説明

組枠用枠体

【課題】より多くのパターンの平面形状に組立可能であって、曲線に沿った施工も可能であり、容易かつ確実に組み立て可能な組枠用枠体を提供する。
【解決手段】第1垂直連結枠体11および第2垂直連結枠体12が、一方の左右側縁に、垂直方向に突出した垂直雄継手を有している。第1垂直連結枠体11、第2垂直連結枠体12、第1回転連結枠体13および第2回転連結枠体14が、一方の左右側縁に、垂直雄継手に係合可能な垂直雌継手を有している。第1回転連結枠体13は、一方の左右側縁に、回転軸部を有している。第2回転連結枠体14は、一方の左右側縁から突出した突出部に、回転軸部を挿入可能な係合孔を有している。第2回転連結枠体14は、係合孔に回転軸部を挿入して、第1回転連結枠体13に対して回転軸部を中心として回転可能に連結するよう構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空間を包囲した内部に土石類を詰めて使用される土石詰め用組枠を組み立てるための組枠用枠体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、河川の護岸、護床、制水、湖沼の護岸、海岸の浸食や流砂の防止、農山地の堰堤や土留、道路の法面や路肩の保護、災害復旧工事、漁礁等として、透孔を有する複数の平面枠体を中空枠状に連結して形成された土石詰め用組枠が使用されている。この土石詰め用組枠は、中空枠の内部に土や石を詰めて使用され、保管、運搬、施工性、耐久性等に優れるとともに、現存植生物の保護や育成等の自然環境保全にも優れている。
【0003】
このような土石詰め用組枠として、従来、各平面枠体を連結部材で連結するもの(例えば、特許文献1参照)や、一方の枠体の雄継手と他方の枠体の雌継手とが回動自在に係合するよう構成されたもの(例えば、特許文献2参照)、枠体と一体の継手で連結するもの(例えば、特許文献3参照)がある。
【0004】
【特許文献1】特開2000−64248号公報
【特許文献2】特開2001−248136号公報
【特許文献3】特開2005−336973号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の土石詰め用組枠の組枠用枠体は、部品点数が多くなるため、組立に手間取るとともに、連結部材の取り付けを忘れやすく、組立不良を生じる可能性が高いという課題があった。特許文献2記載の土石詰め用組枠の組枠用枠体は、一箇所の雄継手に最大で2つの枠体の雌継手しか係合できないため、枠体を十字に連結することができず、組立可能な平面形状のパターンに制限があるという課題があった。特許文献3記載の土石詰め用組枠の組枠用枠体は、直線に沿って施工するのは容易であるが、曲線に沿った施工が難しいという課題があった。
【0006】
本発明は、このような課題に着目してなされたもので、より多くのパターンの平面形状に組立可能であって、曲線に沿った施工も可能であり、容易かつ確実に組み立て可能な土石詰め用組枠の組枠用枠体を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明に係る組枠用枠体は、空間を包囲した内部に土石類を詰めて使用される土石詰め用組枠を組み立てるための組枠用枠体であって、第1垂直連結枠体と第2垂直連結枠体と第1回転連結枠体と第2回転連結枠体とを有し、前記第1垂直連結枠体、前記第2垂直連結枠体、前記第1回転連結枠体および前記第2回転連結枠体は、それぞれ平板状であって同一の高さを有し、上部側縁に第1係合部を有し、下部側縁に前記第1係合部と係合可能な第2係合部を有し、前記第2係合部を前記第1係合部に係合して互いに上下方向に連結可能に構成されており、前記第1垂直連結枠体は、一方の左右側縁に一方の枠平面に対して垂直方向に突出した第1垂直雄継手を有し、前記一方の左右側縁の他方の枠平面に他の前記第1垂直連結枠体の前記第1垂直雄継手と係合して他の前記第1垂直連結枠体と垂直に接続可能な第1垂直雌継手を有し、他方の左右側縁に第1接続継手を有し、前記第2垂直連結枠体は、前記第1垂直連結枠体の前記第1垂直雄継手と左右対称となる位置で左右側縁の枠平面に対して垂直方向に突出し前記第1垂直雌継手と係合して前記第1垂直連結枠体と垂直に接続可能な第2垂直雄継手を有し、第2垂直雄継手側の反対側の枠平面に前記第1垂直連結枠体の前記第1垂直雄継手または他の前記第2垂直連結枠体の前記第2垂直雄継手と係合して前記第1垂直連結枠体または他の前記第2垂直連結枠体と垂直に接続可能な第2垂直雌継手を有し、第2垂直雄継手側の反対側の左右側縁に前記第1接続継手と係合して前記第1垂直連結枠体と左右方向で接続可能な第2接続継手を有し、前記第1回転連結枠体は、一方の左右側縁に、上下方向の中心軸線を有する第1回転係合部と、前記第1垂直連結枠体の前記第1垂直雄継手または前記第2垂直連結枠体の前記第2垂直雄継手と係合して前記第1垂直連結枠体または前記第2垂直連結枠体と垂直に接続可能な第3垂直雌継手を有し、他方の左右側縁に前記第2垂直連結枠体の第2接続継手と係合して前記第2垂直連結枠体と左右方向で接続可能な第3接続継手を有し、前記第2回転連結枠体は、一方の左右側縁に、前記第1回転係合部と同一の中心軸線で回転可能に係合する第2回転係合部と、前記第1垂直連結枠体の前記第1垂直雄継手または前記第2垂直連結枠体の前記第2垂直雄継手と係合して前記第1垂直連結枠体または前記第2垂直連結枠体と垂直に接続可能な第4垂直雌継手を有し、第4垂直雌継手側の反対側の左右側縁に前記第1垂直連結枠体の前記第1接続継手または前記第1回転連結枠体の第3接続継手と係合して前記第1垂直連結枠体または前記第1回転連結枠体と左右方向で接続可能な第4接続継手を有することを、特徴とする。
【0008】
本発明に係る組枠用枠体は、第1〜第4垂直雌継手を第1、第2垂直雄継手に係合することにより、第1垂直連結枠体、第2垂直連結枠体、第1回転連結枠体および第2回転連結枠体を、第1垂直連結枠体および第2垂直連結枠体と垂直に連結することができる。また、第2、第4接続継手を第1、第3接続継手に係合することにより、第2垂直連結枠体および第2回転連結枠体を、第1垂直連結枠体および第1回転連結枠体と左右方向に連結することができる。さらに、第1回転係合部と第2回転係合部とを係合することにより、第1回転連結枠体と第2回転連結枠体とを上下方向の中心軸線を中心として互いに回転可能に連結することができる。
【0009】
このように、本発明に係る組枠用枠体は、垂直、左右方向、および回転の連結を様々に組み合わせることにより、より多くの様々なパターンの平面形状に組み立てることができる。例えば、第1回転係合部と第2回転係合部とを係合して第2回転連結枠体と第1回転連結枠体とを左右方向に連結し、連結した第1回転連結枠体および第2回転連結枠体に、それぞれ第1垂直連結枠体または第2垂直連結枠体を垂直に連結することにより、平面枠体を十字に連結することができる。また、第2回転連結枠体と第1回転連結枠体とのなす角度を調整することにより、任意の曲率を有するカーブ状の平面形状に組み立てることもできる。
【0010】
第1〜第4垂直雌継手と第1、第2垂直雄継手、第2、第4接続継手と第1、第3接続継手、第1回転係合部と第2回転係合部の組み合わせにより、第1垂直連結枠体、第2垂直連結枠体、第1回転連結枠体および第2回転連結枠体を連結することができ、連結部材を必要としないため、容易かつ確実に組み立てることができる。組み立てた土石詰め用組枠には、空間を包囲した内部に土石類を詰め、河川の護岸、護床、制水、湖沼の護岸、海岸の浸食や流砂の防止、農山地の堰堤や土留、道路の法面や路肩の保護、災害復旧工事、漁礁等に使用することができる。土石類は、内部に詰めてそれらの用途に使用できれば、土砂、石、その他いかなるものであってもよい。
【0011】
本発明に係る組枠用枠体で、前記第1回転係合部は軸部から成り、前記第2回転係合部は、前記第2回転連結枠体に設けられた突出部から成り、前記突出部は上下方向に貫通して前記軸部を挿入可能な係合孔を有することが好ましい。この場合、係合孔に軸部を挿入し、第2回転連結枠体に対して第1回転連結枠体を回転可能に連結することができる。このため、第2回転連結枠体と第1回転連結枠体とのなす角度を、任意の角度に調整することができる。
【0012】
本発明に係る土石詰め用組枠では、さらに延長枠体を有し、前記延長枠体は、平板状であって、前記第1垂直連結枠体、前記第2垂直連結枠体、前記第1回転連結枠体および前記第2回転連結枠体と同一の高さを有し、一方の左右側縁に前記第2垂直連結枠体の前記第2接続継手または前記第2回転連結枠体の前記第4接続継手と係合して前記第2垂直連結枠体または前記第2回転連結枠体と左右方向で接続可能な第1延長継手を有し、他方の左右側縁に前記第1垂直連結枠体の前記第1接続継手または前記第1回転連結枠体の前記第3接続継手と係合して前記第1垂直連結枠体または前記第1回転連結枠体と左右方向で接続可能な第2延長継手を有することが好ましい。
この場合、延長枠体を、第1垂直連結枠体または第1回転連結枠体と、第2垂直連結枠体または第2回転連結枠体との間に連結することにより、連結方向の長さを調節することができる。延長枠体の左右方向の長さを短くすることにより、細かく長さ調整をすることができる。カーブの形状に合わせて組み立てるときには、カーブの内側の長さと外側の長さとが異なるため、カーブの外側に延長枠体を使用することによりカーブの形状に容易に合わせることができる。カーブの外側に使用する延長枠体の数を調整することにより、様々な曲率を有するカーブに対応することができる。
【0013】
本発明に係る土石詰め用組枠は、さらに積用部材を有し、前記積用部材は細長く、前記第1垂直連結枠体、前記第2垂直連結枠体、前記第1回転連結枠体または前記第2回転連結枠体の上部側縁と水平に交差してその上部側縁と係合可能な上部係合部と、前記第1垂直連結枠体、前記第2垂直連結枠体、前記第1回転連結枠体または前記第2回転連結枠体の下部側縁と水平に交差してその下部側縁と係合可能な下部係合部とをそれぞれ有することが好ましい。
この場合、積用部材により、上下の平面枠体を固定して積み上げることができる。このため、例えばカーブに合わせて積み上げるときなど、平面枠体が上下に重ならず、垂直雌継手と垂直雄継手とを係合することができないときであっても、積用部材により上下の平面枠体を固定することができ、組立後の形状を安定させることができる。積み上げたときの勾配は任意に設定可能であり、例えば5分や1割の勾配になるよう、あらかじめ複数の下部係合部を所定の位置に設けておくことが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、より多くの様々なパターンの平面形状に組立可能で、曲線に沿った施工も可能であり、容易かつ確実に組み立て可能な土石詰め用組枠を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、図面に基づき本発明の実施の形態について説明する。
図1乃至図11に示すように、本発明の実施の形態の組枠用枠体は、第1垂直連結枠体11と第2垂直連結枠体12と第1回転連結枠体13と第2回転連結枠体14と延長枠体15とから成る5種類の平面枠体1と、積用部材16とから成っている。平面枠体1および積用部材16は、空間を包囲した内部に土石類を詰めて使用される土石詰め用組枠を組み立てるために用いられる。
【0016】
図2乃至図5に示すように、第1垂直連結枠体11、第2垂直連結枠体12、第1回転連結枠体13および第2回転連結枠体14は、鋳造された鋳鉄から成り、十字の中桟を有する矩形枠状に形成され、4つの開口を有している。第1垂直連結枠体11、第2垂直連結枠体12、第1回転連結枠体13および第2回転連結枠体14は、それぞれ平板状であって同一の高さを有し、上部側縁に第1係合部21を、下部側縁に第2係合部22を有している。第1係合部21は、表面側に向かって突出するよう、表面に4つ設けられている。第1係合部21は、矩形状の断面を有し、先端が平坦面を成すよう形成されている。
【0017】
第2係合部22は、下部側縁から下方に突出して2つ設けられている。図8(a)に示すように、第2係合部22は、第1係合部21の位置で上部側縁を挟んで係合可能に、第1係合部21での厚みとほぼ同じ間隔を開けて互いに平行に設けられた2つの矩形板から成っている。これにより、第2係合部22は、第1係合部21を挿入しやすく、かつ第1係合部21が抜けにくくなっている。第1垂直連結枠体11、第2垂直連結枠体12、第1回転連結枠体13および第2回転連結枠体14は、第2係合部22を第1係合部21に係合して、同一面内で互いに上下方向に連結可能に構成されている。
【0018】
図2および図3に示すように、第1垂直連結枠体11および第2垂直連結枠体12は、一方の左右側縁の上部に、それぞれ第1、第2垂直雄継手23を有している。垂直雄継手23は、裏面に固定され、裏面に対して垂直方向に突出するよう設けられている。第2垂直連結枠体12の第2垂直雄継手23は、第1垂直連結枠体11の第1垂直雄継手23と左右対称となる位置に設けられている。垂直雄継手23は、板状の同じ形状で上下方向に伸びており、図8(b)に示すように、先端に厚みが大きい引抜け防止突出部23aと、厚み方向に突出した固定凸部23bとを有している。また、垂直雄継手23は、引抜け防止突出部23aの先端に、先端側に突出した落下防止凸部23cを有している。
【0019】
図2乃至図5に示すように、第1垂直連結枠体11、第2垂直連結枠体12、第1回転連結枠体13および第2回転連結枠体14は、一方の左右側縁の上部に、それぞれ第1、第2、第3、第4垂直雌継手24を有している。また、第2垂直連結枠体12は、一方の左右側縁の中央部にも、垂直雌継手24を有している。第1垂直連結枠体11および第2垂直連結枠体12の垂直雌継手24は、表面に設けられ、第1回転連結枠体13および第2回転連結枠体14の垂直雌継手24は、表面および裏面の両面に設けられている。垂直雌継手24は、箱状で、それぞれの面に対して突出して設けられ、上方および一方の側方側が開口して、垂直雄継手23を上方から挿入して係合可能になっている。
【0020】
図8(b)に示すように、垂直雌継手24は、垂直雄継手23を挿入したとき、引抜け防止突出部23aおよび固定凸部23bに対応する位置に、それぞれ引抜け防止凹部24aおよび固定凹部24bを有し、挿入した垂直雄継手23が抜けるのを防ぐようになっている。また、垂直雌継手24は、垂直雄継手23を挿入したとき、落下防止凸部23cに対応する位置に落下防止凹部24cを有し、垂直雄継手23に対して垂直方向にずれて外れるのを防ぐようになっている。第1垂直連結枠体11、第2垂直連結枠体12、第1回転連結枠体13および第2回転連結枠体14は、垂直雌継手24を垂直雄継手23に係合して、第1垂直連結枠体11および第2垂直連結枠体12と垂直に連結可能に構成されている。
【0021】
図2および図4に示すように、第1垂直連結枠体11および第1回転連結枠体13は、他方の左右側縁に、第1、第3接続継手25を有している。第1、第3接続継手25は、他方の左右側縁に沿って、他方の左右側縁側に開口した溝状に形成されている。第1、第3接続継手25は、上部が開放され、下部が閉塞されている。第1、第3接続継手25は、溝の深部に広い幅を有する引抜け防止固定凹部25aを有している。
【0022】
図3および図5に示すように、第2垂直連結枠体12および第2回転連結枠体14は、他方の左右側縁に、第2、第4接続継手26を有している。第2、第4接続継手26は、他方の左右側縁に沿って、他方の左右側縁側に突出するよう設けられ、第1、第3接続継手25に上方から挿入して係合可能になっている。第2、第4接続継手26は、第1、第3接続継手25に挿入したとき、引抜け防止固定凹部25aに対応する上部および下部の位置に、引抜け防止固定凸部26aを有し、第1、第3接続継手25から抜けるのを防ぐようになっている。第2垂直連結枠体12および第2回転連結枠体14は、第2、第4接続継手26を第1、第3接続継手25に係合して、第1垂直連結枠体11および第1回転連結枠体13と同一面内で左右方向に連結可能に構成されている。
【0023】
図4に示すように、第1回転連結枠体13は、一方の左右側縁の中央部に、回転連結部(第1回転係合部)27を有している。回転連結部27は、表面に固定され、一方の左右側縁側に突出するよう設けられている。回転連結部27は、上下方向の中心軸線を有し、回転軸部(軸部)27aと挿入軸部(軸部)27bと離脱防止部27cとを有している。回転軸部27aは、断面形状が円形を成し、回転連結部27の上部に設けられている。挿入軸部27bは、回転軸部27aの径より小さい径を有し、回転軸部27aの上部に、回転軸部27aと同軸で設けられている。離脱防止部27cは、回転軸部27aの下端の径と同じ径を有する円柱形状を成し、挿入軸部27bの上部に、回転軸部27aおよび挿入軸部27bと同軸で設けられている。
【0024】
図5に示すように、第2回転連結枠体14は、一方の左右側縁の中央部に、突出部(第2回転係合部)28を有している。突出部28は、表面に固定され、一方の左右側縁側に突出するよう設けられている。突出部28は、先端に、上下方向に貫通した係合孔28aと、係合孔28aの円周の一部を切り欠いて係合孔28aを外部に連通する切欠部28bとを有している。係合孔28aは、内周の断面形状が円形を成し、回転軸部27aを挿入可能に、回転軸部27aの上端の径より大きく、回転軸部27aの下端の径より小さい内径を有している。切欠部28bは、切り欠きの幅が、回転軸部27aの上端の径より小さく、挿入軸部27bの径より大きくなっている。これにより、第2回転連結枠体14は、切欠部28bを通して挿入軸部27bを係合孔28aに挿入した後、下方に動かして係合孔28aに回転軸部27aを挿入することにより、図1に示すように、第1回転連結枠体13に回転軸部27aを中心として回転可能に連結するよう構成されている。
【0025】
図6に示すように、延長枠体15は、鋳造された鋳鉄から成り、縦長の矩形状を成している。延長枠体15は、第1垂直連結枠体11、第2垂直連結枠体12、第1回転連結枠体13および第2回転連結枠体14より長さが短く、それらと同じ高さを有している。延長枠体15は、一方の左右側縁に第1延長継手15aを有し、他方の左右側縁に第2延長継手15bを有している。第1延長継手15aは、第2、第4接続継手26と同じ形状を成し、第1、第3接続継手25に上方から挿入して係合可能になっている。第2延長継手15bは、第1、第3接続継手25と同じ形状を成し、第2、第4接続継手26および第1延長継手15aを上方から挿入して係合可能になっている。これにより、延長枠体15は、第1延長継手15aを第1、第3接続継手25に係合して、第1垂直連結枠体11および第1回転連結枠体13と同一面内で左右方向に連結可能に構成され、第2延長継手15bを第2、第4接続継手26に係合して、第2垂直連結枠体12および第2回転連結枠体14と同一面内で左右方向に連結可能に構成されている。また、延長枠体15は、第1延長継手15aを第2延長継手15bに係合して、他の延長枠体15と同一面内で左右方向に連結可能に構成されている。
なお、具体的な一例で、第1垂直連結枠体11、第2垂直連結枠体12、第1回転連結枠体13、第2回転連結枠体14および延長枠体15は、厚みが3〜8mmである。
【0026】
図7に示すように、積用部材16は、鋳造された鋳鉄から成り、細長い棒状を成している。積用部材16は、1対の上部係合部16aと2つの下部係合部16bと補強部16cと当接部16dとを有している。なお、積用部材16は、一端部16e、中央部16fおよび他端部16gの3つに分解可能になっている。各上部係合部16aは、積用部材16の両端に設けられている。各上部係合部16aは、下方に向かって開口し、積用部材16の長さ方向に対して垂直横方向に沿って伸びた溝状に形成されている。各上部係合部16aは、各平面枠体1の上部側縁に対して水平面内で垂直に交差するよう、各平面枠体1の上部側縁に上方から係合可能になっている。
【0027】
各下部係合部16bは、積用部材16の一端部16eの上部に、長さ方向に沿って所定の間隔を開けて設けられている。各下部係合部16bは、上方に向かって開口し、積用部材16の長さ方向に対して垂直横方向に沿って伸びた溝状に形成されている。各下部係合部16bは、各平面枠体1の下部側縁に対して水平面内で垂直に交差するよう、各平面枠体1の下部側縁に下方から係合可能になっている。補強部16cは、トラス状で、積用部材16の一端部16eの下方鉛直面内に設けられている。当接部16dは、一端部16e側の上部係合部16aの鉛直下方で、補強部16cの下端部に設けられている。当接部16dは、積用部材16の長さ方向に対して垂直横方向に沿って伸びた板状を成している。当接部16dは、一端部16e側の上部係合部16aに平面枠体1の上部側縁を係合したとき、係合位置の下方で、その平面枠体1の一部に当接するよう設けられている。
【0028】
次に、作用について説明する。
本発明の実施の形態の組枠用枠体は、枠状の土石詰め用組枠を組み立てて、複数の平面枠体1で側方を囲まれた中空枠の内部に、土や石などの土石類を詰めて使用される。
図1に示すように、本発明の実施の形態の組枠用枠体は、垂直雌継手24を垂直雄継手23に係合することにより、第1垂直連結枠体11、第2垂直連結枠体12、第1回転連結枠体13および第2回転連結枠体14を、第1垂直連結枠体11および第2垂直連結枠体12と垂直に連結することができる。また、第2、第4接続継手26を第1、第3接続継手25に係合することにより、第2垂直連結枠体12および第2回転連結枠体14を、第1垂直連結枠体11および第1回転連結枠体13と左右方向に連結することができる。さらに、突出部28の係合孔28aに回転軸部27aを挿入することにより、第1回転連結枠体13と第2回転連結枠体14とを、回転軸部27aを中心として互いに回転可能に連結することができる。
【0029】
また、延長枠体15を、第1垂直連結枠体11または第1回転連結枠体13と、第2垂直連結枠体12または第2回転連結枠体14との間に連結することにより、連結方向の長さを調節することができる。延長枠体15の一方の左右側縁から他方の側方縁部までの幅が小さいため、細かく長さ調整をすることができる。
【0030】
本発明の実施の形態の組枠用枠体は、垂直、左右方向、回転および延長枠体15の連結を様々に組み合わせることにより、より多くの様々なパターンの平面形状に組み立てることができる。例えば、係合孔28aに回転軸部27aおよび挿入軸部27bを挿入して第2回転連結枠体14と第1回転連結枠体13とを左右方向に連結し、連結した第1回転連結枠体13および第2回転連結枠体14に、それぞれ第1垂直連結枠体11または第2垂直連結枠体12を垂直に連結することにより、平面枠体1を十字に連結することができ、図9(a)に示すような平面形状に組み立てることができる。
【0031】
また、カーブの形状に合わせて組み立てるとき、第2回転連結枠体14と第1回転連結枠体13とのなす角度を調整することにより、任意の曲率を有するカーブ状の平面形状に組み立てることもできる。この場合、図9(b)に示すように、カーブの内側の長さと外側の長さとが異なるため、カーブの外側に延長枠体15を使用することによりカーブの形状に容易に合わせることができる。また、カーブの外側に使用する延長枠体15の数を調整することにより、様々な曲率を有するカーブに対応することができる。
【0032】
本発明の実施の形態の組枠用枠体は、第1回転連結枠体13の回転軸部27aを第2回転連結枠体14の係合孔28aに挿入したとき、回転軸部27aに対して係合孔28aを下方に動かすと、回転軸部27aが係合孔28aに嵌って固定されるため、第2回転連結枠体14に対して第1回転連結枠体13を固定することができる。このため、第2回転連結枠体14と第1回転連結枠体13とのなす角度を、任意の角度に調整して固定することができ、組立後の形状を安定させることができる。
【0033】
本発明の実施の形態の組枠用枠体は、平面枠体1を上下に積み上げるとき、図10に示すように、下方の平面枠体1の第1係合部21に、上方の平面枠体1の第2係合部22を係合して積み上げることができる。このとき、積み上げたときに5分や1割の勾配になるよう、あらかじめ第1係合部21の間隔を設定しておくことにより、容易に5分や1割の勾配に積み上げることができる。
【0034】
また、図11に示すように、平面枠体1が上下に重ならない位置に積用部材16を使用して、上下の平面枠体1を固定して多段に積み上げることもできる。積用部材16の各上部係合部16aを下方の平面枠体1の上部側縁に係合し、下部係合部16bに上方の平面枠体1の下部側縁を係合することにより、平面枠体1をより強固に積み上げることができる。この場合、例えばカーブに合わせて積み上げるときなど、平面枠体1が上下に重ならず、垂直雌継手24と垂直雄継手23とを係合することができないときであっても、積用部材16により上下の平面枠体1を固定することができ、組立後の形状を安定させることができる。また、トラス状の補強部16cにより、強度を高めることができ、平面枠体1を積み上げたときにその重量で破壊されるのを防止することができる。積み上げたときに5分や1割の勾配になるよう、あらかじめ複数の下部係合部16bを所定の位置に設けておくことにより、容易に5分や1割の勾配に積み上げることができる。
【0035】
本発明の実施の形態の組枠用枠体は、第1〜第4垂直雌継手24と第1、第2垂直雄継手23、第2、第4接続継手26と第1、第3接続継手25、突出部28の係合孔28aと回転軸部27aの組み合わせにより5種類の平面枠体1を連結することができ、連結部材等の他の部材を必要としないため、容易かつ確実に組み立てることができる。また、5種類の平面枠体1および積用部材16が鋳造された鋳鉄から成るため、リサイクル可能で、鉄製のものよりも軽く、腐食にも強い。このため、海や川などでも使用できる。また、表面をザラザラに加工することにより、藻を繁殖させることもでき、植生が容易である。
【0036】
本発明の実施の形態の組枠用枠体は、保管、運搬、施工性、耐久性等に優れるとともに、現存植生物の保護や育成等の自然環境保全にも優れているため、河川の護岸、護床、制水、湖沼の護岸、海岸の浸食や流砂の防止、農山地の堰堤や土留、道路の法面や路肩の保護、災害復旧工事、漁礁、土石流や火砕流の砂防堰堤、風力発電装置の基礎等として使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の実施の形態の組枠用枠体の基本的な組立状態を示す平面図である。
【図2】図1に示す組枠用枠体の第1垂直連結枠体を示す(a)中央より左側の左側面図、(b)正面図、(c)垂直雄継手、垂直雌継手を省略した右側面図、(d)第1係合部を省略した平面図である。
【図3】図1に示す組枠用枠体の第2垂直連結枠体を示す(a)中央より左側の左側面図、(b)正面図、(c)右側面図、(d)第1係合部を省略した平面図である。
【図4】図1に示す組枠用枠体の第1回転連結枠体を示す(a)中央より左側の左側面図、(b)正面図、(c)垂直雄継手、垂直雌継手を省略した右側面図、(d)第1係合部を省略した平面図である。
【図5】図1に示す組枠用枠体の第2回転連結枠体を示す(a)中央より左側の左側面図、(b)正面図、(c)右側面図、(d)第1係合部を省略した平面図である。
【図6】図1に示す組枠用枠体の延長枠体を示す(a)中央より左側の左側面図、(b)正面図、(c)右側面図、(d)平面図である。
【図7】図1に示す組枠用枠体の積用部材を示す(a)正面図、(b)下部係合部を省略した右側面図、(c)平面図である。
【図8】図1に示す組枠用枠体の(a)第1係合部と第2係合部との係合状態を示す拡大断面図、(b)垂直雄継手と垂直雌継手との係合状態を示す拡大断面図である。
【図9】図1に示す組枠用枠体の(a)使用状態を示す平面図、(b)カーブ形状の使用状態を示す平面図である。
【図10】図1に示す組枠用枠体の、多段に積み上げたときの使用状態を示す(a)平面図、(b)拡大側面図である。
【図11】図1に示す組枠用枠体の、積用部材を使用して多段に積み上げたときの使用状態を示す(a)平面図、(b)中央付近の拡大断面図である。
【符号の説明】
【0038】
1 平面枠体
11 第1垂直連結枠体
12 第2垂直連結枠体
13 第1回転連結枠体
14 第2回転連結枠体
15 延長枠体
15a 第1延長継手
15b 第2延長継手
16 積用部材
16a 上部係合部
16b 下部係合部
16c 補強部
16d 当接部
21 第1係合部
22 第2係合部
23 第1、第2垂直雄継手
24 第1、第2、第3、第4垂直雌継手
25 第1、第3接続継手
26 第2、第4接続継手
27 回転連結部
27a 回転軸部
28 突出部
28a 係合孔


【特許請求の範囲】
【請求項1】
空間を包囲した内部に土石類を詰めて使用される土石詰め用組枠を組み立てるための組枠用枠体であって、
第1垂直連結枠体と第2垂直連結枠体と第1回転連結枠体と第2回転連結枠体とを有し、
前記第1垂直連結枠体、前記第2垂直連結枠体、前記第1回転連結枠体および前記第2回転連結枠体は、それぞれ平板状であって同一の高さを有し、上部側縁に第1係合部を有し、下部側縁に前記第1係合部と係合可能な第2係合部を有し、前記第2係合部を前記第1係合部に係合して互いに上下方向に連結可能に構成されており、
前記第1垂直連結枠体は、一方の左右側縁に一方の枠平面に対して垂直方向に突出した第1垂直雄継手を有し、前記一方の左右側縁の他方の枠平面に他の前記第1垂直連結枠体の前記第1垂直雄継手と係合して他の前記第1垂直連結枠体と垂直に接続可能な第1垂直雌継手を有し、他方の左右側縁に第1接続継手を有し、
前記第2垂直連結枠体は、前記第1垂直連結枠体の前記第1垂直雄継手と左右対称となる位置で左右側縁の枠平面に対して垂直方向に突出し前記第1垂直雌継手と係合して前記第1垂直連結枠体と垂直に接続可能な第2垂直雄継手を有し、第2垂直雄継手側の反対側の枠平面に前記第1垂直連結枠体の前記第1垂直雄継手または他の前記第2垂直連結枠体の前記第2垂直雄継手と係合して前記第1垂直連結枠体または他の前記第2垂直連結枠体と垂直に接続可能な第2垂直雌継手を有し、第2垂直雄継手側の反対側の左右側縁に前記第1接続継手と係合して前記第1垂直連結枠体と左右方向で接続可能な第2接続継手を有し、
前記第1回転連結枠体は、一方の左右側縁に、上下方向の中心軸線を有する第1回転係合部と、前記第1垂直連結枠体の前記第1垂直雄継手または前記第2垂直連結枠体の前記第2垂直雄継手と係合して前記第1垂直連結枠体または前記第2垂直連結枠体と垂直に接続可能な第3垂直雌継手を有し、他方の左右側縁に前記第2垂直連結枠体の第2接続継手と係合して前記第2垂直連結枠体と左右方向で接続可能な第3接続継手を有し、
前記第2回転連結枠体は、一方の左右側縁に、前記第1回転係合部と同一の中心軸線で回転可能に係合する第2回転係合部と、前記第1垂直連結枠体の前記第1垂直雄継手または前記第2垂直連結枠体の前記第2垂直雄継手と係合して前記第1垂直連結枠体または前記第2垂直連結枠体と垂直に接続可能な第4垂直雌継手を有し、第4垂直雌継手側の反対側の左右側縁に前記第1垂直連結枠体の前記第1接続継手または前記第1回転連結枠体の第3接続継手と係合して前記第1垂直連結枠体または前記第1回転連結枠体と左右方向で接続可能な第4接続継手を有することを、
特徴とする組枠用枠体。
【請求項2】
前記第1回転係合部は軸部から成り、前記第2回転係合部は、前記第2回転連結枠体に設けられた突出部から成り、前記突出部は上下方向に貫通して前記軸部を挿入可能な係合孔を有することを、
特徴とする請求項1記載の組枠用枠体。
【請求項3】
さらに延長枠体を有し、
前記延長枠体は、平板状であって、前記第1垂直連結枠体、前記第2垂直連結枠体、前記第1回転連結枠体および前記第2回転連結枠体と同一の高さを有し、
一方の左右側縁に前記第2垂直連結枠体の前記第2接続継手または前記第2回転連結枠体の前記第4接続継手と係合して前記第2垂直連結枠体または前記第2回転連結枠体と左右方向で接続可能な第1延長継手を有し、他方の左右側縁に前記第1垂直連結枠体の前記第1接続継手または前記第1回転連結枠体の前記第3接続継手と係合して前記第1垂直連結枠体または前記第1回転連結枠体と左右方向で接続可能な第2延長継手を有することを、
特徴とする請求項1または2記載の組枠用枠体。
【請求項4】
さらに積用部材を有し、
前記積用部材は細長く、前記第1垂直連結枠体、前記第2垂直連結枠体、前記第1回転連結枠体または前記第2回転連結枠体の上部側縁と水平に交差してその上部側縁と係合可能な上部係合部と、前記第1垂直連結枠体、前記第2垂直連結枠体、前記第1回転連結枠体または前記第2回転連結枠体の下部側縁と水平に交差してその下部側縁と係合可能な下部係合部とをそれぞれ有することを、
特徴とする請求項1、2または3記載の組枠用枠体。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−197444(P2009−197444A)
【公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−38727(P2008−38727)
【出願日】平成20年2月20日(2008.2.20)
【出願人】(307044884)
【Fターム(参考)】