説明

組電池とこれを装備する電動車両

【課題】電池セルを広い面積で効率よく冷却する。電池セルを冷却プレートに固定する組み立て工程や搬送工程において、電池セルの取り扱いを簡単かつ容易に、しかも安全にする。
【解決手段】組電池は、外装缶11を金属製とする複数の電池セル1を冷却プレート30の表面に熱伝導状態で固定し、冷却プレート30を介して各々の電池セル1を冷却している。電池セル1は、熱伝導を有する絶縁層2を介して金属製の熱伝外缶3に収納している。組電池は、熱伝外缶3を冷却プレート30に固定し、電池セル1の熱を絶縁層2と熱伝外缶3とを介して冷却プレート30に伝導している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として、ハイブリッド自動車や電気自動車等の自動車を駆動するモータの電源用等に使用される大電流用の組電池及びこれを装備する電動車両に関する。
【背景技術】
【0002】
モータで走行する電気自動車、あるいはモータとエンジンの両方で走行するハイブリッド自動車等の電動車両は、電池セルを外装ケースに収納した組電池を電源として搭載している。この組電池は、モータで自動車を走行できるように出力を大きくしており、100A以上の大電流で放電される。また、車両にブレーキをかけて制動するときには、車両の運動のエネルギーで電池を充電する、いわゆる回生制動をするので、組電池は大きな電流で充電される。大電流で放電され、また充電される組電池は発熱して温度が高くなるので効率よく放熱して、電池の温度を設定温度よりも低く保持する必要がある。電池の温度上昇は、電池を劣化させることに加えて、温度上昇を制限するために出力を制限する必要があって、電池を大電流で充放電できなくなる。とくに、複数の電池セルを設けて出力を大きくしている組電池は、各々の電池セルを均一な温度として温度差を少なくしながら放熱することが大切である。
【0003】
組電池を効率よく放熱するために、複数の電池セルを冷却プレートに固定して、冷却プレートで強制冷却する構造が開発されている。(特許文献1及び2参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−192207号公報
【特許文献2】特開2009−301877号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
以上の組電池は、複数の電池セルを冷却プレートの上に熱結合状態に固定している。冷却プレートは、ペルチェ素子や冷媒で強制的に冷却されて、これを固定している各々の電池セルを冷却する。この構造の組電池は、電池セルの底面を冷却プレートに固定して、冷却プレートで冷却するので、電池セルは底面から冷却される。電池セルの底面積は外装缶全体の表面積に比較して限られた面積となるので、外装缶を広い面積で効率よく冷却できない欠点がある。とくに、複数の電池セルを平行な姿勢に並べて冷却プレートに固定する構造は、多数の電池セルを冷却プレートに固定するために、電池セルには、薄い角形の電池セルが使用される。このため、電池セルの底面積は相当に小さく、冷却プレートに熱結合される面積が狭くなって効率よく冷却できない欠点がある。
【0006】
また、以上の組電池は、電池セルを均一に冷却するために、冷却プレートには優れた熱伝導特性が要求される。冷却プレートに温度差ができると、これで冷却する電池セルの温度差が大きくなるからである。このため、冷却プレートには熱伝導特性の優れた金属プレートが使用される。金属プレートは、導電性があるので、全ての電池セルを直接に固定することができず、絶縁状態で固定する必要がある。それは、冷却プレートに固定される電池セルの外装缶に電位差があるので、これを冷却プレートに直接に固定すると電池がショートするからである。冷却プレートと電池セルとの間に設ける絶縁材は、冷却プレートと電池セルとの熱伝導を悪くするので、少ない面積で冷却プレートに熱結合される電池セルは、さらに冷却プレートで効率よく冷却できなくなる。
【0007】
本発明は、以上の欠点を解決することを目的に開発されたものである。本発明の重要な目的は、電池セルを広い面積で効率よく冷却できる組電池とこれを装備する電動車両を提供することにある。
また、本発明の他の大切な目的は、電池セルを冷却プレートに固定する組み立て工程や搬送工程において、電池セルの取り扱いを簡単かつ容易に、しかも安全にできる組電池とこれを装備する電動車両を提供することにある。
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
【0008】
本発明の組電池は、外装缶11を金属製とする複数の電池セル1を冷却プレート30の表面に熱伝導状態で固定し、冷却プレート30を介して各々の電池セル1を冷却している。電池セル1は、熱伝導を有する絶縁層2を介して金属製の熱伝外缶3に収納している。組電池は、熱伝外缶3を冷却プレート30に固定し、電池セル1の熱を絶縁層2と熱伝外缶3とを介して冷却プレート30に伝導している。
【0009】
以上の組電池は、電池セルを広い面積で効率よく冷却できる特徴がある。それは、以上の組電池が、電池セルの発熱を、外装缶の底面のみでなく周囲の面からも広い面積で絶縁層から熱伝外缶に熱伝導し、限られた面積となる外装缶底面に比べて極めて大きい面積で熱伝外缶に熱伝導して、熱伝導特性の優れた熱伝外缶から冷却プレートに熱伝導して効率よく放熱するからである。熱伝外缶は、絶縁層を介して電池セルに接触するので、アルミニウムなどの熱伝導特性の優れた導電性のある金属を使用できる。このため、外装缶の相当に広い面積から熱伝外缶に伝導される発熱は、極めて優れた熱伝導特性の熱伝外缶を介して冷却プレートで効率よく冷却される。
【0010】
さらに、以上の組電池は、電池セルを絶縁層を介して熱伝外缶に収納しているので、電池セルを冷却プレートに固定する組み立て工程や搬送工程において、電池セルの取り扱いを簡単かつ容易に、しかも安全にできる特徴がある。それは、電池セルの表面に電位があっても、熱伝外缶の表面には電位がなく、電池セルの表面を熱伝外缶で絶縁状態に被覆できるからである。絶縁された熱伝外缶は、仮に金属などを介して電極端子に接続されてもショートすることはなく、極めて安全に取り扱いできる。電池セルは、外装缶自体をプラスチックなどの絶縁材で製作することもできるが、プラスチック製の外装缶は金属製の外装缶に比較して熱伝導特性が悪く、内部の発熱を効率よく外部に放熱できない。ところが、本発明の組電池は、絶縁層を介して電池セルを熱伝外缶に収納して、絶縁層でもって電池セルの表面を絶縁するので、電池セルの放熱特性を優れた状態としながら、その表面を絶縁して取り扱いを容易に、しかも安全にできるという極めて優れた特性を実現する。
【0011】
本発明の組電池は、電池セル1を角形電池セルとし、熱伝外缶3を、この角形電池セルを絶縁層2を介して収納できる底を閉塞してなる角形として、角形の熱伝外缶3の底面を冷却プレート30に固定することができる。
以上の組電池は、角形電池セルを収納する角形の熱伝外缶の底面を冷却プレートに固定することで、角形電池セルの熱を絶縁層と熱伝外缶とを介して効率よく冷却プレートに熱伝導して電池セルを効率よく冷却できる。
【0012】
本発明の組電池は、熱伝外缶3の開口部3Aに絶縁材からなる蓋4を固定することができる。
以上の組電池は、熱伝外缶の開口部に絶縁材からなる蓋を固定するので、電池セルの上面を絶縁材からなる蓋で確実に絶縁して、絶縁の信頼性を向上できる。
【0013】
本発明の組電池は、絶縁層2を、電池セル1と熱伝外缶3との間に充填してなる絶縁性の接着剤5とすることができる。
以上の組電池は、電池セルと熱伝外缶との間に接着剤を充填することで、極めて簡単に絶縁層を設けることができる。
【0014】
本発明の組電池は、絶縁層2を、電池セル1と熱伝外缶3との間に挿入された絶縁性の隙間材7と、この隙間材7の隙間に充填された接着剤5とで構成することができる。
以上の組電池は、電池セルと熱伝外缶との間に挿入した絶縁性の隙間材で確実に絶縁しながら、接着剤を充填することで電池セルから熱伝外缶へ効率よく熱伝導できる。
【0015】
本発明の組電池は、隣接する熱伝外缶3を互いに熱結合する状態で冷却プレート30に固定することができる。
以上の組電池は、隣接する熱伝外缶を互いに熱結合するので、複数の電池セルを均一に冷却できる特徴がある。
【0016】
本発明の組電池は、複数の熱伝外缶3を互いに密着状態に固定することができる。
以上の組電池は、多数の電池セルを省スペースに配置して組電池としながら、各々の電池セルを確実に冷却できる。
【0017】
本発明の組電池は、熱伝外缶3と冷却プレート30との間に熱伝導剤18を設けることができる。
この組電池は、熱伝外缶と冷却プレートとを熱伝導剤を介して熱結合するので、熱伝外缶から冷却プレートに効率よく熱伝導できる。
【0018】
本発明の電動車両は、車両を走行されるモータに電力を供給する電源として、上記の組電池を装備することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施例にかかる組電池の平面図である。
【図2】図1に示す組電池の分解側面図である。
【図3】図2に示す組電池の垂直横断面図である。
【図4】図1に示す組電池の絶縁角形電池の一部拡大垂直横断面図である。
【図5】図4に示す絶縁角形電池の分解斜視図である。
【図6】絶縁角形電池の他の一例を示す一部拡大垂直横断面図である。
【図7】図6に示す絶縁角形電池の分解斜視図である。
【図8】絶縁角形電池の他の一例を示す一部拡大垂直横断面図である。
【図9】図8に示す絶縁角形電池の分解斜視図である。
【図10】絶縁角形電池の他の一例を示す分解斜視図である。
【図11】図2に示す冷却プレートの水平断面図である。
【図12】本発明の一実施例にかかる電動車両であってエンジンとモータで走行するハイブリッドカーを示すブロック図である。
【図13】本発明の他の実施例にかかる電動車両であってモータのみで走行する電気自動車を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施例は、本発明の技術思想を具体化するための組電池とこれを搭載する電動車両を例示するものであって、本発明は組電池と電動車両を以下のものに特定しない。さらに、この明細書は、特許請求の範囲を理解しやすいように、実施例に示される部材に対応する番号を、「特許請求の範囲」および「課題を解決するための手段の欄」に示される部材に付記している。ただ、特許請求の範囲に示される部材を、実施例の部材に特定するものでは決してない。
【0021】
図1ないし図3に示す組電池は、主として、エンジンとモータの両方で走行するハイブリッドカーや、モータのみで走行する電気自動車などの電動車両の電源に最適である。ただし、ハイブリッドカーや電気自動車等の電動車両以外の用途であって、大出力が要求される用途にも使用される。
【0022】
図1ないし図3に示す組電池100は、外装缶11を金属製とする複数の電池セル1を冷却プレート30の表面に熱伝導状態で固定している。この組電池100は、冷却プレート30を強制的に冷却して、各々の電池セル1の発熱を放熱する。
【0023】
電池セル1は、図3ないし図5に示すように、熱伝導を有する絶縁層2を介して金属製の熱伝外缶3に収納して絶縁角形電池10としている。絶縁角形電池10は、熱伝外缶3を冷却プレート30に固定して、電池セル1の発熱を絶縁層2と熱伝外缶3とを介して冷却プレート30に熱伝導して放熱する。この組電池100は、電池セル1の発熱を、電池セル1の外装缶11→絶縁層2→熱伝外缶3→冷却プレート30に伝導して、冷却プレート30から効率よく放熱する。
【0024】
図1ないし図3の組電池100は、図5に示すように、電池セル1を角形電池セルとし、熱伝外缶3は、この角形電池セルを、絶縁層2を介して収納できる底を閉塞している角形として、角形の熱伝外缶3の底面を冷却プレート30に固定している。
【0025】
(電池セル1)
電池セル1は、幅よりも薄い外形を四角形とする薄型の角形電池セルで、熱伝外缶3に収納して絶縁角形電池10としている。絶縁角形電池10は、互いに平行な姿勢とし、互いに隙間なく密着するように積層して、冷却プレート30に固定している。電池セル1は、図5に示すように、上面の両端部に正負の電極端子13を突出させて固定している。電極端子13を突出させる位置は、正極と負極が左右対称となる位置としている。これにより、電池セル1を裏返して重ねて積層し、隣接して接近する正極と負極の電極端子を金属板のバスバー15で接続し、あるいは直接に接続して、直列に接続できる。電池セル1を直列に接続する組電池100は、出力電圧を高くして出力を大きくできる。ただし、組電池は、電池セルを並列と直列に接続することもできる。
【0026】
電池セル1はリチウムイオン二次電池である。ただし、電池セルはリチウムイオン二次電池には特定されず、充電できる全ての電池、たとえばニッケル水素電池なども使用できる。電池セル1は、外装缶11の開口部を封口板12で気密に閉塞している。外装缶11は、正負の電極板を積層している電極体を収納して電解液を充填している。外装缶11は、図5に示すように、底を閉塞する四角い筒状に金属板をプレス加工したもので、上方の開口部を金属板の封口板12で気密に閉塞している。外装缶11は、アルミニウムやアルミニウム合金などの金属板を深絞り加工して製作される。金属板を深絞り加工している外装缶11は、開口部に向かって内形を大きくするテーパー状としている。深絞り加工の金型を型抜きするためである。したがって、外装缶11は、開口部となる上端の外形を底面の外形よりもわずかに大きくしている。封口板12は、外装缶11と同じように、アルミニウムやアルミニウム合金などの金属板で製作される。この封口板12は、正負の電極端子13を両端部に、端子ホルダ14を介して固定している。封口板12は、外装缶11の開口部に挿入され、封口板12の外周と外装缶11の内周との境界にレーザービームを照射して、封口板12は外装缶11にレーザー溶接して気密に固定されている。
【0027】
(端子ホルダ14)
端子ホルダ14は、傾斜面を有する三角形状に形成されており、電池セル1の上面で電極端子13の突出部分を除く周囲を絶縁している。この端子ホルダ14は、プラスチックなどの絶縁性部材で構成される。端子ホルダ14の傾斜面には電極端子13を配置しており、電極端子13を傾斜姿勢で突出させた状態で、電池セル1の両端部の定位置に配置している。一方、正負の電極端子13は、内蔵する正負の電極板(図示せず)に接続されている。
【0028】
(バスバー15)
さらに、電池セル1は、電極端子13にバスバー15を接続している。バスバー15は電極端子13に固定している止ネジ13Aを挿通し、この止ネジ13Aにナット16をねじ込んで、電極端子13に固定される。バスバー15は、金属板の両端部に、隣接する電池セル1の電極端子13に固定している止ネジ13Aを挿通するための貫通孔を開口している。バスバー15は電極端子13に積層して固定される。組電池100は、隣接する電池セル1の電極端子13をバスバー15で連結して、互いに直列に接続している。電池セル1を直列に接続している組電池100は、出力電圧を高くできる。ただし、組電池は、電池セルを並列に接続して電流容量を大きくすることもできる。電極端子は、金属板として、これを直接に隣接する電池セルの電極端子に積層して積層部を止ネジで連結することもできる。
【0029】
(蓋4)
絶縁角形電池10は、熱伝外缶3の開口部3Aに絶縁材の蓋4を固定している。蓋4は、電極端子13を外部に露出させる貫通孔4aや安全弁の開口部17を外部に露出させる貫通孔4bを開口して設けている。蓋4は、絶縁材のプラスチックを成形して製作している。図3ないし図5の蓋4は、板状部4Aの下面に挿入リブ4Bを突出するように設けている。蓋4は、板状部4Aと挿入リブ4Bとをプラスチックで一体的に成形している。板状部4Aの外形は、熱伝外缶3の開口部3Aの外形にほぼ等しい。挿入リブ4Bは、熱伝外缶3の開口部3Aに挿入される四角形の筒状で、四角形である筒状の外形を熱伝外缶3の内形にほぼ等しく、筒状の内形を電池セル1の外形にほぼ等しくしている。この蓋4は、熱伝外缶3に電池セル1を挿入する状態で、挿入リブ4Bを電池セル1と熱伝外缶3との隙間に挿入して、定位置に固定される。
【0030】
(絶縁層2)
熱伝外缶3と電池セル1との間に設けられて、熱伝外缶3を電池セル1の外装缶11から絶縁する絶縁層2は、絶縁性の接着剤5である。ただし、絶縁層2には、図6と図7に示すように、プラスチックシート6も使用できる。プラスチックシート6は、図7に示すように、電池セル1の外装缶11の底面と外周面を被覆する状態で、固定テープ9を介して定位置に固定し、あるいは、接着剤を介して電池セルの外装缶の表面に貼着することができる。絶縁性の接着剤5やプラスチックシート6は、ウレタン系、エポキシ系、シリコン系のものが使用できる。絶縁層2を接着剤5とする絶縁角形電池10は、電池セル1の表面に、あるいは熱伝外缶3の内面に、あるいは電池セル1の表面と熱伝外缶3内面の両方にペースト状の未硬化樹脂を塗布する状態で、電池セル1を熱伝外缶3に挿入して製作される。
【0031】
さらに、絶縁角形電池10は、図8ないし図10に示すように、絶縁層2として、電池セル1と熱伝外缶3との間に絶縁性の隙間材7を挿入し、隙間材7の隙間に絶縁性の接着剤5を充填して製作することもできる。絶縁性の隙間材7には、プラスチック製の網材、プラスチック製の多孔板、格子状や碁盤状に成形してなるプラスチック製のシートなどが使用できる。シート状や板状の隙間材7A、7Bは、図8と図9に示すように、電池セル1の外装缶11の表面を被覆する状態で、固定テープ9を介して定位置に固定し、あるいは、接着剤を介して電池セルの外装缶の表面に貼着することができる。
【0032】
接着剤5を充填する絶縁角形電池10は、図8に示すように、熱伝外缶3の底面に隙間材7Bを配置して、電池セル1の外周面に隙間材7Aを配置する状態で隙間材7Aに接着剤5を塗布して製作される。また、絶縁角形電池10は、熱伝外缶3の底面に隙間材7Bを配置して、電池セル1を熱伝外缶3に挿入した後、電池セル1の外周と熱伝外缶3の内面との間に隙間材7Aを挿入し、隙間材7Aの隙間に接着剤5を充填して製作することもできる。
【0033】
さらに、隙間材7は、図10に示すように、プラスチックでもって、熱伝外缶3と電池セル1との間に挿入される箱形に成形することもできる。この隙間材7Cは、熱伝外缶3の内側に挿入されて、電池セル1を挿入する状態で、隙間に接着剤を充填して絶縁角形電池10とする。箱形の隙間材7Cは、熱伝外缶3と電池セル1との隙間に密着される形状に成形して、接着剤を使用することなく、電池セル1と熱伝外缶3との隙間に絶縁層2を設けることもできる。
【0034】
(電池ブロック20)
絶縁角形電池10は、図1ないし図3に示すように、熱伝外缶3を互いに熱結合させるように、互いに接触状態に積層して電池ブロック20として、冷却プレート30に固定している。絶縁角形電池10は、熱伝外缶3を互いに密着状態に固定して電池ブロック20としている。熱伝外缶3と冷却プレート30との間には、熱伝導剤18を設けて、効率よく熱伝導できるようにしている。この熱伝導材18には、熱伝導ペーストや熱伝導シートが使用できる。ただ、絶縁角形電池は、熱伝外缶の底面を直接に冷却プレートに接触させることもできる。電池ブロック20は、その両端面にエンドプレート21を配置して、一対のエンドプレート21を連結固定具22で固定して、積層している絶縁角形電池10を所定の圧力で押圧する状態に固定して、互いに接触状態に固定している。エンドプレート21は、絶縁角形電池10の外形と同じ形状と寸法の四角形として、電池ブロック20を両端面から挟着して固定している。エンドプレート21は、プラスチック製または金属製とすることができる。絶縁角形電池10は、熱伝外缶3の表面に電位がないので、エンドプレート21を金属製としても、絶縁角形電池10の表面に直接に積層することができる。連結固定具22は、止ネジ23を介してエンドプレート21に固定している。
【0035】
(冷却プレート30)
冷却プレート30は、図11に示すように、内部に冷媒通路31を設け、この冷媒通路31に液化された冷媒を供給し、冷媒を冷媒通路31で気化させて、冷媒の気化熱で強制的に冷却して、熱伝外缶3を介して電池セル1を冷却する。冷却プレート30を冷媒の気化熱で強制冷却する冷却機構35は、気体の状態にある冷媒を加圧するコンプレッサ36と、このコンプレッサ36で加圧された気体を冷却して液化させる凝縮器37と、この凝縮器37で液化された冷媒を冷却プレート30の冷媒通路31に供給する膨張弁38とを備えている。この冷却機構35は、膨張弁38を介して液化された冷媒を冷却プレート30に供給し、供給された冷媒を冷却プレート30の内部で気化させて気化熱で冷却プレート30を冷媒する。気化された冷媒は、コンプレッサ36で加圧されて凝縮器37に供給され、凝縮器37で液化され、膨張弁38を介して冷却プレート30の冷媒通路31に循環されて、冷却プレート30を冷媒する。
【0036】
冷却プレートは、必ずしも冷媒の気化熱で冷却する必要はなく、たとえば、冷却された液体を内部に循環して冷却することができる。また、冷却プレートは、内部に冷却気体の通路を設けて、この通路に冷却された気体を強制送風して冷却することもできる。
【0037】
以上の組電池100は、車両に搭載されて車両を走行させるモータに電力を供給する電源装置として使用される。この組電池100を備える電源装置は、図示しないが、電池セル1の温度を検出する複数の温度センサと、この温度センサで検出される電池セル1の温度で電池の電流と冷却機構35を制御する制御回路とを備える。
【0038】
図12に、エンジンとモータの両方で走行するハイブリッドカーに電源装置90を搭載する例を示す。この図に示す電源装置90を搭載した車両HVは、車両HVを走行させるエンジン96及び走行用のモータ93と、モータ93に電力を供給する組電池100を備える電源装置90と、組電池の電池を充電する発電機94とを備えている。電源装置90は、DC/ACインバータ95を介してモータ93と発電機94に接続している。車両HVは、電源装置90の電池を充放電しながらモータ93とエンジン96の両方で走行する。モータ93は、エンジン効率の悪い領域、たとえば加速時や低速走行時に駆動されて車両を走行させる。モータ93は、電源装置90から電力が供給されて駆動する。発電機94は、エンジン96で駆動され、あるいは車両にブレーキをかけるときの回生制動で駆動されて、電源装置90の電池を充電する。
【0039】
また、図13に、モータのみで走行する電気自動車に電源装置90を搭載する例を示す。この図に示す電源装置90を搭載した車両EVは、車両EVを走行させる走行用のモータ93と、このモータ93に電力を供給する組電池100を備える電源装置90と、この電源装置90の電池を充電する発電機94とを備えている。モータ93は、電源装置90から電力が供給されて駆動する。発電機94は、車両EVを回生制動する時のエネルギーで駆動されて、電源装置90の電池を充電する。
【符号の説明】
【0040】
1…電池セル
2…絶縁層
3…熱伝外缶 3A…開口部
4…蓋 4A…板状部
4B…挿入リブ
4a…貫通孔
4b…貫通孔
5…接着剤
6…プラスチックシート
7…隙間材 7A…隙間材
7B…隙間材
7C…隙間材
9…固定テープ
10…絶縁角形電池
11…外装缶
12…封口板
13…電極端子 13A…止ネジ
14…端子ホルダ
15…バスバー
16…ナット
17…開口部
18…熱伝導剤
20…電池ブロック
21…エンドプレート
22…連結固定具
23…止ネジ
30…冷却プレート
31…冷媒通路
35…冷却機構
36…コンプレッサ
37…凝縮器
38…膨張弁
90…電源装置
93…モータ
94…発電機
95…インバータ
96…エンジン
100…組電池
HV…車両
EV…車両

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外装缶(11)を金属製とする複数の電池セル(1)が冷却プレート(30)の表面に熱伝導状態で固定され、前記冷却プレート(30)を介して各々の電池セル(1)を冷却する組電池であって、
前記電池セル(1)が、熱伝導を有する絶縁層(2)を介して金属製の熱伝外缶(3)に収納され、熱伝外缶(3)が前記冷却プレート(30)に固定されて、電池セル(1)の熱が絶縁層(2)と熱伝外缶(3)とを介して冷却プレート(30)に伝導してなることを特徴とする組電池。
【請求項2】
前記電池セル(1)が角形電池セルで、前記熱伝外缶(3)がこの角形電池セルを絶縁層(2)を介して収納できる底を閉塞してなる角形で、角形の熱伝外缶(3)の底面を前記冷却プレート(30)に固定してなる請求項1に記載される組電池。
【請求項3】
前記熱伝外缶(3)の開口部(3A)に絶縁材からなる蓋(4)を固定してなる請求項2に記載される組電池。
【請求項4】
前記絶縁層(2)が、電池セル(1)と熱伝外缶(3)との間に充填してなる絶縁性の接着剤(5)である請求項1ないし3のいずれかに記載される組電池。
【請求項5】
前記絶縁層(2)が、電池セル(1)と熱伝外缶(3)との間の挿入されてなる絶縁性の隙間材(7)と、この隙間材(7)の隙間に充填してなる接着剤(5)とからなる請求項1ないし4のいずれかに記載される組電池。
【請求項6】
隣接する熱伝外缶(3)が互いに熱結合する状態で前記冷却プレート(30)に固定されてなる請求項1ないし5のいずれかに記載される組電池。
【請求項7】
前記複数の熱伝外缶(3)が互いに密着状態に固定されてなる請求項1ないし6のいずれかに記載される組電池。
【請求項8】
前記熱伝外缶(3)と冷却プレート(30)との間に熱伝導剤(18)を設けてなる請求項1ないし7のいずれかに記載される組電池。
【請求項9】
請求項1ないし8のいずれかに記載される組電池を、車両を走行されるモータに電力を供給する電源として装備する電動車両。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−119158(P2012−119158A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−267743(P2010−267743)
【出願日】平成22年11月30日(2010.11.30)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】