説明

組織の修復

組織修復装置は、マルチフィラメントの可撓性材料からなる、閉じられて結び目のないループと、閉じられたループの少なくとも一部を受ける空洞部を形成する構造を有する固定部材とを含む。組織修復装置は、ループを横断する可撓性部材を含んでよい。ループは、マルチフィラメントの可撓性材料の両端部が中で熱的にともに融合された部分を含んでよい。マルチフィラメントの可撓性材料は、編まれるかまたは縒られてよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、本明細書に援用される米国特許出願第09/704,926号に関連する。
【0002】
本説明は、組織の修復に関する。
【背景技術】
【0003】
軟組織が外科的に骨に再付着される体の一領域は、腱板の上腕骨への付着部である。腱板は低血液供給の領域を有する。血液供給が多い場合、腱などの組織は、より良くかつ速くその組織自体を修復および維持する。したがって、腱板内の血液供給の悪い領域によって、棘上筋または肩甲下筋の断裂などの損傷後にこれらの腱が治癒するのが困難になり、遅くなる。このような断裂では、腱の一部が骨から引き離される。血液供給が悪いので、さらなる損傷を防ぎ、治癒の環境を改善するために、損傷した腱板をそれ自体で治癒させようするのではなく、腱板の骨に対する位置をよりよく固定するように腱を外科的に修復することを、外科医はしばしば推奨する。たとえば、外科医は、保持具またはアンカーなどの固定部材を用いて腱を骨に固定しようとするであろう。固定部材の一例は、特許文献2(Hayhurst特許)に開示されている。
【0004】
体の他の領域も、骨から断裂したときに外科的に骨に再付着可能である、または断裂が組織の中に形成したときに外科的に修復可能である組織を有する。これらの領域は、たとえば、二頭筋、膝の外側側副靭帯、膝の内側側副靭帯、膝の半月、脚の膝窩靭帯、および膝の関節唇腱を含む。
【0005】
筋肉、靭帯、および軟骨の断裂などの繊維組織の創傷は、縫合糸などの可撓性部材を用いて関節鏡術的に修復可能である。従来技術では、繊維組織の創傷を閉じるために、外科医は、2つの縫合針を縫合糸の付いた状態で組織の中に挿入し、創傷をわたして縫合糸を通し、次に結び目を作って組織内で縫合糸の自由端部を固定するであろう。
【0006】
創傷を閉じる手順を単純にするために、および固定を改善するために、様々なタイプの固定部材が開発されてきた。保持具の形態の固定部材の一例が、特許文献2に開示されている。特許文献2では、可撓性部材の一方の端部が、弾力的に変形可能な棒状の保持具に固定される。この保持具は、中空の針の穴の中へ装填され、繊維組織の中へ、または繊維組織に対して配置される。次に、外科医は、可撓性部材を創傷をわたして通し、縫合糸の自由端部に張力をかけて創傷を引き閉じる。外科医が縫合糸に張力をかけるとき、保持具の棒が縫合穴を横断するような向きになり、縫合糸を所定の位置に保つ。
【0007】
特許文献3(Thal)は、引っかけ装置とキャッチ/ループ装置とを備えた縫合アンカーを含む2部分捕獲ループ式の結び目のない縫合アンカー組立体について述べる。
【0008】
特許文献4(Lizardi)は、骨の中へ径方向に拡張するように構成された縫合アンカーと、縫合アンカーの遠位端部に取り付けられた縫合糸の第1ループと、縫合針と、針に取り付けられ、縫合糸の第1ループに連結された縫合糸の第2ループとを含む、組織を骨に固定するための結び目のない縫合アンカーシステムについて述べる。
【特許文献1】米国特許出願公開第09/704,926号明細書
【特許文献2】米国特許第4,741,330号明細書
【特許文献3】米国特許第6,024,758号明細書
【特許文献4】米国特許第6,641,596号明細書
【特許文献5】米国特許出願公開第10/918,445号明細書
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0009】
ある一般的な態様では、組織修復装置は、マルチフィラメントの可撓性材料からなる閉じられたループを含む。ループは結び目がなく、マルチフィラメントの可撓性材料が中で編み合わされた接触部を含む。
【0010】
実施例は、1つまたは複数の以下の特徴を含むことができる。たとえば、組織修復装置は、閉じられたループの少なくとも一部を受ける空洞部を形成する構造を有する固定部材を含むことができる。マルチフィラメントの可撓性材料の両端部は、溶融形成されることができる。マルチフィラメントの可撓性材料の両端部は、編み合わされることができる。
【0011】
組織修復装置は、ループを横断する可撓性部材を含むことができる。可撓性部材は、ループによって形成された内部を介して通されることによって、ループを横断できる。可撓性部材は、マルチフィラメントの可撓性材料を介して通されることによって、ループを横断できる。
【0012】
マルチフィラメントの可撓性材料の両端部は、接触部内で熱的に融合されることができる。可撓性材料は、マルチフィラメントの可撓性材料の熱的に融合された部分を介して通されることによって、ループを横断できる。
【0013】
マルチフィラメントの可撓性材料は、ポリマーベースの複合物から作製されることができる。
【0014】
可撓性部材は、マルチフィラメントの可撓性材料の編み合わされた部分を介して通されることによって、ループを横断できる。マルチフィラメントの可撓性材料は、組まれるか、または縒られることができる。
【0015】
別の全般的な態様では、組織修復装置は、マルチフィラメントの可撓性材料から閉じられたループを形成するステップによって作製される。形成するステップは、両端部をともに結び目に結ぶことなく接触部を形成するために、マルチフィラメントの可撓性材料の両端部をともに編み合わせるステップと、マルチフィラメントの可撓性材料の両端部を接触部の中で溶融させるステップとを含む。
【0016】
実施例は、1つまたは複数の以下の特徴を含んでよい。たとえば、本方法は、また、マルチフィラメントの可撓性材料の少なくとも一部を、固定部材によって形成された空洞部を介して通すステップを含むことができる。
【0017】
本方法は、可撓性部材をループを介して横断させるステップを含むことができる。横断させるステップは、ループによって形成された内部を介して可撓性部材を通すステップを含むことができる。横断させるステップは、マルチフィラメントの可撓性材料を介して可撓性部材を通すステップを含むことができる。横断させるステップは、マルチフィラメントの可撓性材料の接触部を介して可撓性部材を通すステップを含むことができる。
【0018】
閉じられたループを形成するステップは、マルチフィラメントの可撓性材料の両端部を接触部の中で熱的に融合するステップを含むことができる。マルチフィラメントの可撓性材料から閉じられたループを形成するステップは、可撓性要素の両端部に充填材料を塗布することなく形成するステップを含むことができる。
【0019】
別の一般的な態様では、組織修復装置は、マルチフィラメントの可撓性材料の閉じられたループと、固定部材とを含む。ループは結び目がなく、マルチフィラメントの可撓性材料の両端部が中で編み合わされた接触部を含む。固定部材は、閉じられたループの少なくとも一部を受ける空洞部を形成する構造を有する。
【0020】
別の全般的な態様では、組織修復装置は、空洞部を形成する構造を有する固定部材と、マルチフィラメントの可撓性要素と、可撓性部材とを含む。マルチフィラメントの可撓性要素は、空洞部内にある部分と、熱的に融合された端部とを含む。可撓性部材は、マルチフィラメントの可撓性要素の熱的に融合された端部を介して少なくとも部分的に通る。
【0021】
実施例は、1つまたは複数の以下の特徴を含むことができる。特に、マルチフィラメントの可撓性要素は、別の熱的に融合された端部を含み、可撓性部材がマルチフィラメントの可撓性要素の他方の熱的に融合された端部を介して通る。
【0022】
別の全般的な態様では、組織修復装置は、可撓性部材を固定部材に連結する手段を含む。
【0023】
装置および方法の態様は、1つまたは複数の以下の特長を含んでよい。マルチフィラメントの可撓性材料の両端部は、充填材料を使用することなく、熱的にともに融合される。ループは、配置の際において組織と固定部材との間の可撓性部材の締め付けを減少させるプーリとして働く。さらに、このプーリの構成は、固定部材が組織の中に配置されたとき、固定部材の縁部によって、または組織によって妨げられることなく、可撓性部材を固定部材に対して滑動させることができるようにする。
【0024】
他の特徴は、説明、図面、および特許請求の範囲から明らかになろう。
【0025】
異なる図面中の同様の符号は、同様の要素を示す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
図1A〜1Cおよび図2を参照して、組織修復装置100は、マルチフィラメントの可撓性材料の閉じられたループ105を含む。ループ105は結び目がなく、すなわち、ループ105は、マルチフィラメントの可撓性材料の両端部をともに結んで結び目にすることなく形成される。マルチフィラメントの可撓性材料は、ヒトの硬組織または軟組織の中への埋め込みに適切な材料であり、吸収性または非吸収性であってよい。マルチフィラメントの可撓性材料は、互いに縒り合わされた、またはそうでなければ連結された2つ以上の繊維または縒り糸を有する。マルチフィラメントの可撓性材料は、ともに編まれた、または絡み合わされた3つ以上の繊維または縒り糸を含むことができる。マルチフィラメントの可撓性材料は、撓ませるまたは曲げることができる。ループ105は閉じられて、マルチフィラメントの可撓性材料の第1端部が、マルチフィラメントの可撓性材料の第2端部に接触して接触部110を形成する。
【0027】
組織修復装置100は、また、ループ105の部分125を受ける、くり抜かれた部分または貫通穴である空洞部120を形成する固定部材115を含む。図示のように、固定部材115はまた、ループ105の別の部分135を受ける第2空洞部130を含んでよい。固定部材115は、ヒトの硬組織または軟組織の中への埋め込みに適する任意の剛性材料から作製されることができる。たとえば、固定部材115は、生物分解性プラスチック、生物分解性金属、または生物吸収性ポリマーから作製されることができる。
【0028】
固定部材115は、図1Bおよび1Cに示されるように、組織165の断裂部160を介して運ばれ、配置の後に組織165の外表面170に保持される保持部として形成されることができる。
【0029】
固定部材115は、たとえば図8に示されるアンカー270のような、配置の際に組織の中へ穴あけされるまたは打ち込まれるアンカーまたはねじとして形成されることができる。図8を参照して、軟組織262が骨264に固定され、縫合糸266が第1アンカー部材270および第2アンカー部材272に取り付けられる。縫合糸266は、アンカー部材270に固定された第1端部274と、第2自由端部276と、引き結び目268とを有する。アンカーまたはねじの形状においては、固定部材115を組織に対して保持するのを容易にするために、固定部材115がその外面に1つまたは複数のねじ山を含むことができる。しかしながら、結び目のないループ105が、縫合糸をアンカー270に固定するのに用いられることができる。このようなアンカーまたはねじの形状は、骨などの硬組織での使用のために特に構成される。代替として、固定部材115は、針などの送り装置内で受けるように、略円筒形の形状で形成されることができる。固定部材115は、その略円筒形の形状から延在するフィンを有することができる。
【0030】
組織修復装置100は、ループ105を横断する、たとえば縫合糸のような可撓性の固定部材140も含む。図1Aおよび1Bに示されるように、可撓性部材140は、ループ105および固定部115によって制限されたまたは囲まれた、ループ105の内部145を介して通されることによって、ループ105を横断する。可撓性部材140は、ヒトの硬組織または軟組織の中への埋め込みに適する材料であり、埋め込みの後に組織に吸収可能、または吸収不可能なものであってよい。たとえば、可撓性部材140は、たとえば、コラーゲン、外科用絹、外科用綿、または外科用鋼などの天然材料から作製することができる。別の例では、可撓性部材140は、たとえば、ポリマーまたはナイロンなどの合成材料から作製することができる。
【0031】
図3A〜3Cをまた参照して、組織修復装置100は、可撓性部材140がそれを介して通される第2固定部材150と、たとえば可撓性部材140の引き結び目などの保持要素300とを含むことができる。可撓性部材140は、可撓性部材140を固定部材150内の穴を介して通し、次に、可撓性部材140の端部を、固定部材150を介して通されていない可撓性部材140の領域に取り付けることによって、固定部材150を介して通される。保持要素300は、可撓性部材140が矢印305の方向に引かれ、保持要素300を介して通るようにし、こうして固定部材115と固定部材150との間の距離を縮め、断裂160の側部を互いに接触させる。保持要素300は、断裂160の側部が互いに接触した後離れるのを防止するために、固定部材115と固定部材150との間の距離の増加を防止する。
【0032】
固定部材115、150、保持要素300、および可撓性部材140のさらなる例は、2004年8月16日出願の特許文献5に見られることができる。
【0033】
図4および図5A〜5Eを参照して、手順400がループ105を形成するために行われる。まず、マルチフィラメントの可撓性材料500の第1端部510が、固定部材115の空洞部120を介して挿入される、または通される(ステップ405)。所望の場合、マルチフィラメントの可撓性材料500は、固定部材115の第2空洞部130を介して挿入されることができる。挿入の後、材料500の第1端部510が第2端部505と接触させられる(ステップ410)。熱的融合を容易にするために、端部505、510は、図5Bに示されるように、接触するように互いに編み合わされることができる。この場合、端部505の繊維が、端部510の繊維と編み合わされる。たとえば、端部505は、図5Bに示すように、端部510の繊維の間に挿入されることができる。別の例としては、端部505は、図5Cに示すように、端部510に形成された「チャイニーズトラップ」の内部を介して挿入されることができる。チャイニーズトラップは、円筒が内向きに押される際または外向きに引かれる際にそれぞれ拡張または収縮する開口部を形成する一対の端部を有する、編まれたまたは組まれた円筒を含む。端部505、510は、自由端部を引き、開口部の中に端部505、510を確実に固定するように開口部を縮小することによって、開口部内に固定されることができる。
【0034】
フィンガートラップを装着する人による最初の反応は、指を外向きに外すことであるが、これはトラップを締めるだけであり、脱却を困難にする。トラップの脱却のための解決法は、両端部を内向きに中央に向かって押すことであり、こうすることによって開口部を拡大して指を解放し、その後、締め付け反射を起こさないようにゆっくりと指をトラップからねじり出す。
【0035】
次に、端部505、510の材料が溶けるまたは液化する点まで端部505、510の温度が上がるまで、端部505、510にエネルギーが供給される(ステップ415)。この点において、端部505、510が互いに融和して、たとえばすなわち溶融形成された融和領域、すなわち、均一なまたは均質な組成を形成する。エネルギーは、たとえば、熱エネルギー、超音波エネルギー、レーザー光、またはアーク放電を用いて、端部505、510に供給される。端部505、510は、エネルギーが端部505、510に与えられる方法に依存して、適切なエネルギー供給装置の中に挿入ることができる。たとえば、供給されるエネルギーが熱エネルギーである場合、端部505、510は、合金の薄い膜の形状の電気抵抗ヒータ要素などのヒータ要素を使用して、局所的に加熱することができる。ヒータ要素は、誘導、放射、または化学反応などの他の手段によって、熱を生成することができる。融和された領域は接触部110に堅固な融和された組成を形成するように、冷めるまで置かれる(ステップ420)。端部505、510は、接着剤を用いて、または別の中間接合剤を介するなどして、化学的に互いに接合することができる。
【0036】
マルチフィラメントの可撓性材料は、材料の温度を上げるエネルギーを掛けることによって溶けるまたは液化することができ、マルチフィラメントの可撓性材料が融和領域を形成するように冷却に際して固化可能な、任意の材料であり得る。これらの特性を有する材料の例は、ナイロン、金属(たとえばチタンまたは鋼)、ならびにポリエステル繊維、ポリプロピレン、ポリブテステル、ポリグラクチン、ポリグレカプロンおよびポリジオキサノンなどのポリマーベースの複合物を含む。これらの特性を有する別の材料は、クモによって生成される天然絹タンパク質である。マルチフィラメントの可撓性材料500は、固定部材615を介する通過およびその後の熱融合ができるような任意の長さおよび直径であることができる。たとえば、可撓性材料500がタイプ0サイズである一実施例では、材料500は約4〜12mmの長さであり、約0.4mmの直径を有する。
【0037】
手順400は、特定サイズの縫合糸のための米国薬局方(USP)の基準値に等しいか、またはその基準値に近い降伏強さを有する接触部110を作製する。たとえば、USPタイプ0サイズの縫合糸では、接触部の降伏強さは約12〜13ポンドである。
【0038】
図6を参照して、別の実施例では、組織修復装置600は、上述のループ105と同様の構成である、マルチフィラメントの可撓性材料からなる閉じられたループ605を含む。ループ605は閉じられ、こうして、接触部610を形成するように、マルチフィラメントの可撓性材料の第1端部が、マルチフィラメントの可撓性材料の第2端部に接触する。マルチフィラメントの可撓性材料の1つまたは複数の端部は、チャイニーズトラップを含んでよい。
【0039】
組織修復装置600は、また、図2に関して上述されたように、ループ605の部分625を受ける空洞部620を画定する固定部材615を含む。組織修復装置600は、また、ループ605を横断する可撓性部材640を含む。図示のように、可撓性部材640は、この実施例において、ループ605の内部を通るのではなく、マルチフィラメントの可撓性材料の接触部610を介して通ることによって、ループ605を横断する。このようにして、可撓性部材640は、接触部610を介して自由に動く。たとえば、接触部610がチャイニーズトラップを含む場合、可撓性部材640は、このチャイニーズトラップを直接介して通ることになろう。
【0040】
図1Bおよび1Cを再び参照して、ループ105、605は、固定部材115、615の組織165の中への配置を容易にするように、可撓性部材140、640がそれを介して自由に滑動できるプーリのように働く。このプーリの構成によって、配置の際における組織165の表面170と固定部材115、615との間の可撓性部材140、640の締め付けが減少する。さらに、ループ105は、可撓性部材140、640と固定部材115、615との間の摩擦を減少させ、こうして、固定部材115、615が組織165の中に配置されたときに、固定部材115、615の縁部によって、または組織165によって妨げられることなく、可撓性部材140、640が滑動できるようにする。その他のプーリの構成は、特許文献1に示されている。装置100または600は、たとえば、図9および10に示され、特許文献1に詳細がさらに述べられる送り装置200などの送り装置を用いて組織165へ運ばれることができる。
【0041】
図7を参照して、別の実施例では、組織修復装置700は、熱的に融合された端部710と、固定部材715によって形成された空洞部720内にある部分725とを有するマルチフィラメントの可撓性要素705を含む。ループ105のマルチフィラメントの可撓性材料の端部505、510とは異なり、端部710は、要素705の第2端部712に接触されることなく熱的に融合される。この実施例では、端部710の材料が溶けるかまたは液化し、ともに融和して、融和した均一な組成を形成する点まで端部710の温度が上がるまで、端部710にエネルギーが供給される。エネルギーは、上述のやり方のうちの任意の1つによって供給されてよい。端部710の融和された組成は、堅固な融和された組成を形成するように冷めるまで置かれる。
【0042】
マルチフィラメントの可撓性要素705は、固定部材715を介する通過、およびそれに続く端部710の熱的融合を容易にする、任意の長さおよび直径であることができる。たとえば、可撓性材料705がタイプ0サイズである一実施例では、材料500は約4〜12mmの長さであり、約0.4mmの直径を有する。
【0043】
組織修復装置700は、熱的に融合された端部710を介して、たとえば、針を用いて端部710を介して可撓性部材740を通すことにより、少なくとも部分的に通される可撓性部材740を含む。可撓性部材740が端部710を介して通された後、可撓性部材は端部710に対して自由に動く。こうして、マルチフィラメントの可撓性要素705は、固定部材715の組織の中への配置を容易にするように、可撓性部材740がそれを介して自由に滑動できるプーリのように働く。
【0044】
可撓性部材740と可撓性要素705との間の引き抜き強さを改善するために、要素705の第2端部712は、(端部710に対して上述されたように)熱的に融合されてよく、可撓性部材740は、図示のように、熱的に融合された端部712を介して通されることができる。
【0045】
その他の実施例は、特許請求の範囲の範囲内にある。
【0046】
たとえば、マルチフィラメントの可撓性材料または接触部は、たとえば血管由来因子などの成長因子を含んでよい。マルチフィラメントの可撓性材料または接触部は、生物活性材料、刺激薬、または組織の治癒を促進する任意の物質を加えられていてよい。
【0047】
別の例では、接触部は、マルチフィラメントの可撓性材料の両端部を、糸として同様の結紮糸からなる追加要素を使用することによって、端部の温度を上げることなく縫い合わせることによって形成されることができる。たとえば、マルチフィラメントの可撓性材料がタイプ0サイズである場合、糸は、USP基準を用いた2〜0、4〜0、または8〜0サイズの高強度ポリエチレン縫合糸であることができる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1A】組織修復装置の斜視図である。
【図1B】軟組織の断裂の修復を示す、図1Aの組織修復装置の図である。
【図1C】軟組織の断裂の修復を示す、図1Aの組織修復装置の斜視図である。
【図2】図1Aの組織修復装置の固定部材およびループの側面断面図である。
【図3A】図1Aの組織修復装置に形成されることのできる保持要素の形成を示す側面斜視図である。
【図3B】図1Aの組織修復装置に形成されることのできる保持要素の形成を示す側面斜視図である。
【図3C】図1Aの組織修復装置に形成されることのできる保持要素の形成を示す側面斜視図である。
【図4】図1Aの組織修復装置のループを形成する手順のフローチャートである。
【図5A】図4の手順においてループの中に形成されたマルチフィラメントの可撓性材料の斜視図である。
【図5B】図4の手順においてループの中に形成されたマルチフィラメントの可撓性材料の斜視図である。
【図5C】図4の手順においてループの中に形成されたマルチフィラメントの可撓性材料の斜視図である。
【図5D】図4の手順においてループの中に形成されたマルチフィラメントの可撓性材料の斜視図である。
【図5E】図4の手順においてループの中に形成されたマルチフィラメントの可撓性材料の斜視図である。
【図6】組織修復装置の別の実施例の斜視図である。
【図7】組織修復装置の別の実施例の斜視図である。
【図8】軟組織を骨に付着するのに使用する閉じ装置の図である。
【図9】閉じ装置を軟組織の中へ挿入する送り装置の斜視図である。
【図10】図9の送り装置の側面図である。
【符号の説明】
【0049】
100 組織修復装置
105 ループ
110 接触部
115 固定部材
120 空洞部
125 部分
130 第2空洞部
135 部分
140 可撓性部材
150 第2固定部材
160 断裂部
165 組織
170 外表面
266 縫合糸
268 引き結び目
270 第1アンカー部材
272 第2アンカー部材
274 第1端部
276 第2自由端部
300 保持要素
305 矢印
500 可撓性材料
505 第2端部
510 第1端部
600 組織修復装置
605 ループ
610 接触部
615 固定部材
620 空洞部
625 部分
640 可撓性部材
700 組織修復装置
705 可撓性要素
710 端部
712 第2端部
715 固定部材
720 空洞部
725 部分
740 可撓性部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マルチフィラメントの可撓性材料からなる閉じられたループを備える組織修復装置であって、前記ループは、結び目がなく、前記マルチフィラメントの可撓性材料が中で編み合わされた接触部を含む組織修復装置。
【請求項2】
前記マルチフィラメントの可撓性材料の両端部が熱的に接合される請求項1に記載の組織修復装置。
【請求項3】
前記閉じられたループの少なくとも一部を受ける空洞部を形成する構造を有する固定部材をさらに備える請求項1から2のいずれか一項に記載の組織修復装置。
【請求項4】
前記ループを横断する可撓性部材をさらに備える請求項1から3のいずれか一項に記載の組織修復装置。
【請求項5】
前記可撓性部材が、前記ループによって形成された内部を介して通されることによって前記ループを横断する請求項4に記載の組織修復装置。
【請求項6】
前記可撓性部材が、前記マルチフィラメントの可撓性材料を介して通されることによって前記ループを横断する請求項4に記載の組織修復装置。
【請求項7】
前記可撓性部材が、前記マルチフィラメントの可撓性材料の前記編み合わされた部分を介して通されることによって前記ループを横断する請求項4に記載の組織修復装置。
【請求項8】
前記マルチフィラメントの可撓性材料の前記両端部が、前記接触部内で、ともに熱的に融合される、または化学的に接合される請求項1から7のいずれか一項に記載の組織修復装置。
【請求項9】
前記可撓性部材が、前記マルチフィラメントの可撓性材料の前記熱的に融合された部分を介して通されることによって前記ループを横断する請求項8に記載の組織修復装置。
【請求項10】
前記マルチフィラメントの可撓性材料が、ポリマーベースの複合体から作製される請求項1から9のいずれか一項に記載の組織修復装置。
【請求項11】
前記マルチフィラメントの可撓性材料が組まれている請求項1から10のいずれか一項に記載の組織修復装置。
【請求項12】
前記マルチフィラメントの可撓性材料が縒られている請求項1から11のいずれか一項に記載の組織修復装置。
【請求項13】
組織修復装置を作製する方法であって、
両端部をともに結び目に結ぶことなく接触部を形成するように、マルチフィラメントの可撓性材料の前記両端部をともに編み合わせるステップと、
前記マルチフィラメントの可撓性材料の前記両端部を前記接触部の中で溶融させるステップとを含む、
前記マルチフィラメントの可撓性材料から閉じられたループを形成するステップを含む方法。
【請求項14】
前記マルチフィラメントの可撓性材料の少なくとも一部を、固定部材によって形成された空洞部を介して通すステップをさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
可撓性部材を前記ループを介して横断させるステップをさらに含む請求項13または14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記可撓性部材を前記ループを介して横断させる前記ステップが、前記ループによって形成された内部を介して前記可撓性部材を通すステップを含む請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記可撓性部材を前記ループを介して横断させる前記ステップが、前記マルチフィラメントの可撓性材料を介して前記可撓性部材を通すステップを含む請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記可撓性部材を前記ループを介して横断させる前記ステップが、前記可撓性部材を前記マルチフィラメントの可撓性材料の前記接触部を介して通すステップを含む請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記閉じられたループを形成する前記ステップが、前記マルチフィラメントの可撓性材料の前記両端部を、前記接触部の中で熱的に融合するステップを含む請求項13から18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記マルチフィラメントの可撓性材料から前記閉じられたループを形成する前記ステップが、前記可撓性要素の前記両端部に充填剤を塗布することなく形成するステップを含む請求項13から18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
マルチフィラメントの可撓性材料からなる閉じられたループであって、結び目がなく、前記マルチフィラメントの可撓性材料の両端部が中で編み合わされた接触部を含むループと、
前記閉じられたループの少なくとも一部を受ける空洞部を形成する構造を有する固定部材とを備える組織修復装置。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図5D】
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【図5E】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2008−543509(P2008−543509A)
【公表日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−518488(P2008−518488)
【出願日】平成18年6月26日(2006.6.26)
【国際出願番号】PCT/US2006/024752
【国際公開番号】WO2007/002561
【国際公開日】平成19年1月4日(2007.1.4)
【出願人】(397071355)スミス アンド ネフュー インコーポレーテッド (186)
【Fターム(参考)】