説明

結合された治療を計画するシステム、方法、コンピュータ読み取り可能な記録媒体及び使用

壊死を誘発する治療と後続する壊死を目的とする薬剤の投与を計画するシステム及び方法が記載される。本システムは、壊死を目的とする薬剤の生体内分布の予測に基づいて壊死を誘発する治療の効果を考慮する。この異なる計算ステップ間のインタラクションは、正確な計画の結果のために必須である。コンピュータ読み取り可能な記録媒体及び使用も提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、治療計画の分野に関し、より詳細には、壊死を誘発するモダリティ及び壊死を目的とする薬剤による結合された治療に関する。
【背景技術】
【0002】
局所に限定された腫瘍(たとえば小腫瘍又は癌転移)の治療では、局所的な低侵襲治療の選択は、外科的切除の代替である。高密度焦点式超音波(HIFU)、高周波アブレーション(RFA)、凍結療法、レーザアブレーション及びマイクロ波アブレーション(MWA)のような、これらの方法の多くが現在開発されている。これらの方法では、癌の病巣を含む組織は、過熱又は過冷却され、結果的として、治療された領域における細胞の100%までが制御されずに消滅することになる(凝固壊死)。
【0003】
正常又はアポトーシス細胞とは対照的に、壊死細胞は、漏れやすい細胞膜を示す。この事実は、毒性のあるペイロードを壊死部分に送るために使用されるTNT(Tumor Necrosis Therapy)といった、臨床試験の段階において分子生物ターゲットメカニズムにより現在利用されている。この新たなアプローチの例は、モノクロナール抗体131-ch TNT-1/B(COTARA(登録商標)と呼ばれる)であり、目標とされる治療(TRT)向けの放射性同位体(Iodine-131)を壊死細胞の細胞核におけるヒストンH1に送る。Iodine同位体により放出される放射線は、目標とされる死にかけている細胞又は既に死んだ細胞に影響を及ぼすだけでなく、隣接する生きている細胞にも影響を及ぼす(by-standar又はcross-fine効果)。
【0004】
患者の腫瘍を治療するときに医師が遭遇する問題は、患者が幾つかの治療のモダリティを必要とする場合に、それぞれのモダリティについて治療計画を実行することは時間のかかることである点である。これは、患者にとって長引く不快につながる場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、改善された治療計画システム、方法、コンピュータ読み取り可能な記録媒体、及びその使用は、改善される治療効率、フレキシビリティ、及び費用対効果を提供するために有効である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
したがって、本発明は、好ましくは、当該技術分野における上記識別された問題及び課題の1以上を単独で又は組み合わせで緩和、軽減及び除去し、特許請求の範囲に従うシステム、方法、コンピュータ読み取り可能な記録媒体及び使用を提供することで少なくとも上述された問題を解決するものである。
【0007】
本発明の1態様によれば、患者の、壊死を誘発する治療(necrosis-inducing therapy)と壊死を目的とする治療(necrosis-targeting therapy)とが結合された治療を計画するシステムが提供される。本システムは、患者の組織における予測される温度分布を計算する第一の計算ユニット、組織の予測される温度分布に基づいて壊死の確率のマップを計算する第二の計算ユニット、壊死の確率のマップに基づいて、組織に加えられることが意図される放射性物質を含む壊死を目的とする薬剤(necrosis-targeting agent)の生体内分布のマップを計算する第三の計算ユニット、及び、生体内分布のマップと、壊死を目的とする薬剤に特有の畳み込みカーネルとの畳み込みにより、壊死を目的とする薬剤の放射線の線量分布を計算する第四の計算ユニットを有する。
【0008】
本発明の別の態様によれば、患者の、壊死を誘発する治療と壊死を目的とする治療とが結合された治療を計画する方法が提供される。本方法は、患者の組織における予測される温度分布を計算し、組織の予測される温度分布に基づいて壊死の確率のマップを計算し、壊死の確率のマップに基づいて、組織に加えられることが意図される放射性物質を含む壊死を目的とする薬剤の生体内分布のマップを計算し、及び、生体内分布のマップと、壊死を目的とする薬剤に特有の畳み込みカーネルとの畳み込みにより、壊死を目的とする薬剤の放射線の線量分布を計算するステップを含む。
【0009】
本発明の更なる態様によれば、患者の、壊死を誘発する治療と壊死を目的とする治療とが結合された治療を計画する、コンピュータにより処理されるように設計されたコンピュータプログラムを記憶するコンピュータ読み取り可能な記録媒体が提供される。本コンピュータ読み取り可能な記録媒体は、患者の組織における予測される温度分布を計算する第一の計算コードセグメント、組織の予測される温度分布に基づいて壊死の確率のマップを計算する第二の計算コードセグメント、壊死の確率のマップに基づいて、組織に加えられることが意図される放射性物質を含む壊死を目的とする薬剤の生体内分布のマップを計算する第三の計算コードセグメント、及び、生体内分布のマップと、壊死を目的とする薬剤に特有の畳み込みカーネルとの畳み込みにより、壊死を目的とする薬剤の放射線の線量分布を計算する第四の計算コードセグメントを含む。
【0010】
本発明の更に別の態様によれば、癌又は腫瘍の治療における治療計画のためのシステム、方法又はコンピュータ読み取り可能な記録媒体の使用が提供される。
癌の治療では、2つの治療の組み合わせは、臨床腫瘍学の多くの場合におけるそれぞれよりも良好な治療効果を有する場合がある。
【0011】
治療計画での使用向けの予測アルゴリズムは、現在、HC及びTNTの両者について利用可能である。HCの場合、アルゴリズムは、壊死を誘発する治療により引き起こされる温度場の計算を含み、TNTの場合、アルゴリズムは、組織において吸収される放射線の線量の計算に基づく。しかし、現在、治療効果を最適にするように、治療のモダリティが相互に接続されるHCとTNTについて結合された治療計画の方法が存在しない。
【0012】
本発明は、その実施の形態の幾つかにおいて、壊死を誘発する治療と壊死を目的とする薬剤、すなわちTNT薬剤との組み合わせである肝転移の治療における使用向け治療計画のツールを提供する。
【0013】
壊死を誘発する治療の効果は壊死を目的とする薬剤の分布に直接的な影響を有するが、結合された治療の専用の計画ツールは、現在のところ、大部分の結合された治療にとって利用可能ではない。結果として、治療の選択は、臨床診療において互いに最適に適合されない。
【0014】
実施の形態によれば、予測される温度分布からの生体内分布マップの生成は、壊死を目的とする薬剤の投与量の予測を有利にレンダリングする。
【0015】
以下にHCで示される過熱又は過冷却による壊死を誘発する治療とHC-TNTで示される腫瘍の壊死の治療(TNT)の結合された治療計画の利点は、抗腫瘍に関する治療を最適化する可能性及び副作用の回避にあり、これらは、かかる計画なしには不可能である。
【0016】
結合された治療計画の利点は、抗体の目標領域は、壊死を目的とする薬剤が加えられる前に壊死を誘発する治療のセッションにおいて外部から定義される場合がある。結合された治療により、はっきりと定義されたターゲットボリュームにおいてモノクローナル抗体の豊富な結合部位を可能にし、したがって、鮮鋭な放射線の線量分布を可能にする。結合された治療計画の別の利点は、たとえば腫瘍病巣の周辺における壊死の誘発を乗り切る細胞は治療計画に基づいて目的とされる薬剤からの更なる放射線の線量により消滅される。
【0017】
与えられる結合されたHC-TNT治療計画システム、方法、コンピュータ読み取り可能な記録媒体及び使用は、幾つかの実施の形態において、TNT薬剤の生体内分布の予測に基づいて、HCステップにより壊死の誘発の作用を考慮する。この異なる計算ステップ間の相互作用は、正確な計画結果にとって本質的なものである。提供される治療計画システム、方法、コンピュータ読み取り可能な記録媒体、及び使用は、治療される患者の不快感を低減し、治療効率を高め、フレキシビリティ及び費用対効果を高めるものである。
【図面の簡単な説明】
【0018】
本発明のこれらの態様、特徴及び利点、並びに他の態様、特徴及び利点は、添付図面を参照して、本発明の以下の実施の形態の記載から明らかとなるであろう。
【図1】実施の形態に係るシステムのブロック図である。
【図2】実施の形態に係る方法のブロック図である。
【図3】実施の形態に係るコンピュータ読み取り可能な記録媒体のブロック図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明の幾つかの実施の形態は、当業者にとって本発明を実行することができるために添付図面を参照して以下に詳細に記載される。本発明は、しかし、多くの異なる形式で実施される場合があり、本実施の形態で述べられる実施の形態に限定されるとして解釈されるべきではない。むしろ、これらの実施の形態は、この開示が全体的且つ完全であって、当業者に本発明の範囲を十分に伝達するように提供される。本発明は、本発明を限定するものではないが、本発明は、特許請求の範囲によってのみ限定される。さらに、添付図面に例示される特定の実施の形態の詳細な説明で使用される用語は、本発明を限定することが意図されない。
【0020】
本発明は、幾つかの実施の形態において、壊死を誘発するモダリティと壊死を目的とする薬剤との結合された治療の治療計画方法を提供する。したがって、本方法は、一方の治療の他方の治療への影響を考慮するものであり、治療全体の全体の作用の予測が得られる。
【0021】
さらに、幾つかの実施の形態では、本発明は、人間の組織を過熱又は過冷却することによる壊死の誘発と、後続する放射線の壊死を目的とする薬剤の投与からなる結合された治療の作用を決定、及び微調整する方法を記載する。局部的な温度の増加又は減少につながるメカニズムは、公知であり、詳細に分析される。本発明は、幾つかの実施の形態において、この情報と共に、ターゲット領域の近隣における、コンピュータ断層撮影、磁気共鳴画像形成、及び超音波画像形成のような診断画像形成から導出される特性のような組織の特性の更なる情報を利用して、熱輸送の患者に特化したモデル及びそれぞれの組織における温度分布の計算を提供する。
【0022】
壊死を誘発する治療は、約50℃よりも高い温度又は0℃よりも低い温度に対する細胞の感度を利用することがある。細胞が係る極端な温度にさらされる場合、細胞は、制御されていない細胞の死に陥り、まさに壊滅状態となり、それらの内部が環境にさらされる。約50℃を超える局部的な加熱は、高密度焦点式超音波(HIFU)、電磁場又は音場、高周波アブレーション(RFA)、レーザアブレーション、及びマイクロ波アブレーション(MWA)のような方法により引き起こされ、凝固性の壊死となり、一方で、0℃以下の組織の局部的な冷凍は、凍結外科による直接接触により引き起こされる。低音では、隣接する細胞に形成される氷晶は、それらをばらばらにする。病変組織を供給する血管が氷結したとき、
より多くのダメージが生じる。
【0023】
以下の記載は、治療計画、特に壊死を誘発するモダリティと、壊死を目的とする薬剤を使用する目的とされる放射線治療のモダリティとの結合された治療の計画に適用可能な本発明の1実施の形態に焦点を当てる。
【0024】
幾つかの実施の形態では、壊死を誘発するモダリティは、過熱又は過冷却(HC)により壊死を誘発し、目標とする放射線治療は、腫瘍壊死治療(TNT: tumor-necrosis therapy)のような、目標とされる、内部の放射線治療である。
【0025】
現在、治療計画で使用される予測アルゴリズムは、TNTと同様にHCについて存在する。HCの場合、アルゴリズムは、壊死を誘発する治療により引き起こされる温度場の計算を含み、TNTの場合、アルゴリズムは、組織における吸収された放射線の線量の計算に基づく。しかし、現在のところ、治療の作用を最適化するために治療のモダリティが相互接続されるHCとTNTとについて結合された治療計画の方法は存在しない。
【0026】
幾つかの実施の形態では、本発明は、2つの治療のモダリティ間の相互作用を考慮した結合されたHC-TNT治療計画を提供する。
【0027】
図1に係る実施の形態では、患者の結合された治療計画のシステムが提供される。本システムは、以下を有する。第一の計算ユニット11は、患者の組織のターゲット領域及びリスク領域における予測される温度分布を計算する。第二の計算ユニット12は、組織の予測される温度分布に基づいて、壊死を誘発する治療から生じたダメージを示す壊死の可能性のマップを計算する。第三の計算ユニット13は、壊死の可能性のマップに基づいて、組織に加えられることが意図される放射性物質を含む壊死を目的とする薬剤の生体内分布のマップを計算する。第四の計算ユニット14は、たとえば生体内分布のマップと、壊死を目的とする薬剤に特有の畳み込みカーネルとの畳み込みにより、壊死を目的とする薬剤の放射線の線量分布を計算する。
【0028】
この実施の形態の利点は、この統合されたアプローチにおける結合された治療計画により、患者の不快感が低減されて、患者に特化した効率的な治療方法につながる。
【0029】
このテキストで使用される用語「リスク領域」は、治療において使用される熱又は放射線エネルギーにより偶然に影響を受ける正常な組織の領域であって、治療の間にできるだけダメージから保護されるべき正常な組織の領域を示す。
【0030】
用語「ターゲット領域」は、リスク組織への制限されたダメージの境界条件に従って、できるだけ完全に熱又は放射線エネルギーにより破壊されるべき病変した組織の領域を示す。幾つかの実施の形態では、ターゲット領域及びリスク領域は、医師により定義され、他の実施の形態ではたとえば閾値に基づく描写及び/又は勾配に基づく描写に基づくアルゴリズムといったアルゴリズムにより定義される。
【0031】
異なる健康な組織のタイプについて、この組織へのダメージのリスクが許容レベルを超える熱又は放射線エネルギーの閾値は、実証的研究から知られている。病変した組織について、治療の成功の許容レベルを達成するために超えるべき閾値が知られている。画像に基づいた治療計画における1つの重要なステップは、リスク組織及びターゲット組織としての組織の描写である。治療計画アルゴリズムは、閾値を使用して、提案される治療スキーム/プランを計算する。
【0032】
描写自身は、医師によるか、例えば画像におけるグレイ値又は勾配を評価する専用のアルゴリズムの使用により、画像のデータセットに関してインタラクティブに実行される。
【0033】
壊死を誘発する治療は、過熱又は過冷却により壊死を誘発する。しかし、温度が過熱の場合に上限の温度閾値を超えるか、過冷却の場合に下限の温度閾値を下回るとき全体的に影響された細胞の領域は、完全な壊死に到達する。中間的な温度範囲では、壊死細胞の割合は、100%を下回る。所定の領域における壊死細胞の期待される割合は、壊死確率と呼ばれ、壊死確率の値の2D又は3D分布のプロットは、壊死の確率マップと呼ばれる。
【0034】
治療する領域内での空間的及び時間的な温度分布が計算されたとき、この情報は、壊死の確率マップを決定するために使用される。温度分布からの壊死の判定のための異なるモデル及び組織のデータセットは利用可能である。温度の増加への壊死確率の依存を示す1つの例は、Nathan J. McDannold, Natalia I. Vykhodtseva, Kullervo Hynynen: Microbubble Contrast Agent with Focused Ultrasound to Create Brain Lesions at Low Power Levels: MR Imaging and Histologic Study in Rabbits, Radiology: Volume241: Number 1- October 2006.からの図9に発見することができる。
【0035】
組織への熱のダメージを記述するために使用されることがある理論的なモデルは、たとえばIssac A. Chang and Uyen D. Nguyen: Thermal modeling of lesion growth with radiofrequency ablation devices, Biomedical Engineering Online 2004, 3:27の式3で与えられるアレニウスのダメージの積分(Arrhenius damage integral)のアプローチである。アレニウスの式は、吸収された熱エネルギーの量からダメージの確率を計算する役割を果たし、このステップで採用される場合がある。
【0036】
このコンテキストにおける用語「温度分布」は、時間的に1以上のポイントでの温度の空間的な分布を示す。多くの計算スキームでは、この分布は、(計算)グリッドに位置される有限数の位置でのみ評価される。
【0037】
実施の形態では、壊死を誘発する治療によるダメージの計算は、ターゲット領域及びリスク領域における温度分布及び画像データセットに含まれる更なる情報を計算することに基づく。熱は、その発生の位置から他の位置に患者の人体において伝達される。基本となるメカニズムは、主に熱伝導(thermal conduction)及び熱対流(thermal convection)から構成され、生体熱方程式で記載される。患者の小さなボリュームにおける熱の量は、この位置での所定の温度となる。温度分布は、幾つかの実施の形態によれば、一般に知られている生体熱方程式に基づく場合があり、この式は、組織における熱の流れの2つのメカニズム、すなわち物質にわたる熱の伝達である熱伝導及び血液のかん流のような流体の流れによる熱の移動である熱対流を表す。熱流に影響を及ぼすファクタは、たとえば、その熱容量、熱伝導等のような組織の熱物理特性、レーザ光のような光の吸収による熱発生、代謝過程による熱発生、血液のかん流により熱流、及び体温調節メカニズムである場合がある。
【0038】
生体熱方程式は、ターゲット領域及びその周囲の画像に基づいた患者に特有のモデルについて以下のように定義される。
【0039】
【数1】

ここでkは組織の熱伝導率であり、Tは温度、∇は勾配ベクトル
【0040】
【数2】

である。wbはkg/(s m3)の単位での血液のかん流であり、cbは血液の特定の熱容量、Taは動脈の温度、qmは代謝熱生成、qsは更なる熱源又はドレイン、ρは組織の濃度、cpは組織の熱容量、及びtは時間である。パラメータの典型的な値は、k=0.5W/(m K)、cp=3750J(kg K)、ρ=1000kg/m3、cb=3640J/(kg K)及びTa=37℃である。wbがゼロに等しい場合、血液のかん流が存在せず、したがって調査している組織領域において機能している血管が存在しない。しかし、wbがゼロよりも大きい場合、調査している組織領域において血管が存在する。
【0041】
患者に特有のモデルは、温度、壊死及び/又は線量の計算について基礎となるパラメータの空間分布を記載する。パラメータの空間分布は、患者の画像から抽出され、計算において使用される。したがって、パラメータk及びcpの空間分布及び大きな血管の位置は、画像から抽出され、モデルを患者に特有なものにする。代替的に、男性、女性、大人又は幼児についての標準的なモデルは、それぞれの患者の体型を考慮しない異なる計算スキームについて利用可能である。
【0042】
画像データセットがコンピュータ断層撮影(CT)から取得される実施の形態では、熱を伝達する血管の空間分布及び組織の特性cpは、画像データセットから導出される。
【0043】
大きな血管は、画像データセットから識別され、典型的な動脈又は静脈の血流の値が割り当てられる場合がある。熱シミュレーションにおいて余りに小さいために識別されず、明示的にモデル化されない微小血管系は、熱伝導率kを有効伝導率keffに修正することで記述される場合がある(J Crezee and JJ W Lagendijk: Experimental verification of bioheat transfer theories: measurement of temperature profiles around large artificial vessels in perfused tissue, Phys. Med. Biol., 1990, Vol.35, No7, 905-923を参照されたい)。
【0044】
以下の表1は、人間の組織及び水の熱力学的物性(thermo physical property)を示す。表1は、A. F. Emery及びK. M. Sekins (1982); K. Giering等(1995)から適合される。異なる組織のタイプは、画像データセットから識別され、解剖学的知識に基づいており、それぞれの幾何学的なパラメータの分布は、熱伝達の患者に特有のモデルに入力される。
【0045】
【表1】

実施の形態では、温度分布は、3D画像データセットに関して計算され、結果として3次元の温度伝播モデルが得られる。
【0046】
実施の形態では、医師は、壊死を誘発するモダリティの治療パラメータを計画システムに入力する。システムは、選択された設定から得られるので、温度場、壊死確率マップ、生体内分布、壊死を目的とする薬剤の更なる治療効果を計算する。
【0047】
別の実施の形態では、過熱/過冷却の治療の途中で到達されるべき温度の閾値は、ターゲット組織及びリスク組織の前の描写に基づいて治療領域の異なる領域に割り当てられる。計画システムは、壊死を誘発するモダリティの多数の予め定義された治療パラメータのセットについて、HC及びTNT治療の全体の治療効果を計算し、治療の目標への最も近い近似となるパラメータセットの使用を提案する。
【0048】
別の実施の形態では、熱及び内部線量モデルは、治療の目標が最適化アルゴリズムの入力として使用され、アルゴリズムが適切な治療計画のパラメータを発見するように定式化される。これは、たとえば外部放射線療法の計画のケースである。この実施の形態は、正確な治療パラメータのセットが完全に自動的に計算されることを提供する。
【0049】
実施の形態では、壊死を誘発する治療の間に生成された温度分布は、磁気共鳴画像形成(MRI)によりモニタされる。MRIは、高い精度で組織の温度分布を抽出又は計算することができる。MRIに基づく温度測定学の1つのアプローチは、いわゆる共振周波数シフト方法(たとえば、Johan Olsrud: MRI thermometry in phantoms by use of the proton resonance frequency shift method: application to interstitial laser thermotherapy, Phys. Med. Biol. 43 (1998) 2597-2613)であり、この場合、温度は、1℃以下の誤差で非侵襲的に決定することができる。係るマップで決定される温度分布は、たとえばアレニウスのダメージ積分により壊死の確率マップに変換され、このマップは、TNT治療効果のその後のシミュレーションの入力データを表す。
【0050】
実施の形態では、壊死の確率マップの計算は、計画目標と共に温度分布に基づく。計画目標は、最適な基準を定式化する役割を果たす。加熱の場合、たとえば、ターゲット領域の温度は、最小温度Tmin,heatを超える必要があり、リスク領域での組織の温度は、最大温度Tmax,heatを下回る必要がある。冷却の場合、ターゲット領域の温度は、最大温度Tmax,coolを下回る必要があり、リスク領域での組織の温度は、最小温度Tmin,coolを超える必要がある。壊死確率マップは、ターゲット領域とリスク領域に含まれる組織の壊死確率を示す。壊死確率マップは、温度と壊死確率との間の関係に関する経験データから得られるか、たとえばアレニウスのダメージ積分といった組織のダメージモデルを使用することで得られる場合がある。
【0051】
実施の形態では、壊死を目的とする薬剤の生体内分布の計算において壊死確率マップが使用される。「生体内分布“bio-distribution”」は、人体内の、壊死を目的とする薬剤のような診断又は治療の薬剤の空間的な濃度分布である。生体内分布を記述する別の用語は、「取り込み“uptake”」である。実施の形態では、壊死確率マップは、取り込みのマップ及び放射線でラベル付けされた壊死を目的とする薬剤の生体内分布に変換される。診断画像のそれぞれのボクセルにおける薬剤の取り込みは、壊死の確率の関数であるが、診断画像に含まれる組織の表面又は壊死領域の血液を供給している血管へのボクセルの距離のようなパラメータに依存する。0%から100%の範囲に及ぶ[cm-3]の単位での壊死確率の濃度p(r)を、注入されたTNT薬剤の活性度Ainjの生体内分布A(r)に変換する1つのアルゴリズムは、以下の通りである。
【0052】
【数3】

この場合、Pは全体の患者のボリュームを通したp(r)の積分を示す。
【0053】
1実施の形態では、トレーサ、すなわち診断の薬物の量によるSPECT又はPET手順によりTNT治療薬の生体内分布が画像形成される(たとえば、CotaraはI-131でラベル付けされ、SPECTで見られる)。これら生体内分布画像は、壊死確率マップから推定される生体内分布の代わりに、放射線の線量の計算の基礎として採用される場合がある。
【0054】
放射線量及び投与の方法は、壊死を目的とする薬剤の更なる作用を計算することができるために決定される必要がある。
【0055】
実施の形態では、生体内分布は、必要な投薬量の計算及び/又は壊死を目的とする薬剤の投与のやり方の決定においてその後に使用され、その更なる影響は、壊死を誘発するモダリティのみと比較される。組織へのTNT治療の影響は、いわゆる腫瘍制御率(TCP: tumor control probability)曲線、正常組織障害発生率(NTCP: normal tissue complication probability)曲線から予測される場合があり、これは、これらの曲線が大部分の組織のタイプについて放射線生物学の研究から知られているからである。このように計算された更なる効果は、壊死を誘発するモダリティの治療効果に加えられ、全体の治療効果が得られる。異なる投与量のTNT薬剤を想定することで計算された全体の効果は、治療の要件と比較され、最良の整合が選択される場合がある。
【0056】
実施の形態では、生体内分布を目的とする薬剤に特有のコンボリューションカーネルと畳み込むことで、放射線の線量の分布が計算される。放射線エネルギーの吸収パターンは、放射線の分布を使用中の治療のアイソトープに特有のカーネルと畳み込むことで記載される。この計算スキームの1つの実現は、いわゆるボクセルに基づくS値(voxel-based S-value)のアプローチである。このアプローチは、放射線の線量の吸収をモデル化する。ある位置における放射線の転送値を利用することで放射線の線量の吸収を、他の位置における吸収された線量にモデル化する。この記載により、いわゆるボクセルに基づくS値を含む線量のボリュームのカーネル(dose-volume kernel)が得られ、放射線の分布は、放射線の線量の分布を得るため、このカーネルと畳み込まれる必要がある。畳み込みカーネルは、距離dlを進行するときに帯電粒子が失うエネルギーdEに等しい線形エネルギー伝達(LET)のような目的とする薬剤の物理特性に適合される。畳み込みカーネルは、さらに、壊死を目的とする薬剤が壊死組織内で費やす平均時間を意味する、壊死組織における滞留時間のような薬剤の生体特性に依存し、高周波アブレーションカテーテルを通して病巣に直接に通すような、薬剤が投与される方法に依存する。カーネルは、Iodine-131のような使用される放射性同位体のタイプにのみ依存し、たとえば一般に知られるMIRD(Medical Internal Radiation Dose)パンフレットにおいて事前に計算されて発見されるか、又は、たとえば、同位体のポイントソースのモンテカルロシミュレーション及びこのソースの近隣において堆積されたエネルギーを収集することにより高精度で計算される。
【0057】
実施の形態では、単光子放出コンピュータ断層撮影の生体内分布の画像形成から生体内分布マップが計算される。
【0058】
次いで、以下のステップのシーケンスにより、壊死を目的とする薬剤の更なる治療効果が計算される。はじめに、壊死を目的とする薬剤の観察又は予測される生体内分布は、たとえば上述されたカーネル方法により、吸収された放射線エネルギーの分布に変換される。第二に、吸収されたエネルギーマップは、たとえば、特定の組織のタイプについて、組織障害発生率(TCP: tissue complication probability)及び正常組織障害発生率(NTCP)曲線の使用により、治療効果マップに変換される。このTNTステップの治療効果は、HCステップの推定又は観察された治療効果に加えられる場合がある。
【0059】
実施の形態では、システムは、現実の治療結果及び予測される結果を処理するフィードバックユニットを有する。たとえばHC治療により、予測される壊死の分布に満足できるように対応しない壊死の分布が得られるとき、フィードバックユニットが使用される場合がある。次いで、フィードバックユニットは、情報に基づいて次の壊死の分布の計算を調節するために構成される。別の実施の形態では、フィードバックユニットは、実際の治療効果を、計算された薬剤の投与量の計画に基づいた予測された治療効果と比較する。
【0060】
実際の実現では、本発明は、その実施の形態の幾つかにおいて、臨床背景で使用される。肝臓又は脳における転移癌のような小さな癌病巣の治療の前に、壊死確率マップを作成するために治療計画方法により、患者の取得された画像データが利用される。治療計画方法は、リスク領域及びターゲット領域の定義並びに壊死確率マップからターゲット領域の提案される壊死の分布を計算する。壊死分布は、治療ステップにより引き起こされ、病的状態として存在する患者における壊死細胞の実際の空間分布である。幾つかの実施の形態では、医師は、壊死分布を任意に変更する場合がある。その後、治療計画方法は、壊死分布に基づいて壊死を目的とする薬剤により引き起こされる推定される放射線の線量の分布を計算する。
【0061】
実施の形態では、壊死を目的とする薬剤は、放射線でラベル付けされる。
実施の形態では、壊死を目的とする薬剤は、I131同位体を含む。他の壊死を目的とする薬剤も可能である。
【0062】
実施の形態では、壊死を目的とする薬剤は、目標となる抗体に適合されるラベル付けされたアイソトープ(?)のような放射線アイソトープである。
【0063】
幾つかの実施の形態では、本発明により、医師は、実際の診療が開始する前に、治療の詳細な計画及びその治療の成功を予測するのを可能にし、したがって、結果的に費用対効果が高まり、治療の成功率が高まる。
【0064】
第二、第三及び第四の計算ユニットは、たとえばメモリをもつプロセッサのようなハードウェアのアイテムといった関連するタスクを実行するために通常使用されるユニットである、プロセッサは、Intel又はAMDプロセッサ、CPU、マイクロプロセッサ、PIC(Programmable Intelligent Computer)マイクロコントローラ、DSP(Digital Signal Processor)等のような各種のプロセッサの何れかである場合がある。しかし、本発明の範囲は、これら特定のプロセッサに限定されない。メモリは、Double Density RAM(DDR,DDR2)、Single Density RAM(SDRAM)、Static RAM(SRAM)、Dynamic RAM(DRAM)、Video RAM(VRAM)等のような情報を記憶可能なメモリである場合がある。メモリは、USB、Compact Flash、SmartMedia(登録商標)、MMCメモリ、MemoryStick、SD Card、MiniSD、MicroSD、xDCard、TransFlash及びMicroDriveメモリ等のようなFLASHメモリである場合がある。しかし、本発明の範囲は、これら特定のメモリに限定されるものではない。
【0065】
本システムは、ターゲット領域及びリスク領域を定義するために適合され、温度分布マップ、壊死確率マップ、生体内分布マップを提供するために適合される、タッチスクリーンのようなディスプレイが更に提供される。
【0066】
実施の形態では、本システムは、コンピュータ断層撮影(CT)システム、磁気共鳴画像形成(MRI)システム又は超音波画像形成(US)システムのようなメディカルワークステーション又はメディカルシステムに設けられる。
【0067】
図2に示される実施の形態では、方法20が提供される。本方法は、以下のステップを含む。患者の組織における予測される温度分布を計算するステップ21。組織の予測される温度分布に基づいて壊死の確率マップを計算するステップ22。壊死確率マップに基づいて組織に加えられることが意図される放射性物質を含む壊死を目的とする薬剤の生体内分布マップを計算するステップ23。生体内分布マップを、壊死を目的とする薬剤に特有の畳み込みカーネルと畳み込みすることで、壊死を目的とする薬剤の放射線の線量分布を計算するステップ24。
【0068】
図3に示される実施の形態では、プロセッサにより処理されるべき結合された治療計画のためのコンピュータプログラムを記憶するコンピュータ読み取り可能な記録媒体30が提供される。コンピュータプログラムは、以下を有する。第一の計算コードセグメント31は、患者の組織における予測される温度分布を計算する。第二の計算コードセグメント32は、組織の予測される温度分布に基づいて壊死の確率マップを計算する。第三の計算コードセグメント33は、壊死の確率マップに基づいて組織に加えられることが意図される放射性物質を含む壊死を目的とする薬剤の生体内分布マップを計算する。第四の計算コードセグメント34は、生体内分布マップを、壊死を目的とする薬剤に特有の畳み込みカーネルを畳み込みすることで、壊死を目的とする薬剤の放射線の線量分布を計算する。
【0069】
実施の形態では、コンピュータ読み取り可能な記録媒体は、コンピュータ処理特性を有する装置により実行されたとき、幾つかの実施の形態で定義された全ての方法ステップを実行するために構成されるコードセグメントを有する。
【0070】
実施の形態では、癌又は腫瘍の治療における治療計画のためのシステム、方法又はコンピュータ読み取り可能な記録媒体の使用が提供される。
【0071】
実施の形態では、幾つかの実施の形態に係るシステムは、医療向けワークステーションに含まれる。
【0072】
本発明は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア又はこれらの組み合わせを含む適切な形態で実現される。しかし、本発明は、1以上のデータプロセッサ及び/又はデジタルシグナルプロセッサを実行するコンピュータソフトウェアとして実現されることが好ましい。本発明の実施の形態のエレメント及びコンポーネントは、適切な方法で物理的、機能的及び論理的に実現される。確かに、機能は、単一のユニットで、複数のユニットで、又は他の機能ユニットの一部として実現される場合がある。係るように、本発明は、単一のユニットで実現されるか、又は異なるユニット及びプロセッサを通して物理的且つ機能的に分散される場合がある。
【0073】
本発明は、特定の実施の形態を参照して上述されたが、本実施の形態で述べた特定の形式に限定されるものではない。むしろ、本発明は、特許請求の範囲によってのみ限定される。
【0074】
請求項では、用語「有する“comprises/comprising”」は、他のエレメント又はステップの存在を排除するものではない。さらに、個々に列挙されたが、複数の手段、エレメント、又は方法ステップは、たとえば単一のユニット又はプロセッサにより実現される場合がある。
【0075】
さらに、個々の特徴が異なる請求項に含まれたが、これらは有効に結合される場合があり、異なる請求項における包含は、特徴の組み合わせが実施可能ではなく及び/又は有効ではないことを意味するものではない。さらに、単数の引用は、複数を排除しない。用語“a”、“an”、“first”、“second”等は、複数を排除しない。請求項における参照符号は、具体的な例として提供されるのみであって、任意のやり方で請求項の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の、壊死を誘発する治療と壊死を目的とする治療とが結合された治療を計画するシステムであって、
当該システムは、
患者の組織における予測される温度分布を計算する第一の計算ユニットと、
前記組織の前記予測される温度分布に基づいて壊死の確率のマップを計算する第二の計算ユニットと、
前記壊死の確率のマップに基づいて、前記組織に加えられることが意図される放射性物質を含む壊死を目的とする薬剤の生体内分布のマップを計算する第三の計算ユニットと、
前記生体内分布のマップと、前記壊死を目的とする薬剤に特有の畳み込みカーネルとの畳み込みにより、前記壊死を目的とする薬剤の放射線の線量分布を計算する第四の計算ユニットと、
を有することを特徴とするシステム。
【請求項2】
前記温度分布は、前記患者の組織の画像データセットから抽出可能な組織の特性を含む熱輸送に関する患者に特有のモデルに基づく、
請求項1記載のシステム。
【請求項3】
前記画像データセットは、ターゲット領域及びリスク領域を有する、
請求項2記載のシステム。
【請求項4】
前記画像データセットは、コンピュータ断層撮影、磁気共鳴画像形成、陽電子放出分光法、又は単光子放出分光法に基づいた画像取得装置により取得される、
請求項2又は3記載のシステム。
【請求項5】
前記確率マップは、壊死を誘発する治療から生じるダメージを示し、
前記壊死を誘発する治療は、組織の加熱又は冷却による壊死の誘発に関する、
請求項1乃至4の何れか記載のシステム。
【請求項6】
前記壊死を目的とする薬剤は、131I−chTNT−1/Bである、
請求項1乃至5の何れか記載のシステム。
【請求項7】
前記壊死を目的とする薬剤は、目標となる抗体に適合される放射性同位体である、
請求項1乃至6の何れか記載のシステム。
【請求項8】
前記ターゲット領域及び/又は前記リスク領域は、ソフトウェアにより定義されるか、又は人間により定義される、
請求項3記載のシステム。
【請求項9】
前記ターゲット領域及び/又は前記リスク領域は、前記ターゲット領域の温度についての予め決定された温度限界及び前記リスク領域の温度について予め決定された温度限界に基づいて定義される、
請求項1乃至8の何れか記載のシステム。
【請求項10】
前記壊死確率マップは、前記壊死を誘発する治療による、前記ターゲット領域及び前記リスク領域における壊死細胞の期待される密度の確率に関する2次元画像又は3次元画像、或いは2次元画像の系列又は3次元画像の系列である、
請求項1乃至9の何れか記載のシステム。
【請求項11】
前記温度分布は、前記患者に特有のモデルの一部である生体熱方程式から計算される、
請求項2記載のシステム。
【請求項12】
放射性生物作用又は治療効果、及び前記壊死を目的とする薬剤により健康な組織に対するリスクは、組織障害発生率曲線又は正常組織障害発生率曲線、及び前記計算された線量分布から計算される、
請求項1記載のシステム。
【請求項13】
前記畳み込みカーネルは、前記目標とする薬剤の物理的性質に適合される、
請求項1乃至12の何れか記載のシステム。
【請求項14】
実際の治療結果を計算された予測される治療結果と比較し、前記第一の計算ユニット、前記第二の計算ユニット及び前記第三の計算ユニットにより実行される計算を微調整するフィードバックユニットを更に有する、
請求項1乃至13の何れか記載のシステム。
【請求項15】
医療用ワークステーションに含まれる請求項1乃至14の何れか記載のシステム。
【請求項16】
前記予測される温度分布は、磁気共鳴画像形成の温度測定に基づいて計算される、
請求項1、3乃至10、12乃至15の何れか記載のシステム。
【請求項17】
前記単光子放出コンピュータ断層撮影の生体内分布の画像形成に基づいて計算される、
請求項1乃至16の何れか記載のシステム。
【請求項18】
患者の壊死を誘発する治療と壊死を目的とする治療とが結合された治療を計画する方法であって、
患者の組織における予測される温度分布を計算するステップと、
前記組織の前記予測される温度分布に基づいて壊死の確率マップを計算するステップと、
前記壊死確率マップに基づいて前記組織に加えられることが意図される放射性物質を含む壊死を目的とする薬剤の生体内分布マップを計算するステップと、
前記生体内分布マップを、前記壊死を目的とする薬剤に特有の畳み込みカーネルと畳み込みすることで、前記壊死を目的とする薬剤の放射線の線量分布を計算するステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項19】
患者の壊死を誘発する治療と壊死を目的とする治療とが結合された治療を計画するためにプロセッサにより処理されるように設計されるコンピュータプログラムを記憶するコンピュータ読み取り可能な記録媒体であって、
前記コンピュータプログラムは、
患者の組織における予測される温度分布を計算する第一の計算コードセグメントと、
前記組織の前記予測される温度分布に基づいて壊死の確率マップを計算する第二の計算コードセグメントと、
前記壊死の確率マップに基づいて前記組織に加えられることが意図される放射性物質を含む壊死を目的とする薬剤の生体内分布マップを計算する第三の計算コードセグメントと、
前記生体内分布マップを、前記壊死を目的とする薬剤に特有の畳み込みカーネルと畳み込むことで、前記壊死を目的とする薬剤の放射線の線量分布を計算する第四の計算コードセグメントと、
を含むことを特徴とするコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【請求項20】
癌又は腫瘍の治療を計画する請求項1乃至17の何れか記載のシステム、請求項18記載の方法、又は請求項19記載のコンピュータ読み取り可能な記録媒体の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2010−511467(P2010−511467A)
【公表日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−539857(P2009−539857)
【出願日】平成19年12月5日(2007.12.5)
【国際出願番号】PCT/IB2007/054924
【国際公開番号】WO2008/068717
【国際公開日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】