説明

経皮アクセスシステム

【課題】デバイスを配置する間に遭遇し得るような種々の負荷の下での変形もしくは圧迫などによる、カニューレに対する抵抗の増加または鋭利な部分の露出による外傷などの問題を克服する、改善されたデバイスおよび関連する方法を提供すること。
【解決手段】遠位端部と、遠位端部内を延びる第一管腔とを有するカニューレ本体308を備えるカニューレ挿入システム300を提供する。このシステムはまた、カニューレ本体の遠位端部内に挿入して受容されるように構成された導入器304;ならびに取り付け形状を有する第一セクションと、変動する外径を有する第二セクションと、第一セクションおよび第二セクション内を延びる内腔とを備える移行部デバイスを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療技術および医療デバイスの分野に関し、より具体的には、カニューレデバイスを通して血液または他の流体を除去または復帰させるための心血管系のカニューレ挿入プロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
(関連技術)
カニューレデバイスを通して血液または他の流体を除去または復帰させるための心血管系のカニューレ挿入プロセスは、公知である。図1Aに示される一例は、静脈カニューレ挿入システム100であり、このカニューレ挿入システム100は、カニューレ102および導入器104を備え、心肺バイパス(CPB)を必要とする外科手順の間に、循環系の静脈側から血液を除去するように設計されている。
【0003】
カニューレ102は、好ましくは、大腿静脈内で、導入器104を含むカニューレ102の遠位端部106を適切に位置決めすることを可能にするように、その遠位端部106が撓むことが可能であるべきである。
【0004】
しばしば、カニューレ102の遠位端部または先端部106は、軟ポリウレタン(PU)チュービングのような、軟らかい材料で作製されており、大腿静脈内へと挿入するための滑らかなテーパー状のプロフィールを提供する。一般に、挿入は、経皮アクセス(Seldinger技術)または標準的な静脈切開アクセスのいずれかによって行なわれる。
【0005】
軟PUチュービングは、例えば、大腿静脈へのSeldinger技術によるアクセスの間に遭遇し得るもののような、結合組織を通して押し進められるときに、抵抗下で変形したり圧迫されたりする傾向がある。このような変形は、挿入時に、カニューレ102にかかる抵抗を増加させることにより、外科医に問題をもたらす。
【0006】
さらに、図1Bに示すように、カニューレ102と導入器104との間の接合部108は、導入器104が曲がると、カニューレ挿入の間に、鋭利な部分を露出させる傾向がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は、デバイスを配置する間に遭遇し得るような種々の負荷の下での変形もしくは圧迫などによる、カニューレに対する抵抗の増加または鋭利な部分の露出による外傷などの問題を克服する、改善されたデバイスおよび関連する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明は、例えば以下の項目を提供する。
(項目1) カニューレ挿入システムであって、以下:
遠位端部を有するカニューレ本体;
そのカニューレ本体の遠位端部内に挿入して受容されるように構成された、導入器;ならびに
第一セクションと、第二セクションと、その第一セクションおよびその第二セクション内を延びる内腔とを備える移行部デバイスであって、その第一セクションは、そのカニューレ本体の遠位端部に取り付けられており、その第二セクションは、その内腔内にその導入器を受容するためにそのカニューレ本体の外側を延び、そして、その第二セクションは、その導入器が、そのカニューレ本体に対して固定されるときに、そのカニューレ本体の遠位端部とその導入器との間に間隙が生じないように、そのカニューレ本体とその導入器との間に移行部を提供する、移行部デバイス
を備える、カニューレ挿入システム。
(項目2) 上記カニューレ本体が、少なくとも1つの廃水孔を備え、その廃水孔が、食いつき部またはラジアスを有する外縁を備える、項目1に記載のカニューレ挿入システム。
(項目3) 上記移行部デバイスが、その移行部デバイスを上記導入器へと係合するためのねじ山付きのセクションを備える、項目1に記載のカニューレ挿入システム。
(項目4) 上記第一セクションが、一定の外径を有する、項目1に記載のカニューレ挿入システム。
(項目5) 上記第二セクションが、変動する外径を有する、項目1に記載のカニューレ挿入システム。
(項目6) 上記第二セクションが、テーパーを有する、項目1に記載のカニューレ挿入システム。
(項目7) 上記第二セクションが、1以上のテーパーまたはラジアスの複合形状を有する、項目1に記載のカニューレ挿入システム。
(項目8) 上記導入器が、第一の材料で作製されたチューブ様構造体を備え、その構造体の遠位端部は、第二の材料で作製されている、項目1に記載のカニューレ挿入システム。
(項目9) 上記第二の材料が、上記第一の材料のデュロメーター値よりも低いデュロメーター値を有する、項目8に記載のカニューレ挿入システム。
(項目10) 上記第一セクションが、上記移行部デバイスを上記カニューレ本体に取り付けるための取り付け構造体を備える、項目1に記載のカニューレ挿入システム。
(項目11) カニューレ挿入システムであって、以下:
遠位端部と、その遠位端部内を延びる第一管腔とを有する、カニューレ本体;
そのカニューレ本体の遠位端部内に挿入して受容されるように構成された、導入器;ならびに
一定の外径を有する第一セクションと、テーパー状の外径を有する第二セクションと、その第一セクションおよびその第二セクション内を延びる内腔とを備える移行部デバイスであって、その第一セクションは、そのカニューレ本体の遠位端部において、その第一管腔内に挿入されており、その第二セクションは、そのカニューレ本体の外側を延び、そして、そのカニューレ本体の第一管腔内への導入を可能にするように構成されている、移行部デバイス
を備え、
その第二セクションは、その導入器が、そのカニューレ本体に対して固定されるときに、そのカニューレ本体の外面とその導入器の外面との交差部に間隙が生じないように、その導入器のそのカニューレ本体の外面とその導入器の外面との間に移行部を提供する、
カニューレ挿入システム。
(項目12) 上記カニューレ本体が、少なくとも1つの廃水孔を備え、その廃水孔が、食いつき部またはラジアスを有する外縁を備える、項目11に記載のカニューレ挿入システム。
(項目13) 上記移行部デバイスが、その移行部デバイスを上記導入器へと取り付けるためのねじ山付きのセクションを備える、項目11に記載のカニューレ挿入システム。
(項目14) 上記テーパー状の外径が、テーパーまたはラジアスのような、複合形状または単純形状を有する、項目11に記載のカニューレ挿入システム。
(項目15) 上記導入器が、第一の材料で作製されたチューブ様構造体を備え、その構造体の遠位端部は、第二の材料で作製されている、項目11に記載のカニューレ挿入システム。
(項目16) 上記第二の材料が、上記第一の材料のデュロメーター値よりも低いデュロメーター値を有する、項目15に記載のカニューレ挿入システム。
(項目17) 上記第一セクションが、上記移行部デバイスを上記カニューレ本体に取り付けるための取り付け構造体を備える、項目11に記載のカニューレ挿入システム。
(項目18) カニューレ挿入システムであって、以下:
遠位端部と、その遠位端部内を延びる第一管腔とを有する、カニューレ本体;
そのカニューレ本体の遠位端部内に挿入して受容されるように構成された導入器であって、その導入器は、第一の材料で作製されたチューブ様構造体を備え、その構造体の遠位端部は、第二の材料で作製されており、その第二の材料は、その第一の材料よりも低いデュロメーター値を有する、導入器;ならびに
一定の外径を有する第一セクションと、テーパー状の外径を有する第二セクションと、その第一セクションおよびその第二セクション内を延びる内腔とを備える移行部デバイス
を備え、
その第一セクションは、そのカニューレ本体の遠位端部において、その第一管腔内に挿入されており、その第二セクションは、そのカニューレ本体の外側を延び、そして、そのカニューレ本体の第一管腔内への導入を可能にするように構成されており、
その第二セクションは、その導入器が、そのカニューレ本体に対して固定されるときに、そのカニューレ本体の外面とその導入器の外面との交差部に間隙が生じないように、そのカニューレ本体の外面とその導入器の外面との間に移行部を提供する、
カニューレ挿入システム。
(項目19) 上記第一の材料が、55〜75デュロメーターの範囲のデュロメーター値を有し、かつ、上記第二の材料が、75〜85デュロメーターの範囲のデュロメーター値を有する、項目18に記載のカニューレ挿入システム。
(項目20) 上記第一セクションが、上記移行部デバイスを上記カニューレ本体に取り付けるための取り付け構造体を備える、項目19に記載のカニューレ挿入システム。
【0009】
(要旨)
上記の背景に鑑みて、本発明の種々の実施形態によれば、心血管系のカニューレ挿入プロセスのための、改善されたデバイスおよび関連する方法が提供される。
【0010】
本発明は、デバイスを配置する間に遭遇し得るような種々の負荷の下で、カニューレ先端部の開口部の形状を制御する目的で、カニューレ本体の先端部の開口部に配置するための、移行部デバイスに関する。
【0011】
一つの局面において、遠位端部と、遠位端部内を延びる第一管腔とを有するカニューレ本体を備えるカニューレ挿入システムが提供される。このシステムはまた、カニューレ本体の遠位端部内に挿入して受容されるように構成された導入器;ならびに取り付け形状を有する第一セクションと、変動する外径を有する第二セクションと、第一セクションおよび第二セクション内を延びる内腔とを備える移行部デバイスを備える。第一セクションは、カニューレ本体に移行部デバイスを固定するために、カニューレ本体の遠位端部において第一管腔内に挿入される。第二セクションは、カニューレ本体の外側を延び、そして、カニューレ本体の第一管腔内への導入を可能にするように構成される。第二セクションは、導入器がカニューレ本体に対して固定されるときに、カニューレ本体の外面と導入器の外面との交差部に空隙が生じないように、カニューレ本体の外面と導入器の外面との間に移行部を提供する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によって、デバイスを配置する間に遭遇し得るような種々の負荷の下での変形もしくは圧迫などによる、カニューレに対する抵抗の増加または鋭利な部分の露出による外傷などの問題を克服する、改善されたデバイスおよび関連する方法が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
(詳細な説明)
ここで、これ以後、添付の図面を参照して、本開示がより完全に記載される。図面は、いくつかの実施形態を示すが、これらの実施形態は、全てではない。本開示は、多くの異なる形態で実施され得、本明細書中に示される実施形態に限定されるものとみなされるべきではない。類似の参照番号は、全体にわたり、類似の要素を指す。
【0014】
図2Aは、本発明の一実施形態による、移行部デバイス200の単純化した斜視図である。図2Aに示されるように、移行部デバイス200は、2つの外部セクション:第一の形状(例えば、変動する外径)を有する第一セクション204、および、第二の形状(例えば、実質的に一定の外径)を有する第二セクション206の組み合わせとして形成された管状の構造体である。一実施形態において、実質的に一定の外径は、例えば、カニューレのチュービングの管腔内への第二セクション206の干渉ばめによる、カニューレのチュービングへの取り付けを容易にするために必要な長さおよび直径を有するように形成される。あるいは、第二セクション206は、その上に形成されたか、または、これに取り付けられた取付け構造体(例えば、フック、棘、レーザー溶接、接着剤、または、当該分野で周知の任意の多数の考えられる等価物)を備え得る。内部には、移行部デバイス200は、内腔208を規定するように示される。
【0015】
図2Bに示されるように、第一セクション204は、第一セクション204の前縁210が、先端部セクション214を備える先端部部分212を備えるように、設計される。一実施形態において、先端部セクション214は、外傷を減少させるため、そして、特に、大腿静脈内への挿入中に遭遇し得るような、困難な組織(結合組織、皮膚、筋肉)を通して、容易な挿入を提供するために、さらにテーパー状にされるか、または、他の方法で成形される。
【0016】
移行部デバイス200は、デバイスの配置時に遭遇し得るような、種々の負荷に耐えるために十分剛性である、あらゆる適切な材料(例えば、プラスチック、金属、セラミクスなど)から作製され得る。
【0017】
図3は、本発明の一実施形態による、カニューレ挿入システム300の単純化された断面図である。作動時には、移行部デバイス200の第二セクション206は、カニューレ308内に位置する。
【0018】
第二セクション206が、カニューレ308内に位置するとき、カニューレの外面306は、第一セクション204の大きな端部に接するように作製される。第一セクション204は、カニューレの外面306と、移行部デバイス200の内腔208内に位置する対象物(例えば、導入器304の表面302)との間に、漸進的かつ滑らかな移行部を生じる。一実施形態において、内腔208は、例えば、導入器304と干渉ばめによってしっかりと接続するように構成される。
【0019】
移行部デバイス200の先端部部分212の上にあるテーパー状の先端部セクション214(図2B)はさらに、導入器304の表面302と、カニューレ308のカニューレ表面306との間に滑らかな移行部を提供し、これらの間の滑らかな移行部を可能にする。
【0020】
図4Aおよび4Bは、それぞれ、移行部デバイス400の別の実施形態の斜視図および断面図である。外見的には、移行部デバイス400は、図2Aおよび2Bに図示される移行部デバイス200の実施形態に類似する。例えば、図4Aに示されるように、移行部デバイス400は、変動する外径を有する第一セクション402と、実質的に一定の外径を有する第二セクション404と、導入器の表面とカニューレ表面との間の滑らかな移行部を可能にするテーパー状の先端部セクション406との組み合わせとして形成された、管状の構造体である。
【0021】
内部には、図4Bに示されるように、移行部デバイス400は、内部ねじ山408を備える。内部ねじ山408は、導入器(図示せず)の外面上に配置された対応するねじ山と嵌合する。内部ねじ山408は、ねじ山付きの導入器と嵌合すると、以前の傷跡を残した組織を有する患者、または、深刻な肥満を抱える人において遭遇し得る困難な組織を通して貫通させる間に、カニューレと導入器との相対的な位置を維持するのに役立つ、しっかりとしたロックを提供する。
【0022】
一実施形態において、移行部デバイス400の内部ねじ山408は、所定の高さおよびピッチを有する3本のねじ山が走るらせん角ねじを備える。あるいは、内部ねじ山408は、代表的な角ねじまたは三角ねじと比較して滑らかな表面を有するねじ山である、ロープ状ねじ山(rope thread)であり得る。
【0023】
ねじ山付きの移行部デバイス400は、カニューレ挿入の間に、導入器304に対してカニューレ308の遠位端部502(図5)の位置を制御するための固定点として機能する。
【0024】
図5に示されるように、カニューレ挿入システム300は、大腿静脈内で、導入器304を含むカニューレ308の遠位端部502の適切な位置決めを可能にするために、その遠位端部502において撓むことが可能である。しかし、カニューレ308と、移行部デバイス200または400を有する導入器304との間の接合部504は、カニューレ挿入の間には、もはや鋭利な部分を露出させる傾向はない。
【0025】
図5に示されるように、導入器304は、先端部514を含む遠位端部を有する、細長のチューブ様構造体512を備える。
【0026】
細長のチューブ様構造体512は、その配置を容易にするために、導入器304に実質的な剛性を付与するために十分に高いデュロメーターを有する、あらゆる適切な材料から形成され得る。一実施形態において、先端部514は、チューブ様構造体512の残りの部分の材料よりも実質的に軟らかい、すなわち、これらの材料よりも実質的に低いデュロメーターおよび分子量を有する材料から形成され得る。実質的により軟らかい材料を用いることで、導入器304が位置決めされるときに、先端部514が係合するあらゆる組織に対して、先端部514が傷つけないことを保証する。
【0027】
一実施形態において、チューブ様構造体512の高デュロメーター材料(例えば、ポリエーテルベースのポリウレタン)は、例えば、55〜75デュロメーター(Shore D)の範囲のデュロメーターを有し得る。一実施形態において、先端部514の低デュロメーター材料(例えば、脂肪族ポリウレタン)は、75〜85デュロメーター(Shore A)の範囲のデュロメーターを有し得る。チューブ様構造体512に特に効果的なポリウレタンの一つは、Midland Mich.のDow Chemical Companyから市販されているPellethane 2363−65Dであり、これは、65のデュロメーター(Shore D)を有する。一方、先端部514に特に効果的なポリウレタンは、Wooburn,Mass.のThermedics,Inc.から市販されているTecoflex 80A−B20であり、これは、80のデュロメーター(Shore A)を有する。
【0028】
一つの特定の実施形態において、導入器304は、基材としてポリウレタンから作製される。チューブ様構造体512は、HDPE(shore 75D)とLDPE(shore 45D)とのブレンドである。先端部514は、完全にLDPEから作製される。先端部514とチューブ様構造体512との両方は、BaSOおよびTiOを含み得る。
【0029】
あるいは、導入器304の配置を容易にするための、導入器304に実質的な剛性を付与するためのデュロメーターのシフト以外の他の手段としては、以下が挙げられる:チューブ様構造体512内への硬化部材の挿入、硬化シースでのチューブ様構造体512の被覆、ならびに、先端部514およびチューブ様構造体512の化学的処理。
【0030】
一実施形態において、先端部514の材料としては、硫酸バリウムまたはその等価物のような放射線不透過性材料が挙げられ得る。先端部514の材料に放射線不透過性材料を含めることは、輪郭がはっきりと見える、明瞭なX線像を生成することによって、導入器304が適所にあるときに、導入器304をX線撮影により位置決めするのに役立つ。
【0031】
再度図5を参照すると、本発明の一実施形態において、カニューレ308は、外面306と内腔208との間(図3)に規定される複数の廃水孔510のうちの少なくとも1つを備える。
【0032】
図6Aに示されるように、代表的な廃水孔510は、角ばった縁部602を備え、そして、触れると認知できる粗度を呈する。一般に、孔510は、一ストロークで、カニューレ308の壁604を貫通させられる。穿孔機は、カニューレ308の裏側に出るときに、廃水孔510の周りで、外面302(カニューレ308の組織接触面)上にわずかな棘または隆起した縁部を残し得る。カニューレ308は、皮膚、皮下組織、脂肪および結合組織を通して挿入され;次いで、大腿静脈を通して、心臓の右心房まで上向きに押し進められるので、縁部が角ばった廃水孔510によって組織の一部が削り取られ得る可能性がある。この問題は、外科医が、最も困難な組織を通してカニューレ308を押し進めなければならない場合の、経皮挿入の間に特に認められる。
【0033】
図6Bに示されるように、本発明の一実施形態によれば、廃水孔510Aは、カニューレ308の挿入時に、外傷による組織損傷の可能性を減らすために、縁部602Aにおいて、滑らかになっていても、食いつき部が付けられていても、ラジアスが設けられていてもよい。
【0034】
孔510Aの縁部602Aを滑らかにするためには、研磨材の除去、溶融倣い(melt profiling)、または、熱穿孔を用いることを含め、種々の方法が存在する。代替的な方法において、廃水孔510Aを備えるカニューレ308のセクションは、滑らかなプロフィールを提供するために、剛性プラスチックまたは他の類似の材料から成形され得る。
【0035】
本発明は、開示される特定の実施形態に限定されず、そして、改変物および他の実施形態が、添付の特許請求の範囲の範囲内に包含されることが意図されることが理解されるべきである。特定の用語が本明細書において使用されているが、これらは、一般的かつ説明的な意味で使用されているのみであり、限定を目的とするものではない。
【図面の簡単な説明】
【0036】
こうして、本発明が一般的な用語で記載されてきたが、ここで、添付の図面に対して参照がなされる。添付の図面は、必ずしも等尺で描かれているわけではない。
【図1A】図1Aおよび1Bは、カニューレ挿入システムの単純化された図である。
【図1B】図1Aおよび1Bは、カニューレ挿入システムの単純化された図である。
【図2A】図2Aは、本発明の一実施形態に従う、移行部デバイスの単純化された斜視図である。
【図2B】図2Bは、本発明の一実施形態に従う、図2Aの移行部デバイスの断面図であり、詳細な断面を含む。
【図3】図3は、本発明の一実施形態に従う、移行部デバイスを備えるカニューレ挿入システムの単純化された断面図である。
【図4A】図4Aは、本発明の一実施形態に従う、移行部デバイスの単純化された斜視図である。
【図4B】図4Bは、本発明の一実施形態に従う、図4Aの移行部デバイスの断面図である。
【図5】図5は、本発明の一実施形態に従う、移行部デバイスを備えるカニューレ挿入システムの単純化された斜視図である。
【図6A】図6Aは、カニューレを通して規定される代表的な廃水孔の断面図である。
【図6B】図6Bは、本発明の一実施形態に従う、カニューレを通して規定される、食いつき部付きの廃水孔の断面図である。
【符号の説明】
【0037】
200、400:移行部デバイス
204、402:第一セクション
206、404:第二セクション
208:内腔
214、406:先端部セクション
300:カニューレ挿入システム
304:導入器
308:カニューレ
408:ねじ山
510:廃水孔
512:チューブ様構造体
514:先端部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カニューレ挿入システムであって、以下:
遠位端部を有するカニューレ本体;
該カニューレ本体の遠位端部内に挿入して受容されるように構成された、導入器;ならびに
第一セクションと、第二セクションと、該第一セクションおよび該第二セクション内を延びる内腔とを備える移行部デバイスであって、該第一セクションは、該カニューレ本体の遠位端部に取り付けられており、該第二セクションは、該内腔内に該導入器を受容するために該カニューレ本体の外側を延び、そして、該第二セクションは、該導入器が、該カニューレ本体に対して固定されるときに、該カニューレ本体の遠位端部と該導入器との間に間隙が生じないように、該カニューレ本体と該導入器との間に移行部を提供する、移行部デバイス
を備える、カニューレ挿入システム。
【請求項2】
前記カニューレ本体が、少なくとも1つの廃水孔を備え、該廃水孔が、食いつき部またはラジアスを有する外縁を備える、請求項1に記載のカニューレ挿入システム。
【請求項3】
前記移行部デバイスが、該移行部デバイスを前記導入器へと係合するためのねじ山付きのセクションを備える、請求項1に記載のカニューレ挿入システム。
【請求項4】
前記第一セクションが、一定の外径を有する、請求項1に記載のカニューレ挿入システム。
【請求項5】
前記第二セクションが、変動する外径を有する、請求項1に記載のカニューレ挿入システム。
【請求項6】
前記第二セクションが、テーパーを有する、請求項1に記載のカニューレ挿入システム。
【請求項7】
前記第二セクションが、1以上のテーパーまたはラジアスの複合形状を有する、請求項1に記載のカニューレ挿入システム。
【請求項8】
前記導入器が、第一の材料で作製されたチューブ様構造体を備え、該構造体の遠位端部は、第二の材料で作製されている、請求項1に記載のカニューレ挿入システム。
【請求項9】
前記第二の材料が、前記第一の材料のデュロメーター値よりも低いデュロメーター値を有する、請求項8に記載のカニューレ挿入システム。
【請求項10】
前記第一セクションが、前記移行部デバイスを前記カニューレ本体に取り付けるための取り付け構造体を備える、請求項1に記載のカニューレ挿入システム。
【請求項11】
カニューレ挿入システムであって、以下:
遠位端部と、該遠位端部内を延びる第一管腔とを有する、カニューレ本体;
該カニューレ本体の遠位端部内に挿入して受容されるように構成された、導入器;ならびに
一定の外径を有する第一セクションと、テーパー状の外径を有する第二セクションと、該第一セクションおよび該第二セクション内を延びる内腔とを備える移行部デバイスであって、該第一セクションは、該カニューレ本体の遠位端部において、該第一管腔内に挿入されており、該第二セクションは、該カニューレ本体の外側を延び、そして、該カニューレ本体の第一管腔内への導入を可能にするように構成されている、移行部デバイス
を備え、
該第二セクションは、該導入器が、該カニューレ本体に対して固定されるときに、該カニューレ本体の外面と該導入器の外面との交差部に間隙が生じないように、該導入器の該カニューレ本体の外面と該導入器の外面との間に移行部を提供する、
カニューレ挿入システム。
【請求項12】
前記カニューレ本体が、少なくとも1つの廃水孔を備え、該廃水孔が、食いつき部またはラジアスを有する外縁を備える、請求項11に記載のカニューレ挿入システム。
【請求項13】
前記移行部デバイスが、該移行部デバイスを前記導入器へと取り付けるためのねじ山付きのセクションを備える、請求項11に記載のカニューレ挿入システム。
【請求項14】
前記テーパー状の外径が、テーパーまたはラジアスのような、複合形状または単純形状を有する、請求項11に記載のカニューレ挿入システム。
【請求項15】
前記導入器が、第一の材料で作製されたチューブ様構造体を備え、該構造体の遠位端部は、第二の材料で作製されている、請求項11に記載のカニューレ挿入システム。
【請求項16】
前記第二の材料が、前記第一の材料のデュロメーター値よりも低いデュロメーター値を有する、請求項15に記載のカニューレ挿入システム。
【請求項17】
前記第一セクションが、前記移行部デバイスを前記カニューレ本体に取り付けるための取り付け構造体を備える、請求項11に記載のカニューレ挿入システム。
【請求項18】
カニューレ挿入システムであって、以下:
遠位端部と、該遠位端部内を延びる第一管腔とを有する、カニューレ本体;
該カニューレ本体の遠位端部内に挿入して受容されるように構成された導入器であって、該導入器は、第一の材料で作製されたチューブ様構造体を備え、該構造体の遠位端部は、第二の材料で作製されており、該第二の材料は、該第一の材料よりも低いデュロメーター値を有する、導入器;ならびに
一定の外径を有する第一セクションと、テーパー状の外径を有する第二セクションと、該第一セクションおよび該第二セクション内を延びる内腔とを備える移行部デバイス
を備え、
該第一セクションは、該カニューレ本体の遠位端部において、該第一管腔内に挿入されており、該第二セクションは、該カニューレ本体の外側を延び、そして、該カニューレ本体の第一管腔内への導入を可能にするように構成されており、
該第二セクションは、該導入器が、該カニューレ本体に対して固定されるときに、該カニューレ本体の外面と該導入器の外面との交差部に間隙が生じないように、該カニューレ本体の外面と該導入器の外面との間に移行部を提供する、
カニューレ挿入システム。
【請求項19】
前記第一の材料が、55〜75デュロメーターの範囲のデュロメーター値を有し、かつ、前記第二の材料が、75〜85デュロメーターの範囲のデュロメーター値を有する、請求項18に記載のカニューレ挿入システム。
【請求項20】
前記第一セクションが、前記移行部デバイスを前記カニューレ本体に取り付けるための取り付け構造体を備える、請求項19に記載のカニューレ挿入システム。

【図1A】
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【図1B】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【公開番号】特開2008−259641(P2008−259641A)
【公開日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−104253(P2007−104253)
【出願日】平成19年4月11日(2007.4.11)
【出願人】(500218127)エドワーズ ライフサイエンシーズ コーポレイション (93)
【氏名又は名称原語表記】Edwards Lifesciences Corporation
【住所又は居所原語表記】One Edwards Way, Irvine, CALIFORNIA 92614, U.S.A.
【Fターム(参考)】