説明

経口抗菌医薬組成物

本発明は、大腸、特に結腸の感染治療に対する抗菌性および/または抗感染性の活性を有する少なくとも1種の活性成分を含有する制御および/またはプログラム化された放出をともなう経口医薬組成物に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、経口抗菌医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
腸内感染は、様々な起源の外来病原体による腸でのコロニー形成により引き起こされるか、または通常存在して有毒となる腸内微生物によって引きおこされる一般的な疾患である。
【0003】
腸が、2つの異なる部分、すなわち、頭尾方向に、十二指腸、空腸および回腸によって、形成された“小腸”と呼ばれる近位部と、結腸および直腸−肛門(recto-anus)によって形成された “大腸”と呼ばれる遠位部とに分割されることは公知である(非特許文献1)。
【0004】
小腸および大腸の2つの部分は、小腸から大腸への腸の内容物の通過を可能にするが、大腸から小腸への通過を不可能にする回盲弁によって解剖学上完全に分離されている。
【0005】
解剖学的構造からの観点に加え、大腸は、とりわけ、機能上の観点からも、小腸と著しく異なる(非特許文献2)。
【0006】
小腸は、食物の大部分の消化、その吸収、ビタミンB群およびビタミンKの生成、胆汁酸および種々のその他の有機物質の代謝、および、下流部位への食塊の迅速な輸送を担っているが、大腸は、水分の吸収、植物繊維の消化および小腸で開始される幾つかの消化過程の完結を担っている。
【0007】
さらに、大腸は、かなり豊富な細菌叢(そのバランスは、周囲pHの調節、運動性、ガスおよびアンモニアの生成、大便の形成、および大腸の良好な機能を維持するのに不可欠な代謝産物の生成において基本的に重要である)の存在により小腸と異なっている。
【0008】
小腸と大腸の間のこれらの多くの相違は、大腸、特に結腸を犠牲にして起こる幾つかの病状に特有な性質を説明する。
【0009】
結腸は、大腸の一部であり、大部分の細菌株に対する宿主であり、潜在的に有毒となる永久叢(permanent flora)に対して、または、病原菌の増殖およびコロニー形成に対して、特に適している、pH、嫌気生活、湿度およびゆっくりした移動の条件を与える。これらの理由のために、結腸は、最も感染しやすい腸の区域である。実際に、結腸の位置での感染(感染性大腸炎、細菌性赤痢、下痢、偽膜性大腸炎、憩室炎など)は、胃腸病学研究論文において、重要な、独自の章を構成する(非特許文献3)。
【0010】
さらに、ガスの生成に結びつき、局所的素因に関連する腔内圧の増加は、感染および炎症を受け易く、結腸中にもっぱら位置する憩室の発生を促進し得る(非特許文献4)。
【0011】
現在、腸内感染、特に 結腸感染の経口治療は、抗菌活性を有する物質であって、特有の性質、例えば、グラム陽性およびグラム陰性菌についての広範な活性スペクトル、胃の環境などの強い酸性環境に対する耐性、腸内バイオマスの存在に無関係な抗感染性活性、適切な期間にわたる腸での滞留、感染宿主細胞への良好な浸透性および良好な許容性などを有しなければならいものが用いられる(非特許文献5)。
【0012】
今日用いられている経口製剤で投与される抗菌剤での治療には、少なくとも2つの制限がある。第一に、抗菌剤は、適切に保護されなければ、胃または小腸を通過する際に起こる酵素または分解による不活性化のために効能を失うかもしれない。
【0013】
さらに、今日用いられている剤型は、個別用量で活性成分の投与が認められているが、消化管を通過するのにかかる時間に対して活性成分の放出があまりに迅速であり、その結果、活性成分は、消化管全体にわたって無差別に抗感染性活性をもたらす。
【0014】
このことは、小腸(十二指腸、空腸および回腸)中に生育する非病原性細菌叢の消失を招くが、該叢は、感染部位には通常存在しないので、保護されるべきであり、今日用いられる処方剤に特有な滅菌作用に曝されるべきではない。
【0015】
なぜなら、この細菌叢は、例えば、食事の栄養成分(alimentary nutritive component)の消化と吸収、ビタミン(ビタミンKおよびビタミンB群)の生成および吸収、胆汁酸およびステロイドホルモンの代謝、種々の物質の活性化および不活性化、生体異物からの生体の保護などの基本となる生物学的プロセスに重要であることは公知であるからである(非特許文献5)。
【0016】
特に、結腸中に位置する病状の治療に対する通常の経口抗菌療法は、おそらく腸内管腔中での活性成分の過剰な希釈のために相いれない結果を与えることが多い。すなわちこの希釈は、抗菌剤を含む剤型からの抗菌剤の早期の放出により引き起こされるが、この放出は、胃内および患者の幽門弁のすぐ近くで早くも起こる。
【0017】
さらに、消化管の殺菌に用いられる抗菌剤は、抗菌剤を含有する伝統的な剤型の投与に関連する治療の可能性を不変に保つために高い代謝率を有していないことが多いけれども、抗菌剤の存在に付随する治療の有効性のあらゆる低下を避けるためには代謝低下の現象が起こるべきではない。
【0018】
したがって、このような場合には、抗感染治療の実際の効能を確保するために、制御され、且つ、部位特異的な投与形態の実現性の必要があると思われる。
【0019】
なぜなら、憩室または一般的な感染が確立される領域のすぐ近くに抗菌性/抗感染性の活性成分を放出することは、経口投与の従来型の場合よりもかなり高い濃度勾配を形成することに繋がり、その結果、抗菌剤が憩室の内側に首尾よく浸透する可能性が高くなるからである。
【0020】
この状況下においては、広範囲ではないが、少なからず社会疫学的に重要な感染性の病状、例えば、細菌性赤痢および偽膜性大腸炎の軽減の可能性にも、ならびに、大腸、特に結腸が犠牲となる外科手術における感染合併症の軽減の可能性にも特に重きが置かれている。
【0021】
1960年代から知られているリファマイシンSVは、リファマイシンSから誘導され、局所的におよび非経口的に強力な抗菌性および/または抗感染性の活性を有している半合成の活性成分である。その活性はまた、グラム陽性菌、例えばStaphylococcus aureusまたはEnterococcus faecalisに対しては最低濃度(mcg/ml)で、ならびに、グラム陰性菌、例えば、Escherichia coli、Salmonella、Enterobacter aerogenes、Enterobacter cloacaeもしくはPseudomonas aeruginosaに対しては、比較的高濃度でin vitro評価された。
【0022】
ナトリウム塩の形態でのリファマイシンSVは現在、外用局所使用と注射用の双方においてRifocin(登録商標)の名の下で販売されている。特に、感染過程の局所治療に必要とされる局所使用は、活性成分(これは使用時に希釈されるべきものである)の溶液による外用に制限される。
【0023】
引用により本明細書中に組み込まれる特許出願(特許文献1)には、小腸が犠牲となる異常な細菌の成長(Small Intestin OvergrowthSIBO)により引き起こされた病状の治療に用いられ得る医薬組成物の調製のための、ジェネリックなリファマイシンを含めた抗菌剤の使用が記載されている。これらの組成物は、腸の近位部、すなわち、もっぱら小腸(十二指腸、空腸および回腸)において、迅速に活性成分を放出するような方法で処方されている。
【0024】
メトロニダゾールは、グラム陽性菌およびグラム陰性菌の双方に対して強力な抗菌活性および広域活性スペクトルを有するニトロイミダゾール化学療法薬である。さらに、メトロニダゾールが、検証された抗原虫活性を有することは公知である(非特許文献6)。メトロニダゾールを用いた最近の治療は、250 mgの活性成分を含有し、速放性に処方されている錠剤(Flagyl(登録商標))によって補助されている。
【0025】
【特許文献1】WO 01/11077
【特許文献2】EP 1183014
【特許文献3】GB 2245492
【特許文献4】EP 572942
【非特許文献1】Faller A, Scevola G. Anatomia e Fisiologia del Corpo Umano (Anatomy and Physiology of the Human Body). Vol I. Edizioni Minerva Medica, Turin, 1973, pp. 235-254
【非特許文献2】Braga PC. Enteric microflora and its regulation. In Drugs in Gastroenterology. Raven Press, New York, 1991, pp. 501-508
【非特許文献3】Sorice F., Vullo V. Intossicazioni alimentari e infezioni del tubo digerente. (Food Poisoning and Infections of the Alimentary Canal). In: Medicina Clinica (Clinical Medicine).Edizioni Medico Scientifiche, Turin, 2002
【非特許文献4】Jackson BT. Diverticular disease. In: Inflammatory Bowel Diseases Churchill Livingston, New York, 1997, pp. 443-447
【非特許文献5】Braga PC. Interaction of antibiotics on enteric microflora. In: Drugs in Gastroenterology. Raven Press, New York, 1991, pp. 509-517
【非特許文献6】Tracy J.W. et al., Metronidazole, in: Goodmen & Gilman's, The Pharmacological Bases of Therapeutics, IX Ed., 1996, pp 995-998
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0026】
驚くべきことに、大腸、特に結腸の感染治療における抗菌性/抗感染性の活性成分例えばリファマイシン SVおよび/またはメトロニダゾールの効能は、消化管の最初の部分、例えば、胃、十二指腸および空腸における活性成分の早期放出によって引き起こされる上記の望ましくない効果(ビタミン欠乏症、非病原性細菌叢の分解など)を除去することによって、ならびに、活性成分が感染部位に到達し得る前にもたらされる活性成分を代謝性の酵素による不活性化から保護することよって、実質的に高まり得ることが分かった。
【0027】
特に、リファマイシン SVの効能は、特定の病原性の細菌株、例えば、下記の表Aに示されるようなEscherichia coli、Enterobacter faecalis、Proteus vulgaris、Pseudomonas aeruginosa、Salmonella typhiおよびEnterobacter cloacaeなどに対して、MIC (Minimum Inhibiting Concentration)の評価によって確認された。
【0028】
【表1】

【課題を解決するための手段】
【0029】
したがって、本発明は、抗菌性/抗感染性作用を有する活性成分、例えばリファマイシンSVおよび/またはメトロニダゾールを含有する経口医薬組成物であって、該組成物は、特定の滅菌作用を必要とする大腸部分において実質的に活性成分を放出するが、感染の影響を受けない小腸部分に存在する非病原性細菌叢を変化させないような方法で処方されていることを特徴とする組成物に関する。
【0030】
特に、本発明による製剤は、もっぱら結腸において活性成分を放出することが可能であり、したがって、局所的で、制限された抗感染性の効能を保証する。
【0031】
結果的に、本発明の製剤の利点は、大腸、特に結腸における、著しい部位特異性であり、感染された遠位の腸内領域において、より高濃度の活性成分を可能にし、健全な近位領域の保護が完全となる。
【0032】
この利点は、製剤の部位特異性と許容性が病状の消散に重要な役割を果たす、感染性大腸炎、細菌性赤痢、憩室疾患および憩室炎などの結腸領域内での特定の病理学的状態の治療の間に主に発揮される。
【0033】
本発明の製剤のさらに有利な適用は、回結腸の吻合における大腸の外科手術の準備の間の使用、および、高アンモニア血症(hyperammonaemias)の予防および/または治療のための、アンモニア生成結腸叢の滅菌における使用である。これらの最後に述べた症例において、治療の部位特異性およびその結果として生じる活性成分の活性濃度は、別の方法では、実質的な合併症を伴うであろう症例の重要な解決策となり得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
本発明の製剤において、抗菌性/抗感染性の活性を有する物質は、10〜90重量%の量で含有されており、特にリファマイシンSVは、20%〜60重量%の量で含有されており、一方、メトロニダゾールは、25%〜70重量%の量で含有されている。
【0035】
本発明の経口製剤は、錠剤、カプセル、顆粒および/または微顆粒から選択される。
本発明の好ましい実施形態は、活性成分が取り込まれた第1の両親媒性マトリックスの存在と、当該マトリックスが第2の親油性マトリックス中に分散されていることによって特徴付けられる制御放出システムを含む。このようにして得られた剤型は再び、さらには、最終経口剤型を製造する前に第3の親水性マトリックス中に分散される。
【0036】
本発明の親油性マトリックスは、融点が90℃未満の物質、例えば、蜜蝋、カルナウバロウ、ステアリン酸、ステアリンなどによって代表される。両親媒性マトリックスは、例えば、リン脂質、セラミド、スフィンゴミエリン、レシチン、アルキルブロックコポリマー、硫酸化アルキル酸の塩、ポリオキシエチレン化アルキル、ソルビタンの誘導体などから選択される物質で代表され、そして、親水性マトリックスは、ヒドロゲルとして公知の、一般に架橋されたもしくは線状のポリマーまたはコポリマー物質、すなわち、水分子と接触した場合に、ポリマー主鎖または側鎖に存在する極性基のために、体積および重量を増加し得る物質によって代表される。
【0037】
特に、親水性マトリックスは、例えば、ヒドロキシアルキルセルロース、アルキルセルロース、カルボキシアルキルセルロースおよびそれらの塩または誘導体のようなセルロース誘導体、ポリビニルアルコール、カルボキシビニル誘導体、アニオン性もしくはカチオン性のポリサッカリド誘導体、例えば、ヒズロン酸(hyduronic acid)、グルクロン酸、または グルコサミン、ペクチンおよび/またはそれらの誘導体などから選択される物質に相当する。
【0038】
この好ましい実施形態において、マトリックスは、互いに、連続して、活性成分と一緒に分散され、そのため、放出の部位特異性を担う均一構造形成物をもたらす。
【0039】
さらに本発明の実施形態において、得られた錠剤は、最終的に、胃耐性物質、例えば、アクリル酸およびメタクリル酸ポリマー(Eudragit)および/またはフタル酸セルロースの誘導体を用いるコーティングプロセスを受ける。
【0040】
本発明に適した制御および/またはプログラム化された放出システムは、(特許文献2)、(特許文献3)および(特許文献4)に記載されており、これらはまた引用により本明細書中に組み込まれる。
【実施例】
【0041】
下記の実施例は、如何なる方法でも本発明の内容を制限することなく、詳細に本発明を説明する。
【0042】
実施例 1
200 gのリファマイシン SVを、5 gのステアリン酸、7 gのカルナウバロウ、8 gのジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、100 gのラクトースおよび10 gのエデト酸ナトリウムと混合し、0.2 リットルの精製水に25 gの低粘性ポリビニルピロリドンを含有する溶液により粒状にした。粒状物を乾燥したら、100 gのカルボキシメチルセルロースナトリウム、25 gのシリカ、5 gのグリセロールパルミトステアレートおよび10 mgのタルクと混合し、その後495 mg/錠剤の単位重量に圧縮した。次いで、このようにして得たコアを、アクリル酸およびメタクリル酸エステル、二酸化チタン、タルクおよびクエン酸トリエチルの水性アルコール分散液でフィルムコートし、生成物に、胃および小腸の環境をまねた強力な酸性環境中での分解に対する耐性を与えた。錠剤の溶解性は、7未満のpH条件で、実質的にゼロであり、pH 7.2の腸内バッファー中で、下記の割当%で進行した:
1 時間の滞留後、20%未満
3 時間の滞留後、50%未満
8 時間の滞留後、70%超。
【0043】
実施例 2
500 gのリファマイシン SVを、10 gのステアリン酸、10 gの蜜蝋、10 gのラウリル硫酸ナトリウム、200 gのマンニトールおよび10 gのエデト酸ナトリウムと混合し、0.5 リットルの水に50 gのヒドロキシプロピルセルロースを含有する溶液で粒状にした。粒状物を乾燥したら、150 gのナトリウムヒドロキシプロピルメチルセルロース、25 gのシリカ、5 gのグリセロールパルミトステアレートおよび10 mgのタルクと混合し、その後490 mg/錠剤の単位重量に圧縮した。次いで、このようにして得たコアを、アクリル酸およびメタクリル酸エステル、酸化鉄、タルクおよびクエン酸トリエチルの水分散液でフィルムコートして、生成物に、胃および小腸の環境をまねた強力な酸性環境中での分解に対する耐性を与えた。錠剤の溶解性は、7未満のpH条件で、実質的にゼロであり、pH 7.2の腸内バッファー中で、下記の割当%で進行した:
1 時間の滞留後、30%未満
3 時間の滞留後、60%未満
8時間の滞留後、80%超。
【0044】
実施例 3
2.5 kgのメトロニダゾールを、70 gのステアリン酸、70 gの蜜蝋、400 gのサッカロース、140 gのヒドロキシプロピルメチルセルロースおよび20 gのポリソルベートと混合し、適切なコンシステンシーにまで精製水を加えることにより湿式粒状化した。次いで、粒状物を乾燥し、寸法標準化し、その後200 gのヒドロキシメチルプロピルセルロース、600 gの微結晶性セルロース、30 gのグリセロールパルミトステアレートおよび70 gの二酸化ケイ素を加えた。混合後、この粉末を、450 mg/錠剤の単位重量まで圧縮した。
【0045】
次いで、得られたコアを、アクリル酸およびメタクリル酸エステル、酸化鉄、タルクおよびクエン酸トリエチルの水性アルコール分散液でフィルムコーティングして、生成物に、酸性環境における分解に対する耐性を与えた。錠剤の溶解性は、7未満のpH条件で、実質的にゼロであり、pH 7.2の腸内バッファー中で、下記の割当%で進行した:
1時間以内の滞留にて25%未満、
3時間以内の滞留にて25%超、70%未満
8時間の滞留後で80%超。
【0046】
実施例 4
500 gのメトロニダゾールを、親油性/両親媒性マトリックス、5 gのステアリン酸および5 gの大豆レシチン、幾つかの親水性ポリマー、100 gのヒドロキシプロピルセルロース、および希釈剤、150 gのマンニトールの成分と混合した。
【0047】
次いで、混合物を、むらのない粒状物が得られるまで、精製水の低粘性ヒドロキシプロピルセルロース溶液でペーストにした。乾燥後、得られた粒状物を、さらに100 gのヒドロキシプロピルセルロースと混合し、これに、フロー剤および滑剤、5 gのシリカ、5 gのタルクおよび5 gのステアリン酸マグネシウムを加え、次いで、925 mg/錠剤の最終重量に圧縮した。有効な胃耐性を錠剤に与えることが可能なアクリル酸およびメタクリル酸コポリマーのアルコールベースの懸濁液で、錠剤を最終的にコートした。
【0048】
これら錠剤の溶解速度は、累進的で且つ制御されており、活性成分のおよそ20%が、pH 7.2の腸内液中、1時間の滞留後に放出され、50%が2時間後に、80%超が4時間後に放出されるが、これらの数字は、胃および小腸の環境をそれぞれ反映している、明らかにpH 1での2時間暴露およびpH 6.4での1時間暴露の後の割当量として理解される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1または複数の薬理学上許容される賦形剤とともに、抗菌性および/または抗感染性の活性を有する少なくとも1種の物質を含有する経口医薬組成物であって、活性成分の制御および/または遅延放出が大腸において起こることを特徴とする該組成物。
【請求項2】
活性成分の放出が結腸において起こる、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
活性成分がリファマイシン SVである、請求項1または2に記載の医薬組成物。
【請求項4】
活性成分がメトロニダゾールである、請求項1から3に記載の医薬組成物。
【請求項5】
活性成分が、10〜90重量%の量で含有されている、請求項1から4に記載の医薬組成物。
【請求項6】
リファマイシン SVが、20〜60重量%の量で含有されている、請求項1から5に記載の医薬組成物。
【請求項7】
メトロニダゾールが、25〜70重量%の量で含有されている、請求項1から6に記載の医薬組成物。
【請求項8】
制御および/または遅延放出が、
a)活性成分が取り込まれる両親媒性マトリックス;
b)90℃未満の融点を有する物質により形成されており、a)が分散されている親油性マトリックス;
c)親水性マトリックス、
を含む複数のマトリックス構造で与えられる、請求項1から7に記載の医薬組成物。
【請求項9】
両親媒性のマトリックスが、レシチン、ポリオキシエチレン化ソルビタンモノオレエート、ラウリル硫酸ナトリウム、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、および/または、エチレンおよび/またはプロピレンブロックコポリマーから選択される、請求項8に記載の医薬組成物。
【請求項10】
親油性マトリックスが、ステアリン酸、蜜蝋、カルナウバロウ、パルミチン酸および/またはパルミトステアレートエステルから選択される、請求項8に記載の医薬組成物。
【請求項11】
親水性マトリックスが、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシビニルポリマー、ポリビニルアルコール、ビニルポリマー、アルギン酸およびその塩および/またはポリサッカリドポリマーから選択される、請求項8に記載の医薬組成物。
【請求項12】
胃での保護用コーティングを含む、請求項1から11に記載の医薬組成物。
【請求項13】
胃での保護用コーティングが、アクリル酸およびメタクリル酸エステルおよび/または酢酸フタル酸セルロースから選択される、請求項12に記載の医薬組成物。
【請求項14】
大腸の病状を治療するための、請求項1から13に記載の医薬組成物。
【請求項15】
結腸の病状を治療するための、請求項1から14に記載の医薬組成物。
【請求項16】
感染性大腸炎、細菌性赤痢、偽膜性大腸炎、旅行者下痢(travellers' diarrhoea)、憩室疾患および/または憩室炎を治療するための、請求項1から15に記載の医薬組成物。
【請求項17】
結腸の外科手術のための予備治療および/またはアンモニア血症(ammonaemias)もしくは高アンモニア血症(hyperammonaemias)の治療における補助治療のための、請求項1から16に記載の医薬組成物。

【公表番号】特表2008−503540(P2008−503540A)
【公表日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−517234(P2007−517234)
【出願日】平成17年5月3日(2005.5.3)
【国際出願番号】PCT/EP2005/052025
【国際公開番号】WO2006/003043
【国際公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【出願人】(505400004)コスモ・テクノロジーズ・リミテツド (4)
【Fターム(参考)】