説明

経路標識、特に、床または壁内の非常経路標識

本発明は、経路標識、特に、床または壁における非常経路標識に関するものである。自己発光性経路標識(2)は、前記経路標識に含まれる一以上の基板レイヤー(3、5)に被われ、および/または、それらを下に設け、あるいは、基板レイヤーが自己発光性経路標識を構成する。前記基板レイヤー(3、5)の頂面は、所望のタイプのラスターパターン(4)であり、その一部が前記経路標識を隠し、それを介して前記自己発光性経路標識(2)を視認可能とするものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自己発光性経路標識ならびに一以上の経路標識に被われ、および/または、それらを下に設ける基板レイヤーを備えた、経路標識、特に、床または壁における非常経路標識に関するものである。
【背景技術】
【0002】
国際特許公開番号 WO9857315号は、内部にガイド等の自己発光または蛍光物質の情報パターンが組み込まれたタイルタイプの建築材料を開示している。米国特許出願公開番号2003/0215596号も、自己発光性経路標識が設けられた床タイルを開示している。これら従来技術が抱える課題は、表示が審美的に劣っているので、その結果、広い支持を得られなかったということが挙げられる。
【0003】
前記米国特許出願公開番号2003/0215596号は、経路標識であって、蛍光物質がタイル基板内に設けられており、これらのタイルが、一般的な照明の下において、標識が周囲にとけ込むために用いられているものを開示している。また、様々なタイプの建築材料に対して、その製造方法をいかに適用するかが問題となっている。さらに、より明るいまたは照明がなされた状況下で、経路標識が所望の色および形状を表示する能力がないことが問題となっている。
【0004】
【特許文献1】国際特許公開番号WO9857315号
【0005】
【特許文献2】米国特許出願公開番号2003/0215596号
【発明の概要】
【0006】
本発明は、点灯または照明がなされた状況下で所望の色および形状を有する外観として視認可能な、あるいは、必要に応じ、ほとんどの床または壁表面で知覚することができない、改良された経路標識を提供することを目的とする。
【0007】
この目的は、基板レイヤーが、
−前記経路標識の一部を隠す所望のタイプのラスターまたは線パターンであって、前記自己発光性経路標識が、前記パターンを介して目視可能であるもの、および/または、
−前記経路標識を隠し、一部の光を透過させまたは散乱させ、点灯または照明がなされた状況において、蛍光物質の視覚的認知を部分的に遮断しまたはスクリーニングするものとして扱われる表皮部(skin)、によって被われるよう構成された本発明により達成される。
【0008】
一般の照明下において、前記ラスターまたは線パターンあるいは前記表皮部は 周辺光が混じるような表示(ambient-blending figure) を提供するが、経路標識は、暗い場所において、前記ラスターまたは線パターンあるいは前記表皮部を通じても明確に視認できる。所望されているように、前記ラスターまたは線パターンあるいは前記表皮部は、意図的に特徴的な片(piece)を提供するかもしれないが、暗い場所において、ラスターパターンの下から視認可能である経路標識は、誘導のための線(guiding line)および/まてゃ連続した矢印、あるいは、床または壁上で明確に視認可能なその他の経路標識を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0009】
従属請求項は、本発明の好ましい実施形態を開示している。
【0010】
ここで、本発明について、添付した図面を参照しつつ実施形態による例を挙げ、より詳細に説明する。
【0011】
図1の例において、床または壁の表皮部レイヤー1、たとえばタイルフロア1は、図面の表面に対し垂直方向に伸張する開口のため切断されている。かかる開口は、ガラスまたはプラスチック製のパネル3と嵌め合わされ、その底面に自己発光性素材(蛍光物質)の経路標識2が設けられた凹部を有する。かかる経路標識2は、適切な距離を指し示す方向の矢印を含んだ、タイルからタイルに伸びる長い線状のものであってもよい。また、前記経路標識2は、各タイルにおいて適切な間隔を空けた複数の矢印から構成するようにしてもよい。前記パネル3は、たとえば、シルクスクリーン印刷法によるラスターパターン4を用いて、タイル1の表面の外観を模倣しまたは希望通りに形成された頂面を有する。図3および図4は、石製タイルの表皮部を模倣したラスターパターンの例を示している。かかるラスターパターン4は、明るい条件下で視認可能であるが暗い場所では見えないような、いずれの色および形状による表示であってもよく、これにより、かかるラスターパターンにより一部が隠された経路標識を可視化することができる。
【0012】
ラスターパターンは、エナメルを用いてシルクスクリーン印刷法によりガラス表面に印刷されるので、かかるパターンは、耐摩耗性表皮部として床表面の一部として機能するため、炉内で焼成する(fired in a kiln)ことができる。また、前記経路標識2は、ラスターパターン4の直下であって、基板レイヤー3の頂面に位置させるようにしてもよい。かかる基板レイヤー3には、経路標識2用の凹部を必要としない。前記経路標識2は、たとえば、基板レイヤー3表面に固定するための、自己発光素材製または自己発光素材で被われた粘着テープであってもよい。また、経路標識2は、約0.5から2mmの厚さのレイヤー状であって基板レイヤー3内に凹部を必要としないものからなる、2の部品の複合物から形成するようにしてもよい。
【0013】
図2は、基板レイヤー3が2枚の重複するシート3a、3bから構成され、その間に経路標識2が適合する点で、前述のものとは異なる別の解決法を示している。かかる経路標識2は、図5にも示された場合のように前記基板レイヤー3の幅全体にわたって伸びている。
【0014】
図5および図6の例示的な実施形態において、ラスターパターン4は、さらに、ガラス、プラスチックあるいは樹脂により形成可能な保護表皮部5に被われている。この場合、前記ラスターパターン4は、シート3とシート5の間に収納されるプラスチックフィルムに印刷される。しかし、かかるラスターパターン4は、前記レイヤー1の外表面と同一平面にあるシート3a、3bの頂面に直接印刷されるのが最も好ましい。したがって、できるだけ均一で表面に光沢のあるレイヤー5を追加する必要がなくなる。これにより、シート3および5は、前記経路標識2および前記ラスターパターン4両方のためのサポート基板レイヤーを構成する。
【0015】
図6の例は、経路標識2が、硬い透明パネル3bとベースパネル3a間に収納されており、前者が前記基板レイヤーに含まれている点で図5と異なる。かかるベースパネル3aは、透明である必要はなく、タイル1の一部であってもよく、本発明の経路標識は、タイル1に存する凹部に収納される。これは、他の例示的実施形態でも同様に可能である。経路標識2と平行しており、その一つまたはどちらかの側面上には、ラスターパターン4の下に位置する反射面6が設けられている。かかる反射面6は、たとえば、懐中電灯により照らされた場合、あるいは、標識が長時間暗い場所にあり、それにより方向を示す標識の自己発光性が劣化した場合の経路標識の視認性を向上させる。かかる反射面は、他の例示的実施形態にも用いることができる。
【0016】
その基板レイヤー3、5およびラスターパターン4ならびにベースパネル3aに沿った経路標識2は、床または壁タイル1と同じ厚さのサンドイッチ構造を構成することができる。このサンドイッチ構造は、一体構造のブロックにより組み立ててもよい。かかるブロックはタイル1を切り込んで形成した開口または凹部内に収納することもできる。かかる基板のサンドイッチ構造は、その場で、その一部を、樹脂等により選択的に形成することが可能である。基板レイヤーシート3、3a、3b、5として使用可能であるのは、ポリカーボネートパネルおよび/または強化ガラスである。たとえば、光輝性素材を建築タイルの材料中に用いることにより、前記基板レイヤーおよび前記経路標識を組み合わせることもでき、これによって、タイル全体が輝く。ラスターパターン4が被せられているので、点灯または照明がなされた状況下においても標識の視認が可能となる。
【0017】
上述の説明は、床または壁を被う石製のタイル等に関する発明を取り扱っている。しかし、他のパターン化された表面素材、たとえば、寄せ木細工の床または床材、あるいは、壁のパネルまたは壁紙にも関連する。
【0018】
図面において、ラスターパターン4は、明確化のため、実際の厚さよりも誇張された厚みを有している。また、ラスターパターン4は、経路標識領域の20%から80%、好ましくは、40%から60%を隠すことで、所望の表示を創り出す、自身のドット、ラインまたは画素を他の形状で有している。したがって、点灯または照明がなされた状況において、暗い場所では見えなくなる経路標識または内部装飾(interior ornamant)、ならびに、表示となり得、鮮やかな色にもなり得る経路標識を含む、どのような所望の表面パターンをも提供することが可能である。 ラスターパターンは、経済的にも有望であり、様々なアプリケーションに好適である。いくつかの例において、本発明と同じ目的は、点灯または照明がなされた状況下において、一部が光を透過し(一部が半透明の)または、光を拡散させ、光輝性素材の視覚を遮断するものとして取り扱われる表皮部を表面に出さない経路標識により前記基板レイヤーが被われている、本発明の第2実施形態によっても達成可能である。一部の光を透過させる、すなわち半透明の表皮部は、薄い半透明の色付き膜等から構成するようにしてもよい。光を拡散させる表皮部は、サンドブラスト加工を施したガラス表面、あるいは、光を拡散させるためその表面を粗くした他の透明素材製レイヤーを用いることにより得られる。
【0019】
本発明は、避難経路および火災避難用の標識システム等に適用可能である。本発明は、半透明な表皮部パターンを有することに基づく独自の機能を有する。したがって、本体底部における発光素材の後の要素(post-luminescent material)は、その内部でエネルギーを吸収し、それを暗い場所で光として発する。前記表皮部パターンは、規則的または不規則的、単または多色であって、必要に応じて調整可能な透光性を有する様々なラスターパターンにより作成することができる。
【0020】
ラスターまたは線パターンあるいは透明表皮部を用いることにより、所望の建築的なパターンを作り出すことが可能となる。多くの建物において、周囲の表面パターンの外観に基づいて、好ましくは、一以上の周囲表面の外観の特徴を模倣することにより、ラスターまたは線パターンあるいは透明表皮部を適用することが所望されている。後者の場合、ラスターまたは線パターンあるいは表皮部のイメージは、少なくとも一定範囲で、周囲表面のイメージと似ている。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】図1は、床あるいは壁表面として有用なタイルであって、本発明のある実施形態に基づく経路マーカーを有するものの断面図である。
【図2】図2は、本発明の第2実施形態に基づく経路マーカーを有するタイルの断面図である。
【図3】図3は、本発明のある実施形態に基づくラスターパターンの平面図である。
【図4】図4は、周囲のタイルの表面の外観を模倣した他の実施形態のラスターパターンを示す。
【図5】図5は、本発明の実現可能な実施形態に基づき経路標識が設けられたタイルの別の断面図である。
【図6】図6は、本発明の実現可能な実施形態に基づき経路標識が設けられたタイルの別の断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自己発光性経路標識(2)、ならびに、一以上の経路標識に被われ、および/または、それらを下に設け、あるいは、それ自体が前記自己発光性経路標識(2)を構成する基板レイヤー(3、5)を備えた、経路標識、特に、床または壁における非常経路標識(fire escape route marker)であって、
前記基板レイヤー(3、5)は、
前記経路標識の一部を隠す所望のタイプのラスターまたは線パターン(4)であって、前記自己発光性経路標識(2)が、前記パターンを介して目視可能であるもの、および/または、
前記経路標識を隠し、一部の光を透過させまたは散乱させ、点灯または照明がなされた状況において、蛍光物質の視覚的認知を部分的に遮断しまたはスクリーニングするものとして扱われる表皮部(skin)、
によって被われていること、
を特徴とする経路標識。
【請求項2】
請求項1に記載の経路標識において、前記ラスターまたは線パターン(4)、あるいは、前記表皮部は、床または壁面の一部である基板レイヤー(3)の表面または外表面を提供すること、
を特徴とする経路標識。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の経路標識において、前記ラスターまたは線パターン(4)、あるいは、前記表皮部は、シルクスクリーン印刷法によって基板レイヤー(3、3b)の表皮部に印刷されること、
を特徴とする経路標識。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれかに記載の経路標識において、前記ラスターまたは線パターン(4)、あるいは、前記表皮部は、基板レイヤー(3、5)に含まれる、ガラスまたはプラスチック板の外表面であって、床または壁の外表面とほぼ同一平面にある外表面に印刷されること、
を特徴とする経路標識。
【請求項5】
請求項1に記載の経路標識において、前記ラスターまたは線パターン(4)、あるいは、前記表皮部は、基板レイヤー(3)に接着され、または、少なくともその一部がガラス、プラスチックまたは樹脂で形成された基板レイヤー(3、5)間に存するプラスチックフィルムに印刷されること、
を特徴とする経路標識。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれかに記載の経路標識において、前記経路標識(2)は、前記基板レイヤーに含まれるパネル(3)内に存する凹部内に収容されること、
を特徴とする経路標識。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれかに記載の経路標識において、前記経路標識(2)と平行するのは、前記ラスターまたは線パターン(4)、あるいは、表皮部の下に位置する反射面(6)であること、
を特徴とする経路標識。
【請求項8】
請求項1から請求項3のいずれかに記載の経路標識において、前記基板レイヤーは、タイルまたは煉瓦などの建築材料のかたまり(a block of building material)を備え、当該材料のかたまりは、その中で使われた蛍光物質を有すること、
を特徴とする経路標識。
【請求項9】
請求項1から請求項8のいずれかに記載の経路標識において、前記経路マーカー(2)は、その基板レイヤー(3、5)およびラスターまたは線パターン(4)、あるいは、表皮部とともに、その厚さが床または壁タイル(1)の厚みとほぼ同じ厚さを有するサンドウイッチ構造を提供すること、
を特徴とする経路標識。
【請求項10】
請求項9に記載の経路標識において、前記サンドウイッチ構造は、タイル(1)内に切設された開口内に組み込み可能な、あるいは、床または壁の表面レイヤーとして用いられるタイルに代わる、一体のかたまり(integral block)用に組み立てられること、
を特徴とする経路標識。
【請求項11】
請求項1または請求項2に記載の経路標識において、前記ラスターまたは線パターン(4)、あるいは、表皮部は、前記周囲表面パターンの外観に基づいて、好ましくは前記周囲表面の外観の一以上の固有の特徴を模倣することにより、適応されること、
を特徴とする経路標識。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2009−511773(P2009−511773A)
【公表日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−534039(P2008−534039)
【出願日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【国際出願番号】PCT/FI2006/050430
【国際公開番号】WO2007/039673
【国際公開日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【出願人】(508097928)
【氏名又は名称原語表記】Jorma PARKKARI
【住所又は居所原語表記】Ohdakkeentie 2, FI−06100 Porvoo, Finland
【Fターム(参考)】