説明

経皮吸収医薬組成物

【課題】 本発明は、メロキシカムの経皮吸収促進効果がより優れ、皮膚に対する刺激性が低く、全身性医薬製剤として好適に使用できる経皮吸収医薬組成物を提供する。
【解決手段】 (A)医薬的に有効な量のメロキシカム、(B)吸収促進剤としてアルキル硫酸ナトリウム及び一般式(1)で表されるジエチレンオキサイドアルキルエーテル
HO(CHCHO)R ・・・(1)
(式中、Rは炭素数16〜18のアルキル基を示す。)
(C)溶解補助剤並びに(D)アクリル系粘着剤からなることを特徴とする経皮吸収医薬組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は薬効成分としてメロキシカムを含有する経皮吸収医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、体の局部に薬物を投与するために、経皮吸収製剤が盛んに利用されている。経皮吸収製剤としては、テープ製剤、バッチ製剤、パップ製剤、軟膏剤、クリーム製剤、口腔剤、点眼剤等が挙げられ、局部に貼付又は塗布することにより、薬物を皮膚や粘膜を透過して投与している。
【0003】
上記経皮吸収製剤の薬効成分として、慢性関節リウマチ、頚肩腕症候群、腰痛症、骨関節症、肩関節周囲炎、腱鞘炎、腱周囲炎、テニス肘を含む上腕骨上顆炎、筋痛症、外傷後腫瘍、疼痛等に効果のある非ステロイド系抗炎症剤、特に、メロキシカムの研究が盛んに行われている。
【0004】
しかし、このような経皮吸収製剤を用いて薬物を投与しても、メロキシカムは皮膚や粘膜を透過しにくく生体利用率が低くなる欠点があった。特に、皮膚表面には角質層が存在し、この角質層は体内へ異物の侵入を抑止するバリアー機能を有しているので、薬理効果を発揮するのに充分な量のメロキシカムの吸収が防止される欠点があった。
【0005】
角質層のバリアー機能を弱めて充分な量のメロキシカムを吸収させるために、種々の提案がなされている。例えば、アミノアルキル(メタ)アクリレートとアルキル(メタ)アクリレートのコポリマーを含有する親水性物質とメロキシカムよりなる組成物(例えば、特許文献1参照。)、メロキシカムと、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、プロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、ブタノールアミン、ジブタノールアミン、ポリオキシエチレンオレイルアミン、ポリオキシエチレンステアリルアミン、ポリオキシエチレンミリスチルアミン、ポリオキシエチレンラウリルアミン等のアミン及びココナッツ脂肪酸ジエタノールアミド、ラウリン脂肪酸ジエタノールアミド等のアミドからなる群より選ばれた少なくとも1種の皮膚透過促進剤と、少なくとも1種の不活性担体とを含む局所送達用医薬組成物(例えば、特許文献2参照。)等が提案されている。
【特許文献1】米国特許第6207184号公報
【特許文献2】特開2004−131495号公報
【0006】
しかしながら、上記医薬組成物の経皮吸収速度は依然として不充分であり、経皮吸収製剤として使用するためにはより経皮吸収速度の早い経皮吸収医薬組成物の開発が期待されており、本発明者等は、(A)医薬的に有効な量のメロキシカム、(B)一般式(1)で表されるジエチレンオキサイドアルキルエーテル、HO(CHCHO)R・・・(1)(式中、Rは炭素数16〜18のアルキル基を示す。)(C)溶解補助剤及び(D)アクリル系粘着剤からなることを特徴とする経皮吸収医薬組成物(例えば、特許文献3参照。)を提案した。
【特許文献3】特開2007−297361号公報
【0007】
上記経皮吸収医薬組成物におけるメロキシカムの経皮吸収性は向上しており、メロキシカムの局所性製剤としては有効である。しかし、より高いメロキシカムの経皮吸収速度が必要である全身性メロキシカム製剤としてはいまだ不適である。全身性製剤は経口製剤、注射剤と同様に体内に薬剤が吸収されて後血液に入り血管から患部に薬剤を供給するものであって、貼付された皮膚面内部にのみ薬剤が直接的に移動し効果を発揮するという局所性製剤の効能発揮機構とは異なるものである。
【0008】
経皮吸収製剤において、全身性製剤は局所性製剤よりはるかに大きな薬物経皮吸収速度を必要とする。ちなみにメロキシカムにおける経皮吸収においては全身性製剤においての単位面積あたりのヒト皮膚必要経皮吸収量は0.5mg/時間と算定され、経皮吸収製剤面積50cmを使用する場合、必要フラックスは0.01mg/cm/時間であり、50cmの製剤からの24時間経皮吸収量は12mgとなる。又、ラット皮膚からの経皮吸収量はヒト皮膚の約8倍と算定されるのでラットを試験動物として使用する場合、必要フラックスは0.08mg/cm/時間であり、50cmの製剤からの24時間経皮吸収量は96mgとなる。一方、局所性製剤においては全身性製剤の約1/20の薬物経皮吸収性能で十分である
【0009】
上記経皮吸収医薬組成物におけるメロキシカム経皮吸収性能はラット皮膚において0.01mg/cm/時間程度であり、局所性製剤としては十分であっても全身性製剤としては不十分であることは明らかであった。従って、全身性製剤として効果が期待できるレベルのより経皮吸収速度の早いメロキシカム経皮吸収医薬組成物の開発が期待されていた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、上記欠点に鑑み、メロキシカムの経皮吸収促進効果がより優れ、皮膚に対する刺激性が低く、全身性医薬製剤として好適に使用できる経皮吸収医薬組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の経皮吸収医薬組成物は、(A)医薬的に有効な量のメロキシカム、(B)吸収促進剤としてアルキル硫酸ナトリウム及び一般式(1)で表されるジエチレンオキサイドアルキルエーテル
HO(CHCHO)R ・・・(1)
(式中、Rは炭素数16〜18のアルキル基を示す。)
(C)溶解補助剤並びに(D)アクリル系粘着剤からなることを特徴とする。
【0012】
本発明では、吸収促進剤(B)としてアルキル硫酸ナトリウムと一般式(1)で表されるジエチレンオキサイドアルキルエーテルを併用して使用する。促進剤としてアルキル硫酸ナトリウムと一般式(1)で表されるジエチレンオキサイドアルキルエーテルを共存させて併用することにより、メロキシカムの経皮吸収が著しく向上することを本発明者等は見出した。
【0013】
上記アルキル硫酸ナトリウムとしては、例えば、ドデシル硫酸ナトリウム、オクチル硫酸ナトリウム、ミリスチル硫酸ナトリウム等が挙げられ、ドデシル硫酸ナトリウムが好ましい。
【0014】
上記一般式(1)で表されるジエチレンオキサイドアルキルエーテル、はジエチレンオキサイドの一方の水酸基を炭素数16〜18の高級アルコールでエーテル化したものであり、エーテル化方法は特に限定されず、例えば、ウイリアムソン合成により容易に得られる。
【0015】
尚、ウイリアムソン合成でエーテル化するには、例えば、ジエチレンオキサイドにその水酸基の0.5当量のナトリウムハイドライドを添加し、片末端水酸基をナトリウム化した後、ジエチレンオキサイドと当量の塩化アルキルを添加し、テトラヒドロフラン等の溶媒中で例えば70℃に加熱し24時間反応する。
【0016】
上記一般式(1)で表されるジエチレンオキサイドアルキルエーテルとしては、例えば、ジエチレンオキサイドセチルモノエーテル、ジエチレンオキサイドステアリルモノエーテル、ジエチレンオキサイドオレイルモノエーテル等が挙げられ、特に、経皮吸収促進効果の優れたジエチレンオキサイドセチルモノエーテルが好ましい。
【0017】
メロキシカム(A)はアクリル系粘着剤(D)に対し非常に溶解性の低い薬剤であり、それを溶解させることが高経皮吸収性能付与のためには必須である。従って、本発明においてはメロキシカム(A)をアクリル系粘着剤(D)に溶解させるための溶解補助剤(C)を併用する。
【0018】
本発明で使用される溶解補助剤(C)は、メロキシカムをアクリル系粘着剤に溶解しやすくする性能を有するものであり、添加によりメロキシカムの粘着剤中での溶解度が極めて向上しそれにより経皮吸収性が向上する。その理由はナトリウムイオンとメロキシカムとが塩に類似した化合物になり粘着在中での溶解性が向上するものと思慮される。
【0019】
溶解補助剤(C)としては、例えば、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、N−メチルピロリドン、ナトリウムアルコキシド、水素化ナトリウム等が挙げられ、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン及びN−メチルピロリドンからなる群より選ばれた化合物と、ナトリウムアルコキシド及び/又は水素化ナトリウムとを併用するのが好ましい。両者を併用することにより粘着性、経皮吸収性に優れた経皮吸収医薬組成物が得られる。又、上記ナトリウムアルコキシドとしては、例えば、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド等が挙げられる。
【0020】
本発明で使用されるアクリル系粘着剤(D)は、(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主体として(共)重合された従来公知の任意の粘着剤が使用可能であり、炭素数4〜18の脂肪族アルコールと(メタ)アクリル酸のエステルである(メタ)アクリル酸アルキルエステルの(共)重合体及び(メタ)アクリル酸アルキルエステルと官能性モノマーとの共重合体が好適に使用される。
【0021】
上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸ラウリル(メタ)アクリル酸ステアリル等が挙げられる。
【0022】
上記官能性モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、マレイン酸ブチル、アクリルアミド、ジメチルアクリルアミド、ジエチルアクリルアミド、ブトキシメチルアクリルアミド、エトキシメチルアクリルアミド、メチロール(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノアクリレート、ビニルピロリドン等が挙げられる。
【0023】
更に、(メタ)アクリル酸アルキルエステルと共重合可能な重合性モノマーが共重合されてもよく、重合性モノマーとしては、例えば、酢酸ビニル、スチレン、α−メチルスチレン、塩化ビニル、アクリロニトリル、エチレン、プロピレン、ブタジエン、ジアセトンアクリルアミド等が挙げられる。
【0024】
本発明においては、上記アクリル系粘着剤(D)にメロキシカム(A)、吸収促進剤としてアルキル硫酸ナトリウム及び一般式(1)で表されるジエチレンオキサイドアルキルエーテル(B)並びに溶解補助剤(C)を溶解するのであり、(メタ)アクリル酸アルキルエステルのみからなる粘着剤は極性が低くすぎてメロキシカムの溶解性が低くなり好ましくない。アクリル系粘着剤の極性を上げるために極性の高いモノマーと(メタ)アクリル酸アルキルエステルとの共重合体が好ましく、アクリル系粘着剤(D)はアクリル酸2−エチルヘキシル及び/又はアクリル酸ブチルと、N−ビニルピロリドン又はアクリル酸との共重合体並びにアクリル酸2−エチルヘキシル及び/又はアクリル酸ブチルと、アクリル酸と酢酸ビニルとの共重合体が好ましい。又、アクリル系粘着剤(D)は架橋されてもよい。アクリル系粘着剤(D)を架橋するには架橋剤が用いられ、架橋剤としては、例えば、イソシアネート、多価金属架橋剤等が挙げられる。
【0025】
上記メロキシカム(A)の含有量は、使用目的により適宜決定されればよいが、医薬的に有効な量が含有されなければならいので、一般に経皮吸収医薬組成物中1〜30重量%であり、好ましくは3〜20重量%である。
【0026】
上記ジエチレンオキサイドアルキルエーテルの含有量は、特に限定されないが、含有量が少なくなると経皮吸収促進効果がすくなくなる傾向があり、多くなるとるアクリル系粘着剤(D)の性能を低下させたり、にじみ出る等の不具合が発生しやすくなるという傾向があるので、一般に経皮吸収医薬組成物中5〜50重量%であり、好ましくは10〜30重量%である。
【0027】
アルキル硫酸ナトリウムの含有量は、特に限定されないが、多くなるとアクリル系粘着剤の性能が低下し、粘着性不良等の不具合が発生しやすくなるという傾向があるので、一般に経皮吸収医薬組成物中3〜30重量%であり、好ましくは6〜20重量%である。
【0028】
溶解補助剤(C)の含有量は、特に限定されないが、0.5重量%未満であると効果が認めがたく、15重量%を超えると粘着剤の皮膚貼付性が悪くなる傾向があるので、一般に経皮吸収医薬組成物中0.5〜15重量%が望ましい。
【0029】
ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン及びN−メチルピロリドンからなる群より選ばれた化合物の含有量は、特に限定されないが、0.5重量%未満であると効果が認めがたく、10重量%を超えると粘着剤の皮膚貼付性が悪くなる傾向があるので、一般に経皮吸収医薬組成物中0.5〜10重量%が好ましい。
【0030】
ナトリウムアルコキシド及び/又は水素化ナトリウムの含有量は、特に限定されないが、0.3重量%未満であると効果が認めがたく、5重量%を超えると粘着剤の皮膚貼付性が悪くなる傾向があるので、一般に経皮吸収医薬組成物中0.3〜5重量%が好ましい。
【0031】
そして、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン及びN−メチルピロリドンからなる群より選ばれた化合物とナトリウムアルコキシド及び/又は水素化ナトリウムを併用する際の含有量も、特に限定されないが、0.5重量%未満であると効果が認めがたく、15重量%を超えると粘着剤の皮膚貼付性が悪くなる傾向があるので、一般に経皮吸収医薬組成物中0.5〜15重量%が望ましい。
【0032】
アクリル系粘着剤(D)の添加量は、経皮吸収医薬組成物中からメロキシカム(A)、吸収促進補助剤(B)及び溶解補助剤(C)を除いた残余である。
【0033】
本発明の経皮吸収医薬組成物には、上記ジエチレンオキサイドアルキルエーテルに加えて更に従来公知の吸収促進剤を添加することも有効である。その例としては、例えば、ラウリン酸ジエタノールアミド、グリセリンモノラウレート、グリセリンモノカプレート等が挙げられる。
【0034】
又、経皮吸収医薬組成物には、必要に応じて、ロジン系樹脂、ポリテルペン系樹脂、クマロンーインデン系樹脂、石油系樹脂、テルペンーフェノール系樹脂などの粘着付与剤、液状ポリブテン、液状ポリイソプレン、鉱油ラノリン、液状ポリアクリレートなどの可塑剤、充填剤、老化防止剤、pH調整剤、湿潤剤、保湿剤、保存剤、乳白剤、芳香剤、着色剤等が添加されてもよい。
【0035】
本発明の経皮吸収医薬組成物は、そのまま軟膏剤、クリーム製剤等として使用されてもよいし、支持シートの一面に積層されてテープ製剤、バッチ製剤等として使用されてもよい。
【0036】
上記支持シートとしては、特に限定されず、従来からテープ製剤、バッチ製剤等の支持シートとして一般に使用されているシートが好ましく、例えば、酢酸セルロース、エチルセルロース、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル系樹脂、塩化ビニリデン樹脂、酢酸ビニル−塩化ビニル共重合体、ポリアミド系樹脂、ポリエステル樹脂、ABS樹脂、SIS樹脂、SEBS樹脂、ウレタン樹脂、シリコン樹脂、アルミニウム等のシートが挙げられる。又、これらのシートは、上記材料の繊維の織布又は不織布であってもよいし、これらのシート、織布及び不織布の積層シートであってもよい。
【発明の効果】
【0037】
本発明の経皮吸収医薬組成物の構成は上述の通りであり、アクリル系粘着剤(D)に、メロキシカム(A)と吸収促進剤(B)としてアルキル硫酸ナトリウム及び一般式(1)で表されるジエチレンオキサイドアルキルエーテル並びに溶解補助剤(C)が添加されているので、メロキシカムの経皮吸収速度が優れ、皮膚に対する刺激性が低く、全身性医薬製剤として好適に使用できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
次に、本発明を詳細に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
(実施例1〜8、比較例1、2)
アクリル系粘着剤Aの合成
500mlの反応容器に、酢酸エチル200重量部、アクリル酸2−エチルヘキシル80重量部、ビニルピロリドン20重量部及びアゾビスイソブチロニトリル0.5重量部を仕込み、窒素置換した後、攪拌しながら70℃で15時間重合してアクリル系粘着剤Aを得た。
アクリル系粘着剤Bの合成
500mlの反応容器に、酢酸エチル200重量部、アクリル酸2−エチルヘキシル50重量部、アクリル酸ブチル30重量部、酢酸ビニル20重量部及びアゾビスイソブチロニトリル0.5重量部を仕込み、窒素置換した後、攪拌しながら70℃で15時間重合してアクリル系粘着剤Bを得た。
【0039】
得られたアクリル系粘着剤A又はBに、アクリル系粘着剤の固形分100重量部に対し表1に示した所定量のメロキシカム、ジエチレンオキサイドセチルモノエーテル(吸収促進剤)、ドデシル硫酸ナトリウム(吸収促進剤)、N−メチルピロリドン(溶解補助剤)、水素化ナトリウム(溶解補助剤)、ナトリウムメトキシド(溶解補助剤、東京化成工業(株)試薬)及びトリエタノールアミン(溶解補助剤)を添加溶解して経皮吸収医薬組成物を得た。得られた経皮吸収医薬組成物をポリエチレンテレフタレートフィルムの一面にナイフコーターにより塗布し、90℃で15分間乾燥して厚さ100μmの薬物含有層を有する経皮吸収テープ製剤を得た。
【0040】
In vitro 経皮吸収試験
拡散断面積3.14cmのFranz型拡散セルを用いた。ウイスター系雄性ラット腹部皮膚を剃毛した透過膜の角質側に得られた経皮吸収テープ製剤を貼付し、レセプター液として生理食塩水とポリエチレングリコール600の混合液(体積比80:20)を用いて試験した。24時間後にレセプター液を採取し、ラット腹部皮膚を拡散し、レセプター液に移行したメロキシカムの濃度を高速液体クロマトグラフで測定し、経皮吸収テープ製剤1cm当たりの透過量(以下、「24時間経皮吸収量」という。)を計算した。得られた結果を表1に示した。
【0041】
高速液体クロマトグラフのカラムはODS型逆相分配カラムであり、高速液体クロマトグラフの移動相は燐酸バッファー(pH2.0)とアセトニトリルの混合液(体積比50:50)であり、355nmの紫外光で検出した。
【0042】
皮膚刺激性試験
得られた経皮吸収テープ製剤を直径2.0cmの円形に打ち抜いたサンプルをボランティア4名の上腕内部は貼付し、24時間経過後に剥離して、剥離直後の皮膚刺激性強度を下記評価採点基準により測定し、その平均値を算出した。
評価採点基準
0:皮膚刺激なし。 1:わずかに皮膚刺激有り。 2:若干の皮膚刺激有り。
3:皮膚刺激有り。 4:強い皮膚刺激有り。
【0043】
皮膚粘着性及び糊残り性
皮膚刺激性試験において、サンプルを剥離した際に皮膚への粘着性及び皮膚への糊残りがないか目視で観察した。
メロキシカム結晶析出性
得られた経皮吸収テープ製剤にメロキシカムの結晶が析出していないか目視で観察した。
【0044】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)医薬的に有効な量のメロキシカム、
(B)吸収促進剤としてアルキル硫酸ナトリウム及び一般式(1)で表されるジエチレン オキサイドアルキルエーテル
HO(CHCHO)R ・・・(1)
(式中、Rは炭素数16〜18のアルキル基を示す。)
(C)溶解補助剤並びに
(D)アクリル系粘着剤
からなることを特徴とする経皮吸収医薬組成物。
【請求項2】
一般式(1)で表されるジエチレンオキサイドアルキルエーテルが、ジエチレンオキサイドセチルモノエーテルであることを特徴とする請求項1記載の経皮吸収医薬組成物。
【請求項3】
一般式(1)で表されるジエチレンオキサイドアルキルエーテルの含有量が、経皮吸収医薬組成物中5〜50重量%であることを特徴とする請求項1又は2記載の経皮吸収医薬組成物。
【請求項4】
アルキル硫酸ナトリウムが、ドデシル硫酸ナトリウムであることを特徴とする請求項1、2又は3記載の経皮吸収医薬組成物。
【請求項5】
アルキル硫酸ナトリウムの含有量が、経皮吸収医薬組成物中3〜30重量%であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載の経皮吸収医薬組成物。
【請求項6】
溶解補助剤(C)が、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、N−メチルピロリドン、ナトリウムアルコキシド及び水素化ナトリウムからなる群より選ばれた化合物であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項記載の経皮吸収医薬組成物。
【請求項7】
溶解補助剤(C)が、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン及びN−メチルピロリドンからなる群より選ばれた化合物と、ナトリウムアルコキシド及び/又は水素化ナトリウムとの併用であり、前者の含有量が経皮吸収医薬組成物中0.5〜10重量%、後者の含有量が経皮吸収医薬組成物中0.3〜5重量%及び合計の含有量が経皮吸収医薬組成物中0.5〜15重量%であることを特徴とする請求項6記載の経皮吸収医薬組成物。
【請求項8】
アクリル系粘着剤(D)が、アクリル酸2−エチルヘキシル及び/又はアクリル酸ブチルと、N−ビニルピロリドン又はアクリル酸との共重合体であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項記載の経皮吸収医薬組成物。
【請求項9】
アクリル系粘着剤(D)が、アクリル酸2−エチルヘキシル及び/又はアクリル酸ブチルと、アクリル酸と酢酸ビニルとの共重合体であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項記載の経皮吸収医薬組成物。

【公開番号】特開2009−203213(P2009−203213A)
【公開日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−81899(P2008−81899)
【出願日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【出願人】(501296380)コスメディ製薬株式会社 (42)
【Fターム(参考)】