説明

経皮的被検体モニタリングシステムおよび被検体の検出方法

寿命を延ばし被検体の検出を向上させた経皮的被検体モニタリングシステム(TAMS)が本明細書において記載される。TAMSと共に使用するキットおよびTAMSとキットの使用方法も記載される。好適な実施形態においては、TAMSは、ヒドロゲルの表面を覆う保護半透膜を備える。保護半透膜はユーザーの皮膚に接触してヒドロゲルの汚染または汚損を防止する。必要に応じて、ヒドロゲルは1種以上の湿潤剤および/または固定化酵素を含む。別の好適な実施形態においては、TAMSはヒドロゲルに供給される酸素の量を増加させる少なくとも1つの通路またはポケットを含む。一実施形態においては、TAMSによる被検体の検出を向上させる方法が提供される。例えば、適切な前処置によって皮膚の孔隙率を増加させた後、皮膚準備清拭を被処置皮膚に施し、次いでTAMSを被処置部分に適用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、生物学的液体の非侵襲的サンプリングを向上させるシステムおよび方法の分野に関し、より具体的には、経皮的な被検体(analyte)の検出および定量化を向上させるシステムおよび方法に関する。
(関連出願の相互参照)
本出願は、2007年3月7日に米国特許商標庁に出願された米国特許出願第60/893,563号に優先権を請求する。
【背景技術】
【0002】
糖尿病がアメリカ人の健康に及ぼす影響は、驚くべきものである。米国糖尿病協会によると、2006年にはおよそ20.8百万人のアメリカ人が糖尿病と診断された。2002年において糖尿病に要した費用は1,320億ドルと推計されている。糖尿病に伴う合併症によるアメリカ人の2006年の死亡者数は、1日当たり613人であると推計されている。
【0003】
糖尿病を処置および検出する新しい改良型のシステムと方法が強く求められている。分析用バイオセンサーは、糖尿病を管理するために用いることができる一種のシステムを提供する。分析用バイオセンサーは、最近10年間に電気化学的信号伝達の利点を生物学的相互作用における特有の特異性と組み合わせる手段として採用されてきた。例えば、糖尿病を管理するための連続グルコース測定(continuous glucose monitoring)(CGM)の使用が広く普及しつつある。
【0004】
分析用バイオセンサーシステムの最近の改良にも関わらず、利用可能なシステムには欠点がある。例えば、ヒドロゲルセンサーを採用しているシステムは、通常保存寿命が短く、センサー材料をユーザーの皮膚上に漏らすことがある。あるいは、細菌増殖または他の微生物の増殖がバイオセンサーの汚染または汚損を招き、被検体の測定値を信頼できないものにしてしまう可能性がある。場合によっては、ユーザー由来のタンパク質、炭水化物、細胞、または細胞片がセンサーに固着して測定を妨げることがある。こうした固着によってバイオセンサーが汚染される可能性もある。
【0005】
電極の面に汚染物質が触れるのを防ぐため、膜、フィルムまたはその他の物理的バリアがセンサー電極の表面に用いられてきた。採用されてきた典型的なフィルムとしては、酢酸セルロース、ポリ(o−フェニレンジアミン)、ポリフェノール、ポリピロール、ポリカーボネート、およびNAFION(登録商標)、すなわち、テトラフルオロエチレン−パーフルオロ−3,6−ジオキサ−4−メチル−7−オクテンスルホン酸共重合体(E.l.du Pont de Nemours & Co.,Wilmington,Del.)が挙げられる。しかし、これらの膜は調製するのが難しい場合があり、電極の反応表面に効率よく付着しないこともある。
【0006】
CGMシステムの中にはシステムを適用する前に水和調合物による皮膚の前処置を必要とするものもある。例えば、既存のバイオセンサーシステムの場合、皮膚の孔隙率を増加させるための処置の後、およびセンサー適用の前に通常は10〜40分間皮膚の水和処置が標的の皮膚部位に施される。水和処置を行うと、前処置を行わない場合に比べてセンサー性能が向上する(センサー信号が参照用の血中グルコース示度によく追随する)。皮膚の水和処置はセンサー性能を向上させるが、装置を配設する処置を更に面倒にし得、よってシステムのコストを増加しかねない好ましくない作業、物質および時間を必要とする。面倒な、または時間のかかる皮膚前処置の処置を必要としないシステムが望ましい。
【0007】
更に別のCGMシステムにおいては、グルコースセンサーを較正するために標準的な参照グルコース法が用いられ、その結果センサーは較正された電気信号に基づいてその後のグルコース示度を報知する。原理上は、被験体の血中グルコース濃度は測定された電気信号に比例するはずである。グルコースの酵素変換に基づくセンサーについては、例えば、酵素グルコースオキシダーゼ(GOx)が水と酸素を利用してグルコースを過酸化水素(H)とグルコラクトンに変換する場合、酵素変換は利用可能な酸素の量によって制約を受ける。例えば間質液において酸素の供給が限られている場合、グルコースの濃度が酸素の濃度を上回り、グルコースの酵素変換は酸素の供給に依存し、その結果センサーのグルコース示度の信頼性が低下してセンサー性能が影響を受けることになる。
【0008】
酸素の制約という問題を緩和するための様々な方法が報告されてきた。Tierney他は、グルコースの抽出を制限して酸素とグルコースの望ましいバランスを維持するために逆イオントフォレシス(reverse iontophoresis)を用いることを記述している(非特許文献1)。Shults他に付与された米国特許第7,110,803号は、グルコースに対して高い酸素透過比を有するグルコース制限膜層の使用を開示している。Simpson他に付与された米国特許第7,108,778号は、化学作用を検出するための酸素を発生させる補助電極の使用を開示している。しかし、これらの方法はいずれもCGMシステムへの別要素の追加を必要とし、システムのコストと複雑さを増してしまう。システムのコストと複雑さを増すことなくセンサーが利用可能な酸素の量を増加させる簡単な方法が必要とされている。
【0009】
従って、本発明の目的は、改良型の経皮的被検体モニタリングシステム(transdermal analyte monitoring system)を提供することである。
【0010】
本発明のもう1つの目的は、経皮的被検体モニタリングシステムにおける生物付着および/または汚染を軽減する方法を提供することである。
【0011】
本発明のもう1つの目的は、経皮的被検体モニタリングシステムによる被検体の検出および/または定量化の精度を向上させる方法を提供することである。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】M.Tierney他、Annals of Medicine,32(9):632〜641(2000)
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0013】
寿命と被検体検出能が向上した経皮的被検体モニタリングシステム(TAMS)が本明細書において記載される。一般に、経皮的被検体検出システム(transdermal analyte detecting system)(「TADS」)は、(1)皮膚から被検体を受け取るように設計されたヒドロゲルなどの親水性ポリマー基材と(2)複数の電極を含むセンサー本体を備えるセンサーアセンブリ、およびディスプレイおよび/または演算装置(computing device)を含む。本好適な実施形態においては、TAMSは、センサーの端部に親水性ポリマー基材に付着する半透膜を含む。この膜は被験体の外部表面と界面を形成し、患者の皮膚と親水性ポリマー基材との間のバリアとして作用する。半透膜は、親水性ポリマー基材の露出表面を覆う保護バリアを形成することによって、同装置が半透膜を持たない場合と比較して親水性ポリマー基材の生物学的汚染物質の量を減少させる。加えて、半透膜は、親水性ポリマー基材が装置から漏洩することを防止する。親水性ポリマー基材は通常酵素を含み、必要に応じて1種以上の湿潤剤を含む。
【0014】
好適な実施形態においては、TAMSは、センサーアセンブリ内に1以上の通路(channel)またはポケットを含み、これが被検体を酵素と反応させて検出可能な信号を発生させるのに利用可能な酸素の量を増加させる。
【0015】
別の実施形態においては、経皮的被検体モニタリングシステムによる被検体検出および/または定量化を向上させる方法が提供される。この方法は、生体の皮膚のある領域を処置して孔隙率を増加させる工程と、およびそれに続いて皮膚の被処置部分を基材で清拭する工程を含む。基材は、パッド、織布もしくは不織布、フェルト、またはガーゼなどの任意適当な吸収材とすることができる。一般に基材は、溶媒(例えば水、エタノール、またはイソプロパノール)、リン酸緩衝化生理食塩水、乳酸、石けん、界面活性剤、またはそれらの組合せといった清拭試薬を含有する。清拭するステップは、皮膚水和ステップが必要ないようにするものである。皮膚の清拭後、経皮的被検体モニタリングシステムが適用される。
【0016】
別の実施形態においては、経皮的被検体検出システムと基材を含むキットが提供される。基材には、清拭試薬を染み込ませてもよい。あるいは、キットには清拭試薬を別に含ませることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】分解図に示したセンサーを有する、連続的被検体モニタリング(continuous analyte monitoring)を実行するための例示的な有線式経皮的被検体モニタリングシステム(TAMS)を示す。あるいは、センサーとモニターとの間の通信は、無線リンク(図1には示さず)を介して行うこともできる。
【図2】図1に示すセンサー本体の図を示す。
【図3】膜を用いた場合と用いない場合の、24時間のex vivoでの適用後の例示的なバイオセンサーからの残留信号の比率を示す棒グラフであり、「n」はテストの数を表す。
【図4】信号ドリフト(%)の棒グラフと異なる膜を有する装置のセンサー(nA)レベルと血中グルコース(BG:blood glucose)レベルとの、4時間毎に較正した24時間平均絶対的相対的差異(Mean Absolute Relative Difference)(MARD)を示す。表示の「PES−10K」(ポリ(エーテルスルホン))と「RC−3k」はUF膜を、「UB」は共有結合によって活性化させたPESを、「0.2PES」は0.2μm細孔を有しコーティングされていないことを、「.NAF」はNafion(登録商標)でコーティングされていることを意味し、アスタリスク(*)は、このセンサーについては8時間毎に較正を行いながらMARDを引用したことを示す。
【図5】ヒドロゲル基質(matrix)に各種湿潤剤を含ませた場合の信号ドリフト(%)の棒グラフと24時間MARDを示す。テストは24時間のex vivoでの適用であり、全て0.2PES.Naf膜を使用した。
【図6】共有結合によって固定化したGOxを有するバイオセンサーシステムと共有結合固定化を行わなかったバイオセンサーシステムとを4時間のex vivoでの適用後にnAのBGに対する相関(R)とMARDを用いて比較する棒グラフを示す。
【図7A】センサーを適用する前に皮膚準備清拭処置(skin preparation wiping procedure)を施した場合の連続的経皮グルコースセンサーから得られた血中グルコース濃度(mg/dl)対時間(分)の線グラフを示す。参照血中グルコース(「実BG」、指先穿刺血中グルコース測定器示度、円のついた実線)レベルが予測血中グルコース(「予測BG」、センサーのグルコース示度、実線)レベルと比較される。データは予測BGと実BGとの間の強い相関(r=0.950)を示している。
【図7B】センサーを適用する前に皮膚準備清拭処置を施さなかった場合の連続的経皮グルコースセンサーから得られた血中グルコース濃度(mg/dl)対時間(分)の線グラフを示す。参照血中グルコース(「実BG」、指先穿刺血中グルコース測定器示度、円のついた実線)レベルが予測血中グルコース(「予測BG」、センサーのグルコース示度、実線)レベルと比較される。データは予測BGと実BGとの間の弱い相関(r=0.309)を示している。
【図7C】センサーを適用する前に40分間皮膚水和処置を行った場合の連続的経皮グルコースセンサーから得られた血中グルコース濃度(mg/dl)対時間(分)の線グラフを示す。参照血中グルコース(「実BG」、指先穿刺血中グルコース測定器示度、円のついた実線)レベルが予測血中グルコース(「予測BG」、センサーのグルコース示度、実線)レベルと比較される。データは予測BGと実BGとの間の強い相関(r=0.947)を示している。
【図8A】4つの空気通路を有する例示的な標的板の底部の図を示す。
【図8B】ヒドロゲルの化学的反応のための中心孔を囲む内部空気ポケットの3つの切り欠きを有する例示的なグルコースセンサーの標的板の正面図を示す。
【図8C】密閉型グルコースセンサーを実現する標的板上の例示的なセンサーハウジングの図を示す。
【図9】連続的被検体モニタリングを実行する例示的無線式経皮的被検体モニタリングシステム(TAMS)の使用法を示す概略図である。本システムは、図8A、8B、および8Cに示すグルコースセンサーと共に使用することもできる。
【図10】10人の患者から集められた222のセンサー血中グルコースデータ点を含む、調査1Aで得られたデータのクラーク誤差グリッドである。
【図11】10人の患者から集められた225のセンサー血中グルコースデータ点を含む、調査1Bで得られたデータのクラーク誤差グリッドである。
【図12】10人の患者(うち9人が調査を完了した)から集められた147のセンサー血中グルコースデータ点を含む、調査2Cで得られたデータのクラーク誤差グリッドである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
I.経皮的被検体モニタリングシステム
経皮的被検体検出を向上させるシステムおよび方法が本明細書において記載される。一般に、経皮的被検体モニタリングシステム(「TAMS」)は、(1)皮膚から被検体を受け取るように設計されたヒドロゲルなどの親水性ポリマー基材と(2)複数の電極を含むセンサー本体を備えるセンサーアセンブリ、およびディスプレイおよび/または演算装置を含む。本好適な実施形態においては、TAMSは、センサーの端部に親水性ポリマー基材に付着する半透膜を備える。この膜は、患者の皮膚と親水性ポリマー基材との間の半透性バリアとして作用する。
【0019】
TAMSは、動物の皮膚上のある部分に適用される;通常、動物は哺乳類であり、本好適な実施形態においては、哺乳類はヒトである。
【0020】
本システムを使用する場合、ヒドロゲルは被検体と連続的に反応することによって電気信号を発生する酵素を含有する。そして、この電気信号は電極アセンブリによって検出される。電気信号は被検体値と相関する。
【0021】
モニターすべき被検体としては、グルコース、乳酸塩、血液ガス(例えば、二酸化炭素または酸素)、血液pH、電解質、アンモニア、タンパク質、あるいは血液、血漿、血清または間質液などの生物学的液体中に存在する任意の他の生物学的種が挙げられるがこれに限らない任意の目的とする被検体とすることができる。
【0022】
例示的TAMSがKellogg他による米国特許公開第20060094946号に記載され、本明細書では図1に図示されている。図1に示すTAMSは、グルコースなどの被検体の連続的測定を実行するのに用いることができる。図1に示すように、TAMS(100)は、センサー本体(101)と、ヒドロゲルディスク(106)と、取付板(102)に加えディスプレイまたは演算装置に取り付けてもよい本明細書において記載する他の構成成分を備えるセンサーアセンブリ(112)を含む。作動中は、センサーアセンブリ(112)は、図1に破線で示すようにユーザーの皮膚の透過性領域(107)付近に配置してもよい。センサーアセンブリ(112)は、任意適当な手段によってディスプレイまたは演算装置に取り付けてもよい。適当な手段としては、無線接続部またはその他何らかの電気的接続用手段、例えば可撓性接続ケーブル(109)が挙げられる。ある実施形態においては、センサーアセンブリ(112)はポテンショスタット記録装置(108)に取り付けられる。ポテンショスタット(potentiostat)記録装置(108)はプリント回路基板(111)を備えてもよい。接続ケーブル(109)は、好ましくはポテンショスタット記録装置(108)にセンサーアセンブリ(112)の装脱着を容易にするコネクタ(110)を用いて取り付ける。適当な取り付け手段としては、可撓性接続ケーブル(109)および無線接続部が挙げられる。
【0023】
無線接続部を有するTAMSが図9に図示されている。センサーアセンブリ(112)は、標的板(120)と、ヒドロゲル(106)およびセンサー、ならびにセンサーハウジング(125)を備える。センサーはデータを無線でデータ処理および表示用モニターに送る小型分析器に連結されている。
【0024】
A.センサーアセンブリ
図1および2に示すセンサーアセンブリ(112)は、多数の検出装置の任意の1つに組み込んでもよい。例えば、本センサーアセンブリは、不連続および/または連続的グルコース測定を行う受信機に組み込んでもよい。
【0025】
センサーアセンブリ(112)は、センサー本体(101)を備える。センサー本体は、図2に示すように、その表面に被検体または被検体を示す反応生成物の電気化学的検出用の電極を備えてもよい。
【0026】
熱変換器(103)は、センサー本体(101)の形状に対応する形状のセンサーアセンブリ(112)内に収容されてもよく、センサー本体(101)と取付板(102)との間に位置する。グルコースセンサーなどの酵素ベースの電気化学センサーは、温度の作用に敏感にすることができる。熱変換器(103)は、被検体または被検体指示物質の変化に起因する変化のみを正規化して報知するために用いてもよい。
【0027】
センサーアセンブリ(112)は、粘着ディスク(104)を更に含んでもよく、粘着ディスク(104)は熱変換器(103)に面するセンサー本体(101)の側に取り付けてもよい。
【0028】
センサーアセンブリ(112)は、粘着リング(105)を更に含んでもよく、粘着リング(105)は粘着ディスク(104)とは反対側のセンサー本体(101)の側に取り付けてもよい。粘着リング(105)の切り抜かれた中心部は、好ましくはセンサー本体(101)上のセンサー構成成分の一部または全部を露出させる。粘着リング(105)と粘着ディスク(104)は、図1に示すセンサー本体の形状に対応する形状でよい。
【0029】
センサーアセンブリ(112)は、ヒドロゲルディスク(106)を含んでおり、ヒドロゲルディスク(106)は粘着リング(105)の切り抜かれた中心部内にセンサー本体(101)の表面に隣接させて配置してもよい。
【0030】
a.センサー本体
センサー本体(101)が図2に詳細に図示されている。センサー本体101は本体層(207)を備え、その上にはリード(lead)(204、205および206)がパターン形成されている。これらリードは、例えば、金属を本体層(207)上の所望位置にコーティングして形成してもよい。作用電極(201)が通常センサー本体(101)の中央に位置している。作用電極(201)は、純白金、白金化炭素、ガラス状炭素、カーボンナノチューブ、メソポーラス(mezoporous)白金、白金黒、パラジウム(paladium)、金、または白金−イリジウムなどの触媒および/または導電材料を含有してもよい。作用電極(201)は、リード(206)と電気的接触状態になるようにリード(206)上にパターン形成されてもよい。対電極(202)は、安定で導電性の材料を含有してもよく、好ましくは炭素を含有し、それは図2に示すように、作用電極(201)の周縁の一部の周りに配置されてもよい。対電極(202)は、リード(205)と電気的接触状態になるようにリード(205)上にパターン形成されてもよい。一定の酸化還元電位を与える二元酸化還元物質を含有し、好ましくはAg/AgClを含有する参照電極(203)は、図2に示すように、作用電極(201)の周縁の別の一部の周りに配置されてもよい。電極(201、202および203)は、装置の検知部にパターン形成された電気リード(206、205、204)それぞれの配置を概ねたどるように形成することができる。電極(201、202および203)は、それぞれ電気リード(206、205、204)上にスクリーン印刷またはスパッタ(sputter)コーティングによって形成してもよい。リードは、スクリーン印刷またはその他の本技術分野で公知の方法を用いてセンサー本体(101)上に、外部装置または構成成分への電気的接続を可能にする形でパターン形成することができる。例えば、リードは、図2に示すように、センサー本体の延長領域の終端部でリード(204、205および206)を備える3極コネクタピンリードを形成してもよい。その上でセンサー電極を外部装置または構成成分に接続するために標準的なコネクタを使用してもよい。
【0031】
b.親水性ポリマー基材
センサーアセンブリは、親水性ポリマー基材を含む。基材はセンサーアセンブリ内に水分貯留部を形成する構造を与えるように設計されている。親水性ポリマー基材は、センサーアセンブリに適合する任意適当な形状でよい。通常、親水性ポリマー基材は、センサー本体と同じ形状である。標準的形態は、ディスク状である。形状はセンサーの形状に合わせて選択される。必要に応じて、生体付着性などの追加の機能性を付与するためにイオン性部分を親水性ポリマー基材に組み込むこともできる。本好適な実施形態においては、基材はヒドロゲルである。
【0032】
ヒドロゲルは、コンタクトレンズ、バイオセンサー、人工移植物用のライニングおよび薬物送達装置(device)などの医療および生物工学的用途に利用されている生体材料類である。経皮的被検体モニタリングシステムは、以下に記載するヒドロゲル物質を1種以上利用してもよい。センサーアセンブリに使用してもよいヒドロゲル物質の類としては、アガロースベースのヒドロゲル類、ジアクリル酸ポリエチレングリコール(polyethylene glycol diacrylate)(PEG−DA)ベースのヒドロゲル類、ならびにジアクリル酸ポリエチレングリコール/ポリエチレンイミン(PEGDA−PEI)およびジアクリル酸ポリエチレングリコール−n−ビニルピロリドン(PEGDA−NVP)を含む酢酸ビニルベースのヒドロゲル類が挙げられる。
【0033】
ヒドロゲルを形成することができる適当なポリマーとしては、合成ポリマーまたは天然ポリマーが挙げられるが、これに限らない。合成ポリマーの例としては、ポリアクリル酸およびポリメタクリル酸ポリマー、ヒドロキシプロピルセルロースなどのセルロース誘導体、ポリエチレングリコールのポリマー、共重合体およびブロック共重合体、ならびに他の水膨潤性、生体適合性ポリマーが挙げられる。天然ポリマーの例としては、コラーゲン、ヒアルロン酸、ゼラチン、アルブミン、多糖、およびこれらの誘導体が挙げられる。天然ポリマーは、サイリウム(psyllium)などの各種植物性材料から分離されたタイプのものでもよい。
【0034】
構造的には、高分子ヒドロゲル類は、三次元の高分子構造物である。これらは、いくつかの方法によって製造することもできる:a)モノマーからの合成(架橋重合);b)ポリマーと重合助剤からの合成(グラフト化および架橋重合);c)ポリマーおよび非重合助剤(架橋用ポリマー)からの合成;d)エネルギー源を有するポリマー(助剤を含まない架橋用ポリマー)からの合成、およびe)ポリマーからの合成(反応性ポリマーのポリマー間結合による架橋)。
【0035】
ヒドロゲルの厚さは様々である。通常、ヒドロゲルは約10〜約1000μm、より好ましくは約50〜約700μm、更に好ましくは約200〜約500μmである。
【0036】
図1に示すように、ヒドロゲルディスク(106)は、折り畳んで取付板(102)に載せた後ユーザーに面するような形で配置してもよい。センサー本体(101)は、裏板(backing plate)(102)に載せられる対応するコネクタインターフェースと嵌まり合う留め具を有する標準的なコネクタを用いて取付板(102)に接続してもよい。
【0037】
i.アガロースベースのヒドロゲル
アガロースベースのヒドロゲルは、連続的経皮的被検体モニタリングにとって利点があり得る。例えば、アガロースベースのヒドロゲルは、以下の特徴のうち1以上を備えている:高い水分含有量によるグルコースおよび過酸化水素への良好な反応性、高酵素担持性、良好な生体適合性、ならびに優れた透過性および拡散性。アガロースベースのヒドロゲルは一般に、水溶性被検体と適合する。加えて、アガロースヒドロゲルは清浄で安価であり、および/または調製が容易である。
【0038】
アガロースゲルは、例えば、0〜1Mのリン酸ナトリウムまたはリン酸カリウム、0〜1Mの塩化ナトリウム、0〜1Mの塩化カリウム、0〜2Mの乳酸と、0〜1MのTRITON(登録商標)X−100(Union Carbide Chemicals & Plastics Technology Corp.)、TWEEN(登録商標)80(ICI Americas Inc.)またはラウリル硫酸ナトリウムなどの界面活性剤、および他の任意の生体適合性成分を含有する緩衝液中で1〜20%のアガロースから形成してもよい。アガロースヒドロゲルにおけるグルコースオキシダーゼ担持量は、例えば、固体のヒドロゲルを濃縮したグルコースオキシダーゼ溶液に浸すことによって、あるいは濃縮したグルコースオキシダーゼ粉末または溶液をアガロース溶液の溶解段階(15〜65℃)の間に混合し、その後それよりも低い温度(40℃以下)で冷却してゲル化することによって最大で0〜20(重量)%とすることができる。
【0039】
ii.PEGベースのヒドロゲル
PEGベースのヒドロゲルは、連続的経皮的被検体モニタリングにとっていくつかの利点がある。構造的には、PEGは親水性が高く、水性溶媒中で高い溶媒和を示す。PEG分子の選択的溶媒和は、タンパク質をPEG鎖体積から効果的に排除することよってタンパク質による生物付着から表面を保護することができる。化学的に架橋されたPEGベースのヒドロゲルがもたらすことができる利点は、その物理的および化学的性質がPEG鎖の分子量を変えることおよび開始剤濃度を変えることによって調節可能だという点である。例えば、ポリエチレンオキシド主鎖の分子量を増加させると網目構造のメッシュサイズが大きくなる。酵素などの生物活性分子の放出は、網目構造密度の制御によって制御可能である。従って、重量平均分子量が8KDaのPEGを含有するヒドロゲルは、重量平均分子量が3.3KDaのPEGを含有するヒドロゲルよりも捕捉された薬物の放出速度が高い。
【0040】
必要に応じて、生体付着性などの追加の機能性を付与するために添加剤をヒドロゲルに加えることができる。例えば、架橋して生体付着性ヒドロゲルを生成する前にヒアルロン酸またはポリアクリル酸をPEGマクロマー(macromer)に添加することもできる。別の例においては、捕捉された薬物に分子間相互作用(例えば、イオン結合)を与えて基質からの薬物の放出速度を遅くするため、架橋したヒドロゲルにイオン的性質を付与することもできる。
【0041】
バイオセンサーに用いられたPEGベースのヒドロゲルは、以下の特徴のうち1以上を発揮することができる:(a)センサー機能を低下させることがなく、生物学的液体への長期曝露に適した生体適合性があって生物付着しない表面、(b)グルコースオキシダーゼの貯留、(c)グルコースオキシダーゼの捕捉を増進するためにイオン性部分と組み合わせることができる基質、(d)主鎖の分子量を変えることによって物理的および化学的性質(網目構造密度、膨張)に関して調節可能な基質、および(e)キトサングルコネート、ポリアクリル酸、ポリ(アミドアミン)、ポリ(エチレンイミン)およびヒアルロン酸などのイオン性賦形剤の添加によって生体付着性とすることができる基質。
【0042】
ジアクリル酸ポリエチレングリコール(PEGDA)マクロマーからヒドロゲルを形成する場合、ヒドロゲルに支持基質と持ち手を与える予め入れておいたスクリム布片を含む型(mold)の中でUV重合などの重合を起こしてもよい。PEGDAマクロマーは、棒付きキャンディー形状をした(lollipop−shaped)布片の円形の頭部の周囲でのみ重合させて布片の尾部をヒドロゲルがない状態に残し、持ち手(図2および図9参照)として使えるようにする。
【0043】
必要に応じて、PEDGAヒドロゲルは、GOx酵素などの酵素をPEGDAヒドロゲル網目構造に共有結合させるためのリンカー分子として機能することができるアクリレート−PEG−NHS(A−PEG−N)試薬(例えば、Nektarが販売)を含む。
【0044】
iii.酢酸ビニルベースのヒドロゲル
n−ビニルピロリドン/酢酸ビニル共重合体などの酢酸ビニルベースのヒドロゲルは、透明、粘着性、無毒、可撓性、および/または疎水性などの特徴を示し得る。酢酸ビニルベースのヒドロゲルは通常、湿気を保持しグルコースオキシダーゼなどの酵素を捕捉する能力が高く、生体適合性であって、皮膚にしっかり付着して皮膚とセンサーの連結を向上させる。Chuang他が報告しているように、n−ビニルピロリドン/酢酸ビニル共重合体をヒドロゲルとして用いたグルコースフラックスセンサー(glucose flux sensor)は、グルコースクランプ調査において糖尿病患者の血漿グルコースレベルを追跡する際に良好な性能を示した。Chuang他、「Ultrasonic Pretreatment Enables Continuous Transdermal Glucose Monitoring」、2004年10月28〜30日開催(Philadelphia、PA)第4回糖尿病技術年総会(Annual Diabetes Technology Meeting)にて発表。
【0045】
iv.改変ヒドロゲル
1.共有結合によって固定化した酵素
必要に応じて、酵素および/または湿潤剤を含ませるためにヒドロゲルを改変してもよい。酵素および/または湿潤剤は、共有結合および非共有結合固定化を含む任意適当な手段によって捕捉させればよい。非共有結合固定化の例としては、イオン性相互作用および物理的捕捉が挙げられるがこれに限らない。好ましくは、酵素は例えばリンカー分子を用いてヒドロゲルに共有結合させる。一実施形態においては、CGMシステムでの使用に特に適するのは、グルコースオキシダーゼをヒドロゲルディスクにおいて共有結合によって固定化することである。例えば、PEGDA網目構造へのGOxの共有結合固定化は、GOxの拡散を解消する(生物学的利用能を維持する)ことによって、および/または酵素を安定化させる(生物活性を維持する)ことによって装置の実効性能を向上させる。PEGDA網目構造は、約80%の水をその基質内に含有する構造を与える。これは、溶液における重要成分(例えば、緩衝液の塩および浸透圧物質)を保持するとともに被検体の拡散のための輸送媒体を提供する水の貯留部として作用する。
【0046】
PEGDA濃度15%(w/w)では、ほとんどのGOxが網目への物理的捕捉によってヒドロゲル内に保持され得る。しかし、それよりもPEGDA濃度が低い、例えば10%(w/w)に近い濃度の場合は、網目がもっと粗くなってGOxを保持せず、共有結合固定化が必要になる。
【0047】
リンカーを用いたヒドロゲルへの酵素の共有結合
酵素のヒドロゲルへの結合は、リンカーを用いて行ってもよい。リンカー分子は一般に、酵素上の官能基およびヒドロゲル上の官能基と反応することができる2以上の官能基を含む。例えば、リンカー分子は、酵素およびヒドロゲルにみられるヒドロキシル(hydroxy)基、チオール基、および/またはアミノ基などの求核基と反応する求電子基を含んでもよい。こうしたリンカーは、可変数の原子を含有する結合を形成することによって酵素のヒドロゲル表面への結合を仲介する。リンカー分子は、同種官能性(homofunctional)(すなわち、官能基が同一)または異種官能性(すなわち、官能基が異なる)とすることができる。
【0048】
適当なリンカー分子としては、N−スクシンイミジル3−(2−ピリジルジチオ)プロピオネート(SPDP、3および7原子スペーサー)、長鎖SPDP(12原子スペーサー)、(スクシンイミジルオキシカルボニル−α−メチル−2−(2−ピリジルジチオ)トルエン)(SMPT)、8原子スペーサー)、スクシンイミジル−4−(N−マレイミドメチル)シクロヘキサン−1−カルボキシレート)(SMCC、11原子スペーサー)およびスルホスクシンイミジル4−(N−マレイミドメチル)シクロヘキサン−1−カルボキシレート(スルホ−SMCC、11原子スペーサー)、m−マレイミドベンゾイル−Nヒドロキシスクシンイミドエステル(MBS、9原子スペーサー)、N−(γ−マレイミドブチリルオキシ)スクシンイミドエステル(GMBS、8原子スペーサー)、N−(γ−マレイミドブチリルオキシ)スルホスクシンイミドエステル(スルホ−GMBS、8原子スペーサー)、スクシンイミジル6−((ヨードアセチル)アミノ)ヘキサノアート(SIAX、9原子スペーサー)、スクシンイミジル6−(6−(((4−ヨードアセチル)アミノ)ヘキサノイル)アミノ)ヘキサノアート(SIAXX、16原子スペーサー)、1,4−ジ−[3’−2’−ピリジルジチオ)プロピオン−アミド]ブタン(DPDPB、16原子スペーサー)、ビスマレイミドヘキサン(BMH、14原子スペーサー)、ならびにp−ニトロフェニルヨードアセテート(NPIA、2原子スペーサー)が挙げられるが、これに限らない。当業者であれば、原子数の異なる多数の他の結合剤を使用してよいことも認識する。
【0049】
更に、スペーサー分子は、アクリレート−ポリエチレングリコール−N−ヒドロキシスクシンイミド(アクリレート−PEG−NHSまたはA−PEG−N)などの末端における反応性官能基間の距離を増加させるためにリンカーに組み込んでもよい。多数の多官能性PEGがShearwater Polymers(Huntsville、AL)およびTexaco Chemical Co.(Houston、TX)から市販されている。多アミノPEGは「Jeffamine」の名称で利用可能であり、ジアミノPEGおよびトリアミノPEGを含む。本好適な実施形態においては、ヒドロゲルにおいて酵素はアクリレート−PEG−NHS(A−PEG−N)を用いて共有結合によって固定化される。
【0050】
結合剤を用いた酵素のヒドロゲルへの共有結合
酵素は、結合剤を混入することなく、ヒドロゲルまたは酵素の表面上の基を活性化して酵素またはヒドロゲル上の官能基とそれぞれ反応するようにさせる試薬または反応の使用によってヒドロゲルに直接結合させることもできる。
【0051】
例えば、カルボジイミド類は、カルボキシレートとアミンの間のアミド結合、またはリン酸塩とアミンとの間のホスホラミデート結合の形成を仲介する。カルボジイミドの例としては、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドヒドロクロリド(EDC)、1−シクロヘキシル−3−(2−モルホリノエチル)カルボジイミド(CMC)、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、ジイソプロピルカルボジイミド(DIC)、およびN,N’−カルボニルジイミダゾール(CDI)が挙げられる。N−エチル−3−フェニルイソオキサゾリウム−3’−スルホネート(Woodward試薬)は、カルボキシレートとアミンの縮合によるアミド結合の形成を仲介する。アミノ基を水酸基に結合させるためにCDIを用いることもできる。
【0052】
2.湿潤剤
別の実施形態においては、ヒドロゲルは1種以上の湿潤剤を含有するように改変される。湿潤剤は、水の分子と水素結合を形成する強い親和力を有する吸湿性物質である。湿潤剤は通常、水酸基、アミンまたはカルボキシル基などの親水基をいくつか有する。ヒドロゲルが必要レベルの水を確実に保持できるように、ヒドロゲルは任意適当量の湿潤剤を含有してもよい。ヒドロゲルにおける湿潤剤の適当量は、0.1〜40%(wt/wt)の範囲、好ましくは5〜15%(wt/wt)の範囲の量である。
【0053】
好ましくは、湿潤剤は全体として負電荷を有している。適当なアニオン性湿潤剤としては三酢酸グリセリル、および負に帯電したポリオール類が挙げられるが、これに限らない。試験済みの好ましい湿潤剤としては、ナトリウムPCA(すなわち、2−ピロリドン−5−カルボン酸のナトリウム塩)および乳酸ナトリウムが挙げられる。
【0054】
小分子湿潤剤、すなわち分子量が1000Da未満の分子の湿潤剤の中には有用なものがあり得る。有用な小分子湿潤剤の例としては、尿素、プロピレングリコール、乳酸ナトリウムおよびピロリドンカルボン酸ナトリウム(PCA)が挙げられるが、これに限らない。
【0055】
多糖湿潤剤の中にも有用なものがある。有用な多糖湿潤剤の例としてはヒアルロン酸(ナトリウム塩)、カラギーナンおよびアガロースが挙げられるが、これに限らない。
【0056】
湿潤剤は水分子を保持するが、湿潤剤がなければ水分子は適用期間にわたって開放系から蒸発する。ゲルにおける水分損失は、輸送抵抗の増加、電気信号を供給する触媒(例えば、GOx酵素)の生物学的利用能の低下、収縮による界面接触面積の減少を含む様々な有害な影響を引き起こす。上記の影響のいずれもが装置性能をそこない得る。
【0057】
湿潤剤は、水分損失を軽減することによって装置の一貫性を向上させる。水分損失を減少させると、装置の寿命も延びる。実施例2に開示したように、ある種の湿潤剤は(信号ドリフトの減少によって示されるように)対照(湿潤剤を用いない)と比較して装置性能を長持ちさせることが示されたが、グリセロールおよびヒドロキシエチル尿素などの他の湿潤剤は、対照(湿潤剤を用いない)と比較して(信号ドリフトの増加によって示されるように)装置性能を向上させなかったため、有用ではなかった。好ましい湿潤剤は装置の性能寿命を延ばすと同時に、示度における誤差(MARDによって分析されるような)を著しく増加させないものである(図5参照)。
【0058】
c.取付板または標的板
取付板(102)は、任意適当な幾何形状でよい。取付板は、取付板(102)に搭載される対応するコネクタインターフェースと嵌まり合う留め具を有するSLIM/RCPTコネクタなどの標準的コネクタを用いてセンサー本体(101)に接続する。図8A、8Bおよび8Cに示すような無線式システムにおいては、取付板の代わりに標的板(120)が用いられる。好ましくは、取付板または標的板は、センサー本体(101)を強固に支えヒドロゲル用の丈夫なハウジングとなる、プラスチックなどの誘電率の高い堅牢な非導電材料で形成される。取付板に適する材料としては、プリント回路基板に通常用いられる材料であって、センサー本体(101)を強固に支えるだけでなくセンサーシステム用のプリント電気回路ともなる材料が挙げられる。
【0059】
i.空気ポケットまたは通路
一実施形態においては、TAMSに用いられるセンサーアセンブリは、機能するには酸素が必要なセンサーアセンブリ内のヒドロゲルまたはその他の要素に空気および/または酸素が供給されるようにする通路またはポケットを含む。1以上の空気通路およびポケットをヒドロゲルの周囲に配置することができる。空気通路(122)および/またはポケット(124)は一般に、有線式システム(図1)の取付板(102)または無線式システム(図8Aおよび8B参照)の標的板(120)上のスリットまたは開口の形態をしている。通路およびポケットは、酸素の供給を増やす(酸素付加の増加)だけでなく、ヒドロゲルの湿気(水分)を維持する。空気通路およびポケットは、成形、フライス加工、打ち抜き、エッチングまたは他の任意の機械的または化学的手段によって創出することができる。
【0060】
図8A〜Cは、無線式TAMSにおける標的板(120)の空気通路およびポケットの例を示す。有線式システム(図1および2に示す)も、空気ポケットおよび通路を備えるための同様の手順に改変することができる。図8Aは、4つの空気通路(122A、B、CおよびD)を有する例示的グルコースセンサーの標的板の背面図を示す。図8Bは、ヒドロゲルの化学的反応用の中心孔(125)を取り囲む内部空気ポケットの3つの切欠き(124A、BおよびC)を有する例示的グルコースセンサーの標的板の正面図を示す。図8Cは、密閉型グルコースセンサーアセンブリ(112)を提供するための標的板(120)上の例示的無線式センサーハウジング(126)の図を示す。
【0061】
好適な一実施形態においては、TAMSは、内部でグルコースオキシダーゼ(GOx、酵素)が水と酸素を利用してグルコースを過酸化水素(H)とグルコラクトンに変換する経皮的被検体検出用のセンサーを備える。電気化学的グルコースセンサーは、Hを分解し、同時に経皮グルコースフラックスの連続供給に伴って連続電流を発生させる白金電極を用いて設計することができる。空気または酸素用の通路またはポケットをセンサーアセンブリが備える場合は、同じヒドロゲルでもこうした空気ポケットまたは通路がない場合と比べてヒドロゲルに供給される酸素の量が増加するとともに、ヒドロゲルの湿気レベルが維持される。これはGOxがグルコースを、その後電気化学的に酸化されて血液中のグルコース量を判定するために測定される過酸化水素に変換するには不可欠である。
【0062】
B.半透膜
好適な一実施形態においては、TAMSは、ヒドロゲルの表面とユーザーの皮膚との間に保護半透膜を備える。保護半透膜は、様々な細孔径、組成、電荷、反応性および厚さを有することができる。細孔は、マクロ細孔(5μm)から限外ろ過(3k)更には未定義(NAFION(登録商標))まで幅があってよい。本明細書において用いた「未定義」とは、NAFION(登録商標)など、その細孔構造特性を明らかにする標準的な方法が現在のところ存在しない膜を意味する。NAFION(登録商標)は水和状態に依存してサイズが約1nm〜約50nmの範囲のイオン性の通路を含む。
【0063】
CGMなどの経皮的被検体モニタリングシステムの場合、保護半透膜のヒドロゲルの外側の面への取り付けは、装置の寿命を延ばし微生物、タンパク質、細胞物質などによるヒドロゲルの汚染を減らすことによって装置性能を向上させる。ヒドロゲルとポレートした(porated)皮膚との間の界面として、膜はタンパク質、脂質、細胞残屑、微生物またはその組合せなどの生物学的汚染物質を減少させることができる。
【0064】
保護半透膜は、各種ポリマー、共重合体、またはその混合物から形成することができる。適当なポリマーとしては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などの疎水性ポリマー;ナイロン、ポリエーテルスルホン(PES)類、活性化PES、(3−メルカプトプロピル)トリメチルシラン、酢酸セルロース、1,8−ジアミノナフタリン(1,8−diaminonapthaline)およびフェニレンジアミンなどの電解重合フィルム、ならびにNAFION(登録商標)でコーティングしたPESなどの親水性ポリマーが挙げられる。NAFION(登録商標)(テトラフルオロエチレン−パーフルオロ−3,6−ジオキサ−4−メチル−7−オクテンスルホン酸共重合体)は、生理学的汚染物質および生物付着物に対する保護層としてヒドロゲルにコーティング可能な生体適合性のアニオン性フッ素重合体である。NAFION(登録商標)は、その疎水性、電荷選択性および/またはサイズ排除性に基づき保護層として作用する。
【0065】
例えば高分子フィルムの形態である半透膜は、ヒドロゲル層(106)の外表面にコーティングしてもよい。一般に、作動中は1以上の保護バリア層をヒドロゲルとユーザーの皮膚との間に配してもよい。ポリマーフィルムは、マイクロピペットによって、またはセンサーを水性または有機ポリマー溶液に浸漬被覆してから使用前に数時間空気乾燥するなど、任意適当な方法を用いてヒドロゲル表面にコーティングすることができる。
【0066】
別の実施形態においては、保護半透膜は、ヒドロゲルの一方の側にのみ取り付けられる。膜の存在下でヒドロゲルを重合させ、相互貫入ポリマー網目構造(Interpenetrating Polymer Network)(IPN)を界面領域に形成することによって、界面の接続部分が形成される。IPNは、第一のポリマー(PEGDAヒドロゲルなど)を別のポリマーの網目構造(高分子膜など)の存在下で架橋するときに形成される。
【0067】
一実施形態においては、半透膜は、負に荷電した成分のヒドロゲルから皮膚への損失を防止するためにヒドロゲル/皮膚界面において負に帯電(例えば、NAFION(登録商標)でコーティングされたPES)する。負に荷電した湿潤剤(例えばNaPCA)および浸透圧物質(例えば乳酸)をヒドロゲルに含ませることが多く、システムの安定性を増す。
【0068】
保護膜が共有結合的、静電的、疎水的、および/または機械的相互作用を介してタンパク質またはその他の生物学的作用物質を結合することは公知である。自家実験(未発表)でわかったことだが、膜を皮膚とヒドロゲルとの間に配すると(12時間のex vivoでの適用の間に)、ヒドロゲル上へのタンパク質の沈着の減少が観察された。抽出とビシンコニン酸(bicinchoninic acid)(BCA)タンパク質解析を用いると、膜を所定位置に使用しない場合に1ゲルディスク当たり平均32μgのタンパク質沈着が観察され、保護膜を使用した場合は1ゲルディスク当たり平均14μgのタンパク質沈着が観察された。
【0069】
IV.被検体検出を向上させる方法
A.皮膚の準備
TAMSの好ましい一使用方法においては、TAMSの適用に先立ち皮膚の準備清拭を皮膚に施す。この皮膚の準備清拭は、先行技術の方法において現在用いられている標準的な皮膚水和処置の代わりに用いられる。この皮膚の準備清拭は、表面を清拭または清潔にするために施される。これは通常、孔隙率を増すための皮膚前処置後に、標的皮膚部位を清潔にするために揉む、拭う、パッドを当てる、こするまたは他の任意の方法によって皮膚の標的部分に施される。このステップは通常、短時間しか要さず(先行技術で用いられているより長時間を要する標準的な水和処置に比べて)、例えば約1〜30秒しか要しない。
【0070】
清拭具は、SonoPrep(登録商標)超音波皮膚浸透システム(Sontra Medical)など任意の皮膚前処置の処置後に皮膚の標的部分を清潔にするために用いることができる、水、リン酸緩衝化生理食塩水、乳酸、石けん、界面活性剤もしくは他の任意の化学物質、溶媒、またはその混合物を含有する作用物質を染み込ませた紙、綿または布ベースの基材で形成され得る。好ましくは、作用物質は水、エタノール、イソプロパノールまたはその組合せなどの無機または有機溶媒である。作用物質の例示的処方は水に30〜95%のイソプロパノールを含有するものであり、清拭材はガーゼである。
【0071】
a.キット
一実施形態においては、キットが経皮的被検体検出システムと皮膚準備清拭具を含み、必要に応じてリン酸緩衝化生理食塩水、乳酸、石けん、界面活性剤、または溶媒などの清拭試薬を備える。一実施形態においては、基材には予め清拭試薬が染み込ませてある。別の実施形態においては、清拭試薬はキットの別の構成成分として提供される。
【0072】
B.バイオセンサーの酸素付加向上
好適な一実施形態においては、センサーアセンブリはヒドロゲルおよび/または機能するには酸素が必要なセンサーアセンブリ内の他の要素への酸素供給を増加するように設計されている。空気通路およびポケットは、ヒドロゲルの周囲に配置することができる。空気通路およびポケットは一般に、取付板(102)または標的板(図8)上のスリットまたは開口の形態をしている。通路およびポケットは、酸素の供給を増やす(酸素付加増加)だけでなく、ヒドロゲルの湿気(水分)を維持する。好ましくは、取付板または標的板は、センサー本体を強固に支えヒドロゲル用の丈夫なハウジングとなる、プラスチックなどの誘電率の高い堅牢な非導電材料で形成される。空気通路およびポケットは、成形、フライス加工、打ち抜き、エッチングまたは他の任意の機械的または化学的手段によって創出することができる。
【0073】
IV.使用方法
本明細書において記載したTAMSは、例えばユーザーのグルコースの血中濃度などの生物学的被検体をモニターする、および/または、必要な場合には治療用化合物を送達するのに使用することができる。TAMSは、動物の皮膚の一部分に適用される;通常、動物は哺乳類であり、本好適な実施形態においては、哺乳類はヒトである。
【0074】
例えば、前糖尿病または糖尿病の人は、本装置を使用して自身のグルコース血中濃度レベルをモニターし、その濃度レベルに応じて必要な場合にはインスリンを送達することができる。インスリンはユーザーによってまたは装置によって送達することができる。他の被検体をモニターすることも可能である。
【0075】
連続グルコース測定は、グルコースの血中濃度をセンサー装置内への体液の蓄積に頼ることなく測定することができる。連続グルコース測定においては、例えば、ある人において、電気化学センサーによって計測される電流が皮膚の透過性領域を介してリアルタイムでグルコースフラックスを反映するようにヒドロゲルでのグルコースおよび過酸化水素の両方の蓄積を最小にすることを望んでよい。これは、好都合なことに連続的でリアルタイムの経皮グルコースモニタリングを可能にする。
【0076】
本明細書において記載した経皮的被検体モニタリングシステムを使用するには、まず、任意適当な方法を用いてユーザーの皮膚のある領域の透過性を高める。皮膚の透過性を高める典型的な方法としては、テープ剥離、摩擦、研磨、剥離、レーザー剥離、高周波(RF)剥離、化学物質、超音波導入(sonophoresis)、イオントフォレシス、エレクトロポレーション、透過促進剤の塗布が挙げられる。例えば、皮膚前処置の処置を低エネルギー超音波の適用(例えば、SonoPrep(登録商標)超音波皮膚透過システム)または制御下での皮膚剥離の適用とすることができる。
【0077】
無線式TAMSを使用する場合は通常、標的板(120)が透過性を増加させる皮膚上の部位に置かれる。次いで、皮膚(sin)前処置の処置が施される。この方法は、SonoPrep(登録商標)を皮膚透過システムとして使用する場合に特に適している。
【0078】
本好適な実施形態においては、皮膚前処置ステップの後、皮膚の被処置部分を皮膚準備清拭具で短時間、例えば約1〜30秒間拭うまたはこすることによって被処置皮膚を清潔にする。
【0079】
次いで、図1(有線式システム)または図9(無線式システム)に示すようなセンサーアセンブリを半透膜(図1には示さず)が透過性皮膚に接触するように皮膚の透過性領域(107)につける。無線式TAMSを使用する場合は、通常、ヒドロゲルとセンサーを標的板内に置き、中心孔(125)と整列させる。次いで、センサーハウジング(126)を標的板(120)に取り付けて接続し、完全なセンサーアセンブリ(112)を形成する。
【0080】
被検体は、センサーアセンブリ(101)のヒドロゲルディスク(106)と接触するようにユーザーの皮膚の処置された透過性領域(107)を通して抽出し半透膜を通過させてもよい。
【0081】
例えば、グルコースなどの被検体は、拡散によって半透膜を通って移送されてヒドロゲルディスク(106)に入り得、そこでグルコースオキシダーゼと接触できる。そして、グルコースはヒドロゲルディスク(106)内に存在するグルコースオキシダーゼと反応してグルコン酸と過酸化水素を形成する。次に、過酸化水素はセンサー本体(101)内の電極の表面へと移送され、そこで電気化学的に酸化される。この酸化によって生成された電流がヒドロゲルにおいて発生している過酸化水素の割合を示し、それは皮膚を通過するグルコースフラックスの量(皮膚の一定面積を通過して流れるグルコースの割合)と関係がある。皮膚を通過するグルコースフラックスは、ユーザーの血中のグルコース濃度に比例する。
【0082】
従って、センサーアセンブリからの信号は、血中グルコース濃度をポテンショスタット記録装置(108)に連続的に、リアルタイムの方式で表示することによってユーザーの血中グルコース濃度を連続的にモニターするのに利用することができる。
【0083】
原理上は、作用電極(201)、対電極(202)および参照電極(203)を利用して過酸化水素を測定するセンサーはいずれも同様に構築することができる。例としては、ヒドロゲル(106)に組み込んだオキシダーゼ酵素を使用するグルコース、乳酸塩または他の任意の物質用のバイオセンサーが挙げられる。電気化学センサーは、好ましくは連続グルコース測定中はポテンショスタットモードで作動させる。ポテンショスタットモードでは、3電極セルの作用電極と参照電極との間の電位は、プリセット値に維持される。作用電極と対電極との間の電流が測定される。センサーは必要とされるセル電圧および電流がポテンショスタットの電流および電圧限界を超えない限りこのモードに維持される。ポテンショスタットモードでの作動では、作用電極と参照電極との間の電位は、特定の被検体または被検体指示物質の選択的電気化学的測定が達成できるように選択されてもよい。
【0084】
作用電極表面で起こっている電極反応の動態および機構を調べるため、または電気分析的用途においては他の作動モードを使用することもできる。例えば、電気化学セルモードの作動では、電流は作用電極と対電極との間を流れ得、一方、作用電極の電位は参照電極に照らして測定される。当業者であれば理解できるように、電気化学センサーの作動モードは用途に応じて選択してよい。
【実施例】
【0085】
(実施例1)
ヒドロゲル/膜複合材の形成、およびTAMS性能の向上のための保護半透膜の使用
以下の膜をテストした:[a]コーティングされていないポリエーテルスルホン(PES):細孔径が0.2、1.2および5.0μmの被験体膜;細孔径が0.3、1.0および2.0μmの非被験体膜、[b]Nafion(登録商標)でコーティングされたPES:上に挙げた6種類の異なるPES細孔径それぞれについてもNafion(登録商標)コーティングを施してテストした、[c]アルデヒド官能基を有する活性化PES(0.45μmの細孔を有する)、[4]両性とカチオン性のナイロン66(0.2μmの細孔を有する)、[d]限外ろ過膜(ultrafiltation membrane):MWカットオフ3.5kの再生セルロース(RC);MWカットオフ10kのPES、[e]約35nmのイオンチャンネルを有するNafion1135シート。
【0086】
ヒドロゲル/膜複合材の形成:膜をディスクとして切り取り、緩衝剤に浸し、重合型(polimerization mold)の底に置いた;スクリム布片を膜の上に置いた;ポリマー溶液を型穴に注入した;型にUV光を当ててポリマーを形成した。
【0087】
Nafion(登録商標)でコーティングされたPESから形成された膜については、PES膜は自動コーティング機を用いてNafion(登録商標)溶液を予めコーティングした。コーティングパラメータには機械速度、コーティングバーのサイズ、Nafion(登録商標)溶媒、および塗り回数が含まれ、PESの細孔径によって変えた。コーティングパラメータはコーティングの厚さ、膜に浸透する深さ、一貫性、および寿命に影響する。例えば、0.2μmのPESに5%Nafion(登録商標)溶液(45%アルコール中)を#20バーを使用し8インチ/秒で1回コーティングした場合は、薄い表面コーティングが得られた;5.0μmのPESに20%Nafion(登録商標)溶液(80%アルコール中)を#20バーを用いて複数回コーティングした場合は、より厚いコーティングが得られた。Nafion(登録商標)コーティングの厚さはコーティングした膜をカチオン性のメチレンブルーで着色することで判定した。
【0088】
膜の細孔径が3.4kのPEGマクロマーよりも小さい場合は(3kのセルロースのように)、それより小さい0.75kのPEGマクロマーを使用して膜を3.4kのPEG網目構造に接続した。この場合、PEGマクロマー(3.4kダルトンの)が膜(3kダルトンの)の細孔に侵入できない場合は、0.75kのPEGマクロマーを使用して2種類の相互接続IPNを形成した。0.75PEGマクロマーをまず3kの膜の一方の面内で重合させた;続いて、3.4kのPEGマクロマーを0.75kのPEG網目構造を呈する新しい膜面で重合させた。
【0089】
各膜のグルコースセンサーの性能に対する効果を調査するために24時間のex vivo調査を行った。膜を有さない被験体群と種々の型の膜を有する被験体群とを比較した。MARD誤差を増加させることなく装置の寿命を延ばした膜を好ましい膜であると判定した。各膜はCGM装置(Sontra Medicalにより提供)内のセンサーアセンブリの外表面に配し、装置は超音波処置した被験体の皮膚に適用した。それに応じ、装置はナノアンペア(nA)単位の電気信号を提供し、信号は指先穿刺血中グルコース測定器を用いて被験体の血中グルコース(BG)に較正した。ex vivo調査(24時間にわたる)の過程全体を通し、覚醒時間は1時間おきに、または食事時間に近い時間帯では15分おきに指先穿刺BGサンプルを採取し、装置の信号と関連づけた。この相関の分析によって、装置の精度、一貫性および性能の実効ある時間長に関する情報が得られる。
【0090】
一般に、ヒドロゲルに何らかの膜を追加するとグルコースセンサーの使用寿命が延びた。図3に示すように、膜を使用しないex vivoでの適用では、被験者の55%のみが何かしらの24時間応答をした;膜を使用すると、被験者の83%が24時間応答をした(図3参照)。
【0091】
膜によって違いがあり、最良の膜を選ぶために用いた基準(criteria)は、24時間にわたって信号ドリフトが最低であるのとその一方で良好な信号相関(nAのBGに対する)(すなわち、MARD誤差に著しい増加がみられない)を提供したものであった。Nafion(登録商標)でコーティングされた5.0μm細孔を有するPES膜が24時間にわたって約54%という最低の信号ドリフトと許容範囲内のMARD(図4参照)を示したことから最良の候補であると判定された。
(実施例2)
水分損失を軽減し、装置性能を向上させるためのヒドロゲル緩衝剤への湿潤剤の含有。
【0092】
各種湿潤剤をヒドロゲルに含ませる一連の実験を実施した。2種類のカテゴリーの湿潤剤をテストした。第1のカテゴリーは小分子湿潤剤、一般には天然保湿成分(natural moisturizing factor)(NMF)を含み、第2のカテゴリーは多糖類を含んでいた。以下の小分子湿潤剤をテストした:グリセロール、尿素、ヒドロキシエチル尿素、プロピレングリコール、乳酸ナトリウム(Na乳酸塩)およびピロリドンカルボン酸ナトリウム(NaPCA)。以下の多糖湿潤剤をテストした:ヒアルロン酸(ナトリウム塩)、カラギーナンおよびアガロース。
【0093】
小分子湿潤剤については、各湿潤剤は重合の前にポリマー溶液に溶解させた。更に、ヒドロゲル緩衝剤ではポリマー溶液における湿潤剤の特定の濃度を維持した。これにより洗浄および保存中の湿潤剤の拡散損失を促進する可能性のある湿潤剤の濃度勾配が防止された。
【0094】
多糖湿潤剤については、上記の小分子湿潤剤の場合と概ね同じ方法を用いた。ただし、アガロースおよび単離カラギーナンの類など一部の候補物は、適度な溶解度を得るためには加熱が、ゲル形成には冷却が必要であった。多糖の溶解度を上げるためにPEGDA濃度を10%に下げた。
【0095】
ex vivoでの実験を制限するため、最良の候補物を選択するためのスクリーニング実験をまず実行した。スクリーニング実験では溶解度と乾燥速度の比較を行った。
【0096】
各湿潤剤のグルコースセンサーの性能に対する効果を調査するために24時間のex vivo調査を行った。湿潤剤を含まない被験体群と種々の型の湿潤剤を含む被験体群とを比較した。MARD誤差を増加させることなく装置の寿命を延ばした湿潤剤を好ましい湿潤剤であると判定した。ex vivo実験ではボランティアに装置を24時間適用し、様々な湿潤剤を使用した場合の寿命性能を比較した。
【0097】
実施例1と同様に、湿潤剤を含有させた調査の目標は装置性能を長持ちさせることであった。テストの結果は図5に示す。乳酸ナトリウム、カラギーナン、およびアガロースを含む湿潤剤の多くが有望であった一方、NaPCAは一貫して信号ドリフトが最低であった(図5参照)。更に、NaPCAをNafion(登録商標)でコーティングしたPES膜と組み合わせた場合は、24時間のex vivo調査を通じて水分損失がみられなかった。27人の被験体から収集したデータでは、実際には2%の水分獲得を示す。ただし、24時間調査では通常は水分損失がみられた。調査でNaPCAを使用しなかった36人の被験体の比較群では、19%の平均水分損失が観察された。
(実施例3)
PEGDAヒドロゲルにおけるグルコースオキシダーゼ(GOx)の共有結合固定化
実用的な酵素固定化策を確立するため一連の実験を実施した。リンカーまたは固定化試薬としてアクリレート−PEG−NHS(A−PEG−N)試薬(Nektar)を選択した。関心のあるパラメータとしては、固定化試薬の酵素に対する比、反応順序、およびインキュベーション時間を含めた。
【0098】
アクリレート−PEG−NHS(A−PEG−N)固定化試薬の酵素へのインキュベーションのための予備重合ステップを使用した。3%GOxを重合緩衝剤に溶解させ、モル比7対1で過剰量のA−PEG−Nを添加した。モル比7対1は、酵素活性をそこなうことなく結合を確実にするために選択した。この溶液を一晩4℃で放置してインキュベートした(室温での反応時間3時間でも効果あり)。翌日PEGDAを通常通り添加してポリマー溶液を完成させ、次いでUV硬化を行った。
【0099】
共有結合固定化が成功したという証拠は、3%GOxを含有する10%PEGDAポリマーによって与えられた。共有結合固定化が起こっていない場合、洗浄緩衝溶液に入れるとヒドロゲルディスクからGOxが浸出して溶液を明確に黄変させた(460nmでのUV吸収度=0.16)。共有結合固定化が起こっている場合、洗浄溶液は黄変しなかった(460nmでのUV吸収度=0.02)。
【0100】
共有結合固定化後もなお酵素が活性である証拠は、ポテンショスタットテストによって与えられた。ポテンショスタットテストでは、グルコースチャレンジに対して有意差を示さなかった:対照システムは約700nA、共有結合によって固定化したシステムは約650nA。
【0101】
共有結合固定化パラメータを確立した後、システムによる示度の一貫性が向上したかどうか判定するためにex vivo実験を実施した。ex vivo実験では、ボランティアに装置を4時間適用し、統計分析を実行することおよびrとMARD値を計算することによってその性能を共有結合固定化を行っていない装置と比較した。
【0102】
共有結合によって固定化したGOx対非共有結合によって固定化したGOxのex vivoでの装置性能についての4時間の比較調査では、共有結合によって固定化したGOxシステムのほうが良好な追跡性(tracking)(BGに対するnAの相関)を示した。この調査の結果を図6に示す。図6に示すように、共有結合によって固定化したGOxの採用後、ex vivo調査はより一貫性した追跡性を示し、rが0.68、MARDが12.27であった。それに対し、非共有結合によって固定化したGOxを有するシステムの場合は、r値が0.41、MARDが20.44であった。
(実施例4)
経皮的被検体検出のための皮膚準備処置
まず標的板を皮膚に置いた。次いで、標的板を介してSonoPrep(登録商標)をその皮膚部位に適用した。そして、SonoPrep(登録商標)を1秒以上の期間オンにし、装置の内蔵制御アルゴリズムによって自動的に停止させた。SonoPrep(登録商標)(Sontra Medical)を作用させることによる皮膚の孔隙率を高めるための皮膚前処置の処置後、被処置皮膚部位を皮膚準備清拭具で清拭した。本調査で用いた皮膚準備清拭具は、70%/30%のイソプロパノール/水混合物に予め浸したガーゼパッド(gauze pad)であった。
【0103】
図7Aおよび7Bは、1人の被験者に皮膚準備清拭処置を施した場合と施さなかった場合のセンサー性能の違いを示している。皮膚準備清拭処置に対し、図7Cは同じ被験体に40分間の水和処置(すなわち、先行技術の処置)を使用した場合の結果を示す。図に示すように、被処置皮膚を皮膚準備清拭具で清拭すると、40分間の皮膚水和処置と同等の性能が得られ、これらの方法の両者とも皮膚準備処置を何ら行わなかった場合に比べてはるかに良好に機能した。皮膚準備清拭具による細孔を塞ぐ物質の除去および/または清浄化は、被検体抽出と薬物送達の両方にとって経皮経路を改善するものと期待される。
(実施例5)
3種の異なる構成の連続的経皮グルコースセンサーを用いた臨床調査
グルコースバイオセンサーは、電気化学センサーおよび、SonoPrep(登録商標)による超音波で浸透化した皮膚とカップルしグルコースをセンサーへと連続的に吸引するヒドロゲルを含む。皮膚を通過して流れるグルコースはヒドロゲル内のグルコースオキシダーゼと反応して、バイオセンサーによって消費される。この化学反応が一定の電気信号を生みだし、これがグルコースモニターによって記録される。SonoPrepとヒドロゲルの化学反応によって生じた透過性亢進のため、センサーによって検出されたグルコースフラックスは、最大24時間1分毎に無線リンクを介してグルコース示度を供給することができる。無線バイオセンサーシステムの概略図については図9を参照のこと。
【0104】
各調査において、以下の手順が用いられた。この手順は、図9に概略的に図示されている。まず、標的板を患者の皮膚部位に置いた。次いで、SonoPrepをその皮膚部位に5〜15秒間作用させた(ステップ1)。次に、SonoPrepを標的板から外した。次いで、被処置皮膚部位をアルコールを含む皮膚準備清拭具で清拭した。次に、ヒドロゲルとセンサーを標的板内に置いた(ステップ2)。各患者については、SonoPrepで処置した皮膚部位上に使い捨て(single−use)のグルコースセンサーを置いた。次いで、センサーハウジングをヒドロゲルの上に置き、センサーアセンブリを閉じた(ステップ3)。センサーをデジタル化したデータを無線でモニター(データ処理および表示用)に送る小型分析器に連結した(ステップ3)。グルコースセンサー信号は、調査1Aおよび調査1Bでは指先穿刺血中グルコース測定器示度と照らし合わせ、調査2CではIVラインを介してサンプル採取した血中グルコースと照らし合わせた。
【0105】
表1は、調査それぞれについてセンサー構成、使用した膜の種類(膜が存在する場合)、およびヒドロゲルに含まれる湿潤剤の種類(湿潤剤が存在する場合)を記述する。調査それぞれで使用したセンサーは、酸素付加を増加するように設計されていた(図8A、8Bおよび8Cに図示するように)。加えて、調査それぞれで使用したヒドロゲルは、15%PEGDAに共有結合によって固定化した3%のGOxを含有していた。
【0106】
【表1】

センサー構成Aを用いた調査1
上記の方法を用いて糖尿病患者10人をテストした。表1に記したように、この調査は12時間実施した。本調査で使用したセンサーは、ヒドロゲル上に膜を有していなかった。加えて、ヒドロゲルは湿潤剤を含有していなかった。
【0107】
血中グルコース予測アルゴリズムの開発を支援するため、本調査で得られた222のデータ点が分析された。結果を図10のクラーク誤差グリッドにまとめている。図10に示すように、結果によると、センサーは、ウォームアップ時間1時間の後の一点較正で最大12時間1分毎に正確に血中グルコース示度を予測することができた。
【0108】
バイオセンサー測定値と参照血中グルコース測定値とを比較すると、統計分析はMARD(平均絶対的相対的差異)が12.4%であることを示した。データの98.7%がクラーク誤差グリッドのA+B領域にあり、89.6%がA領域にあった。本調査でも優良なデータ相関(平均r=0.87)が示された(図10参照)。これらの統計データを本実施例で記載された他の調査の統計データと共に表2にまとめている。
【0109】
センサー構成Bを用いた調査1
フィルター膜(Biodyne B)をヒドロゲルと組み合わせた以外は調査1Aと同じ調査プロトコルおよび構成を用いた。糖尿病患者10人を上記の方法を用いてテストした。表1に記したように、本調査は12時間実施した。本調査に使用したセンサーはヒドロゲル上に膜(Biodyne B)を有していた。加えて、ヒドロゲルは湿潤剤を含有していなかった。
【0110】
本調査では225のデータ点が収集された。結果を図11のクラーク誤差グリッドにまとめている。図11に示すように、結果によると、センサーは、ウォームアップ時間1時間の後の一点較正で最大12時間1分毎に中程度の精度で血中グルコース示度を予測することができた。
【0111】
バイオセンサー測定値と参照血中グルコース測定値とを比較すると、統計分析はMARD(平均絶対的相対的差異)が20.4%であることを示した。データの96.9%がクラーク誤差グリッドのA+B領域にあり、70.7%がA領域にあった。バイオセンサー測定値と参照血中グルコース測定値との間の相関係数は0.64であった。これらの統計データを本実施例で記載された他の調査の統計データと共に表2にまとめている。
【0112】
センサー構成Cを用いた調査2
24時間の臨床調査を心臓血管手術中および術後の患者に実施した。表1に記したように、本調査で使用したセンサーはヒドロゲル上に膜(NAFION(登録商標)でコーティングされた5.0PES)を有していた。加えて、ヒドロゲルは湿潤剤(10%(wt/wt)NaPCA)を含有していた。
【0113】
手術中、患者の中核体温を約20℃に低下させ、患者の心臓は血液循環用バイパスポンプを利用して停止させた。インスリンおよびヘパリンなどの医薬を投与し、血中グルコースサンプルをIVラインを通して採取し血中グルコース分析器で分析した。
【0114】
調査の第1段階では、湿気およびベタジン(手術前に皮膚の準備のために使用した消毒薬)がセンサーに悪影響を与え、装置の不具合を招いたと判定された。そこで、こうした問題に対処するため、装置構成および配設手順に対する一時的な改変(例えば、皮膚部分がベタジンに接触しないようにする)が実施された。
【0115】
装置改変後の調査の第2段階では、患者10人が参加し9人が調査を完了した。147のセンサー血中グルコースデータ点が収集され、調査1Aで開発した同じグルコース予測アルゴリズムを用いて分析された。
【0116】
結果を図12のクラーク誤差グリッドにまとめている。図12に示すように、結果によると、センサーは、術中および術後において、最大24時間1分毎に正確に血中グルコース示度を予測することができた。
【0117】
バイオセンサー測定値と参照血中グルコース測定値とを比較すると、統計分析は、MARDが11.2%であり、データの100%がクラーク誤差グリッドA+B領域にあって86.4%がA領域にあることを示した。本調査は、装置構成と配設が適切であれば、経皮グルコースモニターはたとえ外科ICU環境においても正確で連続的なグルコース示度を最大24時間提供できることも示している。
【0118】
【表2】

当業者であれば、これ以上の形式的実験を用いずに本明細書において記載した本発明の具体的実施形態の多くの均等物を理解する、または確認できる。こうした均等物は、以下の請求項に包括されるべきものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒドロゲルと複数の電極を含むセンサー本体とを備え、該センサー本体が該ヒドロゲルと流体連通し該ヒドロゲルが酵素を含有する、センサーアセンブリ、ならびに、
該ヒドロゲルと流体連通し該センサーアセンブリの少なくとも遠位側端に位置する半透膜
を備える経皮的被検体モニタリングシステム。
【請求項2】
前記半透膜がテトラフルオロエチレン−パーフルオロ−3,6−ジオキサ−4−メチル−7−オクテンスルホン酸共重合体でコーティングされたポリ(エーテルスルホン)を含む、請求項1に記載の経皮的被検体モニタリングシステム。
【請求項3】
前記ヒドロゲルおよび前記半透膜が相互貫入ポリマー網目構造を形成している、請求項2に記載の経皮的被検体モニタリングシステム。
【請求項4】
前記ヒドロゲルが、ジアクリル酸ポリエチレングリコール(PEGDA)、アガロース、ジアクリル酸ポリエチレングリコール/ポリエチレンイミン(PEGDA−PEI)、ジアクリル酸ポリエチレングリコール−n−ビニルピロリドン(PEGDA−NVP)、アクリレート−ポリエチレングリコール−N−ヒドロキシスクシンイミド(A−PEG−N)、ならびにこれらの混合物およびこれらの共重合体からなる群から選択されるポリマーを含む、請求項1に記載の経皮的被検体モニタリングシステム。
【請求項5】
前記酵素がオキシダーゼ酵素である、請求項1に記載の経皮的被検体モニタリングシステム。
【請求項6】
前記酵素が前記ヒドロゲルにおいて共有結合によって固定化されている、請求項1に記載の経皮的被検体モニタリングシステム。
【請求項7】
前記酵素が前記ヒドロゲルにおいてA−PEG−Nを用いた共有結合によって固定化されている、請求項6に記載の経皮的被検体モニタリングシステム。
【請求項8】
オキシダーゼ酵素を検出用化学物質として利用して血中グルコース、乳酸塩または他の被検体をモニターする、請求項5に記載の経皮的被検体モニタリングシステム。
【請求項9】
前記ヒドロゲルが負に荷電した湿潤剤を含む、請求項1に記載の経皮的被検体モニタリングシステム。
【請求項10】
前記負に荷電した湿潤剤がピロリドンカルボン酸ナトリウム(NaPCA)である、請求項9に記載の経皮的被検体モニタリングシステム。
【請求項11】
前記センサーアセンブリが前記ヒドロゲルに酸素を供給するための少なくとも1つの通路またはポケットを備える、請求項1に記載の経皮的被検体モニタリングシステム。
【請求項12】
前記センサーアセンブリが標的板または取付板を更に備え、前記ヒドロゲルに酸素を供給するための少なくとも1つの通路またはポケットが該標的板または取付板上に位置している、請求項11に記載の経皮的被検体モニタリングシステム。
【請求項13】
前記酵素が前記ヒドロゲルにおいて非共有結合固定化によって固定化されている、請求項11に記載の経皮的被検体モニタリングシステム。
【請求項14】
経皮的被検体モニタリングシステムによる被検体の検出を向上させる方法であって:
(a)ユーザーの皮膚の領域を透過性を増すために処置する工程;
(b)続いて水、エタノール、イソプロパノールおよびグリセロールからなる群から選択される少なくとも1つの試薬を含む基材で該皮膚の被処置領域を清拭する工程;ならびに
(c)請求項1〜13のいずれか1項に記載の経皮的被検体モニタリングシステムを適用する工程、
を含む方法。
【請求項15】
前記工程(a)において、テープ剥離、摩擦、研磨、剥離、レーザー剥離、高周波(RF)剥離、化学物質の塗布、超音波導入、イオントフォレシス、エレクトロポレーション、および透過促進剤の塗布からなる群から選択される方法で前記皮膚の領域が処置される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記基材がパッド、織布および不織布、フェルト、ならびにガーゼからなる群から選択される、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記基材が無機溶媒または有機溶媒を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
前記無機溶媒または前記有機溶媒が、水、エタノール、およびイソプロパノールからなる群から選択される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記基材がリン酸緩衝化生理食塩水、乳酸、石けん、または界面活性剤を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項20】
請求項1〜13のいずれか1項に記載の経皮的被検体検出システム;ならびに
リン酸緩衝化生理食塩水、乳酸、石けん、界面活性剤、または溶媒を含む基材
を含むキット。
【請求項21】
請求項1〜13のいずれか1項に記載の経皮的被検体検出システムならびに
基材ならびに、
リン酸緩衝化生理食塩水、乳酸、石けん、界面活性剤、および溶媒からなる群から選択される試薬と
を含むキット。
【請求項22】
経皮的被検体センサーの感度、安定性または精度を高める方法であって、ヒドロゲルへの酸素供給の増加を提供する工程を含む方法。
【請求項23】
前記酸素の源が空気である、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
オキシダーゼ酵素が前記ヒドロゲルにおいて共有結合によって固定化されている、請求項22に記載の方法。
【請求項25】
請求項22〜24のいずれかに記載の方法で使用される経皮的被検体センサー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公表番号】特表2010−519938(P2010−519938A)
【公表日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−552888(P2009−552888)
【出願日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【国際出願番号】PCT/US2008/056032
【国際公開番号】WO2008/109739
【国際公開日】平成20年9月12日(2008.9.12)
【出願人】(509166641)エコー セラピューティクス, インコーポレイテッド (3)
【Fターム(参考)】