好適には、治療の過程中に、両方の化合物が少なくとも1日間一定期間以内に投与され、次いで、mTOR阻害化合物のみが少なくとも5日間投与され、この場合持続時間は少なくとも6日間になり、好適には、治療の過程中に、両方の化合物が少なくとも1日間一定期間以内に投与され、次いで、mTOR阻害化合物のみが少なくとも6日間投与され、この場合持続時間は少なくとも7日間になり、好適には、治療の過程中に、両方の化合物が少なくとも1日間一定期間以内に投与され、次いで、mTOR阻害化合物のみが少なくとも7日間投与され、この場合持続時間は少なくとも8日間になり、好適には、治療の過程中に、両方の化合物が少なくとも2日間連続して一定期間以内に投与され、次いで、mTOR阻害化合物のみが少なくとも1日間投与され、この場合持続時間は少なくとも3日間になり、好適には、治療の過程中に、両方の化合物が少なくとも2日間連続して一定期間以内に投与され、次いで、mTOR阻害化合物のみが少なくとも2日間連続して投与され、この場合持続時間は少なくとも4日間になり、好適には、治療の過程中に、両方の化合物が少なくとも2日間連続して一定期間以内に投与され、次いで、mTOR阻害化合物のみが少なくとも3日間連続して投与され、この場合持続時間は少なくとも5日間になり、好適には、治療の過程中に、両方の化合物が少なくとも2日間連続して一定期間以内に投与され、次いで、mTOR阻害化合物のみが少なくとも4日間連続して投与され、この場合持続時間は少なくとも6日間になり、好適には、治療の過程中に、両方の化合物が少なくとも2日間連続して一定期間以内に投与され、次いで、mTOR阻害化合物のみが少なくとも5日間連続して投与され、この場合持続時間は少なくとも7日間になり、好適には、治療の過程中に、両方の化合物が少なくとも2日間連続して一定期間以内に投与され、次いで、mTOR阻害化合物のみが少なくとも6日間連続して投与され、この場合持続時間は少なくとも8日間になり、好適には、治療の過程中に、両方の化合物が少なくとも2日間連続して一定期間以内に投与され、次いで、mTOR阻害化合物のみが少なくとも7日間連続して投与され、この場合持続時間は少なくとも9日間になり、好適には、治療の過程中に、両方の化合物が少なくとも3日間連続して一定期間以内に投与され、次いで、mTOR阻害化合物のみが少なくとも1日間投与され、この場合持続時間は少なくとも4日間になり、好適には、治療の過程中に、両方の化合物が少なくとも3日間連続して一定期間以内に投与され、次いで、mTOR阻害化合物のみが少なくとも2日間連続して投与され、この場合持続時間は少なくとも5日間になり、好適には、治療の過程中に、両方の化合物が少なくとも3日間連続して一定期間以内に投与され、次いで、mTOR阻害化合物のみが少なくとも3日間連続して投与され、この場合持続時間は少なくとも6日間になり、好適には、治療の過程中に、両方の化合物が少なくとも3日間連続して一定期間以内に投与され、次いで、mTOR阻害化合物のみが少なくとも4日間連続して投与され、この場合持続時間は少なくとも7日間になり、好適には、治療の過程中に、両方の化合物が少なくとも3日間連続して一定期間以内に投与され、次いで、mTOR阻害化合物のみが少なくとも5日間連続して投与され、この場合持続時間は少なくとも8日間になり、好適には、治療の過程中に、両方の化合物が少なくとも3日間連続して一定期間以内に投与され、次いで、mTOR阻害化合物のみが少なくとも6日間連続して投与され、この場合持続時間は少なくとも9日間になり、好適には、治療の過程中に、両方の化合物が少なくとも3日間連続して一定期間以内に投与され、次いで、mTOR阻害化合物のみが少なくとも7日間連続して投与され、この場合持続時間は少なくとも10日間になり、好適には、治療の過程中に、両方の化合物が少なくとも4日間連続して一定期間以内に投与され、次いで、mTOR阻害化合物のみが少なくとも1日間投与され、この場合持続時間は少なくとも5連続日間になり、好適には、治療の過程中に、両方の化合物が少なくとも4日間連続して一定期間以内に投与され、次いで、mTOR阻害化合物のみが少なくとも2日間連続して投与され、この場合持続時間は少なくとも6連続日間になり、好適には、治療の過程中に、両方の化合物が少なくとも4日間連続して一定期間以内に投与され、次いで、mTOR阻害化合物のみが少なくとも3日間連続して投与され、この場合持続時間は少なくとも7連続日間になり、好適には、治療の過程中に、両方の化合物が少なくとも4日間連続して一定期間以内に投与され、次いで、mTOR阻害化合物のみが少なくとも4日間連続して投与され、この場合持続時間は少なくとも8連続日間になり、好適には、治療の過程中に、両方の化合物が少なくとも4日間連続して一定期間以内に投与され、次いで、mTOR阻害化合物のみが少なくとも7日間連続して投与され、この場合持続時間は少なくとも11連続日間になり、好適には、治療の過程中に、両方の化合物が少なくとも5日間連続して一定期間以内に投与され、次いで、mTOR阻害化合物のみが少なくとも1日間投与され、この場合持続時間は少なくとも6連続日間になり、好適には、治療の過程中に、両方の化合物が少なくとも5日間連続して一定期間以内に投与され、次いで、mTOR阻害化合物のみが少なくとも2日間連続して投与され、この場合持続時間は少なくとも7連続日間になり、好適には、治療の過程中に、両方の化合物が少なくとも5日間連続して一定期間以内に投与され、次いで、mTOR阻害化合物のみが少なくとも3日間連続して投与され、この場合持続時間は少なくとも8連続日間になり、好適には、治療の過程中に、両方の化合物が少なくとも5日間連続して一定期間以内に投与され、次いで、mTOR阻害化合物のみが少なくとも4日間連続して投与され、この場合持続時間は少なくとも9連続日間になり、好適には、治療の過程中に、両方の化合物が少なくとも5日間連続して一定期間以内に投与され、次いで、mTOR阻害化合物のみが少なくとも5日間連続して投与され、この場合持続時間は少なくとも10連続日間になり、好適には、治療の過程中に、両方の化合物が少なくとも7日間連続して一定期間以内に投与され、次いで、mTOR阻害化合物のみが少なくとも2日間連続して投与され、この場合持続時間は少なくとも9連続日間になり、好適には、治療の過程中に、両方の化合物が少なくとも14日間連続して一定期間以内に投与され、次いで、mTOR阻害化合物のみが少なくとも7日間連続して投与され、この場合持続時間は少なくとも21連続日間になり、好適には、治療の過程中に、両方の化合物が少なくとも30日間連続して一定期間以内に投与され、次いで、mTOR阻害化合物のみが少なくとも7日間連続して投与され、この場合持続時間は少なくとも37連続日間になる。好適には、治療の過程中に、両方の化合物が1〜3連続日間一定期間以内に投与され、次いで、mTOR阻害化合物のみが3〜7日間連続して投与される。好適には、治療の過程中に、両方の化合物が3〜6連続日間一定期間以内に投与され、次いで、mTOR阻害化合物のみが1〜4日間連続して投与される。好適には、治療の過程中に、両方の化合物が5日間連続して一定期間以内に投与され、次いで、mTOR阻害化合物のみが2日間連続して投与される。好適には、治療の過程中に、両方の化合物が2日間連続して一定期間以内に投与され、次いで、mTOR阻害化合物のみが3〜7日間連続して投与される。
【0052】
更に、「一定期間」の投与に関して:
好適には、治療の過程中に、両方の化合物が少なくとも1日間一定期間以内に投与され、次いで、化合物Cのみが少なくとも1日間投与され、この場合持続時間は少なくとも2日間になり、好適には、治療の過程中に、両方の化合物が少なくとも1日間一定期間以内に投与され、次いで、化合物Cのみが少なくとも2日間投与され、この場合持続時間は少なくとも3日間になり、好適には、治療の過程中に、両方の化合物が少なくとも1日間一定期間以内に投与され、次いで、化合物Cのみが少なくとも3日間投与され、この場合持続時間は少なくとも4日間になり、好適には、治療の過程中に、両方の化合物が少なくとも1日間一定期間以内に投与され、次いで、化合物Cのみが少なくとも4日間投与され、この場合持続時間は少なくとも5日間になり、好適には、治療の過程中に、両方の化合物が少なくとも1日間一定期間以内に投与され、次いで、化合物Cのみが少なくとも5日間投与され、この場合持続時間は少なくとも6日間になり、好適には、治療の過程中に、両方の化合物が少なくとも1日間一定期間以内に投与され、次いで、化合物Cのみが少なくとも6日間投与され、この場合持続時間は少なくとも7日間になり、好適には、治療の過程中に、両方の化合物が少なくとも1日間一定期間以内に投与され、次いで、化合物Cのみが少なくとも7日間投与され、この場合持続時間は少なくとも8日間になり、好適には、治療の過程中に、両方の化合物が少なくとも2日間連続して一定期間以内に投与され、次いで、化合物Cのみが少なくとも1日間投与され、この場合持続時間は少なくとも3日間になり、好適には、治療の過程中に、両方の化合物が少なくとも2日間連続して一定期間以内に投与され、次いで、化合物Cのみが少なくとも2日間連続して投与され、この場合持続時間は少なくとも4日間になり、好適には、治療の過程中に、両方の化合物が少なくとも2日間連続して一定期間以内に投与され、次いで、化合物Cのみが少なくとも3日間連続して投与され、この場合持続時間は少なくとも5日間になり、好適には、治療の過程中に、両方の化合物が少なくとも2日間連続して一定期間以内に投与され、次いで、化合物Cのみが少なくとも4日間連続して投与され、この場合持続時間は少なくとも6日間になり、好適には、治療の過程中に、両方の化合物が少なくとも2日間連続して一定期間以内に投与され、次いで、化合物Cのみが少なくとも5日間連続して投与され、この場合持続時間は少なくとも7日間になり、好適には、治療の過程中に、両方の化合物が少なくとも2日間連続して一定期間以内に投与され、次いで、化合物Cのみが少なくとも6日間連続して投与され、この場合持続時間は少なくとも8日間になり、好適には、治療の過程中に、両方の化合物が少なくとも2日間連続して一定期間以内に投与され、次いで、化合物Cのみが少なくとも7日間連続して投与され、この場合持続時間は少なくとも9日間になり、好適には、治療の過程中に、両方の化合物が少なくとも3日間連続して一定期間以内に投与され、次いで、化合物Cのみが少なくとも1日間投与され、この場合持続時間は少なくとも4日間になり、好適には、治療の過程中に、両方の化合物が少なくとも3日間連続して一定期間以内に投与され、次いで、化合物Cのみが少なくとも2日間連続して投与され、この場合持続時間は少なくとも5日間になり、好適には、治療の過程中に、両方の化合物が少なくとも3日間連続して一定期間以内に投与され、次いで、化合物Cのみが少なくとも3日間連続して投与され、この場合持続時間は少なくとも6日間になり、好適には、治療の過程中に、両方の化合物が少なくとも3日間連続して一定期間以内に投与され、次いで、化合物Cのみが少なくとも4日間連続して投与され、この場合持続時間は少なくとも7日間になり、好適には、治療の過程中に、両方の化合物が少なくとも3日間連続して一定期間以内に投与され、次いで、化合物Cのみが少なくとも5日間連続して投与され、この場合持続時間は少なくとも8日間になり、好適には、治療の過程中に、両方の化合物が少なくとも3日間連続して一定期間以内に投与され、次いで、化合物Cのみが少なくとも6日間連続して投与され、この場合持続時間は少なくとも9日間になり、好適には、治療の過程中に、両方の化合物が少なくとも3日間連続して一定期間以内に投与され、次いで、化合物Bのみが少なくとも7日間連続して投与され、この場合持続時間は少なくとも10日間になり、好適には、治療の過程中に、両方の化合物が少なくとも4日間連続して一定期間以内に投与され、次いで、化合物Cのみが少なくとも1日間投与され、この場合持続時間は少なくとも5連続日間になり、好適には、治療の過程中に、両方の化合物が少なくとも4日間連続して一定期間以内に投与され、次いで、化合物Cのみが少なくとも2日間連続して投与され、この場合持続時間は少なくとも6連続日間になり、好適には、治療の過程中に、両方の化合物が少なくとも4日間連続して一定期間以内に投与され、次いで、化合物Cのみが少なくとも3日間連続して投与され、この場合持続時間は少なくとも7連続日間になり、好適には、治療の過程中に、両方の化合物が少なくとも4日間連続して一定期間以内に投与され、次いで、化合物Cのみが少なくとも4日間連続して投与され、この場合持続時間は少なくとも8連続日間になり、好適には、治療の過程中に、両方の化合物が少なくとも4日間連続して一定期間以内に投与され、次いで、化合物Cのみが少なくとも7日間連続して投与され、この場合持続時間は少なくとも11連続日間になり、好適には、治療の過程中に、両方の化合物が少なくとも5日間連続して一定期間以内に投与され、次いで、化合物Cのみが少なくとも1日間投与され、この場合持続時間は少なくとも6連続日間になり、好適には、治療の過程中に、両方の化合物が少なくとも5日間連続して一定期間以内に投与され、次いで、化合物Cのみが少なくとも2日間連続して投与され、この場合持続時間は少なくとも7連続日間になり、好適には、治療の過程中に、両方の化合物が少なくとも5日間連続して一定期間以内に投与され、次いで、化合物Cのみが少なくとも3日間連続して投与され、この場合持続時間は少なくとも8連続日間になり、好適には、治療の過程中に、両方の化合物が少なくとも5日間連続して一定期間以内に投与され、次いで、化合物Cのみが少なくとも4日間連続して投与され、この場合持続時間は少なくとも9連続日間になり、好適には、治療の過程中に、両方の化合物が少なくとも5日間連続して一定期間以内に投与され、次いで、化合物Cのみが少なくとも5日間連続して投与され、この場合持続時間は少なくとも10連続日間になり、好適には、治療の過程中に、両方の化合物が少なくとも7日間連続して一定期間以内に投与され、次いで、化合物Cのみが少なくとも2日間連続して投与され、この場合持続時間は少なくとも9連続日間になり、好適には、治療の過程中に、両方の化合物が少なくとも14日間連続して一定期間以内に投与され、次いで、化合物Cのみが少なくとも7日間連続して投与され、この場合持続時間は少なくとも21連続日間になり、好適には、治療の過程中に、両方の化合物が少なくとも30日間連続して一定期間以内に投与され、次いで、化合物Cのみが少なくとも7日間連続して投与され、この場合持続時間は少なくとも37連続日間になる。好適には、治療の過程中に、両方の化合物が1〜3連続日間一定期間以内に投与され、次いで、化合物Cのみが3〜7日間連続して投与される。好適には、治療の過程中に、両方の化合物が3〜6連続日間一定期間以内に投与され、次いで、化合物Cのみが1〜4日間連続して投与される。好適には、治療の過程中に、両方の化合物が5日間連続して一定期間以内に投与され、次いで、化合物Cのみが2日間連続して投与される。好適には、治療の過程中に、両方の化合物が2日間連続して一定期間以内に投与され、次いで、化合物Cのみが3〜7日間連続して投与される。
【0053】
更に、「一定期間」の投与に関して:
好適には、治療の過程中に、7日間の期間のうちの1〜3日間はmTOR阻害化合物および化合物Cを一定期間以内に投与し、前記7日間の期間のうちの他の日はmTOR阻害化合物を単独で投与する。好適には、この7日間のプロトコールを2サイクル、すなわち14日間繰り返し、好適には、4サイクル、すなわち28日間繰り返し、好適には、連続投与する。
【0054】
好適には、治療の過程中に、7日間の期間のうちの1〜3日間はmTOR阻害化合物および化合物Cを一定期間以内に投与し、前記7日間の期間のうちの他の日は化合物Cを単独で投与する。好適には、この7日間のプロトコールを2サイクル、すなわち14日間繰り返し、好適には、4サイクル、すなわち28日間繰り返し、好適には、連続投与する。
【0055】
好適には、治療の過程中に、7日間の期間のうちの3日間はmTOR阻害化合物および化合物Cを一定期間以内に投与し、前記7日間の期間のうちの他の日はmTOR阻害化合物を単独で投与する。好適には、この7日間のプロトコールを2サイクル、すなわち14日間繰り返し、好適には、4サイクル、すなわち28日間繰り返し、好適には、連続投与する。
【0056】
好適には、治療の過程中に、7日間の期間のうちの3日間はmTOR阻害化合物および化合物Cを一定期間以内に投与し、前記7日間の期間のうちの他の日は化合物Cを単独で投与する。好適には、この7日間のプロトコールを2サイクル、すなわち14日間繰り返し、好適には、4サイクル、すなわち28日間繰り返し、好適には、連続投与する。
【0057】
好適には、治療の過程中に、7日間の期間のうちの2日間はmTOR阻害化合物および化合物Cを一定期間以内に投与し、前記7日間の期間のうちの他の日はmTOR阻害化合物を単独で投与する。好適には、この7日間のプロトコールを2サイクル、すなわち14日間繰り返し、好適には、4サイクル、すなわち28日間繰り返し、好適には、連続投与する。
【0058】
好適には、治療の過程中に、7日間の期間のうちの2日間はmTOR阻害化合物および化合物Cを一定期間以内に投与し、前記7日間の期間のうちの他の日は化合物Cを単独で投与する。好適には、この7日間のプロトコールを2サイクル、すなわち14日間繰り返し、好適には、4サイクル、すなわち28日間繰り返し、好適には、連続投与する。
【0059】
好適には、治療の過程中に、7日間の期間のうちの1日間はmTOR阻害化合物および化合物Cを一定期間以内に投与し、前記7日間の期間のうちの他の日はmTOR阻害化合物を単独で投与する。好適には、この7日間のプロトコールを2サイクル、すなわち14日間繰り返し、好適には、4サイクル、すなわち28日間繰り返し、好適には、連続投与する。
【0060】
好適には、治療の過程中に、7日間の期間のうちの1日間はmTOR阻害化合物および化合物Cを一定期間以内に投与し、前記7日間の期間のうちの他の日は化合物Cを単独で投与する。好適には、この7日間のプロトコールを2サイクル、すなわち14日間繰り返し、好適には、4サイクル、すなわち28日間繰り返し、好適には、連続投与する。
【0061】
好適には、治療の過程中に、14日間の期間のうちの1〜5日間はmTOR阻害化合物および化合物Cを一定期間以内に投与し、前記14日間の期間のうちの他の日はmTOR阻害化合物を単独で投与する。好適には、この14日間のプロトコールを2サイクル、すなわち28日間繰り返し、好適には、連続投与する。
【0062】
好適には、治療の過程中に、14日間の期間のうちの1〜5日間はmTOR阻害化合物および化合物Cを一定期間以内に投与し、前記14日間の期間のうちの他の日は化合物Cを単独で投与する。好適には、この14日間のプロトコールを2サイクル、すなわち28日間繰り返し、好適には、連続投与する。
【0063】
好適には、「一定期間」中に化合物が投与されない場合、前記化合物は順次投与される。本明細書で使用する用語「順次投与」およびその派生語は、mTOR阻害化合物および化合物Cのうちの一方を1日間以上連続して投与し、mTOR阻害化合物および化合物Cのうちの他方を1日間以上連続して投与することを意味する。また、本明細書では、mTOR阻害化合物および化合物Cのうちの一方とmTOR阻害化合物および化合物Cのうちの他方との順次投与間で利用される休薬日も考えられる。本明細書で使用する休薬日は、mTOR阻害化合物および化合物Cのうちの一方の順次投与後且つmTOR阻害化合物および化合物Cのうちの他方の投与前の、mTOR阻害化合物も化合物Cも投与されない期間である。好適には、休薬日は、以下から選択される期間になる:1日間、2日間、3日間、4日間、5日間、6日間、7日間、8日間、9日間、10日間、11日間、12日間、13日間、14日間。
【0064】
順次投与に関して:
好適には、1〜30日間連続してmTOR阻害化合物および化合物Cのうちの一方を投与し、次いで、任意の休薬日を設け、次いで、1〜30日間連続してmTOR阻害化合物および化合物Cのうちの他方を投与する。好適には、1〜21日間連続してmTOR阻害化合物および化合物Cのうちの一方を投与し、次いで、任意の休薬日を設け、次いで、1〜21日間連続してmTOR阻害化合物および化合物Cのうちの他方を投与する。好適には、1〜14日間連続してmTOR阻害化合物および化合物Cのうちの一方を投与し、次いで、1〜14日間の休薬日を設け、次いで、1〜14日間連続してmTOR阻害化合物および化合物Cのうちの他方を投与する。好適には、2〜7日間連続してmTOR阻害化合物および化合物Cのうちの一方を投与し、次いで、1〜10日間の休薬日を設け、次いで、2〜7日間連続してmTOR阻害化合物および化合物Cのうちの他方を投与する。
【0065】
好適には、化合物Cを順序の最初に投与し、次いで、任意の休薬日を設け、次いで、mTOR阻害化合物を投与する。好適には、1〜21日間連続して化合物Cを投与し、次いで、任意の休薬日を設け、次いで、1〜21日間連続してmTOR阻害化合物を投与する。好適には、3〜21日間連続して化合物Cを投与し、次いで、1〜14日間の休薬日を設け、次いで、3〜21日間連続してmTOR阻害化合物を投与する。好適には、3〜21日間連続して化合物Cを投与し、次いで、3〜14日間の休薬日を設け、次いで、3〜21日間連続してmTOR阻害化合物を投与する。好適には、21日間連続して化合物Cを投与し、次いで、任意の休薬日を設け、次いで、14日間連続してmTOR阻害化合物を投与する。好適には、14日間連続して化合物Cを投与し、次いで、1〜14日間の休薬日を設け、次いで、14日間連続してmTOR阻害化合物を投与する。好適には、7日間連続して化合物Cを投与し、次いで、3〜10日間の休薬日を設け、次いで、7日間連続してmTOR阻害化合物を投与する。好適には、3日間連続して化合物Cを投与し、次いで、3〜14日間の休薬日を設け、次いで、7日間連続してmTOR阻害化合物を投与する。好適には、3日間連続して化合物Cを投与し、次いで、3〜10日間の休薬日を設け、次いで、3日間連続してmTOR阻害化合物を投与する。好適には、7日間連続して化合物Cを投与し、次いで、1日間mTOR阻害化合物を投与する。好適には、6日間連続して化合物Cを投与し、次いで、1日間mTOR阻害化合物を投与する。
【0066】
好適には、2日間連続してmTOR阻害化合物を投与し、次いで、3〜7日間連続して化合物Cを投与する。好適には、2日間連続してmTOR阻害化合物を投与し、次いで、5日間連続して化合物Cを投与する。
【0067】
好適には、mTOR阻害化合物を順序の最初に投与し、次いで、任意の休薬日を設け、次いで、化合物Cを投与する。好適には、1〜21日間連続してmTOR阻害化合物を投与し、次いで、任意の休薬日を設け、次いで、1〜21日間連続して化合物Cを投与する。好適には、3〜21日間連続してmTOR阻害化合物を投与し、次いで、1〜14日間の休薬日を設け、次いで、3〜21日間連続して化合物Cを投与する。好適には、3〜21日間連続してmTOR阻害化合物を投与し、次いで、3〜14日間の休薬日を設け、次いで、3〜21日間連続して化合物Cを投与する。好適には、21日間連続してmTOR阻害化合物を投与し、次いで、任意の休薬日を設け、次いで、14日間連続して化合物Cを投与する。好適には、14日間連続してmTOR阻害化合物を投与し、次いで、1〜14日間の休薬日を設け、次いで、14日間連続して化合物Cを投与する。好適には、7日間連続してmTOR阻害化合物を投与し、次いで、3〜10日間の休薬日を設け、次いで、7日間連続して化合物Cを投与する。好適には、3日間連続してmTOR阻害化合物を投与し、次いで、3〜14日間の休薬日を設け、次いで、7日間連続して化合物Cを投与する。好適には、3日間連続してmTOR阻害化合物を投与し、次いで、3〜10日間の休薬日を設け、次いで、3日間連続して化合物Cを投与する。好適には、7日間連続してmTOR阻害化合物を投与し、次いで、1日間化合物Cを投与する。好適には、6日間連続してmTOR阻害化合物を投与し、次いで、1日間化合物Cを投与する。
【0068】
好適には、2日間連続して化合物Cを投与し、次いで、3〜7日間連続してmTOR阻害化合物を投与する。好適には、2日間連続して化合物Cを投与し、次いで、5日間連続してmTOR阻害化合物を投与する。
【0069】
「一定期間」の投与および「連続」投与に続いて反復投薬を行ってもよく、続いて交互投薬プロトコールを行ってもよく、また、前記反復投薬または交互投薬プロトコールの前に休薬日を設けてもよいことは理解される。
【0070】
好適には、本発明に係る組合せの一部として投与される化合物Cの量は、約0.125mg〜約10mgから選択される量であり、好適には、前記量は、約0.25mg〜約9mgから選択され、好適には、前記量は、約0.25mg〜約8mgから選択され、好適には、前記量は、約0.5mg〜約8mgから選択され、好適には、前記量は、約0.5mg〜約7mgから選択され、好適には、前記量は、約1mg〜約7mgから選択され、好適には、前記量は、約5mgである。したがって、本発明に係る組合せの一部として投与される化合物Cの量は、約0.125mg〜約10mgから選択される量である。例えば、本発明に係る組合せの一部として投与される化合物Cの量は、0.125mg、0.25mg、0.5mg、0.75mg、1mg、1.5mg、2mg、2.5mg、3mg、3.5mg、4mg、4.5mg、5mg、5.5mg、6mg、6.5mg、7mg、7.5mg、8mg、8.5mg、9mg、9.5mg、10mgであってよい。好適には、選択された量の化合物Cは、1日2回投与される。好適には、選択された量の化合物Cは、1日1回投与される。好適には、化合物Cの投与は、負荷用量で開始される。好適には、負荷用量は、維持用量の2〜100倍、好適には2〜10倍、好適には2〜5倍、好適には2倍、好適には3倍、好適には4倍、好適には5倍の量である。好適には、負荷用量は、1〜7日間、好適には1〜5日間、好適には1〜3日間、好適には1日間、好適には2日間、好適には3日間投与され、次いで、維持投薬プロトコールが実施される。
【0071】
mTOR阻害剤の量は最終的に使用される特定の薬剤に依存する。
【0072】
好適には、本発明に係る組合せの一部として投与されるエベロリムスの量は、約1.25mg〜約20mgから選択される量であり、好適には、前記量は、約2mg〜約15mgから選択され、好適には、前記量は、約2.5mg〜約10mgから選択される。したがって、本発明に係る組合せの一部として投与されるエベロリムスの量は、約1.25mg〜約20mgから選択される量である。例えば、本発明に係る組合せの一部として投与されるエベロリムスの量は、1.25mg、1.5mg、2mg、2.5mg、3mg、3.5mg、4mg、4.5mg、5mg、5.5mg、6mg、6.5mg、7mg、7.5mg、8mg、8.5mg、9mg、9.5mg、10mg、11mg、12mg、13mg、14mg、15mg、16mg、17mg、18mg、19mg、20mgであってよい。好適には、選択された量のエベロリムスは、1日2回投与される。好適には、選択された量のエベロリムスは、1日1回投与される。好適には、エベロリムスの投与は、負荷用量で開始される。好適には、負荷用量は、維持用量の2〜100倍、好適には2〜10倍、好適には2〜5倍、好適には2倍、好適には3倍、好適には4倍、好適には5倍の量である。好適には、負荷用量は、1〜7日間、好適には1〜5日間、好適には1〜3日間、好適には1日間、好適には2日間、好適には3日間投与され、次いで、維持投薬プロトコールが実施される。
【0073】
好適には、本発明に係る組合せの一部として投与されるテムシロリムスの量は、30〜60分間にわたって注入される量であり、前記量は、約5mg〜約50mgから選択され、好適には前記量は、約10mg〜約40mgから選択され、好適には前記量は、約15mg〜約35mgから選択される。したがって、本発明に係る組合せの一部として投与されるテムシロリムスの量は、約5mg〜約50mgから選択される。例えば、本発明に係る組合せの一部として投与されるテムシロリムスの量は、5mg、10mg、15mg、20mg、25mg、30mg、35mg、40mg、45mg、50mgであってもよい。好適には、テムシロリムスの選択される量は1日に2回投与される。好適には、テムシロリムスの選択される量は1日に1回投与される。好適には、エベロリムスの投与は、負荷用量で開始される。好適には、負荷用量は、維持用量の2〜100倍、好適には2〜10倍、好適には2〜5倍、好適には2倍、好適には3倍、好適には4倍、好適には5倍の量である。好適には、負荷用量は、1〜7日間、好適には1〜5日間、好適には1〜3日間、好適には1日間、好適には2日間、好適には3日間投与され、次いで、維持投薬プロトコールが実施される。
【0074】
本発明で使用するとき、本発明の化合物の組合せ、好適には化合物Cについて指定される全ての量は、遊離または非塩、非溶媒和化合物の量として示される。
【0075】
治療方法
本発明の組合せは、MEKおよび/またはmTORの阻害が有益である障害において有用性を有すると考えられる。
【0076】
本発明の方法はまた、癌治療の他の治療方法と共に利用されてもよい。
【0077】
本発明の組合せは、単独または1種以上の他の治療剤と組み合わされて使用されてもよい。したがって、本発明は、さらなる態様において、1つまたは複数のさらなる治療剤と共に本発明の組合せを含んでなるさらなる組合せ、その組合せを含んでなる組成物および薬剤、ならびに療法、特にMEKおよび/またはmTORの阻害に影響を受けやすい疾患の治療におけるさらなる組合せ、組成物および薬剤の使用を提供する。
【0078】
実施形態において、本発明の組合せは、癌治療の他の治療方法と共に利用されてもよい。特に、抗腫瘍療法、他の化学療法剤、ホルモン剤、抗体剤との併用療法、ならびに上記以外の外科および/または放射線治療との併用療法が想定される。したがって、本発明に係る併用療法は、化合物CおよびmTOR阻害化合物の投与ならびに他の抗腫瘍剤を含む他の治療剤の任意の使用を含んでなる。そのような薬剤の組合せは、一緒にまたは別々に投与されてもよく、別々に投与される場合、それは、任意の順序で、近い時間および離れた時間の両方で同時または連続して行われてもよい。一実施形態において、薬学的組合せは、化合物CおよびmTOR阻害化合物、および任意に少なくとも1つのさらなる抗腫瘍剤を含む。
【0079】
示したように、治療有効量の化合物CおよびmTOR阻害化合物は上記で議論している。本発明の治療有効量のさらなる治療剤は、例えば、哺乳動物の年齢および体重、治療を必要とする正確な病態、病態の重症度、製剤の性質、および投与経路を含む多くの要因に依存する。最終的に、治療有効量は、担当医または獣医の裁量によるだろう。投与の相対的タイミングが、所望の併用療法効果を達成するために選択される。
【0080】
一実施形態において、さらなる抗癌治療は外科および/または放射線治療である。
【0081】
一実施形態において、さらなる抗癌治療は、少なくとも1つのさらなる抗腫瘍剤である。
【0082】
治療される感受性腫瘍に対する活性を有する抗腫瘍剤は組み合わせて利用されてもよい。典型的に有用な抗腫瘍剤としては、限定されないが、ジテルペノイドおよびビンカアルカロイドなどの微小管阻害剤、白金配位錯体、ナイトロジェンマスタード、オキサザホスホリン、アルキルスルホネート、ニトロソウレア、およびトリアゼンなどのアルキル化剤、アントラサイクリン、アクチノマイシンおよびブレオマイシンなどの抗生物質製剤、エピポドフィロトキシンなどのトポイソメラーゼII阻害剤、プリンおよびピリミジン類似体ならびに抗葉酸化合物などの代謝拮抗物質、カンプトテシンなどのトポイソメラーゼI阻害剤、ホルモンおよびホルモン類似体、シグナル変換経路阻害剤、非受容体チロシン血管形成阻害剤、免疫療法剤、プロアポトーシス剤、および細胞周期シグナル伝達阻害剤が挙げられる。
【0083】
微小管阻害剤または有糸分裂阻害剤
微小管阻害剤または有糸分裂阻害剤は、細胞周期のM期、すなわち有糸分裂期の間に腫瘍細胞の微小管に対して活性である期特異的な薬剤である。微小管阻害剤としては、限定するものではないが、ジテルペノイドおよびビンカアルカロイドが挙げられる。
【0084】
ジテルペノイドは、天然源に由来し、細胞周期のG/M期に作用する期特異的な抗癌剤である。ジテルペノイドは、微小管のβ−チューブリンサブユニットと結合することによりこのタンパク質を安定化させると考えられている。その後タンパク質の分解が阻害され、それに伴い有糸分裂が停止し、細胞死が続くと思われる。ジテルペノイドの例としては、限定するものではないが、パクリタキセルおよびその類似体であるドセタキセルが挙げられる。
【0085】
パクリタキセル、5β,20−エポキシ−1,2α,4,7β,10β,13α−ヘキサ−ヒドロキシタクス−11−エン−9−オン4,10−ジアセテート2−ベンゾエートの(2R,3S)−N−ベンゾイル−3−フェニルイソセリンとの13−エステルは、タイヘイヨウイチイから単離された天然ジテルペン生成物であり、注射液TAXOL(登録商標)として市販されている。パクリタキセルは、テルペンのタキサンファミリーのメンバーである。パクリタキセルは、米国における難治性卵巣癌の治療における臨床使用(Markman et al.,Yale Journal of Biology and Medicine,64:583,1991;McGuire et al.,Ann.lntem,Med.,111:273,1989)および乳癌の治療(Holmes et al.,J.Nat.Cancer Inst.,83:1797,1991.)に承認されている。パクリタキセルは、皮膚における新生物(Einzig et. al.,Proc.Am.Soc.Clin.Oncol.,20:46)および頭頸部癌(Forastire et.al.,Sem.Oncol.,20:56,1990)の治療のための有望な候補である。またこの化合物は、多発性嚢胞腎疾患(Woo et. al.,Nature,368:750.1994)、肺癌、およびマラリアの治療への可能性を示している。パクリタキセルで患者を治療すると、閾値濃度(50nM)を超える投与期間に関係して(Kearns,C.M.et.al.,Seminars in Oncology,3(6)p.16−23,1995)、骨髄抑制が起こる(複数の細胞系譜、Ignoff,R.J.et.al,Cancer Chemotherapy Pocket Guide,1998)。
【0086】
ドセタキセル、(2R,3S)−N−カルボキシ−3−フェニルイソセリン,N−tert−ブチルエステルの5β−20−エポキシ−1,2α,4,7β,10β,13α−ヘキサヒドロキシタクス−11−エン−9−オン4−アセテート2−ベンゾエートとの13−エステルの三水和物は、TAXOTERE(登録商標)として注射液として市販されている。ドセタキセルは、乳癌の治療に適応されている。ドセタキセルは、ヨーロッパイチイの針葉から抽出した天然の前駆物質、10−デアセチル−バッカチンIIIを使用して製造された、任意量のパクリタキセルの半合成誘導体である。ドセタキセルの用量規制毒性は好中球減少である。
【0087】
ビンカアルカロイドは、ニチニチソウ由来の期特異的な抗悪性腫瘍剤である。ビンカアルカロイドは、チューブリンと特異的に結合することによって細胞周期のM期(有糸分裂)に作用する。その結果、結合されたチューブリン分子は、重合して微小管になることができない。有糸分裂は中期に停止し、続いて細胞死が起こると考えられている。ビンカアルカロイドとしては、限定するものではないが、ビンブラスチン、ビンクリスチン、およびビノレルビンが挙げられる。
【0088】
ビンブラスチン、硫酸ビンカロイコブラスチンは、注射液としてVELBAN(登録商標)として市販されている。ビンブラスチンは、種々の固形腫瘍の二次治療として適応できる可能性を有するが、睾丸癌、ならびにホジキン病、リンパ球性および組織球性リンパ腫を含む種々のリンパ腫の治療に主に適応されている。骨髄抑制がビンブラスチンの用量規制副作用である。
【0089】
ビンクリスチン、22−オキソ−ビンカロイコブラスチン硫酸塩は、注射液としてONCOVIN(登録商標)として市販されている。ビンクリスチンは、急性白血病の治療に適応されており、ホジキンおよび非ホジキン悪性リンパ腫の治療計画の中でも使用されている。脱毛および神経学的作用がビンクリスチンの最も一般的な副作用であり、程度はより低いものの骨髄抑制および胃腸粘膜炎作用が生じる。
【0090】
酒石酸ビノレルビンの注射液(NAVELBINE(登録商標))として市販されているビノレルビン、3’,4’−ジデヒドロ−4’−デオキシ−C’−ノルビンカロイコブラスチン[R−(R*,R*)−2,3−ジヒドロキシブタン二酸(1:2)(塩)]は、半合成ビンカアルカロイドである。ビノレルビンは、単剤として、またはシスプラチン等の他の化学療法剤との組合せで、種々の固形腫瘍、特に、非小細胞肺癌、進行性乳癌、およびホルモン難治性前立腺癌の治療に適応されている。骨髄抑制がビノレルビンの最も一般的な用量規制副作用である。
【0091】
白金配位錯体
白金配位錯体は、期非特異的な抗癌剤であり、DNAと相互に作用する。白金錯体は、腫瘍細胞に侵入し、アクア化を受け、DNAとの鎖内架橋および鎖間架橋を形成し、腫瘍に対して有害な生物学的作用を引き起こす。白金錯体としては、限定するものではないが、シスプラチンおよびカルボプラチンが挙げられる。
【0092】
シスプラチン、シス−ジアンミンジクロロ白金は、注射液としてPLATINOL(登録商標)として市販されている。シスプラチンは、転移性の睾丸癌および卵巣癌ならびに進行性膀胱癌の治療に主に適応されている。
【0093】
カルボプラチン、ジアンミン[1,1−シクロブタン−ジカルボキシレート(2−)−O,O’]白金は、注射液としてPARAPLATIN(登録商標)として市販されている。カルボプラチンは、進行性卵巣癌の一次および二次治療に主に適応されている。
【0094】
アルキル化剤
アルキル化剤は、期非特異的な抗癌剤であり、かつ強い求電子試薬である。典型的には、アルキル化剤は、アルキル化によって、ホスフェート、アミノ、スルフヒドリル、ヒドロキシル、カルボキシル、およびイミダゾール基等のDNA分子の求核部分を介してDNAと共有結合を形成する。このようなアルキル化によって核酸機能が破壊され細胞死に至る。アルキル化剤としては、限定するものではないが、シクロホスファミド、メルファラン、およびクロラムブシル等のナイトロジェンマスタード、ブスルファン等のスルホン酸アルキル、カルムスチン等のニトロソウレア、ならびにダカルバジン等のトリアゼンが挙げられる。
【0095】
シクロホスファミド、2−[ビス(2−クロロエチル)アミノ]テトラヒドロ−2H−1,3,2−オキサザホスホリン2−オキシド一水和物は、注射液または錠剤としてCYTOXAN(登録商標)として市販されている。シクロホスファミドは、単剤として、または他の化学療法剤との組合せで、悪性リンパ腫、多発性骨髄腫、および白血病の治療に適応されている。
【0096】
メルファラン、4−[ビス(2−クロロエチル)アミノ]−L−フェニルアラニンは、注射液または錠剤としてALKERAN(登録商標)として市販されている。メルファランは、多発性骨髄腫および切除不能な卵巣の上皮癌の緩和療法に適応されている。骨髄抑制がメルファランの最も一般的な用量規制副作用である。
【0097】
クロラムブシル、4−[ビス(2−クロロエチル)アミノ]ベンゼンブタン酸は、LEUKERAN(登録商標)錠剤として市販されている。クロラムブシルは、慢性リンパ性白血病、ならびにリンパ肉腫、巨大濾胞性リンパ腫、およびホジキン病等の悪性リンパ腫の緩和療法に適応されている。
【0098】
ブスルファン、ジメタンスルホン酸1,4−ブタンジオールは、MYLERAN TABLETS(登録商標)として市販されている。ブスルファンは、慢性骨髄性白血病の緩和療法に適応されている。
【0099】
カルムスチン、1,3−[ビス(2−クロロエチル)−1−ニトロソウレアは、BiCNU(登録商標)として凍結乾燥物質のシングルバイアルとして市販されている。カルムスチンは、脳腫瘍、多発性骨髄腫、ホジキン病、および非ホジキンリンパ腫用に、単剤として、または他の薬剤と組み合わせて、緩和療法に適応されている。
【0100】
ダカルバジン、5−(3,3−ジメチル−1−トリアゼノ)−イミダゾール−4−カルボキサミドは、DTIC−Dome(登録商標)としてシングルバイアルとして市販されている。ダカルバジンは、転移性悪性黒色腫の治療、および他の薬剤と組み合わせてのホジキン病の二次治療に適応されている。
【0101】
抗生物質抗悪性腫瘍剤
抗生物質抗悪性腫瘍剤は、期非特異的な薬剤であり、DNAと結合するかまたはDNAにインターカレートする。典型的には、このような作用によって安定なDNA複合体またはストランド切断が生じ、それにより核酸の通常機能が破壊され細胞死に至る。抗生物質抗悪性腫瘍剤としては、限定するものではないが、ダクチノマイシン等のアクチノマイシン、ダウノルビシンおよびドキソルビシン等のアントロサイクリン(anthrocyclin)、ならびにブレオマイシンが挙げられる。
【0102】
ダクチノマイシン、別名アクチノマイシンDは、注射液の形態でCOSMEGEN(登録商標)として市販されている。ダクチノマイシンは、ウィルムス腫瘍および横紋筋肉腫の治療に適応されている。
【0103】
ダウノルビシン、(8S−シス−)−8−アセチル−10−[(3−アミノ−2,3,6−トリデオキシ−α−L−lyxo−ヘキソピラノシル)オキシ]−7,8,9,10−テトラヒドロ−6,8,11−トリヒドロキシ−1−メトキシ−5,12ナフタセンジオン塩酸塩は、リポソーム注射液の形態でDAUNOXOME(登録商標)として、または注射液としてCERUBIDINE(登録商標)として市販されている。ダウノルビシンは、急性非リンパ球性白血病および進行性HIV関連カポジ肉腫の治療における寛解導入に適応されている。
【0104】
ドキソルビシン、(8S,10S)−10−[(3−アミノ−2,3,6−トリデオキシ−α−L−lyxo−ヘキソピラノシル)オキシ]−8−グリコロイル,7,8,9,10−テトラヒドロ−6,8,11−トリヒドロキシ−1−メトキシ−5,12ナフタセンジオン塩酸塩は、注射液の形態としてRUBEX(登録商標)またはADRIAMYCIN RDF(登録商標)として市販されている。ドキソルビシンは、急性リンパ芽球性白血病および急性骨髄芽球性白血病の治療に主に適応されているが、いくつかの固形腫瘍およびリンパ腫の治療における有用な成分でもある。
【0105】
ブレオマイシン、ストレプトマイセス・ヴェルチシルス(Streptomyces verticillus)の株から単離された細胞障害性グリコペプチド系抗生物質の混合物は、BLENOXANE(登録商標)として市販されている。ブレオマイシンは、単剤として、または他の薬剤と組み合わせて、扁平上皮癌、リンパ腫、および睾丸癌の緩和療法に適応されている。
【0106】
トポイソメラーゼII阻害剤
トポイソメラーゼII阻害剤としては、限定するものではないが、エピポドフィロトキシンが挙げられる。
【0107】
エピポドフィロトキシンは、マンドレイク由来の期特異的な抗悪性腫瘍剤である。エピポドフィロトキシンは、典型的には、トポイソメラーゼIIとDNAとの三元複合体を形成してDNA鎖切断を引き起こすことによって、細胞周期のS期およびG期において細胞に影響を及ぼす。この鎖切断が蓄積し、次いで細胞死が起こる。エピポドフィロトキシンとしては、限定されるものではないが、エトポシドおよびテニポシドが挙げられる。
【0108】
エトポシド、4’−デメチル−エピポドフィロトキシン9[4,6−0−(R)−エチリデン−β−D−グルコピラノシド]は、注射液またはカプセル剤としてVePESID(登録商標)として市販されており、一般にVP−16として知られている。エトポシドは、単剤として、または他の化学療法剤との組合せで、睾丸癌および非小細胞肺癌の治療に適応されている。
【0109】
テニポシド、4’−デメチル−エピポドフィロトキシン9[4,6−0−(R)−テニリデン−β−D−グルコピラノシド]は、注射液としてVUMON(登録商標)として市販されており、一般にVM−26として知られている。テニポシドは、単剤として、または他の化学療法剤との組合せで、小児における急性白血病の治療に適応されている。
【0110】
代謝拮抗性抗悪性腫瘍剤
代謝拮抗性抗悪性腫瘍剤は、DNA合成を阻害すること、またはプリンもしくはピリミジン塩基合成を阻害してDNA合成を制限することによって細胞周期のS期(DNA合成)に作用する、期特異的な抗悪性腫瘍剤である。その結果、S期は進行せず、次いで細胞死が起こる。代謝拮抗性抗悪性腫瘍剤としては、限定するものではないが、フルオロウラシル、メトトレキサート、シタラビン、メカプトプリン(mecaptopurine)、チオグアニン、およびゲムシタビンが挙げられる。
【0111】
5−フルオロウラシル、5−フルオロ−2,4−(1H,3H)ピリミジンジオンは、フルオロウラシルとして市販されている。5−フルオロウラシルを投与すると、チミジル酸合成が阻害され、またRNAおよびDNAの両方に取り込まれる。典型的な結果は細胞死である。5−フルオロウラシルは、単剤として、または他の化学療法剤との組合せで、乳癌、結腸癌、直腸癌、胃癌、および膵癌の治療に適応されている。他のフルオロピリミジン類似体としては、5−フルオロデオキシウリジン(フロクスウリジン)および5−フルオロデオキシウリジン一リン酸が挙げられる。
【0112】
シタラビン、4−アミノ−1−β−D−アラビノフラノシル−2(1H)−ピリミジノンは、CYTOSAR−U(登録商標)として市販されており、一般的にAra−Cとして知られている。シタラビンは、増殖中のDNA鎖へのシタラビンの末端取り込みによってDNA鎖伸長を阻害することにより、S期で細胞期特異性を示すと考えられている。シタラビンは、単剤として、または他の化学療法剤との組合せで、急性白血病の治療に適応されている。他のシチジン類似体としては、5−アザシチジンおよび2’,2’−ジフルオロデオキシシチジン(ゲムシタビン)が挙げられる。シタラビンは、白血球減少、血小板減少、および粘膜炎を誘発する。
【0113】
メルカプトプリン、1,7−ジヒドロ−6H−プリン−6−チオン一水和物は、PURINETHOL(登録商標)として市販されている。メルカプトプリンは、現時点でまだ特定されていないメカニズムによってDNA合成を阻害することにより、S期で細胞期特異性を示す。メルカプトプリンは、単剤として、または他の化学療法剤との組合せで、急性白血病の治療に適応されている。骨髄抑制および胃腸粘膜炎が、高用量のメルカプトプリンの副作用と予想される。有用なメルカプトプリン類似体はアザチオプリンである。
【0114】
チオグアニン、2−アミノ−1,7−ジヒドロ−6H−プリン−6−チオンは、TABLOID(登録商標)として市販されている。チオグアニンは、現時点でまだ特定されていないメカニズムによってDNA合成を阻害することにより、S期で細胞期特異性を示す。チオグアニンは、単剤として、または他の化学療法剤との組合せで、急性白血病の治療に適応されている。他のプリン類似体としては、ペントスタチン、エリスロヒドロキシノニルアデニン、リン酸フルダラビン、およびクラドリビンが挙げられる。
【0115】
ゲムシタビン、2’−デオキシ−2’,2’−ジフルオロシチジン一塩酸塩(β−異性体)は、GEMZAR(登録商標)として市販されている。ゲムシタビンは、S期にて、またG1/S境界を通る細胞の進行を遮断することによって、細胞期特異性を示す。ゲムシタビンは、シスプラチンとの組合せで局所進行性非小細胞肺癌の治療に適応され、また単独で局所進行性膵癌の治療に適応されている。
【0116】
メトトレキサート、N−[4[[(2,4−ジアミノ−6−プテリジニル)メチル]メチルアミノ]ベンゾイル]−L−グルタミン酸は、メトトレキサートナトリウムとして市販されている。メトトレキサートは、プリンヌクレオチドおよびチミジル酸の合成に必要とされるジヒドロ葉酸レダクターゼの阻害を介して、DNA合成、DNA修復、および/またはDNA複製を阻害することによって、特にS期に細胞期作用を示す。メトトレキサートは、単剤として、または他の化学療法剤との組合せで、絨毛癌、髄膜白血病、非ホジキンリンパ腫、ならびに乳癌、頭頚部癌、卵巣癌、および膀胱癌の治療に適応されている。
【0117】
トポイソメラーゼI阻害剤
カンプトテシンおよびカンプトテシン誘導体を含むカンプトテシンは、トポイソメラーゼI阻害剤として入手可能であるかまたは開発中である。カンプトテシン細胞障害活性は、そのトポイソメラーゼI阻害活性に関係があると考えられている。カンプトテシンとしては、限定するものではないが、イリノテカン、トポテカン、および下記の7−(4−メチルピペラジノ−メチレン)−10,11−エチレンジオキシ−20−カンプトテシンの種々の光学形態が挙げられる。
【0118】
イリノテカンHCl、(4S)−4,11−ジエチル−4−ヒドロキシ−9−[(4−ピペリジノピペリジノ)カルボニルオキシ]−1H−ピラノ[3’,4’,6,7]インドリジノ[1,2−b]キノリン−3,14(4H,12H)−ジオン塩酸塩は、注射液CAMPTOSAR(登録商標)として市販されている。イリノテカンは、その活性代謝物SN−38とともにトポイソメラーゼI−DNA複合体と結合する、カンプトテシンの誘導体である。細胞障害性は、トポイソメラーゼI:DNA:イリンテカン(irintecan)またはSN−38の三元複合体と複製酵素との相互作用により引き起こされる回復不能な二本鎖切断の結果として生じると考えられている。イリノテカンは、結腸または直腸の転移性癌の治療に適応されている。
【0119】
トポテカンHCl、(S)−10−[(ジメチルアミノ)メチル]−4−エチル−4,9−ジヒドロキシ−1H−ピラノ[3’,4’,6,7]インドリジノ[1,2−b]キノリン−3,14−(4H,12H)−ジオン一塩酸塩は、注射液HYCAMTIN(登録商標)として市販されている。トポテカンは、トポイソメラーゼI−DNA複合体と結合して、DNA分子のねじれ歪みに応答してトポイソメラーゼIにより引き起こされる一本鎖切断の再連結を防止する、カンプトテシンの誘導体である。トポテカンは、転移性の卵巣癌および小細胞肺癌の二次治療に適応されている。トポテカンHClの用量規制副作用は、骨髄抑制、主に好中球減少である。
【0120】
ホルモンおよびホルモン類似体
ホルモンおよびホルモン類似体は、ホルモン(1種または複数)と癌の増殖および/または増殖の欠如との間に関係性がある癌の治療に有用な化合物である。癌治療において有用なホルモンおよびホルモン類似体としては、限定するものではないが、子供の悪性リンパ腫および急性白血病の治療において有用な、プレドニソンおよびプレドニソロン等の副腎皮質ステロイド、副腎皮質癌およびエストロゲン受容体を含むホルモン依存性乳癌の治療において有用な、アミノグルテチミドならびにアナストロゾール、レトラゾール、ボラゾール、およびエキセメスタン等の他のアロマターゼ阻害剤、ホルモン依存性乳癌および子宮内膜癌の治療において有用な、酢酸メゲストロール等のプロゲストリン(progestrin)、前立腺癌および良性の前立腺肥大の治療において有用な、エストロゲン、アンドロゲン、およびフルタミド、ニルタミド、ビカルタミド、酢酸シプロテロン等の抗アンドロゲン、ならびにフィナステリドおよびデュタステリド等の5α−還元酵素;タモキシフェン、トレミフェン、ラロキシフェン、ドロロキシフェン、ヨードキシフェン等の抗エストロゲン、ならびにホルモン依存性乳癌および他の感受性癌の治療において有用な、米国特許第5,681,835号、同5,877,219号、および同6,207,716号に記載のもの等の選択的エストロゲン受容体モジュレーター(SERM)、ならびに前立腺癌の治療のための、黄体形成ホルモン(LH)および/または卵胞刺激ホルモン(FSH)放出を刺激する、ゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)およびその類似体、例えば、酢酸ゴセレリンおよび酢酸ルプロリド(luprolide)等の、LHRHアゴニストおよびアンタゴニスト、が挙げられる。
【0121】
シグナル伝達経路阻害剤
シグナル伝達経路阻害剤は、細胞内変化を惹起する化学プロセスを遮断または阻害する阻害剤である。本明細書で用いるこの変化は、細胞増殖または分化である。本発明において有用なシグナル伝達阻害剤としては、受容体型チロシンキナーゼ、非受容体型チロシンキナーゼ、SH2/SH3ドメインブロッカー、セリン/スレオニンキナーゼ、ホスホチジルイノシトール−3キナーゼ、ミオイノシトールシグナル伝達、およびRas癌遺伝子の阻害剤が挙げられる。
【0122】
いくつかのタンパク質チロシンキナーゼは、細胞増殖の調節に関与する種々のタンパク質における特定のチロシル残基のリン酸化を触媒する。このようなタンパク質チロシンキナーゼは、受容体または非受容体キナーゼに大別することができる。
【0123】
受容体型チロシンキナーゼは、細胞外リガンド結合ドメイン、膜貫通ドメイン、およびチロシンキナーゼドメインを有する、膜貫通型タンパク質である。受容体チロシンキナーゼは細胞増殖の調節に関与しており、一般には増殖因子受容体と呼ばれている。多くのこれらのキナーゼの、不適当または無制御の活性化、すなわち、例えば過剰発現または突然変異による異常なキナーゼ増殖因子受容体活性は、無制御の細胞増殖をもたらすことがわかっている。それに応じて、そのようなキナーゼの異常な活性は悪性の組織増殖と関連付けられてきた。したがって、そのようなキナーゼの阻害剤により癌の治療法が実現できる可能性があった。増殖因子受容体としては、例えば、上皮増殖因子受容体(EGFr)、血小板由来増殖因子受容体(PDGFr)、erbB2、erbB4、血管内皮増殖因子受容体(VEGFr)、免疫グロブリン様ドメインおよび上皮増殖因子相同ドメインを有するチロシンキナーゼ(TIE−2)、インスリン増殖因子−I(IGFI)受容体、マクロファージコロニー刺激因子(cfms)、BTK、ckit、cmet、線維芽細胞増殖因子(FGF)受容体、Trk受容体(TrkA、TrkB、TrkC)、エフリン(eph)受容体、ならびにRET癌原遺伝子が挙げられる。増殖受容体の阻害剤は、いくつかが開発中であり、例えば、リガンドアンタゴニスト、抗体、チロシンキナーゼ阻害剤、およびアンチセンスオリゴヌクレオチドが挙げられる。増殖因子受容体機能を阻害する増殖因子受容体および薬剤は、例えば、Kath,John C.,Exp.Opin.Ther.Patents(2000)10(6):803−818;Shawver et al DDT Vol2,No.2 February 1997;およびLofts,F.J.et al,「Growth factor receptors as targets」,New Molecular Targets for Cancer Chemotherapy,ed.Workman,Paul and Kerr,David,CRC press 1994,Londonに記載されている。
【0124】
増殖因子受容体キナーゼでないチロシンキナーゼは、非受容体型チロシンキナーゼと呼ばれている。本発明で使用する非受容体型チロシンキナーゼは、抗癌剤の標的または潜在的な標的であり、例えば、cSrc、Lck、Fyn、Yes、Jak、cAbl、FAK(接着斑キナーゼ)、ブルトンチロシンキナーゼ、およびBcr−Ablが挙げられる。非受容体型チロシンキナーゼ機能を阻害するそのような非受容体キナーゼおよび薬剤は、Sinh,S.and Corey,S.J.,(1999)Journal of Hematotherapy and Stem Cell Research 8(5):465−80;およびBolen,J.B.,Brugge,J.S.,(1997)Annual review of Immunology.15:371−404に記載されている。
【0125】
SH2/SH3ドメインブロッカーは、PI3−K p85サブユニット、Srcファミリーキナーゼ、アダプター分子(Shc、Crk、Nck、Grb2)、およびRas−GAPを含む種々の酵素もしくはアダプタータンパク質中で結合している、SH2またはSH3ドメインを破壊する薬剤である。抗癌剤の標的としてのSH2/SH3ドメインは、Smithgall,T.E.(1995),Journal of Pharmacological and Toxicological Methods.34(3)125−32で考察されている。
【0126】
Rafキナーゼ(rafk)、マイトジェンまたは細胞外調節キナーゼ(MEK)、および細胞外調節キナーゼ(ERK)のブロッカーを含むMAPキナーゼカスケードブロッカー、ならびにPKC(α、β、γ、ε、μ、λ、ι、ζ)、IkBキナーゼファミリー(IKKa、IKKb)、PKBファミリーキナーゼ、aktキナーゼファミリーメンバー、およびTGFβ受容体キナーゼのブロッカーを含むプロテインキナーゼCファミリーメンバーブロッカー、を含むセリン/スレオニンキナーゼの阻害剤。このようなセリン/スレオニンキナーゼおよびそれらの阻害剤は、Yamamoto,T.,Taya,S.,Kaibuchi,K.,(1999),Journal of Biochemistry.126(5)799−803;Brodt,P,Samani,A.,and Navab,R.(2000),Biochemical Pharmacology,60.1101−1107;Massague,J.,Weis−Garcia,F.(1996)Cancer Surveys.27:41−64;Philip,P.A.,and Harris,A.L.(1995),Cancer Treatment and Research.78:3−27,Lackey,K.et al Bioorganic and Medicinal Chemistry Letters,(10),2000,223−226;米国特許第6,268,391号;およびMartinez−Iacaci,L.,et al,Int.J.Cancer(2000),88(1),44−52に記載されている。
【0127】
PI3−キナーゼ、ATM、DNA−PK、およびKuのブロッカーを含むホスホチジルイノシトール−3キナーゼファミリーメンバーの阻害剤も本発明において有用であり得る。そのようなキナーゼは、Abraham,R.T.(1996),Current Opinion in Immunology.8(3)412−8;Canman,C.E.,Lim,D.S.(1998),Oncogene 17(25)3301−3308;Jackson,S.P.(1997),International Journal of Biochemistry and Cell Biology.29(7):935−8;およびZhong,H.et al,Cancer res,(2000)60(6),1541−1545で考察されている。
【0128】
ホスホリパーゼCブロッカーおよびミオイノシトール類似体等のミオイノシトールシグナル伝達阻害剤も、本発明において興味深い。そのようなシグナル阻害剤は、Powis,G.,and Kozikowski A.,(1994) New Molecular Targets for Cancer Chemotherapy ed.,Paul Workman and David Kerr,CRC press 1994,Londonに記載されている。
【0129】
シグナル伝達経路阻害剤のもう1つのグループは、Ras癌遺伝子の阻害剤である。そのような阻害剤としては、ファルネシルトランスフェラーゼ、ゲラニルゲラニルトランスフェラーゼ、およびCAAXプロテアーゼの阻害剤、ならびにアンチセンスオリゴヌクレオチド、リボザイムおよび免疫療法が挙げられる。そのような阻害剤は、野生型の突然変異体rasを含む細胞中においてras活性化を遮断し、それによって抗増殖剤として作用することがわかっている。Ras癌遺伝子阻害は、Scharovsky,O.G.,Rozados,V.R.,Gervasoni,S.I.Matar,P.(2000),Journal of Biomedical Science.7(4)292−8;Ashby,M.N.(1998),Current Opinion in Lipidology.9(2)99−102;およびBioChim.Biophys.Acta,(19899)1423(3):19−30で考察されている。
【0130】
上述の通り、受容体キナーゼリガンド結合に対する抗体アンタゴニストは、シグナル伝達阻害剤としても働き得る。シグナル伝達経路阻害剤のこのグループには、受容体型チロシンキナーゼの細胞外リガンド結合ドメインへのヒト化抗体の使用が含まれる。例えば、イムクローン社(Imclone)のC225 EGFR特異的抗体(Green,M.C.et al,Monoclonal Antibody Therapy for Solid Tumors,Cancer Treat.Rev.,(2000),26(4),269−286を参照);Herceptin(登録商標)erbB2抗体(Tyrosine Kinase Signalling in Breast cancer:erbB Family Receptor Tyrosine Kniases,Breast cancer Res.,2000,2(3),176−183を参照);および2CB VEGFR2特異的抗体(Brekken,R.A.et al,Selective Inhibition of VEGFR2 Activity by a monoclonal Anti−VEGF antibody blocks tumor growth in mice,Cancer Res.(2000)60,5117−5124を参照)がある。
【0131】
抗血管形成剤:
非受容体MEK血管形成阻害剤(non−receptor MEKngiogenesis inhibitors)を含む抗血管形成剤もまた有用であり得る。血管内皮増殖因子の効果を阻害するもの(例えば、抗血管内皮細胞増殖因子抗体ベバシズマブ[Avastin(商標)])、および他の機構により作用する化合物(例えばリノミド、インテグリンαvβ3機能の阻害剤、エンドスタチンおよびアンギオスタチン)などの抗血管形成剤がある。
【0132】
免疫療法剤:
免疫療法レジメンに使用される薬剤もまた、式(I)の化合物との組合せに有用であり得る。免疫療法アプローチは、例えば、インターロイキン2、インターロイキン4または顆粒球−マクロファージコロニー刺激因子などのサイトカインでのトランスフェクションなどの患者の腫瘍細胞の免疫原性を増加させるエキソビボおよびインビボアプローチ、T細胞アネルギーを減少させるアプローチ、サイトカインでトランスフェクトされた樹状細胞などのトランスフェクトされた免疫細胞を用いるアプローチ、サイトカインでトランスフェクトされた腫瘍細胞株を用いるアプローチおよび抗イディオタイプ抗体を用いるアプローチを含む。
【0133】
プロアポトーシス剤
プロアポトーシスレジメンに使用される薬剤(例えば、bcl−2アンチセンスオリゴヌクレオチド)もまた、本発明の組合せに使用されてもよい。
【0134】
細胞周期シグナル伝達阻害剤
細胞周期シグナル伝達阻害剤は細胞周期の制御に関与する分子を阻害する。サイクリン依存性キナーゼ(CDK)と呼ばれるプロテインキナーゼのファミリー、およびサイクリンという名のタンパク質のファミリーとのそれらの相互作用により、真核生物の細胞周期の進行が制御される。異なるサイクリン/CDK複合体の活性化と不活性化とが調和的に行われることが、細胞周期の正常な進行には必要である。いくつかの細胞周期シグナル伝達の阻害剤が開発中である。例えば、CDK2、CDK4、およびCDK6を含むサイクリン依存性キナーゼ、ならびにそれらの阻害剤の例が、例えば、Rosania et al,Exp.Opin.Ther.Patents(2000)10(2):215−230に記載されている。
【0135】
一実施形態において、本発明の組合せは、式Iの化合物またはその塩もしくは溶媒和物と、微小管阻害剤、白金配位錯体、アルキル化剤、抗生物質製剤、トポイソメラーゼII阻害剤、代謝拮抗物質、トポイソメラーゼI阻害剤、ホルモンおよびホルモン類似体、シグナル変換経路阻害剤、非受容体チロシンMEK血管形成阻害剤、免疫療法剤、プロアポトーシス剤、および細胞周期シグナル伝達阻害剤から選択される少なくとも1つの抗腫瘍剤とを含む。
【0136】
一実施形態において、本発明の組合せは、式Iの化合物またはその塩もしくは溶媒和物と、少なくとも1つの抗腫瘍剤を含んでなり、その抗腫瘍剤は、ジテルペノイドおよびビンカアルカロイドから選択される微小管阻害剤である。
【0137】
さらなる実施形態において、少なくとも1つの抗腫瘍剤はジテルペノイドである。
【0138】
さらなる実施形態において、少なくとも1つの抗腫瘍剤はビンカアルカロイドである。
【0139】
一実施形態において、本発明の組合せは、式Iの化合物またはその塩もしくは溶媒和物と、少なくとも1つの抗腫瘍剤とを含んでなり、その抗腫瘍剤は、白金配位錯体である。
【0140】
さらなる実施形態において、少なくとも1つの抗腫瘍剤は、パクリタキセル、カルボプラチン、またはビノレルビンである。
【0141】
さらなる実施形態において、少なくとも1つの抗腫瘍剤は、カルボプラチンである。
【0142】
さらなる実施形態において、少なくとも1つの抗腫瘍剤は、ビノレルビンである。
【0143】
さらなる実施形態において、少なくとも1つの抗腫瘍剤は、パクリタキセルである。
【0144】
一実施形態において、本発明の組合せは、式Iの化合物およびその塩もしくは溶媒和物と、少なくとも1つの抗腫瘍剤とを含んでなり、その抗腫瘍剤は、シグナル変換経路阻害剤である。
【0145】
さらなる実施形態において、シグナル変換経路阻害剤は、増殖因子受容体キナーゼVEGFR2、TIE2、PDGFR、BTK、erbB2、EGFr、IGFR−1、TrkA、TrkB、TrkC、またはc−fmsの阻害剤である。
【0146】
さらなる実施形態において、シグナル変換経路阻害剤は、セリン/トレオニンキナーゼrafk、akt、またはPKC−ゼータの阻害剤である。
【0147】
さらなる実施形態において、シグナル変換経路阻害剤は、キナーゼのsrcファミリーから選択される非受容体チロシンキナーゼの阻害剤である。
【0148】
さらなる実施形態において、シグナル変換経路阻害剤は、c−srcの阻害剤である。
【0149】
さらなる実施形態において、シグナル変換経路阻害剤は、ファルネシルトランスフェラーゼおよびゲラニルゲラニルトランスフェラーゼの阻害剤から選択されるRas癌遺伝子の阻害剤である。
【0150】
さらなる実施形態において、シグナル変換経路阻害剤は、PI3Kからなる群より選択されるセリン/トレオニンキナーゼの阻害剤である。
【0151】
さらなる実施形態において、シグナル変換経路阻害剤は、二重EGFr/erbB2阻害剤、例えばN−{3−クロロ−4−[(3−フルオロベンジル)オキシ]フェニル}−6−[5−({[2−(メタンスルホニル)エチル]アミノ}メチル)−2−フリル]−4−キナゾリンアミン(以下の構造):
【化9】

である。
【0152】
一実施形態において、本発明の組合せは、式Iの化合物またはその塩もしくは溶媒和物と、少なくとも1つの抗腫瘍剤とを含んでなり、その抗腫瘍剤は、細胞周期シグナル伝達阻害剤である。
【0153】
さらなる実施形態において、細胞周期シグナル伝達阻害剤は、CDK2、CDK4またはCDK6の阻害剤である。
【0154】
一実施形態において、本発明の方法および使用における哺乳動物はヒトである。
【0155】
療法で使用するために、治療上有効量の本発明の組合せは、化学物質原料として投与することが可能であるが、1つまたは複数の医薬組成物として前記組合せを提示することが好ましい。したがって、本発明は、化合物Cおよび/またはmTOR阻害化合物と1つ以上の薬学上許容可能な担体とを含んでなる医薬組成物を更に提供する。本発明の組合せは、上記の通りである。担体は、製剤の他の成分と適合し、医薬製剤化でき、且つそのレシピエントに対して有害でないという意味で許容可能でなければならない。本発明の別の態様によれば、化合物Cおよび/またはmTOR阻害化合物を1つ以上の薬学上許容可能な担体と混合することを含んでなる医薬製剤の調製プロセスも提供される。上述の通り、利用される医薬組合せのこのような要素は、別々の医薬組成物で提示されてもよく、または1つの医薬製剤に一緒に製剤化されてもよい。
【0156】
1単位用量当たり所定の量の活性成分を含有する単位用量形態で医薬製剤を提示してもよい。当業者に公知であるように、1用量当たりの活性成分の量は、治療される病態、投与経路、ならびに患者のおよび年齢、体重、および病態に依存する。好ましい単位投薬量製剤は、日用量もしくはサブ用量(sub−dose)、またはその適切な割合の活性成分を含有しているものである。更に、薬学分野において周知である任意の方法によってこのような医薬製剤を調製することもできる。
【0157】
化合物CおよびmTOR阻害化合物は、任意の適切な経路によって投与することができる。適切な経路としては、経口、直腸内、鼻内、局所(頬側および舌下を含む)、膣内、および非経口(皮下、筋肉内、静脈内、皮内、鞘内、および硬膜外を含む)が挙げられる。好ましい経路は、例えば、組合せのレシピエントの病態、および治療される癌によって変化し得ることが認識される。また、投与される剤の各々は、同一経路によって投与されても異なる経路によって投与されてもよく、且つ化合物CおよびmTOR阻害化合物は、1つの医薬組成物/製剤に一緒に配合されてもよいことも認識される。好適には、化合物CおよびmTOR阻害化合物は、別々の経口医薬組成物で投与される。
【0158】
本発明の化合物または組合せは、カプセル剤、錠剤または注射可能な調製物等の便利な剤形に組み込まれる。固体または液剤の医薬担体が使用される。固体の担体としては、デンプン、ラクトース、硫酸カルシウム二水塩、白土、スクロース、滑石、ゼラチン、寒天、ペクチン、アラビアゴム、ステアリン酸マグネシウムおよびステアリン酸が挙げられる。液体の担体としては、シロップ、落花生油、オリーブ油、生理食塩水および水が挙げられる。同様に、担体は、モノステアリン酸グリセリルまたはジステアリン酸グリセリル等の持続放出材料を単独でまたはろうと共に含んでもよい。固体の担体の量は広く変化するが、好ましくは、1投薬量単位当たり約25mg〜約1gである。液体の担体が用いられるとき、調製物は、好適には、シロップ剤、エリキシル剤、乳剤、軟質ゼラチンカプセル剤、アンプル等の無菌注射液、または水性もしくは非水性の液体懸濁剤の形態である。
【0159】
例えば、錠剤またはカプセル剤の形態の経口投与については、活性薬物構成要素は、エタノール、グリセロール、水等の経口で無毒な薬学上許容可能な不活性担体と組合せてもよい。散剤は、化合物を好適な微細な大きさに粉砕し、例えばデンプンまたはマンニトール等の可食性炭水化物等の同様に粉砕された医薬担体と混合することによって調製される。また、着香剤、防腐剤、分散剤および着色剤が存在してもよい。
【0160】
上述の成分に加えて、製剤が、対象の製剤の種類を考慮して当技術分野において従来用いられている他の剤を含んでもよく、例えば、経口投与に好適な製剤が、着香剤を含んでもよいことを理解すべきである
【0161】
上述の通り、治療上有効量の本発明の組合せ(mTOR阻害化合物と組合せられた化合物C)がヒトに投与される。典型的に、本発明の投与される剤の治療上有効量は、例えば、被験者の年齢および体重、治療を必要とする正確な病態、病態の重篤度、製剤の性質、ならびに投与経路を含む多くの要因に依存する。最終的に、治療上有効量は、主治医の裁量による。
【0162】
公知の手順に従って有効性、有利且つ相乗的な特性について本発明の組合せを試験する。
【0163】
好適には、一般的に以下の組合せ細胞増殖アッセイに従って、有効性、有利且つ相乗的な特性について本発明の組合せを試験する。10%のFBSおよび1%のペニシリン/ストレプトマイシンを添加した各細胞種に適切な培養培地中500細胞/ウェルで384ウェルプレートに細胞をプレーティングし、37℃、5%COで一晩インキュベートする。384ウェルプレートにおいて左から右に化合物Aの希釈液(20の希釈液、化合物を含まないもの、化合物によって1〜20μMから出発して2倍ずつ希釈したものを含む)で細胞を格子状方式(grid manner)で処理し、また、384ウェルプレートにおいて上から下に化合物B(20の希釈液、化合物を含まないもの、化合物によって1〜20μMから出発して2倍ずつ希釈したものを含む)でも処理し、更に72時間上記の通りインキュベートする。場合によっては、化合物を互い違いの方式(staggered manner)で添加し、インキュベーション時間を最高7日間延長してもよい。製造業者のプロトコールに従って、CellTiter−Glo(登録商標)試薬を使用して細胞増殖を測定し、0.5秒間読み取る発光モードに設定されたPerkinElmer EnVision(商標)リーダーでシグナルを読み取る。下記の通りデータを分析する。
【0164】
t=0値の百分率として結果を表し、化合物濃度に対してプロットする。t=0値を100%に正規化し、化合物の添加時に存在する細胞数を表す。Microsoft ExcelソフトウェアのIDBS XLfitプラグインを使用して濃度に対する細胞の生存率の4−または6−パラメータ曲線当てはめを用い、細胞増殖の50%の阻害に必要な濃度(gIC50)を求めて、各化合物および/または化合物の組合せについての細胞応答を求める。細胞を含有していないウェルから得られた値を減じることによってバックグラウンド補正を行う。各薬物の組合せについて、ChouおよびTalalay(1984)Advances in Enzyme Regulation,22,37−55;ならびにBerenbaum,MC(1981)Adv.Cancer Research,35,269−335に記載されている方法等の公知の方法に従って組合せ指数(CI)、最高の単剤に対する超過(Excess Over Highest Single Agent,EOHSA)、およびBliss超過(Excess Over Bliss,EOBliss)を計算する。
【0165】
アッセイ1
アッセイ1、ならびに対応する図1および2において、使用したMEK阻害化合物は、本明細書で定義した化合物Aであり、使用したmTOR阻害化合物はエベロリムスであり、それは以下に示した構造を有し、アッセイ1において化合物Bである。
エベロリムス:
【化10】

【0166】
パネル肺腫瘍細胞株における化合物Aおよび化合物B(エンベロリムス)によるインビトロでの細胞増殖阻害およびアポトーシス誘導
方法
細胞株および増殖条件
肺癌由来のヒト腫瘍細胞株、A427、A549、Calu1、Calu3、Calu6、COR−L23、HOP62、MV522、NCI−H1155、NCI−H1299、NCI−H1355、NCI−H1395、NCI−H157、NCI−H1573、NCI−H1666、NCI−1755、NCI−H1792、NCI−2009、NCI−H2030、NCI−H2122、NCI−H2291、NCI−H23、NCI−H2347、NCI−H358、NCI−H441、NCI−H460、NCI−H650、NCI−H727、SW1573およびSW900を、10%ウシ胎仔血清(FBS)を含むRPMI1640培地中で培養した。細胞株変異データを、RASおよびRAF遺伝子についての状態のために収集した。そのデータ源は、Catolog of Somatic Mutations in Cancer database(COSMIC)(Bamford Sら,Br.J.Cancer.2004.91:355−58)および/またはハウスDNAシークエンシングの一部として公開されている癌細胞株変異スクリーニングデータである。
【0167】
細胞増殖阻害アッセイおよび組合せのデータ分析
1ウェル当り500〜2,000細胞で、10%のFBSを含有しているRPMI培地の96ウェル組織培養プレート(NUNC 136102)中にて細胞を播種した。プレーティングの約24時間後、10:1のモル比(それぞれ化合物AおよびB)にて化合物AもしくはBまたは2つの薬剤の組合せのいずれかの10、2倍または3倍連続希釈液に細胞を曝露した。最終投薬濃度範囲は、化合物Aについて2〜1000nMであり、化合物Bについて0.2〜100nMであった。細胞を、化合物の存在下で3日間インキュベートした。製造業社のプロトコールに従ってCell Titer Glo(登録商標)(Promega)を添加することにより、ATPレベルを求めた。簡潔に述べると、Cell Titer Glo(登録商標)を各プレートに添加し、20分間インキュベートし、次いで、積分時間0.5秒間のSpectraMax Lプレートリーダで発光シグナルを読み取った。全てのアッセイを少なくとも2連で実施した。
【0168】
3日間化合物または化合物の組合せで処理した後、細胞増殖の阻害を推定し、ビヒクル(DMSO)で処理された細胞とシグナルを比較した。ビヒクル(DMSO)で処理された対照ウェルに対する細胞増殖を計算した。対照細胞の増殖の50%を阻害する化合物の濃度(IC50)を、以下の等式
【数1】

(式中、Aは、最小応答(ymin)であり、Bは最大反応(ymax)であり、Cは曲線の変曲点(EC50)であり、Dは、ヒル係数である)によって非線形回帰を用いて、DMSOで処置した対照ウェルがy=50%である場合、後方補間(back−interpolated)した。
【0169】
後方補間されたIC50値、ならびにChouおよびTalalay(Chou TC,Talalay P.Adv Enzyme Regul.1984;22;27−55)によって導かれた互いに排反ではない等式を用いて計算された組合せ指数(CI)を用いて、効力に対する組合せ効果を評価した:
CI=Da/IC50(a)+Db/IC50(b)+(Da×Db)/(IC50(a)×IC50(b))
(式中、IC50(a)は化合物AのIC50であり、IC50(b)は化合物BのIC50であり、Daは、化合物Bと組合せられた化合物Aの細胞増殖の50%を阻害した濃度であり、Dbは、化合物Aと組合せられた化合物Bの細胞増殖の50%を阻害した濃度である)。一般的に、CI値<0.9、0.9〜1.1、または>1.1は、それぞれ、相乗作用、相加作用、および拮抗作用を示す。一般的に、CI数が小さいほど、相乗作用の強さが大きい。
【0170】
反応スケールに対する組合せ効果を、EOHSAおよび総用量における最高の単剤に対する超過(Excess Over Highest Single Agent at Total Dose,EOHSATD)により定量した。後者は、以前に詳細に記載されている通り(PetersonおよびNovick SJ.J Recept Signal Transduct Res 2007.27:125−46;Peterson J.Frontiers of Bioscience S2,483−503.2010)、非線形混合の概念に基づいた。この研究において、EOHSAおよびEOHSATD値は、組合せの構成要素の投薬量レベルおよび同じ総投薬量において最も優れた単剤に対する、組合せによって生じる改善の増加[「パーセント点」(ppt)の差として測定される]と定義される。したがって、EOHSATDは、総投薬量よりむしろ、その(単一薬物)構成要素の投薬量に対する組合せを比較するEOHSAより強力な「相乗効果」測定である。EOHSAを計算する特定の方法は、以前に記載されている。所与の組合せ(総投薬量Dにて)について、総投薬量Dにおける組合せの平均応答が、投薬量Dにおける薬物1または投薬量Dにおける薬物2のいずれかより有意に良い場合、EOHSATD相乗効果が達成される。EOHSA比較と同様に、EOHSATD比較を、一定用量比における適合した用量反応曲線および単一化合物曲線を用いて行った。化合物AおよびBの間の相互作用は、EOHSATD>0である場合、相乗作用があるとみなした。
【0171】
この研究において、化合物AおよびBの同時投与は、Cl<0.9またはEOHSATD>0である場合、潜在性または反応スケールに対して特定の細胞株において相乗相互作用を示した。
【0172】
細胞アポトーシスアッセイ−カスパーゼ−3/7活性化
アポトーシス誘導の調査に関して、96ウェル組織培養プレート中に5,000個/ウェルの細胞にて細胞株をプレーティングし、約24時間固定させた。次いで細胞を上記の化合物で処理した。化合物処理の24時間後、活性カスパーゼ3およびカスパーゼ7のレベルを、製造業社により与えられる指示書に従ってカスパーゼGlo(商標)3/7(Promega,カタログ番号G8093)を用いて求めた。
【0173】
結果
化合物Aおよび化合物Bの組合せによる肺腫瘍細胞株に対する細胞増殖阻害およびアポトーシスの効果
マイトジェン活性化タンパク質/ERK−キナーゼ(MEK)阻害剤である化合物A、mTOR阻害化合物である化合物B(エベロリムス)およびそれらの組合せによる細胞増殖阻害の効果を、29のヒト肺腫瘍細胞株のパネルにおいて求めた。平均IC50(少なくとも2つの独立した実験から得た)およびIC50における組合せ効果を、RASおよびRAF変異状態と共に表1に要約する。表1を参照すると、29株のうち17株は、IC50<100nMを有し、化合物Aに対する感受性を示したが、29株のうち2株は、エベロリムスに対する感受性を示した(IC50<100nM)。化合物Aおよび化合物Bの組合せは、A549およびH2122株のそれぞれにおいて0.19および0.62のCl値を有し、29株のうち27株において4〜25pptのEOHSATD値を有し、相乗効果を示した。加えて、化合物Aおよび化合物Bの組合せはまた、29株全てにおいて5〜40pptのEOHSA値を有し、細胞増殖阻害の向上を示した。Cl値は計算できなかったので、単剤値が試験した範囲外にある場合、適用できないことは留意されるべきである。興味のあることに、肺腫瘍株における化合物Aおよび化合物Bの組合せ投与は、Cl値<0.9およびEOHSATD>0により実証されるように相乗効果を示したか、または化合物Aもしくは化合物B単独投与のもの(単剤のうちの少なくとも1つは、試験した範囲内で50%阻害を生じなかった)と比較してIC50値を非常に減少させた(29株のうち25株において化合物Aについて1〜22nMおよび化合物Bについて0.1〜2nM)。化合物Aおよび化合物B単剤ならびにそれらの組合せによる細胞増殖阻害の代表的な用量反応曲線を、図1においてA427、A549、Calu6およびH2122細胞株について示す。
【0174】
これらの腫瘍細胞株をさらに、カスパーゼ3/7活性によって求められるように、アポトーシスを増加させる化合物A、化合物Bまたは化合物Aおよび化合物Bの組合せの能力について評価した。カスパーゼ3の活性化はアポトーシス誘導の特徴である。細胞株A427、A549、Calu6、H2122、H1755、H2347、H727およびSW900は、化合物Aまたは化合物Bを用いる単剤と比べて化合物Aおよび化合物Bを用いる組合せ治療によりアポトーシスの向上を示した。A427、A549、Calu6およびH2122細胞株についての代表的なカスパーゼ3/7活性曲線を図2に提供する。
【0175】
表1.ヒト肺腫瘍細胞株における化合物A、化合物Bおよびそれらの組合せによる細胞増殖阻害
【表1】

表の説明:
IC50:細胞増殖を50%減少させる化合物の濃度;
組合せ指数(Cl)値、H2122=0.62±0.11におけるCl;A549=0.19±0.11におけるCl
NA=達成せず
EOHSATD:パーセンテージとして測定した総用量における最高の単剤に対する超過
EOHSA:パーセンテージとして測定した最高の単剤に対する超過
【0176】
アッセイ2
アッセイ2において、使用したMEK阻害化合物は、本明細書で定義した化合物Aであり、使用したmTOR阻害化合物はラパマイシンであり、それは、以下に示した構造を有する。
ラパマイシン:
【化11】

【0177】
癌細胞株に対するMEK(化合物A)およびmTOR(ラパマイシン)阻害剤の組合せ
MEK阻害剤(化合物A)もしくはmTOR阻害剤(mTORi、ラパマイシン)単独または1:2の比(MEKi:mTORi)にて両方の薬剤の組合せで95個の細胞株を処理し、3日の薬物曝露後に細胞増殖/死を測定した。簡潔に述べると、10%のFBSおよび1%のペニシリン/ストレプトマイシンを補足した、各細胞種類について適切な培地中で500細胞/ウェルにて384ウェルプレート中に細胞をプレーティングし、37℃、5%COにて一晩インキュベートした。MEK阻害剤(7.3μM〜0.014nMの範囲で2倍希釈)もしくはmTOR阻害剤(14.6μM〜0.112nMの範囲で2倍希釈)または両方の化合物の組合せで細胞を処理し、72時間インキュベートした。製造業社のプロトコールに従ってCellTiterGlo(CTG)試薬(Promega)を用いて細胞増殖を測定した。Microsoft Excel用のXLfit(IDBS Ltd.)曲線フィッティングツールを用いてデータを分析した。4パラメータ曲線フィットアルゴリズム(XLFitアルゴリズム#205)を用いて増殖IC50(glC50)およびYmin値を生成した。
【0178】
t=0の割合として結果を表し、化合物濃度に対してプロットした。T=0値を100%に正規化し、化合物添加時における細胞数を表す。XLfitソフトウェアを用いて4または6パラメータ曲線フィットを用いて濃度応答を適合し、細胞増殖の50%を阻害した濃度(glC50)および任意の化合物濃度における低いY値(Ymin)を測定することによって各化合物についての細胞応答を求めた。互いに排反する組合せ指数(Cl)を計算するために以下の式を用いた。データをlogClとして報告し、ここで、Clの対数値を計算した。
Cl=a+bのIC50/aのIC50+b+aのIC50/bのIC50
(式中、a=MEKiおよびb=mTORi)
【0179】
相乗効果をCl<1、相加性をCl=1および拮抗作用をCl>1と定義する。これらの増殖アッセイの変動性を考慮して、本発明者らは任意に、拮抗作用としてlogCl>0.1、有意な効果なしとして−0.1から0.1および相乗効果として<−0.1と定義した。
【0180】
glC50の分析により、ほとんどの細胞株について、両方の阻害剤の組合せが有益であり、各々の阻害剤単独のものと比べて測定されたglC50を低下させることが実証された。癌細胞株に対するMEKおよびmTOR阻害剤単独ならびに組合せの増殖IC50(glc50)を図3にグラフで表す。グラフで表したものについて、MEKiについてglC50>7.3μMおよびmTORiについて>14.6μMを、それぞれ7.3μMおよび14.6μMとしてグラフ化した。上記のように組合せ指数(Cl)を計算し、その対数値をプロットし、図4に表す。これらのデータにより、MEKiとmTORiとの組合せは、試験したほとんどの細胞株(74/95細胞株、77.9%)で相乗効果があったが、この組合せは、試験した少数の細胞株(8/95細胞株、8.4%)で拮抗作用があったことが実証された。
【0181】
図5により、一部の細胞株について、MEKとmTOR阻害剤との組合せが、glC50にわずかに影響を与えることが実証され、任意の化合物濃度において低いY値と定義したように主な相違がYminに存在することが観察された(最大阻害が観察された)。この例において、mTOR阻害剤単独、MEK阻害剤単独および両方の薬物の組合せのYminは、それぞれ、487%、257%および−73%である。全ての細胞株について同様の細胞を実施し、Yminの結果を図6に示す。これらのデータにより、両方の薬物の組合せは、各々の薬物単独(mTORi=9.5%およびMEKi=20%)より高い割合の細胞死を引き起こすこと(青線の下、細胞傷害性、44.2%)が実証される。
【0182】
KRASおよびPI3Kに基づいた突然変異状態により細胞を分類しながら、同様の分析を実施した。表2に示したデータより、mTORi単独は、KRASまたはPI3K突然変異状態とは無関係に、試験した小サブセットの癌細胞株集団においてのみ細胞死(細胞傷害性)を引き起こすことが実証される。しかしながら、MEKiは、KRAS状態(>20%)とは無関係に、かなりの数の細胞株に死をもたらすが、それは、PI3K野生型(WT)細胞株と比べてPI3K突然変異に対して低い活性を示した。両方の薬物の組合せは、単剤と比べて全ての突然変異サブグループにおいて多くの細胞株において活性がある。
【0183】
表2:KRASまたはPI3K突然変異状態に基づいた死を引き起こすMEKとmTOR阻害剤との組合せで処理した癌細胞株の割合
【表2】

【0184】
同時に起こるKRASおよびPI3K突然変異状態に基づいた細胞死を引き起こす各々の化合物単独または組合せの能力の分析を表3に示す。単剤としてmTORiは少数の細胞株(≦11%)に死をもたらすが、MEKi単独は、KRAS突然変異/PI3K WT遺伝子型を有する細胞株の30%に細胞死を誘導した。死を引き起こす細胞株の総数が優れていることに加えて、両方の薬剤の組合せは、KRAS突然変異/PI3K WT集団だけでなく、野生型KRASを有する細胞ならびに突然変異PI3Kをコードする細胞に対して活性がある。
【0185】
表3:KRASおよびPI3K突然変異状態に基づいた死を引き起こすMEKおよびmTOR阻害剤の化合物で処理した癌細胞株の割合
【表3】

【0186】
要約すると、MEKiとmTORiとの組合せは、試験した癌細胞株の77.9%に対して50%増殖阻害を生じる各化合物の濃度を低下させ、相乗効果を生じる利点がある。さらに、この組合せは、各々の薬剤単独より、多くの癌細胞株においてT=0における初期の細胞数と比べてYmin値により測定したように、細胞死を引き起こす。これらの薬剤の組合せは、PI3K突然変異状態および野生型PI3Kを有するKRAS突然変異細胞株とは関係なく、KRAS WT癌細胞株において有益であると示した。
【0187】
本発明の組合せは上記アッセイにおいて活性であるので、前記組合せは癌の治療において有利な治療的有用性を示す。
【0188】
好適には、本発明は、以下から選択される癌を治療するかまたは重篤度を低下させる方法に関する:脳(神経膠腫)、膠芽腫、星状細胞腫、多形膠芽腫、Bannayan−Zonana症候群、コーデン病、レーミット−デュクロス病、乳房、炎症性乳癌、ウィルムス腫瘍、ユーイング肉腫、横紋筋肉腫、脳室上衣腫、髄芽細胞腫、結腸、頭頸部、腎臓、肺、肝臓、黒色腫、卵巣、膵臓、前立腺、肉腫、骨肉腫、骨巨細胞腫、甲状腺、リンパ芽球性T細胞白血病、慢性骨髄性白血病、慢性リンパ性白血病、ヘアリー細胞白血病、急性リンパ芽球性白血病、急性骨髄性白血病、慢性好中球性白血病、急性リンパ性T細胞白血病、形質細胞腫、免疫芽球性大細胞型白血病、マントル細胞白血病、多発性骨髄腫、巨核芽球性白血病、多発性骨髄腫、急性巨核球性白血病、前骨髄性白血病、赤白血病、悪性リンパ腫、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、リンパ芽球性T細胞性リンパ腫、バーキットリンパ腫、濾胞性リンパ腫、神経芽細胞腫、膀胱癌、尿路上皮癌、肺癌、外陰部癌、子宮頸癌、子宮内膜癌、腎臓癌、中皮腫、食道癌、唾液腺癌、肝細胞癌、胃癌、鼻咽頭癌、頬側癌(buccal cancer)、口腔癌(cancer of the mouth)、GIST(消化管間質腫瘍)および睾丸癌。
【0189】
好適には、本発明は、以下から選択される癌を治療するかまたは重篤度を低下させる方法に関する:脳(神経膠腫)、膠芽腫、Bannayan−Zonana症候群、コーデン病、レーミット−デュクロス病、乳房、結腸、頭頸部、腎臓、肺、肝臓、黒色腫、卵巣、膵臓、前立腺、肉腫および甲状腺。
【0190】
好適には、本発明は、卵巣、乳房、膵臓、および前立腺から選択される癌を治療するかまたは重篤度を低下させる方法に関する。
【0191】
好適には、本発明は、Ras/Rafについての野生型または変異型のいずれか、およびPI3K/Ptenについての野生型または変異型のいずれかである重症度の癌を治療または軽減させる方法に関する。これは、Ras/RafおよびPI3K/PTENの両方についての野生型、Ras/RafおよびPI3K/PTENの両方についての変異型、Ras/Rafについての変異型およびPI3K/PTENについての野生型ならびにRas/Rafについての野生型およびPI3K/PTENについての変異型を有する患者を含む。
【0192】
一実施形態において、腫瘍細胞株はまた、少なくとも1つのBraf突然変異を有する。Braf突然変異は、R462I、I463S、G464V、G464E、G466A、G466E、G466V、G469A、G469E、D594V、F595L、G596R、L597V、L597R、T599I、V600E、V600D、V600K、V600R、T119SおよびK601Eを含む。
【0193】
用語「野性型」は、当技術分野において理解されている通り、遺伝子改変を含まないネイティブな集団で生じるポリペプチドまたはポリヌクレオチドの配列を指す。また、当技術分野において理解されている通り、「突然変異型」は、それぞれ野性型のポリペプチドまたはポリヌクレオチドで見出される対応するアミノ酸または核酸と比べて、アミノ酸または核酸の少なくとも1つが改変されているポリペプチドまたはポリヌクレオチド配列を含む。突然変異型という用語には、最も広く見出される(野性型)核酸鎖と比べて、核酸鎖の配列中に単一塩基対の差異が存在する一塩基多型(SNP)が含まれる。
【0194】
Ras/Rafについての野性型または変異型のいずれかであり且つPI3K/Ptenについての野性型または変異型のいずれかである癌は、公知の方法によって同定される。
【0195】
例えば、野性型または変異型のRas/RafまたはPI3K/PTEN腫瘍細胞は、DNA増幅およびシーケンシング技術、それぞれノーザンブロットおよびサザンブロットが挙げられるがこれらに限定されないDNAおよびRNAの検出技術、ならびに/または様々なバイオチップおよびアレイ技術によって同定することができる。野性型および変異型のポリペプチドは、ELISA、ウエスタンブロット、免疫細胞化学等の免疫診断技術が挙げられるが、これらに限定されない様々な技術によって検出することができる。
【0196】
セリン/トレオニンキナーゼ11(STK11、LKB1とも呼ばれる)における生殖細胞系突然変異は、腸管過誤腫および上皮癌の高い発生率により特徴付けられる、ポイツ・イェガース(Peutz−Jeghers)症候群を生じる(Hongbinら,Nature(2007)448:807−810およびHearleら,Clin.Cancer Res.(2006)12:3209−3215)。体細胞LKB1突然変異は、一部の原発性ヒト肺腺癌において報告されており、Kras変異肺癌において細胞分化および転移を調節することが示されている(Hongbinら)。
【0197】
本明細書で使用する場合、「LKB1」は、セリン/トレオニンキナーゼ11(STK11)を有する症候群である。ヒトLKB遺伝子(公式にはHUGOの記号、STK11)は、ポイツ・イェガース症候群(PJS)を有する患者に欠如しているセリン/トレオニンプロテインキナーゼをコードする。PJSは、胃腸管の過誤腫ポリープおよび皮膚粘膜色素沈着により特徴付けられる、常染色体優性遺伝症候群である。今まで、145個の異なる生殖細胞系列LKB1突然変異が報告されている。大多数の突然変異は短縮タンパク質産物を生じる。ある変異ホットスポットが観察されている。コドン279〜281の間のモノヌクレオチドリピート(C6リピート、c.837〜c.842)における1−bpの欠失および1−bpの挿入は、それぞれ、6および7の関連していないPJSファミリーに見出されている。しかしながら、これらの突然変異は、PJSファミリーにおいて識別された全ての突然変異のうちの約7%のみを占める(13/193)。文献の概説により、41個の散発性腫瘍および7個の癌細胞株において合計40個の異なる体細胞LKB1突然変異が与えられている。突然変異は特に肺および結腸直腸癌において発生する。ほとんどの体細胞LKB1突然変異はタンパク質の短縮を生じる。突然変異hotspotは、全ての体細胞突然変異の12.5%(6/48)を占めるC6リピートであるように見える。これらの結果は、生殖細胞系突然変異分布と一致している。しかしながら、ミスセンス突然変異の割合は、生殖細胞系突然変異(21%)の中よりも体細胞突然変異(45%)の中で高いように見え、突然変異の7個のみが、突然変異型の両方において正確に同じである。Hum Mutat 26(4),291−297,2005.Launonen.Human Mutation.26(4),291−297,2005。
【0198】
本明細書で使用する場合、用語「Rasタンパク質」とは、細胞内シグナル伝達に関与するGTPasesのサブファミリーであるrasサブファミリーのメンバーである任意のタンパク質を意味する。当該技術分野において公知のように、Rasの活性化により、細胞増殖、分化および生存が引き起こされる。Rasタンパク質としては、限定されないが、H−ras、K−rasおよびN−rasが挙げられる。
【0199】
1つの態様において、腫瘍細胞は、少なくとも1つのRasタンパク質において少なくとも1つの突然変異を有するか、または少なくとも1つのRasタンパク質をコードする遺伝子はK−ras、N−rasもしくはH−rasにある。少なくとも1つのRasタンパク質をコードする少なくとも1つの遺伝子におけるRas突然変異は、エキソン2および/または3にある。一部の例において、少なくとも1つのRasタンパク質をコードする遺伝子は、コドン12、13、14、60、74および76から選択されるrasコドンのうちの少なくとも1つにおいて突然変異を有する。一部の実施形態において、Ras突然変異は、G12S、G12V、G12D、G12A、G12C、G12R、G13A、G13D、V14l、G60E、T74P、E76G、E76KおよびE76Qから選択される。
【0200】
腫瘍細胞は、LKB1において突然変異、欠失または挿入を有し得る。LKB1における少なくとも1つのミスセンス突然変異は、アミノ酸変化D194Vを引き起こす581A>T;アミノ酸変化P281Lを引き起こす842C>T;アミノ酸変化E199Qを引き起こす595G>C;アミノ酸変化F354Lを引き起こす1062C>G;アミノ酸変化H174Rを引き起こす521A>G;アミノ酸変化D176Yを引き起こす526G>T;アミノ酸変化D194Yを引き起こす580G>T;アミノ酸変化D194Nを引き起こす580G>A;アミノ酸変化G56Wを引き起こす166G>T;アミノ酸変化G56Vを引き起こす167G>T;アミノ酸変化G196Yを引き起こす587G>T;アミノ酸変化K78Eを引き起こす232A>G;アミノ酸変化G242Rを引き起こす724G>C;アミノ酸変化G242Vを引き起こす725G>T;アミノ酸変化D237Yを引き起こす709G>T;アミノ酸変化R304Gを引き起こす910C>G;アミノ酸変化D277Yを引き起こす829G>T;アミノ酸変化W308Lを引き起こす923G>T;アミノ酸変化L285Qを引き起こす854T>A;アミノ酸変化R409Wを引き起こす1225C>T;アミノ酸変化R86Gを引き起こす256C>G;アミノ酸変化F354Lを引き起こす1062C>G;アミノ酸変化Y272Yを引き起こす816C>T;アミノ酸変化G163Cを引き起こす487G>T;アミノ酸変化Q123Rを引き起こす368A>Gおよび/またはアミノ酸変化R426Wを引き起こす1276C>Tから選択され得る。
【0201】
別の実施形態において、LKB1における少なくとも1つのナンセンス突然変異は、アミノ酸変化Q37Xを生じる109C>T;アミノ酸変化Q170Xを生じる508C>T;アミノ酸変化S69Xを生じる206C>A;アミノ酸変化E120Xを生じる358G>T;アミノ酸変化Y60Xを生じる180C>G;アミノ酸変化Y60Xを生じる180C>A;アミノ酸変化E199Xを生じる595G>T;アミノ酸変化Q137Xを生じる409C>T;アミノ酸変化E165Xを生じる493G>T;アミノ酸変化K191Xを生じる571A>T;アミノ酸変化Q220Xを生じる658C>T;アミノ酸変化E65Xを生じる193G>T;アミノ酸変化K44Xを生じる130A>T;アミノ酸変化C210Xを生じる630C>A;アミノ酸変化E223Xを生じる667G>T;アミノ酸変化E70Xを生じる208G>T;アミノ酸変化W332Xを生じる996G>A;アミノ酸変化E317Xを生じる949G>T;アミノ酸変化W332Xを生じる996G>A;アミノ酸変化Q220Xを生じる658C>Tおよび/またはアミノ酸変化Q159Xを生じる475C>Tから選択される。
【0202】
別の実施形態において、LKB1における少なくとも1つの欠失、挿入、置換または複合突然変異は、120_130del11;153delG;126_149del24;291_464del174;291_597del307;465_597del133;842delC;735_862del128;166_178del13;431delC;579delC;157delG;810delG;598_13del22;544_546delCTG;827delG;169delG;291_378del88;598delG;842delC;465_862del1398;633delG;1302del1302;379_433del55;128_129delC;142_143delA;180delC;209delA;227_228delC;47_651del605;153_536del384;exon2−3del;exon2−3del;exon2−3del;exon2−4del;562_563delG;exon4del;exon4del;exon4del;exon4del;610_623del14;837delC;464_465del2GGinsTTTGCT;75_76del2&insT;125_127insGG;584_585insT;704_705insA;152_153insCT;842_843insC;649_650insG;127_128insGG;979_980insAG;165_166insT;exon6del;and/or1039_1040insG;735−2A>T;5982AT;465−1G>A;465−1G>T;291−2A>T;921−1G>A;and/or597+1G>T;143_144>T;841_842>T;and/or271_272GG>TTから選択される。
【0203】
別の実施形態において、LKB1の欠失、挿入または突然変異は、触媒ドメインキナーゼにある。LKB1の欠失、挿入または突然変異は、コドン50〜337にあり得る。
【0204】
本発明は、N−{3−[3−シクロプロピル−5−(2−フルオロ−4−ヨード−フェニルアミノ)6,8−ジメチル−2,4,7−トリオキソ−3,4,6,7−テトラヒドロ−2H−ピリド[4,3−d]ピリミジン−1−イル]フェニル}アセトアミド、またはその薬学上許容可能な塩もしくは溶媒和物と、mTOR阻害化合物、好適にはエベロリムスとを含んでなる、組合せを提供する。
【0205】
本発明はまた、療法に使用するための、N−{3−[3−シクロプロピル−5−(2−フルオロ−4−ヨード−フェニルアミノ)6,8−ジメチル−2,4,7−トリオキソ−3,4,6,7−テトラヒドロ−2H−ピリド[4,3−d]ピリミジン−1−イル]フェニル}アセトアミド、またはその薬学上許容可能な塩もしくは溶媒和物と、mTOR阻害化合物、好適にはエベロリムスとを含んでなる、組合せを提供する。
【0206】
本発明はまた、癌の治療に使用するための、N−{3−[3−シクロプロピル−5−(2−フルオロ−4−ヨード−フェニルアミノ)6,8−ジメチル−2,4,7−トリオキソ−3,4,6,7−テトラヒドロ−2H−ピリド[4,3−d]ピリミジン−1−イル]フェニル}アセトアミド、またはその薬学上許容可能な塩もしくは溶媒和物と、mTOR阻害化合物、好適にはエベロリムスとを含んでなる、組合せを提供する。
【0207】
本発明はまた、N−{3−[3−シクロプロピル−5−(2−フルオロ−4−ヨード−フェニルアミノ)6,8−ジメチル−2,4,7−トリオキソ−3,4,6,7−テトラヒドロ−2H−ピリド[4,3−d]ピリミジン−1−イル]フェニル}アセトアミド、またはその薬学上許容可能な塩もしくは溶媒和物と、mTOR阻害化合物、好適にはエベロリムスとの組合せを含んでなる、医薬組成物を提供する。
【0208】
本発明はまた、N−{3−[3−シクロプロピル−5−(2−フルオロ−4−ヨード−フェニルアミノ)6,8−ジメチル−2,4,7−トリオキソ−3,4,6,7−テトラヒドロ−2H−ピリド[4,3−d]ピリミジン−1−イル]フェニル}アセトアミド、またはその薬学上許容可能な塩もしくは溶媒和物と、mTOR阻害化合物、好適にはエベロリムスとの組合せを含んでなる、組合せキットを提供する。
【0209】
本発明はまた、薬剤の製造における、N−{3−[3−シクロプロピル−5−(2−フルオロ−4−ヨード−フェニルアミノ)6,8−ジメチル−2,4,7−トリオキソ−3,4,6,7−テトラヒドロ−2H−ピリド[4,3−d]ピリミジン−1−イル]フェニル}アセトアミド、またはその薬学上許容可能な塩もしくは溶媒和物と、mTOR阻害化合物、好適にはエベロリムスとを含んでなる、組合せの使用を提供する。
【0210】
本発明はまた、癌を治療するための薬剤の製造における、N−{3−[3−シクロプロピル−5−(2−フルオロ−4−ヨード−フェニルアミノ)6,8−ジメチル−2,4,7−トリオキソ−3,4,6,7−テトラヒドロ−2H−ピリド[4,3−d]ピリミジン−1−イル]フェニル}アセトアミド、またはその薬学上許容可能な塩もしくは溶媒和物と、mTOR阻害化合物、好適にはエベロリムスとを含んでなる、組合せの使用を提供する。
【0211】
本発明はまた、N−{3−[3−シクロプロピル−5−(2−フルオロ−4−ヨード−フェニルアミノ)6,8−ジメチル−2,4,7−トリオキソ−3,4,6,7−テトラヒドロ−2H−ピリド[4,3−d]ピリミジン−1−イル]フェニル}アセトアミド、またはその薬学上許容可能な塩もしくは溶媒和物と、mTOR阻害化合物、好適にはエベロリムスとの組合せを、それを必要とする被験体に投与することを含んでなる、癌を治療する方法を提供する。
【0212】
以下の実施例は、例示のみを意図し、いかなる方法であっても本発明の範囲を限定することを意図するものではない。
【実施例】
【0213】
実施例1−カプセル剤組成物
以下の表4に示される比率の成分を標準的な2部分硬ゼラチンカプセルに充填することによって、本発明の組合せを投与するための経口剤形を作製する。
【0214】
【表4】

【0215】
実施例2−カプセル剤組成物
以下の表5に示される比率の成分を標準的な2部分硬ゼラチンカプセルに充填することによって、本発明の化合物のうちの1つを投与するための経口剤形を作製する。
【0216】
【表5】

【0217】
実施例3−カプセル剤組成物
以下の表6に示される比率の成分を標準的な2部分硬ゼラチンカプセルに充填することによって、本発明の化合物のうちの1つを投与するための経口剤形を作製する。
【0218】
【表6】

【0219】
実施例4−錠剤組成物
以下の表7に示されるように、スクロース、微結晶性セルロースおよび本発明の組合せの化合物を、示されている比率で10%のゼラチン溶液と混合し、果粒化する。濡れた状態の果粒を篩にかけ、乾燥させ、デンプン、滑石およびステアリン酸と混合し、次いで、篩にかけ、錠剤に圧縮する。
【0220】
【表7】

【0221】
実施例5−錠剤組成物
以下の表8に示されるように、スクロース、微結晶性セルロースおよび本発明の組合せの化合物のうちの1つを、示されている比率で10%のゼラチン溶液と混合し、果粒化する。濡れた状態の果粒を篩にかけ、乾燥させ、デンプン、滑石およびステアリン酸と混合し、次いで、篩にかけ、錠剤に圧縮する。
【0222】
【表8】

【0223】
実施例6−錠剤組成物
以下の表9に示されるように、スクロース、微結晶性セルロースおよび本発明の組合せの化合物のうちの1つを、示されている比率で10%のゼラチン溶液と混合し、果粒化する。濡れた状態の果粒を篩にかけ、乾燥させ、デンプン、滑石およびステアリン酸と混合し、次いで、篩にかけ、錠剤に圧縮する。
【0224】
【表9】

【0225】
本発明の好ましい実施形態を上に例証しているが、本発明は、本明細書に開示される正確な説明に限定されるものではなく、以下の請求項の範囲内で行われるすべての変更に対する権利が保持されると理解するものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)構造(I)の化合物:
【化1】

またはその薬学上許容可能な塩もしくは溶媒和物と、
(ii)mTOR阻害剤と、
を含んでなる、組合せ。
【請求項2】
前記構造(I)の化合物が、ジメチルスルホキシド溶媒和物の形態である、請求項1に記載の組合せ。
【請求項3】
薬学上許容可能な1または複数の担体と共に請求項1または2に記載の組合せを含んでなる、組合せキット。
【請求項4】
前記構造(I)の化合物の量が、0.125mg〜10mgから選択される量である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の組合せ。
【請求項5】
癌を治療するための1または複数の薬剤の製造における請求項1〜4のいずれか一項に記載の組合せの使用。
【請求項6】
それを必要とするヒトにおける癌を治療する方法であって、前記ヒトに、治療有効量のN−{3−[3−シクロプロピル−5−(2−フルオロ−4−ヨード−フェニルアミノ)−6,8−ジメチル−2,4,7−トリオキソ−3,4,6,7−テトラヒドロ−2H−ピリド[4,3−d]ピリミジン−1−イル]フェニル}アセトアミドジメチルスルホキシドとmTOR阻害剤との組合せをインビボ投与することを含んでなり、
前記組合せが、一定期間以内に投与され、かつ、
前記組合せが、持続時間にわたって投与される、方法。
【請求項7】
前記N−{3−[3−シクロプロピル−5−(2−フルオロ−4−ヨード−フェニルアミノ)−6,8−ジメチル−2,4,7−トリオキソ−3,4,6,7−テトラヒドロ−2H−ピリド[4,3−d]ピリミジン−1−イル]フェニル}アセトアミドジメチルスルホキシドの量が、約0.125mg〜約10mgから選択され、前記mTOR阻害剤が、エベロリムスであり、前記エベロリムスは、約2.5mg〜約20mgから選択される量で投与される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記N−{3−[3−シクロプロピル−5−(2−フルオロ−4−ヨード−フェニルアミノ)−6,8−ジメチル−2,4,7−トリオキソ−3,4,6,7−テトラヒドロ−2H−ピリド[4,3−d]ピリミジン−1−イル]フェニル}アセトアミドジメチルスルホキシドの量が、約0.25mg〜約9mgから選択され、前記量は1日に1回投与され、前記エベロリムスの量が、約3mg〜約15mgから選択され、前記量は1日に1回投与される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
N−{3−[3−シクロプロピル−5−(2−フルオロ−4−ヨード−フェニルアミノ)−6,8−ジメチル−2,4,7−トリオキソ−3,4,6,7−テトラヒドロ−2H−ピリド[4,3−d]ピリミジン−1−イル]フェニル}アセトアミドジメチルスルホキシドおよびエベロリムスが、1〜3連続日間、互いに12時間以内で投与され、次いで3〜7連続日間、N−{3−[3−シクロプロピル−5−(2−フルオロ−4−ヨード−フェニルアミノ)−6,8−ジメチル−2,4,7−トリオキソ−3,4,6,7−テトラヒドロ−2H−ピリド[4,3−d]ピリミジン−1−イル]フェニル}アセトアミドジメチルスルホキシドの投与が行われ、任意に、次いで1サイクル以上の反復投薬が行われる、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
それを必要とするヒトにおける、脳(神経膠腫)、膠芽腫、星状細胞腫、多形膠芽腫、Bannayan−Zonana症候群、コーデン病、レーミット−デュクロス病、乳房、炎症性乳癌、ウィルムス腫瘍、ユーイング肉腫、横紋筋肉腫、脳室上衣腫、髄芽細胞腫、結腸、頭頸部、腎臓、肺、肝臓、黒色腫、卵巣、膵臓、前立腺、肉腫、骨肉腫、骨巨細胞腫、甲状腺、
リンパ芽球性T細胞白血病、慢性骨髄性白血病、慢性リンパ性白血病、ヘアリー細胞白血病、急性リンパ芽球性白血病、急性骨髄性白血病、慢性好中球性白血病、急性リンパ性T細胞白血病、形質細胞腫、免疫芽球性大細胞型白血病、マントル細胞白血病、多発性骨髄腫、巨核芽球性白血病、多発性骨髄腫、急性巨核球性白血病、前骨髄性白血病、赤白血病、
悪性リンパ腫、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、リンパ性T細胞性リンパ腫、バーキットリンパ腫、濾胞性リンパ腫、神経芽細胞腫、膀胱癌、尿路上皮癌、肺癌、外陰部癌、子宮頸癌、子宮内膜癌、腎臓癌、中皮腫、食道癌、唾液腺癌、肝細胞癌、胃癌、鼻咽頭癌、頬側癌、口腔癌、GIST(消化管間質腫瘍)および睾丸癌から選択される癌を治療する方法であって、
前記ヒトに、治療有効量のN−{3−[3−シクロプロピル−5−(2−フルオロ−4−ヨード−フェニルアミノ)−6,8−ジメチル−2,4,7−トリオキソ−3,4,6,7−テトラヒドロ−2H−ピリド[4,3−d]ピリミジン−1−イル]フェニル}アセトアミドジメチルスルホキシドとmTOR阻害剤との組合せをインビボ投与することを含んでなり、
前記組合せが、一定期間以内に投与され、かつ、
前記組合せが、持続時間にわたって投与される、方法。
【請求項11】
前記N−{3−[3−シクロプロピル−5−(2−フルオロ−4−ヨード−フェニルアミノ)−6,8−ジメチル−2,4,7−トリオキソ−3,4,6,7−テトラヒドロ−2H−ピリド[4,3−d]ピリミジン−1−イル]フェニル}アセトアミドジメチルスルホキシドの量が、約0.125mg〜約10mgから選択され、前記mTOR阻害剤が、エベロリムスであり、前記エベロリムスは、約2.5mg〜約20mgから選択される量で投与される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記N−{3−[3−シクロプロピル−5−(2−フルオロ−4−ヨード−フェニルアミノ)−6,8−ジメチル−2,4,7−トリオキソ−3,4,6,7−テトラヒドロ−2H−ピリド[4,3−d]ピリミジン−1−イル]フェニル}アセトアミドジメチルスルホキシドの量が、約0.25mg〜約9mgから選択され、前記量は1日に1回投与され、前記エベロリムスの量が、約3mg〜約15mgから選択され、前記量は1日に1回投与される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
N−{3−[3−シクロプロピル−5−(2−フルオロ−4−ヨード−フェニルアミノ)−6,8−ジメチル−2,4,7−トリオキソ−3,4,6,7−テトラヒドロ−2H−ピリド[4,3−d]ピリミジン−1−イル]フェニル}アセトアミドジメチルスルホキシドおよびエベロリムスが、1〜3連続日間、互いに12時間以内で投与され、次いで3〜7連続日間、N−{3−[3−シクロプロピル−5−(2−フルオロ−4−ヨード−フェニルアミノ)−6,8−ジメチル−2,4,7−トリオキソ−3,4,6,7−テトラヒドロ−2H−ピリド[4,3−d]ピリミジン−1−イル]フェニル}アセトアミドジメチルスルホキシドの投与が行われ、任意に、次いで1サイクル以上の反復投薬が行われる、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記癌が、卵巣、乳房、膵臓および前立腺から選択される、請求項10に記載の方法。
【請求項15】
前記癌が、卵巣、乳房、膵臓および前立腺から選択される、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
前記癌が、卵巣、乳房、膵臓および前立腺から選択される、請求項12に記載の方法。
【請求項17】
前記癌が、卵巣、乳房、膵臓および前立腺から選択される、請求項13に記載の方法。
【請求項18】
それを必要とするヒトにおける、Ras/Rafについての野生型または変異型のいずれかであり、かつPI3K/PTENについての野生型または変異型のいずれかである癌を治療する方法であって、前記ヒトに、治療有効量のN−{3−[3−シクロプロピル−5−(2−フルオロ−4−ヨード−フェニルアミノ)−6,8−ジメチル−2,4,7−トリオキソ−3,4,6,7−テトラヒドロ−2H−ピリド[4,3−d]ピリミジン−1−イル]フェニル}アセトアミドジメチルスルホキシドとmTOR阻害剤との組合せをインビボ投与することを含んでなり、
前記組合せは、一定期間以内に投与され、かつ、
前記組合せは、持続時間にわたって投与される、方法。
【請求項19】
前記N−{3−[3−シクロプロピル−5−(2−フルオロ−4−ヨード−フェニルアミノ)−6,8−ジメチル−2,4,7−トリオキソ−3,4,6,7−テトラヒドロ−2H−ピリド[4,3−d]ピリミジン−1−イル]フェニル}アセトアミドジメチルスルホキシドの量が、約0.125mg〜約10mgから選択され、前記mTOR阻害剤が、エベロリムスであり、前記エベロリムスは、約2.5mg〜約20mgから選択される量で投与される、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記N−{3−[3−シクロプロピル−5−(2−フルオロ−4−ヨード−フェニルアミノ)−6,8−ジメチル−2,4,7−トリオキソ−3,4,6,7−テトラヒドロ−2H−ピリド[4,3−d]ピリミジン−1−イル]フェニル}アセトアミドジメチルスルホキシドの量が、約0.25mg〜約9mgから選択され、前記量は1日に1回投与され、前記エベロリムスの量が、約2.5mg〜約15mgから選択され、前記量は1日に1回投与される、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
N−{3−[3−シクロプロピル−5−(2−フルオロ−4−ヨード−フェニルアミノ)−6,8−ジメチル−2,4,7−トリオキソ−3,4,6,7−テトラヒドロ−2H−ピリド[4,3−d]ピリミジン−1−イル]フェニル}アセトアミドジメチルスルホキシドおよびエベロリムスが、1〜3連続日間、互いに12時間以内で投与され、次いで3〜7連続日間、N−{3−[3−シクロプロピル−5−(2−フルオロ−4−ヨード−フェニルアミノ)−6,8−ジメチル−2,4,7−トリオキソ−3,4,6,7−テトラヒドロ−2H−ピリド[4,3−d]ピリミジン−1−イル]フェニル}アセトアミドジメチルスルホキシドの投与が行われ、任意に、次いで1サイクル以上の反復投薬が行われる、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記癌が、卵巣、乳房、膵臓および前立腺から選択される、請求項18に記載の方法。
【請求項23】
前記癌が、卵巣、乳房、膵臓および前立腺から選択される、請求項19に記載の方法。
【請求項24】
前記癌が、卵巣、乳房、膵臓および前立腺から選択される、請求項20に記載の方法。
【請求項25】
前記癌が、卵巣、乳房、膵臓および前立腺から選択される、請求項21に記載の方法。
【請求項26】
それを必要とするヒトにおける、脳(神経膠腫)、膠芽腫、星状細胞腫、多形膠芽腫、Bannayan−Zonana症候群、コーデン病、レーミット−デュクロス病、乳房、炎症性乳癌、ウィルムス腫瘍、ユーイング肉腫、横紋筋肉腫、脳室上衣腫、髄芽細胞腫、結腸、頭頸部、腎臓、肺、肝臓、黒色腫、卵巣、膵臓、前立腺、肉腫、骨肉腫、骨巨細胞腫、甲状腺、
リンパ芽球性T細胞白血病、慢性骨髄性白血病、慢性リンパ性白血病、ヘアリー細胞白血病、急性リンパ芽球性白血病、急性骨髄性白血病、慢性好中球性白血病、急性リンパ性T細胞白血病、形質細胞腫、免疫芽球性大細胞型白血病、マントル細胞白血病、多発性骨髄腫、巨核芽球性白血病、多発性骨髄腫、急性巨核球性白血病、前骨髄性白血病、赤白血病、
悪性リンパ腫、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、リンパ性T細胞性リンパ腫、バーキットリンパ腫、濾胞性リンパ腫、神経芽細胞腫、膀胱癌、尿路上皮癌、肺癌、外陰部癌、子宮頸癌、子宮内膜癌、腎臓癌、中皮腫、食道癌、唾液腺癌、肝細胞癌、胃癌、鼻咽頭癌、頬側癌、口腔癌、GIST(消化管間質腫瘍)および睾丸癌から選択される癌を治療する方法であって、
前記ヒトに、治療有効量のN−{3−[3−シクロプロピル−5−(2−フルオロ−4−ヨード−フェニルアミノ)−6,8−ジメチル−2,4,7−トリオキソ−3,4,6,7−テトラヒドロ−2H−ピリド[4,3−d]ピリミジン−1−イル]フェニル}アセトアミドジメチルスルホキシドとmTOR阻害剤との組合せをインビボ投与することを含んでなり、
前記組合せの化合物が、連続投与される、方法。
【請求項27】
前記N−{3−[3−シクロプロピル−5−(2−フルオロ−4−ヨード−フェニルアミノ)−6,8−ジメチル−2,4,7−トリオキソ−3,4,6,7−テトラヒドロ−2H−ピリド[4,3−d]ピリミジン−1−イル]フェニル}アセトアミドジメチルスルホキシドの量が、約0.125mg〜約10mgから選択され、前記mTOR阻害剤が、エベロリムスであり、前記エベロリムスは、約2.5mg〜約20mgから選択される量で投与される、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記N−{3−[3−シクロプロピル−5−(2−フルオロ−4−ヨード−フェニルアミノ)−6,8−ジメチル−2,4,7−トリオキソ−3,4,6,7−テトラヒドロ−2H−ピリド[4,3−d]ピリミジン−1−イル]フェニル}アセトアミドジメチルスルホキシドの量が、約0.25mg〜約9mgから選択され、前記量は1日に1回投与され、前記エベロリムスの量が、約3mg〜約15mgから選択され、前記量は1日に1回投与される、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
エベロリムスが、1〜21連続日間投与され、次いで1〜14日の任意の休薬日を設け、次いで1〜21日間、N−{3−[3−シクロプロピル−5−(2−フルオロ−4−ヨード−フェニルアミノ)−6,8−ジメチル−2,4,7−トリオキソ−3,4,6,7−テトラヒドロ−2H−ピリド[4,3−d]ピリミジン−1−イル]フェニル}アセトアミドジメチルスルホキシドの投与が行われる、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記癌が、卵巣、乳房、膵臓および前立腺から選択される、請求項26に記載の方法。
【請求項31】
前記癌が、卵巣、乳房、膵臓および前立腺から選択される、請求項27に記載の方法。
【請求項32】
前記癌が、卵巣、乳房、膵臓および前立腺から選択される、請求項28に記載の方法。
【請求項33】
前記癌が、卵巣、乳房、膵臓および前立腺から選択される、請求項29に記載の方法。
【請求項34】
それを必要とするヒトにおける、Ras/Rafについての野生型または変異型のいずれかであり、かつPI3K/PTENについての野生型または変異型のいずれかである癌を治療する方法であって、前記ヒトに、治療有効量のN−{3−[3−シクロプロピル−5−(2−フルオロ−4−ヨード−フェニルアミノ)−6,8−ジメチル−2,4,7−トリオキソ−3,4,6,7−テトラヒドロ−2H−ピリド[4,3−d]ピリミジン−1−イル]フェニル}アセトアミドジメチルスルホキシドとmTOR阻害剤との組合せをインビボ投与することを含んでなり、
前記組合せの化合物が、連続投与される、方法
【請求項35】
前記N−{3−[3−シクロプロピル−5−(2−フルオロ−4−ヨード−フェニルアミノ)−6,8−ジメチル−2,4,7−トリオキソ−3,4,6,7−テトラヒドロ−2H−ピリド[4,3−d]ピリミジン−1−イル]フェニル}アセトアミドジメチルスルホキシドの量が、約0.125mg〜約10mgから選択され、前記mTOR阻害剤が、エベロリムスであり、前記エベロリムスは、約2.5mg〜約20mgから選択される量で投与される、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記N−{3−[3−シクロプロピル−5−(2−フルオロ−4−ヨード−フェニルアミノ)−6,8−ジメチル−2,4,7−トリオキソ−3,4,6,7−テトラヒドロ−2H−ピリド[4,3−d]ピリミジン−1−イル]フェニル}アセトアミドジメチルスルホキシドの量が、約1mg〜約9mgから選択され、前記量は1日に1回投与され、前記エベロリムスの量が、約3mg〜約15mgから選択され、前記量は1日に1回投与される、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
エベロリムスが、1〜21連続日間投与され、次いで1〜14日の任意の休薬日を設け、次いで1〜21日間、N−{3−[3−シクロプロピル−5−(2−フルオロ−4−ヨード−フェニルアミノ)−6,8−ジメチル−2,4,7−トリオキソ−3,4,6,7−テトラヒドロ−2H−ピリド[4,3−d]ピリミジン−1−イル]フェニル}アセトアミドジメチルスルホキシドの投与が行われる、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記癌が、卵巣、乳房、膵臓および前立腺から選択される、請求項34に記載の方法。
【請求項39】
前記癌が、卵巣、乳房、膵臓および前立腺から選択される、請求項35に記載の方法。
【請求項40】
前記癌が、卵巣、乳房、膵臓および前立腺から選択される、請求項36に記載の方法。
【請求項41】
前記癌が、卵巣、乳房、膵臓および前立腺から選択される、請求項37に記載の方法。
【請求項42】
エベロリムスが、2〜21連続日間投与され、次いで3〜10日の休薬日を設け、次いで2〜21日間、N−{3−[3−シクロプロピル−5−(2−フルオロ−4−ヨード−フェニルアミノ)−6,8−ジメチル−2,4,7−トリオキソ−3,4,6,7−テトラヒドロ−2H−ピリド[4,3−d]ピリミジン−1−イル]フェニル}アセトアミドジメチルスルホキシドの投与が行われる、請求項37に記載の方法。
【請求項43】
前記癌が、卵巣、乳房、膵臓および前立腺から選択される、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
エベロリムスが、2〜21連続日間投与され、次いで3〜10日の休薬日を設け、次いで2〜21日間、N−{3−[3−シクロプロピル−5−(2−フルオロ−4−ヨード−フェニルアミノ)−6,8−ジメチル−2,4,7−トリオキソ−3,4,6,7−テトラヒドロ−2H−ピリド[4,3−d]ピリミジン−1−イル]フェニル}アセトアミドジメチルスルホキシドの投与が行われる、請求項29に記載の方法。
【請求項45】
前記癌が、卵巣、乳房、膵臓および前立腺から選択される、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
N−{3−[3−シクロプロピル−5−(2−フルオロ−4−ヨード−フェニルアミノ)−6,8−ジメチル−2,4,7−トリオキソ−3,4,6,7−テトラヒドロ−2H−ピリド[4,3−d]ピリミジン−1−イル]フェニル}アセトアミドジメチルスルホキシドおよびエベロリムスが、2連続日間、互いに12時間以内で投与され、次いで4〜6連続日間、N−{3−[3−シクロプロピル−5−(2−フルオロ−4−ヨード−フェニルアミノ)−6,8−ジメチル−2,4,7−トリオキソ−3,4,6,7−テトラヒドロ−2H−ピリド[4,3−d]ピリミジン−1−イル]フェニル}アセトアミドジメチルスルホキシドの投与が行われ、任意に、次いで1サイクル以上の反復投薬が行われる、請求項9に記載の方法。
【請求項47】
N−{3−[3−シクロプロピル−5−(2−フルオロ−4−ヨード−フェニルアミノ)−6,8−ジメチル−2,4,7−トリオキソ−3,4,6,7−テトラヒドロ−2H−ピリド[4,3−d]ピリミジン−1−イル]フェニル}アセトアミドジメチルスルホキシドおよびエベロリムスが、7日間の間の2日間に、互いに12時間以内で投与され、かつ、前記7日間の他の日の間に、N−{3−[3−シクロプロピル−5−(2−フルオロ−4−ヨード−フェニルアミノ)−6,8−ジメチル−2,4,7−トリオキソ−3,4,6,7−テトラヒドロ−2H−ピリド[4,3−d]ピリミジン−1−イル]フェニル}アセトアミドジメチルスルホキシドが単独で投与され、任意に、次いで1サイクル以上の反復投薬が行われる、請求項8に記載の方法。
【請求項48】
N−{3−[3−シクロプロピル−5−(2−フルオロ−4−ヨード−フェニルアミノ)−6,8−ジメチル−2,4,7−トリオキソ−3,4,6,7−テトラヒドロ−2H−ピリド[4,3−d]ピリミジン−1−イル]フェニル}アセトアミドジメチルスルホキシドおよびエベロリムスが、2連続日間、互いに12時間以内で投与され、次いで4〜6連続日間、N−{3−[3−シクロプロピル−5−(2−フルオロ−4−ヨード−フェニルアミノ)−6,8−ジメチル−2,4,7−トリオキソ−3,4,6,7−テトラヒドロ−2H−ピリド[4,3−d]ピリミジン−1−イル]フェニル}アセトアミドジメチルスルホキシドの投与が行われ、任意に、次いで1サイクル以上の反復投薬が行われる、請求項13に記載の方法。
【請求項49】
N−{3−[3−シクロプロピル−5−(2−フルオロ−4−ヨード−フェニルアミノ)−6,8−ジメチル−2,4,7−トリオキソ−3,4,6,7−テトラヒドロ−2H−ピリド[4,3−d]ピリミジン−1−イル]フェニル}アセトアミドジメチルスルホキシドおよびエベロリムスが、7日間の間の2日間に、互いに12時間以内で投与され、かつ前記7日間の他の日の間に、N−{3−[3−シクロプロピル−5−(2−フルオロ−4−ヨード−フェニルアミノ)−6,8−ジメチル−2,4,7−トリオキソ−3,4,6,7−テトラヒドロ−2H−ピリド[4,3−d]ピリミジン−1−イル]フェニル}アセトアミドジメチルスルホキシドが単独で投与され、任意に、次いで1サイクル以上の反復投薬が行われる、請求項12に記載の方法。
【請求項50】
N−{3−[3−シクロプロピル−5−(2−フルオロ−4−ヨード−フェニルアミノ)−6,8−ジメチル−2,4,7−トリオキソ−3,4,6,7−テトラヒドロ−2H−ピリド[4,3−d]ピリミジン−1−イル]フェニル}アセトアミドジメチルスルホキシドおよびエベロリムスが、2連続日間、互いに12時間以内で投与され、次いで4〜6連続日間、N−{3−[3−シクロプロピル−5−(2−フルオロ−4−ヨード−フェニルアミノ)−6,8−ジメチル−2,4,7−トリオキソ−3,4,6,7−テトラヒドロ−2H−ピリド[4,3−d]ピリミジン−1−イル]フェニル}アセトアミドジメチルスルホキシドの投与が行われ、任意に、次いで1サイクル以上の反復投薬が行われる、請求項21に記載の方法。
【請求項51】
N−{3−[3−シクロプロピル−5−(2−フルオロ−4−ヨード−フェニルアミノ)−6,8−ジメチル−2,4,7−トリオキソ−3,4,6,7−テトラヒドロ−2H−ピリド[4,3−d]ピリミジン−1−イル]フェニル}アセトアミドジメチルスルホキシドおよびエベロリムスが、7日間の間の1〜3日間に互いに12時間以内で投与され、かつ前記7日間の他の日の間に、N−{3−[3−シクロプロピル−5−(2−フルオロ−4−ヨード−フェニルアミノ)−6,8−ジメチル−2,4,7−トリオキソ−3,4,6,7−テトラヒドロ−2H−ピリド[4,3−d]ピリミジン−1−イル]フェニル}アセトアミドジメチルスルホキシドが単独で投与され、任意に、次いで1サイクル以上の反復投薬が行われる、請求項20に記載の方法。
【請求項52】
N−{3−[3−シクロプロピル−5−(2−フルオロ−4−ヨード−フェニルアミノ)−6,8−ジメチル−2,4,7−トリオキソ−3,4,6,7−テトラヒドロ−2H−ピリド[4,3−d]ピリミジン−1−イル]フェニル}アセトアミドジメチルスルホキシドおよびエベロリムスが、5連続日間、互いに12時間以内で投与され、次いで2連続日間、N−{3−[3−シクロプロピル−5−(2−フルオロ−4−ヨード−フェニルアミノ)−6,8−ジメチル−2,4,7−トリオキソ−3,4,6,7−テトラヒドロ−2H−ピリド[4,3−d]ピリミジン−1−イル]フェニル}アセトアミドジメチルスルホキシドの投与が行われ、任意に、次いで1サイクル以上の反復投薬が行われる、請求項8に記載の方法。
【請求項53】
N−{3−[3−シクロプロピル−5−(2−フルオロ−4−ヨード−フェニルアミノ)−6,8−ジメチル−2,4,7−トリオキソ−3,4,6,7−テトラヒドロ−2H−ピリド[4,3−d]ピリミジン−1−イル]フェニル}アセトアミドジメチルスルホキシドおよびエベロリムスが、5連続日間、互いに12時間以内で投与され、次いで2連続日間、N−{3−[3−シクロプロピル−5−(2−フルオロ−4−ヨード−フェニルアミノ)−6,8−ジメチル−2,4,7−トリオキソ−3,4,6,7−テトラヒドロ−2H−ピリド[4,3−d]ピリミジン−1−イル]フェニル}アセトアミドジメチルスルホキシドの投与が行われ、任意に、次いで1サイクル以上の反復投薬が行われる、請求項12に記載の方法。
【請求項54】
N−{3−[3−シクロプロピル−5−(2−フルオロ−4−ヨード−フェニルアミノ)−6,8−ジメチル−2,4,7−トリオキソ−3,4,6,7−テトラヒドロ−2H−ピリド[4,3−d]ピリミジン−1−イル]フェニル}アセトアミドジメチルスルホキシドおよびエベロリムスが、5連続日間、互いに12時間以内で投与され、次いで2連続日間、N−{3−[3−シクロプロピル−5−(2−フルオロ−4−ヨード−フェニルアミノ)−6,8−ジメチル−2,4,7−トリオキソ−3,4,6,7−テトラヒドロ−2H−ピリド[4,3−d]ピリミジン−1−イル]フェニル}アセトアミドジメチルスルホキシドの投与が行われ、任意に、次いで1サイクル以上の反復投薬が行われる、請求項20に記載の方法。
【請求項55】
N−{3−[3−シクロプロピル−5−(2−フルオロ−4−ヨード−フェニルアミノ)−6,8−ジメチル−2,4,7−トリオキソ−3,4,6,7−テトラヒドロ−2H−ピリド[4,3−d]ピリミジン−1−イル]フェニル}アセトアミドジメチルスルホキシドおよびmTOR阻害剤であるエベロリムスが、14日間の間の2〜5日にわたって互いに12時間以内で投与され、かつ前記14日間の他の日の間に、N−{3−[3−シクロプロピル−5−(2−フルオロ−4−ヨード−フェニルアミノ)−6,8−ジメチル−2,4,7−トリオキソ−3,4,6,7−テトラヒドロ−2H−ピリド[4,3−d]ピリミジン−1−イル]フェニル}アセトアミドジメチルスルホキシドが単独で投与され、任意に、次いで1サイクル以上の反復投薬が行われる、請求項20に記載の方法。
【請求項56】
N−{3−[3−シクロプロピル−5−(2−フルオロ−4−ヨード−フェニルアミノ)−6,8−ジメチル−2,4,7−トリオキソ−3,4,6,7−テトラヒドロ−2H−ピリド[4,3−d]ピリミジン−1−イル]フェニル}アセトアミドジメチルスルホキシドおよびエベロリムスが、7日間の間の1〜3日にわたって互いに12時間以内で投与され、かつ前記7日間の他の日の間に、エベロリムスが単独で投与され、任意に、次いで1サイクル以上の反復投薬が行われる、請求項20に記載の方法。
【請求項57】
N−{3−[3−シクロプロピル−5−(2−フルオロ−4−ヨード−フェニルアミノ)−6,8−ジメチル−2,4,7−トリオキソ−3,4,6,7−テトラヒドロ−2H−ピリド[4,3−d]ピリミジン−1−イル]フェニル}アセトアミドジメチルスルホキシドおよびエベロリムスが、14日間の間の2〜5日にわたって互いに12時間以内で投与され、かつ前記14日間の他の日の間に、エベロリムスが単独で投与され、任意に、次いで1サイクル以上の反復投薬が行われる、請求項20に記載の方法。
【請求項58】
前記化合物N−{3−[3−シクロプロピル−5−(2−フルオロ−4−ヨード−フェニルアミノ)−6,8−ジメチル−2,4,7−トリオキソ−3,4,6,7−テトラヒドロ−2H−ピリド[4,3−d]ピリミジン−1−イル]フェニル}アセトアミドジメチルスルホキシドが、先ず1〜3日間負荷用量で投与され、次いで前記化合物の維持用量が投与される、請求項20に記載の方法。
【請求項59】
エベロリムスが、先ず1〜3日間負荷用量で投与され、次いで前記化合物の維持用量が投与される、請求項20に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2013−511525(P2013−511525A)
【公表日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−539983(P2012−539983)
【出願日】平成22年11月17日(2010.11.17)
【国際出願番号】PCT/US2010/056931
【国際公開番号】WO2011/062930
【国際公開日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【出願人】(591002957)グラクソスミスクライン・リミテッド・ライアビリティ・カンパニー (341)
【氏名又は名称原語表記】GlaxoSmithKline LLC
【Fターム(参考)】