説明

組立装置

【課題】ブロック体に対してずれが生じることなく、振動を付与できて、安定した接着(接合)が可能で、しかも、コンパクト化が可能であって、配管作業や管理の簡略化を図ることが可能な組立装置を提供する。
【解決手段】断面正方形乃至矩形状のブロック体10を、隣り合う2つの側面11c、11dが成す一つの角部12aを下方にして、上下左右にそれぞれ複数本配設し、これらブロック体10の相対面する側面間には接合剤が介在されて接合されてなるブロック体集合構造Uを組み立てる組立装置である。ブロック体10に振動を付与してブロック体10の相対面する側面間の接合剤を均す振動付与手段15と、ブロック体10を軸方向端面8,9を挟んでブロック体10のズレを規制する規制手段16と、規制手段16によるブロック体10の規制力を調整する規制力調整手段17とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、組立装置に関し、特に、ブロック片やレンガ等のブロック体を組み合わせてブロック体集合構造を組み立てる組立装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複数個の煉瓦(レンガ)やブロック体を組み込んで形成する壁構造体がある(特許文献1および特許文献2)。また、コンクリートブロックを接着するブロックの製造方法が提案されている(特許文献3)。
【0003】
ところで、レンガやブロック体の複数個を組み合わせて1つの大型ブロック(柱状部材)を必要とする場合がある。すなわち、大型ブロックを製造する場合、いきなり大型ブロックを製造するよりも、小型のブロック体を製造した後、複数本の小型のブロック体を接合して製造するのが、生産性およびコストを考慮すれば、好ましい。
【0004】
また、ブロック体同士を接着剤を介して接着接合する場合、前記特許文献3に記載されているように、振動を与えることによって、接着剤の行き渡りや浸透を促進させることができる。
【0005】
そこで、複数本のブロック体を接合する場合においても、ブロック体に対してして振動を与えつつ組み合わせていくことを提案できる。しかしながら、振動を与えた場合、この振動によって、ブロック体が組み込んだ位置からずれるおそれがある。
【0006】
このため、ブロック体のずれを規制する規制機構を必要とする。ズレ規制機構としては、ブロック体を軸方向端面を挟む方式を提案できる。この場合、ブロック体の一方の端面に対しシリンダ機構等にてその軸心方向に押圧するようにすればよい。
【0007】
ところで、振動付与する場合、例えば振動発生器にて所定数のブロック体に対して付与することになる。すなわち、図7に示すように、積み上げていって、1A、1Bのブロック体に振動を与える場合、振動は全ブロック体1に伝達されることになる。これによって、ブロック体間に介在される接合剤が接合面全体に行き渡って、安定した接触力にてブロック体の集合構造を形成することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2010−150824号公報
【特許文献2】特開2006−336425号公報
【特許文献3】特開2007−222109号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、ブロック体1A,1Bに対して振動発生器を押し付けているので、このブロック体1A,1Bの直下のブロック体1C,1D,1Eには高負荷の荷重がかかることになる。このため、ブロック体1C,1D,1Eは、位置ずれし易くなって、精度のよい組立てが困難であった。
【0010】
そこで、本発明は斯かる実情に鑑み、ブロック体に対してずれが生じることなく、振動を付与できて、安定した接着(接合)が可能で、しかも、コンパクト化が可能であって、配管作業や管理の簡略化を図ることが可能な組立装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の組立装置は、断面正方形乃至矩形状のブロック体を、隣り合う2つの側面が成す一つの角部を下方にして、上下左右にそれぞれ複数本配設し、これら組み合わされるブロック体の相対面する側面間には接合剤が介在されて接合されてなるブロック体集合構造を組み立てる組立装置であって、組み合わせ時にブロック体に振動を付与してブロック体の相対面する側面間の隙間を詰める振動付与手段と、振動付与手段にて振動が付与されているブロック体を軸方向端面を挟んでブロック体のズレを規制する規制手段と、規制手段によるブロック体の規制力を調整する規制力調整手段とを備えるものである。
【0012】
本発明の組立装置によれば、振動付与手段によってブロック体に振動を付与することができ、ブロック体の相対面する側面間の接合剤がこの側面間に行き渡っていわゆる均された状態となる。しかも、規制手段にてブロック体のズレを規制することができる。また、規制手段による規制力を規制力調整手段にて調整でき、大きな規制力を必要とする場合には、大きな規制力で規制することができる。このため、組み合わされている(組み込まれている)全ブロック体に対してズレを規制した状態で振動を付与でき、全ブロック体の相対面する側面間の接合剤がこの側面間に行き渡っていわゆる均された状態となる。
【0013】
規制力調整手段は、所定低圧の押圧力を付与する第1エアシリンダと、所定高圧の押圧力を付与する第2エアシリンダと、第1エアシリンダの押圧力のみでブロック体の一方の端面を押圧する低押圧力状態と、第1エアシリンダの押圧力に第2エアシリンダの押圧力を加算してブロック体の一方の端面を押圧する高押圧力状態とに切換え可能な切換機構とを備えたものが好ましい。
【0014】
前記第1エアシリンダは両ロッドシリンダにて構成し、前記第2エアシリンダはタンデムシリンダにて構成することができる。
【0015】
前記第1エアシリンダが組み合わせる全ブロック体に対応する数だけ配置されるとともに、前記第2エアシリンダが左右方向の横方向に配設されるブロック体に対応する数だけ配置されるようにすることができる。
【0016】
前記振動付与手段は、ブロック体に対して上方から押さえる押さえ部材を備え、この押さえ部材からブロック体に振動を付与するようにできる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の組立装置では、全ブロック体がずれることなく、全ブロック体の相対面する側面間の接合剤がこの側面間に行き渡って均された状態となって、安定した接着(接合)が可能で、ズレが生じていない高品質の製品を提供できる。
【0018】
規制力調整手段を、第1エアシリンダと第2エアシリンダと切換機構等で構成でき、エアシリンダの利点(装置が簡単、メンテし易い、装置が軽い、油圧機器に比べて安価等)の利点を生かせる。すなわち、油圧システムに比べて、取り扱い易く、配管作業や管理の簡略化を図ることができる。しかも、低コスト化を達成できる。また、切換機構を切り換えることによって、規制力(押圧力)を第1エアシリンダのみのものと、第1エアシリンダの規制力(押圧力)と第2エアシリンダの規制力(押圧力)とを加えたものとに簡単に切り換えることができ、振動を直接付与するブロック体が変更されても、全ブロック体のズレを安定して規制できる。
【0019】
第1エアシリンダは両ロッドシリンダにて構成でき、また、第2エアシリンダはタンデムシリンダにて構成することができ、既存のシリンダを用いることができ、一層の低コスト化を図ることができる。しかも、第1エアシリンダの規制力と第2エアシリンダの規制力とを加えた規制力を安定して供給することができる。
【0020】
前記第1エアシリンダが組み合わせる全ブロック体に対応する数だけ配置されるとともに、前記第2エアシリンダが左右方向の横方向に配設されるブロック体に対応する数だけ配置されるように設定することによって、装置としてのコンパクト化を図ることができ、しかも、大きな規制力を必要とするブロック体に対応させることができる。
【0021】
前記振動付与手段が押さえ部材を備えるものでは、ブロック体に対して安定した振動を付与できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の組立装置の実施形態の簡略構成図である。
【図2】前記図1に示す組立装置にて組立てられるブロック体を示し、(a)は斜視図であり、(b)は端面図である。
【図3】前記図1に示す組立装置にて組立てられてなるブロック体集合構造の端面図である。
【図4】前記図1に示す組立装置にて組立工程を示し、(a)は振動を付与する直前を示す簡略図であり、(b)は振動を付与している状態の簡略図である。
【図5】前記図1に示す組立装置にて組立工程を示し、(a)は図4に示す状態よりさらにブロック体を増加させて振動を付与する直前を示す簡略図であり、(b)は図4に示す状態よりさらにブロック体を増加させて振動を付与している状態の簡略図である。
【図6】組立装置の比較例を示す簡略構成図である。
【図7】従来の組立方法の課題説明図である。
【0023】
以下本発明の実施の形態を図1〜図6に基づいて説明する。
【0024】
図1は、本発明に係る組立装置の簡略図を示し、図2に示すような断面正方形の角材であるブロック体10を、図3に示すように組み込む(組み立てる)ものである。すなわち、隣り合う2つの側面11c、11dが成す一つの角部12(12a)(図2(b)参照)を下方にして、上下左右にそれぞれ複数本配設し、これら組み合わされるブロック体10の相対面する側面間には接合剤が介在されて接合されてなるブロック体集合構造Uを組み立てるものである。
【0025】
この組立装置は、組み合わせ時にブロック体10に振動を付与してブロック体10の相対面する側面11c、11d間の接合剤を均す振動付与手段15(図4(b)と図5(b)参照)と、振動付与手段15にて振動が付与されているブロック体10を軸方向端面8,9を挟んでブロック体10のズレを規制する規制手段16と、規制手段16によるブロック体10の規制力を調整する規制力調整手段17とを備える。
【0026】
ブロック体10は、図3に示すような受け部材20に受けられる。この受け部材20は、所定角度を成す一対の側壁21,21と、側壁21,21の下端を受ける底壁22とを備える。なお、この底壁22の内面には、断面三角形状の凸部23,23が設けられている。
【0027】
また、振動付与手段15は、ボールバイブレータ等の振動発生器15A(図4参照)を用いることができる。ボールバイブレータは、圧縮空気で鋼製ボールが高速回転し、遠心力振動を発生する小型バイブレータである。
【0028】
振動発生器15Aには、組合されたブロック体10の前記角部12(12a)に対向する角部12(12b)が嵌合する断面倒立Vの字状の凹溝25が設けられた押圧部材18を備える。このため、振動発生器15Aの押圧部材18の凹溝25を、ブロック体10の角部12bに嵌合させた状態で、この振動発生器15Aを駆動することによって、ブロック体10が振動する。
【0029】
規制手段16は、ブロック体10の一方の端面8を軸方向に押圧する押圧ヘッド31と、ブロック体10の他方の端面9を受ける受け体32とを備える。受け体32は、組み込む全ブロック体10に対応して設けられ、各受け体32は支持部材33に支持されている。押圧ヘッド31と受け体32とでブロック体10を挟むことになる。
【0030】
規制力調整手段17は、所定低圧の押圧力を付与する第1エアシリンダ35と、所定高圧の押圧力を付与する第2エアシリンダ36と、低押圧力状態と高押圧力状態とに切換え可能な切換機構37とを備える。
【0031】
第1エアシリンダ35は、両ロッドシリンダにて構成される。すなわち、第1エアシリンダ35は、シリンダ本体34と、このシリンダ本体34に収容されるピストン33と、ピストン33の両側に突設される一対のロッド38a、38bとを備える。各ロッド38a、38bにはヘッド部が設けられ、一方のロッド38aのヘッドが前記規制手段16の押圧ヘッド31を構成することになる。また、他方のロッド38bのヘッドが第2エアシリンダ36からの押圧力を受ける受けヘッド39となる。第1エアシリンダ35の押圧力(押さえ力)としては、例えば、10kgf/cm2である。第1エアシリンダ35は、組み込むブロック体10の全数に対応して配置される。この実施形態では88本となる。
【0032】
第2エアシリンダ36は、タンデムシリンダにて構成される。タンデムシリンダは、くし形に連結された複数のピストンをもつシリンダである。すなわち、第2エアシリンダ36は、2つのシリンダ室40a、40bを有するシリンダ本体41と、シリンダ本体41の各シリンダ室40a、40bに収容されるピストン42a,42bと、各ピストン42a,42bから延びるロッド43a、43bとを備える。また、ロッド43aに設けられるヘッドが前記第1エアシリンダ35の他方のロッド38bの受けヘッド39を押圧する押圧ヘッド44を構成する。第2エアシリンダ36の押圧力(押さえ力)としては、例えば、70kgf/cm2である。第2エアシリンダ36は、例えば、図3において横方向(一行)に配設される最大数に対応する数とされる。この実施形態では8本となる。
【0033】
切換手段37は、各第1エアシリンダ35に接続される切換弁46と、各第2エアシリンダ36に接続される切換弁47とを備える。また、切換弁46、47には増圧弁48,49が接続されている。なお、増圧弁48,49には、図示省略のエア源が接続されている。
【0034】
このため、切換弁46を第1エアシリンダ35がブロック体10の端面8を押圧する状態(作動状態)に切り換えるとともに、切換弁47を第2エアシリンダ36が第1エアシリンダ35の受けヘッド39を押圧しない状態(非作動状態)に切り換えれば、ブロック体10の端面8は、第1エアシリンダ35の規制力(例えば、10kgf/cm2)のみで、このブロック体10を規制することになる。
【0035】
また、第1エアシリンダ35の作動状態において、切換弁47を第2エアシリンダ36が第1エアシリンダ35の受けヘッド39を押圧する状態(作動状態)に切り換えれば、ブロック体10の端面8は、第1エアシリンダ35の規制力(例えば、10kgf/cm2)に第2エアシリンダ36の規制力(例えば、70kgf/cm2)を付加した規制力(例えば、80kgf/cm2)で、このブロック体10を規制することになる。
【0036】
次に図1に示す組立装置を用いたブロック体10の組立方法を説明する。この際、図示省略の搬送装置にて、ブロック体10を順次受け部材20に供給すことになる。この場合の各ブロック体10の姿勢としては、隣り合う2つの側面11c、11dが成す一つの角部12aを下方にして水平となる姿勢である。また、組立てられるブロック体10の数としては88本である。
【0037】
まず、受け部材20の底部に3本のブロック体10を配置する。その後は、この最下段(第1行と呼ぶ)のブロック体10に対して、2段目(第2行と呼ぶ)の4本のブロック体10を配置する。この場合、各ブロック体10の相対面する側面11間に接合剤が介在されることになる。接合剤として上段側のブロック体10の側面に塗布されることになる。
【0038】
このようにして、順次ブロック体10が第15行まで積み上げて行くことになる。すなわち、第1行では3本のブロック体10が配置され、第2行では4本のブロック体10が配置され、第3行では5本のブロック体10が配置され、第4行では6本のブロック体10が配置され、第5行では7本のブロック体10が配置され、第6行では8本のブロック体10が配置される。また、第7行では7本のブロック体10が配置され、第8行では8本のブロック体10が配置され、第9行では7本のブロック体10が配置され、第10行では8本のブロック体10が配置される。そして、第11行では7本のブロック体10が配置され、第12行では6本のブロック体10が配置され、第13行では5本のブロック体10が配置され、第14行では4本のブロック体10が配置され、第14行では3本のブロック体10が配置されることになる。
【0039】
新たなブロック体10が積み上げられた際には、振動付与手段15にて振動が付与される。この振動が付与される際には、各ブロック体10は前記規制手段16の第1エアシリンダ35にてズレが防止される。しかしながら、図4(a)に示すように積み上げていった場合に、例えば、イのブロック体10とロのブロック体10を積み上げた際には、図4(b)に示すように、このイ、ロのブロック体10に対して、振動発生器15A、15Aが接触して振動を付与することになる。
【0040】
この場合、イ、ロのブロック体10の直下のブロック体10、つまり、Aで示すブロック体10には、Bで示す他のブロック体10よりも高荷重が付加されることになる。このため、前記規制手段16による規制力が、Aで示すブロック体10がBで示すブロック体10よりも大きくする必要がある。
【0041】
そこで、図4(b)で示す状態では、規制力調整手段17によって、Aで示すブロック体10の規制力をBで示すブロック体10の規制力よりも大きくする。すなわち、Bで示すブロック体10では、第1エアシリンダ35の規制力のみ規制し、Aで示すブロック体10では、第1エアシリンダ35の規制力に第2エアシリンダ36の規制力を付加した規制力で規制する。
【0042】
また、図4に示す状態から、図5(a)に示すように、さらに、ハのブロック体10とニのブロック体10を積み上げた場合、ハ、ニのブロック体10の直下のブロック体10、つまり、Aで示すブロック体10には、Bで示す他のブロック体10よりも高荷重が付加されることになる。このため、前記規制手段による規制力が、Aで示すブロック体10がBで示すブロック体10よりも大きくする必要がある。つまり、規制力を大きくするブロック体10が変化する。
【0043】
この図5(b)に示す状態では、Bで示すブロック体10では、第1エアシリンダ35の規制力のみ規制し、Aで示すブロック体10では、第1エアシリンダ35の規制力に第2エアシリンダ36の規制力を付加した規制力で規制することになる。
【0044】
このように、ブロック体10を積み上げて行く工程で、大きな規制力を付与すべきブロック体10が変化することになる。なお、この切換制御は、制御手段と記憶手段等で行うことができる。制御手段は、例えば、CPU(Central Processing Unit)を中心としてROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等がバスを介して相互に接続されたマイクロコンピューターである。記憶手段としての記憶装置は、HDD(Hard Disc Drive)やDVD(Digital Versatile Disk)ドライブ、CD−R(Compact Disc-Recordable)ドライブ、EEPROM(Electronically Erasable and Programmable Read Only Memory)等からなる。なお、ROMには、CPUが実行するプログラムやデータが格納されている。
【0045】
したがって、この図1に示すような組立装置を用いれば、順次その変化に対向して積み上げていくことができる。ところで、図3に示すように積み上げていく場合、第8行と第10行のブロック体10を積み上げていく場合、端部のブロック体10は側面11c、11dがフリー状態となる。このため、この第8行や第10行の端部のブロック体10を積み上げる際には、押さえ部材45にて受けられることになる。
【0046】
この押さえ部材45は、矢印X1、X2に示すように、この集合構造Uに対して横方向から接近離間できる。このため、第6行の端部のブロック体10を積み上げる際には、上下の押さえ部材45が矢印X2方向に逃げた状態となってブロック体10から離間し、積み上げ作業の妨げにならないようにできる。また、第8行の端部のブロック体10を積み上げる際には、上方の押さえ部材45が矢印X2方向に逃げた状態となっているとともに、下方の押さえ部材45が前進(接近)した状態となって、第8行の端部のブロック体10を受けることになる。さらに、第10行の端部のブロック体10を積み上げる際には、上方の押さえ部材45が前進(接近)して、第10行の端部のブロック体10を受けることになる。
【0047】
本発明では、振動付与手段15によってブロック体10に振動を付与することができ、ブロック体10の相対面する側面11間の接合剤がこの側面間に行き渡っていわゆる均された状態となる。しかも、規制手段16にてブロック体10のズレを規制することができる。また、規制手段16による規制力を規制力調整手段17にて調整でき、大きな規制力を必要とする場合には、大きな規制力で規制することができる。このため、組み合わされている(組み込まれている)全ブロック体10に対してズレを規制した状態で振動を付与でき、全ブロック体10の相対面する側面11間の接合剤がこの側面11間に行き渡っていわゆる均された状態となり、安定した接着(接合)が可能で、ズレが生じていない高品質の製品を提供できる。
【0048】
規制力調整手段17は、第1エアシリンダ35と第2エアシリンダ36と切換機構37等で構成でき、エアシリンダの利点(装置が簡単、メンテし易い、装置が軽い、油圧機器に比べて安価等)の利点を生かせる。すなわち、油圧システムに比べて、取り扱い易く、配管作業や管理の簡略化を図ることができる。しかも、低コスト化を達成できる。また、切換機構を切り換えることによって、規制力(押圧力)を第1エアシリンダのみのものと、第1エアシリンダの規制力(押圧力)と第2エアシリンダの規制力(押圧力)とを加えたものとに簡単に切り換えることができ、振動を直接付与するブロック体10が変更されても、全ブロック体10のズレを安定して規制できる。
【0049】
第1エアシリンダ35は両ロッドシリンダにて構成でき、また、第2エアシリンダ36はタンデムシリンダにて構成することができ、既存のシリンダを用いることができ、一層の低コスト化を図ることができる。しかも、第1エアシリンダ35の規制力と第2エアシリンダ36の規制力とを加えた規制力を安定して供給することができる。
【0050】
第1エアシリンダ35が組み合わせる全ブロック体10に対応する数だけ配置されるとともに、第2エアシリンダ36が左右方向の横方向に配設されるブロック体10の数だけ配置されるように設定することによって、装置としてのコンパクト化を図ることができ、しかも、大きな規制力を必要とするブロック体10に対応させることができる。
【0051】
ところで、規制手段16として、図6に示すような規制機構16Aを提案できる。すなわち、この規制機構16Aは、ブロック体10の一方に端面8を押圧するシリンダ52と、ブロック体10の他方の端面9を受ける受け部材33とを備える。
【0052】
シリンダ52は組み合わせるブロック体10の全数に対応して配置され、各シリンダ52として、油圧シリンダを用いる。そして、各シリンダ52は高圧と低圧との切換バルブ55を介して油圧を供給するための油圧ユニット56に接続される。また、切換バルブ55の切換は、制御手段(マイクロコンピュータ等)にて制御することができる。
【0053】
このように構成されていた場合も、ブロック体10を積み上げて行く工程で、大きな規制力を付与すべきブロック体10が変化しても、切換バルブ55の切換制御によって、順次その変化に対向して積み上げていくことができる。このため、図6に示すような規制機構16Aを設けることによって、ブロック体間に介在される接合剤が接合面全体に行き渡って、安定した接触力にてブロック体10の集合構造Uを形成することができる。
【0054】
しかしながら、図6に示すような装置では、油圧システムを用いるため、装置全体としてコスト高となるとともに、油圧システム自体の管理やメンテナンスが難しいものとなっていた。また、装置全体として大型化して、レイアウトが困難である。すなわち、前記ブロック体10に対して油圧シリンダを配置する必要があり、しかも各油圧シリンダの押圧力として、高圧状態と低圧状態とに切り替える必要があるので、大型化することになる。
【0055】
さらには、シリンダ52側と切換バルブ55側とを接続する油圧ホース56は高圧ホースとなり、配管施工や引き回しが困難となっていた。
【0056】
これに対して、図1に示す本発明の組立装置では、油圧システムを用いないため、油圧システムを用いる問題点がすべて解消されている。
【0057】
以上、本発明の実施形態につき説明したが、前記実施形態に限定されることなく種々の変形が可能であって、例えば、集合構造Uのブロック体10に数の増減は任意であり、また、ブロック体10としても断面正方形状のものに限らず、断面矩形状であってもよい。ブロック体10の大きさ、軸方向長さ等も任意であり、ブロック体10としても、レンガやコンクリートブロック等であっても、さらには、中実であっても、中空であってもよい。使用する接合剤としては、接着剤、粘着剤、溶着剤等を用いることができる。すなわち、接合剤は、使用するブロック体の材質や接合面積等に応じて種々変更することができる。また、ブロック体10を積み上げていく場合、1本ずつ積み上げていっても、2本以上の複数本ずつ積み上げていってもよい。
【0058】
第1エアシリンダ35の規制力を10kgf/cm2に限るものではなく、第2エアシリンダ36の規制力を70kgf/cm2に限るものではない。すなわち、組立てるブロック体10の大きさ、重量、形状、さらには、振動発生器から付与される振動力等に応じて種々変更できる。また、第1エアシリンダ35としては、使用するブロック体10に対応した数を必要とするが、第2エアシリンダ36としては、任意であり、前記実施形態のような8機に限る必要はない。
【0059】
振動発生器にて直接的に振動を付与するブロック体10としても、1本ずつであっても、2本以上の複数本ずつであってもよい。振動発生器としては、ボールバイブレータに限るものではなく、組み込まれるブロック体10に上方から接触して振動を付与できるものであればよく、他の種々の既存のバイブレータを用いることができる。
【符号の説明】
【0060】
11 ブロック体
8,9 軸方向端面
11c、11d 側面
12、12a 角部
15A 振動発生器
15 振動付与手段
16 規制手段
17 規制力調整手段
35 第1エアシリンダ
36 第2エアシリンダ
37 切換機構
45 押さえ部材
U ブロック体集合構造

【特許請求の範囲】
【請求項1】
断面正方形乃至矩形状のブロック体を、隣り合う2つの側面が成す一つの角部を下方にして、上下左右にそれぞれ複数本配設し、これら組み合わされるブロック体の相対面する側面間には接合剤が介在されて接合されてなるブロック体集合構造を組み立てる組立装置であって、
組み合わせ時にブロック体に振動を付与してブロック体の相対面する側面間の接合剤を均す振動付与手段と、振動付与手段にて振動が付与されているブロック体を軸方向端面を挟んでブロック体のズレを規制する規制手段と、規制手段によるブロック体の規制力を調整する規制力調整手段とを備えることを特徴とする組立装置。
【請求項2】
規制力調整手段は、所定低圧の押圧力を付与する第1エアシリンダと、所定高圧の押圧力を付与する第2エアシリンダと、第1エアシリンダの押圧力のみでブロック体の一方の端面を押圧する低押圧力状態と、第1エアシリンダの押圧力に第2エアシリンダの押圧力を加算してブロック体の一方の端面を押圧する高押圧力状態とに切換え可能な切換機構とを備えたことを特徴とする請求項1に記載の組立装置。
【請求項3】
前記第1エアシリンダは両ロッドシリンダにて構成され、前記第2エアシリンダはタンデムシリンダにて構成されることを特徴とする請求項2に記載の組立装置。
【請求項4】
前記第1エアシリンダが組み合わせる全ブロック体に対応する数だけ配置されるとともに、前記第2エアシリンダが左右方向の横方向に配設されるブロック体に対応する数だけ配置されることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の組立装置。
【請求項5】
前記振動付与手段は、ブロック体に対して上方から押さえる押さえ部材を備え、この押さえ部材からブロック体に振動を付与することを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の組立装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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