説明

結合された酵素処理剤を含む吸収性製品

本発明は、結合された酵素で処理された支持体を提供する。結合された酵素で処理された支持体が、ある粘弾性物質に存在するタンパク質構造を切断することによって、粘弾性物質、例えば、月経分泌物を吸収する支持体の能力を改善するのに効果的であり得ることがわかった。更に、結合された酵素は、支持体上に直接載置されている酵素と比較して、処理された材料から使用者に移動しそうになく、それによって、吸収性物質品の使用者に対して感作リスクを減少させる。また、結合された酵素を含有する少なくとも1つの表面又は層を含有する吸収性物品が本発明によって提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、処理された支持体及び処理された支持体を含有する吸収性物品に関する。より詳細には、本発明は、粘性流体処理特性を有する吸収性物品、例えば、吸収性パーソナルケア物品に関する。
【背景技術】
【0002】
吸収性材料及び吸収性物品は、当該技術において既知であり、幅広い用途をもつことが知られている。このような吸収性材料及び吸収性物品の例としては、例えば、使い捨てのおむつ及びトレーニングパンツのようなパーソナルケア製品; 生理用ナプキンやタンポンのような女性の衛生用製品; パッドや下着のような失禁のケア製品; 包帯のような健康管理用品目が含まれる。他の吸収性材料及び吸収性物品には、拭うもの(wiper)、吸収性マット、おむつカバーが含まれる。これらの製品が吸収するように設計されている流体類は異なる性質を有することから、様々な流体を効率的に吸収する吸収性材料を得ることが難しい場合が多い。それ故、吸収性材料及び吸収性物品の吸収性、流体分布、流体保持力を改善するための種々の処理が開発されてきた。
非常に粘性な流体は、吸収性製品に吸収するのが難しい場合が多い。例えば、婦人衛生製品では、月経分泌物の粘弾性の性質は、月経分泌物が婦人衛生製品の中に吸収・分布させられるのを難しくする場合が多い。このような流体の粘性及び/又は弾性成分は、吸収性製品の吸収構造体内への吸収及び/又は分布の要求を課す傾向がある。これらの要求は、流体中のより粘性又は弾性が低い他成分に関する最良の性能とはしばしば矛盾し、結果として、通常は全体的な性能の妥協が必要とされる。例えば、より粘弾性が低い成分を吸収し分布させるのに理想的な材料の孔サイズと毛管サイズは、より粘弾性が高い成分に対して最良に作用するものとは異なる。月経分泌物は、血液(主に赤血球と血漿)、子宮頸管粘液及び/又は組織断片から構成される粘弾性流体である。事実上全ての月経分泌物試料で、ムチンが見出される。ムチンは、2000万以上の分子量を有する大きな直線状の糖タンパク質である。水と塩類と共に、ムチンは粘液(例えば子宮頸管粘液が挙げられる)の主成分である。ムチンは、その大きな直線状分子によって、溶液中に網目を形成し、粘弾性を生じると考えられる。
ムチンは、月経分泌物吸収性製品において多くの難題を引き起こす。月経分泌物中のムチンは、吸収性製品のカバー又は体に接している表面を介して月経分泌物流体の取込みを減少させる。更に、ムチンは、その非常に高い粘弾性及び繊維質の性質のため、吸収性物品中の流体分布を妨げる傾向がある。ムチンは、吸収性製品の表面上に三次元網目構造を形成し、それによって、吸収性製品の取込み能力を遮断すると考えられる。月経分泌物の追加の流体が吸収性製品の表面上の三次元網目構造と接触する場合、追加の流体は三次元網目構造の上を流れてしまい、それによって、吸収性製品の漏れの原因となり得る。更に、ムチン成分が吸収性製品の表面を透過する場合でも、ムチンは、下にある吸収層の孔を詰まらせてしまい、それによって、吸収層及び/又は取込み層の局所的飽和(ある領域において、全てではなくとも大部分の孔がいっぱいになる)を引き起こす。局所的飽和は、吸収性物品の中で又は吸収性物品にx、y、z方向で吸収性物品に存在し得る個々の層の中で、漏れを引き起こし、或いは月経分泌物の更なる分布を妨げ得る。
【0003】
月経分泌物に加えて、吸収が難しい他の粘性物質があり、例えば、糞便(又は排便)、創傷からの滲出液、粘液、食品を含有する流体、植物タンパク質が挙げられる。例えば、アルキル鎖に炭素原子8〜10個を有するアルキルポリグリコシドのような粘弾性物質改変剤(viscoelastant agent)を用いて粘性流体の粘性を減少させることが当該技術において提唱されてきた(Yahiaoui et al.の米国特許第6,060,636号、この明細書の記載は参照により本願明細書に含まれるものとする)。Yahiaoui et al.によって提唱された他の粘弾性物質改変剤としては、ウシ脂質エキス界面活性剤(Survanta, Ross Laboratories)、急性呼吸不全症候群や嚢胞性線維症を治療するために用いられる薬剤、タンパク質構造を切断するパパイン又はペプシンのような酵素が含まれる。幾つかのデキストランもまた、粘弾性物質改変剤として用いることができる。デキストランは、多くの場合は細菌の作用によってスクロースから製造される、鎖状構造と例えば2,000,000ダルトンまでの分子量とを有するグルコースの(α-1-6)ポリマーである。
酵素は、ムチンに見られるようなタンパク質を分解又は切断するために当該技術において既知である。しかしながら、酵素は、皮膚に感作(感受性の増加)を引き起こすことがあり得る。それ故、酵素を直接に吸収性物品に配置すると、酵素が引き起こしてしまう感作のため、何人かの潜在的使用者にはその吸収性物品を使えなくしてしまう。更に、酵素は、吸収性物品から使用者に、例えば、使用者の皮膚へ移動してしまう。それ故に、吸収性材料及び吸収性物品の酵素の使用は避けられてきた。
当該技術においては、粘性物質を効果的に吸収して保持し、吸収性製品に関して使用者にとっての感作リスクを減少させ酵素の利点を使用できる吸収性システムが求められている。
【発明の開示】
【0004】
(発明の概要)
一般的に述べれば、本発明は、結合された酵素で処理された支持体を提供する。結合された酵素で処理された支持体が、幾つかの粘弾性物質に存在するタンパク質構造を切断することによって、粘弾性物質を吸収する支持体の能力を改善するのに有効であり得ることが発見された。結合された酵素の使用は、改変されていない酵素と比較して、結合された酵素が使用者の体に移動する場合には皮膚又は粘膜の感作を減少させることができる。更に、結合された酵素は、処理された材料から使用者に移動しそうになく、それによって、結合された酵素を含有する吸収性製品の使用者に対して感作リスクを減少させる。
より詳細には、本発明は、生理用ナプキンのようなパーソナルケア製品用途における液体の取込み、分布、吸収のような流体運動を制御するために、粘弾性流体による使用に適合され且つ粘弾性侵襲液(insult liquid)の粘性及び/又は弾性のような特性を変える性質を有する処理支持体を提供する。
本発明は、また、少なくとも1つの結合された酵素を含有する吸収性物品を提供する。より詳細には、吸収性物品は、バッフル、吸収層及び身体側(body side)ライナを有し、ここで、吸収層はバッフルと身体側ライナとの間に位置し、ここで、吸収層又は身体側ライナの少なくとも1つはそれに施されている結合された酵素を有する。選択的構造として、バッフル、吸収層、取込み層及び身体側ライナを有し、吸収層がバッフルと取込み層との間に位置し、取込み層が吸収層と身体側ライナとの間に位置し、吸収層、取込み層又は身体側ライナの少なくとも1つがその上に施されている結合された酵素を有する、吸収性物品が本発明によって提供される。
本発明はまた、結合された酵素を封じ込める(containing)処理を支持体に提供することによって、タンパク質成分を含有する粘弾性流体の支持体への吸収性を増加させる方法であって、酵素がプロテアーゼである前記方法を提供する。
本発明の態様のそれぞれにおいては、酵素を水溶性ポリマーに結合することができ、その得られた結合された酵素を水溶液中に配置することもできる。あらゆる酵素を用いることができるが、酵素は、吸収すべき流体に存在する成分の種類に基づいて選ばれるべきである。例えば、月経分泌物のような体液滲出物に存在するタンパク質成分の場合には、通常、該酵素がプロテアーゼであることが要求される。炭水化物を含有する成分の場合には、該酵素がグリコシダーゼであることが通常は要求される。ムチンの場合には、プロテアーゼとグリコシダーゼの双方が有効である。
【0005】
(定義)
本開示に使われる場合、用語“含む”、“含んでいる”及び“含む”という基礎用語の派生語は、明記されたあらゆる特徴、要素、整数、工程、又は成分の存在を指定する制限のない用語であることを意味し、且つ1以上の他の特徴、要素、整数、工程、成分又はそれらの群の存在又は追加を除外することを意味しないことが留意されるべきである。
本明細書に用いられる“粘弾性”という用語は、適度に粘性があり及び/又は弾性を有する少なくとも1つの有意な成分を有する組成物を意味する。“適度に粘性がある”とは、成分が少なくとも正常なヒト血漿の粘性を有することを意味する。“弾性”とは、成分が正常ヒト血液以上の弾性を有することを意味する。
本明細書に用いられる“粘弾性改変剤(viscoelastant)”という用語は、その有効量に粘弾性組成物が接触する場合、例えば、その粘性及び/又は弾性を減少させることによってその粘弾性組成物の性質を物質的に変える有機物を意味する。“物質的に変える”とは、記載されるように測定された性質が、少なくとも統計学的に有意の量によって変えられ、有利には、多くの用途について、この変化が少なくとも約30%であることを意味する。
本明細書に用いられる“結合された酵素”という用語は、溶液に可溶性又は分散性である担体材料に共有結合又はイオン結合によって化学的に結合されている酵素を意味する。この用語は、また、担体材料に化学的に結合された2以上の酵素の混合物を包含することを意味する。
本明細書に用いられる“取込み”という用語は、流体を吸収するための吸収性物品の能力を意味する。急速な吸収ができる材料を示すより短い取込み時間と吸収が悪い材料を示す長い取込み時間によって吸収の品質を評価するために取込み時間が用いられる。
本明細書に用いられる“汚れ(stain)”という用語は、吸収性パーソナルケア物品のカバー材料、トップシート又は体と接触している層の最上面上に、それらの底面の中に、又は底面上に存在する湿った又は乾いた流体を意味する。“汚れ”は、一般的には、吸収性パーソナルケア物品の使用者の目に見える。
【0006】
本明細書に用いられる“不織布又はウェブ”という用語は、メリヤスのように規則的な又は同一とみなし得る方法でなく、中間に入っている個々繊維又はスレッドの構造を有するウェブを意味する。用語には、また、フィブリル化、穿孔、或いは布のような性質を与えるために処理された個々のフィラメントやストランド、織り糸又はトウ、フォームやフィルムが含まれる。不織布又はウェブは、多くの方法、例えば、メルトブロー法、スパンボンド法、エアレイド法、ボンデッドカードウェブ法から形成されてきた。不織布の基本質量は、通常は、平方ヤード当たりの材料のオンス(osy)又は平方メートル当たりのグラム(gsm)で表され、有効な繊維径は、通常は、ミクロンで表される。(osyからgsmに変換するために、osyに33.91を掛けることに留意のこと)。
本明細書に用いられる“スパンボンド繊維”という用語は、例えば、Appel et al.の米国特許第4,340,563号、Dorschner et al.の米国特許第3,692,618号、Matsuki et al.の米国特許第3,802,817号、Kinneyの米国特許第3,338,992号及び同第3,341,394号、Hartmannの米国特許第3,502,763号、Levyの米国特許第3,502,538号、Dobo et al.の米国特許第3,542,615号に記載されるように、紡糸口金の複数の微細な、通常は円形の毛管からフィラメントとして溶融熱可塑性材料を押出し、その後、押出されたフィラメントの直径が急速に減少することによって形成される細径繊維を意味する。スパンボンド繊維は、急冷され、一般的には、集めている表面上に置かれた場合に粘着性ではない。スパンボンド繊維は、通常は連続し、平均直径はしばしば7ミクロンを超え、より詳しくは10〜20ミクロンである。
本明細書に用いられる“メルトブロー繊維”という用語は、融解した熱可塑性材料を融解したスレッド又はフィラメントとして複数の微細な、通常は円形のダイ毛管を通って集束性高速度の、通常は加熱された、融解した熱可塑性材料のフィラメントを細くするガス(例えば、空気)流に押出して、マイクロ繊維径であってもよいそれらの直径を減少させることによって形成された繊維を意味する。その後、メルトブロー繊維は、高速度ガス流によって運ばれ、しばしばまだ粘着性の間に、集めている表面に置かれて、ランダムに分散したメルトブロー繊維のウェブを形成する。このような方法は、例えば、Butinの米国特許第3,849,241号に開示されている。メルトブロー繊維は、連続でもよく不連続でもよいマイクロ繊維であり、一般的には平均直径が10ミクロン未満である。
【0007】
本明細書に用いられる“ボンデッドカードウェブ”又は“BCW”は、当業者に既知であり、更に、例えば、AlikhanとSchmidtに共同譲渡された米国特許第4,488,928号に記載された、カードプロセスによって形成される不織布ウェブを意味し、その明細書の記載は本願明細書に含まれるものとする。概要としては、カードプロセスは、梳かれるか或いは処理されて大体均一な基本質量を与える嵩高いバット(batt)で、例えば、ステーブルファイバと結合繊維又は他の結合成分とのブレンドから出発することが必要である。このウェブを加熱或いは処理して接着性成分を活性化し、組込まれた、通常は非常に高い不織材料が得られる。
本明細書に用いられる“ポリマー”という用語には、一般的には、ホモポリマー、コポリマー、例えば、ブロックコポリマー、グラフトコポリマー、ランダムコポリマー、交互コポリマー、ターポリマー等、それらのブレンドや変形が含まれるが、これらに限定されない。更にまた、特に限定されなければ、“ポリマー”という用語には、材料の全ての可能な幾何学的構造が含まれる。これらの構造には、アイソタクチック、シンジオタクチック、ランダムの対称が含まれるが、これらに限定されない。
【0008】
本明細書に用いられる“単成分”繊維という用語は、唯一のポリマーを用いて1以上の押出機から形成された繊維を意味する。このことは、少量の添加剤が着色、帯電防止性、潤滑、親水性等のために添加された1つのポリマーから形成された繊維を除外しないことを意味する。これらの添加剤、例えば、着色のための二酸化チタンは、一般的には5質量パーセント未満、より典型的には2質量パーセントの量で存在する。
本明細書に用いられる“複合繊維(conjugate fibers)”という用語は、別々の押出機から押出された少なくとも2つのポリマーから形成されているが、共に紡糸して1つの繊維を形成する繊維を意味する。複合繊維はまた、多成分又は複合繊維としばしば呼ばれる。ポリマーは通常は相互に異なるが、複合繊維は単成分繊維であってもよい。ポリマーは、複合繊維の断面積全体にほぼ連続的に位置する異なった区域に配置され、複合繊維の長さに沿って連続して伸びる。このような複合繊維の構造は、例えば、一方のポリマーがもう一方によって取り囲まれるシース/コア配置であってもよく、サイドバイサイド配置又は“海島(islands-in-the-sea)”配置であってもよい。複合繊維は、Kaneko et al.の米国特許第5,108,820号、Strack et al.の米国特許第5,336,552号、Pike et al.の米国特許第5,382,400号に教示されている。2つの成分繊維に対して、ポリマーは、75/25、50/50、25/75又は他のあらゆる所望比で存在することができる。
【0009】
本明細書に用いられる“二成分繊維”という用語は、ブレンドと同じ押出機から押出された少なくとも2つのポリマーから形成された繊維を意味する。“ブレンド”という用語は、下で定義される。二成分繊維は、繊維の断面積全体に相対的に連続的に位置する異なった区域に配置される種々のポリマー成分をもたず、種々のポリマーは、通常は無作為に始まり終わるフィブリル又はプロトフィブリルを形成する代わりに、通常は繊維の全長に沿って連続でない。二成分繊維は、しばしば複数成分繊維とも呼ばれる。この一般的なタイプの繊維は、例えば、Gessnerの米国特許第5,108,827号に述べられている。二成分と二成分繊維は、John A. Manson & Leslie H. SperlingのテキストPolymer Blends and Composites、Plenum Pressによる著作権1976、ニューヨークのPlenum Publishing社の事業部、IBSN 0-306-30831-2、273〜277頁にも述べられている。
本明細書に用いられるポリマーに適用される“ブレンド”という用語は、2つ以上のポリマーの混合物を意味し、“アロイ”という用語は、成分は混和性でないが、相溶化されているブレンドのサブクラスを意味する。“混和性”と“不混和性”は、混合自由エネルギーに対してそれぞれ負と正の値を有するブレンドとして定義される。更に、“相溶化”は、アロイにするために不混和性ポリマーブレンドの界面の性質を変性する方法として定義される。
本明細書に用いられる空気結合による又は“TAB”は、ウェブの繊維が製造されるポリマーの1つを融解させるために充分に熱い空気がウェブに進められる不織布、例えば、複合繊維ウェブを結合する方法を意味する。空気速度は、しばしば毎分100〜500フィート(30〜152メートル)であり、ドウェル(滞留)時間は、6秒程度であってもよい。ポリマーの溶融と再凝固によって、結合が得られる。空気結合によることは、限定された変動を有し、第2段結合プロセスとしばしばみなされる。TABには結合を達成するために少なくとも1つの成分の溶融が必要であるので、2つの成分を有するウェブ、例えば、複合繊維ウェブ又は接着性繊維、粉末等を含有するウェブに限定される。TABは、しばしばBCW材料を結合するために用いられる。
【0010】
本明細書に用いられる“熱点結合(thermal point bonding)”は、加熱したカレンダロールとアンビルロールの間で結合される繊維の生地又はウェブを通過することが必要である。カレンダロールは、通常、いつもではないが、何らかの方法でパターンを形成するので、全ての生地がその全面に結合されない。結果として、カレンダロールの種々のパターンが機能的理由と美的理由のために開発された。パターンの一例は、点を有し、Hansen & Penningsの米国特許第3,855,046号に教示されるように約200結合/平方インチを有する約30%結合面積をもつハンセン・アンド・ペニングス(Hansen and Pennings)パターン又は“H &P”パターンである。H &Pパターンは、方形点又はピン結合面積を有し、ここで、各々のピンの横の寸法が0.038インチ(0.965mm)、ピン間の間隔が0.070インチ(1.778mm)、結合の深さが0.023インチ(0.584mm)である。得られたパターンの結合面積は、約29.5%である。他の典型的な点結合パターンは、横の寸法が0.037インチ(0.94mm)、ピン間隔が0.097インチ(2.464mm)、深さが0.039インチ(0.991mm)である四角いピンを有する15%結合領域を与える拡張されたハンセン・アンド・ペニングス又はEHP結合パターンである。“714”と呼ばれる他の典型的な点結合パターンは、方形ピン結合面積を有し、ここで、各々のピンの横の寸法が0.023インチ(0.584mm)、ピン間の間隔が0.062インチ(1.575mm)、結合の深さが0.033インチ(0.838mm)である。得られたパターンの結合面積は、約15%である。更に他の一般的なパターンは、結合面積が約16.9%であるC-スター(C-Star)パターンである。C-スターパターンは、星形を飛ばすことによって横方向の棒の模様又は“コーデュロイ”模様を有する。他の一般的なパターンには、繰り返しの、わずかに偏ったダイヤモンドを有するダイヤモンドパターンや、例えば、窓網戸のような、名前が示すように見えるワイヤの織目が含まれる。典型的には、結合面積パーセントは、貼合わせ布ウェブの面積の約10%〜約30%を変える。当該技術において周知のように、スポット結合は共にラミネート層を保持するとともに各層の中でフィラメント及び/又は繊維を結合することによって個々の各層に対して完全な状態を与える。
【0011】
本明細書に用いられる“層”という用語は、隣接の材料に次に配置されているか、隣接の材料に結合或いは取り付けられている個別の材料を意味する。隣接層は、同一材料として又は異なる材料として調製することができる。
本明細書に用いられる“吸収性物品”という語句は、液体を吸収し且つ含有する部材に関する。“吸収性パーソナルケア物品”又は“パーソナルケア製品”は、皮膚に対して又は皮膚の近くに配置されて、体から排出される種々の液体を吸収し且つ含有する吸収性物品又は部材を意味する。パーソナルケア製品の例としては、例えば、おむつ、トレーニングパンツ、吸収性アンダーパンツ、成人の失禁製品、サニタリーワイプ、生理用ナプキンやタンポンのような女性衛生用品が挙げられる。“使い捨て”という用語は、一回の使用後洗浄されず或いは吸収性物品として回復又は再使用されないことを意味する吸収性物品を記載するために本明細書に用いられる。このような使い捨て吸収性物品の例としては、外科用ドレープ、ガウン、及び滅菌用包装材料を含むヘルスケア関連製品並びに吸収性ワイプ及びカバリングマットが挙げられるが、これらに限定されない。
【0012】
(発明の詳細な説明)
支持体を結合された酵素で処理すると粘弾性流体を取込み、分布させる又は保持する支持体の能力を改善することができることがわかった。結合された酵素は、流体の粘弾性成分をより小さな分子に切断することによって粘弾性流体の粘性の低下を援助する。
結合された酵素で処理することができる適切な支持体としては、フィルム、織りウェブ、編みウェブ、フォーム又は不織ウェブが含まれる。これらの支持体は、あらゆる既知の方法によって調製することができ、天然材料又は合成材料から調製することができる。合成支持体は、一般的には高分子材料から調製される。処理すべき支持体を調製するのに適しているポリマーとしては、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリテトラフルオロエチレン、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、生分解性ポリマー、例えば、ポリ乳酸及びそれらのコポリマー及びブレンドが含まれる。適切なポリオレフィンとしては、ポリエチレン、例えば、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン及び線状低密度ポリエチレン; ポリプロピレン、例えば、アイソタクチックポリプロピレン、シンジオタクチックポリプロピレン、アイソタクチックポリプロピレン及びアタクチックポリプロピレンのブレンド及びそれらのブレンド; ポリブチレン、例えば、ポリ(1-ブテン)及びポリ(2-ブテン); ポリペンテン、例えば、ポリ(1-ペンテン)及びポリ(2-ペンテン); ポリ(3-メチル-1-ペンテン); ポリ(4-メチル1-ペンテン); 及びそれらのコポリマー及びブレンドが含まれる。適切なコポリマーとしては、2つ以上の異なる不飽和のオレフィンモノマー、例えば、エチレン/プロピレンコポリマーやエチレン/ブチレンコポリマーから調製されるランダムコポリマーやブロックコポリマーが含まれる。適切なポリアミドとしては、ナイロン6、ナイロン6/6、ナイロン4/6、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン6/10、ナイロン6/12、ナイロン12/12、カプロラクタムとアルキレンオキシドジアミンのコポリマー等、及びそれらのブレンドとコポリマーが含まれる。適切なポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリテトラメチレンテレフタレート、ポリシクロヘキシレン-1,4-ジメチレンテレフタレート、及びそれらのイソフタレートコポリマー、並びにそれらのブレンドが含まれる。ポリマー支持体に加えて、本発明の支持体は、天然に存在する材料、例えば、木質の又は木質でないパルプ、綿、レーヨン、再生紙、パルプ毛羽、無機吸収性材料、処理された重合体のステーブルファイバ等から調製することができる。望ましくは、必要とされないが、吸収性材料は、セルロース系材料、例えば、パルプを含有する。
【0013】
しかしながら、望ましくは、結合された酵素で処理すべき支持体は、コストの観点から、不織ウェブのような繊維材料である。本発明の態様においては、更に、不織ウェブは、適切には、ポリオレフィン繊維、より適切にはポリプロピレン繊維を含有する。不織布又はウェブは、多くの方法、例えば、メルトブロー法、スパンボンド法、コフォーミング法、ハイドロエンタングリング法、エアレイド法、ボンデッドカードウェブ法等によって形成することができる。エアレイド繊維の場合、繊維はポリエステルのような他の成分から調製することができる。これらの形成方法は、上で記載され、当該技術において既知である。不織ウェブの繊維は、単成分繊維、多成分繊維、複数成分繊維又はそれらの混合物であってもよい。更に、これらのタイプの繊維とセルロース繊維、例えば、パルプとのブレンドも用いることができる。
これらの支持体に加えて、上記支持体の2つ以上のラミネートに結合された酵素を処理することができる。例えば、スパンボンド/メルトブローラミネート又はスパンボンド/メルトブロー/スパンボンドラミネートのような2つ以上の不織材料のラミネート、スパンボンド/ラミネートフィルムのような不織布とフィルムとのラミネート、エアレイド/スパンボンドラミネート等を調製することができる。
【0014】
酵素は、あらゆるタイプの酵素であり得る。酵素は、処理された支持体に吸収される粘弾性物質に存在する粘性成分を改変させるその能力に基づいて選ばれる。例えば、粘弾性物質がタンパク質ベースの流体である場合には、酵素はプロテアーゼであり得る。同様に、粘弾性流体が炭水化物である場合には、酵素は、グリコシダーゼであり得る。本発明においては、ほとんどの粘弾性体液がタンパク質を含有するので、酵素がプロテアーゼであることが望ましい。適切には、プロテアーゼは、パパイン、ブロメライン、ペプシン、トリプシン、キモトリプシン、セリンプロテアーゼ又はそれらの混合物である。例示的なグリコシダーゼとしては、例えば、α-アミラーゼ、ノイラミニダーゼ、α-又はβ-グルコシダーゼ、ガラクトシダーゼ、グリコシルトランスフェラーゼが挙げられる。また、粘弾性流体がタンパク質と炭水化物の双方、又はプロテアーゼかグリコシダーゼのいずれかを有する場合、グリコシダーゼとプロテアーゼの混合物を用いることができる。例えば、粘弾性流体が、ムチンと水である粘液のような流体である場合には、酵素は、プロテアーゼ、グリコシダーゼ又はそれらの混合物であり得る。
【0015】
酵素は、担体材料に結合される。一般的には、酵素は担体材料に共有結合又はイオン結合によって結合されるか又は化学的に結合されることが望ましい。理想的には、担体材料は、溶液に可溶性又は分散性である材料、特に水溶液である。担体材料は、溶液に分散性又は可溶性であるポリマー、又は化合物であり得る。更に、担体は、ミセルに形成することができる材料であり得る。より望ましくは、ポリマーは、水溶液に可溶性又は分散性である。望ましくは、担体支持体は液体に可溶性であり、より望ましくは担体材料は水に可溶でなければならない。担体材料として本発明に使用しうるポリマーとしては、例えば、ポリアクリル酸、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコールのようなポリアルキレンオキシド、ポリビニルアルコール、アクリルアミド-マレイン酸ヒドロゲル又はエチレン無水マレイン酸コポリマーのような無水マレイン酸ポリマー及びコポリマー、及びそれらのブロックコポリマー、グラフトコポリマー又はランダムコポリマーが含まれる。他の可溶性ポリマーもまた、用いることができる。1以上の酵素を所定の担体材料に結合することができ、あるいは1以上の担体材料を所定の酵素に用いることもできる。例えば、担体はポリマー混合物であってもよい。更に、結合された酵素は、2つ以上の結合された酵素のブレンドであってもよく、各々が同一の又は異なる担体材料を有する。
【0016】
酵素の結合は、当業者に既知の技術によって行うことができる。このような技術は、Wildi et al.の米国特許第3,625,827号、Wildi et al.の米国特許第3,616,229号に記載され、いずれの明細書の記載も本明細書に全体で含まれるものとする。一般的に記載されるように、酵素又は酵素の混合物は、溶液中でポリマーと反応する。望ましくは、酵素は、担体材料に一度結合された酵素の活性に影響しない酵素についての基によって反応する。酵素に通常は存在する酵素活性にたいてい影響しない例示的な反応基としては、例えば、アミノ、ヒドロキシル、カルボキシル、無水物、メルカプト、イミダゾリル基が挙げられる。これらの基は、酵素と反応又は結合するのに適合されているポリマーと反応することができる。ポリマーについて有効な反応性基としては、例えば、カルボキシル基、無水物基、アミノ基、ヒドロキシル基、メルカプト基等が挙げられる。反応により、イオン結合でも共有結合でもよい酵素とポリマー間の結合を得ることができる。当業者に明らかである、ある状況においては、ポリマーの反応性基との反応から酵素にその活性を与える酵素の活性基を保護することは必要なことである。このような場合、保護基は、酵素から容易に除去可能でなければならず、このような保護技術は、当業者に容易に明らかである。酵素を担体に結合する他の可能な方法としては、担体と多官能性化合物の1つの官能基とを反応させ、続いて多官能性化合物の他の官能基と酵素とを反応させることが含まれ得る。
【0017】
1つの例示的な酵素は、未熟なパパイアから得られる酵素、パパインである。ポリマー担体に結合したパパインは、商品名Linked-Papain(登録商標)として市販されている。Linked-Papain(登録商標)(パパインカーボマー、 CTFA、国際化粧品成分辞典に記載されている)は、パパインがポリアクリル酸(900,000ダルトン)に共有結合で結合された酵素のパパインである。Linked-Papain(登録商標)は、Collaborative Laboratories、3 Technology Drive, East Setauket, N.Y. 11733)から市販されている。
一旦形成されると、結合された酵素は、コーティング、例えば、刷毛塗り、浸漬、噴霧、印刷又は他のあらゆる既知の溶液適用プロセスを含む、あらゆる既知の技術によって処理される支持体に施すことができる。更に、結合された酵素は、形成すべき支持体のポリマー前駆物質のポリマー溶融物に添加することができる。このことにより、内部添加剤である結合された酵素が得られる。結合された酵素が支持体の前駆物質のポリマー溶融物に添加される場合、ポリマー処理条件が酵素の活性が悪影響を受けるほど極端でないように注意しなければならない。これらの記載された方法の中で、処理された支持体の乾燥が必要でなくなる方法を用いることが望ましい。このことにより、乾燥処理された支持体と関連するコストと、結合された酵素で処理される酵素と支持体の活性に対して乾燥がもってしまう潜在的悪影響が減少する。コストと他の理由のために、通常は、均一性の程度が許容しうる所望の効果を生じる処理組成物の最少量を用いることが望まれる。例えば、処理組成物によって加えられた水を除去する追加の乾燥工程の加熱が不織布の強度特性に有害な影響を及ぼすとともにプロセスに対するコストを加えてしまうことは知られている。望ましい不織布ウェブ又は他の支持体特性に悪影響を及ぼすことのなく所望の処理を効率的且つ効果的に施すことができる不織布又は他の支持体のために改善された処理方法及び/又は組成物を所望の結果も達成しつつ提供することが望まれる。
【0018】
結合された酵素は、処理される支持体の質量に基づいて約0.01質量%〜約100質量%の量で処理すべき支持体に加えることができる。望ましくは、結合された酵素は、処理される支持体の質量に基づいて約0.1〜約25%の量で処理すべき支持体に加えることができる。より望ましくは、結合された酵素は、処理される支持体の質量に基づいて約5.0〜約15%の量で処理すべき支持体に加えることができる。最も望ましくは、結合された酵素は、処理される支持体の質量に基づいて約8.0〜約11%の量で処理すべき支持体に加えることができる。結合された酵素の量は、結合された酵素に存在する充分な活性酵素がある限り変えることができる。換言すると、ポリマーに結合した酵素のより低い活性レベルには、所望の結果を達成するのにより多くの量の結合された酵素が必要でもよい。より高い活性レベルには、より少ない量の酵素を必要とされてもよい。当該技術において既知であるように、活性は単位によって定義される。1単位(U)は、特定の条件下で毎分1マイクロモルの支持体の形質転換を触媒する量として定義される。単位は、速度の基準として見ることができる。単位が多いほど、具体的な反応が起こるのが速い。工業用酵素は、液体も固体も質量に基づいて販売されている。各キログラムは、活性が保証されて販売されている。酵素の活性は他の因子の中で温度やpHで変わるので、試験条件は、正確に規定されなければならない。酵素の活性単位を調べることは十分ではない。プロセス条件は、活性に影響する。プロセス条件によっては、或る酵素製品からより大きな活性を得ることができる。従って、酵素の製造業者は、正しい試験方法と単位計測を調べなければならない。活性の単位は、通常は他の製造業者からの活性の単位と直接比較してはならない。
一般的には、結合された酵素で処理された支持体を乾燥する必要を減少させる傾向があるので、処理される支持体に結合された酵素の噴霧又は刷毛塗りを使うことができる。典型的には、結合された酵素を支持体に噴霧又は刷毛塗りするために用いられる組成物は、結合された酵素と溶媒を含有する。溶媒は、酵素の活性に悪影響を与えないように選ばれなければならない。1つの適切な溶媒は、水である。
【0019】
或いはまた、結合された酵素は、共に吸収性物品の層を結合するために用いられる接着材料に組込むことができる。
本発明による結合された酵素で処理される支持体は、使い捨てパーソナルケア物品を含む吸収性物品の成分として使用し得る。結合された酵素で処理された支持体が吸収性物品に用いられる場合、処理された支持体は、吸収すべき流体又は他の吸収層と接触する層で用いなければならない。体液を集めるための様々な使い捨て吸収性パーソナルケア物品は、物品が、典型的には、不織布ウェブ材料を含有し、当該技術においては既知である。このタイプの使い捨て製品には、流体を受容し、分布させ、吸収し、保持するためのある機能的要素が含まれる。典型的には、このような吸収性物品は、セルロース繊維、例えば、木材パルプの毛羽状物、高吸収性材料、例えば、高吸収性材料の粒子、セルロース繊維と高吸収性材料の混合物を含有する吸収性コア又は他の保持層を有する。
ムチンのような月経分泌物のタンパク質又は炭水化物含有成分を切断する結合された酵素処理の能力を考えれば、処理された支持体は女性のケア吸収性物品、例えば、タンポン、パンツライナ、女性のナプキンの優れた候補物質の役に立つ。
吸収性パーソナルケア物品の一例は、図1に示され、吸収性パーソナルケア物品に通常は存在する各層を示す。図1は、生理用ナプキン構造の形である代表的な吸収性パーソナルケア物品の製品を示す図である。他の吸収性物品、例えば、失禁パッドやガーメント、おむつ、トレーニングパンツ等の慣用的に用いる構造を含む、当業者に既知の他の吸収構造や配置を用いることができる。生理用ナプキンによって同様の構造と本発明の説明を有する他の吸収性パーソナルケア物品が本発明を限定するものでないことは留意される。図示されるように、吸収性物品30には、バッフル又は裏打層40、吸収層又は保持層38、任意の分布層又は取込み層36、及び体に接触する層又はライナ34が含まれる。必要ならば、吸収層38は、また、横漏れに対する防御を高めるためのラップ32でその底部と両側面に封じられてもよい。図示されるように、吸収層は、裏打層又は外カバーとライナ又は体に接触する層の間に位置する。任意の分布層36は、吸収層38と体に接触する層34の間に位置する。本発明によれば、あらゆる又はカバー、分布又は取込み層のいずれか又は全てを結合された酵素で処理することができ、タンパク質含有流体を吸収する吸収性物品の能力を増強する。
【0020】
液体不浸透性裏打層又は外カバー(バッフル)40は、あらゆる作用的材料から構成される層を含むことができ、所望されるように液体-透過性又は液体-不透過性の選ばれたレベルを有してもよく有しなくてもよい。具体的な構造においては、裏シート又はバッフル40は、作用的に液体-不透過性バッフル構造を得るように構成されてもよい。バッフルは、例えば、高分子フィルム、織布、不織布等、及びそれらの組合せ又は複合物を含むことができる。例えば、バッフルは、織布又は不織布に積層されたポリマーフィルムを含むことができる。具体的な特徴においては、ポリマーフィルムは、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル等、及びそれらの組合せから構成され得る。更に、ポリマーフィルムは、マイクロエンボス加工されてもよく、プリントデザインを有してもよく、消費者のプリントメッセージを有してもよく、及び/又は少なくとも部分的に着色されてもよい。適切には、バッフル28は、体液の通過を遮断しつつ物品から、特に吸収性材料(例えば、貯蔵又は吸収構造30)から空気と水蒸気の充分な通過を作用的に可能にすることができる。適切なバッフル材料の一例としては、通気性の微孔性フィルム、例えば、McCormack et al.の米国特許第6,045,900号等に記載されるものを挙げることができる。
複合フィルム又は他の多成分フィルム、また、作用的に液体不透過性にするために処理された織布及び/又は不織布も使用し得る。他の適切なバッフル材料には、独立気泡ポリオレフィンフォームを含むことができる。例えば、独立気泡ポリエチレンフォームも使うことができる。
【0021】
ライナ又は体に接触する層34は、吸収性物品の吸収層に吸収すべき流体を運搬するために用いられる。ライナ又は身体側ライナは、製品のタイプによって異なる体の排出物を管理することができなければならない。女性のケア製品では、しばしばライナ又は体に接触する層が月経分泌物と尿を取り扱うことができなければならない。本発明においては、ライナ又は体に接触する層34は、あらゆる作用的材料から構成された層を含んでもよく、複合材料であってもよい。例えば、ライナ又は体に接触する層は、織布、不織布、ポリマーフィルム、フィルム-不織布ラミネート等、及びそれらの組合せを含むことができる。不織布の例としては、エアレイド不織布、スパンボンド不織布、メルトブロー不織布、コフォーム不織布、カーデッドウェブ、ボンデッドカードウェブ、複合成分スパンボンド不織布、ハイドロエンタングルウェブ、スパンレースウェブ等及びそれらの組合せが挙げられる。例えば、ライナ又は体に接触する層としては、織布、不織布、作用的に液体透過性であるように構成されたポリマーフィルム等、及びそれらの組合せを含むことができる。カバー層を構成するために適切な材料の他の例としては、レーヨン、ポリエステルのボンデッドカードウェブ、ポリプロピレン、ポリエチレン、ナイロン、又は他の加熱接着性繊維、ポリオレフィン、例えば、ポリプロピレンとポリエチレンのコポリマー、線状低密度ポリエチレン、脂肪族エステル、例えば、ポリ乳酸、微細に穿孔されたフィルムウェブ、網材料等、及びそれらの組合せを含むことができる。
【0022】
適切な材料の他の例は、ポリマーと不織布材料の複合材料である。複合材料は、典型的には、通常はスパンボンド材料のウェブにポリマーの押出しによって形成された一体化したシートの形である。所望の配置においては、ライナ又は体に接触する層34は、物品が吸収或いは取り扱うものである液体に関して作用的に液体浸透性であるように構成することができる。作用的液体浸透性は、例えば、ライナ又は体に接触する層において存在又は形成される、複数の孔、穿孔、アパーチャ又は他の開口、それらの組合せによって得ることができる。アパーチャ又は他の開口は、体液が、ライナ又は体に接触する層の厚みを進み且つ物品のその他成分に(例えば、吸収構造30に)浸透することができる速度の増加を援助することができる。液体-浸透性の選ばれた配置は、望ましくは、物品の身体側の配置に指定される少なくともライナ又は体に接触する層の作用的部分に存在する。ライナ又は体に接触する層34は、快適さと適合性を与えることができ、体から離れて吸収構造38に向かって直接滲出体液に機能することができる。ライナ又は体に接触する層34は、その構造のほとんど又は全く液体を保持しないように構成することができ、女性着用者の身体組織にじかに相対的に快適な非刺激性表面を与えるように構成することができる。ライナ又は体に接触する層34は、カバー層の表面と接触する体液によって簡単に浸透するあらゆる材料から構成することができる。
ライナ又は体に接触する層34は、全て又は一部の隣接面を互いに結合することによって吸収構造38と固定された関係で維持することができる。当業者に既知の種々の結合物品は、このようなあらゆる固定された関係を達成するために用いることができる。このような物品の例としては、2つの隣接する表面間の種々のパターンの接着剤の適用、吸収性材料の隣接面の少なくとも一部とカバーの隣接面の一部とをからみ合わせること、又はカバーの隣接面の少なくとも一部を吸収性材料の隣接面の一部に融合させることが含まれるが、これらに限定されない。
ライナ又は体に接触する層34は、典型的には、吸収構造の身体側の上面上に拡張するが、或いは吸収構造38を部分的に又は完全に取り囲むか又は封じるように物品の周りに拡張することもできる。或いはまた、カバー34と液体不浸透性層40は、吸収構造30の末端の外周端を超えて外向きに拡張する外周縁を有することができ、拡張する縁は、吸収構造を部分的に又は完全に取り囲むか又は封じるように共に結合することができる。
【0023】
分布又は取込み層36は、液体がより物品に導入されやすい吸収層38の標的領域においてより効果的に作用する大きさであり配置される。取込み層の材料は、実質的に成形特性を送達することを考えずに所望の液体-取込み特性を与えるように構成することができる。例えば、取込み層の構造は、通常の着用の間に、物品、特に吸収構造が束になることとねじれることを防止するように構成される特性を含んではならない。
取込み層は、体から離れて急速に液体を吸収し引っ張るように構成される材料を含むことができる。従って、取込み層36は、液体取込みの機能を与えることができ、液体の分布、拡散、一時的貯蔵、液体の保持の機能を与えることもできる。取込み層としては、天然繊維、合成線維、高吸収性材料、織布; 不織布; ウェットレイドファイバウェブ; ほとんど接着されていないエアレイドファイバウェブ; 作用的に接着された安定化エアレイドファイバウェブ等、及びそれらの組合せを含むことができる。
吸収構造30は、所望の吸収性レベル又は貯蔵容量を与えるように作用的に構成することができる。より詳しくは、吸収本体は、液体、例えば、尿、月経分泌物、他の複合液体等、及びそれらの組合せを保持するように構成することができる。代表として示されるように、吸収本体は、吸収性繊維のマトリックス及び/又は吸収性粒状材料を含むことができ、吸収性繊維は天然及び/又は合成線維を含むことができる。更に、吸収本体は、月経分泌物又は月経分泌物間の液体を変化させることができる1以上の成分を含むことができる。
【0024】
吸収構造30は、また、高吸収性材料を含むことができる。本発明に用いられる適切な高吸収性材料は、当業者に既知であり、あらゆる作用的形状、例えば、微粒子の形状であってもよい。一般的に述べると、高吸収性材料は、生理食塩水(例えば、0.9wt%NaClを有する食塩水)中でその質量の少なくとも約15倍、適切には約30倍、おそらくは約60倍以上を吸収することができる、水膨潤性、通常は水不溶性、ヒドロゲル形成ポリマー吸収性材料であり得る。高吸収性材料は、生分解性でもよく双極性でもよい。ヒドロゲル形成ポリマー吸収性材料は、有機ヒドロゲル形成高分子材料から形成することができ、天然材料、例えば、寒天、ペクチン、グアーガム; 変性天然材料、例えば、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロール、ヒドロキシプロピルセルロース; 合成ヒドロゲル形成ポリマーを含むことができる。合成ヒドロゲル形成ポリマーとしては、例えば、ポリアクリル酸のアルカリ金属塩、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、エチレン無水マレイン酸コポリマー、ポリビニルエーテル、ポリビニルモルホリノン、ビニルスルホン酸のポリマーとコポリマー、ポリアクリレート、ポリアクリルアミド、ポリビニルピリジン等を挙げることができる。他の適切なヒドロゲル形成ポリマーとしては、加水分解アクリロニトリルグラフトデンプン、アクリル酸グラフトデンプン、及びイソブチレン無水マレイン酸コポリマー及びそれらの混合物が含まれる。ヒドロゲル形成ポリマーは、材料を実質的に水不溶性にするために光で架橋されてもよい。架橋は、例えば、照射又は共有結合、イオン結合、ファンデルワールス結合、又は水素結合であってもよい。適切な材料は、様々な市販の業者、例えば、The Dow Chemical Company and Stockhausen, Inc.から入手できる。高吸収性材料は、適切には吸収系の指定された貯蔵又は保持部分に含まれてもよく、吸収性物品の他の成分又は部分に任意に使われてもよい。
【0025】
吸収性物品の他の構造は、また、本発明の範囲から逸脱することなく用いることができる。例えば、女性のケア物品、女性のナプキンの場合、吸収性物品は、例えば、2003年3月19日出願の米国特許第10/392,116号に記載される構造を有することができる。この特許出願に記載される吸収性物品が羽根をもつことができることが留意される。結合された酵素を羽根の材料上に載せることは可能であるが、あるとしても、ほとんど利点は得られない。
本発明の結合された酵素は、粘弾性流体と接触する吸収性物品のあらゆる層に施すことができる。一般的には、結合された酵素は、身体側層から吸収層や吸収層と身体側層間にあってもよいあらゆる層まで、これらの層の各々が粘弾性流体と接触するので吸収性物品のあらゆる層に施すことができる。例えば、結合された酵素は、身体側ライナ、取込み層又は分布層又は吸収層)に適用されることができる。結合された酵素が外層バッフルの吸収構造側面上に載置することができるが、結合された酵素をバッフル上に載置するのに、あるとしても、ほとんど利点を得ることができない。望ましくは、結合された酵素は、取込み層又は分布層又は身体側層上に載置される。これらの層は、粘弾性流体と接触する第1層である。しかしながら、このことは、結合された酵素が吸収性物品の他の層、例えば、吸収層上に載置することができないことを意味しない。更に、吸収性物品の各層は、結合された酵素で処理することができる。試験において、結合された酵素が用いられる場合、より多量のz-方向の吸収が認められる。更に、結合された酵素の充填が増加されるにつれて、より小さなサイズの汚れが製品の範囲内に得られる。
結合された酵素に加えて、当該技術において既知である他の添加剤を、吸収性物品の層に施すことができる。これらの他の添加剤としては、Yahiaoui et al.の米国特許第6,060,636号に記載される、アルキル鎖に炭素原子8〜10個を有するアルキルポリグリコシドのような他の粘弾性物質改変剤が含まれてもよい。これらのアルキルポリグリコシドは、粘弾性流体の粘弾性特性を変えるとともに合成表面の湿潤性を増加する。粘弾性物質改変剤の他の例としては、ウシ脂質エキス界面活性剤(Survanta, Ross Laboratories)、急性呼吸不全症候群や嚢胞性線維症を治療するために用いられる薬剤が含まれる。あるデキストランやデキストラン誘導体、例えば、硫酸デキストランもまた、粘弾性物質改変剤として用いることができる。デキストランは、鎖状構造を有し、しばしば細菌の作用によって、スクロースから生産される、例えば、2,000,000のダルトンまでの分子量を有するグルコースポリマーである。例示的なデキストランは、スカーバラ、カナダのPolydex Pharmaceuticals社から入手できる4000MWのデキストランである。他の添加剤としては、吸収性物品に用いられてきた従来の界面活性剤、例えば、エトキシル化炭化水素、シロキサンを含み、イオン性界面活性剤は、ウィッキングを援助することが知られている。これらの添加剤は、結合された酵素と同一の層にあってもよく、結合された酵素が存在しない層にあってもよい。これらの添加剤が結合された酵素と同一の層に又は隣接層に存在するものである場合、結合された酵素活性が追加の添加剤によって悪影響を受けていないことを確実にするために注意しなければならない。
【0026】
処理化学的成分を含む他の添加剤、例えば、架橋ゲル化剤、増粘剤、凝集剤、血漿沈殿剤、粘液溶解剤、溶解剤、臭気吸収剤、それらの組合せも用いることができる。結合された酵素が置かれている吸収性物品の同一層に又は粘弾性流体と接触する他の層の表面の少なくとも一部又は隙間の少なくとも1つに追加の添加剤を処理することができる。
身体側層、取込み層又は女性の生理用ナプキン又はライナの中の吸収構造の少なくとも1つを処理する結合された酵素の使用がナプキン又はライナの表面に見える月経分泌物の量を減少させることがわかった。このことは、結合された酵素がこれらの製品の取込み性能を改善することができることを示している。結合された酵素がデキストランと共に用いた場合、層が結合された酵素で処理されるだけである女性のケア製品と比較して女性のケア製品の身体側層上の流体外観の減少が見られることも更にわかった。換言すると、デキストランが結合された酵素と組合せて用いられる場合、月経分泌物は、単独で用いられる結合された酵素によって見られるz-方向の吸収を維持しつつ、層内のxとyの方向の拡散がより少ない傾向がある。しかしながら、結合された酵素単独の使用は、結合された酵素処理を含まない市場製品と比較して層内の流体外観の程度が減少する。
結合された酵素及び他のいかなる粘弾処理剤も、結合された酵素によって処理された個々の層又は支持体から外に一様に分散することができる。或いは、結合された酵素及び他のいかなる粘弾性処理剤も、不均一な方法で、処理されている支持体又は層の表面上にあることができる。結合された酵素のコストを考慮すると、吸収性物品の全体層より少なく処理することは有益なことである。この場合、層の中央領域又は粘弾性流体と接触する層の部分は処理される層の部分でなければならない。或いはまた、中心領域を取り囲んでいる外部の領域又は面積は、中央領域の代わりに処理されることもできる。外部の領域が処理される場合、粘弾性流体が吸収性物品の層の外部の領域に達するにつれて酵素が粘弾性流体に作用することができるので、側面からの漏れを防止又は減少することができる。更に、処理は、結合された酵素で処理された個々の層又は支持体上のゾーンで又はパターンであってもよい。
女性のケア製品について記載したが、結合された酵素は、他の吸収性物品、例えば、子宮頸管粘液や糞便の流体を吸収するための成人の失禁用ケア物品に、幼児用及び小児用ケア製品、例えば、おむつに、創傷ケア製品、例えば、包帯に、特に、獣医局、動物園等、医局、病院や手術室、食料品店、レストラン、台所などで動物の排泄物を吸収するための洗浄製品、例えば、吸収性のモップやワイプに用いることができる。
以下の実施例は、本発明の具体的な構造を記載し、本発明をより詳細に理解するために示すものである。実施例は、いずれにせよ本発明の範囲を限定するものではない。全ての開示を完全に考慮することから、特許請求の範囲内の他の配置は、当業者に容易に明らかである。
【実施例】
【0027】
以下の実施例1及び2において、本発明の処理の有効性を試験するために模擬月経分泌物を用いる。模擬月経分泌物を調製するために、血液、この場合には脱線維素ブタ血液を3000rpm、30分間の遠心分離にて分離するが、有効な場合には他の方法又は速度や時間を用いることができる。血漿を分離し、別個に保存し、バフィーコートを除去し捨て、充填した赤血球細胞を同様に別個に保存する。卵、この場合は大型の鶏卵を分離し、黄身とカラザを捨て、卵白を保持する。約3分間の1000ミクロンナイロンメッシュで卵白をこすことによって卵白を濃い部分と薄い部分に分離し、より薄い部分を捨てる。粘度が少なくとも必要とされるならば、代替的メッシュサイズを用いることができ、時間又は方法を変えることができることに留意のこと。次に、材料をあらゆる適切な方法で剪断して、摂氏22度で150sec-1において約20cpsの粘度を有する均一な溶液を得る。遠心分離した後、オボムチンを含有する80mlのホモジェナイズした濃い卵白を、注射器を用いて300ccのFENWAL Transfer Packに添加する。次に、60ccのブタ血漿をトランスファパックに添加する。トランスファパックを固定し、気泡を全て除去し、Stomacherラボブレンダに入れ、標準(又は中間)速度で約2分間ブレンドする。次に、トランスファパックをブレンダから取り出し、60ccのブタ赤血球を添加し、内容物を約2分間、又は内容物が均一に見えるまで手でこねることにより混合する。最終混合物は、約30容積パーセントの赤血球含量を有し、人工月経分泌物の場合には通常は少なくとも28〜32容積パーセントの範囲内である。卵白の量は、約40質量パーセントである。粘弾性のより高い又はより低い模擬物質は、ホモジナイズした濃い卵白と血漿との比を変えることによって得ることができる。
【0028】
この人工月経分泌物の調製に用いられる成分と装置は容易に入手できる。下記は、実施例に用いられる品目の供給源のリストであるが、ほぼ等価であれば他の供給源を用いることができることは当然のことである。
血液(ブタ): Cocalico Biological社、449 Stevens Rd., Reamstown, PA 17567。
Fenwal Transferパック容器、300ml、発色剤を含む、試料4R2014: Baxter Healthcare Corporation, Fenwal Division, Deerfield, IL 60015。
Stomacher 400 実験用ブレンダーモデル no. BA 7021, シリアル no. 31968: Seward Medical、ロンドン、イングランド、英国。
1000ミクロンメッシュ、品目no. CMN-1000-B: Small Parts, Inc., PO Box 4650, Miami Lakes, FL 33014-0650, 1-800-220-4242。
ヘモクリットを測定するHemata Stat-II装置、シリアルno. 1194Z03127: Separation Technology, Inc., 1096 Rainer Drive, Altamont Springs, FL 32714。
【0029】
(取込み試験)
取込み試験によって、模擬月経分泌物の吸収のために設計された吸収構造間の差を取込み速度で求める。本吸収構造の4インチ×4インチ(10.16cm×10.16cm)試料を用いて取込み試験を行う。
この取込み試験のために、月経分泌物を用いる。ブタ血液をベースにした模擬月経分泌物を使用する場合、個人保護、取り扱い、使用後の滅菌を含む、血液に運ばれる病原菌を取り扱うための確立されたガイドラインに従わなければならない。あらゆる手順に模擬月経分泌物を用いる前に、模擬物質を冷蔵庫から取り出し、26℃で10分間の水浴に入れる。使用のためにバッグを切断して開ける前に、バッグを2、3分間の手の間でもみ、バッグの中で分離している模擬物質を混ぜる。次に、バッグチュービングを切断し、必要とされる模擬物質の量を注ぎ、ゆっくり撹拌して使用前に十分に混合する。
【0030】
図2と図3を参照すると、一般的には400で示されるアクリル速度ブロックは、幅3インチ(76.2mm)×深さ2.87インチ(72.9mm)×高さ1.25インチ(31.8mm)である。速度ブロック400は、ブロックの底部401から突出している中心部402を含み、チャネル404は、速度ブロックの一側面405からその中心線406まで水平から約22度の角度で下向きに斜めに伸びている。チャネル404は、速度ブロック400の側面405から速度ブロックの底部より上の点の適当な角度で適切な大きさの孔をドリルで開けることができる。しかしながら、側面405のドリル孔の出発点は、模擬月経分泌物がそこから逃げないように、その後ふさがなければならない。上孔410は、チャネル404と交差し、側面405上にあり、その中に漏斗412を受容するための大きさである。中央開口414、幅1/4インチ×長いスロット1・3/4インチは、吸収構造に用いられる模擬月経分泌物の進行を見ることを可能にする。中央スロット414は、速度ブロック400に横の中央にあり、大きさが速度ブロックの上部416より小さい底孔出口415を有する。上孔410と中央スロット414もまた、あらゆる適切な方法で速度ブロック400において形成することができる。速度ブロックは、所定の質量を有し、従って、予め選択された圧力/面積を及ぼす大きさである(即ち、161.9グラムの質量は、25.6のcm2の面積にわたって0.62kPaの圧力を及ぼす)。
速度ブロック400は、吸収構造材料の縦方向であるものと整列した中央開口414の長さ方向と整列している。次に、速度ブロック400は、試験すべき試料の中央に配置され、試料は、漏斗412に注入される2.0±0.01mlの模擬月経分泌物によって攻撃を受ける。第1の攻撃が試験材料に達したときにストップウォッチをスタートさせる。一旦模擬物質が試料に完全に取り込まれると、ストップウォッチを停止し、ストップウォッチによる時間を第1の攻撃の取込み時間として記録する(例えば、秒で)。次に、ストップウォッチをリセットする。ストップウォッチを停止させたときにタイマーをスタートさせ、タイマーで10分が経過した後に、2.0±0.01mlの模擬月経分泌物の第2の攻撃が試料に加えられる。ストップウォッチをスタートさせて、試料が第2の攻撃を取込むために必要な時間を追跡し、時間を第2の取込み時間として記録する。この手順を第3の攻撃にも繰り返す。
取込み試験を5つの吸収構造試料で行い、結果を平均して具体的な吸収構造の取込み時間と再湿潤データを得る。
【0031】
(実施例1)
レオロジー試験を用いて、本発明の組成物の性能を示した。Vilastic Scientific、P.O. Box 160261、オースティン、テキサス78716から入手できる1ミリメートル径毛細管を備えたVilastic III毛管レオメータを用いて試験を行った。対数増加分の流体の粘弾性の10の時間経過測定をとるために計測器を設定した。これらは、0.5Hzの単一周波数と1〜10s-1のせん断速度で測定した。レオメータを備えた使用法に従った。
本実施例においては、結合された酵素を模擬月経分泌物に直接入れる。模擬物質を用いるために、模擬物質をまず水浴中22℃で10分間温める。次に、模擬物質をトランスファパック中で約4分間の間、目視による分離がみられなくなるまで手で混ぜる。試験に必要とされる量をビーカーに入れ、最低の設定で1分間撹拌する。
結果を表1に示す。
【0032】
表1

【0033】
(実施例2)
本実施例においては、模擬物質の取込み時間を測定する。実施例1のように、使用前に実施例1の手順を用いて模擬物質を温める。85%のパルプと15%のバインダー繊維を含有する空気気流プロセスによって調製した不織布ウェブを形成した。不織布ウェブは、0.6g/ccの密度と175gsmの基本質量を有し、4インチ×4インチの試料に切断した。対照は、未処理であり、本発明の範囲内の試料を水と、Collaborative LabratoriesからLINKED PAPAIN(登録商標)として入手できるポリアクリル酸に結合したパパインを含有する溶液によって試料の表面全体に一様に噴霧し、しばらくの間風乾した。本発明の範囲内の各試料は、約10質量%の結合されたパパインアドオンを有した。処理された試料と未処理の試料双方の取込み速度を上記の取込み試験法を用いて測定した。本実施例において第1、第2、第3の攻撃を用いた。不織布ウェブによって吸収すべき各攻撃に必要とされる時間を測定した。取込み時間と減少結果を表2に示す。
【0034】
表2

【0035】
表2で分かるように、結合された酵素は模擬月経分泌物を吸収するのにかかる時間を減少させる。特に、第2と第3の攻撃を吸収するのにかかる時間は、対照に必要な時間のほぼ3分の1である。
本明細書に記載される本発明の実施態様が現在好ましいが、本発明の真意及び範囲から逸脱することなく、種々の修正と改善を行うことができる。本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲に示され、等価物の意味と範囲に入る全ての変更は、その中に包含されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】吸収性パーソナルケア物品に存在する典型的な構造を示す破断図である。
【図2】吸収性製品について取込み試験を行うための速度ブロックの縦断面図である。
【図3】図2の速度ブロックの平面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1の層を含む吸収性パーソナルケア物品であって、
前記層は、施された処理剤を有する支持体を含み、前記処理剤は、結合された酵素を含む、前記吸収性パーソナルケア物品。
【請求項2】
吸収性物品が、バッフル層、吸収層、任意要素としての取込み層、及び身体側ライナ層を含み、ここで、前記吸収層は、前記バッフル層と前記取込み層との間に位置し、前記取込み層は、前記吸収層と前記身体側ライナ層との間に位置し、前記吸収層、前記取込み層又は前記身体側ライナ層の少なくとも1つは、結合された酵素を含む、請求項1記載の吸収性パーソナルケア物品。
【請求項3】
酵素が、プロテアーゼ、グリコシダーゼ又はそれらの混合物を含む、請求項1又は2記載の吸収性物品。
【請求項4】
プロテアーゼが、パパイン、ブロメライン又はそれらの混合物を含む、請求項3記載の吸収性パーソナルケア物品。
【請求項5】
酵素が、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸、ポリビニルアルコール、ポリアルキレンオキシド、ポリエチレングリコールグラフトポリ塩化ビニル、並びにそれらのブロックコポリマー及びグラフトコポリマーからなる群より選ばれる水溶性ポリマーに結合された、請求項3又は4記載の吸収性パーソナルケア物品。
【請求項6】
吸収層が、高吸収性物質、パルプ又はそれらの混合物を含む、請求項2〜5のいずれか1項記載の吸収性パーソナルケア物品。
【請求項7】
処理剤が、支持体上のパターンに施されている、請求項1記載の吸収性パーソナルケア物品。
【請求項8】
処理剤が、支持体中、粘弾性流体と接触する可能性の最も高い領域で支持体に施されている、請求項1記載の吸収性パーソナルケア物品。
【請求項9】
処理剤が、支持体の表面及び/又は内部の少なくとも1つの少なくとも一部分に均一に分散している、請求項1記載の吸収性パーソナルケア物品。
【請求項10】
処理剤が、吸収性パーソナルケア物品の前記層の全てには分散していない、請求項1記載の吸収性パーソナルケア物品。
【請求項11】
処理剤が、支持体内で不均質に分散している、請求項1記載の吸収性パーソナルケア物品。
【請求項12】
処理剤が、吸収層の中央の領域、身体側ライナ層の中央の領域、又は任意要素としての取込み層の中央の領域に配置されている、請求項3記載の吸収性パーソナルケア物品。
【請求項13】
支持体及び処理剤を含む処理された支持体であって、
前記処理剤は前記支持体を処理し、前記処理剤は結合された酵素を含む、前記支持体。
【請求項14】
支持体が、フィルム、織りウェブ、編みウェブ、フォーム又は不織ウェブを含む、請求項13記載の処理された支持体。
【請求項15】
結合された酵素が、結合されたプロテアーゼ、グリコシダーゼ又はそれらの混合物を含み、前記酵素が担体に結合しており、前記担体がポリマーを含む、請求項13又は14記載の処理された支持体。
【請求項16】
ポリマーが水溶性ポリマーを含み、好ましくは、ポリマーが、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸、ポリビニルアルコール、ポリアルキレンオキシド、ポリエチレングリコールグラフトポリ塩化ビニル、又はそれらのブロックコポリマー若しくはグラフトコポリマーを含む、請求項15記載の処理された支持体。
【請求項17】
支持体が吸収性材料を含み、好ましくは、吸収性材料がパルプ、高吸収性材料又はそれらの混合物を含む、請求項13〜16のいずれか1項記載の処理された支持体。
【請求項18】
架橋ゲル化剤、増粘剤、凝集剤、血漿沈殿剤、粘液溶解剤、溶解剤又はそれらの組合せを含む少なくとも1つの第2の処理剤を更に含む、請求項13〜17のいずれか1項記載の処理された支持体。
【請求項19】
結合された酵素が、処理前の支持体の質量に基づいて0.01〜約100質量%の量で、好ましくは0.1〜約25質量%の量で存在する、請求項27記載の処理された支持体。
【請求項20】
タンパク質成分を含有する粘弾性流体の支持体への吸収性を増加させる方法であって、
結合されたプロテアーゼで前記支持体を処理することを含む、前記方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2007−535361(P2007−535361A)
【公表日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−510728(P2007−510728)
【出願日】平成17年3月14日(2005.3.14)
【国際出願番号】PCT/US2005/008537
【国際公開番号】WO2005/110503
【国際公開日】平成17年11月24日(2005.11.24)
【出願人】(504460441)キンバリー クラーク ワールドワイド インコーポレイテッド (396)
【Fターム(参考)】