説明

組立構造及び撮影装置

【課題】耐衝撃構造を実現する際の、部品点数の増大、構造の複雑化、組立性悪化、大型化等の不具合を招くことのない組立構造及びこれを適用した撮像装置を提供する。
【解決手段】内部構造体とこれを包囲する前カバーとの間に、内部構造体の変形を防止するための支持部材15を設置した組立構造であって、内部構造体の前カバーと対向する領域の略中心位置14に、支持部材15を少なくとも一つ設置した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、耐衝撃構造の組立構造及び撮影装置に関し、特に、構造的に内部と外装とに分かれた撮影装置の耐衝撃性を備えた組立構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、撮影装置に加わる外力から内部構造体を保護するために、外装部品の肉厚を厚くしたり、外装部品表面にゴムなどの弾性部材を貼り付けたり、突起を設けたり、あるいは外装部品そのものの材質を強固にしたり、といった対策が施されていた。また、弾性部材で形成されたカバーによって撮影装置全体を覆うといった対策も取られていた。
【0003】
ところが、外装部品の肉厚を厚くしたり、外装部品の材質を強固にしたとしても、単に外装部品の損壊を防げるだけであり、撮影装置外部からの衝撃力は外装部品を介して直接内部構造部品に伝播していることには違いはない。例えば、撮像装置の組み立て時に微調整した上で固定されているオートフォーカス素子が動いてしまったりして、測距性能に悪影響を与えたりする。
また、外装部品表面に弾性部材を貼り付けたり突起部を設けたりすることは、撮影装置のデザインに制約を加えることとなり好ましくない。あるいは、撮影装置そのものとは別に撮影装置全体を覆うような別体のカバーを設けると、コストの高騰と撮影装置の大型化とが避けられなくなる。
【0004】
装置を大型化することなく衝撃に対して内部構造部体に影響を与えない耐衝撃撮像装置を提供することを目的として、特許文献1に開示されるように、内部構造体と外装部品との間の空間の位置決め部材の周辺に弾性部材を設け、この弾性部材を介して内部構造体が外装部品に抑えられるようにビスで浮遊支持する方法が提案されている。
【特許文献1】特開平7−28153号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に開示される方式では、内部構造体が浮遊状態で支持されるため、外装部品との位置決めが難しく、弾性部品にも厳しい精度が要求される。また、内部構造体と外装部品との間に空間が生じるため、撮影装置の大型化が避けられない。
【0006】
本発明はかかる問題に鑑みてなされたものであり、構造的に内部と外装とに分かれた耐衝撃撮影装置において、耐衝撃構造を実現する際の部品点数の増大、構造の複雑化、組立性悪化、大型化等の不具合を招くことのない組立構造及びこれを適用した撮像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明は、第1の態様として、撮像手段が搭載された内部構造体と該内部構造体を包囲するカバーとの間に、該内部構造体の変形を防止するための支持部材を設置した組立構造であって、内部構造体のカバーと対向する領域の略中心位置に、支持部材が少なくとも一つ設置されたことを特徴とする組立構造を提供するものである。
【0008】
本発明の第1の態様においては、支持部材は、弾性材料で形成されていることが好ましい。また、支持部材が、モールド成形によって形成されることが好ましい。
【0009】
また、本発明の第1の態様においては、支持部材は、内部構造体と一体に形成されており、カバーの内面に形成された凹部に嵌合していることが好ましく、これに加えて、支持部材は、射出成形によって、抜きテーパ形状に成形されていることがより好ましい。さらに、これらの場合には、カバーは、射出成形によって、凹部が抜きテーパ形状となるように形成されていることがより好ましい。
【0010】
また、上記目的を達成するため、本発明は、第2の態様として、本発明の第1の態様の上記のいずれかの構成にかかる組立構造を適用した撮像装置を提供するものである。
【0011】
本発明の第2の態様においては、防水構造が適用されていることが好ましい。また、防塵構造が適用されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、耐衝撃構造を実現する際の部品点数の増大、構造の複雑化、組立性悪化、大型化等の不具合を招くことのない組立構造及びこれを適用した撮像装置を提供を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
〔第1の実施形態〕
本発明の好適な実施の形態について説明する。図1、図2及び図3に、本実施形態にかかる撮影装置の構成を示す。図1は、デジタルカメラ1の前方斜視図、図2は分解斜視図、図3は内部構造体の正面図である。
デジタルカメラ1は、正面からみて左側にグリップ部2を備え、その上部にレリーズボタン部3が形成され、正面略中央には撮影レンズ4が取り付けられており、撮影レンズ4の上方にはユーザが撮影範囲等を目視で確認するための光学ファインダ5、低照度での撮影の場合などに使用するストロボ6が各々設けられている。
デジタルカメラ1の上面には、カメラの各種モードを選択するための回転式スイッチからなるモードダイヤル7と、モードダイヤル7の中央に配置された押しボタン式スイッチとしての電源スイッチ(メインスイッチ)8と、外部ストロボ等を取り付けるためのアクセサリーシュー9とが設けられている。また、デジタルカメラ1の左側面には、メモリカードを挿着可能なカードスロットと電池室とを覆う電池蓋10が設けられている。
【0014】
内部構造体11は、後カバー13の四隅にネジ止めによって固定され、前カバー12を被せることによって保護されている。内部構造体11と前カバー12との間には数mmのクリアランスが設けられているが、デジタルカメラ1が正面から落下した際にこのクリアランス以上に内部構造体11が変形することによって内部構造体13の主要機能部品を破損する可能性がある。
【0015】
このため、内部構造体11の前カバー12と対向する領域の略中心位置14に支持部材15を少なくとも一つ設けている。図4に、支持部材15の断面図を示す。前カバー12と内部構造体11との間に支持部材15を挟持している。支持部材15は、モールドやゴム、バネ、衝撃吸収シートなど内部構造体11の変形を低減させるものであれば、材質には依らない。また、略中心位置に設置していれば、大きさや形状にも依らない。図では、前カバー12と内部構造体11との間に支持部材15を配置しているが、後カバー13と内部構造体11との間に設けることも可能である。
【0016】
〔第2の実施形態〕
本発明を好適に実施した第2の実施形態について説明する。図5に、本実施形態にかかるデジタルカメラ1の内部構造体11の略中心位置での断面を示す。
【0017】
デジタルカメラ1が落下した際に内部構造体11に作用する衝撃は光軸方向にしか作用しないとは限らない。このため、図示するように、内部構造体11の支持部とカバーの穴を嵌め合い構造とすることによって、全方向に関して衝撃による変形を小さくでき、耐衝撃性を向上させられる。
【0018】
この嵌め合い条件は、内部構造体11と前カバー12とのクリアランスの最小値であれば形状によるものではない。
ただし、支持部材15は抜きテーパ形状(先細り形状)とすることが好ましい。同様に、カバーの穴も支持部材15と同様の形状とすることが好ましい。
【0019】
内部構造体11には主要機能部品が実装されており、カバーとの位置決めは重要な設計事項である。よって、この嵌め合い部を重要寸法とし、内部構造体11と前カバー12とを位置決めする機能を有することによって、主要機能部品の位置決め精度を向上させ、かつ組立性も向上させることができる。
【0020】
なお、上記各実施形態は本発明の好適な実施の一例であり、本発明はこれに限定されることはない。
例えば、上記各実施形態においては、撮影装置の例としてデジタルカメラをあげたが、本発明は、防水/防塵型デジタルカメラ(パッキン等を用いて防水性能や防塵性能を持たせたデジタルカメラ)や銀塩カメラなど撮影装置一般に適用可能である。
このように、本発明は様々な変形が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明を好適に実施した第1の実施形態にかかる撮像装置の構成を示す図である。
【図2】第1の実施形態にかかる撮像装置の構成を示す図である。
【図3】第1の実施形態にかかる撮像装置の構成を示す図である。
【図4】第1の実施形態にかかる撮像装置の支持部材の形状を示す図である。
【図5】本発明を好適に実施した第2の実施形態にかかる撮像装置の支持部材の形状を示す図である。
【符号の説明】
【0022】
1 デジタルカメラ
2 グリップ部
3 レリーズボタン部
4 撮影レンズ
5 光学ファインダ
6 ストロボ
7 モードダイヤル
8 メインスイッチ
9 アクセサリーシュー
10 電池蓋
11 内部構造体
12 前カバー
13 後カバー
14 略中心位置
15 支持部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像手段が搭載された内部構造体と該内部構造体を包囲するカバーとの間に、該内部構造体の変形を防止するための支持部材を設置した組立構造であって、
前記内部構造体の前記カバーと対向する領域の略中心位置に、前記支持部材が少なくとも一つ設置されたことを特徴とする組立構造。
【請求項2】
前記支持部材は、弾性材料で形成されていることを特徴とする請求項1記載の組立構造。
【請求項3】
前記支持部材が、モールド成形によって形成されたことを特徴とする請求項1又は2記載の組立構造。
【請求項4】
前記支持部材は、前記内部構造体と一体に形成されており、前記カバーの内面に形成された凹部に嵌合していることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載の組立構造。
【請求項5】
前記支持部材は、射出成形によって、抜きテーパ形状に成形されていることを特徴とする請求項4記載の組立構造。
【請求項6】
前記カバーは、射出成形によって、前記凹部が抜きテーパ形状となるように形成されていることを特徴とする請求項4又は5記載の組立構造。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項記載の組立構造を適用した撮像装置。
【請求項8】
防水構造が適用されていることを特徴とする請求項7記載の撮像装置。
【請求項9】
防塵構造が適用されていることを特徴とする請求項7又は8記載の撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−26743(P2008−26743A)
【公開日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−201242(P2006−201242)
【出願日】平成18年7月24日(2006.7.24)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】